(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1〜
図18を参照して作業機械1のバッテリ搭載構造20について説明する。
【0011】
作業機械1は、例えば油圧ショベルなどである。作業機械1は、下部走行体2と、上部旋回体10と、を備える。下部走行体2は、作業機械1を走行させる部分であり、例えばクローラ式である。
【0012】
上部旋回体10は、旋回フレーム11と、作業装置12と、カウンタウェイト13と、可動式キャブ14と、キャブ支持ブラケット15と、バッテリ19と、バッテリ搭載構造20と、を備える。
【0013】
旋回フレーム11は、下部走行体2に対して旋回可能に取り付けられる(搭載される)構造物である。作業装置12(アタッチメント)は、旋回フレーム11の前部に取り付けられる。作業機械1が油圧ショベルの場合、作業装置12は、ブーム、アーム、およびバケット等である。カウンタウェイト13は、旋回フレーム11の後部に設けられる、おもりである。ここで、旋回フレーム11の前後方向を、旋回フレーム前後方向Yとする。また、旋回フレーム前後方向Yに直交し、かつ水平方向と平行な方向(旋回フレーム11の左右方向)を、旋回フレーム左右方向Xとする。
【0014】
可動式キャブ14は、作業機械1の運転室である。可動式キャブ14は、旋回フレーム11に対して移動可能に構成される。
【0015】
キャブ支持ブラケット15は、旋回フレーム11に対して可動式キャブ14を移動可能に支持する。キャブ支持ブラケット15は、旋回フレーム11から上に延びるように配置される(旋回フレーム11に立てて設けられる)。
図2に示すように、キャブ支持ブラケット15は、旋回フレーム左右方向Xにおける旋回フレーム11の端部(左または右の端部)に配置される。キャブ支持ブラケット15は、エレベータ式、リンク式、前後スライド式、またはチルト式などである。
図1では、エレベータ式のキャブ支持ブラケット15(昇降式キャブ架台、エレベータ支持架台)を示す。キャブ支持ブラケット15がエレベータ式の場合、旋回フレーム11に対し可動式キャブ14が上下方向にのみ移動可能である。キャブ支持ブラケット15がリンク式の場合、旋回フレーム11に対し可動式キャブ14が上下方向(および前後方向)に移動可能である。キャブ支持ブラケット15が前後スライド式の場合、可動式キャブ14が旋回フレーム前後方向Yに移動可能である。キャブ支持ブラケット15がチルト式の場合、旋回フレーム11に対する可動式キャブ14(の底面)の角度が可変であり、可動式キャブ14の前端部が上下に移動可能である。キャブ支持ブラケット15は、可動式キャブ14が取り付けられる本体部15aと、基部15bと、を備える。
【0016】
基部15bは、キャブ支持ブラケット15の土台部分(ベース)である。基部15bは、キャブ支持ブラケット15の下端部(根本部、土台部)である。基部15bは、旋回フレーム11に固定される。
【0017】
バッテリ19は、作業機械1が備える各種電気機器の電源である。バッテリ19の数は、複数であり、例えば2である。バッテリ19の数は1でもよい。バッテリ19は、長手方向を有する直方体である。
【0018】
バッテリ搭載構造20は、キャブ支持ブラケット15の基部15bの内側にバッテリ19を搭載(格納)するための構造である。
図3〜
図6に示すように、バッテリ搭載構造20は、枠部21(後述)の内側にバッテリ19を搭載するための構造である。
図6および
図7に示すように、バッテリ搭載構造20は、引き出し式である。バッテリ搭載構造20は、バッテリ19をスライドおよび固定させるための構造である。
図3に示すように、バッテリ搭載構造20は、枠部21(
図3において二点鎖線で示す)と、バッテリ搭載装置25と、を備える。
【0019】
枠部21は、
図1に示すキャブ支持ブラケット15の基部15bに形成される、枠状(筒状)の部分である。
図3に示すように、枠部21は、枠底板21bと、枠側板21sと、枠天板21tと、を備える。枠底板21bは、旋回フレーム11(
図1参照)の一部である。枠底板21bは、旋回フレーム11とは別の板により構成されてもよい。枠側板21sおよび枠天板21tは、キャブ支持ブラケット15の土台となるフレーム(板)である。
【0020】
バッテリ搭載装置25は、枠部21に対して着脱可能に構成される(取り付けおよび取り外し可能に構成される)。バッテリ搭載装置25は、バッテリ搭載装置25の構成要素が組み立てられた状態で(サブアッセンの状態で)、枠部21に対して着脱可能である。バッテリ搭載装置25は、枠部21の内側に配置される。バッテリ搭載装置25は、ベース体30と、スライド体40と、バッテリ固定部材50と、スライドパッド60と、規制部およびストッパ類(71〜93)(
図7〜
図10参照)と、を備える。
【0021】
ベース体30は、
図6に示すように、スライド体40が取り付けられる部材(スライドベース)である。ベース体30は、枠部21の底面(枠底板21bの上面)に固定される。ベース体30は、枠底板21bに着脱可能に固定される。ベース体30は、締結部材(例えばボルトおよびナット)により、枠底板21bに締結される。
図11〜
図13に示すように、ベース体30は、例えば略板状である。
図13に示すように、ベース体30は、本体部30aと、奥側縦板30bと、を備える。本体部30aは、枠底板21b(
図6参照)と平行に配置される板である。奥側縦板30bは、本体部30aの奥側X2(後述)端部から上に突出する板である。
【0022】
スライド体40は、
図6に示すように、バッテリ19が搭載される部分である。スライド体40は、ベース体30の上方(真上)に配置される。スライド体40は、ベース体30に対してスライド可能に構成される。スライド体40は、旋回フレーム左右方向Xにスライド可能である。スライド体40は、枠部21の内側と外側との間でスライド可能である。さらに詳しくは、スライド体40は、スライド体40の少なくとも一部40aが枠部21の内側に配置された状態と、
図7に示すように上記「一部40a」が枠部21の外側に配置された状態と、の間でスライド可能である。スライド体40は、
図16に示すトレー部41と、取っ手43と、
図14に示す上下規制部取付部45と、跳上ストッパ取付部47と、補強部49と、を備える。
【0023】
(方向)
図3に示すように、スライド体40がスライドする方向(旋回フレーム左右方向X)を、スライド方向Xとする。スライド方向Xにおいて、枠部21の内側から外側に向かう側を手前側X1とし、枠部21の外側から内側に向かう側を奥側X2とする。また、スライド方向Xから見た左右方向を幅方向Yとする。幅方向Yは、旋回フレーム前後方向Yと一致する。
(状態)スライド体40の状態(位置)には、
図6に示す格納状態と、
図7に示す引出状態と、がある。
図6に示す格納状態は、枠部21に対してスライド体40が格納された状態である。格納状態は、スライド体40を最も奥側X2まで(突き当たるまで)スライドさせたときのスライド体40の状態である。
図7に示す引出状態は、枠部21に対してスライド体40が手前側X1に引き出された状態(格納状態よりも引き出された状態)である。引出状態は、バッテリ19をメンテナンス(バッテリ液量等の確認等)するとき等の、スライド体40の状態である。引出状態には、最大引出状態と、中間引出状態とが含まれる。最大引出状態は、スライド体40を最も手前側X1まで(突き当たるまで)スライドさせたときのスライド体40の状態である。中間引出状態は、格納状態(
図6参照)よりも手前側X1かつ最大引出状態(
図7参照)よりも奥側X2にスライド体40が配置されたときの、スライド体40の状態である。最大引出状態よりも手前側X1にスライド体40が配置された状態は、「引出状態」には含まない。
【0024】
トレー部41は、
図4〜
図6に示すように、バッテリ19が搭載される部分である(
図4ではバッテリ19を想像線(二点鎖線)で示す)。トレー部41は、バッテリ19を保持できるような形状を備える。トレー部41の形状は、トレー状(蓋のない箱状)である。トレー部41には、複数(例えば2つ)のバッテリ19が搭載される。
図4に示すように、トレー部41に搭載されるバッテリ19の長手方向は、スライド方向Xである。
図5に示すように、トレー部41には、複数のバッテリ19が幅方向Yに並べて配置される(並列配置される)。トレー部41には、複数のバッテリ19がスライド方向Xに並べて配置(直列配置)されてもよい(図示なし)。
図14〜
図16に示すように、トレー部41は、トレー底板41bと、トレー手前板41fと、トレー奥板41r(
図14および
図16参照)と、トレー側板41sと、を備える。
図14に示すように、トレー底板41bの中央部には、孔が形成される。この孔は、例えば長方形状である。
図15に示すように、トレー側板41sは、トレー底板41bの幅方向Y両端それぞれから上に突出する。
図16に示すように、トレー手前板41fは、トレー底板41bの手前側X1端部から上に突出する。トレー奥板41rは、トレー底板41bの奥側X2端部から上に突出する。
【0025】
このトレー部41の幅方向Yの幅は、次のように構成される。
図4に示すように、トレー部41の幅方向Yの幅以内に(幅方向Yに収まるように、幅方向Y外側にはみ出ないように)、スライド体40の構成要素(トレー部41を除く)が配置される。トレー部41の幅方向Yの幅以内に、ベース体30が配置される。トレー部41の幅方向Yの幅以内に、規制部およびストッパ類(71〜93)(
図7〜
図10参照)が配置される(但し、
図14に示す上下規制部締結部材73をのぞく)。なお、トレー部41の幅方向Yの略幅以内に、上下規制部締結部材73(
図14参照)が配置されてもよい。また、規制部およびストッパ類(71〜93)(
図7〜
図10参照)の一部が、トレー部41の幅方向Y外側にはみ出てもよい(後述)。
【0026】
取っ手43は、スライド体40を手前側X1にスライドさせやすく(手で引っ張りやすく)するための部材である。取っ手43は、トレー手前板41fよりも手前側X1かつ上側に突出するように、トレー手前板41fに固定される。
【0027】
上下規制部取付部45は、スライド側上下規制部72(後述)が取り付けられる部分である。
図8に示すように、上下規制部取付部45は、スライド方向Xから見て左右に(幅方向Yに間隔をあけて)1つずつ(合計2つ)設けられる。2つの上下規制部取付部45・45それぞれは、例えばスライド方向Xから見てL字状である。上下規制部取付部45、例えば、横板45aと、縦板45bと、を備える。横板45aは、上下方向に直交する板である。上下方向に直交する板である点は、後述する他の「横板」についても同様である(
図13に示す横板71b、横板81a、
図14に示す横板47a、
図15に示す横板49a、横板72b、および
図16に示す横板82b参照)。
図8に示すように、縦板45bは、横板45aの幅方向Y外側端部から上に突出する。縦板45bは、幅方向Yに直交する板である。
図14に示すように、上下規制部取付部45は、トレー部41の奥側X2部分(トレー奥板41r)に固定される。上下規制部取付部45は、トレー部41よりも奥側X2に配置される。上下規制部取付部45は、トレー部41の奥側X2部分(トレー奥板41r)から奥側X2に突出する。上下規制部取付部45は、トレー部41の幅方向Y両端部に固定される。上下規制部取付部45は、トレー部41よりも(トレー側板41sよりも)幅方向Y内側のみに配置される。
【0028】
跳上ストッパ取付部47は、スライド側跳上ストッパ86(後述)が取り付けられる部分である。跳上ストッパ取付部47は、例えば長手方向が幅方向Yである棒状である。
図17に示すように、跳上ストッパ取付部47は、例えば幅方向Yから見てL字状である。跳上ストッパ取付部47は、例えば、横板47aと、縦板47bと、を備える。縦板47bは、スライド方向Xに直交する板である。縦板47bは、横板47aの手前側X1端部から上に突出する。跳上ストッパ取付部47は、上下規制部取付部45を介して、トレー部41の奥側X2部分(トレー奥板41r)に固定される。跳上ストッパ取付部47は、トレー部41よりも奥側X2に配置される。跳上ストッパ取付部47は、トレー部41の奥側X2部分(トレー奥板41r)との間にスライド方向Xの間隔をあけて配置される。
図14に示すように、跳上ストッパ取付部47は、上下規制部取付部45の奥側X2端部に固定される。跳上ストッパ取付部47は、2つの上下規制部取付部45・45を連結する。跳上ストッパ取付部47は、トレー部41よりも(トレー側板41sよりも)幅方向Y内側のみに配置される。
【0029】
補強部49は、スライド体40を補強するための部材である。補強部49は、長手方向がスライド方向Xである。
図15に示すように、補強部49は、例えばスライド方向Xから見て(略)C字状である。補強部49は、例えば、横板49aと、縦板49bと、を備える。縦板49bは、幅方向Yに直交する板である。縦板49bは、横板45aの幅方向Y外側両端部から下に突出する。補強部49は(横板49aは)、トレー部41の下面(トレー底板41bの下面)に固定される。補強部49は(縦板49bは)、トレー部41から下に突出する。補強部49は、スライド体40の幅方向Y中央部に配置される。補強部49は(横板49aは)、
図14に示す跳上ストッパ取付部47の下面(横板47aの下面)に固定される。補強部49は、例えば後述するスライドパッド60と同様に、トレー部41の手前側X1部分(またはその近傍)から奥側X2部分(またはその近傍)にわたって配置される。
【0030】
バッテリ固定部材50は、
図5に示すように、スライド体40に(トレー部41に)バッテリ19を固定するための部材である(
図3参照)。バッテリ固定部材50は、バッテリ固定部材50とトレー部41(トレー底板41b)とでバッテリ19を上下方向に挟み込めるように構成(配置および形成)される。バッテリ固定部材50は、バッテリ固定プレート51と、バッテリ固定ナット52と、バッテリ固定ボルト53と、を備える。また、
図6に示すように、バッテリ固定部材50には、バッテリ覆い部54が取り付けられる。
【0031】
バッテリ固定プレート51は、
図5に示すように、バッテリ19の上面に接触するように配置される。バッテリ固定プレート51は、複数(例えば2つ)のバッテリ19の上面にまたがって配置される。
図3に示すように、バッテリ固定プレート51は、板部51aと、ボス部51bと、を備える。
図5に示すように、板部51aは、バッテリ19の上面と接触する板である。
図3に示すように、ボス部51bは、板部51aから上に突出する。ボス部51bは、締結部材(例えばボルト)によりバッテリ覆い部54(
図6参照)が固定される部分である。バッテリ固定ナット52は、
図15に示すように、トレー底板41bの下面に固定(例えば溶接)される。
図5に示すように、バッテリ固定ボルト53は、バッテリ固定プレート51とバッテリ固定ナット52とを締結する。
図6に示すように、バッテリ覆い部54は、バッテリ19の上面(端子などがある部分)を覆う。バッテリ覆い部54は、シート状(薄い板状である)。バッテリ覆い部54は、絶縁部材(例えばゴム)で形成される。
【0032】
スライドパッド60は、
図5に示すベース体30に対するスライド体40のスライド方向Xへのスライドを容易にするための部材である。スライドパッド60は、例えば樹脂などにより形成される。スライドパッド60は、ベース体30(本体部30a)とスライド体40(トレー底板41bなど)との間に配置される。スライドパッド60が配置されることで、スライド体40(トレー底板41bなど)は、ベース体30(本体部30a)との間に上下方向の間隔をあけて配置される。
図15および
図16に示すように、スライドパッド60は、例えば直方体状であり、例えば板状である(
図15および
図16では、スライドパッド60を想像線(二点鎖線)で示した)。スライドパッド60の長手方向はスライド方向Xである。
図15に示すように、スライドパッド60は、スライド体40の下面に固定される。スライドパッド60は、補強部49の(横板49aの)下面に固定される。スライドパッド60は、
図5に示すベース体30には固定されない。なお、スライドパッド60が、ベース体30に固定され、かつ、スライド体40に固定されなくてもよい。
図15に示すように、スライドパッド60は、スライド体40の幅方向Y中央部に配置される。スライドパッド60は、補強部49の2枚の縦板49bの間(幅方向Y内側)に配置される。スライドパッド60は、2枚の縦板49bとの間に幅方向Yの間隔をあけて配置される。スライドパッド60は、トレー部41の手前側X1部分(またはその近傍)から奥側X2部分(またはその近傍)にわたって配置される。スライドパッド60の手前側X1の端部は、例えばトレー部41の手前側X1部分よりも手前側X1である。スライドパッド60の奥側X2の端部は、例えば上から見て跳上ストッパ取付部47と重なる位置であり、例えば跳上ストッパ取付部47の手前側X1端部である。
【0033】
規制部およびストッパ類(71〜93)(
図7〜
図10参照)は、ベース体30に対するスライド体40の移動を規制するための部材である。規制部およびストッパ類(71〜93)には、
図7に示す上下規制部(71〜73)と、
図8に示す左右規制部(75・76)と、
図10に示す格納ストッパ(81〜83)と、
図9に示す跳上ストッパ(85〜87)と、
図10に示す引出ストッパ(91〜93)と、がある。
【0034】
上下規制部(71〜73)は、
図7に示すベース体30に対するスライド体40の上への移動を規制する。上下規制部(71〜73)は、特に、引出状態のときに、スライド体40の手前側X1部分が下がり、スライド体40の奥側X2部分が上がることを抑制する。上下規制部(71〜73)は、ベース側上下規制部71と、スライド側上下規制部72と、上下規制部締結部材73と、を備える。
【0035】
ベース側上下規制部71は、
図12に示すように、ベース体30に固定される。ベース側上下規制部71は、スライド方向Xから見て左右に(幅方向Yに間隔をあけて)1つずつ(合計2つ)設けられる。スライド方向Xから見て左右に1つずつ(合計2つ)設けられる点は、
図8に示すスライド側上下規制部72、ベース側左右規制部75、スライド側左右規制部76、スライド側引出ストッパ92、
図5に示すベース側格納ストッパ81(ベース側引出ストッパ91)、およびスライド側格納ストッパ82についても同様である。
図13に示すように、ベース側上下規制部71は、長手方向がスライド方向Xの棒状(レール状、上下規制レール)である。長手方向がスライド方向Xである点は、後述するベース側左右規制部75、ベース側格納ストッパ81(ベース側引出ストッパ91)、
図15に示すスライド側左右規制部76(スライドパッド60の側面)、
図16に示すスライド側上下規制部72、および
図18に示すスライド側引出ストッパ92についても同様である。
図12に示すように、スライド方向Xから見て左右のベース側上下規制部71・71それぞれは、例えばスライド方向Xから見てL字状である。左右のベース側上下規制部71・71それぞれは、例えば、縦板71aと、横板71bと、を備える。縦板71aは、ベース体30(本体部30a)の上面に固定され、幅方向Yに直交する板である。横板71bは、縦板71aの上端部から幅方向Y外側に突出する。
【0036】
このベース側上下規制部71は(縦板71aは)、ベース体30から上に突出する。
図8に示すように、ベース側上下規制部71は、スライド体40の下方に配置される。
図7に示すように、ベース側上下規制部71は、少なくともスライド体40が引出状態のときに、スライド側上下規制部72と接触する位置に配置される。ベース側上下規制部71は、少なくともベース体30の手前側X1部分に配置される。ベース側上下規制部71は、スライド方向Xにおけるベース体30の中央部よりも手前側X1部分に配置される。
図13に示すように、ベース側上下規制部71は、ベース体30の奥側X2部分(例えば奥側縦板30b)から手前側X1(例えば手前側X1端部)にわたって配置される。
図8に示すように、ベース側上下規制部71は、ベース体30の幅方向Y両端部に配置される。ベース側上下規制部71は、幅方向Yにおけるベース体30の幅以内に配置される。
【0037】
スライド側上下規制部72は、スライド体40(上下規制部取付部45の縦板45b)に固定される。スライド側上下規制部72は、ベース側上下規制部71にガイドされる部材(スライドガイド)である。スライド側上下規制部72は、例えばスライド方向Xから見てL字状である。スライド側上下規制部72は、例えば、縦板72aと、横板72bと、を備える。縦板72aは、スライド体40に固定され、幅方向Yに直交する板である。横板72bは、縦板72aの下端部から幅方向Y内側に突出する。スライド側上下規制部72は(横板72bは)、スライド体40の(上下規制部取付部45の、横板45aの)下方に配置される。
図14に示すように、スライド側上下規制部72は、上下規制部取付部45と同様に、トレー部41よりも奥側X2に配置される。スライド側上下規制部72は、トレー部41の幅方向Y両端部から奥側X2に突出するように配置される。
【0038】
このスライド側上下規制部72(横板72b)は、
図8に示すように、スライド側上下規制部72を上に移動させたときにベース側上下規制部71(横板71b)に接触可能に配置される(この配置を[配置A]とする)。具体的には、スライド側上下規制部72(横板72b)は、ベース側上下規制部71(横板71b)の下方に配置され、かつ、ベース側上下規制部71(横板71b)に対向して(上下方向に対向して)配置される。スライド側上下規制部72は、少なくともスライド体40が引出状態(
図7参照)のときに[配置A]を満たす。スライド側上下規制部72は、スライド体40が格納状態(
図6参照)のときに[配置A]を満たしてもよい。スライド側上下規制部72とベース側上下規制部71とが対向する部分(横板72bと横板71bとが対向する部分)は、幅方向Yにおけるスライド体40の幅以内に配置される。スライド側上下規制部72の横板72bと、ベース側上下規制部71の横板71bと、の間には、上下方向の隙間S1が設けられる。この隙間S1は、スライド体40のスライド方向Xの移動を妨げないようにするために設けられる。
【0039】
上下規制部締結部材73は、スライド体40に対して、上下方向に位置調整可能に、スライド側上下規制部72を固定する。上下規制部締結部材73は、上下規制部取付部45(縦板45b)に対して、上下方向に位置調整可能に、スライド側上下規制部72(縦板72a)を締結により固定する。上下規制部締結部材73は、例えばボルトおよびナットにより構成される。このボルトは、上下規制部取付部45に(縦板45bに)形成されたボルト孔、および、スライド側上下規制部72に(縦板72aに)形成されたボルト孔に通される。これらのボルト孔のうち少なくとも一方は、上下方向に長い長孔、または、ボルトの軸部よりも径が大きい孔である。なお、上下規制部締結部材73は、ベース体30に対して上下方向に位置調整可能に、ベース側上下規制部71(縦板71a)を固定するように構成されてもよい(図示なし)。この場合、例えば、ベース体30には、ベース側上下規制部71(縦板71a)を固定するための取付部(ブラケット)が設けられる(スライド側上下規制部72を固定するための上下規制部取付部45を参照)。
【0040】
左右規制部(75・76)は、ベース体30に対するスライド体40の幅方向Yへの移動を規制する。左右規制部(75・76)は、ベース側左右規制部75と、スライド側左右規制部76と、を備える。
【0041】
ベース側左右規制部75は、ベース体30に固定される。
図11に示すように、ベース側左右規制部75は、上記のように長手方向がスライド方向Xであり、棒状(レール、左右規制レール)である。
図8に示すように、左右のベース側左右規制部75・75のうち、左側をベース側左右規制部75Lとし、右側をベース側左右規制部75Rとする。ベース側左右規制部75・75(75L・75R)それぞれは、例えば、幅方向Yに直交する板(縦板)である。ベース側左右規制部75は、ベース体30の(本体部30aの)上面に固定される。ベース側左右規制部75は、ベース体30(本体部30a)から上に突出する。ベース側左右規制部75は、スライド体40の(補強部49の)下方に配置される。
図11に示すように、ベース側左右規制部75は、ベース体30の手前側X1部分から奥側X2部分にわたって配置される。
図8に示すように、ベース側左右規制部75は、補強部49の縦板49bよりも幅方向Y内側に配置される。ベース側左右規制部75は、スライドパッド60よりも(スライド側左右規制部76よりも)幅方向Y外側に配置される。
【0042】
スライド側左右規制部76は、スライド体40に固定される。スライド側左右規制部76は、スライド体40の(補強部49の)下面に固定される。スライド側左右規制部76は、スライドパッド60の側面(幅方向Y両端の面)である。スライド側左右規制部76は、スライドパッド60とは別に設けられてもよい。スライド方向Xから見て左右のスライド側左右規制部76・76のうち、左側をスライド側左右規制部76Lとし、右側をスライド側左右規制部76Rとする。
図14に示すように、スライド側左右規制部76は、スライド体40の手前側X1部分から奥側X2部分にわたって設けられる。
【0043】
このスライド側左右規制部76は、
図8に示すベース体30に対してスライド体40を幅方向Yに移動させたときに、ベース側左右規制部75に接触可能に配置される。具体的には、スライド側左右規制部76は、スライド方向Xから見てベース側左右規制部75の左および右に配置され、かつ、ベース側左右規制部75に対向して(幅方向Yに対向して)配置される。さらに具体的には、スライド側左右規制部76Lはベース側左右規制部75Lの右側に対向して配置され、スライド側左右規制部76Rはベース側左右規制部75Rの左側に対向して配置される。スライド側左右規制部76とベース側左右規制部75とが対向する部分は、幅方向Yにおけるスライド体40の幅以内に配置される。スライド側左右規制部76は、ベース側左右規制部75との間に隙間をあけて配置される(スライド体40のスライド方向Xの移動を妨げないようにするため)。左右のベース側左右規制部75L・75Rの幅方向Yの間隔よりも、スライドパッド60の幅(幅方向Yの長さ)は短い。
【0044】
格納ストッパ(81〜83)は、
図10に示すように、スライド体40を格納状態に保持するための部材である。格納ストッパ(81〜83)は、格納状態のスライド体40をベース体30に固定する。格納ストッパ(81〜83)は、ベース側格納ストッパ81と、スライド側格納ストッパ82と、格納ストッパ締結部材83と、を備える。
【0045】
ベース側格納ストッパ81は、
図13に示すように、ベース体30に固定される。スライド方向Xから見て左右のベース側格納ストッパ81・81それぞれ(
図5参照)は、例えば幅方向Yから見てL字状である。左右のベース側格納ストッパ81・81それぞれは、例えば、横板81aと、縦板81bと、を備える。横板81aは、ベース体30(本体部30a)の上面に固定される板である。縦板81bは、スライド方向Xに直交する板である。縦板81bは、横板81aの手前側X1端部から上に突出する。ベース側格納ストッパ81は(縦板81bは)、ベース体30から上に突出する。
図10に示すように、ベース側格納ストッパ81は(縦板81bは)、スライド体40が格納状態のときのスライド体40の手前側X1部分(トレー部41のトレー手前板41f)の近傍に配置される。ベース側格納ストッパ81は(縦板81bは)、スライド体40が格納状態のときのトレー手前板41fよりも手前側X1に配置される。
図5に示すように、ベース側格納ストッパ81は、補強部49(
図8参照)よりも幅方向Y外側に配置される。ベース側格納ストッパ81は、ベース側上下規制部71(
図8参照)よりも幅方向Y内側に配置される。
【0046】
スライド側格納ストッパ82は、
図16に示すように、スライド体40に固定される。スライド方向Xから見て左右のスライド側格納ストッパ82・82それぞれ(
図5参照)は、例えば幅方向Yから見て略S字状である。左右のスライド側格納ストッパ82・82それぞれは、例えば、スライド体取付板82aと、横板82bと、縦板82cと、を備える。スライド体取付板82aは、スライド体40に取り付けられる板である。スライド体40は、スライド方向Xに直交する板である。横板82bは、スライド体取付板82aの下端部から手前側X1に突出する板である。縦板82cは、横板82bの手前側X1端部から下に突出する。縦板82cは、スライド方向Xに直交する板である。スライド側格納ストッパ82は(縦板82cは)、スライド体40よりも(トレー部41よりも、トレー底板41bよりも)下に突出する。
図10に示すように、スライド側格納ストッパ82(縦板82c)は、スライド体40が格納状態のとき、ベース側格納ストッパ81(縦板81b)と接触可能に配置される。スライド側格納ストッパ82(縦板82c)は、ベース側格納ストッパ81(縦板81b)よりも手前側X1に配置される。スライド側格納ストッパ82は、スライド体40の手前側X1から格納ストッパ締結部材83(
図5参照)の締結作業が容易にできるような位置に配置される。具体的には、
図16に示すように、スライド側格納ストッパ82(スライド体取付板82a)は、スライド体40の手前側X1部分(トレー手前板41f)に固定される。スライド側格納ストッパ82(縦板82c)は、トレー部41(トレー手前板41f)よりも手前側X1に配置される。
【0047】
格納ストッパ締結部材83は、
図10に示すように、スライド体40が格納状態のとき、ベース側格納ストッパ81(縦板81b)とスライド側格納ストッパ82(縦板82c)とを固定する。格納ストッパ締結部材83は、ボルトおよびナットにより構成される。このボルトは、ベース側格納ストッパ81(縦板81b)およびスライド側格納ストッパ82(縦板82c)に形成されたボルト孔に通される。このボルトは、スライド側格納ストッパ82の手前側X1からボルト孔に差し込まれる。格納ストッパ締結部材83を構成するナットは、例えばベース側格納ストッパ81の縦板81bの奥側X2の面に溶接される。
【0048】
跳上ストッパ(85〜87)は、
図9に示すように、スライド体40が格納状態のときに、スライド体40の奥側X2部分が上に跳ね上がるのを防ぐための部材である。跳上ストッパ(85〜87)は、ベース側跳上ストッパ85と、スライド側跳上ストッパ86と、
図17に示す跳上ストッパ締結部材87と、を備える。
【0049】
ベース側跳上ストッパ85は、
図13に示すように、ベース体30に固定される。ベース側跳上ストッパ85は、例えば幅方向Yから見てL字状などである。ベース側跳上ストッパ85は、ベース体30の本体部30aよりも上に配置される。ベース側跳上ストッパ85は、ベース体30に(奥側縦板30bに)固定される。ベース側跳上ストッパ85は、奥側縦板30bから手前側X1に突出する。
図12に示すように、ベース側跳上ストッパ85は、ベース体30の幅方向Y中央部に配置される。
図13に示すように、ベース側跳上ストッパ85は、傾斜部85aと、支持部85bと、を備える。
【0050】
傾斜部85aは、スライド体40を引出状態(
図7参照)から格納状態(
図6参照)にしたときに、
図9に示すように、ベース側跳上ストッパ85の下方にスライド側跳上ストッパ86が確実に配置されるようにするための部分である。傾斜部85aは、奥側X2向きかつ下向きに傾斜する。傾斜部85aは、手前側X1から奥側X2になるに従って、表面の位置が下になるように傾斜する。傾斜部85aは、例えば板状である。傾斜部85aの奥側X2端部は、ベース体30の奥側縦板30bに固定される。
【0051】
支持部85bは、奥側縦板30bに対して傾斜部85aを支持する板である。支持部85bは、傾斜部85aの手前側X1端部と、奥側縦板30bとを連結する。支持部85bは、例えば板状である。支持部85bは、奥側X2向きかつ上向きに傾斜する。
【0052】
スライド側跳上ストッパ86は、
図17に示すように、スライド体40に固定される。スライド側跳上ストッパ86は、傾斜部86aを備える(詳細は後述)。
図14に示すように、スライド側跳上ストッパ86は、スライド体40の幅方向Y中央部に配置される。スライド側跳上ストッパ86は、スライド体40の奥側X2部分(跳上ストッパ取付部47)に固定される。
図9に示すように、スライド側跳上ストッパ86(傾斜部86a)は、スライド体40の奥側X2部分が上に移動したときにベース側跳上ストッパ85(傾斜部85a)と接触可能な位置に配置される(この配置を[配置B]とする)。具体的には、スライド体40が格納状態のとき、スライド側跳上ストッパ86(傾斜部86a)は、ベース側跳上ストッパ85の(傾斜部85aの)下方に配置され、かつ、ベース側跳上ストッパ85(傾斜部85a)に対向して(上下方向に対向して)配置される。スライド側跳上ストッパ86は、スライド体40が格納状態のときに上記[配置B]を満たす。
【0053】
傾斜部86aは、スライド体40が格納状態のときにベース側跳上ストッパ85と(傾斜部85aと)接触可能な部分である。傾斜部86aは、ベース側跳上ストッパ85の傾斜部85aと同様に、奥側X2向きかつ下向きに傾斜する。傾斜部86aは、手前側X1から奥側X2になるに従って、表面の位置が下になるように傾斜する。傾斜部86aは、跳上ストッパ締結部材87のネジ部87aの螺進および螺退を行っても、上記の傾斜を備え続けるように構成される。具体的には、スライド側跳上ストッパ86は、半球状(球の上半分のみ存在する半球)(略半球状を含む)である。スライド側跳上ストッパ86は、下から上になるに従って径が細くなる、円錐状や円錐台状などでもよい。傾斜部86aの表面は、例えば弾性部材(ゴムなど)により形成される。
【0054】
跳上ストッパ締結部材87は、
図17に示すスライド体40に対して上下方向に位置調整可能にスライド側跳上ストッパ86を固定する部分である。跳上ストッパ締結部材87は、例えば、ネジ部87a(ボルト)と、跳上ストッパ取付部47に設けられたナット87bと、で構成される。跳上ストッパ締結部材87は、スライド体40が格納状態のときに次の[調整A1]および[調整A2]の少なくとも一方の調整を行えるように構成される。[調整A1]
図9に示すスライド側跳上ストッパ86(傾斜部86a)がベース側跳上ストッパ85(傾斜部85a)を上側および奥側X2に押す力の大きさの調整。[調整A2]ベース側跳上ストッパ85(傾斜部85a)とスライド側跳上ストッパ86(傾斜部86a)との、上下方向およびスライド方向Xの隙間の大きさの調整。
【0055】
ネジ部87aは、跳上ストッパ取付部47に(ナット87bに)対して、螺進および螺退する。その結果、スライド体40に対してスライド側跳上ストッパ86が上下に移動する。ネジ部87aは、スライド側跳上ストッパ86と一体的に構成される。一体的に構成されたネジ部87aおよびスライド側跳上ストッパ86は、ボルト状である。ネジ部87aは、スライド側跳上ストッパ86から下に突出する。なお、跳上ストッパ締結部材87は、スライド側跳上ストッパ86とは別体でもよい。また、跳上ストッパ締結部材87は、ベース体30に対して上下方向に位置調整可能にベース側跳上ストッパ85を締結するものでもよい(図示なし)(上下方向に位置調整可能な構成については、例えば、
図8に示すスライド側上下規制部72の上下規制部取付部45への取り付けの構成を参照)。また、
図17に示すベース体30に対するベース側跳上ストッパ85の上下方向の位置と、スライド体40に対するスライド側跳上ストッパ86の上下方向の位置と、の両方が跳上ストッパ締結部材87により調整可能に構成されてもよい。
【0056】
引出ストッパ(91〜93)は、
図10に示すように、スライド体40が引出状態のときに(二点鎖線で示すスライド体40参照)、スライド体40がベース体30から脱落することを防ぐ。引出ストッパ(91〜93)は、スライド体40の手前側X1への引き出し過ぎによる脱落を防止する、脱落防止ストッパである。引出ストッパ(91〜93)は、ベース側引出ストッパ91と、スライド側引出ストッパ92と、脱落防止締結部材93と、を備える。
【0057】
ベース側引出ストッパ91は、ベース体30に固定される。ベース側引出ストッパ91は、ベース側格納ストッパ81と兼用される。ベース側格納ストッパ81とベース側引出ストッパ91とが兼用された場合、部品数を削減できる。なお、ベース側引出ストッパ91は、ベース側格納ストッパ81とは別に設けられてもよい。
【0058】
スライド側引出ストッパ92は、
図18に示すように、スライド体40に固定される。スライド方向Xから見て左右のスライド側引出ストッパ92・92それぞれ(
図8参照)は、例えば幅方向Yに直交する板状である。左右のスライド側引出ストッパ92・92それぞれは、例えば、取付部92aと、突出部92bと、を備える。取付部92aは、スライド体40に固定される部分である。突出部92bは、取付部92aから下に突出する。突出部92bは、取付部92aよりも手前側X1に突出する(手前側X1に突出しなくてもよい)。スライド側引出ストッパ92(取付部92a)は、スライド体40の奥側部分に配置される。スライド側引出ストッパ92(取付部92a)は、トレー部41の奥側X2部分(トレー奥板41r)に固定される。スライド側引出ストッパ92(取付部92a)は、トレー奥板41rと跳上ストッパ取付部47との間に固定される。
【0059】
このスライド側引出ストッパ92は、
図10に示すように、スライド体40が引出状態のときにベース側引出ストッパ91に接触可能に配置される(
図10では、スライド体40が引出状態のときのスライド側引出ストッパ92などを二点鎖線で示す)。具体的には、スライド側引出ストッパ92(突出部92b)は、ベース側引出ストッパ91(縦板81b)よりも奥側X2に配置され、かつ、ベース側引出ストッパ91に(縦板81b)に対向して(スライド方向Xに対向して)配置される。スライド側引出ストッパ92(突出部92b)は、スライド体40の下面から下に突出する。スライド側引出ストッパ92(突出部92b)は、トレー部41のトレー底板41bの下面よりも下に突出する。
図8に示すように、スライド側引出ストッパ92は、補強部49や左右規制部(75・76)よりも幅方向Y外側に配置される。スライド側引出ストッパ92は、上下規制部(71〜73)よりも幅方向Y内側に配置される。
【0060】
脱落防止締結部材93は、
図13に示すように、ベース体30に着脱可能にベース側引出ストッパ91を固定する。脱落防止締結部材93は、ベース体30からスライド体40(
図10参照)を取り外し可能とするための部材である。脱落防止締結部材93は、ボルトおよびナットにより構成される。このボルトは、ベース体30(本体部30a)およびベース側引出ストッパ91(横板81a)に形成されたボルト孔に通される。このボルトは、ベース体30の下からボルト孔に通される。脱落防止締結部材93を構成するナットは、ベース側引出ストッパ91の横板81aの上面に固定(例えば溶接により固定)される。
【0061】
(動作)
ベース体30に対するスライド体40の移動の規制などは、次のように行われる。
【0062】
(中間引出状態)
スライド体40が中間引出状態のとき、次の[規制A]および[規制B]が行われる。
[規制A]
図7に示すように、上下規制部(71〜73)は、引出状態のスライド体40の上への移動を規制する。この動作の詳細は次の通りである。スライド体40を手前側X1に引き出すと、バッテリ19の自重により、スライド体40の手前側X1部分が下に下がり、奥側X2部分が上に上がろうとする。このとき、スライド側上下規制部72の横板72bの上面が、ベース側上下規制部71の横板71bの下面に接触する。その結果、スライド体40の奥側X2部分の上への移動が規制される。
[規制B]
図8に示すように、左右規制部(75・76)は、スライド体40の幅方向Yへの移動を規制する。具体的には、スライド体40が幅方向Yに移動しようとすると、ベース側左右規制部75Lとスライド側左右規制部76Lとが接触する、または、ベース側左右規制部75Rとスライド側左右規制部76Rとが接触する。
【0063】
(最大引出状態)
スライド体40が最大引出状態のとき、上記[規制A]および[規制B]が行われ、さらに、次の[規制C]が行われる。
[規制C]
図10に示すように、引出ストッパ(91〜93)は、引出状態のスライド体40の手前側X1への移動を規制する。具体的には、スライド体40を手前側X1に引き出すと、ベース側引出ストッパ91の縦板81bの奥側X2の面と、スライド側引出ストッパ92の突出部92bの手前側X1端部と、が接触する。
[規制Cの解除]上記[規制C]は、次のように解除される。脱落防止締結部材93が、ベース体30およびベース側引出ストッパ91から取り外される。そして、ベース側引出ストッパ91が、ベース体30から取り外される。その結果、スライド体40は最大引出状態よりも手前側X1に移動可能となる。その結果、ベース体30からスライド体40を手前側X1に引き出して取り外すことが可能となる。
【0064】
(格納状態)
スライド体40が格納状態のとき、上記[規制B]が行われ、さらに、次の[規制D]〜[規制F]が行われる。
[規制D]
図9に示すように、跳上ストッパ(85〜87)は、スライド体40の奥側X2への移動を規制し、かつ、スライド体40の奥側X2部分の上への移動を規制する。この規制の詳細は次の通りである。スライド体40を奥側X2に移動させると、スライド側跳上ストッパ86(傾斜部86a)は、ベース側跳上ストッパ85(傾斜部85a)の下かつ手前側X1に配置される。また、スライド側跳上ストッパ86(傾斜部86a)は、ベース側跳上ストッパ85(傾斜部85a)に接触する。その結果、スライド体40の奥側X2および上への移動が規制される。
[規制E]
図10に示すように、ベース側格納ストッパ81およびスライド側格納ストッパ82は、格納状態のスライド体40の奥側X2への移動を規制する。具体的には、スライド体40を奥側X2に移動させるとベース側格納ストッパ81の縦板81bの手前側X1の面と、スライド側格納ストッパ82の縦板82cの奥側X2の面と、が接触する。
[規制F]格納ストッパ(81〜83)は、格納状態のスライド体40の手前側X1部分をベース体30に固定する。具体的には、ベース側格納ストッパ81の縦板81bとスライド側格納ストッパ82の縦板82cとが重ねられ(接触させられ)、これらが格納ストッパ締結部材83により締結される。
【0065】
(バッテリ搭載構造20の着脱)
図6に示す枠部21からのバッテリ搭載装置25の取り外しは、次のように行われる。ベース体30(本体部30a)と枠部21(枠底板21b)とを固定する締結部材(ボルト)が取り外される。そして、バッテリ搭載装置25が枠部21から手前側X1に引き出される。このとき、ベース体30には、スライド体40、スライドパッド60(
図7参照)、規制部およびストッパ類(71〜93)(
図7〜
図10参照)が取り付けられた状態である(サブアッセンの状態である)。そして、バッテリ搭載装置25が枠部21から取り外された状態で、バッテリ搭載装置25の調整が行われる。この調整には、
図8に示す隙間S1の大きさの調整がある。また、この調整には、
図9に示すスライド側跳上ストッパ86のスライド体40に対する上下方向の位置の調整などがある。
【0066】
(効果1)
図1に示す作業機械1のバッテリ搭載構造20による効果を説明する。バッテリ搭載構造20は、枠部21と、
図3に示すベース体30と、スライド体40と、を備える。
[構成1−1]ベース体30は、枠部21の内側に配置されるとともに、枠底板21b(枠部21の底面)に着脱可能に固定される。
[構成1−2]スライド体40は、ベース体30の上方に配置されるとともに、バッテリ19(
図5参照)が搭載される。
[構成1−3]スライド体40は、ベース体30に対してスライド可能に構成される。
[構成1−4]スライド体40は、
図6に示すようにスライド体40の少なくとも一部40aが枠部21の内側に配置された状態と、
図7に示すように一部40aが枠部21の外側に配置された状態と、の間でスライド可能に構成される。
【0067】
バッテリ搭載構造20(
図1参照、以下バッテリ搭載構造20について同様)は、上記[構成1−4]を備える。よって、
図7に示すように、スライド体40に搭載されたバッテリ19を、枠部21の内側から外側に容易に引き出せる。その結果、作業者は、バッテリ19のメンテナンスを容易に行える。
【0068】
図6に示すベース体30は、枠底板21bに対して着脱可能である(上記[構成1−1]参照)。また、スライド体40は、ベース体30の上方に配置される(上記[構成1−2]参照)。よって、ベース体30の上方にスライド体40が配置された状態(ベース体30とスライド体40とが組み立てられた状態)のままで、ベース体30およびスライド体40を枠部21から取り外せる。ベース体30およびスライド体40を枠部21から取り外した場合、ベース体30、スライド体40、およびこれらに取り付けられた部材(規制部およびストッパ類(71〜93)(
図7〜
図10参照)など)のメンテナンスや調整を容易に行える。すなわちバッテリ搭載構造20の構成部品のメンテナンスや調整を容易に行える。
【0069】
(効果2)
[構成2−1]
図7に示すように、バッテリ搭載構造20は、ベース体30体に固定されるベース側上下規制部71と、スライド体40に固定されるスライド側上下規制部72と、を備える。
[構成2−2]スライド側上下規制部72は、枠部21に対してスライド体40が引き出された引出状態のとき、
図8に示すように、ベース側上下規制部71の下方に配置されるとともにベース側上下規制部71に対向して配置される。
【0070】
バッテリ搭載構造20は、上記[構成2−1]を備える。よって、ベース側上下規制部71やスライド側上下規制部72は、枠部21(
図3参照)に固定される必要がない。よって、ベース側上下規制部71に対するスライド側上下規制部72の位置の設定(例えば隙間S1の大きさなど)を、枠部21(
図3参照)の製缶上の製作誤差と無関係に行える。
【0071】
バッテリ搭載構造20は、上記[構成2−2]を備える。よって、
図7に示す引出状態のスライド体40が上に移動しようとしたとき、スライド側上下規制部72がベース側上下規制部71に接触する。よって、引出状態のスライド体40の上への移動を規制できる。
【0072】
(効果3)
[構成3]
図8に示すように、バッテリ搭載構造20は、スライド体40に対して上下方向に位置調整可能にスライド側上下規制部72を固定する上下規制部締結部材73を備える。
[構成3’]上下規制部締結部材73は、ベース体30に対して上下方向に位置調整可能にベース側上下規制部71を固定してもよい(図示なし)。
【0073】
バッテリ搭載構造20は、上記[構成3]および[構成3’]の少なくとも一方を備える。よって、ベース側上下規制部71とスライド側上下規制部72との隙間S1の大きさを調整(管理)できる。隙間S1が適切な大きさに設定された場合は、引出状態のスライド体40の上への移動を規制しつつ(上記(効果2)参照)、スライド体40のスライド(スライド方向Xへの移動)を阻害しないようにできる。
【0074】
バッテリ搭載構造20は、上記[構成3]および[構成3’]の少なくとも一方を備える。さらに、上記のように、
図6に示すベース体30およびスライド体40は、枠部21に対して取り外すことが可能である(上記[構成1−1]および[構成1−2]参照)。よって、作業者は、ベース体30およびスライド体40を枠部21から取り外した状態で、上記の隙間S1(
図8参照)の大きさの調整を容易に行える。
【0075】
(効果4)
[構成4−1]
図8に示すように、スライド体40は、ベース体30との間に上下方向の間隔をあけて配置される。
[構成4−2]ベース側上下規制部71とスライド側上下規制部72とが対向する部分は、スライド体40の下方に配置される。
[構成4−3]ベース側上下規制部71とスライド側上下規制部72とが対向する部分は、幅方向Yにおけるスライド体40の幅以内に配置される。
【0076】
バッテリ搭載構造20は、上記[構成4−3]を備える。よって、ベース側上下規制部71およびスライド側上下規制部72を備える構成であっても、枠部21(
図1参照)の旋回フレーム前後方向Yの幅を広げる必要がない。よって、バッテリ搭載構造20の旋回フレーム前後方向Yの幅を抑制できる。
【0077】
(効果5)
図14に示すように、スライド体40は、バッテリ19(
図6参照)が搭載されるトレー部41と、スライド側上下規制部72が取り付けられる上下規制部取付部45と、を備える。
[構成5−1]上下規制部取付部45は、トレー部41の奥側X2部分に固定される。
[構成5−2]スライド側上下規制部72は、幅方向Yにおけるトレー部41の幅以内に配置される。
【0078】
上記[構成5−2]により、スライド側上下規制部72を備える構成であっても、
図1に示す枠部21の旋回フレーム前後方向Yの幅を広げる必要がない。さらに、バッテリ搭載構造20は、上記[構成5−1]を備える。よって、
図14に示すトレー部41とスライド側上下規制部72とが干渉しないようにスライド側上下規制部72を配置しつつ、上記[構成5−2]の配置を実現できる。
【0079】
(効果6)
[構成6−1]
図8に示すように、バッテリ搭載構造20は、ベース体30に固定されるベース側左右規制部75と、スライド体40に固定されるスライド側左右規制部76と、を備える。
[構成6−2]スライド側左右規制部76は、スライド方向Xから見てベース側左右規制部75の左右に配置されるとともにベース側左右規制部75に対向して配置される。
【0080】
バッテリ搭載構造20は、上記[構成6−1]を備える。よって、ベース側左右規制部75やスライド側左右規制部76は、枠部21(
図3参照)に固定される必要がない。よって、ベース側左右規制部75に対するスライド側左右規制部76の位置の設定を、枠部21(
図3参照)の製缶上の製作誤差と無関係に行える。
【0081】
バッテリ搭載構造20は、上記[構成6−2]を備える。よって、スライド体40が幅方向Yに移動しようとしたとき、スライド側左右規制部76は、ベース側左右規制部75に接触する。よって、スライド体40の幅方向Yの移動を規制できる。
【0082】
(効果7)
[構成7−1]
図8に示すように、スライド体40は、ベース体30との間に上下方向の間隔をあけて配置される。
[構成7−2]ベース側左右規制部75とスライド側左右規制部76とが対向する部分は、スライド体40の下方に配置される。
[構成7−3]ベース側左右規制部75とスライド側左右規制部76とが対向する部分は、幅方向Yにおけるスライド体40の幅以内に配置される。
【0083】
バッテリ搭載構造20は、上記[構成7−3]を備える。よって、ベース側左右規制部75およびスライド側左右規制部76を備える構成であっても、枠部21(
図1参照)の旋回フレーム前後方向Yの幅を広げる必要がない。よって、バッテリ搭載構造20の旋回フレーム前後方向Yの幅を抑制できる。
【0084】
(効果8)
[構成8]バッテリ搭載構造20は、ベース体30とスライド体40との間に配置されるスライドパッド60を備える。
【0085】
バッテリ搭載構造20は、上記[構成8]を備える。また、上記[構成4−1]および[構成7−1]では、ベース体30とスライド体40との間に上下方向の間隔がある。よって、スライドパッド60により、スライド体40のスライド方向Xのスライドを容易にするだけでなく、上記間隔をあけることもできる。
【0086】
(効果9)
[構成9−1]
図10に示すように、バッテリ搭載構造20は、ベース体30に固定されるベース側格納ストッパ81と、スライド体40に固定されるスライド側格納ストッパ82と、格納ストッパ締結部材83と、を備える。
[構成9−2]スライド側格納ストッパ82は、スライド体40の手前側X1部分に固定される。
[構成9−3]格納ストッパ締結部材83は、枠部21(
図6参照)に対してスライド体40が格納された格納状態のとき、ベース側格納ストッパ81とスライド側格納ストッパ82とを固定する。
【0087】
バッテリ搭載構造20は、上記[構成9−1]および[構成9−3]を備える。よって、スライド体40を格納状態に保持できる。
【0088】
バッテリ搭載構造20は、上記[構成9−2]を備える。よって、作業者は、格納ストッパ締結部材83の締結を、スライド体40の手前側X1から容易に行える。
【0089】
(効果10)
[構成10−1]
図9に示すように、バッテリ搭載構造20は、ベース体30に固定されるベース側跳上ストッパ85と、スライド体40に固定されるスライド側跳上ストッパ86と、を備える。
[構成10−2]スライド側跳上ストッパ86は、スライド体40の奥側X2部分に固定される。
[構成10−3]スライド側跳上ストッパ86は、枠部21(
図6参照)に対してスライド体40が格納された格納状態のとき、ベース側跳上ストッパ85の下方に配置されるとともにベース側跳上ストッパ85に対向して配置される。
【0090】
バッテリ搭載構造20は、上記[構成10−1]を備える。よって、ベース側跳上ストッパ85やスライド側跳上ストッパ86は、枠部21(
図3参照)に固定される必要がない。ベース側跳上ストッパ85に対するスライド側跳上ストッパ86の位置の設定を、枠部21(
図3参照)の製缶上の製作誤差と無関係に行える。
【0091】
バッテリ搭載構造20は、[構成10−2]および[構成10−3]を備える。よって、格納状態になったとき、または、格納状態のスライド体40の奥側X2部分が上に上がろうとしたとき、スライド側跳上ストッパ86はベース側跳上ストッパ85に接触する。よって、スライド体40の奥側X2部分の上への移動(跳ね上げ)を規制できる。
【0092】
(効果11)
[構成11]バッテリ搭載構造20は、スライド体40に対して上下方向に位置調整可能にスライド側跳上ストッパ86を固定する跳上ストッパ締結部材87を備える。
[構成11’]跳上ストッパ締結部材87は、ベース体30に対して上下方向に位置調整可能にベース側跳上ストッパ85を固定してもよい(図示なし)。
【0093】
バッテリ搭載構造20は、上記[構成11]および[構成11’]の少なくとも一方を備える。よって、スライド体40が格納状態のときの、スライド側跳上ストッパ86がベース側跳上ストッパ85を上に押す力を調整できる。または、スライド体40が格納状態のときの、スライド側跳上ストッパ86とベース側跳上ストッパ85との上下方向の隙間の大きさを調整できる。その結果、格納状態のスライド体40の奥側X2部分の跳ね上げの規制の度合いを調整できる(この調整を[調整α]とする)。
【0094】
バッテリ搭載構造20は、上記[構成11]および[構成11’]の少なくとも一方を備える。さらに、上記のように、ベース体30およびスライド体40は、枠部21(
図3参照)に対して取り外すことが可能である(上記[構成1−1]および[構成1−2]参照)。よって、作業者は、ベース体30およびスライド体40を枠部21(
図3参照)から取り外した状態で、上記調整αを容易に行える。
【0095】
(効果12)
[構成12]ベース側跳上ストッパ85は、手前側X1から奥側X2になるに従って表面の位置が下になるように傾斜する傾斜部85aを備える。
[構成12’]スライド側跳上ストッパ86は、手前側X1から奥側X2になるに従って表面の位置が下になるように傾斜する傾斜部86aを備える。
【0096】
バッテリ搭載構造20は、上記[構成12]および[構成12’]の少なくとも一方を備える。よって、スライド体40を引出状態から格納状態にしたときに、ベース側跳上ストッパ85の下方にスライド側跳上ストッパ86が確実に配置される。よって、スライド体40の奥側X2部分の跳ね上げを確実に規制できる。
【0097】
(効果13)
[構成13−1]
図10に示すように、バッテリ搭載構造20は、ベース体30に固定されるベース側引出ストッパ91と、スライド体40に固定されるスライド側引出ストッパ92と、を備える。
[構成13−2]スライド側引出ストッパ92は、ベース側引出ストッパ91よりも奥側X2に配置されるとともに、ベース側引出ストッパ91に対向して配置される。
【0098】
バッテリ搭載構造20は、上記[構成13−2]を備える。よって、スライド体40を手前側X1に引き出したとき、スライド側引出ストッパ92がベース側引出ストッパ91に接触する。よって、手前側X1へのスライド体40の移動を規制できる。よって、ベース体30からスライド体40が脱落することを防げる。
【0099】
(効果14)
[構成14]バッテリ搭載構造20は、ベース体30に着脱可能にベース側引出ストッパ91を固定する脱落防止締結部材93を備える。
【0100】
バッテリ搭載構造20では、上記[構成13−1]および[構成13−2]により、手前側X1へのスライド体40の移動が規制される。さらに、バッテリ搭載構造20は、上記[構成14]を備える。よって、ベース体30からベース側引出ストッパ91を容易に取り外せる。ベース体30からベース側引出ストッパ91を取り外した場合、手前側X1へのスライド体40の移動の規制が解除される。よって、ベース体30からスライド体40を手前側X1に引き出して取り外すことができる。
【0101】
(効果15)
[構成15−1]
図1に示すように、作業機械1は、前部に作業装置12が取り付けられるとともに後部にカウンタウェイト13が設けられる旋回フレーム11と、旋回フレーム11に対して移動可能に構成される可動式キャブ14と、旋回フレーム11に対して可動式キャブ14を移動可能に支持するとともに基部15bが旋回フレーム11に固定されるキャブ支持ブラケット15と、を備える。
[構成15−2]枠部21は、キャブ支持ブラケット15の基部15bに形成される。
[構成15−3]スライド体40は、旋回フレーム左右方向X(旋回フレーム11の左右方向)にスライド可能に構成される。
【0102】
(課題)後述する「(効果15−1)」及び「(効果15−2)」に関連する課題について説明する。
図20および
図21に、従来の可動式キャブを備える作業機械の一例を示す。
図20は、従来の作業機械のキャブ支持ブラケット215の周辺を横から見た図である。
図21は、
図20に示すキャブ支持ブラケット215の周辺を上から見た図(
図20のF21矢視図)である。
【0103】
従来の作業機械には、キャブ支持ブラケット215の基部の横に複数のバッテリ219が配置されたものがある。これらのバッテリ219は、バッテリ長手方向が旋回フレームの前後方向(旋回フレーム前後方向Y)となるように直列的に配置される。このバッテリ219の配置は、標準機(旋回フレームにキャブが固定された作業機械)のレイアウトを崩さないようにするための配置であり、また、可動式キャブを備える作業機械と標準機との部品の共通化を優先させた配置である。
【0104】
また、
図21に示すように、これらのバッテリ219は、キャブ支持ブラケット215の基部の内側にバッテリ219の一部が入り込むように配置される。このバッテリ219の配置は、旋回フレームの左右方向(旋回フレーム左右方向X)の幅を狭くするための配置であり、例えば上部旋回体が輸送制限幅を超えないようにするための配置である。
【0105】
(課題1)
図20および
図21に示す従来の作業機械では、キャブ支持ブラケット215の基部横に複数のバッテリ219が直列的に配置されている。その結果、可動式キャブ214(運転室)への昇降性が悪化するおそれがある。この問題の詳細は次の通りである。可動式キャブ214は、キャブ支持ブラケット215の基部の前方に配置される。そのため、作業機械の操作者は、キャブ支持ブラケット215の基部横の前方に配置されるステップ(足を乗せるためのスペース)を通って、可動式キャブ214への昇降を行う場合がある。しかし、ステップの広さがバッテリ219に制限され、その結果、可動式キャブ214への昇降性が悪化するおそれがある。
【0106】
(課題2)また、上記従来技術では、旋回フレーム前後方向Yにおけるキャブ支持ブラケット215の基部の長さが長くなる結果、可動式キャブ214から下方が見えにくくなるおそれがある。この問題の詳細は次の通りである。上記のように、バッテリ219は、キャブ支持ブラケット215の基部の内側にバッテリ219の一部が入り込むように配置される場合がある。この場合、バッテリ219の配置スペースを確保するためには、旋回フレーム前後方向Yにおけるキャブ支持ブラケット215の基部の長さを十分長くする必要が生じる。すると、キャブ支持ブラケット215を長くした分、可動式キャブ214は前方に配置されることになる。その結果、例えば作業機械の走行時に、可動式キャブ214から下方を覗き込んだとき、下部走行体の先端(例えばクローラの先端)が操作者から見えない(または見えにくい)おそれがある。
【0107】
(効果15−1)上記[構成15−1]及び[構成15−2]を備える作業機械1では、枠部21の横の前方(旋回フレーム前後方向Yにおける前方)に、ステップ(
図1に示す作業機械1の操作者が足をのせるためのスペース、図示なし)が配置される。また、バッテリ搭載構造20は、上記[構成1−4]を備える。よって、
図6に示すスライド体40に搭載されたバッテリ19を、枠部21の内側に格納できるので、枠部21の外側でのバッテリ19の配置スペースを狭くできる(またはなくせる)。その結果、上記ステップが狭くなることを抑制できる。その結果、可動式キャブ14(
図1参照)への昇降性を向上させることができる。すなわち上記「(課題1)」を解決できる。
【0108】
(効果15−2)上記[構成15−2]を備える作業機械1では、枠部21の旋回フレーム左右方向Xの長さが長くなるほど、可動式キャブ14が旋回フレーム前後方向Y前側に配置されることになる。その結果、例えば作業機械1の走行時に、可動式キャブ14から下方を覗き込んだとき、下部走行体2の先端(例えばクローラの先端)が操作者から見えない(または見えにくい)という問題(上記「(課題2)」)が生じ得る。一方、上記[構成1−4]により、
図6に示すようにバッテリ19を枠部21の内側に格納できる。よって、従来技術(
図20および
図21参照)のようにバッテリ19の長手方向を旋回フレーム前後方向Yにして、複数のバッテリ19を旋回フレーム前後方向Yに直列的に配列する必要がない。よって、
図1に示す枠部21が旋回フレーム前後方向Yに長くなることを抑制できる。その結果、可動式キャブ14を、旋回フレーム前後方向Y後側(従来技術に比べて後側)に配置できる。その結果、例えば作業機械1の走行時に、可動式キャブ14から下方を覗き込んだとき、下部走行体2の先端(例えばクローラの先端)が操作者から見えない(または見えにくい)という問題を抑制できる。
【0109】
(変形例)
図19を参照して、変形例のバッテリ搭載装置125(バッテリ搭載構造120)について、上記実施形態のバッテリ搭載装置25(
図8参照)との相違点を説明する。なお、変形例のバッテリ搭載装置125のうち、バッテリ搭載装置25(
図8参照)との共通点には同一の符号を付した。
図8に示すように、上記実施形態では、ベース側上下規制部71(横板71b)とスライド側上下規制部72(横板72b)とが対向する部分は、幅方向Yにおけるスライド体40の幅以内、かつ、スライド体40の下方に配置された。一方、
図19に示す変形例では、ベース側上下規制部171(横板171b)とスライド側上下規制部172(横板172b)とが対向する部分は、幅方向Yにおけるスライド体40の幅よりも外側に配置される。この相違点の詳細は次の通りである。
【0110】
ベース側上下規制部171の縦板171aは、幅方向Yにおけるスライド体40の幅よりも外側に配置される。ベース側上下規制部171の横板171bは、縦板71aの上端部から、幅方向Y内側に突出する。
【0111】
スライド側上下規制部172の横板172bは、縦板72aの下端部から、幅方向Y外側に突出する。横板171bは、スライド方向Xから見て、スライド体40よりも(トレー部41よりも、トレー側板41sよりも)幅方向Y外側に突出する。
【0112】
(その他の変形例)
上記実施形態では、
図1に示すバッテリ搭載構造20は、キャブ支持ブラケット15の基部15bに配置された。しかし、バッテリ搭載構造20は、キャブ支持ブラケット15の基部15b以外の位置であって、枠部(21)がある部分に配置されてもよい。例えば、バッテリ搭載構造20は、作業機械1が備える各種機器(エンジン、ラジエーター、ポンプ、タンクなど)を、支える枠部(21)およびその内側に配置されてもよい。
また、上記実施形態では、スライド方向Xは、旋回フレーム左右方向Xであった。しかし、スライド方向Xは、旋回フレーム左右方向Xとは異なる方向でもよい。スライド方向Xは、水平方向と平行であることが好ましい。スライド方向Xが水平方向と平行の場合、スライド方向Xが水平方向に対して傾斜している場合に比べて、スライド体40の移動(スライド)を容易に行える。
また、上記実施形態では、作業機械1は、可動式キャブ14を備えた。しかし、作業機械1は、旋回フレーム11に固定されるキャブ(固定式キャブ)を備えてもよい。