(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6277078
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】肌着
(51)【国際特許分類】
A41B 9/02 20060101AFI20180129BHJP
【FI】
A41B9/02 M
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-156250(P2014-156250)
(22)【出願日】2014年7月31日
(65)【公開番号】特開2016-33273(P2016-33273A)
(43)【公開日】2016年3月10日
【審査請求日】2017年2月21日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 博覧会出展1 2014年3月5日 「グンゼ総合展示会2014」にて、衣類(肌着)を展示
(73)【特許権者】
【識別番号】000001339
【氏名又は名称】グンゼ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107478
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 薫
(72)【発明者】
【氏名】古谷 親彦
(72)【発明者】
【氏名】武安 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】麓 桂子
【審査官】
山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】
特開平8−302501(JP,A)
【文献】
特開平10−212606(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3022949(JP,U)
【文献】
特開昭61−179304(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3008425(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41B 9/00 − 9/16、13/00 − 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前身頃及び後身頃の脇側が互いに接合されて構成され、上端側に腰ゴムが設けられ、下端側に脚部を挿通する裾部が形成されている肌着であって、
着用者の臀裂上部から股部にかけて次第に窄まるように所定の曲率で凹状に裁断された左右一対の後身頃凹状縁部と、一対の後身頃凹状縁部の終端となる後身頃股部と、を備えた一片の後身頃と、
後身頃凹状縁部と接合され後身頃凹状縁部の曲率とは異なる曲率で凹状に裁断された前身頃凹状縁部と、着用者の脚部を囲繞して大腿部内側で接合される前後一対の脚側縁部と、を備えた左右一対の前身頃と、
を備えて構成されている肌着。
【請求項2】
後身頃凹状縁部の最大曲率が前身頃凹状縁部の最大曲率よりも大きな曲率に設定されている請求項1記載の肌着。
【請求項3】
前身頃の腰線に対する下端縁の長さが腹部側から臀部側にかけて次第に長くなるように裁断されている請求項1または2記載の肌着。
【請求項4】
左右一対の前身頃を腹部側で連結する前立て片をさらに備え、前立て片の下縁が後身頃股部と接合されている請求項1から3の何れかに記載の肌着。
【請求項5】
脚側縁部の長さを調整することによりボクサーパンツから足首までの長さのタイツまで展開可能に構成されている請求項1から4の何れかに記載の肌着。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボクサーパンツやタイツ等の肌着に関し、前身頃及び後身頃の脇側が互いに接合されて構成され、上端側に腰ゴムが設けられ、下端側に脚部を挿通する裾部が形成されている肌着に関する。
【背景技術】
【0002】
図8(a)に示すように、一般に男性用の肌着であるボクサーパンツ等は平面的な基準パターンに沿って裁断された左右の身頃2、マチ7、前立て4の各生地片を縫製することにより構成されていた。このような生地片として、日常生活での様々な動作を行なう際に、その動きを妨げないように伸縮性を備えたフライス編等のヨコ編地が用いられることが多い。
【0003】
しかし、平面的なパターンに沿って裁断された生地片を縫製して立体形状に仕立て上げても、三次元の複雑な曲面形状を呈する人の腹部、臀部、脚部に対応するのは極めて困難であり、不快な着圧を回避するためにパターンを大きめに構成すると、だぶつきが生じたりて脚部が臀部側に引き上がったりして着心地が悪くなるばかりか美観が損なわれるという問題もあった。
【0004】
そのため、ある程度のフィット感を持たせるようにパターンを決定していたのであるが、平面的なパターンを採用する限り、腹部、臀部、股部、脚部の全域で良好な着圧バランスを得ることは非常に困難であり、何れかの部位にその影響が現れていた。
【0005】
図8(b)には、近年開発されたコンピュータシミュレーション装置(例えば、株式会社島精機製作所のSDN-ONE APEX3)を用いて、身生地の編地特性及び従来の基準パターンと着用者を模擬する剛体マネキンの体型等の入力情報に基づく身体の各部の着圧分布のシミュレーション結果が示されている。
【0006】
当該シミュレーション結果によれば、従来の基準パターンに基づいて裁断され、縫製された上半身用衣類は、大腿部の前後内側部から股部及び臀溝上部にかけて10hPa以上の高い着圧領域が存在し、バルーン式の着圧計等で計測される生身の身体に対して負荷を感じることが無いとされた所定の着圧(4hPa)に対応する着圧を大きく上回る領域の存在が確認された。身生地が臀部の膨出部に引っ張られる結果、大腿部の前後内側部から股部の着圧が高くなっている。
【0007】
特許文献1には、裾口部分の巻き込みやズリ上がりを防止し、着用感にも優れた立体縫製ショーツを提供することを目的として、少なくとも前身頃、後身頃および2枚の後脇片で構成され、2枚の後脇片の左右両辺をそれぞれ前身頃および後身頃の左右両辺に縫合し、前身頃と後身頃が下端において縫合されたショーツであって、後脇片がその中央より下側部で後身頃側に緩やかに凸出しており、縫合後の後身頃と後脇片で形成される部分が後側に膨出していることを特徴とする立体縫製ショーツが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実用新案登録第3187706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1に記載された立体縫製ショーツは、前身頃の下縁が鼠蹊部に沿う様に裁断され、生地片の構成に大腿部を被覆する領域を考慮する必要がないため、そのままの構成をボクサーパンツに適用しても大腿部を含めて着圧バランスを調整するのは非常に困難であった。
【0010】
つまり、後身頃の左右脇部を凸状に湾曲するように裁断した縁部と、中央より下側部で後身頃側に緩やかに凸出した後脇片とを縫着すると、臀部膨出部の形状に対応するようにフィットできるが、単に後脇片及び前身頃に大腿部被覆用の生地を延出させてボクサーパンツを構成しても、大腿部にだぶつきが発生して良好な着圧バランスを取ることができず、着心地が悪いという問題がった。着用者の臀部の膨出部から臀溝を経て大腿部に到る体表面に適度な着圧でフィットさせるためには、特許文献1に記載されたように、
【0011】
本発明の目的は、上述の問題点に鑑み、均一な着圧分布で良好なフィット感を確保するとともに、身体の動きに対して突っ張り感やだぶつき感が生じることなく、着用時の美観を向上させることができる肌着を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の目的を達成するため、本発明による肌着の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載した通り、前身頃及び後身頃の脇側が互いに接合されて構成され、上端側に腰ゴムが設けられ、下端側に脚部を挿通する裾部が形成されている肌着であって、着用者の臀裂上部から股部にかけて次第に窄まるように所定の曲率で凹状に裁断された左右一対の後身頃凹状縁部と、一対の後身頃凹状縁部の終端となる後身頃股部と、を備えた一片の後身頃と、後身頃凹状縁部と接合され後身頃凹状縁部の曲率とは異なる曲率で凹状に裁断された前身頃凹状縁部と、着用者の脚部を囲繞して大腿部内側で接合される前後一対の脚側縁部と、を備えた左右一対の前身頃と、を備えて構成されている点にある。
【0013】
後身頃の左右の側縁部を着用者の臀裂上部から股部にかけて次第に窄まるように所定の曲率で凹状に裁断した後身頃凹状縁部と、後身頃凹状縁部の曲率とは異なる曲率で凹状に裁断された前身頃凹状縁部とを接合すると、側面視で着用者の臀部膨出部から臀溝にかけて次第に窄まるように括れができて体表面に適度にフィットする立体形状が得られるようになり、その状態で前後一対の脚側縁部同士を大腿部内側で接合すると、大腿部の周囲全域でも良好な着圧バランスが得られるようになる。
【0014】
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一の特徴構成に加えて、後身頃凹状縁部の最大曲率が前身頃凹状縁部の最大曲率よりも大きな曲率に設定されている点にある。
【0015】
臀部膨出部から臀溝にかけた括れ部と大腿部周囲が主に前身頃側の生地で被覆されるので、歩行等の動作時に脚部周りの筋肉等の動きに一体的に追随して良好なフィット感が得られるようになる。
【0016】
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第一または第二の特徴構成に加えて、前身頃の腰線に対する下端縁の長さが腹部側から臀部側にかけて次第に長くなるように裁断されている点にある。
【0017】
臀部を被覆するために必要となる十分な生地量が確保でき、大腿部周りでも均一な着圧バランスが得られるようになる。
【0018】
同第四の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、上述の第一から第三の何れかの特徴構成に加えて、左右一対の前身頃を腹部側で連結する前立て片をさらに備え、前立て片の下縁が後身頃股部と接合されている点にある。
【0019】
前立て片の下縁が後身頃股部とが接合されるので、接合部近傍領域に別途のマチ用の生地を準備する必要が無く、部品点数を減らして接合工程を短くすることができる。
【0020】
同第五の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、上述の第一から第四の何れかの特徴構成に加えて、脚側縁部の長さを調整することによりボクサーパンツから足首までの長さのタイツまで展開可能に構成されている点にある。
【0021】
脚側縁部の長さを短くすればボクサーパンツが実現でき、脚側縁部の長さを長くすれば足首までの長さのタイツが実現でき、それらの中間の長さに設定すれば5分丈のタイツや7分丈のタイツが実現できる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明した通り、本発明によれば、均一な着圧分布で良好なフィット感を確保するとともに、身体の動きに対して突っ張り感やだぶつき感が生じることなく、着用時の美観を向上させることができる肌着を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】(a)は本発明による肌着(ボクサーパンツ)の正面図、(b)は同背面図
【
図2】(a)は同肌着を折り畳んだ状態の側面図、(b)は同上側の裾部を上方に折り返した状態の説明図
【
図3】(a)は同肌着のパターン図に沿って裁断された生地片の説明図、(b)はパターンに沿って裁断された生地片の接合過程の説明図
【
図4】(a)は同肌着の着用状態の正面視の説明図、(b)は同背面視の説明図
【
図5】(a)は同肌着の着用状態の左下方から視た説明図、(b)は同股下から視た説明図、(c)は同肌着の着用時の着圧シミュレーション結果の説明図
【
図6】(a)は別実施形態例を示し、本発明による肌着(タイツ)のパターン図に沿って裁断された生地片の説明図、(b)はパターンに沿って裁断された生地片の接合過程の説明図
【
図7】(a)は
図6に示した肌着(タイツ)の着用時の着圧シミュレーション結果の説明図、(b)は従来の肌着の着用時の着圧シミュレーション結果の説明図
【
図8】(a)は従来の肌着(ボクサーパンツ)のパターン図、(b)はパターンに沿って裁断され、接合された肌着の着用時の着圧シミュレーション結果の説明図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明が適用された肌着としてボクサーパンツを例に説明する。
図1(a),(b)には正面視及び背面視のボクサーパンツ1が示され、
図2(a),(b)には折り畳まれた状態の側面視のボクサーパンツ1が示されている。さらに、
図4(a),(b)には着用状態のボクサーパンツ1の正面及び背面が示されている。以下、これらの図に基づいて詳述する。
【0025】
当該ボクサーパンツ1は、左右一対の前身頃2(2A,2B)、一片の後身頃3、前立て4、テープ状の腰ゴム5を備えて構成され、下端側に脚部を挿通する裾部6(6A,6B)が形成されている。
【0026】
左右の前身頃2(2A,2B)の下縁が左右の脚周りに囲繞されて大腿部内側で接合されて裾部6(6A,6B)となり、前立て4の下縁と後身頃3の下縁が接合されて股部P2となり、股部P2の接合部と裾部6の接合部が線状に連続している。接合後に前身頃2(2A,2B)の下縁は折り返されて解れ止め処理されている。
【0027】
図3(a)には、前身頃2(2A,2B)、後身頃3、前立て4の各パターンに従って裁断された生地片が示され、
図3(b)には当該パターンに沿って裁断された生地片の接合過程が示されている。
【0028】
後身頃3を構成する生地片は、中心に向けて僅かに下方に傾斜した上縁部30、左右一対の側縁部31、股部P2となる直線状の下縁部32でそれぞれ裁断されている。
【0029】
側縁部31は、上縁部30から僅かに垂下する垂下部31a、垂下部31aに連続して股部P2に向けて次第に窄まるように形成された凸状曲線部31b、凸状曲線部31bに連続して股部P2にかけて次第に窄まるように形成された凹状曲線部31cで構成されている。凹状曲線部31cが着用者の臀裂P1上部から股部P2にかけて次第に窄まるように所定の曲率で凹状に裁断された後身頃凹状縁部となり、下縁部32が後身頃股部となる。
【0030】
前身頃2を構成する生地片は、上縁部20、側縁部21、下縁部22、前後一対の脚側縁部23,24、前縁部25でそれぞれ裁断されている。
【0031】
上縁部20及び下縁部22は非常に小さな曲率の凹状曲線に裁断されている。側縁部21は、後身頃3の側縁部31と接合される縁部で、直線状縁部21aと、直線状縁部21aに連続する凹状曲線部21bとで構成されている。凹状曲線部21bは、後身頃3の凹状曲線部31cの曲率とは異なる曲率に設定され、脇部後身頃凹状縁部と接合される前身頃凹状縁部となる。
【0032】
下縁部22が着用者の脚部を囲繞する環状となるように、一対の脚側縁部23,24が大腿部内側で接合されて、脚部を挿通する裾部6(6A,6B)となる。前身頃2の腰線L1に対する下端縁の長さLが腹部側から臀部側にかけて次第に長くなるように裁断されている。そのため、臀部を被覆するために必要となる十分な生地量が確保でき、大腿部周りでも均一な着圧バランスが得られるようになる
【0033】
後身頃凹状縁部(31c)と前身頃凹状縁部(21b)とを接合すると、側面視で着用者の臀部膨出部から臀溝にかけて次第に窄まるように括れができて体表面に適度にフィットする立体形状が得られるようになり、その状態で前後一対の脚側縁部23,24同士を大腿部内側で接合すると、大腿部の周囲全域でも良好な着圧バランスが得られるようになる。
【0034】
後身頃凹状縁部(31c)の最大曲率が前身頃凹状縁部(21b)の最大曲率よりも大きな曲率に設定されていることが好ましい。後身頃凹状縁部(31c)の刳り量が大きくなるので、臀部膨出部P3から臀溝P4にかけた括れ部Aと大腿部周囲が主に前身頃2側の生地で被覆されるようになり、歩行等の動作時に脚部周りの筋肉等の動きに一体的に追随して良好なフィット感が得られるようになる(
図5(a),(b)参照)。
【0035】
前立て4を構成する生地片は、片左右一対の前身頃2(2A,2B)を腹部側で連結する生地片で、略直線状の上縁部40と左右の側縁部41と、二股に分かれた下縁42と、二股縁部43でそれぞれ裁断されている。
【0036】
前身頃2の前縁部25と前立て4の側縁部41とが接合されるとともに二股縁部43同士が接合されて局部を覆う膨出部が形成されている。さらに、前立て4の下縁42が後身頃3の下縁部32と接合されている。そのため、股部の接合部近傍領域に別途のマチ用の生地を準備する必要が無く、部品点数を減らして接合工程を短くすることができる。尚、前立て4は、表側と肌側の二重構造に構成されている。
【0037】
図5(c)には、コンピュータシミュレーション装置(株式会社島精機製作所のSDN-ONE APEX3)を用いて、このようなボクサーパンツ1のパターン及び編地特性と着用者の体型等の入力情報に基づく身体の各部の着圧分布のシミュレーション結果が示されている。
【0038】
図8(b)に示した従来のボクサーパンツで、着圧が異常に高くなった大腿部の内側を中心とする太腿領域及び下腹部領域で、着圧が大きく低下し、平均して4〜7hPaの範囲に入ることが明らかになった。
【0039】
尚、
図5(c)では、僅かに着圧の高い領域が認められるが、後身頃凹状縁部と前身頃凹状縁部の曲率を上述した条件を維持しつつ調整することにより、さらに改善されるようになる。
【0040】
前身頃2を構成する前後一対の脚側縁部23,24の長さを調整することによりボクサーパンツのみならず、足首までの長さのタイツまで展開可能になる。脚側縁部23,24の長さを短くすれば上述したボクサーパンツ1が実現でき、脚側縁部の長さを長くすれば足首までの長さのタイツが実現でき、それらの中間の長さに設定すれば5分丈のタイツや7分丈のタイツが実現できる。
【0041】
図6(a),(b)には、前身頃2を構成する前後一対の脚側縁部23,24を長くしてタイツを構成する場合の生地片及び生地片の接合過程が示されている。
図3(a),(b)との相違点は、脚側縁部23,24の長さのみである。もちろん脚側縁部23,24の幅は脚部の周囲長に基づいて調整されることは言うまでもない。
【0042】
図7(a),(b)には、
図6(a),(b)で説明したタイツと、従来のタイツ(基本的には、
図8(a)で示した身頃2の下縁を延出することにより構成されるタイツ)とに対して、同じコンピュータシミュレーション装置を用いて着圧シミュレーションを行った結果が示されている。従来のタイツの着圧を示す
図7(b)に対して、本発明によるタイツの着圧を示す
図7(a)では、約4hPaで極めて均等な着圧バランスが得られることが明らかになった。
【0043】
身生地としてヨコ編機で編成されたフライス編地やスムース編地等が好適に用いられ、その他天竺編み等の任意のヨコ編地やタテ編地を用いることもできる。生地(編地)を構成する糸種として単糸または双糸の綿糸を好適に用いることができ、季節に応じてその番手を適宜変更することが可能である。綿以外に、麻や絹等の天然繊維、レーヨンやキュプラのような再生繊維、ポリエステル糸等の合繊糸等を用いることも可能である。また、ポリウレタン等の弾性糸を地組織に編成することにより、伸縮性に富んだ肌着が得られる。
【0044】
上述した実施形態で、生地の接合方法については詳述していないが、工業用ミシンによる縫着処理、熱可塑性樹脂を接着剤に用いた接着処理等を用いることができる。接着剤となる熱可塑性樹脂として、例えば、ポリウレタン系ホットメルト樹脂、ポリエステル系ホットメルト樹脂、湿気硬化型ウレタン系ホットメルト樹脂、反応型ホットメルト樹脂等を用いることができる。
【0045】
上述した実施形態では特にサイズを例示していないが、本発明による肌着は、成人男子のLサイズ、Mサイズ、Sサイズ、LLサイズ等、各サイズに適用することが可能なことは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、均一な着圧分布で良好なフィット感を確保するとともに、身体の動きに対して突っ張り感やだぶつき感が生じることなく、着用時の美観を向上させることができる肌着に好適に使用できる。
【符号の説明】
【0047】
1:肌着(ボクサーパンツ)
2:前身頃
3:後身頃
4:前立て
31c:後身頃凹状縁部
21b:前身頃凹状縁部
23,24:脚側縁部