(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
カンチレバーアクチュエータがPVDFを含む、および/または、カンチレバーアクチュエータが、トランジスタからの圧電材料の遠位端に取り付けられた荷重を含む、請求項1に記載の装置。
トランジスタが、スタガード型ボトムゲート薄膜トランジスタ(TFT)、コープレーナー型ボトムゲートTFT、スタガード型トップゲートTFTおよびコープレーナー型トップゲートTFTの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の装置。
トランジスタおよびカンチレバーが表示装置に組み込まれ、該表示装置が、モバイル装置、携帯電話、ラップトップ、タブレット、メディアプレーヤ、グローバルポジショニングシステム(GPS)装置および電子書籍リーダの少なくとも一つを含む電子装置の一部である、請求項1に記載の装置。
触覚フィードバック装置のアレイに結合されたプロセッサをさらに含み、該プロセッサが、該触覚フィードバック装置のアレイから信号を受けるように構成され、かつ、該受けた信号に基づいてユーザ入力を決定するように構成されている、または、該プロセッサが、ユーザに提供すべき触覚フィードバック感覚を決定するように構成され、かつ、該触覚フィードバック装置のアレイに提供されたとき該決定された触覚フィードバック感覚をユーザに受けさせる信号を生成するように構成されている、請求項14に記載の触覚フィードバック可能な装置。
信号をセンサの圧電膜に出力する工程をさらに含み、該信号が該センサのアクチュエータの動きを誘発し、該信号が、該アクチュエータを所定の距離だけ動かすように選択された直流(DC)信号を含む、または、信号を該センサの該圧電膜に出力する工程をさらに含み、該信号が、該アクチュエータに振動を誘発するように選択された交流(AC)信号を含む、請求項17に記載の方法。
【発明の概要】
【0008】
概要
電子装置に組み込まれた単体半導体部品を介して、ユーザフィードバックが生成され、かつユーザ入力が受けられ得る。単体半導体部品は、薄膜トランジスタなどのトランジスタと一体化した圧電カンチレバーアクチュエータを含み得、アクチュエータは、トランジスタから電気的に絶縁されているが、機械的にトランジスタに取り付けられている。一体化の一つの方法は、アクチュエータの圧電薄膜をトランジスタのゲート電極スタックの中に延ばすことである。圧電薄膜は概して絶縁材であり得、金属膜が、トランジスタのゲート電極スタックから離れた圧電材料の一部分の周囲に付着され得る。これらの金属膜は、アクチュエータのたわみを制御するための二つの電極を含み、トランジスタに影響する信号が二つの電極に印加されることはない。アクチュエータの制御されたたわみとは独立して、また、いくつかの態様においてはそれと同時に、トランジスタのゲート電極スタックの中に延びる圧電膜が、アクチュエータに加えられる力に基づいてトランジスタの電気特性を変化させ得る。トランジスタの中への圧電膜の延在は、アクチュエータに加えられる力に基づいてトランジスタのゲート電極スタックの界面に電荷を誘導し得る。誘導された電荷はトランジスタのしきい電圧の変化を生じさせ得、それを、トランジスタに結合された適切な回路によって検出し得る。
【0009】
トランジスタとカンチレバーアクチュエータとを一体化した単体半導体部品は、そのような部品のアレイの一部であってもよい。たとえば、アレイは、手袋の複数の指にわたる一体化部品の範囲に延びてもよいし、またはスマートフォン中の表示装置にわたる一体化部品の範囲に延びてもよい。そのような一体化部品のアレイは、物理的ボタンを模倣するような触覚フィードバックを提供するためにプロセッサによって連係されてもよい。この局所的触覚フィードバックは、静的たわみによって表示装置上に突出するボタンとして伝達されてもよいし、またはカンチレバーアクチュエータを使用する振動によって伝達されてもよい。そのような一体化部品のアレイはまた、ユーザ入力、たとえばカンチレバーアクチュエータによって生成される突出したボタンと相互作用するユーザ入力を受けるために使用され得る。カンチレバーアクチュエータは、多信号の検出、たとえば力、圧力、振動および/または温度の検出を提供することができる。
【0010】
一つの態様にしたがって、装置は、少なくともソース電極、ドレイン電極およびゲート電極を含むトランジスタを含み得る。装置はまた、圧電材料を含むカンチレバーアクチュエータを含み得、カンチレバーアクチュエータは、電気的に絶縁されているが、トランジスタのゲート電極を介してトランジスタに機械的に接続されかつトランジスタと一体化されており、カンチレバーアクチュエータは、ソース電極、ドレイン電極およびゲート電極とは別の少なくとも二つの電極を含み、少なくとも二つの電極は第一の電極および第二の電極を含み、少なくとも二つの電極は、ソース電極、ドレイン電極およびゲート電極を介するトランジスタのアクセスとは独立した、カンチレバーアクチュエータの同時動作を可能にする。
【0011】
別の態様にしたがって、触覚フィードバックをユーザに提供することができる電子装置が開示される。電子装置は、触覚フィードバック装置のアレイを含み得、触覚フィードバック装置のアレイの少なくとも一つの触覚フィードバック装置は、少なくともソース電極、ドレイン電極およびゲート電極を含むトランジスタ、ならびに圧電材料を含むカンチレバーアクチュエータを含む。カンチレバーアクチュエータは、電気的に絶縁され得るが、トランジスタのゲート電極を介してトランジスタに機械的に接続されかつトランジスタと一体化され得る。カンチレバーアクチュエータは、ソース電極、ドレイン電極およびゲート電極とは別の少なくとも二つの電極を含み得る。さらに、少なくとも二つの電極は、ソース電極、ドレイン電極およびゲート電極を介するトランジスタのアクセスとは独立した、カンチレバーアクチュエータの同時動作を可能にし得る。電子装置は、モバイル装置、携帯電話、ラップトップ、タブレット、メディアプレーヤ、グローバルポジショニングシステム(GPS)装置、電子書籍リーダ、パッチおよび/または手袋を含み得る。
【0012】
さらなる態様にしたがって、方法は、電子装置へのユーザ入力を示す圧電膜の誘導電荷の変化をトランジスタを介して検出する工程であって、圧電膜が、トランジスタから電気的に絶縁されているが、機械的にトランジスタに接続されている、工程;トランジスタに結合されたプロセッサにより、少なくとも部分的に誘導電荷の変化に基づいて、センサに対して圧力があったかどうかを決定する工程であって、誘導電荷の変化が、少なくとも部分的に、圧電膜に結合されたトランジスタのしきい電圧に基づいて測定される、工程;プロセッサにより、少なくとも部分的に該センサにおいて測定された圧力に基づいて、ユーザ入力を処理する工程;および/またはプロセッサにより、少なくとも部分的に該受けたユーザ入力に基づいて、動作を実行する工程を含み得る。
【0013】
さらに別の態様にしたがって、電子装置のための単体半導体部品を製造する方法は、基板の上にトップゲート構造を付着させる工程;トップゲート構造上に能動半導体層を付着させてスタックを形成する工程;スタック上にソースおよびドレイン電極を付着させる工程;スタック上に圧電層を付着させる工程;スタック上の圧電層上にトップゲート電極を付着させる工程;および/またはスタックをパターニングして、それぞれがトランジスタおよびカンチレバーアクチュエータを含む個々のセルを形成する工程を含み得る。
【0014】
一つの態様にしたがって、トランジスタとカンチレバーアクチュエータとを一体化した単体半導体部品を有する電子装置を作動させる方法は、ユーザに提供すべき触覚フィードバックのタイプを指示する制御信号をプロセッサから受ける工程;指示されたタイプの触覚フィードバックにしたがってフィードバック信号を生成する工程;および/またはフィードバック信号を第一の電極および第二の電極に印加して、指示されたタイプの触覚フィードバックをカンチレバーアクチュエータ中に誘発する工程を含み得る。触覚フィードバックのタイプは、表示装置上にボタンを模倣するタイプおよび/または振動を発生させるタイプを含み得る。
【0015】
さらなる態様にしたがって、装置は、第一の半導体チャネル領域;第二の半導体チャネル領域;第一の半導体チャネル領域および第二の半導体チャネル領域の上の誘電体層;第一の半導体チャネル領域および第二の半導体チャネル領域の上の圧電層;ならびに/または第一の半導体チャネル領域および第二の半導体チャネル領域の上のゲート電極を含み得る。第一の半導体チャネル領域はp型半導体を含み、第二の半導体チャネル領域はn型半導体を含む。装置はまた、第一の半導体チャネル領域に結合された第一のソース電極;第二の半導体チャネル領域に結合された第二のソース電極;および/または第一の半導体チャネル領域に結合され、かつ第二の半導体チャネル領域に結合されたドレイン電極を含み得る。装置はさらに、圧電層内の圧電効果を計測するように構成されている、第一のソース電極およびドレイン電極に結合された第一のセンサ回路;ならびに/または圧電層内の焦電効果を計測するように構成されている、第二のソース電極およびドレイン電極に結合された第二のセンサ回路を含み得る。
【0016】
本発明に関連して、24の態様が記載される。態様1は装置を含む。装置は、少なくともソース電極、ドレイン電極およびゲート電極を含むトランジスタ;ならびに圧電材料を含むカンチレバーアクチュエータを含み、カンチレバーアクチュエータは、電気的に絶縁されているが、トランジスタのゲート電極を介してトランジスタに機械的に接続されかつトランジスタと一体化されており、カンチレバーアクチュエータは、ソース電極、ドレイン電極およびゲート電極とは別の少なくとも二つの電極を含み、少なくとも二つの電極は第一の電極および第二の電極を含み、少なくとも二つの電極は、ソース電極、ドレイン電極およびゲート電極を介するトランジスタのアクセスとは独立した、カンチレバーアクチュエータの同時動作を可能にする。態様2は、トランジスタの少なくともソース電極、ドレイン電極およびゲート電極に結合された検知回路をさらに含み、検知回路が、トランジスタのしきい電圧の変化を検知することによってカンチレバーアクチュエータに加えられた圧力を検出するように構成されている、態様1の装置である。態様3は、圧電材料が焦電材料を含み、検知回路が、カンチレバーアクチュエータの周囲の環境の温度を検出するように構成されている、態様2の装置である。態様4は、カンチレバーアクチュエータの少なくとも二つの電極に結合された触覚フィードバック回路をさらに含む、態様1〜3のいずれか一つの装置である。態様5は、触覚フィードバック回路が、カンチレバーアクチュエータをたわませるための直流(DC)信号を生成するように構成されている、態様4の装置である。態様6は、触覚フィードバック回路が、表面から突出するボタンを模倣するように構成されている、態様5の装置である。態様7は、触覚フィードバック回路が、カンチレバーアクチュエータをたわませるための交流(AC)信号を生成するように構成されている、態様4の装置である。態様8は、触覚フィードバック回路が、揺れ効果を生成するように構成されている、態様7の装置である。態様9は、カンチレバーアクチュエータがPVDFを含む、態様1〜8のいずれか一つの装置である。態様10は、カンチレバーアクチュエータが、トランジスタからの圧電材料の遠位端に取り付けられた荷重を含む、態様1〜9のいずれか一つの装置である。態様11は、トランジスタが、スタガード型ボトムゲート薄膜トランジスタ(TFT)、コープレーナー型ボトムゲートTFT、スタガード型トップゲートTFTおよびコープレーナー型トップゲートTFTの少なくとも一つを含む、態様1〜10のいずれか一つの装置である。態様12は、トランジスタおよびカンチレバーが表示装置に組み込まれ、表示装置が、モバイル装置、携帯電話、ラップトップ、タブレット、メディアプレーヤ、グローバルポジショニングシステム(GPS)装置および電子書籍リーダの少なくとも一つを含む電子装置の一部である、態様1〜11のいずれか一つの装置である
【0017】
態様13は、触覚フィードバックをユーザに提供することができる電子装置を含む。電子装置は触覚フィードバック装置のアレイを含むことができ、触覚フィードバック装置のアレイの少なくとも一つの触覚フィードバック装置は、少なくともソース電極、ドレイン電極およびゲート電極を含むトランジスタ;ならびに圧電材料を含むカンチレバーアクチュエータを含み、カンチレバーアクチュエータは、電気的に絶縁されているが、トランジスタのゲート電極を介してトランジスタに機械的に接続されかつトランジスタと一体化されており、カンチレバーアクチュエータは、ソース電極、ドレイン電極およびゲート電極とは別の少なくとも二つの電極を含み、少なくとも二つの電極は第一の電極および第二の電極を含み、少なくとも二つの電極は、ソース電極、ドレイン電極およびゲート電極を介するトランジスタのアクセスとは独立した、カンチレバーアクチュエータの同時動作を可能にする。態様14は、触覚フィードバック装置のアレイに結合されたプロセッサをさらに含み、プロセッサが、触覚フィードバック装置のアレイから信号を受けるように構成され、かつ、受けた信号に基づいてユーザ入力を決定するように構成されている、態様13の触覚フィードバック可能な装置である。態様15は、触覚フィードバック装置のアレイに結合されたプロセッサをさらに含み、プロセッサが、ユーザに提供すべき触覚フィードバック感覚を決定するように構成され、かつ、触覚フィードバック装置のアレイに提供されたとき該決定された触覚フィードバック感覚をユーザに受けさせる信号を生成するように構成されている、態様13〜14のいずれか一つの触覚フィードバック可能な装置である。態様16は、表示装置をさらに含み、触覚フィードバック装置のアレイが表示装置の上に配置されている、態様13〜15のいずれか一つの触覚フィードバック可能な装置である。
【0018】
態様17は方法を含み、該方法は、電子装置へのユーザ入力を示す圧電膜の誘導電荷の変化をトランジスタを介して検出する工程であって、圧電膜が、トランジスタから電気的に絶縁されているが、機械的にトランジスタに接続されている、工程;トランジスタに結合されたプロセッサにより、少なくとも部分的に誘導電荷の変化に基づいて、センサに対して圧力があったかどうかを決定する工程であって、誘導電荷の変化が、少なくとも部分的に、圧電膜に結合されたトランジスタのしきい電圧に基づいて測定される、工程;プロセッサにより、少なくとも部分的に該センサにおいて測定された圧力に基づいて、ユーザ入力を処理する工程;およびプロセッサにより、少なくとも部分的に該受けたユーザ入力に基づいて、動作を実行する工程を含むことができる。態様18は、信号をセンサの圧電膜に出力する工程をさらに含み、信号がセンサのアクチュエータの動きを誘発し、信号が、アクチュエータを所定の距離だけ動かすように選択された直流(DC)信号を含む、態様17の方法である。態様19は、信号をセンサの圧電膜に出力する工程をさらに含み、信号が、アクチュエータに振動を誘発するように選択された交流(AC)信号を含む、態様17の方法である。態様20は、誘導電荷の変化を検出する工程および信号を圧電膜に出力する工程が同時に実施される、請求項17〜19のいずれか一つの方法である。
【0019】
態様21は、トランジスタが、第一の半導体チャネル領域;第二の半導体チャネル領域;第一の半導体チャネル領域および第二の半導体チャネル領域の上の誘電体層;ならびに第一の半導体チャネル領域および第二の半導体チャネル領域の上の圧電層をさらに含み、ゲート電極が第一の半導体チャネル領域の上および第二の半導体チャネル領域の上に延びる、態様1〜12のいずれか一つの装置である。態様22は、第一の半導体チャネル領域がp型半導体を含み、第二の半導体チャネル領域がn型半導体を含む、態様21の装置である。態様23は、第一の半導体チャネル領域に結合された第一のソース電極;第二の半導体チャネル領域に結合された第二のソース電極;および第一の半導体チャネル領域に結合され、かつ第二の半導体チャネル領域に結合されたドレイン電極をさらに含む、態様21〜22のいずれか一つの装置である。態様24は、圧電層内の圧電効果を計測するように構成されている、第一のソース電極およびドレイン電極に結合された第一のセンサ回路;ならびに圧電層内の焦電効果を計測するように構成されている、第二のソース電極およびドレイン電極に結合された第二のセンサ回路をさらに含む、態様23の装置である。
【0020】
[本発明1001]
少なくともソース電極、ドレイン電極およびゲート電極を含むトランジスタ;ならびに
圧電材料を含むカンチレバーアクチュエータ
を含む、装置であって、
該カンチレバーアクチュエータが、電気的に絶縁されているが、該トランジスタの該ゲート電極を介して該トランジスタに機械的に接続されかつ該トランジスタと一体化されており、
該カンチレバーアクチュエータが、該ソース電極、該ドレイン電極および該ゲート電極とは別の少なくとも二つの電極を含み、該少なくとも二つの電極が第一の電極および第二の電極を含み、
該少なくとも二つの電極が、該ソース電極、該ドレイン電極および該ゲート電極を介する該トランジスタのアクセスとは独立した、該カンチレバーアクチュエータの同時動作を可能にする、装置。
[本発明1002]
トランジスタの少なくともソース電極、ドレイン電極およびゲート電極に結合された検知回路をさらに含み、該検知回路が、該トランジスタのしきい電圧の変化を検知することによってカンチレバーアクチュエータに加えられた圧力を検出するように構成されている、本発明1001の装置。
[本発明1003]
圧電材料が焦電材料を含み、検知回路が、カンチレバーアクチュエータの周囲の環境の温度を検出するように構成されている、本発明1002の装置。
[本発明1004]
カンチレバーアクチュエータの前記少なくとも二つの電極に結合された触覚フィードバック回路をさらに含む、本発明1001の装置。
[本発明1005]
触覚フィードバック回路が、カンチレバーアクチュエータをたわませるための直流(DC)信号または交流(AC)信号を生成するように構成されている、本発明1004の装置。
[本発明1006]
触覚フィードバック回路が、直流(DC)信号を生成し、表面から突出するボタンを模倣するように構成されている、本発明1005の装置。
[本発明1007]
触覚フィードバック回路が、交流(AC)信号および揺れ効果を生成するように構成されている、本発明1005の装置。
[本発明1008]
カンチレバーアクチュエータがPVDFを含む、および/または、カンチレバーアクチュエータが、トランジスタからの圧電材料の遠位端に取り付けられた荷重を含む、本発明1001の装置。
[本発明1009]
トランジスタが、スタガード型ボトムゲート薄膜トランジスタ(TFT)、コープレーナー型ボトムゲートTFT、スタガード型トップゲートTFTおよびコープレーナー型トップゲートTFTの少なくとも一つを含む、本発明1001の装置。
[本発明1010]
トランジスタおよびカンチレバーが表示装置に組み込まれ、該表示装置が、モバイル装置、携帯電話、ラップトップ、タブレット、メディアプレーヤ、グローバルポジショニングシステム(GPS)装置および電子書籍リーダの少なくとも一つを含む電子装置の一部である、本発明1001の装置。
[本発明1011]
トランジスタが、
第一の半導体チャネル領域;
第二の半導体チャネル領域;
該第一の半導体チャネル領域および該第二の半導体チャネル領域の上の誘電体層;ならびに
該第一の半導体チャネル領域および該第二の半導体チャネル領域の上の圧電層
をさらに含み、
ゲート電極が該第一の半導体チャネル領域の上および該第二の半導体チャネル領域の上に延びる、本発明1001の装置。
[本発明1012]
第一の半導体チャネル領域がp型半導体を含み、第二の半導体チャネル領域がn型半導体を含む、本発明1011の装置。
[本発明1013]
第一の半導体チャネル領域に結合された第一のソース電極;
第二の半導体チャネル領域に結合された第二のソース電極;および
該第一の半導体チャネル領域に結合され、かつ該第二の半導体チャネル領域に結合されたドレイン電極
をさらに含む、本発明1012の装置。
[本発明1014]
圧電層内の圧電効果を計測するように構成されている、第一のソース電極およびドレイン電極に結合された第一のセンサ回路;ならびに
該圧電層内の焦電効果を計測するように構成されている、第二のソース電極および該ドレイン電極に結合された第二のセンサ回路
をさらに含む、本発明1013の装置。
[本発明1015]
触覚フィードバック装置のアレイを含む、触覚フィードバックをユーザに提供することができる電子装置であって、
該触覚フィードバック装置のアレイの少なくとも一つの触覚フィードバック装置が、
少なくともソース電極、ドレイン電極およびゲート電極を含むトランジスタ;ならびに
圧電材料を含むカンチレバーアクチュエータ
を含み、
該カンチレバーアクチュエータが、電気的に絶縁されているが、該トランジスタの該ゲート電極を介して該トランジスタに機械的に接続されかつ該トランジスタと一体化されており、
該カンチレバーアクチュエータが、該ソース電極、該ドレイン電極および該ゲート電極とは別の少なくとも二つの電極を含み、該少なくとも二つの電極が第一の電極および第二の電極を含み、
該少なくとも二つの電極が、該ソース電極、該ドレイン電極および該ゲート電極を介する該トランジスタのアクセスとは独立した、該カンチレバーアクチュエータの同時動作を可能にする、電子装置。
[本発明1016]
触覚フィードバック装置のアレイに結合されたプロセッサをさらに含み、該プロセッサが、該触覚フィードバック装置のアレイから信号を受けるように構成され、かつ、該受けた信号に基づいてユーザ入力を決定するように構成されている、または、該プロセッサが、ユーザに提供すべき触覚フィードバック感覚を決定するように構成され、かつ、該触覚フィードバック装置のアレイに提供されたとき該決定された触覚フィードバック感覚をユーザに受けさせる信号を生成するように構成されている、本発明1015の触覚フィードバック可能な装置。
[本発明1017]
表示装置をさらに含み、触覚フィードバック装置のアレイが該表示装置の上に配置されている、本発明1015の触覚フィードバック可能な装置。
[本発明1018]
電子装置へのユーザ入力を示す圧電膜の誘導電荷の変化をトランジスタを介して検出する工程であって、該圧電膜が、該トランジスタから電気的に絶縁されているが、機械的に該トランジスタに接続されている、工程;
該トランジスタに結合されたプロセッサにより、少なくとも部分的に該誘導電荷の変化に基づいて、センサに対して圧力があったかどうかを決定する工程であって、該誘導電荷の変化が、少なくとも部分的に、該圧電膜に結合されたトランジスタのしきい電圧に基づいて測定される、工程;
該プロセッサにより、少なくとも部分的に該センサにおいて測定された圧力に基づいて、該ユーザ入力を処理する工程;および
該プロセッサにより、少なくとも部分的に該受けたユーザ入力に基づいて、動作を実行する工程
を含む、方法。
[本発明1019]
信号をセンサの圧電膜に出力する工程をさらに含み、該信号が該センサのアクチュエータの動きを誘発し、該信号が、該アクチュエータを所定の距離だけ動かすように選択された直流(DC)信号を含む、または、信号を該センサの該圧電膜に出力する工程をさらに含み、該信号が、該アクチュエータに振動を誘発するように選択された交流(AC)信号を含む、本発明1018の方法。
[本発明1020]
誘導電荷の変化を検出する工程および信号を圧電膜に出力する工程が同時に実施される、本発明1018の方法。
前記は、以下に続く詳細な説明がより良く理解され得るように本発明の態様の特定の特徴および技術的利点をいくぶん広く概説した。本発明の特許請求の範囲の主題を形成するさらなる特徴および利点が以下に記載される。開示される概念および具体的な態様は、同じまたは類似の目的を実行するための他の構造を改変または設計するための基礎として容易に利用され得ることが当業者には理解されよう。また、特許請求の範囲に記されるような等価の構成が本発明の精神および範囲を逸脱しないことが当業者には理解されよう。以下の詳細な説明を添付図面と合わせて考察すると、さらなる特徴がより良く理解されよう。ただし、各図面は、例示および説明のために提供されるだけであり、本発明を限定することを意図したものではないことがはっきりと理解されなければならない。
【発明を実施するための形態】
【0023】
詳細な説明
図2は、本開示の一つの態様の、トランジスタとカンチレバーアクチュエータとを一体化した単体半導体部品を示す図である。単体半導体部品200は、カンチレバーアクチュエータ230およびトランジスタ210、たとえば薄膜トランジスタ(TFT)を含む。カンチレバーアクチュエータ230は、カンチレバーアクチュエータ230からトランジスタ210の中へと延びる圧電膜240を含み得る。特に、圧電膜240は、ゲート電極214と半導体チャネル218との間でトランジスタ210のゲート電極スタックの中へと延び得る。圧電膜240は概して不良導体であるため、カンチレバーアクチュエータ230は、トランジスタ210から電気的に絶縁されているが、機械的にトランジスタ210に取り付けられている。
【0024】
カンチレバーアクチュエータ230はまた、第一の導電層236、第二の導電層238、第一の導電層236に結合された第一の電極、および第二の導電層238に結合された第二の電極を含み得る。第一および第二の電極は構造要素と呼ばれるが、これらの電極は、第一の導電層236および第二の導電層238そのものであってもよい。または、ボンディングパッドのような、接点のためのさらなる構造が第一の導電層236および第二の導電層238に取り付けられてもよい。第一の導電層236は圧電膜240の一つの側に付着され得、第二の導電層238は圧電膜240の概ね反対側に付着され得る。第一および第二の導電膜236および238はそれぞれ第一の電極および第二の電極に結合されている。第一および第二の導電膜236および238は、信号を第一の電極および第二の電極に印加して、圧電層240に、たとえばたわみまたは振動による応答を生じさせ得るよう、トランジスタ210から電気的に絶縁され得る。一つの態様において、アクチュエータ230は、アクチュエータ230を基板202と固着するためのアンカー232および234を含み得る。
【0025】
カンチレバーアクチュエータ230は、カンチレバーアクチュエータ230の振動パラメータ、たとえば振幅および周波数を調節するための荷重242(または突起物)を有し得る。荷重242はまた、たとえば表示装置に組み込まれたとき、画面から突出する物理的ボタンとして働くようにも使用され得る。直流(DC)電圧が第一および第二の電極に印加されると、圧電膜240は、DC電圧の大きさに比例してたわむ。したがって、表示装置の表面から突出するボタンを模倣するDC信号を第一および第二の電極に印加し得、それが、皮膚への直接的なフィードバックをユーザに提供する。交流(AC)電圧が第一および第二の電極に印加されると、圧電膜240は、AC信号に対応する特定の振幅、位相および周波数で振動する。したがって、AC信号を印加して、局所区域、たとえば表示装置の一部分に「揺れ」効果を生じさせ得る。AC信号を変調させて振動パラメータを変化させることにより、様々な感覚を生じさせ得る。
【0026】
単体半導体部品200は、ガラス、ポリカーボネート、PMMA、PET、PEN、ポリイミドまたは任意の他の透明なポリマーもしくは透明な無機基材などの基板202の上に構築され得る。電極212、214、216、236および238は、導電性の透明なポリマー、たとえばPEDOT:PSS、透明な導電性酸化物、たとえばITO、AZO、F:SnO
2および亜鉛系酸化物、グラフェンおよびグラフェン様物質、金属系ナノワイヤおよび/またはナノ粒子、たとえば銀ナノワイヤ、銅ナノワイヤ、カーボンナノチューブおよび他の炭素系構造、金属メッシュまたはナノメッシュから構築され得る。電極212、214、216、236および238のそれぞれが異なる材料から構築されてもよいし、または電極212、214、216、236および238のいくつかが同じ材料から構築されてもよい。半導体218は、p型材料、たとえばSnO、Cu
2O、CuO、Ga:SnO
2から構築され得る。有機半導体、たとえばペンタセン、および/または他の小分子材料は、n型材料、たとえばZnO、IGZO、SnO
2、a-Si:H、亜鉛系材料、In
2O
3および/またはCdOから構築されてもよい。誘電体層220は、酸化物系誘電体、たとえばSiO
2、TiO
2、Al
2O
3、HfO
2、線状ポリマー誘電体、たとえばPMMAおよびSU-8、または他の絶縁材から構築され得る。圧電層240は、PVDFおよびそのコポリマー、たとえばPVDF-TrFEおよびPVDF-TrFE-CFE、パリレン、PDMS、ポリプロピレン、多孔電荷蓄積(voided charged)ポリマー、透明なナノ複合体、たとえばSU-8マトリックス中のZnO、または他の圧電材料から構築され得る。いくつかの態様において、圧電層240はまた、単体半導体部品200の使用が部品200の付近の温度の変化を検出すること可能にする焦電効果を示し得る。
【0027】
トランジスタ210は、誘電材料220と、カンチレバーアクチュエータ230から延びる圧電膜240とを含む二重層ゲート誘電体を含み得る。カンチレバーアクチュエータ230が、ひずみが加わらないその定常状態にあるとき、トランジスタ210は、第一のしきい電圧(V
T)を有し、平衡挙動を示す。特に、トランジスタ210は、平衡挙動中、複数回のスキャンが実行されるとき、トランジスタ210の挙動を表す伝達曲線が自らを再トレースするように、ヒステリシスを示さない。以下の式は、電圧がゲート電極214に印加されたときソース電極212からp型半導体チャネル218を通ってドレイン電極216に流れる電流を表す。
式中、I
DSはソース−ドレイン電流であり、μ
FEは電界効果移動度であり、C
OXはゲート誘電体静電容量であり、W/Lは半導体チャネル218の幅/長さの比であり、V
GSはゲート電圧であり、V
Tはしきい電圧であり、V
DSはソース−ドレイン電圧である。p型半導体チャネル218が記載されているが、半導体チャネル218はまたn型であってもよく、そのようなNMOSトランジスタ210の動作を表すための類似の式が導出されてもよい。この式を使用して、トランジスタ210のしきい電圧V
Tを決定し、以前の決定値および/またはルックアップ表と比較してしきい電圧V
Tの変化を測定し、圧力または力がカンチレバーアクチュエータ230に加えられたかどうかを決定し得る。
図2の単体半導体部品200は、このしきい電圧V
Tの測定を実行するため、および/または単体半導体部品200と共に他の動作、たとえばカンチレバーアクチュエータ230のたわみもしくは振動を生じさせる動作を実行するための回路に結合され得る。
【0028】
図3は、本開示の特定の態様の、
図2の単体半導体部品の動作を示すブロック図である。電子装置300は、
図2に示す一体型TFTトランジスタ210・カンチレバーアクチュエータ230であり得る単体半導体部品200を含み得る。単体半導体部品200は、他の回路と連通するためのいくつかの電極、たとえばドレイン電極212、ゲート電極214、ソース電極216、第一のカンチレバー電極および第二のカンチレバー電極を有し得る。交流(AC)電圧源312が第一のカンチレバー電極と第二のカンチレバー電極との間に結合され得る。AC電圧源312はスイッチ314によって電極から切断され得る。AC電圧源312は、たとえばユーザへの振動フィードバックを生成するための信号をカンチレバーアクチュエータ230に提供し得る。追加的または代替的に、直流(DC)電圧源316が第一のカンチレバー電極と第二のカンチレバー電極との間に結合され得る。DC電圧源316はスイッチ318によって電極から切断され得る。DC電圧源316は、たとえば表示装置上に物理的ボタンを生成する静的たわみを生成するための信号をカンチレバーアクチュエータ230に提供し得る。
【0029】
触覚フィードバックが、制御装置310により、単体半導体部品200によって提供され得る。制御装置310は、所望の効果を生じさせる信号を電圧源312および316によってカンチレバーアクチュエータ230に印加させる制御信号を生成するために電圧源312および316に結合され得る。所望の効果は、制御装置310に結合されたプロセッサ330によって決定され得る。プロセッサ330は、メモリ340に記憶されたオペレーティングシステム342および/またはアプリケーション340を実行し得、そのオペレーティングシステム342およびアプリケーション340は、触覚フィードバックを提供することによってユーザと対話するコードを含み得る。たとえば、アプリケーション340は、オペレーティングシステム342へのアプリケーションプログラミングインタフェース(API)を介して、プロセッサ330に対し、表示装置(図示せず)上にボタンを生成するよう命令し得る。表示装置は、一体型トランジスタ・カンチレバー200のような単体半導体部品のアレイを含み得る。そして、プロセッサ330は、制御装置310に対し、前記部品のアレイ内の特定の位置で静的たわみを生成するよう命令し得る。そして、制御装置310は、部品200が所望のボタンの境界内であることを判定し、DC電圧源316に対し、部品200のカンチレバーアクチュエータのたわみを生じさせるよう命令し得る。別個の制御装置310およびプロセッサ330が記載されているが、制御装置310またはプロセッサ330に割り当てられた機能は代替的に他の回路に割り当てられてもよい。たとえば、制御装置310によって実行される機能がプロセッサ330内に組み込まれてもよい。制御装置310はまた、ユーザに提供すべき所望の触覚フィードバックに依存して、電圧源312および316を結合するまたは切断するようにスイッチ314および318を制御し得る。
【0030】
単体半導体部品200はまた、センサ回路320を介して圧力、力および/または他の量を検知するために使用されてもよい。センサ320は、ドレイン電極212、ゲート電極214およびソース電極216の一つまたは複数に結合され得る。センサ320は、たとえば部品200のトランジスタ210のしきい電圧V
Tの計測などの動作を実行し得る。しきい電圧V
Tの計測または他の計測中、センサ320は、様々な電圧V
Gをゲート電極214に印加し、ドレイン電極212およびソース電極216を通る電流I
DSを計測し得る。センサ320は計測値をプロセッサ330に報告し得、プロセッサ330は、加えられた力の量、加えられた圧力の量または他の量を測定するためのさらなる計算を実行し得る。プロセッサ330によって実行されるさらなる計算は、たとえば、電子装置へのユーザ入力、たとえばユーザがタッチスクリーン上のどこに触れたかを決定すること、またはユーザによってタッチスクリーンに入力されたジェスチャーを決定することを含み得る。プロセッサ330はこのユーザ入力をオペレーティングシステム342および/またはアプリケーション340に報告し得る。そして、オペレーティングシステム342および/またはアプリケーション340は、ユーザ入力に応答して適切な動作を起こし得る。別個のセンサ320およびプロセッサ330が記載されているが、センサ320またはプロセッサ330に割り当てられた機能は代替的に他の回路に割り当てられてもよい。たとえば、センサ320によって実行される機能がプロセッサ330内に組み込まれてもよい。
【0031】
図2に示すような一つまたは複数の単体半導体部品が
図3に示すような支援回路とともに電子装置に組み込まれて入出力機能を提供し得る。たとえば、ユーザ入力が
図2の単体半導体部品200のトランジスタ210を介して受けられ得、触覚フィードバックがカンチレバーアクチュエータ230を介して提供され得る。
図4A〜4Cは、本開示の特定の態様の、トランジスタとカンチレバーアクチュエータとを一体化した一つまたは複数の単体半導体部品を組み込んだ電子装置の図である。
【0032】
図4Aは、
図2に示す一体型センサ・カンチレバーアクチュエータのような単体半導体部品404のアレイを組み込んだ表示装置402を含むスマートフォン400を示す。スマートフォン400が構築されるとき、部品404は、表示装置、たとえば液晶表示装置(LCD)の上に置かれ得る。さらなる部品および/または保護層が部品404の上に付着されてもよい。部品404は、局所的な触覚フィードバックを表示装置402上に伝達する、および/またはユーザが表示装置402上のどこに触れたのかに関するユーザ入力を受けるために使用され得る。
【0033】
図4Bは、
図2に示す一体型センサ・カンチレバーアクチュエータのような部品412の一つまたは複数を含む手袋410を示す。部品412は、手袋410上の様々な位置、たとえば手袋410の指先に配置され得る。部品412は、手袋410に組み込まれたプロセッサおよび他の回路に結合され得る。または、手袋410は、部品412からの信号を処理し、部品412のための制御信号を生成する、コンピュータまたはスマートフォンのような装置への有線または無線接続を介して通信し得る。手袋410は、ユーザの手の特定の指または特定の部位で触覚フィードバックをユーザに提供し得る。手袋410はまた、ユーザが手を動かす、または手袋410の中で指をくねらせるとき、ユーザ入力を受けてもよい。
【0034】
図4Cは、
図2に示す一体型センサ・カンチレバーアクチュエータのような一つまたは複数の部品422を含むパッチ420を示す。パッチ420は、ヘルスケア用途のために人の皮膚に貼り付けることを意図した小さな基板として製造され得る。部品422は、パッチ420に組み込まれたプロセッサおよび他の回路に結合され得る。または、パッチ420は、部品422からの信号を処理し、部品422のための制御信号を生成する、コンピュータまたはスマートフォンのような装置への有線または無線接続を介して通信し得る。
【0035】
ユーザ入力は、
図2に示すような単体半導体部品200を介して、
図5の流れ図に示すように部品から得られる情報を処理することによって受けられ得る。
図5は、本開示の一つの態様の、トランジスタとカンチレバーアクチュエータとを一体化した単体半導体部品を介してユーザ入力を受ける方法を示す流れ図である。方法500は、ブロック502で、圧電カンチレバーと一体化したトランジスタのしきい電圧V
Tの変化を検出することから始まる。しきい電圧V
Tの変化は、圧電カンチレバーに対する力、圧力または別の効果によって生じるトランジスタのゲート電極における誘導電荷によるものであり得る。ブロック502の工程は、トランジスタのしきい電圧V
Tを計測することを含み得る。次いで、ブロック504で、しきい電圧V
Tの変化から、圧力がカンチレバーアクチュエータに加えられたかどうかを決定することができる。
【0036】
ブロック502および504で、しきい電圧V
Tの変化があったと決定し、加えられた圧力を計算したのち、ブロック506でユーザ入力を処理し得る。ブロック506の工程は、たとえば、ユーザがタッチスクリーン上のどこに圧力を加えたかを決定することを含み得る。ブロック506の工程はまた、タッチスクリーンの一部分に加えられた圧力をトレースして、タッチスクリーン上で実施されたジェスチャー、たとえばタッチスクリーン上に表示されたテキストの一部分を円で囲むジェスチャーまたはタッチスクリーン上に表示されたテキストの一部分を強調表示するジェスチャーを決定することを含み得る。ブロック508で、ブロック506で処理されたユーザ入力に基づいて電子装置上で動作を実行する。たとえば、ブロック506で処理されたユーザ入力円がアプリケーションに提供され、そのアプリケーションが、円で囲まれたテキストに対して強調表示または他のテキストフォーマッティングを適用してもよい。
【0037】
次いで、ブロック510で、ブロック506のユーザ入力またはブロック508で実行された動作に基づいて触覚フィードバックをユーザに提供し得る。触覚フィードバックは、ブロック502でしきい電圧V
T変化を検出したものと同じ一体型圧電カンチレバー・トランジスタを介して提供され得る。一つの態様において、フィードバックは、ブロック502でしきい電圧V
Tの変化を経験したものと同じトランジスタを介してユーザに提供され得る。たとえば、ユーザの注意を新たに強調表示されたテキストに向けさせるために、表示画面が、強調表示されたテキストの近くで0.5秒または1秒の短期間だけ振動してもよい。別の例においては、ユーザのテキスト選択を「OK」または「キャンセル」ボタンで確認するためのダイアログボックスがポップアップしてもよい。「OK」および「キャンセル」ボタンは、表示画面上で「OK」および「キャンセル」ボタンが示される場所の特定のカンチレバーアクチュエータにDC電圧を印加することにより、表示画面の表面から突出させ得る。ダイアログボックスの位置は、ユーザがテキストを強調表示した場所の近くであってもよい。
【0038】
再び
図5の工程502に戻ると、トランジスタのしきい電圧V
Tは、トランジスタの計測可能な電気特性である。
図6は、本開示の特定の態様の、カンチレバーアクチュエータと一体化したトランジスタの電気特性を示すグラフである。グラフ600は、変化するゲート−ソース電圧V
GSに対するトランジスタ、たとえば
図2に示すトランジスタ210の応答を示す線602を示す。概して、V
GSの大きさが固定ドレイン−ソース電圧V
DSのもとで増大するとき、対数y軸上に示される、トランジスタを通過する電流I
DSは増大する。トランジスタのしきい電圧V
Tの計算がグラフ610に示されている。グラフ610の線612は、線形目盛上で変化するゲート−ソース電圧V
GSに対して、トランジスタを通過する電流I
DSを示す。線612の線形領域の傾きからy=mx+bの形の線614を引き得る。線614とx軸との交差点がトランジスタのしきい電圧V
Tを示す。グラフ610の線612で計測されるトランジスタの場合、しきい電圧V
Tは約1ボルトである。しきい電圧V
Tは、導電チャネル(または、誘電体/半導体界面の近くの蓄積層)がソース電極とドレイン電極とを接続し始めたときのゲート−ソース電圧V
GSの値として定義され得る。しきい電圧V
Tは、ゲート−半導体の仕事関数の差、半導体バックグラウンドキャリヤ濃度ならびに誘電体、半導体および誘電体/半導体界面中に捕らえられた電荷の密度に起因して、理想値(約0V)を逸脱する。
【0039】
トランジスタと一体化したカンチレバーアクチュエータに加えられる力によって生じるような、ゲートスタック中の誘導電荷によるトランジスタのしきい電圧V
Tの変化は、
図6に示すようなグラフに類似したグラフに示すことができる。カンチレバー部品中の力、圧力、たわみまたは振動によって生じるようなひずみの存在下では、圧電膜中には、それ自体の圧電性により、以下の式で表されるような電荷が誘導される。
式中、Dは電気変位であり、Tは機械的応力であり、Eは電界であり、d
33は圧電定数であり、ε
33は誘電率である。そして、電圧は、加えられた機械的応力の関数として、以下のように推定することができる。
式中、sは厚さであり、εは圧電材料の比誘電率であり、ε
0は真空の誘電率である。
【0040】
これらの式は、電気変位、すなわち電荷が、電界および加えられた力Fもしくは応力Tによって制御され得ることを示す。応力に比例する誘導電荷は、トランジスタのゲート誘電体静電容量(C
OX)を変化させ、それが、トランジスタの伝達特性を変える。そして、ゲート静電容量の変化はしきい電圧V
Tの変化に変換され、それが、
図3を参照して説明したような適切な回路によって検出可能である。さらには、圧電膜中の誘導電荷はひずみに比例するため、しきい電圧V
Tの変化はひずみに正比例し得る。この所与の構成の場合、正または負いずれかの方向へのしきい電圧V
Tの変化は、ユーザによるタッチのような応力の存在を示し得、変化の大きさが、カンチレバーアクチュエータに加えられた力の量を検知する。圧力は、一定面積中に存在する力として計算することができるため、スマートフォンのタッチスクリーンの領域のような領域上のセンサのアレイを用いて圧力を検知することもできる。電子装置に組み込まれる1平方センチメートルあたりのアクチュエータの数を調節して所望の分解能を得ることができる。さらに、しきい電圧V
Tの変化の振幅および周波数を特定することによって振動を検出することができる。
【0041】
図7は、本開示の一つの態様の、カンチレバーアクチュエータに加えられる力に基づく、カンチレバーアクチュエータと一体化したトランジスタのしきい電圧の変化を示すグラフである。グラフ700中、応力を加えられたカンチレバーアクチュエータを有するトランジスタの伝達特性が線704に示され、一方で、応力を加えられないカンチレバーアクチュエータを有するトランジスタが線602に示されている。グラフ710中、グラフ700に示す二つのトランジスタのしきい電圧V
Tが計算されている。線612からの第一のトランジスタのしきい電圧V
Tは、約1ボルトでの切片722として計算することができる。線714からの第二のトランジスタのしきい電圧V
Tは、線718を引き、x軸上、約1.75ボルトでの切片を見いだすことによって計算することができる。再び
図5を参照すると、約0.75ボルトのしきい電圧のこの変化は、トランジスタとカンチレバーアクチュエータとを一体化した単体半導体部品を介して受けられるユーザ入力に基づいて電子装置を制御するために、方法500の工程502で決定され得、さらに工程504、506および508で処理され得る。
【0042】
単体半導体部品中のしきい電圧V
Tのこの検出された変化は、
図8に示すように、カンチレバーアクチュエータに加えられた力に比例し得る。
図8は、本開示の一つの態様の、カンチレバーアクチュエータと一体化したトランジスタのしきい電圧の変化に基づく、カンチレバーアクチュエータに加えられた測定された力を示すグラフである。グラフ800は、カンチレバーアクチュエータと一体化したトランジスタに関して、カンチレバーに加えられる力と計測されるしきい電圧V
Tとの関係を示す線802を示す。線802は、加えられる力としきい電圧V
Tの変化との間で概ね線形の関係を示す。再び
図5を参照すると、カンチレバーに加えられた圧力は、ブロック504で、一つの態様においては、
図3のプロセッサ330のようなプロセッサにプログラムされた公知のアルゴリズムまたは式によって測定され得る。別の態様においては、プロセッサ330が検出されたしきい電圧V
T変化を加えられた力の値に変換することができるようなルックアップ表が
図3のメモリ340に記憶されてもよい。さらに別の態様において、アルゴリズム、式またはルックアップ表は校正調節を含み得る。たとえば、ユーザがはじめに電子装置をセットアップするとき、ユーザは、様々な強さでカンチレバーアクチュエータを押すことを求められ得、ユーザが校正入力を提供するときプロセッサ330が計測を実行し得る。そのような校正プロセスは、電子装置が、様々なユーザによって加えられるであろう様々な圧力に適合することを可能にし得る。校正プロセスはまた、電子装置が、一体型トランジスタ・カンチレバーアクチュエータにおけるわずかな製造ばらつきに対して適合することを可能にし得る。
【0043】
図2に示す単体半導体部品によってユーザ入力を受け、処理することが上述されているが、単体半導体部品はまた、ユーザにフィードバックを提供するためにも使用され得る。
図9は、本開示の一つの態様の、トランジスタとカンチレバーアクチュエータとを一体化した単体半導体部品を介して触覚フィードバックをユーザに提供する方法を示す流れ図である。方法900は、ブロック902で、一体型トランジスタ・圧電カンチレバーを介してユーザに提供すべき触覚フィードバックの指示を受けることから始まる。たとえば、
図3を参照すると、プロセッサ330は、スマートフォンの表示装置上でボタンを模倣するための命令をアプリケーション340から受け得る。ブロック904で、フィードバックを、誘発振動によって提供するべきか、またはカンチレバーアクチュエータの静的たわみによって提供するべきかを決定する。
【0044】
フィードバックが静的たわみによって提供されるならば、方法900は、ブロック906に進み、直流(DC)信号を、トランジスタと一体化した圧電カンチレバーに印加する。DC信号は、たとえば、
図2のカンチレバーアクチュエータ210に結合された二つの電極を介して印加され得る。フィードバックが誘発振動によって提供されるならば、方法900は、ブロック908に進み、交流(AC)信号を、トランジスタと一体化した圧電カンチレバーに印加する。AC信号は同様に、
図2のカンチレバーアクチュエータ210に結合された電極に印加されてもよい。一つの態様において、フィードバックは静的たわみおよび誘発振動の両方を含んでもよい。この態様において、圧電カンチレバーに印加されるAC信号は、静的たわみを誘発振動とともに生じさせる効果を有する、ゼロではないDCバイアスを有し得る。
【0045】
ブロック906またはブロック908でフィードバックが提供されたのち、方法900はブロック910に進み得る。ブロック910で、圧電カンチレバーと一体化したトランジスタを介してユーザ入力を受け得る。たとえば、カンチレバーアクチュエータによってスマートフォンの表示装置上に物理的ボタンが提示されたとき、そのボタンを押すユーザ入力が、カンチレバーアクチュエータに結合されたトランジスタを介して検出され得る。この例において、このユーザ入力は、ユーザへの触覚フィードバックの提供と同時に受けられ得る。したがって、ユーザ入力は、フィードバックに直接的に応答して受けられ得る。
【0046】
特定のトランジスタ構造が
図2に示され、上記で説明されているが、
図2の単体半導体部品200のトランジスタは特定のトランジスタ構成に限定されない。他のトランジスタ構成がカンチレバーアクチュエータと一体化されてもよい。たとえば、
図10A〜Dは、本開示の特定の態様の、トランジスタとカンチレバーアクチュエータとを一体化した単体半導体部品のトランジスタの様々な構成の図である。
図10Aは、本開示の一つの態様の、
図2の単体半導体部品200に組み込まれ得るボトムゲートスタガード型TFT構造を示す。
図10Bは、本開示の一つの態様の、
図2の単体半導体部品200に組み込まれ得るボトムゲートコープレーナー型TFT構造を示す。
図10Cは、本開示の一つの態様の、
図2の単体半導体部品200に組み込まれ得るトップゲートスタガード型TFT構造を示す。
図10Dは、本開示の一つの態様の、
図2の単体半導体部品200に組み込まれ得るトップゲートコープレーナー型TFT構造を示す。
【0047】
加えて、カンチレバーアクチュエータとともに
図2の単体半導体部品200に組み込まれた一つのトランジスタが示されているが、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)構成におけるように複数のトランジスタが圧電材料またはカンチレバーアクチュエータと一体化されてもよい。
図11は、本開示の一つの態様の、トランジスタとカンチレバーアクチュエータとを一体化した単体半導体部品の相補型金属酸化膜半導体(CMOS)様構成を示す図である。単体半導体部品1100は、トランジスタと一体化した圧電層1116を含み得る。トランジスタはn型半導体チャネル1112およびp型半導体チャネル1114を含み得る。部品1100との連通は、第一のソース電極1102、第二のソース電極1104、共通ゲート電極1106および共通ドレイン電極1108を介し得る。
図2のカンチレバーアクチュエータ230と同様に、カンチレバーアクチュエータ(図示せず)が共通ゲート電極1106から延び得る。
【0048】
部品1100のCMOS様構成に二つの半導体、n型1112およびp型1114が使用される場合、接触、力、圧力および/または振動などの圧電効果を温度などの焦電効果とともに検出することができる。圧電効果による誘導電荷がp型半導体1114中でしきい電圧V
Tの変化を生じさせるならば、n型半導体1112中で焦電効果を検出することができる。検出はまた、焦電効果がp型半導体1114を介して検出され、圧電効果がn型半導体1112を介して検出されるように起こることもできる。
【0049】
図2に示す単体半導体部品および上記単体半導体部品のその他の構成は、従来の薄膜加工技術の新規な組み合わせによって製造し得る。一つの態様においては、トップゲート構造を硬いガラス基板上に作製し得る。透明なp型一酸化スズ(SnO)半導体能動層をDC反応性マグネトロンスパッタリングによって付着させ得る。そして、ソース電極およびドレイン電極をチタンソースおよび金ソースから電子ビーム蒸着させ得る。次に、ソースおよびドレインの付着ののち、付着したスタックをアニーリングしてSnO能動層を結晶化させ得る。次いで、P(VDF-TrFE-CFE)コポリマー圧電材料粉末をジメチルホルムアミド(DMF)に溶解して溶液を得、その溶液を濾過し、SnO膜上にスピンし、その後、ポリマーをソフトベークする。次いで、膜をアニーリングして結晶度を改善し得る。次に、アルミニウムトップゲート電極を熱蒸着させてスタックを完成させ得る。装置の層は、従来のフォトリソグラフィー技術およびリフトオフプロセスによってパターニングされ得る。
【0050】
一つの特定の製造方法しか記載されないが、他にも多くの製造法を使用して、一体型トランジスタ・カンチレバーを有する同じまたは類似の構成の単体半導体部品を得ることができる。たとえば、記載された方法は、チタン、金およびアルミニウムをはじめとする不透明な電極を使用したが、酸化インジウムスズ(ITO)、アルミニウムドープされた酸化亜鉛(AZO)、グラフェン、銀ナノワイヤ、または任意の他の無機もしくは有機の利用可能な透明な電極などの透明な電極を代わりに該方法に用いてもよい。
【0051】
図5および
図9の流れ図に関して上述したような機能は、ファームウェアおよび/またはソフトウェアとして具現化されるならば、一つまたは複数の命令またはコードとしてコンピュータ読み取り可能な媒体に記憶され得る。例は、データ構造でコード化された非一過性のコンピュータ読み取り可能な媒体およびコンピュータプログラムでコード化されたコンピュータ読み取り可能な媒体を含む。コンピュータ読み取り可能な媒体は物理的コンピュータ記憶媒体を含む。記憶媒体は、コンピュータによってアクセスすることができる任意の利用可能な媒体であり得る。例として、非限定的に、そのようなコンピュータ読み取り可能な媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、電気的消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)もしくは他の光学ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置もしくは他の磁気記憶装置、または所望のプログラムコードを命令またはデータ構造の形態で記憶するために使用することができ、コンピュータによってアクセスすることができる任意の他の媒体を含むことができる。ディスク(disk)およびディスク(disc)は、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク、光ディスク、デジタル多目的ディスク(DVD)、フロッピーディスクおよびブルーレイ・ディスクを含む。概して、ディスク(disk)はデータを磁気的に再生し、ディスク(disc)はデータを光学的に再生する。上記の組み合わせもまた、コンピュータ読み取り可能な媒体の範囲に含まれるべきである。
【0052】
コンピュータ読み取り可能な媒体上の記憶に加えて、命令および/またはデータは、通信装置に含まれる伝送媒体上で信号として提供され得る。たとえば、通信装置が、命令およびデータを示す信号を有するトランシーバを含んでもよい。命令およびデータは、一つまたは複数のプロセッサをして、特許請求の範囲に概説される機能を具現化させるように構成されている。
【0053】
本開示および特定の代表的な利点が詳細に説明されたが、特許請求の範囲に定義される開示の精神および範囲を逸脱することなく、様々な変形、置換および変更を加えることができることが理解されよう。さらに、本出願の範囲は、本明細書に記載されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法および工程の特定の態様に限定されることを意図しない。当業者は、本開示から、本明細書に記載される対応する態様と実質的に同じ機能を果たす、または実質的に同じ結果を達成する、現存するまたは今後開発されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法または工程を利用し得ることを容易に理解するであろう。したがって、特許請求の範囲は、そのようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法または工程をその範囲内に含むことを意図する。