【課題を解決するための手段】
【0006】
後記実施形態(
図1〜4及び
図8(a)に示す第一実施形態、
図5〜7及び
図8(b)に示す第二実施形態)の図面の符号を援用して本発明を説明する。
請求項
1の発明にかかるトロカール(1)
は、下記のように構成されている。
挿入管(2)の基端部に管入口部(8a)を有するとともに、挿入管(2)の先端部に管出口部(10)を有し、その管出口部(10)を管入口部(8a)に対し連通し、その管出口部(10)で挿入管(2)の先端部に
は切開刃(11)を管出口部(10)と一体成形するとともに管出口部(10)を切開刃(11)側へ開放し
ている。この切開刃(11)は、その管出口部(10)から連続する切欠部(13)と、その切欠部(13)から連続する板状の刃部(18)とを備えている。
この切開刃(11)の刃部(18)は、患部(25)への挿入時に患部(25)を切開し始めるように点状に尖った先端刃縁部(21)と、その先端刃縁部(21)を通って挿入管(2)の管入口部(8a)と管出口部(10)とを結ぶ挿入管(2)の中心線(7a)の周りでその先端刃縁部(21)から40〜90度の交差角度(θ)及び20〜45度の刃付角度(α)で管出口部(10)側へ向けて連続して延びる両側刃縁部(22)と、両側刃縁部(22)間で管出口部(10)の内周面(19)に連続する内面(23)と、両側刃縁部(22)間で管出口部(10)の外周面(20)に連続する外面(24)とを有している。管入口部(8a)と管出口部(10)とを結ぶ挿入管(2)の長手方向に対し直交する挿入管(2)の幅方向で、管出口部(10)の内周面(19)を含む境界面(19a)に対し内側となる内側領域(P)と外側となる外側領域(Q)とに区画した際に、この刃部(18)の両側刃縁部(22)はこの外側領域(Q)に位置する最外側刃縁部(22a)を有している。
前記切開刃(11)の切欠部(13)は管出口部(10)と両側刃縁部(22)との間で挿入管(2)の中心線(7a)に対し20〜45度の傾斜角度(β)で傾斜した傾斜面(13a)を有している。この傾斜面(13a)は管出口部(10)から連続して挿入管(2)の幅方向における幅方向間隔が刃部(18)の両側刃縁部(22)に向かうに従い次第に大きくなるように延設されている。前記刃部(18)の両側刃縁部(22)は、前記切欠部(13)の傾斜面(13a)から連続するとともに、挿入管(2)の中心線(7a)に対し挿入管(2)の幅方向へ離間し、その両側刃縁部(22)間の幅方向間隔が刃部(18)の先端刃縁部(21)から挿入管(2)の管出口部(10)側に向かうに従い次第に大きくなるように延設されている。
前記切開刃(11)の刃部(18)において、先端刃縁部(21)及び両側刃縁部(22)は前記管出口部(10)の内周面(19)を含む境界面(19a)または前記外側領域(Q)に配設され、両側刃縁部(22)は挿入管(2)の中心線(7a)の幅方向両側で線対称形状をなして先端刃縁部(21)で互いに交差して点状に集束し、挿入管(2)の幅方向で挿入管(2)の中心線(7a)に対する最外側刃縁部(22a)の幅方向距離Aはその中心線(7a)に対する管出口部(10)の外周面(20)の幅方向距離C以上1.5C以下に設定されている。
前記切開刃(11)を患部(25)に挿入して切開創を設けるとともにその切開刃(11)を患部(25)に残したままその切開創から挿入管(2)を患部(25)に挿着し得る。
【0010】
請求項1の発明は下記(イ)〜(レ)の特徴を有している。
(イ) 挿入管(2)の管出口部(10)に切開刃(11)を設けるとともに管出口部(10)を切開刃(11)側へ開放したので、切開刃(11)を患部(25)に挿入して切開創を設ける際に、切開刃(11)を患部(25)に残したまま切開創から挿入管(2)を患部(25)に挿着し得る。従って、切開刃(11)の挿入と挿入管(2)の挿着とを連続的に行うことができ、トロカール(1)の挿着操作が容易になる。また、挿入管(2)の管出口部(10)に切開刃(11)を設けたまま、治療器具(26)を挿入管(2)に管入口部(8a)から挿入して管出口部(10)から突出させることができる。患部(25)に対する挿入管(2)の挿着後には、切開刃(11)を挿入管(2)から抜く必要がないので、トロカール(1)の挿着操作が容易になる。
【0011】
(ロ) 挿入管(2)の管出口部(10)で切開刃(11)の最外側刃縁部(22a)が外側領域(Q)に位置している
。従って、切開刃(11)の幅寸法を挿入管(2)の内周面(19)の幅方向間隔より大きく設定することが可能となって切開創の切開寸法も大きくなり、挿入管(2)を切開創から患部(25)に挿着する際に切開創が挿入管(2)により損傷しにくくなって治癒し易い。
【0013】
(ハ) 切開刃(11)において、挿入管(2)の幅方向で、挿入管(2)の中心線(7a)に対する最外側刃縁部(22a)の
幅方向距離Aは、その中心線(7a)に対する管出口部(10)の外周面(20)の
幅方向距離C以上1.5C以下に設定されている。従って、切開刃(11)の幅寸法を挿入管(2)の外周面(20)の幅方向間隔より大きく設定することが可能となって切開創の切開寸法
も大きくなり、挿入管(2)を切開創から患部(25)に挿着する際に切開創
が挿入管(2)により損傷しにくくなって治癒し易い。
【0014】
(ニ) 前記切開刃(11)の先端刃縁部(21)
及び両側刃縁部(22)は前記外側領域(Q)に位置している
。従って、挿入管(2)の管出口部(10)に切開刃(11)を設けたままでも、その先端刃縁部(21)
及び両側刃縁部(22)が挿入管(2)の内周面(19)の内側に位置せずに邪魔にならず、治療器具(26)を挿入管(2)に管入口部(8a)から挿入して管出口部(10)から突出させることができるように、管出口部(10)を切開刃(11)側へ開放することができる。
【0015】
(ホ) 前記切開刃(11)の先端刃縁部(21)
及び両側刃縁部(22)は前記管出口部(10)の内周面(19)を含む境界面(19a)に位置している。従って、挿入管(2)の管出口部(10)に切開刃(11)を設けたままでも、その先端刃縁部(21)及び両側刃縁部(22)が挿入管(2)の内周面(19)の内側に位置せずに邪魔にならず、治療器具(26)を挿入管(2)に管入口部(8a)から挿入して管出口部(10)から突出させることができるように、管出口部(10)を切開刃(11)側へ開放することができる。
【0017】
(ヘ) 前記切開刃(11)は、前記管出口部(10)と
両側刃縁部(22)との間で、挿入管(2)の中心線(7a)に対し
20〜45度の傾斜角度(β)で傾斜した傾斜面(13a)を有している。
従って、傾斜面(13a)で切開創を案内して挿入管(2)を患部(25)に容易に挿着することができる。
【0018】
(ト) 前記管入口部(8a)と管出口部(10)とを結ぶ挿入管(2)の長手方向に対し直交する挿入管(2)の幅方向において傾斜面(13a)の幅方向間隔が切開刃(11)の
両側刃縁部(22)に向かうに従い次第に大きくなるように、傾斜面(13a)が延設されている。
従って、切開刃(11)の
両側刃縁部(22)を傾斜面(13a)から円滑に延設させることができる。
【0019】
(チ) 前記切開刃(11)は前記管出口部(10)と一体成形されている。
従って、切開刃(11)を管出口部(10)に対し容易に設けることができる。
【0020】
(リ) 切開刃(11)において、先端刃縁部(21)と
両側刃縁部(22)とを有する刃部(18)は板状に成形されている。その場合、切開刃(11)を平坦な板状に成形することで刃部(18)により患部(25)に直線状の切開創を設けることができる。
従って、切開刃(11)を管出口部(10)に対し容易に設けることができる。
【0022】
(ヌ) 前記切開刃(11)を患部(25)に挿入して切開創を設けるとともにその切開刃(11)を患部(25)に残したままその切開創から挿入管(2)を患部(25)に挿着し得
る。
【0023】
(ル) 前記切開刃(11)の先端刃縁部(21)は、前記切開刃(11)の
両側刃縁部(22)が40〜90度の交差角度(θ)で互いに交差して前記外側領域(Q)で集束している。
従って、挿入管(2)の管出口部(10)で切開刃(11)の先端刃縁部(21)が外側領域(Q)に位置しているので、挿入管(2)の管出口部(10)に切開刃(11)を設けたままでも、その先端刃縁部(21)が挿入管(2)の内周面(19)の内側に位置せずに邪魔にならず、治療器具(26)を挿入管(2)に管入口部(8a)から挿入して管出口部(10)から突出させることができるように、管出口部(10)を切開刃(11)側へ開放することができる。また、
20〜45度の刃付角度(α)をなす両側刃縁部(22)が挿入管(2)の中心線(7a)の幅方向両側で線対称形状をなして40〜90度の交差角度(θ)で互いに交差し、先端刃縁部(21)が点状に尖っているので、患部(25)に切開創を容易に切開することができる。
【0024】
(ヲ) 前記切開刃(11)の先端刃縁部(21)は、前記切開刃(11)の
両側刃縁部(22)が40〜90度の交差角度(θ)で互いに交差して
前記管出口部(10)の内周面(19)を含む境界面(19a)で集束している。
従って、挿入管(2)の管出口部(10)に切開刃(11)を設けたままでも、その先端刃縁部(21)が挿入管(2)の内周面(19)の内側に位置せずに邪魔にならず、治療器具(26)を挿入管(2)に管入口部(8a)から挿入して管出口部(10)から突出させることができるように、管出口部(10)を切開刃(11)側へ開放することができる。また、20〜45度の刃付角度(α)をなす両側刃縁部(22)が挿入管(2)の中心線(7a)の幅方向両側で線対称形状をなして40〜90度の交差角度(θ)で互いに交差し、先端刃縁部(21)が点状に尖っているので、患部(25)に切開創を容易に切開することができる。
【0025】
(ワ) 前記切開刃(11)の
両側刃縁部(22)は、前記挿入管(2)の中心線(7a)に対し、管入口部(8a)と管出口部(10)とを結ぶ挿入管(2)の長手方向に対し直交する挿入管(2)の幅方向へ離間している。
従って、挿入管(2)の管出口部(10)に切開刃(11)を設けたままでも、その先端刃縁部(21)が挿入管(2)の内周面(19)から離れて邪魔にならず、治療器具(26)を挿入管(2)に管入口部(8a)から挿入して管出口部(10)から突出させることができるように、管出口部(10)を切開刃(11)側へ開放することができる。
【0026】
(カ) 前記切開刃(11)の
両側刃縁部(22)は、前記挿入管(2)の中心線(7a)周りで一対設けられている。
従って、両側刃縁部(22)により患部(25)に切開創を容易に設けることができる。
【0027】
(ヨ) 前記切開刃(11)の両側刃縁部(22)間の
幅方向間隔は、切開刃(11)の先端刃縁部(21)から挿入管(2)の管出口部(10)側に向かうに従い次第に大きくなるように延設されている。
従って、切開刃(11)において両側刃縁部(22)を例えばV字形態に設けることにより患部(25)に切開創を容易に設けることができる。
【0028】
(タ) 前記切開刃(11)の
両側刃縁部(22)は前記切開刃(11)の傾斜面(13a)から連続して延設されている。
従って、傾斜面(13a)で切開創を案内して挿入管(2)を患部(25)に容易に挿着することができる。
【0029】
(レ) 前記切開刃(11)の傾斜面(13a)は前記管出口部(10)から連続して延設されている。
従って、傾斜面(13a)で切開創を円滑に案内することができる。
【0030】
請求項1の発明を前提とする請求項2の発明(第一実施形態に対応)において、前記切開刃(11)
の刃部(18)は挿入管(2)の中心線(7a)に沿って延設されている。
請求項2の発明では、刃部(18)を患部(25)に挿入し易くなるとともに、切開刃(11)の
両側刃縁部(22)により設けた切開創に挿入管(2)を容易に挿着することができる。
【0031】
請求項1の発明を前提とする請求項3の発明(第二実施形態に対応)において、前記切開刃(11)
の刃部(18)は切開刃(11)の傾斜面(13a)に沿って延設されている。
請求項3の発明では、切開刃(11)の
両側刃縁部(22)により設けた切開創に挿入管(2)を容易に挿着することができるとともに、挿入管(2)の管出口部(10)に切開刃(11)を設けたままでも、刃部(18)が挿入管(2)の内周面(19)からより一層離れて邪魔にならない。
【0032】
請求項1〜3のうちいずれか一つの請求項の発明を前提とする請求項4の発明において、前記挿入管(2)の管入口部(8a)にはホルダ(3)が着脱可能に連結されている。
請求項4の発明では、挿入管(2)の管入口部(8a)にホルダ(3)を着脱して、トロカール(1)の使い勝手を良くすることができる。
【0033】
請求項1〜4のうちいずれか一つの請求項の発明を前提とする請求項5の発明において、前記患部は眼球(25)である。
請求項5の発明では、
請求項1〜4のうちいずれか一つの請求項の発明にかかる効果を眼球(25)において発揮させることができる。
第6の発明にかかるトロカール(1)においては、管材(12)の端部をカットして、その管材(12)の中心線(12a)に対し傾斜して切り欠いた切欠部(13)を設けるとともに、その切欠部(13)から連続する管材(12)の端面(14)の一部を残したカット部(15)を成形し、次に、そのカット部(15)をプレス加工して、突板部(16,17)を成形し、次に、その突板部(16,17)をトリミング加工して、刃板部(18a)を成形し、次に、その刃板部(18a)に刃付けして、刃部(18)を成形する。第6の発明では、管材(12)の端部に切開刃(11)を容易に一体成形することができる。