(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6277935
(24)【登録日】2018年1月26日
(45)【発行日】2018年2月14日
(54)【発明の名称】廃棄物ガス化溶融装置
(51)【国際特許分類】
F23G 5/24 20060101AFI20180205BHJP
【FI】
F23G5/24 BZAB
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-211736(P2014-211736)
(22)【出願日】2014年10月16日
(65)【公開番号】特開2016-80249(P2016-80249A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2017年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084180
【弁理士】
【氏名又は名称】藤岡 徹
(72)【発明者】
【氏名】胡 日査
(72)【発明者】
【氏名】坪井 敏男
(72)【発明者】
【氏名】粕谷 幸司
(72)【発明者】
【氏名】秋山 肇
【審査官】
宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭49−22310(JP,A)
【文献】
特開昭56−144322(JP,A)
【文献】
特開2012−172224(JP,A)
【文献】
特開昭63−100113(JP,A)
【文献】
特開2000−354840(JP,A)
【文献】
特開2008−196783(JP,A)
【文献】
特開平9−60830(JP,A)
【文献】
米国特許第4718357(US,A)
【文献】
高温ガス化直接溶融炉−溶けよ!再生せよ!−,日本,JFEエンジニアリング株式会社,2003年10月31日,URL:<http://www.jfe-eng.co.jp/products/environment/pdf/CA3038.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23G 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト炉式の廃棄物ガス化溶融炉に廃棄物を炉上部の投入口から炉内へ投入し廃棄物を熱分解、ガス化、燃焼し、残留する灰分を溶融する廃棄物ガス化溶融装置であって、
廃棄物ガス化溶融炉に副資材を上記投入口から供給する副資材供給装置を備える廃棄物ガス化溶融装置において、
上記副資材供給装置は、コークスホッパと石灰石ホッパそして混合ホッパとを有し、コークスホッパと石灰石ホッパはそれぞれのシュートを経て、下方に位置する混合ホッパへコークスと石灰石が流入するように該混合ホッパに接続されており、
混合ホッパは、コークスホッパからのコークスと石灰石ホッパからの石灰石との混合物を計量排出する計量排出部を有し、
上記混合ホッパの下方に、該混合ホッパの計量排出部からの混合物を受け、これを廃棄物ガス化溶融炉の投入口まで搬送する副資材搬送コンベアが設けられていることを特徴とする廃棄物ガス化溶融装置。
【請求項2】
コークスホッパは下部にコークス切出しフィーダを備え、石灰石ホッパは下部に石灰石切出しフィーダを備えることで形成されていることとする請求項1に記載の廃棄物ガス化溶融装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物をシャフト炉式の廃棄物ガス化溶融炉内で熱分解、燃焼し、残留する灰分を溶融する廃棄物溶融装置に関する。
【背景技術】
【0002】
都市ごみやシュレッダーダストなどの廃棄物を処理する技術として、廃棄物を熱分解、燃焼して、残留する灰分を溶融しスラグにして排出する廃棄物溶融処理が知られている。
【0003】
この処理方法は、廃棄物を熱分解してガス化することによりその燃焼熱を回収することができるとともに、残留する灰分を溶融してスラグとして排出した後に、埋立処分などで最終処分されるべき量を減容することができる利点を有している。このような溶融処理方法には幾つかの方式があるが、そのための装置の一つとして、竪型をなすシャフト炉式の廃棄物ガス化溶融炉が広く用いられている。
【0004】
このシャフト炉式の廃棄物ガス化溶融炉は、例えば、炉下部に堆積させたコークスを燃焼させ、この高温のコークス上へ廃棄物を投入して、熱分解及び部分酸化させてガス化するとともに残留する灰分を溶融してスラグにする処理を行なう炉である(特許文献1参照)。また、この種のシャフト炉式の廃棄物ガス化溶融炉では、コークスと廃棄物の燃焼により生成されるスラグの成分調整材としての石灰石とが副資材として炉内へ投入されることが多い(非特許文献1、第3〜4頁参照)。以下、特許文献1のシャフト炉式の廃棄物ガス化溶融炉そして非特許文献1の副資材供給装置について順次説明する。
【0005】
<シャフト炉式の廃棄物ガス化溶融炉>
特許文献1のシャフト炉式の廃棄物ガス化溶融炉においては、竪型筒状をなす炉体の内部が大別して縦(上下)方向で3つの領域に区分される。すなわち、炉下部にコークスを堆積させたコークス床を有する高温燃焼帯が形成され、この高温燃焼帯の上に廃棄物層が形成され、炉上部にて該廃棄物層の上方に大きな空間のフリーボード部が形成されている。
【0006】
かかる廃棄物ガス化溶融炉では、上述の高温燃焼帯、廃棄物層そしてフリーボード部の三つの領域のそれぞれでは酸素含有ガスの炉内への吹込みが行われる。炉下部における高温燃焼帯には主羽口が設けられていて、酸素富化空気が吹き込まれ、高温燃焼帯では投入されて堆積されたコークス床のコークスが燃焼して、残留する灰分を溶融する溶融熱源となっている。また、廃棄物層には副羽口が設けられ、空気が吹き込まれ、投入されて堆積された廃棄物を緩やかに流動させると共に、廃棄物を熱分解及び部分酸化させる。また、フリーボード部には三段羽口が設けられ、空気が吹き込まれ、廃棄物が熱分解されて生成した熱分解ガス(可燃性ガス)の一部を部分燃焼させて内部を所定温度に維持するようになっている。
【0007】
このようにシャフト炉式の廃棄物ガス化溶融炉は、一つの炉で、廃棄物をその炉内での降下に伴い熱分解ガス化処理と溶融処理の両方を行うことのできる設備である。投入された廃棄物は熱分解され、ガスと灰分が生成される。主羽口からの酸素富化空気の送風によりコークス床のコークスが燃焼され高温燃焼帯が形成され、廃棄物の灰分が溶融され溶融スラグと溶融メタルが生成される。副資材としてコークスとともに、スラグ成分調整のための石灰石が投入され、石灰石は灰分が溶融されたスラグの性状を好ましいものとする調整材として働く。溶融スラグと溶融メタルはコークス塊同士の間隙を滴下し炉底に達する。溶融スラグと溶融メタルは炉底に達するまでに均質化され性状が安定化され、炉底に設けられた出滓口から排出される。
【0008】
高温燃焼帯のコークス燃焼により発生した高温ガスが高温燃焼帯の上に形成された廃棄物層の廃棄物を加熱し、副羽口からの空気の送風により廃棄物は熱分解され、この熱分解により発生した可燃性ガスを含むガスは廃棄物層内を上昇し、フリーボード部を経て、炉内上部に設けられた排出口より、炉外の二次燃焼室へ排出される。ガスは可燃ガスを多量に含んでいて二次燃焼室で燃焼され、ボイラで熱回収され蒸気を発生させその蒸気が発電等に用いられる。ボイラから排出されたガスは、サイクロンで比較的粗いダストが除去され、さらに、減温装置で冷却され、有害物質除去剤との反応により有害ガスが除去され、集塵機で除塵処理されるなど排ガス処理された後、煙突から大気に放散される。
【0009】
<副資材供給装置>
コークスそして廃棄物の燃焼により生成されるスラグの成分調整材としての石灰石とを副資材と呼び、非特許文献1では、副資材は副資材供給装置により炉内に投入される。非特許文献1に示されている副資材供給装置では、コンベアがコークスバンカ(ホッパ)と石灰石バンカ(ホッパ)からコークスと石灰石を受けた後、このコークスと石灰石を高温ガス化直接溶融炉(シャフト炉式の廃棄物ガス化溶融炉)の上部に設けられた投入口まで搬送し、この投入口から炉内へ投入供給している。詳説すると、添付図面の
図3に示すごとく、この非特許文献1の副資材供給装置50は、コークスホッパ51がその下部にコークス切出しフィーダ51Aを、そして石灰石ホッパ52がその下部に石灰石切出しフィーダ52Aをそれぞれ有していて、それらの下方に設けられたシュート51B,52Bを介して副資材計量供給コンベア53へコークスと石灰石を供給するようになっている。該副資材計量供給コンベア53はベルトコンベアとして形成されていてその搬送方向(矢印A)先端の下方位置には、バケット54Aを有する副資材搬送コンベア54が配設されている。この副資材搬送コンベア54は高温ガス化溶融炉の上部に設けられた投入口に接続されている。
【0010】
かかる非特許文献1の副資材供給装置50によると、コークスホッパ51と石灰石ホッパ52から、電磁振動フィーダ等のコークス切出しフィーダ51Aと石灰石切出しフィーダ52Aにより、コークスと石灰石が切り出された後、シュート51B,52Bを経て副資材計量供給コンベア53へ落下する。副資材計量供給コンベア53はロードセル等の計量手段を有するコンベアであって、コークスと石灰石との供給量を計量して供給する。コークスと石灰石は該副資材計量供給コンベア53から副資材搬送コンベア54へ受け渡された後、該副資材搬送コンベア54により上記高温ガス化直接溶融炉の投入口へもたらされて、該投入口から該高温ガス化直接溶融炉の炉内へ副資材として投入される。コークスホッパ51と石灰石ホッパ52からは、次に供給するコークス、石灰石が所定量だけ切り出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平09−060830
【非特許文献1】JFEエンジニアリング 高温ガス化直接溶融炉 カタログ 2003年 カタログNo,CA3038 <http://www.jfe-eng.co.jp/products/environment/pdf/CA3038.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、非特許文献1の副資材供給装置にあっては、副資材搬送のためのコンベアが副資材計量供給コンベアと副資材搬送コンベアの二種を上下に位置して有し、両者がほぼ直列をなして接続されているので、設置スペース、特に搬送方向でのスペースを大きく要し、設備全体をコンパクトにすることができない。
【0013】
次に、副資材計量供給コンベアをベルトコンベアの形式にすると、コンベアベルト上のコークスや石灰石を、後続の副資材搬送コンベアへ全量を受け渡しきれないことがある。
【0014】
また、副資材計量供給コンベアの搬送速度が適切な速度となっていないと、副資材搬送コンベアへの受渡しが円滑に行われず、トラブルの原因となることがある。
【0015】
さらには、副資材計量供給コンベアで、コンベアベルトの噛み込みが生ずることがあり、コンベアベルトが撓んでコークスや石灰石がこぼれ落ちることがある。
【0016】
さらには、副資材計量供給コンベアは、石灰石ホッパとコークスホッパの二つのステーションを通過するので、その搬送長は比較的大きいこともあって、搬送時間がかかり、その分、副資材搬送コンベアに待機時間が生じ、操業効率が低いものであった。
【0017】
本発明は、かかる事情に鑑み、コンパクトで効率の良い副資材供給装置を備えた、廃棄物ガス化溶融装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明に係る廃棄物ガス化溶融装置は、シャフト炉式の廃棄物ガス化溶融炉に廃棄物を炉上部の投入口から炉内へ投入し廃棄物を熱分解、ガス化、燃焼し、残留する灰分を溶融する廃棄物ガス化溶融装置であって、
廃棄物ガス化溶融炉に副資材を上記投入口から供給する副資材供給装置を備えている。
【0019】
かかる廃棄物ガス化溶融装置において、本発明では、上記副資材供給装置は、コークスホッパと石灰石ホッパそして混合ホッパとを有し、コークスホッパと石灰石ホッパはそれぞれのシュートを経て、下方に位置する混合ホッパへコークスと石灰石が流入するように該混合ホッパに接続されており、
混合ホッパは、コークスホッパからのコークスと石灰石ホッパからの石灰石との混合物を計量排出する計量排出部を有し、
上記混合ホッパの下方に、該混合ホッパの計量排出部からの混合物を受け、これを廃棄物ガス化溶融炉の投入口まで搬送する副資材搬送コンベアが設けられていることを特徴としている。
【0020】
本発明において、コークスホッパは下部にコークス切出しフィーダを備え、石灰石ホッパは下部に石灰石切出しフィーダを備えることが好ましい。
【0021】
このような構成の本発明では、廃棄物ガス化溶融炉へ副資材としてコークスと石灰石が次の要領で投入供給される。
【0022】
副資材供給装置のコークスホッパからコークス、石灰石ホッパから石灰石が共通の混合ホッパへ受け渡されここに貯留される。該混合ホッパへのコークスそして石灰石は適切な比率の供給量となるようにコークスホッパそして石灰石ホッパの排出口の開口度がそれぞれ設定される。
【0023】
コークスと石灰石は混合ホッパ内で混合物とされ、混合ホッパの計量排出部で該混合物が所定量となるように計量されて所定量だけ排出され、下方に位置する副資材搬送コンベアへ供給される。混合物は副資材搬送コンベアにより廃棄物ガス化溶融炉の投入口から炉内へ投入される。
【0024】
炉内では、コークスが廃棄物の燃焼のための燃料として、そして、炉下部でのコークス床形成に寄与し、石灰石が灰分溶融後のスラグの成分調整に寄与する。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、以上のように、副資材供給装置がコークスホッパと石灰石ホッパの下方に混合ホッパを設け、この混合ホッパによってコークスと石灰石を混合物として所定量だけ計量後に副資材搬送コンベアに供給することとしたので、従来のような、コークスホッパそして石灰石ホッパの下方に設けられた搬送方向へ長い副資材計量供給コンベアを採用する必要がなくなり、コンベアとしては、ホッパの下方へ設けられた副資材搬送コンベアの一つだけで済むので、副資材計量供給コンベアを必要としない分だけ、搬送方向で設備をコンパクトにでき、さらには、従来の副資材計量供給コンベアのコンベアベルトにおける噛み込みやこぼれ落ち等の問題を回避でき、また、副資材搬送コンベアの搬送速度等の運転状況に合わせて混合物ホッパでの計量排出を行えばよいので、副資材搬送コンベアへの副資材としての混合物の受渡しが確実に行われ、さらには、従来の副資材計量供給コンベアを用いない分、廃棄物ガス化溶融炉の投入口へ副資材を搬送する副資材搬送コンベアでの待機時間がなく、搬送効率が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態装置における廃棄物ガス化溶融炉の概要構成を示す図である。
【
図2】
図1装置のための副資材供給装置の概要構成を示す図である。
【
図3】従来の副資材供給装置の概要構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面の
図1、
図2にもとづき、本発明の実施形態を説明する。本実施形態の廃棄物ガス化溶融装置は、シャフト炉式の廃棄物ガス化溶融炉と該廃棄物ガス化溶融炉へコークスと石灰石を副資材として供給する副資材供給装置を備えているが、この廃棄物ガス化溶融装置についての説明に先立ち、これに用いられるシャフト炉式の廃棄物ガス化溶融炉の概要構成を説明する。
【0028】
<廃棄物ガス化溶融炉の概要構成>
図1に示される本発明の一実施形態のシャフト炉式の廃棄物ガス化溶融炉1には、該廃棄物ガス化溶融炉1の炉上部に、処理対象物としての廃棄物、燃料としてのコークス、生成されるスラグの成分調整材としての石灰石を炉内へ投入するための投入口2が設けられ、また、上部側方には炉内のガスを炉外へ排出するためのガス排出口3が設けられている。また、廃棄物ガス化溶融炉1の炉底部には溶融スラグと溶融金属を排出するための出滓口4が設けられている。
【0029】
廃棄物ガス化溶融炉1の上方には、炉内へ都市ごみ等の廃棄物とともに、副資材としてコークス及び石灰石をそれぞれ供給する廃棄物供給装置7、副資材供給装置20が配設されており、廃棄物、コークスそして石灰石は炉上部の上記投入口2から炉内に投入される。
【0030】
ガス排出口3には二次燃焼室10が接続して設けられており、廃棄物を熱分解して生成した可燃性ガスをこの二次燃焼室10で燃焼する。該二次燃焼室10は、好ましくは二次燃焼のための空気を吹き込む空気送風口11が設けられている。また、この二次燃焼室10には、該二次燃焼室10で可燃性ガスを燃焼した燃焼ガスから熱回収するボイラ12が隣接して設けられている。
【0031】
このようなシャフト炉式の廃棄物ガス化溶融炉1では、炉内の内部空間が縦方向で四つの領域に区分されていて、下方から、コークス充填層A、移動層B、ガス化層C、フリーボード部Dが形成される。
【0032】
かかる廃棄物ガス化溶融炉1では、上記コークス充填層A及びガス化層Cのそれぞれで、羽口が設けられ酸素含有ガスの炉内への吹込みが行われる。すなわち、炉下部におけるコークス充填層Aには主羽口5が設けられていて、酸素富化空気が吹き込まれる。ガス化層Cには副羽口6が設けられ、空気が吹き込まれる。
【0033】
このような羽口5,6を有する廃棄物ガス化溶融炉1内にコークスが投入されると、このコークスが炉下部に下降し、主羽口5から吹き込まれる酸素富化空気によりコークスが燃焼し、発生する高温の燃焼ガスが廃棄物の熱分解の熱源となり、さらに、灰分を溶融する熱源となる。
【0034】
ガス化層Cには、副羽口6から空気が吹き込まれ、廃棄物を乾燥し、次いで熱分解及び部分酸化させ可燃分をガス化する。
【0035】
また、フリーボード部Dでは、廃棄物が熱分解されて生成した熱分解ガス(可燃性ガス)の一部を部分燃焼させて炉内部を所定温度に維持する。
【0036】
<副資材供給装置>
このように構成され機能する廃棄物ガス化溶融炉1は、副資材としてコークスと石灰石を適切に供給するための副資材供給装置20を備えている。
【0037】
副資材供給装置20は、
図2に見られるように、副資材としてのコークスそして石灰石をそれぞれ貯蔵するコークスホッパ21と石灰石ホッパ22、これらのホッパからコークスと石灰石を受けて混合物として貯留する混合ホッパ23、さらには、混合物を受けて廃棄物ガス化溶融炉1の投入口2まで搬送する副資材搬送コンベア24を有している。
【0038】
上記コークスホッパ21と石灰石ホッパ22は、それらの下部に、例えば電磁振動フィーダ等のコークス切出しフィーダ21Aと石灰石切出しフィーダ22Aとをそれぞれ有している。該コークス切出しフィーダ21Aと石灰石切出しフィーダ22Aは、それらの切出し量が調整自在となっていて、コークスと石灰石の切出し量の比が所定値となるように調整そして設定されている。上記コークス切出しフィーダ21Aと石灰石切出しフィーダ22Aは、上記のごとく切出し量の比が適宜値に変更そして設定可能であればよく、切出し量を計量する機能を有している必要はない。
【0039】
上記コークス切出しフィーダ21Aと石灰石切出しフィーダ22Aには、それぞれコークスシュート21Bと石灰石シュート22Bが下方に向け延びるように設けられている。
【0040】
上記コークスホッパ21と石灰石ホッパ22の下方には、混合ホッパ23が設けられていて、上記コークスシュート21Bと石灰石シュート22Bから落下するコークスと石灰石の両方を受け、コークスと石灰石の混合物として貯留するようになっている。該混合ホッパ23は、その下部に、計量排出部としての計量フィーダ23Aを有しており、該計量フィーダ23Aから混合物シュート23Bが垂下している。かくして、混合ホッパ23では、コークスと石灰石が所定比で混合された混合物が、計量フィーダ23Aで所定量だけ計量排出される。計量排出時期そして計量排出量は、適宜変更して設定することが可能である。
【0041】
上記混合ホッパ23の下方に設けられている副資材搬送コンベアは、本実施形態では、バケット24Aを有するバケットコンベアとして形成されており、バケット24Aが搬送方向にて上記混合ホッパ23の混合物シュート23Bの直下位置から廃棄物ガス化溶融炉1の投入口2の位置まで移動するようになっている。上記混合ホッパ23の計量フィーダ23Aもしくは混合物シュート23Bは開閉弁を有していて、該開閉弁の開時期は上記バケット24Aが該混合物シュート23Bの位置にきたときに同期している。
【0042】
このように構成される本実施形態における廃棄物ガス化溶融炉装置では、廃棄物のガス化溶融処理は次の要領で行われる。その要領を、廃棄物ガス化溶融炉でのガス化溶融と、副資材供給装置による副資材供給の順に説明する。
【0043】
<廃棄物ガス化溶融炉でのガス化溶融>
廃棄物供給装置7からの廃棄物、副資材供給装置20からの副資材としてのコークス及び石灰石が廃棄物ガス化溶融炉1の上部に設けられた投入口2を経て、それぞれ所定量ずつ炉内へ投入され、主羽口5から酸素富化空気が、副羽口6から空気が炉内へ吹き込まれる。主羽口5からは、酸素富化空気がコークス充填層Aに吹き込まれる。
【0044】
炉内に投入されたコークスは炉下部に下降し、コークスが主羽口5から吹き込まれる酸素富化空気によって燃焼し、廃棄物の灰分を溶融する熱源を提供するとともに、発生した高温の燃焼ガスを上昇させ廃棄物の熱分解のために加熱する熱源を提供すると共に、コークス床を形成する。
【0045】
上記投入口2から投入された廃棄物は、炉内に堆積して廃棄物のガス化層Cを形成し、炉下部のコークス充填層Aから移動層Bを通過し上昇してくる高温の燃焼ガス及び副羽口6から吹き込まれる空気によって加熱され、乾燥され、次いで熱分解される。熱分解により生成した可燃性ガスを含む燃焼ガスは上昇し、可燃性ガスの一部がフリーボード部Dにて燃焼され、炉内部を所定温度に維持し、熱分解により発生した有害物とタール分を分解させる処理が施されるように用いられる。フリーボード部Dを通過したガスは炉上部に設けられた排出口3より、炉外の二次燃焼室10へ排出される。ガスは可燃性ガスを多量に含んでいて二次燃焼室10で燃焼され、ボイラ12で熱回収され蒸気を発生させその蒸気が発電等に用いられる。ボイラ12から排出されたガスは、サイクロン(図示せず)で比較的粗いダストが除去され、さらに、減温装置(図示せず)で冷却され、有害物質除去剤との反応により有害ガスが除去され、集塵機(図示せず)で除塵処理されるなど排ガス処理された後、煙突(図示せず)から大気に放散される。
【0046】
ガス化層Cで廃棄物は熱分解されてガスが生成され、さらに、熱分解により生じた固定炭素や灰分は、コークス及び石灰石とともに下降し移動層Bを形成する。移動層Bでは、コークス充填層Aから上昇してくる高温のガスにより下降する固体の昇温が行われると同時に、高温のCO
2ガスにより廃棄物の熱分解により生じた固定炭素がガス化される。コークス充填層Aでは主羽口5から送風される酸素富化空気によりコークスとガス化されずに残った廃棄物の固定炭素が燃焼され、この燃焼熱により廃棄物の灰分が溶融され溶融スラグと溶融メタルが生成される。副資材として投入口2から炉内へ投入された石灰石は灰分が溶融されたスラグの性状を好ましいものとする調整材として働く。さらに、発生した高温の燃焼ガスが上昇し廃棄物の熱分解のために加熱する熱源となる。
【0047】
主羽口5から下方の炉下部では、高温になりながらも燃え尽きていないコークスがコークス塊同士の間隙を保持して充填された状態でコークス充填層Aを形成しており、溶融スラグと溶融メタルはコークス塊同士の間隙を滴下し炉底に達する。溶融スラグと溶融メタルは炉底に達するまでに均質化され性状が安定化され、炉底に設けられた出滓口4から排出され、炉外に設けられた水砕装置(図示せず)に供給され冷却固化され、冷却固化された水砕スラグと水砕メタルが回収される。主羽口5から送風される酸素富化空気と、コークスと固定炭素の燃焼により発生した高温の燃焼ガスとは、コークス充填層Aから移動層Bを通過しガス化層Cへ上昇して廃棄物を加熱し、ガス化層Cの廃棄物が副羽口6から供給される空気により部分酸化、熱分解される。コークス充填層Aでは、コークスが燃焼して灰分溶融と廃棄物熱分解の熱源となり、コークスが塊同士の間隙を保持して酸素富化空気と高温の燃焼ガスとを通気させ、溶融スラグと溶融メタルとを通液させる高温火格子の機能を有している。
【0048】
<副資材供給装置による副資材の供給>
副資材供給装置20による副資材としてのコークスと石灰石は所定混合量比のもとで、次の要領で混合物として所定量だけ廃棄物ガス化溶融炉1へ供給される。
【0049】
廃棄物ガス化溶融炉1に供給される廃棄物の種類や量に応じて、副資材としてのコークスと石灰石のそれぞれの量そして量比の供給条件が設定される。
【0050】
この供給条件に見合った切出し量となるように、コークスホッパ21のコークス切出しフィーダ21Aと石灰石切出しフィーダ22Aの切出し量を設定する。この切出し量のもとで、コークスと石灰石はそれぞれ切り出されて、コークスシュート21Bと石灰石シュート22Bを経て混合物を形成するようにして混合ホッパ23に供給され貯留される。混合物は、所定量だけ計量フィーダ23Aで切り出され、計量フィーダ23Aもしくは混合物シュート23Bに設けられた開閉弁を用いて、混合物シュート23Bの直下に位置して待機して停止している副資材搬送コンベア24のバケット24Aへ混合物を落下供給する。バケット24Aは、副資材搬送コンベア24の作動により廃棄物ガス化溶融炉1の投入口2の位置まで移動し、混合物が該投入口2から炉内へ投入供給される。
【0051】
このような、副資材供給装置20を用いるので、搬送方向に長い従来の副資材計量供給コンベアを採用せずに済むので、同方向で設備がコンパクトとなると共に、後続の副資材搬送コンベアの待機時間がなくなり、搬送効率が高まる等、従来装置に比べ、大幅に改善される。
【符号の説明】
【0052】
1 廃棄物ガス化溶融炉
2 投入口
20 副資材供給装置
21 コークスホッパ
21A コークス切出しフィーダ
21B コークスシュート
22 石灰石ホッパ
22A 石灰石切出しフィーダ
22B 石灰石シュート
23 混合ホッパ
23A 計量排出部(計量フィーダ)
24 副資材搬送コンベア