特許第6276987号(P6276987)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6276987
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】トロカール
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20180129BHJP
   A61B 17/34 20060101ALI20180129BHJP
【FI】
   A61F9/007 130E
   A61F9/007 130J
   A61B17/34
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-269571(P2013-269571)
(22)【出願日】2013年12月26日
(65)【公開番号】特開2015-123220(P2015-123220A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2016年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001454
【氏名又は名称】株式会社貝印刃物開発センター
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 和幸
【審査官】 宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/104060(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/024816(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/007
A61B 17/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入管の基端部に管入口部を有するとともに、挿入管の先端部に管出口部を有し、その管出口部を管入口部に対し連通したトロカールにおいて、
その管出口部で挿入管の先端部には切開刃を管出口部と一体成形するとともに管出口部を切開刃側へ開放し、
この切開刃は、その管出口部から連続する切欠部と、その切欠部から連続する板状の刃部とを備え、
この切開刃の刃部は、患部への挿入時に患部を切開し始めるように点状に尖った先端刃縁部と、その先端刃縁部を通って挿入管の管入口部と管出口部とを結ぶ挿入管の中心線の周りでその先端刃縁部から40〜90度の交差角度及び20〜45度の刃付角度で管出口部側へ向けて連続して延びる両側刃縁部と、両側刃縁部間で管出口部の内周面に連続する内面と、両側刃縁部間で管出口部の外周面に連続する外面とを有し、
管入口部と管出口部とを結ぶ挿入管の長手方向に対し直交する挿入管の幅方向で、管出口部の内周面を含む境界面に対し内側となる内側領域と外側となる外側領域とに区画した際に、この刃部の両側刃縁部はこの外側領域に位置する最外側刃縁部を有し、
前記切開刃の切欠部は管出口部と両側刃縁部との間で挿入管の中心線に対し20〜45度の傾斜角度で傾斜した傾斜面を有し、この傾斜面は管出口部から連続して挿入管の幅方向における幅方向間隔が刃部の両側刃縁部に向かうに従い次第に大きくなるように延設され、
前記刃部の両側刃縁部は、前記切欠部の傾斜面から連続するとともに、挿入管の中心線に対し挿入管の幅方向へ離間し、その両側刃縁部間の幅方向間隔が刃部の先端刃縁部から挿入管の管出口部側に向かうに従い次第に大きくなるように延設され、
前記切開刃の刃部において、先端刃縁部及び両側刃縁部は前記管出口部の内周面を含む境界面または前記外側領域に配設され、両側刃縁部は挿入管の中心線の幅方向両側で線対称形状をなして先端刃縁部で互いに交差して点状に集束し、挿入管の幅方向で挿入管の中心線に対する最外側刃縁部の幅方向距離Aはその中心線に対する管出口部の外周面の幅方向距離C以上1.5C以下に設定され、
前記切開刃を患部に挿入して切開創を設けるとともにその切開刃を患部に残したままその切開創から挿入管を患部に挿着し得る
ことを特徴とするトロカール。
【請求項2】
前記切開刃において刃部は挿入管の中心線に沿って延設されていることを特徴とする請求項1に記載のトロカール。
【請求項3】
前記切開刃において刃部は切開刃の傾斜面に沿って延設されていることを特徴とする請求項1に記載のトロカール。
【請求項4】
前記挿入管の管入口部にはホルダが着脱可能に連結されていることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一つの請求項に記載のトロカール。
【請求項5】
前記患部は眼球であることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一つの請求項に記載のトロカール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼球などの患部に設けた切開創から治療器具を患部に挿入する際に治療器具を案内して切開創の損傷を防止するために、切開創に挿着されるトロカールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、眼球にカニューラ(挿入管)を挿着する方法の一つとして、2ステップ法が採用されている。その2ステップ法においては、切開具とカニューラを備えたトロカールを別々に用意し、その切開具の切開刃により予め眼球に切開創を設けた後、その切開具をトロカールに持ち替え、トロカールを切開創から眼球に挿入し、トロカールの内針を引き抜くことでカニューラを眼球に挿着している。そのため、切開具の切開刃をカニューラに対し挿入したり抜いたりする必要がなく、切開刃の幅寸法をカニューラの外径よりも少し大きく設定することで、切開創の切開寸法をカニューラの外径よりも少し大きく設定することができ、トロカールを眼球に挿入する際、切開創がトロカールにより広げられて引き裂かれるなどの損傷を受けにくくなり、切開創が治癒し易い。しかし、眼球に対し切開具とトロカールをそれぞれ別々に操作する必要があり、挿着操作が面倒であった。
【0003】
また、従来、例えば下記の特許文献1に示すような1ステップ法によるトロカールを用いたカニューラ(挿入管)の挿着方法も採用されている。この1ステップ法においては、カニューラに対しその基端部側から先端部側に向けて予め切開具を挿入してその切開具の切開刃をカニューラの先端部から突出させたトロカールを用意し、そのトロカールを眼球に挿入する際、まず切開刃により切開創が設けられ、それに引き続いてカニューラがその切開創から眼球に挿入される。その後、切開刃をカニューラから引き抜くことでカニューラを眼球に挿着している。そのため、眼球に対する切開刃とカニューラの挿入を一度の連続的操作で行うことができ、前記2ステップ法と比較して、トロカールの挿入操作が容易になる。しかし、切開具の切開刃をカニューラに対し挿入したり抜いたりする必要があるため、その切開刃の幅寸法をカニューラの内径と同じかそれよりも小さく設定しなければならず、前記2ステップ法と比較して、切開創の切開寸法がカニューラの内径と同じかそれよりも小さくなり、トロカールを眼球に挿入する際、その挿入抵抗が大きくなったり切開創が広げられてその両端が引き裂かれるなどの損傷を受け易くなり、切開創が治癒にしくい場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−45604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の2ステップ法及び1ステップ法は、前述したように、操作性や切開創寸法において相反する長所及び短所を有している。
この発明は、1ステップ法における操作性に関する長所と同様にトロカールの挿着操作を容易にすることを第一の目的とし、また、2ステップ法における切開創寸法に関する長所と同様に挿入管の挿着時における切開創の損傷を防止することを第二の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
後記実施形態(図1〜4及び図8(a)に示す第一実施形態、図5〜7及び図8(b)に示す第二実施形態)の図面の符号を援用して本発明を説明する。
請求項1の発明にかかるトロカール(1)は、下記のように構成されている。
挿入管(2)の基端部に管入口部(8a)を有するとともに、挿入管(2)の先端部に管出口部(10)を有し、その管出口部(10)を管入口部(8a)に対し連通し、その管出口部(10)で挿入管(2)の先端部には切開刃(11)を管出口部(10)と一体成形するとともに管出口部(10)を切開刃(11)側へ開放している。この切開刃(11)は、その管出口部(10)から連続する切欠部(13)と、その切欠部(13)から連続する板状の刃部(18)とを備えている。
この切開刃(11)の刃部(18)は、患部(25)への挿入時に患部(25)を切開し始めるように点状に尖った先端刃縁部(21)と、その先端刃縁部(21)を通って挿入管(2)の管入口部(8a)と管出口部(10)とを結ぶ挿入管(2)の中心線(7a)の周りでその先端刃縁部(21)から40〜90度の交差角度(θ)及び20〜45度の刃付角度(α)で管出口部(10)側へ向けて連続して延びる両側刃縁部(22)と、両側刃縁部(22)間で管出口部(10)の内周面(19)に連続する内面(23)と、両側刃縁部(22)間で管出口部(10)の外周面(20)に連続する外面(24)とを有している。管入口部(8a)と管出口部(10)とを結ぶ挿入管(2)の長手方向に対し直交する挿入管(2)の幅方向で、管出口部(10)の内周面(19)を含む境界面(19a)に対し内側となる内側領域(P)と外側となる外側領域(Q)とに区画した際に、この刃部(18)の両側刃縁部(22)はこの外側領域(Q)に位置する最外側刃縁部(22a)を有している。
前記切開刃(11)の切欠部(13)は管出口部(10)と両側刃縁部(22)との間で挿入管(2)の中心線(7a)に対し20〜45度の傾斜角度(β)で傾斜した傾斜面(13a)を有している。この傾斜面(13a)は管出口部(10)から連続して挿入管(2)の幅方向における幅方向間隔が刃部(18)の両側刃縁部(22)に向かうに従い次第に大きくなるように延設されている。前記刃部(18)の両側刃縁部(22)は、前記切欠部(13)の傾斜面(13a)から連続するとともに、挿入管(2)の中心線(7a)に対し挿入管(2)の幅方向へ離間し、その両側刃縁部(22)間の幅方向間隔が刃部(18)の先端刃縁部(21)から挿入管(2)の管出口部(10)側に向かうに従い次第に大きくなるように延設されている。
前記切開刃(11)の刃部(18)において、先端刃縁部(21)及び両側刃縁部(22)は前記管出口部(10)の内周面(19)を含む境界面(19a)または前記外側領域(Q)に配設され、両側刃縁部(22)は挿入管(2)の中心線(7a)の幅方向両側で線対称形状をなして先端刃縁部(21)で互いに交差して点状に集束し、挿入管(2)の幅方向で挿入管(2)の中心線(7a)に対する最外側刃縁部(22a)の幅方向距離Aはその中心線(7a)に対する管出口部(10)の外周面(20)の幅方向距離C以上1.5C以下に設定されている。
前記切開刃(11)を患部(25)に挿入して切開創を設けるとともにその切開刃(11)を患部(25)に残したままその切開創から挿入管(2)を患部(25)に挿着し得る。
【0010】
請求項1の発明は下記(イ)〜(レ)の特徴を有している。
(イ) 挿入管(2)の管出口部(10)に切開刃(11)を設けるとともに管出口部(10)を切開刃(11)側へ開放したので、切開刃(11)を患部(25)に挿入して切開創を設ける際に、切開刃(11)を患部(25)に残したまま切開創から挿入管(2)を患部(25)に挿着し得る。従って、切開刃(11)の挿入と挿入管(2)の挿着とを連続的に行うことができ、トロカール(1)の挿着操作が容易になる。また、挿入管(2)の管出口部(10)に切開刃(11)を設けたまま、治療器具(26)を挿入管(2)に管入口部(8a)から挿入して管出口部(10)から突出させることができる。患部(25)に対する挿入管(2)の挿着後には、切開刃(11)を挿入管(2)から抜く必要がないので、トロカール(1)の挿着操作が容易になる。
【0011】
(ロ) 挿入管(2)の管出口部(10)で切開刃(11)の最外側刃縁部(22a)が外側領域(Q)に位置している。従って、切開刃(11)の幅寸法を挿入管(2)の内周面(19)の幅方向間隔より大きく設定することが可能となって切開創の切開寸法も大きくなり、挿入管(2)を切開創から患部(25)に挿着する際に切開創が挿入管(2)により損傷しにくくなって治癒し易い。
【0013】
(ハ) 切開刃(11)において、挿入管(2)の幅方向で、挿入管(2)の中心線(7a)に対する最外側刃縁部(22a)の幅方向距離Aは、その中心線(7a)に対する管出口部(10)の外周面(20)の幅方向距離C以上1.5C以下に設定されている。従って、切開刃(11)の幅寸法を挿入管(2)の外周面(20)の幅方向間隔より大きく設定することが可能となって切開創の切開寸法も大きくなり、挿入管(2)を切開創から患部(25)に挿着する際に切開創が挿入管(2)により損傷しにくくなって治癒し易い。
【0014】
(ニ) 前記切開刃(11)の先端刃縁部(21)及び両側刃縁部(22)は前記外側領域(Q)に位置している。従って、挿入管(2)の管出口部(10)に切開刃(11)を設けたままでも、その先端刃縁部(21)及び両側刃縁部(22)が挿入管(2)の内周面(19)の内側に位置せずに邪魔にならず、治療器具(26)を挿入管(2)に管入口部(8a)から挿入して管出口部(10)から突出させることができるように、管出口部(10)を切開刃(11)側へ開放することができる。
【0015】
(ホ) 前記切開刃(11)の先端刃縁部(21)及び両側刃縁部(22)は前記管出口部(10)の内周面(19)を含む境界面(19a)に位置している。従って、挿入管(2)の管出口部(10)に切開刃(11)を設けたままでも、その先端刃縁部(21)及び両側刃縁部(22)が挿入管(2)の内周面(19)の内側に位置せずに邪魔にならず、治療器具(26)を挿入管(2)に管入口部(8a)から挿入して管出口部(10)から突出させることができるように、管出口部(10)を切開刃(11)側へ開放することができる。
【0017】
(ヘ) 前記切開刃(11)は、前記管出口部(10)と両側刃縁部(22)との間で、挿入管(2)の中心線(7a)に対し20〜45度の傾斜角度(β)で傾斜した傾斜面(13a)を有している。従って、傾斜面(13a)で切開創を案内して挿入管(2)を患部(25)に容易に挿着することができる。
【0018】
(ト) 前記管入口部(8a)と管出口部(10)とを結ぶ挿入管(2)の長手方向に対し直交する挿入管(2)の幅方向において傾斜面(13a)の幅方向間隔が切開刃(11)の両側刃縁部(22)に向かうに従い次第に大きくなるように、傾斜面(13a)が延設されている。従って、切開刃(11)の両側刃縁部(22)を傾斜面(13a)から円滑に延設させることができる。
【0019】
(チ) 前記切開刃(11)は前記管出口部(10)と一体成形されている。従って、切開刃(11)を管出口部(10)に対し容易に設けることができる。
【0020】
(リ) 切開刃(11)において、先端刃縁部(21)と両側刃縁部(22)とを有する刃部(18)は板状に成形されている。その場合、切開刃(11)を平坦な板状に成形することで刃部(18)により患部(25)に直線状の切開創を設けることができる。従って、切開刃(11)を管出口部(10)に対し容易に設けることができる。
【0022】
(ヌ) 前記切開刃(11)を患部(25)に挿入して切開創を設けるとともにその切開刃(11)を患部(25)に残したままその切開創から挿入管(2)を患部(25)に挿着し得る。
【0023】
(ル) 前記切開刃(11)の先端刃縁部(21)は、前記切開刃(11)の両側刃縁部(22)が40〜90度の交差角度(θ)で互いに交差して前記外側領域(Q)で集束している。従って、挿入管(2)の管出口部(10)で切開刃(11)の先端刃縁部(21)が外側領域(Q)に位置しているので、挿入管(2)の管出口部(10)に切開刃(11)を設けたままでも、その先端刃縁部(21)が挿入管(2)の内周面(19)の内側に位置せずに邪魔にならず、治療器具(26)を挿入管(2)に管入口部(8a)から挿入して管出口部(10)から突出させることができるように、管出口部(10)を切開刃(11)側へ開放することができる。また、20〜45度の刃付角度(α)をなす両側刃縁部(22)が挿入管(2)の中心線(7a)の幅方向両側で線対称形状をなして40〜90度の交差角度(θ)で互いに交差し、先端刃縁部(21)が点状に尖っているので、患部(25)に切開創を容易に切開することができる。
【0024】
(ヲ) 前記切開刃(11)の先端刃縁部(21)は、前記切開刃(11)の両側刃縁部(22)が40〜90度の交差角度(θ)で互いに交差して前記管出口部(10)の内周面(19)を含む境界面(19a)で集束している。従って、挿入管(2)の管出口部(10)に切開刃(11)を設けたままでも、その先端刃縁部(21)が挿入管(2)の内周面(19)の内側に位置せずに邪魔にならず、治療器具(26)を挿入管(2)に管入口部(8a)から挿入して管出口部(10)から突出させることができるように、管出口部(10)を切開刃(11)側へ開放することができる。また、20〜45度の刃付角度(α)をなす両側刃縁部(22)が挿入管(2)の中心線(7a)の幅方向両側で線対称形状をなして40〜90度の交差角度(θ)で互いに交差し、先端刃縁部(21)が点状に尖っているので、患部(25)に切開創を容易に切開することができる。
【0025】
(ワ) 前記切開刃(11)の両側刃縁部(22)は、前記挿入管(2)の中心線(7a)に対し、管入口部(8a)と管出口部(10)とを結ぶ挿入管(2)の長手方向に対し直交する挿入管(2)の幅方向へ離間している。従って、挿入管(2)の管出口部(10)に切開刃(11)を設けたままでも、その先端刃縁部(21)が挿入管(2)の内周面(19)から離れて邪魔にならず、治療器具(26)を挿入管(2)に管入口部(8a)から挿入して管出口部(10)から突出させることができるように、管出口部(10)を切開刃(11)側へ開放することができる。
【0026】
(カ) 前記切開刃(11)の両側刃縁部(22)は、前記挿入管(2)の中心線(7a)周りで一対設けられている。従って、両側刃縁部(22)により患部(25)に切開創を容易に設けることができる。
【0027】
(ヨ) 前記切開刃(11)の両側刃縁部(22)間の幅方向間隔は、切開刃(11)の先端刃縁部(21)から挿入管(2)の管出口部(10)側に向かうに従い次第に大きくなるように延設されている。従って、切開刃(11)において両側刃縁部(22)を例えばV字形態に設けることにより患部(25)に切開創を容易に設けることができる。
【0028】
(タ) 前記切開刃(11)の両側刃縁部(22)は前記切開刃(11)の傾斜面(13a)から連続して延設されている。従って、傾斜面(13a)で切開創を案内して挿入管(2)を患部(25)に容易に挿着することができる。
【0029】
(レ) 前記切開刃(11)の傾斜面(13a)は前記管出口部(10)から連続して延設されている。従って、傾斜面(13a)で切開創を円滑に案内することができる。
【0030】
請求項1の発明を前提とする請求項2の発明(第一実施形態に対応)において、前記切開刃(11)の刃部(18)は挿入管(2)の中心線(7a)に沿って延設されている。請求項2の発明では、刃部(18)を患部(25)に挿入し易くなるとともに、切開刃(11)の両側刃縁部(22)により設けた切開創に挿入管(2)を容易に挿着することができる。
【0031】
請求項1の発明を前提とする請求項3の発明(第二実施形態に対応)において、前記切開刃(11)の刃部(18)は切開刃(11)の傾斜面(13a)に沿って延設されている。請求項3の発明では、切開刃(11)の両側刃縁部(22)により設けた切開創に挿入管(2)を容易に挿着することができるとともに、挿入管(2)の管出口部(10)に切開刃(11)を設けたままでも、刃部(18)が挿入管(2)の内周面(19)からより一層離れて邪魔にならない。
【0032】
請求項1〜3のうちいずれか一つの請求項の発明を前提とする請求項4の発明において、前記挿入管(2)の管入口部(8a)にはホルダ(3)が着脱可能に連結されている。請求項4の発明では、挿入管(2)の管入口部(8a)にホルダ(3)を着脱して、トロカール(1)の使い勝手を良くすることができる。
【0033】
請求項1〜4のうちいずれか一つの請求項の発明を前提とする請求項5の発明において、前記患部は眼球(25)である。請求項5の発明では、請求項1〜4のうちいずれか一つの請求項の発明にかかる効果を眼球(25)において発揮させることができる。
第6の発明にかかるトロカール(1)においては、管材(12)の端部をカットして、その管材(12)の中心線(12a)に対し傾斜して切り欠いた切欠部(13)を設けるとともに、その切欠部(13)から連続する管材(12)の端面(14)の一部を残したカット部(15)を成形し、次に、そのカット部(15)をプレス加工して、突板部(16,17)を成形し、次に、その突板部(16,17)をトリミング加工して、刃板部(18a)を成形し、次に、その刃板部(18a)に刃付けして、刃部(18)を成形する。第6の発明では、管材(12)の端部に切開刃(11)を容易に一体成形することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明は、トロカール(1)の挿着操作を容易にすることができる。さらに、挿入管(2)の挿着時における切開創の損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】(a)は第一実施形態にかかるトロカールをホルダに連結した状態を示す組付斜視図であり、(b)は(a)の部分拡大斜視図であり、(c)は(b)を分解して示す部分斜視図であり、(d)は(b)の断面図である。
図2】(a)は第一実施形態にかかるトロカールを示す斜視図であり、(b)は(a)の断面図である。
図3】(a)は第一実施形態にかかるトロカールを示す部分拡大正面図であり、(b)は同じく部分拡大平面図であり、(c)は同じく部分拡大底面図であり、(d)は同じく部分拡大側面図である。
図4】(a)(b)(c)(d)(e)(f)は第一実施形態にかかるトロカールの製造工程を示す斜視図である。
図5】(a)は第二実施形態にかかるトロカールを示す斜視図であり、(b)は(a)の断面図である。
図6】(a)は第二実施形態にかかるトロカールを示す部分拡大正面図であり、(b)は同じく部分拡大平面図であり、(c)は同じく部分拡大底面図であり、(d)は同じく部分拡大側面図である。
図7】(a)(b)(c)(d)(e)(f)は第二実施形態にかかるトロカールの製造工程を示す斜視図である。
図8】(a)は第一実施形態にかかるトロカールの使用状態を示す模式図であり、(b)は第二実施形態にかかるトロカールの使用状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
まず、本発明の第一実施形態について図1〜4及び図8(a)を参照して説明する。
図1(a)に示すトロカール1は、例えば、図8(a)に示すように、眼球25などの患部に挿着し得る挿入管2と、眼球25に切開創を設ける切開刃11とを備えている。挿入管2にはホルダ3が着脱可能に連結されている。ホルダ3において、プラスチックにより成形された把持柄4の先端部には、図1(c)に示すように、連結腕部5が突設されているとともに、金属からなるガイド棒6がその連結腕部5に並んで挿着されている。挿入管2においては、金属からなる案内管7の基端外周部に、プラスチックにより成形された口筒8が挿着されている。口筒8の内側には管入口部8aが貫設され、口筒8の外周には平坦な回り止め面9が形成されている。図1(b)(d)に示すように、ガイド棒6が口筒8の管入口部8aに挿入された状態で把持柄4の連結腕部5が口筒8の回り止め面9に係合されて着脱可能に押し込まれている。挿入管2において、案内管7の先端部には管出口部10が口筒8と連通するように形成されている。
【0037】
案内管7の管出口部10には切開刃11が図4(a)(b)(c)(d)(e)(f)に示す次の工程を経て一体成形される。図4(a)に示す工程では、ステンレス鋼やチタンなどで成形された円筒状の管材12を用意する。図4(b)に示す工程では、管材12の先端部をカットしたカット部15を成形する。カット部15では、管材12の基端部側から先端部側に向かうに従い管材12の中心線12aに対し接近するように傾斜して切り欠いた傾斜面13aを有する切欠部13が成形されるとともに、その傾斜面13aから連続する管材12の端面14の一部を残す。図4(c)に示す工程では、カット部15の端面14側をプレス加工して、第一の突板部16を平坦な板状に成形する。図4(d)に示す工程では、さらに第一の突板部16をプレス加工して、第一の突板部16を伸ばして第一の突板部16より薄肉で平坦な板状の第二の突板部17を管材12の中心線12aに沿って延びるように成形する。図4(e)に示す工程では、第二の突板部17をトリミング加工して、刃板部18aを成形する。図4(f)に示す工程では、案内管7の外周面側で刃板部18aに刃付けして、図2(a)(b)に示すように、管材12を加工した案内管7の管出口部10から傾斜面13aを介して案内管7の中心線7aに沿って延設された平板状の刃部18を成形する。刃板部18aに対し案内管7の内周面側で刃付けしたり外周面側及び内周面側にそれぞれ刃付けしたりしてもよい。案内管7は内周面19と外周面20との間で厚みTをなす。案内管7の管出口部10は傾斜面13aの内側で刃部18側へ開放されている。このようにして案内管7の管出口部10に対し一体成形された切開刃11は、その管出口部10から連続する傾斜面13aを有する切欠部13と、その切欠部13から連続する刃部18とを備えている。
【0038】
図2(a)(b)及び図3(a)(b)(c)(d)に示すように、刃部18は、点状に尖った先端刃縁部21と、案内管7の中心線7a周りで先端刃縁部21から所定の交差角度θで管出口部10側へ向けて連続して延びる一対の側刃縁部22と、両側刃縁部22間で管出口部10の内周面19及び傾斜面13aに連続する平坦な内面23と、両側刃縁部22間で管出口部10の外周面20に連続する平坦な外面24とを有している。両側刃縁部22は、先端刃縁部21を通る中心線21aの両側で線対称形状をなし、両側刃縁部22間の間隔が先端刃縁部21から管出口部10側に向かうに従い次第に大きくなるように延設されている。口筒8の管入口部8aと管出口部10とを結ぶ挿入管2の長手方向に対し直交する挿入管2の幅方向において傾斜面13aの幅方向間隔が刃部18の側刃縁部22に向かうに従い次第に大きくなるように、傾斜面13aが延設されている。刃部18の側刃縁部22は傾斜面13aと連続している。
【0039】
挿入管2の幅方向で、管出口部10の内周面19を含む境界面19aに対し内側となる内側領域Pと、その境界面19aを含んで外側となる外側領域Qとに区画した際に、その外側領域Qのうち、内周面19を含む境界面19aと外周面20を含む境界面20aとの間の案内管7の厚みTの範囲で、刃部18の両側刃縁部22が互いに交差して先端刃縁部21が集束している。また、刃部18の両側刃縁部22は、挿入管2の中心線7aに対し挿入管2の幅方向へ離間し、案内管7の厚みTの範囲を外側に超えた範囲に延びた最外側刃縁部22aを外側領域Qに有している。すなわち、刃部18の両側刃縁部22は、挿入管2の幅方向で、挿入管2の中心線7aに対する距離Aがその中心線7aに対する案内管7の内周面19の距離Bより大きく(A>B)、または、その距離Bと同一に設定された最外側刃縁部22aを外側領域Qに有している。最外側刃縁部22aにおいて挿入管2の中心線7aに対する距離Aは、最小距離A1と最大距離A2との間で設定されている。挿入管2の中心線7aに対する案内管7の外周面20の距離をCとした場合、前記外側領域Qで前記距離AをC以上2C以下(C≦A≦2C)好ましくはC以上1.5C以下(C≦A≦1.5C)に設定することが好ましい。
【0040】
具体的には、両最外側刃縁部22aの前記距離Aのうち最大距離A2を0.1〜1.8mmに、前記距離Bを0.05〜1.0mmに、前記距離Cを0.07〜1.2mmに、前記厚みT(C−B)を0.02〜0.8mmにそれぞれ設定することができる。また、前記両側刃縁部22の交差角度θを30〜120度に好ましくは40〜90度に、両側刃縁部22の刃付角度αを10〜60度に好ましくは20〜45度に、挿入管2の中心線7aに対する傾斜面13aの傾斜角度βを10〜60度に好ましくは20〜45度に、口筒8に対する先端刃縁部21の距離Lを1〜15mm好ましくは1〜10mmにそれぞれ設定することができる。これらの数値以外に設定することもできる。
【0041】
次に、第一実施形態にかかるトロカール1を眼球25の硝子体手術に使用する手順について述べる。
ホルダ3を把持してトロカール1を図8(a)に示す眼球25に当てがって切開刃11を挿入管2の中心線7aの方向へ挿入すると、まず切開刃11の先端刃縁部21が眼球25を切開し始め、次いで切開刃11の両側刃縁部22が眼球25を先端刃縁部21の両側で直線状に切開して一本の直線状切開創が切開される。その一本の直線状切開創には、挿入管2の管出口部10に対する外側領域Qで最外側刃縁部22aにより切開される切開創も含む。さらに、トロカール1を眼球25内の硝子体25a側に挿入管2の中心線7aの方向へ押し入れると、その切開刃11を眼球25内に残したまま、その切開創から挿入管2を眼球25に挿着することができる。その際、切開創は広げられて挿入管2の外周面20に圧接される。その後、ホルダ3を挿入管2から離脱させる。このようにして、一または二以上の挿入管2を順次眼球25に挿着しつつ、切除器具や照明器具や人工眼内液注入器具などの治療器具26を口筒8の管入口部8aから挿入管2に通したり管出口部10から突出させたりして眼球25内の硝子体25aに切開刃11と並んで挿入することができるので、治療器具26の使用時に切開創の損傷を防止することができる。
【0042】
次に、本発明の第二実施形態について第一実施形態との相違点を中心に図5〜7及び図8(b)を参照して説明する。なお、第二実施形態の図5(a)(b)、図6(a)(b)(c)(d)、図7(a)(b)(c)(d)(e)(f)及び図8(b)は、それぞれ、第一実施形態の図2(a)(b)、図3(a)(b)(c)(d)、図4(a)(b)(c)(d)(e)(f)及び図8(a)に対応する。
【0043】
第二実施形態にかかるトロカール1については、切開刃11の刃部18の形態が第一実施形態と異なる。切開刃11において刃部18は切欠部13から傾斜面13aに沿って延設されている。そのため、前記外側領域Qのうち、内周面19を含む境界面19aと外周面20を含む境界面20aとの間の案内管7の厚みTの範囲を外側に超えた範囲で、刃部18の先端刃縁部21は両側刃縁部22が互いに交差して集束している。また、刃部18の両側刃縁部22は、挿入管2の中心線7aに対し挿入管2の幅方向へ離間し、案内管7の厚みTの範囲を外側に超えた範囲に延びた最外側刃縁部22aを外側領域Qに有している。すなわち、刃部18の両側刃縁部22は、挿入管2の幅方向で、挿入管2の中心線7aに対する距離Aがその中心線7aに対する案内管7の外周面20の距離Cより大きく(A>C>B)、または、その距離Cと同一に設定された最外側刃縁部22aを外側領域Qに有している。最外側刃縁部22aにおいて挿入管2の中心線7aに対する距離Aは、最小距離A1と最大距離A2との間で設定されている。挿入管2の中心線7aに対する案内管7の外周面20の距離をCとした場合、前記外側領域Qで前記距離AをC以上2C以下(C≦A≦2C)好ましくはC以上1.5C以下(C≦A≦1.5C)に設定することが好ましい。
【0044】
案内管7の管出口部10には切開刃11が図7(a)(b)(c)(d)(e)(f)に示す下記の工程を経て第一実施形態と同様に一体成形される。その場合、図7(d)に示す工程では、さらに第一の突板部16をプレス加工して、第一の突板部16を伸ばして第一の突板部16より薄肉で平坦な板状の第二の突板部17を管材12の傾斜面13aに沿って延びるように成形する。また、第二実施形態にかかるトロカール1の使用手順についても、基本的には第一実施形態と同様であるが、刃部18が傾斜面13aに沿って延設されているため、挿入管2を傾斜させて刃部18を眼球25に対し第一実施形態とほぼ同様な状態で当てがって一本の直線状切開創を設けた後、挿入管2を傾斜前の状態に戻して切開創から眼球25に挿着する。
【0045】
第一実施形態及び第二実施形態は下記の効果を有する。
(1) 第一実施形態及び第二実施形態では、挿入管2の管出口部10に切開刃11を設けるとともに管出口部10を切開刃11側へ開放したので、切開刃11を眼球25に挿入して切開創を設ける際に、切開刃11を眼球25に残したまま切開創から挿入管2を眼球25に挿着することができ、切開刃11の挿入と挿入管2の挿着とを連続的に行ってトロカール1の挿着操作を容易に行うことができる。
【0046】
(2) 第一実施形態及び第二実施形態では、挿入管2の管出口部10に切開刃11を設けたまま、治療器具26を挿入管2に口筒8から挿入して管出口部10から突出させることができるので、眼球25に対する挿入管2の挿着後には、切開刃11を挿入管2から抜く必要がなく、トロカール1の挿着操作が容易になる。
【0047】
(3) 第一実施形態及び第二実施形態では、挿入管2の管出口部10で切開刃11の最外側刃縁部22aが外側領域Qに位置しているので、切開刃11の幅寸法を挿入管2の内径より大きく設定することが可能となって切開創の切開寸法も大きくなり、挿入管2を切開創から眼球25に挿着する際に切開創が挿入管2により損傷しにくくなって治癒し易い。
【0048】
(4) 第一実施形態及び第二実施形態では、切開刃11の最外側刃縁部22aにおいて挿入管2の中心線7aに対する距離Aが、その中心線7aに対する管出口部10の内周面19の距離Bより大きく設定されているので、切開刃11の幅寸法を挿入管2の内径より大きく設定することが可能となって切開創の切開寸法も大きくなり、挿入管2を切開創から眼球25に挿着する際に切開創が挿入管2により損傷しにくくなって治癒し易い。
【0049】
(5) 第一実施形態及び第二実施形態では、切開刃11において、挿入管2の幅方向で、挿入管2の中心線7aに対する最外側刃縁部22aの距離Aは、その中心線7aに対する管出口部10の外周面20の距離Cより大きく設定されているので、切開刃11の幅寸法を挿入管2の外径より大きく設定することが可能となって切開創の切開寸法もさらに大きくなり、挿入管2を切開創から眼球25に挿着する際に切開創がより一層挿入管2により損傷しにくくなって治癒し易い。また、その距離Aは、その距離Cの2倍より小さく設定されているので、切開創が必要以上に大きくなり過ぎず、患者の負担が少なくて済む。
【0050】
(6)第一実施形態では切開刃11の刃部18が挿入管2の中心線7aに沿って延設されているが、第二実施形態では切開刃11の刃部18が切開刃11の傾斜面13aに沿って延設されているので、挿入管2の管出口部10に切開刃11を設けたままでも、先端刃縁部21と両側刃縁部22とを有する刃部18が挿入管2の内周面19からより一層離れて邪魔にならない。
【0051】
(7) 第二実施形態では切開刃11の刃部18が切開刃11の傾斜面13aに沿って延設されているが、第一実施形態では切開刃11の刃部18が挿入管2の中心線7aに沿って延設されているので、刃部18を眼球25に挿入し易い。
【0052】
(8) 第一実施形態及び第二実施形態では、トロカール1においては、管材12の端部をカットして、その管材12の中心線12aに対し傾斜して切り欠いた切欠部13を設けるとともに、その切欠部13から連続する管材12の端面14の一部を残したカット部15を成形し、次に、そのカット部15をプレス加工して、突板部16,17を成形し、次に、その突板部16,17をトリミング加工して、刃板部18aを成形し、次に、その刃板部18aに刃付けして、刃部18を成形するので、管材12の端部に切開刃11を容易に一体成形することができる。
【0053】
前記実施形態以外にも例えば下記のように構成してもよい。
・ 第一実施形態及び第二実施形態では、眼球25に一本の直線状切開創が切開されるように、切開刃11の形態が設定されている。図示しないが、眼球25に一本の円弧状切開創などが切開されるように切開刃11の形態を変更することができる。
【0054】
・ 図示しないが、刃部18の両側刃縁部22を直線状形態または曲線状形態またはそれらを組み合わせた形態で設けることができる。
【0056】
図示しないが、挿入管2の案内管7については、円周方向で連続した環状に形成せずに円周方向の一部で途切れた部分を有する環状に形成することができる。
【0057】
・ 図示しないが、挿入管2において案内管7を断面円形以外の形態に変更することができる。
・ 図示しないが、ホルダ3にガイド棒6を設けず、口筒8の外側面を挟持するための複数の腕をホルダ3に設けて口筒8を保持してもよい。
・ 図示しないが、挿入管2において口筒8を省略することができる。
【0058】
・ 挿入管2において案内管7の材質については金属以外に樹脂に変更することができる。
・ 図示しないが、案内管7の管出口部10に切開刃11を一体成形する場合には、円筒状の管材12ではなく、平板に予め切欠部13や刃部18に該当する部分を形成した後にその平板を管状に巻いて行うことができる。
【0059】
・ 図示しないが、図4(e)や図7(e)に該当する部材を金属粉末や樹脂などの材質により射出成形することができる。
・ 図示しないが、挿入管2の内周面19及び外周面20や、刃部18の内面23及び外面24に対しフッ素樹脂やシリコーン樹脂などにより被覆処理を行ったり表面改質処理を行って摩擦抵抗を減らすことができる。
【0060】
・ 図示しないが、眼球25内から眼液の漏れを防止するための弁を口筒8や口筒8の付近に付設することができる。その場合、弁をホルダ3から分離した状態で付設してもよいし、弁を付設したままホルダ3に連結してもよい。
【0061】
・ 図示しないが、トロカールを眼球以外に腹腔鏡手術などにおける患部に利用することができる。その際、前述した各種の数値(距離A,B,C,Lや角度θ,α,βなど)を適用患部に合わせて適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0062】
1…トロカール、2…挿入管、7a…挿入管の中心線、8a…挿入管の管入口部、10…挿入管の管出口部、11…切開刃、13…切開刃の切欠部、13a…傾斜面、18…切開刃の刃部、19…管出口部の内周面、19a…境界面、20…管出口部の外周面、21…刃部の先端刃縁部、22…刃部の側刃縁部、22a…側刃縁部の最外側刃縁部、23…刃部の内面、24…刃部の外面、25…眼球(患部)、θ…両側刃縁部の交差角度、α…両側刃縁部の刃付角度、β…傾斜面の傾斜角度、P…内側領域、Q…外側領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8