(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、読取装置本体の原稿台に対する位置決めと収容部材からの脱落防止とが簡易な構成で実現できる画像読取装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載の画像読取装置は、原稿台に載せられた原稿を読み取る読取装置本体と、前記読取装置本体を収容し、前記原稿を読み取るときに、前記原稿の一端部から他端部へ移動する収容部材と、
前記読取装置本体の下面と前記収容部材の底面との間に設けられ、前記読取装置本体を付勢する付勢部材と、前記読取装置本体に取り付けられ、
前記付勢部材から前記読取装置本体を介して付勢されて前記原稿台に接することで前記読取装置本体の高さ方向の位置決めをする凸部と、前記収容部材に形成された被係合部に前記高さ方向で係合する係合部と、を有する位置決め部材と、を備えている。
【0006】
また、請求項2に記載の画像読取装置は、
原稿台に載せられた原稿を読み取る読取装置本体と、前記読取装置本体を収容し、前記原稿を読み取るときに、前記原稿の一端部から他端部へ移動する収容部材と、前記読取装置本体に取り付けられ、前記原稿台に接することで前記読取装置本体の高さ方向の位置決めをする凸部と、前記収容部材に形成された被係合部に前記高さ方向で係合する係合部と、を有する位置決め部材と、を備え、前記読取装置本体は、前記係合部に隣接した位置に突起部を有し、前記収容部材は、前記読取装置本体が収容されるときに、前記係合部と前記突起部とを案内する案内部を有している。
【0007】
また、請求項3に記載の画像読取装置は、請求項1又は請求項2に記載の画像読取装置であって、前記係合部の下端部は、前記読取装置本体よりも下方へ向けて突出されている。
【0008】
また、請求項4に記載の画像読取装置は、
原稿台に載せられた原稿を読み取る読取装置本体と、前記読取装置本体を収容し、前記原稿を読み取るときに、前記原稿の一端部から他端部へ移動する収容部材と、前記読取装置本体の下面両端部と前記収容部材の底面両端部との間に設けられた付勢部材と、前記読取装置本体に取り付けられ、前記原稿台に接することで前記読取装置本体の高さ方向の位置決めをする凸部と、前記収容部材に形成された被係合部に前記高さ方向で係合する係合部と、を有する位置決め部材と、を備え、前記読取装置本体の長手方向から見て、前記係合部は、前記付勢部材と重なる位置に配置されている。
【0009】
また、請求項5に記載の画像読取装置は、
原稿台に載せられた原稿を読み取る読取装置本体と、前記読取装置本体を収容し、前記原稿を読み取るときに、前記原稿の一端部から他端部へ移動する収容部材と、前記読取装置本体の下面両端部と前記収容部材の底面両端部との間に設けられた付勢部材と、前記読取装置本体に取り付けられ、前記原稿台に接することで前記読取装置本体の高さ方向の位置決めをする凸部と、前記収容部材に形成された被係合部に前記高さ方向で係合する係合部と、を有する位置決め部材と、を備え、前記収容部材の移動方向から見て、前記凸部は、前記付勢部材の直上に配置されている。
【0010】
また、請求項6に記載の画像読取装置は、
原稿台に載せられた原稿を読み取る読取装置本体と、前記読取装置本体を収容し、前記原稿を読み取るときに、前記原稿の一端部から他端部へ移動する収容部材と、前記読取装置本体に取り付けられ、前記原稿台に接することで前記読取装置本体の高さ方向の位置決めをする凸部と、前記収容部材に形成された被係合部に前記高さ方向で係合する係合部と、を有する位置決め部材と、を備え、前記収容部材は、上方が開放された被挿入部を有し、前記読取装置本体は、前記収容部材に収容されるときに、前記被挿入部に挿入される挿入部を有している。
【0011】
また、請求項7に記載の画像読取装置は、
原稿台に載せられた原稿を読み取る読取装置本体と、前記読取装置本体を収容し、前記原稿を読み取るときに、前記原稿の一端部から他端部へ移動する収容部材と、前記読取装置本体に取り付けられ、前記原稿台に接することで前記読取装置本体の高さ方向の位置決めをする凸部と、前記収容部材に形成された被係合部に前記高さ方向で係合する係合部と、を有する位置決め部材と、を備え、前記位置決め部材は、一対の脚部を有し、該脚部に形成された係止部が、前記係合部から前記読取装置本体の長手方向中央部側へ離れた位置に形成された被係止部に係止されることで、前記読取装置本体に取り付けられている。
【0012】
また、請求項8に記載の画像読取装置は、
原稿台に載せられた原稿を読み取る読取装置本体と、前記読取装置本体を収容し、前記原稿を読み取るときに、前記原稿の一端部から他端部へ移動する収容部材と、前記読取装置本体に取り付けられ、前記原稿台に接することで前記読取装置本体の高さ方向の位置決めをする凸部と、前記収容部材に形成された被係合部に前記高さ方向で係合する係合部と、を有する位置決め部材と、を備え、前記係合部に爪部が形成されるとともに該爪部の上面が斜め上方外側へ向かって傾斜する傾斜面とされ、前記爪部の上面と対向する前記被係合部の下面も斜め上方外側へ向かって傾斜する傾斜面とされている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、凸部が原稿台に接することで読取装置本体の高さ方向の位置決めをする位置決め部材が、収容部材に形成された被係合部に読取装置本体の高さ方向で係合する係合部を有していない構成に比べて、読取装置本体の原稿台に対する位置決めと収容部材からの脱落防止とを簡易な構成で実現することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、収容部材に読取装置本体が収容されるときに、収容部材が、係合部と突起部とを案内する案内部を有していない構成に比べて、読取装置本体が収容部材に収容されるときの案内性を向上させることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、係合部の下端部が、読取装置本体よりも下方へ向けて突出されていない構成に比べて、読取装置本体が収容部材に収容されるときの案内性を向上させることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、読取装置本体の長手方向から見て、係合部が、付勢部材と重なる位置に配置されていない構成に比べて、付勢部材を含む読取装置本体が収容部材に収容されるときの案内性を向上させることができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、収容部材の移動方向から見て、凸部が、付勢部材の直上に配置されていない構成に比べて、読取装置本体の原稿台に対する位置決めが精度よくできる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、収容部材に読取装置本体が収容されるときに、読取装置本体が、収容部材に形成された被挿入部に挿入される挿入部を有していない構成に比べて、読取装置本体の収容部材に対する位置決めが精度よくできる。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、位置決め部材の脚部に形成された係止部が、係合部に近接した位置に形成されている構成に比べて、位置決め部材が読取装置本体から外れ難くすることができる。
【0020】
請求項8に記載の発明によれば、係合部に形成された爪部の上面が、斜め上方外側へ向かって傾斜する傾斜面とされず、爪部の上面と対向する被係合部の下面も、斜め上方外側へ向かって傾斜する傾斜面とされていない構成に比べて、位置決め部材が読取装置本体から外れ難くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を基に詳細に説明する。なお、各図において、矢印UPを画像読取装置10の上方向とし、矢印FRを画像読取装置10の前方向とする。そして、矢印RIを画像読取装置10の右方向とし、原稿台14に載せられた原稿を読取装置本体50が読み取るときの主走査方向(収容部材30の移動方向)とする。また、原稿台14に載せられる原稿は、左右方向が長手方向とされる。
【0023】
図1に示されるように、画像読取装置10は、筐体12の上部側に、原稿が載せられる原稿台14を有している。原稿台14は、左右方向が長手方向となる長方形状(矩形状)に形成された透明なガラス板であり、カバー体16によって開閉されるようになっている。このカバー体16は、原稿台14よりも一回り大きい長方形状(矩形状)に形成されており、筐体12の後部側に左右一対で設けられたヒンジ部15によって上下方向に開閉可能に構成されている。
【0024】
図2に示されるように、筐体12の内部(原稿台14の下方)には、原稿台14に載せられた原稿を読み取る読取装置本体(CISユニット)50が設けられている。読取装置本体50は、原稿の短手方向(原稿の長手方向と直交する方向)の長さ以上の長さとされ、主走査方向(原稿の長手方向一端部から他端部へ)へ移動しつつ原稿を読み取るようになっている。そして、筐体12の内部(原稿台14の下方)には、読取装置本体50(後述する収容部材30)を主走査方向へ移動させる移動機構20が設けられている。
【0025】
詳細に説明すると、移動機構20は、筐体12内の前後方向略中央部に左右方向(主走査方向)を軸方向として設けられた円柱状のシャフト22を有している。このシャフト22は、左右の両端部が、筐体12内の左右両端部に一体に形成された支持部18に固定されており、読取装置本体50が収容される収容部材(キャリッジハウジング)30を主走査方向(右方向)と、それとは逆の復帰方向(左方向)へ移動可能に支持している。
【0026】
また、移動機構20は、筐体12内の右端部(シャフト22の軸方向一端部)側に設けられたタイミングプーリ24と、筐体12内の左端部(シャフト22の軸方向他端部)側に設けられたタイミングプーリ26と、タイミングプーリ24とタイミングプーリ26とに、内周面に形成された噛合歯28Aを噛み合わせるようにして巻き掛けられたタイミングベルト28と、一方(例えば右側)のタイミングプーリ24と同軸的に設けられ、そのタイミングプーリ24を正逆両方向に回転駆動させる駆動モーター(図示省略)と、を有している。
【0027】
したがって、駆動モーターの駆動により、タイミングプーリ24が正逆両方向へ回転することで、タイミングベルト28の前後一方側が主走査方向へ移動し、前後他方側が復帰方向へ移動するようになっている。つまり、タイミングベルト28の前後一方側と前後他方側とは、互いに同期して反対方向に移動するようになっている。そして、
図3に示されるように、収容部材30は、例えば前側のタイミングベルト28に取り付けられている。
【0028】
詳細に説明すると、収容部材30は、前後方向(平面視で主走査方向と直交する方向)が長手方向とされた(原稿の短手方向の長さ以上の長さとされた)筐体であり、寸法精度を確保するとともに温度による変形を抑制するために、ガラス入りの樹脂材(例えばガラス入難燃変性PPE(ポリフェニレンエーテル)成形材料)で成形されている。そして、
図2〜
図5に示されるように、収容部材30の底壁32の下面側における長手方向略中央部には、シャフト22に支持されるガイド部材34が取り付けられている。
【0029】
図3、
図5に示されるように、ガイド部材34は、主走査方向の下流側端部及び上流側端部に、それぞれ主走査方向から見て、略逆「U」字状となる凹溝部36を有しており、各凹溝部36がシャフト22の外周面に上方から載せられることで、収容部材30の長手方向略中央部がシャフト22に支持されている。なお、収容部材30の長手方向両端部は、
図2に示されるように、筐体12に一体に形成された支持台17に移動可能に支持されている。
【0030】
また、
図3、
図5に示されるように、ガイド部材34に隣接する底壁32の下面側における長手方向略中央部(ガイド部材34の後側)には、タイミングベルト28の噛合歯28Aと噛合させる噛合部38が一体に形成されている。この噛合部38は、矩形ブロック状に形成されており、その下端中央部には、タイミングベルト28の厚さ以上の間隙が形成されている。そして、噛合部38の間隙内における一方(本実施形態では後側)の内面には、噛合歯38Aが形成されている。
【0031】
したがって、
図3に示されるように、噛合部38の間隙内にタイミングベルト28の前側が挿入され、その前側の噛合歯28Aが噛合歯38Aに噛み合うことにより、収容部材30が噛合部38を介してタイミングベルト28に、その周回方向で固定されるようになっている。これにより、タイミングベルト28の移動に伴い、収容部材30がシャフト22及び支持台17に支持されつつ主走査方向及び復帰方向へ移動するようになっている。
【0032】
なお、
図2に示されるように、タイミングベルト28よりも後側の筐体12内には、読取装置本体50で読み取った画像データを送るためのフレキシブルケーブル40が配設されており、そのフレキシブルケーブル40の一端部40Aは、読取装置本体50に接続されている。そして、このフレキシブルケーブル40は、読取装置本体50を収容した収容部材30の移動に追従可能になっている。
【0033】
図4に示されるように、読取装置本体50は、前後方向(平面視で主走査方向と直交する方向)が長手方向とされた(原稿の短手方向の長さ以上の長さとされた)長尺状に形成されており、寸法精度を確保するとともに温度による変形を抑制するために、ガラス入りの樹脂材(例えばガラス入難燃変性PPE(ポリフェニレンエーテル)成形材料)で成形されている。そして、読取装置本体50の上部で、かつ幅方向(左右方向、主走査方向)中央部には、読取装置本体50の長手方向に沿った(長手方向に延在する)読取部52が設けられている。
【0034】
また、
図6に示されるように、この読取装置本体50は、収容部材30内に上方から挿入されて収容されるようになっている。なお、読取装置本体50の前壁50A及び後壁50B(
図5参照)にそれぞれ設けられる、後述する挿入部54や突起部56は、前後対称に形成されている。同様に、収容部材30の前壁30A及び後壁30B(
図5参照)にそれぞれ設けられる、後述する切欠部42やリブ46(
図9参照)も、前後対称に形成されている。
【0035】
詳細に説明すると、
図6に示されるように、読取装置本体50の前壁50A及び後壁50B(
図5参照)には、それぞれ読取装置本体50の長手方向へ突出する凸状(角柱状)の挿入部54が一体に、かつ主走査方向で同一位置に形成されている。なお、
図4に示されるように、読取装置本体50の右側壁50Cにおける長手方向一端部側(例えば後側)には、主走査方向(右方向)へ突出する凸状(角柱状)の挿入部55が一体に形成されている。
【0036】
一方、収容部材30の前壁30A及び後壁30B(
図5参照)には、上方側が開放された被挿入部の一例としての切欠部42が主走査方向で同一位置に形成されている。そして、
図4に示されるように、収容部材30の右側壁30Cにおける長手方向一端部側(例えば後側)には、上方側が開放された被挿入部の一例としての切欠部43が形成されている。
【0037】
ここで、各切欠部42、43の幅は、それぞれ各挿入部54、55の幅と同じか、それよりも若干大きく形成されている。したがって、読取装置本体50が、収容部材30に収容されるときには、各挿入部54、55が、各切欠部42、43にほぼ隙間なく挿入される構成になっている(
図7参照)。
【0038】
また、
図6、
図7、
図9に示されるように、収容部材30の前壁30A及び後壁30B(
図5参照)の左右方向略中央下部には、後述する係合部70が高さ方向(上下方向)で係合可能となる被係合部の一例としての開口部44が形成されている。この開口部44は、高さ方向が長手方向とされた矩形状に形成されており、底壁32の長手方向両端部で、かつ左右方向略中央部の一部も切り欠かれて形成されている。
【0039】
そして、
図9に示されるように、開口部44よりも、収容部材30の長手方向内側における底壁32の上面(底面)両端部で、かつ左右方向略中央部には、後述するコイルスプリング48の下端部が嵌められるボス部33が一体に突設されている。このボス部33は、平面視十字状に形成されており、読取装置本体50が収容部材30に収容されたときに、コイルスプリング48の環状に形成された下端部内に挿入されるようになっている。
【0040】
また、読取装置本体50の長手方向両端部には、位置決め部材の一例としてのスペーサー60がそれぞれ装着されている。
図4、
図6〜
図8に示されるように、各スペーサー60は、読取装置本体50の長手方向(前後方向)から見て略逆「U」字状に形成されており、その一対の脚部62は、主走査方向(左右方向)から見て、読取装置本体50の前壁50A及び後壁50B(後述する係合部70)から長手方向中央部側へ離れるように屈曲されている。
【0041】
そして、一対の脚部62の下端部には、係止部の一例としての爪部63がそれぞれ形成されている。なお、
図5、
図6に示されるように、読取装置本体50の左側壁50D(
図7参照)及び右側壁50Cにおける下端部には、爪部63が係止される被係止部の一例としての切欠部53がそれぞれ形成されている。
【0042】
また、一対の脚部62の上端部は、読取装置本体50の幅方向(左右方向、主走査方向)が長手方向とされた矩形平板状の連結部64によって一体に連結されている。そして、連結部64の下面には、読取装置本体50の上部の長手方向両端部に形成されたボス穴58に挿入される円柱状のボス部68が、読取装置本体50の幅方向(左右方向、主走査方向)に予め決められた間隔を隔てて一体に突設されている。
【0043】
したがって、
図5に示されるように、前後一対として設けられるスペーサー60は、各ボス穴58に各ボス部68が挿入され、一対の脚部62の下端部に形成された各爪部63が、読取装置本体50に形成された各切欠部53に係止されることにより、読取装置本体50の長手方向両端部にそれぞれ取り付けられるようになっている。
【0044】
また、
図7、
図8に示されるように、連結部64の上面には、読取装置本体50の長手方向(前後方向)から見て略半円形状となる(略半円板状の)凸部66が、読取装置本体50の幅方向(左右方向、主走査方向)に予め決められた間隔を隔てて一体に突設されている(ボス部68の表裏反対側に凸部66が形成されている)。
【0045】
そして、
図3に示されるように、この一対の凸部66が、予め決められた圧力(後述するコイルスプリング48の付勢力)で原稿台14の裏面に主走査方向及び復帰方向へ摺動可能に接触するようになっている。したがって、スペーサー60は、原稿台14との摺動性が良好な樹脂材の一例であるポリアセタール(POM)で成形されている。
【0046】
また、
図4〜
図8に示されるように、このスペーサー60の連結部64における一方(読取装置本体50の長手方向外側)の辺縁部の左右方向中央部には、下方へ向かって延在する係合部70が一体に形成されている。この係合部70は、読取装置本体50の前壁50A及び後壁50Bにそれぞれ対向配置されており、その高さは、読取装置本体50の高さよりも高くされている。
【0047】
つまり、係合部70の下端部は、読取装置本体50の下面よりも下方側へ向けて突出されている。そして、読取装置本体50の下面よりも下方側へ向けて突出されている係合部70の下端部が前後方向へ弾性変形可能なように、係合部70の中途部から下側の板厚が上側の板厚よりも薄く形成されている。この係合部70の下端部(後述する爪部72)が収容部材30の開口部44に高さ方向で係合可能になっている。
【0048】
詳細に説明すると、係合部70の下端部には、読取装置本体50の長手方向外側へ向かって突出する爪部72が形成されており、その爪部72の上面72Aは、斜め上方外側へ向かって傾斜する傾斜面とされている。一方、その爪部72の上面72Aと対向する開口部44の上側辺縁部における下面44Aも、斜め上方外側へ向かって傾斜する傾斜面とされている(
図5参照)。これにより、スペーサー60が前後方向(読取装置本体50の長手方向)に傾いても、開口部44から爪部72が外れ難くなる構成になっている。
【0049】
また、
図6に示されるように、読取装置本体50の前壁50A及び後壁50Bにおいて、挿入部54とは係合部70を挟んで反対側で、かつ係合部70に隣接する位置には、突起部56が形成されている。つまり、係合部70と突起部56との間には、僅少な隙間Sが形成されている。
【0050】
そして、
図9に示されるように、収容部材30の前壁30A及び後壁30Bの内面で、開口部44に隣接する位置には、案内部の一例としての薄板状のリブ46が高さ方向に沿って形成されている。このリブ46の板厚は、隙間Sの幅と同じか、それよりも若干小さく形成されている。
【0051】
したがって、読取装置本体50が収容部材30に収容されるときには、係合部70と突起部56との間の隙間Sにリブ46が挿入されるようになっており、読取装置本体50は、係合部70と突起部56とがリブ46に案内されつつ収容部材30に収容されるようになっている。
【0052】
また、
図5、
図6に示されるように、読取装置本体50の下面両端部と収容部材30の底壁32の上面(底面)両端部との間には、付勢部材の一例としてのコイルスプリング48が設けられている。詳細に説明すると、前後一対として設けられるコイルスプリング48は、上端部が、読取装置本体50の下面両端部に取り付けられており、読取装置本体50が収容部材30に収容されたときに、下端部が、収容部材30の底壁32の上面(底面)両端部に突設されたボス部33に嵌められるようになっている。
【0053】
なお、
図7に示されるように、読取装置本体50の長手方向から見て、各コイルスプリング48は、各係合部70の下端部と重なる位置(望ましくは同一位置)に配置されている。つまり、各係合部70は、各コイルスプリング48に対して、それぞれ近接した位置に配置されている。また、
図5に示されるように、各コイルスプリング48は、主走査方向から見て、各凸部66の直下に配置されている。換言すれば、主走査方向から見て、各凸部66は、各コイルスプリング48の直上に配置されている。
【0054】
以上のような構成のスペーサー60を備えた画像読取装置10において、次にその作用(読取装置本体50の収容部材30への組み付け方法)について説明する。
【0055】
まず、前後一対として設けられるコイルスプリング48の各上端部を読取装置本体50の下面両端部にそれぞれ取り付ける。そして、読取装置本体50の長手方向両端部に、前後一対として設けられるスペーサー60をそれぞれ装着する。すなわち、各スペーサー60のボス部68を読取装置本体50のボス穴58に挿入し、脚部62における爪部63を読取装置本体50の切欠部53に係止する。
【0056】
ここで、読取装置本体50の切欠部53は、それぞれ前壁50A及び後壁50Bから離れた位置に形成されている。そして、スペーサー60の脚部62における爪部63は、係合部70から離れた位置に形成されている。したがって、読取装置本体50を収容部材30内に挿入した際など、係合部70を上方へ押し上げるような力が相対的に加わっても、切欠部53に係止されている爪部63によって係合部70の傾きを抑えられるので、切欠部53から爪部63が外れるのが抑制又は防止される。
【0057】
コイルスプリング48及びスペーサー60を読取装置本体50に取り付けたら、読取装置本体50を収容部材30に収容する。すなわち、収容部材30の前壁30A及び後壁30Bにより、各スペーサー60の係合部70(爪部72)をそれぞれ読取装置本体50の前壁50A側及び後壁50B側へ向かって弾性変形させつつ、かつ読取装置本体50の突起部56と係合部70との間の隙間Sに、収容部材30のリブ46を挿入させつつ、読取装置本体50を収容部材30内に上方から挿入する。
【0058】
ここで、係合部70の下端部(爪部72)は、読取装置本体50の下面よりも下方側へ向けて突出されている。したがって、読取装置本体50が収容部材30内へ挿入されるのに伴い、係合部70の下端部(爪部72)が早期に(突起部56よりも先に)リブ46に案内されるので、読取装置本体50が収容部材30内に挿入されるときの案内性が向上される。
【0059】
そして、読取装置本体50は、係合部70及び突起部56がリブ46に案内されることにより、更に案内性が向上され、収容部材30の底壁32に対して垂直に挿入される。また、読取装置本体50の長手方向から見て、係合部70の下端部は、コイルスプリング48と重なる位置(望ましくは同一位置)に配置されている。
【0060】
つまり、係合部70は、コイルスプリング48に近接して配置されている。したがって、読取装置本体50が収容部材30内に挿入される際、コイルスプリング48のボス部33に対する位置決め性も向上される。よって、コイルスプリング48の下端部は、収容部材30のボス部33に容易に組み付けられる(嵌められる)。
【0061】
また、読取装置本体50が収容部材30に収容されるときには、読取装置本体50の各挿入部54、55が、収容部材30の各切欠部42、43にほぼ隙間なく挿入される。ここで、読取装置本体50及び収容部材30は、ガラス入りの樹脂材で成形されており、剛性(強度)が高い。したがって、各挿入部54、55が各切欠部42、43に挿入されることにより、収容部材30に対する読取装置本体50の左右方向(主走査方向)及び前後方向(長手方向)の位置が精度よく位置決めされる。
【0062】
こうして、コイルスプリング48の下端部をボス部33に組み付けつつ(嵌めつつ)、読取装置本体50を収容部材30内に収容したら、係合部70の爪部72が、収容部材30の開口部44に、その弾性復元力によって挿入される。これにより、読取装置本体50が収容部材30に装着される。したがって、例えば画像読取装置10の製造時に、読取装置本体50が収容された収容部材30を落下させても、爪部72が開口部44に高さ方向で係合することにより、読取装置本体50の収容部材30からの脱落が防止される。
【0063】
しかも、爪部72の上面72Aは、斜め上方外側へ向かって傾斜する傾斜面とされており、爪部72の上面72Aと対向する開口部44の上側辺縁部における下面44Aも、斜め上方外側へ向かって傾斜する傾斜面とされている。したがって、読取装置本体50が収容された収容部材30を落下させたときに、スペーサー60が前後方向(読取装置本体50の長手方向)へ傾いても、爪部72が開口部44から外れるのが防止される。
【0064】
また、主走査方向から見て、各スペーサー60の凸部66は、各コイルスプリング48の直上に配置されているため、各コイルスプリング48の付勢力(弾性復元力)により、上方へ向けて効率よく付勢されて原稿台14の裏面に接触する。したがって、読取装置本体50は、各凸部66により、原稿台14に対する高さ方向の位置が精度よく位置決めされる。なお、各凸部66が接触する原稿台14の裏面の公差(ガラス板の成形上の寸法誤差)を許容するため、爪部72の上面72Aは、開口部44の上側辺縁部における下面44Aに非接触とされる。
【0065】
以上、説明したように、本実施形態に係る画像読取装置10では、原稿台14に対する読取装置本体50の高さ方向の位置決めを行うスペーサー60によって、読取装置本体50の収容部材30からの脱落が防止される。つまり、読取装置本体50の原稿台14に対する位置決めと収容部材30からの脱落防止とが簡易な構成で実現される。
【0066】
また、読取装置本体50の収容部材30からの脱落を防止するために、例えば弾性変形させる爪部(図示省略)を読取装置本体50や収容部材30に形成すると、読取装置本体50や収容部材30は、ガラス入りの樹脂材で成形されているため、爪部が弾性変形したときには、その弾性変形量に耐えきれないおそれがある。すなわち、読取装置本体50や収容部材30に爪部をきっかけとした割れなどが発生するおそれがある。
【0067】
しかしながら、本実施形態に係る画像読取装置10では、読取装置本体50や収容部材30ではなく、読取装置本体50に取り付けられるスペーサー60に、脱落防止用の爪部72(係合部70)を形成したので、読取装置本体50や収容部材30に割れなどが発生するおそれがない。
【0068】
しかも、スペーサー60は、読取装置本体50や収容部材30に比べて小さい部品であるため、成形用の金型を製造し易く、また、爪部72が破損するなどして交換が必要になった場合でも、容易に交換することが可能となる。よって、本実施形態に係る画像読取装置10は、コスト的にも有利となる。
【0069】
以上、本実施形態に係る画像読取装置10について、図面を基に説明したが、本実施形態に係る画像読取装置10は、図示のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能なものである。例えば、挿入部54、55や突起部56の形状は、図示の形状に限定されるものではない。また、挿入部54や突起部56は、前後対称に形成される構成に限定されるものでもない。