(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
交流を電流一定の直流に変換する順変換部と、スイッチング素子を有し、前記順変換部から供給される直流を前記スイッチング素子のオンオフによって交流に変換して負荷に出力する共振型の逆変換部と、前記逆変換部の出力電流値と、前記逆変換部の通電時間と、通電時間/(通電時間+非通電時間)から求まる前記逆変換部の使用率とが設定され、設定された電流値、通電時間及び使用率に基づいて前記順変換部及び前記逆変換部を動作させる制御部と、を備える電力変換装置の制御方法であって、
前記制御部が行う、
前記逆変換部の出力電流値、前記逆変換部の通電時間と、前記逆変換部の使用率と、前記負荷の共振周波数とを設定するための入力を受け付ける設定ステップと、
前記逆変換部の出力周波数、通電時間及び使用率と、前記スイッチング素子の最大使用可能温度以下の所定温度での前記逆変換部の許容出力電流値とを関連付けたデータに基づき、設定された出力電流値、通電時間、使用率及び共振周波数による出力の可否を判定する判定ステップと、
出力が可であると判定した場合にのみ前記順変換部及び前記逆変換部を動作させる出力ステップと、
を備える電力変換装置の制御方法。
【背景技術】
【0002】
鋼材等からなるワークの熱処理におけるワークの加熱方法として誘導加熱がある。そして、誘導加熱を用いた熱処理のうち特に焼入れ処理では、焼入れ深さに応じて周波数が選択されている。
【0003】
非特許文献1に記載された電力変換装置は、スイッチング素子としてのパワー半導体素子を用いて直流を高周波の交流に変換している。パワー半導体素子としては、例えば出力の周波数が10kHz未満ではサイリスタ素子が用いられ、10kHz〜100kHzではIGBTが用いられ、100kHz以上ではMOSFETが用いられている。
【0004】
出力の周波数が10kHzの場合と100kHzの場合とでは、パワー半導体素子のスイッチング損失が10倍異なり、パワー半導体素子の温度上昇も大きく異なる。電力変換装置のインバータの最大定格値を装置の動作範囲の最大周波数且つ連続出力で決めると、出力の周波数が低い場合及び/又は短時間出力である場合に、パワー半導体素子の温度上昇が小さく出力に余裕があるにもかかわらず、最大定格値に制限されてしまい、経済的ではない。
【0005】
そこで、特許文献1及び特許文献2に記載の電力変換装置は、交流を直流に変換する順変換部と、順変換部によって変換された直流を平滑化する平滑部と、平滑部によって平滑化された直流をスイッチング素子のオンオフによって高周波の交流に変換する逆変換部と、順変換部及び逆変換部を動作させる制御部とを備え、制御部は、出力の周波数等の装置の使用状況に応じ、スイッチング素子の使用可能な温度範囲内で逆変換部の最大定格値を変化させる。
【0006】
具体的には、制御部は、出力の周波数、通電時間、使用率(通電時間/(通電時間+通電していない時間))及びスイッチング素子の使用可能な温度での電力を関連付けるデータを用い、通電時間、使用率が設定されると、設定された条件のもと、出力の周波数に応じてスイッチング素子に流すことができる最大許容電流をデータに基づいて計算する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の実施形態を説明するための、電力変換装置の一例を示す。
【0017】
電力変換装置10は、商用電源等から供給される交流を電流一定の直流に変換する順変換部11と、順変換部11から供給される直流を交流に変換して出力する逆変換部13と、順変換部11及び逆変換部13の制御回路(不図示)を動作させる制御盤14とを備える。
【0018】
逆変換部13の出力には負荷15が接続され、負荷15は、鋼材等からなるワークを誘導加熱する加熱コイルLと、コンデンサCとを有する。加熱コイルLと、コンデンサCとは逆変換部13の出力に対して直列に接続されており、直列共振回路を形成している。
【0019】
順変換部11は、例えば外部信号に基づいて導通の制御が可能なサイリスタ等の半導体素子と平滑コンデンサとを用いて、平滑後の電圧を可変に直流に変換する。半導体素子の導通は、平滑後の電圧を変化させることによって電流一定となるように、上記制御回路によって制御される。なお、平滑コンデンサに対する突入電流を抑制するため、リアクトルがさらに用いられてもよい。
【0020】
逆変換部13は、複数のスイッチング素子がブリッジ状に接続されてなり、順変換部11から供給される電流一定の直流をスイッチング素子のオンオフによって交流に変換して出力する。スイッチング素子のオンオフ、つまりは逆変換部13の出力周波数は、上記制御回路によって制御される。この制御において、出力周波数は逆変換部13の動作範囲内の最大周波数から徐々に下げられ、出力周波数が下げられる過程で検出された負荷15の共振周波数に保持される。
【0021】
スイッチング素子としてはパワー半導体素子を用いることができ、パワー半導体素子としては、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)や、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)といったスイッチング動作可能な各種のパワー半導体素子が使用可能であり、半導体材料として、例えばSi(シリコン)を用いたものや、SiC(シリコンカーバイト)を用いたものがある。
【0022】
図2は、負荷15のインピーダンス変化の一例を示す。
【0023】
図2に示すように、直列共振回路を形成する負荷15のインピーダンスZは、典型的には、共振周波数f
0にて最小となる。このような負荷15が接続される電力変換装置10は、一定電流を出力するように構成される。なぜなら、電力変換装置10が一定電圧を出力するように構成されると、負荷15のインピーダンスZで決まる電流が出力されるが、逆変換部13は負荷15のインピーダンスZが最小となる共振周波数f
0にて動作され、逆変換部13に大きな電流が流れてしまうからである。また、直列共振回路に対して出力が一定電圧に制御されると、方形波電流が加熱コイル(インダクタ)Lに印加され、インダクタLの両端にL×di/dtの電圧が発生するが、方形波電流のdi/dtが非常に大きいため、インダクタLの両端に急峻な電圧が発生してしまうからである。
【0024】
なお、図示は省略するが、並列共振回路を形成する負荷(加熱コイルLと、コンデンサCとが逆変換部の出力に対して並列に接続される負荷)のインピーダンスは、典型的には、共振周波数にて最大となり、このような負荷が接続される電力変換装置は、一定電圧を出力するように構成される。なぜなら、電力変換装置が一定電流を出力するように構成されると、負荷のインピーダンスで決まる電圧が出力されるが、逆変換部は負荷のインピーダンスが最大となる共振周波数にて動作され、逆変換部に大きな電圧が印加されてしまうからである。また、並列共振回路に対して出力が一定電流に制御されると、方形波電圧がコンデンサCに印加され、コンデンサCにC×dv/dtの電流が流れるが、方形波電圧のdv/dtが非常に大きいため、コンデンサCに急峻な電流が流れてしまうからである。
【0025】
再び
図1を参照して、順変換部11及び逆変換部13の制御回路を動作させる制御盤14は、操作部20と、表示部21と、制御部22とを有する。
【0026】
操作部20は、例えばスイッチ等のハードウェアキーを含み、操作者による各種操作の入力に用いられる。表示部21は、例えばLCD(liquid crystal display)等の表示装置を含み、操作画面等を表示する。制御部22は、例えばPLC(programmable logic controller)等のコンピュータが用いられ、一つ以上のプロセッサと、プロセッサが実行するプログラム及びプログラムの実行に必要なデータを記憶しているROM(Read Only Memory)、RAM(Random access memory)等の記憶装置とを含み、プロセッサがプログラムを実行することによって、順変換部11及び逆変換部13の制御回路を動作させる。以下に、制御部22が実行する処理を説明する。
【0027】
<設定ステップ>
順変換部11及び逆変換部13の制御回路を動作させるにあたり、制御部22は、逆変換部13の出力電流値と、逆変換部13の通電時間と、逆変換部13の使用率と、負荷15の共振周波数とを設定するための操作部20に対する入力を受け付け、入力された値に基づき、出力電流値と、通電時間と、使用率と、共振周波数とを設定する。
【0028】
ここで、
図3を参照して、通電時間及び使用率について説明する。
【0029】
ワークの誘導加熱において、逆変換部13から加熱コイルLに交流が出力されている時間は、ワークにもよるが数秒〜十数秒である。一つのワークの誘導加熱が完了した後、次のワークが誘導加熱装置に設置されると、再び逆変換部13から加熱コイルLに交流が出力される。通電時間taは、逆変換部13から交流が出力されている時間であり、一つのワークの誘導加熱の完了に要する時間に対応する。非通電時間tbは、逆変換部13から交流が出力されていない時間であり、一つのワークの誘導加熱が完了した後、次のワークの誘導加熱が開始されるまでに要する時間に対応する。
【0030】
逆変換部13の使用率αは、通電時間taと非通電時間tbとの和を1周期とし、周期τに対する通電時間の割合として、下式により定義される。使用率α=100%は連続出力に相当する。なお、使用率αの設定では、使用率αが直接入力されてもよいし、通電時間ta及び非通電時間tbが入力されてもよい。
α=ta/τ
=ta/(ta+tb)
【0031】
<判定ステップ>
次に、制御部22は、設定された出力電流値、通電時間、使用率及び共振周波数による出力の可否を判定する。出力可否の判定には、逆変換部13の出力周波数、通電時間及び使用率と、逆変換部13に含まれるスイッチング素子の最大使用可能温度以下の所定温度での許容出力電流値とを関連付けたデータが用いられ、このデータは制御部22の記憶装置に予め記憶されている。
【0032】
ここで、
図4及び
図5を参照して、出力可否の判定に用いられるデータについて説明する。
【0033】
図4及び
図5に示すグラフの横軸は使用率α(%)であり、縦軸は定格電力(kW)であり、通電時間t
1、t
2、t
3、t
4(t
1<t
2<t
3<t
4)毎の使用率と、スイッチング素子の温度が最大使用可能温度以下の所定温度に達する許容出力電流値から換算される定格電力との関係を、周波数f
1、f
2(f
1<f
2)別に表したものである。
【0034】
スイッチング素子の温度はスイッチング素子の損失と冷却とで定まり、スイッチング素子の損失は次式で表される。
スイッチング素子の損失=定常損失+スイッチング損失
ここで、定常損失は、スイッチング素子の通電による損失であり、その損失量は出力電流値及び通電時間に依存する。一方、スイッチング損失は、スイッチング素子のオンオフによる損失であり、その損失量は周波数(スイッチング回数)及び通電時間に依存する。
【0035】
したがって、同じ電流を同じ通電時間且つ同じ使用率で流しても、周波数が高いとスイッチング損失量が大きくなり、スイッチング素子の温度が高くなる。換言すれば、スイッチング素子の損失に対する温度上昇をスイッチング素子の温度にかかわらず一定として、同じ通電時間且つ同じ使用率ならば、周波数が低いほどに許容出力電流値及び許容出力電流値から換算される定格電力を大きくできる。
図4に示す周波数f
1のデータと
図5に示す周波数f
2(f
1<f
2)のデータとで同じ通電時間且つ同じ使用率の定格電力を比較すると、相対的に低い周波数f
1の定格電力が大きくなっている。
【0036】
また、使用率が100%未満の断続出力では、同じ電流を同じ周波数且つ同じ使用率で流した場合に、通電時間が長いと定常損失量及びスイッチング損失量が大きくなり、スイッチング素子の温度が高くなる。また、同じ電流を同じ周波数且つ同じ通電時間で流した場合に、使用率が高いとスイッチング素子の冷却が不足し、スイッチング素子の温度が高くなる。換言すれば、同じ周波数且つ同じ使用率ならば、通電時間が短いほどに許容出力電流値及び許容出力電流値から換算される定格電力を大きくでき、同じ周波数且つ同じ通電時間ならば、使用率が低いほどに許容出力電流値及び許容出力電流値から換算される定格電力を大きくできる。例えば
図5に示す周波数f
2のデータで通電時間t
1、t
2、t
3、t
4(t
1<t
2<t
3<t
4)それぞれの同じ使用率の定格電力を比較すると、基本的に、相対的に短い通電時間の定格電力ほど大きくなっている。そして、例えば通電時間t
1の定格電力をみると、使用率が低いほどに定格電力が大きくなっている。なお、使用率が100%の連続出力では定格電力は同じとなる。
【0037】
以下に、許容電流値の計算手法の一例を説明する。
【0038】
図6は、規則的な繰り返し電流、すなわち実際の正弦波を熱計算用の方形波で近似した電流からスイッチング素子の温度(ジャンクション温度)を求める際の計算手法を示す。
図6(A)に示すように、電力損失Ptmの通電時間をtp、周期をτとすると、
図6(B)に示すように、直近の2パルス以外は平均化して電力損失を近似化し、
図6(C)に示すように、重ね合わせの理論を電力損失に適用する。これにより、スイッチング素子のジャンクション温度を求める。
【0039】
規則的な繰り返し方形電流からスイッチング素子のジャンクション温度Tjは、下記の式により求まることが知られている。
Tj=Tw+Ptm{(tp/τ)・R(j-w)+(1−tp/τ)・R(j−w)(τ+tp)−R(j-w)(τ)+R(j-w)(tp)}
上式は、次のように変形される。
Tj−Tw=(T∞+T3−T2+T1)・Ptm
ここで、T∞=(tp/τ)・R(j-w)
T3=(1−tp/τ)・R(j−w)(τ+tp)
T2=R(j-w)(τ)
T1=R(j-w)(tp)
T∞は、損失の通電率(tp/τ)の割合が無限大時間与えられることを意味し、連続定格時の熱抵抗×通電率(tp/τ)により求める。
T3は、(τ+tp)時間における損失から、(τ+tp)時間の損失の通電率(tp/τ)の割合が引かれることを意味する。
−T2は、τ時間における損失分を引くことを意味する。
T1は、tp時間における損失分を足すことを意味する。
ここで、τとは繰り返し時間であり、R(j-w)(t)は時間tにおける過渡熱抵抗(℃/W)である。Twは冷却水の温度(℃)である。
【0040】
損失は、例えば次のようにして求めた定常損失とスイッチング損失の和で求めることができる。まず、定常損失については、或る電流のときの損失値を実測しておき、その損失値に、電流増加による損失増加率と、電流増加によるスイッチング素子の損失増加率とをそれぞれ掛けて求めることができる。また、スイッチング損失については、例えば1kHz当たりのスイッチング損失の値を実測しておき、その値に対して周波数を掛け、電流増加分を加味して求めることができる。
【0041】
このようにして求めた定常損失とスイッチング損失との和に対し、上述のT∞+T3−T2+T1を掛けた値が所定温度以下となるような関係とし、この関係を満たす電流値を求め、これを許容出力電流値とすることができる。なお、所定温度は、使用するスイッチング素子により定まり、スイッチング素子の最大使用可能温度とすることもでき、最大使用可能温度に適宜な安全率を乗じた温度とすることもできる。
【0042】
制御部22は、設定された共振周波数に応じたデータを参照し、設定された電流値と、設定された通電時間及び使用率に対応するデータ中の許容出力電流値と比較し、そして、設定された電流値が許容出力電流値以下である場合に、設定された電流値、通電時間及び使用率による出力を可と判定する。一方、設定された電流値が許容出力電流値を超える場合には、出力を不可と判定する。
【0043】
<出力ステップ>
出力可否の判定が可である場合に、制御部22は、設定された出力電流値、通電時間及び使用率にて順変換部11及び逆変換部13の制御回路を動作させる。
【0044】
一方、出力可否の判定が不可である場合に、制御部22は、順変換部11及び逆変換部13の制御回路を動作させず、例えば判定結果を表示部21に表示させるなどして、設定された出力電流値、通電時間、使用率及び共振周波数(逆変換部13の出力周波数)での出力が不可であることを操作者に報知する。この場合、出力電流値、通電時間、使用率及び共振周波数のうち一つ以上のパラメータが操作者によって適宜変更される。なお、共振周波数(逆変換部13の出力周波数)は、例えば負荷15に含まれるコンデンサCのキャパシタンスを増減することによって変更可能である。
【0045】
このように、電力変換装置10は、逆変換部13の出力周波数、出力電流値、通電時間及び使用率に応じて、スイッチング素子の使用可能な温度範囲内で逆変換部13の最大定格値を変化させるので、例えば出力周波数が低くなるのに伴って生じる出力の余裕を効率的に活用することができ、経済的である。
【0046】
そして、電力変換装置10は、設定された出力電流値にて一定電流を出力するように構成され、出力周波数、通電時間及び使用率と、逆変換部13に含まれるスイッチング素子の最大使用可能温度以下の所定温度での許容出力電流値とを関連付けたデータを用い、設定された出力電流値、通電時間及び使用率による出力の可否を判定するので、実際に通電することなく出力の可否を判定することができる。これにより、出力可能な条件(出力電流値、通電時間及び使用率)の設定に要する手間を軽減することができる。
【0047】
<変更ステップ>
なお、出力可否の判定が不可である場合に、制御部22は、判定が可となる周波数又は使用率を求め、求めた周波数又は使用率を表示部21に表示させるようにしてもよい。
【0048】
制御部22が求める周波数は、例えば、設定された共振周波数よりも低い周波数であって、設定された出力電流値、通電時間及び使用率との関係で出力が可となる周波数とすることができる。
図4及び
図5に示したように、周波数を低くすることによって、同じ通電時間且つ同じ使用率であっても許容出力電流値及び許容出力電流値から換算される定格電力を大きくでき、設定された出力電流値、通電時間及び使用率にて順変換部11及び逆変換部13を動作させることが可能となる。
【0049】
また、制御部22が求める使用率は、設定された使用率よりも低い使用率であって、設定された出力電流値、通電時間、共振周波数との関係で出力が可となる使用率とすることもできる。例えば
図5に示したように、使用率を低くすることによって、同じ周波数且つ同じ通電時間であっても許容出力電流値及び許容出力電流値から換算される定格電力を大きくでき、設定された出力電流値、通電時間及び共振周波数(逆変換部13の出力周波数)にて順変換部11及び逆変換部13を動作させることが可能となる。
【0050】
このように、出力周波数、通電時間及び使用率と、逆変換部13に含まれるスイッチング素子の最大使用可能温度以下の所定温度での許容電流値とを関連付けたデータに基づき、出力可否の判定が可となる周波数又は使用率を制御部22が求め、求めた周波数又は使用率を表示部21に表示させるようにすれば、出力可能な条件の設定に要する手間をさらに軽減でき、電力変換装置10の利便性を高められる。
【0051】
制御部22が行う以上のステップは、これらのステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして提供することもできる。このようなプログラムは、コンピュータが読取可能な一時的でない(Non-transitory)記録媒体に記録されて提供可能である。このような「コンピュータ読取可能な記録媒体」は、たとえば、CD−ROM(Compact Disc-ROM)等の光学媒体や、メモリカード等の磁気記録媒体等を含む。また、このようなプログラムを、ネットワークを介したダウンロードによって提供することもできる。
【0052】
以上、説明したとおり、本明細書に開示された電力変換装置は、交流を電流一定の直流に変換する順変換部と、スイッチング素子を有し、前記順変換部から供給される直流を前記スイッチング素子のオンオフによって交流に変換して負荷に出力する共振型の逆変換部と、前記逆変換部の出力電流値と、前記逆変換部の通電時間と、通電時間/(通電時間+非通電時間)から求まる前記逆変換部の使用率とが設定され、設定された出力電流値、通電時間及び使用率に基づいて前記順変換部及び前記逆変換部を動作させる制御部と、を備え、前記制御部には、前記負荷の共振周波数がさらに設定され、前記制御部は、前記逆変換部の出力周波数、通電時間及び使用率と、前記スイッチング素子の最大使用可能温度以下の所定温度での前記逆変換部の許容出力電流値とを関連付けたデータに基づき、設定された出力電流値、通電時間、使用率及び共振周波数による出力の可否を判定し、出力が可であると判定した場合にのみ前記順変換部及び前記逆変換部を動作させる。
【0053】
また、本明細書に開示された電力変換装置は、表示部をさらに備え、前記制御部は、設定された出力電流値、通電時間、使用率及び共振周波数による出力が不可であると判定した場合に、設定された共振周波数よりも低い周波数であって、設定された出力電流値、通電時間及び使用率との関係で出力が可となる周波数を求め、求めた周波数を前記表示部に表示させる。
【0054】
また、本明細書に開示された電力変換装置は、表示部をさらに備え、前記制御部は、設定された出力電流値、通電時間、使用率及び共振周波数による出力が不可であると判定した場合に、設定された使用率よりも低い使用率であって、設定された電流値、通電時間及び共振周波数との関係で出力が可となる使用率を求め、求めた使用率を前記表示部に表示させる。
【0055】
また、本明細書に開示された電力変換装置の制御方法は、交流を電流一定の直流に変換する順変換部と、スイッチング素子を有し、前記順変換部から供給される直流を前記スイッチング素子のオンオフによって交流に変換して負荷に出力する共振型の逆変換部と、前記逆変換部の出力電流値と、前記逆変換部の通電時間と、通電時間/(通電時間+非通電時間)から求まる前記逆変換部の使用率とが設定され、設定された電流値、通電時間及び使用率に基づいて前記順変換部及び前記逆変換部を動作させる制御部と、を備える電力変換装置の制御方法であって、前記制御部が行う、前記逆変換部の出力電流値、前記逆変換部の通電時間と、前記逆変換部の使用率と、前記負荷の共振周波数とを設定するための入力を受け付ける設定ステップと、前記逆変換部の出力周波数、通電時間及び使用率と、前記スイッチング素子の最大使用可能温度以下の所定温度での前記逆変換部の許容出力電流値とを関連付けたデータに基づき、設定された出力電流値、通電時間、使用率及び共振周波数による出力の可否を判定する判定ステップと、出力が可であると判定した場合にのみ前記順変換部及び前記逆変換部を動作させる出力ステップと、を備える。
【0056】
また、本明細書に開示されたプログラムは、前記電力変換装置の制御方法の各ステップをコンピュータに実行させる。
【解決手段】電力変換装置10は、交流を電流一定の直流に変換する順変換部11と、スイッチング素子を有する逆変換部13と、逆変換部13の出力電流値と、逆変換部13の通電時間と、通電時間/(通電時間+非通電時間)から求まる逆変換部13の使用率とが設定され、設定された出力電流値、通電時間及び使用率に基づいて順変換部11及び逆変換部13を動作させる制御部22と、を備え、制御部22は、出力周波数、通電時間及び使用率と、スイッチング素子の最大使用可能温度以下の所定温度での許容出力電流値と、を関連付けたデータに基づき、設定された逆変換部13の出力電流値、通電時間及び使用率と、設定された負荷15の共振周波数とによる出力の可否を判定し、出力が可であると判定した場合にのみ順変換部11及び逆変換部13を動作させる。