特許第6276664号(P6276664)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6276664
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】可変容量型液圧ポンプの流量制御装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/06 20060101AFI20180129BHJP
   F04B 49/08 20060101ALI20180129BHJP
   F15B 11/00 20060101ALI20180129BHJP
   F15B 11/02 20060101ALI20180129BHJP
   F15B 13/043 20060101ALI20180129BHJP
【FI】
   F04B49/06 321Z
   F04B49/08 321
   F15B11/00 B
   F15B11/02 C
   F15B13/043 M
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-162578(P2014-162578)
(22)【出願日】2014年8月8日
(65)【公開番号】特開2016-37925(P2016-37925A)
(43)【公開日】2016年3月22日
【審査請求日】2017年2月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】駒田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】松田 憲英
【審査官】 冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−116294(JP,A)
【文献】 特公平07−056262(JP,B2)
【文献】 特開平08−159037(JP,A)
【文献】 米国特許第05947695(US,A)
【文献】 特開平11−013632(JP,A)
【文献】 実開昭60−112680(JP,U)
【文献】 米国特許第05273403(US,A)
【文献】 特開平10−281073(JP,A)
【文献】 実開昭56−050784(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/06
F04B 49/08
F15B 11/00
F15B 11/02
F15B 13/043
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液圧ポンプの傾転角を変更する、サーボピストンを含むサーボ機構と、
前記サーボピストンとフィードバックレバーにより連結されたスプールであって流量低減方向および流量増加方向へ移動するスプールを含む切換機構と、
馬力制御ピストン、および前記馬力制御ピストンが前記スプールを前記流量低減方向へ移動させるように前記馬力制御ピストンに前記液圧ポンプの吐出圧を作用させる馬力制御受圧室、を含む馬力制御機構と、
カットオフピストン、前記カットオフピストンが前記スプールを前記流量低減方向へ移動させるように前記カットオフピストンに前記液圧ポンプの吐出圧を作用させる第1カットオフ受圧室、および前記液圧ポンプの吐出圧に抗するカットオフ圧力を前記カットオフピストンに作用させる第2カットオフ受圧室、を含むカットオフ機構と、
前記馬力制御ピストンと前記フィードバックレバーを連結する馬力制御レバーおよび前記カットオフピストンと前記フィードバックレバーを連結するカットオフレバーを含み、前記馬力制御ピストンと前記カットオフピストンのうち前記液圧ポンプの吐出流量を小さくする方の変位を前記フィードバックレバーに伝達するように構成された選択機構と、
前記第2カットオフ受圧室へ前記カットオフ圧力を出力する電磁比例弁と、
を備える、可変容量型液圧ポンプの流量制御装置。
【請求項2】
前記カットオフ機構は、前記第2カットオフ受圧室内に配置された、前記カットオフピストンを前記第1カットオフ受圧室に向かって付勢するカットオフスプリングを含む、請求項1に記載の可変容量型液圧ポンプの流量制御装置。
【請求項3】
前記馬力制御機構は、前記馬力制御ピストンを前記馬力制御受圧室に向かって付勢する馬力制御スプリングを含み、
前記カットオフスプリングのバネ定数は、前記馬力制御スプリングのバネ定数よりも小さい、請求項2に記載の可変容量型液圧ポンプの流量制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変容量型液圧ポンプの流量制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建設機械や産業機械などの種々の機械において、可変容量型液圧ポンプを用いた液圧回路が採用されている。このような液圧回路では、流量制御装置により、液圧ポンプから吐出される作動液の流量(吐出流量)が制御される。
【0003】
例えば、特許文献1には、図8に示すような可変容量型液圧ポンプの流量制御装置100が開示されている。この流量制御装置100は、液圧ポンプ110の傾転角を変更するサーボ機構120と、サーボ機構120を駆動する切換機構130を含む。また、流量制御装置100は、切換機構130のスプールを操作する馬力制御ピストン140および流量制御ピストン150を含む。
【0004】
液圧ポンプ110はエンジンにより駆動されるため、液圧ポンプ110の駆動に必要な動力がエンジンの出力を超えないように液圧ポンプ110の吐出流量を制御する必要がある。これを馬力制御という。馬力制御ピストン140は、この馬力制御を実現するためのものであり、馬力制御ピストン140には、液圧ポンプ110の吐出圧が導かれる。
【0005】
流量制御ピストン150は、液圧ポンプ110の吐出流量を電気的に制御するためのものであり、流量制御ピストン150には電磁比例弁170からの二次圧が導かれる。なお、電磁比例弁170と流量制御ピストン150の間には手動弁160が設けられているが、これは、電気系統の寸断等の、電磁比例弁170が操作不能となるフェール時に、電気的制御から機械的制御に切り換えるためのものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−281073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、可変容量型液圧ポンプを用いた液圧回路においては、馬力制御に加えてカットオフ制御を行いたいという要望がある。カットオフ制御とは、液圧ポンプの吐出圧が、電気的に変更可能な設定圧力よりも大きくなったときには、液圧ポンプの吐出流量を急激に低下させる制御である。
【0008】
そこで、本発明は、馬力制御とカットオフ制御を両立することができる可変容量型液圧ポンプの流量制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明の可変容量型液圧ポンプの流量制御装置は、液圧ポンプの傾転角を変更する、サーボピストンを含むサーボ機構と、前記サーボピストンとフィードバックレバーにより連結されたスプールであって流量低減方向および流量増加方向へ移動するスプールを含む切換機構と、馬力制御ピストン、および前記馬力制御ピストンが前記スプールを前記流量低減方向へ移動させるように前記馬力制御ピストンに前記液圧ポンプの吐出圧を作用させる馬力制御受圧室、を含む馬力制御機構と、カットオフピストン、前記カットオフピストンが前記スプールを前記流量低減方向へ移動させるように前記カットオフピストンに前記液圧ポンプの吐出圧を作用させる第1カットオフ受圧室、および前記液圧ポンプの吐出圧に抗するカットオフ圧力を前記カットオフピストンに作用させる第2カットオフ受圧室、を含むカットオフ機構と、前記馬力制御ピストンと前記フィードバックレバーを連結する馬力制御レバーおよび前記カットオフピストンと前記フィードバックレバーを連結するカットオフレバーを含み、前記馬力制御ピストンと前記カットオフピストンのうち前記液圧ポンプの吐出流量を小さくする方の変位を前記フィードバックレバーに伝達するように構成された選択機構と、前記第2カットオフ受圧室へ前記カットオフ圧力を出力する電磁比例弁と、を備える、ことを特徴とする。
【0010】
上記の構成によれば、液圧ポンプの吐出圧が、カットオフ圧力に応じた設定圧力よりも小さい状態では、カットオフピストンは作動しない。このため、液圧ポンプの吐出圧が馬力制御ピストンの作動開始圧よりも大きくなれば、馬力制御ピストンにより馬力制御が行われる。一方、液圧ポンプの吐出圧が設定圧力よりも大きくなれば、カットオフピストンが作動する。このとき、カットオフピストンは馬力制御ピストンよりも液圧ポンプの吐出流量を小さくしようとするため、カットオフピストンが優先されて液圧ポンプの吐出流量が急激に低下する。しかも、設定圧力を決定するカットオフ圧力は電磁比例弁によって電気的に変更することができる。このように本発明の流量制御装置では、馬力制御とカットオフ制御を両立することができる。
【0011】
前記カットオフ機構は、前記第2カットオフ受圧室内に配置された、前記カットオフピストンを前記第1カットオフ受圧室に向かって付勢するカットオフスプリングを含んでもよい。この構成によれば、カットオフスプリングの縮みによる付勢力の上昇により、液圧ポンプの吐出圧が設定圧力を超えたときの吐出流量をある程度の傾きで低下させることができる。
【0012】
例えば、前記馬力制御機構は、前記馬力制御ピストンを前記馬力制御受圧室に向かって付勢する馬力制御スプリングを含み、前記カットオフスプリングのバネ定数は、前記馬力制御スプリングのバネ定数よりも小さくてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、馬力制御とカットオフ制御を両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る可変容量型ポンプの流量制御装置を示す模式図である。
図2図1に示す流量制御装置におけるフィードバックレバー回りの縦断面図である。
図3図2のIII−III線に沿った横断面図である。
図4図2のIV−IV線に沿った横断面図である。
図5図2のV−V線に沿った横断面図である。
図6図1に示す流量制御装置の特性を示すグラフである。
図7】変形例の可変容量型液圧ポンプの流量制御装置を示す模式図である。
図8】従来の可変容量型液圧ポンプの流量制御装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に、本発明の一実施形態に係る可変容量型液圧ポンプの流量制御装置1を示す。この流量制御装置1は、可変容量型液圧ポンプ11から吐出される作動液の流量(吐出流量)Qを制御するためのものである。
【0016】
具体的に、流量制御装置1は、液圧ポンプ11の傾転角を変更するサーボ機構2と、サーボ機構2を駆動する切換機構3を含む。本実施形態では、液圧ポンプ11として、斜板12の角度により傾転角が規定される斜板ポンプが採用されている。ただし、液圧ポンプ11は、斜軸の角度により傾転角が規定される斜軸ポンプであってもよい。
【0017】
サーボ機構2は、液圧ポンプ11の斜板12と連結されたサーボピストン21と、サーボピストン21の一端が露出する大径側室22と、サーボピストン21の他端が露出する小径側室23を含む。小径側室23には、液圧ポンプ11の吐出圧Pdが導かれる。切換機構3は、大径側室22に液圧ポンプ11の吐出圧Pdを導いたり、大径側室22をタンクに連通させたりする。
【0018】
切換機構3は、サーボピストン21とフィードバックレバー7により連結されたスプール31を含む。スプール31は、流量低減方向(図1の右向き、すなわち左側位置)および流量増加方向(図1の左向き、すなわち右側位置)へ移動する。スプール31が流量低減方向へ移動すると、液圧ポンプ11の傾転角が小さくなるようにサーボピストン21が図1において右側へ移動する。スプール31が流量増加方向へ移動すると、液圧ポンプ11の傾転角が大きくなるようにサーボピストン21が図1において左側へ移動する。
【0019】
より詳しくは、図2および図3に示すように、フィードバックレバー7の一端(図2および図3では上側端)には、互いに対向する一対の支持片72が設けられている。スプール31の一端はそれらの支持片72間に挿通されており、スプール31の一端および支持片72を連結ピン70が貫通している。これにより、スプール31とフィードバックレバー7とが連結ピン70回りに相対的に回転可能となっている。また、フィードバックレバー7の他端(図2および図3では下側端)には、U字状の切欠き71が設けられており、この切欠き71に、サーボピストン21に設けられた係合ピン24が係合している。
【0020】
図1に戻って、スプール31は、馬力制御ピストン41およびカットオフピストン51によって、フィードバックレバー7ならびに後述する馬力制御レバー61およびカットオフレバー63を介して操作される。また、スプール31は、スプリング32により、流量増加方向へ付勢されている。なお、図面の簡略化のために、図1および図2では、スプリング32をスプール31の左側の端面を付勢するように描いているが、スプリング32がスプール31を付勢する方向は、上述のとおり図1および図2の左方向である。
【0021】
馬力制御ピストン41およびカットオフピストン51は、それぞれ馬力制御機構4およびカットオフ機構5の構成要素である。
【0022】
馬力制御機構4は、馬力制御ピストン41の他に、馬力制御受圧室42とスプリング室43を含む。馬力制御受圧室42には、液圧ポンプ11の吐出圧Pdが導かれる。馬力制御受圧室42に導かれた吐出圧Pdは、馬力制御ピストン41がスプール31を流量低減方向へ移動させるように馬力制御ピストン41に作用する。
【0023】
なお、馬力制御ピストン41に直径が変わる段差部が設けられている場合は、馬力制御受圧室42は、その段差部を取り囲む環状の室であってもよい。また、馬力制御機構4は、馬力制御ピストン41にスプールを流量低減方向へ移動させる圧力を作用させる1つまたは複数のさらなる受圧室を含んでもよい。例えば、さらなる受圧室には、パワーシフト圧が導かれたり、デュアルポンプの場合は相手側の液圧ポンプの吐出圧が導かれたりする。
【0024】
スプリング室43内には、馬力制御ピストン41を馬力制御受圧室42に向かって付勢する馬力制御スプリング44が配置されている。馬力制御スプリング44は、通常、2つのスプリングで構成される。
【0025】
カットオフ機構5は、カットオフピストン51の他に、第1カットオフ受圧室52と第2カットオフ受圧室53を含む。第1カットオフ受圧室52には、液圧ポンプ11の吐出圧Pdが導かれる。第1カットオフ受圧室52に導かれた吐出圧Pdは、カットオフピストン51がスプール31を流量低減方向へ移動させるようにカットオフピストン51に作用する。第2カットオフ受圧室53は、液圧ポンプ11の吐出圧Pdに抗するカットオフ圧力Pcをカットオフピストン51に作用させるための室である。
【0026】
また、第2カットオフ受圧室53内には、カットオフピストン51を第1カットオフ受圧室52に向かって付勢するカットオフスプリング54が配置されている。例えば、カットオフスプリング54のバネ定数は、馬力制御スプリング44のバネ定数よりも小さい。
【0027】
第2カットオフ受圧室53は、電磁比例弁8Aと接続されている。電磁比例弁8Aには補助ポンプ13から一次圧が供給され、電磁比例弁8Aは、二次圧として上記のカットオフ圧力Pcを第2カットオフ受圧室53へ出力する。図1に示す電磁比例弁8Aは、ソレノイドを例示する電流が大きくなるほど大きな二次圧を出力する正比例型である。
【0028】
カットオフピストン51は、液圧ポンプ11の吐出圧Pdが、カットオフ圧力Pcおよびカットオフスプリング54の初期状態での付勢力Fsにより定まる設定圧力Psよりも大きくなったときに作動する。ここで、カットオフピストン51の第1カットオフ受圧室52に露出する面積をA1、カットオフピストン51の第2カットオフ受圧室53に露出する面積をA2とすると、設定圧力Psは、以下の式により表される。
Ps=(Fs+Pc・A2)/A1
【0029】
馬力制御ピストン41とカットオフピストンのどちらがスプール31を操作するかは、選択機構6により決定される。選択機構6は、馬力制御レバー61とカットオフレバー63を含む。
【0030】
以下、図2図4および図5を参照して、選択機構6の構成を詳細に説明する。ただし、説明の便宜上、それらの図の上側を上方、下側を下方という。
【0031】
馬力制御レバー61およびカットオフレバー63は、フィードバックレバー7の上側部分と重なり合うように、フィードバックレバー7の両側に配置されている。馬力制御レバー61は、馬力制御ピストン41とフィードバックレバー7を連結し、カットオフレバー63は、カットオフピストン51とフィードバックレバー7を連結している。選択機構6は、馬力制御ピストン41とカットオフピストン51のうち液圧ポンプ11の吐出流量Qを小さくする方の変位をフィードバックレバー7に伝達するように構成されている。
【0032】
より詳しくは、馬力制御レバー61およびカットオフレバー63の上端部は、固定ピン62,64により図略のケースに固定されている。馬力制御レバー61の下部には係合ピン45が設けられており、この係合ピン45が、馬力制御ピストン41に設けられた環状溝41aに係合している。同様に、カットオフレバー63の下部には係合ピン55が設けられており、この係合ピン55が、カットオフピストン51に設けられた環状溝51aに係合している。
【0033】
さらに、フィードバックレバー7には、当該フィードバックレバー7貫通して両側に突出するように選択ピン65が固定されている。そして、馬力制御レバー61およびカットオフレバー63には、その選択ピン65と接触する内周面を有する、選択ピン65よりも大径の係合穴61a,63aが設けられている。
【0034】
次に、流量制御装置1の動作について説明する。液圧ポンプ11の吐出圧Pdが上述した設定圧力Psよりも小さい状態では、カットオフピストン51は作動しない。このため、液圧ポンプ11の吐出圧Pdが馬力制御ピストン41の作動開始圧Pp(図6参照)よりも大きくなれば、馬力制御ピストン41により馬力制御が行われる。一方、液圧ポンプ11の吐出圧Pdが設定圧力Psよりも大きくなれば、カットオフピストン51が作動する。このとき、カットオフピストン51は馬力制御ピストン41よりも液圧ポンプ11の吐出流量Qを小さくしようとするため、カットオフピストン51が優先されて、図6に示すように液圧ポンプ11の吐出流量Qが急激に低下する。しかも、設定圧力Psを決定するカットオフ圧力Pcは電磁比例弁8Aによって電気的に変更することができる。このように流量制御装置1では、馬力制御とカットオフ制御を両立することができる。
【0035】
さらに、本実施形態では、カットオフスプリング54の縮みによる付勢力の上昇により、液圧ポンプ11の吐出圧Pdが設定圧力Psを超えたときの吐出流量Qをある程度の傾きで低下させることができる。すなわち、カットオフスプリング54のバネ定数によって、カットオフ制御時の吐出流量Qの低下率を調整することができる。
【0036】
(変形例)
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0037】
例えば、正比例型の電磁比例弁8Aに代えて、図7に示すようなソレノイドを例示する電流が大きくなるほど小さな二次圧を出力する逆比例型の電磁比例弁8Bを用いることも可能である。この場合、電気系統の寸断等のフェール時には、第2カットオフ受圧室53の圧力が最大となってカットオフピストン51が作動しなくなる。従って、フェール時でも馬力制御だけは継続して実行することができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の可変容量型液圧ポンプの流量制御装置は、種々の液圧回路に適用可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 可変容量型ポンプの制御装置
11 液圧ポンプ
2 サーボ機構
21 サーボピストン
22 大径側室
23 小径側室
3 切換機構
31 スプール
4 馬力制御機構
41 馬力制御ピストン
42 馬力制御受圧室
43 馬力制御スプリング
5 カットオフ機構
51 カットオフピストン
52 第1カットオフ受圧室
53 第2カットオフ受圧室
54 カットオフスプリング
6 選択機構
61 馬力制御レバー
63 カットオフレバー
7 フィードバックレバー
8A,8B 電磁比例弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8