特許第6277735号(P6277735)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6277735太陽電池用裏面保護シート、その製造方法および太陽電池モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6277735
(24)【登録日】2018年1月26日
(45)【発行日】2018年2月14日
(54)【発明の名称】太陽電池用裏面保護シート、その製造方法および太陽電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/049 20140101AFI20180205BHJP
   B32B 5/16 20060101ALI20180205BHJP
【FI】
   H01L31/04 562
   B32B5/16
【請求項の数】11
【全頁数】69
(21)【出願番号】特願2014-8155(P2014-8155)
(22)【出願日】2014年1月20日
(65)【公開番号】特開2014-160810(P2014-160810A)
(43)【公開日】2014年9月4日
【審査請求日】2016年9月29日
(31)【優先権主張番号】特願2013-9639(P2013-9639)
(32)【優先日】2013年1月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】711004506
【氏名又は名称】トーヨーケム株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田中 直宏
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 誠
(72)【発明者】
【氏名】山口 浩史
(72)【発明者】
【氏名】吉川 猛
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 瑛
【審査官】 河村 麻梨子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−173241(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/004961(WO,A1)
【文献】 特開2012−174744(JP,A)
【文献】 特開2012−119364(JP,A)
【文献】 特開2012−076360(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0315189(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02−31/078、31/18−31/20、
51/42−51/48
H02S 10/00−10/40、30/00−50/15、99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面層(1)および(2)と、表面には位置しない内層(3)とを有し、
前記表面層(1)が、平均粒子径が0.2μm以上、0.38μm未満の小粒径白色顔料(a)もしくは平均粒子径が0.38μm以上、2μm以下の大粒径白色顔料(b)のいずれか一方とバインダー(c)とを含有し、溶剤不溶分が0質量%以上、80質量%未満である熱硬化性白色易接着性コーティング層であり、
前記小粒径白色顔料(a)もしくは前記大粒径白色顔料(b)とバインダー(c)との合計100重量%中、前記小粒径白色顔料(a)もしくは前記大粒径白色顔料(b)を10〜70重量%含有し、
前記表面層(2)もしくは前記内層(3)のうちの少なくともいずれか一方が、前記小粒径白色顔料(a)もしくは前記大粒径白色顔料(b)のいずれか他方を含有する、
ことを特徴とする太陽電池用裏面保護シート(Z’)。
【請求項2】
表面層(1)が、バインダー(c)としての水酸基と二重結合とを有する樹脂(c1)と、ブロック化ポリイソシアネート化合物(d1)を必須とするポリイソシアネート化合物(d)とを含有する、ことを特徴とする請求項1載の太陽電池用裏面保護シート(Z’)。
【請求項3】
水酸基と二重結合とを有する樹脂(c1)がアクリル系樹脂である、ことを特徴とする請求項記載の太陽電池用裏面保護シート(Z’)。
【請求項4】
水酸基と二重結合とを有する樹脂(c1)は、ガラス転移温度が10〜100℃アクリル系樹脂である、ことを特徴とする請求項記載の太陽電池用裏面保護シート(Z’)。
【請求項5】
表面層(2)もしくは内層(3)のうちの少なくともいずれか一方が、平均粒子径が0.2μm以上、0.38μm未満の小粒径白色顔料(a)もしくは平均粒子径が0.38μm以上、2μm以下の大粒径白色顔料(b)のいずれか一方とバインダー(c)とを含有する組成物から形成され、
前記小粒径白色顔料(a)もしくは前記大粒径白色顔料(b)とバインダー(c)との合計100重量%中、前記小粒径白色顔料(a)もしくは前記大粒径白色顔料(b)を10〜70重量%含有する、ことを特徴とする請求項1〜いずれか1項に記載の太陽電池用裏面保護シート(Z’)。
【請求項6】
表面層(2)が、溶剤不溶分が80質量%以上〜100質量%以下である硬化耐候性保護層もしくはフッ素系フィルムであり、
内層(3)が、硬化接着剤層およびポリエステルフィルムからなる群より選ばれる少なくも一種である、ことを特徴とする請求項1〜いずれか1項に記載の太陽電池用裏面保護シート(Z’)。
【請求項7】
表面層(2)が、バインダー(c)としての水酸基を有する樹脂(c2)と、非ブロック化ポリイソシアネート化合物(d2)とを含有する組成物から形成された硬化耐候性保護層である、ことを特徴とする、請求項記載の太陽電池用裏面保護シート(Z’)。
【請求項8】
内層(3)が、バインダー(c)としての水酸基を有する樹脂(c3)と、非ブロック化ポリイソシアネート化合物(d2)とを含有する組成物から形成された硬化接着剤層である、ことを特徴とする、請求項または記載の太陽電池用裏面保護シート(Z’)。
【請求項9】
水酸基を有する樹脂(c2)がアクリル系樹脂である、ことを特徴とする請求項または記載の太陽電池用裏面保護シート(Z’)。
【請求項10】
水酸基を有する樹脂(c2)のガラス転移温度が10〜100℃であることを特徴とする請求項7〜9いずれか1項記載の太陽電池用裏面保護シート(Z’)。
【請求項11】
太陽電池の受光面側に位置する太陽電池表面保護材(I)、太陽電池の受光面側に位置する封止材(II)、太陽電池素子(III)、太陽電池の非受光面側に位置する封止材(IV)、及び太陽電池の非受光面側に位置する太陽電池裏面保護材(V)を具備してなる太陽電池モジュールであって、
前記太陽電池裏面保護材(V)が、請求項1〜10いずれか1項に記載の太陽電池用裏面保護シートを、前記白色表面層(1)が前記非受光面側の封止材(IV)と接するように配置して、架橋・硬化物として積層してなる太陽電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池用裏面保護シートおよび該太陽電池用裏面保護シートを具備してなる太陽電池モジュールに関する。
詳しくは、本発明は、可視光および赤外線を反射する機能に優れた太陽電池用裏面保護シートおよび該太陽電池用裏面保護シートを具備してなる太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題に対する意識の高まりから環境汚染がなくクリーンなエネルギー源として太陽電池が注目され、有用なエネルギー資源としての太陽エネルギー利用の面から鋭意研究され実用化が進んでいる。
太陽電池素子には様々な形態があり、その代表的なものとして、結晶シリコン太陽電池素子、多結晶シリコン太陽電池素子、非晶質シリコン太陽電池素子、銅インジウムセレナイド太陽電池素子、化合物半導体太陽電池素子等が知られている。この中で薄膜結晶太陽電池素子、非晶質シリコン太陽電池素子、化合物半導体太陽電池素子は比較的低コストであり、また大面積化が可能であるため、各方面で活発に研究開発が行われている。またこれらの太陽電池素子の中でも、導体金属基板上にシリコンを積層し、更にその上に透明導電層を形成した非晶質シリコン太陽電池素子に代表される薄膜太陽電池素子は軽量であり、また耐衝撃性やフレキシブル性に富んでいるので、太陽電池における将来の形態として有望視されている。
【0003】
太陽電池モジュールのうち、単純なものは、太陽電池素子の両面に充填剤、ガラス板を、順に積層した構成形態を呈する。ガラス板は、透明性、耐候性、耐擦傷性に優れることから、太陽の受光面側の封止シートとして、現在も一般的に用いられている。しかし、透明性を必要としない非受光面側においては、コストや安全性、加工性の面から、ガラス板以外の太陽電池用裏面保護シート(以下裏面保護シート)が各社により開発され、ガラス板に置き換わりつつある。
【0004】
裏面保護シートとしては、ポリエステルフィルム等の単層フィルムや、ポリエステルフィルム等に金属酸化物や非金属酸化物の蒸着層を設けたものや、ポリエステルフィルムやフッ素系フィルム、オレフィンフィルムやアルミニウム箔などのフィルムを積層した多層フィルムが挙げられる。
多層構成の裏面保護シートは、その多層構造により、さまざま性能を付与することができる。例えば、ポリエステルフィルムを用いることで絶縁性を、フッ素系フィルムを用いることで耐候性を、アルミニウム箔を用いることで水蒸気バリア性を付与することができる。
どのような裏面保護シートを用いるかは、太陽電池モジュールが用いられる製品・用途によって、適宜選択され得る。
【0005】
太陽電池の吸収する波長領域は、太陽電池素子により異なり、非晶質シリコン太陽電池素子は300〜800nm、結晶シリコン太陽電池素子は400〜1200nmに、それぞれ吸収感度を有する。裏面保護シートの受光面側が白色である場合、太陽電池素子が吸収できず透過した光は裏面保護シートで反射され、太陽電池素子に入射することができる。しかし、裏面保護シートの受光面側に一般的な汎用白色顔料を用いた場合、波長350nmにおける反射率は90〜100%と最も高いが、長波長になるにつれ反射率が低下していき、結晶シリコン太陽電池素子の吸収感度が最も高い800nm付近の反射率は50〜60%にまで低下する。すなわち、人間の目にとって最も高感度の波長域の光を反射する一般的な汎用白色顔料では、近赤外領域の波長を有効利用することができない。
【0006】
一方、太陽電池素子は一般的に高温になるほど出力が低下しやすいため、太陽電池モジュールが高温になることは望ましくない。一般的に温度上昇に寄与する太陽光は800nm〜4000nmの近赤外〜赤外領域の波長である、そこで、裏面保護シートの受光面側を白色にすることで、赤外光を反射して、太陽電池モジュール全体が高温になることを防ぐことが望ましいが、前述した通り、一般的な汎用白色顔料を用いた場合では赤外領域の反射率は高くないため、太陽電池モジュール全体の温度上昇を防ぐことが困難となる。
【0007】
そこで、粒径の大きな白色顔料を用いることで、近赤外線を反射させて、遮熱機能並びに太陽電池のエネルギー変換効率を増大させる太陽電池用裏面保護シートが提案されている。白色顔料の粒径が、反射させたい波長λの半分となるλ/2であれば、その波長を反射できることが知られているため、800nmの波長の光を中心に反射させたい時は平均粒子径が400nm=0.4μmの酸化チタンを含有する白色層を設けた太陽電池用裏面保護シートであれば、高効率で800nmの波長の光を反射させることができる。
【0008】
特許文献1には、白色顔料で着色された接着性塗布層を有する太陽電池用裏面保護シートが開示されている。特許文献2には、600nmから1400nmの領域の光を平均70%以上反射する太陽電池裏面保護膜用プラスチックフィルムが開示されている。特許文献3には、太陽電池セルと、裏面封止材と、裏面保護シートとを有する太陽電池モジュールであって、前記裏面封止材および前記裏面保護シートのいずれかに異なる大きさの酸化チタンを含む太陽電池モジュールが開示されている。また、特許文献4には、 粒径が0.5μm以上1.5μm以下の白色顔料を含む白色層と、 波長750nm以上1500nm以下の近赤外線を透過する黒色材料を含む黒色層と、を有する太陽電池モジュール用裏面保護シートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−109240号公報
【特許文献2】特開2007−208179号公報
【特許文献3】特開2011−258879号公報
【特許文献4】特開2012−019138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1記載の0.1〜0.5μmの白色顔料は、表面からバックシートまで透過した太陽光を光反射あるいは光拡散させて再利用するためのものであり、引用文献1には近赤外領域の光を反射するという技術思想は開示されていない。
特許文献2−4記載の発明の場合、近赤外領域の光を反射させることによる放熱効果や太陽電池素子が吸収できなかった光の再利用効果は記載されているが、可視光領域の反射に劣り、全ての光を効率よく用いているとは言えない。
本発明の課題は、波長400−4000nmに亘る領域の光を効率よく反射でき、遮熱性に優れ、さらには、太陽電池のエネルギー変換効率を増大する機能を有する太陽電池用裏面保護シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、太陽電池用裏面保護シートを構成する異なる層に、粒子径の異なる白色顔料をそれぞれ含有させることによって、上記課題を解決できた。
本発明は平均粒子径が0.2以上、0.3μm以下の小粒径白色顔料(a)もしくは平均粒子径が0.38μm以上、2μm以下の大粒径白色顔料(b)を含有する最表面としての白色易接着性コーティング層である表面層(1)(以下、白色易接着性コーティング層(1)ともいう)と、表面層(2)もしくは前記内層(3)のうちの少なくともいずれか一方が、前記小粒径白色顔料(a)もしくは大粒径白色顔料(b)のいずれか他方を含有する層を積層することにより、上記課題を解決できた。
即ち、本発明は、表面層(1)および(2)と、表面には位置しない内層(3)とを有し、
前記表面層(1)が、平均粒子径が0.2μm以上、0.38μm未満の小粒径白色顔料(a)もしくは平均粒子径が0.38μm以上、2μm以下の大粒径白色顔料(b)のいずれか一方を含有し、溶剤不溶分が0質量%以上、80質量%未満である硬化し得る白色易接着性コーティング層であり、
前記表面層(2)もしくは前記内層(3)のうちの少なくともいずれか一方が、前記小粒径白色顔料(a)もしくは前記大粒径白色顔料(b)のいずれか他方を含有する、
ことを特徴とする太陽電池用裏面保護シート(Z’)に関する。
【0012】
前記発明における表面層(1)は、前記小粒径白色顔料(a)もしくは前記大粒径白色顔料(b)とバインダー(c)との合計100質量%中、前記小粒径白色顔料(a)もしくは前記大粒径白色顔料(b)を10〜70質量%含有する、ことが好ましい。
また、前記発明における表面層(1)は、バインダー(c)としての水酸基と二重結合とを有する樹脂(c1)と、ブロック化ポリイソシアネート化合物(d1)を必須とするブロックポリイソシアネート化合物(d)とを含有する、ことが好ましく、水酸基と二重結合とを有する樹脂(c1)は、アクリル系樹脂であることが好ましく、ガラス転位温度が10〜100℃であることが好ましい。
【0013】
前記発明における表面層(2)もしくは内層(3)の少なくともいずれか一方は、前記小粒径白色顔料(a)もしくは前記大粒径白色顔料(b)とバインダー(c)との合計100質量%中、前記小粒径白色顔料(a)もしくは前記大粒径白色顔料(b)を10〜70質量%含有する、ことが好ましい。
【0014】
前記発明における表面層(2)は、溶剤不溶分が80質量%以上〜100質量%以下である硬化耐候性保護層もしくはフッ素系フィルムであることが好ましく、
内層(3)は、硬化接着剤層およびポリエステルフィルムからなる群より選ばれる少なくも一種である、ことが好ましい。
【0015】
また、前記表面層(2)は、バインダー(c)としての水酸基を有する樹脂(c2)と、非ブロック化ポリイソシアネート化合物(d2)とを含有する組成物から形成された硬化耐候性保護層である、ことが好ましく、
前記内層(3)は、バインダー(c)としての水酸基を有する樹脂(c3)と、非ブロック化ポリイソシアネート化合物(d2)とを含有する組成物から形成された硬化接着剤層である、ことが好ましい。
さらに、水酸基を有する樹脂(c2)はアクリル系樹脂であることが好ましく、水酸基を有する樹脂(c2)のガラス転位温度は10〜100℃であることが好ましい。
【0016】
さらに本発明は、太陽電池の受光面側に位置する太陽電池表面保護材(I)、太陽電池の受光面側に位置する封止材(II)、太陽電池素子(III)、太陽電池の非受光面側に位置する封止材(IV)、及び太陽電池の非受光面側に位置する太陽電池裏面保護材(V)を具備してなる太陽電池モジュールであって、
前記太陽電池裏面保護材(V)が、前記本発明の太陽電池用裏面保護シートを、前記白色表面層(1)が前記非受光面側の封止材(IV)と接するように配置して、積層してなる太陽電池モジュールに関する。
【発明の効果】
【0017】

本発明の太陽電池モジュールは、粒径の違う白色顔料を含有する少なくとも2つの層を具備する裏面保護シートによって非受光面が保護されることによって、400−4000nmの波長の光を効率よく反射することができ、太陽電池のエネルギー変換効率を増大する効果を奏する。さらには、本発明の太陽電池モジュールは、太陽電池素子が吸収できずに透過した近赤外線を太陽電池用裏面保護材が反射することによって、太陽電池用裏面保護材が高温になることを防ぎ、太陽電池素子のエネルギー変換効率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の太陽電池用モジュールに用いられる太陽電池用裏面保護シート(Z’)の断面を模式的に示す図である。
図2】本発明の太陽電池用モジュールに用いられる太陽電池用裏面保護シート(Z’)の断面を模式的に示す図である。
図3】本発明の太陽電池用モジュールに用いられる太陽電池用裏面保護シート(Z’)の断面を模式的に示す図である。
図4】本発明の太陽電池用モジュールに用いられる太陽電池用裏面保護シート(Z’)の断面を模式的に示す図である。
図5】本発明の太陽電池用モジュールに用いられる太陽電池用裏面保護シート(Z’)の断面を模式的に示す図である。
図6】本発明の太陽電池用モジュールに用いられる太陽電池用裏面保護シート(Z’)の断面を模式的に示す図である。
図7】本発明の太陽電池用モジュールに用いられる太陽電池用裏面保護シート(Z’)の断面を模式的に示す図である。
図8】本発明の太陽電池用モジュールに用いられる太陽電池用裏面保護シート(Z’)の断面を模式的に示す図である。
図9】本発明の太陽電池用モジュールに用いられる太陽電池用裏面保護シート(Z’)の断面を模式的に示す図である。
図10】本発明の太陽電池用モジュールに用いられる太陽電池用裏面保護シート(Z’)の断面を模式的に示す図である。
図11】本発明の太陽電池用モジュールに用いられる太陽電池用裏面保護シート(Z’)の断面を模式的に示す図である。
図12】本発明の太陽電池用モジュールに用いられる太陽電池用裏面保護シート(Z’)の断面を模式的に示す図である。
図13】本発明の太陽電池用モジュールに用いられる太陽電池用裏面保護シート(Z’)の断面を模式的に示す図である。
図14】本発明の太陽電池用モジュールの断面を模式的に示す図である。
図15】小粒径白色顔料(a)、大粒径白色顔料(b)の平均粒子径の求め方を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の太陽電池表面保護シート(Z’)について説明する。
本発明の太陽電池用裏面保護シート(Z’)は、前記したように小粒径白色顔料(a)もしくは大粒径白色顔料(b)を含有する最表面としての白色易接着性コーティング層(1)と、表面層(2)もしくは前記内層(3)のうちの少なくともいずれか一方が、前記小粒径白色顔料(a)もしくは大粒径白色顔料(b)のいずれか他方を含有する層を有する。
白色易接着性コーティング層(1)は、太陽電池用裏面保護シート(Z’)の受光面側の最表面に位置し、太陽電池モジュールを構成する際、太陽電池の非受光面側に位置する封止材(IV)と接し、太陽電池用裏面保護材(V)と封止材(IV)を強固に貼り合せる機能と、含まれる小粒径白色顔料(a)が主に400〜700nmの波長の光を、含まれる大粒径白色顔料(b)が主に700〜4000nmの波長の光を反射させる機能を担う。また、表面層(2)や前記内層(3)に含まれる白色顔料が小粒径白色顔料(a)の場合は主に400〜700nmの波長の光を、大粒径白色顔料(b)の場合は主に700〜4000nmの波長の光を反射させる機能を担う。
【0020】
太陽電池用裏面保護シートが、小粒径白色顔料(a)を含有する白色層のみを有する場合、400〜700nmの波長の光は効率よく反射できる。しかし、一般的な太陽電池にとって感度の良い500〜1200nmの波長の光と、太陽電池モジュールの温度を上昇させる影響の大きい1200〜4000nmの波長の光を効率よく反射させることができないため、太陽電池のエネルギー変換効率の向上と温度上昇の抑制が期待できない。
一方、太陽電池用裏面保護シートが、大粒径白色顔料(b)を含有する白色層のみを有する場合、700〜4000nmの波長の光を中心に効率よく反射させることができるため、上記の理由により、太陽電池のエネルギー変換効率の向上と温度上昇の抑制が期待できる。しかし、反面、粒径の大きな白色顔料は400〜700nmの波長の光を効率よく反射させることができないため、太陽電池のエネルギー変換効率の向上が期待できない。
また、太陽電池用裏面保護シートが、小粒径白色顔料(a)と大粒径白色顔料(b)の両方を含有する白色接着剤層を一層有する場合は、中途半端な性能しか発現できず、太陽電池のエネルギー変換効率の向上と温度上昇の抑制の問題は解決できない。
【0021】
これに対し、本発明の太陽電池用裏面保護シート(Z’)では、小粒径白色顔料(a)および大粒径白色顔料(b)を含有する層を積層することで、上記の問題を全て解決できることがわかった。
すなわち、受光面側から入射した光は、小粒径白色顔料(a)を含有する層は、可視光を中心に反射させることができ、近赤外領域の光は大粒径白色顔料(b)を含有する層によって反射させることができるため、400〜4000nmの波長の光を万遍なく反射することが可能となる。
【0022】
最表面としての白色易接着性コーティング層(1)についてさらに詳細に説明する。
最表面としての白色易接着性コーティング層(1)は走査型電子顕微鏡で計測した平均粒子径が0.2〜0.38μmの小粒径白色顔料(a)あるいは0.38〜2μmの大粒径白色顔料(b)を含有することを特徴とする。最表面としての白色易接着性コーティング層(1)は、
・太陽光を反射させて、太陽電池素子(III)に可視光を再入射させることによる変換効率の向上と、
・太陽電池用裏面保護シート(Z’)と非受光面側封止材層(IV)との接着性の向上、という2つの大きな役割を担う。
【0023】
白色顔料(a)、(b)の具体例としては、酸化チタン、酸化亜鉛、鉛白、硫化亜鉛などが挙げられる。
着色力、耐候性、コストの観点から酸化チタンが好ましい。最表面がシリカ処理または有機処理された酸化チタンであることが好ましい。
一般的な酸化チタンは分散性や耐候性を向上させるためにアルミナやジルコニアで表面処理を行っている。しかしながら、非受光面側封止材層の中で最も良く使われるEVA樹脂と、アルミナやジルコニアで表面処理した酸化チタンを含有する白色易接着剤層が接した状態で150℃の真空ラミネートを行うと、白色易接着性コーティング層が黄変しやすい。黄変の細かなメカニズムは明らかではないが、故意にアルミニウム源を白色易接着性コーティング層に混入させても黄変することから、アルミニウムやジルコニウムといった金属とEVA由来の微量の酢酸が白色易接着コーティング層を黄変させていると考えられる。
【0024】
酸化チタンの表面処理は、ケイ素、ジルコニウム、チタン、スズ、アンチモン及びアルミニウムから選ばれる含水酸化物や緻密含水シリカを含む含水無機化合物の被覆層を形成したり、有機化合物を被着させたりすることが公知の範囲で行われている。
特開2008−081578に記載されているように、酸化チタンを水または水を主成分とする媒液中に分散させて水性スラリー状にした後、PHを調整しながら被覆させたい無機化合物や有機化合物を添加し、酸化チタンの表面に被着形成させる方法や、酸化チタンの粉砕時に、有機化合物を添加して被着形成する方法などがある。
【0025】
表面処理剤としては、例えば、水溶性ケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等が挙げられ、水溶性アルミウム塩としては、アルミン酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム等が挙げられる。また、水溶性ジルコニウム塩であれば、硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、酸塩化ジルコニウム等が挙げられる。水溶性チタン塩であれば、四塩化チタン、硫酸チタン等が挙げられる。水溶性スズ塩であれば、硫酸スズ、硝酸スズ、酢酸スズ、オキシ塩化スズ等が挙げられる。水溶性アンチモン塩であれば、塩化アンチモン、硫酸アンチモン等が挙げられる。
表面処理量としては、酸化チタンと表面処理剤の重量比が75/25〜95/5が好ましい。
【0026】
白色顔料(a)、(b)の平均粒子径の求め方は走査型電子顕微鏡で観察し、画像から粒子径を直接求める。具体的には、白色顔料(a)、(b)を粉体の状態のまま、ごく少量ガラス板上に乗せ、走査型電子顕微鏡で観察し、白色顔料(a)、(b)ができるだけ1粒1粒独立して見える範囲(視野)を探す。次に、視野における任意の一定の方向に向かう直線を決定し(例えば図15では上下方向に向かう二点鎖線で示す)、前記直線上に存在する粒子を横断する最も長い長さを当該粒子の大きさとする。そして、前記直線上に存在する少なくとも200個の粒子の大きさの相加平均値を、白色顔料(a)、(b)の平均粒子径とする。
【0027】
最表面としての白色易接着性コーティング層(1)は、前記小粒径白色顔料(a)あるいは大粒径白色顔料(b)と後述するバインダー(c)とを含有し、小粒径白色顔料(a)あるいは大粒径白色顔料(b)とバインダー(c1)との合計100質量%中、小粒径白色顔料(a)あるいは大粒径白色顔料(b)を10〜70質量%含有することが好ましく、30〜70質量%含有することがより好ましい。小粒径白色顔料(a)あるいは大粒径白色顔料(b)を10〜70質量%含有することによって、非受光面側に位置する封止材との接着性に優れ、隠蔽性と太陽光の反射特性に優れる太陽電池用裏面保護シートを得ることができる。
小粒径白色顔料(a)あるいは大粒径白色顔料(b)の含有量を10質量%以上とすることで隠蔽性を向上でき、太陽光の反射を向上できる点において、より好ましい。また、小粒径白色顔料(a)あるいは大粒径白色顔料(b)の含有量を70質量%以下にすることで接着力を向上できる点でより好ましい。
【0028】
最表面としての白色易接着性コーティング層(1)は、小粒径白色顔料(a)あるいは大粒径白色顔料(b)とバインダー(c)とを含有することができる。バインダー(c)としては、水酸基と二重結合を有する樹脂(c1)の他に、二重結合を有しないものや、水酸基の代わりにカルボキシル基やアミノ基やエポキシ基等を有するものを用いることもできる。
【0029】
最表面としての白色易接着性コーティング層(1)は、小粒径白色顔料(a)あるいは大粒径白色顔料(b)と、バインダー(c)として水酸基と二重結合を有する樹脂(c1)と、ブロック化ポリイソシアネート化合物を必須とするポリイソシアネート化合物(d)とを、含有することが好ましい。
【0030】
水酸基と二重結合を有する樹脂(c1)について説明する。
水酸基と二重結合を有する樹脂(c1)は、小粒径白色顔料(a)あるいは大粒径白色顔料(b)のバインダーの役割を果たすとともに、太陽電池用裏面シート(Z’)と太陽電池の非受光面側に位置する封止材(IV)と接着する機能を持っている。
一般的に太陽電池の封止材は有機過酸化物を含有しており、モジュール作成時の真空ラミネート工程時の加熱にて、ラジカル反応により封止材(II)、封止材(IV)を架橋させる。このとき、白色易接着性コーティング層(1)が二重結合を有することで、太陽電池の非受光面側に位置する封止材(IV)内で発生したラジカルと、水酸基と二重結合を有する樹脂(c1)内の二重結合が反応を起こし、封止材と架橋するため、白色易接着性コーティング層(1)と非受光面側に位置する封止材(IV)は強固に接着する。ラジカルとの反応性を考慮すると、水酸基と二重結合を有する樹脂(c1)は(メタ)アクリル系の二重結合を有することが好ましい。
また、白色易接着性コーティング層(1)がバインダー成分として水酸基を有する樹脂(c1)を含有し、さらにブロック化ポリイソシアネート化合物を必須とするポリイソシアネート化合物(d)を含有することで、白色易接着性コーティング層(1)内で架橋反応が起こり、耐湿熱性や耐候性が向上する。また、後述する内層(3)のうち白色易接着性コーティング層(1)と接する層がバインダー成分として水酸基を有する樹脂(c3)を含有し、さらに非ブロック化ポリイソシアネート化合物(d2)を含有している場合、白色易接着性コーティング層(1)と内層(3)との間でも架橋反応が起こるため、互いに強固に接着する。
【0031】
水酸基と二重結合を有する樹脂(c1)としては、フッ素系樹脂、シリコン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ウレア系樹脂、ポリエステル系樹脂、オレフィン樹脂などが挙げられる。
また、さらに耐候性を向上するため、水酸基と二重結合を有する樹脂(c1)に紫外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤等を結合してもよいし、水酸基と二重結合を有する樹脂(c1)に紫外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤等を添加してもよい。
【0032】
本発明でいうポリエステル系樹脂とは、カルボン酸成分と水酸基成分とを反応(エステル化反応、エステル交換反応)させたポリエステル樹脂の他、水酸基を有するポリエステル樹脂にさらにイソシアネート化合物を反応させてなるポリエステルポリウレタン樹脂、さらにジアミン成分を反応させてなるポリエステルポリウレタンポリウレア樹脂などをも含む意である。
【0033】
ポリエステル系樹脂を構成するカルボン酸成分としては、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、テトレヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、テトラクロル無水フタル酸、1、4−シクロヘキサンジカルボン酸、無水トリメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸無水物、無水ピロメリット酸、ε−カプロラクトン、脂肪酸が例示できる。
ポリエステル系樹脂を構成する水酸基成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1、3−ブチレングリコール、1、6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、3−メチルペンタンジオール、1、4−シクロヘキサンジメタノール等のジオール成分の他、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの多官能アルコールが例示できる。
常法に従いこれらのカルボン酸成分と水酸基成分とを重合させて所定のポリエステル樹脂としたものが本発明で使用できる。
【0034】
本発明でいうウレタン系樹脂とは、水酸基を有するポリエステル樹脂以外の水酸基成分とイソシアネート化合物を反応させてなるものである。
水酸基成分としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加したポリエーテル系ポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエン系ポリオールなどのポリマーポリオールなどが使用できる。
イソシアネート化合物としては、後述するポリイソシアネート化合物(C)と同様のものを例示できる。トリメチレンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、メチレンビス(4、1−フェニレン)=ジイソシアネート(MDI)、3−イソシアネートメチル−3、5、5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)等のジイソシアネートや、これらジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、これらジイソシアネートの三量体であるイソシアヌレート体、これらジイソシアネートのビューレット結合体、ポリメリックジイソシアネートなどが例示できる。
【0035】
アクリル系樹脂を構成するモノマーとしては、一般式(a)CH=CR−CO−OR(Rは水素原子、もしくはメチル基、Rは水酸基もしくは炭素数1乃至20の置換基を有する炭化水素基を示す)で表されるアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2エチルヘキシル、アクリル酸4ヒドロキシブチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2ヒドロキシエチル、メタクリル酸4ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル等が例示できる。更にはアクリルアミド、メタアクリルアミド、アクリルニトリル、メタアクリルニトリル、N−メチロールアクリルアミド、N−アルキロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、アクロレイン、メタアクロレイン、グリシジルメタクリレートなども反応性モノマーとして例示できる。常法に従いこれらのモノマーを共重合させて所定のアクリル系樹脂としたものが本発明で使用できる。
【0036】
樹脂に水酸基と二重結合を導入する容易さや、耐候性、耐湿熱性等を考慮するとアクリル系樹脂であることが最も好ましい。
【0037】
水酸基と二重結合を有するアクリル系樹脂としては、例えば下記(メタ)アクリル系共重合体(c1−1)〜(c1−4)を挙げることができる。
(メタ)アクリル系共重合体(c1−1)は、グリシジル基を有する(メタ)アクリル系モノマー(i)と、水酸基を有する(メタ)アクリル系モノマー(ii)と、グリシジル基も水酸基もカルボキシル基も有さない(メタ)アクリル系モノマー(iv)とを構成単位とする共重合体中の側鎖のグリシジル基に、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマー(iii)を反応させてなる(メタ)アクリル系共重合体である。
即ち、グリシジル基を有する(メタ)アクリル系モノマー(i)と、水酸基を有する(メタ)アクリル系モノマー(ii)と、グリシジル基も水酸基もカルボキシル基も有さない(メタ)アクリル系モノマー(iv)とを構成単位とする共重合体を得、次いで、前記共重合対中の側鎖のグリシジル基の全部に又は一部に、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマー(iii)を反応させることによって、グリシジル基を起点とし、炭素−炭素二重結合の側鎖を導入することができる。
【0038】
(メタ)アクリル系共重合体(c1−2)は、カルボキシル基を基点とし、炭素−炭素二重結合の側鎖を導入してなる共重合体である。即ち、(メタ)アクリル系共重合体(ii)は、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマー(iii)と、水酸基を有する(メタ)アクリル系モノマー(ii)と、グリシジル基も水酸基もカルボキシル基も有さない(メタ)アクリル系モノマー(iv)とを構成単位とする共重合体中のカルボキシル基に、グリシジル基を有する(メタ)アクリル系モノマー(i)を反応させてなる(メタ)アクリル系共重合体である。
前記メタ)アクリル系共重合体(c1−1)の場合と同様に、炭素−炭素二重結合の側鎖を導入する際、カルボキシル基の全部に又は一部にグリシジル基を反応させることができる。
【0039】
(メタ)アクリル系共重合体(c1―3)は、水酸基を有する(メタ)アクリル系モノマー(ii)と、水酸基を有さない(メタ)アクリル系モノマー(vi)とを構成単位とする共重合体中の水酸基の一部に、イソシアネート基を有する(メタ)アクリル系モノマー(v)を反応させてなる(メタ)アクリル系共重合体である。
【0040】
(メタ)アクリル系共重合体(c1−4)は、無水マレイン酸と、水酸基を有する(メタ)アクリル系モノマー(ii)と、水酸基を有さない(メタ)アクリル系モノマー(vi)とを構成単位とする共重合体中の酸無水物基に、水酸基を有する(メタ)アクリル系モノマー(ii)を反応させてなる(メタ)アクリル系共重合体である。
【0041】
グリシジル基を有する(メタ)アクリル系モノマー(i)としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルなどが例示できる。
【0042】
水酸基を有する(メタ)アクリル系モノマー(ii)としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが例示できる。この水酸基を有する(メタ)アクリル系モノマー(ii)由来の水酸基は、後述するポリイソシアネート化合物(d)と反応し、硬化処理前の易接着剤層(1)の硬化物である易接着剤層を形成する機能を担う。
また、本発明では、水酸基を有する(メタ)アクリル系モノマー(ii)以外のモノマーを、水酸基を有さない(メタ)アクリル系モノマー(vi)として定義する。
【0043】
カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマー(iii)としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸などが挙げられる。
【0044】
上記のグリシジル基を有する(メタ)アクリル系モノマー(i)、水酸基を有する(メタ)アクリル系モノマー(ii)、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマー(iii)以外のモノマーを、グリシジル基も水酸基もカルボキシル基も有さない(メタ)アクリル系モノマー(iv)として定義する。
グリシジル基も水酸基もカルボキシル基も有さない(メタ)アクリル系モノマー(b4)としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0045】
イソシアネート基を有する(メタ)アクリル系モノマー(v)としては、2−イソシアナトエチルアクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレートなどが例示でき、これらの製品としては昭和電工(株)製のカレンズAOI、カレンズMOIなどがある。
【0046】
(メタ)アクリル系モノマー(i)〜(vi)の他に、酢酸ビニル、ビニルエーテル、プロピオン酸ビニル、スチレン等も(メタ)アクリル系共重合体(c1−1)〜(c1−4)の形成に適宜使用することができる。
水酸基と二重結合を有する樹脂(c1)の二重結合量は、ヨウ素価0.01〜50(g/100g)の範囲で規定される量の(メタ)アクリロイル基に由来する炭素−炭素二重結合を含有することが好ましく、より好ましくは0.1〜30(g/100g)、さらに好ましくは0.5〜20(g/100g)の範囲である。ヨウ素価が0.01〜50(g/100g)の範囲であることによって、非受光面側に位置する封止材(IV)と白色易接着性コーティング層(1)とをより強固に接着することができる。
なお、ここでのヨウ素価とは、以下の測定方法によって求めることができる。
三角フラスコに0.3〜1gの試料を0.1mgの桁まで量り取り、25℃の恒温水槽で30分間静置する。恒温水槽から三角フラスコを取り出し、ウィイス溶液25cmをピペットを用いて加え、栓をして均一になるまで軽く振り混ぜた後、25℃の恒温水槽中で120分間静置する。恒温水槽から三角フラスコを取り出し、濃度が100g/Lのヨウ化カリウム水溶液を10cm加え、栓をして強く振り混ぜる。次に、0.1mol/Lのチオ硫酸ナトリウム水溶液を用いて滴定する。上層の水槽が少し黄色になったときに1cmのでんぷん溶液を加えて、溶液の紫色が消失するまで滴定を続ける。
ヨウ素価は次式により求める。水酸基価は易接着剤の固形分に換算した数値とする(単位:g/100g)。
ヨウ素価(g/100g)
=[{(V0−V1)×c×12.69}/m]/(固形分濃度/100)
ただし、m:試料の採取量(g)
V0:空試験の滴定量(cm
V1:資料の滴定量(cm
c:チオ硫酸ナトリウム溶液の濃度(mol/L)
本発明のヨウ素価は、上記の方法により測定した値を記載している。
【0047】
ヨウ素価の滴定に使用するウィイス溶液は、次に示す手順で調整する。
三塩化ヨウ素4.8〜5.2gを0.1gの単位まではかり取り、ポリテトラフルオロエチレンで被覆した栓のついた1Lの褐色瓶に入れる。1Lの共栓付三角フラスコに、ヨウ素5.5gを0.1gの単位まではかり取り、酢酸640cmを加えて溶解する。この溶液を三塩化ヨウ素の入った褐色瓶に加えて混合し、これをウィイス溶液とする。なお、本発明では溶液の調整後は冷暗所に保管し、溶液調整後30日以内のものを使用した。
【0048】
(メタ)アクリル系共重合体(c1−1)の形成の第一段階:(メタ)アクリル系モノマー(i)(ii)(iv)を重合する段階、(メタ)アクリル系共重合体(c1−2)の形成の第一段階:(メタ)アクリル系モノマー(iii)(ii)(iv)を重合する段階、(メタ)アクリル系共重合体(b1−3)の形成の第一段階:(メタ)アクリル系モノマー(ii)(vi)を重合する段階、(メタ)アクリル系共重合体(c1−4)の形成の第一段階:無水マレイン酸と(メタ)アクリル系モノマー(ii)(vi)を重合する段階は、通常のラジカル重合反応により行うことができる。反応方法に何ら制限はなく、溶液重合、塊状重合、乳化重合などの公知の重合法で行うことができるが、反応のコントロールが容易であることや直接次の操作に移れることから溶液重合が好ましい。
溶剤としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、セロソルブ、酢酸エチル、酢酸ブチルなど、本発明の樹脂が溶解するものであれば何ら制限は無く、単独でも、複数の溶媒を混合しても良い。また、重合反応の際に使用される重合開始剤もベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなどの有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系開始剤など公知のものを用いることができ、特に制限は無い。また、(メタ)アクリル系共重合体(c1−1)〜(c1−4)それぞれの場合において、例えば(メタ)アクリル系モノマー(ii)として、1種類のみを用いてもよいし、複数種類の化合物を併用してもよい。(メタ)アクリル系モノマー(i)、(iii)〜(vi)についても同様である。
【0049】
水酸基と二重結合を有するアクリル系樹脂のガラス転移温度は10〜100℃であることが好ましく、更には20〜70℃であることが好ましい。ガラス転移温度が100℃を越える場合には、易接着剤の塗膜が硬くなり、封止材への接着力が低下する。ガラス転移温度が10℃未満の場合には、易接着剤層が柔らかすぎてプラスチックフィルム(3)へのブロッキング性が悪くなる。
なお、ここでのガラス転移温度とは、水酸基と二重結合を有するアクリル系樹脂を乾燥させて固形分100%にした樹脂について、示差走査熱量分析(DSC)によって計測したガラス転移温度のことを示す。例えば、ガラス転移温度は、試料約10mgを秤量したサンプルを入れたアルミニウムパンと、試料を入れていないアルミニウムパンとをDSC装置にセットし、これを窒素気流中で、液体窒素を用いて−50℃まで急冷処理し、その後、20℃/分で200℃まで昇温し、DSC曲線をプロットする。このDSC曲線の低温側のベースライン(試験片に転移および反応を生じない温度領域のDSC曲線部分)を高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になるような点で引いた接線との交点から、補外ガラス転移開始温度(Tig)を求め、これをガラス転移温度として求めることができる。本発明のガラス転移温度は、上記の方法により測定した値を記載している。
【0050】
水酸基と二重結合を有する樹脂の数平均分子量は10,000〜250,000(c1)であることが好ましく、さらには10,000〜100,000であることがより好ましく、15,000〜75,000であることがより好ましく、15,000〜50,000であることが特に好ましい。数平均分子量が250,000を越える場合には、封止材への接着力が低下し、10,000未満の場合には、易接着剤の塗膜の耐湿熱性が低下し、湿熱試験後に封止材への接着力が低下する。
なお、上記の数平均分子量は、水酸基と二重結合を有するアクリル系樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算の値である。例えば、カラム(昭和電工(株)製KF−805L、KF−803L、及びKF−802)の温度を40℃として、溶離液としてTHFを用い、流速を0.2ml/minとし、検出をRI、試料濃度を0.02%とし、標準試料としてポリスチレンを用いて行ったものである。本発明の数平均分子量は、上記の方法により測定した値を記載している。
【0051】
水酸基と二重結合を有する樹脂(c1)の水酸基価は、固形分換算で1〜100mgKOH/gであることが重要であり、好ましくは1〜50mgKOH/g、さらには1〜30mgKOH/gであることがより好ましい。水酸基価が1mgKOH/g以上であることにより、白色易接着性コーティング層(1)の硬化層の架橋が密になり、塗膜の耐湿熱性が向上し、湿熱試験しても封止材への接着力が低下しにくい。一方、水酸基価が100mgKOH/g以下であることにより、白色易接着性コーティング層(1)から適度な架橋密度の硬化層を形成でき、封止材(IV)や内層(3)との初期の接着性が向上し、湿熱試験後に接着力が低下することを抑制することもできる。
【0052】
ブロック化ポリイソシアネート化合物(d1)を必須成分とするポリイソシアネート化合物(d)について説明する。
ポリイソシアネート化合物(d)は、ブロック化ポリイシシアネート化合物(d1)と非ブロック化ポリイシシアネート化合物(d2)との割合が、(d1):(d2)=50〜100:50〜0(質量比)であることが好ましい。
ポリイソシアネート化合物(d)は、水酸基を有する樹脂(c)同士を架橋させ、強靱で且つ伸張性、柔軟性、成形加工性、耐擦傷性、長期耐候性、長期耐湿熱性、耐薬品性を有する耐候性樹脂層を形成するために用いられる。
【0053】
ポリイソシアネート化合物(d)は、一分子中に2個以上のイソシアネート基を有することが重要であり、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等が上げられる。
ポリイソシアネート化合物(d)は、1種類でも良く、2種類以上の化合物を併用してもよい。
得られる白色易接着性コーティング層(1)が経時で黄色から褐色に変色することを防ぐために、脂環族または脂肪族の化合物のみを用いることが好ましい。
【0054】
脂環族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、水添4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0055】
脂肪族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0056】
芳香族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートなどが挙げられる。
【0057】
ポリイソシアネート化合物としては、上記化合物とグリコール類またはジアミン類との反応生成物である両末端イソシアネートアダクト体、ビウレット変性体、イソシアヌレート変性体を用いても構わない。
特に、ポリイソシアネート化合物(d)がイソシアヌレート変性体、特にイソシアヌレート環含有トリイソシアネートを含む場合には、より強靱、且つ伸張性を有する耐候性樹脂層を得ることができるため好ましい。イソシアヌレート環含有トリイソシアネートとして具体的には、イソシアヌレート変性イソホロンジイソシアネート(例えば、住友バイエルウレタン株式会社製のデスモジュールZ4470)、イソシアヌレート変性ヘキサメチレンジイソシアネート(例えば、住友バイエルウレタン株式会社製のスミジュールN3300)、イソシアヌレート変性トルイレンジイソシアネート(例えば、住友バイエルウレタン株式会社製のスミジュールFL−2、FL−3、FL−4、HL BA)が挙げられる。また、イソシアヌレート環をさらに反応可能な官能基を2個以上有するポリエステル(c)と反応させて、1分子中のイソシアネート基を増やしても良いし、生成したウレタン結合とさらに1等量のイソシアネート基を反応させてアロファネート化して、さらに1分子中のイソシアネート基を増やしても良い。イソシアネート基と反応可能な官能基を2個以上有するポリエステル(c)としては、周知のポリエステル樹脂を用いることができる。
【0058】
更に、非ブロック化ポリイソシアネート化合物(d2)として、イソシアネート基と反応可能な官能基を2個以上有するポリエステル(f)と、両末端にイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物(g)とを反応させてなる、両末端イソシアネートプレポリマーを用いても構わない。非ブロック化ポリイソシアネート化合物(d2)が上記両末端イソシアネートプレポリマーを含む場合には、少量で伸張性が得られ、塗膜の強靱性も損なわれない。
非ブロック化ポリイソシアネート化合物(d2)は、1種、もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0059】
イソシアネート基と反応可能な官能基を2個以上有するポリエステル(f)としては、周知のポリエステル樹脂を用いることができる。
両末端にイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物(e)としては、例えば、トルイレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0060】
上記した非ブロック化ポリイソシアネート化合物(d2)のイソシアネート基のほぼ全量とブロック化剤とを反応させることで、ブロック化ポリイソシアネート化合物(d1)を得ることができる。ブロック化剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−ペンタノール、エチレンクロルヒドリン、イソプロピルアルコール、フェノール、p−ニトロフェノール、m−クレゾール、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、ε−カプロラクタムなどを挙げることができる。
【0061】
ブロック化剤としては、例えばフェノール、チオフェノール、メチルチオフェノール、キシレノール、クレゾール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノール等のフェノール類、アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム類、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、t−ペンタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコールなどのアルコール類、3,5−ジメチルピラゾール、1,2−ピラゾール等のピラゾール類、1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール類、エチレンクロルヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノール等のハロゲン置換アルコール類、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピルラクタム等のラクタム類、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、マロン酸メチル、マロン酸エチル等の活性メチレン化合物類が挙げられる。その他にもアミン類、イミド類、メルカプタン類、イミン類、尿素類、ジアリール類等も挙げられる。ブロック化剤は、1種類を用いてもよいし、2種類以上を併用して用いてもよい。
【0062】
これらのブロック剤の中でも、ブロック剤の解離温度が80℃〜150℃のものが好ましい。解離温度が80℃未満であると、易接着性白色コーティング層(1)形成用塗液を塗布し、溶剤を揮散させる際に硬化反応が進んでしまい、形成した太陽電池モジュールにおいて封止層との密着性が低下してしまう恐れがある。解離温度が150℃を超えると、太陽電池モジュールを構成する際の真空熱圧着の工程で、硬化反応が充分に進行せず、充填剤との密着性が低下してしまう恐れがある。
【0063】
解離温度が80℃〜150℃のブロック剤としては、メチルエチルケトンオキシム(解離温度:140℃、以下同様)、3,5−ジメチルピラゾール(120℃)、ジイソプロピルアミン(120℃)などが例示できる。
【0064】
ポリイソシアネート化合物(d)の量は、水酸基と二重結合とを有する樹脂(c1)の水酸基1個に対して、イソシアネート基が0.1〜10個の範囲で存在するような量であることが好ましく、さらには0.5〜5個の範囲であることがより好ましい。0.1個以上とすることにより、架橋密度を高め、耐湿熱性を向上できる。10個以下とすることにより、過剰のイソシアネート基が残存しにくくなる。過剰のイソシアネート基が残存すると、湿熱試験中に空気中の水分と反応して、易接着性白色コーティング層(1)が硬くなり、内層(2)や非受光面側の封止材(IV)であるEVA等との接着力低下の原因となる恐れがある。
【0065】
ポリイソシアネート化合物(d)としてブロック化ポリイソシアネート化合物(d1)を必須成分として用いることによって、溶剤不溶分が0質量%以上、80質量%未満である白色易接着性コーティング層(1)を受光面側に有する太陽電池用裏面保護シート(Z’)を得ることができる。溶剤不溶分が0質量%以上、80質量%未満ある白色易接着性コーティング層(1)は、太陽電池モジュールを形成する際の加熱により架橋・硬化しながら、非受光面側封止材(IV)に強固に接着する。
【0066】
最表面としての易接着性白色コーティング層(1)形成用塗液は、固形分100質量部に対して、後述する有機系粒子、又は無機系粒子を0.01〜30質量部含有することができ、より好ましくは0.1〜10質量部含有することができる。これらの粒子を含有することによって、硬化処理前の易接着剤層表面のタックを低減したり、濡れ性を変化させたりして、リコート性やブロッキング性を改質することができる。
【0067】
特に、有機系粒子においては、融点もしくは軟化点が150℃以上のものを好ましく用いることができる。有機系粒子の融点もしくは軟化点が150℃よりも低いと、太陽電池モジュールを構成する際の真空熱圧着の工程で粒子が軟化し、塗膜物性を劣化させる恐れがある。
【0068】
有機系粒子の具体例としては、ポリメチルメタアクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ナイロン(登録商標)樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、シリコン樹脂、メタクリレート樹脂、アクリレート樹脂などのポリマー粒子、あるいは、セルロースパウダー、ニトロセルロースパウダー、木粉、古紙粉、籾殻粉、澱粉などが挙げられる。有機系粒子は、1種類を用いてもよいし、2種類以上を併用して用いてもよい。
【0069】
前記ポリマー粒子は、乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法、ソープフリー重合法、シード重合法、マイクロサスペンジョン重合法などの重合法により得ることができる。また、前記有機系粒子は、その特性を損なわない程度に不純物を含んでいてもよい。また、粒子の形状は、粉末状、粒状、顆粒状、平板状、繊維状など、どのような形状であってもよい。
【0070】
無機系粒子の具体例としては、本発明に用いられる小粒径白色顔料(a)と大粒径白色顔料(b)以外の一般的な無機系粒子を用いることができる。
【0071】
また、前記無機系粒子は、その特性を損なわない程度に不純物を含んでいてもよい。また、粒子の形状は、粉末状、粒状、顆粒状、平板状、繊維状など、どのような形状であってもよい。
【0072】
また、最表面としての白色易接着性コーティング層(1)形成用塗液には、必要に応じて、本発明による効果を妨げない範囲で、架橋促進剤を添加してもよい。架橋促進剤は水酸基と二重結合とを有する樹脂(c1)と、ポリイソシアネート化合物(d)のイソシアネートによるウレタン結合反応を促進する触媒としての役割を果たす。架橋促進剤としては、スズ化合物、金属塩、塩基などが挙げられ、具体的にはオクチル酸スズ、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、塩化スズ、オクチル酸鉄、オクチル酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、トリエチルアミン、トリエチレンジアミンなどが挙げられる。これらは、単独または組み合わせて用いることができる。
【0073】
また、本発明の最表面としての白色易接着性コーティング層(1)形成用塗液には、必要に応じて、本発明による効果を妨げない範囲で、充填剤、チクソトロピー付与剤、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、熱伝導性改良剤、可塑剤、ダレ防止剤、防汚剤、防腐剤、殺菌剤、消泡剤、レベリング剤、硬化剤、増粘剤、顔料分散剤、シランカップリング剤等の各種の添加剤を添加してもよい。
【0074】
本発明に用いられる白色易接着性コーティング層(1)形成用塗液には、溶剤が含まれる。
溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル等のアルコール類、
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、
テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、
ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素類、
ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の芳香族類、
酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、などの内から樹脂組成物の組成に応じ適当なものを使用できるが、沸点が50℃〜200℃のものを好ましく用いることができる。沸点が50℃よりも低いと、易接着剤を塗布する際に溶剤が揮発しやすく、固形分が高くなって均一な膜厚で塗布することが難しくなる。沸点が200℃よりも高いと、溶剤を乾燥しづらくなる。なお、溶剤は2種以上用いてもよい。
【0075】
次に、他の表面層(2)について説明する。
前述の易接着性白色コーティング層(1)が小粒径白色顔料(a)を含有する場合には、他の表面層(2)は大粒径白色顔料(b)を含有することができ、前述の易接着性白色コーティング層(1)が大粒径白色顔料(b)を含有する場合には、他の表面層(2)は小粒径白色顔料(a)を含有することができる。小粒径白色顔料(a)あるいは大粒径白色顔料(b)を含有しない場合を「<2’>」として、含有する場合「<2>」と区別することがある。
他の表面層(2)は、溶剤不溶分が80質量%以上〜100質量%以下である硬化耐候性保護層もしくはフッ素系フィルムであることが好ましい。
【0076】
他の表面層(2)の一種である硬化耐候性保護層は、バインダー(c)としての水酸基を有する樹脂(c2)と、非ブロック化ポリイソシアネート化合物(d2)とを含有する組成物から形成されることが好ましい。
水酸基を有する樹脂(c2)としては、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられ、前述の水酸基と二重結合を有する樹脂(c1)の他、二重結合を導入していないものを挙げることができる。好適な数平均分子量、好適な水酸基価、好適なガラス転移温度は前述の水酸基と二重結合を有する樹脂(c1)の場合と同様である。
【0077】
また、非ブロック化ポリイソシアネート化合物(d2)としても、前述と同様のものを挙げることができる。前述の易接着性白色コーティング層(1)形成用塗液がブロック化ポリイソシアネート化合物(d1)を必須成分として含有するのに対し、他の表面層(2)形成用塗液は、非ブロック化ポリイソシアネート化合物(d2)を必須成分として含有することが好ましい。非ブロック化ポリイソシアネート化合物(d2)を必須成分として含有する塗液を用いることによって、溶剤不溶分が80質量%以上〜100質量%以下である硬化耐候性保護層を非受光面側に有する太陽電池用裏面保護シート(Z’)を得ることができる。溶剤不溶分が80質量%以上〜100質量%以下である硬化耐候性保護層は、耐ブロッキング性、耐傷付き性に優れる。
【0078】
水酸基を有する樹脂(c2)と、非ブロック化ポリイソシアネート化合物(d2)との組成についても、前述と同様、水酸基1個に対して、イソシアネート基が0.1〜10個の範囲で存在するような量であることが好ましく、さらには0.5〜5個の範囲であることがより好ましい。0.1個以上とすることにより、架橋密度を高め、耐湿熱性を向上できる。10個以下とすることにより、過剰のイソシアネート基が残存しにくくなる。過剰のイソシアネート基が残存すると、湿熱試験中に空気中の水分と反応して、他の表面層(2)が硬くなり、内層(3)との接着力低下の原因となる恐れがある。
【0079】
他の表面層(2)の一種である硬化耐候性保護層が小粒径白色顔料(a)あるいは大粒径白色顔料(b)を含有する場合には、小粒径白色顔料(a)あるいは大粒径白色顔料(b)と後述するバインダー(c)との合計100質量%中、小粒径白色顔料(a)あるいは大粒径白色顔料(b)を10〜70質量%含有することが好ましく、30〜70質量%含有することがより好ましい。小粒径白色顔料(a)あるいは大粒径白色顔料(b)を10〜70質量%含有することによって、隠蔽性が向上し、太陽光の反射特性に優れる太陽電池用裏面保護シートを得ることができる。
小粒径白色顔料(a)あるいは大粒径白色顔料(b)の含有量を10質量%以上とすることで隠蔽性を向上でき、太陽光の反射特性を向上できる点において、より好ましい。また、小粒径白色顔料(a)あるいは大粒径白色顔料(b)の含有量を70質量%以下にすることで基材、即ち内層(3)との密着性が優れる点でより好ましい。
【0080】
他の表面層(2)の一種であるフッ素系フィルムとしては、ポリフッ化ビニル(PVF)フィルム、ポリフッ化ビニリデンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体フィルムが挙げられる。
小粒径白色顔料(a)あるいは大粒径白色顔料(b)を含有するフッ素系フィルムは、ポリフッ化ビニル(PVF)やポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレンやエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体に、小粒径白色顔料(a)あるいは大粒径白色顔料(b)を練り込んで、フィルム化することにより得られる。あるいは、白色のフィルムと透明のフィルムを貼り合せたものを白色面が外側を向くようにすれば他の表面層(2)として使用できる。ポリフッ化ビニル(PVF)やポリフッ化ビニリデン等と、小粒径白色顔料(a)あるいは大粒径白色顔料(b)との合計100質量%中、小粒径白色顔料(a)あるいは大粒径白色顔料(b)を5〜40質量%含有することが好ましく、10〜30質量%含有することがより好ましい。
【0081】
次に、内層(3)について詳細に説明する。内層(3)は、小粒径白色顔料(a)あるいは大粒径白色顔料(b)を含有することもできるし、含有しないこともできる。小粒径白色顔料(a)あるいは大粒径白色顔料(b)を含有しない場合を「<3’>」として、含有する場合「<3>」と区別することがある。
内層<3>もしくは<3’>は、図2、4、7、9に示すように一層でもよいし、図1、3、5、6、8、10〜14に示すように二層以上でもよい。また、内層<3>もしくは<3’>は、硬化接着剤層であってもよいし、プラスチックフィルムであってもよい。
【0082】
硬化接着剤層は、白色易接着性コーティング層(1)と内層(3)フィルム間を接着する接着剤層の場合、バインダー(c)としての水酸基を有する樹脂(c3A)と非ブロック化ポリイソシアネート化合物(d2)とを、内層(3)フィルムと他の表面層(2)を接着する接着剤層の場合は、バインダー(c)としての接着剤層用樹脂(c3B)と非ブロック化ポリイソシアネート化合物(d2)とを含有する組成物から形成されることが好ましい。
【0083】
水酸基を有する樹脂(c3A)としては、フッ素系樹脂、シリコン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ウレア系樹脂、ポリエステル系樹脂、オレフィン樹脂などが挙げられる。最表面としての白色易接着性コーティング層(1)中の水酸基と二重結合を有する樹脂(c1)がアクリル系樹脂の場合、両層の接着性や白色易接着性コーティング層(1)用塗液を内層(3)上へ塗工する際の塗工性の点から水酸基を有する樹脂(c3A)もアクリル系樹脂であることが好ましい。
【0084】
水酸基を有する樹脂(c3A)のうち、水酸基を有するアクリル系樹脂としては、水酸基を有する樹脂(c3A)としては、前述の水酸基と二重結合を有する樹脂(c1)の他、二重結合を導入していないものを挙げることができる。二重結合を導入していないものとしては、(メタ)アクリル系共重合体(c1−1)の形成の第一段階のものが例示でき、上記で例示した(メタ)アクリル系モノマー(i)〜(vi)や、酢酸ビニル、ビニルエーテル、プロピオン酸ビニル、スチレン等をラジカル重合反応することで得られる。
【0085】
水酸基を有する樹脂(c3A)としてアクリル系樹脂を使用する場合、ガラス転移温度は−40〜70℃であることが好ましく、更には−20〜50℃であることが好ましい。ガラス転移温度が−40℃以上の場合、形成される内層(3)の凝集力が十分となり、耐湿熱性等の耐久性が良好となる。ガラス転移温度が70℃以下の場合、形成される内層(3)が適度に柔らかくなり、他の表面層(2)への接着力向上、内層(3)同士の接着力向上の点で好ましい。
【0086】
水酸基を有する樹脂(c3A)としてアクリル系樹脂を使用する場合の好適な数平均分子量、好適な水酸基価は、前述の水酸基と二重結合を有する樹脂(c1)の場合と同様である。
【0087】
非ブロック化ポリイソシアネート化合物(d2)としても、前述と同様のものを挙げることができる。
さらに、水酸基を有する樹脂(c3A)と、非ブロック化ポリイソシアネート化合物(d2)との組成についても、前述と同様、水酸基1個に対して、イソシアネート基が0.1〜10個の範囲で存在するような量であることが好ましく、さらには0.5〜5個の範囲であることがより好ましい。0.1個以上とすることにより、架橋密度を高め、耐湿熱性を向上できる。10個以下とすることにより、過剰のイソシアネート基が残存しにくくなる。過剰のイソシアネート基が残存すると、湿熱試験中に空気中の水分と反応して、内層(3)が硬くなり、白色易接着性コーティング層(1)や他の表面層(2)との接着力低下の原因となったり、内層(3)が複数ある場合には内層(3)同士のとの接着力低下の原因となったりする恐れがある。
【0088】
接着剤層用樹脂(c3B)としては、フッ素系樹脂、シリコン系樹脂、アクリル系樹脂(c3B−6)等、ウレタン系樹脂(c3B−4、5)、ウレア系樹脂、ポリエステル系樹脂(c3B−1)、オレフィン樹脂などが挙げられる。また、さらに耐候性を向上するため、水酸基と二重結合とを有する樹脂(c1)の場合と同様に紫外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤等を結合してもよいし、紫外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤等を添加してもよい。
接着剤層用のポリエステル系樹脂(c3B−1)としては、例えば、カルボン酸成分としてアジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、イソフタル酸、テレフタル酸など、水酸基成分としてエチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチルペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどを反応させてなるポリエステル樹脂を挙げることができる。
接着剤層用のウレタン系樹脂脂(c3B−4)としては、例えば、水酸基成分としてポリテトラメチレングリコール系ポリオールとエチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチルペンタンジオールなど、イソシアネート化合物としてとしてトリメチレンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、メチレンビス(4、1−フェニレン)=ジイソシアネート(MDI)、3−イソシアネートメチル−3、5、5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)などと反応させてなるポリエーテルウレタン樹脂を挙げることができる。
接着剤層用のウレタン系樹脂脂(c3B−5)としては、例えば、水酸基成分としてエチレンオキサイド付加したポリカーボネート系ポリオールとエチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチルペンタンジオールなど、イソシアネート化合物としてトリメチレンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、メチレンビス(4、1−フェニレン)=ジイソシアネート(MDI)、3−イソシアネートメチル−3、5、5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)などを反応させてなるポリカーボネートウレタン樹脂を挙げることができる。
接着剤層用のアクリル系樹脂(c3B−6)としては、例えば、上記の水酸基を有する(メタ)アクリル系モノマー(ii)と、上記の水酸基を有さない(メタ)アクリル系モノマー(vi)とを構成単位とする(メタ)アクリル系共重合体を挙げることができる。
【0089】
接着剤層用樹脂(c3B)を得る際の溶剤としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、セロソルブ、酢酸エチル、酢酸ブチルなど、接着剤層用樹脂(c3B)を溶解できるものであれば何ら制限は無く、単独でも、複数の溶媒を混合しても良い。
【0090】
接着剤層用樹脂(c3B)のガラス転移温度は−85〜10℃であることが好ましく、更には−60〜0℃であることが好ましい。ガラス転移温度が−85℃以上の場合、形成される内層(3)の凝集力が十分となり、耐湿熱性等の耐久性が良好となる。ガラス転移温度が10℃以下の場合、形成される内層(3)が適度に柔らかくなり、他の表面層(2)への接着力向上、内層(3)同士の接着力向上の点で好ましい。
【0091】
接着剤層用樹脂(c3B)の好適な分子量、好適な水酸基価は、前述の水酸基と二重結合を有する樹脂(c1)の場合と同様である。
【0092】
非ブロック化ポリイソシアネート化合物(d2)としても、前述と同様のものを挙げることができる。
接着剤層用樹脂(c3B)と、非ブロック化ポリイソシアネート化合物(d2)との組成については、水酸基1個に対して、イソシアネート基が0.1〜20個の範囲で存在するような量であることが好ましく、さらには0.5〜10個の範囲であることがより好ましい。0.1個以上とすることにより、架橋密度を高め、耐湿熱性を向上できる。20個以下とすることにより、過剰のイソシアネート基が残存しにくくなる。過剰のイソシアネート基が残存すると、湿熱試験中に空気中の水分と反応して、内層(3)が硬くなり、白色易接着性コーティング層(1)や他の表面層(2)との接着力低下の原因となったり、内層(3)が複数ある場合には内層(3)同士のとの接着力低下の原因となったりする恐れがある。
【0093】
内層(3)が小粒径白色顔料(a)あるいは大粒径白色顔料(b)を含有する場合、小粒径白色顔料(a)あるいは大粒径白色顔料(b)と水酸基を有する樹脂(c3)との合計100質量%中、小粒径白色顔料(a)あるいは大粒径白色顔料(b)は10〜70質量%含有する組成物から内層(3)形成されることが好ましく、30〜70質量%含有する組成物から形成されることがより好ましい。小粒径白色顔料(a)あるいは大粒径白色顔料(b)の含有量が10質量%以上であると、隠蔽性が向上し、太陽光の反射特性が優れる。また、小粒径白色顔料(a)あるいは大粒径白色顔料(b)の含有量が70質量%以下であると、白色易接着性コーティング層(1)や他の表面層(2)との接着性や、内層(3)同士の接着性に優れる。
【0094】
硬化剤としては、上記非ブロック化ポリイソシアネート化合物(d2)の他に、本発明の効果を阻害しない範囲内で、任意に、周知のオキサゾリン化合物、例えば、2,5−ジメチル−2−オキサゾリン、若しくは2,2−(1,4−ブチレン)−ビス(2−オキサゾリン)、又は、ヒドラジド化合物、例えば、イソフタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、若しくはアジピン酸ジヒドラジド等を含むことができる。
【0095】
また、接着剤層用樹脂(c3B)を含有する塗液には、必要に応じて、本発明による効果を妨げない範囲で、架橋促進剤を添加してもよい。架橋促進剤は接着剤層用樹脂(c3B)と、非ブロック化ポリイソシアネート化合物のイソシアネートによるウレタン結合反応を促進する触媒としての役割を果たす。架橋促進剤としては、前述の水酸基と二重結合を有する樹脂(c1)の場合と同様の化合物を用いることができる。
【0096】
本発明の接着剤層用樹脂(c3B)を含有する塗液には、金属箔、金属板、又は金属蒸着フィルム等を基材として使用する場合、接着強度を向上させる観点から、シランカップリング剤を含有させることが好ましい。
【0097】
シランカップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、及びビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類;γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、及びγ−(メタ)アクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン等の(メタ)アクリロキシシラン類;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、及びγ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類;N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、及びN−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類;並びに、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、及びγ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で、又は2種以上を任意に組み合わせて使用できる。尚、「(メタ)アクリロキシ」は、「アクリロキシ」又は「メタクリロキシ」を意味する。
【0098】
シランカップリング剤の添加量は、接着剤層用樹脂(c3B)100質量部に対して、0.1〜5質量部であることが好ましく、1〜3質量部であることがより好ましい。0.1質量部未満では、シランカップリング剤を添加することによる金属箔に対する接着強度向上効果に乏しく、5質量部を超えて添加しても、それ以上の性能の向上は認められない場合がある。
【0099】
本発明で使用される公知の添加剤として、太陽などの紫外線による接着剤の経時での黄変、太陽熱などの熱による接着剤の経時での黄変をさらに抑制する目的で、公知のリン系やフェノール系の酸化防止剤、紫外線安定剤、金属不活性化剤を、硬化接着剤層形成用塗液に配合することができる。これらは単独で使用しても良いし、2種以上を任意に組み合わせて使用しても良い。
本発明で使用されるリン系やフェノール系の酸化防止剤、紫外線安定剤、金属不活性化剤は、接着剤層用樹脂の固形分100質量部に対し0.05〜10質量部の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.1〜5質量部である。添加量が0.05重量未満であると、十分な黄変抑制効果が得られない恐れがあり、5質量部よりも多いと、接着剤の接着力を大きく悪化させてしまう恐れがある。
【0100】
内層(3)の一種であるプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリシクロペンタジエンなどのポリオレフィンフィルム、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、エチレン‐テトラフルオロエチレン共重合体フィルムなどのフッ素系フィルム、アクリルフィルム、トリアセチルセルロースフィルムを用いることができる。フィルム剛性、コストの観点からポリエステル系樹脂フィルムであることが好ましく、この中でもポリエチレンテレフタレートフィルムであることが好ましい。プラスチックフィルムは、1層または2層以上の複層構造でも構わない。
【0101】
小粒径白色顔料(a)あるいは大粒径白色顔料(b)を含有するプラスチックフィルムは、ポリエステル系樹脂やポリオレフィン樹脂等に、小粒径白色顔料(a)あるいは大粒径白色顔料(b)を練り込んで、フィルム化することにより得られる。ポリエステル系樹脂やポリオレフィン樹脂等と、小粒径白色顔料(a)あるいは大粒径白色顔料(b)との合計100質量%中、小粒径白色顔料(a)あるいは大粒径白色顔料(b)を5〜40質量%含有することが好ましく、10〜30質量%含有することがより好ましい。
【0102】
本発明では、小粒径白色顔料(a)あるいは大粒径白色顔料(b)の機能・目的を損なわない範囲で、前述のプラスチックフィルムに金属酸化物や非金属無機酸化物を蒸着した蒸着フィルムを内層(3)として用いることもできる。即ち、小粒径白色顔料(a)あるいは大粒径白色顔料(b)の機能・目的を損なわないよう、蒸着層の位置や素材を選択すればよい。
【0103】
蒸着される金属酸化物もしくは非金属無機酸化物としては、例えば、ケイ素、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、スズ、ナトリウム、ホウ素、チタン、鉛、ジルコニウム、イットリウムなどの酸化物が使用できる。また、アルカリ金属、アルカリ土類金属のフッ化物なども使用することができ、これらは単独もしくは組み合わせて使用することができる。
これらの金属酸化物もしくは非金属無機酸化物は、従来公知の真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリングなどのPVD方式や、プラズマCVD、マイクロウェーブCVDなどのCVD方式を用いて蒸着することができる。
【0104】
さらに、本発明では、小粒径白色顔料(a)あるいは大粒径白色顔料(b)の機能・目的を損なわない範囲で、金属層を内層(3)として用いることもできる。例えば、図13に示すように、金属層<3’>−7の両面に、接着剤層<3’>−5を介して白色顔料を含有しないフッ素系フィルム<2’>−5と小粒径白色顔料(a)を含有するポリエステル系フィルム<3>−4とを貼り合せ、小粒径白色顔料(a)を含有するポリエステル系フィルム<3>−4上に大粒径白色顔料(b)を含有する白色易接着性コーティング層(1)−1を設けることができる。
金属層としては、アルミニウム箔、鉄箔、亜鉛箔などを使用することができ、これらの中でも、耐腐食性の観点から、アルミニウム箔が好ましい。厚みは10μmから100μmであることが好ましく、更に好ましくは20μmから50μmであることが好ましい。金属箔(F)の積層には、従来公知の種々の接着剤を用いることができる。
【0105】
本発明の太陽電池用裏面保護シート(Z’)について説明する。
図1に示す太陽電池用裏面保護シート(Z’)は、例えば、白色顔料を含有しない内層<3’>−5を介して、白色顔料を含有しないフッ素系フィルム<2’>−5と小粒径白色顔料(a)を含有するポリエステル系フィルム<3>−4とを貼り合せ、前記<3>−4上に大粒径白色顔料(b)を含有する白色易接着性コーティング層(1)−1を設けることができる。
図6に示す太陽電池用裏面保護シート(Z’)は、前記<3>−4の代わりに大粒径白色顔料(b)を含有するポリエステル系フィルム<3>−3を、前記(1)−1の代わりに小粒径白色顔料(a)を含有する白色易接着性コーティング層(1)−2を有する点を除き図1の場合と同様である。
【0106】
図2に示す太陽電池用裏面保護シート(Z’)は、小粒径白色顔料(a)を含有するポリエステル系フィルム<3>−4の一方の面に、大粒径白色顔料(b)を含有する白色易接着性コーティング層(1)−1を、前記<3>−4の他方の面に白色顔料を含有しない硬化耐候性保護層<2’>−6をそれぞれ設けたものである。
図7に示す太陽電池用裏面保護シート(Z’)は、前記<3>−4の代わりに大粒径白色顔料(b)を含有するポリエステル系フィルム<3>−3を、前記(1)−1の代わりに小粒径白色顔料(a)を含有する白色易接着性コーティング層(1)−2を有する点を除き図2の場合と同様である。
【0107】
図3に示す太陽電池用裏面保護シート(Z’)は、白色顔料を含有しない内層<3’>−5を介して、小粒径白色顔料(a)を含有するフッ素系フィルム<2>−2と、白色顔料を含有しないポリエステル系フィルム<3’>−6とを貼り合せ、前記<3’>−6上に大粒径白色顔料(b)を含有する白色易接着性コーティング層(1)−1を設けたものである。
図8に示す太陽電池用裏面保護シート(Z’)は、前記<2>−2の代わりに大粒径白色顔料(b)を含有するフッ素系フィル<2>−1を、前記(1)−1の代わりに小粒径白色顔料(a)を含有する白色易接着性コーティング層(1)−2を有する点を除き図3の場合と同様である。
【0108】
図4に示す太陽電池用裏面保護シート(Z’)は、白色顔料を含有しないポリエステル系フィルム<3’>−6の一方の面に、大粒径白色顔料(b)を含有する白色易接着性コーティング層(1)−1を、前記<3’>−6の他方の面に小粒径白色顔料(a)を含有する硬化耐候性保護層<2>−4をそれぞれ設けたものである。
図9に示す太陽電池用裏面保護シート(Z’)は、前記(1)−1の代わり小粒径白色顔料(a)を含有する白色易接着性コーティング層(1)−2を、前記<2>−4の代わりに大粒径白色顔料(b)を含有する硬化耐候性保護層<2>−3を有する点を除き図4の場合と同様である。
【0109】
図5に示す太陽電池用裏面保護シート(Z’)は、小粒径白色顔料(a)を含有する白色内層<3>−2を介して、白色顔料を含有しないポリエステル系フィルム<3’>−6と白色顔料を含有しないフッ素系フィルム<2’>−5とを貼り合せ、前記<3’>−6の他方の面に大粒径白色顔料(b)を含有する白色易接着性コーティング層(1)−1を設けたものである。
図10に示す太陽電池用裏面保護シート(Z’)は、前記<3>−2の代わりに大粒径白色顔料(b)を含有する内層<3>−1を、前記(1)−1の代わりに小粒径白色顔料(a)を含有する白色易接着性コーティング層(1)−2を有する点を除き図5の場合と同様である。
【0110】
図11に示す太陽電池用裏面保護シート(Z’)は、白色顔料を含有しない内層<3’>−5を介して、白色顔料を含有しないポリエステル系フィルム<3’>−6と白色顔料を含有しないフッ素系フィルム<2’>−5とを貼り合せ、前記<3’>−6の他方の面に大粒径白色顔料(b)を含有する白色内層<3>−1を設け、前記白色内層<3>−1の他方の面に小粒径白色顔料(a)を含有する白色易接着性コーティング層(1)−2を設けたものである。
図12は、前記白色内層<3>−1の代わりに小粒径白色顔料(a)を含有する白色内層<3>−2を、前記(1)−2の代わりに大粒径白色顔料(b)を含有する白色易接着性コーティング層(1)−1を有する点を除き図11の場合と同様である。
【0111】
白色易接着性コーティング層(1)や、白色硬化耐候性保護層<2>、白色顔料を含有しない硬化耐候性保護層<2’>や、白色内層<3>や白色顔料を含有しない内層<3’>等を設ける方法としては、各層を形成するための塗液を従来公知の方法で塗工する方法を挙げることができる。塗工機(方法)としては、具体的にはコンマコーティング、グラビアコーティング、リバースコーティング、ロールコーティング、リップコーティング、スプレーコーティングなどが例示できる。これらの方法で各塗液を塗布し、加熱乾燥により溶剤を揮散させることで、硬化処理前の白色易接着性コーティング層(1)、硬化処理前の耐候性保護層(2)及び硬化処理前の内層(3)を形成することができる。白色易接着性コーティング層(1)以外の層はさらに加熱することによって、硬化・架橋することができる。
【0112】
形成される硬化処理前の白色易接着性コーティング層(1)の厚みは、1〜30μmであることが好ましく、2〜15μmであることがより好ましい。また、耐候性保護層(2)の厚みは、1〜30μmであることが好ましく、2〜15μmであることがより好ましい。また、内層(3)の厚みは、10〜500μmであることが好ましく、50〜300μmであることがより好ましい。
【0113】
本発明の太陽電池用裏面保護シート(Z’)は、種々の方法で得ることができる。
例えば、図1に示す太陽電池用裏面保護シート(Z’)は、白色顔料を含有しないフッ素系フィルム<2’>−5もしくは小粒径白色顔料(a)を含有するポリエステル系フィルム<3>−4に、白色顔料を含有しない内層<3’>−5形成用の塗液(接着剤組成物)を塗工・乾燥した後、<3’>−5に他方のフィルムを重ね、乾燥工程を経て巻き取り、<3’>−5を硬化・架橋させ、<3>−4/<3’>−5/<2’>−5からなる積層体を作成し、その後、前記積層体の<3>−4側に最表面としての白色易接着性コーティング層(1)用塗液を塗工した後、乾燥工程を経て、白色易接着性コーティング層(1)を形成させ、得ることができる。
図3、5、6、8、10、13、14に示す太陽電池用裏面保護シート(Z’)も同様の方法で得ることができる。
【0114】
図2に示す太陽電池用裏面保護シート(Z’)は、小粒径白色顔料(a)を含有するポリエステル系フィルム<3>−4の一方の面に、大粒径白色顔料(b)を含有する白色易接着性コーティング層(1)−1形成用塗液を塗工・乾燥した後、前記<3>−4の他方の面に白色顔料を含有しない硬化耐候性保護層<2’>−6形成用塗液を塗工・乾燥した後、<2’>−6を硬化・架橋させ、得ることもできるし、あるいは、
<3>−4の一方の面に、<2’>−6形成用塗液を塗工・乾燥した後、<2’>−6を硬化・架橋させ、<3>−4の他方の面に(1)−1形成用塗液を塗工・乾燥し、得ることもできる。
図4、7、9に示す太陽電池用裏面保護シート(Z’)も同様の方法で得ることができる。
【0115】
図11に示す太陽電池用裏面保護シート(Z’)は、白色顔料を含有しないポリエステル系フィルム<3’>−6もしく白色顔料を含有しないフッ素系フィルム<2’>−5の一方の面に、白色顔料を含有しない内層<3’>−5形成用塗液(接着剤組成物)を塗工・乾燥した後、<3’>−5に他方のフィルムを重ね、乾燥工程を経て巻き取り、<3’>−5を硬化・架橋させ、<3>−6/<3’>−5/<2’>−5からなる積層体を作成し、その後、前記積層体の<3>−6側に大粒径白色顔料(b)を含有する白色内層<3>−1形成用塗液を塗工・乾燥した後、そのままインラインで最表面としての白色易接着性コーティング層(1)用塗液を塗工した後、乾燥工程を経て、白色易接着性コーティング層(1)を形成させ、得ることができる。
あるいは、前記積層体の<3>−6側に前記白色内層<3>−1形成用塗液を塗工・乾燥した後、巻き取り、前記白色内層<3>−1を硬化・架橋させてから、白色易接着性コーティング層(1)を形成させることもできる。
あるいは、前記積層体の<3>−6側に前記白色内層<3>−1形成用塗液を塗工した後、乾燥工程を経ずに、白色易接着性コーティング層(1)用塗液を塗工し、乾燥し、太陽電池用裏面保護シート(Z’)を得ることもできる。
コスト的、設備の汎用性を考慮すると、インラインで最表面としての白色易接着性コーティング層(1)用塗液を塗工・乾燥する方法が好ましい。
図12に示す太陽電池用裏面保護シート(Z’)も同様の方法で得ることができる。
【0116】
次に本発明の太陽電池モジュールについて説明する。
本発明の太陽電池モジュールは、太陽電池の受光面側に位置する太陽電池表面保護材(I)、太陽電池の受光面側に位置する封止材(II)、太陽電池素子(III)、太陽電池の非受光面側に位置する封止材(IV)、及び太陽電池の非受光面側に位置する太陽電池裏面保護材(V)を具備してなる太陽電池モジュールであって、
前記太陽電池裏面保護材(V)が、本発明の太陽電池用裏面保護シート(Z’)を、最表面としての白色易接着性コーティング層(1)が、前記非受光面側の封止材(IV)と接するように配置して、前記太陽電池用裏面保護シート用白色易接着剤層を硬化することにより得たものである太陽電池モジュールである。
非受光面側封止材層(IV)と太陽電池用裏面保護シート(Z’)とを積層する際、減圧下に両者を接触させ、次いで加熱・加圧下に重ね合わせることによって得ることができる。最表面としての白色易接着性コーティング層(1)が熱硬化性の場合、常圧に戻した後、さらに高温条件下に置いて、最表面としての白色易接着性コーティング層(1)の硬化を進行させることもできる。
【0117】
太陽電池表面保護材(I)としては、特に限定されないが、公的な例として、ガラス板、ポリカーボネートやポリアクリレートのプラスチック板などを挙げることができる。透明性、耐候性、強靭性などの点からは、ガラス板が好ましい。さらには、ガラス板の中でも透明性の高い白板ガラスが好ましい。
【0118】
受光面側封止材層(II)、非受光面側封止材層(IV)は、太陽電池素子(III)全体を受光面及び非受光面の両面から挟み込むものである。受光面側封止材層(II)、非受光面側封止材層(IV)としては、熱可塑性オレフィン系樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、アセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体を、それぞれ厚さ0.2mm〜1.0mmのシート状に成形したものが主に用いられ、該樹脂中には架橋補助剤や紫外線吸収剤などを含んでいても良い。全光線透過率の観点からエチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましい。
【0119】
本発明における最表面としての白色易接着性コーティング層(1)は、太陽電池モジュールを形成するときの高温加熱圧着工程において、炭素−炭素二重結合が架橋することにより封止材(IV)との接着力向上効果を奏する。封止材(IV)の中に有機過酸化物が含まれていると、この架橋反応が促進されるため、本発明の効果が最大限に発揮される。従って、非受光面側に位置する封止材(IV)は、有機過酸化物を含有することが好ましい。
【0120】
太陽電池素子(III)としては、結晶シリコン、アモルファスシリコン、銅インジウムセレナイドに代表される化合物半導体などの光電変換層に電極を設けたもの、さらにはそれらをガラス等の基板上に積層したもの等が例示できる。
【実施例】
【0121】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例によって限定されるものではない。なお、実施例中、部は質量部を、%は質量%をそれぞれ示す。表1に走査型電子顕微鏡で計測した平均粒子径が0.2以上、0.38μm未満の白色顔料(a−1〜a−10)、表2に走査型電子顕微鏡で計測した平均粒子径が0.38以上、2μm以下の白色顔料(b−1〜 b−3)、表3に水酸基と二重結合とを有する樹脂(c1−1〜c1−8)、表4に水酸基を有する樹脂(c2−1〜c2−8)を示す。また、本明細書において実施例74は、参考例である。

【0122】
<水酸基と二重結合とを有する樹脂c1−1溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート18部、n−ブチルメタクリレート78部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2部、グリシジルメタクリレート2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.40部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.05部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.05部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行った。
その後、ハイドロキノンを0.03部、ジメチルベンジルアミンを0.8部、アクリル酸を1部(前記、グリシジルメタクリレート:2部の変性に要する量)添加し、100℃で15時間加熱撹拌した。酸価が2以下であることを確認し、数平均分子量が16,000、水酸基価が16.9(mgKOH/g)、Tgが30℃、ヨウ素価が3.6(g/100g)、固形分50%の水酸基と二重結合とを有する樹脂c1−1溶液を得た。
【0123】
なお、数平均分子量、ガラス転移温度、酸価、水酸基価、ヨウ素価は、下記に記述するようにして測定した。
【0124】
<数平均分子量(Mn)の測定>
Mnの測定は、前述したGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって求めた。
【0125】
<ガラス転移温度(Tg)の測定>
ガラス転移温度の測定は、前述した示差走査熱量測定(DSC)法により求めた。
なお、Tg測定用の試料は、上記のアクリル樹脂溶液を150℃で約15分、加熱し、乾固させたものを用いた。
【0126】
<酸価(AV)の測定>
共栓三角フラスコ中に試料(樹脂の溶液:約50%)約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解する。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間保持する。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定する。酸価は次式により求めた。酸価は樹脂の乾燥状態の数値とした(単位:mgKOH/g)。
酸価(mgKOH/g)={(5.611×a×F)/S}/(不揮発分濃度/100)
ただし、S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
【0127】
<水酸基価(OHV)の測定>
共栓三角フラスコ中に試料(樹脂の溶液:約50%)約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解する。更にアセチル化剤(無水酢酸25gをピリジンで溶解し、容量100mlとした溶液)を正確に5ml加え、約1時間攪拌した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間持続する。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定する。
水酸基価は次式により求めた。水酸基価は樹脂の乾燥状態の数値とした(単位:mgKOH/g)。
水酸基価(mgKOH/g)
=[{(b−a)×F×28.05}/S]/(不揮発分濃度/100)+D
ただし、S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
b:空実験の0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
D:酸価(mgKOH/g)
【0128】
<水酸基と二重結合とを有する樹脂c1−2溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート18部、n−ブチルメタクリレート78部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2部、グリシジルメタクリレート2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら80℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.075部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行った。
その後、ハイドロキノンを0.03部、ジメチルベンジルアミンを0.8部、アクリル酸を1部(前記、グリシジルメタクリレート:2部の変性に要する量)添加し、100℃で15時間加熱撹拌した。酸価が2以下であることを確認し、数平均分子量が75,000、水酸基価が18.0(mgKOH/g)、Tgが30℃、ヨウ素価が3.6(g/100g)、固形分50%の水酸基と二重結合とを有する樹脂c1−2溶液を得た。
【0129】
<水酸基と二重結合とを有する樹脂c1−3溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート40部、n−ブチルメタクリレート56部、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート4部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行った。
その後、ハイドロキノンを0.03部、ジブチルスズジラウレートを0.03部添加し、2−イソシアナトエチルメタクリレート:1.7部(前記、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート:4部のうち、約2部の変性に要する量)をメチルエチルケトン1.7部に溶解したものを、40℃で撹拌しながら2時間かけて滴下した。IRでイソシアネートピーク(2260cm−1)が消失したことを確認し、数平均分子量が38,000、水酸基価が8.6(mgKOH/g)、Tgが50℃、ヨウ素価が3.9(g/100g)、固形分50%の水酸基と二重結合とを有する樹脂c1−3溶液を得た。
【0130】
<水酸基と二重結合とを有する樹脂c1−4溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、n−ブチルメタクリレート96部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2部、グリシジルメタクリレート2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行った。
その後、ハイドロキノンを0.03部、ジメチルベンジルアミンを0.8部、アクリル酸を1部(前記、グリシジルメタクリレート:2部の変性に要する量)添加し、100℃で15時間加熱撹拌した。酸価が2以下であることを確認し、数平均分子量が38,000、水酸基価が17.0(mgKOH/g)、Tgが20℃、ヨウ素価が3.5(g/100g)、固形分50%の水酸基と二重結合とを有する樹脂c1−4溶液を得た。
【0131】
<水酸基と二重結合とを有する樹脂c1−5溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート90部、n−ブチルメタクリレート6部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2部、グリシジルメタクリレート2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行った。
その後、ハイドロキノンを0.03部、ジメチルベンジルアミンを0.8部、アクリル酸を1部(前記、グリシジルメタクリレート:2部の変性に要する量)添加し、100℃で15時間加熱撹拌した。酸価が2以下であることを確認し、数平均分子量が41,000、水酸基価が17.0(mgKOH/g)、Tgが96℃、ヨウ素価が3.6(g/100g)、固形分50%の水酸基と二重結合とを有する樹脂c1−5溶液を得た。
【0132】
<水酸基と二重結合とを有する樹脂c1−6溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート18部、n−ブチルメタクリレート78部、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート4部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行った。
その後、ハイドロキノンを0.03部、ジブチルスズジラウレートを0.03部添加し、2−イソシアナトエチルメタクリレート:3.3部(前記、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート:4部の変性に要する量)をメチルエチルケトン3.3部に溶解したものを、40℃で撹拌しながら2時間かけて滴下した。IRでイソシアネートピーク(2260cm−1)が消失したことを確認し、数平均分子量が37,000、水酸基価が0(mgKOH/g)、Tgが34℃、ヨウ素価が7.8(g/100g)、固形分50%の水酸基と二重結合とを有する樹脂c1−6溶液を得た。
【0133】
<水酸基と二重結合とを有する樹脂c1−7溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、n−ブチルメタクリレート30部、2−エチルヘキシルメタクリレート66部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2部、グリシジルメタクリレート2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行った。
その後、ハイドロキノンを0.03部、ジメチルベンジルアミンを0.8部、アクリル酸を1部(前記、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート:2部の変性に要する量)添加し、100℃で15時間加熱撹拌した。酸価が2以下であることを確認し、数平均分子量が35,000、水酸基価が18.3(mgKOH/g)、Tgが0℃、ヨウ素価が3.6(g/100g)、固形分50%の水酸基と二重結合とを有する樹脂c1−7溶液を得た。
【0134】
<水酸基と二重結合とを有する樹脂c1−8溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート96部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2部、グリシジルメタクリレート2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行った。
その後、ハイドロキノンを0.03部、ジメチルベンジルアミンを0.8部、アクリル酸を1部(前記、グリシジルメタクリレート:2部の変性に要する量)添加し、100℃で15時間加熱撹拌した。酸価が2以下であることを確認し、数平均分子量が30,000、水酸基価が16.7(mgKOH/g)、Tgが102℃、ヨウ素価が3.6(g/100g)、固形分50%の水酸基と二重結合とを有する樹脂c1−8溶液を得た。
【0135】
<水酸基を有する樹脂c2−1溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、n−ブチルアクリレート70部、n−ブチルメタクリレート28部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温した。次いで、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行った。続いて、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行うことにより、数平均分子量が40,000、水酸基価が8.8(mgKOH/g)、Tgが−34℃、ヨウ素価が0(g/100g)、固形分50%の水酸基を有する樹脂c2−1溶液を得た。
【0136】
<水酸基を有する樹脂c2−2溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、n−ブチルメタクリレート32部、2−エチルヘキシルメタクリレート66部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行った。続いて、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.37部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行うことにより、数平均分子量が36,000、水酸基価が9.2(mgKOH/g)、Tgが2℃、ヨウ素価が0(g/100g)、固形分50%の水酸基を有する樹脂c2−2溶液を得た。
【0137】
<水酸基を有する樹脂c2−3溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、n−ブチルメタクリレート98部、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行った。続いて、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行うことにより、数平均分子量が35,000、水酸基価が8.8(mgKOH/g)、Tgが19℃、ヨウ素価が0(g/100g)、固形分50%の水酸基を有する樹脂c2−3溶液を得た。
【0138】
<水酸基を有する樹脂c2−4溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート18部、n−ブチルメタクリレート80部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら80℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.075部加えて2時間重合反応を行った。続いて、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行うことにより、数平均分子量が76,000、水酸基価が8.0(mgKOH/g)、Tgが34℃、ヨウ素価が0(g/100g)、固形分50%の水酸基を有する樹脂c2−4溶液を得た。
【0139】
<水酸基を有する樹脂c2−5溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート40部、n−ブチルメタクリレート56部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート4部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.6部加えて2時間重合反応を行った。続いて、アゾビスイソブチロニトリルを0.05部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.05部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行うことにより、数平均分子量が16,000、水酸基価が16.2(mgKOH/g)、Tgが51℃、ヨウ素価が0(g/100g)、固形分50%の(メタ)アクリル系共重合体水酸基を有する樹脂c2−5溶液を得た。
【0140】
<水酸基を有する樹脂c2−6溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート18部、n−ブチルメタクリレート82部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行った。続いて、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行うことにより、数平均分子量が42,000、水酸基価が0(mgKOH/g)、Tgが36℃、ヨウ素価が0(g/100g)、固形分50%の水酸基を有する樹脂c2−6を得た。
【0141】
<水酸基を有する樹脂c2−7溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、nーブチルアクリレート98部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行った。続いて、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行うことにより、数平均分子量が33,000、水酸基価が8.9(mgKOH/g)、Tgが−50℃、ヨウ素価が0(g/100g)、固形分50%の水酸基を有する樹脂c2−7溶液を得た。
【0142】
<水酸基を有する樹脂c2−8溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート90部、n−ブチルメタクリレート8部、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行った。続いて、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行うことにより、数平均分子量が40,000、水酸基価が8.0(mgKOH/g)、Tgが95℃、ヨウ素価が0(g/100g)、固形分50%の水酸基を有する樹脂c2−8溶液を得た。
【0143】
<水酸基を有する樹脂c3B−1溶液>
エチレングリコール42.8部、ネオペンチルグリコール47.8部、セバシン酸202.0部を反応缶に仕込み、窒素気流下で攪拌しながら160〜240℃に加熱し、エステル化反応を行なった。更に、このまま反応缶を徐々に1〜2トールまで減圧した。酸価が0.8mgKOH/g以下となったところで減圧下での反応を停止し、酢酸エチルで希釈して得られた固形分50%の樹脂c3B−1溶液を得た。この樹脂c3B−1溶液は、数平均分子量20,000、水酸基価5.6である。
【0144】
<水酸基を有する樹脂c3B−2溶液>
エチレングリコール49.9部、ネオペンチルグリコール35.9部、イソフタル酸41.5部、テレフタル酸ジメチル48.5部、アゼライン酸131.6部を反応缶に仕込み、窒素気流下で攪拌しながら160〜240℃に加熱し、エステル化反応を行なった。更に、このまま反応缶を徐々に1〜2トールまで減圧した。酸価が0.8mgKOH/g以下となったところで減圧下での反応を停止し、酢酸エチルで希釈して得られた固形分50%の樹脂c3B−2溶液を得た。この樹脂c3B−2溶液は、数平均分子量20,000、水酸基価5.6である。
【0145】
<水酸基を有する樹脂c3B−3溶液>
エチレングリコール42.8部、ネオペンチルグリコール47.8部、イソフタル酸24.9部、テレフタル酸24.9部、セバシン酸141.4部、アジピン酸51 .1 部を反応缶に仕込み、窒素気流下で攪拌しながら160〜240℃に加熱し、エステル化反応を行なった。更に、このまま反応缶を徐々に1〜2トールまで減圧した。酸価が0.8mgKOH/g以下となったところで減圧下での反応を停止し、酢酸エチルで希釈して得られた固形分50%の樹脂c3B−3溶液を得た。この樹脂c3B−3溶液は、数平均分子量20,000、水酸基価5.6である。
【0146】
<水酸基を有する樹脂c3B−4溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、「PTMG2000(PTMG2000SN)」を45部、メチルペンタンジオールを55部、及びイソホロンジイソシアネートを85部、を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら140〜160℃まで徐々に加熱し、ウレタン化反応を行なった。160℃で3時間反応し、IR測定によりNCOピークがないことを確認した後、酢酸エチルを添加して、固形分50質量%の樹脂c3B−4溶液を得た。この樹脂c3B−4溶液は、数平均分子量18,000、水酸基価6.2である。
【0147】
<水酸基を有する樹脂c3B−5溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、「クラレポリオール C−2090」を50部、メチルペンタンジオールを50部、及びイソホロンジイソシアネートを85部、を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら140〜160℃まで徐々に加熱し、ウレタン化反応を行なった。160℃で3時間反応し、IR測定によりNCOピークがないことを確認した後、酢酸エチルを添加して、固形分50質量%の樹脂c3B−5溶液を得た。この樹脂c3B−5溶液は、数平均分子量20,000、水酸基価5.6である。
【0148】
<水酸基を有する樹脂c3B−6溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート31.2部、n−ブチルメタクリレート66部、2−ヒドロキシルエチルアクリレート1.8部、アクリル酸1部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行った。続いて、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行うことにより、数平均分子量が40,000、水酸基価が8.6(mgKOH/g)、Tgが−14℃、ヨウ素価が0(g/100g)、固形分50%の樹脂c3B−6溶液を得た。
【0149】
<ブロック化ポリイソシアネート化合物(d1)溶液>
3,5−ジメチルピラゾールでブロックされた、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体を、酢酸エチルで75%に希釈し、ポリイソシアネート化合物(d1)溶液を得た。
【0150】
<非ブロック化ポリイソシアネート化合物(d2)溶液>
デグサ社製VESTANAT T1890(IPDIヌレート)、住化バイエル社製 スミジュール N3300(HDI−ヌレート)を使用した。
【0151】
<受光面側の最表面としての白色易接着性コーティング層(1)形成用塗液の調整>
小粒径白色顔料(a)、大粒径白色顔料(b)、水酸基と二重結合とを有する樹脂(c1)溶液、水酸基を有する樹脂(c2)溶液、ポリイソシアネート化合物(d)溶液、触媒を表5、6に示す組成にて混合し、受光面側の最表面としての白色易接着性コーティング層(1)形成用塗液を得た。
【0152】
<内側白色層(3)の調整1>
小粒径白色顔料(a)、大粒径白色顔料(b)、ポリエチレンテレフタレート(PET)を表7、8に示す組成にて混合し、白色のPETフィルムを得た。
【0153】
<非受光面側の最表面としての白色硬化耐候性保護層(2)形成用塗液の調整>
小粒径白色顔料(a)、大粒径白色顔料(b)、水酸基と二重結合とを有する樹脂(c1)溶液、水酸基を有する樹脂(c2)溶液、非ブロックイソシアネート化合物(d2)溶液、触媒を表9、10に示す組成にて混合し、非受光面側の最表面としての白色硬化耐候性保護層(2)形成用塗液を得た。
【0154】
<非受光面側の最表面としての白色フッ素系フィルム(2)>
小粒径白色顔料(a)、大粒径白色顔料(b)、ポリフッ化ビニル(PVF)を表14、15に示す組成にて混合し、白色のフッ素系フィルムを得た。
【0155】
[実施例1〜2]
<太陽電池用裏面保護シートの作成>
表7に示す小粒径白色顔料(a)を含有する白色のPETフィルム301、302(100μm)の一方の面に、ポリエステル接着剤「ダイナレオVA−3020/HD−701」(トーヨーケム(株)製、配合比100/7、以下同)をグラビアコーターによって塗布し、溶剤を乾燥させ、厚さ10μmの接着剤層を設け、該接着剤層に、ポリフッ化ビニルフィルム(デュポン(株)製、テドラー、厚み50μm、以下「PVFフィルム」という)を重ね合わせた。
その後、50℃、4日間、エージング処理し、接着剤層を硬化させ、白色PETフィルム−PVFフィルム積層体を作成した。
さらに、白色PETフィルム−PVFフィルム積層体の白色PETフィルム面に、表6に記載される受光面側の最表面としての白色易接着性コーティング層(1)形成用塗液214、215をグラビアコーターによって塗布し、溶剤を100℃で乾燥させた後、50℃の恒温室に4日間放置し、厚さ10μmの受光面側の最表面としての白色易接着性コーティング層(1)を設け、太陽電池用裏面保護シートZ’を作成した。太陽電池用裏面保護シートZ’の断面図を模式的に図1に示す。
白色易接着性コーティング層(1)の溶剤不溶分、太陽電池用裏面保護シートZ’の反射率、接着力、遮熱性、太陽電池モジュールの黄色度、発電効率を以下の方法によって評価した。表16に溶剤不溶分、反射率、表22に接着力、遮熱性、黄色度、発電効率の結果を示す。
【0156】
<溶剤不溶分(%)>
測定用の基材フィルムとして、帝人デュポンフィルム社製のポリエステルフィルム(テトロンS(登録商標)、厚み188μm、両面コロナ処理)を選択し、予め10cm×10cmの大きさにカットし、その重量(X)を求める。
前記基材フィルムに白色易接着性コーティング層(1)形成用塗液を塗布し、100℃で1分間溶剤を乾燥させた後、50℃の恒温室で4日間放置し、塗布量:10g/平方メートルの白色易接着性コーティング層(1)を設け、試料とする。試料の重量(Y)を測定する。
その後、試料を500mlのメチルエチルケトンの入った容器に入れて、25℃で1時間振淘攪拌する。1時間後、メチルエチルケトン中から取り出して、新鮮なメチルエチルケトンで表面を荒い流した後に、室温で試料を乾燥させる。乾燥後に試料の重量(Z)を測定する。溶剤不溶分(%)は下記式より算出する。
溶剤不溶分(%)={(Z)−(X)}÷{(Y)−(X)}×100
【0157】
<反射率の測定>
反射率は、分光光度計V−570(日本分光製)を用いて、太陽電池用裏面保護シートZ’の受光面側の最表面としての白色易接着性コーティング層(1)面側から、波長400〜1600nmの範囲で測定した。
【0158】
<接着力測定>
前記太陽電池用裏面保護シートZ’を2枚用意し、サンビック(株)製のEVAシート(厚み450μ、スタンダードキュアタイプ、以下同)の両面に白色易接着性コーティング層(1)が接するように、前記EVAシートを2枚の太陽電池用裏面保護シートZ’で挟み、真空ラミネーターで温度150℃、脱気時間5分、プレス圧力1atm、プレス時間10分、アフターキュア150℃−15分で加熱加圧圧着し、接着力測定用のサンプルを作製した。
接着力測定用のサンプルの一部について、温度121℃、相対湿度100%RH、2気圧の環境条件で72時間のプレッシャークッカー試験を行った。
プレッシャークッカー試験をしなかったもの(初期)、試験をしたもの(湿熱経時後)、それぞれを15mm幅の長方形にカットし、試験片とした。各試験片について、引っ張り試験機を用いて荷重速度100mm/minでT字剥離試験を行った。
◎:40N/15mm以上
○:20N/15mm以上〜40N/15mm未満
△:5N/15mm以上〜20N/15mm未満
×:5N/15mm未満
【0159】
<遮熱性試験>
室温23℃に調整した室内に、縦280mm、横465mm、高さ190mmの発泡スチロールの箱の上に70mm×70mmに切断した黒色の紙を置き、さらに黒色の紙にちょうど重なる様に70mm×70mmに切断した太陽電池用裏面保護シートZ’を置き(白色易接着性コーティング層(1)を上方に向けて)、太陽電池用裏面保護シートZ’の真上15cmの地点から125Wの赤外線ランプを照射して、白色易接着性コーティング層(1)の表面から10cm下の箱の内部の温度上昇を測定した。
【0160】
《黄色度測定用太陽電池疑似モジュールの作成》
白板ガラス・・・太陽電池用表面保護材(I)
酢酸ビニル−エチレン共重合体フィルム(EVA)・・・太陽電池の受光面側に位置する封止材(II)
EVA・・・太陽電池の非受光面側に位置する封止材(IV)
及び太陽電池用裏面保護材(V)として、太陽電池用裏面保護シートZ’を重ねた後、真空ラミネーターに入れ、1Torr程度に真空排気して、プレス圧力としては大気圧の圧力をかけた状態で、150℃30分間加熱後、さらに150℃で30分間加熱し、黄色度測定用太陽電池疑似モジュールを作製した。
【0161】
<黄色度の測定>
色度は、色彩色差計CR−300(コニカミノルタ製)を用いて、太陽電池疑似モジュール1の白板ガラス側から太陽電池値用裏面保護シート1をXYZ表色系で測定した後、JIS K 7373に従って黄色度(YI値)を算出した。
○:5未満
△:5以上10未満
×:10以上
【0162】
<太陽電池モジュールの作成>
白板ガラス・・・太陽電池用表面保護材(I)
酢酸ビニル−エチレン共重合体フィルム(EVA)・・・太陽電池の受光面側に位置する封止材(II)
多結晶シリコン太陽電池素子・・・太陽電池素子(III)
EVA・・・太陽電池の非受光面側に位置する封止材(IV)
及び太陽電池用裏面保護材(V)として、太陽電池用裏面保護シートZ’を重ねた後、真空ラミネーターに入れ、1Torr程度に真空排気して、プレス圧力としては大気圧の圧力をかけた状態で、150℃30分間加熱後、さらに150℃で30分間加熱し、18cm×18cm角の光電変換効率評価用太陽電池モジュールを作製した。
【0163】
<光電変換効率の測定>
得られた太陽電池モジュールの太陽電池出力を測定し、JIS C8912に従って、ソーラーシュミレーター(ウシオ電機製、USS−180S)を用いて光電変換効率を測定した。
また、上記ソーラーシミュレーターから1SUNの光を180分当てて温度を上昇させ、光電変換効率を測定した。
【0164】
[実施例3〜5]
表7に示す小粒径白色顔料(a)を含有する白色のPETフィルム303〜305の一方の面に、水酸基を有する樹脂(c2−4):90質量部、非ブロックイソシアネート化合物(d2):15.2質量部、触媒であるジオクチル錫ジラウリレート:0.1質量部を混合し(以上、固形分比)、非受光面側の最表面としての透明な硬化耐候性保護層(2)形成用塗液を塗布し、溶剤を乾燥させた。厚みは15μmであった。
次いで、白色のPETフィルム303〜305の他方の面に、白色易接着性コーティング層(1)形成用塗液216を塗布し、以下実施例1と同様にして、太陽電池用裏面保護シートZ’を作成し、同様に評価した。太陽電池用裏面保護シートZ’の断面図を模式的に図2に示す。
なお、透明な硬化耐候性保護層(2)の溶剤不溶分は、白色易接着性コーティング層(1)の溶剤不溶分と同様にして求めた。
【0165】
[実施例6〜10]
透明なPETフィルム(帝人デュポンフィルム社製のポリエステルフィルム(テトロンS(登録商標)、厚み188μm、両面コロナ処理)の一方の面に、ポリエステル接着剤「ダイナレオVA−30.2/HD−701」(トーヨーケム(株)製、配合比100/7、以下同)をグラビアコーターによって塗布し、溶剤を乾燥させ、厚さ10μmの接着剤層を設け、該接着剤層に、表14に示す白色のPVFフィルム901〜905(厚さ50μm)を重ね合わせた。
その後、50℃、4日間、エージング処理し、接着剤層を硬化させ、透明PETフィルム−白色PVFフィルム積層体を作成した。
さらに、透明PETフィルム−白色PVFフィルム積層体のPETフィルム面に、白色易接着性コーティング層(1)形成用塗液216を実施例1と同様に塗布し、以下同様にして太陽電池用裏面保護シートZ’を作成し、同様に評価した。太陽電池用裏面保護シートZ’の断面図を模式的に図3に示す。
【0166】
[実施例11〜13]
透明なPETフィルムの一方の面に、表9に示す白色硬化耐候性保護層(2)形成用の塗液501〜503を塗布し、溶剤を乾燥させた。厚みは15μmであった。
次いで、透明なPETフィルムの他方の面に、白色易接着性コーティング層(1)形成用塗液216を塗布し、以下実施例1と同様にして、太陽電池用裏面保護シートZ’を作成し、同様に評価した。太陽電池用裏面保護シートZ’の断面図を模式的に図4に示す。
なお、白色硬化耐候性保護層(2)の溶剤不溶分は、白色易接着性コーティング層(1)の溶剤不溶分と同様にして求めた。
【0167】
[実施例14〜20]
白色硬化耐候性保護層(2)形成用の塗液として504〜510を、白色易接着性コーティング層(1)形成用塗液として214を用いた以外は実施離11と同様にして太陽電池用裏面保護シートZ’を作成し、同様に評価した。太陽電池用裏面保護シートZ’の断面図を模式的に図4に示す。
【0168】
[実施例21〜26]
透明なPETフィルムの一方の面に、表12に示す白色硬化接着剤層(3)形成用の塗液701〜706を塗布し、溶剤を乾燥させ、厚さ10μmの白色接着剤層を設け、該白色接着剤層に、透明なポリフッ化ビニルフィルム(デュポン(株)製、テドラー、厚み50μm、以下「PVFフィルム」という)を重ね合わせた。
その後、50℃、4日間、エージング処理し、白色接着剤層を硬化させ、透明PETフィルム−透明PVFフィルム積層体を作成した。
さらに、透明PETフィルム−透明PVFフィルム積層体のPETフィルム面に、表6に記載される受光面側の最表面としての白色易接着性コーティング層(1)形成用塗液216を塗布し、以下実施例1と同様にして、太陽電池用裏面保護シートZ’を作成し、同様に評価した。太陽電池用裏面保護シートZ’の断面図を模式的に図5に示す。
【0169】
[実施例27〜30]
白色硬化接着剤層(3)形成用の塗液として707〜710、受光面側の最表面としての白色易接着性コーティング層(1)形成用塗液として215を用いた以外は実施離21と同様にして太陽電池用裏面保護シートZ’を作成し、同様に評価した。太陽電池用裏面保護シートZ’の断面図を模式的に図5に示す。
【0170】
[実施例31〜32]
表8に示す大粒径白色顔料(b)を含有する白色のPETフィルム401、402(厚さ100μm)の一方の面に、実施例1と同様にしてポリエステル接着剤を用い、白色PETフィルム−PVFフィルム積層体を作成した。
さらに、白色PETフィルム−PVFフィルム積層体の白色PETフィルム面に、表5に記載される白色易接着性コーティング層(1)形成用塗液101、104を塗布し、以下実施例1と同様にして、太陽電池用裏面保護シートZ’を作成し、同様に評価した。太陽電池用裏面保護シートZ’の断面図を模式的に図6に示す。
【0171】
[実施例33〜35]
表8に示す大粒径白色顔料(b)を含有する白色のPETフィルム403〜405(厚さ100μm)の一方の面に、水酸基を有する樹脂(c2−4):90質量部、非ブロックイソシアネート化合物(d2):15.2質量部、触媒であるジオクチル錫ジラウリレート:0.1質量部を混合し(以上、固形分比)、非受光面側の最表面としての透明な硬化耐候性保護層(2)形成用塗液を塗布し、溶剤を乾燥させた。厚みは15μmであった。
次いで、白色のPETフィルム403〜405の他方の面に、白色易接着性コーティング層(1)形成用塗液104を塗布し、以下実施例31と同様にして、太陽電池用裏面保護シートZ’を作成し、同様に評価した。太陽電池用裏面保護シートZ’の断面図を模式的に図7に示す。
なお、透明な硬化耐候性保護層(2)の溶剤不溶分は、白色易接着性コーティング層(1)の溶剤不溶分と同様にして求めた。
【0172】
[実施例36〜40]
透明なPETフィルムの一方の面に、実施例1記載のポリエステル接着剤を用い、表15に示す白色のPVFフィルム1001〜1005(厚さ50μm)を重ね合わせ、実施例6と同様にして透明PETフィルム−白色PVFフィルム積層体を作成した。
さらに、透明PETフィルム−白色PVFフィルム積層体のPETフィルム面に、白色易接着性コーティング層(1)形成用塗液として104、または107を塗布し、以下実施例6と同様にして太陽電池用裏面保護シートZ’を作成し、同様に評価した。太陽電池用裏面保護シートZ’の断面図を模式的に図8に示す。
【0173】
[実施例41〜43]
透明なPETフィルムの一方の面に、表10に示す白色硬化耐候性保護層(2)形成用の塗液601〜603を塗布し、溶剤を乾燥させた。厚みは15μmであった。
次いで、透明なPETフィルムの他方の面に、白色易接着性コーティング層(1)形成用塗液107を塗布し、以下実施例1と同様にして、太陽電池用裏面保護シートZ’を作成し、同様に評価した。太陽電池用裏面保護シートZ’の断面図を模式的に図9に示す。
なお、白色硬化耐候性保護層(2)の溶剤不溶分は、白色易接着性コーティング層(1)の溶剤不溶分と同様にして求めた。
【0174】
[実施例44〜50]
白色硬化耐候性保護層(2)形成用の塗液として604〜610を、白色易接着性コーティング層(1)形成用塗液として101を用いた以外は実施離11と同様にして太陽電池用裏面保護シートZ’を作成し、同様に評価した。太陽電池用裏面保護シートZ’の断面図を模式的に図9に示す。
【0175】
[実施例51〜56]
透明なPETフィルムの一方の面に、表13に示す白色硬化接着剤層(3)形成用の塗液801〜806を用い、実施例21と同様にして、透明PETフィルム−透明PVFフィルム積層体を作成した。
さらに、透明PETフィルム−透明PVFフィルム積層体のPETフィルム面に、表5に記載される受光面側の最表面としての白色易接着性コーティング層(1)形成用塗液104を塗布し、以下実施例1と同様にして、太陽電池用裏面保護シートZ’を作成し、同様に評価した。太陽電池用裏面保護シートZ’の断面図を模式的に図10に示す。
【0176】
[実施例57〜60]
白色硬化接着剤層(3)形成用の塗液として807〜810、受光面側の最表面としての白色易接着性コーティング層(1)形成用塗液として107を用いた以外は実施離57と同様にして太陽電池用裏面保護シートZ’を作成し、同様に評価した。太陽電池用裏面保護シートZ’の断面図を模式的に図10に示す。
【0177】
[実施例61〜75]
透明なPETフィルムの一方の面に、実施例1記載のポリエステル接着剤を用い、実施例1記載の透明なPVFフィルムを重ね合わせ、実施例1と同様にして透明PETフィルム−透明PVFフィルム積層体を作成した。
さらに、透明PETフィルム−透明PVFフィルム積層体のPETフィルム面に、表6記載の白色易接着性コーティング層(1)形成用の塗液202を内層(3)形成用として塗布し、溶剤を乾燥させ、厚さ10μmの内層白色層(3’)を設け、該内層白色層(3’)上に、表5記載白色易接着性コーティング層(1)形成用の塗液101〜115を塗布し、溶剤を乾燥させ、厚さ10μmの受光面側の最表面層としての白色易接着性コーティング層(1)を設け、以下実施例1と同様にして、太陽電池用裏面保護シートZ’を作成し、同様に評価した。太陽電池用裏面保護シートZ’の断面図を模式的に図11に示す。
なお、表18、24では、透明PETフィルム−透明PVFフィルム積層体を構成する透明なポリエステル接着剤層は省略してある。
【0178】
[実施例76〜94]
表6記載の白色易接着性コーティング層(1)形成用の塗液201〜203、205〜220を用い内層白色層(3’)を形成し、表5記載白色易接着性コーティング層(1)形成用の塗液104を用いて、受光面側の最表面層としての白色易接着性コーティング層(1)を設けた以外は実施例75と同様にして、太陽電池用裏面保護シートZ’を作成し、同様に評価した。太陽電池用裏面保護シートZ’の断面図を模式的に図11に示す。
【0179】
[実施例95〜100]
表6記載の白色易接着性コーティング層(1)形成用の塗液202を用い、厚さ:3μm、5μm、10μm、15μmの内層白色層(3’)を形成し、表5記載白色易接着性コーティング層(1)形成用の塗液104を用いて、厚さ:3μm、5μm、10μm、15μmの受光面側の最表面層としての白色易接着性コーティング層(1)を設けた以外は実施例75と同様にして、太陽電池用裏面保護シートZ’を作成し、同様に評価した。太陽電池用裏面保護シートZ’の断面図を模式的に図11に示す。
【0180】
[実施例101〜115]
表5記載の白色易接着性コーティング層(1)形成用の塗液101〜115を用い内層白色層(3’)を形成し、表6記載白色易接着性コーティング層(1)形成用の塗液214を用いて、受光面側の最表面層としての白色易接着性コーティング層(1)を設けた以外は実施例75と同様にして、太陽電池用裏面保護シートZ’を作成し、同様に評価した。太陽電池用裏面保護シートZ’の断面図を模式的に図12に示す。
なお、表19、25では、透明PETフィルム−透明PVFフィルム積層体を構成する透明なポリエステル接着剤層は省略してある。
【0181】
[実施例116〜134]
表6記載の白色易接着性コーティング層(1)形成用の塗液201〜203、205〜220を用い内層白色層(3’)を形成し、表5記載白色易接着性コーティング層(1)形成用の塗液104を用いて、受光面側の最表面層としての白色易接着性コーティング層(1)を設けた以外は実施例101と同様にして、太陽電池用裏面保護シートZ’を作成し、同様に評価した。太陽電池用裏面保護シートZ’の断面図を模式的に図12に示す。
【0182】
[実施例135〜140]
表5記載の白色易接着性コーティング層(1)形成用の塗液104を用い、厚さ:3μm、5μm、10μm、15μmの内層白色層(3’)を形成し、表6記載白色易接着性コーティング層(1)形成用の塗液204を用いて、厚さ:3μm、5μm、10μm、15μmの受光面側の最表面層としての白色易接着性コーティング層(1)を設けた以外は実施例101と同様にして、太陽電池用裏面保護シートZ’を作成し、同様に評価した。太陽電池用裏面保護シートZ’の断面図を模式的に図12に示す。
【0183】
[比較例1〜2]
白色のPETフィルム301の代わりに、白色のPETフィルム302、403(厚さ100μm)をそれぞれ用い、白色易接着性コーティング層(1)形成用塗液214の代わりに、白色易接着性コーティング層(1)形成用塗液103、202をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして、太陽電池用裏面保護シートZ’を作成し、同様に評価した。太陽電池用裏面保護シートZ’の断面図は、図1、6に類似するが、比較例1は<3>−4に接するのが(1)−1ではなく(1)−2であり、比較例2は<3>−3に接するのが(1)−2ではなく(1−1)である点で相違する。
【0184】
[比較例3〜4]
白色のPETフィルム303の代わりに、白色のPETフィルム301、403(厚さ100μm)をそれぞれ用い、白色易接着性コーティング層(1)形成用塗液216の代わりに、白色易接着性コーティング層(1)形成用塗液101、216をそれぞれ用いた以外は、実施例3と同様にして、太陽電池用裏面保護シートZ’を作成し、同様に評価した。太陽電池用裏面保護シートZ’の断面図は、図2、7に類似するが、比較例3は<3>−4に接するのが(1)−1ではなく(1)−2であり、比較例4は<3>−3に接するのが(1)−2ではなく(1−1)である点で相違する。
【0185】
[比較例5]
白色易接着性コーティング層(1)形成用塗液216の代わりに、白色易接着性コーティング層(1)形成用塗液104を用いた以外は実施離7と同様にして太陽電池用裏面保護シートZ’を作成し、同様に評価した。太陽電池用裏面保護シートZ’の断面図は、図3に類似するが、比較例5は<3’>−6に接するのが(1)−1ではなく(1)−2である点で相違する。
[比較例6]
白色易接着性コーティング層(1)形成用塗液107の代わりに、白色易接着性コーティング層(1)形成用塗液204を用いた以外は実施例38と同様にして太陽電池用裏面保護シートZ’を作成し、同様に評価した。太陽電池用裏面保護シートZ’の断面図は、図8に類似するが、比較例6は<3’>−6に接するのが(1)−2ではなく(1)−1である点で相違する。
【0186】
[比較例7]
白色易接着性コーティング層(1)形成用塗液216の代わりに、白色易接着性コーティング層(1)形成用塗液108を用いた以外は実施例12と同様にして太陽電池用裏面保護シートZ’を作成し、同様に評価した。太陽電池用裏面保護シートZ’の断面図は、図4に類似するが、比較例5は<3’>−6に接するのが(1)−1ではなく(1)−2である点で相違する。
[比較例8]
白色易接着性コーティング層(1)形成用塗液107の代わりに、白色易接着性コーティング層(1)形成用塗液206を用いた以外は実施例43と同様にして太陽電池用裏面保護シートZ’を作成し、同様に評価した。太陽電池用裏面保護シートZ’の断面図は、図9に類似するが、比較例6は<3’>−6に接するのが(1)−2ではなく(1)−1である点で相違する。
【0187】
[比較例9]
白色易接着性コーティング層(1)形成用塗液216の代わりに、白色易接着性コーティング層(1)形成用塗液103を用いた以外は実施例22と同様にして太陽電池用裏面保護シートZ’を作成し、同様に評価した。太陽電池用裏面保護シートZ’の断面図は、図5に類似するが、比較例5は<3’>−6に接するのが(1)−1ではなく(1)−2である点で相違する。
[比較例10]
白色易接着性コーティング層(1)形成用塗液104の代わりに、白色易接着性コーティング層(1)形成用塗液202を用いた以外は実施例53と同様にして太陽電池用裏面保護シートZ’を作成し、同様に評価した。太陽電池用裏面保護シートZ’の断面図は、図10に類似するが、比較例6は<3’>−6に接するのが(1)−2ではなく(1)−1である点で相違する。
【0188】
[比較例11〜12]
白色のPETフィルム303、304の代わりに、透明なPETフィルムとして帝人デュポンフィルム社製のポリエステルフィルム(テトロンS(登録商標)、厚み188μm、両面コロナ処理)を用い、白色易接着性コーティング層(1)形成用塗液216の代わりに、白色易接着性コーティング層(1)形成用塗液104、204をそれぞれ用いた以外は実施例3と同様にして、太陽電池用裏面保護シートZ’を作成し、同様に評価した。太陽電池用裏面保護シートZ’は、白色顔料を含有する層が一層である。
【0189】
[比較例13〜14]
白色易接着性コーティング層(1)形成用塗液104の代わりに、白色易接着性コーティング層(1)形成用塗液201、215をそれぞれ用いた以外は実施例77と同様にして太陽電池用裏面保護シートZ’を作成し、同様に評価した。太陽電池用裏面保護シートZ’の断面図は、図11に類似するが、<3>−1に接するのが(1)−2ではなく(1)−1である点で相違する。
【0190】
[比較例15〜17]
白色易接着性コーティング層(1)形成用塗液214の代わりに、白色易接着性コーティング層(1)形成用塗液104、108、103をそれぞれ用いた以外は実施例101、104、105と同様にして太陽電池用裏面保護シートZ’を作成し、同様に評価した。太陽電池用裏面保護シートZ’の断面図は、図11に類似するが、(1)−2に接するのが<3>−1ではなく<3>−2である点で相違する。
【0191】
[比較例18]
透明なPETフィルムとして帝人デュポンフィルム社製のポリエステルフィルム(テトロンS(登録商標)、厚み188μm、両面コロナ処理)の一方の面に、ポリエステル接着剤「ダイナレオVA−30.2/HD−701」(トーヨーケム(株)製、配合比100/7、以下同)をグラビアコーターによって塗布し、溶剤を乾燥させ、厚さ10μmの接着剤層を設け、該接着剤層に、ポリフッ化ビニルフィルム(デュポン(株)製、テドラー、厚み50μm、以下「PVFフィルム」という)を重ね合わせた。
その後、50℃、4日間、エージング処理し、接着剤層を硬化させ、透明PETフィルム−PVFフィルム積層体を作成した。
さらに、透明PETフィルム−PVFフィルム積層体の透明PETフィルム面に、ポリエステル接着剤「ダイナレオVA−30.2/HD−701」(トーヨーケム(株)製、配合比100/7、以下同)をグラビアコーターによって塗布し、溶剤を乾燥させ、厚さ10μmの接着剤層を設け、該接着剤層に、ポリフッ化ビニルフィルム(デュポン(株)製、テドラー、厚み50μm、以下「PVFフィルム」という)を重ね合わせた。
その後、50℃、4日間、エージング処理し、接着剤層を硬化させ、太陽電池用裏面保護シートZ’を作成した。
【0192】
【表1】
【0193】
【表2】
【0194】
【表3】
【0195】
【表4】
【0196】
【表5】
【0197】
【表6】
【0198】
【表7】
【0199】
【表8】
【0200】
【表9】
【0201】
【表10】
【0202】
【表11】
【0203】
【表12】
【0204】
【表13】
【0205】
【表14】
【0206】
【表15】
【0207】
【表16】
【0208】
【表17】
【0209】
【表18】
【0210】
【表19】
【0211】
【表20】
【0212】
【表21】
【0213】
【表22】
【0214】
【表23】
【0215】
【表24】
【0216】
【表25】
【0217】
【表26】
【0218】
【表27】
【符号の説明】
【0219】
(I):太陽電池用表面保護材
(II):太陽電池の受光面側に位置する封止材
(III):太陽電池素子
(IV):太陽電池の非受光面側に位置する封止材
(V):太陽電池用裏面保護材
(1)−1:大粒径白色顔料(b)を含有する硬化性易接着コーティング層(表面層(1))
(1)−2:小粒径白色顔料(a)を含有する硬化性易接着コーティング層(表面層(1))
<2>−1:大粒径白色顔料(b)を含有するフッ素系フィルム(表面層(2))
<2>−2:小粒径白色顔料(a)を含有するフッ素系フィルム(表面層(2))
<2>−3:大粒径白色顔料(b)を含有する硬化耐候性保護層(表面層(2))
<2>−4:小粒径白色顔料(a)を含有する硬化耐候性保護層(表面層(2))
<2’>−5:白色顔料を含有しないフッ素系フィルム(表面層(2))
<2’>−6:白色顔料を含有しない硬化耐候性保護層(表面層(2))
<3>−1:大粒径白色顔料(b)を含有する白色硬化接着剤層・白色内層 (内層(3))
<3>−2:小粒径白色顔料(a)を含有する白色硬化接着剤層・白色内層(内層(3))
<3>−3:大粒径白色顔料(b)を含有するポリエステル系フィルム(内層(3))
<3>−4:小粒径白色顔料(a)を含有するポリエステル系フィルム(内層(3))
<3>−5:気泡を含有するポリエステル系フィルム(内層(3))
<3’>−5:白色顔料を含有しない層間接着剤層(内層(3))
<3’>−6:白色顔料を含有しないポリエステル系フィルム、気泡を含有しないポリエステル系フィルム(内層(3))
<3’>−7:金属箔(内層(3))
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15