特許第6276858号(P6276858)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6276858エレベーター用ワイヤーロープセットの二節点力均一化装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6276858
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】エレベーター用ワイヤーロープセットの二節点力均一化装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 7/10 20060101AFI20180129BHJP
【FI】
   B66B7/10
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-532217(P2016-532217)
(86)(22)【出願日】2014年7月9日
(65)【公表番号】特表2016-529180(P2016-529180A)
(43)【公表日】2016年9月23日
(86)【国際出願番号】CN2014081885
(87)【国際公開番号】WO2015021837
(87)【国際公開日】20150219
【審査請求日】2016年3月29日
(31)【優先権主張番号】201310347752.0
(32)【優先日】2013年8月12日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516037626
【氏名又は名称】スーヂョウ バランスド トランスミッション イクイプメント カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SUZHOU BALANCED TRANSMISSION EQUIPMENT CO.,LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュ シンファ
【審査官】 八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第02089143(US,A)
【文献】 実開昭49−141550(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 7/00−7/02;7/06−7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
揺動可能にベースに配置されており、ワイヤーロープセットが接続される2つの球形節点が対称的に配置された力均一化装置主体を含み、
前記力均一化装置主体には2つの球形室が対称的に設けられており、
前記球形節点が前記球形室に沿って回転したり揺動したりすることができ、
前記力均一化装置主体の下部には、中心線が前記力均一化装置主体の中心線と同一直線上にある、底部に弧形突起又は球状突起が形成された回転ブラケットが設けられ、
前記ベースに弧形溝又は球状溝が設けられており、前記弧形突起又は球状突起が前記弧形溝又は球状溝内に置かれることによって、前記弧形突起又は球状突起が前記弧形溝又は球状溝に沿って変位することができ、
前記力均一化装置主体の前記ベースに対する垂直軸まわりの回転中心上にある前記弧形突起又は球状突起の幾何中心が前記力均一化装置主体の中心線に位置し、
前記2つの球形節点の垂直軸まわりの回転中心上にある前記球形節点の幾何中心前記弧形突起又は球状突起の幾何中心とが同一の水平面にあり且つ同一直線上にあることを特徴とするエレベーター用ワイヤーロープセットの二節点力均一化装置。
【請求項2】
前記力均一化装置主体にねじ穴が設けられており、ねじが前記ねじ穴によって前記回転ブラケットを前記力均一化装置主体の下部に固定することができることを特徴とする請求項1に記載のエレベーター用ワイヤーロープセットの二節点力均一化装置。
【請求項3】
前記ベースを取り付けやすくするために、前記ベースに複数の固定穴が均一に分布していることを特徴とする請求項1に記載のエレベーター用ワイヤーロープセットの二節点力均一化装置。
【請求項4】
ワイヤーロープを収容するために、前記球形節点の中心に貫通穴が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のエレベーター用ワイヤーロープセットの二節点力均一化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーター用ワイヤーロープセットの力均一化装置に関し、特に二組のワイヤーロープセットの負荷を調節して二組のワイヤーロープセットの負荷を同様にすることができるエレベーター用ワイヤーロープセットの二節点力均一化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、国内外のエレベーターは一般に牽引器を用いてエレベーターを駆動し、牽引エレベーター懸垂持上システムは、滑車、ワイヤーロープセット、かご、カウンターウェイトシステム等の主な部材で構成される。前記牽引エレベーター懸垂持上システムでは、ワイヤーロープセットにおけるそれぞれのワイヤーロープが滑車の溝内に巻き付いて発生する摩擦力によってかごの昇降の動力を提供する。エレベーター駆動技術が進んでいる条件で、エレベーターの持上高さ及び走行速度が共に大幅に高まってきて、それと同時にエレベーターそのものの安全性と信頼性がより高く要求されるようになった。理論的には、エレベーターは使用過程でワイヤーロープセットにおけるそれぞれのワイヤーロープの負荷が同様であり且つ滑車におけるワイヤーロープを巻き付けるための溝の形状とサイズも同様であるはずであるが、実際の使用過程で、様々な原因でワイヤーロープセットにおけるそれぞれのワイヤーロープの負荷が同様ではなく、負荷が大きいワイヤーロープや、負荷が小さいワイヤーロープもある。負荷が大きいワイヤーロープは対応する滑車における溝との間の摩擦力が比較的に大きく、対応する滑車における溝の摩擦がより深刻になり、長時間経過すると、対応する滑車における溝の形状とサイズが変化して、負荷が大きいワイヤーロープが作動中で負荷が大きくなることを引き起こしてしまう。滑車における溝が摩損されて半径が0.1ミリメートル減少すると、滑車が一回りするたびに、ワイヤーロープが0.314ミリメートル少なく運動する。20階建のビルを例とすると滑車が約100回り回転し、ワイヤーロープは31.4ミリメートル少なく運動し、試験したところ、このワイヤーロープが約3000ニュートン多く負荷することを発見した。ワイヤーロープセットにおけるそれぞれのワイヤーロープの負荷が不均一になる時、負荷が小さいワイヤーロープと滑車の間に蠕動現象が発生して、ワイヤーロープと滑車の間の蠕動が原因となりワイヤーロープと滑車の摩損を引き起こしてしまう。階層が高いほど、上述した場合が深刻になる。従って、長時間使用されている、負荷が大きいワイヤーロープが使用過程で破断しやすくてエレベーターの安全事故を引き起こしてしまう。また、負荷が小さいワイヤーロープは滑車との摩損によっても損壊され、ひどく損壊された場合にワイヤーロープの破断をも招いてエレベーターの安全事故を引き起こしてしまう。そのため、二組のワイヤーロープセットの負荷を調節して二組のワイヤーロープセットの負荷を同様にすることができるエレベーター用ワイヤーロープセットの二節点力均一化装置を開発した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、従来技術の不足を克服するために、二組のワイヤーロープセットの負荷を調節して二組のワイヤーロープセットの負荷を同様にすることができるエレベーター用ワイヤーロープセットの二節点力均一化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した目的を達成するために、本発明の採用する技術的解決手段は、回転可能にベースに配置されており、ワイヤーロープセットを取り付ける2つの球形節点対称的に配置された力均一化装置主体を含み、前記力均一化装置主体には2つの球形室が対称的に設けられており、前記球形節点が前記球形室に沿って回転でき、前記力均一化装置主体の下部には、中心線が前記力均一化装置主体の中心線と同一直線上にある、底部に弧形突起又は球状突起が形成された回転ブラケットが設けられ、前記ベースに弧形溝又は球状溝が設けられており、前記弧形突起又は球状突起が前記弧形溝又は球状溝内に置かれることによって、前記弧形突起又は球状突起が前記弧形溝又は球状溝に沿って変位することができ、前記2つの力均一化装置主体の前記ベースに対する垂直軸まわりの回転中心上にある前記弧形突起又は球状突起の幾何中心が前記力均一化装置主体の中心線に位置し、前記2つの球形節点の垂直軸まわりの回転中心上にある前記球形節点の幾何中心前記弧形突起又は球状突起の幾何中心とが同一の水平面にあり且つ同一直線上にあるエレベーター用ワイヤーロープセットの二節点力均一化装置である。
【0005】
【0006】
【0007】
好ましくは、前記力均一化装置主体にねじ穴が設けられており、ねじが前記ねじ穴によって回転ブラケットを力均一化装置主体の下部に固定することができる。
【0008】
好ましくは、ベースを取り付けやすくするために、前記ベースに複数の固定穴が均一に分布している。
【0009】
ワイヤーロープを収容するために、前記球形節点の中心に貫通穴が設けられている。
【発明の効果】
【0010】
上述した技術的解決手段を適用したので、本発明は従来技術に比べて以下のような長所を有している。
【0011】
本発明に係るエレベーター用ワイヤーロープセットの二節点力均一化装置において、前記力均一化装置主体が回転可能にベースに配置されており、前記力均一化装置主体にはワイヤーロープセットを取り付けるための2つの球形節点が対称的に配置されており、前記力均一化装置主体には2つの球形室が対称的に設けられており、前記球形節点が球形室に沿って回転でき、前記力均一化装置主体の下部には、中心線が前記力均一化装置主体の中心線と同一直線上にある、底部に弧形突起又は球状突起が形成された回転ブラケットが設けられ、前記ベースに弧形溝又は球状溝が設けられており、前記弧形突起又は球状突起が前記弧形溝又は球状溝内に置かれることによって、前記弧形突起又は球状突起が前記弧形溝又は球状溝に沿って変位することができ、前記力均一化装置主体の前記ベースに対する回転中心が力均一化装置主体の中心線に位置し、前記2つの球形節点の垂直軸まわりの回転中心上にある前記球形節点の幾何中心前記弧形突起又は球状突起の幾何中心とが同一の水平面にあり且つ同一直線上にある。本発明の解決手段によれば、二組のワイヤーロープセットの負荷を調節でき、本発明が安定状態に達すると、二組のワイヤーロープセットの負荷が同様になって、エレベーター用ワイヤーロープセットの負荷が異なることで発生する危害を克服し、ワイヤーロープセットの使用寿命を高め、それによってエレベーターの安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら本発明の技術的解決手段を更に説明する。
【0013】
図1】本発明に係るエレベーター用ワイヤーロープセットの二節点力均一化装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面及び具体的な実施例を参照しながら本発明を更に詳しく説明する。
【0015】
図1は、本発明に係るエレベーター用ワイヤーロープセットの二節点力均一化装置を示す。当該装置は、牽引ワイヤーロープセットのロープ頭部又はロープ尾部(不図示)に取り付けられるものであり、回転可能にベース5に配置されており、二組のワイヤーロープを取り付けるために2つの球形節点8が対称的に配置されている、力均一化装置主体1を含む。球形節点8の中心に、その中の一組のワイヤーロープを取り付けるための貫通穴9が設けられている。球形節点8は後述する球形室2に沿って変位することができる。力均一化装置主体1の垂直軸まわりの回転中心上にある弧形突起6(後述する)の幾何中心は力均一化装置主体1の中心線に位置する。各球形節点8の垂直軸まわりの回転中心上にある球形節点8の幾何中心弧形突起6の幾何中心とが同一の水平面にあり且つ同一直線上にある。
【0016】
この実施例において、図1に示すように、力均一化装置主体1にはその中心線に沿って、それぞれに球形節点8が回転できるように2つの球形室2が対称的に設けられている。力均一化装置主体1の下部には、中心線が力均一化装置主体1の中心線と同一直線上にある、底部に弧形突起6を設けた回転ブラケット4が設けられている。ベース5に弧形溝7が設けられており、弧形突起6が弧形溝7内に置かれることによって、弧形突起6が弧形溝7に沿って変位することができる。力均一化装置主体1にねじ穴3が設けられており、ねじ(不図示)がねじ穴3によって回転ブラケット4を力均一化装置主体1の下部に固定することができる。ベース5を取り付けやすくするために、ベース5に複数の固定穴10が均一に分布されている。
【0017】
勿論、この実施例において、弧形突起6は球形突起であってもよく、対応的に、弧形溝7は球形溝であってもよい。
【0018】
上述した技術的解決手段を適用したので、本発明は従来技術に比べて以下のような長所を有している。本発明に係るエレベーター用ワイヤーロープセットの二節点力均一化装置において、垂直軸まわりの回転中心を巡って揺動することによってその両端の力のバランスを取るために力均一化装置主体が揺動可能にベースに配置されている。力均一化装置主体にはワイヤーロープセットを取り付けるための貫通穴を中心に設けた2つの球形節点が対称的に配置されており、球形節点が球形室2に沿って回転したり揺動したりすることができる。力均一化装置主体の垂直軸まわりの回転中心上にある弧形突起6又は球状突起の幾何中心が力均一化装置主体の中心線に位置し、各球形節点の垂直軸まわりの回転中心上にある球形節点8の幾何中心弧形突起6又は球状突起の幾何中心とが同一の水平面にあり且つ同一直線上にある。このように、本発明の二節点力均一化装置は、揺動ロッドとてこの原理を利用して、それぞれの独立した牽引ワイヤーロープに他のワイヤーロープに対して相互に関連する力学関連を持たせ、即ち、牽引ワイヤーロープセットに負荷がかかった場合に、そのいずれか一本の負荷に変化が発生しても球形節点に伝達され、該球形節点が負荷して揺動して力均一化装置主体にバランスを失わせてその垂直軸まわりの回転中心を巡って揺動させる。このように該球形節点の負荷の変化を他方の球形節点に伝達してこの二つの球形節点の負荷にバランスを取らせ、つまり、てこの原理(トルク=力*距離)を利用して各組のワイヤーロープの負荷を等しくする。
【0019】
本発明の解決手段によれば、二組のワイヤーロープの負荷を自動的に調節でき、本発明が安定状態に達すると、二組のワイヤーロープセットの負荷が同様になって、エレベーター用ワイヤーロープセットの負荷が異なることで発生する危害を克服し、ワイヤーロープセットの使用寿命を高め、それによってエレベーターの安全性を高めることができる。
【0020】
上述した実施例はただ本発明の技術的構想及び特徴を説明するためのものであって、当業者が本発明の内容を理解して実施することができるようにすることを目的とし、それによって本発明の保護範囲を限定してはいけなく、本発明の主旨の実質に基づいて行った同等な変化又は修飾は全部本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0021】
1 力均一化装置主体
2 球形室
3 ねじ穴
4 回転ブラケット
5 ベース
6 弧形突起
7 弧形溝
8 球形節点
9 貫通穴
10 固定穴
図1