(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に示す各実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の各実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。以下の各実施形態の構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0010】
[1.第1実施形態]
[1−1.搬送装置の構成]
本発明の第1実施形態の搬送装置について
図1及び
図2を用いて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態の搬送装置の全体構成を示す模式図であって、(a)は側面図及び側面視による断面図、(b)は平面図である。
図2は、本発明の第1実施形態の搬送装置の要部構成を示す模式図であって、(a)は
図1(a)のA1部を拡大して示す断面図、(b)は
図1(b)のA2部拡大図である。
【0011】
本実施形態の搬送装置1は、川岸100Aに設けられた資材置場から、建築資材(搬送対象)50を、河川100を越えて、川岸100Bの建築現場へと搬送するものである。
なお、
図2(a)では便宜的に河川100及び川岸100A,100Bを側面視による断面図で示し、その他を側面図で示す。
搬送装置1は、
図1(a),(b)及び
図2(a),(b)に示すように、移動体(主移動体)2と、移動体2に取り付けられ建築資材50を保持可能な保持機構3と、川岸100A,100Bにそれぞれ立設された支柱(支持体)10A,10Bの相互間で移動体2を移送する移送機構(主移送機構)4と、移送機構4の作動を制御するコントローラ(制御装置)5とを備える。
【0012】
移動体2は、矩形のプレート状のものであり、厚み方向を上下に向けた水平姿勢とされているものとする。移動体2の下面には、
図2(a),(b)に示すように、円板形状のターンテーブル34と、電動モータ34a〔
図1(a),(b)では省略〕とが備えられている。ターンテーブル34は、移動体2の下面に横回転可能に固定されており、電動モータ(以下「モータ」という)34aを作動させることで、簡略して示す伝達機構34bを介して、ターンテーブル34を所定角度だけ横回転させることができる。これにより、ターンテーブル34に連結された保持機構3上の建築資材(搬送対象)50を適宜の方向へと向けることができ、ターンテーブル34とモータ34aとから建築資材50を横回転させる回転機構が構成されている。
【0013】
保持機構3は、昇降用ウィンチ33と、昇降用ウィンチ(昇降装置)33及びターンテーブル34を介して移動体2に上端を連結されるワイヤ(垂下部材)31と、このワイヤ31の下端に固定され、建築資材50が載置される保持部材32とを備える。保持部材32は、平面視矩形の天井壁32aと平面視矩形の底壁32bとの各4隅をそれぞれワイヤ32cにより連結したものである。
【0014】
具体的には、昇降用ウィンチ33は、ターンテーブル34の下面に突設され一対の支持フレーム33aと、これらの支持フレーム33aにより軸方向両端を回転可能に支持されるドラム33bと、簡略して示す動力伝達機構33dと、この動力伝達機構33dを介してドラム33bを回転駆動する電動モータ(以下「モータという」)33cとを備える。
ドラム33bにはワイヤ31の上端側が巻き付けられている。
【0015】
移送機構4は、移動体2の上面に設置された移送用ウィンチ(第1ウィンチ)41A及び移送用ウィンチ(第2ウィンチ)41Bと、移送用ウィンチ41A,41Bに連結されたワイヤ(第1索体部)42A及びワイヤ(第2索体部)42Bとを備える。
【0016】
移送用ウィンチ41A,41Bは同様に構成されており、移送用ウィンチ41A,41Bを区別しない場合には、以下「ウィンチ41」と表記する。同様に、ワイヤ42A,42Bを区別しない場合には、以下「ワイヤ42」と表記する。
【0017】
ウィンチ41は、移動体2の上面に突設され一対の支持フレーム41aと、これらの支持フレーム41aにより軸方向両端を回転可能に支持されるドラム41bと、簡略して示す動力伝達機構41dと、この動力伝達機構41dを介してドラム41bを回転駆動する電動モータ(以下「モータという」)41cとを備える。ドラム41bには、ワイヤ42の基端側が巻き付けられている。
ここで、移送用ウィンチ41Aのドラム41bは、軸心線CL1を回転中心とし、移送用ウィンチ41Bのドラム41bは、軸心線CL1と平行な軸心線CL2を回転中心としている。
【0018】
そして、
図1(b)に示すように、平面視において、第1方向D1に沿って、支柱10A,移送用ウィンチ41A,移送用ウィンチ41B及び支柱10Bがこの順に並べられている。また、移送用ウィンチ41Aに連結されたワイヤ42Aの先端が支柱10Aの支持点PAに固定され、移送用ウィンチ41Bに連結されたワイヤ42Bの先端が支柱10Bの支持点PBに固定されている。支持点PA,PBは同一の高さに設定されており〔
図1(a)参照〕、ワイヤ42A,42Bによって支持点PAから支持点PBに亘って形成される移動体2の搬送経路Pが、水平(略水平も含む。以下、同様。)に形成される。
【0019】
コントローラ5は、図示しない外部の操作装置から例えば無線により操作信号が入力されるようになっており、この操作信号に応じて、各モータ33c,34a,41cの作動を制御する。
具体的には、操作装置から、上昇指令が入力されると、コントローラ5は、モータ33cを正回転させる。これにより、昇降用ウィンチ33のドラム33bが正方向に縦回転してワイヤ31がドラム33bにより巻き取られ保持部材32が重力に抗して上昇する。逆に、操作装置から、下降指令が入力されると、コントローラ5は、モータ33cを逆回転させる。これにより、昇降用ウィンチ33のドラム33bが逆方向に縦回転してワイヤ31がドラム33bから送り出されて保持部材32が重力により下降する。
【0020】
また、操作装置から、支柱10Bの支持点PB側に向かわせる指令(以下「右進指令」といい、逆に支柱10Aの支持点PA側に向かわせる指令を「左進指令」という)がコントローラ5に入力されると、コントローラ5は、移送用ウィンチ41A,41Bの各モータ41cの作動を制御して、移送用ウィンチ41A,41Bの各ドラム41bを、ワイヤ42Aの送り出し長さ(送出量)とワイヤ42Bの巻き取り長さ(巻取量)とが同一となるような各回転速度で矢印a1,b1で示すように正回転させる。これにより、ワイヤ42Aが移送用ウィンチ41Aから送り出されると共にワイヤ42Bが移送用ウィンチ41Bにより巻き取られる。
移送用ウィンチ41Aから送り出されるワイヤ42Aの長さΔLAと、移送用ウィンチ41Bにより巻き取られるワイヤ42Bの長さΔLBとが等しいので、ワイヤ42A,42Bの張力が保持されながらこれらの長さΔLA,ΔLBと等しい距離ΔLだけ移動体2が支持点PBに向かって水平に(平面視においては第一方向に沿って)移動する。
【0021】
一方、操作装置から、左進指令がコントローラ5に入力されると、コントローラ5は、移送用ウィンチ41A,41Bの各モータ41cの作動を制御して、移送用ウィンチ41A,41Bの各ドラム41bを、ワイヤ42Aの巻き取り長さとワイヤ42Bの送り出し長さとが同一となるような各回転速度で矢印a2,b2で示すように共に逆転させる。これにより、ワイヤ42A,42Bの張力が保持されながら所定距離だけ移動体2が支持点PAに向かって水平に(平面視においては第一方向に沿って)移動する。
【0022】
このような操作装置による操作を適宜行うことにより、移動体2を、支柱10Aにおけるワイヤ42Aの支持点PAから、支柱10Bにおけるワイヤ42Bの支持点PBに亘る搬送経路P上の任意の位置まで移送することができる。
【0023】
なお、移動体2には図示しないバッテリが備えられており、電動モータ34,33c及びコントローラ5にはこのバッテリより電源が供給される。
なお、ワイヤ42A,42Bの各張力を検出する張力センサを設け、ワイヤ42A,42Bの張力が閾値よりも低下した場合には、モータ41cを作動させてワイヤ42A,42Bの張力が閾値を所定値だけ越えるまでワイヤ42A,42Bを移送用ウィンチ41Aにより巻き取るようにしてもよい。
また、操作装置は、専用のものに限定されず、例えばスマートフォンやタブレットパソコンのような汎用の携帯端末を使用してもよい。
【0024】
[1−2.搬送装置による搬送]
以下、
図1を参照して、本発明の第1実施形態としての搬送装置1による建築資材50の搬送を説明する。
搬送装置1による建築資材50の搬送は、オペレータが操作装置を操作することにより例えば以下のようにして行われる。
移動体2を支柱10Aの支持点PAまで移送させた後、保持部材32を、川岸100Aに設けられた資材置場の近くに着地するまで下降させる。着地した保持部材32に資材置場から建築資材50を運びこんだ後、この保持部材32を、周辺の歩行者、車両、建築物に接触することのない高さまで上昇させてから、移動体2を支柱10Bの支持点PBまで移送させる。そして、ターンテーブル34を横回転させて長尺の建築資材50を適宜の方向に向けた後、川岸100Bの建築現場に着地するまで下降させる。これにより建築資材50の搬送が完了する。
【0025】
[1−3.作用・効果]
以下、
図1(a),(b)及び
図2(a),(b)を参照して、本発明の第1実施形態としての搬送装置1の作用効果を説明する。
移動体2に、複数(本実施形態では2台)の移送用ウィンチ41A,41B及び複数(本実施形態では2本)のワイヤ42A,42Bからなる移送機構4が取り付けられており、搬送装置1の主要部が移動体2に集約して取り付けられている。特に、移送用ウィンチ41A,41Bによりワイヤ42A,42Bを巻き取った状態にしておけば、搬送装置1の主要部を移動体2に収納した状態とすることができ、搬送装置1を設置場所までの運搬するのが容易になる。
これにより、搬送装置1の使用場所となる川岸100A,100Bに、支柱10A,10Bを設置しておけば、移動体2を運搬してそのワイヤ42A,42Bの先端をそれぞれ支柱10A,10Bに固定するだけで搬送装置1を設置することができる。
したがって、仮に短期間に数回程度の搬送しか行われないようなケースにおいても、搬送装置1の設置を容易に行える。
【0026】
また、ターンテーブル34により、保持部材32を横回転させることができるので、保持部材32を、建築資材50を搬入しやすい向きにしたり、搬入された建築資材50を、建築現場で使用し易い向きにしたりすることができる。
【0027】
[1−4.変形例]
(1)前記第1実施形態において昇降用ウィンチ33を省略して、ワイヤ31の上端を直接にターンテーブル34に取り付けるようにしてもよい。この場合、移送用ウィンチ41A,41Bの作動を制御することで保持部材32を昇降させることができる。つまり、移送用ウィンチ41A,41Bの少なくとも一方からワイヤ42A,42Bを送り出すことでワイヤ42A,42Bを弛ませて重力により保持部材32を下降させることができ、逆に、移送用ウィンチ41A,41Bの少なくとも一方によりワイヤ42A,42Bを巻き取ることでワイヤ42A,42Bを移送用ウィンチ41A,41B側に引張って保持部材32を上昇させることができる。
【0028】
(2)上記第1実施形態では、建築資材50を搬送対象としたが、搬送装置1の搬送対象は建築資材50に限定されない。例えば、搬送対象を人間として、人間の移送に使用したり、ビルの窓の清掃の際に作業者を適宜の位置に移動させたるのに使用したりしてもよい。
或いは、草刈機のような作業機械、又は、自動車や船などの乗り物をワイヤ31の下端に直接取り付けてもよい。乗り物を取り付ける場合には、乗り物は駆動装置を備えたものでもよいし、駆動装置を備えないものであってもよい。駆動装置を備えない乗り物であれば、搬送装置1が実質的に駆動装置を構成するものとなる。駆動装置を備えた乗り物であれば、例えば車両(小型車両だけでなくトレーラやバスなどの大型車両も含む。以下、同様)であれば、河川を越える際、昇降用ウィンチ33により上昇させて宙吊り状態として搬送装置1により河川を対岸まで移動させた後、昇降用ウィンチ33により自走可能に接地させるまで下降させればよい。船であれば、昇降用ウィンチ33により上昇させて宙吊り状態として搬送装置1により河川に到着するまで移動させた後、昇降用ウィンチ33により河川内に下降させればよい。
【0029】
(3)上記第1実施形態では、移動体2の上面に、移送用ウィンチ41A,41Bを、ドラム41bを上方に向けた垂直姿勢で設けたが、
図2(a),(b)における移動体2の右端面及び左端面(換言するとワイヤ42A,42Bの延在方向に向く端面)に、移送用ウィンチ41A,41Bを、ドラム41bを移動体2の外側に向けた水平姿勢で取り付けてもよい。
【0030】
[2.第2実施形態]
[2−1.搬送装置の構成]
本実施形態の搬送装置1′は、主に、搬送対象が作業アーム(作業機械)6である点で第1実施形態と相違する。
以下、本発明の第2実施形態の搬送装置について
図3を用いて具体的に説明する。
図3は、本発明の第2実施形態の搬送装置の全体構成を示す模式的な側面図である。
なお、第1実施形態と同様の要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
また、
図3では、コントローラや、移送用ウィンチを駆動するモータや、バッテリは図示省略している。
【0031】
本実施形態の搬送装置1′では、作業アーム6がターンテーブル34の下面に直接に取り付けられている。
作業アーム6は、アーム部材60と、関節部材61と、アーム部材62と、例えば溶接機や溶断機等の作業装置63とを備えている。
アーム部材60は、基端部をターンテーブル34の外周縁に例えばボルト止め(保持機構)により取り付けられ、先端部を関節部材61に取り付けられている。アーム部材62は、基端部を関節部材61に取り付けられ、先端部には作業装置63が着脱可能に取り付けられている。関節部材61は、
図3では簡略化して示しているが、アーム部材60に対してアーム部材62を縦回転可能に連結すると共に、関節部材61を作動させるための図示しない電動モータ(以下「モータという」)が備えられている。
【0032】
コントローラ5〔
図2(b)参照〕は、図示しない前記外部の操作装置から入力された操作信号に応じて、関節部材61のモータの作動を制御してアーム部材60を曲げ伸ばしすると共に作業装置63の作動を制御する。
なお、作業装置63には、種々の用途のものを使用することができ、例えば建造物を解体する作業装置であってもよい。また、ターンテーブル34に取り付ける作業アーム6の個数は何ら限定されず、例えば2個でもよい。
この他の構成は第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0033】
[2−2.作用・効果]
本発明の第2実施形態としての搬送装置1′によれば、第1実施形態の作用・効果に加えて、以下の効果が得られる。
オペレータが外部の操作装置を使用して、移送用ウィンチ41A,41B及びターンテーブル34の作動を制御して作業アーム6を所定の作業位置まで搬送することができるので、例えば人間が行う場合には危険を伴う高所における作業を、作業アーム6を使用して行うことができる。
【0034】
[3.第3実施形態]
[3−1.搬送装置の構成]
本実施形態の搬送装置1″は、主に、作業アーム6が複数備えられている点、各作業アーム6の先端に枝切りチェーンソー(以下「チェーンソー」という)7がそれぞれ設置されている点で第2実施形態と相違する。
以下、本発明の第3実施形態の搬送装置について
図4を用いて具体的に説明する。
図4は、本発明の第3実施形態の搬送装置の全体構成を示す模式的な側面図である。
なお、第1実施形態や第2実施形態と同様の要素については同一の符号を付してその説明を省略する。また、
図4では、移送用ウィンチを駆動するモータや、バッテリは図示省略している。
【0035】
本実施形態の搬送装置1″には、ターンテーブル34を介して移動体2の下方に取り付けられた複数のロッド(垂下部材)8と、各ロッド8に取り付けられた複数の作業アーム6とが備えられている。作業アーム6は図示しない昇降機構によりロッド8上を昇降できる。例えば昇降機構を遠隔操作することで作業アーム6及びチェーンソー7の高さを、
図4中に破線で示す樹木の枝の高さにあわせることができる。
なお、ロッド8に替えてケーブルを使用してもよい。また、便宜的に
図4では、一部の作業アーム6及びチェーンソー7を省略している。
【0036】
ロッド8は、ターンテーブル34の外周縁に周方向に対して等間隔で複数並設され、それぞれターンテーブル34から垂下している。なお、ロッド8を径方向に横並びに設けても良い。
【0037】
さらに、移動体2の上面には先端が鉤形状の鉤部材20gが立設されている。また、支柱10A,10Bの相互間には、ワイヤ42A,42Bの上方において補強ワイヤ46が水平又は略水平に架設されている。鉤部材20gの鉤形状の先端は、移送用ウィンチ41A,41Bよりも上方に位置して、補強ワイヤ46に掛けられている。これにより、搬送装置1″の主要部が、ワイヤ42A,42Bに加えて補強ワイヤ46により支持されるようになっている。
ワイヤ42A,42Bが、搬送装置1″の主要部を支持するのに十分な強度を有する場合には、補強ワイヤ46及び鉤部材20gは省略してもよい。
【0038】
このように、搬送装置1″には、あたかも吊るし雛のように、複数の作業アーム6及び複数のチェーンソー7が、移動体2から吊るされた状態で周方向及び上下方向にそれぞれ複数並設されている。
コントローラ5〔
図2(b)参照〕は、図示しない前記外部の操作装置から入力された操作信号に応じて、各作業アーム6及び各チェーンソー7の作動を制御する。
この他の構成は第2実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0039】
[3−2.作用・効果]
本発明の第3実施形態としての搬送装置1″によれば、前記各実施形態の作用・効果に加えて、以下の効果が得られる。
チェーンソー7が、移動体2の下方に周方向及び上下方向にそれぞれ複数並設されているので、複数のチェーンソー7により同時に枝切りを行うことができ、効率的に枝切りを行うことができる。また、ターンテーブル34を回転させながらチェーンソー7による枝切りを行えば、ターンテーブル34の周方向に対して隙間なく枝切りを行うことができ、一層効率的に枝切りを行うことができる。
【0040】
[3−3.その他]
(1)上述した実施形態では、鉤部材20gを介して、搬送装置1″の主要部を補強ワイヤ46により支持させるようにしたが、鉤部材20gに替えて従動式のトロリ(移動台車)を使用してもよい。具体的には、トロリから支持部材(例えば索体や棒材等)を垂下し、この支持部材の下端を移動体2の上面に連結して、トロリを、搬送装置1″に従動して補強ワイヤ46上を走行させればよい。トロリを、駆動装置を備えた自走式にして搬送装置1″による搬送をアシストするようにしてもよい。
【0041】
(2)上述した実施形態では、作業アーム6に枝切りチェーンソー7を設置した例を説明したが、枝切りチェーンソー7に限らず、枝切りナイフや鎌等の刃物を往復駆動するタイプの枝切り装置であってもよいし、作業アーム6には、枝切り以外の各種用途用の作業装置を設置することができる。
(3)作業アーム6の先端に取り付けることのできる作業機(アタッチメント)を複数種類用意して、作業アーム6の先端に取り付ける作業機を適宜選択するようにしてもよい。
【0042】
[4.第4実施形態]
[4−1.搬送装置の構成]
本実施形態の搬送装置1Aは、主に、主移動体が車両により構成された点、主移送機構に加えて補助移送機構14を備えた点で、第1実施形態〜第3実施形態の搬送装置1,1′,1″と相違する。
以下、搬送装置1Aについて
図5を参照して具体的に説明する。
図5は、本発明の第4実施形態の搬送装置の全体構成を示す模式図であって、(a)は側面視による断面図、(b)は平面図である。
なお、第1実施形態と同様の要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
また、
図5では、移送用ウィンチを駆動するモータや、バッテリは図示省略している。
【0043】
搬送装置1Aは、主移動体及び車両として、キャスタ車輪20aを備えた草刈機2Aを備えると共に、草刈機2Aを第1方向D1に沿って移動させる移送機構4と、草刈機2Aを第1方向D1と交差する(本実施形態では第1方向D1と直交する)第2方向D2に沿って移動させる補助移送機構14とを備える。草刈機2Aを作動させながら搬送装置1Aによって移動させることで広い範囲に亘って草刈を行うことができる。
【0044】
草刈機2Aは、走行体20と、走行体20の前面に取り付けられた草刈りユニット21と、走行体20に内蔵されたコントローラ5とを備えている。
走行体20には、草刈りユニット21を駆動するための駆動装置(エンジン又は電動モータ)が内蔵されると共に、その底面の4隅に、それぞれ、キャスタ車輪20aが横回転自在に取り付けられている。また、走行体20の上面中央には、さらに、補助移送機構14を収容する収容部20bが凹設されている。
後述するように草刈機2Aは、接地状態で、搬送機構4及び補助搬送機構14によって前後左右に移送されるが、キャスタ車輪20aは、360度横回転自在であり、移送方向に従って向きが自ずと変わるようになっている。
なお、走行体20は、移送機構4及補助移送機構14によって移送されるものであり、走行体20自体は、自走のための駆動装置を有していない。
【0045】
草刈りユニット21は、
図5では簡略化して示しているが、下方が開放されると共にカッタが内蔵されている。このカッタは、走行体20に内蔵された前記駆動装置により駆動され、地面100Cに生えた草気100Dを刈り取る。なお、前記駆動装置は、コントローラ5によってその作動を制御される。
【0046】
移送機構4は、第1実施形態と同様に構成されており、移送用ウィンチ41A,41Bと、ワイヤ42A,42Bとを備えている。移送用ウィンチ41A,41Bは、草刈りユニット21の走行体20の天井面に固定されている。
【0047】
補助移送機構14は、トロリ(第1補助移動体)141A及びトロリ(第2補助移動体)141Bと、ワイヤ(第1案内部材)142A及びワイヤ(第2案内部材)142Bとを備える。
ワイヤ142Aは、支柱10A−1,10A−2の相互間に水平に(平面視においては第2方向D2に沿って)架け渡される。ワイヤ142Bは、支柱10B−1,10B−2の相互間に水平に(平面視においては第2方向D2に沿って)架け渡される。
以下、トロリ141A,141Bを区別しない場合には「トロリ141」と表記し、ワイヤ142A,142Bを区別しない場合には「ワイヤ142」と表記する。
【0048】
トロリ141は、下方に開口した略U字状横断面のトロリ本体141aと、トロリ本体141aのU字状の内方に回転自在に内蔵されてワイヤ142と係合する滑車141bと、滑車141bを駆動するモータ141cとを備える。
トロリ141Aには、移送用ウィンチ41Aから送り出されたワイヤ42Aの先端が支持されており、トロリ141Aは、本発明の第1支持体を構成する。同様に、トロリ141Bには、移送用ウィンチ41Bから送り出されたワイヤ42Bの先端が支持されており、トロリ141Bは、本発明の第2支持体を構成する。
【0049】
トロリ141のモータ141cは、草刈機2Aに設けられたコントローラ5により遠隔制御され、図示しない前記操作装置からコントローラ5に前進指令が入力されると、コントローラ5の制御によりトロリ141A,141Bの両モータ141cが同一回転速度で正回転し、ひいてはトロリ141A,141Bの両滑車141bが同一回転速度で正回転する。これにより、トロリ141A,141Bの各滑車141bがワイヤ142A,142Bにより案内されつつワイヤ142A,142B上を走行し、この結果、草刈りユニット21が、移送機構4と共に平面視において第2方向D2に沿って前方〔
図5(b)中で上側〕へと移送される。
【0050】
一方、図示しない操作装置からコントローラ5に後退指令が入力されると、コントローラ5が両トロリ141のモータ141cの作動をそれぞれ制御することにより、両トロリ141の滑車141bがそれぞれ同一回転速度で逆回転する。これにより、各滑車141bがワイヤ142に案内されつつワイヤ142上を走行し、この結果、草刈りユニット21が平面視において第2方向D2に沿って後方〔
図5(b)中で下側〕へと移送される。
この他の構成は第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0051】
[4−2.作用・効果]
本発明の第4実施形態としての搬送装置1Aによれば、第1実施形態の効果に加えて以下の効果が得られる。
本実施形態の搬送装置1Aでは、移送機構4に加えて補助移送機構14を備えているので、草刈機1Aを、移送機構4により、支柱10A−1,10A−2と支柱10B−1,10B−2との相互間を平面視において第1方向D1に沿って移送できる上に、補助移送機構14により、支柱10A−1,10B−1と支柱10A−2,10B−2との相互間を平面視において第2方向D2に沿って搬送することができる。
【0052】
したがって、本実施形態の搬送装置1Aによれば、草刈機1Aを、支柱10A−1,10A−2,10B−1,10B−2により囲まれる領域の略全域に移送することができ、第1実施形態のように主移動体4を支柱10A,10Bの相互間で直線的に移動する場合に較べて、主移動体である草刈機1Aの搬送範囲を拡大することができる。したがって、草刈機1Aによる作業範囲(草刈範囲)を二次元的な範囲とすることができる。
【0053】
さらに、草刈機20には収容部20bが設けられている。移送用ウィンチ41A,41Bによりワイヤ42A,42Bを巻き取ると共に、ワイヤ142A,142Bから離脱させたトロリ141A,141Bを収容部20bに収容することで搬送装置1Aを草刈機20に収納することができ、搬送装置1Aと草刈機20との運搬を容易に行えるようになる。
【0054】
[4−3.その他]
(1)上記実施形態において、草刈機20に替えて、作業装置を備えた各種走行体(例えば、クレーンやパワーショベルを備えると共に走行可能な建設機械、走行式の除雪機等)を、作業装置を作動させながら又は停止して搬送するようにしてもよいし、さらには、その他の各種車両や船などの乗り物を搬送するようにしてもよい。
(2)上記実施形態において、トロリ141及びワイヤ142に替えて、移送用ウィンチ41A,41Bを備えた搬送装置を使用してもよい。この搬送装置としては、例えば、
図1(a),(b)に示す搬送装置1から、ターンテーブル34,電動モータ34a,伝達機構34b,保持機構3を省略したものが例示される。
【0055】
[5.第5実施形態]
[5−1.搬送装置の構成]
第4実施形態の搬送装置1Aが、補助移送機構14を設けて草刈機2Aを第2方向D2に移送するようにしているのに対して、本実施形態の搬送装置1Bは、補助移送機構14を設ける替わりに、主移送機構に移送ウィンチを追加して、この主移送機構により、草刈機2Aを第2方向D2に移送するようにしている。
以下、搬送装置1Bについて
図6を参照して具体的に説明する。
図6は、本発明の第5実施形態の搬送装置の全体構成を示す模式的な平面図である。
なお、第4実施形態と同様の要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
また、
図6では、バッテリは図示省略している。
【0056】
搬送装置1Cは、草刈機2Aと、移送機構4Aを備える。移送機構(主移送機構)4Aは、第4実施形態の移送機構4に、移送用ウィンチ41C,41Dと、移送用ウィンチ41C,41Dに連結されたワイヤ42C,42Dとが追加された構成のものである。移送用ウィンチ41C,41Dは、前記移送用ウィンチ41A,41Bと同様に構成されており、それぞれ、一対の支持フレーム41a,ドラム41b,動力伝達機構41d及びモータ41cを備える。
【0057】
移送用ウィンチ41C,41Dは第2方向D2に沿って配置されている。そして、移送用ウィンチ41Cのドラム41bは、軸心線CL3を回転中心とし、移送用ウィンチ41Dのドラム41bは、軸心線CL3と平行な軸心線CL4を回転中心としている。これらの軸心線CL3,CL4の向きは、移送用ウィンチ41A,41Bの軸心線CL1,CL2と交差する向き(本実施形態では直交する向き)である。
【0058】
そして、
図6に示すように、平面視において、第1方向D1に沿って支柱10Aと支柱10Bとが並べられ、第2方向D2に沿って支柱(支持体)10Cと支柱(支持体)10Dとが並べられている。
ワイヤ42A,42B,42C,42Dは、それぞれ、基端部側が移送用ウィンチ41A,41B,41C,41Dに巻き付けられ、先端が支柱10A,10B,10C,10Dの支持点PA,PB,PC,PDにそれぞれ固定されている。
【0059】
コントローラ5により、移送用ウィンチ41A,41Bの各モータ41cの作動が連動して制御され、これにより、草刈機2Aを、ワイヤ42Aの支持点PAとワイヤ42Bの支持点PBとの相互間を、平面視において第1方向D1に沿って移動させることができる。同様に、コントローラ5により、移送用ウィンチ41C,41Dの各モータ41cの作動が連動して制御され、これにより、草刈機2Aを、支柱10Cにおけるワイヤ42Cの支持点PCと、支柱10Dにおけるワイヤ42Bの支持点PDとの相互間を、平面視において第2方向D2に沿って移動させることができる。
したがって、コントローラ5により移送用ウィンチ41A,41B,41C,41Dの各モータ41cの作動を制御することで、草刈機2Aを、支持点PA,PB,PC,PDを結んで規定される領域Rの任意の位置に移送することができる。
また、支持点PA,PB,PC,PDは同一の高さに設定されており、支持点PA,PB,PC,PDの相互間を草刈機2Aは略水平(水平も含む)に移送される。
なお、搬送装置1Cは、補助移送機構14を備えていないので、当然であるが、草刈機2Aには収容部が設けられていない。
この他の構成は第4実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0060】
[5−2.作用・効果]
本発明の第5実施形態としての搬送装置1Cによれば、上述したように構成されているので、第4実施形態と同様に、第1実施形態に較べて、主移動体である草刈機1Aの搬送範囲を拡大することができ、ひいては草刈機1Aによる作業範囲を二次元的な範囲とすることができる。
【0061】
[6.第6実施形態]
[6−1.搬送装置の構成]
前記各実施形態の搬送装置が、搬送対象物を水平方向に沿って移送させたのに対し、本実施形態の搬送装置1Dは、搬送対象物を鉛直方向に沿って移送するようにしている。
以下、搬送装置1Dについて
図7を参照して具体的に説明する。
図7は、本発明の第6実施形態の搬送装置の全体構成を示す模式側面図である。
なお、前記実施形態と同様の要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
また、
図7では、コントローラや、移送用ウィンチを駆動するモータや、バッテリは図示省略している。
【0062】
図7に示す本実施形態の搬送装置1Dは、ビル200の窓などの清掃作業を行うためのものであって、清掃作業者が乗り込むゴンドラ(搬送対象)9を鉛直方向(略鉛直方向も含む。)に沿って移送するものである。
搬送装置1Dの移動体2は、
図7に示すように、その背面(移送用ウィンチ41A,41Bが取り付けられる面とは反対側の面)にゴンドラ9が取り付けられており、移送用ウィンチ41A,41Bが側面視において鉛直方向(第1方向)に並ぶ姿勢とされる。ワイヤ42Aの先端は、ビル200の屋上に固定されたL字形状の支柱(支持体)10Eの支持点PAに固定され、ワイヤ42Bの先端は地面100Cの支持点PBに固定され、ワイヤ42A,42Bは鉛直方向又は略鉛直方向に沿った姿勢となる。
【0063】
ゴンドラ9の背面(ビル200に向かう面)に前輪9a,後輪9c及び吸盤9bが備えられている。前輪9a及び後輪9cを備えることでゴンドラ9はビル200の壁面上を走行することができ、安定した昇降移動が可能となる。吸盤9bは、手動又は装置による駆動によりビル200の壁面に対して進退可能に構成されており、ゴンドラ9の移動中は吸盤9bを縮退して壁面から離隔させ、作業中は吸盤9bを伸長させて壁面に吸着させることでゴンドラ9の位置を固定する。吸盤9bの吸着によりゴンドラ9の位置を固定することにより、ゴンドラ9の乗った作業者は安定した状態で清掃作業を行える。
前後輪9a,9c及び吸盤9bの少なくとも1つは省略することができる。
【0064】
コントローラ5(
図2(b)参照)が前記各実施形態と同様に移送用ウィンチ41A,41Bによるワイヤ42A,42Bの巻き取り,送り出しを連動して制御することにより、上述したようにゴンドラ9を移動体2と一体に鉛直方向に移送する。
この他の構成は第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0065】
[6−2.作用・効果]
本発明の第6実施形態としての搬送装置1Cによれば、上述したように構成されているので、ゴンドラ9をワイヤ42Aの上端とワイヤ42Bの下端との両端で支持することができ、停止中及び移送中のゴンドラ9の横揺れを抑制できる。
【0066】
[6−3.その他]
(1)本第6実施形態の変形例1,2を、
図8を参照して説明する。
図8は、本発明の第6実施形態の搬送装置の変形例の要部構成を示す模式的な正面図である。また、
図8では、コントローラや、移送用ウィンチを駆動するモータや、バッテリは図示省略している。
本変形例では搬送装置1D′を横並びに二列設けると共に各搬送装置1D′の背面(ビル200に向かう面)に足場(板材)9Aの後端部が固定されている。つまり、足場9Aが搬送装置1D′に架け渡されている。
各搬送装置1D′の背面は、足場9Aが設けられるので、ゴンドラ9は設けられていないが、前後輪9a,9c及び吸盤9bは設けられている。前後輪9a,9c及び吸盤9bの少なくとも1つは省略することができる。
【0067】
(2)
図7に示す搬送装置1Dにおいて、移動体2の背面(ビル200に向かう面)に、ゴンドラ9を設けずに壁面清掃用の作業機械であるポリッシャ、打音検査用の装置、又は、塗装装置を取り付けてもよい。これにより、無人で清掃を行うことが可能となる。この場合も、前後輪9a,9c及び吸盤9bを移動体2の背面に取り付けることが好ましい。
【0068】
[7.第7実施形態]
[7−1.搬送装置の構成]
上記各実施形態では、各ウィンチにそれぞれ別体のワイヤを巻きつける構成を例示したが、本発明はこのような構成に限定されず、上述の各実施形態(変形例を含む)及び後述の各実施形態(変形例を含む)において2つのウィンチに一本のワイヤを共用で使用してもよく、例えば、移送機構を
図9に示すように構成してもよい。
図9は、本発明の第7実施形態の搬送装置1Eの要部構成を示す模式図であって、(a)は側面図、(b)は平面図である。なお、
図9では、前記実施形態と同様の要素については同一の符号を付してその説明を省略する。また、
図9では、コントローラ5や、移送用ウィンチ41A,41Bを駆動するモータや、バッテリは図示省略している。
移動体2の上面には、移送用ウィンチ41A,41Bが平行に設置されている。移送用ウィンチ41A,41Bには、一本のワイヤ(索体)42Eの中央がそれぞれ巻回されている。換言すれば、ワイヤ42Eの一端側(
図9における左側)をなす第1部分(第1索体部)42E−1の移動体2側が移送用ウィンチ41Aに巻き付けられると共に、同ワイヤ42Eの他端側(
図9における右側)をなす第2部分(第2索体部)42E−2の移動体2側が移送用ウィンチ41Aに巻き付けられる。第1部分42E−1及び第1部分42E−2の各先端は、それぞれ支柱10A,10Bに固定されている。
なお、
図9では省略しているが、移動体2には、コントローラ5が内蔵され、また搬送対象が直接又は間接的に保持されている。
【0069】
[7−2.作用・効果]
本発明の第7実施形態によれば、移送用ウィンチ41A,41Bに対して1本の共用のワイヤ42Eを使用しているので、移送用ウィンチ41A,41Bにそれぞれ別々のワイヤを使用する場合に較べて、ワイヤの長さを節約できる。
つまり、移動体2を一方(例えば左側)に移動させる場合には、一方の移送用ウィンチ41Aによりワイヤ42Eを巻き取ると同時に他方の移送用ウィンチ41Bからワイヤ42Eを送り出す必要があるが、移送用ウィンチ41Aで巻き取った分のワイヤ42Eを移送用ウィンチ41Bから送り出せばよいので、移送用ウィンチ41A,41Bにそれぞれ別々のワイヤを使用する場合に較べて、ワイヤの長さを節約できる。
【0070】
[7−3.その他]
本第7実施形態の変形例1,2を、
図10及び
図11を参照して説明する。
図10は、本発明の第7実施形態の搬送装置の変形例1の要部構成を示す模式図であって、(a)は側面図、(b)は平面図である。
図11は、本発明の第7実施形態の搬送装置の変形例2の要部構成を示す模式図であって、(a)は側面図、(b)は平面図である。
なお、
図10及び
図11では、
図9に示す搬送装置1Eと同様の要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0071】
(1)変形例1
図10に示すように、移送用ウィンチ41A,41Bで1本のワイヤ42Eを共用する場合、移送用ウィンチ41A,41Bによるワイヤ42Eの巻取量のバランスによっては、移送用ウィンチ41A,41Bの相互間でワイヤ42Eに弛み421が生じることがある。弛み421が大きいと移送用ウィンチ41A,41Bに絡まるなどの不具合が予想される。このため、本変形例1の搬送装置1E′では、移動体2には、弛み421を収容するための凹所である弛みプール20dが移送用ウィンチ41A,41Bの相互間に設けられている。
この他の構成は
図9に示す搬送装置1Eと同様なので説明を省略する。
【0072】
(1)変形例2
図11に示すように、本変形例2の搬送装置1E″では、
図10に示す変形例1の構成に対して、ガイドロール20e,20eとテンションロール20fとが移動体2に追加装備されている。これらのロール20e,20fは、何れも、その軸心線が移送用ウィンチ41A,41Bの軸心線と平行となる姿勢とされ、また、その両端を図示しない支持部材に軸支されている。各ガイドロール20eは、移送用ウィンチ41A,41Bの相互間において移送用ウィンチ41A,41Bの斜め下方且つ弛みプール20dの上方に配置されている。テンションロール20fは、ガイドロール20e,20eの相互間且つ弛みプール20dの内部に配置され、図示しない移動機構により矢印で示すように上下に移動可能に構成されている。ワイヤ42Eは、各ガイドロール20eの上側に通される一方、テンションロール20fの下側に通されており、ワイヤ42Eに弛みが生じる場合にはテンションロール20fを下方に移動させることでワイヤ42Eに張力を加えて弛みを解消するようにしている。
このようにガイドロール20eとテンションロール20fとを備えて、本発明の弛み解消機構が構成されている。
この他の構成は
図10に示す搬送装置1E′と同様なので説明を省略する。
【0073】
[8.第8実施形態]
[8−1.搬送装置の構成]
本実施形態の搬送装置1Fは、搬送対象50Aを搬送する搬送台車として構成される。
以下、本発明の第8実施形態の搬送装置について
図12を用いて具体的に説明する。
図12は、本発明の第8実施形態の搬送装置1Fの全体構成を示す模式的な側面図である。
なお、前記各実施形態と同様の要素については同一の符号を付してその説明を省略する。また、
図12では、コントローラや、移送用ウィンチを駆動するモータや、バッテリは、図示省略し、ワイヤ42A,42Bは図外の支柱に固定されている。
搬送装置1Fは、底面の前後左右にキャスタ車輪20aを備えた台車24と、本発明の移動体を2分割したものであって台車24の前後面に設けられた分割体2−1,2−2と、台車24の上面に横回転可能に取り付けられたターンテーブル34とを備える。分割体2−1,2−2には移送用ウィンチ41A,41Bが設置されている。搬送対象50Aは、このターンテーブル34に載置される。
【0074】
[8−2.作用・効果]
本発明の第8実施形態によれば、搬送対象50Aの搬入場所と搬出場所とで搬送対象50Aの向きを変更するする必要がある場合には、ターンテーブル34を所定量回転させることで搬送対象50Aを適宜の向きに変更することができる。
【0075】
[9.第9実施形態]
[9−1.搬送装置の構成]
本実施形態の搬送装置1Gは、搬送対象50Aを挟み付けて保持する構成を有する。
以下、本発明の第9実施形態の搬送装置について
図13を用いて具体的に説明する。
図13は、本発明の第9実施形態の搬送装置の全体構成を示す模式的な側面図である。
なお、前記各実施形態と同様の要素については同一の符号を付してその説明を省略する
。また、
図13では、コントローラや、移送用ウィンチを駆動するモータや、バッテリは、図示省略し、ワイヤ42A,42Bは図外の支柱に固定されている。
搬送装置1Gは、移送用ウィンチ41Aが上面に設置された分割体2−1と、移送用ウィンチ41Bが上面に設置された分割体2−2と、分割体2−1と分割体2−2との相互間距離を調整する相互間距調整機構としての中間ウィンチ43と、中間ウィンチ43のドラム43bに巻き付けられたワイヤ44とを備えている。
中間ウィンチ43は、分割体2−2の分割体2−1との対向面に設置され、この対向面に設けられた一対の支持フレーム43aと、これらの支持フレーム43aに回転可能に両端を支持されたドラム43bと、簡略して示す動力伝達機構43dと、この動力伝達機構43dを介してドラム43bを回転駆動する電動モータ(以下「モータという」)43cとを備える。
【0076】
ワイヤ44は、その一端を分割体2−1の分割体2−2との対向面に固定され、その他端をドラム43bに巻き付けられている。
中間ウィンチ43のワイヤ44の巻取量を調節することで分割体2−1,2−2の相互間距離を調整することができ、中間ウィンチ43とワイヤ44とを備えて本発明の相互間距調整機構が構成されている。
なお、ワイヤ44の巻取量の調整は、搬送装置1Gに設けられたローカルの正回転スイッチ及び逆回転スイッチにより行われる。正回転スイッチ及び逆回転スイッチは、オンしている時間に応じて電動モータ43cを所定量正回転又は逆回転させるスイッチである。
なお正回転スイッチ及び逆回転スイッチは遠隔スイッチとしてもよい。
【0077】
[9−2.作用・効果]
本発明の第8実施形態によれば、中間ウィンチ43のワイヤ44の適宜巻き取って分割体2−1,2−2の相互間距離を調整することで分割体2−1と分割体2−2との間で搬送対象50Aを挟み付けて保持することができる。そして、荷物や作業機械等の搬送対象50Aを保持した状態で、移送用ウィンチ41A,41Bを作動させることにより搬送対象50Aを搬送することができる。
中間ウィンチ43のワイヤ44の巻取量を適宜調節することで搬送対象50Aの大きさにあわせて分割体2−1,2−2の相互間距離を調整することができるので、様々な大きさの搬送対象50Aを保持・搬送することができる。
【0078】
[9−3.その他]
(1)搬送対象50Aは、物品に限らず、人間であってもよい。この場合には、分割体2−1,2−2を、人間の腰を保持し易いようにそれぞれ半リング状の弾性体により構成することが考えられる。具体的には、足の不自由な人が足を接地した状態で、腰廻りに分割体2−1,2−2をセットし、移送用ウィンチ41A,41Bを作動させて歩行をアシストすることが考えられる。
(2)搬送装置1Gにおいて、中間ウィンチ43及びワイヤ44に替えて、エアシリンダ又は油圧シリンダを使用してもよい。エアシリンダ又は油圧シリンダの駆動ロッドの進退量を調整することで、中間ウィンチ43及びワイヤ44と同様に分割体2−1,2−2の相互間距離を調整することができ、分割体2−1と分割体2−2との間で搬送対象50Aを挟み付けて保持することができる。
【0079】
[10.第10実施形態]
以下、本発明の第10実施形態の搬送装置について
図14を用いて具体的に説明する。
図14は、本発明の第10実施形態の搬送装置の全体構成を示す模式的な平面図である。
なお、前記各実施形態と同様の要素については同一の符号を付してその説明を省略する。また、
図14では、コントローラや、移送用ウィンチを駆動するモータや、バッテリは、図示省略し、ワイヤ42A,42Bは図外の支柱に固定されている。
本実施形態の搬送装置1Hは一対で使用される。各搬送装置1Hは、移動体2の一方の面にそれぞれ移送用ウィンチ41A,41Bを取り付けて構成される。両移送用ウィンチ41A,41Bは、何れも移送用ウィンチ41A,41Bの軸心線を鉛直方向に向けた姿勢とされ、
図14で左側の搬送装置1Hは左側に移送用ウィンチ41A,41Bを向け、右側の搬送装置1Hは右側に移送用ウィンチ41A,41Bを向けた姿勢とされる。
各搬送装置1Hの相互間には複数(本実施形態では5台)の農作機械2Bが並設されている。搬送装置1H及び農作機械2Bの各相互間は連結部材45により連結されている。
【0080】
このような構成により、一対の搬送装置1Hを同期して移動させることにより複数の農作機械2Bを一斉に移動させることで、一度に広い範囲に対し農作業を行うことができる。
なお、連結部材45は、搬送装置1H及び農作機械2Bの各相互間を連結した状態で複数の農作機械2Bを一斉に移動させるのに必要な強度があれば素材や形状は何ら限定されず、ワイヤでもよいしバー(棒)でもよい。
【0081】
[11.第11実施形態]
[11−1.搬送装置の構成]
以下、本発明の第11実施形態の搬送装置について
図15用いて具体的に説明する。また、
図15では、コントローラや、移送用ウィンチを駆動するモータや、バッテリは、図示省略し、ワイヤ42A,42Bは図外の支柱に固定されている。
図15は、本発明の第11実施形態の搬送装置1Jの全体構成を示す模式的な側面図である。
なお、前記各実施形態と同様の要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0082】
搬送装置1Jは、移動体2と、移送機構4と、移動体2の下面に横回転可能に固定されたターンテーブル34と、ターンテーブル34の下面に取り付けられた揺動体22と、ターンテーブル34と揺動体22との間に設けられたアクチュエータ23と、揺動体22の下面先端に取り付けられた枝切り用のチェーンソー7とを備えて構成されている。なお、
図15では地面100Eに生えた樹木は省略している。
搬送装置1Jは傾斜した地面100Eに設置されている。このため、移送機構4のワイヤ42A,42Bは傾斜面100Eに沿った傾斜で架設され、これに伴い、ワイヤ42A,42Bにより宙吊り状態で支持された移動体2も傾斜姿勢となっている。
【0083】
揺動体22は、平板状であり、ターンテーブル34と対面させるようにして基端部をターンテーブル34に揺動可能に取り付けられている。アクチュエータ23は、
図15では一点鎖線で簡略化して示しているが、本体をターンテーブル34に取り付けられ、本体から進退する駆動ロッドの先端を揺動体22の揺動端付近に取り付けられている。アクチュエータ23は、図示しない傾斜センサの検出結果に基づいて駆動ロッドの進退量が制御され、これにより、揺動体22及びチェーンソー7が所望の傾斜姿勢に保持されるようになっている。本実施形態では、揺動体22の姿勢は、チェーンソー7の作業に適した水平姿勢に保持されるようになっている。なお、揺動体22の所望の傾斜姿勢の傾斜角度は作業や状況に応じて適宜設定されるものであり、特定の角度に限定されるものではない。
【0084】
[11−2.作用・効果]
本実施形態によれば、搬送装置1Jが設置される地面100Eの傾斜角度に拘わらず、揺動体22に取り付けられたチェーンソー7の姿勢を所望の姿勢に保持できるので、効率的にチェーンソー7により作業を行うことができる。
【0085】
[11−3.その他]
(1)上記第11実施形態では、チェーンソー7により枝切りを行うため搬送装置1Jを宙吊り状態としたが、揺動体22の下面に車輪を備えた草刈機を固定し、この草刈機を地面100E上で走行させる構成としてもよい。この場合、アクチュエータ23に替えてスプリングに例示される弾性部材を圧縮状態でターンテーブル34と揺動体22との間に介装するようにしてもよい。これにより、揺動体22が地面100Eに弾性的に押圧されるようになり、自ずと揺動体22と草刈機とが地面100Eの傾斜に沿った角度となる。この場合、傾斜センサは不要である。
【0086】
(2)上記第11実施形態では、揺動体22を、ターンテーブル34を介して間接的に移動体2に設置したが、ターンテーブル34を省略して揺動体22を移動体2に直接取り付けてもよい。
(3)チェーンソー7に替えてポリッシャを揺動体22の下面に取り付けて、住宅の屋根に設置された傾斜姿勢の太陽光パネルの表面や、メガソーラを清掃するようにしてもよい。
【0087】
[12.第12実施形態]
以下、本発明の第12実施形態の搬送装置について
図16を用いて具体的に説明する。
図16は、本発明の第12実施形態の搬送装置の全体構成を示す模式的な側面図である。
なお、前記各実施形態と同様の要素については同一の符号を付してその説明を省略する。また、
図16では、コントローラや、移送用ウィンチを駆動するモータや、バッテリは、図示省略し、ワイヤ42A,42Bは図外の支柱に固定されている。
搬送装置1Kは、前後壁,左右壁及び底壁を備え天面の開口したボックス25と、ボックス25の前後面に設けられた分割体2−1,2−2と、分割体2−1,2−2に設置された移送用ウィンチ41A,41Bとを備えて構成される。搬送対象50Aはボックス25内に収容される。
ボックス25に替えて、前後壁,左右壁,底壁に加え天井壁を備えると共に、搬送対象50Aを搬入するための扉を備えたコンテナを使用してもよい。
【0088】
[13.第13実施形態]
以下、本発明の第13実施形態の搬送装置について
図17を用いて具体的に説明する。
図17(a),(b)は、本発明の第13実施形態の搬送装置の全体構成を示す模式的な側面図である。
なお、前記各実施形態と同様の要素については同一の符号を付してその説明を省略する。また、
図17(a),(b)では、コントローラや、移送用ウィンチを駆動するモータや、バッテリは、図示省略し、ワイヤ42A′,42B′は図外の支柱に固定されている。
搬送装置1Lは、移動体2の上面に、移送用ウィンチ41A,41Bの外側にさらに補助ウィンチ41A′,41B′を備えている。補助ウィンチ41A′,41B′はその台座411で移動体2から取り外し可能となっており、また、各台座411には、移送用ウィンチ41A,41Bに巻き付けられたワイヤ42A,42Bの先端が固定されている。
【0089】
このような構成により、搬送装置1Lの使用時には、補助ウィンチ41A′,41B′を移動体2から取り外すと共に移送用ウィンチ41A,41Bからワイヤ42A,42Bを繰り出し、さらに補助ウィンチ41A′,41B′からワイヤ42A′,42B′を繰り出す。そして、ワイヤ42A′,42B′の各先端を図示しない支持体に固定することで、これらの支持体の相互間にワイヤ42A,42B,42A′,42B′が架設され、搬送装置1Lが使用可能な状態にセットされる。
使用環境によっては2つの支持体の距離が長くなり、移送用ウィンチ41A,41Bのワイヤ42A,42Bだけでは長さが不足して支持体の相互間に架設できない場合が考えられる。このような場合には補助ウィンチ41A′,41B′のワイヤ42A′,42B′を使用することで支持体の相互間に架設が可能となる。
【0090】
なお、移送用ウィンチ41A,41Bのワイヤ42A,42Bは、補助ウィンチ41A′,41B′の台座411からワンタッチで取り外し可能とするのが好ましい。これにより、補助ウィンチ41A′,41B′が不要な場合には、ワイヤ42A,42Bを直接に支持体に固定することができる。
【0091】
[14.第14実施形態]
[14−1.搬送装置の構成]
以下、本発明の第14実施形態の搬送装置について
図18を用いて具体的に説明する。
図18は、本発明の第14実施形態の搬送装置1Mの要部構成を示す模式的な平面図である。
なお、前記各実施形態と同様の要素については同一の符号を付してその説明を省略する。また、
図18では、コントローラや、移送用ウィンチを駆動するモータや、バッテリは、図示省略する。
搬送装置1Mは、円環状の板体により構成される移動体(主移動体)2Cの上面に、移送用ウィンチ41A,41B,41Cが設置されている。移送用ウィンチ41A,41B,41Cに巻回されたワイヤ42A,42B,42Cの先端は図示しない別々の支持体に固定されている。
【0092】
各移送用ウィンチ41A,41B,41Cはそれぞれ円弧状のベースプレート2bに固定されている。また、各ベースプレート2bは、何れも移動体2C上を周方向に手動又は駆動装置により移動可能となっている。これにより、移動体2C上における各移送用ウィンチ41A,41B,41Cの取付位置を適宜変更可能になっている。ベースプレート2bを駆動装置により移動させる場合には、駆動装置を遠隔操作により移動させるようにしてもよい。
なお、移動体2Cは、これに限定されるものではないが、例えば草刈機や乗り物などの
搬送対象の天面に取り付けられる。
或いは、移動体2Cの中央の孔部に搬送対象を配置することで移動体2Cを搬送対象に組み付けるようにしてもよいし、移動体2Cの上に搬送対象を置くようにしてもよい。これらの場合、移送用ウィンチ41A,41B,41C及びベースプレート2bを移動体2Cの下面や側面等のその他各所に取り付けてもよい。
【0093】
[14−2.作用・効果]
本実施形態によれば、移動体2C上における各移送用ウィンチ41A,41B,41Cの位置を適宜調整することで、移動体2Cの移動ルートを調整することができる。
【0094】
[15.第15実施形態]
[15−1.搬送装置の構成]
以下、本発明の第12実施形態の搬送装置について
図19を用いて具体的に説明する。
図19は、本発明の第15実施形態の搬送装置1Nの構成を示す模式的な平面図である。
なお、前記各実施形態と同様の要素については同一の符号を付してその説明を省略する。また、
図19では、コントローラや、移送用ウィンチを駆動するモータや、バッテリは、図示省略する。
搬送装置1Nは、草刈機2Aの上面に取り付けられた移送用ウィンチ41A,41B,41C,41Dと、トロリ141A−1,141A−2,141B−1,141B−2,141C−1,141C−2,141D−1,141D−2とを備えて構成される。
トロリ141A−1,141A−2は、図示しない支持体に支持されたワイヤ142A上を走行し、トロリ141B−1,141B−2は、ワイヤ142Aと平行であって図示しない支持体に支持されたワイヤ142B上を走行する。また、ワイヤ142A,142Bと交差するように、トロリ141A−1,141B−1にワイヤ142Cが掛け渡されると共にトロリ141A−2,141B−2にワイヤ142Dが掛け渡されており、ワイヤ142C上をトロリ141C−1,トロリ141C−2が走行し、ワイヤ142D上をトロリ141D−1,トロリ141D−2が走行する。さらに、移送用ウィンチ41A,41B,41C,41Dに巻き付けられたワイヤ42A,42B,42C,42Dの先端は、トロリ141C−1,141D−2,141C−2,141D−1に固定されている。
【0095】
[15−2.作用・効果]
本実施形態によれば、草刈機2Aの移動経路を直接規定するワイヤ42A,42B,42C,42Dの位置を、トロリ141A−1,141A−2,141B−1,141B−2,141C−1,141C−2,141D−1,141D−2の走行により複合的に変更できるので、草刈機2Aをより精密且つ複雑に移動させることができる。
【0096】
[16.第16実施形態]
[16−1.搬送装置の構成]
以下、本発明の第16実施形態の搬送装置1Pについて
図20を用いて具体的に説明する。
図20は、本発明の第16実施形態の搬送装置1Pの構成を示す模式的な側面図である。
なお、前記各実施形態と同様の要素については同一の符号を付してその説明を省略する。また、
図20では、コントローラや、移送用ウィンチを駆動するモータや、バッテリは、図示省略する。
搬送装置1Pは、移動体2の上面に移送用ウィンチ41A及び移送用ウィンチ41Bとがワイヤ42A,42Bの送り出し方向を逆にして平行に配置されている。ワイヤ42A,42Bは先端を前記各実施形態と同様に図示しない支持体により支持されている。
ワイヤ42Bには、複数の案内金具49が取り付けられている。各案内金具49に小サイズのリング49aと大サイズのリング49bとを連結した、だるま形状のものである。リング49aにはワイヤ42Bが挿通され、リング49bにはホース(搬送対象)48が挿通される。これにより、ホース48は、これらの案内金具49を介してワイヤ42Bに支持されると共に案内金具49によってワイヤ42Bに沿って移動を案内される。ワイヤ42Bの先端は移動体2の端面に固定されている。ホース48は、本実施形態では水を流通させるもので、その基端は図示しない水供給源(例えば水道の蛇口)に接続されている。ホース48の先端に噴霧ノズルを装着してもよい。
【0097】
[16−2.作用・効果]
本実施形態によれば、移動体2と一体にホース48の先端すなわち水供給口を移動させることができるので、例えば農作地の広い範囲に亘って水を供給することが可能となる。
【0098】
[16−3.その他]
(1)ホース48に替えて蛇腹管を使用してもよい。この場合、移動体2の移動に応じて蛇腹管が伸縮する。
(2)水を供給するようにしたが、水に限定されず、各種流体を供給することができ、例えば農薬、果実剪定・収穫用のエアを供給するようにしてもよい。
(3)搬送装置1Pを大型化すると共にホース48に替えて人が通行できるような大きなサイズの筒状体としてもよい。これにより、筒状体の内部空間を人間の通行用の空間とすることができると共に、この通行用の空間を、搬送装置1Pを使用して適宜の位置まで施工できる。この場合、筒状体の内部空間の下部に足場として板材を設けてもよい。板材は、リング49bに支持される。
(4)ホース48により流体を供給することに替えてホース48により流体を吸引することもでき、例えば掃除機(吸塵)や吸水装置として使用することができる。
【0099】
[17.第17実施形態]
以下、本発明の第17実施形態の搬送装置1Qについて
図21及び
図22を用いて具体的に説明する。
図21は、本発明の第17実施形態の搬送装置1Qの構成を示す模式的な平面図である。
図22(a),(b),(c),(d)は、本発明の第17実施形態の搬送装置1Qの動作を説明するための模式的な要部平面図である。
なお、上記実施形態と同様の要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
また、
図21及び
図22では、コントローラや、移送用ウィンチを駆動するモータや、バッテリは、図示省略し、ワイヤ142A,142Bは図外の支柱に固定されている。
【0100】
[17−1.搬送装置の構成]
搬送装置1Qは、宙吊り状態に分割体2−1,2−2を搬送するものであり、
図21に示すように、分割体2−1,2−2と、分割体2−1,2−2を連結する連結機構26と、分割体2−1,2−2に設置された移送用ウィンチ41A,41Bと、ワイヤ42A,42Bと、トロリ141A,141Bとを備える。また、分割体2−1,2−2にはそれぞれ先端にチェーンソー7が固定されたロボットアーム6が取り付けられている。
移送用ウィンチ41A,41Bのワイヤ42A,42Bの巻き付け量を連携して調整することにより、分割体2−1,2−2を一体に第1方向D1(
図21の紙面上下方向)に移送することができる。トロリ141A,141Bは、ワイヤ42A,42Bと交差する第2方向D2(
図21の紙面左右方向)に延在するワイヤ142A,142B上を走行すると共にワイヤ42A,42Bの先端が固定されており、分割体2−1,2−2を第2方向D2に移送する。
【0101】
分割体2−1,2−2は、隙間を空けて第1方向D1に沿って並べられ、この隙間に連結機構26が配置されている。
連結機構26は、相対する一対のベース部材27a,27bと、これらのベース部材27a,27bの相互間の隙間に配置されるアーム部材28a,28bとを備えて構成されている。ベース部材27a,27b及びアーム部材28a,28bは何れも円弧形状であり、連結機構26は全体としてリング形状をしている。
ベース部材27a,27bは、その周方向中央部が分割体2−1,2−2の上面に固定されている。アーム部材28aは、ベース部材27aの先端(
図21における右端)に挿入され、図示しない駆動機構によりベース部材27aに対して進退し、
図21に示す伸長状態では、先端がベース部材27bの末端(
図21における右端)に挿入され連結状態とされる。同様に、アーム部材28bは、ベース部材27bの先端(
図21における左端)
に挿入され、図示しない駆動機構によりベース部材27bに対して進退し、
図21に示す伸長状態では、先端がベース部材27aの末端(
図21における左端)に挿入され連結状態とされる。すなわち、連結機構26には、第2方向D2に沿って間隔をあけて2つの連結部が設けられている。
また、アーム部材28a,28bの駆動機構は操作端末により遠隔操作される。
【0102】
[17−2.作用・効果]
図22に示すように、搬送装置1Qは、白抜きの矢印で示す進行方向前方に障害物があった場合、オペレータの手動による遠隔操作により次のように動作させることができる。
図22(a)に示すように、進行方向に障害物300が存在することをオペレータが確認した場合には、オペレータは遠隔操作により、前方のアーム部材28aを縮退状態として、分割体2−1,2−2の相互間の前寄りに障害物300を通すことが過可能な空間を形成する。ベース部材27a,27bはアーム部材28bにより連結されているのでこの状態でも分割体2−1,2−2の連結状態は保持される。
【0103】
搬送装置1Qがさらに前進し、
図22(b)に示すように、障害物300が連結機構26の円弧形状内方に入り込んだことを確認するとオペレータは遠隔操作によりアーム部材28aを伸長状態とし、分割体2−1,2−2をアーム部材28bに加えてアーム部材28aでも連結させる。
そして、アーム部材28aの伸長による分割体2−1,2−2の連結が完了したことを確認すると、
図22(c)に示すように、オペレータは遠隔操作により後方のアーム部材28bを速やかに縮退状態とし、分割体2−1,2−2の相互間の後寄りに障害物300を通すことが可能な空間を形成する。
搬送装置1Qがさらに前進し、
図22(d)に示すように、連結機構26が障害物300を完全に通過したことを確認するとオペレータは遠隔操作により後方のアーム部材28bを伸長状態とし、分割体2−1,2−2を両アーム部材28a,28bにより強固に連結させる。これにより、搬送装置1Qによる障害物300を通過が完了する。
したがって、本実施形態によれば、進行方向前方に障害物300が存在しても中断することなく枝切り作業を行うことができる。
【0104】
[17−3.その他]
(1)上記実施形態では、分割体2−1,2−2を宙吊り状態で移動させるようにしたが、分割体2−1,2−2に車輪を設けて、移送用ウィンチ41A,41B及びトロリ141A,141Bによる搬送に伴い、分割体2−1,2−2が前記車輪により地上を走行するようにしてもよい。
【0105】
(2)
図21に示す搬送装置1Qでは、分割体2−1,2−2と、分割体2−1,2−2を連結する連結機構26と、分割体2−1,2−2に設置された移送用ウィンチ41A,41Bと、ワイヤ42A,42Bとからなる作業を行う部分(以下「作業体」という)を、トロリ141A,141Bとの間に一セット設けたが、
図23に示すように、トロリ141A,141Bとの間に作業体を、複数セット並設して、これらの複数セットの作業体を、トロリ141A,141Bにより第2方向D2に並走させるようにしてもよい。
【0106】
図23は、変形例の構成を示す模式的な平面図である。なお、上記実施形態と同様の要素については同一の符号を付してその説明を省略する。また、
図23では、コントローラや、移送用ウィンチを駆動するモータや、バッテリは、図示省略し、ワイヤ142A,142Bは図外の支柱に固定されている。
図23に示す例では、移送用ウィンチ41A,41Bを備えた作業体30と、移送用ウィンチ41Bだけを備えた作業体30′とを備えており、作業体30,30′の相互間が、作業体30のワイヤ42Bにより連結されている。
図23に示す例では、作業体が2セット設けられた構成を示したが、複数の作業体の内、移送用ウィンチを複数設けた作業体が少なくとも一セット設けられていれば、作業体のセット数は何ら限定されず3セット以上設けてもよい。
また、ワイヤ42A,42Bに移動可能に取り付けられた滑車からロープを懸垂し、このロープに自走式の作業機を支持させるようにしてもよい。このような懸垂式の作業機としては、移動式作業機や、国際公開第2014/175197号に開示された草刈り機を例示できる。なお、懸垂式の作業機の取り付け台数は何台でもよい。
【0107】
図21〜
図23に示す構成では、搬送装置1Q,1Q′により作業体30,30′を前後左右に移動させるようにしたが、作業体30,30′を移動させる向きは何ら限定されない。例えば、作業体30,30′を上下に移動できるようにしてもよい。このような構成としては、
図22及び
図23を側面図と見なした場合の構成を例示できる。
【0108】
(3)
図21及び
図22に示す構成に対して、
図21及び
図22(b)に二点鎖線で示すような一対の円弧状の保持パッド27cを設けてもよい。保持パッド27cは、図示しないアクチュエータを介してベース部材27a,27bにそれぞれ取り付けられている。保持パッド27cは、アクチュエータを同期して作動させることにより互いに離接可能になっている。通常は、
図21に示すように互いに離隔した待機状態となっているが、例えば、
図22(b)の障害物300を、伐採した樹木に置き換えた場合、保持パッド27cを互いに接近させて伐採した樹木を把持させることができ、この樹木を搬送することが可能となる。なお、樹木の伐採は、伐採用の器具を搬送装置1Qに装備させて、この伐採用の器具により行うようにしてもよいし、搬送装置1Qとは別の装置を使用して作業者が人手により行うようにしてもよい。
【0109】
[18.第18実施形態]
[18−1.搬送装置の構成]
以下、本発明の第18実施形態の搬送装置1Rについて
図24を用いて具体的に説明する。
図24は、本発明の第18実施形態の搬送装置1Rの構成を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
図24(a)では便宜的に車体及びエンジンを破線で示す。
【0110】
本実施形態の搬送装置1Rは、自動車の車両(走行体,主移動体)と一体的に構成されている。具体的には、搬送装置1Rは、車体150と、左右一対の前輪151及び左右一対の後輪152と、エンジン153と、左右一対のドラム154及び左右一対のドラム155と、これらのドラム154,155とにそれぞれ巻き付けられたワイヤ(索体)156とを備える。各ワイヤ156の先端は図外の支柱に固定されている。
【0111】
ドラム154は取付具154bによりそれぞれ前輪151に固定され、ドラム155は取付具155bによりそれぞれ後輪152に固定される。取付具154bと取付具155bとは同一の構成なので取付具154bを代表にその構成を説明する。取付具154bは、ドラム154のドラム154に同軸上に固定される軸部材154cと、軸部材154cに同軸上に固定される円板状部材154dとを一体に備えて構成される。円板状部材154dは、車輪151のホイールボルト154eを使用して、この車輪151に同軸上に固定される。
【0112】
また、本実施形態では、車両は、車輪151,151,152,152の四輪がエンジン153によって駆動される四輪駆動車として構成されている。各車輪151,152に固定されたドラム154,155は、各車輪151,152と一体にエンジン153によって回転駆動される。したがって、エンジン153により、車輪151,152を介してドラム154,155を回転駆動する本発明の駆動装置が構成され、ドラム154,155とエンジン153とにより本発明のウィンチが構成される。
【0113】
ここで、ワイヤ156の巻き付け方向は、前輪151のドラム154と後輪152のドラム155とで異なる方向に設定されている。具体的には、
図24(b)の左側面図において、ドラム154には、ワイヤ156が、ドラム154に固定された基端部から、図外の支柱に固定された先端部に向かって、時計回りに巻き付けられると共に、ドラム155のドラム154には、ワイヤ156が、基端部から先端部に向かって、反時計回りに巻き付けられている。
これにより、車両が前進している最中〔つまり
図24(b)の左側面図において車輪151,152が反時計回りに回転している最中〕は、前方のドラム154がワイヤ156を巻き取ると共に後方のドラム155がワイヤ156を送り出して、車両の前進と同調して、車体150を前方に搬送するようになっている。同様に、車両が後進している最中〔つまり
図24(b)の左側面図において車輪151,152が時計回りに回転している最中〕は、ドラム154がワイヤ156を送り出すと共にドラム155がワイヤ156を巻き取って、車両の後進と同調して、車体150を後方に搬送するようになっている。
【0114】
なお、アクセルペダルの踏み込み等に応じて、車載ECU(図示略)により、エンジン153の作動が制御され、ひいてはドラム154,155の作動、さらには搬送装置1Rによる車体150の位置が制御されるので、車載ECUが本発明の制御装置を構成する。
【0115】
[18−2.作用効果]
本発明の第18実施形態によれば、搬送装置1Rが車両と一体的に構成されているので、上述した実施形態の効果に加えて、例えば、以下のような効果が得られる。
つまり、例えば
図24(b)に示すように傾斜の急な坂道を車両が昇降するような場合には、一般的な車両では安定して走行するのが困難であるが、搬送装置1Rの搬送により車両の走行がアシストされる共にワイヤ156により車両を牽引したり吊り下げながら降下させたりすることができるので、車両の滑落や横転を防止でき、安定した走行を実現できる。
あるいは、ワイヤ156により車両を懸架して空中に保持した宙吊り状態で、車輪151,152を走行に使用することなく、ドラム154,155により車体150を搬送するようにしても、車体150を安定して昇降させることができる。
【0116】
[18−3.その他]
(1)上記実施形態では、前輪151に、前進時にワイヤ156を巻き取るドラム154を固定し、後輪152に、前進時にワイヤ156を送り出すドラム155を固定したが、
図25に示すように、一つの車輪(この例では前輪151)にこれらの二つのドラム154,155を固定して搬送装置1R′を構成してもよい。具体的には、各前輪151に固定されたドラム154の外側(車体150から離れる側)に、軸部材155cを介して同軸上にドラム155を固定している。なお、ドラム154にドラム155を直接固定してもよい。この他の構成は上記実施形態と同様なので説明を省略する。
【0117】
(2)上記実施形態では、車体150を備えた車両を四輪駆動車としたが、前輪駆動車や後輪駆動車でもよい。前輪駆動車や後輪駆動車の従動車輪であっても、接地していれば、間接的にエンジンにより駆動されるようになるので、駆動車輪のみならず従動車輪にウィンチを取り付けることができる。但し、車体150をウィンチにより宙吊り状態で搬送する場合には、ウィンチを駆動車輪に固定する必要がある。
【0118】
(3)上記実施形態では、ドラム154,155を、車輪151,152に固定したが、エンジン153の回転駆動力を伝達する駆動力伝達機構を、車輪151,152の駆動力伝達機構とは別に又は分岐して設けてもよい。この場合、ドラム154,155が、車両の走行方向と逆方向に車両150を搬送する方向に回転しないよう、駆動力伝達機構に逆回転防止機構を設けてもよい。
【0119】
(4)
図26(a),(b)に示すように、上記実施形態の車両(搬送装置1R)を上下二段にしてもよい。
図26(a)では、車両(搬送装置1R)の上方に、上下逆さまの別の車両(搬送装置1R)を固定している。これらの車両はルーフ同士を接合や固定金具を使用するなど周知の方法により相互に固定されている。
図26(b)では、車両(搬送装置1R)の上方に、同じ姿勢(ルーフを上に向けた姿勢)で、別の車両(搬送装置1R)を固定している。上方の車両は、その車輪151,152と、下方の車両のルーフとの間に隙間が空くように、前後一対の固定金具157を使用して下方の車両に固定されている。これにより、上方の車両(搬送装置1R)は、エンジン作動時には、車輪151,152は空転して実質的に非作動となり、ウィンチだけを作動させることができる。
なお、
図26(a),(b)に示す構成において、上下の2台の車両(搬送装置1R)の固定を解除可能な構成として、これらの2台の車両を別々でも使用できるようにしてもよい。
【0120】
(5)上記実施形態では、走行体として4輪車に本発明を適用した例を説明したが、走行体の車輪数は何ら限定されず、4輪車よりも車輪数の少ない1輪車,2輪車,3輪車にも使用でき、4輪車よりも車輪数の多いものにも使用できる。また、レール上を走行する鉄道車両にも適用できる。また、複数の車輪に無端状の軌道体を巻き廻した無限軌道走行装置にも適用できる。
(6)
図24及び
図25に示す搬送装置1R,1R′のウィンチによる移動方向は何ら限定されず、例えば鉛直上下方向に移動するようにしてもよい。
(7)搬送装置1R,1R′は室内でも室外でも使用できる。
(8)搬送装置1R,1R′の車輪151,152はエンジン駆動としたが、ホイールモータにより駆動するようにしてもよい。
【0121】
[19.その他]
(1)第2実施形態及び第3実施形態において、第1実施形態の[1−4.変形例]の欄で説明したように、移送用ウィンチ41A,41Bを使用して作業アーム6やチェーンソー7を昇降するようにしてもよい。
【0122】
(2)第2実施形態及び第3実施形態では、ターンテーブル34を設け、このターンテーブル34を介して作業アーム6やロッド8を移動体2に取り付けたが、ターンテーブル34を省略して、作業アーム6やロッド8を移動体2に直接取り付けてもよい。
【0123】
(3)第4実施形態及び第5実施形態では、草刈機2Aは、移送機構4及補助移送機構14によって移送されるものであり、自走するものではなかったが、草刈機2Aを、モータやエンジンなどの駆動装置を備えた自走式としてもよい。
例えば、
図5(a),(b)に示す第4実施形態の搬送装置1Aにおいて、草刈機2Aを自走式とした場合、平坦な場所では、補助移送機構14を収容部20bに収容した状態で草刈機2Aを自走させる。その一方、傾斜のきつい斜面や起伏の激しい土地など、駆動力の不足や転倒のおそれのため自走が困難な場所では、支柱10A−1,10A−2,10B−1,10B−2及びワイヤ142A,142Bを設置し、ワイヤ142A,142Bに、収容部20bから取り出したトロリ141A,141Bを取り付ける。すなわち、移送機構4及補助移送機構14を使用できるようなセッティングを行い、これらの移送機構4及補助移送機構14により、前記第2実施形態のように草刈機2Aを移送する。
搬送装置1Aを自走式とする場合、ウィンチ41A,41Bに加えて又は替えて、
図24や
図25に示す搬送装置1R,1R′のように車輪20aに、車輪20aと一体に回転するドラムを固定してもよい。或いは、車輪20aに、この車輪20aと一体に回転する滑車を設けて、ワイヤ42A,42Bとは別に設けられて水平方向に延設されたワイヤ上で、この滑車をトロリのように走行させてもよい。
【0124】
また、
図5(a),(b)に示す搬送装置1Aや、
図24に示す搬送装置1Rや、
図25に示す搬送装置1R′において、
図4に示す搬送装置1″のように、補強ワイヤ46を別に掛け渡して、この補強ワイヤ46に吊り下げられる鉤部材20gを備えるようにしてもよい。或いは、自走式又は従動式のトロリを補強ワイヤ46上で走行させ、このトロリから支持部材(例えば索体や棒材等)を垂下し、この支持部材の下端を搬送装置1A,1R,1R′に固定してもよい。或いは、自走式又は従動式のトロリを走行体20や車体150の天面(ルーフ)に直接固定して、このトロリを補強ワイヤ46上で走行させるようにしてもよい。
【0125】
トロリとしては、
図5(a)に示すトロリ141Aを使用してもよい。或いは、
図27(a),(b)に示すものを使用してもよい。
図27(a)に示すトロリは、トロリ141Aに対し、トロリ本体141a′が箱型形状であり、このトロリ本体141a′には、滑車141bが上下一対に内蔵されている。下方の滑車141bは、トロリ本体141aの側壁に上下移動可能に取り付けられ且つ上方に付勢されており、これらの一対の滑車141b,141bによりワイヤ142Aを挟持できるようになっている。
【0126】
また、トロリ本体141a′の図中左側の側壁の下部には、二点鎖線で示すように開放可能に構成された蓋部143が備えられている。下方の滑車141bは、この蓋部143に上述したように上下移動可能に取り付けられている。このような構成により、滑車141b,141bの相互間にワイヤ142Aをセットする際には、蓋部143を開き、下方の滑車141bを蓋部143と一体に上方の滑車141bから一端離隔させればよい。また、滑車141b,141bの相互間からワイヤ142Aを外す際には、ワイヤ142Aの下方から外れた二点鎖線で示す位置まで蓋部143を開けばよい。この際、蓋部143と一体に移動する滑車141bはワイヤ142Aに衝突するが、蓋部143を開こうとする力を受けて、この滑車141bは付勢力に抗してワイヤ142Aを避けるように下方に移動するので蓋部143を開くことができる。 この他の構成は、
図5(a)に示すトロリ141Aと同じなので説明を省略する。
【0127】
図27(b)に示すトロリは、その滑車141b′が、
図5(a)に示すトロリ141Aの滑車141bに較べて、ワイヤ142Aが入り込む凹所が深く形成されている。これにより、滑車141b′とワイヤ142Aとの係合状態が意図せず解除されることを防止している。
また、このトロリは、トロリ本体141″の底部144が開閉可能に構成され、底部144にはワイヤ142Aの延在方向に沿って回転可能な従動ローラ145が備えられている。トロリの走行中にワイヤ142Aが撓んで従動ローラ145に当接すると、この従動ローラ145がトロリの走行に従動して回転するので、ワイヤ142Aと底部144とが直接接触する場合に較べてワイヤ142Aの摩耗量を軽減することができる。
この他の構成は、
図5(a)に示すトロリ141Aと同じなので説明を省略する。
なお、
図5(a)に示す搬送装置1Aにおいて、トロリ141Aに替えて、
図27(a),(b)に示すトロリを使用してもよい。
【0128】
(4)第4実施形態及び第5実施形態では、草刈機2A自体を本発明の主移動体として草刈機2Aに移送用ウィンチ41A,41Bを直接取り付けたが、
図28に示すように構成してもよい。
図28は、本発明の第4実施形態及び第5実施形態の搬送装置の変形例の要部構成を示す模式的な側面図である。なお、上記実施形態と同様の要素については同一の符号を付してその説明を省略する。また、
図28では、コントローラや、移送用ウィンチを駆動するモータや、バッテリは、図示省略し、ワイヤ42A,42Bは図外の支柱に固定されている。
図28に示す構成では、草刈機2Aと、移送用ウィンチ41A,41Bが取り付けられた移動体2とが別体であり、移動体2の下面に設けられた複数の凸部2aを、草刈機2Aの走行体20の上面に設けられた複数の凹部20cに嵌め込むことにより、草刈機2Aを移動体2に着脱自在に装着している。すなわち、本発明の保持機構が、移動体2や草刈機2Aに一体に設けられた凸部2a及び凹部20cからなる連結機構により構成されている。
【0129】
また、
図28に示す構成において、移動体2の下面にターンテーブル34(
図1参照)を設け、このターンテーブル34に草刈機2Aを例えば連結機構を用いて保持させてもよい。この場合、凸部2aが、移動体2に替えてターンテーブル34の下面に設けられる。この構成によれば、ターンテーブル34により草刈機2Aに向きを変えて、草刈りユニット21を適宜の方向に向けることができる。
【0130】
また、移動体2は一体である必要はなく、例えば、
図28に二点鎖線で示すように、移動体を、移送用ウィンチ41Aが設置された分割体2−1と、移送用ウィンチ41Bが設置された分割体2−2とにより構成し、これらの分割体2−1,2−2を草刈機2Aの走行体20の前面及び後面に固定するようにしてもよい。また、移動体2や分割体2−1,2−2の取り付け箇所は走行体20の上面に限定されず適宜の箇所に設置しうるものであり、例えば、分割体2−1,2−2を走行体20の側面や下面に取り付けるようにしてもよい。
【0131】
(5)
図5に示す第4実施形態において、トロリ141を案内する案内部材をワイヤ142により構成したが、案内部材をレールにより構成してもよい。
(6)
図7に示す第6実施形態において、第4実施形態のように補助移送機構14を設けて、ゴンドラ9を、鉛直方向(第1方向)と交差する第2方向(例えば水平方向)にも移動できるようにしてもよい。
(7)各実施形態においてコントローラ5を移動体2に取り付けた構成を説明したが、コントローラ5を移動体2に設けることは必須ではない。例えばコントローラ5を前記操作装置と一体に移動体2とは別の場所に設け、移動体2に設けられる各種モータを遠隔制御するようにしてもよい。
【0132】
(8)前記各実施形態では、主移動体としての移動体2及び草刈機2Aを水平方向に沿って又は鉛直方向に沿って移送したが、主移動体の移送方向は任意に設定できる。例えば主移動体を上下に傾斜した搬送経路上を移送させるようにしてもよい。
【0133】
(9)前記各実施形態において移動体2に設けられた電気モータ33c,34a,41cの電源には、バッテリや太陽光パネルのような光電変換素子や燃料電池など種々の公知の電源を、1種類又は2種類以上組み合わせて使用することができる。
さらに、ウィンチ41A〜41Dは、電気モータ駆動のものに限定されず、エンジン駆動のものや油圧駆動のものを使用することができる。
【0134】
(10)前記実施形態では、搬送装置や、搬送装置に搬送される草刈り機や乗り物に、車輪を備えたものを例示したが、車輪に替えて、複数の転輪に無端状の軌道体を巻き廻した無限軌道走行装置を使用してもよい。また、移送用ウィンチが直接又は移動体を介して取り付けられる乗り物は、何ら限定されず、例えば、橇(そり)や、飛行機(テーマパークや遊園地等のアトラクション用のものも含む)、気球,飛行船,水中探査機のような潜水艇であってもよい。また、近年、観光用やアートとして、ワイヤで宙吊りにした建物が製作されているが、これを発展させたものとして、移送用ウィンチを直接又は移動体を介して建物に取り付けて、この建物を宙吊りにした状態で搬送するようにしてもよい。
【0135】
(11)搬送装置に設置する移送用ウィンチの台数は、複数であればよく、上記実施形態の台数に限定されることなく適宜設定される。例えば1つの搬送装置に、3台の移送用ウィンチを設置してもよいし、4台以上の移送用ウィンチを設置してもよい。
(12)上記実施形態における移送用ウィンチや補助ウィンチや中間ウィンチにおいて、ワイヤの巻き付きを規定する溝をドラムの周面に形成してもよい。これにより、ドラム上でワイヤが絡まることを抑制することができる。
【0136】
(13)上記各実施形態では、ドラムの円筒周面が移動体の進行方向に向くように移送用ウィンチを主移動体に取り付けたが、
図29(a),(b)に示すようにしてもよい。
図29は、本発明の搬送装置の変形例の要部構成を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A断面図である。なお、上記実施形態と同様の要素については同一の符号を付してその説明を省略する。また、
図29では、コントローラや、移送用ウィンチを駆動するモータや、バッテリは、図示省略し、ワイヤ42A,42Bは図外の支柱に固定されている。
図29(a),(b)に示す構成では、移送用ウィンチ41A,41Bは、そのドラム41bの円筒周面が、移動体2の移動方向(第1方向D1)と直交する第2方向D2に向くように、移動体2に設置されている。そして、移動体2には、ガイドロール47aがワイヤ42A,42Bに対してそれぞれ設けられている。ガイドロール47aは略円盤状のもので円形面を移動体2に対面させた姿勢で、移動体2に水平回転可能に取り付けられている。また、ガイドロール47aの円周面には、ワイヤ42A,42Bが嵌り込む凹所47bが全周に亘って形成されている。
【0137】
このような構成により、移送用ウィンチ41A,41Bから第2方向D2に送り出されたワイヤ42A,42Bを、ガイドロール47aの案内により第1方向D1に向かわせるようにしている。また、第1方向D1に沿って移送用ウィンチ41A,41Bへと向かうワイヤ42A,42Bを、ガイドロール47aの案内により、移送用ウィンチ41A,41Bの巻き取り方向である第2方向D2に向かわせるようにしている。
【0138】
(14)
図30に示すように構成してもよい。
図30は、本発明の搬送装置の変形例の要部構成を示す模式的な斜視図である。なお、上記実施形態と同様の要素については同一の符号を付してその説明を省略する。また、
図30では、コントローラや、移送用ウィンチを駆動するモータや、バッテリは、図示省略し、各ワイヤ41Fは図外の支柱に固定されている。
図30に示す構成では、主移動体(以下「枠体」ともいう)2Dが、前後左右のフレームからなる枠体により構成されている。この枠体は、4つのアングル材を組み付けて構成されている。また、枠体2Dの各外側面には、ワイヤ42Fを巻回する移送用ウィンチ41Fが2台ずつ設けられている。
図30では簡略化して示しているが、移送用ウィンチ41Fは、前記の移送用ウィンチ41Aと同様の構成である。
【0139】
主移動体2Dをこのように枠体にすることで、この枠体2D上に、二点鎖線で示すように板材9Aを前後左右に複数載置することで足場を組むことができる。なお、枠体2D上に板材9Aを上下に多段に設けて立体的に足場を組んでもよい。
また、この枠体上に温室を設置してもよい。陽のあたる場所は、天候や1日の時間帯に応じて変化するので、このような構成により、温室を陽のあたる場所に適宜移動することができる。
【0140】
(15)主移動体に、自走式の作業機械のような自走式走行体を脱着可能に取り付け、主移動体により宙吊り状態で所定場所まで搬送した後、主移動体から自走式走行体を離脱させた後、自走式走行体を自走させるような使用も可能である。この場合、主移動体から自走式走行体の離脱をワンタッチで容易にできるようにするのが好ましい。
(16)搬送装置を海や河や湖などの水面上方に二系列並列して、二つの主移動体を並走させると共にこれらの主移動体に保持させて水中に降ろした網により、魚を捕獲したり或いは水中のごみを浚うようにしたりしてもよい。この場合、索体を支持する支持体は、陸地や船上に設けても良い。
【0141】
(17)
図21及び
図22に示す第17実施形態の変形例の構成を
図31及び
図32を参照して説明する。
図31及び
図32に示す構成は、
図21及び
図22に示すような構成のものを高さ方向に多段にして高所作業用にしたものである。
図31は、本発明の搬送装置の変形例の要部構成を示す模式的な斜視図である。
図32は、本発明の搬送装置の変形例の要部構成を示す模式的な斜視図である。
なお、上記実施形態と同様の要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
また、
図31及び
図32では、コントローラや、移送用ウィンチを駆動するモータや、バッテリは、図示省略し、2つの作業体30Aが備えた分割体2−1,2−2及び作業アーム6は一部だけ示す。また、ワイヤ42A,42Bは図外の支柱に固定されている。
図31に示す構成では、作業体30の下方に2つの作業体30Aが垂下されている。作業体30Aは、作業体30に対して移送用ウィンチ41A,41Bを備えていない以外は同じ構成である。
【0142】
作業体30,30A,30Aの相互間は、複数の油圧シリンダ40により接続されている。具体的には、下から1段目の作業体30Aには複数の油圧シリンダ40の本体40aが固定され、これらの本体40aに対して油圧により進退する駆動ロッド40bの先端が、下から2段目の作業体30Aに下面に固定されている。また、下から2段目の作業体30Aの上面には複数の油圧シリンダ40の本体40aが固定され、これらの本体40aに対して油圧により進退する駆動ロッド40bの先端が、最上段の作業体30の下面に固定されている。
このような構成により、油圧シリンダ40の駆動ロッド40bの進退量を制御することにより、最上段の作業体30の高さを固定点として、作業体30A,30Aの各高さを調整することができ、例えばロボットアーム6により木の枝切りを行う場合には、木の高さに応じて作業体30A,30Aの各高さを調整できる。
【0143】
図32に示す構成では、作業体30Bの上方に2つの作業体30Aが2段配置されている。すなわち作業体が上下3段に配置されている。作業体30Bは、作業体30に対して下端にキャスタ35aを備えた脚部35を前後左右に4本備えたものであり、キャスタ35aを接地させた状態で、移送用ウィンチ41A,41Bを使用して搬送される。
作業体30B,30A,30Aの相互間は、
図31に示す構成と同様に例えば油圧シリンダ40により接続されている。
このような構成により、油圧シリンダ40の駆動ロッド40bの進退量を制御することにより、最下段の作業体30Bの高さを固定点として、作業体30A,30Aの各高さを調整することができる。
【0144】
なお、
図31及び
図32に示す構成では、作業体30,30Aの高さを油圧シリンダ40により調節するようにしたが、油圧シリンダ40に替えて各種アクチュエータを使用することができ、電動式アクチュエータを使用することもできる。
また、
図32に示す構成において、アウトリガーを例えば作業体30Bに設けてもよいし、キャスタ35aに替えて、駆動装置を備えた車輪、駆動装置を備えた無限軌道走行装置、又は、駆動装置を備えない無限軌道走行装置を使用してもよい。
さらに、また、
図32に示す構成において、脚部35を自動又は手動により伸縮可能な構成として、作業体30Bの高さを調整できるようにしてもよい。
また、
図31及び
図32に示す各構成において、
図21及び
図22(b)に二点鎖線で示す進退可能な保持パッド27cを、作業体30,30A,30B,30Cの少なくとも一つ(好ましくは全て)に設けてもよい。
【0145】
(18)
図33〜
図35に示すように移送用ウィンチを設置することもできる。
図33は、本発明の搬送装置の変形例の構成を示す模式的な平面図である。
図34は、本発明の搬送装置の変形例の構成を示す模式的な平面図である。
図35は、本発明の搬送装置の変形例の構成を示す模式的な平面図である。
なお、上記実施形態と同様の要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
また、
図33〜
図35では、コントローラや、移送用ウィンチを駆動するモータや、バッテリは、図示省略し、ワイヤ42G,42H,42J,42Kは図外の支柱に固定されている。
図33に示す構成では、移動体2に、ワイヤ42G(索体,第1索体部)が巻回された移送用ウィンチ41G(第1ウィンチ)と、ワイヤ42H(索体,第2索体部)が巻回された移送用ウィンチ41H(第2ウィンチ)が備えられている。
【0146】
移送用ウィンチ41G,41Hは、ドラム41b′と、ドラム41b′を駆動する図示しない駆動装置と、駆動装置の動力源とを備えている。各ドラム41b′は、移動体2の側方外側(移動体2の移動方向である第1方向D1と直交する第2方向D2に向かう側)に、それらの軸部が回転可能に取り付けらており、第1方向D1に対して交差する方向(この例では第2方向D2)に延在する軸心線CLg,CLhを中心に回転する。
また、移送用ウィンチ41G,41Hのドラム41b′の径方向には案内機構29が設けられている。案内機構29は、移送用ウィンチ41G,41Hの第1方向D1外側において移動体2に取り付けられたL字形状のベース部材29aと、ベース部材29に回転可能に取り付けられた複数のガイドロール29bと、移動体2の第1方向D1における縁部に回転可能に取り付けられた複数のガイドロール29cとを備えて構成される。
【0147】
ドラム41b′から送り出されたワイヤ42G,42Hは、これらのガイドロール29b,29cの案内により、一旦、移動体2の第2方向D2中央に向けて案内された後に第1方向D1へ案内される。また、ドラム41b′による巻き取られるワイヤ42G,42Hは、これらのガイドロール29b,29cの案内により、一旦、移動体2の第2方向D2中央に向かってからドラム41b′の周面へと案内される。
【0148】
図34に示す構成は、
図33に示す構成に対して、案内機構29に替えて案内機構29Aを設けた構成である。その他の構成は同じなので、同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略し、案内機構29Aについてだけ説明する。
案内機構29Aは、移動体2の第1方向D1の両外側に設けられ、移動体2に第2方向D2に間隔をあけて取り付けられた一対の駆動シリンダ29dと、第2方向D2に延在するベース部材29eと、ベース部材29eに回転可能に取り付けられた複数のガイドロール29fとを備えて構成される。
駆動シリンダ29dは、シリンダ本体29daと、シリンダ本体29daに対して進退する駆動ロッド29dbとを備えて構成される。駆動ロッド29dbの駆動装置は何ら限定されず、例えば油圧によるもの電動モータによるものなどを例示できる。
【0149】
ベース部材29eは、駆動ロッド29dbの先端に固定され、その上面に複数のガイドロール29fが回転可能に取り付けられている。
ドラム41b′から送り出されたワイヤ42G,42Hは、これらのガイドロール29fの案内により、一旦、移動体2の第2方向D2中央に向けて案内された後に第1方向D1へ案内される。また、ドラム41b′による巻き取られるワイヤ42G,42Hは、これらのガイドロール29fの案内により、一旦、移動体2の第2方向D2中央に向かってからドラム41b′の周面へと案内される。
また、駆動シリンダ29dの駆動ロッド29dbの進退量を調整することで、移動体2とベース部材29eとの相互間距離を適宜変更したり、ワイヤ42G,42Hの弛みを解消したりすることができる。
なお、
図33及び
図34に示す構成において、案内機構29,29Aを省略することもできる。
【0150】
図35に示す構成では、移動体2の第1方向D1で外側に移送用ウィンチ(第1ウィンチ)41J及び移送用ウィンチ(第2ウィンチ)41Kが設けられている。移送用ウィンチ41J,41Kは移動体2に回転可能に取り付けられ、第1方向に延在する軸心線CLj,CLkを中心に図示しない駆動装置により回転駆動される。移送用ウィンチ41J及び移送用ウィンチ41Kには、ワイヤ(索体,第1索体部)42J及びワイヤ(索体,第2索体部)42Kが巻回されており、駆動装置により回転駆動することで、ワイヤ42J
,42Kを第1方向D1に沿ってワイヤ42J,42Kの送り出しと巻き取りを行うことができる。つまり、移送用ウィンチ41J,41Kは、スピニングリールのように軸心線CLj,CLkに沿ってワイヤ42J,42Kの送り出しと巻き取りとを行うスピニングリール式のウィンチにより構成されている。
【0151】
図33〜
図35に示す構成では、移送用ウィンチ41G,41H,41J,41Kを、移動体2の外部に設けるので、移送用ウィンチ41G,41H,41J,41Kのサイズが移動体2の大きさに制限されず、ワイヤ42G,42H,42J,42Kを長くすることができ、移送体2の移動距離を長くすることができる。また、移送用ウィンチ41G,41H,41J,41Kを移動体2の外部に設けるので、移動体2上の使用可能な面積が広くすることができる。
なお、
図33〜
図35に示す各構成において、
図9〜
図11に示す第7実施形態のように2つの移送用ウィンチにおいて1本のワイヤを共用して使用するようにしてもよい。
【0152】
(19)
図36(a),(b)を参照して、
図4に示す第3実施形態の変形例を説明する。
図36は、本発明の搬送装置の変形例の構成を示す模式図であり、(a)は側面図、(b)は底面図である。
なお、
図36(a)では、コントローラ,移送用ウィンチを駆動するモータ,バッテリ,鉤部材20g及び補強ワイヤ46を図示省略し、
図36(b)では、ロッド8及び作業アーム6を図示省略する。また、第3実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付して説明を省略する。
ターンテーブル34の下面には、複数(この例では8個)の駆動シリンダ34cが、ターンテーブル34に放射状に取り付けられている。駆動シリンダ34cは、シリンダ本体34dと、シリンダ本体34dに対して進退する駆動ロッド34eとを備えて構成される。駆動ロッド34eの先端からロッド8が垂下されている。ロッド8には、昇降可能に作業アーム6が取り付けられている。
【0153】
なお、駆動シリンダ34cの駆動源は何ら限定されず、例えば油圧によるもの電動モータによるものなどを例示できる。
駆動ロッド34eの進退量を調整することで、ロッド8の位置を変更することができる。換言すれば、ターンテーブル34の径を実質的に変更することができる。これにより、ロッド8を介して作業アーム6の位置を変更でき、作業アーム6による作業位置を調整することができる。
この他は、第3実施形態と同様なので説明を省略する。
【0154】
(20)前述した実施形態やその変形例(以下、実施形態等という)で例示した搬送装置の構成は、一例にすぎず、本発明は、これらの実施形態等の構成に限定されるものではない。
(20−1)例えば、主移動体や、主移動体に取り付けられた搬送対象が、宙吊り状態で搬送されるとして例示したものについては、主移動体や搬送対象に、駆動装置を有する走行装置又は駆動装置を有しない走行装置を取り付けて地上等を走行させるようにしてもよい。
逆に、主移動体や、主移動体に取り付けられた搬送対象が地上等を走行するとして例示したものについては、主移動体や搬送対象を宙吊り状態で移動させるようにしてもよい。
【0155】
(20−2)また、主移送機構や補助移送機構による主移動体の移送方向は、実施形態等のものに限定されず、水平方向、鉛直方向、斜め方向等、どのような方向でもよい。例えば、平面図により説明したものについては、当該図面を側面図に置き換えた場合における搬送方向でも搬送を行うことができ、逆に、側面図により説明したものについては、当該図面を平面図に置き換えた場合における搬送方向でも搬送を行うことができる。
【0156】
(20−3)主移送機構に取り付けたウィンチや作業装置や作業アームや車輪等の数は、実施形態等のものに限定されない。また、移送用ウィンチの取り付け位置は何ら限定されず、主移動体の上面、下面、側面等のいずれでもよい。また、搬送対象を主移動体に取り付けるものであれば、搬送対象の取り付け位置は何ら限定されず、主移動体の上面、下面、側面等のいずれでもよい。
【0157】
(20−4)主移送機構に取り付けた搬送対象、又は、主移送機構を構成する搬送対象は実施形態等のものに限定されず、あらゆるものとすることができる。例えば、除雪機,掃除機,送風機,高圧洗浄機,撮像装置(例えば監視カメラ),照明器具、切削機械,プロジェクタ,塗装機,鳥獣除外装置,音響設備,舞台設備,土木作業用等の作業アームやマニピュレータ等を搬送対象とすることができる。ワイヤを使用しての搬送なので強風等に左右されずに搬送することが可能となる。
【0158】
(20−5)移送用ウィンチや昇降用ウィンチやターンテーブルやトロリ等、実施形態等に記載された種々のものを駆動する各駆動装置は、実施形態等のものに限定されず、あらゆるものを使用することができる。例えば、電動モータ、油圧モータ、エンジン(内燃機関)を駆動装置として使用できる。当然ながら、電動モータを使用する場合には電力供給系統が、油圧モータを使用する場合には油圧供給系統が、エンジンを使用する場合は燃料供給系統(燃料タンク、ガスボンベ等)が主移動体に装備される。電力供給系統は、バッテリや太陽光発電機や、これらを組み合わせたものが例示できる。
【0159】
(20−6)主移動体の形状は何ら限定されない。また、実施形態等で主移動体を分割体としたものは、主移動体を一体物としてもよく、逆に、実施形態等で主移動体を一体物としたものは、主移動体を分割体物としてもよい。
(20−7)上記実施形態等で使用したトロリ及びトロリが走行するワイヤに替えて、移送用ウィンチを備えた搬送装置を使用してもよい。
(20−8)なお、本発明の搬送装置は、屋外に設置するだけでなく屋内に設置して種々の物品(例えば、洗濯物,掃除機,家具)を搬送するようにしてもよい。また、雨戸やカーテンやシェードを開閉するのに使用することもできる。
【0160】
(21)前述した実施形態等で例示した搬送装置の使用場所や用途は、一例にすぎず、本発明は、これらの実施形態等の使用場所や用途に限定されるものではない。例えば、以下のような使用も可能である。
(21−1)海上や海中や宇宙空間での使用も可能である。ワイヤを使用した搬送なので海中で使用する場合には潮流の影響を受けずに搬送することが可能となる。
(21−2)砂漠等に設置された大型ソーラパネルに取り付ける防砂用のカバーの搬送や、海底鉱物資源の搬送、養殖いかだの搬送に使用することもできる。
(21−3)3Dプリンタのヘッドの移動機構として使用することもできる。
(21−4)太陽光パネルを日の当たる場所に適宜移動させるための移動機構として使用することもできる。
【0161】
(21−5)農薬の入ったタンク及び散布装置を主移動体に搭載して、畑や水田や果樹園の上空を移動させながら農薬を散布させることもできる。或いは防火タンク及び散布装置を主移動体に搭載して、火災現場の上空を移動させながら防火タンクから水を散布して延焼を防ぐこともできる。
(21−6)
図6に示すような他方向に移動可能な搬送装置を小型化すると共に搬送装置の制御装置にパソコン等を接続して、搬送装置の移動パターンをプログラミングできるようにすれば、子供の教育用の器材としても使用できる。
(21−7)搬送対象のサイズも何ら限定されず、例えば数メートルのサイズのものや数センチのサイズのものの搬送にも適用できる。大きいものでは、家屋などの建物を、この建物が建てられた人工地盤を主移動体として利用して移動させることも可能である。
(21−8)本発明は、上述した各実施形態及び変形例に開示された種々の構成を適宜組み合わせたものを全て含むものである。
【解決手段】主移動体2と、主移動体2を移送する主移送機構4と、主移送機構4の作動を制御する制御装置とを備え、主移送機構4は、主移動体2に回転可能に取り付けられるドラムと前記ドラムを回転駆動する駆動装置とを有する複数のウィンチ41A,41Bと、ウィンチ41A,41Bのドラムのそれぞれに巻き付けられると共に、ウィンチ41A,41Bに対応した支持体10A,10Bに先端を支持された索体42A,42Bとを有し、前記制御装置は、前記複数のウィンチ41A,41Bの駆動装置の作動を制御して、主移動体2を前記複数の支持体10A,10Bの相互間に亘る搬送経路Pの任意の位置に移送する。