(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6277691
(24)【登録日】2018年1月26日
(45)【発行日】2018年2月14日
(54)【発明の名称】制御信号生成回路及び回路装置
(51)【国際特許分類】
H03K 17/687 20060101AFI20180205BHJP
H02M 3/155 20060101ALN20180205BHJP
【FI】
H03K17/687 F
!H02M3/155 H
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-246525(P2013-246525)
(22)【出願日】2013年11月28日
(65)【公開番号】特開2015-106741(P2015-106741A)
(43)【公開日】2015年6月8日
【審査請求日】2016年11月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】高井 伸彰
【審査官】
▲高▼橋 義昭
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−304226(JP,A)
【文献】
特開2006−318647(JP,A)
【文献】
特開2005−110366(JP,A)
【文献】
特開2001−258268(JP,A)
【文献】
特表2006−508629(JP,A)
【文献】
特開平09−288897(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 17/687
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力パルス信号を基に、直列に接続されたハイサイドスイッチ及びローサイドスイッチの開閉をそれぞれ制御するハイサイド制御信号及びローサイド制御信号を生成する制御信号生成回路において、
前記入力パルス信号を遅延させると共に、論理を反転させた信号を出力する第1遅延部と、
該第1遅延部が出力した信号の立ち上がり又は立ち下がりのいずれか一方を遅延させた信号を出力する第2遅延部と、
前記第1遅延部が出力した信号に基づいて前記ハイサイド制御信号又は前記ローサイド制御信号の一方を生成し、前記第2遅延部が出力した信号に基づいて前記ハイサイド制御信号又は前記ローサイド制御信号の他方を生成する生成部と
を備え、
前記第2遅延部は、
前記第1遅延部からの信号が入力される入力端から遅延させた信号を出力する出力端までの間に、逆方向に接続されたダイオードと、
直列に接続された2つの抵抗と、
該2つの抵抗間に一端が接続され、他端が固定電位に接続された容量と
を有し、
前記ダイオード及び2つの抵抗が並列に接続された構成であること
を特徴とする制御信号生成回路。
【請求項2】
前記生成部は、前記入力パルス信号の反転信号と、前記第2遅延部が立ち上がりを遅延させた信号との論理積の信号を前記ローサイド制御信号として出力すること
を特徴とする請求項1に記載の制御信号生成回路。
【請求項3】
前記生成部は、前記第1遅延部が遅延させた信号の反転信号を前記ハイサイド制御信号として出力すること
を特徴とする請求項2に記載の制御信号生成回路。
【請求項4】
前記第1遅延部は、複数個の抵抗及び容量と、奇数個の論理反転素子とを有し、
前記入力パルス信号が入力される入力端から遅延及び論理反転させた信号を出力する出力端までの間に、前記抵抗及び論理反転素子が交互に直列に接続され、
前記論理反転素子の入力及び固定電位間に前記容量が接続された構成であること
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の制御信号生成回路。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の制御信号生成回路と、
直列に接続された前記ハイサイドスイッチ及び前記ローサイドスイッチと、
前記制御信号生成回路への入力パルス信号を生成するパルス信号生成回路と
を備え、
前記制御信号生成回路が生成したハイサイド制御信号に基づいて前記ハイサイドスイッチの開閉を制御し、
前記制御信号生成回路が生成したローサイド制御信号に基づいて前記ローサイドスイッチの開閉を制御すること
を特徴とする回路装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング制御のために適切なデッドタイムが設定された制御信号を生成する制御信号生成回路、及びこの回路を備えた回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば同期整流型のDC−DCコンバータなどの回路装置では、直列に接続されたハイサイドスイッチ及びローサイドスイッチを交互に開閉する制御が行われる。このような回路装置において、ハイサイドスイッチ及びローサイドスイッチが同時に開状態となった場合、多大な貫通電流が流れ回路素子の破壊などが生じる虞があった。この問題を解決するため、ハイサイドスイッチを開状態とする期間とローサイドスイッチを閉状態とする期間との間に、両スイッチを共に閉状態とする期間を設ける制御がなされている。このような両スイッチを閉状態とする期間は、デッドタイムと呼ばれている。
【0003】
特許文献1においては、電流調整用の端子に外付け抵抗を接続して電流を設定し、この電流で充電される第1及び第2コンデンサと、これらコンデンサの電圧を監視してオン/オフ信号を出力する第1及び第2電圧監視回路と、第1及び第2コンデンサにそれぞれ並列に接続される第1及び第2短絡用スイッチとを備え、制御信号に応じて第1及び第2短絡スイッチのオン/オフを交互に行う構成の半導体集積回路が提案されている。この半導体集積回路では、例えば第1(第2)短絡用スイッチをオンして第1コンデンサの電荷を放電した後、第1(第2)短絡用スイッチをオフし、このオフ動作で第1(第2)コンデンサを充電し、第1(第2)コンデンサの電圧が閾値電圧に到達したときに第1電圧監視回路が出力信号を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−51740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、例えばハイサイドスイッチ及びローサイドスイッチの開閉を制御するための信号を生成する回路では、1つの入力パルス信号からハイサイドスイッチ制御信号及びローサイドスイッチ制御信号を生成する。このような構成の回路では、入力パルス信号のパルス幅(デューティ比)を変更することによって、DC−DCコンバータの出力電圧を変更するなどの制御を行うことができる。しかしながら、ハイサイドスイッチ及びローサイド水位置の制御にデッドタイムを設けることによって、下記の問題が生じる。
【0006】
図4は、デッドタイムにより生じる問題点を説明するための模式図であり、横軸を入力パルス信号のデューティ比(入力デューティ比)とし、縦軸をハイサイドスイッチ制御信号(又はローサイド制御信号)のデューティ比(出力デューティ比)としたグラフを示してある。また本図においては、デッドタイムを設けない場合のデューティ比の関係を一点鎖線で示し、デッドタイムを設けた場合のデューティ比の関係を太実線で示してある。図示のように、デッドタイムを設けない場合には、入力デューティ比及び出力デューティ比の関係は線形となる。しかしながらデッドタイムを設けた場合、デューティ比が低いとき及び高いときに線形な特性を示さない。即ちデューティ比が低いときに制御不可能領域が生じると共に、デューティ比が高いときに最高出力デューティ比が低くなる。これにより、デッドタイムが長くなるほどデューティ比による制御性が悪化する。
【0007】
特許文献1に記載の発明も同様に、デッドタイムを設けることによって、入力制御信号のパルス幅に対して2つの出力信号のパルス幅が共に狭められるため、制御性が悪化するという問題を有している。
【0008】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、デッドタイムを設けることによるハイサイドスイッチ及びローサイドスイッチの制御性の悪化を抑制し得る制御信号生成回路及び回路装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る制御信号生成回路は、入力パルス信号を基に、直列に接続されたハイサイドスイッチ及びローサイドスイッチの開閉をそれぞれ制御するハイサイド制御信号及びローサイド制御信号を生成する制御信号生成回路において、前記入力パルス信号を遅延させると共に、論理を反転させた信号を出力する第1遅延部と、該第1遅延部が出力した信号の立ち上がり又は立ち下がりのいずれか一方を遅延させた信号を出力する第2遅延部と、前記第1遅延部が出力した信号に基づいて前記ハイサイド制御信号又は前記ローサイド制御信号の一方を生成し、前記第2遅延部が出力した信号に基づいて前記ハイサイド制御信号又は前記ローサイド制御信号の他方を生成する生成部とを備え
、前記第2遅延部は、前記第1遅延部からの信号が入力される入力端から遅延させた信号を出力する出力端までの間に、逆方向に接続されたダイオードと、直列に接続された2つの抵抗と、該2つの抵抗間に一端が接続され、他端が固定電位に接続された容量とを有し、前記ダイオード及び2つの抵抗が並列に接続された構成であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る制御信号生成回路は、前記生成部が、前記入力パルス信号の反転信号と、前記第2遅延部が立ち上がりを遅延させた信号との
論理積の信号を前記ローサイド制御信号として出力することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る制御信号生成回路は、前記生成部が、前記第1遅延部が遅延させた信号の反転信号を前記ハイサイド制御信号として出力することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る制御信号生成回路は、前記第1遅延部が、複数個の抵抗及び容量と、奇数個の論理反転素子とを有し、前記入力パルス信号が入力される入力端から遅延及び論理反転させた信号を出力する出力端までの間に、前記抵抗及び論理反転素子が交互に直列に接続され、前記論理反転素子の入力及び固定電位間に前記容量が接続された構成であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る回路装置は、上述の制御信号生成回路と、直列に接続された前記ハイサイドスイッチ及び前記ローサイドスイッチと、前記制御信号生成回路への入力パルス信号を生成するパルス信号生成回路とを備え、前記制御信号生成回路が生成したハイサイド制御信号に基づいて前記ハイサイドスイッチの開閉を制御し、前記制御信号生成回路が生成したローサイド制御信号に基づいて前記ローサイドスイッチの開閉を制御することを特徴とする。
【0015】
本発明においては、入力パルス信号を第1遅延部が遅延させて論理反転して出力する。第1遅延部は入力パルス信号の全体を遅延させ、入力パルス信号のパルス幅(デューティ比)は変化させない。第1遅延部の出力信号に基づいてハイサイド制御信号又はローサイド制御信号のいずれか一方を生成する。
また第1遅延部の出力信号に対して、第2遅延部が立ち上がり又は立ち下がりのいずれか一方を遅延させて出力する。これにより第2遅延部の出力信号は、入力パルス信号よりパルス幅を短くした信号となる。ハイサイド制御信号又はローサイド制御信号の他方は、第2遅延部の出力信号に基づいて生成する。
これにより、ハイサイドスイッチ又はローサイドスイッチの一方は、入力パルス信号と同じデューティ比で制御されるため制御性の悪化を低減することができる。またハイサイドスイッチ又はローサイドスイッチの他方は、パルス幅を短くした信号で開閉の制御を行うことができるため、デッドタイムを設けることができる。
【0016】
また、本発明においては、入力パルス信号の反転信号と、第2遅延部により立ち上がりを遅延させた信号との
論理積の信号をローサイド制御信号として出力する。また第1遅延部の出力信号の反転信号をハイサイド制御信号として出力する。
これによりローサイド制御信号は、ハイサイド制御信号に対して立ち上がり及び立ち下がりの両方にデッドタイムを設けた信号とすることができる。
【0017】
例えば第1遅延部の回路構成は、入力パルス信号が入力される入力端から出力信号を出力する出力端までの間に、抵抗及び論理反転素子を交互に直列に接続し、論理反転素子の入力及び固定電位(接地電位など)の間にそれぞれ容量を接続した構成とすることができる。論理反転素子は奇数個を接続することにより、入力パルス信号を論理反転させる。この構成により、入力パルス信号の立ち上がり及び立ち下がりを遅延させ、且つ、論理を反転させた信号を容易且つ確実に生成することができる。
【0018】
例えば第2遅延部の回路構成は、入力端から出力端までの間にダイオードを逆方向に接続し、直列接続した2つの抵抗をこのダイオードに対して並列に接続し、容量の一端を2つの抵抗間に接続し、他端を固定電位に接続した構成とすることができる。これにより入力信号の立ち上がりに対しては抵抗及び容量により遅延を発生させ、立ち下がりに対してはダイオードにより遅延を発生させずに信号を出力することができる。この構成により、信号の立ち上がりのみを遅延させた信号を容易且つ確実に生成することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明による場合は、ハイサイドスイッチ又はローサイドスイッチの一方を入力パルス信号と同じデューティ比で制御する制御信号を出力する構成とすることにより、少なくともハイサイドスイッチ又はローサイドスイッチの一方は線形的な制御を行うことができ、制御性の悪化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本実施の形態に係るDC−DCコンバータの構成を示すブロック図である。
【
図2】制御信号生成回路の構成を示す回路図である。
【
図3】制御信号生成回路による制御信号の生成を説明するための模式図である。
【
図4】デッドタイムにより生じる問題点を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。
図1は、本実施の形態に係るDC−DCコンバータの構成を示すブロック図である。本実施の形態に係るDC−DCコンバータは、電源電位及び接地電位間に直列接続されたハイサイドFET(Field Effect Transistor)5及びローサイドFET6を備えている。ハイサイドFET5及びローサイドFET6間にはコイルLの一端が接続され、コイルLの他端はコンデンサCを介して接地電位に接続されている。コイルL及びコンデンサC間に出力端子7が設けられ、出力端子7からDC−DCコンバータの出力電圧が出力される。この回路構成は、いわゆる同期整流型のDC−DCコンバータの回路構成である。
【0022】
また本実施の形態に係るDC−DCコンバータは、ハイサイドFET5のオン/オフを制御するハイサイド制御信号、及び、ローサイドFET6のオン/オフを制御するローサイド制御信号を生成して出力する制御信号生成回路1を備えている。制御信号生成回路1は、パルス信号生成回路2が生成するパルス信号が入力され、入力されたパルス信号に基づいてハイサイド制御信号及びローサイド制御信号を生成する。パルス信号生成回路2は、制御回路3の制御に基づいて決定されたデューティ比のパルス信号を生成して出力する。
【0023】
即ち、制御回路3の制御に基づくデューティ比のパルス信号がパルス信号生成回路2にて生成されて制御信号生成回路1へ入力され、入力されたパルス信号のデューティ比に応じたハイサイド制御信号及びローサイド制御信号を制御信号生成回路1が生成して出力する。これによりDC−DCコンバータは、制御回路3のデューティ比制御に応じた出力電圧を出力端子7から出力する。
【0024】
図2は、制御信号生成回路1の構成を示す回路図である。制御信号生成回路1は、入力端子10、第1遅延回路11、第2遅延回路12、ハイサイド出力端子13、ローサイド出力端子14、論理反転素子J21〜J24及び
論理積素子A1等を備えて構成されている。入力端子10は、パルス信号生成回路2が生成したパルス信号が入力される端子である。入力端子10は第1遅延回路11に接続されており、入力パルス信号は入力端子10から第1遅延回路11へ入力される。
【0025】
第1遅延回路11は、奇数個(2n−1個、nは自然数)の抵抗R1〜R2n−1、コンデンサC1〜C2n−1、及び、論理反転素子I1〜I2n−1を有して構成されており、抵抗R1〜R2n−1及びコンデンサC1〜C2n−1の時定数により定まる遅延時間だけ入力信号を遅延させて出力する回路である。第1遅延回路11は、入力信号の立ち上がり及び立ち下がりを共に遅延させる、即ち入力信号の波形全体を遅延させる。また第1遅延回路11は、奇数個の論理反転素子I1〜I2n−1により、入力信号の論理を反転して出力する。
【0026】
第1遅延回路11は、その入力端から出力端の間に、奇数個の抵抗R1〜R2n−1及び論理反転素子I1〜I2n−1が交互に直列に接続されている。即ち入力端、抵抗R1、論理反転素子I1、抵抗R2、論理反転素子I2、抵抗R3、論理反転素子I3、…、抵抗R2n−1、論理反転素子I2n−1、出力端の順で接続されている。抵抗R1〜R2n−1及び論理反転素子I1〜I2n−1の間には、それぞれコンデンサC1〜C2n−1の一端が接続され、コンデンサC1〜C2n−1の他端は接地電位に接続されている。これにより、入力信号は抵抗R1及びC1により遅延されて論理反転素子I1により反転出力され、この反転出力された信号は抵抗R2及びC2により遅延されて論理反転素子I2により反転出力され、…、最終的に抵抗R2n−1及びC2n−1により遅延されて論理反転素子I2n−1により反転出力され、この反転出力された信号が第1遅延回路11の出力信号となる。
【0027】
第1遅延回路11の出力信号は、第2遅延回路12及び論理反転素子J21へ入力される。論理反転素子J21は、第1遅延回路11の出力信号の論理を反転して出力する。論理反転素子J21の出力信号は、ハイサイド出力端子13からハイサイド制御信号として出力される。第1遅延回路11は入力パルス信号を遅延させ且つ論理反転させて出力する回路であり、論理反転素子J21は第1遅延回路11の出力信号を論理反転させて出力するものであるから、ハイサイド出力端子13から出力されるハイサイド制御信号は、入力パルス信号を遅延させた信号となる。
【0028】
第2遅延回路12は、その入力端から出力端の間に、逆方向に接続された(即ちカソードが入力端に接続され、アノードが出力端に接続された)ダイオードD1と、直列接続された2つの抵抗R11及びR12とが並列に接続されると共に、コンデンサC11の一端が抵抗R11及びR12間に接続され、他端が接地電位に接続された構成である。第2遅延回路12は、入力信号により後段の回路(本例では論理反転素子22)に対する電荷の充電を行う際には抵抗R11及びR12とコンデンサC11とによる時定数により定まる遅延時間だけの遅れを発生させるが、後段の回路に対する電荷の放電はダイオードD1を介して高速に行うことができる。よって第2遅延回路12は、入力信号の立ち上がりを遅らせるが、立ち下がりには後れを発生させない。
【0029】
第2遅延回路12の出力信号は、論理反転素子J22及びJ23を経て
論理積素子A1へ入力される。また
論理積素子A1には、制御信号生成回路1の入力端子10から入力された信号が論理反転素子J24にて反転された信号が入力されている。
論理積素子A1は、入力された2つの信号の
論理積信号を出力する。
論理積素子A1の出力信号は、制御信号生成回路1の出力信号としてローサイド出力端子14から出力される。
【0030】
図3は、制御信号生成回路1による制御信号の生成を説明するための模式図である。なお
図3には上段から順に、入力パルス信号、a点信号、ハイサイド制御信号、b点信号、c点信号及びローサイド制御信号の信号波形例が示してある。a点信号は、
図2にa点として示したノードの信号、即ち第1遅延回路11の出力信号である。b点信号は、
図2にb点として示したノードの信号、即ち論理反転素子J23の出力信号であり、第2遅延回路12の出力信号に略等しい。c点信号は、
図2にc点として示したノードの信号、即ち論理反転素子J24の出力信号であり、入力パルス信号の反転信号である。
【0031】
図示の波形例において、入力パルス信号は所定デューティ比でハイレベル/ローレベルの変化を繰り返す信号であり、ハイレベルがハイサイドFET5をオンさせる期間を規定し、ローレベルがローサイドFET6をオンさせる期間を規定する。制御信号生成回路1へ入力された入力パルス信号は、第1遅延回路11によって立ち上がり及び立ち下がり共に所定時間の遅延が与えられ、且つ、論理反転されて出力される(a点信号参照)。
【0032】
第1遅延回路11の出力信号は、論理反転素子J21により論理反転されてハイサイド出力端子13からハイサイド制御信号として出力される。ハイサイド制御信号は、その信号値がハイレベルである場合にハイサイドFET5をオンさせ、ローレベルである場合にハイサイドFET5をオフさせる。
図3に示すように、制御信号生成回路1が出力するハイサイド制御信号は、入力パルス信号と同じデューティ比の信号である。
【0033】
また第1遅延回路11の出力信号(a点信号)は、第2遅延回路12にてその信号の立ち上がりに所定時間の遅延が与えられて出力される(b点信号参照)。第2遅延回路12にて立ち上がりに遅延が与えられた信号は、
論理積素子A1へ入力される。また入力パルス信号は論理反転素子J24にて論理反転され(c点信号参照)、
論理積素子A1へ入力される。
【0034】
論理積素子A1は、2つの入力信号が共にハイレベルである場合にハイレベルを出力し、いずれか一方がローレベルである場合にローレベルを出力する。
論理積素子A1の出力信号は、ローサイド出力端子14からローサイド制御信号として出力される。図示のようにローサイド制御信号は、入力パルス信号のローサイドに対応するパルスに対し、その立ち上がり及び立ち上がり共にパルス幅を狭めたものとなる。これにより信号生成回路1が出力するハイサイド制御信号及びローサイド制御信号には、両信号の信号値がローレベルとなり、ハイサイドFET5及びローサイドFET6が共にオフ状態となる期間、即ちデッドタイムが設けられる。
【0035】
以上の構成の本実施の形態に係る制御信号生成回路1は、入力パルス信号を第1遅延回路11が遅延させて論理反転して出力する。第1遅延回路11は、入力パルス信号の立ち上がり及び立ち下がりを共に遅延させることにより波形全体を遅延させ、入力パルス信号のデューティ比は変化させない。第1遅延回路11の出力信号に基づいてハイサイド制御信号を生成する。これによりハイサイドFET5は入力パルス信号と同じデューティ比で制御されるため、制御性の悪化を低減することができる。
【0036】
また第1遅延回路11の出力信号に対して、第2遅延回路12が立ち上がりを遅延させて出力する。これにより第2遅延回路の出力信号は、入力パルス信号のローサイドFET6のオンに対するパルス幅を短くした信号となる。ローサイド制御信号は、第2遅延回路12の出力信号に基づいて生成する。これによりローサイド制御信号にデッドタイムを設けることができる。
【0037】
また制御信号生成回路1は、入力パルス信号を論理反転素子J24にて反転した信号と、第2遅延部12の出力信号(を論理反転素子J22及びJ23にて成形した信号)とを
論理積素子A1へ入力し、両信号の
論理積の信号をローサイド制御信号として出力する。また第1遅延回路11の出力信号を論理反転素子J21にて反転した信号をハイサイド制御信号として出力する。これによりローサイド制御信号は、ハイサイド制御信号に対してその信号の立ち上がり及び立ち下がりの両方にデッドタイムを設けた信号とすることができる。
【0038】
第1遅延回路11は、入力端から出力端までの間に、抵抗R1〜R2n−1及び論理反転素子I1〜I2n−1を交互に直列接続し、論理反転素子I1〜I2n−1の入力及び接地電位の間にそれぞれコンデンサC1〜C2n−1を接続した構成とすることができる。論理反転素子I1〜I2n−1は奇数個を用いることにより、入力信号を論理反転させる。この構成により、入力パルス信号の立ち上がり及び立ち下がりを遅延させ、且つ、論理を反転させて信号を容易且つ確実に生成することができる。
【0039】
第2遅延回路12は、入力端から出力端までの間にダイオードD1を逆方向に接続し、直列接続した2つの抵抗R11及びR12をダイオードD1に対して並列に接続し、コンデンサC11の一端を抵抗R11及びR12間に接続し、他端を接地電位に接続した構成とすることができる。これにより入力信号の立ち上がりに対して抵抗R11及びR12とコンデンサC11とによる遅延を発生させ、立ち下がりに対してはダイオードD1により遅延を発生させずに信号を出力することができる。この構成により、入力信号に対して立ち上がりのみを遅延させた信号を容易且つ確実に生成することができる。
【0040】
なお本実施の形態においては、制御信号生成回路1をDC−DCコンバータに適用した構成について説明したが、これに限るものではない。制御信号生成回路1は、直列に接続されたハイサイドスイッチ及びローサイドスイッチを備えるその他の種々の回路装置に適用することができる。また制御信号生成回路1は、入力パルス信号に対してハイサイド制御信号のデューティ比を変えず、ローサイド制御信号にデッドタイムを設ける構成としたが、これに限るものではなく、ローサイド制御信号のデューティ比を変えず、ハイサイド制御信号にデッドタイムを設ける構成としてもよい。
【0041】
また
図2に示した制御信号生成回路1の回路構成は一例であり、これに限るものではない。第1遅延回路11の回路構成は図示のものに限らず、入力信号のデューティ比を変えずに波形全体を遅延させる回路であればどのような構成であってもよい。第2遅延回路12の回路構成は図示のものに限らず、入力信号の立ち上がり(又は立ち下がり)のみを遅延させる回路であればどのような構成であってもよい。また
図3に示した各信号の波形は一例であり、これに限るものではない。
【符号の説明】
【0042】
1 制御信号生成回路
2 パルス信号生成回路
3 制御回路
5 ハイサイドFET
6 ローサイドFET
7 出力端子
10 入力端子
11 第1遅延回路
12 第2遅延回路
13 ハイサイド出力端子
14 ローサイド出力端子
A1
論理積素子
C、C1〜C2n−1、C11 コンデンサ
I1〜I2n−1 論理反転素子
J21〜J24 論理反転素子
L コイル
R1〜R2n−1、R11、R12 抵抗