【発明が解決しようとする課題】
【0008】
原子力発電装置は、地震や嵐、単純疲労などで、鉄塔や送電線が破損するような外部要因に依る突然の負荷遮断や、地震、津波に依る内部からの故障に対し、直ちに出力を絞り、クールダウンを図るが、電気負荷のように、瞬間的には発熱を落せず、更に2%程度まで落とした後も、冷温停止まで、更に長い時間が掛り、その間適正な冷却措置が取られなければ、炉心溶融などの重大事故を招く恐れがあるため、廃熱の処理に冗長性が求められている。
【0009】
具体的には、負荷遮断時、炉心のクールダウンまでの間、蒸気をタービンを介さず、直接復水器へ送り込むので、蒸気発生器内の圧力が急激に下がり、大量の蒸気が発生し、水位が一時的に降下し、燃料棒が露出して溶融を始めると云うフェーラー・モードが有る。この対策として、炉心に大量の水を注入する事が必要とされるが、それまで大電力を得ていた炉の惰性から生ずる熱エネルギーを注入水で吸収しようとするには無理があり、大量の高圧水を緊急ジーゼルエンジンの出力のみで送り込むには無理があり、放射能流出事故へのマージンが少ない。
【0010】
更今回、大地震により一番重要な時期に、蒸気を直接復水器へ送り込む機能の制御電源が失われ、その後、津波で更に機能回復が遅れ、燃料棒が露出して溶融を始め、遂に大量の蒸気を大気に放出させる羽目に成った。その上、放射性物質、特に半減期の長い放射性セシュームを除去するフィルターが作動せず、フィルター故障時の冗長設備がなく、SFP状態で有った為、直接大気に放出し、所外に計り知れない被害を招いた。更に当初建屋内に放出すると云う姑息な手段を取ったために、建屋上部の水素爆発と云う結果を招き、放射能の流出を拡大させた。残りの原発について、早急な対策が必要と成っている。
【0011】
更に原発の容器は堅牢で、高温、高圧、地震の荷重に耐えても、周辺機器が津波シェルターに格納されて居らず、それが結果として、大量の放射性物質の所外飛散を招いた。
【0012】
地震や津波に依る周辺機器の小さな事故でも、それに依り原子炉建屋周辺がが汚染されれば、緊急対応はロボットに任せるしか無いが、その為の専用ロボットが存在せず、当然建屋も、周辺機器もロボットの作業性を考慮した設計が成されて居らず、それが結果として、大量の放射性物質の所外飛散を招いた。
【0013】
更に森林火災時に使用される現地のヘリコプターは、津波来襲までに一機も離陸できず、津波に依り全滅した。そして後日ヘリを調達した時点では既に上空の線量が強く成っていたにも拘らず、有人ヘリしか調達出来なかった為に、上空から前進中の散水しか出来なかったため、極めて命中率が低く、実効が得られなかった。つまり平均寿命より長いMTBFに対し、精神力で瞬発力を保証するのは困難である。
【0014】
しかし、地震国日本には、既に稼動中の原発が多数有り、今後同じ事故の発生を恐れてそれらを止めれば、国民生活にも産業にも重大な被害が及ぶので、作り直さず、現有機の手直しで、出来れば稼動状態のまま、安全性を高める手段を中心とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1の手段は、負荷遮断時、炉心のクールダウンまでの間、蒸気をタービンを介さず、直接復水器へ送り込む従来の方法では、蒸気発生器内の圧力が急激に下がり、大量の蒸気が発生し、水位が一時的に降下し、燃料棒が露出して溶融を始めると云うフェーラー・モードが有る。この対策手段として、炉心に大量の水を注入する事が必要とされるが、それまで大電力を得ていた炉の惰性から生ずる熱エネルギーを注入水で吸収しようとするには無理があり、大量の高圧水を緊急ジーゼルエンジンの出力のみで送り込むには無理があり、放射能流出事故へのマージンが少ない。その対策手段として、負荷遮断の際、原子炉は直ちに停止するが、タービンへの蒸気の供給は続ける。そして原子炉の惰性の発熱で発電された電力は専用の器械または電気抵抗器で熱に替え、その熱は海水に吸収させる。その制御は自動電動を優先させるが、停電の際は、容易に手動操作可能とする。
【0016】
この対策として原子炉の外側の圧力抑制プールの外周に、緊急時に海水を導入する常圧のプールを設ける発明がなされた。特許第2957835号(
図1)では、海水と自然循環させる事で電力を要しない事を特徴としたが、海水の水位は干潮、満潮、大潮、低気圧、波浪に依り変化するので、安定した性能が望めず、最終取得時点ではモーターを使ったポンプを主体とする事に訂正されたので、停電では作動しなくなる。更に特開昭64−28592(
図1)のように、山の上の池から水を引く案、建屋の屋上にプールを設ける案も出願されて居るが、地理的条件に関わり、現行原発への適用は困難である。更に数百年先かもしれない大地震に対し、プールの水を常時付勢に保ち続けることは、非現実的な労力を必要とする上、海水と違い、大量の熱エネルギーを吸収するだけの容量を設けることは困難である。本発明では海水を注入する手段の複数化により、SFPを防止した。
【0017】
海水の注入は、屋上の他、ベランダからも可能とする。屋上からの水は主としてヘリからのもので、プールへの切り替え弁は、建屋外からも可能とし、ベランダへの放水も、隣接する津波シェルターから避難した自動車の動力を使った放水、地上の消防車から、又津波からも給水可能とし、各時点での建屋外からの注水の冗長性を保っている。
【0018】
更に今回、大地震により、蒸気を直接復水器へ送り込む機能の制御電源が不条理に切られ、その後、津波で更に機能回復が遅れ、燃料棒が露出して溶融を始め、遂に大量の蒸気を大気に放出させる羽目に成った。その上、放射性物質、特に半減期の長い放射性セシュームを除去するフィルターが作動せず、フィルター故障時の冗長設備がなく、SFP状態で有った為、直接大気に放出し、所外に計り知れない被害を招いた。更に当初建屋内に放出すると云う姑息な手段を取ったために、建屋上部の水素爆発と云う結果を招き、放射能の流出を更に拡大させた。本発明は代替除染装置の外部接続を可能にして、SFPを防止する。
【0019】
更に原発の容器は堅牢で、高温、高圧、地震の荷重に耐えても、周辺機器が津波シェルターに格納されて居らず、それが結果として、大量の放射性物質の所外飛散を招いた。この対策として本体建屋と周辺補器の双方を津波シェルターに収容する。その方法は、津波の高さは特定出来ないが、ピーク高さの持続時間は短い事が知られている為、防潮堤のみに頼らず、短期的に津波に水没しても支障のないシェルター方式をとる。特に津波と防波堤との出会いは、近寄り速度を持ったウオーターハンマーの可能性があり、衝突工学上エネルギー吸収ストロークの導入が重要であるが、伸びに弱い鉄筋コンクリートの頼らず、船舶のように、鉄製とし、なるべく全溶接を避けて、スティックスリップに依る減衰効果のある、ボルトやリベット組み立てとする。外販も変形しても破断しない薄板とし、前段バリヤは、パンチメタルやエクスパンドメタルを使用して一部の海水の通過を認め、乱流に依る衝突エネルギーの消耗を図るる場合もある。鉄筋に与圧力を与える、テンションコンクリートと云う手段も有るが、防波堤は平面図上でくの字に折れ曲がろうとする曲げモーメントも有り、施工困難である。
【0020】
地震や津波に依る周辺機器の小さな事故でも、それに依り原子炉建屋周辺がが汚染されれば、緊急対応はロボットに任せるしか無いが、その為の専用ロボットが存在せず、当然建屋も、周辺機器もロボットの作業性を考慮した設計が成されて居らず、それが結果として、大量の放射性物質の所外飛散を招いた。
【0021】
本体の原発建屋内で、高度な制御器を使っても、ブラックボックスに成っていれば、それはSFPです。多数のセンサーやアクチエーターを従えていれば、更に故障の要因が増え、信頼性は低下する。特にクールダウンの工程は時間との勝負ですから、ブラックボックスの故障箇所を追求し、修理している時間はない。従ってNASAの制御室の様に、ブラックボックスごと交換する方法も有るが、多数の配管を擁する原発では、それは困難ですから、本実施例の如く、飛散防止に必須の回線、配管は、外部に取り出して処理出来るようにする。同時に外部からロボットが操作し易い構造とする。
【0022】
更に森林火災時に使用される現地のヘリコプターは、津波来襲までに一機も離陸できず、津波に依り全滅した。そして後日ヘリを調達した時点では既に上空の線量が強く成っていたにも拘らず、当初有人ヘリしか調達出来なかった為に、高空から、しかも前進飛行中の散水しか出来なかったため、極めて命中率が低く、実効が得られなかった。つまり平均寿命より長いMTBFに対し、精神力で瞬発力を保証するのは困難である。しかし新幹線は地震予知信号で当該路線の全線自動停止に成功したので、この信号を転用して無人ヘリを自動離陸させる。
【0023】
更に本発明の具体的手段を示せば、送電先の事故で、ブレーカー開き、タービンが無負荷となり、オーバーランするのを防止するため、蒸気を直接復水器に戻す。同時に原発の出力も閉じるが、原発は慣性が有って、急には全閉出来ないので、炉心のクールダウンまでの間、蒸気発生器内の圧力が急激に下がり、大量の蒸気が発生し、水位が一時的に降下し、燃料棒が露出して溶融を始めると云うフェーラー・モードが有る。
【0024】
その対策として
図1〜
図3にも示すように、特にクールダウンの初期には、正規のタービンやクールダウン専用のタービンに、電熱器や水車の負荷を掛け、海水にエネルギーを消費させる。制御系が生きていれば、電流のデューティー比をコントロールしてクールダウンの進展に合わせた負荷調整を行うが、一般の高圧受電装置と同様、豪雨の屋外でも人力でスイッチング可能とする。 更にクールダウンが進んだ場合はピストン式蒸気エンジンを使用して負荷を掛ける場合もある。
【0025】
一方、出来れば復水器内のドレン水を、直接ポンプで循環させる事が望ましい。しかし炉の全力運転時にも使用するポンプやモーターは大型で、緊急用発電機で駆動する事が難しい。またその様な大型の内燃機関を常時整備するにも、不要の労力を要し、整備後のエンジンの全開試運転も難しいので、不調のまま放置される可能性があり、現に事例も発生し、信頼性に欠ける。従って本案では、炉の緊急停止過程、クールダウン専用の小型復水ポンプを設け、乗用車から大型トラックまで一般車の駆動力を利用した発電機、又は直接駆動で作動させる。一般車は車検制度もあり、高速道路の長時間走行に対し、日常極めて高い信頼性を保持している。原発に隣接する津波シェルターの駐車場に安い駐車料金で日常多数保持し、更に津波警報で避難して来る車を収容すれば、極めて冗長性の高い動力源と燃料源として利用する事が出来る。日常防災以外の用途に使用中の多数の機器を流用する事に依り、高い信頼性が得られる。燃料タンクも空から満タンまで分布して居れば、平均50%は期待出来、乗用車でも8台有ればドラム缶一本分の燃料を積んでいる。
【0026】
一方、
図4に示すように、自動車用エアーバッグは、常時付勢では無いが、大衆商品として極めて高い発進の信頼性が得られ、格納時の信頼性を監視するシステムを含めた専用マイコンも市販されて居るので、是のガス発生量のみを大型化したものを、複数個利用して、特にクールダウンの初期に、炉に送り込む高圧水を得る。スプリンクラーは常時10気圧程度の加圧水を提供しており、法的な整備規制も有るため、是を炉への給水時のみ増圧して流用する場合もある。但し高圧を掛けると、スプリンクラーのヘッドが誤作動する恐れが有るので、給水コックを炉側へ切り替えた場合のみ火薬への点火を可能とする。基本は送電遮断と連動する自動制御が望ましいが、全てダウンしても、手押し発破器でも起動できる。
【0027】
従来、緊急時専用の大型内燃機関を起動し、緊急用発電機を回し、モーターと高圧ポンプを介して炉28cへ注水するには様々なリスク、フェーラーポイントガ有る。例えは燃焼室は火炎に曝されるので、時々馴らし運転をしなければ、シリンダーが錆びてくる。定期的に分解整備も必要になる。これらを千年に一度とも云われる津波に備えて、緊張感を持って点検整備を続けさせる事は人事管理上も極めて困難で、不経済である。内燃機関も爆発から出力を得て居るので、推薬で直接水を押し出す本実施例では、稼動メカ部が全く無く、ガス発生器は複数待機させられるので、低いメンテナンスコストで極めて高い信頼性が得られる。ヘリからの注水が重要な初期に於いて、
図8のプール7への水は貴重であるため、原子炉格納容器の外周をネジ状に、北半球では反時計廻りに流れ下るようにし、初期の水を有効に利用する。一方、プールの水位が高く成った段階では、プール内に北半球では反時計方向の回流を発生させ、原子炉格納容器3の外周に付着した粟を除去して伝熱効率を向上させる場合もある。
【0028】
一方、過って炉内の気体を緊急放出することに成った際、建屋内のフィルター回路が故障していたため、フィルター無しで放出した。更にそれを外部に漏らさぬよう、建屋内に滞留させたが、既に燃料棒の一部がオーバーヒートで破壊されて居たため、建屋の上部に水素ガスが溜まって爆発事故となり、放射能物質を広範囲の畑や河川、引いては水道水まで汚染させる結果と成った。是はSFPで有るから、必要な排気管は、直接建屋の外にも出し、外付けの除染機器に繋げるようにする必要がある。
【0029】
そして排出された放射性蒸気は機械式フィルターを通した後、横置き風洞に通し、上からほう酸水を噴射して、放射性の塵を除去する。これは、デパートの様な人の集るところで、内気を循環させる際、客の出す埃を除去したりする際に、又外気を導入する際に外の砂埃を除去する際にも、同様のものが既に使用されている。緊急時にはビニールハウスの中にシャワーを設ける手段もある。排出される蒸気を、海水に漬けた熱交換器に通し、冷えた気体を風船に収容し、コンテナーに詰めてとりあえず、現場から排除する選択肢もある。
【0030】
同様に、炉の中腹の燃料棒が露出しない限界の水位の位置からも、建屋外壁まで、計測用細管を設置し、水位計の信頼性を立証させる絶対検量にも使用する。
【0031】
以上主として大地震に依る、主として周辺機器の故障から来る放射能拡散の危険を、主として手動で除去する手段を示したが、大地震の後には大津波が来る。遠隔地の大地震で津波だけが来る場合もあるので、その対策が無ければ、放射能の拡散防止は完結しない。更にその手段は、既に存在する多数の原発に適用可能でなければ、現実的でない。
【0032】
津波は速度エネルギーを持って居るので、衝突工学的対応が必要である。自動車の衝突では、双方の吸収ストロークが大切で、ストロークがゼロなら、衝突荷重は無限大になる。水は非圧縮流体であるから、平板の防潮堤で立ち向かえばウオーターハンマーが発生する事は水力学の基礎であり、是を避ける為に船舶は流線型に成っている。更に鉄筋コンクリートと云うものは、安価を目的とした手段で、膨張係数は同じだが、鉄筋は数%も延びなければ最大荷重が出せないが、セメントは伸びに弱いので、曲げモーメントに依り、自重に依る予圧力を超える伸び荷重が繰り返し加われば瓦解するので、防潮堤には馴染まない。現に超高層ビルはすべて鉄骨構造であり、船舶も鉄製である。
【0033】
そして津波の高さは自然現象であるから、特定し難く、更に防潮堤に当たれば、速度エネルギーが位置エネルギーに成って加算されるので、更に特定し難く、是を防潮堤の高さのみで阻止するのでは、信頼性は保証されない。船舶は甲板が波に洗われても客室に影響は無く、コンテナ船も甲板に積み上げているが、積荷に浸水はない。従って原発建屋も補器の保護も、流線型シェルターが基本で有り、既成の原発建屋に対しては、衝突対策を前面に出し、原発建屋は、後方で静圧と成った水圧に対して、水密対策を施す必要がある。
【0034】
図13にも示すように、衝突対応は、津波、引き波の方向に、船首の船底に相当する流線型カバーを設ける。支持部材は鉄骨が望ましい。船舶も全溶接船より、スティック・スリップで衝撃エネルギーを吸収するリベット船の方が強靱な事が実証されており、本例もボルト付けが望ましい。ボルト穴を長穴にする発明も公知である。表面板は鉄板とし、小穴を多数空けたり、エクスパンドメタルにして、水流を一部通過させ、乱流として速度エネルギーを消耗させる場合もある。その後方の建屋は主として静水圧を対象とする水密工事を行う。
【0035】
データーに依れば、大津波の基本波の持続時間は約20分である。是に対し、プレートの沈み込み部に堆積した土が連動して飛び上がる、分岐断層による津波の重畳波は、高さ3メーターレベルの持続時間が約5分、6メーターレベルの持続時間が約2分半と云うピーキーな波形である。従って衝突用流線型堤防と建屋との間に落とし穴を設けて、ピーキーな波形部の水をキャパシターとして貯水させ、引き波の間に、小穴より放水させる場合もある。放水穴には一方弁を設ける場合もある。
【0036】
現有の原発で、本体建屋の外に配置されている機器を、津波シェルターに収容る手段の実施例は、 特願2011−109866「津波用シェルター」の
図9に示すように、2階を気密にして津波シェルターとするのが有利である。それは上記のように、津波の水位が2階の床面より高く成り、シェルターが孤立する時間は数分程度と極く僅かだからである。更に前記のように、大津波のMTBFは千年とも云われ、非常に長いため、シェルターの気密はフォーゲッティーで保証される必要が有るため、シェルターへの出入りは、日常も緊急時も、1階から車はスロープで、人は階段、エスカレーター、2階で行き止まりのエレベーターを利用して出入りする手段とする。シェルター内に日常駐車したり、津波警報で避難して来る一般車は、車検制度もあり、高速道路の長時間走行に対し、日常極めて高い信頼性が確認済みで、更に台数が多い分、冪乗の信頼性を持っている。従って上記先願の
図9の実施例に加え、
図15に示すように、その車輌を複数台、原発のプールの注水に転用したり、放水銃で
図8のベランダに放水させたり、
図8の地下トンネルから配管でプールに直接給水する場合もある。津波の水位がベランダを越える期間は、津波の海水も直接給水に使われるようにする選択肢もある。
【0037】
上記のように、津波の基本波は20分程度に渡って2メーター程度の厚さの水を送り込んで来るので、海岸線に丈夫なビルが並んで居れば、海岸から奥地に向う道路に、水かさを増して集中的に流れる。いわゆるリアス式市街地となる。従って従来の例でも、原発本体建屋を高層にすれば、周囲の補器がより高い津波に襲われる傾向が有った。今後、海岸線に高層ビルが増えると予想されるので、その分、津波が通れる部分の水かさが増す事が予想される。従って、津波を阻止する部分と、シェルターの上を通過させる部分とのすみわけ、即ち海上から海岸線を見た場合の各高度当たりの空間デューティー比を考慮した街づくりが必要になり、特に原発付近では、原発の保護を優先させたレイアウトとする。
【0038】
上記車輌は、ボンネットを開き、ラジエーターキャップを外して、桶の水と繋ぐ場合もある。この際は、エンジン内で沸騰した蒸気はエンジンのポンプに依りラジエーターの上部タンクに送られるので、桶から放出され、替わりに桶の水が補充される。
【0039】
防火シャッターは、自重で閉じるよう、重力を利用した常時付勢構造に成っており、火災時の熱でヒューズメタルが溶断すれば、人間が挟まらぬよう、ガバナー機能に依り静かに閉まる。新型の原発も、制御棒が炉の下部にあり、送電遮断時、燃料棒を落下させて、燃焼を止める常時付勢構造になっている。従って上記の様に送電遮断時、急速に炉の水位が下がっても、燃料棒も下がるので、空焚きのリスクが小さい。又、若し空焚きでメルトダウンが起こっても、炉の底は密閉されて居るので、炉の底が破壊されるリスクが小さい。しかし最近福島で事故を起こして放射性物質の所外大量放出を招いた炉を含め、現在稼動中の炉の古い炉は、燃料棒は動かさず、制御棒を重力に逆らって持ち上げて燃焼を止める形式に成っている。従って水位が少し下がっても、空焚きが起こり、メルトダウンへのマージンが少ない。しかも高圧が掛った炉の底に穴を開け、棒を通して制御棒を通す構造には機械工学的に無理があり、空焚きでメルトダウンが起れば溶けた燃料が炉の底に溜まり、制御棒の支持部を溶かす危険があり、そうなれば、制御棒が落下して炉が全開になり、加速度的にメルトダウンが起きる危険が大きい。そうすれば、炉の底の穴から炉内の放射性の水が高圧で噴射される可能性が高く、更に洩れた高濃度の汚染水を受ける圧力抑制プールも複雑な溶接構造であるため、地震の影響で亀裂が生じ、鉄筋コンクリート製の地下室に高濃度の汚染水が溜まっている。更に。鉄筋コンクリートは伸び荷重に弱いため、地震に対し、水密性能は保証出来ず、結果として所外の海中に高濃度の汚染水が流出した。その影響は海流に乗って世界に拡散するため、被害は極めて大きい。
【0040】
従って未だ事故を起こしていない沸騰水型原発の安全対策も必要である。若し炉内の水位が不足して空焚きとなって、燃料棒が溶融し、炉の底部に落下した場合には、細かい格子状になっている緊急用制御棒で細分化して受け止めて、再臨界を防止し、炉の底に接して冷却させる。其処も突破されたら原子炉格納容器の底にも緊急用制御棒を設け、更にその下の建屋にも設け、三段構えて、SFPを排除する。
【0041】
上記メルトダウン以前にも格納容器にはリング状部品167が溶接されて居るなど、構造が複雑なため、大地震の荷重により、亀裂が生じ、高濃度の汚染水が中に漏れ出し、更に建屋の亀裂から海中に放出される事故が起きている。この対策として、格納容器の外側にステンレス製の水槽を増設して漏水を防ぐ。更に炉に補給した水が漏れて増設した水槽の水位が燃料棒の正規位置より高くなる様にして、炉を完全に水没させる。更にその外周に
図8の7に示すプールを設け、海水を供給して炉を冷やす。温まった海水を海に戻す際に、海水中の不純物が、高濃度の汚染水で汚染されない様に、プールの外壁は鉛で囲う。