特許第6277791号(P6277791)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6277791
(24)【登録日】2018年1月26日
(45)【発行日】2018年2月14日
(54)【発明の名称】清掃装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/02 20060101AFI20180205BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20180205BHJP
【FI】
   G03G15/02 103
   G03G21/00 310
【請求項の数】5
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-50286(P2014-50286)
(22)【出願日】2014年3月13日
(65)【公開番号】特開2015-175888(P2015-175888A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2017年3月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(74)【代理人】
【識別番号】100082739
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 勝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 仁
【審査官】 國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−300615(JP,A)
【文献】 特開平02−149969(JP,A)
【文献】 特開2009−069528(JP,A)
【文献】 特開平06−301319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/02
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被清掃部材の長手方向に沿って複数種類の繊維を植毛した第1領域と、単一種類の繊維を植毛した第2領域とを有するブラシ部材を備え、
前記ブラシ部材は、長手方向に沿った少なくとも一方の端部が太さの異なる2種類の繊維からなり、中央部が前記太さの異なる2種類の繊維のうち、相対的に太い繊維からなることを特徴とする清掃装置。
【請求項2】
被清掃部材の長手方向に沿って複数種類の繊維を植毛した第1領域と、単一種類の繊維を植毛した第2領域とを有するブラシ部材を備え、
前記ブラシ部材は、長手方向に沿った少なくとも一方の端部がヤング率の異なる2種類の繊維からなり、中央部が前記ヤング率の異なる2種類の繊維のうち、相対的にヤング率の大きい繊維からなることを特徴とする清掃装置。
【請求項3】
前記複数種類の繊維は、それぞれ被清掃部材の長手方向に対して傾斜した環状に植毛されており、前記ブラシ部材が1回転したとき前記一方の種類の繊維が植毛された環状部分と、他方の種類の繊維が植毛された環状部分とが、前記被清掃部材の長手方向に沿った端部と少なくとも一回は接触することを特徴とする請求項1又は2に記載の清掃装置。
【請求項4】
前記複数種類の繊維は、それぞれ被清掃部材の長手方向に沿って帯状に植毛されており、前記一方の種類の繊維が植毛された帯状部分と、他方の種類の繊維が植毛された帯状部分とが周方向に沿って交互に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の清掃装置。
【請求項5】
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電するロール状の帯電手段と、
前記帯電手段に接触するよう配置され、前記帯電手段の周面を清掃する清掃手段とを備え、
前記清掃手段として請求項1乃至4のいずれかに記載された清掃装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、清掃装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
清掃装置に関する技術としては、例えば、特許文献1〜3等に開示されたものが既に提案されている。特許文献1は、感光体に接触して帯電処理を行う帯電部材と、この帯電部材を清掃するクリーニング手段とを有する画像形成装置において、クリーニング手段は、帯電部材の長手方向で変化する清掃能力を有するよう構成したものである。
【0003】
特許文献2は、ブラシを有するブラシローラにおいて、このブラシローラの長手方向におけるブラシの清掃能力が異なるよう構成したものである。
【0004】
特許文献3は、像保持体に接触して像保持体の表面を帯電させる帯電ロールの表面をクリーニングするクリーニング装置であって、帯電ロールの長手方向に沿って圧接され、帯電ロールの表面をクリーニングするクリーニング部材と、クリーニング部材の長手方向の一端側に設けられ、クリーニング部材を帯電ロールの表面に接触又は離間させる駆動手段と、を備え、クリーニング部材の長手方向のクリーニング特性を変えるよう構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−101661号公報
【特許文献2】特開2007−94420号公報
【特許文献3】特開2008−112083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の目的は、被清掃部材の汚染特性に応じた清掃を可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載された発明は、被清掃部材の長手方向に沿って複数種類の繊維を植毛した第1領域と、単一種類の繊維を植毛した第2領域とを有するブラシ部材を備え、
前記ブラシ部材は、長手方向に沿った少なくとも一方の端部が太さの異なる2種類の繊維からなり、中央部が前記太さの異なる2種類の繊維のうち、相対的に太い繊維からなることを特徴とする清掃装置である。
【0009】
請求項2に記載された発明は、被清掃部材の長手方向に沿って複数種類の繊維を植毛した第1領域と、単一種類の繊維を植毛した第2領域とを有するブラシ部材を備え、
前記ブラシ部材は、長手方向に沿った少なくとも一方の端部がヤング率の異なる2種類の繊維からなり、中央部が前記ヤング率の異なる2種類の繊維のうち、相対的にヤング率の大きい繊維からなることを特徴とする清掃装置である。
【0010】
請求項3に記載された発明は、前記複数種類の繊維は、それぞれ被清掃部材の長手方向に対して傾斜した環状に植毛されており、前記ブラシ部材が1回転したとき前記一方の種類の繊維が植毛された環状部分と、他方の種類の繊維が植毛された環状部分とが、前記被清掃部材の長手方向に沿った端部と少なくとも一回は接触することを特徴とする請求項1又は2に記載の清掃装置である。
【0011】
請求項4に記載された発明は、前記複数種類の繊維は、それぞれ被清掃部材の長手方向に沿って帯状に植毛されており、前記一方の種類の繊維が植毛された帯状部分と、他方の種類の繊維が植毛された帯状部分とが周方向に沿って交互に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の清掃装置である。
【0012】
請求項5に記載された発明は、像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電するロール状の帯電手段と、
前記帯電手段に接触するよう配置され、前記帯電手段の周面を清掃する清掃手段とを備え、
前記清掃手段として請求項1乃至4のいずれかに記載された清掃装置を用いたことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載された発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、被清掃部材の汚染特性に応じた清掃をすることができる。
【0014】
また、請求項1に記載された発明によれば、被清掃部材の長手方向に沿って同一の太さを有する繊維を植毛した場合と比較して、被清掃部材の汚染特性に応じた清掃が可能となる。
【0015】
請求項2に記載された発明によれば、被清掃部材の長手方向に沿って同一のヤング率を有する繊維を植毛した場合と比較して、被清掃部材の汚染特性に応じた清掃が可能となる。
【0016】
請求項3に記載された発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、複数種類の繊維によって被清掃部材を効果的に清掃することができる。
【0017】
請求項4に記載された発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、複数種類の繊維によって被清掃部材を効果的に清掃することができる。
【0018】
請求項5に記載された発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、被清掃部材の汚染特性に応じた清掃が可能となり、画質の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】この発明の実施の形態1に係る清掃装置を適用した画像形成装置を示す概略構成図である。
図2】画像形成部を示す構成図である。
図3】この発明の実施の形態1に係る清掃装置を示す構成図である。
図4】帯電ロールの表面を拡大して示す模式図である。
図5】帯電ロールの軸方向に沿った抵抗値を示すグラフである。
図6】帯電ロールの軸方向に沿った抵抗値を示すグラフである。
図7】帯電ロールの軸方向に沿った抵抗値を示すグラフである。
図8】帯電ロールの表面に付着部が堆積した状態を示す模式図である。
図9】この発明の実施の形態1に係る清掃装置の清掃ブラシを示す構成図である。
図10】実施の形態1に係る清掃装置の実験例及び比較例の結果を示す図表である。
図11】この発明の実施の形態2に係る清掃装置の清掃ブラシを示す構成図である。
図12】この発明の実施の形態3に係る清掃装置を示す構成図である。
図13】実施の形態2に係る清掃装置の実験例及び比較例の結果を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0021】
[実施の形態1]
図1及び図2は、実施の形態1に係る清掃装置を適用した画像形成装置の全体の概要を示すものである。図1はその画像形成装置の全体の概要を示し、図2はその画像形成装置における要部(作像装置など)を拡大して示している。
【0022】
<画像形成装置の全体の構成>
実施の形態1に係る画像形成装置1は、例えばモノクロ複写機として構成されたものである。画像形成装置1は、原稿の画像を読み取る画像読取装置3と、画像データに基づいて記録媒体に画像を形成する画像形成手段の一例としての画像形成部2とを備えている。画像読取装置3は、画像形成部2を収容した装置本体1aの上部に配置されている。
【0023】
画像形成部2は、現像剤を構成するトナーで現像されるトナー像を形成する作像装置10と、作像装置10で形成されるトナー像を記録媒体の一例としての記録用紙5に転写する転写装置20と、転写装置20の転写位置に供給すべき所要の記録媒体の一例としての記録用紙5を収容して搬送する給紙装置50と、転写装置20で転写された記録用紙5上のトナー像を定着させる定着装置40等を備えている。なお、装置本体1aは支持構造部材、外装カバー等で形成されている。
【0024】
作像装置10は、ブラック(K)色のトナー像を専用に形成する一つの作像装置で構成されている。この作像装置10は、装置本体1aの内部空間において所要位置に配置されている。
【0025】
作像装置10は、図1に示されるように、回転する像保持体の一例としての感光体ドラム11を備えており、この感光体ドラム11の周囲に、次のような各装置が主に配置されている。主な装置とは、感光体ドラム11の像形成が可能な周面(像保持面)を所要の電位に帯電させる帯電装置12と、帯電装置12の周面を清掃する本実施の形態に係る清掃装置16と、感光体ドラム11の帯電された周面に画像の情報(信号)に基づく光LBを照射して電位差のある静電潜像を形成する静電潜像形成手段としての露光装置13と、その静電潜像をブラック色(K)の現像剤のトナーで現像してトナー像にする現像手段としての現像装置14と、転写後における感光体ドラム11の像保持面に残留して付着するトナー等の付着物を取り除いて清掃するドラム清掃装置15等である。
【0026】
感光体ドラム11は、接地処理される円筒状又は円柱状の基材の周面に感光材料からなる光導電性層(感光層)を有する像保持面を形成したものである。この感光体ドラム11は、図示しない回転駆動装置から動力が伝達されて矢印Aで示す方向に回転するように支持されている。
【0027】
帯電装置12は、感光体ドラム11に接触した状態で配置される接触型の帯電ロールで構成される。帯電ロール12には帯電用電圧が供給される。帯電用電圧としては、現像装置14が反転現像を行うものである場合、その現像装置14から供給されるトナーの帯電極性と同じ極性の電圧又は電流が供給される。帯電装置12及び帯電装置12の周面を清掃する清掃装置16については、後述する。
【0028】
露光装置13は、画像形成装置1に入力される画像の情報に応じて構成される光LBを、帯電された後の感光体ドラム11の周面に対して照射して静電潜像を形成するものである。露光装置13には、潜像形成時になると画像形成装置1に任意の手段で入力され、後述する画像処理装置で画像処理された画像の情報(信号)が送信される。
【0029】
現像装置14は、開口部と現像剤の収容室が形成された筐体の内部に、現像剤を保持して感光体ドラム11と向き合う現像領域まで搬送する現像ロール141と、現像剤を攪拌しながら現像ロール141を通過させるよう搬送する2つのスクリューオーガー等の攪拌搬送部材142,143と、現像ロール141に保持される現像剤の量(層厚)を規制する層厚規制部材144などを配置して構成されたものである。この現像装置14には、その現像ロール141と感光体ドラム11の間に現像用電圧が図示しない電源装置から供給される。また、現像ロール141や攪拌搬送部材142,143は、図示しない回転駆動装置からの動力が伝達されて所要の方向に回転する。さらに、上記現像剤としては、非磁性トナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤が使用される。なお、図1中、符号145は、現像装置14に供給する少なくともトナーを含む現像剤を収容した現像剤収容容器を、146は現像剤収容容器145に収容された現像剤を現像装置14に補給する現像剤補給装置をそれぞれ示している。
【0030】
転写装置20は、感光体ドラム11の周面に接触して回転するとともに転写用電圧が供給されるベルト型の転写装置である。このベルト型の転写装置20は、駆動ロール21と従動ロール22との間に掛け渡された転写ベルト23と、転写ベルト23の内部に配置され、当該転写ベルト23を介して感光体ドラム11の周面に接触して回転する転写ロール24とを備えている。転写ロール24には、転写用電圧が印加される。転写用電圧としては、トナーの帯電極性と逆の極性を示す直流の電圧が図示しない電源装置から供給される。
【0031】
ドラム清掃装置15は、一部が開口する容器状の本体150と、転写後の感光体ドラム11の周面に所要の圧力で接触するように配置されて残留トナー等の付着物を取り除いて清掃する清掃板151と、清掃板151よりも感光体ドラム11の回転方向上流側で感光体ドラム11の周面に接触して回転するよう配置される回転ブラシロール152と、回収された残留トナー等の付着物を外部に排出する搬送用オーガ153等で構成されている。清掃板151は、例えば、クリーニングブレードとして構成される。
【0032】
定着装置40は、表面温度が予め定められた温度に保持されるよう加熱手段によって加熱されるロール形態又はベルト形態の加熱用回転体41と、この加熱用回転体41に所要の圧力で接触して回転するロール形態の加圧用回転体42などを配置して構成されたものである。この定着装置40では、加熱用回転体41と加圧用回転体42が接触する接触部が所要の定着処理(加熱及び加圧)を行う定着処理部となる。
【0033】
給紙装置50は、装置筐体1aの下方側の位置に存在するように配置される。この給紙装置50は、所望のサイズ、種類等の記録用紙5を積載した状態で収容する複数(又は単数)の用紙収容体51a,51b,51c,51dと、用紙収容体51a、51b,51c,51dから記録用紙5を1枚ずつ送り出す送出装置52,53とで主に構成されている。用紙収容体51a,51b,51c,51dは、例えば、筐体1aの正面(使用者が操作時に向き合う側面)側に引き出すことができるように取り付けられている。
【0034】
給紙装置50と転写装置20との間には、給紙装置50から送り出される記録用紙5を転写位置まで搬送する複数の用紙搬送ロール対54、55、56や搬送ガイド材で構成される給紙搬送路57が設けられている。給紙搬送路57において転写位置の直前の位置に配置される用紙搬送ロール対56は、例えば記録用紙5の搬送時期を調整するロール(レジストロール)として構成されている。さらに、定着装置40の用紙搬送方向に沿った下流側には、記録用紙5の搬送方向を切り替える図示しない切替部材と、切替部材によって搬送方向が一方(図中右側)に切り替えられた記録用紙5を排出収容部71へと排出する排出ロール対72と、切替部材によって搬送方向が他方(図中下方)に切り替えられた記録用紙5の表裏を反転する反転ロール対73と、表裏が反転された記録用紙5を給紙搬送路57まで搬送する複数の用紙搬送ロール対74や搬送ガイド材で構成される両面用給紙搬送路75とが配置されている。
【0035】
<画像形成装置の基本的な動作>
以下、画像形成装置1による基本的な画像形成動作について説明する。
【0036】
前記作像装置10を使用して、ブラック色(K)のトナー像からなるモノクロ画像を形成するときの画像形成動作を説明する。
【0037】
画像形成装置1は、画像形成動作(プリント)の要求の指令情報を受けると、作像装置10、転写装置20、定着装置40等が始動する。
【0038】
そして、作像装置10においては、まず感光体ドラム11が矢印Aで示す方向に回転し、帯電装置12が感光体ドラム11の表面を所要の極性(実施の形態1ではマイナス極性)及び電位に帯電させる。続いて、露光装置13が、帯電後の感光体ドラム11の表面に対し、画像形成装置1に入力される画像の信号に基づいて発光される光LBを照射し、その表面に所要の電位差で構成される静電潜像を形成する。
【0039】
続いて、現像装置14が、感光体ドラム11に形成された静電潜像に対し、所要の極性(マイナス極性)に帯電されたトナーを供給して静電的に付着させて現像を行う。この現像により、感光体ドラム11に形成された静電潜像は、トナーで現像されたトナー像として顕像化される。
【0040】
続いて、作像装置10の感光体ドラム11上に形成されたトナー像が転写位置まで搬送されると、転写装置20の転写ロール24が、そのトナー像を転写ベルト23によって搬送される記録用紙5に対して転写させる。
【0041】
また、転写が終了した作像装置10では、ドラム清掃装置15が感光体ドラム11の表面に残留するトナー等の付着物を掻き取るように除去して感光体ドラム11の表面を清掃する。これにより、作像装置10は次の作像動作が可能な状態にされる。
【0042】
一方、給紙装置50では、作像動作に合わせて所要の記録用紙5を給紙搬送路57に送り出す。給紙搬送路57では、レジストロールとしての用紙搬送ロール対56が記録用紙5を転写時期に合わせて転写位置に送り出して供給する。
【0043】
続いて、トナー像が転写された記録用紙5は、転写ベルト23により定着装置40まで搬送される。定着装置40では、必要な定着処理(加熱及び加圧)をして未定着のトナー像を用紙5に定着させる。最後に、定着が終了した後の記録用紙5は、通常の画像形成動作のときは、切替部材を介して用紙排出ロール対72により、例えば筐体1aの外部に設置された排出収容部71に排出される。
【0044】
また、両面モードの画像形成動作のときは、定着装置40による定着が終了した後の記録用紙5は、切替部材を介して反転ロール対73により表裏が反転された後、用紙搬送ロール対74により両面用給紙搬送路75に沿って搬送され給紙搬送路57を介して転写位置まで搬送される。そして、転写位置において裏面にトナー像が転写された記録用紙5は、定着装置40による定着処理を受け、切替部材を介して用紙排出ロール対72により排出収容部71に排出される。
【0045】
以上の動作により、モノクロの画像が片面又は両面に形成された記録用紙5が出力される。
【0046】
<清掃装置の構成>
図3はこの実施の形態に係る帯電装置に適用された清掃装置を示す構成図である。
【0047】
帯電装置12は、図3に示されるように、ステンレスやアルミニウム等の金属からなる芯金121の外周に、導電性を有する合成樹脂や合成ゴム等からなる導電層122を被覆したロール状に形成されている。帯電ロール12としては、その表面に形成される導電層122又は導電層122の表面に被覆される図示しない表面層にフィラー(充填剤)が分散され、図4に示されるように、表面12aに微小な凹凸124a,124bを有するものが用いられる場合がある。また、帯電ロール12の芯金121には、帯電用高圧電源123によって所要の電圧(例えば、−1050V程度)が印加される。帯電ロール12は、図示しないスプリング等の弾性部材によって感光体ドラム11の表面に圧接されることにより、感光体ドラム11の回転に伴って従動回転される。なお、帯電ロール12は、図示しない駆動源によって回転駆動されるように構成しても良い。
【0048】
帯電ロール12の表面を清掃する清掃装置16は、ステレンスやアルミニウム等の金属あるいは合成樹脂等の剛性を有する材料から円柱状又は円筒状に形成された軸状部材161と、軸状部材161の外周面に半径方向外方に向けて静電植毛された多数の繊維162とを備えたブラシ部材の一例としての清掃ブラシ160を有している。この清掃ブラシ160は、被清掃部材の一例としての帯電ロール12の表面に接触して従動回転するよう配置されている。また、清掃ブラシ160は、図示しない駆動源から駆動力が伝達されることにより回転駆動されるよう構成しても良い。なお、清掃ブラシ160に植毛される繊維162は、静電植毛によるものに限らず、繊維を編み込んだパイル地を軸状部材161の外周に巻き付けることにより植毛したものであっても良い。
【0049】
ところで、上記画像形成装置1では、図1に示されるように、感光体ドラム11の表面に形成されたトナー像を記録用紙5に転写した後、ドラム清掃装置15が感光体ドラム11の表面に残留するトナー等の付着物を掻き取るように除去して感光体ドラム11の表面を清掃する。その際、ドラム清掃装置15は、図2に示されるように、転写後の感光体ドラム11の周面に所要の圧力で接触するように配置された清掃板(クリーニングブレード)151の接触圧が、ドラム清掃装置15の装着位置やドラム清掃装置15の長手方向に沿った一端部に設けられた搬送用オーガ153を駆動するための駆動力伝達機構に作用する外力等の種々の要因によって、感光体ドラム11の軸方向に沿って均一とならない場合がある。清掃板151の接触圧は、例えば、感光体ドラム11の軸方向に沿った両端部において高くなる。そのため、感光体ドラム11の光導電性層(感光層)は、軸方向に沿った両端部が偏摩耗し、感光体ドラム11の両端部の光導電性層の膜厚が薄くなると、帯電ロール12の放電量が増加し、帯電ロール12の軸方向に沿った両端部にオゾン(O3)や窒素酸化物(NOX)等からなる放電生成物が多く付着しやすい。
【0050】
帯電ロール12の周面に付着した放電生成物は、結着剤として働き易いため、感光体ドラム11の表面に接触するトナーから遊離したシリカ等の外添剤が、放電生成物の結着作用により帯電ロール12の表面に付着する。その結果、放電生成部物が多く付着し易い帯電ロール12の長手方向(軸方向)に沿った両端部は、シリカ等の外添剤により汚染され易い傾向を有する。外周面にシリカ等の外添剤が付着した帯電ロール12は、端部の方が中央部より抵抗値が上昇し、比較的早期に帯電不良が生じてプリント上に筋状の画像欠陥が発生しやすい。因みに、図5はドラム清掃装置15を備えない画像形成装置1において、1万枚のA3サイズの記録用紙5に連続してA3サイズの用紙内における画像部の面積が5%となる画像をプリントした場合における帯電ロール12の軸方向に沿った抵抗値の分布を示したものである。
【0051】
尚、帯電ロール12のシリカ等の外添剤からなる付着物が付着する領域は、帯電ロール12の軸方向に沿った両端部に限らず、画像形成装置1の構成によって、帯電ロール12の軸方向に沿った一方の端部であったり、帯電ロール12の軸方向に沿った中央部である場合が存在する。この場合、帯電ロール12の軸方向に沿った抵抗値は、例えば、図6の測定結果や図7の模式図に示されるように変化する。
【0052】
このように、帯電ロール12の軸方向に沿った両端部に付着したシリカ等の外添剤からなる付着物は、従来の軸状部材の外周面に単一の種類からなる繊維を均一に植毛したブラシロールでは除去することが困難である。特に、表面にフィラーが分散され表面に凹凸を有する帯電ロール12の場合には、軸方向に沿った両端部に付着したシリカ等の外添剤からなる付着物の除去が困難であり、帯電不良の原因となり易い。
【0053】
更に説明すると、表面にフィラーが分散され表面に凹凸を有する帯電ロール12では、図4に示されるように、ロール表面の凸部124bが感光体ドラム11の表面と選択的に接触するため、感光体ドラム11の表面に付着した外添剤等の付着物125が帯電ロール12の凸部124bで掻き取られ、図8(a)に示されるように、帯電ロール12表面の凸部124b上に凝集し堆積していく。また、帯電ロール12表面の凸部124bは、感光体ドラム11の表面と接触することで圧力がかかり、外添剤等の付着物125からなる凝集体は、凸部124bに強固に固着し易く、ひどい場合には凝集体がフィルム状に固着するフィルミングが発生する。
【0054】
これに対して、帯電ロール12表面の凹部124aは、感光体ドラム11の表面と接触しないため、感光体ドラム11から直接外添剤等の付着物125が転移して付着することは少ない。しかしながら、図8(b)に示されるように、帯電ロール12表面の凸部124bで成長した付着物125の一部が千切れて凝集片126となり凹部124aに落下し堆積していく傾向がある。この凹部124aに堆積した凝集片126は、感光体ドラム11の表面で擦られることがないため、凹部124aに対する凝集片126の付着力は凸部124bほどは強くない。
【0055】
したがって、帯電ロール12の表面を清掃する清掃ブラシ160は、付着力が強い凸部124bに付着した付着物125を掻き取る力は大きいことが望ましく、付着力が弱い凹部124aに堆積した凝集体126を掻き取る力は弱くても良い。また、帯電ロール12の凸部124bに対して掻き取る力が弱いと、凸部124bに付着した付着物125を掻き取ることが困難となる一方、凹部124aに対して必要以上の掻き取り力を作用させると、逆に凝集体126を凹部124aに擦り付けてしまうこととなる。
【0056】
このように、帯電ロール12表面の凸部124bと凹部124aでは、清掃するために適した圧力(掻き取り力)が異なり、凹部124aの方が凸部124bより小さい方が望ましい。また、帯電ロール12の凸部124bは、清掃ブラシ160の接触子(繊維)のサイズ(太さ)にかかわらず、清掃ブラシ160が接触するため掻き取り力を大きく設定しても除去することが可能である。これに対して、帯電ロール12の凹部124aは、当該凹部124aの面積よりも清掃ブラシ160の接触子(繊維)のサイズ(太さ)が大きいと、凹部124aに接触子が入り込むことが困難となり効果的に除去することができない。従って、好適な清掃ブラシ160の接触子(繊維)のサイズは、帯電ロール12の凸部124bと凹部124aで異なり、凹部124aは小さい方が望ましい。
【0057】
また、帯電ロール12表面への外添剤等の付着物125の付着量は、前述したように、例えば、軸方向に沿った両端部が相対的に多く、軸方向に沿った中央部は相対的に少ない。そのため、外添剤等の付着物125が比較的付着し難い帯電ロール12の中央部12aでは、最初に外添剤等の付着物125が付着して凝集成長していく凸部124bへの付着速度が遅いので、適切な圧力(比較的高い圧力)で清掃すれば凸部124bに付着して堆積した付着物の凝集片126が千切れて凹部124aに落下する以前に除去することが可能であり、凹部124aに堆積した付着物の凝集片126に対応する必要性は少ない。
【0058】
一方、帯電ロール12の軸方向に沿った両端部12b,12cは、外添剤等の付着物125が付着し易いため、凸部124bに外添剤等の付着物125が付着して堆積する速度が非常に速く、凸部124bに適した掻き取り力(圧力)で清掃しても清掃速度が追い付かず、図8(b)に示されるように、凸部124bで成長した付着物125の凝集片126が凹部124aへ落下し堆積してしまうことが多い。そのため、帯電ロール12の軸方向に沿った両端部では、凸部124bのみではなく凹部124aに対する清掃力をも考慮する必要がある。
【0059】
従来の清掃装置では、上述した帯電ロール12表面の汚染特性を考慮していないため、表面に凹凸を有する帯電ロール12では、軸方向に沿った端部における凸部124b及び凹部124aに堆積する外添剤等の付着物125,126が除去し難く、帯電不良の発生が問題となり易い。
【0060】
そこで、この実施の形態に係る清掃装置16では、図9に示されるように、帯電ロール12の軸方向に沿った両端部に対応した端部16b、16cに複数種類の繊維を植毛した第1領域163を設けるとともに、軸方向に沿った中央部16aに単一種類の繊維を植毛した第2領域164を設けるように構成している。
【0061】
更に説明すると、この実施の形態に係る清掃装置16の清掃ブラシ160は、長手方向に沿った両端部16b、16cが太さの異なる2種類の繊維を植毛した第1領域163からなり、中央部16aが太さの異なる2種類の繊維のうち相体的に太い繊維を植毛した第2領域164からなる。
【0062】
清掃ブラシ160の第1領域163には、太さの異なる2種類の繊維162が、それぞれ帯電ロール12の長手方向(軸方向)に対して傾斜した環状に植毛されており、清掃ブラシ160が1回転したとき相対的に太い繊維が植毛された第1環状部分165と、相対的に細い繊維が植毛された第2環状部分166とが、帯電ロール12の軸方向に沿った端部と少なくとも一回は接触するように設定されている。
【0063】
清掃ブラシ160の繊維162としては、例えば、ナイロン、アクリル、レーヨンまたはポリエステル等の合成樹脂にカーボンブラック等の導電材料を分散させたものを紡糸することによって体積抵抗率が調整された導電性を有する合成樹脂製の繊維が用いられる。この実施の形態では、カーボンブラックを分散させたナイロン製の繊維を用いている。導電性繊維162の体積抵抗率は、例えば、103〜1010Ω・cmに設定される。なお、清掃ブラシ160の繊維としては、導電性繊維に限定されるものではなく、導電性を有しない絶縁性の繊維を用いても良い。
【0064】
また、繊維162の長さは、例えば、0.5〜2.0mm程度に設定される。この実施の形態では、長さ(パイル長)が0.8mmの導電性繊維162を用いている。また、導電性繊維162の植毛密度は、比較的密に設定することが多く、例えば、5〜100万本/inch2程度に設定されるが、これに限定されるものではない。
【0065】
第1領域163に植毛される繊維の太さは、例えば、相体的に太い繊維が6d(デニール)に、相体的に細い繊維が0.8dにそれぞれ設定されている。第1領域163に植毛される繊維162の太さは、これに限定されるものではなく、他の太さに設定しても良い。 また、第2領域164に植毛される繊維の太さは、例えば、2種類の繊維のうち、相体的に太い6dに設定されている。第1領域163及び第2領域164に植毛される繊維162の太さは、これに限定されるものではなく、他の太さに設定しても良い。
【0066】
<画像形成装置の特徴部分の動作>
画像形成装置1は、上述したように、画像形成動作(プリント)の要求の指令情報を受けると、作像装置10、転写装置20、定着装置40等が始動する。
【0067】
そして、作像装置10においては、図1及び図2に示されるように、まず感光体ドラム11が矢印Aで示す方向に回転し、帯電ロール12が感光体ドラム11の表面を所要の極性(実施の形態1ではマイナス極性)及び電位に帯電する。
【0068】
帯電ロール12は、感光体ドラム11の表面と接触しているため、この帯電ロール12の表面には、感光体ドラム11の表面に付着しドラム清掃装置15を通過した転写残トナーやトナーの外添剤等の付着物125が転移して付着する。この現象は、特に、ドラム清掃装置15を備えないクリーナーレス方式を採用した画像形成装置では顕著に発生する。
【0069】
ところで、帯電ロール12の外周面には、帯電装置用の清掃装置16が配置されている。清掃装置16は、図3に示されるように、導電性繊維162が植毛された円筒状の清掃ブラシ160を備えている。また、清掃ブラシ160の軸方向に沿った両端部には、図9に示されるように、太さの異なる2種類の繊維からなる第1領域163が設けられている。
【0070】
帯電ロール12が表面にフィラーが分散されて凹凸124a,124bを有するものである場合には、図8に示されるように、ロール表面の凸部124bが感光体ドラム11の表面と接触するため、感光体ドラム11の表面に付着した外添剤等の付着物125が帯電ロール12の凸部124bで掻き取られ、帯電ロール12表面の凸部124b上に凝集し堆積していく。また、帯電ロール12表面の凸部124bは、感光体ドラム11の表面と接触することで圧力がかかり、外添剤等の付着物からなる凝集体125は、凸部124bに強固に固着し易く、ひどい場合には凝集体がフィルム状に固着するフィルミングが発生し易い。
【0071】
ところで、清掃ブラシ160は、帯電ロール12の軸方向に沿った両端部に対応した位置に、太さの異なる2種類の繊維162が植毛されているため、帯電ロール12表面の凸部124b上に凝集し堆積した付着物125は、清掃ブラシ160の相対的に太い繊維162aが植毛された環状部分165により掻き取られる。また、帯電ロール12表面の凸部124bで成長した付着物125が千切れて凹部124aへと落下し堆積した凝集片126は、清掃ブラシ160の相対的に細い繊維が植毛された環状部分166により、細い繊維が凹部124aに入り込んで掻き取られる。そのため、帯電ロール12表面の両端部に位置する凸部124b及び凹部124aに付着した付着物125及び凝集片126は、清掃ブラシ160の第1領域163により効果的に清掃される。
【0072】
一方、帯電ロール12の軸方向に沿った中央部に対応した位置には、太さの異なる2種類の繊維162のうち、相対的に太い繊維が植毛された第2領域164が設けられている。そのため、帯電ロール12の軸方向に沿った両端部に比較して付着量が少ない中央部に付着した付着物125は、相対的に太い繊維が植毛された第2領域164によって、帯電ロール12の表面に対して相対的に大きい掻き取り力を作用させることにより、帯電ロール12表面の凸部124b上に凝集する以前に掻き取られる。
【0073】
したがって、この実施の形態に係る清掃ブラシ160を用いることにより、帯電ロール12の表面をその汚染特性に応じて効果的に清掃することができ、良好な帯電特性を長期間にわたり維持することが可能となる。
【0074】
実験例
次に、本発明者は、上記実施の形態1に係る清掃装置の効果を確認するため、図2に示されるような作像装置10を備えたベンチモデルを試作し、清掃装置16の清掃ブラシ160として図9に示されるような軸方向に沿った両端部に太さの異なる6d及び0.8dの2種類のナイロン製繊維を植毛した第1領域163と、軸方向に沿った中央部に太さの異なる2種類の繊維のうち、相対的に太い6dのナイロン製繊維を植毛した第2領域164とを備えたものを用い、帯電ロール12に−1050Vの帯電用電圧を印加し、帯電ロール12表面の清掃状態を確認する実験を行なった。なお、作像装置10によってA3サイズの記録用紙5にA3サイズの用紙内における画像の面積が5%となる画像を1万枚にわたり形成した。
【0075】
図10は実験例の結果を示す図表である。
【0076】
図10から明らかなように、実施の形態1に係る清掃ブラシ160を用いた場合には、清掃ブラシ160の軸方向に沿った両端部及び中央部ともに、トナーの外添剤等の付着物125が凝集し堆積することがなく、良好に清掃することができることが判った。
【0077】
比較例1
比較例1として、清掃ブラシ160の軸方向に沿った全域にわたり太さ6dのナイロン製繊維を植毛した清掃ブラシ160を用い、帯電ロール12に−1050Vの帯電用電圧を印加し、帯電ロール12表面の清掃状態を確認する実験を行なった。
【0078】
図10は比較例1の結果をも示す図表である。
【0079】
図10から明らかなように、比較例1に係る清掃ブラシ160を用いた場合には、帯電ロール12の軸方向に沿った両端部の凹部124aに外添剤等の付着物が堆積し、清掃不良が発生した。これに対して、帯電ロール12の軸方向に沿った中央部には、外添剤等の付着物が堆積せず、良好に清掃することができることが判った。
【0080】
比較例2
比較例2として、清掃ブラシ160の軸方向に沿った全域にわたり太さ0.8dのナイロン製繊維を植毛した清掃ブラシ160を用い、帯電ロール12に−1050Vの帯電用電圧を印加し、帯電ロール12表面の清掃状態を確認する実験を行なった。
【0081】
図10は比較例2の結果をも示す図表である。
【0082】
図10から明らかなように、比較例2に係る清掃ブラシ160を用いた場合には、帯電ロール12の軸方向に沿った両端部の凸部124bに外添剤等の付着物が堆積し、清掃不良が発生した。また、帯電ロール12の軸方向に沿った中央部にも、外添剤等の付着物が堆積し、清掃不良が発生することが判った。
【0083】
比較例3
比較例3として、清掃ブラシ160の軸方向に沿った両端部に太さ0.8dのナイロン製繊維を植毛し、中央部に太さ6dのナイロン製繊維を植毛した清掃ブラシ160を用い、帯電ロール12に−1050Vの帯電用電圧を印加し、帯電ロール12表面の清掃状態を確認する実験を行なった。
【0084】
図10は比較例3の結果をも示す図表である。
【0085】
図10から明らかなように、比較例3に係る清掃部材160を用いた場合には、帯電ロール12の軸方向に沿った両端部の凸部124bに外添剤等の付着物が堆積し、清掃不良が発生した。これに対して、帯電ロール12の軸方向に沿った中央部には、外添剤等の付着物が堆積せず、良好に清掃することができることが判った。
【0086】
比較例4
比較例4として、清掃ブラシ160の軸方向に沿った両端部に太さ6dのナイロン製繊維を植毛し、中央部に太さ0.8dのナイロン製繊維を植毛した清掃ブラシ160を用い、帯電ロール12に−1050Vの帯電用電圧を印加し、帯電ロール12表面の清掃状態を確認する実験を行なった。
【0087】
図10は比較例4の結果をも示す図表である。
【0088】
図10から明らかなように、比較例4に係る清掃ブラシ160を用いた場合には、帯電ロール12の軸方向に沿った両端部の凹部124aに外添剤等の付着物の凝集片が堆積し、清掃不良が発生した。また、帯電ロール12の軸方向に沿った中央部には、帯電ロール12の凸部124bに外添剤等の付着物が堆積し、清掃不良が発生することが判った。
【0089】
比較例5
比較例5として、清掃ブラシ160の軸方向に沿った両端部に太さ6dのナイロン製繊維を植毛し、中央部に太さ0.8d及び6dの2種類のナイロン製繊維を植毛した清掃ブラシ160を用い、帯電ロール12に−1050Vの帯電用電圧を印加し、帯電ロール12表面の清掃状態を確認する実験を行なった。
【0090】
図10は比較例5の結果をも示す図表である。
【0091】
図10から明らかなように、比較例5に係る清掃ブラシ160を用いた場合には、帯電ロール12の軸方向に沿った両端部の凹部124aに外添剤等の付着物の凝集片が堆積し、清掃不良が発生した。また、帯電ロール12の軸方向に沿った中央部の凹部124aは、端部の凹部124aと異なり堆積物126が無い。凹部124aに堆積物126がある状態で相対的に細い繊維を含む清掃ブラシ160で掻き取るときは問題がないが、凹部124aに堆積物126がない状態では、長期にわたり使用していると、繊維に付着している外添剤が相対的に細い繊維によって凹部124aに擦りつけられフィルミングが発生しやすく、中央部に位置する凹部124aのクリーニング性が悪化する結果となることが判った。
【0092】
比較例6
比較例6として、清掃ブラシ160の軸方向に沿った両端部に太さ0.8dのナイロン製繊維を植毛し、中央部に太さ0.8d及び6dのナイロン製繊維を植毛した清掃ブラシ160を用い、帯電ロール12に−1050Vの帯電用電圧を印加し、帯電ロール12表面の清掃状態を確認する実験を行なった。
【0093】
図10は比較例6の結果をも示す図表である。
【0094】
図10から明らかなように、比較例6に係る清掃ブラシ160を用いた場合には、帯電ロール12の軸方向に沿った両端部の凸部124bに外添剤等の付着物が堆積し、清掃不良が発生した。また、帯電ロール12の軸方向に沿った中央部の凹部124aは、端部の凹部124aと異なり堆積物126が無い。凹部124aに堆積物126がある状態で相対的に細い繊維を含む清掃ブラシ160で掻き取るときは問題がないが、凹部124aに堆積物126がない状態では、長期にわたり使用していると、繊維に付着している外添剤が相対的に細い繊維によって凹部124aに擦りつけられフィルミングが発生しやすく、中央部に位置する凹部124aのクリーニング性が悪化する結果となることが判った。
【0095】
比較例7
比較例7として、清掃ブラシ160の軸方向に沿った両端部に太さ0.8及び6dのナイロン製繊維を植毛し、中央部に太さ0.8dのナイロン製繊維を植毛した清掃ブラシ160を用い、帯電ロール12に−1050Vの帯電用電圧を印加し、帯電ロール12表面の清掃状態を確認する実験を行なった。
【0096】
図10は比較例7の結果をも示す図表である。
【0097】
図10から明らかなように、比較例7に係る清掃ブラシ160を用いた場合には、帯電ロール12の軸方向に沿った両端部には外添剤等の付着物が堆積せず、良好に清掃することができた。これに対して、帯電ロール12の軸方向に沿った中央部には、帯電ロール12の凸部124bに外添剤等の付着物が堆積し、清掃不良が発生することが判った。
【0098】
実施の形態2
図11はこの発明の実施の形態2に係る清掃装置の清掃部材を示す概略構成図である。
【0099】
この清掃ブラシ160は、図11(a)に示されるように、その長手方向(軸方向)に沿って相対的に太い繊維を植毛した帯状部167と、相対的に細い繊維を植毛した帯状部168とを、周方向に沿って交互に配置するよう構成している。
【0100】
また、図11(b)に示される清掃ブラシ160では、相対的に太い繊維を植毛した帯状部167と、相対的に細い繊維を植毛した帯状部168とが、周方向のみならず軸方向に沿って交互に配置するよう構成されている。
【0101】
このように、清掃ブラシ160の軸方向に沿って相対的に太い繊維を植毛した帯状部167と、相対的に細い繊維を植毛した帯状部168とを交互に配置することにより、帯電ロール12の両端部を相対的に太い繊維と相対的に細い繊維とで効果的に清掃することが可能となる。
【0102】
実施の形態3
図12はこの発明の実施の形態3に係る清掃装置の清掃部材を示す概略構成図である。
【0103】
この清掃ブラシ160は、長手方向に沿った両端部にヤング率の異なる2種類の繊維からなる第1領域163を備え、中央部164にヤング率の異なる2種類の繊維のうち、ヤング率の大きい繊維からなる第2領域164を備えるように構成されている。
【0104】
更に説明すると、清掃ブラシ160は、ヤング率の異なる2種類の繊維が、それぞれ長手方向に対して傾斜した環状に植毛されており、清掃ブラシ160が1回転したとき相対的にヤング率が高い繊維が植毛された環状部分169と、相対的にヤング率が低い繊維が植毛された環状部分170とが、帯電ロール12の軸方向に沿った端部と少なくとも一回は接触するものである。
【0105】
相対的にヤング率が高い繊維としては、例えば、250〜600kg/mm2のヤング率を有するアクリル製の繊維が用いられ、相対的にヤング率が低い繊維としては、例えば、80〜300kg/mm2のヤング率を有するナイロン製の繊維が用いられる。
【0106】
この実施の形態では、相対的にヤング率が高い繊維として太さが2dのアクリル製の繊維を用いており、相対的にヤング率が低い繊維として太さが0.8dのナイロン製の繊維を用いている。なお、何れの繊維ともその長さ(パイル長)は、1.5mmに設定した。なお、本実施の形態では、繊維の材質とともに繊維の太さを変えているが、繊維の材質のみを異ならせ繊維の太さは同じ値に設定しても良い。
【0107】
このように、清掃ブラシ160は、その両端部にヤング率が異なる2種類の繊維を用いることにより、帯電ロール12の軸方向に沿った両端部の凸部124bに堆積した外添剤等の付着物125を、相対的にヤング率が高いアクリル製の繊維によって効果的に除去することができ、又、帯電ロール12の軸方向に沿った両端部の凹部124aに付着した外添剤等の付着物の凝集片126を、相対的にヤング率が低いナイロン製の繊維が撓み変形して凹部124aに入り込むことで効果的に除去することが可能となる。
【0108】
実験例
次に、本発明者は、上記実施の形態2に係る清掃装置の効果を確認するため、図2に示されるような作像装置10を備えたベンチモデルを試作し、清掃装置16の清掃ブラシ160として図12に示されるような軸方向に沿った両端部にヤング率が異なる2種類の繊維としてナイロン製の繊維及びアクリル製の繊維を植毛した第1領域163と、軸方向に沿った中央部にヤング率が相対的に大きいアクリル製の繊維を植毛した第2領域164とを備えたものを用い、帯電ロール12に−1050Vの帯電用電圧を印加し、帯電ロール12表面の清掃状態を確認する実験を行なった。なお、作像装置10によってA3サイズの記録用紙5にA3サイズの用紙内における画像部の面積が5%となる画像を1万枚にわたり形成した。
【0109】
図13は実験例の結果を示す図表である。
【0110】
図13から明らかなように、実施の形態2に係る清掃ブラシ160を用いた場合には、清掃ブラシ160の軸方向に沿った両端部及び中央部ともに、トナーの外添剤等の付着物125が凝集し堆積することがなく、良好に清掃することができることが判った。
【0111】
比較例1
比較例1として、清掃ブラシ160の軸方向に沿った全域にわたり相対的にヤング率が高いアクリル製の繊維を植毛した清掃ブラシ160を用い、帯電ロール12に−1050Vの帯電用電圧を印加し、帯電ロール12表面の清掃状態を確認する実験を行なった。
【0112】
図13は比較例1の結果をも示す図表である。
【0113】
図13から明らかなように、比較例1に係る清掃ブラシ160を用いた場合には、帯電ロール12の軸方向に沿った両端部の凹部124aに外添剤等の付着物が堆積し、清掃不良が発生した。これに対して、帯電ロール12の軸方向に沿った中央部には、外添剤等の付着物が堆積せず、良好に清掃することができることが判った。
【0114】
比較例2
比較例2として、清掃ブラシ160の軸方向に沿った全域にわたり相対的にヤング率が低いナイロン製の繊維を植毛した清掃ブラシ160を用い、帯電ロール12に−1050Vの帯電用電圧を印加し、帯電ロール12表面の清掃状態を確認する実験を行なった。
【0115】
図13は比較例2の結果をも示す図表である。
【0116】
図13から明らかなように、比較例2に係る清掃ブラシ160を用いた場合には、帯電ロール12の軸方向に沿った両端部の凸部124bに外添剤等の付着物が堆積し、清掃不良が発生した。また、帯電ロール12の軸方向に沿った中央部にも、外添剤等の付着物が堆積し、清掃不良が発生することが判った。
【0117】
比較例3
比較例3として、清掃ブラシ160の軸方向に沿った両端部に相対的にヤング率が低いナイロン製の繊維を植毛し、中央部に相対的にヤング率が高いアクリル製の繊維を植毛した清掃ブラシ160を用い、帯電ロール12に−1050Vの帯電用電圧を印加し、帯電ロール12表面の清掃状態を確認する実験を行なった。
【0118】
図13は比較例3の結果をも示す図表である。
【0119】
図13から明らかなように、比較例3に係る清掃部材160を用いた場合には、帯電ロール12の軸方向に沿った両端部の凸部124bに外添剤等の付着物が堆積し、清掃不良が発生した。これに対して、帯電ロール12の軸方向に沿った中央部には、外添剤等の付着物が堆積せず、良好に清掃することができることが判った。
【0120】
比較例4
比較例4として、清掃ブラシ160の軸方向に沿った両端部に相対的にヤング率が高いアクリル製の繊維を植毛し、中央部に相対的にヤング率が低いナイロン製の繊維を植毛した清掃ブラシ160を用い、帯電ロール12に−1050Vの帯電用電圧を印加し、帯電ロール12表面の清掃状態を確認する実験を行なった。
【0121】
図13は比較例4の結果をも示す図表である。
【0122】
図13から明らかなように、比較例4に係る清掃ブラシ160を用いた場合には、帯電ロール12の軸方向に沿った両端部の凹部124aに外添剤等の付着物の凝集片が堆積し、清掃不良が発生した。また、帯電ロール12の軸方向に沿った中央部には、帯電ロール12の凸部124bに外添剤等の付着物が堆積し、清掃不良が発生することが判った。
【0123】
比較例5
比較例5として、清掃ブラシ160の軸方向に沿った両端部に相対的にヤング率が高いアクリル製の繊維を植毛し、中央部に相対的にヤング率が高いアクリル製の繊維及び相対的にヤング率が低いナイロン製の繊維を植毛した清掃ブラシ160を用い、帯電ロール12に−1050Vの帯電用電圧を印加し、帯電ロール12表面の清掃状態を確認する実験を行なった。
【0124】
図13は比較例5の結果をも示す図表である。
【0125】
図13から明らかなように、比較例5に係る清掃ブラシ160を用いた場合には、帯電ロール12の軸方向に沿った両端部の凹部124aに外添剤等の付着物の凝集片が堆積し、清掃不良が発生した。また、帯電ロール12の軸方向に沿った中央部の凹部124aは、端部の凹部124aと異なり堆積物126が無い。凹部124aに堆積物126がある状態で相対的にヤング率が低いナイロンかつ細い0.8dの清掃ブラシ160で掻き取るときは問題がないが、凹部124aに堆積物126がない状態では、長期にわたり使用していると、繊維に付着している外添剤が相対的にヤング率が低いナイロンかつ細い0.8dの繊維によって凹部124aに擦りつけられフィルミングが発生しやすく、中央部に位置する凹部124aのクリーニング性が悪化する結果となることが判った。
【0126】
比較例6
比較例6として、清掃ブラシ160の軸方向に沿った両端部に相対的にヤング率が低いナイロン製の繊維を植毛し、中央部に相対的にヤング率が高いアクリル製の繊維及び相対的にヤング率が低いナイロン製の繊維を植毛した清掃ブラシ160を用い、帯電ロール12に−1050Vの帯電用電圧を印加し、帯電ロール12表面の清掃状態を確認する実験を行なった。
【0127】
図13は比較例6の結果をも示す図表である。
【0128】
図13から明らかなように、比較例6に係る清掃ブラシ160を用いた場合には、帯電ロール12の軸方向に沿った両端部の凸部124bに外添剤等の付着物が堆積し、清掃不良が発生した。また、帯電ロール12の軸方向に沿った中央部の凹部124aは、端部の凹部124aと異なり堆積物126が無い。凹部124aに堆積物126がある状態で相対的にヤング率が低いナイロンかつ細い0.8dの清掃ブラシ160で掻き取るときは問題がないが、凹部124aに堆積物126がない状態では、長期にわたり使用していると、繊維に付着している外添剤が相対的にヤング率が低いナイロンかつ細い0.8dの繊維によって凹部124aに擦りつけられフィルミングが発生しやすく、中央部に位置する凹部124aのクリーニング性が悪化する結果となることが判った。
【0129】
比較例7
比較例7として、清掃ブラシ160の軸方向に沿った両端部にヤング率が高いアクリル製の繊維及び相対的にヤング率が低いナイロン製の繊維を植毛し、中央部に相対的にヤング率が低いナイロン製の繊維を植毛した清掃ブラシ160を用い、帯電ロール12に−1050Vの帯電用電圧を印加し、帯電ロール12表面の清掃状態を確認する実験を行なった。
【0130】
図13は比較例7の結果をも示す図表である。
【0131】
図13から明らかなように、比較例7に係る清掃ブラシ160を用いた場合には、帯電ロール12の軸方向に沿った両端部には外添剤等の付着物が堆積せず、良好に清掃することができた。これに対して、帯電ロール12の軸方向に沿った中央部には、帯電ロール12の凸部124bに外添剤等の付着物が堆積し、清掃不良が発生することが判った。
【符号の説明】
【0132】
1…画像形成装置
2…画像形成部
11…感光体ドラム
12…帯電ロール
16…清掃装置
160…清掃ブラシ
161…軸状部材
162…繊維
16b,16c…清掃ブラシの両端部
16a…清掃ブラシの中央部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
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図11
図12
図13