特許第6277603号(P6277603)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6277603
(24)【登録日】2018年1月26日
(45)【発行日】2018年2月14日
(54)【発明の名称】百日咳菌の検出方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/09 20060101AFI20180205BHJP
   C12Q 1/68 20180101ALI20180205BHJP
【FI】
   C12N15/00 AZNA
   C12Q1/68 A
【請求項の数】5
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2013-112859(P2013-112859)
(22)【出願日】2013年5月29日
(65)【公開番号】特開2014-230511(P2014-230511A)
(43)【公開日】2014年12月11日
【審査請求日】2016年5月20日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡株式会社
(72)【発明者】
【氏名】曽家 義博
【審査官】 西 賢二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−124970(JP,A)
【文献】 NYGREN, M. et al.,J. Clin. Microbiol.,2000年,Vol. 38, No. 1,pp. 55-60
【文献】 Reizenstein, E. et al.,Diagn. Microbiol. Infect. Dis.,1993年,Vol. 17, No. 3,pp. 185-191
【文献】 曽家 義博,日本臨床検査自動化学会会誌(JJCLA),2011年,Vol. 36, No. 3,pp. 401-403
【文献】 中村 和憲,蛍光消光現象を利用した遺伝子定量・解析技術,産総研TODAY,2008年 2月,pp. 18-19
【文献】 野田 尚宏,Synthesiology,2010年 5月,Vol. 3, No. 2,pp. 147-157
【文献】 Houard, S. et al.,Res. Microbiol.,1989年,Vol. 140, No. 7,pp. 477-487
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00−15/90
C12Q 1/00− 1/70
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS
/WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の百日咳菌および/またはパラ百日咳菌を検出する方法であって、以下の(A)に示す工程により試料中の百日咳菌および/またはパラ百日咳菌由来の核酸を検出する手段を含むことを特徴とする、百日咳菌および/またはパラ百日咳菌の検出方法。
(A)
(1)以下の(a)〜(k)のいずれかの塩基配列の組合せで示される、フォワードプライマー及びリバースプライマーの核酸プライマー対、並びに核酸プローブの組合せを用意する工程。
(a)フォワードプライマーが配列番号4、リバースプライマーが配列番号6、プローブが配列番号8でそれぞれ示される塩基配列の組合せ
(b)フォワードプライマーが配列番号4、リバースプライマーが配列番号6、プローブが配列番号9でそれぞれ示される塩基配列の組合せ
(c)フォワードプライマーが配列番号5、リバースプライマーが配列番号7、プローブが配列番号10でそれぞれ示される塩基配列の組合せ
(d)フォワードプライマーが配列番号4、リバースプライマーが配列番号6、プローブが配列番号11でそれぞれ示される塩基配列の組合せ
(e)フォワードプライマーが配列番号5、リバースプライマーが配列番号7、プローブが配列番号12でそれぞれ示される塩基配列の組合せ
(f)フォワードプライマーが配列番号4、リバースプライマーが配列番号6、プローブが配列番号13でそれぞれ示される塩基配列の組合せ
(g)フォワードプライマーが配列番号5、リバースプライマーが配列番号7、プローブが配列番号14でそれぞれ示される塩基配列の組合せ
(h)フォワードプライマーが配列番号4、リバースプライマーが配列番号6、プローブが配列番号15でそれぞれ示される塩基配列の組合せ
(i)フォワードプライマーが配列番号5、リバースプライマーが配列番号7、プローブが配列番号16でそれぞれ示される塩基配列の組合せ
(j)フォワードプライマーが配列番号4、リバースプライマーが配列番号6、プローブが配列番号17でそれぞれ示される塩基配列の組合せ
(k)フォワードプライマーが配列番号5、リバースプライマーが配列番号7、プローブが配列番号18でそれぞれ示される塩基配列の組合せ
(2)被検核酸および前記工程(1)で用意した核酸プライマー対を含む反応液によって、被検核酸を増幅する工程。
(3)工程(2)によって得られた核酸増幅産物と、前記工程(1)で用意した核酸プローブとをハイブリダイズさせ複合体を形成せしめる工程。
(4)工程(3)で得られた複合体を検出する工程。
【請求項2】
請求項に記載の核酸プローブが、末端のシトシンのうち少なくとも一つが蛍光色素で標識されている核酸プローブを用いることを特徴とする百日咳菌および/またはパラ百日咳菌の検出方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の百日咳菌および/またはパラ百日咳菌の検出方法において、核酸増幅を、α型DNAポリメラーゼ、および、α型DNAポリメラーゼを変異させた変異型、のうち1つ以上を含む系で行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の百日咳菌および/またはパラ百日咳菌の検出方法。
【請求項4】
以下の(a)〜(k)のいずれかの塩基配列の組合せで示される、フォワードプライマー及びリバースプライマーの一対の核酸プライマーと核酸プローブとを組み合わせてなる、百日咳菌および/またはパラ百日咳菌検出用のプライマー・プローブのセット。
(a)フォワードプライマーが配列番号4、リバースプライマーが配列番号6、プローブが配列番号8でそれぞれ示される塩基配列の組合せ
(b)フォワードプライマーが配列番号4、リバースプライマーが配列番号6、プローブが配列番号9でそれぞれ示される塩基配列の組合せ
(c)フォワードプライマーが配列番号5、リバースプライマーが配列番号7、プローブが配列番号10でそれぞれ示される塩基配列の組合せ
(d)フォワードプライマーが配列番号4、リバースプライマーが配列番号6、プローブが配列番号11でそれぞれ示される塩基配列の組合せ
(e)フォワードプライマーが配列番号5、リバースプライマーが配列番号7、プローブが配列番号12でそれぞれ示される塩基配列の組合せ
(f)フォワードプライマーが配列番号4、リバースプライマーが配列番号6、プローブが配列番号13でそれぞれ示される塩基配列の組合せ
(g)フォワードプライマーが配列番号5、リバースプライマーが配列番号7、プローブが配列番号14でそれぞれ示される塩基配列の組合せ
(h)フォワードプライマーが配列番号4、リバースプライマーが配列番号6、プローブが配列番号15でそれぞれ示される塩基配列の組合せ
(i)フォワードプライマーが配列番号5、リバースプライマーが配列番号7、プローブが配列番号16でそれぞれ示される塩基配列の組合せ
(j)フォワードプライマーが配列番号4、リバースプライマーが配列番号6、プローブが配列番号17でそれぞれ示される塩基配列の組合せ
(k)フォワードプライマーが配列番号5、リバースプライマーが配列番号7、プローブが配列番号18でそれぞれ示される塩基配列の組合せ
【請求項5】
請求項に記載のプライマー・プローブのセットを含む、百日咳菌および/またはパラ百日咳菌検出キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,百日咳菌およびまたはパラ百日咳菌を分類して検出する分野に関する。
【背景技術】
【0002】
百日咳は,伝染性の強い呼吸系の疾病である。百日咳の症状としては,激しい咳および続く吸入フープ,時には嘔吐等の症状がある。極端な場合には,これらの症状は低酸素症,永久脳障害,さらには死亡につながる。大部分の症例(80−98%)は,小さいグラム陰性の細菌である百日咳菌(Bordetellapertussis)により引き起こされるが,一部(2−20%)はパラ百日咳菌(Bordetella parapertussis)により引き起こされる(非特許文献1)。パラ百日咳菌により引き起こされる百日咳の症状は,典型的には百日咳菌により引き起こされるものより軽いが,臨床兆候のみに基づく鑑別診断は困難である。さらに本邦においてはワクチン接種が行われているが、パラ百日咳菌に対しては無効である。
【0003】
百日咳を初期に診断することは、兆候および症状が他の一般的呼吸器疾患である、風邪、インフルエンザ、または気管支炎と似ているため、非常に困難である。百日咳を決定的に診断するためには培養法が用いられている。患者の鼻および/または喉から粘液を採取し,培養に用いるが、百日咳菌の培養には,診断が得られるまでおよそ1週間を要する。また百日咳菌の培養は、その細菌の性質のため偽陰性の結果が生じやすい。
【0004】
百日咳抗体あるいは抗原の測定も、百日咳感染を診断するために用いられている。最も一般的には,百日咳菌感染を示すために、百日咳毒素蛋白質の検出が用いられている。これらの抗体に基づくアッセイは良好な感度および特異度を有するが、非侵襲的に採取した粘膜サンプルではなく患者血液のサンプルを必要とし、さらに,感染が初期および/または回復期であることを必要とする。したがって,これらのアッセイは,疾病経過の適切な時に患者サンプルを取得しないと,偽陰性の結果を生じやすい。
【0005】
百日咳感染を検出する他の方法には、種々の遺伝子検査法がある。しかしながら、百日咳菌とパラ百日咳菌を同時にかつ区別して検出された報告はなされていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】(Mattoo et al.,Clin.Microbiol.Rev.,18:326−382,2005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は,生物学的サンプルにおいて百日咳菌および/またはパラ百日咳菌の存在または非存在を判定するための組成物および方法を提供する。本発明は,単独で,または臨床症状または他の指標と組み合わせて、百日咳感染を診断するために用いることができる。詳細には,本発明は、百日咳菌またはパラ百日咳菌の同時検出を可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討した結果、百日咳菌のptxA領域とパラ百日咳菌のptx psuedogene領域を特異的に増幅する特定のオリゴヌクレオチドプライマー、および、該オリゴヌクレオチドプライマーを用いた核酸増幅法によって増幅される領域を特異的に検出する特定のオリゴヌクレオチドプローブを用いることにより、短時間で特異的に百日咳菌とパラ百日咳菌をそれぞれ、あるいは、同時に検出できることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は以下のような構成からなる。
【0009】
[1]試料中の百日咳菌および/またはパラ百日咳菌を検出する方法であって、以下の(A)に示す工程により試料中の百日咳菌および/またはパラ百日咳菌由来の核酸を検出する手段を含むことを特徴とする、百日咳菌および/またはパラ百日咳菌の検出方法。
(A)
(1)配列番号1と95%以上相同な塩基配列で示される核酸配列のうち一部領域を核酸増幅するための核酸プライマー対であって、以下の(I)または(II)のいずれか1つ以上に該当する核酸プライマー対を用意する工程。
(I)フォワードプライマーが、配列番号2で示される塩基配列のうち16塩基以上36塩基以下の塩基配列からなる核酸プライマーである。
(II)リバースプライマーが、配列番号3で示される塩基配列のうち16塩基以上36塩基以下の塩基配列からなる核酸プライマーである。
(2)被検核酸および核酸プライマー対を含む反応液によって、被検核酸を増幅する工程。
(3)工程(2)によって得られた核酸増幅産物と、該核酸増幅産物の一部と複合体を形成せしめるように設計された核酸プローブとをハイブリダイズさせ複合体を形成せしめる工程。
(4)工程(3)で得られた複合体を検出する工程。
[2]
[1]に記載の百日咳菌および/またはパラ百日咳菌の検出方法において、工程(A)(I)に記載のフォワードプライマーが配列番号4、5のいずれかで示される塩基配列である[1]に記載の百日咳菌および/またはパラ百日咳菌の検出方法。
[3]
[1]に記載の百日咳菌および/またはパラ百日咳菌の検出方法において、工程(A)(II)に記載のリバースプライマーが配列番号6、7のいずれかで示される塩基配列である[1]に記載の百日咳菌および/またはパラ百日咳菌の検出方法。
[4]
[1]〜[3]のいずれかに記載の百日咳菌および/またはパラ百日咳菌の検出方法において、工程(A)に記載の核酸プローブが、配列番号8〜17のいずれかに示される塩基配列からなる核酸プローブである、[1]〜[3]のいずれかに記載の百日咳菌および/またはパラ百日咳菌の検出方法。
[5]
[1]に記載の百日咳菌および/またはパラ百日咳菌の検出方法において、工程(A)(I)に記載のフォワードプライマー、工程(A)(II)に記載のリバースプライマー、および、工程(A)に記載の核酸プローブが、それぞれ以下の(a)〜(k)のいずれかの塩基配列の組合せで示される、[1]に記載の百日咳菌および/またはパラ百日咳菌の検出方法。
(a)フォワードプライマーが配列番号4、リバースプライマーが配列番号6、プローブが配列番号8でそれぞれ示される塩基配列の組合せ
(b)フォワードプライマーが配列番号4、リバースプライマーが配列番号6、プローブが配列番号9でそれぞれ示される塩基配列の組合せ
(c)フォワードプライマーが配列番号5、リバースプライマーが配列番号7、プローブが配列番号10でそれぞれ示される塩基配列の組合せ
(d)フォワードプライマーが配列番号4、リバースプライマーが配列番号6、プローブが配列番号11でそれぞれ示される塩基配列の組合せ
(e)フォワードプライマーが配列番号5、リバースプライマーが配列番号7、プローブが配列番号12でそれぞれ示される塩基配列の組合せ
(f)フォワードプライマーが配列番号4、リバースプライマーが配列番号6、プローブが配列番号13でそれぞれ示される塩基配列の組合せ
(g)フォワードプライマーが配列番号5、リバースプライマーが配列番号7、プローブが配列番号14でそれぞれ示される塩基配列の組合せ
(h)フォワードプライマーが配列番号4、リバースプライマーが配列番号6、プローブが配列番号15でそれぞれ示される塩基配列の組合せ
(i)フォワードプライマーが配列番号5、リバースプライマーが配列番号7、プローブが配列番号16でそれぞれ示される塩基配列の組合せ
(j)フォワードプライマーが配列番号4、リバースプライマーが配列番号6、プローブが配列番号17でそれぞれ示される塩基配列の組合せ
(k)フォワードプライマーが配列番号5、リバースプライマーが配列番号7、プローブが配列番号18でそれぞれ示される塩基配列の組合せ
[6]
[5]に記載の核酸プローブが、末端のシトシンのうち少なくとも一つが蛍光色素で標識されている核酸プローブを用いることを特徴とする百日咳菌および/またはパラ百日咳菌の検出方法。
[7]
[1]〜[6]のいずれかに記載の百日咳菌および/またはパラ百日咳菌の検出方法において、核酸増幅を、α型DNAポリメラーゼ、および、α型DNAポリメラーゼを変異させた変異型、のうち1つ以上を含む系で行うことを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の百日咳菌および/またはパラ百日咳菌の検出方法。
[8]
配列番号2で示される塩基配列のうち16塩基以上36塩基以下の塩基配列からなるフォワードプライマーと、配列番号3で示される塩基配列のうち16塩基以上36塩基以下の塩基配列からなるリバースプライマーとからなる、1対のプライマー。
[9]
配列番号4、5のいずれかで示される塩基配列からなるフォワードプライマーと、配列番号6、7のいずれかで示される塩基配列からなるリバースプライマーとからなる、[8]に記載の、1対のプライマー。
[10]
配列番号8〜17のいずれかで示される塩基配列からなる、百日咳菌および/またはパラ百日咳菌を検出するためのプローブ。
[11]
[8]または[9]に示される一対のプライマーと、[10]に示されるプローブとを組み合わせてなる、百日咳菌および/またはパラ百日咳菌検出用のプライマー・プローブのセット。
[12]
[6]〜[11]のいずれかに記載のプライマー対、プローブまたはプライマー・プローブのセットを含む、百日咳菌および/またはパラ百日咳菌検出キット。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、百日咳菌および/またはパラ百日咳菌の検出を迅速、正確、安価に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1における融解曲線分析時の蛍光強度変化量を示す。グラフ縦軸は蛍光強度変化量、横軸は温度を示す。
図2】実施例2における融解曲線分析時の蛍光強度変化量を示す。グラフ縦軸は蛍光強度変化量、横軸は温度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は百日咳菌および/またはパラ百日咳菌を検出するためのオリゴヌクレオチドプライマー(プライマー)およびオリゴヌクレオチドプローブ(プローブ)、ならびにこれらを用いて百日咳菌および/またはパラ百日咳菌を検出する方法、該方法を実施するためのキットに係る。
【0013】
本発明では百日咳菌のptxA領域および/またはパラ百日咳菌のptx pseudogene領域を検出対象としている。百日咳菌のptxA領域の塩基配列を配列番号1に示す。
【0014】
[プライマー]
本発明の百日咳菌および/またはパラ百日咳菌検出方法で用いるオリゴヌクレオチドプライマーとしては、配列番号1と95%以上相同な塩基配列で示される核酸配列のうち一部領域を核酸増幅するための核酸プライマー対であって、以下の(I)または(II)のいずれか1つ以上に該当する核酸プライマー対が例示される。
(I)フォワードプライマーが、配列番号2で示される塩基配列のうち16塩基以上36塩基以下の塩基配列からなる核酸プライマー。
(II)リバースプライマーが、配列番号3で示される塩基配列のうち16塩基以上36塩基以下の塩基配列からなる核酸プライマー。
【0015】
上記の配列番号2は配列番号1で示される塩基配列の一部分である。また、配列番号3は配列番号1で示される塩基配列の相補配列の一部分である。
【0016】
上記(I)のオリゴヌクレオチドプライマーは、配列番号2で示される塩基配列の中の連続する16〜36塩基のいずれかで示されるオリゴヌクレオチドプライマーであれば特に制限されない。好ましくは、配列番号4、5のいずれかで示される塩基配列からなる核酸プライマーが例示できる。上記より長い配列では検出対象の核酸配列が異なるため検出感度および特異性が低下する。
【0017】
上記(II)のオリゴヌクレオチドプライマーは、配列番号3で示される塩基配列の中の連続する16〜36塩基のいずれかで示されるオリゴヌクレオチドプライマーであれば特に制限されない。好ましくは、配列番号6、7のいずれかで示される塩基配列からなる核酸プライマーが例示できる。上記より長い配列では検出対象の核酸配列が異なるため検出感度および特異性が低下する。
【0018】
上記(I)および(II)のプライマーの組合せ(セット)は、上記で説明した範囲内であれば、原則、任意であり特に限定されるものではないが、好ましいセットとして、フォワードプライマーが配列番号4で示される塩基配列であり、リバースプライマーが配列番号6で示される塩基配列である、一対のプライマー、または、フォワードプライマーが配列番号5で示される塩基配列であり、リバースプライマーが配列番号7で示される塩基配列である、一対のプライマーが例示できる。
【0019】
[プローブ]
本発明の百日咳菌および/またはパラ百日咳菌検出方法で用いるオリゴヌクレオチドプローブ(プローブ)は、特に限定されないが、百日咳菌および/またはパラ百日咳菌の相同性が比較的高い領域が望ましい。望ましくは80%以上、特に90%以上の相同性を有する配列が望ましい。
【0020】
上記のオリゴヌクレオチドプローブは、核酸が標識されていてもされていなくてもよい。標識される場合、標識される核酸の数に特に制限は無い。好ましくはオリゴヌクレオチドプローブの末端の核酸が標識されている形態であり、より好ましくは末端の核酸のうちどちらか片方のみが標識されている形態である。標識物質にも特に制限はないが、蛍光物質であることがより好ましい。蛍光標識としては特に標的核酸とのハイブリダイゼーション時に消光を生じる蛍光物質が好ましく、具体的には、フルオロセインまたはその誘導体(例えばフルオロセインイソチオシアネート(FITC))、BODIPY(商標)シリーズ、ローダミンまたはその誘導体(例えば5−カルボキシローダミン6G(GR6G)やテトラメチルローダミン(TAMRA))が例示できる。
【0021】
[検出方法]
本発明の百日咳菌および/またはパラ百日咳菌検出方法において、試料中の百日咳菌および/またはパラ百日咳菌由来の核酸を検出する方法としては、以下の(1)〜(4)の工程を例示することができる。
(1)配列番号1と95%以上相同な塩基配列で示される核酸配列のうち一部領域を核酸増幅するための核酸プライマー対であって、以下の(I)または(II)のいずれか1つ以上に該当する核酸プライマー対を用意する工程。
(I)フォワードプライマーが、配列番号2で示される塩基配列のうち16塩基以上36塩基以下の塩基配列からなる核酸プライマーである。
(II)リバースプライマーが、配列番号3で示される塩基配列のうち16塩基以上36塩基以下の塩基配列からなる核酸プライマーである。
(2)被検核酸および核酸プライマー対を含む反応液によって、被検核酸を増幅する工程。
(3)工程(2)によって得られた核酸増幅産物と、該核酸増幅産物の一部と複合体を形成せしめるように設計された核酸プローブとをハイブリダイズさせ複合体を形成せしめる工程。
(4)工程(3)で得られた複合体を検出する工程。
【0022】
[被検核酸の増幅]
本発明における被検核酸は、例えば、一本鎖でもよいし、二本鎖でもよい。二本鎖の場合は、例えば、被検核酸とプローブとをハイブリダイズさせてハイブリッド体を形成するために、加熱により前記二本鎖を一本鎖に解離させる工程を含むことが好ましい。
【0023】
前記被検核酸の種類としては、特に制限されないが、例えば、DNAや、トータルRNA、mRNA等のRNA等があげられる。また、前記被検核酸は、例えば、クラミジアトラコマチスを寄生させた細胞培養試料や生体試料等の試料に含まれる核酸が挙げられる。
【0024】
前記生体試料としては、特に制限されないが、例えば、膿、胸水、咽頭拭い液、鼻腔拭い液、血液などが挙げられる。試料の採取方法、DNAやRNA等の核酸の調製方法等は、制限されず、従来公知の方法が採用できる。
【0025】
続いて、単離したゲノムDNAを鋳型として、上述のプライマー対を用いて、PCR等の核酸増幅法によって、検出目的の塩基部位を含む配列を増幅させる。なお、PCR等の条件は、特に制限されず、従来公知の方法により行うことができる。
【0026】
本発明の百日咳菌および/またはパラ百日咳菌の検出方法における核酸の増幅工程に用いられる具体的な核酸増幅方法としては特に限定されず、適宜公知の方法を用いることができる。例えば、PCR(Polymerase Chain Reaction)法、NASBA(Nucleic acid sequence based amplification)法、TMA(Transcription−mediated amplification)法、SDA(Strand Displacement Amplification)法等があげられるが、PCR法を用いることが好ましい。なお、これらの各方法において、増幅反応の条件は特に制限されず、従来公知の方法により行うことができる。核酸増幅方法としては、PCR、NASBA(Nucleic acid sequence−basedamplification method;Nature 第350巻、第91頁(1991年))、LCR(国際公開89/12696号公報、特開平2−2934号公報)、SDA(Strand Displacement Amplification:Nucleic acid research 第20巻、第1691頁(1992年))、RCA(国際公開90/1069号公報)、TMA(Transcription mediated amplification method;J.Clin.Microbiol. 第31巻、第3270頁(1993年))、LAMP(loop−mediated isothermal amplification method:J Clin Microbiol. 第42巻:第1,956頁(2004年))、ICAN(isothermal and chimeric primer−initiated amplification of nucleic acids:Kekkaku. 第78巻、第533頁(2003年))などが挙げられる。
【0027】
なかでもPCR法は、試料核酸、4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸、一対のプライマー及び耐熱性DNAポリメラーゼの存在下で、変性、アニーリング、伸長の3工程からなるサイクルを繰り返すことにより、上記一対のプライマーで挟まれる試料核酸の領域を指数関数的に増幅させる方法である。すなわち、変性工程で試料の核酸を変性し、続くアニーリング工程において各プライマーと、それぞれに相補的な一本鎖試料核酸上の領域とをハイブリダイズさせ、続く伸長工程で、各プライマーを起点としてDNAポリメラーゼの働きにより鋳型となる各一本鎖試料核酸に相補的なDNA鎖を伸長させ、二本鎖DNAとする。この1サイクルにより、1本の二本鎖DNAが2本の二本鎖DNAに増幅される。従って、このサイクルをn回繰り返せば、理論上上記一対のプライマーで挟まれた試料DNAの領域は2倍に増幅される。増幅されたDNA領域は大量に存在するので、電気泳動等の方法により容易に検出できる。よって、遺伝子増幅法を用いれば、従来では検出不可能であった、極めて微量(1分子でも可)の試料核酸をも検出することが可能であり、最近非常に広く用いられている技術である。
増幅反応としては、最初の熱変形工程が80〜100℃で10秒〜15分、繰り返しの熱変形工程が80〜100℃で1〜300秒、アニーリンクが40〜80℃で1〜300秒、伸長反応工程が60〜85℃で1〜300秒程度行い、この繰り返しを30〜70回繰り返しすことが好ましい。
【0028】
核酸増幅にPCR法を用いる場合、DNAポリメラーゼには、α型DNAポリメラーゼを用いることが好ましい。その理由を以下に説明する。
【0029】
本発明のプローブが含まれる反応系で百日咳菌および/またはパラ百日咳菌の核酸配列を増幅する場合、核酸増幅工程中に該核酸プローブが試料の百日咳菌および/またはパラ百日咳菌核酸配列またはそれらの増幅産物と結合しうる。核酸増幅工程中に百日咳菌および/またはパラ百日咳菌の核酸配列と結合した該核酸プローブは、核酸プライマーとDNAポリメラーゼによる核酸増幅反応を阻害する。
【0030】
Taq DNA PolymeraseなどPolI型のDNAポリメラーゼは5’−3’エキソヌクレアーゼ活性を持つことが知られている。この活性のため、核酸増幅反応中に鋳型となる百日咳菌および/またはパラ百日咳菌核酸配列と結合した核酸がある場合、該結合核酸はエキソヌクレアーゼ活性によって分解されてしまう。このため、反応系中の該核酸プローブが減少し核酸検出工程に問題が生じる可能性がある。従って、PolI型DNAポリメラーゼを用いて本発明を実施することは好ましくない。
【0031】
他方、KOD DNA Polymerase(超好熱始原菌Thermococcus kodakaraensis KOD1由来)などα型のDNAポリメラーゼは5’−3’エキソヌクレアーゼ活性を持たず、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を持つ。従って、α型DNAポリメラーゼを用いれば上記問題を解決できるのみならず、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性により核酸増幅工程において高い正確性が発揮される。
【0032】
通常、α型DNAポリメラーゼは3’→ 5’エキソヌクレアーゼ活性のため、核酸増幅速度はPolI型酵素と比較して低い傾向がある。しかし、KOD DNA Polymeraseはα型DNAポリメラーゼでありながらDNA合成活性が高く100塩基/秒以上のDNA合成速度を有し伸長効率が優れている。従って、本発明の実施にはα型DNAポリメラーゼの中でも、KOD DNA Polymerase(東洋紡製、商標)を用いることが好ましい。
【0033】
さらに、α型DNAポリメラーゼを変異させて100塩基/秒以上のデオキシリボ核酸合成速度を達成させた変異型、あるいは、野生型および/または変異型の組み合わせにより当該性能を達成させたDNAポリメラーゼ組成物も、本発明の実施に適したDNAポリメラーゼとして用いることができる。
例えば、上記KOD DNA Polymerase以外に、PrimeSTAR HS DNAポリメラーゼ(タカラバイオ製、登録商標)、PfuTurbo DNAポリメラーゼ(アジレント・テクノロジー)なども利用できる。
【0034】
[DNA合成活性]
本明細書において、DNA合成活性とは鋳型DNAにアニールされたオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの3’−ヒドロキシル基にデオキシリボヌクレオシド5’−トリホスフェートのα−ホスフェートを共有結合せしめることにより、デオキシリボ核酸にデオキシリボヌクレオシド5’−モノホスフェートを鋳型依存的に導入する反応を触媒する活性をいう。
【0035】
その活性測定法は、酵素活性が高い場合には、保存緩衝液でサンプルを希釈して測定を行う。本発明では、下記A液25μl、B液およびC液各5μlおよび滅菌水10μlをエッペンドルフチューブに加えて攪拌混合した後、上記酵素液5μlを加えて75℃で10分間反応する。その後、氷冷し、E液50μl、D液100μlを加えて、攪拌後、さらに10分間氷冷する。この液をガラスフィルター(ワットマンGF/Cフィルター)で濾過し、D液及びエタノールで充分洗浄し、フィルターの放射活性を液体シンチレーションカウンター(パッカード社製)で計測し、鋳型DNAへのヌクレオチドの取り込みを測定する。酵素活性の1単位はこの条件下で30分あたり10nモルのヌクレオチドを酸不溶性画分に取り込む酵素量とする。
A: 40mM Tris−HCl(pH7.5)
16mM 塩化マグネシウム
15mM ジチオスレイトール
100μg/ml BSA
B: 2μg/μl 活性化仔牛胸腺DNA
C: 1.5mM dNTP(250cpm/pmol〔3H〕dTTP)
D: 20% トリクロロ酢酸(2mMピロリン酸ナトリウム)
E: 1μg/μl キャリアーDNA
【0036】
[3’−5’エキソヌクレアーゼ活性]
本発明において、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性とは、DNAの3’末端領域を切除し、5’−モノヌクレオチドを遊離する活性をいう。
その活性測定法は、50μlの反応液(120mM Tris−HCl(pH8.8 at 25℃), 10mM KCl, 6mM 硫酸アンモニウム,1mM MgCl, 0.1% Triton X−100, 0.001% BSA,5 μg トリチウムラベルされた大腸菌DNA)を1.5mlのエッペンドルフチューブに分注し、DNAポリメラーゼを加える。75℃で10分間反応させた後、氷冷によって反応を停止し、次にキャリアーとして、0.1%のBSAを50μl加え、さらに10%のトリクロロ酢酸、2%ピロリン酸ナトリウム溶液を100μl加え混合する。氷上で15分放置した後、12,000回転で10分間遠心し沈殿を分離する。上清100μlの放射活性を液体シンチレーションカウンター(パッカード社製)で計測し、酸可溶性画分に遊離したヌクレオチド量を測定する。
【0037】
[核酸増幅産物とプローブとの複合体形成]
本発明の百日咳菌および/またはパラ百日咳菌検出方法においては、上記で説明した被検核酸の増幅によって得られた増幅産物と、該核酸増幅産物の一部と複合体を形成せしめるように設計されたオリゴヌクレオチドプローブとをハイブリダイズさせ複合体を形成せしめる。
【0038】
核酸増幅産物を含む試料に核酸プローブを添加するタイミングは、特に制限されず、例えば、前述の核酸増幅反応前、核酸増幅反応途中および核酸増幅反応後のいずれに、増幅反応の反応系に添加してもよい。
中でも、増幅反応と、後述の検出反応とを連続的に行うことができるため、増幅反応前に添加することが好ましい。このように核酸増幅反応の前に前記プローブを添加する場合は、例えば、後述のように、その3’末端に、蛍光色素を付加したり、リン酸基を付加したりすることが好ましい。
【0039】
本発明において用いられる標識としては磁性体、電子伝達体、酵素、ビオチン、蛍光物質、ハプテン、抗原、抗体、放射性物質および発光団などがある。磁性体としては、酸化鉄、二酸化クロム、コバルト、フェライトなどが挙げられる。電子伝達体としては、フェロセン、PQQ、レドックス化合物が挙げられる。酵素としては、アルカリフォスファターゼ、ペルオキシダーゼなどが挙げられる。蛍光物質としては、例えば,Cy5(登録商標),Cy3(登録商標),FITC,ローダミン,ランタニド蛍光体,テキサスレッド,FAM,JOE,Cal Fluor Red 610(登録商標),Quasar 670(登録商標)、放射性同位体(例えば,32P,35S,3H,14C,125I,131I),高電子密度試薬(例えば金),酵素(例えば,西洋ワサビペルオキシダーゼ,ベータ−ガラクトシダーゼ,ルシフェラーゼ,アルカリホスファターゼ),比色標識(例えば金コロイド),磁気標識(例えば,Dynabeads(商標)),ビオチン,ジゴキシゲニン,または抗血清またはモノクローナル抗体が利用可能なハプテンおよび蛋白質が挙げられる。他の標識としては,それぞれ対応するレセプターまたはオリゴヌクレオチド相補体と複合体を形成しうるリガンドまたはオリゴヌクレオチドが挙げられる。標識は,検出すべき核酸中に直接取り込ませてもよく,または検出すべき核酸にハイブリダイズまたは結合するプローブ(例えばオリゴヌクレオチド)または抗体に結合させてもよい。
好ましい検出可能な標識は蛍光標識である。本明細書において用いる場合,“蛍光標識”とは,特定の波長(励起周波数)の光を吸収し,次により長い波長(放射周波数)の光を放出する分子を表す。本明細書において用いる場合,“ドナー蛍光団”との用語は,消光剤成分と近接している場合に,放出エネルギーを消光剤に供与ないし移動させる蛍光団を意味する。消光剤成分にエネルギーを供与した結果,ドナー蛍光団それ自体は,近接して配置された消光剤成分が存在しない場合よりも少ない特定の放出周波数の光を放出する。
【0040】
本明細書において用いる場合,“消光剤成分”との用語は,ドナー蛍光団の近傍に位置して,ドナーにより生成された放出エネルギーを取り込み,エネルギーを熱またはドナーの放出波長より長い波長の光として消散させる分子を意味する。後者の場合,消光剤はアクセプター蛍光団であると考えられる。消光成分は,近接(すなわち衝突)クエンチングにより,または蛍光共鳴エネルギー移動(“FRET”)により作用する。
【0041】
好適な蛍光成分としては,当該技術分野において知られる下記の蛍光団が挙げられる:4−アセトアミド−4’−イソチオシアナトスチルベン−2,2’−ジスルホン酸,アクリジンおよび誘導体(アクリジン,アクリジンイソチオシアネート),Alexa Fluor(登録商標)350,Alexa Fluor(登録商標)488,Alexa Fluor(登録商標)546,Alexa Fluor(登録商標)555,Alexa Fluor(登録商標)568,Alexa Fluor(登録商標)594,Alexa Fluor(登録商標)647(Molecular Probe),5−(2’−アミノエチル)アミノナフタレン−1−スルホン酸(EDANS),4−アミノ−N−[3−ビニルスルホニル)フェニル]ナフタルイミド−3,5ジスルホネート(Lucifer Yellow VS),N−(4−アニリノ−1−ナフチル)マレイミド,アントラニルアミド,BODIPY(登録商標)R−6G,BOPIPY(登録商標)530/550,BODIPY(登録商標)FL,ブリリアントイエロー,クマリンおよび誘導体(クマリン,7−アミノ−4−メチルクマリン(AMC,クマリン120),7−アミノ−4−トリフルオロメチルクマリン(クマリン151)),Cy2(登録商標),Cy3(登録商標),Cy3.5(登録商標),Cy5(登録商標),Cy5.5(登録商標),シアノシン,4’,6−ジアミニジノ−2−フェニルインドール(DAPI),5’,5''−ジブロモピロガロール−スルホネフタレイン(Bromopyrogallol Red),7−ジエチルアミノ−3−(4’−イソシアナトフェニル)−4−メチルクマリン,ジエチレントリアミン四酢酸,4,4’−ジイソチオシアナトジヒドロ−スチルベン−2,2’−ジスルホン酸,4,4’−ジイソチオシアナトスチルベン−2,2’−ジスルホン酸,塩化5−[ジメチルアミノ]ナフタレン−1−スルホニル(DNS,塩化ダンシル),4−(4’−ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL),4−ジメチルアミノフェニルアゾフェニル−4’−イソチオシアネート(DABITC),Eclipse(商標)(Epoch Biosciences Inc.),エオシンおよび誘導体(エオシン,エオシンイソチオシアネート),エリスロシンおよび誘導体(エリスロシンB,エリスロシンイソチオシアネート),エチジウム,フルオレセインおよび誘導体(5−カルボキシフルオレセイン(FAM),5−(4,6−ジクロロトリアジン−2−イル)アミノフルオレセイン(DTAF),2’,7’−ジメトキシ−4’5’−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(JOE),フルオレセイン,フルオレセインイソチオシアネート(FITC),ヘキサクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(HEX),QFITC(XRITC),テトラクロロフルオレセイン(TET)),フルオレスカミン,IR144,IR1446,マラカイトグリーンイソチオシアネート,4−メチルウンベリフェロン,オルトクレゾールフタレイン,ニトロチロシン,パラローザニリン,フェノールレッド,B−フィコエリスリン,R−フィコエリスリン,o−フタルジアルデヒド,Oregon Green(登録商標),ヨウ化プロピジウム,ピレンおよび誘導体(ピレン,酪酸ピレン,酪酸スクシンイミジル1−ピレン),QSY(登録商標)7,QSY(登録商標)9,QSY(登録商標)21,QSY(登録商標)35(Molecular Probe),リアクティブレッド4(Cibacron(登録商標)ブリリアントレッド3B−A),ローダミンおよび誘導体(6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX),6−カルボキシローダミン(R6G),リサミンローダミンB塩化スルホニル,ローダミン(Rhod),ローダミンB,ローダミン123,ローダミングリーン,ローダミンXイソチオシアネート,スルホローダミンB,スルホローダミン101,スルホローダミン101の塩化スルホニル誘導体(テキサスレッド)),N,N,N’,N’−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA),テトラメチルローダミン,テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC),リボフラビン,ロゾール酸,テルビウムキレート誘導体。
【0042】
適当な消光剤は,特定の蛍光団の蛍光スペクトルに基づいて選択する。有用な消光剤としては,例えば,the Black Hole(商標)消光剤であるBHQ−1,BHQ−2,およびBHQ−3(Biosearch Technologies,Inc.),およびATTOシリーズの消光剤(ATTO540Q,ATTO580Q,およびATTO612Q;Atto−TecGmbH)が挙げられる。
【0043】
検出可能な標識は,核酸中に取り込ませるか,会合させるか,またはコンジュゲートさせることができる。標識は,種々の長さのスペーサーアームにより結合させて,立体傷害または他の有用なまたは望ましい特性に与える影響を低減させることができる。例えば,Mansfield,9 Mol.Cell.Probes 145−156(1995)を参照。
ハプテンとしては、ビオチン、ジゴキシゲニンなどが挙げられる。放射性物質としては、
32P、35Sなどが挙げられる。発光団としては、ルテニウム、エクオリンなどが挙げられる。該標識は、核酸検出反応に影響を与えることがなければなにを用いても良い。また反応に影響がなければオリゴヌクレオチドのどの位置に結合させてもよい。好ましくは、3’末端、5’末端部位である。
【0044】
前記プローブは、核酸増幅産物を含む液体試料に添加してもよいし、溶媒中で核酸増幅産物と混合してもよい。前記溶媒としては、特に制限されず、例えば、Tris−HCl等の緩衝液、KCl、MgCl、MgSO、グリセロール、有機溶媒等、従来公知のものがあげられる。反応液の調整の方法としては、具体的には、反応液25μlあたり、オリゴヌクレオチドが0.5〜50pmol、×10の緩衝液が0.5〜50μl、2mMのdNTPで0.5〜50μl、塩類が25mM濃度液で0.1〜30μl、DNAポリメラーゼが0.1〜30ng程度であることが好ましい。
【0045】
検出方法としては、具体例として、単独でシグナルを示し且つハイブリッド形成によりシグナルを示さない標識化プローブ(例えば、グアニン消光プローブ)を使用した場合、一本鎖DNAとプローブとが解離している状態では蛍光を発しているが、温度の降下によりハイブリッドを形成すると、前記蛍光が減少(または消光)する。したがって、例えば、前記反応液の温度を徐々に降下させて、温度下降に伴う蛍光強度の減少を測定すればよい。他方、単独でシグナルを示さず且つハイブリッド形成によりシグナルを示す標識化プローブを使用した場合、一本鎖DNAとプローブとが解離している状態では蛍光を発していないが、温度の降下によりハイブリッドを形成すると、蛍光を発するようになる。したがって、例えば、前記反応液の温度を徐々に降下させて、温度下降に伴う蛍光強度の増加を測定すればよい。
【0046】
前記解離工程における加熱温度は、前記増幅産物が解離できる温度であれば特に制限されないが、例えば、85〜100℃である。加熱時間も特に制限されないが、通常、1秒〜20分であり、好ましくは1秒〜10分である。
【0047】
また、解離した一本鎖DNAと前記標識化プローブとのハイブリダイズは、例えば、前記解離工程の後、前記解離工程における加熱温度を降下させることによって行うことができる。温度条件としては、例えば、35〜50℃である。
【0048】
ハイブリダイズ工程の反応系(反応系)における各組成の体積や濃度は、特に制限されない。具体例としては、前記反応系において、DNAの濃度は、例えば、0.01〜100μmol/Lであり、好ましくは0.1〜10μmol/L、前記標識化プローブの濃度は、例えば、前記DNAに対する添加割合を満たす範囲が好ましく、例えば、0.01〜100μmol/Lであり、好ましくは0.01〜10μmol/Lである。
【0049】
蛍光強度の変動を測定する際の温度範囲は、特に制限されないが、例えば、開始温度が室温〜85℃であり、好ましくは25〜70℃であり、終了温度は、例えば、40〜105℃である。また、温度の上昇速度は、特に制限されないが、例えば、0.05〜20℃/秒であり、好ましくは0.08〜10℃/秒である。
【0050】
また、本発明においては、目的の塩基部位における遺伝子型の決定のために、前記シグナルの変動を解析してTm(meltingtemperature)値として決定してもよい。
【0051】
プライマー、プローブ、検出キット
本発明はまた、上記で説明した百日咳菌および/またはパラ百日咳菌を検出するための方法において用いるプライマー対、プローブまたは該プライマーと該プローブとを組合せたセットに関する。
【0052】
本発明はさらに、これらのプライマー対、プローブまたはプライマー・プローブのセットを含む、百日咳菌および/またはパラ百日咳菌検出キットに関する。
本発明のキットは、その構成において、プライマー対、プローブまたはプライマー・プローブのセット以外については特に限定されない。たとえばPCR法など公知の方法において、プライマーおよび/またはプローブとして上記のものを適用すればよい。
【実施例】
【0053】
以下実施例をもって本発明を具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0054】
実施例1 百日咳菌の検出
<百日咳菌を検出するオリゴヌクレオチドの合成>
パーキンエルマー社製DNAシンセサイザー392型を用いて、ホスホアミダイト法にて、配列番号4、6、8に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(以下、オリゴ4、6、8と示す)を合成した。合成はマニュアルに従い、各種オリゴヌクレオチドの脱保護はアンモニア水で55℃、一夜実施した。オリゴヌクレオチドの精製はパーキンエルマー社OPCカラムにて実施した。もしくはDNA合成受託会社((株)日本バイオサービス、シグマジェノシス(株)等)に依頼した。
オリゴ4はセンス鎖であり、オリゴ6がアンチセンス鎖であり組み合わせて増幅反応のオリゴヌクレオチドとして使用される。オリゴ8はプローブとして使用され、3’末端は蛍光標識される。
【0055】
百日咳菌の検出
<PCR法による増幅反応>
百日咳菌より抽出したDNA溶液をサンプルとして使用して、下記試薬を添加して、下記条件により百日咳菌を検出した。
【0056】
<試薬>
以下の試薬を含む10μl溶液を調製した。
KOD plus DNAポリメラーゼ 0.5U
オリゴ4 5pmol、
オリゴ6 50 pmol、
オリゴ8(3’末端をFITCにより標識) 5pmol、
×10緩衝液(KOD plus ver.2用) 1μl、
2mM dNTP 1μl、
25mM MgSO4 2μl、
抽出DNA溶液 100ng
【0057】
<増幅条件>
94℃・30秒、
97℃・1秒、
58℃・3秒、
63℃・5秒(50サイクル)
40℃・30秒
40℃から75℃に温度上昇させながら蛍光検出する。温度上昇速度は0.09℃/秒
【0058】
<融解曲線解析による検出>
融解温度解析の結果、−dF(蛍光強度変化量)/dT(温度変化量)の最も大きな値を示す温度(Tm)は、65℃付近を示し、その時の蛍光強度変化量は下記表1および図1の通りであった。
【0059】
【表1】
【0060】
図1のグラフから、百日咳菌ゲノムの存在する場合には、明らかなピークが得られることが確認された。
本検出系において、検出まで要する時間が60分以内であった。
【0061】
実施例2 パラ百日咳菌の検出
<PCR法による増幅反応>
パラ百日咳菌より抽出したDNA溶液をサンプルとして使用して、下記試薬を添加して、下記条件によりパラ百日咳菌を検出した。
【0062】
<試薬>
以下の試薬を含む10μl溶液を調製した。
KOD plus DNAポリメラーゼ 0.5U
オリゴ4 5pmol、
オリゴ6 50 pmol、
オリゴ8(3’末端をFITCにより標識) 5pmol、
×10緩衝液(KOD plus ver.2用) 1μl、
2mM dNTP 1μl、
25mM MgSO4 2μl、
抽出DNA溶液 100ng
【0063】
<増幅条件>
94℃・30秒、
97℃・1秒、
58℃・3秒、
63℃・5秒(50サイクル)
40℃・30秒
40℃から75℃に温度上昇させながら蛍光検出する。温度上昇速度は0.2℃/秒
【0064】
<融解曲線解析による検出>
融解温度解析の結果、−dF(蛍光強度変化量)/dT(温度変化量)の最も大きな値を示す温度(Tm)は、65℃付近を示し、その時の蛍光強度変化量は下記表2および図2の通りであった。
【0065】
【表2】
【0066】
図2のグラフから、パラ百日咳菌ゲノムの存在する場合には、百日咳菌ゲノム検出時とは異なる温度にピークが得られることが確認された。
本検出系において、検出まで要する時間が60分以内であった。
【0067】
実施例3 百日咳菌の検出
<百日咳菌を検出するオリゴヌクレオチドの合成>
パーキンエルマー社製DNAシンセサイザー392型を用いて、ホスホアミダイト法にて、配列番号4、6、9に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(以下、オリゴ4、6、9と示す)を合成した。合成はマニュアルに従い、各種オリゴヌクレオチドの脱保護はアンモニア水で55℃、一夜実施した。オリゴヌクレオチドの精製はパーキンエルマー社OPCカラムにて実施した。もしくはDNA合成受託会社((株)日本バイオサービス、シグマジェノシス(株)等)に依頼した。
オリゴ4はセンス鎖であり、オリゴ6がアンチセンス鎖であり組み合わせて増幅反応のオリゴヌクレオチドとして使用される。オリゴ9はプローブとして使用され、3’末端は蛍光標識される。
【0068】
(1)百日咳菌に由来する核酸のPCR法による増幅
<PCR法による増幅反応>
百日咳菌より抽出したDNA溶液をサンプルとして使用して、下記試薬を添加して、下記条件により百日咳菌を検出した。
【0069】
<試薬>
以下の試薬を含む10μl溶液を調製した。
KOD plus DNAポリメラーゼ 0.5U
オリゴ4 5pmol、
オリゴ6 15 pmol、
オリゴ9(3’末端をFITCにより標識) 5pmol、
×10緩衝液(KOD plus ver.2用) 1μl、
2mM dNTP 1μl、
25mM MgSO4 2μl、
抽出DNA溶液 100ng(or 蒸留水)
【0070】
<増幅条件>
94℃・30秒、
97℃・1秒、
58℃・3秒、
63℃・5秒(50サイクル)
40℃・30秒
40℃から75℃に温度上昇させながら蛍光検出する。温度上昇速度は0.2℃/秒
【0071】
<融解曲線解析による検出>
融解曲線解析結果 抽出DNAを用いた場合 65.1℃付近にピークが認められたが、抽出DNAがない場合は、ピークは認められなかった。
【0072】
(2)パラ百日咳菌に由来する核酸のPCR法による増幅
<PCR法による増幅反応>
パラ百日咳菌より抽出したDNA溶液をサンプルとして使用して、下記試薬を添加して、下記条件によりパラ百日咳菌を検出した。
【0073】
<試薬>
以下の試薬を含む10μl溶液を調製した。
KOD plus DNAポリメラーゼ 0.5U
オリゴ4 5pmol、
オリゴ6 15 pmol、
オリゴ9(3’末端をFITCにより標識) 5pmol、
×10緩衝液(KOD plus ver.2用) 1μl、
2mM dNTP 1μl、
25mM MgSO4 2μl、
抽出DNA溶液 100ng(or 蒸留水)
【0074】
<増幅条件>
94℃・30秒、
97℃・1秒、
58℃・3秒、
63℃・5秒(50サイクル)
40℃・30秒
40℃から75℃に温度上昇させながら蛍光検出する。温度上昇速度は0.2℃/秒
【0075】
<融解曲線解析による検出>
融解曲線解析結果 抽出DNAを用いた場合 58.℃付近にピークが認められたが、抽出DNAがない場合は、ピークは認められなかった。
【0076】
実施例4
(1)百日咳菌に由来する核酸のPCR法による増幅
<PCR法による増幅反応>
百日咳菌より抽出したDNA溶液をサンプルとして使用して、下記試薬を添加して、下記条件により百日咳菌を検出した。
【0077】
<試薬>
以下の試薬を含む10μl溶液を調製した。
KOD plus DNAポリメラーゼ 0.5U
オリゴ5 5pmol、
オリゴ7 15 pmol、
オリゴ10(3’末端をFITCにより標識) 5pmol、
×10緩衝液(KOD plus ver.2用) 1μl、
2mM dNTP 1μl、
25mM MgSO4 2μl、
抽出DNA溶液 100ng(or 蒸留水)
【0078】
<増幅条件>
94℃・30秒、
97℃・1秒、
58℃・3秒、
63℃・5秒(50サイクル)
40℃・30秒
40℃から75℃に温度上昇させながら蛍光検出する。温度上昇速度は0.2℃/秒
【0079】
<融解曲線解析による検出>
融解曲線解析結果 抽出DNAを用いた場合 64℃付近にピークが認められたが、抽出DNAがない場合は、ピークは認められなかった。
【0080】
(2)パラ百日咳菌に由来する核酸のPCR法による増幅
<PCR法による増幅反応>
パラ百日咳菌より抽出したDNA溶液をサンプルとして使用して、下記試薬を添加して、下記条件によりパラ百日咳菌を検出した。
【0081】
<試薬>
以下の試薬を含む10μl溶液を調製した。
KOD plus DNAポリメラーゼ 0.5U
オリゴ5 5pmol、
オリゴ7 15 pmol、
オリゴ10(3’末端をFITCにより標識) 5pmol、
×10緩衝液(KOD plus ver.2用) 1μl、
2mM dNTP 1μl、
25mM MgSO4 2μl、
抽出DNA溶液 100ng(or 蒸留水)
【0082】
<増幅条件>
94℃・30秒、
97℃・1秒、
58℃・3秒、
63℃・5秒(50サイクル)
40℃・30秒
40℃から75℃に温度上昇させながら蛍光検出する。温度上昇速度は0.2℃/秒
【0083】
<融解曲線解析による検出>
融解曲線解析結果 抽出DNAを用いた場合 57.℃付近にピークが認められたが、抽出DNAがない場合は、ピークは認められなかった。
【0084】
実施例5
(1)百日咳菌に由来する核酸のPCR法による増幅
<PCR法による増幅反応>
百日咳菌より抽出したDNA溶液をサンプルとして使用して、下記試薬を添加して、下記条件により百日咳菌を検出した。
【0085】
<試薬>
以下の試薬を含む10μl溶液を調製した。
KOD plus DNAポリメラーゼ 0.5U
オリゴ4 5pmol、
オリゴ6 15 pmol、
オリゴ11(3’末端をFITCにより標識) 5pmol、
×10緩衝液(KOD plus ver.2用) 1μl、
2mM dNTP 1μl、
25mM MgSO4 2μl、
抽出DNA溶液 100ng(or 蒸留水)
【0086】
<増幅条件>
94℃・30秒、
97℃・1秒、
58℃・3秒、
63℃・5秒(50サイクル)
40℃・30秒
40℃から75℃に温度上昇させながら蛍光検出する。温度上昇速度は0.2℃/秒
【0087】
<融解曲線解析による検出>
融解曲線解析結果 抽出DNAを用いた場合 63℃付近にピークが認められたが、抽出DNAがない場合は、ピークは認められなかった。
【0088】
(2)パラ百日咳菌に由来する核酸のPCR法による増幅
<PCR法による増幅反応>
パラ百日咳菌より抽出したDNA溶液をサンプルとして使用して、下記試薬を添加して、下記条件によりパラ百日咳菌を検出した。
【0089】
<試薬>
以下の試薬を含む10μl溶液を調製した。
KOD plus DNAポリメラーゼ 0.5U
オリゴ4 5pmol、
オリゴ6 15 pmol、
オリゴ11(3’末端をFITCにより標識) 5pmol、
×10緩衝液(KOD plus ver.2用) 1μl、
2mM dNTP 1μl、
25mM MgSO4 2μl、
抽出DNA溶液 100ng(or 蒸留水)
【0090】
<増幅条件>
94℃・30秒、
97℃・1秒、
58℃・3秒、
63℃・5秒(50サイクル)
40℃・30秒
40℃から75℃に温度上昇させながら蛍光検出する。温度上昇速度は0.2℃/秒
【0091】
<融解曲線解析による検出>
融解曲線解析結果 抽出DNAを用いた場合 56.℃付近にピークが認められたが、抽出DNAがない場合は、ピークは認められなかった。
【0092】
実施例6
(1)百日咳菌に由来する核酸のPCR法による増幅
<PCR法による増幅反応>
百日咳菌より抽出したDNA溶液をサンプルとして使用して、下記試薬を添加して、下記条件により百日咳菌を検出した。
【0093】
<試薬>
以下の試薬を含む10μl溶液を調製した。
KOD plus DNAポリメラーゼ 0.5U
オリゴ5 5pmol、
オリゴ7 15 pmol、
オリゴ12(3’末端をFITCにより標識) 5pmol、
×10緩衝液(KOD plus ver.2用) 1μl、
2mM dNTP 1μl、
25mM MgSO4 2μl、
抽出DNA溶液 100ng(or 蒸留水)
【0094】
<増幅条件>
94℃・30秒、
97℃・1秒、
58℃・3秒、
63℃・5秒(50サイクル)
40℃・30秒
40℃から75℃に温度上昇させながら蛍光検出する。温度上昇速度は0.2℃/秒
【0095】
<融解曲線解析による検出>
融解曲線解析結果 抽出DNAを用いた場合 62℃付近にピークが認められたが、抽出DNAがない場合は、ピークは認められなかった。
【0096】
(2)パラ百日咳菌に由来する核酸のPCR法による増幅
<PCR法による増幅反応>
パラ百日咳菌より抽出したDNA溶液をサンプルとして使用して、下記試薬を添加して、下記条件によりパラ百日咳菌を検出した。
【0097】
<試薬>
以下の試薬を含む10μl溶液を調製した。
KOD plus DNAポリメラーゼ 0.5U
オリゴ5 5pmol、
オリゴ7 15 pmol、
オリゴ12(3’末端をFITCにより標識) 5pmol、
×10緩衝液(KOD plus ver.2用) 1μl、
2mM dNTP 1μl、
25mM MgSO4 2μl、
抽出DNA溶液 100ng(or 蒸留水)
【0098】
<増幅条件>
94℃・30秒、
97℃・1秒、
58℃・3秒、
63℃・5秒(50サイクル)
40℃・30秒
40℃から75℃に温度上昇させながら蛍光検出する。温度上昇速度は0.2℃/秒
【0099】
<融解曲線解析による検出>
融解曲線解析結果 抽出DNAを用いた場合 55.℃付近にピークが認められたが、抽出DNAがない場合は、ピークは認められなかった。
【0100】
実施例7
(1)百日咳菌に由来する核酸のPCR法による増幅
<PCR法による増幅反応>
百日咳菌より抽出したDNA溶液をサンプルとして使用して、下記試薬を添加して、下記条件により百日咳菌を検出した。
【0101】
<試薬>
以下の試薬を含む10μl溶液を調製した。
KOD plus DNAポリメラーゼ 0.5U
オリゴ4 5pmol、
オリゴ6 15 pmol、
オリゴ13(3’末端をFITCにより標識) 5pmol、
×10緩衝液(KOD plus ver.2用) 1μl、
2mM dNTP 1μl、
25mM MgSO4 2μl、
抽出DNA溶液 100ng(or 蒸留水)
【0102】
<増幅条件>
94℃・30秒、
97℃・1秒、
58℃・3秒、
63℃・5秒(50サイクル)
40℃・30秒
40℃から75℃に温度上昇させながら蛍光検出する。温度上昇速度は0.2℃/秒
【0103】
<融解曲線解析による検出>
融解曲線解析結果 抽出DNAを用いた場合 61℃付近にピークが認められたが、抽出DNAがない場合は、ピークは認められなかった。
【0104】
(2)パラ百日咳に由来する核酸のPCR法による増幅
<PCR法による増幅反応>
パラ百日咳菌より抽出したDNA溶液をサンプルとして使用して、下記試薬を添加して、下記条件によりパラ百日咳菌を検出した。
【0105】
<試薬>
以下の試薬を含む10μl溶液を調製した。
KOD plus DNAポリメラーゼ 0.5U
オリゴ4 5pmol、
オリゴ6 15 pmol、
オリゴ13(3’末端をFITCにより標識) 5pmol、
×10緩衝液(KOD plus ver.2用) 1μl、
2mM dNTP 1μl、
25mM MgSO4 2μl、
抽出DNA溶液 100ng(or 蒸留水)
【0106】
<増幅条件>
94℃・30秒、
97℃・1秒、
58℃・3秒、
63℃・5秒(50サイクル)
40℃・30秒
40℃から75℃に温度上昇させながら蛍光検出する。温度上昇速度は0.2℃/秒
【0107】
<融解曲線解析による検出>
融解曲線解析結果 抽出DNAを用いた場合 54.℃付近にピークが認められたが、抽出DNAがない場合は、ピークは認められなかった。
【0108】
実施例8
(1)百日咳菌に由来する核酸のPCR法による増幅
<PCR法による増幅反応>
百日咳菌より抽出したDNA溶液をサンプルとして使用して、下記試薬を添加して、下記条件により百日咳菌を検出した。
【0109】
<試薬>
以下の試薬を含む10μl溶液を調製した。
KOD plus DNAポリメラーゼ 0.5U
オリゴ5 5pmol、
オリゴ7 15 pmol、
オリゴ14(3’末端をFITCにより標識) 5pmol、
×10緩衝液(KOD plus ver.2用) 1μl、
2mM dNTP 1μl、
25mM MgSO4 2μl、
抽出DNA溶液 100ng(or 蒸留水)
【0110】
<増幅条件>
94℃・30秒、
97℃・1秒、
58℃・3秒、
63℃・5秒(50サイクル)
40℃・30秒
40℃から75℃に温度上昇させながら蛍光検出する。温度上昇速度は0.2℃/秒
【0111】
<融解曲線解析による検出>
融解曲線解析結果 抽出DNAを用いた場合 60℃付近にピークが認められたが、抽出DNAがない場合は、ピークは認められなかった。
【0112】
(2)パラ百日咳菌に由来する核酸のPCR法による増幅
<PCR法による増幅反応>
パラ百日咳菌より抽出したDNA溶液をサンプルとして使用して、下記試薬を添加して、下記条件によりパラ百日咳菌を検出した。
【0113】
<試薬>
以下の試薬を含む10μl溶液を調製した。
KOD plus DNAポリメラーゼ 0.5U
オリゴ5 5pmol、
オリゴ7 15 pmol、
オリゴ14(3’末端をFITCにより標識) 5pmol、
×10緩衝液(KOD plus ver.2用) 1μl、
2mM dNTP 1μl、
25mM MgSO4 2μl、
抽出DNA溶液 100ng(or 蒸留水)
【0114】
<増幅条件>
94℃・30秒、
97℃・1秒、
58℃・3秒、
63℃・5秒(50サイクル)
40℃・30秒
40℃から75℃に温度上昇させながら蛍光検出する。温度上昇速度は0.2℃/秒
【0115】
<融解曲線解析による検出>
融解曲線解析結果 抽出DNAを用いた場合 53.℃付近にピークが認められたが、抽出DNAがない場合は、ピークは認められなかった。
【0116】
実施例9
(1)百日咳菌に由来する核酸のPCR法による増幅
<PCR法による増幅反応>
百日咳菌より抽出したDNA溶液をサンプルとして使用して、下記試薬を添加して、下記条件により百日咳菌を検出した。
【0117】
<試薬>
以下の試薬を含む10μl溶液を調製した。
KOD plus DNAポリメラーゼ 0.5U
オリゴ4 5pmol、
オリゴ6 15 pmol、
オリゴ15(3’末端をFITCにより標識) 5pmol、
×10緩衝液(KOD plus ver.2用) 1μl、
2mM dNTP 1μl、
25mM MgSO4 2μl、
抽出DNA溶液 100ng(or 蒸留水)
【0118】
<増幅条件>
94℃・30秒、
97℃・1秒、
58℃・3秒、
63℃・5秒(50サイクル)
40℃・30秒
40℃から75℃に温度上昇させながら蛍光検出する。温度上昇速度は0.2℃/秒
【0119】
<融解曲線解析による検出>
融解曲線解析結果 抽出DNAを用いた場合 59℃付近にピークが認められたが、抽出DNAがない場合は、ピークは認められなかった。
【0120】
(2)パラ百日咳菌に由来する核酸のPCR法による増幅
<PCR法による増幅反応>
パラ百日咳菌より抽出したDNA溶液をサンプルとして使用して、下記試薬を添加して、下記条件によりパラ百日咳菌を検出した。
【0121】
<試薬>
以下の試薬を含む10μl溶液を調製した。
KOD plus DNAポリメラーゼ 0.5U
オリゴ4 5pmol、
オリゴ6 15 pmol、
オリゴ15(3’末端をFITCにより標識) 5pmol、
×10緩衝液(KOD plus ver.2用) 1μl、
2mM dNTP 1μl、
25mM MgSO4 2μl、
抽出DNA溶液 100ng(or 蒸留水)
【0122】
<増幅条件>
94℃・30秒、
97℃・1秒、
58℃・3秒、
63℃・5秒(50サイクル)
40℃・30秒
40℃から75℃に温度上昇させながら蛍光検出する。温度上昇速度は0.2℃/秒
【0123】
<融解曲線解析による検出>
融解曲線解析結果 抽出DNAを用いた場合 52.℃付近にピークが認められたが、抽出DNAがない場合は、ピークは認められなかった。
【0124】
実施例10
(1)百日咳菌に由来する核酸のPCR法による増幅
<PCR法による増幅反応>
百日咳菌より抽出したDNA溶液をサンプルとして使用して、下記試薬を添加して、下記条件により百日咳菌を検出した。
【0125】
<試薬>
以下の試薬を含む10μl溶液を調製した。
KOD plus DNAポリメラーゼ 0.5U
オリゴ5 5pmol、
オリゴ7 15 pmol、
オリゴ16(3’末端をFITCにより標識) 5pmol、
×10緩衝液(KOD plus ver.2用) 1μl、
2mM dNTP 1μl、
25mM MgSO4 2μl、
抽出DNA溶液 100ng(or 蒸留水)
【0126】
<増幅条件>
94℃・30秒、
97℃・1秒、
58℃・3秒、
63℃・5秒(50サイクル)
40℃・30秒
40℃から75℃に温度上昇させながら蛍光検出する。温度上昇速度は0.2℃/秒
【0127】
<融解曲線解析による検出>
融解曲線解析結果 抽出DNAを用いた場合 58℃付近にピークが認められたが、抽出DNAがない場合は、ピークは認められなかった。
【0128】
(2)パラ百日咳菌に由来する核酸のPCR法による増幅
<PCR法による増幅反応>
パラ百日咳菌より抽出したDNA溶液をサンプルとして使用して、下記試薬を添加して、下記条件によりパラ百日咳菌を検出した。
【0129】
<試薬>
以下の試薬を含む10μl溶液を調製した。
KOD plus DNAポリメラーゼ 0.5U
オリゴ5 5pmol、
オリゴ7 15 pmol、
オリゴ16(3’末端をFITCにより標識) 5pmol、
×10緩衝液(KOD plus ver.2用) 1μl、
2mM dNTP 1μl、
25mM MgSO4 2μl、
抽出DNA溶液 100ng(or 蒸留水)
【0130】
<増幅条件>
94℃・30秒、
97℃・1秒、
58℃・3秒、
63℃・5秒(50サイクル)
40℃・30秒
40℃から75℃に温度上昇させながら蛍光検出する。温度上昇速度は0.2℃/秒
【0131】
<融解曲線解析による検出>
融解曲線解析結果 抽出DNAを用いた場合 51.℃付近にピークが認められたが、抽出DNAがない場合は、ピークは認められなかった。
【0132】
実施例11
(1)百日咳菌に由来する核酸のPCR法による増幅
<PCR法による増幅反応>
百日咳菌より抽出したDNA溶液をサンプルとして使用して、下記試薬を添加して、下記条件により百日咳菌を検出した。
【0133】
<試薬>
以下の試薬を含む10μl溶液を調製した。
KOD plus DNAポリメラーゼ 0.5U
オリゴ4 5pmol、
オリゴ6 15 pmol、
オリゴ17(3’末端をFITCにより標識) 5pmol、
×10緩衝液(KOD plus ver.2用) 1μl、
2mM dNTP 1μl、
25mM MgSO4 2μl、
抽出DNA溶液 100ng(or 蒸留水)
【0134】
<増幅条件>
94℃・30秒、
97℃・1秒、
58℃・3秒、
63℃・5秒(50サイクル)
40℃・30秒
40℃から75℃に温度上昇させながら蛍光検出する。温度上昇速度は0.2℃/秒
【0135】
<融解曲線解析による検出>
融解曲線解析結果 抽出DNAを用いた場合 62℃付近にピークが認められたが、抽出DNAがない場合は、ピークは認められなかった。
【0136】
(2)パラ百日咳菌に由来する核酸のPCR法による増幅
<PCR法による増幅反応>
パラ百日咳菌より抽出したDNA溶液をサンプルとして使用して、下記試薬を添加して、下記条件によりパラ百日咳菌を検出した。
【0137】
<試薬>
以下の試薬を含む10μl溶液を調製した。
KOD plus DNAポリメラーゼ 0.5U
オリゴ4 5pmol、
オリゴ6 15 pmol、
オリゴ17(3’末端をFITCにより標識) 5pmol、
×10緩衝液(KOD plus ver.2用) 1μl、
2mM dNTP 1μl、
25mM MgSO4 2μl、
抽出DNA溶液 100ng(or 蒸留水)
【0138】
<増幅条件>
94℃・30秒、
97℃・1秒、
58℃・3秒、
63℃・5秒(50サイクル)
40℃・30秒
40℃から75℃に温度上昇させながら蛍光検出する。温度上昇速度は0.2℃/秒
【0139】
<融解曲線解析による検出>
融解曲線解析結果 抽出DNAを用いた場合 55.℃付近にピークが認められたが、抽出DNAがない場合は、ピークは認められなかった。
【0140】
実施例12
(1)百日咳菌に由来する核酸のPCR法による増幅
<PCR法による増幅反応>
百日咳菌より抽出したDNA溶液をサンプルとして使用して、下記試薬を添加して、下記条件により百日咳菌を検出した。
【0141】
<試薬>
以下の試薬を含む10μl溶液を調製した。
KOD plus DNAポリメラーゼ 0.5U
オリゴ5 5pmol、
オリゴ7 15 pmol、
オリゴ18(3’末端をFITCにより標識) 5pmol、
×10緩衝液(KOD plus ver.2用) 1μl、
2mM dNTP 1μl、
25mM MgSO4 2μl、
抽出DNA溶液 100ng(or 蒸留水)
【0142】
<増幅条件>
94℃・30秒、
97℃・1秒、
58℃・3秒、
63℃・5秒(50サイクル)
40℃・30秒
40℃から75℃に温度上昇させながら蛍光検出する。温度上昇速度は0.2℃/秒
【0143】
<融解曲線解析による検出>
融解曲線解析結果 抽出DNAを用いた場合 61℃付近にピークが認められたが、抽出DNAがない場合は、ピークは認められなかった。
【0144】
(2)パラ百日咳菌に由来する核酸のPCR法による増幅
<PCR法による増幅反応>
パラ百日咳菌より抽出したDNA溶液をサンプルとして使用して、下記試薬を添加して、下記条件によりパラ百日咳菌を検出した。
【0145】
<試薬>
以下の試薬を含む10μl溶液を調製した。
KOD plus DNAポリメラーゼ 0.5U
オリゴ5 5pmol、
オリゴ7 15 pmol、
オリゴ18(3’末端をFITCにより標識) 5pmol、
×10緩衝液(KOD plus ver.2用) 1μl、
2mM dNTP 1μl、
25mM MgSO4 2μl、
抽出DNA溶液 100ng(or 蒸留水)
【0146】
<増幅条件>
94℃・30秒、
97℃・1秒、
58℃・3秒、
63℃・5秒(50サイクル)
40℃・30秒
40℃から75℃に温度上昇させながら蛍光検出する。温度上昇速度は0.2℃/秒
【0147】
<融解曲線解析による検出>
融解曲線解析結果 抽出DNAを用いた場合 53.℃付近にピークが認められたが、抽出DNAがない場合は、ピークは認められなかった。
【産業上の利用可能性】
【0148】
本発明を百日咳菌および/またはパラ百日咳菌の検出に利用することで、迅速性、正確性の両方に優れ、なおかつ高感度に百日咳菌および/またはパラ百日咳菌を検出することができる。
図1
図2
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]