特許第6277270号(P6277270)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

特許6277270オプトエレクトロニクス半導体チップ、半導体部品、および、オプトエレクトロニクス半導体チップの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6277270
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】オプトエレクトロニクス半導体チップ、半導体部品、および、オプトエレクトロニクス半導体チップの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/62 20100101AFI20180129BHJP
   H01L 31/02 20060101ALI20180129BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20180129BHJP
   B23K 26/351 20140101ALI20180129BHJP
【FI】
   H01L33/62
   H01L31/02 A
   H01L21/78 Q
   H01L21/78 B
   H01L21/78 S
   H01L21/78 C
   B23K26/351
【請求項の数】20
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-528450(P2016-528450)
(86)(22)【出願日】2014年7月17日
(65)【公表番号】特表2016-531425(P2016-531425A)
(43)【公表日】2016年10月6日
(86)【国際出願番号】EP2014065445
(87)【国際公開番号】WO2015011028
(87)【国際公開日】20150129
【審査請求日】2016年3月16日
(31)【優先権主張番号】102013107971.7
(32)【優先日】2013年7月25日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】ワグナー ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ファイト トマス
(72)【発明者】
【氏名】ホクスホールト ビョルン
(72)【発明者】
【氏名】シュローサー フィーリプ
【審査官】 大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−514642(JP,A)
【文献】 特開2013−016576(JP,A)
【文献】 特開平06−283757(JP,A)
【文献】 特開平10−275936(JP,A)
【文献】 特開平10−242574(JP,A)
【文献】 特開2006−278751(JP,A)
【文献】 特開2011−129718(JP,A)
【文献】 特開2007−129143(JP,A)
【文献】 特開2012−138452(JP,A)
【文献】 特開2011−199122(JP,A)
【文献】 特開平08−032110(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102011054891(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 − 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オプトエレクトロニクス半導体チップ(1)、および、成形体(7)を有する半導体部品であって、
前記半導体チップ(1)は、キャリア(5)と、放射を発生させかつ/または受け取るために設けられた活性領域(20)を有する半導体ボディ(2)とを有し、
− 前記半導体ボディは、接続層(6)によって前記キャリア上に固定され;
− 前記キャリアは、前記半導体ボディに対向する第1の主面(53)と、前記半導体ボディとは反対側の第2の主面(54)との間に垂直方向に延在し、側面(51)が前記第1の主面と前記第2の主面とを互いに接続し;
− 前記キャリアの前記側面の第1の領域(511)が切欠き部(55)を有し;
− 前記側面の第2の領域が前記切欠き部と前記第2の主面との間に垂直方向に延在し;
− 前記半導体チップは、前記半導体ボディと前記第1の領域とを、それぞれ、少なくとも部分的に被覆している絶縁層(4)を有し;
− 前記第2の領域には、前記絶縁層が存在せず、
− 前記成形体は、前記半導体チップ上に成形され、前記キャリアの前記側面の前記第1の領域と前記第2の領域とを、それぞれ、少なくとも一部の領域において被覆し;
− 前記半導体部品は、外部と電気的接続を行うために、前記成形体の前面側、および/または、後面側において、一以上の電気接触部を備え、
− 前記半導体部品は、前記半導体チップ(1)の前記キャリアの前記第2の主面とは反対側の前面(11)から、前記キャリアの前記第1の領域を介して前記成形体の前記前面(71)まで引かれている接触トラック(8)を有する、半導体部品。
【請求項2】
前記絶縁層は、前記第1の領域を完全に被覆する、請求項1に記載の半導体部品。
【請求項3】
前記絶縁層は、前記接触トラックは、いずれの位置においても、前記キャリアと直接的には隣接しない、請求項1又は2に記載の半導体部品。
【請求項4】
前記キャリアは、導電性である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体部品。
【請求項5】
前記半導体チップの前面には、前記成形体の材料が存在しない、請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体部品。
【請求項6】
前記絶縁層は、前記接続層の前記半導体ボディを横方向に越えて延出する部分を完全に被覆している、請求項1〜のいずれか一項に記載の半導体部品。
【請求項7】
前記切欠き部の垂直方向の広がりは、前記キャリアの垂直方向の広がりの10%〜70%(両端値を含む)である、請求項1〜のいずれか一項に記載の半導体部品。
【請求項8】
前記キャリアの更なる側面には、前記切欠き部が存在しない、請求項1〜のいずれか一項に記載の半導体部品。
【請求項9】
複数の半導体チップの製造方法であって、
a) 放射を発生させかつ/または受け取るために設けられた活性領域(20)を有する半導体積層体(200)であって複数の半導体ボディ(2)に区画されている半導体積層体(200)と、前記半導体積層体が配置されているキャリア複合体(50)とを有する複合体(9)を設けるステップと;
b) 隣接する半導体ボディ間に少なくとも一部の領域において延在し、かつ、前記キャリア複合体内まで延在するトレンチ型くぼみ部(56)を形成するステップと;
c) 前記半導体積層体と前記トレンチ型くぼみ部の側面(560)とを、それぞれ、少なくとも一部の領域において被覆する絶縁層(4)を形成するステップと;
d) 前記複合体を前記複数の半導体チップに個片化するステップであって、前記個片化するステップは、前記トレンチ型くぼみ部に沿って少なくとも一部の領域において延在する個片化切込み部(3)によって行われるステップと、を含み、
前記個片化切込み部が完全に前記トレンチ型くぼみ部の内側に形成され、電気的接触面(81)が前記半導体ボディそれぞれの上に形成され、隣接する半導体ボディ間の前記トレンチ型くぼみ部に沿って延在する前記個片化切込み部は、それぞれ、前記個片化切込み部の中心線(31)が、関連する前記トレンチ型くぼみ部の中心線(561)よりも、前記隣接する半導体ボディの最も近い接触面から離隔するように形成される、複数の半導体チップの製造方法。
【請求項10】
前記キャリア複合体の前記半導体積層体に対向する前面(501)には、ステップd)において、前記トレンチ型くぼみ部の領域内に金属材料が存在しない、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記キャリア複合体の前記半導体積層体とは反対側の後面(502)には、ステップd)において、金属材料が存在しない、請求項または10に記載の方法。
【請求項12】
前記キャリア複合体は、ステップb)後に薄膜化される、請求項11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ステップd)において前記トレンチ型くぼみ部に沿って延在する前記個片化切込み部の幅は、前記トレンチ型くぼみ部の幅よりも小さい、請求項12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記キャリア複合体は、ステップd)において、前記トレンチ型くぼみ部とは反対側の面から個片化される、請求項13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記個片化切込み部の前記トレンチ型くぼみ部に対する位置決めは、前記キャリア複合体を通した前記トレンチ型くぼみ部の光学認識によって行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
レーザ放射による垂直方向における完全なまたは局所のみの材料改質が、ステップd)において、前記キャリア複合体内に行われる、請求項15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
化学的な材料除去が、ステップd)において、前記キャリア複合体内に行われる、請求項15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記トレンチ型くぼみ部は、ステップb)において、コヒーレント放射によって、化学的に、および/または、機械的に形成される、請求項17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記個片化するステップは、第1の方向と、当該第1の方向に対して斜め方向又は垂直方向に延びる第2の方向に沿って実行され、
前記トレンチ型くぼみ部は、前記第1の方向に沿って互いに平行に延び、前記第1の方向に沿って互いに隣接して配置された前記半導体ボディ間には形成されない、請求項18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記電気的接触面は、前記半導体ボディそれぞれの上の中心には設けられず、
前記トレンチ型くぼみ部の一方側に設けられた半導体チップの前記電気的接触面は、前記トレンチ型くぼみ部の他方側に設けられた半導体チップの前記電気的接触面よりも前記トレンチ型くぼみ部に近接する、請求項19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、オプトエレクトロニクス半導体チップ、オプトエレクトロニクス半導体チップを有する半導体部品、およびオプトエレクトロニクス半導体チップの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップにおいては、半導体チップの縁部を越えて引かれている接触トラックを電気的に接触するために、上記半導体チップの縁部の領域における電気的短絡のリスクが存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電気的接触の際の電気的短絡の上記リスクを低減させたオプトエレクトロニクス半導体チップを特定することが目的の1つである。さらに、信頼性の高い電気的接触が可能な半導体チップを簡単にかつ高い費用効果で製造し得る方法を特定する。
【0004】
かかる目的は特に、それぞれ、本独立特許請求項に係わるオプトエレクトロニクス半導体チップおよび方法によって達成される。さらなる実施形態および有利な特徴が従属請求項の主題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本オプトエレクトロニクス半導体チップの少なくとも一実施形態では、半導体チップは、放射を発生させかつ/または受け取るために設けられた活性領域を有する半導体ボディを有する。
【0006】
例えば、上記活性領域は、第1の導電型の第1の半導体層と、第1の導電型とは異なる第2の導電型の第2の半導体層との間に配置されている。例えば、上記半導体ボディ、特に上記活性領域は、III−V族化合物半導体材料を含む。
【0007】
本オプトエレクトロニクス半導体チップの少なくとも一実施形態では、半導体チップは、キャリアを有する。キャリアは、半導体ボディに対向する第1の主面と、半導体ボディとは反対側の第2の主面との間に垂直方向に延在している。側面が第1の主面と第2の主面とを互いに接続している。したがって、かかる側面は、キャリアの範囲を横方向において画定している。キャリアは、特に、半導体ボディの各半導体層のエピタキシャル成膜のための成長基板とは異なる。例えば、キャリアは、シリコン、ゲルマニウム、または、ガリウムヒ素等の半導体材料を含む。
【0008】
本オプトエレクトロニクス半導体チップの少なくとも一実施形態では、半導体ボディは、接続層によってキャリア上に固定されている。特に、接続層によって半導体ボディとキャリアとの材料接合が形成されている。材料接合において、これらの接続要素(予め作製されていることが好ましい)は、原子間力および/または分子間力によって結合される。特に、接続層には、電気接続層が適している。例えば、接続層は、はんだまたは導電性接着剤を含む。
【0009】
本オプトエレクトロニクス半導体チップの少なくとも一実施形態では、キャリアの側面は、第1の領域を有し、かかる第1の領域は切欠き部を有する。本半導体チップの上面視において、キャリアの第1の領域の高さの断面積は、第1の領域とは異なる第2の領域における断面積よりも小さい。第2の領域は、特に垂直方向において第1の領域に隣接している。
【0010】
第2の領域は、特に、切欠き部と第2の主面との間に垂直方向に延在している。一例では、切欠き部は、キャリアの第1の主面に隣接している。
【0011】
上記切欠き部の垂直方向の広がりは、例えば、キャリアの垂直方向の広がりの5%〜70%(両端値を含む)、特に10%〜60%(両端値を含む)である。
【0012】
本オプトエレクトロニクス半導体チップの少なくとも一実施形態では、半導体チップは、絶縁層を有する。この絶縁層は、半導体ボディのキャリアとは反対側の面上に少なくとも一部の領域において延在している。特に、絶縁層は、本半導体チップの上面視において、半導体チップの、外側からの電気的接触のためには設けられていない全領域を被覆している。換言すれば、例えば、半導体チップの外側からの電気的接触のための接触面には、絶縁層が存在しない。特に、絶縁層は、単一の成膜ステップで形成され、キャリアの第1の領域と半導体ボディとの両方を少なくとも一部の領域において被覆し、特にそれらのいずれにも直接隣接している密着層として形成されている。
【0013】
本オプトエレクトロニクス半導体チップの少なくとも一実施形態では、絶縁層は、半導体ボディと側面の第1の領域とを、それぞれ、少なくとも部分的に被覆している。特に、絶縁層は、側面の第1の領域を完全に被覆している。したがって、切欠き部の領域において、キャリア材料は横方向において露出しておらず、絶縁層の材料によって被覆されている。
【0014】
本オプトエレクトロニクス半導体チップの少なくとも一実施形態では、第2の領域には絶縁層が存在しない。側面の第2の領域は、半導体チップの製造時、特に複合体から半導体チップを個片化する際に形成される。そのため、側面の第2の領域において、半導体チップには、個片化ステップの(例えば、材料の除去の)形跡があり得る。かかる材料の除去は、コヒーレント放射によって、化学的に、および/または、機械的に行われることができる。
【0015】
本オプトエレクトロニクス半導体チップの少なくとも一実施形態では、半導体チップは、キャリアと、放射を発生させかつ/または受け取るために設けられた活性領域を有する半導体ボディとを有し、半導体ボディは、接続層によってキャリア上に固定されている。キャリアは、半導体ボディに対向する第1の主面と、半導体ボディとは反対側の第2の主面との間に垂直方向に延在し、側面が第1の主面と第2の主面とを互いに接続している。キャリアの側面の第1の領域は切欠き部を有する。側面の第2の領域は、切欠き部と第2の主面との間に垂直方向に延在している。半導体チップは、絶縁層を有し、この絶縁層は、半導体ボディと第1の領域とを、それぞれ、少なくとも部分的に被覆している。第2の領域には、絶縁層が存在しない。
【0016】
したがって、上記絶縁層はキャリアを、第1の主面において被覆するだけでなく、切欠き部の領域においても少なくとも部分的に、特に完全に被覆している。このように、切欠き部の領域では、キャリアの側面は露出しておらず、絶縁層によって被覆されている。したがって、例えば、半導体チップの縁部を越えて引かれている、コーティング等として形成された接触トラックを介した半導体チップの外側からの電気的接触の際の電気的短絡のリスクが低減される。さらに、上記絶縁層に加えて設けられる、半導体チップへの個片化後にのみ形成される絶縁層を省略することができる。
【0017】
本半導体チップの少なくとも一実施形態では、キャリアは導電性である。半導体チップの電気的接触を、キャリアを通して、特にキャリア自体の材料を介して行うことができる。
【0018】
本半導体チップの少なくとも一実施形態では、絶縁層は、接続層の半導体ボディを横方向に越えて延出する部分を完全に被覆する。換言すれば、接続層は、半導体チップのいかなる箇所においても露出していない。
【0019】
少なくとも一実施形態では、半導体部品は、半導体チップおよび成形体を有する。かかる半導体チップは特に、上述の本半導体チップの特徴を少なくとも1つ以上有することができる。成形体は、半導体チップ上に成形され、キャリアの側面の第1の領域と第2の領域とを、それぞれ、少なくとも一部の領域において被覆している。特に、成形化合物が第2の領域を完全に被覆することができる。一例として、半導体チップの放射出射面として使用される前面には、成形体の材料が存在しない。
【0020】
本半導体部品の少なくとも一実施形態では、半導体部品は接触トラックを有し、この接触トラックは、半導体チップの、キャリアの第2の主面とは反対側の前面から、キャリアの第1の領域を介して成形体の前面まで引かれている。半導体部品は外側からの電気的接触のために、成形体の前面上、および/または、成形体の後面上のそれぞれに1つ以上の電気接触部を有することができる。
【0021】
上記接触トラックはキャリアに、いかなる箇所においても直接隣接していない。したがって、接触トラックとキャリアとの間の電気的短絡のリスクが回避される。
【0022】
複数の半導体チップの本製造方法の少なくとも一実施形態では、半導体積層体とキャリア複合体とを有する複合体を設ける。半導体積層体は、特に、放射を発生させかつ/または受け取るために設けられた活性領域を備え、一例として複数の半導体ボディに区画されている。半導体積層体は、一例として、キャリア複合体上に配置され、材料接合によってキャリア複合体に固定されている。
【0023】
上記キャリア複合体は、半導体積層体に対向する前面と、半導体積層体とは反対側の後面とを有する。
【0024】
本方法の少なくとも一実施形態では、本方法は、隣接する半導体ボディ間に少なくとも一部の領域において延在し、キャリア複合体内まで延在するトレンチ型くぼみ部を形成するステップを含む。しかしながら、トレンチ型くぼみ部は、完全にはキャリアを垂直方向に貫通して延在していない。一例として、トレンチ型くぼみ部は、コヒーレント放射によって、特に、例えばパルス幅がピコ秒範囲またはナノ秒範囲内のパルス発振動作のレーザを用いて形成される。代替または追加として、例えば、湿式化学エッチングもしくは乾式化学エッチング等の化学的方法、または、研削法もしくはソーイング法等の機械的方法を使用することができる。一例として、ウェハソーが適している。
【0025】
トレンチ型くぼみ部を形成するステップを、それぞれ、隣接する半導体ボディ間に第1の方向に対して平行に行うことができる。さらに、トレンチ型くぼみ部を形成するステップを、第1の方向に対して斜めにまたは直交して延びる第2の方向に行うことができる。
【0026】
本方法の少なくとも一実施形態では、本方法は、半導体積層体と、トレンチ型くぼみ部の側面とを、それぞれ、少なくとも一部の領域において被覆する絶縁層を形成するステップを含む。絶縁層を形成するステップを、CVD法(化学蒸着法)またはPVD法(物理蒸着法)等を用いて実行することができる。特に、ALD法(原子層堆積法)が、絶縁層を堆積するステップに適している。複合体の外形と一致する被覆(すなわち、複合体の表面形状の次層のコーティング)を、ALD法を用いて特に高い信頼性で実現することができる。このように、成形箇所である縁部の、信頼性の高い絶縁を、非常に薄い層によって既に実現することができる。
【0027】
本方法の少なくとも一実施形態では、本方法は、複合体を複数の半導体チップに個片化するステップを含み、この個片化ステップは、トレンチ型くぼみ部に沿って少なくとも一部の領域に延在する個片化切込み部によって行われる。
【0028】
用語「個片化切込み部」は、本明細書において製造方法の種類に対するいかなる限定も示唆しない。個片化切込み部は、特に、分割、破断、もしくは、ソーイング等によって機械的に、湿式化学エッチングもしくは乾式化学エッチング等によって化学的に、または、コヒーレント放射によって形成されることができる。個片化切込み部がトレンチ型くぼみ部に沿って延びる領域において、個片化切込み部は、特に複合体の上面視において、完全にトレンチ型くぼみ部の内側に形成されることができる。
【0029】
本方法の少なくとも一実施形態では、キャリア複合体の半導体積層体に対向する前面には、個片化の際にトレンチ型くぼみ部の領域内に金属材料が存在しない。したがって、個片化の際に、上記前面に設けられる金属材料は切断されない。
【0030】
本方法の少なくとも一実施形態では、キャリア複合体の半導体積層体とは反対側の後面には、個片化の際に金属材料が存在しない。このように、金属材料は、キャリア複合体の後面上に設けられていない。
【0031】
本方法の少なくとも一実施形態では、キャリア複合体を、特にトレンチ型くぼみ部の形成後に薄膜化する。製造される半導体チップの構造の高さを薄膜化によって低くすることができる。同時に、薄膜化前のキャリア複合体は、半導体積層体を機械的に安定させることができる。
【0032】
本方法の少なくとも一実施形態では、個片化の際にトレンチ型くぼみ部に沿って延在する個片化切込み部の幅は、トレンチ型くぼみ部よりも小さい。したがって、個片化切込み部は、トレンチ型くぼみ部内において容易に形成される。これにより、さらに、隣接する半導体ボディ間に必要な間隔を最小化することができる。
【0033】
本方法の少なくとも一実施形態では、電気接触面を各半導体ボディ上に形成し、隣接する半導体ボディ間のトレンチ型くぼみ部に沿って延在する個片化切込み部を、それぞれ、個片化切込み部の中心線が、関連するトレンチ型くぼみ部の中心線よりも当該隣接する半導体ボディの最も近い接触面から離隔するように形成する。接触面は、特に各半導体ボディ上の中心に配置されていないため、トレンチ型くぼみ部の一方側に隣接する半導体チップの接触面が当該トレンチ型くぼみ部の他方側に隣接する半導体チップの接触面よりも当該トレンチ型くぼみ部に近い。
【0034】
本方法の少なくとも一実施形態では、キャリアを、個片化の際にトレンチ型くぼみ部とは反対側から、特にキャリア複合体の後面から個片化する。個片化切込み部のトレンチ型くぼみ部に対する位置決めを、キャリア複合体を通したトレンチ型くぼみ部の光学認識によって行うことができる。特に、高水準の光学コントラストを、金属の存在しないトレンチ型くぼみ部とトレンチ型くぼみ部間に配置された金属材料とによって実現することができる。
【0035】
代替として、キャリア複合体を、トレンチ型くぼみ部が形成される側から、特にキャリア複合体の前面から個片化することもできる。
【0036】
本方法の少なくとも一実施形態では、レーザ放射による垂直方向における完全なまたは局所のみの材料改質(例えば、材料の除去)を、個片化の際にキャリア複合体内に行う。例えばピコ秒範囲またはナノ秒範囲内のパルス幅を使用したパルス発振動作のレーザ等を用いたレーザアブレーション法が、完全な材料の除去に適している。
【0037】
局所のみの材料改質の場合、個片化を、材料改質によって画定される亀裂に沿って機械的に誘発することができる。特に、この材料改質は、材料内に機械的張力を発生させることができ、それにより亀裂を画定する。例えば、ステルスダイシング法がこの目的に適している。
【0038】
本方法の少なくとも一実施形態では、化学的な材料除去を、個片化の際にキャリア複合体内に行う。特に、プラズマ分割法等の乾式化学法がこの目的に適している。
【0039】
本明細書に記載の方法は、上述の半導体チップの製造に特に適している。したがって、上記半導体チップに関連して言及した特徴が本方法に使用されることもでき、その逆も同様である。
【0040】
さらに、さらなる特徴、実施形態、および、有利な性質が図面と共に以下に説明する例示的実施形態から明らかになる。
【0041】
同一、同等、または、同一の働きの要素には、図中で同一の参照記号を付す。
【0042】
各図の、および、図示した各要素の大きさの互いに対する比は、正しい縮尺ではない。むしろ、表現性を高め、かつ/または、理解しやすくするために、個々の要素および特に層厚さは、誇張した厚さまたは大きさで示され得る。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】半導体チップの例示的実施形態を示す概略断面図である。
図2A】半導体部品の例示的実施形態を示す概略断面図である。
図2B】半導体部品の例示的実施形態を示す概略上面図である。
図3A】半導体チップの製造方法の第1の例示的実施形態を中間ステップに基づいて示す概略断面図である。
図3B】半導体チップの製造方法の第1の例示的実施形態を中間ステップに基づいて示す概略断面図である。
図3C】半導体チップの製造方法の第1の例示的実施形態を中間ステップに基づいて示す概略断面図である。
図3D】半導体チップの製造方法の第1の例示的実施形態を中間ステップに基づいて示す概略断面図である。
図3E】半導体チップの製造方法の第1の例示的実施形態を中間ステップに基づいて示す上面図である。
図3F】半導体チップの製造方法の第1の例示的実施形態を中間ステップに基づいて示す上面図である。
図4A】半導体チップの製造方法の第2の例示的実施形態を示す断面図である。
図4B】半導体チップの製造方法の第2の例示的実施形態を示す上面図である。
図4C】半導体チップの製造方法の第2の例示的実施形態を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
半導体チップ1の例示的実施形態を、図1に概略断面図で示す。半導体チップ1は、半導体ボディ2およびキャリア5を備える。半導体ボディ2は、放射を発生させかつ/または受け取るために設けられ、第1の導電型(例えば、p型導電性)の第1の半導体層21と、第2の導電型(例えば、n型導電性)の第2の半導体層22との間に配置された活性領域20を備える。
【0045】
III−V族化合物半導体材料が特に半導体積層体に適している。III−V族化合物半導体材料は、紫外線(AlInGa1−x−yN)スペクトル域から可視(AlInGa1−x−yN(特に、青色から緑色放射に対応)またはAlInGa1−x−yP(特に、黄色から赤色放射に対応))スペクトル域を介して、赤外線(AlInGa1−x−yAs)スペクトル域までの放射を発生させることに特に適している。この目的のために、各化学式において、0≦x≦1、0≦y≦1、および、x+y≦1(特に、x≠1、y≠1、x≠0、および/または、y≠0)が成り立つ。さらに、特に、上記材料系のIII−V族化合物半導体材料であれば、放射を発生させる際の高い内部量子効率を実現することができる。
【0046】
半導体ボディ2が、はんだ層または導電接着層等の接続層6によってキャリア5上に固定されている。キャリア5は、半導体ボディ2の機械的安定化のために使用されている。半導体ボディ2の半導体層の成膜、特にエピタキシャル成膜のための成長基板が、もはや機械的安定化のためには必要とされないため、除去されている。成長基板を除去した半導体チップを薄膜半導体チップともいう。
【0047】
しかしながら、キャリア5自体が半導体ボディ2の半導体層のための成長基板であることも考えられる。この場合、半導体ボディ2とキャリア5との間の接続層が不要である。
【0048】
キャリア5は、半導体ボディ2に対向する第1の主面53と、第2の主面54との間に垂直方向に延在している。半導体ボディ2の範囲を横方向(すなわち、半導体ボディ2の半導体層の主延在面に平行に延びる方向)において画定する側面51が第1の主面と第2の主面との間に延在している。シリコン、ゲルマニウム、または、ガリウムヒ素層の半導体材料がキャリア5に特に適している。金属等の他の材料も代替として考えられる。
【0049】
側面51は、第1の領域511と、第1の領域に隣接する第2の領域512とを有する。第1の領域511において、キャリア5は切欠き部55を有する。側面51は、従来の半導体チップとは異なり、第1の主面53と第2の主面54との間の1つの面において完全に垂直には延在しない。むしろ、キャリア5の横方向の広がりは、第1の領域511、すなわち切欠き部55の領域において意図的に削減されている。切欠き部55の横方向の広がりは、好ましくは少なくとも0.5μmかつ最大でも20μmである。
【0050】
第2の領域512は、第1の領域511と第2の主面54との間に垂直方向に延在している。切欠き部55は、キャリア5の第1の主面53に隣接している。半導体チップ1の上面視において、キャリア5の切欠き部55の領域における断面積は、第2の領域512における断面積よりも小さい。
【0051】
キャリア5のさらなる側面52には、切欠き部55が存在しない。しかしながら、キャリア5は、2つ以上の側面(例えば、2つの対向する側面および/もしくは2つの隣接する側面または全側面)にそのような切欠き部55を有することもできる。
【0052】
半導体チップ1は、第2の主面54とは反対側の面上に半導体チップ1の電気的接触のための接触面81を有する。図示の例示的実施形態では、かかる接触面81は、半導体チップ1の上面視において半導体ボディ2と重なっている。しかしながら、接触面81は、半導体ボディ2から横方向に離間してキャリア5上に配置されることもできる。
【0053】
半導体チップ1は、絶縁層4をさらに備える。かかる絶縁層4は、半導体チップ1の前面11上に形成されている。絶縁層4は、半導体ボディ2、特に半導体ボディ2の側面を被覆している。さらに、絶縁層4は、接続層6の半導体ボディ2を横方向に越えて延出する領域と、キャリア5の第1の主面53とを被覆している。さらに、絶縁層4は、側面51の第1の領域511を被覆している。したがって、キャリア5は第1の領域511において露出しておらず、むしろ特に完全に絶縁層4によって被覆されている。これにより、半導体チップ1の電気的接触の際のキャリア5を介した短絡のリスクは回避される。したがって、絶縁層4に加えて設けられる、半導体ボディ2の側面を被覆する絶縁層4が不要である。
【0054】
第2の領域512には、絶縁層4が存在しない。したがって、キャリア5は第2の領域512において露出している。一例として、酸化アルミニウム(例えばAl)または酸化シリコン等の酸化物、または、窒化シリコン等の窒化物が、絶縁層4の材料として適している。
【0055】
半導体部品の例示的実施形態を図2Aおよび図2Bに概略的に示す。かかる例示的実施形態では、半導体チップ1は、図1に関連して説明したように具現化されている。半導体部品10は、成形体7をさらに備える。この半導体部品10の製造中、成形体7のための成形化合物を、半導体チップ1上、特にキャリア5上に成形する。例えば、キャスト法が成形体の形成に適している。
【0056】
キャスト法は概して、成形化合物を注型(成形)、射出成形、または、トランスファー成形等を用いて所定の形状に従って形成することができる方法である。
【0057】
成形体7は、特に側面51の第1の領域511および第2の領域512において半導体チップ1に隣接している。絶縁層4は、キャリア5と成形体7との間の第1の領域511内に形成されている。第2の領域512では、成形体はキャリア5に隣接している。
【0058】
例えば、シリコーン等のプラスチックが成形体に適している。さらに、成形体7には、TiO2粒子等の反射性粒子が混合されることができる。
【0059】
半導体チップ1の前面11から、接触トラック8が半導体チップ1の接触面81から半導体チップ1の縁部を介して半導体チップ1を横方向に越えて成形体7の前面71上まで引かれている。例えば、半導体部品10は、外側からの電気的接触のために2つの前側接触部、2つの後側接触部、または、1つの前側接触部および1つの後側接触部を有することができる。かかる接触部は、図示を簡潔にするために明示されていない。
【0060】
接触トラック8がキャリア5にいかなる箇所においても直接隣接しないことが絶縁層4によって確実となっている。これにより、接触トラック8とキャリア5との間の、特にキャリア5の側面上での、電気的短絡のリスクは回避される。
【0061】
図3A図3Fは、半導体チップの製造方法の第1の例示的実施形態を示す。各図において、製造の際に2つの半導体チップが得られる詳細を断面図で示す。
【0062】
図3Aに示すように、キャリア複合体50と半導体積層体200とを有する複合体9を設ける。キャリア複合体50は、半導体積層体200に対向する前面501と、反対側の後面502との間に垂直に延在する。各半導体チップの個々のキャリアは、後の個片化ステップにおいてキャリア複合体50から形成される。図示の例示的実施形態では、半導体積層体200は、接続層6によってキャリア複合体50上に固定されている。しかしながら、キャリア複合体は、半導体積層体200のための成長基板によって形成されることもできる。
【0063】
半導体積層体200は、メサトレンチ25によって互いに離間する半導体ボディ2に区画されている。トレンチ型くぼみ部56を上記前面からキャリア複合体50内に形成する。かかるトレンチ型くぼみ部56は、キャリア複合体50内まで垂直方向に延在するが、キャリア複合体50を垂直方向において完全には分断しない。複合体の上面視において、トレンチ型くぼみ部56は、隣接する半導体ボディ2間に延在する。
【0064】
トレンチ型くぼみ部56を形成するステップを、例えば、パルス幅がピコ秒範囲またはナノ秒範囲のパルスレーザ等によるレーザアブレーションを用いて実行することができる。代替として、トレンチ型くぼみ部56を、乾式化学エッチング法等の化学的方法を用いて形成することもできる。さらに、研削法またはソーイング法等の機械的方法を使用することもできる。一例として、ウェハソーが適している。
【0065】
トレンチ型くぼみ部56の形成前、接続層6はキャリア複合体一面に連続的に延在することができる。したがって、この場合、トレンチ型くぼみ部56の形成の際に接続層6を構造化する。特にパルス幅がピコ秒範囲のパルスレーザが、除去の際の材料選択性の低さから、接続層6の構造化の目的に特に適している。
【0066】
図3Eに示すように、トレンチ型くぼみ部56が第1の方向に沿って互いに平行に延びているのみで既に十分である。したがって、第1の方向に沿って互いに隣接して配置された半導体ボディ2間にトレンチ型くぼみ部56は形成されない。しかしながら、追加的に、第1の方向に対して斜めにまたは直交して延びる第2の方向に沿ってトレンチ型くぼみ部56を形成することも考えられる。
【0067】
トレンチ型くぼみ部56の形成後、図3Bに示すように、絶縁層4を複合体の前面に形成する。かかる絶縁層4は、特に、トレンチ型くぼみ部56も被覆し、トレンチ型くぼみ部56の領域においてキャリア複合体50に直接隣接する。さらに、上記絶縁層4は、複合体9の前面の、後の半導体チップの電気的接触のためには設けられていない全領域を被覆するように形成される。接触面81のみに絶縁層4が存在しないままである。特に、ALD法が絶縁層4の形成に適している。しかしながら、CVD法(例えば、蒸着)またはPVD法(例えば、スパッタリング)等の他の成膜法を使用することもできる。
【0068】
次いで、キャリア複合体50を後面502から薄膜化する。薄膜化後、トレンチ型くぼみ部56の垂直方向の広がりは、キャリア複合体50の厚さの、好ましくは10%〜70%(両端値を含む)、特に好ましくは20%〜50%(両端値を含む)である(図3C)。
【0069】
次いで、複合体9をステルスダイシング法を用いて個片化する(図3D)。この目的のために、最初に亀裂32を放射誘発の材料改質によって形成することにより、放射を照射された材料に機械的張力をかける。
【0070】
次いで、キャリアの破断を機械的に引き起こす。これにより形成された個片化切込み部3は、各トレンチ型くぼみ部56の領域内に第1の方向に沿って延在する。この場合、個片化を第1の方向、および、第1の方向に対して直交して延びる第2の方向に沿って行う(図3F)。
【0071】
個片化切込み部3をトレンチ型くぼみ部56に対して位置合わせするために、トレンチ型くぼみ部56の位置を、光学的方法(例えば、赤外線スペクトル域において高感度のカメラ)によってキャリアを通して確認することができる。図示の形態では、トレンチ型くぼみ部56は金属が存在しない実施形態として表され、それに対し、接続層6としてのはんだ層等の金属層がトレンチ型くぼみ部56間に設けられている。
【0072】
キャリア複合体50の後面にも金属材料が存在しない。これにより、個片化切込み部3をトレンチ型くぼみ部56に対して位置合わせするためのキャリアを通した観察が容易に行われる。
【0073】
半導体チップ1のキャリア5の、個片化の際に形成される側面51の第2の領域512は、個片化切込み部3によって形成される。第2の領域512において、側面には絶縁層4の材料が存在しない。個片化切込み部の形成の種類に応じて、第2の領域512は、個片化切込み部の形跡を少なくとも一部の領域において有することができる。
【0074】
側面の第1の領域511における切欠き部55は、トレンチ型くぼみ部56によって形成される。これら第1の領域511は、絶縁層4によって完全に被覆されている。それに対し、第2の領域512は、絶縁層4の形成後にのみ形成されるため、第2の領域512には絶縁層4の材料が存在しない。
【0075】
方法の第2の例示的実施形態を図4A図4Cに示す。第2の例示的実施形態では、図3A図3Cに関連して説明したように、複合体を設けるステップ、トレンチ型くぼみ部56を形成するステップ、絶縁層4を形成するステップ、および、キャリア複合体50を薄膜化するステップを行うことができる。
【0076】
第1の例示的実施形態とは異なり、第2の例示的実施形態では、個片化を図4Aに示すように複合体9の前面から行う。例えば、パルス幅がピコ秒範囲またはナノ秒範囲のパルスレーザを使用したレーザアブレーションによって個片化を行う。この場合、個片化切込み部3の幅は、トレンチ型くぼみ部56の幅と同等であることができる。
【0077】
好ましくは、個片化切込み部3を、複合体9の上面視において、当該個片化切込み部3の中心線31が、関連するトレンチ型くぼみ部56の中心線561に平行にかつ当該中心線561をはずれて延びるように、当該関連するトレンチ型くぼみ部56に対して形成する。特に、個片化切込み部3は、当該個片化切込み部3の中心線31から最も近い接触面81への距離が、トレンチ型くぼみ部56の中心線からの当該最も近い接触面81への距離よりも離隔するように中心線561をはずれている。これにより、キャリア複合体50の個片化の際に形成される、個片化された半導体チップのキャリア5は確実に、少なくとも1つの側面51上に絶縁層4によって被覆された切欠き部55を有する。
【0078】
図4Bおよび図4Cは、複合体9の上面視におけるトレンチ型くぼみ部56および個片化切込み部3の位置を示す。トレンチ型くぼみ部56は第1の方向に沿って形成されるのみであるが、個片化は、第1の方向に沿って、かつ、追加的に第1の方向に直交する第2の方向に沿って行われる。
【0079】
説明した複合体9の前面からの個片化の際に、説明した例示的実施形態にも関わらず、例えば半導体チップ1の外側からの電気的接触のために、キャリア複合体50の後面502にメタライゼーションを設けることもできる。
【0080】
上述の例示的実施形態にも関わらず、個片化をプラズマ法等の化学的方法によって行うこともできる。この場合、図3A図3Fに関連して説明したように複合体の後面からも、図4A図4Cに関連して説明したように複合体の前面からも個片化を行うことができる。前面からの個片化の場合、個片化切込み部3が形成される領域(すなわち、トレンチ型くぼみ部56の底部)において個片化切込み部3が形成される前に、絶縁層4を除去することができる。かかる絶縁層4の除去は、例えば、パルス幅がピコ秒範囲のパルスレーザ等によって行うことができる。
【0081】
本願は、独国特許出願第102013107971.7号の優先権を主張し、その開示内容は参照によって本明細書に援用される。
【0082】
本発明は、例示的実施形態に基づく記載によって制限されない。むしろ、新規な特徴すべて、または特徴の任意の組合せすべて、特に請求項に特定された特徴の組合せすべてが、それら自体、請求項または例示的実施形態に明示的に特定されていないとしても、本発明は、新規な特徴すべて、または特徴の任意の組合せすべて、特に請求項に特定された特徴の組合せすべてを含む。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4A
図4B
図4C