【実施例】
【0073】
以下、実施例に基づき、本発明の実施形態をより具体的に説明するが、本発明がこれらに限定されるものではない。
【0074】
(実施例1:発泡樹脂の技術分野に属する特許のランキング)
発泡樹脂事業をおこなっている4社A、B、C、及びD社の1992年〜2011年の20年間に公開された特許(=特許査定がおりたものだけでなく出願中のものも含む。)を、出願人又は権利者名をA、B、C、D社とすることにより検索し、またC社に関しては発泡樹脂関連の事業以外もおこなっているため、C社のみについては、更に発泡樹脂に関する特許を検索することにより、総計5828件抽出した。これらの中から今後権利化される可能性がないと機械的に判断されるものを除くことにより、2925件(=n)をランキング評価対象とした。その後、独立行政法人工業所有権情報・研修館の提供する整理標準化データから、その時点における前記2925件の各特許出願の各特許経過情報項目(閲覧請求回数、情報提供回数、異議申立の有無、無効審判被請求回数、早期審査請求出願の有無、発明者被引用文献数、被引用文献数、分割出願回数、面接回数、全ページ数、請求項の数、外国出願の有無)に関する情報を取得し、これらに対してランク値を付与した後に、下記数12に基づいてS値を算出し、変数とした。尚、特許公報の発行されている特許に関しては、前記“全ページ数”のデータは特許公報の、それ以外については特許公開公報の、全ページ数をデータとして採用した。その後因子数を3、因子負荷行列の計算方法をMinres法、因子得点の計算方法を回帰法として因子分析をおこなった結果、各変数に対する3つの因子(f1、f2及びf3とする)の因子負荷量は表3のようになった。更に、ここで得られた因子負荷量を基に、評価対象とした特許全てについて、3つの因子得点を算出した上で前記3つの因子得点について合算した後、降順に並べ替えて特許の順位付けをおこなった。合算値の上位20の特許について、各特許経過情報項目データとともに、表4に示した。尚、今後権利化される可能性がないものを除くステップから特許の順位付けまでのステップは、統計解析ソフトRを用いて行った。この際のRのスクリプトは、下記のとおりである。
#=====================================================================
# patent5.R
#=====================================================================
#
#
library( psych )
#
# データを変換するための準備
#
find.a = function( x, p=0.9 ) {
fval = 2.0*exp( p*x ) - exp( x ) - 1.0
return( fval )
}
trans.data = function( x, a, b ) {
ba = b/a
y = ba * exp( a*x ) - ba
return( y )
}
a = uniroot( find.a, lower=0.1, upper=200, p=0.9 )$root
b = 100*a / (exp(a) - 1.0)
#
# データの読み込み
#
x = read.csv( "../Data/発泡樹脂.csv" )
cat( nrow(x), "observations are loaded.\n" )
#
# 以下,データの整理
#
# 出願番号
patent = strsplit( as.character( x$出願番号 ), "-", fixed=TRUE )
patent = unlist( patent )
patent = as.integer( matrix( patent, ncol=2, byrow=T )[,-1] )
patent.no = as.character( x$出願番号 )
# 出願日
date = strsplit( as.character( x$出願日 ), ".", fixed=TRUE )
date = unlist( date )
date = matrix( date, ncol=3, byrow=T )
year = as.integer( date[,1] )
month = as.integer( date[,2] )
day = as.integer( date[,3] )
# 発明の名称 & 出願人
name = as.character( x$発明の名称 )
fname = as.character( x$出願人.権利者名 )
# ST (status)
st = x$ST
levels( st ) = 1:3
# 出願人グループ
group = x$出願人グループ
# 早期請求出願
early.exam = as.character( x$早期請求出願有無 )
early.exam[ early.exam == "有" ] = "1"
early.exam[ early.exam != "1" ] = "0"
early.exam = as.integer( early.exam )
# 請求項の数
nrequest = x$請求項の数
# 全頁数
pages = x$全頁数
# 被引用文献数
quoted = x$被引用文献数
# 発明者被引用文献数
inv.quoted = x$発明者被引用文献数
# 外国出願有無
foreign = as.character( x$外国出願有無 )
foreign[ foreign == "あり" ] = "1"
foreign[ foreign != "1" ] = "0"
foreign = as.integer( foreign )
# 分割出願回数
divide = x$分割出願回数
# 異議申立有無
object = as.character( x$異議申立有無.経. )
object[ object == "有" ] = "1"
object[ object != "1" ] = "0"
object = as.integer( object )
# 無効審判回数
invalid = x$無効審判回数.経.
invalid[ is.na( invalid ) ] = 0
# 閲覧回数
reading = x$閲覧請求回数.経.
reading[ is.na( reading ) ] = 0
# 情報提供回数
info = x$情報提供回数.経.
info[ is.na( info) ] = 0
# 面接回数
interview = x$面接回数.経.
interview[ is.na( interview ) ] = 0
# 出訴上告
bring.act = as.character( x$出訴上告.経. )
bring.act[ bring.act == "" ] = "0"
bring.act[ bring.act != "0" ] = "1"
bring.act = as.integer( bring.act )
# 訟務判決
lawsuit = as.character( x$訟務判決.経. )
lawsuit[ lawsuit == "" ] = "0"
lawsuit[ lawsuit != "0" ] = "1"
lawsuit = as.integer( lawsuit )
#
# data frame の作成
#
patent.data = data.frame(
No = as.character( x$No ),
patent.no,
date = as.character( x$出願日 ),
# year,
# month,
# day,
#
name,
fname,
group,
st,
#
nrequest,
foreign,
pages,
early.exam,
#
bring.act,
invalid,
object,
reading,
lawsuit,
#
divide,
quoted,
inv.quoted,
info,
interview
)
#
# データの削除(権利があるもの,または権利になる可能性があるもの)
#
patent.data = patent.data[ st !=1, ]
nobs = nrow( patent.data )
#
# データ行列
#
y = cbind(
nrequest = trans.data( (rank( patent.data$nrequest, ties.method="min" ) - 1.0) / (nobs - 1.0), a, b ),
foreign = trans.data( (rank( patent.data$foreign, ties.method="min" ) - 1.0) / (nobs - 1.0), a, b ),
pages = trans.data( (rank( patent.data$pages, ties.method="min" ) - 1.0) / (nobs - 1.0), a, b ),
early.exam = trans.data( (rank( patent.data$early.exam, ties.method="min" ) - 1.0) / (nobs - 1.0), a, b ),
#
bring.act = trans.data( (rank( patent.data$bring.act, ties.method="min" ) - 1.0) / (nobs - 1.0), a, b ),
lawsuit = trans.data( (rank( patent.data$lawsuit, ties.method="min" ) - 1.0) / (nobs - 1.0), a, b ),
invalid = trans.data( (rank( patent.data$invalid, ties.method="min" ) - 1.0) / (nobs - 1.0), a, b ),
object = trans.data( (rank( patent.data$object, ties.method="min" ) - 1.0) / (nobs - 1.0), a, b ),
reading = trans.data( (rank( patent.data$reading, ties.method="min" ) - 1.0) / (nobs - 1.0), a, b ),
#
divide = trans.data( (rank( patent.data$divide, ties.method="min" ) - 1.0) / (nobs - 1.0), a, b ),
quoted = trans.data( (rank( patent.data$quoted, ties.method="min" ) - 1.0) / (nobs - 1.0), a, b ),
inv.quoted = trans.data( (rank( patent.data$inv.quoted, ties.method="min" ) - 1.0) / (nobs - 1.0), a, b ),
info = trans.data( (rank( patent.data$info, ties.method="min" ) - 1.0) / (nobs - 1.0), a, b ),
interview = trans.data( (rank( patent.data$interview, ties.method="min" ) - 1.0) / (nobs - 1.0), a, b )
)
#
# 因子分析の実行
#
y = y[,-c(5,6)]
r = cor( y )
out = fa( y, nfactors=3, n.obs=nobs, scores="regression" )
print( out, sort=TRUE )
#
# ranking --- 単純平均
#
value = apply( y, 1, mean )
patent.data$value = value
indx = order( value, decreasing=TRUE )
#
# 因子分析の結果から価値を評価
#
score = apply( out$scores, 1, sum )
patent.data$score = score
patent.data$f1 = out$scores[,1]
patent.data$f2 = out$scores[,2]
patent.data$f3 = out$scores[,3]
#
# データの要約を表示
#
cat( "\nDATA SUMMARY\n\n" )
cat( nobs, "observations are used for analysis.\n\n" )
print( summary( y ) )
cat( "\n\ngroup" )
cat( "\n" )
print( patent.data[ indx[1:50], ], right=FALSE )
#
# ファイルへ保存
#
write.csv( patent.data[indx,], file="ranking.csv", row.names=FALSE )
【0075】
【数12】
ここで、aとbは、a=6.92162,b=0.006833099であり、
【数13】
とした時に、f(1)=100、f(0.9)=50となるように定められる値である。
【0076】
【表3】
【0077】
表3に示したように、因子f1は閲覧請求回数及び情報提供回数に大きな影響を与えることが確認されたことから、因子f1は他者から見た脅威を反映、いわゆる“牽制度”の評価を反映する因子であると考えられた。因子f2は被引用文献数及び発明者被引用文献数に大きな影響を与えることが確認されたことから、いわゆる“注目度”の評価を反映する因子であると考えられた。また、因子f3は全ページ数、請求項の数、外国出願の有無に大きな影響を与えることが確認され、いわゆる出願人の“出願時期待度”を反映する因子であると考えられた。表3で得られた因子負荷量を基に、評価対象とした各特許の因子(f1、f2及びf3)の因子得点を算出し、各特許における因子得点の合算値の上位20の特許を表4に示した。表中における“牽制度”、“注目度”、及び“出願時期待度”は、それぞれ因子f1、f2、及びf3の因子得点を意味する。同じく “スコア”とは、3つの因子f1、f2及びf3の合算値を意味し、これを降順に並べることで順位付け、つまりランキングをおこなっている。また、“牽制度”や“注目度”、“出願時期待度”のそれぞれについて順位付けをしたい場合には、特に合算値は算出せずに、各因子得点ごとに並べ替え、評価すればよい。
【0078】
【表4】
【0079】
(実施例2:カテーテルの技術分野に属する特許のランキング)
カテーテルの技術分野に属する1992年〜2011年に公開された特許(=特許査定がおりたものだけでなく出願中のものも含む。)を、IPCコードA61M25/00に基づいて検索し、8333件を抽出した。ここから、今後権利化される可能性がないと機械的に判断されるものを除くことにより、4400件(=n)をランキング評価対象とした。その後、独立行政法人工業所有権情報・研修館の提供する整理標準化データから、その時点における前記4400件の各特許出願の各特許経過情報項目(出訴上告の有無、訟務判決の有無、無効審判被請求回数、早期審査請求出願の有無、被引用文献数、閲覧請求回数、発明者被引用文献数、情報提供回数、分割出願回数、異議申立の有無、面接回数、請求項の数、全ページ数、外国出願の有無)に関する情報を取得し、これらに対してランク値を付与した後に、前記数12に基づいてS値を算出し、変数とした。尚、特許公報の発行されている特許に関しては、前記“全ページ数”のデータは特許公報の、それ以外については特許公開公報の、全ページ数をデータとして採用した。その後、因子数を3、因子負荷行列の計算方法をMinres法、因子得点の計算方法を回帰法として因子分析をおこなった結果、各変数に対する3つの因子(f1、f2及びf3とする)の因子負荷量は表5のようになった。更に、ここで得られた因子負荷量を基に、評価対象とした特許全てについて、3つの因子得点を算出した上で前記3つの因子得点について合算した後、降順に並べ替えて特許の順位付けをおこなった。合算値の上位20の特許について、各特許経過情報項目データとともに、表6に示した。
【0080】
【表5】
【0081】
表5に示したように、因子f1は出訴上告の有無及び訟務判決の有無に大きな影響を与えることが確認された。これらは他者からのアクションを示すものであるので、因子f1は“牽制度”の評価を反映する因子であると考えられた。因子f2は被引用文献数及び発明者被引用文献数に大きな影響を与えることが確認されたことから、“注目度”の評価を反映する因子であると考えられた。また、因子f3は全ページ数、請求項の数、外国出願の有無に大きな影響を与えることが確認され、出願人の“出願時期待度”を反映する因子であると考えられた。表5で得られた因子負荷量を基に、評価対象とした各特許の因子(f1、f2及びf3)の因子得点を算出し、各特許における因子得点の合算値の上位20の特許を表6に示した。表中における“牽制度”、“注目度”、及び“出願時期待度”は、それぞれ因子f1、f2、及びf3の因子得点を意味する。同じく表中における“スコア”とは、3つの因子f1、f2及びf3の合算値を意味し、これを降順に並べることで順位付け、つまりランキングをおこなっている。また、“牽制度”や“注目度”、“出願時期待度”のそれぞれについて順位付けをしたい場合には、特に合算値は算出せずに、因子得点ごとに並べ替え、評価すればよい。
【0082】
【表6】
【0083】
(実施例3:グラファイトシートの技術分野に属する特許のランキング_因子数3)
グラファイトシートの技術分野に属し、1993年4月1日以降に出願され、2013年3月31日までに公報(特許公報、特許公開公報含む)が発行された特許について検索をおこない、その中から無効でない271件を抽出して、評価対象とした。その後、独立行政法人工業所有権情報・研修館の提供する整理標準化データから、その時点における前記271件の各特許出願の各特許経過情報項目(出訴上告の有無、訟務判決の有無、無効審判被請求回数、早期審査請求出願の有無、被引用文献数、閲覧請求回数、発明者被引用文献数、情報提供回数、分割出願回数、異議申立の有無、面接回数、請求項の数、全ページ数、外国出願の有無)に関する情報を取得し、これらに対してランク値を付与した後に、前記数12に基づいてS値を算出し、変数とした。その後、因子数を3、因子負荷行列の計算方法をMinres法、因子得点の計算方法を回帰法として因子分析をおこなった結果、各変数に対する3つの因子(f1、f2及びf3とする)の因子負荷量は表7のようになった。更に、ここで得られた因子負荷量を基に、評価対象とした特許全てについて、3つの因子得点を算出した上で前記3つの因子得点について合算した後、降順に並べ替えて特許の順位付けをおこなった。合算値の上位20の特許について、各特許経過情報項目データとともに、表8に示した。
【0084】
【表7】
【0085】
表7に示したように、因子f1には被引用文献数、発明者被引用文献数が大きく影響していた。これは他社からの注目度を表す因子と考えられた。因子f2には早期請求出願、面接回数が大きく影響している。これは出願時期待度を表す因子と考えられた。因子f3には請求項の数、全ページ数が大きく影響している。これも出願時期待度を表す因子と考えられた。
【0086】
【表8】
【0087】
(実施例4:グラファイトシートの技術分野に属する特許のランキング_因子数2)
グラファイトシートの技術分野に属し、1993年4月1日以降に出願され、2013年3月31日までに公報(特許公報、特許公開公報含む)が発行された特許について検索をおこない、その中から無効でない271件を抽出して、評価対象とした。その後、独立行政法人工業所有権情報・研修館の提供する整理標準化データから、その時点における前記271件の各特許出願の各特許経過情報項目(出訴上告の有無、訟務判決の有無、無効審判被請求回数、早期審査請求出願の有無、被引用文献数、閲覧請求回数、発明者被引用文献数、情報提供回数、分割出願回数、異議申立の有無、面接回数、請求項の数、全ページ数、外国出願の有無)に関する情報を取得し、これらに対してランク値を付与した後に、前記数12に基づいてS値を算出し、変数とした。その後、因子数を2、因子負荷行列の計算方法をMinres法、因子得点の計算方法を回帰法として因子分析をおこなった結果、各変数に対する2つの因子(f1及びf2とする)の因子負荷量は表9のようになった。更に、ここで得られた因子負荷量を基に、評価対象とした特許全てについて、2つの因子得点を算出した上で前記2つの因子得点について合算した後、降順に並べ替えて特許の順位付けをおこなった。合算値の上位20の特許について、各特許経過情報項目データとともに、表10に示した。
【0088】
【表9】
【0089】
表9に示したように、因子f1には被引用文献数、発明者被引用文献数が大きく影響していた。これは他社からの注目度を表す因子と考えられた。因子f2には早期請求出願、外国出願、請求項の数、面接回数、全ページ数が大きく影響していた。これは出願時期待度を表す因子と考えられた。このように、対象となる同一技術分野に属する複数の特許の数が500未満である場合、実施例3のように因子数を3として因子分析をおこなうよりも、因子数を2として因子分析をおこなった方が、因子に対する意味づけをより明確かつ適切にすることができると考えられた。
【0090】
【表10】
【0091】
(実施例5:毛髪用合成繊維の技術分野に属する特許のランキング)
1993年4月1日以降に出願され、2013年3月31日までに公報(特許公報、特許公開公報含む)が発行された特許のうち、合成繊維の特許分類が付与されたものを選別し、さらに「ヘアー」、「毛髪」、「かつら」等のキーワードで絞り込み、そのうち無効でない95件を抽出して、評価対象とした。その後、独立行政法人工業所有権情報・研修館の提供する整理標準化データから、その時点における前記95件の各特許出願の各特許経過情報項目(出訴上告の有無、訟務判決の有無、無効審判被請求回数、早期審査請求出願の有無、被引用文献数、閲覧請求回数、発明者被引用文献数、情報提供回数、分割出願回数、異議申立の有無、面接回数、請求項の数、全ページ数、外国出願の有無)に関する情報を取得し、これらに対してランク値を付与した後に、前記数12に基づいてS値を算出し、変数とした。その後、因子数を3、因子負荷行列の計算方法をMinres法、因子得点の計算方法を回帰法として因子分析をおこなった結果、各変数に対する3つの因子(f1、f2及びf3とする)の因子負荷量は表11のようになった。更に、ここで得られた因子負荷量を基に、評価対象とした特許全てについて、3つの因子得点を算出した上で前記3つの因子得点について合算した後、降順に並べ替えて特許の順位付けをおこなった。合算値の上位20の特許について、各特許経過情報項目データとともに、表12に示した。
【0092】
【表11】
【0093】
表11に示したように、因子f1には被引用文献数、発明者被引用文献数が大きく影響している。これは他社からの注目度を表す因子と考えた。2番目の因子は請求項の数、全ページ数、外国出願有無が大きく影響している。これは出願時期待度を表す因子と考えた。3番目の因子は閲覧請求回数、情報提供回数が大きく影響している。これは他社から見た脅威の反映、いわゆる牽制度の評価を表す因子と考えられた。これらの因子に対しての意味づけについては、妥当なものであると考えられたが、表11のランキング中、1位の特願2001−×××××はブラシ用の糸の発明であり、用途の一つにヘアーブラシがあるために検索されたものである。同じく8位の特願2005−××××××はスキンケア効果を有する重合体、および合成繊維の発明であり、明細書中にヘアシャンプーの文言があるために検索されたものである。また同じく9位の特願平7―××××××は遠赤外線を放射する合成繊維の発明であり、用途の一つにヘアーキャップがあるために検索されたものである。ランキング評価の際には、これら3つの明らかに毛髪用合成繊維の技術分野に属さない技術分野に属する発明を除外して評価することにより、妥当なランキング評価が可能であると考えられた。
【0094】
【表12】
【0095】
(実施例6:毛髪用合成繊維の技術分野に属する特許のランキング_ノイズ除去)
1993年4月1日以降に出願され、2013年3月31日までに公報(特許公報、特許公開公報含む)が発行された特許のうち、合成繊維の特許分類が付与されたものを選別し、さらに「ヘアー」、「毛髪」、「かつら」等のキーワードで絞り込み、そのうち無効でない95件を抽出した。さらにその中から、明らかに毛髪用合成繊維の技術分野に属さないと判別できる3つの公報(特願2001−×××××、特願2005−××××××、特願平7―××××××であり、実施例5のランキングにおいてそれぞれ第1、8、9位となっていたものである。)を除外した。その後、独立行政法人工業所有権情報・研修館の提供する整理標準化データから、その時点における前記95件から3件を除外した全92件の各特許出願の各特許経過情報項目(出訴上告の有無、訟務判決の有無、無効審判被請求回数、早期審査請求出願の有無、被引用文献数、閲覧請求回数、発明者被引用文献数、情報提供回数、分割出願回数、異議申立の有無、面接回数、請求項の数、全ページ数、外国出願の有無)に関する情報を取得し、これらに対してランク値を付与した後に、前記数12に基づいてS値を算出し、変数とした。その後、因子数を3、因子負荷行列の計算方法をMinres法、因子得点の計算方法を回帰法として因子分析をおこなった結果、各変数に対する3つの因子(f1、f2及びf3とする)の因子負荷量は表13のようになった。更に、ここで得られた因子負荷量を基に、評価対象とした特許全てについて、3つの因子得点を算出した上で前記3つの因子得点について合算した後、降順に並べ替えて特許の順位付けをおこなった。合算値の上位20の特許について、各特許経過情報項目データとともに、表14に示した。
【0096】
【表13】
【0097】
表13に示したように、因子f1には被引用文献数、発明者被引用文献数が大きく影響している。これは他社からの注目度を表す因子と考えられた。因子f2には請求項の数、全ページ数、外国出願有無が大きく影響している。これは出願時期待度を表す因子と考えられた。因子f3には閲覧請求回数、情報提供回数が大きく影響している。これは他社から見た脅威の反映、いわゆる牽制度の評価を表す因子と考えられた。このように、実施例5のように明らかなノイズとなる公報の除去をおこなわずに因子分析をおこなっても、ランキング結果を評価する際に、その公報を除外して評価すればよい。しかし、因子分析を行う前にあらかじめそういった明らかなノイズとなり得る公報を除去しておくことにより、ランキング結果が視覚的により評価しやすくすることができるだけでなく、因子負荷量もより正確な値で算出できると考えられる。
【0098】
【表14】
【0099】
(実施例7:ポリイミドフィルムの技術分野に属する特許のランキング_出願人の限定)
1993年4月1日以降に出願され、2013年3月31日までに公報(特許公報、特許公開公報含む)が発行された特許について、出願人をポリイミドフィルムの製造業を営むA社、B社、C社、D社(仮名)の4社に限定し、さらに「ポリイミド」のキーワードを用いて検索をおこない、その中から無効でない1057件を抽出して、評価対象となるポリイミドフィルムの技術分野に属する特許の集合を得た。その後、独立行政法人工業所有権情報・研修館の提供する整理標準化データから、その時点における前記1057件の各特許出願の各特許経過情報項目(出訴上告の有無、訟務判決の有無、無効審判被請求回数、早期審査請求出願の有無、被引用文献数、閲覧請求回数、発明者被引用文献数、情報提供回数、分割出願回数、異議申立の有無、面接回数、請求項の数、全ページ数、外国出願の有無)に関する情報を取得し、これらに対してランク値を付与した後に、前記数12に基づいてS値を算出し、変数とした。その後、因子数を3、因子負荷行列の計算方法をMinres法、因子得点の計算方法を回帰法として因子分析をおこなった結果、各変数に対する3つの因子(f1、f2及びf3とする)の因子負荷量は表15のようになった。更に、ここで得られた因子負荷量を基に、評価対象とした特許全てについて、3つの因子得点を算出した上で前記3つの因子得点について合算した後、降順に並べ替えて特許の順位付けをおこなった。合算値の上位20の特許について、各特許経過情報項目データとともに、表16に示した。
【0100】
【表15】
【0101】
表15に示したように、因子f1には閲覧請求回数、情報提供回数が大きく影響していた。これは他社から見た脅威の反映、牽制度の評価を表す因子と考えられた。因子f2には、請求項の数、全ページ数が大きく影響しているため、出願時期待度を表す因子と考えられた。因子f3には、被引用文献数、発明者被引用文献数が大きく影響しているため、注目度を表す因子と考えられた。このように出願人を、目的とする技術分野に属する製品の製造業を営む代表的な4社に限定して特許の選出をおこなうことにより、ノイズとなるような公報が混入する可能性を低減させることができるとともに、より的を絞ったランキング評価をすることが可能となる。
【0102】
【表16】