(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のシート状物は、極細繊維からなる不織布と、その内部に含有される高分子弾性体である
水分散型ポリウレタンからなるシート状物である。
【0019】
本発明におけるシート状物は、天然皮革のようなスエードやヌバックのような立毛調の外観において、滑らかなタッチと優れたライティングエフェクトを有するものである。
【0020】
本発明で用いられる不織布としては、短繊維不織布および長繊維不織布のいずれでもよいが、風合いや品位の点では短繊維不織布が好ましく用いられる。
【0021】
短繊維不織布における短繊維の繊維長は、25〜90mmであることが好ましい。繊維長を25mm以上とすることにより、絡合により耐摩耗性に優れたシート状物を得ることができる。また、繊維長を90mm以下とすることにより、風合いや品位に優れたシート状物を得ることができる。繊維長は、より好ましくは30〜80mmである。
【0022】
本発明において、不織布は、複数の単繊維からなる束(繊維束)が絡合してなる構造を有するものであることが好ましい態様である。このように、単繊維が繊維束の状態で絡合していることによって、シート状物の強度が向上する。このような態様の不織布は、極細繊維発現型繊維同士をあらかじめ絡合した後に、極細繊維を発現させることによって得ることができる。
【0023】
本発明で用いられる不織布は、その内部に強度を向上させるなどの目的で、織物や編物を含有させることができる。このような織物や編物を構成する繊維の平均単繊維直径は、0.3〜20μm程度が好ましい。
【0024】
本発明で用いられる不織布の見掛け密度は、0.10〜0.60g/cm
3であることが好ましい。不織布の見掛け密度が上記範囲内であると、不織布構造が均一になり、面積方向において品質のバラツキが極めて大きくなることを避けることができ、また得られるシート状物の物性や風合いは良好となる。
【0025】
本発明で用いられる不織布には、繊維の緻密感向上のために、温水やスチーム処理によって収縮処理を施してもよい。この場合も、均一で緻密な繊維絡合構造を得るためには、見掛け密度が上記の範囲であることが好ましい。不織布の見掛け密度は、より好ましくは0.15〜0.55g/cm
3である。
【0026】
本発明で用いられる不織布を構成する繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートおよびポリ乳酸などのポリエステル、6−ナイロンや66−ナイロンなどのポリアミド、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、および熱可塑性セルロースなどの溶融紡糸可能な熱可塑性樹脂からなる繊維を用いることができる。中でも染色性の観点からは、6−ナイロンや66−ナイロンなどのポリアミド繊維を用いることにより、酸性染料で繊維とポリウレタンの双方を同時に染色することが可能である。また、不織布は、異なる素材の繊維が混合して構成されていてもよい。
【0027】
本発明で用いられる不織布を構成する単繊維の断面形状は、三角などの多角形、扇形および十字型などの異形断面のものを採用してもよい。
【0028】
本発明で用いられる不織布を構成する繊維の平均単繊維直径は、0.3〜7μmである。平均単繊維直径を7μm以下、好ましくは6μm以下、更に好ましくは5μm以下とすることにより、優れた柔軟性や立毛品位のシート状物を得ることができる。一方、平均単繊維直径を0.3μm以上、好ましくは0.7μm以上、更に好ましくは1μm以上とすることにより、染色後の発色性やサンドペーパーなどによる研削など立毛処理時の束状繊維の分散性と、さばけ易さに優れる。
【0029】
本発明のシート状物においては、不織布内部に含有された高分子弾性体として
水分散型ポリウレタン液を含浸して、
水分散型ポリウレタンが不織布の内部空間に存在する構成としたものである。該
水分散型ポリウレタンはウレタン基を含むことが必須である。シート状物の物性面の観点、つまりはシート状物の強度と柔軟な風合いの両立が可能であることから、本発明の高分子弾性体は
水分散型ポリウレタンである。
【0030】
本発明に使用されるポリウレタン
は、水分
散型のポリウレタンの方を用いることが、有機溶剤を用いなくてもよい点で環境保全上好ましい態様である。
【0031】
上記の
水分散型ポリウレタンは、必要に応じてカーボンブラック等の顔料、染料、防カビ剤および酸化防止剤、紫外線吸収剤、および光安定剤などの耐光剤、難燃剤、浸透剤や滑剤、シリカや酸化チタン等のアンチブロッキング剤、帯電防止剤等の界面活性剤、シリコーン等の消泡剤、セルロース等の充填剤、および凝固調整剤等を含有していてもよい。
【0032】
本発明で用いられる
水分散型ポリウレタンとしては、ポリマージオールと有機ジイソシアネートと鎖伸長剤との反応により得られるポリウレタンが好ましく用いられる。
【0033】
上記のポリマージオールとしては、例えば、ポリカーボネート系ジオール、ポリエステル系ジオール、ポリエーテル系ジオール、シリコーン系ジオールおよびフッ素系ジオールを採用することができ、これらを組み合わせた共重合体を用いてもよい。中でも、耐加水分解性の観点からは、ポリカーボネート系ジオールおよびポリエーテル系ジオールを用いることが好ましい。
【0034】
上記のポリカーボネート系ジオールは、アルキレングリコールと炭酸エステルのエステル交換反応、あるいはホスゲンまたはクロル蟻酸エステルとアルキレングリコールとの反応などによって製造することができる。
【0035】
また、アルキレングリコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールなどの直鎖アルキレングリコールや、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールおよび2−メチル−1,8−オクタンジオールなどの分岐アルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオールなどの脂環族ジオール、ビスフェノールAなどの芳香族ジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトールなどが挙げられる。それぞれ単独のアルキレングリコールから得られるポリカーボネート系ジオールでも、2種類以上のアルキレングリコールから得られる共重合ポリカーボネート系ジオールのいずれでも良い。
【0036】
また、ポリエステル系ジオールとしては、各種低分子量ポリオールと多塩基酸とを縮合させて得られるポリエステルジオールを挙げることができる。
【0037】
低分子量ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、およびシクロヘキサン−1,4−ジメタノールから選ばれる一種または二種以上を使用することができる。
【0038】
また、ビスフェノールAに各種アルキレンオキサイドを付加させた付加物も使用可能である。
【0039】
また、多塩基酸としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、およびヘキサヒドロイソフタル酸から選ばれる一種または二種以上が挙げられる。
【0040】
本発明で用いられるポリエーテル系ジオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、およびそれらを組み合わせた共重合ジオールを挙げることができる。
【0041】
ポリマージオールの数平均分子量は、ポリウレタンの分子量が一定の場合、500〜4000であることが好ましい。数平均分子量を500以上、より好ましくは1500以上とすることにより、風合いが硬くなることを防ぐことができ、数平均分子量を4000以下、より好ましくは3000以下とすることにより、ポリウレタンとしての強度を維持することができる。
【0042】
本発明で用いられる有機ジイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の脂肪族系ジイソシアネートや、ジフェニルメタンジイソシアネート、およびトリレンジイソシアネート等の芳香族系ジイソシアネートが挙げられ、またこれらを組み合わせて用いてもよい。中でも、耐光性の観点から、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートおよびイソフォロンジイソシアネート等の脂肪族系ジイソシアネートが好ましく用いられる。
【0043】
鎖伸長剤としては、エチレンジアミンやメチレンビスアニリン等のアミン系の鎖伸長剤、およびエチレングリコール等のジオール系の鎖伸長剤を用いることができる。また、ポリイソシアネートと水を反応させて得られるポリアミンを鎖伸長剤として用いることもできる。
【0044】
本発明で用いられる
水分散型ポリウレタンは、耐水性、耐摩耗性および耐加水分解性等を向上させる目的で架橋剤を併用してもよい。架橋剤は、
水分散型ポリウレタンに対し、第3成分として添加する外部架橋剤でもよく、また
水分散型ポリウレタン分子構造内に予め架橋構造となる反応点を導入する内部架橋剤でもよい。
水分散型ポリウレタン分子構造内により均一に架橋点を形成することができ、柔軟性の減少を軽減できる点から、内部架橋剤を用いることが好ましい。
【0045】
架橋剤としては、イソシアネート基、オキサゾリン基、カルボジイミド基、エポキシ基、メラミン樹脂、およびシラノール基などを有する化合物を用いることができる。
【0046】
また、本発明で用いられるポリウレタンは、水分散型ポリウレタンである場合、分子構造内に親水性基を有していることが好ましい。分子構造内に親水性基を有することにより、水分散型ポリウレタンとしての分散・安定性を向上させることができる。
【0047】
親水性基としては、例えば、4級アミン塩等のカチオン系、スルホン酸塩やカルボン酸塩等のアニオン系の親水性基の組み合わせ、およびアニオン系とノニオン系の親水性基の組み合わせのいずれの親水性基も採用することができる。
【0048】
なかでも、光による黄変や中和剤による弊害の懸念のないノニオン系の親水性基が特に好ましく用いられる。すなわち、アニオン系の親水性基の場合は中和剤が必要となるが、例えば、中和剤がアンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリメチルアミンおよびジメチルエタノールアミン等の第3級アミンである場合は、製膜・乾燥時の熱によってアミンが発生・揮発し、系外に放出される。そのため、大気放出や作業環境の悪化を抑制するために、揮発するアミンを回収する装置の導入が必須となる。
【0049】
また、アミンは加熱によって揮発せずに最終製品であるシート状物中に残留した場合、製品の焼却時等に環境へ排出されることも考えられる。これに対し、ノニオン系の親水性基の場合は、中和剤を使用しないためアミン回収装置を導入する必要はなく、アミンのシート状物中への残留の心配もない。また、中和剤が水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化カルシウム等のアルカリ金属、またはアルカリ土類金属の水酸化物等である場合、ポリウレタン部分が水に濡れるとアルカリ性を示すこととなるが、ノニオン系の親水性基の場合は中和剤を使用しないため、ポリウレタンの加水分解による劣化を心配する必要もない。
【0050】
本発明のシート状物に含有される
水分散型ポリウレタンは、必須成分であるウレタン基および任意成分であるウレア基の含有量が
18〜50質量%である。ウレタン基およびウレア基の含有量が多い際は、染色性は良いが風合いは硬くなるため、含有量は
18〜28質量%であることが好ましく、染色性と風合いすべてのバランスの観点からは、ウレタン基およびウレア基の含有量は
18〜28質量%であることがより好ましい。
【0051】
水分散型ポリウレタンのウレタン基およびウレア基の含有量とは、ポリウレタンの分子量に占めるウレタン基およびウレア基の分子量の合計の比率を、次式で計算した値である。
・ウレタン基およびウレア基の含有量(%)=[(ウレタン基(−NHCOO−)およびウレア基(−NHCONH−)の分子量の合計)/ポリウレタンの分子量]×100。
【0052】
2種類以上の
水分散型ポリウレタンを用いる場合は、それぞれの含有量を計算し、質量比率に乗じた和をポリウレタンのウレタン基およびウレア基の含有量とした。
【0053】
ポリウレタンの組成が明らかではない場合は、シート状物からポリウレタンを採取し、固体
13C NMRで標準サンプルと、ウレタン基およびウレア基のピーク面積を比較することにより、ウレタン基およびウレア基のポリウレタンに対する含有量を算出した。この他の方法として、分析機器は特に限定はされないが、NMR、IRおよびGC−MSなどを組み合わせることによりポリウレタンの組成分析が可能であり、含有量を算出することができる。
【0054】
本発明のシート状物に含有される
水分散型ポリウレタンは、そのシート状物の製造工程において、ポリウレタンを含有させる工程で、2種類以上のポリウレタンを混合
させる。1種類のポリウレタンでは、ウレタン基およびウレア基の含有量が高すぎるとシート状物の風合いは硬くなるが、2種類以上の
水分散型ポリウレタンを混合させることにより、染色性と風合いを両立させることができる。
【0055】
例えば、ウレタン基およびウレア基の含有量が18質量%の1種類の
水分散型ポリウレタンを含有したシート状物に比べ、ポリウレタンA(ウレタン基およびウレア基の含有量が12質量%)とポリウレタンB(ウレタン基およびウレア基の含有量が32質量%)を7:3の比率で含有した
水分散型ポリウレタンを用いたシート状物の方が、染色性は同等であるが風合いの点で柔軟となる。
【0056】
2種類以上の
水分散型ポリウレタンを混合する際は、少なくとも1種のポリウレタンはウレタン基およびウレア基の含有量は15〜80質量%であることが好ましい。また、染色性と風合いすべてのバランスの観点からは、少なくとも1種のポリウレタンのウレタン基およびウレア基の含有量は17〜50質量%であることが好ましい。また、ポリウレタンの混合数は、混合工程のコストと混合して得られたポリウレタンの品質安定性を考慮すると、2種類以上3種類以下が好ましい。
【0057】
本発明のシート状物に対する
水分散型ポリウレタンの含有量、すなわち不織布の島成分質量に対する
水分散型ポリウレタン質量は、1〜40質量%であ
る。水分散型ポリウレタンの含有量を1質量%以上、より好ましくは3質量%以上とすることにより、シート状物の高強度を得るとともに繊維の脱落を防ぐことができる。また、
水分散型ポリウレタンの含有量を40質量%以下、より好ましくは35質量%以下とすることにより、風合いが硬くなることを防ぎ、良好な外観品位を得ることが出来る。
【0058】
本発明のシート状物は、ポリウレタンを含金染料および/または酸性染料で染色することにより、ポリウレタンを染色するものであることから、含金染料および/または酸性染料を含むことが好ましい。このようにしてポリウレタンを染色することにより、不織布を構成する繊維と含有されているポリウレタンとの色差を少なくし、均一な表面外観を得ることができる。
【0059】
次に、本発明のシート状物の製造方法について述べる。
【0060】
本発明のシート状物を構成する不織布の繊維は、極細繊維発現型繊維から得られる繊維であることが好ましい態様である。極細繊維発現型繊維を用いることにより、繊維束が絡合した形態を安定して得ることができる。極細繊維発現型繊維の平均単繊維直径は、12〜30μmであることが好ましい。
【0061】
本発明で用いられる極細繊維発現型繊維としては、溶剤溶解性の異なる2成分の熱可塑性樹脂を海成分と島成分とし、海成分を溶剤などを用いて溶解除去することによって島成分を極細繊維とする海島型繊維や、2成分の熱可塑性樹脂を繊維断面に放射状または多層状に交互に配置し、各成分を剥離分割することによって極細繊維に割繊する剥離型複合繊維などを採用することができる。なかでも、海島型繊維は、海成分を除去することによって島成分間、すなわち極細繊維間に適度な空隙を付与することができるので、シート状物の柔軟性や風合いの観点からも好ましく用いられる。
【0062】
海島型繊維には、海島型複合用口金を用い、海成分と島成分の2成分を相互配列して紡糸する海島型複合繊維や、海成分と島成分の2成分を混合して紡糸する混合紡糸繊維などがあるが、均一な繊度の極細繊維が得られる点、また十分な長さの極細繊維が得られシート状物の強度にも資する点から、海島型複合繊維が好ましく用いられる。
【0063】
海島型繊維の海成分としては、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリスチレン共重合体、ポリエチレンプロピレン共重合体、スルホイソフタル酸ナトリウムやポリエチレングリコールなどを共重合した共重合ポリエステル、ポリ乳酸、およびポリビニルアルコールなどを用いることができる。弱アルカリ水溶液への溶解性の観点から、アルカリ分解性のスルホイソフタル酸ナトリウムやポリエチレングリコールなどを共重合した共重合ポリエステル、およびポリ乳酸が好ましく用いられる。
【0064】
本発明のシート状物を構成する海島型繊維の島成分から得られる繊維の平均単繊維直径は、0.3〜7μmである。平均単繊維直径を7μm以下、好ましくは6μm以下、更に好ましくは5μm以下とすることにより、優れた柔軟性や立毛品位のシート状物を得ることができる。一方、平均単繊維直径を0.3μm以上、好ましくは0.7μm以上、更に好ましくは1μm以上とすることにより、染色後の発色性やサンドペーパーなどによる研削など立毛処理時の束状繊維の分散性さばけ易さに優れる。
【0065】
本発明で用いられる不織布において、単繊維あるいは単繊維束を絡合させる方法としては、ニードルパンチやウォータージェットパンチを採用することができる。
【0066】
不織布を構成する極細繊維発現型繊維として海島型繊維を用いた場合の脱海処理は、不織布へのポリウレタンの付与前に行ってもよいし、付与後に行ってもよい。ポリウレタン付与前に脱海処理を行うと、極細繊維に直接ポリウレタンが密着する構造となって極細繊維を強く把持できることから、シート状物の耐摩耗性がより良好となる。一方、ポリウレタン付与後に脱海処理を行うと、ポリウレタンと極細繊維間に、脱海された海成分に起因する空隙が生成することから、極細繊維を直接ポリウレタンが把持せずにシート状物の風合いが柔軟となる。
【0067】
脱海処理は、溶剤中に海島型繊維を浸漬し、窄液することによって行うことができる。
【0068】
海成分を溶解する溶剤としては、海成分がポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリスチレンの場合には、トルエンやトリクロロエチレンなどの有機溶剤を用い、また海成分が共重合ポリエステルやポリ乳酸の場合には、水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液を用い、そして海成分がポリビニルアルコールの場合には、熱水を用いることができる。
【0069】
本発明では、不織布の厚み方向に均一に
水分散型ポリウレタンを付与することが好まし
い。ポリウレタンが水分散型のポリウレタンの場合は、ポリウレタン液は感熱凝固性を示すことが好ましい。水分散型ポリウレタンにおいて、感熱凝固性を示さない場合、ポリウレタン液は乾式凝固の際に不織布の表層に集中するマイグレーション現象が発生し、ポリウレタン付きシート状物の風合いは硬化する傾向にある。ここで感熱凝固性とは、ポリウレタン液を加熱した際に、ある温度(感熱凝固温度)に達するとポリウレタン液の流動性が減少し、凝固する性質のことを言う。
【0070】
水分散型ポリウレタンの感熱凝固温度は、通常40〜90℃である。感熱凝固温度を40℃以上とすることにより、ポリウレタン液の貯蔵時の安定性が良好となり、操業時のマシンへのポリウレタンの付着等を抑制することができる。また、感熱凝固温度を90℃以下とすることにより、不織布中でのポリウレタンのマイグレーション現象を抑制することができる。
【0071】
感熱凝固温度を前記のとおりとするために、適宜感熱凝固剤を添加してもよい。感熱凝固剤としては、例えば、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウムおよび塩化カルシウム等の無機塩や、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、アゾビスイソブチロニトリルおよび過酸化ベンゾイル等のラジカル反応開始剤が挙げられる。
【0072】
ポリウレタン液は、各種の添加剤、例えば、カーボンブラックなどの顔料、リン系、ハロゲン系、シリコーン系および無機系などの難燃剤、フェノール系、イオウ系およびリン系などの酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、シアノアクリレート系およびオキザリックアシッドアニリド系などの紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系やベンゾエート系などの光安定剤、ポリカルボジイミドなどの耐加水分解安定剤、可塑剤、帯電防止剤、界面活性剤、柔軟剤、撥水剤、凝固調整剤、染料、防腐剤、抗菌剤、消臭剤、セルロース粒子等の充填剤、およびシリカや酸化チタン等の無機粒子などを含有していてもよい。
【0073】
ポリウレタン液を不織布に含浸し、塗布等し、凝固させる場合、ポリウレタンが溶剤系のポリウレタンであれば、乾熱凝固、湿式凝固あるいはこれらの組み合わせ、また、水分散型のポリウレタンであれば、乾熱凝固、湿熱凝固、湿式凝固あるいはこれらの組み合わせにより、ポリウレタンを凝固させることができる。
【0074】
乾式凝固温度および乾燥温度は、80〜160℃であることが好ましい。乾式凝固温度および乾燥温度を80℃以上、より好ましくは90℃以上とすることにより、生産性に優れる。一方、乾式凝固温度および乾燥温度を180℃以下、より好ましくは160℃以下とすることにより、ポリウレタンの熱劣化を防ぐことができる。
【0075】
湿式凝固の温度
は、水分散型ポリウレタ
ンの感熱凝固温度以上であればよく、例えば、40〜100℃であることが好ましい。熱水中での湿式凝固の温度を40℃以上、より好ましくは80℃以上とすることにより、
水分散型ポリウレタンの凝固までの時間を短くしてマイグレーション現象をより抑制することができる。
【0076】
湿熱凝固の温度は、水分散型ポリウレタンの感熱凝固温度以上であればよく、例えば、40〜200℃であることが好ましい。湿熱凝固の温度を40℃以上、より好ましくは80℃以上とすることにより、ポリウレタンの凝固までの時間を短くしてマイグレーション現象をより抑制することができる。一方、湿熱凝固の温度を200℃以下、より好ましくは160℃以下とすることにより、ポリウレタンの熱劣化を防ぐことができる。
【0077】
不織布に
水分散型ポリウレタンの付与後、ポリウレタン付与シート状物をシート厚み方向に半裁ないしは数枚に分割することは、生産効率に優れ好ましい態様である。
【0078】
後述する起毛処理の前に、ポリウレタン付与シート状物にシリコーンエマルジョンなどの滑剤を付与することもできる。また、シート状物の起毛処理の前に帯電防止剤を付与することは、研削によってシート状物から発生した研削粉がサンドペーパー上に堆積しにくくする上で好ましい態様である。
【0079】
シート状物の表面に立毛を形成するために、起毛処理を行うこともできる。シート状物の起毛処理は、サンドペーパーやロールサンダーなどを用いて研削する方法などにより施すことができる。
【0080】
シート状物は、染色してもよい。シート状物の染色方法としては、シート状物を染色すると同時に揉み効果を与えてシート状物を柔軟化することができることから、液流染色機を用いることが好ましい。シート状物の染色温度は、高すぎるとポリウレタンが劣化する場合があり、逆に低すぎると繊維への染着が不十分となるため、繊維の種類により設定することが好ましい。染色温度は、一般に80〜150℃であることが好ましく、より好ましくは110〜130℃である。
【0081】
染料は、不織布を構成する繊維の種類にあわせて、選択することができる。例えば、ポリエステル系繊維であれば分散染料を用い、ポリアミド系繊維であれば酸性染料や含金染料を用い、更にそれらの組み合わせを用いることができる。ポリウレタンの染色性の観点からは、酸性染料や含金染料で染色する工程を含む方が、シート状物の品位が良好となる。また、分散染料で染色した場合は、染色後に還元洗浄を行ってもよい。また、分散染料と含金染料および/または酸性染料を組み合わせる場合は、含金染料および/または酸性染料で染色した後、分散染料で染色し、還元洗浄を行うと、還元洗浄によって含金染料および/または酸性染料が脱落することから、分散染料での染色を先に行う方が好ましい。
【0082】
また、シート状物の染色時に染色助剤を使用することも好ましい態様である。染色助剤を用いることにより、染色の均一性や再現性を向上させることができる。また、染色と同浴または染色後に、シリコーン等の柔軟剤、帯電防止剤、撥水剤、難燃剤、耐光剤および抗菌剤等を用いた仕上げ剤処理を施すことができる。
【0083】
本発明により得られるシート状物は、家具、椅子および壁材や、自動車、電車および航空機などの車輛室内における座席、天井および内装などの表皮材として非常に優美な外観を有する内装材、シャツ、ジャケット、カジュアルシューズ、スポーツシューズ、紳士靴および婦人靴等の靴のアッパー、トリム等、鞄、ベルト、財布等、およびそれらの一部に使用した衣料用資材、ワイピングクロス、研磨布およびCDカーテン等の工業用資材として好適に用いることができる。
【実施例】
【0084】
次に、本発明のシート状物の製造方法について実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0085】
[評価方法]
(1)単繊維の平均単繊維直径
単繊維の平均単繊維直径は、不織布またはシート状物表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を倍率2000倍で撮影し、円形または円形に近い楕円形の繊維をランダムに100本選び、単繊維直径を測定して平均値を計算することで算出した。
【0086】
不織布またはシート状物を構成する極細繊維が異形断面の場合は、異形断面の外周円直径を単繊維直径として算出する。また、円形断面と異形断面が混合している場合、繊維直径が大きく異なるものが混合している場合等は、それぞれが同数程度となるように100本を選び算出する。
【0087】
(2)水分散型ポリウレタン液の感熱凝固温度
ポリウレタンの固形分を10質量%に調製した水分散型ポリウレタン液20gを、内径12mmの試験管に添加して、温度計を差し込んだ後、試験管を封止し、95℃の温度の温水浴に浸漬し、温度を上げて調製液が流動性を失った温度を感熱凝固温度として測定した。計3回測定し、平均値を感熱凝固温度とした。
【0088】
(3)風合い
JIS L1096−8.19.1(1999)記載のA法(45°カンチレバー法)に基づき、タテ方向とヨコ方向へそれぞれ2×15cmの試験片を5枚作成し45°の斜面を有する水平台へ置き、試験片を滑らせて試験片の一端の中央点が斜面と接したときのスケールを読み、5枚の平均値を求めた。
【0089】
(4)
水分散型ポリウレタンのウレタン基およびウレア基の含有量
水分散型ポリウレタンのウレタン基およびウレア基の含有量とは、
水分散型ポリウレタンの分子量に占めるウレタン基およびウレア基の分子量の合計の比率を次式にて計算した値である。
・ウレタン基およびウレア基の含有量(%)=[(ウレタン基(−NHCOO−)およびウレア基(−NHCONH−)の分子量の合計)/ポリウレタンの分子量]×100
2種類以上の
水分散型ポリウレタンを用いる場合は、それぞれの含有量を計算し、質量比率に乗じた和をポリウレタンのウレタン基およびウレア基の含有量とした。また、ポリウレタンの組成が明らかではない場合は、シート状物からポリウレタンを採取し、固体
13C NMRで標準サンプルと、ウレタン基およびウレア基のピーク面積を比較することにより、ウレタン基およびウレア基の
水分散型ポリウレタンに対する含有量を算出した。計3回測定し、平均値を含有量とした。
【0090】
(5)シート状物の外観品位
シート状物の外観品位は、健康な成人男性と成人女性各10名ずつ、計20名を評価者として、目視と官能評価にて下記のように5段階評価し、最も多かった評価を外観品位とした。外観品位は3級〜5級を良好とした。
5級:極細繊維と高分子弾性体に色差が全く見られない
4級:極細繊維と高分子弾性体に色差が極わずかに見える
3級:極細繊維と高分子弾性体に色差がわずかに見える
2級:極細繊維と高分子弾性体に色差が見える
1級:極細繊維と高分子弾性体の色差が明確に見える。
【0091】
(6)ジャングルテスト後の湿摩擦堅牢度
シート状物の染色物を、エスペック株式会社製のジャングルテスター(恒温恒湿器PR)を用いて相対湿度95%、温度70℃の条件下で9週間(1500時間)処理し、JIS L0849(2013)に基づいて評価した。
【0092】
[水分散型ポリウレタン液A、B、I、KおよびNの調製]
ポリオールにポリヘキサメチレンカーボネートを適用し、イソシアネートにジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを適用したポリカーボネート系自己乳化型ポリウレタン液の固形分100質量部に対して、感熱凝固剤として過硫酸アンモニウム(APS、米山薬品工業株式会社製)2質量部を加え、水によって全体を固形分20質量%に調製し、水分散型ポリウレタン液A、B、I、KおよびNを得た。各ポリウレタンのウレタン基およびウレア基の含有量は、表1に示す量に調製した。
【0093】
[水分散型ポリウレタン液EとFの調製]
ポリオールにポリテトラメチレングリコールを適用し、イソシアネートにジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを適用したポリカーボネート系自己乳化型ポリウレタン液の固形分100質量部に対して、感熱凝固剤として過硫酸アンモニウム(APS、米山薬品工業株式会社製)2質量部を加え、水によって全体を固形分20質量%に調製し、水分散型ポリウレタン液EとFを得た。ポリウレタンのウレタン基およびウレア基の含有量は、表1に示す量に調製した。
【0094】
[水分散型ポリウレタン液Jの調製]
ポリオールにポリネオペンチルアジペートを適用し、イソシアネートにジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを適用したポリカーボネート系自己乳化型ポリウレタン液の固形分100質量部に対して、感熱凝固剤として過硫酸アンモニウム(APS、米山薬品工業株式会社製)2質量部を加え、水によって全体を固形分20質量%に調製し、水分散型ポリウレタン液Jを得た。ポリウレタンのウレタン基およびウレア基の含有量は、表1に示す量に調製した。
【0095】
[水分散型ポリウレタン液LとMの調製]
ポリオールにポリヘキサメチレンカーボネートを適用し、イソシアネートにジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを適用したポリカーボネート系自己乳化型ポリウレタン液を、水によって全体を固形分20質量%に調製し、水分散型ポリウレタン液LとMを得た。各ポリウレタンのウレタン基およびウレア基の含有量は、表1に示す量に調製した。
【0096】
[溶剤系ポリウレタン液CとDの調製]
ポリオールに1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールから誘導される共重合ポリカーボネートジオールを適用し、イソシアネートに4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを適用したポリウレタンを、DMF溶液で固形分12質量%に調製し、これを溶剤系ポリウレタン液CとDとした。各ポリウレタンのウレタン基およびウレア基の含有量は、表1に示す量に調製した。
【0097】
[溶剤系ポリウレタン液GとHの調製]
ポリオールにポリテトラメチレングリコールを適用し、イソシアネートに4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを適用したポリウレタンを、DMF溶液で固形分12質量%に調製し、これを溶剤系ポリウレタン液GとHとした。ポリウレタンのウレタン基およびウレア基の含有量は、後方の表1に示す量に調製した。
【0098】
[実施例1]
海成分として5−スルホイソフタル酸ナトリウムを8mol%共重合したポリエチレンテレフタレートを用い、島成分として6−ナイロンを用い、海成分45質量%、島成分55質量%の複合比率で、島数36島/1フィラメント、平均単繊維直径17μmの海島型複合繊維を得た。得られた海島型複合繊維を、繊維長51mmにカットしてステープルとし、カードおよびクロスラッパーを通して繊維ウェブを形成し、ニードルパンチ処理により、不織布とした。このようにして得られた不織布を、98℃の温度の湯中に2分間浸漬させて収縮させ、100℃の温度で5分間、乾燥させた。
【0099】
次いで、PU1として、上記の水分散型ポリウレタン液Aと、PU2として、上記の水分散型ポリウレタン液Bを、ポリウレタンの質量比率がA:B=7:3となるように混合した水分散型ポリウレタン混合液を、上記で得られた不織布に含浸し、100℃の温度の湿熱雰囲気下で5分間処理後、乾燥温度120℃の温度で5分間熱風乾燥させることにより、不織布の島成分質量に対するポリウレタン質量が30質量%となるようにポリウレタンを付与したシートを得た。
【0100】
次に、このようにして得られたシートを95℃の温度に加熱した濃度10g/Lの水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して30分間処理を行い、海島型繊維の海成分を除去した脱海シートを得た。そして、得られた脱海シート表面を、240メッシュのエンドレスサンドペーパーを用いた研削によって起毛処理した後、酸性染料(C.I. Acid Blue 317)により染色しシート状物を得た。得られたシート状物の外観品位、風合いおよび湿摩擦堅牢度は良好であった。結果を表2に示す。
【0101】
[実施例2]
海成分としてポリスチレン、島成分として6−ナイロンを用い、海成分45質量%、島成分55質量%の複合比率で、島数36島/1フィラメント、平均単繊維直径17μmの海島型複合繊維を得た。得られた海島型複合繊維を繊維長51mmにカットしてステープルとし、カードおよびクロスラッパーを通して繊維ウェブを形成し、ニードルパンチ処理により、不織布とした。
【0102】
このようにして得られた海島型複合繊維からなる不織布を、鹸化度87%のポリビニルアルコール10質量%水溶液に含浸した後、乾燥した。ポリビニルアルコールの不織布に対する付量は40質量%であった。その後、トリクロロエチレン中で海成分であるポリスチレンを抽出除去し、乾燥を行って、平均単繊維直径3μmの極細繊維からなる繊維束が絡合した不織布を得た。
【0103】
上記のようにして得られた極細繊維からなる不織布を、PU1として、溶剤系ポリウレタン液Cと、PU2として溶剤系ポリウレタン液Dを、ポリウレタンの質量比率がC:D=7:3となるように混合したポリウレタン混合溶液に浸漬し、絞りロールでポリウレタン混合溶液の付着量を調節した後、30℃の温度のDMF濃度30質量%の水溶液中でポリウレタンを凝固せしめた。その後、90℃の温度の熱水に浸漬してポリビニルアルコール及びDMFを除去し、乾燥後、不織布の島成分質量に対するポリウレタン質量が30質量%となるようにポリウレタンを付与したシート状物を得た。
【0104】
得られたシート状物を、240メッシュのエンドレスサンドペーパーを用いた研削によって起毛処理した後、酸性染料(C.I. Acid Blue 317)により染色しシート状物を得た。得られたシート状物の外観品位、風合いおよび湿摩擦堅牢度は良好であった。結果を表2に示す。
【0105】
[実施例3]
実施例1において、PU1をポリウレタン液Eに変更し、PU2をポリウレタン液Fに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてシート状物を得た。得られたシート状物の外観品位、風合いおよび湿摩擦堅牢度は良好であった。結果を表2に示す。
【0106】
[実施例4]
実施例2において、PU1をポリウレタン液Gに変更し、PU2をポリウレタン液Hに変更したこと以外は、実施例2と同様にしてシート状物を得た。得られたシート状物の外観品位、風合いおよび湿摩擦堅牢度は良好であった。結果を表2に示す。
【0107】
[実施例5]
実施例1において、島成分をポリエチレンテレフタレートに変更し、染色方法として、サーキュラー染色機を用いて分散染料(C.I. Disperse Blue 317)により染色し還元洗浄を行い、さらに酸性染料(C.I. Acid Blue 317)により染色したこと以外は、実施例1と同様にしてシート状物を得た。得られたシート状物の外観品位、風合いおよび湿摩擦堅牢度は良好であった。結果を表2に示す。
【0108】
[
参考例1、実施例7,8、参考例2、実施例10,11]
実施例1において、PU1とPU2の種類と質量比率を、表1と表2に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてシート状物を得た。得られたシート状物の外観品位、風合いおよび湿摩擦堅牢度は、良好であった。結果を表2に示す。
【0109】
[実施例12]
実施例1において、ポリウレタンの種類と質量比率を、表1と表3に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてシート状物を得た。得られたシート状物の外観品位、風合いおよび湿摩擦堅牢度は、良好であった。結果を表3に示す。
【0110】
[比較例1〜3]
実施例1において、PU1とPU2の種類と質量比率を、表1と表2に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてシート状物を得た。得られたシート状物の外観品位、風合いおよび湿摩擦堅牢度の全てが良好であるものは得られなかった。結果を表2に示す。
【0111】
上記の各実施例と各比較例で調整し、用いたポリウレタン液A〜Nのポリウレタン含有量を表1に示す。
【0112】
【表1】
【0113】
上記の各実施例と各比較例で得られたシート状物の評価結果を、表2と3に示す。
【0114】
【表2】
【0115】
【表3】