(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記中央筒部と前記ケースとは、前記中央筒部の外面と前記ケースとの接触によって前記可動弁体を前記軸方向に移動可能に案内し支持するとともに、前記外側筒部と前記ケースとの間に環状の流路を形成する案内機構(44、744、31、731a)を備えることを特徴とする請求項1に記載の燃料蒸気制御装置。
前記中央筒部(42、742)は前記軸方向に真っ直ぐに延びる円筒であって、前記中央流路は、円筒の内部に区画形成される真っ直ぐの流路であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の燃料蒸気制御装置。
前記ケースは、前記固定弁座を提供する端部壁(32)を貫通する開口であって、前記中央流路の延長上に位置し、前記中央流路の流路断面積に相当する流路断面積をもつ開口(33)を有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の燃料蒸気制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の構成では、弁体の移動にともなって流路断面積が徐々に変化する。この構成では、変化可能な流路断面積を形成するから、全開状態において大きい開度を提供することが困難である。このため、全開状態における通気抵抗を低くし、圧力損失を抑制し、比較的大きい流量を実現することが困難である。別の観点では、複雑な形状をもつ可変断面積の流路は、流量の安定的な設定を困難とする。上述の観点において、または言及されていない他の観点において、特許文献1が開示する装置にはさらなる改良が求められている。
【0006】
特許文献2の構成では、可動の弁体の細い円錐状の部分が小さい開口を開閉する。これでは、全開状態において大きい開度を提供することが困難である。このため、全開状態における通気抵抗を低くし、圧力損失を抑制し、比較的大きい流量を実現することが困難である。大きい流量を実現するためには、弁体の体格を大きくする必要があり、実用化が困難である。また、特許文献2の構成では、乱流を生じやすいため、流量を規制しているときに流量が変動しやすい。上述の観点において、または言及されていない他の観点において、特許文献2が開示する装置にはさらなる改良が求められている。
【0007】
発明の目的のひとつは、大流量を可能とする大きい開度を提供する非規制状態と、流量を安定的に規制することができる規制状態とを提供することができる燃料蒸気制御装置を提供することである。
【0008】
発明の目的の他のひとつは、規制状態における流量を設定しやすい燃料蒸気制御装置を提供することである。
【0009】
発明の目的のさらに他のひとつは、製造が容易な燃料蒸気制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ここに開示される発明は上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。なお、特許請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0011】
請求項1に記載の発明によると、中央筒部の内部に、可動弁体の変位によって流路断面積が変化しない主流路が区画形成される。このため、規制状態における流量を主流路によって安定的に設定することができる。しかも、中央流路は中央筒部の内において安定した形状を提供できるから、所望の流量に規制するための形状の設定が容易である。また、中央筒部よりも径方向外側に離れた位置に着座部を設けることができる。このため、大きい断面積の副流路を開閉することができる。よって、この発明によると、非規制状態においては大きい流量を許容でき、規制状態においては所望の流量への安定的な規制が可能である。
【0012】
この発明によると、中央筒部の内部に、可動弁体の変位によって流路断面積が変化しない主流路が区画形成される。このため、規制状態における流量を主流路によって安定的に設定することができる。しかも、中央流路は中央筒部の内において安定した形状を提供できるから、所望の流量に規制するための形状の設定が容易である。また、中央筒部よりも径方向外側に離れた位置に着座部を設けることができる。このため、大きい断面積の副流路を開閉することができる。よって、この発明によると、非規制状態においては大きい流量を許容でき、規制状態においては所望の流量への安定的な規制が可能である。
【0013】
請求項1に記載の発明は、傘部は、中央筒部から径方向外側に延びる環状の円盤部分(45)と、円盤部分の径方向外側の縁から軸方向に沿って延びており、その一端に着座部を有する外側筒部(46)とを備えることを特徴とする。この発明によると、中央筒部と外側筒部とをもつ可動弁体が提供される。この構成によると、簡単な形状によって、流量の設定が容易な中央流路と、中央筒部から径方向外側に離れた大径の着座部とを設けることができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、中央筒部とケースとは、中央筒部の外面とケースとの接触によって可動弁体を軸方向に移動可能に案内し支持するとともに、外側筒部とケースとの間に環状の流路を形成する案内機構(44、744、31、731a)を備えることを特徴とする。この発明によると、中央筒部の外面が案内機構として利用されるから、外側筒部とケースとの間に副流路としての環状の流路を設けることができる。
請求項3に記載の発明は、中央筒部とケースとは、中央筒部の外面とケースとの接触によって可動弁体を軸方向に移動可能に案内し支持するとともに、傘部とケースとの間に環状の流路を形成する案内機構(44、744、31、731a)を備えることを特徴とする。この発明によると、中央筒部の外面が案内機構として利用されるから、傘部とケースとの間に副流路としての環状の流路を設けることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、中央筒部は、
傘部より上流側および/または下流側に向けて突出するように延び出した部位に設けられた外面(44、744)を有しており、ケースは、放射状に配置され、外面と接触することにより可動弁体を軸方向に移動可能に案内する複数のリブ(31、731a)を有しており、外面と複数のリブとによって案内機構が提供されることを特徴とする。この発明によると、中央筒部の外面を利用して可動弁体を案内できる。しかも、複数のリブの間に副流路を設けることができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、中央筒部(42、742)は軸方向に真っ直ぐに延びる円筒であって、中央流路は、円筒の内部に区画形成される真っ直ぐの流路であることを特徴とする。この発明によると、中央流路、すなわち主流路が、円形断面をもつ真っ直ぐの流路によって提供される。このため、所望の流量に規制するための形状の設定が容易である。このため、所望の流量へ安定的に規制することができる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、さらに、
傘部の径方向内側に設けられ、可動弁体を非規制状態の位置に向けて付勢するコイルスプリング(61)と、ケースまたは可動弁体に設けられ、コイルスプリングの径方向内側に位置付けられるとともに、コイルスプリングの内側に沿って軸方向に延び、コイルスプリングを案内する案内筒部(48、248、348、337)とを備えることを特徴とする。この発明によると、コイルスプリングの安定的な伸縮が可能となる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、さらに、
傘部の径方向内側に設けられ、可動弁体を非規制状態の位置に向けて付勢するコイルスプリング(661)を備え、
傘部は、コイルスプリングの径方向外側に位置付けられるとともに、コイルスプリングの外側に沿って軸方向に延び、コイルスプリングを案内する案内筒部を提供することを特徴とする。この発明によると、
傘部によってコイルスプリングが案内されるから、コイルスプリングの安定的な伸縮が可能となる。
【0019】
請求項8に記載の発明は、ケースは、固定弁座を提供する端部壁(32)を貫通する開口であって、中央流路の延長上に位置し、中央流路の流路断面積に相当する流路断面積をもつ開口(33)を有することを特徴とする。この発明によると、中央筒部によって提供される中央流路に相当する流路が、端部壁を貫通して提供される。このため、中央流路によって設定される流量が、端部壁の影響を抑制しながら、安定的に得られる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面を参照しながら、ここに開示される発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において、先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。また、後続の実施形態においては、先行する実施形態で説明した事項に対応する部分に百以上の位だけが異なる参照符号を付することにより対応関係を示し、重複する説明を省略する場合がある。各形態において、構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については他の形態の説明を参照し適用することができる。
【0022】
(第1実施形態)
図1において、ここに開示される発明は、車両用動力システム1において実施される。車両用動力システム1は、車両に搭載された車両の動力源としてのエンジン2を含む。エンジン2は、内燃機関である。車両用動力システム1は、エンジン2に燃料を供給する燃料供給装置を含む。燃料供給装置は、燃料を蓄える燃料タンク3を有する。燃料タンク3には、燃料を補給するための給油管4が設けられている。給油管4から液体状の燃料が供給される。給油管4は、燃料タンク3内に筒状に突出している。燃料供給装置は、燃料タンク3内の液体燃料をエンジン2に供給するポンプ5を有する。
【0023】
給油管4から液体状の燃料を燃料タンク3内に補給するためには、燃料タンク3内から気体を排出する必要がある。気体には、空気と、燃料の蒸気である燃料蒸気とが含まれる。以下の説明では、燃料蒸気、および燃料蒸気を含む空気をベーパと呼ぶ。近年、大気へのベーパの放出を抑制することが求められている。車両用動力システム1は、大気へのベーパの排出を抑制するために、ベーパ処理装置6を備える。
【0024】
ベーパ処理装置6は、ベーパをエンジン2へ吸入させ燃焼させることにより処理する。ベーパ処理装置6は、燃料タンク3とエンジン2の吸気管とを連通するベーパ流路を提供する。ベーパ流路は、複数の部品および配管によって提供される。ベーパ処理装置6は、ベーパ流路に、液体遮断弁7、流量規制弁8、封鎖弁9、およびキャニスタ11を有する。エンジン2と燃料タンク3との間にキャニスタ11が設けられている。キャニスタ11と燃料タンク3との間に流量規制弁8が設けられている。キャニスタ11と流量規制弁8との間に封鎖弁9が設けられている。流量規制弁8と燃料タンク3との間に液体遮断弁7が設けられている。
【0025】
液体遮断弁7は、可動のフロート弁7aを有する。フロート弁7aは、車両が正常な姿勢にあり、フロート弁7aが燃料に浮いていないときに開弁状態となり、流路を開く。フロート弁7aは、車両が揺動または傾斜姿勢にある場合、フロート弁7aが燃料に浮いている場合、または、フロート弁7aが重力に抗して上方向へ吸い上げられている場合に、閉弁状態となり、流路を閉じる。
【0026】
液体遮断弁7は、燃料タンク3からベーパ流路へベーパを選択的に流出させる。液体遮断弁7は、ベーパ流路への液体燃料の流出を阻止する。液体遮断弁7は、車両が正常な傾き範囲内にある間、燃料タンク3内の液体燃料の量が所定のレベルより低いときに開弁し、燃料タンク3とベーパ流路との連通を許容する。液体遮断弁7は、燃料タンク3内の液体燃料の量が所定のレベルに到達すると閉弁し、燃料タンク3とベーパ流路との連通を遮断する。液体遮断弁7は、車両が傾斜することによって液体遮断弁7に液体燃料が到達すると開弁状態から閉弁状態へ切り替わるフロート弁でもある。
【0027】
流量規制弁8は、燃料タンク3とキャニスタ11との間に設けられ、ベーパ流路を開閉する。流量規制弁8は、そこを流れる気体の流量を規制する。流量規制弁8は、非規制状態と規制状態とを提供する。流量規制弁8は、非規制状態において比較的低い第1流路抵抗の流路を提供する。流量規制弁8は、その内部に提供される流路のうち、流量を規制するために貢献する支配的な流路部分において、非規制状態であるときに、所定の第1流路断面積を提供する。流量規制弁8は、規制状態において上記第1流路抵抗より大きい第2流路抵抗を示す流路を提供する。流量規制弁8は、上記支配的な流路部分において、規制状態であるときに、上記第1流路断面積より狭い第2流路断面積を提供する。ここで、流路断面積の語は、対象となる流路部分における流体の流れ方向と垂直な断面であって、流路として有効に機能しうる断面における断面積を指している。多くの場合、流路断面積は、軸AXに垂直な断面における断面積である。
【0028】
流量規制弁8は、そこを流れる流体の流量、すなわちそこに生じる圧力損失と、コイルスプリングなどの付勢手段の反力とのバランスによって非規制状態と規制状態とを切換える。流量規制弁8は、通常状態においては非規制状態になるように、非規制状態へ向けて付勢されている。また、流量規制弁8は、そこを逆方向に流体が流れるときには、非規制状態を提供する。ここで、逆方向とは、キャニスタ11から燃料タンク3へ向かう方向である。流量規制弁8は、そこを順方向に流れる流体の流量が所定の量を越えるまでは非規制状態を維持する。流量規制弁8は、そこを順方向に流れる流体の流量が所定の量を越え、つまり可動弁体に所定の閾値を越える圧力が作用すると、非規制状態から規制状態へ切り替わる。
【0029】
封鎖弁9は、電磁弁を含む開閉弁である。封鎖弁9は、電気的に開弁状態と閉弁状態とに切り換えられる電磁弁と、電磁弁によって調節される圧力差に応じて開弁状態と閉弁状態とに切り換えられる差圧弁とを備えることができる。差圧弁は、差圧に応じて変位するダイヤフラムを有するため、ダイヤフラム弁とも呼ばれる。封鎖弁9は、燃料タンク3とキャニスタ11との間を、連通状態と遮断状態とに切換えることができる。封鎖弁9は、燃料タンク3側の圧力が異常に高い圧力に到達すると閉弁状態から開弁状態へ切り替わるリリーフ弁としての機能を有することができる。封鎖弁9は、燃料タンク3からのベーパの排出を制御する用途、または検査のために燃料タンク3を意図的に密閉状態と連通状態とに切り換える用途などの多様な用途において利用される。
【0030】
キャニスタ11は、ベーパを吸着し、一時的に蓄える。キャニスタ11は、ベーパを吸着することができる活性炭などの吸着剤を有する。キャニスタ11は、燃料蒸気を含まない新鮮な空気が供給されることによりベーパを放出する。
【0031】
ベーパ処理装置6は、制御装置12を備える。制御装置12は、封鎖弁9を開閉するために、封鎖弁9を制御する。制御装置12は、多様な用途のために封鎖弁9を制御する。例えば、制御装置12は、燃料タンク3からキャニスタ11へのベーパ供給量を調節するように封鎖弁9を制御する。また、制御装置12は、検査のために燃料タンク3を意図的に密閉状態と連通状態とに切り換えるように封鎖弁9を制御する。制御装置12は、キャニスタ11へのベーパの吸着と、キャニスタ11からのベーパの放出とを制御するようにキャニスタ11を制御する。具体的には、制御装置12は、キャニスタ11に接続された複数の流路を開閉する。例えば、制御装置12は、キャニスタ11に新鮮な空気を供給するパージ流路を開閉するパージ弁を制御する。
【0032】
制御装置は、電子制御装置(Electronic Control Unit)である。制御装置は、少なくともひとつの演算処理装置(CPU)と、プログラムとデータとを記憶する記憶媒体としての少なくともひとつのメモリ装置(MMR)とを有する。制御装置は、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を備えるマイクロコンピュータによって提供される。記憶媒体は、コンピュータによって読み取り可能なプログラムを非一時的に格納している。記憶媒体は、半導体メモリまたは磁気ディスクなどによって提供されうる。制御装置は、ひとつのコンピュータ、またはデータ通信装置によってリンクされた一組のコンピュータ資源によって提供されうる。プログラムは、制御装置によって実行されることによって、制御装置をこの明細書に記載される装置として機能させ、この明細書に記載される方法を実行するように制御装置を機能させる。制御装置は、多様な要素を提供する。それらの要素の少なくとも一部は、機能を実行するための手段と呼ぶことができ、別の観点では、それらの要素の少なくとも一部は、構成的なブロック、またはモジュールと呼ぶことができる。
【0033】
上記構成において、封鎖弁9が開弁状態になったとき、燃料タンク3から液体遮断弁7をベーパが大量に通過すると、ベーパがフロート弁7aを閉弁状態に移動させることがある。液体遮断弁7が閉弁状態に維持されると、燃料タンク3内の圧力の低下が妨げられる。このため、燃料タンク3内への燃料の補給が妨げられることがある。このような事態を防止するために、流量規制弁8は、液体遮断弁7からキャニスタ11へ向けて流れるベーパの流量を規制する。これにより、フロート弁7aは、開弁状態の保持が可能となる。一方で、比較的流量が少ない時には、流量規制弁8は非規制状態となり、ベーパ流路における流路抵抗を低く維持する。
【0034】
図2および
図3は、流量規制弁8の断面を示す。
図2は、流量規制弁8の開弁状態、言い換えると非規制状態を示す。
図3は、流量規制弁8の閉弁状態、言い換えると規制状態を示す。図中の矢印は、燃料タンク3からキャニスタ11へ向かう燃料蒸気の順方向の流れを示す。流量規制弁8は、ケース21と、可動弁体41と、コイルスプリング61とを有する。
【0035】
ケース21は、流量規制弁8におけるベーパ流路を区画するとともに、固定弁座を提供する。ケース21は、内部にベーパ流路を区画形成している。ケース21は、その内部に可動弁体41とコイルスプリング61とを収容している。ケース21は、おおよそ筒状に形成されている。ケース21は樹脂製である。
【0036】
ケース21は、筒状の第1ケース22と、筒状の第2ケース23とを有する。第1ケース22と第2ケース23とは、接合部24において接合され、一体化されている。第1ケース22と第2ケース23とは、接合部24において溶着されている。
【0037】
第1ケース22は、燃料タンク3側に位置する上流管25を有する。上流管25は、燃料タンク3から供給される燃料蒸気を受け入れる上流開口26を区画形成する。上流管25は、ベーパ処理装置6の配管と接続することができる。第2ケース23は、キャニスタ11側に位置する下流管27を有する。下流管27は、キャニスタ11へ向けて燃料蒸気を流し出す下流開口28を区画形成する。下流管27は、ベーパ処理装置6の配管と接続することができる。ケース21は、その内部に、上流開口26と下流開口28とを連通可能な内室29を区画形成している。内室29は、ケース21内に可動弁体41およびコイルスプリング61を収容するための収容室でもある。
【0038】
ケース21は、可動弁体41を可動弁体41の軸方向に移動可能に支持する支持機構(31、32)を有する。支持機構は、可動弁体41を可動弁体41の軸AXの方向に沿って移動可能に支持する。以下の説明において、軸方向の語は、軸AXと平行な方向を指す。さらに、支持機構は、可動弁体41の移動範囲を規制するストッパを提供する。ここでは、支持機構によって非規制状態における可動弁体41の位置と、規制状態における可動弁体41の位置とが規定される。
【0039】
支持機構は、ケース21の外周の壁から内室29に向けて放射状に延び出す複数のリブ31を有する。これら複数のリブ31は、それらの間に燃料蒸気が通過可能な流路を形成し、提供する。さらに、これら複数のリブ31は、その径方向内側に円柱状の空間を区画形成している。複数のリブ31の径方向内側の先端は、可動弁体41を案内するための軸方向案内面を提供している。さらに、複数のリブ31の軸方向の端面は、可動弁体41の軸方向の移動量を規制するストッパを提供する。複数のリブ31は、非規制状態における可動弁体41の位置を規定するストッパを提供する。
【0040】
支持機構は、可動弁体41の移動方向に位置する端部壁32を有する。端部壁32は、可動弁体41の移動方向の一端、図示の例では可動弁体41が規制状態へ向けて移動する方向の一端に位置付けられている。
【0041】
端部壁32は、端部壁32を貫通して延び、燃料蒸気を通すための複数の開口33、35を有する。端部壁32は、コイルスプリング61が着座する座面34を提供する。さらに、端部壁32は、可動弁体41と協働する固定弁座36を提供する。固定弁座36は、ケース21の内面に形成された環状の面である。開口33、35は、燃料蒸気の流路を提供する。
【0042】
開口33は、可動弁体41の軸AXと同軸に形成された中央開口33である。中央開口33は、後述の中央流路43の延長上に位置し、中央流路43の流路断面積に相当する流路断面積を有している。開口35は、中央開口33の径方向外側に、中央開口33から独立して形成されている。開口35は、径方向外側に位置する外側開口35である。外側開口35は、後述の副流路が開かれているときに、副流路を流れる燃料蒸気を流しやすい位置に位置付けられている。
【0043】
可動弁体41は、ケース21内において軸方向に移動可能に支持されている。可動弁体41は、ケース21と協働して燃料蒸気を流すことができる流路を区画形成する。可動弁体41は、ケース21と協働することによって、上記流路として、常時連通している主流路と、可動弁体41によって開閉される副流路とを区画形成する。可動弁体41は、ケース21の固定弁座36と協働して副流路を開閉する開閉弁を提供する。主流路は、主として可動弁体41内に区画形成されている。副流路は、ケース21と可動弁体41との間に区画形成されている。
【0044】
可動弁体41は、樹脂製である。可動弁体41は、その長手方向に沿って延びる軸AXを有する。軸AXは、回転体としての形状をもつ可動弁体41の中心軸でもある。
【0045】
可動弁体41は、軸AXに沿って真っ直ぐに延びる筒状の中央筒部42を有する。中央筒部42は、その内面および外面が円形の円筒状の部材である。中央筒部42は、その内部に、中央流路43を区画形成する。中央流路43は、可動弁体41を軸方向に貫通する。中央流路43は、円筒の内部に区画形成される真っ直ぐの流路である。中央流路43は、主流路を提供する。中央流路43は、ケース21に設けられた中央開口33に対応する流路断面積を有する。中央開口33と中央流路43とは、軸AXと平行な方向に沿ってほぼ連続した流路を提供するように整合的に形成され、配置されている。
【0046】
中央流路43は、上流開口26および下流開口28の中央部分を連通するように位置付けられている。中央流路43は、上流開口26が区画する流路断面、または下流開口28が区画する流路断面の中央部分に連通している。中央流路43は、上流開口26から下流開口28へ向けて真っ直ぐに延びる流路を提供する。この構成によると、中央流路43内、およびその前後における乱流が抑制される。この結果、流量が変動しても、そこに生じる圧力損失の変動は少ないか、または予測可能な程度となる。別の観点では、流量規制弁8の前後における圧力差が変動しても、流量規制弁8を通過する燃料蒸気の流量の変動は小さいか、予測可能な程度となる。したがって、中央流路43だけを燃料蒸気が流れるときに流量規制弁8に生じる圧力損失を所望の値に設定しやすい。例えば、流量規制弁8に生じる圧力損失は主として中央流路43の長さと直径とをパラメータとして設定することができる。
【0047】
中央筒部42は、その外部に、軸AXに沿って延びる円形断面の外面44を有する。外面44は、可動弁体41を軸方向に案内するための案内面を提供する。外面44が提供する円形の断面の径は、複数のリブ31の先端面が区画形成する案内面の径よりやや小さい。この結果、中央筒部42は、外面44が複数のリブ31の先端面上を滑ることよって軸方向に移動可能である。
【0048】
可動弁体41は、中央筒部42より径方向外側に設けられた傘部分45、46を有する。傘部分45、46は、中央筒部42の外面44から、径方向外側に向けて延び出している。傘部分45、46は、薄い板状の部材によって形成されている。傘部分45、46は、副流路を開閉する弁としての弁体部分を提供する。また、傘部分45、46は、そこを流れる燃料蒸気により生じる差圧を受けるための受圧部分を提供する。
【0049】
傘部分45、46は、環状の円盤部分45を含む。円盤部分45は、外面44から径方向に沿って外側へ向けて拡がる。円盤部分45は、中央筒部42より径方向外側の環状範囲に板状に広がっている。円盤部分45は、軸AXと垂直な平面に沿って拡がる板状の部材である。円盤部分45は、ケース21の内面には到達しない。円盤部分45の直径は、ケース21が形成する内室29の内部直径より小さい。よって、円盤部分45とケース21との間には、環状の隙間が区画形成される。
【0050】
傘部分45、46は、外側筒部46を含む。外側筒部46は、中央筒部42より径方向外側に位置している。外側筒部46は、中央筒部42より径方向外側に、中央筒部42と平行に延びる筒状部分である。外側筒部46は円筒状である。中央筒部42と外側筒部46とは、円盤部分45によって連結されている。外側筒部46と中央筒部42と円盤部分45とは、樹脂材料によって一体成形されている。外側筒部46の一端と、円盤部分45の径方向外側縁部とが連続している。外側筒部46の上流側端部が円盤部分45と連続している。円盤部分45の径方向内側縁部は中央筒部42と連続している。
【0051】
外側筒部46は、その一端に環状の着座部47を有する。着座部47は、外側筒部46の下流側端部に設けられている。着座部47は、固定弁座36と協働して副流路を開閉する弁を提供する。着座部47が固定弁座36に着座することにより副流路が閉じられる。着座部47が固定弁座36から離れることにより副流路が開かれる。
【0052】
着座部47が外側筒部46に形成されることにより、可動弁体41は大きい断面積を開閉することができる。この結果、副流路の断面積を大きくすることができる。よって、可動弁体41が固定弁座36から離れているときには、主流路と副流路とによって大きい流路断面積を提供することができる。言い換えると、流通抵抗の小さい流路が提供される。一方、可動弁体41が固定弁座36に着座しているときには、大きい断面積の副流路が閉じられる。よって、主流路だけで提供される流路断面積と、主流路と副流路との両方によって提供される流路断面積との差を大きくすることができる。この実施形態によると、非規制状態においては大きい流路断面積を提供でき、規制状態においては充分に規制された流路断面積を提供でき、さらには、規制状態において流量および/または圧力損失を所望の値に設定しやすい。
【0053】
中央筒部42は、外側筒部46の径方向内側に位置する案内筒部48を有する。案内筒部48は、中央筒部42の一部として見ることができる。案内筒部48は、外側筒部46と二重筒部分を形成している。案内筒部48も、中央流路43を区画形成する。図示の例では、案内筒部48の外側の直径は、外側筒部46より長く延び出す中央筒部42の外側の直径よりやや小さい。案内筒部48の下流側端部は、軸方向に関して着座部47と同じ位置、または着座部47よりやや上流側に位置している。
【0054】
案内筒部48は、コイルスプリング61の径方向内側に位置付けられるとともに、コイルスプリング61の内側に沿って軸方向に延び、コイルスプリング61を案内する。案内筒部48は、コイルスプリング61の倒れを抑制するコイルスプリング61のための案内部材としても機能する。また、案内筒部48は、ケース21内に可動弁体41とコイルスプリング61とを組み付ける流量規制弁8の製造方法において、コイルスプリング61を案内筒部48の外周に被せるように装着した後に、ケース21内に収容するという製造工程を可能とする。このように案内筒部48は、コイルスプリング61を仮保持する保持部としても機能する。案内筒部48は、中央筒部42とは別の部分として見ることもできる。
【0055】
可動弁体41は、軸方向に分割される成形型を用いる樹脂成形工程によって製造される。中央筒部42と外側筒部46とを有し、それらを円盤部分45によって連結した形状は、そのような樹脂成形工程に適している。
【0056】
コイルスプリング61は、可動弁体41を非規制状態へ向けて付勢する付勢手段を提供する。コイルスプリング61は、自由長よりやや圧縮された状態でケース21と可動弁体41との間に配置されている。コイルスプリング61は、外側筒部46と円盤部分45と案内筒部48とによって区画される環状の凹部の中に配置されている。この構成は、可動弁体41とコイルスプリング61とを組み立てる作業を容易にする。コイルスプリング61は、可動弁体41を上流側へ向けて、すなわち非規制状態へ向けて押している。コイルスプリング61は、流量規制弁8が非規制状態から規制状態へ切り替わる閾値を設定する手段でもある。
【0057】
制御装置12は、封鎖弁9によって燃料タンク3からキャニスタ11へ向かう燃料蒸気の流量を適正な量に制御することがある。また、制御装置12は、封鎖弁9によって燃料タンク3からキャニスタ11へ向かう燃料蒸気の流れを遮断することがある。これらの場合に、流量規制弁8は、
図2に図示されるように非規制状態、すなわち開弁状態にある。このとき、主流路と副流路との両方が開かれる。よって、燃料タンク3とキャニスタ11との間のベーパ流路の流路抵抗は比較的小さく抑制される。
【0058】
制御装置12は、封鎖弁9を開き、ベーパ流路の圧力を低下させることがある。また、制御装置12が封鎖弁9を開き、燃料タンク3からキャニスタ11へ向かう燃料蒸気の大流量を許容することがある。例えば、制御装置12は、燃料タンク3を密閉状態に維持した後に、封鎖弁9を開くことによって燃料タンク3内の圧力をキャニスタ11の方向へ向けて解放する場合がある。これらの場合、流量規制弁8は、非規制状態から規制状態へ自動的に切り替わる。
【0059】
上流側から可動弁体41に大きい圧力が作用すると、または、可動弁体41の周囲を流れる燃料蒸気の流量が所定の大流量になると、可動弁体41の前後に生じる圧力差は、コイルスプリング61の付勢力に抗して可動弁体41を移動させる。この結果、可動弁体41は、閉弁位置へ向けて、すなわち下流側へ向けて移動する。ケース21の内面と可動弁体41の外面との間、特に外側筒部46とケース21との間に区画形成される副流路は、流量規制弁8の中でも径方向外側に設けられている。しかも、固定弁座36と着座部47との間に形成される環状の隙間も、流量規制弁8の中でも径方向外側に設けられている。したがって、可動弁体41が軸方向に移動しても、多くの範囲では、副流路の断面積は大幅に変化しない。
【0060】
着座部47が固定弁座36に着座すると、副流路は瞬時にすべて遮断される。可動弁体41が固定弁座36に着座しているとき、
図3に図示されるように、可動弁体41とケース21との間に区画形成される副流路を通ることなく、中央流路43によって区画形成される主流路だけを通して燃料蒸気が流れる。中央流路43は、真っ直ぐに延びる流路であるから、そこに流れる流量を決定しやすい。よって、所望の流量を許容するように、中央流路43の長さおよび/または直径を設定することができる。しかも、中央流路43は、流量規制弁8が提供するベーパ流路の中央部に設けられ、真っ直ぐに延びるから、乱流の発生が少なく、流量の変動も少ない。よって、流量規制弁8によって流量が安定的に規制される。
【0061】
この実施形態では、燃料蒸気を処理する燃料蒸気処理装置6に設けられ、燃料蒸気の流量を規制する燃料蒸気制御装置としての流量規制弁8が提供される。流量規制弁8は、燃料蒸気の流路を区画形成するケース21を備える。流量規制弁8は、さらに、ケース21内に収容され、圧力に応じて軸方向に変位するように支持された可動弁体41を備える。この可動弁体41は、ケース21に設けられた固定弁座36に着座および離座することにより燃料蒸気の流量を規制する規制状態と規制状態より大きい流量を許容する非規制状態とを切換える着座部47を有する。可動弁体41は、可動弁体41の変位によって流路断面積が変化しない主流路としての中央流路43を区画形成し、軸方向に沿って真っ直ぐに延びる中央筒部42を有する。しかも、可動弁体41は、中央筒部42から径方向外側に延び出すように設けられ、ケース21との間に副流路としての隙間を区画形成するとともに、中央筒部42から径方向外側に離れた位置に着座部47を有する傘部45、46を有する。
【0062】
この実施形態によると、中央筒部42の内部に、可動弁体41の変位によって流路断面積が変化しない主流路が区画形成される。このため、規制状態における流量を主流路によって安定的に設定することができる。しかも、中央流路43は中央筒部42内において安定した形状を提供できるから、所望の流量に規制するための形状の設定が容易である。また、中央筒部42よりも径方向外側に離れた位置に着座部47を設けることができる。このため、大きい断面積の副流路を開閉することができる。よって、非規制状態においては大きい流量を許容でき、規制状態においては所望の流量への安定的な規制が可能である。
【0063】
傘部45、46は、中央筒部42から径方向外側に延びる環状の円盤部分45と、円盤部分45の径方向外側の縁から軸方向に沿って延びており、その一端に着座部47を有する外側筒部46とを備えることができる。この構成により、中央筒部42と外側筒部46とをもつ可動弁体41が提供される。この構成によると、簡単な形状によって、流量の設定が容易な中央流路43と、中央筒部42から径方向外側に離れた大径の着座部47とを設けることができる。
【0064】
この実施形態では、中央筒部42とケース21とは、中央筒部42の外面44とケース21との接触によって可動弁体41を軸方向に移動可能に案内し支持するとともに、外側筒部46とケース21との間に環状の流路を形成する案内機構を備える。中央筒部42は、外側筒部46より上流側および/または下流側に向けて突出するように延び出した部位に設けられた外面44を有している。ケース21は、放射状に配置され、外面44と接触することにより可動弁体41を軸方向に移動可能に案内する複数のリブ31を有している。この実施形態では、外面44と複数のリブ31とによって案内機構が提供される。中央筒部42の外面44が案内機構として利用されるから、外側筒部42とケース21との間に副流路としての環状の流路を設けることができる。しかも、複数のリブ31の間に副流路を設けることができる。
【0065】
この実施形態によると、中央流路43、すなわち主流路が、円形断面をもつ真っ直ぐの流路によって提供される。このため、所望の流量に規制するための形状の設定が容易である。この結果、非規制時に大流量を許容しながら、規制時の流量を安定的に設定する。
【0066】
(第2実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態は、外側筒部46の端部と、案内筒部48の端部とを接近して位置付けている。これに代えて、
図4に図示されるように、外側筒部46より明らかに短い案内筒部248を採用してもよい。この構成によると、端部壁32と案内筒部248との干渉が抑制される。
【0067】
(第3実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態は、可動弁体41だけにコイルスプリング61のガイドとしての案内筒部48を備える。これに代えて、
図5に図示されるように、端部壁32にコイルスプリング61を案内する案内部および/またはコイルスプリング61を少なくとも仮保持する保持部として機能しうる案内筒部337を設けてもよい。この実施形態では、可動弁体41にも、コイルスプリング61を案内する案内部および/またはコイルスプリング61を少なくとも仮保持する保持部として機能しうる短い案内筒部348を設けている。この構成によると、第2ケース23にコイルスプリング61を組付けた後に、可動弁体41を組み付けるという製造方法をとることができる。
【0068】
(第4実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態は、上流開口26とケース21内の内室29との間に、流路断面積が急に拡大する段差部分を有する。これに代えて、
図6に図示されるように、上流開口26と内室29との間に、上流開口26から内室29に向けて徐々に流路断面積が変化する連結流路438を設けてもよい。
【0069】
連結流路438の内壁は、上流開口26から内室29に向けて徐々に拡大する流路断面積を提供する。この構成によると、主として副流路を流れる燃料蒸気の流通抵抗が抑制される。
【0070】
(第5実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態は、上流側だけに連結流路438を備える。これに代えて、
図7に図示されるように、内室29と下流開口28との間に、内室29から下流開口28に向けて徐々に流路断面積が変化する連結流路539を設けてもよい。
【0071】
連結流路539の内壁は、内室29から下流開口28に向けて徐々に減少する流路断面積を提供する。この構成によると、主として副流路を流れる燃料蒸気の流通抵抗が抑制される。さらに、この実施形態によると、円錐内面状の固定弁座536が形成される。固定弁座536は、上流側から下流側へ向けて徐々に断面積が減少する円錐内面を提供する。着座部47は、固定弁座536の円錐内面の上に着座するから、自動的に調芯される。よって、安定的な閉弁状態が得られる。なお、連結流路438を採用することなく、連結流路538だけを採用してもよい。
【0072】
(第6実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態は、案内筒部48の外径よりやや大きい内径をもつコイルスプリング61を備える。これに代えて、
図8に図示されるように、外側筒部46よりやや小さいぐらいの大径のコイルスプリング661を採用してもよい。この構成では、外側筒部46は、コイルスプリング661の径方向外側に近接して位置付けられる。しかも、外側筒部46は、コイルスプリング661の外側に沿って軸方向に延び、コイルスプリング661を案内する案内筒部を提供する。
【0073】
この構成では、コイルスプリング661の座部634を設けるために、端部壁32の中央部に比較的大きい開口633が設けられている。この構成によると、コイルスプリング661を外側筒部46の径方向内側に仮保持した後に、ケース21の内部に収容するという製造方法を採用することができる。
【0074】
(第7実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態は、外側筒部46より上流側に、可動弁体41を案内するための案内機構31、44を備える。これに代えて、
図9に図示されるように、外側筒部46より下流側に案内機構731a、744を設けてもよい。
【0075】
ケース21は、可動弁体41より上流側に設けられた複数のリブ731を有する。リブ731は、先行する実施形態におけるリブ31より径方向高さが低い。リブ731は、可動弁体41の上流側への移動量を規制するストッパとして機能する。リブ731はガイド部としては機能しない。
【0076】
ケース21は、端部壁32を貫通する開口733を有する。さらに、ケース21は、端部壁32を貫通するスロット状の複数の開口735を有する。複数の開口735は、開口733の径方向外側に放射状に位置付けられている。端部壁32は、上記開口733と、複数の開口735とを区画形成するために、複数のリブ731aを有する。複数のリブ731aは、ケース21から径方向内側へ向けて延び出している。複数のリブ731aの径方向内側の先端面は、円形に配置されており、円形の開口733を区画形成する。複数のリブ731aの側面と、リブ731a間の底面とは開口735を区画形成する。複数のリブ731aの先端面は、可動弁体41を軸方向に沿って移動可能に支持する案内機構を提供する。
【0077】
可動弁体41は、円盤部分45から下流側に向けて延び出す中央筒部742を有する。中央筒部742は、円筒状である。中央筒部742の外面744は、複数のリブ731aの先端面と接触可能であって、しかも複数のリブ731aの上を軸方向に滑って移動可能である。よって、複数のリブ731aと中央筒部742とは案内機構を提供している。
【0078】
(他の実施形態)
ここに開示される発明は、その発明を実施するための実施形態に何ら規制されることなく、種々変形して実施することが可能である。開示される発明は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。実施形態は追加的な部分をもつことができる。実施形態の部分は、省略される場合がある。実施形態の部分は、他の実施形態の部分と置き換え、または組み合わせることも可能である。実施形態の構造、作用、効果は、あくまで例示である。開示される発明の技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示される発明のいくつかの技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
【0079】
例えば、制御装置が提供する手段と機能は、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組合せによって提供することができる。例えば、制御装置をアナログ回路によって構成してもよい。
【0080】
上記実施形態では、円盤部分45は中央筒部42、742から径方向外側へ拡がる環状の円板として形成されている。これに代えて、中央筒部42、742から円錐状の延びる環状の板を円盤部分として採用してもよい。
【0081】
上述の説明では、外側筒部46より上流側に案内機構を兼ねる中央筒部42を備える実施形態と、外側筒部46より下流側に案内機構を兼ねる中央筒部742を備える実施形態とを図示し、説明した。これらの実施形態に代えて、外側筒部46より上流側と下流側との両方に案内機構を兼ねる中央筒部を設けてもよい。
【0082】
上記実施形態では、中央筒部42、742として円筒を採用した。これに代えて、六角形などの角筒を採用してもよい。また、中央筒部42、742の内部の中央流路43の一部に、中央流路43の他部より流路断面積が小さい絞り部を設けてもよい。
【0083】
上記実施形態では、コイルスプリング61によって付勢手段を提供した。これに代えて、磁力によって可動弁体41を非規制状態へ向けて付勢する付勢手段、可動弁体41の自重によって可動弁体41を非規制状態へ向けて付勢する付勢手段などを利用することができる。また、上記実施形態では、コイルスプリング61を案内する案内筒部48、248、348、337を設けた。これに代えて、案内筒部48、248、348、337を備えない可動弁体を採用してもよい。
【0084】
上記実施形態では、流量規制弁8を独立したひとつの部品として提供した。これに代えて、流量規制弁8を燃料蒸気処理装置の他の部品の一部として、または複合部品として提供してもよい。かかる構成においても、流量規制弁8は、燃料蒸気制御装置として機能する。