(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記溶融工程及び乳化工程において、前記樹脂、塩基、界面活性剤及び水性媒体を連続的に前記乳化装置へ供給する、請求項1〜5のいずれか1つに記載の樹脂粒子分散液の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態について詳細に説明する。
なお、本実施形態において、「A〜B」との記載は、AからBの間の範囲だけでなく、その両端であるA及びBも含む範囲を表す。例えば、「A〜B」が数値範囲であれば、数値の大小に応じて「A以上B以下」又は「B以上A以下」を表す。
【0009】
(樹脂粒子分散液の製造方法)
本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法は、少なくとも樹脂、塩基、及び、界面活性剤を含む油性混合物を、剪断力を付与しながら溶融状態にする溶融工程と、溶融させた前記油性混合物に剪断力を付与しながら水性媒体を添加し乳化する乳化工程と、を含み、前記溶融工程及び乳化工程において、1つの乳化装置を使用し、油性混合物及び水性媒体に剪断力を付与する前記乳化装置のモーター動力が、下記式(1)を満たすことを特徴とする。
0.02≦(P
e−P
0)/F≦0.14 (1)
(式(1)中、P
eは前記溶融工程及び乳化工程時におけるモーター平均動力(kW)を表し、P
0はモーターの空動力(kW)を表し、Fは前記乳化装置への樹脂の平均供給量(kg/h)を表す。)
本実施形態の樹脂粒子分散液は、本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法により得られた樹脂粒子分散液である。
また、本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法により得られた樹脂粒子分散液は、静電荷像現像トナー製造用樹脂粒子分散液として好適に用いられる。
【0010】
本発明者等が詳細な検討を行ったところ、本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法であると、粒度分布の幅が狭い樹脂粒子分散液を容易に得られることを見出した。
また、本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法であると、塩基、及び、界面活性剤の量を少なくしても、粒度分布の幅が狭い樹脂粒子分散液を容易に得られ、また、樹脂粒子中に残留する塩基及び界面活性剤の量も少ないため、静電荷像現像トナー用結着樹脂としてこれを使用した場合、トナー性能にも優れる。
【0011】
本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法は、前記溶融工程及び乳化工程において、1つの乳化装置を使用し、油性混合物及び水性媒体に剪断力を付与する前記乳化装置のモーター動力が、下記式(1)を満たす。
0.02≦(P
e−P
0)/F≦0.14 (1)
(式(1)中、P
eは前記溶融工程及び乳化工程時におけるモーター平均動力(kW)を表し、P
0はモーターの空動力(kW)を表し、Fは前記乳化装置への樹脂の平均供給量(kg/h)を表す。)
(P
e−P
0)/Fの値が0.14を超えると、得られる樹脂粒子分散液の粒度分布が悪化する。また、(P
e−P
0)/Fの値が0.02未満であると、乳化が十分でなく、また、得られる樹脂粒子分散液の粒度分布も悪化する。
P
0における乳化装置のモーターの空動力とは、乳化装置の混練乳化を行うシリンダー内に樹脂等が何もない状態でモーターを動かした際に必要な単位時間当たりの仕事量(仕事率)である。P
e−P
0/Fを算出することにより、溶融工程及び乳化工程時における、一定の樹脂供給量に対する溶融乳化に使用された単位時間当たりの仕事量を比較対象としている。
また、式(1)における(P
e−P
0)/Fは、0.04≦(P
e−P
0)/F≦0.14であることが好ましく、0.07≦(P
e−P
0)/F≦0.14であることがより好ましい。上記範囲であると、塩基及び界面活性剤の使用量をより低減した場合であっても、粒度分布の幅が狭い樹脂粒子分散液を容易に得られ、また、トナー用結着樹脂に使用した場合にトナーの転写性能に優れる。
【0012】
<溶融工程>
本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法は、少なくとも樹脂、塩基、及び、界面活性剤を含む油性混合物を、剪断力を付与しながら溶融状態にする溶融工程を含む。
樹脂、塩基、及び、界面活性剤は、同時に混合しても、逐次混合してもよい。中でも、まず、樹脂と塩基とを混合し、その後、界面活性剤を混合し、油性混合物とすることが好ましい。
また、前記1つの乳化装置への供給については、特に制限はなく、少なくとも樹脂、塩基、及び、界面活性剤を含む油性混合物を供給してもよいし、樹脂、塩基、及び、界面活性剤をそれぞれ供給してもよいし、また、樹脂及び塩基の混合物と、界面活性剤とを供給してもよい。本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法においては、前記溶融工程として、樹脂、塩基、及び、界面活性剤を含む油性混合物の調製自体を、前記1つの乳化装置内で行うことが好ましい。
前記乳化装置への供給は、まず、樹脂と塩基とを供給し、その後、界面活性剤を供給することが好ましい。
【0013】
塩基の乳化装置への供給は、塩基水溶液として供給することが好ましく、高濃度塩基水溶液として供給することがより好ましい。上記態様であると、機構は不明であるが、分散性及び乳化性により優れ、粒度分布の幅がより狭い樹脂粒子分散液が得られる。
塩基水溶液の塩基濃度としては、塩基の溶解度や液温、過飽和状態等にもよるが、4〜70質量%であることが好ましく、10〜65質量%であることがより好ましく、20〜60質量%であることが更に好ましい。上記範囲であると、機構は不明であるが、分散性及び乳化性により優れ、粒度分布の幅がより狭い樹脂粒子分散液が得られる。
【0014】
界面活性剤の乳化装置への供給は、界面活性剤水溶液として供給することが好ましく、高濃度界面活性剤水溶液として供給することがより好ましい。上記態様であると、機構は不明であるが、分散性及び乳化性により優れ、粒度分布の幅がより狭い樹脂粒子分散液が得られる。
界面活性剤水溶液の界面活性剤濃度としては、界面活性剤の溶解度や液温、過飽和状態等にもよるが、5〜60質量%であることが好ましく、10〜55質量%であることがより好ましく、20〜50質量%であることが更に好ましい。上記範囲であると、機構は不明であるが、分散性及び乳化性により優れ、粒度分布の幅がより狭い樹脂粒子分散液が得られる。
【0015】
本実施形態に使用する塩基は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。また、本実施形態に使用する界面活性剤は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
前記油性混合物における塩基及び界面活性剤の総含有量は、樹脂100質量部に対し、0.1〜30質量部であることが好ましく、0.2〜25質量部であることがより好ましく、0.5〜20質量部であることが更に好ましい。上記範囲であると、乳化分散性により優れ、また、トナーの帯電特性により優れる。
また、前記油性混合物における塩基の含有量は、樹脂100質量部に対し、0.01〜2質量部であることが好ましく、0.05〜1質量部であることがより好ましく、0.1〜0.7質量部であることが更に好ましい。上記範囲であると、乳化分散性により優れ、また、トナーの帯電特性により優れる。
また、前記油性混合物における界面活性剤の含有量は、樹脂100質量部に対し、1〜10質量部であることが好ましく、1.5〜15質量部であることがより好ましく、2〜10質量部であることが更に好ましい。上記範囲であると、乳化分散性により優れ、また、トナーの帯電特性により優れる。
【0016】
前記溶融工程においては、樹脂と塩基と界面活性剤とを無溶剤で混合することが好ましい。従来の湿式製法として挙げられる懸濁重合法や溶解懸濁法は、媒体として有機溶剤を用い、乳化凝集合一法は原料となる樹脂粒子製造過程で有機溶剤を使用することがあるが、無溶剤で混合することにより、溶剤を除去する必要がなく、残溶剤による臭気がなく、経済的・環境的にメリットを有する。なお、本実施形態において上記「溶剤」とは、有機溶剤のことであり、水やアルコール等の後述する水系媒体は含まれないものとする。
【0017】
前記溶融工程における乳化装置内の温度は、特に制限はないが、混合の均一性や乳化工程における分散性の観点から、50℃〜150℃であることが好ましく、80℃〜100℃であることがより好ましく、85℃〜99℃であることが更に好ましい。
また、前記溶融工程における乳化装置内の温度は、溶融状態とするため、樹脂の軟化点以上の温度であることが好ましい。
【0018】
本実施形態に用いられる塩基としては、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、又は、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属の酸化物若しくは水酸化物等が挙げられる。中でも、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物が好ましく、アルカリ金属の水酸化物がより好ましく、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムが更に好ましく、水酸化ナトリウムが特に好ましい。
【0019】
本実施形態に用いられる界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び、ノニオン性界面活性剤の各種界面活性剤が挙げられる。中でも、アニオン性界面活性剤が好ましく、硫酸エステル型又はスルホン酸型のアニオン性界面活性剤がより好ましく、スルホン酸型のアニオン性界面活性剤が更に好ましく、ジスルホン酸型のアニオン性界面活性剤が特に好ましい。
【0020】
アニオン性界面活性剤としては、カルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型、及びリン酸エステル型のいずれのタイプのものでも使用され得る。例えば、脂肪酸塩、ロジン酸塩、ナフテン酸塩、エーテルカルボン酸塩、アルケニルコハク酸塩、硫酸第一アルキル塩、硫酸第二アルキル塩、硫酸アルキルポリオキシエチレン塩、硫酸アルキルフェニルポリオキシエチレン塩、硫酸モノアシルグリセリン塩、アシルアミノ硫酸エステル塩、硫酸化油、硫酸化脂肪酸アルキルエステル、α−オレフィンスルホン酸塩、第二アルカンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩、アシルイセチオン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、石油スルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、リン酸アルキル塩、リン酸アルキルポリオキシエチレン塩、リン酸アルキルフェニルポリオキシエチレン塩、ペルフルオロアルキルカルボン酸塩、ペルフルオロアルキルスルホン酸塩、ペルフルオロアルキルリン酸エステルが挙げられる。
これらの中でも、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩が好ましく、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムがより好ましい。
【0021】
両性界面活性剤とは、分子構造内にカチオン基とアニオン基との両者を併せ持っている界面活性剤であって、分子構造内では電荷の分離があるが、分子全体としては電荷を持たない物質を意味する。
両性イオン界面活性剤としては、例えば、N−アルキルニトリロトリ酢酸、N−アルキルジメチルベタイン、N−アルキルオキシメチル−N,N−ジエチルベタイン、N−アルキルスルホベタイン、N−アルキルヒドロキシスルホベタイン、レシチン、ペルフルオロアルキルスルホンアミドアルキルベタインが挙げられる。
【0022】
カチオン性界面活性剤としては、例えば、N−アシルアミン塩、第四級アンモニウム塩、イミダゾリウム塩が挙げられ、具体的には、例えば、脂肪酸ポリエチレンポリアミド、アミド、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アシルアミノエチルメチルジエチルアンモニウム塩、アシルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウム塩、アシルアミノプロピルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム塩、アシルアミノエチルピリジニウム塩、ジアシルアミノエチルアンモニウム塩、ジアシロキシエチルメチルヒドロキシエチルアンモニウム塩、アルキルオキシメチルピリジニウム塩、1−アシルアミノエチル−2−アルキルイミダゾリウム塩が挙げられる。
【0023】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、多価アルコールと脂肪酸がエステル結合したエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルやポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどのエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、エチレンオキシドが付加された脂肪酸、エチレンオキサイドが付加された多価アルコール脂肪酸エステル、疎水基と親水基とがアミド結合で結合した脂肪酸アルカノールアミド、アルキルポリグリコシドが挙げられる。
【0024】
なお、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤としては、上記列挙したものに限定されるものではなく、上記のほか、公知のアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤を使用してもよい。
【0025】
本実施形態に用いられる樹脂としては、重縮合樹脂、付加重合型樹脂が挙げられ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)等を主成分とするスチレン系樹脂、ポリメチルメタアクリレート、ポリアクリロニトリル等を主成分とする(メタ)アクリル系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂及びこれらの共重合樹脂が挙げられる。
中でも、樹脂としては、ポリエステル樹脂が好ましい。
また、樹脂としては、カルボン酸基(カルボキシル基)やスルホン酸基等の酸基を有する樹脂であることが好ましく、酸基を有するポリエステル樹脂であることがより好ましく、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂であることが更に好ましい。上記態様であると、乳化工程における水系媒体への分散がより容易である。
また、本実施形態に用いられる樹脂は、非結晶性樹脂及び結晶性樹脂を含むことが好ましく、非結晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含むことがより好ましい。
更に、本実施形態に用いられる樹脂は、静電荷像現像トナー用結着樹脂であることが好ましい。
【0026】
本実施形態に用いられる樹脂の105℃における溶融粘度(105℃溶融粘度)は、シェアレート2.6s
−1において、20,000Pa・s以下であることが好ましく、2,000〜20,000Pa・sであることがより好ましい。
105℃における溶融粘度は、剪断試験により、シェアレート(歪み速度)2.6s
−1における溶融粘度をフローテスターCFT−500F型((株)島津製作所製)を用いて、測定することができる。
【0027】
重縮合樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、及び、ポリアミド樹脂等が好ましく例示できるが、特に、重縮合性単量体としてポリカルボン酸とポリオールと含んだものを用いて得られたポリエステル樹脂であることが好ましい。
本実施形態に用いることのできる重縮合性単量体としては、例えば、多価カルボン酸、ポリオール、ヒドロキシカルボン酸、ポリアミン、又は、それらの混合物が挙げられる。特に、重縮合性単量体としては、多価カルボン酸とポリオールと更にはこれらのエステル化合物(オリゴマー及び/又はプレポリマー)であることが好ましく、直接エステル反応、又は、エステル交換反応を経て、ポリエステル樹脂を得るものがよい。
本実施形態において、重縮合樹脂は、重縮合性単量体、それらのオリゴマー及びプレポリマーよりなる群から選ばれる少なくとも1種を重縮合して得られるが、これらの中でも重縮合性単量体を使用することが好ましい。
【0028】
多価カルボン酸は、1分子中にカルボキシル基を2個以上含有する化合物である。このうち、ジカルボン酸は1分子中にカルボキシル基を2個含有する化合物であり、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、アジピン酸、β−メチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、フマル酸、シトラコン酸、ジグリコール酸、シクロヘキサン−3,5−ジエン−1,2−カルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、マロン酸、ピメリン酸、スペリン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレン二酢酸、o−フェニレン二酢酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等を挙げられる。
また、ジカルボン酸以外の多価カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸、イタコン酸、グルタコン酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸等、更にまたこれらの低級エステルなどが挙げられる。更にまた、これらの酸ハロゲン化物、酸無水物も用いられる。
これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、低級エステルとは、エステルのアルコキシ部分の炭素数が1〜8であることを示す。具体的には、メチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、イソプロピルエステル、n−ブチルエステル及びイソブチルエステル等が挙げられる。
【0029】
ポリオールは、1分子中に水酸基を2個以上含有する化合物である。このうち、ジオールは1分子中に水酸基を2個含有する化合物であり、具体的には例えば、ジオールとして、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ブテンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、ポリテトラメチレングリコール、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコール及びビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、及び、これと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。
また、水分散性を容易にするため、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール吉草酸等が例示される。
【0030】
三価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサエチロールメラミン、テトラメチロールベンゾグアナミン、テトラエチロールベンゾグアナミン、ソルビトール、トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、上記三価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、これらの重縮合性単量体の組み合わせにより非結晶性樹脂や結晶性樹脂を容易に得ることができる。
【0031】
また、ヒドロキシカルボン酸を用いることもできる。前記ヒドロキシカルボン酸の具体例としては、ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシオクタン酸、ヒドロキシデカン酸、ヒドロキシウンデカン酸、リンゴ酸、酒石酸、粘液酸、クエン酸等を挙げることができる。
【0032】
また、ポリアミンとしては、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,4−ブテンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンビス(メチルアミン)等を挙げることができる。
【0033】
また、重縮合性単量体を重縮合して得られる重縮合樹脂の重量平均分子量は、1,500以上40,000以下であることが好ましく、3,000以上30,000以下であることがより好ましい。重量平均分子量が1,500以上であると、結着樹脂の凝集力が良好であり、ホットオフセット性に優れ、40,000以下であると、ホットオフセット性に優れ、かつ、最低定着温度が優れた値を示し好ましい。また、単量体のカルボン酸価数、アルコール価数の選択などによって一部枝分かれや架橋などを有していてもよい。
【0034】
また、得られるポリエステル樹脂の酸価は、1mg・KOH/g以上50mg・KOH/g以下であることが好ましい。この第一の理由は、高画質トナーとして実用に供するためには、水系媒体中でのトナーの粒子径、分布の制御が必要不可欠であり、酸価が1mg・KOH/g以上であると、造粒工程において、十分な粒子径及び分布が達成でき、更にトナーに使用した場合、十分な帯電性を得られることである。また重縮合されるポリエステルの酸価が50mg・KOH/g以下であると、重縮合の際トナーとして画質強度を得るための十分な分子量を得られ、また、トナーの高湿度下での帯電性の環境依存も小さく、画像信頼性に優れる。
酸価の測定方法としては、特に制限はないが、JIS K0070に従い測定することが好ましい。
【0035】
非結晶性ポリエステル樹脂を使用する場合、該非結晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度Tgは、50℃〜80℃であることが好ましく、50℃〜65℃であることがより好ましい。Tgが50℃以上であると、高温度域での結着樹脂自体の凝集力が良好であるため、定着の際にホットオフセット性に優れる。また、Tgが80℃以下であると、十分な溶融が得られ、最低定着温度が上昇しにくい。
結着樹脂のガラス転移温度は、ASTM D3418−82に規定された方法(DSC法)で測定した値をいう。
【0036】
付加重合型樹脂の作製に使用する付加重合性単量体としては、カチオン重合性単量体及びラジカル重合性単量体が挙げられるが、ラジカル重合性単量体であることが好ましい。
ラジカル重合性単量体としては、スチレン系単量体類、不飽和カルボン酸類、(メタ)アクリレート類(なお、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートを意味するものとし、以下も同様とする。)、N−ビニル化合物類、ビニルエステル類、ハロゲン化ビニル化合物類、N−置換不飽和アミド類、共役ジエン類、多官能ビニル化合物類、多官能(メタ)アクリレート類等が挙げられる。なお、これらの中で、N−置換不飽和アミド類、共役ジエン類、多官能ビニル化合物類、及び、多官能(メタ)アクリレート類等は、生成された重合体に架橋反応を生起させることもできる。これらを、単独で、あるいは組み合わせて使用できる。
【0037】
本実施形態に用いることができる付加重合性単量体としては、ラジカル重合性単量体、カチオン重合性単量体、又は、アニオン重合性単量体が挙げられ、ラジカル重合性単量体であることが好ましい。
ラジカル重合性単量体としては、エチレン性不飽和結合を有する化合物であることが好ましく、芳香族エチレン性不飽和化合物(以下、「ビニル芳香族」ともいう。)、エチレン性不飽和結合を有するカルボン酸(不飽和カルボン酸)、エステルやアルデヒド、ニトリル若しくはアミドなどの不飽和カルボン酸の誘導体、N−ビニル化合物、ビニルエステル類、ハロゲン化ビニル化合物、N−置換不飽和アミド、共役ジエン、多官能ビニル化合物、又は、多官能(メタ)アクリレートであることがより好ましい。
【0038】
具体的には、例えば、スチレン、p−ビニルピリジン等の無置換ビニル芳香族類、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン等のα−置換スチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン等の芳香核置換スチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチレン、ジブロモスチレン等の芳香核ハロゲン置換スチレン等のビニル芳香族類、(メタ)アクリル酸(なお、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルを意味するものとし、以下も同様とする。)、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸エステル類、(メタ)アクリルアルデヒド、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド等の不飽和カルボン酸誘導体類、N−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物類、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル化合物類、N−メチロールアクリルアミド、N−エチロールアクリルアミド、N−プロパノールアクリルアミド、N−メチロールマレインアミド酸、N−メチロールマレインアミド酸エステル、N−メチロールマレイミド、N−エチロールマレイミド等のN−置換不飽和アミド類、ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルシクロヘキサン等の多官能ビニル化合物類、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート類等が挙げられる。また、エチレン性不飽和結合を有するスルホン酸やホスホン酸、及び、それらの誘導体も用いることができる。なお、これらの中で、N−置換不飽和アミド類、共役ジエン類、多官能ビニル化合物類、及び、多官能アクリレート類等は、生成された重合体に架橋反応を生起させることもできる。また、これら付加重合性単量体を、1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0039】
<乳化工程>
本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法は、溶融させた前記油性混合物に剪断力を付与しながら水性媒体を添加し乳化する乳化工程を含む。
前記乳化工程における乳化は、転相乳化であることが好ましい。
本実施形態に用いられる水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水や、エタノール、メタノール等のアルコール類などが挙げられる。これらの中でも、エタノールや水であることが好ましく、水であることがより好ましく、イオン交換水が特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、水系媒体は、水混和性の有機溶媒を含んでいてもよいが、前記乳化工程においては、含まないことが好ましい。水混和性の有機溶媒としては、例えば、アセトンや酢酸等が挙げられる。
前記乳化工程における水系媒体の使用量としては、特に制限はないが、得られる樹脂粒子分散液の固形分濃度が、1〜60質量であることが好ましく、5〜50質量%であることがより好ましく、10〜50質量%であることが更に好ましい。
また、前記乳化工程における水系媒体の添加方法としては、徐々に添加しても、一度に添加してもよいが、2回以上に分けて添加することが好ましく、3回以上に分けて添加することがより好ましい。上記態様であると、塩基及び界面活性剤の使用量が少量であっても、乳化分散性により優れ、粒度分布のより狭い樹脂粒子分散液が得られる。
【0040】
前記乳化工程における乳化装置内の温度は、特に制限はないが、分散性及び乳化性の観点から、70℃〜100℃であることが好ましく、80℃〜99℃であることがより好ましく、85℃〜99℃であることが更に好ましい。
【0041】
得られる樹脂粒子分散液における樹脂粒子の平均粒径(体積平均粒径)は、60nm以上300nm以下の範囲であることが好ましく、150nm以上250nm以下の範囲であることがより好ましい。上記範囲であると、樹脂粒子の凝集性が十分であり、かつ、トナーの粒径分布を狭くすることができる。
【0042】
得られた樹脂粒子分散液の体積平均粒径は、例えば、マイクロトラック(日機装(株)製、マイクロトラックUPA9340)、レーザー回析式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、LA−700)で測定することが好ましく、マイクロトラック(日機装(株)製、マイクロトラックUPA9340)で測定することがより好ましい。
測定法として具体的には、以下の方法が例示される。
分散液となっている状態の試料を固形分で約2gになるように調整し、これにイオン交換水を添加して、約40mlにする。これをセルに適当な濃度になるまで投入し、約2分待って、セル内の濃度がほぼ安定になったところで測定する。得られたチャンネルごとの体積平均粒径を、体積平均粒径の小さい方から累積し、累積50%になったところを体積平均粒径(D
50)とする。
【0043】
<乳化装置>
本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法は、少なくとも樹脂、塩基、及び、界面活性剤を含む油性混合物を、剪断力を付与しながら溶融状態にする溶融工程と、溶融させた前記油性混合物に剪断力を付与しながら水性媒体を添加し乳化する乳化工程と、を含み、前記溶融工程及び乳化工程において、1つの乳化装置を使用する。
乳化装置は、溶融工程及び乳化工程を両方行うことができる装置であれば特に制限はないが、二軸混練機であることが好ましく、二軸混練押出機であることがより好ましく、連続供給型の二軸混練押出機であることが更に好ましい。
本実施形態に好適に用いられる乳化装置(二軸混練押出機)の一例について、図面を用いて以下に説明する。
図1に示す二軸混練押出機10は、二軸のスクリュー(不図示)を内部に備えた混練及び乳化を行うシリンダー12を有しており、シリンダー12は、原料投入口14、塩基水溶液投入口16、界面活性剤投入口18、水投入口20、21及び22、並びに、排出口24を有している。各投入口には、原料を供給する供給ライン26が接続されており、また、各供給ラインには、必要に応じ、供給量を調整可能なポンプ28が備えられている。原料投入口14には、供給ライン26により樹脂供給機30が接続されている。原料投入口14の側壁には、塩基水溶液投入口16が突出して設けられており、塩基水溶液投入口16には、供給ライン26により塩基水溶液タンク32が接続されている。界面活性剤投入口18には、供給ライン26により界面活性剤水溶液タンク34が接続されており、界面活性剤水溶液タンク34には、恒温槽等のような温度調節装置36が設けられている。水投入口20、21及び22にはそれぞれ、供給ライン26により純水タンク38が接続されており、純水タンク38には、ヒーター40が設けられている。
図1に示す二軸混練押出機10におけるシリンダー12は、樹脂供給バレル42と呼ばれる区画を10個有しており、例えば、各バレル毎に二軸のスクリューの構造を変更したり、温度調節を変更したりすることができる。また、二軸混練押出機10は、温度調節装置(不図示)を備えている。シリンダー12に投入された各原料は、混練され、排出口24より樹脂粒子分散液として排出される。
本実施形態の好ましい態様としては、
図1に示すように、まず、樹脂と塩基水溶液とを乳化装置に供給し、乳化装置の原料供給口から排出口までのうち、シリンダー前半部分において界面活性剤を供給し、シリンダー中央部分から後半部分において3カ所に分けて水を供給することである。
図1に示す二軸混練押出機10を本実施形態に使用する場合、1バレル目において、樹脂と塩基水溶液とを供給した後、2バレル目〜10バレル目までの恒温域44では内部の温度が85℃〜99℃の温度範囲に維持されるように温度の調節を行うことが好ましい。
【0044】
(静電荷像現像トナー)
本実施形態の静電荷像現像トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)は、本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法により得られた樹脂粒子分散液に分散された樹脂粒子を結着樹脂として少なくとも使用したトナーである。
【0045】
<結着樹脂>
本実施形態の静電荷像現像トナーにおける結着樹脂は、本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法により得られた樹脂粒子分散液由来の樹脂を少なくとも含む。
本実施形態の静電荷像現像トナーは、結着樹脂として、本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法により得られた樹脂粒子分散液由来の樹脂以外の樹脂を含んでいてもよいが、トナーに含まれる結着樹脂の全質量に対し、50質量%未満であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましく、含まないことが特に好ましい。上記態様であると、定着特性により優れる。
本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法により得られた樹脂粒子分散液由来の樹脂以外の樹脂としては、特に制限はなく、トナー使用される公知の樹脂が用いられる。
【0046】
また、本実施形態のトナーにおける結着樹脂の含有量は、トナーの全質量に対し、10〜90質量%であることが好ましく、30〜85質量%であることがより好ましく、50〜80質量%であることが更に好ましい。
【0047】
<着色剤>
本実施形態のトナーは、必要に応じ、着色剤を含有してもよい。
着色剤としては、公知のものを用いることができ、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透過性、トナー中での分散性の観点から任意に選択すればよい。
具体的には、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドCローズベンガル、などの種々の顔料や、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系、キサンテン系などの各種着色剤などが例示できる。
【0048】
また、前記着色剤として、具体的には、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料(C.I.No.50415B)、アニリンブルー(C.I.No.50405)、カルコオイルブルー(C.I.No.azoic Blue3)、クロムイエロー(C.I.No.14090)、ウルトラマリンブルー(C.I.No.77103)、デュポンオイルレッド(C.I.No.26105)、キノリンイエロー(C.I.No.47005)、メチレンブルークロライド(C.I.No.52015)、フタロシアニンブルー(C.I.No.74160)、マラカイトグリーンオクサレート(C.I.No.42000)、ランプブラック(C.I.No.77266)、ローズベンガル(C.I.No.45435)、これらの混合物などを好ましく用いることができる。
【0049】
着色剤の使用量は、トナー100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、0.5〜10質量部であることがより好ましい。また、着色剤として、これらの顔料や染料等を1種単独で使用する、又は、2種以上を併せて使用することができる。
着色剤の分散方法としては、任意の方法、例えば回転剪断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的な分散方法を使用することができ、何ら制限されるものではない。また、これらの着色剤粒子は、その他の粒子成分と共に混合溶媒中に一度に添加してもよいし、分割して多段階で添加してもよい。
【0050】
<離型剤>
本実施形態の静電荷像現像トナーは、離型剤を含有することが好ましい。
離型剤の具体例としては、例えば、エステルワックス、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエチレンとポリプロピレンの共重合物、ポリグリセリンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックス、脱酸カルナバワックス、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベフェニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコール類などの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドなどの、不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。これらの中でも、ワックス類が好ましい。
【0051】
前記離型剤は、1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
前記離型剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1〜20質量部の範囲で含有することが好ましく、3〜15質量部の範囲で含有することがより好ましい。上記範囲であると、良好な定着及び画質特性の両立が可能である。
【0052】
<その他の成分>
トナーには、上記成分以外にも、更に必要に応じて内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機粒子)、有機粒子等の種々の成分を添加してもよい。
内添剤としては、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、又はこれら金属を含む化合物などの磁性体等が挙げられる。上記磁性体等を含有させて磁性トナーとして用いる場合、これらの強磁性体は平均粒子が2μm以下が好ましく、0.1〜0.5μm程度のものがより好ましい。トナー中に含有させる量としては樹脂成分100質量部に対し20〜200質量部が好ましく、特に樹脂成分100質量部に対し40〜150質量部が好ましい。また、10Kエルステッド印加での磁気特性が保磁力(Hc)が20〜300エルステッド、飽和磁化(σs)が50〜200emu/g、残留磁化(σr)が2〜20emu/gのものが好ましい。
【0053】
帯電制御剤としては、例えば、フッ素系界面活性剤、サリチル酸金属錯体、アゾ系金属化合物の様な含金属染料、マレイン酸を単量体成分として含む重合体の如き高分子酸、四級アンモニウム塩、ニグロシン等のアジン系染料等が挙げられる。
【0054】
トナーは、粘弾性調整を目的として、無機粉体を含んでもよい。無機粉体としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、燐酸カルシウム、酸化セリウム等の下記に詳細に列挙する、通常トナー表面の外添剤として使用されるすべての無機粒子が挙げられる。
【0055】
<外添剤>
トナーは、必要に応じて外添剤が表面に外添されていてもよい。表面に外添される外添剤としては、無機粒子や有機粒子が挙げられる。
無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、塩化セリウム、ベンガラ、酸化クロム、酸化セリウム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。
無機粒子は、一般に流動性を向上させる目的で使用される。前記無機粒子の平均一次粒径としては、1〜200nmの範囲が好ましい。無機粒子の添加量としては、トナー100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲が好ましい。
【0056】
前記無機粒子は、表面が予め疎水化処理されていることが好ましい。この疎水化処理によりトナーの粉体流動性改善のほか、帯電の環境依存性、耐キャリア汚染性に対してより効果的である。
前記疎水化処理は、疎水化処理剤に前記無機粒子を浸漬等することにより行ってもよい。前記疎水化処理剤としては特に制限はないが、例えば、シランカップリング剤、シリコーンオイル、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、シランカップリング剤が好適に挙げられる。
【0057】
有機粒子は、一般にクリーニング性や転写性を向上させる目的で使用され、具体的には例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂粉末、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。
【0058】
これらの中でも、流動性や帯電特性を良好にする観点から、チタニアやシリカ等の無機酸化物を用いることが好ましい。
また、外添剤は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
外添前のトナー母粒子に外添される外添剤の割合は、トナー母粒子100質量部に対し0.01〜5質量部の範囲が好ましく、0.1〜3.0質量部の範囲がより好ましい。
【0059】
<トナーの態様及び物性>
本実施形態のトナーは、コアシェルトナーであることが好ましく、コア及びシェルの両方に本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法により得られた樹脂粒子分散液由来の樹脂を含むことが好ましい。
前記シェル層の厚さ(平均総厚さ)は、特に制限はないが、0.01〜2.5μmであることが好ましい。
また、前記シェル層の量は、トナー母粒子の全質量に対し、0.01〜40質量%であることが好ましく、0.1〜35質量%であることがより好ましい。
【0060】
本実施形態のトナーの体積平均粒径(D
50v)は、2μm以上20μm以下が好ましく、3μm以上15μm以下がより好ましく、3μm以上12μm以下が更に好ましい。上記範囲であると、高温高湿環境下における転写むらがより抑制される。
また、本実施形態のトナーにおけるトナー母粒子の体積平均粒径(D
50v)は、2μm以上20μm以下が好ましく、3μm以上15μm以下がより好ましく、3μm以上12μm以下が更に好ましい。上記範囲であると、高温高湿環境下における転写むらがより抑制される。
トナーの粒度分布としては狭いほうが好ましく、より具体的にはトナーの個数粒径の小さい方から換算して16%径(D
16p)と84%径(D
84p)との比を平方根として示したもの(GSDp)、すなわち、下式で表されるGSDpが1.40以下であることが好ましく、1.31以下であることがより好ましく、1.27以下であることが特に好ましい。また、GSDpは1.15以上であることが好ましい。
GSDp={(D
84p)/(D
16p)}
0.5
体積平均粒径、GSDpともに上記範囲であれば、極端に小さな粒子が存在しないため、小粒径トナーの帯電量が過剰になることによる現像性の低下を抑制できる。
【0061】
トナー等の粒子の平均粒径測定には、コールターマルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)を用いることができる。この場合、粒子の粒径レベルにより、最適なアパーチャーを用いて測定することができる。測定した粒子の粒径は体積平均粒径で表す。
粒子の粒径がおよそ5μm以下の場合は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(LA−700、(株)堀場製作所製)を用いて測定することができる。
更に、粒径がナノメーターオーダーの場合は、BET式の比表面積測定装置(Flow SorbII2300、(株)島津製作所製)を用いて測定することができる。
【0062】
本実施形態において、トナーの形状係数SF1は、110以上160以下の範囲が好ましく、120以上150以下の範囲がより好ましい。上記範囲であると、高温高湿環境下における転写むらがより抑制される。
形状係数SF1は、粒子表面の凹凸の度合いを示す形状係数であり、以下の式により算出される。
【0064】
式中、MLは粒子の最大長を示し、Aは粒子の投影面積を示す。
SF1の具体的な測定方法としては、例えば、まずスライドグラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像を、ビデオカメラを通じて画像解析装置に取り込み、50個のトナーについてSF1を計算し、平均値を求める方法が挙げられる。
【0065】
(静電荷像現像トナーの製造方法)
本実施形態の静電荷像現像トナーの製造方法は、本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法により得られた樹脂粒子分散液を含む分散液中で前記樹脂粒子を凝集して凝集粒子を得る工程(以下、「凝集工程」ともいう。)、及び、前記凝集粒子を加熱して融合させる工程(以下、「融合工程」ともいう。)、を含むことを特徴とする。
【0066】
<凝集工程>
本実施形態のトナーの製造方法は、本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法により得られた樹脂粒子分散液を含む分散液中で前記樹脂粒子を凝集して凝集粒子を得る凝集工程を含むことが好ましい。
前記凝集工程においては、互いに混合された、本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法により得られた樹脂粒子分散液、及び、必要に応じて、着色剤分散液、離型剤分散液中の各粒子を水系媒体中において凝集させて、凝集体における所望の体積平均粒径の凝集粒子を形成する。前記凝集粒子はヘテロ凝集等により形成され、凝集粒子の安定化、粒度/粒度分布制御を目的として、界面活性剤や凝集剤を添加してもよい。また、凝集粒子の形成は、回転剪断型ホモジナイザーで撹拌下、凝集剤を添加することにより行うことが好ましい。また、前記凝集工程における温度は、凝集が進行すれば特に制限はないが、10℃〜55℃であることが好ましい。
本実施形態においては、目的に応じて、前記樹脂粒子分散液、前記着色剤分散液及び前記離型剤分散液の少なくともいずれかに、内添剤、帯電制御剤、無機粒体、有機粒体、滑剤、研磨材などのその他の成分(粒子)を分散させてもよい。また、例えば、前記結着樹脂分散液、着色剤分散液及び離型剤分散液の少なくともいずれかの中に、その他の成分(粒子)を分散させてもよいし、樹脂粒子分散液、着色剤分散液及び離型剤分散液を混合してなる混合液中に、その他の成分(粒子)を分散させてなる分散液を混合してもよい。
【0067】
前記着色剤分散液、前記離型剤分散液等の分散液における分散媒としては、例えば、水系媒体などが挙げられる。
本実施形態に用いられる水系媒体としては、前述したものが挙げられる。これらの中でも、エタノールや水であることが好ましく、蒸留水及びイオン交換水等の水が特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、水系媒体には、水混和性の有機溶媒を含んでいてもよい。水混和性の有機溶媒としては、例えば、アセトンや酢酸等が挙げられる。
【0068】
前記凝集工程は、本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法により得られた樹脂粒子分散液を含む分散液のpHを酸性(好ましくはpH6以下)とする工程、前記分散液に凝集剤を添加する工程、前記分散液のpHをアルカリ性(好ましくはpH8以上)とする工程をこの順に含むことが好ましい。分散液のpHを酸性にすることで、凝集性に優れ、また、pHをアルカリ性とすることで、凝集が停止又は抑制される。
また、前記凝集工程においては、分散液に凝集剤を添加した後、分散液の温度を35℃〜55℃に加熱することが好ましい。
【0069】
〔界面活性剤〕
本実施形態において、トナーの製造時に、例えば、前記凝集工程における樹脂粒子分散液、着色剤分散液及び離型剤分散液等の分散安定を目的として界面活性剤を用いることができる。
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、第四級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等のノニオン系界面活性剤などが挙げられる。これらの中でも、イオン性界面活性剤が好ましく、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤がより好ましい。
【0070】
トナーにおいては、一般的にはアニオン系界面活性剤は分散力が強く、樹脂粒子、着色剤の分散に優れている。また、離型剤を分散させるための界面活性剤としてはアニオン系界面活性剤を用いることが有利である。
非イオン系界面活性剤は、前記アニオン系界面活性剤又はカチオン系界面活性剤と併用することが好ましい。前記界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0071】
界面活性剤の着色剤分散液及び離型剤分散液中における含有量としては、本実施形態を阻害しない程度であればよく、一般的には少量であり、具体的には、0.01質量%以上3質量%以下の範囲であることが好ましく、0.05質量%以上2質量%以下の範囲であることがより好ましく、0.1質量%以上1質量%以下の範囲であることが更に好ましい。上記範囲であると、着色剤分散液及び離型剤分散液等の各分散液が安定であり、凝集や特定粒子の遊離も生じず、また、本実施形態の効果が十分に得られる。一般的に粒子径の大きい懸濁重合トナー分散物は、界面活性剤の使用量が少量でも安定である。
なお、界面活性剤はトナー中にある程度は残留するものであるが、その量はアルカリ金属量(例えば、Na)の量で測定することができる。その量は0.1kps以下が好ましい。0.1kps以下であると、帯電量への影響が少なく、転写効率に優れる。なお、kpsとは、蛍光X線装置において、測定可能な元素の総数を1としたときの割合を示す。
【0072】
〔凝集剤〕
前記凝集工程においては、pH変化等により凝集を発生させ、結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒径の粒子を調製することができる。同時に粒子の凝集を安定に、また迅速に、又は、より狭い粒度分布を持つ凝集粒子を得るため、凝集剤を添加してもよい。
凝集剤としては、一価以上の電荷を有する化合物が好ましく、その化合物の具体例としては、前述のイオン性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等の水溶性界面活性剤類、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸等の酸類、(ポリ)塩化アルミニウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硝酸アルミニウム、硝酸銀、硫酸銅、炭酸ナトリウム等の無機酸の金属塩、酢酸ナトリウム、蟻酸カリウム、シュウ酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム等の脂肪族酸、芳香族酸の金属塩、ナトリウムフェノレート等のフェノール類の金属塩等が挙げられる。
【0073】
凝集粒子の安定性、凝集剤の熱や経時に対する安定性、洗浄時の除去を考慮した場合、凝集剤としては、無機酸の金属塩が性能、使用の点で好ましい。具体的には、(ポリ)塩化アルミニウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硝酸アルミニウム、硝酸銀、硫酸銅、炭酸ナトリウム等の無機酸の金属塩などが挙げられる。
これらの凝集剤の添加量は、電荷の価数により異なるが、いずれも少量であることが好ましく、一価の場合は3質量%以下、二価の場合は1質量%以下、三価の場合は0.5質量%以下であることが好ましい。凝集剤の量は少ない方が好ましいため、価数の多い化合物を用いることが好ましい。
【0074】
〔着色剤分散液の作製方法〕
前記着色剤分散液は、少なくとも着色剤を分散させてなる。
着色剤は、公知の方法で分散されるが、例えば、回転剪断型ホモジナイザーやボールミル、サンドミル、アトライター等のメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機等が好ましく用いられる。また、着色剤は、極性を有するイオン性界面活性剤を用い、既述したようなホモジナイザーを用いて水系溶媒中に分散し、着色剤粒子分散液を作製してもよい。着色剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記着色剤の体積平均粒径(以下、単に平均粒径ということがある。)としては、1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましく、0.01〜0.5μmが特に好ましい。
また、着色剤の水系媒体中での分散安定性をより安定化させ、トナー中での着色剤のエネルギーを低くするために添加する分散剤として、ロジン、ロジン誘導体、カップリング剤、高分子分散剤などが挙げられる。
【0075】
〔離型剤分散液の作製方法〕
前記離型剤分散液は、少なくとも離型剤を分散させてなる。
離型剤は、公知の方法で分散されるが、例えば、回転剪断型ホモジナイザーやボールミル、サンドミル、アトライター等のメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機等が好ましく用いられる。また、離型剤は、極性を有するイオン性界面活性剤を用い、既述したようなホモジナイザーを用いて水系溶媒中に分散し、離型剤粒子分散液を作製してもよい。本実施形態において、離型剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記離型剤粒子の平均粒径としては、1μm以下が好ましく、0.01〜1μmがより好ましい。
【0076】
<添加工程、及び、シェル付着工程>
本実施形態のトナーの製造方法は、凝集を行い、凝集体を形成した後、前記凝集体を含む分散液に更に樹脂粒子を添加する添加工程と、前記凝集体の表面に前記樹脂粒子を付着させ凝集粒子を得るシェル付着工程と、を含むことが好ましい。前記樹脂粒子は、本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法により得られた樹脂粒子分散液に含まれる樹脂粒子であることが好ましい。すなわち、前記添加工程は、前記凝集体を含む分散液に更に本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法により得られた樹脂粒子分散液を添加する工程であることが好ましい。
【0077】
前記添加工程における樹脂粒子の添加量は、特に制限はないが、前記凝集工程であられた凝集体の全質量100質量部に対し、0.5〜10質量部であることが好ましく、0.5〜8質量部であることがより好ましく、1〜5質量部であることが更に好ましい。
前記シェル付着工程に使用される凝集剤は、前記凝集工程において添加した凝集剤をそのまま利用してもよいし、新たに添加してもよい。
前記シェル付着工程における分散液の温度としては、前記凝集体の表面に樹脂粒子を付着させられる温度であれば、特に制限はないが、前記凝集工程における分散液の温度と好ましい態様は同様である。
また、前記添加工程、及び、前記シェル付着工程は、前記添加工程を行いながら、前記シェル付着工程を行っても、前記添加工程を行った後、前記シェル付着工程を行ってもよいが、前記シェル付着工程の次の添加工程については、前記シェル付着工程において、前記凝集体の表面に前の添加工程において添加した樹脂粒子が付着する時間を考慮し、間隔をあけることが好ましい。
前記添加工程及び/又はシェル付着工程において、凝集体の安定化、粒度/粒度分布制御を目的として、界面活性剤を添加してもよいし、また、pH調整を行ってもよい。
【0078】
<融合工程>
本実施形態の静電荷像現像トナーの製造方法は、前記凝集粒子を加熱して融合させる融合工程を含むことが好ましい。
前記融合工程においては、前記凝集粒子中の結着樹脂が、その融点又はガラス転移温度以上の温度条件で溶融し、凝集粒子は不定形からより球形へと変化する。
前記融合工程における加熱温度としては、(使用した結晶性樹脂の融解温度+0〜50)℃又は(使用した非結晶性樹脂粒子のガラス転移温度+0〜50)℃の範囲であることが好ましく、(使用した結晶性樹脂の融解温度+0〜40)℃又は(非結晶性ポリエステル樹脂粒子のガラス転移温度+10〜40)℃の範囲であることがより好ましい。
前記加熱の時間としては、粒子間での融合が行われる程度に時間をかければよく、0.5〜10時間が好ましい。
凝集粒子の融合後に冷却し、融合粒子を得る。また冷却の工程で、離型剤や結着樹脂の融解温度近傍(融解温度±10℃の範囲)で冷却速度を上げる、いわゆる急冷をすることで離型剤や結着樹脂の再結晶化を抑制して表面露出を抑制してもよい。
【0079】
<その他の工程>
融合工程の終了後、任意の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程、外添工程等を経て所望のトナーを得てもよい。
洗浄工程は、帯電性の点から十分にイオン交換水による置換洗浄を施すことが好ましい。また、固液分離工程は、特に制限はないが、生産性の点から吸引ろ過、加圧ろ過等が好ましく用いられる。更に、乾燥工程も特に方法に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が好ましく用いられる。本実施形態のトナーは、乾燥後の含水分率を、1.0質量%以下に調整することが好ましく、0.5質量%以下に調整することがより好ましい。
外添工程におけるトナー母粒子の表面にシリカ、チタニアなどの無機粒子を外添する方法としては、特に制限はなく、公知の方法が用いられ、例えば、機械的方法、又は、化学的方法で付着させる方法が挙げられる。
【0080】
(静電荷像現像剤)
本実施形態の静電荷像現像剤(以下、「現像剤」という場合がある。)は、本実施形態の静電荷像現像トナーを含有するものであれば特に制限はなく、また、トナーを単独で用いる一成分系の現像剤であってもよく、トナーとキャリアとを含む二成分系の現像剤であってもよい。なお、一成分系の現像剤の場合には、磁性金属粒子を含むトナーであっても磁性金属粒子を含まない非磁性一成分トナーであっても構わない。
【0081】
キャリアは、公知のキャリアであれば特に制限されるものではなく、鉄粉系キャリア、フェライト系キャリア、表面コートフェライトキャリア等が使用される。また、それぞれの表面添加粉末は所望の表面処理を施して用いてもよい。
キャリアの具体例としては、以下の樹脂被覆キャリアが挙げられる。キャリアの核体粒子としては、通常の鉄粉、フェライト、マグネタイト造型物などが挙げられ、その体積平均粒径は、30〜200μmであることが好ましい。
【0082】
また、上記樹脂被覆キャリアの被覆樹脂としては、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のα−メチレン脂肪酸モノカルボン酸類;ジメチルアミノエチルメタクリレート等の含窒素アクリル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等のビニルピリジン類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;弗化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン等のビニル系フッ素含有モノマー;などの単独重合体、又は2種類以上のモノマーからなる共重合体、更に、メチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン等を含むシリコーン樹脂類、ビスフェノール、グリコール等を含有するポリエステル類、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよいし、あるいは2種以上併用してもよい。被覆樹脂の被覆量としては、前記核体粒子100質量部に対して0.1〜10質量部程度の範囲が好ましく、0.5〜3.0質量部の範囲がより好ましい。
【0083】
キャリアの製造には、加熱型ニーダー、加熱型ヘンシェルミキサー、UMミキサーなどが使用され、前記被覆樹脂の量によっては、加熱型流動転動床、加熱型キルンなどが使用される。
【0084】
キャリアとして、フェライト粒子を核体としてアクリル酸メチル又はアクリル酸エチル及びスチレン等に導電剤としてカーボンブラック等及び又は帯電制御剤としてメラミンビーズ等を分散した樹脂をコートしたキャリアを用いると、コート層を厚膜化しても抵抗制御性に優れるため、画質及び画質維持性に優れ、より好ましい。
現像剤におけるトナーとキャリアとの混合比としては特に制限はなく、目的に応じて選択される。
【0085】
(画像形成方法)
本実施形態のトナーを用いた画像形成方法について説明する。本実施形態のトナーは、公知の電子写真方式を利用した画像形成方法に利用される。具体的には以下の工程を有する画像形成方法において利用される。
すなわち、好ましい画像形成方法は、静電荷像保持体表面を一様に帯電させる帯電工程と、帯電した前記静電荷像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成工程と、前記静電荷像保持体の表面に形成された潜像を少なくともトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記静電荷像保持体の表面に形成されたトナー像を被転写体に転写する転写工程と、前記被転写体に転写されたトナー像を定着する定着工程と、転写後の前記静電荷像保持体表面の残留トナーを除去するクリーニング工程と、を有するもので、前記トナーとして、既述の本実施形態のトナーを用いる。また、転写工程は、静電荷潜像保持体から被転写体へのトナー像の転写を媒介する中間転写体を用いたものであってもよい。
【0086】
前記各工程は、それ自体一般的な工程であり、例えば、特開昭56−40868号公報、特開昭49−91231号公報等に記載されている。なお、本実施形態の画像形成方法は、それ自体公知のコピー機、ファクシミリ機等の画像形成装置を用いて実施することができる。
前記静電潜像形成工程は、像保持体(感光体)上に静電潜像を形成する工程である。
前記現像工程は、現像剤保持体上の現像剤層により前記静電潜像を現像してトナー画像を形成する工程である。前記現像剤層としては、本実施形態の静電荷像現像トナーを含んでいれば特に制限はない。
前記転写工程は、前記トナー画像を被転写体上に転写する工程である。また、転写工程における被転写体としては、中間転写体や紙等の被記録媒体が例示できる。
前記定着工程では、例えば、加熱ローラの温度を一定温度に設定した加熱ローラ定着器により、転写紙上に転写したトナー像を定着して複写画像を形成する方式が挙げられる。
前記クリーニング工程は、像保持体上に残留する静電荷像現像剤を除去する工程である。
被転写体としては、中間転写体や紙等の被記録媒体を使用することができる。
被記録媒体としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される紙、OHPシート等が挙げられ、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等を好適に使用することができる。
【0087】
本実施形態の画像形成方法においては、更にリサイクル工程をも含む態様でもよい。前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程において回収した静電荷像現像トナーを現像剤層に移す工程である。このリサイクル工程を含む態様の画像形成方法は、トナーリサイクルシステムタイプのコピー機、ファクシミリ機等の画像形成装置を用いて実施される。また、クリーニング工程を省略し、現像と同時にトナーを回収する態様のリサイクルシステムに適用してもよい。
【0088】
(画像形成装置)
本実施形態の画像形成装置は、本実施形態の静電荷像現像トナーを用いた画像形成装置について説明する。
本実施形態の画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記像保持体を露光して前記像保持体表面に静電潜像を形成させる露光手段と、トナーにより前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を前記像保持体から被転写体表面に転写する転写手段と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を有し、前記トナーが本実施形態の静電荷像現像トナーであることが好ましい。
なお、本実施形態の画像形成装置は、上記のような像保持体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも含むものであれば特に限定はされないが、その他必要に応じて、クリーニング手段、除電手段等を含んでいてもよい。
前記転写手段では、中間転写体を用いて2回以上の転写を行ってもよい。また、転写手段における被転写体としては、中間転写体や紙等の被記録媒体が例示できる。
【0089】
前記像保持体、及び、前記の各手段は、前記の画像形成方法の各工程で述べた構成を好ましく用いることができる。前記の各手段は、いずれも画像形成装置において公知の手段が利用できる。また、本実施形態の画像形成装置は、前記した構成以外の手段や装置等を含むものであってもよい。また、本実施形態の画像形成装置は、前記した手段のうちの複数を同時に行ってもよい。
また、本実施形態の画像形成装置においては、像保持体上に残留する静電荷像現像剤を除去するクリーニング手段を備えることが好ましい。
クリーニング手段としては、例えば、クリーニングブレード、クリーニングブラシなどが挙げられるが、クリーニングブレードが好ましい。
【0090】
なお、この画像形成装置において、例えば前記現像手段を含む部分が、画像形成装置本体に対して脱着されるカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよく、該プロセスカートリッジとしては、現像剤保持体を少なくとも備え、本実施形態の静電荷像現像剤を収容する本実施形態のプロセスカートリッジが好適に用いられる。
【0091】
次に、本実施形態のトナーカートリッジについて説明する。トナーカートリッジは、画像形成装置に着脱されるように装着され、少なくとも、前記画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するためのトナーを収納するトナーカートリッジにおいて、前記トナーが既述した本実施形態のトナーであることを特徴とする。なお、本実施形態のトナーカートリッジには少なくともトナーが収容されればよく、画像形成装置の機構によっては、例えば現像剤が収容されてもよい。
【0092】
したがって、トナーカートリッジが着脱される構成を有する画像形成装置においては、本実施形態のトナーを収納したトナーカートリッジを利用することにより、本実施形態のトナーが容易に現像装置に供給される。
【実施例】
【0093】
以下、実施例及び比較例を挙げ、本実施形態をより具体的に詳細に説明するが、本実施形態は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0094】
(実施例1)
<溶融工程>
非結晶性ポリエステル樹脂(ガラス転移温度(Tg):60℃、融点)200質量部、水酸化ナトリウム50質量%水溶液0.2質量部を、二軸押出機(商品名:TEM26SS、東芝機械(株)製)の原料投入口に投入し、また、二軸押出機の4バレル目から、界面活性剤としてドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液(三洋化成工業(株)製、エレミノールMON−7)4.1質量部を投入し、バレル温度90℃、スクリュー回転数400rpmで溶融し油性混合物を作製した。
【0095】
<転相乳化工程>
二軸押出機の5バレル目から90℃に調整したイオン交換水(イオン交換水1)を150質量部、7バレル目から90℃に調整したイオン交換水(イオン交換水2)を150質量部、9バレル目から90℃に調整したイオン交換水(イオン交換水3)を150質量部添加し、油性混合物を乳化して非結晶性樹脂粒子分散液(A1)を得た。
このときの二軸混練機のモーターの平均動力P
eは12.5kWであり、モーターの空動力P
0は11.5kWであり、油性混合物の平均供給量Fは12kg/hであり、(P
e−P
0)/Fは0.08kW・s/kgであった。
得られた樹脂粒子分散液中の粒子の体積平均粒度分布を、レーザー回折式粒度分布測定機(LA−700、(株)堀場製作所製)により測定した。その結果、樹脂粒子の体積平均粒度分布(GSDv=√(D
84v/D
16v))は1.24であった。
体積平均粒度分布(GSDv)は、以下のようにして求めた。
前述のレーザー回折式粒度分布測定機(LA−700、(株)堀場製作所製)で測定される樹脂粒子分散液の粒度分布をもとにして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積を小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積D
16v、累積84%となる粒径を体積D
84vと定義し、体積平均粒度分布(GSDv)を√(D
84v/D
16v)として求めた。
【0096】
<樹脂粒子分散液の中の粒子の粒度分布のばらつき評価>
樹脂粒子分散液の中の粒子の粒度分布評価は、測定した樹脂粒子分散液中の粒子の体積平均粒度分布を以下の基準に当てはめることにより行った。
体積平均粒度分布の評価基準は、以下のとおりである。
◎:1以上1.25未満
○:1.25以上1.30未満
△:1.30以上1.80未満
×:1.80以上
体積平均粒度分布が1以上1.25未満の範囲であれば、粒子の粒度分布のばらつきが抑えられていると評価され、体積平均粒度分布が1.25以上1.30未満の範囲であれば、粒子の粒度分布のばらつきは若干あるが、実用上の問題がないレベルでばらつきが抑えられていると評価される。また、体積平均粒度分布が1.30以上1.80未満の範囲であれば、粒度分布のばらつきは大きく、実用上の問題があるレベルであり、体積平均粒度分布が1.80以上であれば、粒度分布のばらつきは非常に大きく、実用上の問題があるレベルである。
【0097】
<現像剤の製造>
(1)結晶性ポリエステル樹脂分散液(C1)の調製
・1,10−ドデカン二酸:50モル%
・1,9−ノナンジオール:50モル%
上記モノマー成分を、撹拌機、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に入れ、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、前記モノマー成分100質量部に対してチタンテトラブトキサイド(試薬)を0.25質量部投入して、窒素ガス気流下170℃で3時間撹拌反応させた。更に、温度を210℃に上げて反応容器内を3kPaまで減圧し、減圧下で13時間撹拌反応させて、結晶性ポリエステル樹脂を得た。
得られた結晶性ポリエステル樹脂220質量部と、酢酸エチル220質量部と、水酸化ナトリウム水溶液(0.5N)0.1質量部とを用意し、これらをセパラブルフラスコに入れ、70℃で加熱し、スリーワンモーター(新東科学(株)製)により撹拌して樹脂混合液を調製した。この樹脂混合液を更に撹拌しながら、徐々にイオン交換水400質量部を加え、転相乳化させた後、酢酸エチルを脱溶剤した。冷却後イオン交換水を加え固形分濃度を10.0%に調整し結晶性ポリエステル樹脂分散液(C1)を調製した。
【0098】
(2)離型剤分散液の調製
・離型剤(日本精鑞(株)製、商品名:FNP0090、融点Tw89.7℃):270質量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK、有効成分量:60質量%):13.5質量部(有効成分として、離型剤に対して3.0質量%)
・イオン交換水:721.6質量部
上記成分を混合し、圧力吐出型ホモジナイザー(ゴーリン社製、ゴーリンホモジナイザー)で、内液温度120℃にて、離型剤を溶解した後、分散圧力5MPaで120分間、つづいて、40MPaで360分間分散処理し、冷却して、離型剤分散液を得た。この分散液中の粒子の体積平均粒径D
50vは230nmであった。その後、イオン交換水を加えて固形分濃度を20.0質量%に調整し、離型剤分散液を得た。
【0099】
(3)着色剤分散液の調製
・シアン顔料(大日精化(株)製:ECB 301):200質量部
・アニオン系界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンSC):33質量部
(有効成分60質量%。着色剤に対して10質量%)
・イオン交換水:750質量部
上記成分をすべて投入した際に液面の高さが容器の高さの1/3程度になる大きさのステンレス容器に、イオン交換水を280質量部とアニオン系界面活性剤20質量部とを入れ、充分に界面活性剤を溶解させた後、前記シアン顔料すべてを投入し、撹拌機を用いて濡れていない顔料がなくなるまで撹拌するとともに、充分に脱泡させた。脱泡後に残りのイオン交換水を加え、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて、5,000回転で10分間分散した後、撹拌器で1昼夜撹拌させて脱泡した。
脱泡後、再度ホモジナイザーを用いて、6,000回転で10分間分散した後、撹拌器で1昼夜攪拌させて脱泡した。続けて、分散液を高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて、圧力240MPaで分散した。分散は、トータル仕込み量と装置の処理能力とから換算して25パス相当行った。得られた分散液を72時間放置して沈殿物を除去し、イオン交換水を加えて、固形分濃度を15質量%に調整した。この着色剤分散液中の粒子の体積平均粒径D
50vは115nmであった。なお、該体積平均粒径D
50vはマイクロトラックにて5回測定した内の、最大値と最小値を除いた3回の測定値の平均値を用いた。
【0100】
(4)硫酸アルミニウム水溶液の調製
・硫酸アルミニウム粉末(浅田化学工業(株)製:17質量%硫酸アルミニウム):35質量部
・イオン交換水:1,965質量部
を容器へ投入し、30℃にて、沈殿物が消失するまで撹拌混合して硫酸アルミニウム水溶液を調製した。
【0101】
(5)トナーの製造
・結晶性ポリエステル樹脂分散液(C1):57質量部
・非結晶性樹脂粒子分散液(A1):635質量部
・着色剤分散液:100質量部
・離型剤分散液:115質量部
・イオン交換水:200質量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK):7.0質量部
上記各成分を、温度計、pH計、撹拌機を具備した反応容器に入れ、温度25℃にて、ホモジナイザー(IKAジャパン社製:ウルトラタラクスT50)にて5,000rpmで分散しながら、調製した硫酸アルミニウム水溶液を125質量部添加して6分間分散した。その後、反応容器に撹拌機、マントルヒーターを設置し、スラリーが充分に撹拌するように撹拌機の回転数を調整しながら、温度40℃までは0.2℃/分で、40℃を超えてからは0.05℃/分で昇温し10分ごとにマルチサイザーII(アパーチャー径:50μm、ベックマン−コールター社製)にて粒径を測定し、体積平均粒径が5.0μmとなったところで温度を保持し、更に追加用非結晶性樹脂分散液(A1)312質量部を5分間かけて投入した。投入後30分間保持した後、4質量%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを9.0にした。その後、5℃ごとにpHを9.0に調整しながら、昇温速度1℃/分で90℃まで昇温し、90℃で保持した。15分ごとに光学顕微鏡と走査電子顕微鏡(FE SEM)にて粒子形状及び表面性を観察したところ、1.0時間目で粒子の合一が確認されたので、冷却水にて容器を30℃まで5分間で冷却した。冷却後のスラリーを、目開き15μmのナイロンメッシュに通過させ粗大粉を除去した後、メッシュを通過したトナースラリーをアスピレータで減圧ろ過した。ろ紙上に残ったトナーを手で出来るだけ細かく砕いて、温度30℃でトナー量の10倍のイオン交換水に投入し、30分間攪拌混合した後、再度アスピレータで減圧ろ過し、ろ液の伝導度を測定した。ろ液の伝導度が10μS/cm以下となるまでこの操作を繰り返し、トナーを洗浄した。洗浄したトナーを湿式乾式整粒機(コーミル)で細かく砕いてから、35℃のオーブン中で36時間真空乾燥して、トナー粒子を得た。得られたトナー粒子100質量部に対して、疎水性シリカ(日本アエロジル(株)製、RY50)1.0質量部と疎水性酸化チタン(日本アエロジル(株)製、T805)0.8質量部とを加え、サンプルミルを用いて13,000rpmで30秒間混合ブレンドした。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分して、トナー(A1)を得た。
得られたトナーは、体積平均粒径D
50vが6.0μm、形状係数0.960(シスメックス(株)製、FPIA 3000)であった。なお、トナーのSEM画像を観察したところ、滑らかな表面を持ち、離型剤の突き出しや表面層の剥がれなどの不具合はなかった。
【0102】
(6)キャリアの作製
・Mn−Mg−Sr系フェライト粒子(平均粒径40μm):100質量部
・トルエン:14質量部
・シクロヘキシルメタアクリレート/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(共重合質量比99:1、重量平均分子量Mw8万):2.0質量部
・カーボンブラック(VXC72:キャボット社製):0.12質量部
フェライト粒子を除く上記成分及びガラスビーズ(φ1mm、トルエンと同量)を、関西ペイント(株)製サンドミルを用いて1,200ppm/30min撹拌し、樹脂被覆層形成用溶液とした。更に、この樹脂被覆層形成用溶液とフェライト粒子を真空脱気型ニーダーに入れ減圧し、トルエンを留去/乾燥することにより樹脂被覆キャリアを形成した。
【0103】
(7)現像剤の作製
上記キャリア500質量部に対して前記トナー(A1)40質量部を加え、V型ブレンダーで20分間ブレンドした後、目開き212μmの振動ふるいにより凝集体を除去して現像剤(A1)を得た。
【0104】
<分析>
蛍光X線装置((株)島津製作所製、XRF−1500)を用いてトナー中のナトリウム量を測定した。トナー(A1)中のナトリウム量は0.07kpsであった。
【0105】
<評価>
前記現像剤(A1)を、「Docu Centre Color 400改造機(富士ゼロックス(株)製)」の現像器に充填し転写効率の評価を行った。
転写効率は、次のようにして評価した。テスト手順としては、まず温度10℃/湿度20RH%環境下で、感光体上にトナー乗り量が5g/m
2になるように現像電位を調整した。次に、感光体上の現像されたトナーが中間転写体(中間転写ベルト)へ移行した直後に評価機を止める。このことにより感光体上では転写後(クリーニング前)の状態でトナーが残っている。このトナーをメンディングテープで取りその時のトナー重量測定を行う。現像時のトナー乗り量と転写後のトナー乗り量の割合から次式に基づいて転写効率を求めた。転写効率の測定は、画像面積が5%となる画像をA4用紙、50,000枚連続で出力した後に行った。
・式:転写効率=転写後の紙上トナー乗り量/感光体上トナー乗り量×100
転写効率評価基準は以下の通りである。
◎:転写効率98%以上
○:転写効率95%以上98%未満
△:転写効率90%以上95%未満
×:転写効率85%以上90%未満
××:転写効率85%未満。
【0106】
前記現像剤(A1)の転写効率は◎:98%であった。
表1に結果一覧を示す。
【0107】
(実施例2)
二軸押出機のスクリュー回転数を200rpmとしたこと以外は、実施例1と同様の条件で樹脂粒子分散液(A2)を調製した。このときの二軸押出機のモーターの平均動力P
eは6.1kW、P
0は5.9kW、(P
e−P
0)/Fは0.02kW・s/kg、樹脂粒子分散液中の粒子の体積平均粒度分布(GSDv)は1.28であった。また、樹脂粒子分散液(A2)を用いて作製したトナー(A2)中のナトリウム量は0.07kpsであり、トナー(A2)を用いた現像剤(A2)の転写効率は96%であった。
【0108】
(実施例3)
二軸押出機のスクリュー回転数を600rpmとしたこと以外は、実施例1と同様の条件で樹脂粒子分散液(A3)を調製した。このときの二軸押出機のモーターの平均動力P
eは19.6kW、P
0は17.9kW、(P
e−P
0)/Fは0.14kW・s/kg、樹脂粒子分散液中の粒子の体積平均粒度分布(GSDv)は1.29であった。また、樹脂粒子分散液(A3)を用いて作製したトナー(A3)中のナトリウム量は0.07kpsであり、トナー(A3)を用いた現像剤(A3)の転写効率は97%であった。
【0109】
(実施例4)
結晶性ポリエステル樹脂(融点(Tm):80℃)を使用したこと以外は、実施例1と同様の条件で樹脂粒子分散液(A4)を調製した。このときの二軸押出機のモーターの平均動力P
eは2.0kW、P
0は1.5kW、(P
e−P
0)/Fは0.042kW・s/kg、樹脂粒子分散液中の粒子の体積平均粒度分布(GSDv)は1.27であった。また、樹脂粒子分散液(A4)を用いて作製したトナー(A4)中のナトリウム量は0.08kpsであり、トナー(A4)を用いた現像剤(A4)の転写効率は95%であった。
【0110】
(実施例5)
前記溶融工程に使用する塩基として水酸化ナトリウムの代わりに水酸化カリウムを使用したこと以外は、実施例1と同様の条件で樹脂粒子分散液(A5)を調製した。このときの二軸押出機のモーターの平均動力P
eは13.2kW、P
0は12.1kW、(P
e−P
0)/Fは0.09kW・s/kg、樹脂粒子分散液中の粒子の体積平均粒度分布(GSDv)は1.26であった。また、樹脂粒子分散液(A5)を用いて作製したトナー(A5)中のナトリウム量は0.06kpsであり、トナー(A5)を用いた現像剤(A5)の転写効率は98%であった。
【0111】
(実施例6)
前記溶融工程に使用する界面活性剤として三洋化成工業(株)製、エレミノールMON−7の代わりに第一工業製薬(株)製、ネオゲンRKを使用したこと以外は、実施例1と同様の条件で樹脂粒子分散液(A6)を調製した。このときの二軸押出機のモーターの平均動力P
eは12.4kW、P
0は11.3kW、(P
e−P
0)/Fは0.09kW・s/kg、樹脂粒子分散液中の粒子の体積平均粒度分布(GSDv)は1.27であった。また、樹脂粒子分散液(A6)を用いて作製したトナー(A6)中のナトリウム量は0.08kpsであり、トナー(A6)を用いた現像剤(A6)の転写効率は95%であった。
【0112】
(実施例7)
前記溶融工程及び転相乳化工程に使用する装置として二軸押出機(商品名:TEM26SS、東芝機械(株)製)の代わりに小容量加圧型ニーダー(容量1L、株式会社モリヤマ製)を用いること以外は、実施例1と同様の条件で樹脂粒子分散液(A7)を調製した。このときの二軸押出機のモーターの平均動力P
eは12.6kW、P
0は11.5kW、(P
e−P
0)/Fは0.09kW・s/kg、樹脂粒子分散液中の粒子の体積平均粒度分布(GSDv)は1.29であった。また、樹脂粒子分散液(A7)を用いて作製したトナー(A7)中のナトリウム量は0.07kpsであり、トナー(A7)を用いた現像剤(A7)の転写効率は96%であった。
【0113】
(実施例8)
前記転相乳化工程で添加する塩基と界面活性剤の順序を逆とすること以外は、実施例1と同様の条件で樹脂粒子分散液(A8)を調製した。このときの二軸押出機のモーターの平均動力P
eは12.5kW、P
0は11.4kW、(P
e−P
0)/Fは0.09kW・s/kg、樹脂粒子分散液中の粒子の体積平均粒度分布(GSDv)は1.27であった。また、樹脂粒子分散液(A8)を用いて作製したトナー(A8)中のナトリウム量は0.07kpsであり、トナー(A8)を用いた現像剤(A8)の転写効率は97%であった。
【0114】
(実施例9)
前記転相乳化工程で添加するイオン交換水1を200質量部、イオン交換水2を200質量部、イオン交換水3を0質量部とすること以外は、実施例1と同様の条件で樹脂粒子分散液(A9)を調製した。このときの二軸押出機のモーターの平均動力P
eは12.7kW、P
0は11.7kW、(P
e−P
0)/Fは0.08kW・s/kg、樹脂粒子分散液中の粒子の体積平均粒度分布(GSDv)は1.29であった。また、樹脂粒子分散液(A9)を用いて作製したトナー(A9)中のナトリウム量は0.07kpsであり、トナー(A9)を用いた現像剤(A9)の転写効率は96%であった。
【0115】
(実施例10)
前記溶融工程及び転相乳化工程の乳化温度を85℃にすること以外は、実施例1と同様の条件で樹脂粒子分散液(A10)を調製した。このときの二軸押出機のモーターの平均動力P
eは12.5kW、P
0は11.5kW、(P
e−P
0)/Fは0.08kW・s/kg、樹脂粒子分散液中の粒子の体積平均粒度分布(GSDv)は1.28であった。また、樹脂粒子分散液(A10)を用いて作製したトナー(A10)中のナトリウム量は0.07kpsであり、トナー(A10)を用いた現像剤(A10)の転写効率は96%であった。
【0116】
(実施例11)
前記溶融工程及び転相乳化工程の乳化温度を99℃にすること以外は、実施例1と同様の条件で樹脂粒子分散液(A11)を調製した。このときの二軸押出機のモーターの平均動力P
eは12.3kW、P
0は11.5kW、(P
e−P
0)/Fは0.07kW・s/kg、樹脂粒子分散液中の粒子の体積平均粒度分布(GSDv)は1.29であった。また、樹脂粒子分散液(A11)を用いて作製したトナー(A11)中のナトリウム量は0.07kpsであり、トナー(A11)を用いた現像剤(A11)の転写効率は96%であった。
【0117】
(比較例1)
二軸押出機のスクリュー回転数を100rpmとした以外は、実施例1と同様の条件で樹脂粒子分散液(B1)を調製した。
このときの二軸押出機のモーターの平均動力P
eは3.0kWでありP
0は2.9kW、(P
e−P
0)/Fは0.01kW・s/kgであった。
樹脂粒子分散液中の粒子の体積平均粒度分布(GSDv)は1.92であった。また、樹脂粒子分散液(B1)を用いて作製したトナー(B1)中のナトリウム量は0.07kpsであり、トナー(B1)を用いた現像剤(B1)の転写効率は96%であった。
【0118】
(比較例2)
二軸押出機のスクリュー回転数を700rpmとしたこと以外は、実施例1と同様の条件で樹脂粒子分散液(B2)を調製した。このときの二軸押出機のモーターの平均動力P
eは21.3kW、P
0は19.5kW、(P
e−P
0)/Fは0.15kW・s/kg、樹脂粒子分散液中の粒子の体積平均粒度分布(GSDv)は1.42であった。また、樹脂粒子分散液(B2)を用いて作製したトナー(B2)中のナトリウム量は0.07kpsであり、トナー(B2)を用いた現像剤(B2)の転写効率は96%であった。
【0119】
(比較例3)
前記溶融工程に使用する塩基量を5質量部としたこと以外は、比較例1と同様の条件で樹脂粒子分散液(B3)を調製した。このときの二軸押出機のモーターの平均動力P
eは3.1kW、P
0は3.0kW、(P
e−P
0)/Fは0.01kW・s/kg、樹脂粒子分散液中の粒子の体積平均粒度分布(GSDv)は1.29であった。また、樹脂粒子分散液(B3)を用いて作製したトナー(B3)中のナトリウム量は0.18kpsであり、トナー(B3)を用いた現像剤(B3)の転写効率は81%であった。
【0120】
(比較例4)
前記溶融工程に使用する界面活性剤量を20質量部としたこと以外は、比較例1と同様の条件で樹脂粒子分散液(B4)を調製した。このときの二軸押出機のモーターの平均動力P
eは3.0kW、P
0は2.9kW、(P
e−P
0)/Fは0.01kW・s/kg、樹脂粒子分散液中の粒子の体積平均粒度分布(GSDv)は1.29であった。また、樹脂粒子分散液(B4)を用いて作製したトナー(B4)中のナトリウム量は0.12kpsであり、トナー(B4)を用いた現像剤(B4)の転写効率は87%であった。
【0121】
各実施例及び比較例の評価結果をまとめて表1に示す。
【0122】
【表1】