特許第6278029号(P6278029)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6278029
(24)【登録日】2018年1月26日
(45)【発行日】2018年2月14日
(54)【発明の名称】発電機駆動用エンジン搭載の自動車
(51)【国際特許分類】
   B60W 10/06 20060101AFI20180205BHJP
   B60W 20/16 20160101ALI20180205BHJP
   F02D 29/06 20060101ALI20180205BHJP
   F01N 3/20 20060101ALI20180205BHJP
   F02M 35/10 20060101ALI20180205BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20180205BHJP
   F01M 1/08 20060101ALI20180205BHJP
   F02B 53/00 20060101ALI20180205BHJP
   F02B 77/08 20060101ALI20180205BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20180205BHJP
   B60K 6/46 20071001ALI20180205BHJP
【FI】
   B60W10/06 900
   B60W20/16
   F02D29/06 D
   F01N3/20 K
   F02M35/10 301Z
   F02D45/00 360F
   F02D45/00 360J
   F01M1/08 B
   F02B53/00 J
   F02B77/08 E
   B60W10/08 900
   B60K6/46ZHV
   F01N3/20 F
   F01N3/20 U
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-214774(P2015-214774)
(22)【出願日】2015年10月30日
(65)【公開番号】特開2017-81501(P2017-81501A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2017年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 哲也
(72)【発明者】
【氏名】香川 良二
【審査官】 増子 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−227366(JP,A)
【文献】 特開2006−046091(JP,A)
【文献】 特開2010−168994(JP,A)
【文献】 特開2012−250653(JP,A)
【文献】 特開平09−085054(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0291526(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/20 − 6/547
B60W 10/00 − 20/50
F01N 3/00
F01N 3/02
F01N 3/04 − 3/38
F01N 9/00 − 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車に搭載されかつ、走行用の電力を発電するよう構成された発電機と、
前記発電機に連結されかつ、前記発電機を駆動するよう構成されたエンジンと、
前記エンジンの排気通路に設けられかつ、前記エンジンの運転時に前記エンジンから排出された排気ガスを浄化するよう構成された触媒装置と、
前記排気通路に配設されかつ、前記触媒装置を加熱するよう構成された電気ヒータと、
前記エンジンを始動することによって前記発電機が発電を開始するときに、前記電気ヒータを運転することによって、前記触媒装置の活性化を図る初期モードを実行し、その後、前記エンジンを運転することによって前記発電機を運転する発電運転モードを実行するよう構成された制御部と、を備え、
前記電気ヒータは、前記触媒装置の下流に配設され、
前記発電機は、前記エンジンを駆動するよう構成され、
前記エンジンの吸気通路と前記排気通路とを互いに接続する接続通路と、前記接続通路を流れるガス流量を調整する調整弁と、をさらに備え、
前記制御部は、前記初期モードにおいて、前記電気ヒータを運転すると共に、前記調整弁によって前記接続通路を流れるガス流量を調整しながら、前記発電機によって前記エンジンを逆回転方向にモータリングさせる発電機駆動用エンジン搭載の自動車。
【請求項2】
請求項1に記載の発電機駆動用エンジン搭載の自動車において、
前記吸気通路には、当該吸気通路を流れるガスの温度を検知する温度センサが配設され、
前記制御部は、前記初期モードの実行中に、前記温度センサの検知結果に基づいて、前記電気ヒータの故障を判定する発電機駆動用エンジン搭載の自動車。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の発電機駆動用エンジン搭載の自動車において、
前記触媒装置は、前段触媒部と、前記前段触媒部よりも下流に配設された後段触媒部とを有し、
前記電気ヒータは、前記前段触媒部と前記後段触媒部との間に配設されており、
前記制御部は、前記初期モードにおいて前記前段触媒部が活性状態に至った後、前記発電運転モードを実行する発電機駆動用エンジン搭載の自動車。
【請求項4】
請求項3に記載の発電機駆動用エンジン搭載の自動車において、
前記接続通路は、前記排気通路における前記後段触媒部よりも下流に接続されている発電機駆動用エンジン搭載の自動車。
【請求項5】
請求項3に記載の発電機駆動用エンジン搭載の自動車において、
前記接続通路は、前記排気通路における前記前段触媒部と前記後段触媒部との間に接続されている発電機駆動用エンジン搭載の自動車。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の発電機駆動用エンジン搭載の自動車において、
前記吸気通路において、前記エンジンの気筒入口と前記接続通路の接続部分との間には、オイルミストを貯める貯留部が設けられている発電機駆動用エンジン搭載の自動車。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の発電機駆動用エンジン搭載の自動車において、
前記エンジンは、メタリングオイルが前記エンジン内のシール面に供給されるよう構成されたロータリーピストンエンジンである発電機駆動用エンジン搭載の自動車。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の発電機駆動用エンジン搭載の自動車において、
前記制御部は、前記発電運転モードを開始するときに、前記発電機によって前記エンジンを正回転方向にモータリングした後に、前記エンジンへの燃料供給を開始する発電機駆動用エンジン搭載の自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、発電機を駆動するためのエンジンを搭載した自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電気ヒータ付き触媒装置を搭載した自動車が記載されている。この自動車は、排気通路の上流側に第1触媒部が配置されていると共に、第1触媒部の下流側に第2触媒部が配置されている。電気ヒータは、第1触媒部の上流側に取り付けられている。エンジンの運転によってエンジンから排出された排気ガスが排気通路を流れている状態で電気ヒータが第1触媒部を加熱することにより、第1触媒部の活性化が図られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−85054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、走行用の電力を発電するよう構成された発電機と、発電機を駆動するよう構成されたエンジンとを搭載した自動車では、走行中に、触媒装置が未活性の状態で、エンジンを始動する場合がある。特に、航続距離を延長するためのレンジエクステンダ装置を搭載した電気自動車や、いわゆるプラグインハイブリッド自動車は、バッテリSOC(State Of Charge)が低下したときにエンジンが始動することによって、発電機が発電を開始する。これらの自動車では、エンジンの始動頻度が低いため、エンジンの始動時には、触媒装置が未活性である場合が多い。触媒装置が未活性のままで、発電機が発電をする程度にエンジンの出力を高めると、大気中にエミッションが排出されてしまう。エンジンの始動時には、エミッション性能が悪化してしまう。
【0005】
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、発電機駆動用エンジンを搭載した自動車において、エンジンを始動する際に、エミッション性能が悪化してしまうことを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示する技術は、発電機駆動用エンジン搭載の自動車に係る。この自動車は、自動車に搭載されかつ、走行用の電力を発電するよう構成された発電機と、前記発電機に連結されかつ、前記発電機を駆動するよう構成されたエンジンと、前記エンジンの排気通路に設けられかつ、前記エンジンの運転時に前記エンジンから排出された排気ガスを浄化するよう構成された触媒装置と、前記排気通路に配設されかつ、前記触媒装置を加熱するよう構成された電気ヒータと、前記エンジンを始動することによって前記発電機が発電を開始するときに、前記電気ヒータを運転することによって、前記触媒装置の活性化を図る初期モードを実行し、その後、前記エンジンを運転することによって前記発電機を運転する発電運転モードを実行するよう構成された制御部と、を備える。
【0007】
前記電気ヒータは、前記触媒装置の下流に配設され、前記発電機は、前記エンジンを駆動するよう構成される。発電機駆動用エンジン搭載の自動車は、前記エンジンの吸気通路と前記排気通路とを互いに接続する接続通路と、前記接続通路を流れるガス流量を調整する調整弁と、をさらに備える。
【0008】
そして、前記制御部は、前記初期モードにおいて、前記電気ヒータを運転すると共に、前記調整弁によって前記接続通路を流れるガス流量を調整しながら、前記発電機によって前記エンジンを逆回転方向にモータリングさせる。
【0009】
尚、前記「下流」は、エンジンが通常運転をしているときのガスの流れ方向によって定義される下流である。
【0010】
この構成によると、発電機による発電開始のために、エンジンを始動するときには、発電運転モードを実行する前に、初期モードを実行する。初期モードは、電気ヒータによって、触媒装置を加熱することで触媒装置を活性化させるモードである。初期モードでは、吸気通路と排気通路とを接続する接続通路を流れるガス流量を、調整弁によって調整しながら、発電機によってエンジンを逆回転方向にモータリングさせる。初期モードでは、エンジンを運転しない。尚、ここで言う運転は、エンジンに燃料を供給し、それを燃焼することによってエンジンを運転することを意味する。初期モードではエンジンから排気ガスが排出されないため、エミッション性能の悪化が防止される。
【0011】
初期モードでは、前述の通り、エンジンを逆回転方向にモータリングする。これにより、エンジンから、吸気通路、接続通路、及び排気通路を通ってエンジンに戻るようにガスが循環する。ここで、調整弁は、接続通路上に配設されかつ、接続通路を開閉する弁に限らず、ガスの循環経路が構成されるように、吸気通路上に配設されかつ、吸気通路を開閉する弁(例えばスロットル弁)及び/又は排気通路上に配設されかつ、排気通路を開閉する弁(例えば排気シャッター弁)を含む。
【0012】
電気ヒータは、触媒装置の下流に配設されているため、エンジンの通常運転時とは逆向きのガス流れにより、電気ヒータの熱が触媒装置に送られる。これにより、触媒装置が加熱される。また、電気ヒータによって暖められたガスが、触媒装置を通った後、エンジン、吸気通路、接続通路を経て、再び電気ヒータに至り、電気ヒータによって再度暖められて触媒装置に送られる。このように、ガスを循環させることによって、触媒装置を効率的に昇温することが可能になり、触媒装置を早期に活性化させることが可能になる。
【0013】
さらに、初期モードにおけるガスの循環流れを、エンジンの通常運転時とは逆方向にすることで、エンジンをモータリングしている最中に、エンジン内で浮遊するオイルミストは、吸気通路側に排出される。これにより、触媒装置にオイルミストが進入することが抑制され、触媒装置の劣化を防止することが可能になる。
【0014】
初期モードにおいて触媒装置の活性化を図った後(例えば触媒装置が活性化した後)、エンジンを運転しかつ、発電機を運転する発電運転モードを実行する。発電運転モードでは、触媒装置の浄化率が高まっているため、エンジンを運転してもエミッション性能の悪化が防止される。
【0015】
こうして、エンジンを始動して発電機の発電を実質的に開始する際に、この発電の開始に先立って、初期モードを行うことにより、エミッション性能の悪化が防止される。また、発電機による発電を速やかに開始することが可能になる。
【0016】
前記吸気通路には、当該吸気通路を流れるガスの温度を検知する温度センサが配設され、前記制御部は、前記初期モードの実行中に、前記温度センサの検知結果に基づいて、前記電気ヒータの故障を判定する、としてもよい。
【0017】
前述したように、初期モードにおいて、電気ヒータによって暖められたガスは、触媒装置からエンジンを経て吸気通路へと流れる。従って、吸気通路に配設した温度センサの検知により、初期モードの実行中に吸気通路を流れるガスの温度が高まるか否かを検知可能になる。ガス温度が高まるか否かによって、電気ヒータが正常に運転しているか、又は、電気ヒータが正常に運転していないか(つまり、加熱が行われていないこと)を判定することが可能になる。この構成は、エンジンを始動する前の初期モードの実行中に、排気エミッション性能に関係する電気ヒータの故障判定が可能になるという利点がある。
【0018】
前記触媒装置は、前段触媒部と、前記前段触媒部よりも下流に配設された後段触媒部とを有し、前記電気ヒータは、前記前段触媒部と前記後段触媒部との間に配設されており、前記制御部は、前記初期モードにおいて前記前段触媒部が活性状態に至った後、前記発電運転モードを実行する、としてもよい。
【0019】
電気ヒータを、前段触媒部と後段触媒部との間に配設することにより、初期モードにおけるガスの循環流れにおいて、電気ヒータの直上流となる前段触媒部を早期に活性化させることが可能になる。
【0020】
そうして、前段触媒部が活性状態になれば発電運転モードを実行することにより、発電機による発電を速やかに開始することが可能になる。発電運転モードでは、エンジンが運転するが、前段触媒部が活性状態であるため、エミッション性能の悪化が抑制される。また、発電運転モードでは、発電機において発電が行われる程度にエンジンの出力が高まることで、排気ガスの温度が高くなる。これにより、後段触媒部も速やかに活性化する。後段触媒部が活性化すれば、エミッション性能が良好になる。
【0021】
前記接続通路は、前記排気通路における前記後段触媒部よりも下流に接続されている、としてもよい。こうすることで、初期モードにおいては、後段触媒部及び前段触媒部を含めてガスが循環するようになるから、後段触媒部及び前段触媒部それぞれの活性化が図られる。
【0022】
前記接続通路は、前記排気通路における前記前段触媒部と前記後段触媒部との間に接続されている、としてもよい。こうすることで、初期モードにおいては、前段触媒部を含めてガスが循環するようになるから、前段触媒部の活性化が図られる。この構成は、初期モードにおいてガスが循環する経路長が相対的に短くなるため、前段触媒部を効率的にかつ、早期に活性化させることが可能になる。発電機による発電が早期に開始される。
【0023】
前記吸気通路において、前記エンジンの気筒入口と前記接続通路の接続部分との間には、オイルミストを貯める貯留部が設けられている、としてもよい。
【0024】
前述したように、初期モードにおいて、エンジンをモータリングしている最中にエンジン内で浮遊するオイルミストは、吸気通路側に排出される。初期モード時にガスは循環して流れているため、オイルミストが、接続通路から排気通路に至り、電気ヒータ及び/又は触媒装置に進入する虞がある。
【0025】
前記の構成では、吸気通路において、エンジンの気筒入口と接続通路の接続部分との間に、オイルミストを貯める貯留部を設ける。これにより、オイルミストが、電気ヒータ及び/又は触媒装置に進入することが防止される。
【0026】
前記エンジンは、メタリングオイルが前記エンジン内のシール面に供給されるよう構成されたロータリーピストンエンジンである、としてもよい。
【0027】
ロータリーピストンエンジンは、モータリング時にも、エンジン内のシール面にメタリングオイルを供給する必要がある。前述したように、初期モードにおいてロータリーピストンエンジンをモータリングするときに、エンジン内のオイルミスト量は、レシプロエンジンよりも多くなる虞がある。従って、初期モードにおけるモータリング時に、ロータリーピストンエンジンを逆回転方向にモータリングすることは、触媒装置にオイルミストが進入することを防止する上で特に有効である。
【0028】
前記制御部は、前記発電運転モードを開始するときに、前記発電機によって前記エンジンを正回転方向にモータリングした後に、前記エンジンへの燃料供給を開始する、としてもよい。
【0029】
こうすることで、エンジンが逆回転方向にモータリングしている状態から、エンジンをスムースかつ、確実に始動させることが可能になる。
【0030】
尚、ここに開示する技術は、エンジンの始動頻度が低いレンジエクステンダ電気自動車に適している。また、ここに開示する技術は、レンジエクステンダ電気自動車と同様に、エンジンの始動頻度が低いプラグインハイブリッド自動車に適用することが可能である。
【発明の効果】
【0031】
以上説明したように、前記の発電機駆動用エンジン搭載の自動車によると、発電機の発電開始のためにエンジンを始動する際に、触媒装置の活性化を図る初期モードを実行することで、エミッション性能の悪化を防止しながら、触媒装置の活性化が図られると共に、発電機による発電を速やかに開始することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、発電機駆動用エンジン搭載の自動車の構成を説明する図である。
図2図2は、レンジエクステンダ装置の構成を説明する図である。
図3図3は、吸気通路に設けられた貯留部の構成を示す図である。
図4図4は、レンジエクステンダ装置の制御に係る構成を示すブロック図である。
図5図5は、発電機の発電開始時における、エンジン始動フラグ、エンジン運転状態、EHC運転状態、燃料噴射状態、及び触媒温度のタイムチャートである。
図6図6は、図2とは異なるレンジエクステンダ装置の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、ここに開示する発電機駆動用エンジン搭載の自動車について、図面を参照しながら説明をする。尚、以下の説明は、例示である。図1は、発電機駆動用エンジン搭載の自動車の構成を示す図である。この自動車は、電気自動車1である。図示は省略するが、この電気自動車1は、普通充電器や、急速充電器によってバッテリ22に電力を充電可能な充電用プラグを備える。この電気自動車1はまた、航続距離を延長するためのレンジエクステンダ装置4を搭載している。
【0034】
図1に示すように、この電気自動車1は、走行用のモータ21と、バッテリ22と、インバータ23とを備えている。バッテリ22は、走行用の電力を蓄積する。バッテリ22は、例えばリチウムイオン電池等からなる。モータ21は、インバータ23を介してバッテリ22からの電力供給を受ける。モータ21は、駆動輪、つまり、図1の例では前輪31を駆動する。前輪31が駆動することにより、電気自動車1は走行する。モータ21はまた、減速時等には発電機として機能する。バッテリ22は、回生電力によって充電される。
【0035】
レンジエクステンダ装置4は、発電機41と、発電機41を駆動するエンジン42と、エンジン42に供給する燃料を貯める燃料タンク43と、を有している。図示は省略するが、レンジエクステンダ装置4は、ユニット化されて、電気自動車1の後部に搭載されている。
【0036】
発電機41の出力軸とエンジン42の出力軸とは、図2に示すように、ベルト等の無端体411を介して、互いに連結されている。発電機41は、バッテリ22を充電するための電力を発生する。発電機41が駆動することによって発生した電力は、コンバータを含むインバータ23を介してバッテリ22に送られる。発電機41はまた、後述するように、バッテリ22から供給される電力を受けて駆動することにより、エンジン42を始動させる際のスタータとしても機能をする。
【0037】
エンジン42は、この例では、1ロータの小型ロータリーピストンエンジンである。エンジン42は、燃料タンク43から燃料の供給を受けて運転する。エンジン42が運転することによって、発電機41が駆動をして発電が行われる。レンジエクステンダ装置4の燃料タンク43は、所定の容量に制限されている。
【0038】
エンジン42は、略三角形状のロータ91と、ロータ91を収容するロータハウジング92と、ロータハウジング92を挟持してロータ収容室を区画する一対のサイドハウジングとを有している。ロータハウジング92のトロコイド内周面とロータ91との間に形成される3つの作動室のそれぞれで、吸気、圧縮、膨張、排気の各行程が行われることによりロータ91の回転力が発生する。ロータ91の回転力は、ロータリーピストンエンジンの出力軸であるエキセントリックシャフト93から出力される。
【0039】
エンジン42には、吸気通路5、及び、排気通路6が接続されている。吸気通路5の途中には、スロットル弁423(図3参照)を収容するスロットルボディ52が介設している。
【0040】
排気通路6の途中には、触媒装置7が介設している。触媒装置7は、排気通路6の上流側(つまり、エンジン42に近い側)に配置される前段触媒部71と、前段触媒部71よりも下流側に配置される後段触媒部72とを有している。前段触媒部71及び後段触媒部72はそれぞれ、三元触媒を収容している。前段触媒部71と後段触媒部72との間には、電気ヒータであるEHC(Electrically Heated Catalyst)73が配設されている。詳細には、前段触媒部71とEHC73とは一体化している。排気通路6において、後段触媒部72の下流には、排気シャッター弁424が配設されている。
【0041】
吸気通路5と排気通路6とは、EGR通路(つまり、接続通路)60を介して互いに接続されている。EGR通路60の一端は、吸気通路5において、スロットルボディ52とエンジン42との間の箇所に接続されている。EGR通路60の他端は、排気通路6において、前段触媒部71と後段触媒部72との間の箇所に接続されている。より詳細には、EHC73の下流にEGR通路60の他端が接続されている。EGR通路60の途中には、EGR通路60を流れるガスの流量を調整するEGR弁425が介設している。EGR通路60は、エンジン42の通常運転時に、必要に応じて(例えば燃焼温度を低減させるために)、排気通路6を流れる排気ガスを吸気通路5に還流させるための通路として機能し、EGR弁425は、そのEGR還流量を調整する流量調整弁として機能する。
【0042】
ここで、図3に拡大して示すように、吸気通路5と接続通路60との接続部分には、オイルミストを貯める貯留部51が形成されている。貯留部51は、その上端部が吸気通路5に開口しかつ、その下端部に底面を有する所定のボリュームの空間部分として構成される。EGR通路60の一端は、貯留部51の底面よりも上側位置で、貯留部51内に開口している。詳細は後述するが、エンジン42を逆回転方向にモータリングするときに、図3に矢印で示すように、吸気通路5からEGR通路60を介して排気通路6へと流れるガスの流れに含まれるオイルミストは、貯留部51の底に溜まる。EGR通路60は、貯留部51の底面よりも高い位置に開口しているため、貯留部51に溜まったオイルミストがEGR通路60の方に流れることが防止される。貯留部51の底面にはまた、図示を省略するブローバイシステムにつながるオイル管53が接続される。貯留部51に溜まったオイルは、オイル管53を通じてブローバイシステムに送られる。
【0043】
図4は、レンジエクステンダ装置4を搭載した電気自動車1の走行制御に関連する構成を示している。電気自動車1は、制御部としてのPCU(Powertrain Control Unit)81を備えている。PCU81には、アクセル開度を検知するアクセル開度センサ82、車速を検知する車速センサ83、前段触媒部71及び後段触媒部72の触媒温度を検知する触媒温度センサ84、触媒装置7の浄化率を検知するための、Oセンサからなる浄化率センサ85、及び、バッテリ22のSOC(State Of Charge)を検知するバッテリセンサ86、吸気通路5に配設された吸気管圧力センサ87(図2も参照)が接続される。センサ82〜87はそれぞれ、PCU81に検知信号を出力する。ここで、吸気管圧力センサ87は、吸気通路5内の圧力と共に、吸気通路5内のガスの温度を検知し、その圧力及び温度をPCU81に出力する。
【0044】
PCU81は、エンジン42の制御として、作動室内に供給する燃料を噴射するよう構成されたインジェクタ421、作動室内の混合気を点火するよう構成された点火プラグ422、エンジン42が吸入する空気量を調整するよう構成されたスロットル弁423、前述したように排気通路6に配設された排気シャッター弁424、EGR通路60を流れるガス流量を調整するEGR弁425、及び、エンジン42の、ロータ91とロータハウジング92との間に形成される作動室の気密を保つためのアペックスシールの潤滑と気密性確保のために、ノズル94(図2参照)を通じて作動室内にメタリングオイルを供給するための、電動のメタリングオイルポンプ(Metering Oil Pump:MOP)426に対して制御信号を出力する。PCU81はまた、インバータ23に対して制御信号を出力し、インバータ23を通じてモータ21及び発電機41を制御する。PCU81はさらに、EHC73のオン/オフを制御する。
【0045】
ここで、PCU81による、電気自動車1の走行制御について簡単に説明をする。PCUは、アクセル開度及び車速等に基づいて、インバータ23を通じてモータ21を駆動する。それによって、電気自動車1を、運転者の要求に応じて走行させる。
【0046】
PCU81は、バッテリ22のSOCが所定値(例えば10%以下で適宜設定される所定値)以下になれば、エンジン42を始動し、発電機41による発電を開始する(つまり、発電運転モードを実行する)。エンジン42の始動時には、発電機41に電力を供給することによって発電機41を原動機として動かすことによりスタータとして用いる。エンジン42の始動後、PCU81は、発電機41において効率良く発電が行われるように、予め設定された負荷及び回転数でエンジン42を運転する。発電機41が発電をしている時に、エンジン42は高負荷・高回転で運転される。PCU81は、バッテリ22のSOCが所定値を維持するようにエンジン42を運転する。
【0047】
レンジエクステンダ装置4を搭載した電気自動車1においては、バッテリ22のSOCが所定値にまで低下して初めてエンジン42が始動して発電を開始する(前記発電運転モードを実行する)。電気自動車1において、エンジン42の始動頻度は比較的低い。エンジン42の始動頻度が低いため、エンジン42の始動は冷間始動となりやすくかつ、エンジン42の始動時に、ほとんどの場合、触媒装置7は未活性状態である。そのため、エンジン42の始動時に、大気中に排出されるエミッション量が増えてしまう虞がある。
【0048】
そこで、このレンジエクステンダ装置4を搭載した電気自動車1では、エンジン42の始動時におけるエミッションの排出を抑制するように構成されている。PCU81が実行をする、エンジン42の始動時の制御について、図5に示すタイムチャートを参照しながら説明をする。
【0049】
時刻T0でエンジン42の始動フラグのオフからオンになったとする。つまり、バッテリ22のSOCが所定値にまで低下したときに始動フラグがオンになる。始動フラグがオンになると、発電機41が発電を開始するために、エンジン42を始動する。
【0050】
エンジン42を始動する際には、初期モードを実行する。初期モードは、主に前段触媒部71を活性化させることを目的としたモードである。初期モードにおいて、PCU81は、EHC73をオンにし、それによってEHC73に隣接する前段触媒部71を加熱する。このときに、前段触媒部71を効率的に加熱するために、PCU81は、発電機41に電力を供給する。発電機41を原動機として動かすことによって、エンジン42をモータリングする。つまり、エンジン42において燃焼を行わずにエンジン42を空転させる。エンジン42をモータリングするときにも、エンジン42の通常の運転時と同様に、PCU81はMOP426を駆動し、ロータリーピストンエンジン内のシール面にメタリングオイルを供給する。
【0051】
発電機41は、図2に矢印で示すように、エンジン42を逆回転方向にモータリングする。PCU81はさらに、スロットル弁423及び排気シャッター弁424をそれぞれ全閉にしかつ、EGR弁425を全開にする。これにより、エンジン42から、吸気通路5、EGR通路60、及び、排気通路6を経てエンジン42に戻る閉じた経路が構成される。こうして、図2に矢印で示すように、初期モードにおいては、エンジン42の吸気側から吸気通路5、EGR通路60、EHC73、前段触媒部71、及び排気通路6を経てエンジン42に戻るようにガスが循環する。このガス流れによって、EHC73の熱が効率良く前段触媒部71に送られ、前段触媒部71が速やかに昇温する。また、ガス流れは、閉じた経路内を循環しているため、ガスの温度が次第に高まり、前段触媒部71は速やかに昇温する。前段触媒部71は、活性化に至る。
【0052】
ここで、エンジン42内には、モータリング中にメタリングオイルが供給されているため、エンジン42から吸気通路に排出されるガスには、比較的多量のオイルミストが含まれている。ガス中のオイルミストは、吸気通路5の壁面等に付着したり、吸気通路5に設けた貯留部51に溜まったりする。吸気通路5の壁面等に付着したオイルは、エンジン42を運転するときに、吸気と共にエンジン42内に導入される。また、貯留部51に溜まったオイルは、オイル管53を通じてブローバイシステムに送られる。こうして、モータリング中のガスの流れを逆方向に循環させることによって、エンジン42内のオイルミストが、触媒装置7に進入することを抑制することが可能になる。これは、触媒装置7の劣化を抑制する上で有利である。
【0053】
また、初期モードを実行している最中に、PCU81は、吸気管圧力センサ87からの検知信号に基づいて、吸気通路5内のガスの温度が初期モードの実行前に比べて高くなったか否かを判定する。この判定はEHC73の故障判定に係る。例えば、初期モードを開始してから所定時間が経過したときの、ガスの温度上昇量が予め設定したしきい値以上であれば、EHC73が正常に動作していると判定し、ガスの温度上昇量がしきい値未満であればEHC73が正常に動作をしていないと判定する。PCU81は、EHC73が正常に動作をしていないと判定したときには、図示は省略するが、例えばメータークラスターパネルに設けた警告ランプを点灯させる。
【0054】
時刻T1において、PCU81は、エンジン42を始動させる。このときに、エンジン42は、発電機41によって逆回転方向にモータリングされているため、PCU81は先ず、発電機41によって、エンジン42を正回転方向に回転させるようにする。そうした上でインジェクタ421による燃料噴射を開始し、所定のタイミングで点火プラグ422を駆動する。こうすることで、エンジン42をスムースにかつ、確実に始動することが可能になる。PCU81はまた、エンジン42を始動するときに、スロットル弁423及び排気シャッター弁424をそれぞれ開弁すると共に、EGR弁425を閉弁する。さらに、PCU81は、EHC73をオフにする。時刻T1において初期モードが終了し、後述する暖機モードが開始する。
【0055】
時刻T1では、前段触媒部71の温度が活性温度に到達している。初期モードの継続時間(つまり、T1−T0)を予め設定しておき、PCU81は、タイマーにより、予め設定した初期モードの継続時間が経過したときに、初期モードを終了し、暖機モードを開始するようにしてもよい。初期モードの継続時間は、EHC73の容量、及び/又は、初期モードにおけるEHC73の運転状態(つまり、EHC73への供給電力)に応じて適宜設定すればよい。初期モードの継続時間は、例えば十秒程度から数十秒程度に設定してもよい。発電機41はスタータとして機能する。また、PCU81は、触媒装置7の温度状態の検知に基づいて、初期モードを終了し、暖機モードを開始するようにしてもよい。
【0056】
エンジン42の始動後の暖機モードにおいて、PCU81は、エンジン42を低負荷・低回転で運転させる。このときのエンジン42の出力は、後述する発電機41が実質的に発電をするときの発電駆動力よりも低くする。暖機モードでは、発電機41による発電を所定の発電量よりも低くして、触媒装置7、特に後段触媒部72の活性化を図る。始動後のエンジン42から排出される高温の排気ガスが前段触媒部71及び後段触媒部72に送られるため、前段触媒部71及び後段触媒部72の温度が次第に高まる。暖機モードにおいては、前段触媒部71が活性化していると共に、エンジン42の出力も低いため、エミッション性能の悪化を防止しつつ、後段触媒部72の活性化が図られる。
【0057】
暖機モードにおけるエンジン42の運転状態として、負荷に関しては、エンジン42の負荷領域を、低負荷領域及び高負荷領域の2つの領域に等分したときの、低負荷領域において運転するようにしてもよい。回転数に関しては、エンジン42の回転数領域を、低回転領域、中回転領域及び高回転領域の3つの領域に等分したときの、低回転領域において運転するようにしてもよい。回転数に関しては、エンジン42の回転数領域を、低回転領域及び高回転領域の2つの領域に等分したときの、低回転領域において運転するようにしてもよい。エンジン42は、例えば1200〜1800rpmで運転してもよい。
【0058】
そうして、時刻T2で、PCU81は、暖機モードを終了しかつ、発電運転モードを開始する。時刻T2では、後段触媒部72の温度が活性温度に到達している。暖機モードの継続時間(つまり、T2−T1)を予め設定しておき、PCU81は、タイマーにより、予め設定した暖機モードの継続時間が経過したときに、暖機モードを終了し、発電運転モードを開始するようにしてもよい。暖機モードの継続時間は、暖機モードにおけるエンジン42の運転状態に応じて適宜設定すればよい。暖機モードの継続時間は、例えば十秒程度から数十秒程度に設定してもよい。また、PCU81は、触媒装置7の温度状態の検知に基づいて、暖機モードを終了し、発電運転モードを開始するようにしてもよい。
【0059】
発電運転モードは、発電機41が所定の(実質的な)発電を行うモードである。PCU81は、エンジン42の運転状態を、低負荷・低回転から、高負荷・高回転に変更する。エンジン42の出力が暖機モード時よりも高まって発電駆動力(例えば、10〜30KWの発電を行う発電駆動力)となり、発電機41において効率的に発電が行われる。前段触媒部71及び後段触媒部72が共に、活性状態であるため、エンジン42を高負荷・高回転で運転をしても、エミッション性能が悪化しない。
【0060】
発電運転モードにおけるエンジン42の運転状態として、負荷に関しては、エンジン42の負荷領域を、低負荷領域及び高負荷領域の2つの領域に等分したときの、高負荷領域において運転するようにしてもよい。エンジン42を全負荷状態で運転してもよい。回転数に関しては、エンジン42の回転数領域を、低回転領域及び高回転領域の2つの領域に等分したときの、高回転領域において運転するようにしてもよい。エンジン42は、例えば4000〜5000rpmで運転してもよい。エンジン42を定格回転数で運転してもよい。エンジン42の最高出力時に効率的に発電が行われるように、発電機41及びエンジン42の特性をそれぞれ設定してもよい。
【0061】
暖機モードから発電運転モードへ切り替えた直後において、PCU81は、浄化率センサ85の検知信号に基づく触媒装置7の浄化率を考慮しながら、エンジン42の出力を次第に高める。図4の例では、時刻T3までは、暖機モード時のエンジン出力よりも高くかつ、時刻T3以降の、前述した高負荷・高回転でのエンジン出力よりも低くなるように、エンジン42を運転する。こうすることで、エミッション性能の悪化が防止される。時刻T2から時刻T3までの間においても、発電機41は発電を行う。但し、時刻T3以降と比べて、発電機41の発電能力は低くなる。尚、触媒装置7の浄化率の検知に基づくのではなく、予め期間(T3−T2)を設定しておき、タイマーを用いて、設定した期間が経過するまではエンジン出力を相対的に低くし、設定した期間が経過すればエンジン出力を高めるようにしてもよい。
【0062】
(レンジエクステンダ装置の変形例)
図6は、レンジエクステンダ装置4の、図2とは異なる構成例を示している。図6のレンジエクステンダ装置4は、EGR通路60の構成が相違する。具体的にEGR通路60は、その他端が排気通路6において、後段触媒部72の下流に接続されている。
【0063】
この構成例のレンジエクステンダ装置4においても、図5に示すタイムチャートに従って、エンジン42の始動時の制御が行われる。つまり、初期モードにおいては、発電機41がエンジン42を逆回転方向にモータリングする。それによって、エンジン42の吸気側から吸気通路5、EGR通路60、後段触媒部72、EHC73、前段触媒部71、及び排気通路6を経てエンジン42に戻るようにガスが循環する。
【0064】
(まとめ)
以上説明したように、ここに開示する発電機駆動用エンジン搭載の自動車(つまり、レンジエクステンダ装置4を搭載した電気自動車1)は、自動車に搭載されかつ、走行用の電力を発電するよう構成された発電機41と、前記発電機41に連結されかつ、前記発電機41を駆動するよう構成されたエンジン42と、前記エンジン42の排気通路6に設けられかつ、前記エンジン42の運転時に前記エンジン42から排出された排気ガスを浄化するよう構成された触媒装置7と、前記排気通路6に配設されかつ、前記触媒装置7を加熱するよう構成された電気ヒータ(つまり、EHC73)と、前記エンジン42を始動することによって前記発電機41が発電を開始するときに、前記EHC73を運転することによって、前記触媒装置7の活性化を図る初期モードを実行し、その後、前記エンジン42を運転することによって前記発電機41を運転する発電運転モードを実行するよう構成された制御部(つまり、PCM81)と、を備える。
【0065】
前記EHC73は、前記触媒装置7の下流に配設され、前記発電機41は、前記エンジン42を駆動するよう構成される。前記自動車は、前記エンジン42の吸気通路5と前記排気通路6とを互いに接続する接続通路(つまり、EGR通路60)と、前記EGR通路60を流れるガス流量を調整する調整弁(つまり、スロットル弁423、排気シャッター弁424、及び、EGR弁425)と、をさらに備える。
【0066】
そして、前記PCM81は、前記初期モードにおいて、前記EHC73を運転すると共に、前記スロットル弁423、排気シャッター弁424、及び、EGR弁425によって前記EGR通路60を流れるガス流量を調整しながら、前記発電機41によって前記エンジン42を逆回転方向にモータリングさせる。
【0067】
この構成により、初期モードでは、エンジン42を運転しないため、エミッション性能の悪化が防止される。初期モードでは、エンジン42から、吸気通路5、EGR通路60、及び排気通路6を通ってエンジン42に戻るようにガスが循環する。ガスを循環させることによって、触媒装置7を効率的に昇温することが可能になり、触媒装置7を早期に活性化させることが可能になる。
【0068】
さらに、初期モードにおけるガスの循環流れを、エンジン42の通常運転時とは逆方向にすることで、エンジン42をモータリングしている最中に、エンジン42内で浮遊するオイルミストは、吸気通路5側に排出される。これにより、触媒装置7にオイルミストが進入することが抑制され、触媒装置7の劣化を防止することが可能になる。
【0069】
特に、前記エンジン42は、メタリングオイルが前記エンジン42内のシール面に供給されるよう構成されたロータリーピストンエンジンであるため、初期モードのモータリング時にも、エンジン42内のシール面にメタリングオイルを供給する必要がある。初期モードにおいてロータリーピストンエンジンをモータリングするときの、エンジン内のオイルミスト量は、レシプロエンジンよりも多くなる。従って、初期モードにおけるモータリング時に、ロータリーピストンエンジンを逆回転方向にモータリングすることは、触媒装置7にオイルミストが進入することを防止する上で特に有効である。
【0070】
初期モードにおいて触媒装置7の活性化を図った後、エンジン42を運転しかつ、発電機を運転する発電運転モードを実行する。発電運転モードでは、触媒装置7の浄化率が高まっているため、エンジン42を運転してもエミッション性能の悪化が防止される。
【0071】
こうして、レンジエクステンダ電気自動車において、エンジン42を始動して発電機41の発電を開始する際に、エミッション性能の悪化が防止される。また、発電機41による発電を速やかに開始することが可能になる。
【0072】
前記吸気通路5には、当該吸気通路5を流れるガスの温度を検知する温度センサ(つまり、吸気管圧力センサ87)が配設され、前記PCM81は、前記初期モードの実行中に、前記吸気管圧力センサ87の検知結果に基づいて、前記EHC73の故障を判定する。
【0073】
これにより、エンジン42を始動する前の初期モードの実行中に、排気エミッション性能に関係するEHC73の故障判定が可能になる。尚、吸気通路5を流れるガスの温度を検知するセンサは、吸気管圧力センサ87を利用することに限らず、その他のセンサを利用するようにしてもよい。また、初期モードの実行中に、吸気通路5を流れるガスの温度を検知する温度センサを、別途、取り付けるようにしてもよい。
【0074】
前記触媒装置7は、前段触媒部71と、前記前段触媒部71よりも下流に配設された後段触媒部72とを有し、前記EHC73は、前記前段触媒部71と前記後段触媒部72との間に配設されており、前記PCM81は、前記初期モードにおいて前記前段触媒部71が活性状態に至った後、前記発電運転モードを実行する。
【0075】
EHC73を、前段触媒部71と後段触媒部72との間に配設することにより、初期モードにおけるガスの循環流れにおいて、EHC73の直上流となる前段触媒部71を早期に活性化させることが可能になる。
【0076】
そうして、前段触媒部71が活性状態になった後に、エンジン42を運転する発電運転モードを実行することにより、エミッション性能の悪化が抑制される。また、発電機41による発電を速やかに開始することが可能になる。
【0077】
前記EGR通路60は、図2に示す構成例では、前記排気通路6における前記前段触媒部71と前記後段触媒部72との間に接続されている。こうすることで、初期モードにおいては、前段触媒部71を含めてガスが循環するようになるから、前段触媒部71の活性化が図られる。この構成は、初期モードにおいてガスが循環する経路長が相対的に短くなるため、前段触媒部71を効率的に活性化させることが可能になる。その結果、初期モードの時間を短くすることが可能になる。これは、EHC73を小型化する上で有利になる。
【0078】
尚、図2に示す構成例では、初期モードにおいてガスを循環させるときに、排気シャッター弁424を閉弁しなくても、後段触媒部72の抵抗によって排気通路6の下流側が閉じた状態と同じになるならば、排気シャッター弁424を省略することも可能である。
【0079】
前記EGR通路60は、図6に示す構成例では、前記排気通路6における前記後段触媒部72よりも下流に接続されている。こうすることで、初期モードにおいては、後段触媒部72及び前段触媒部71を含めてガスが循環するようになるから、後段触媒部72及び前段触媒部71それぞれの活性化が図られる。また、エンジン42の通常運転時に、EGR通路60を通じて排気ガスを吸気通路5に還流させるときには、より一層温度が低下した排気ガスを吸気通路5に還流させることが可能になる。これは、燃焼温度を低下させる上で有利になる。
【0080】
前記吸気通路5において、前記エンジン42の気筒入口と前記EGR通路60の接続部分との間には、オイルミストを貯める貯留部51が設けられている。
【0081】
こうすることで、吸気通路5側に排出されたオイルミストが、EGR通路60から排気通路6に至り、EHC73及び/又は触媒装置7に進入することが防止される。
【0082】
前記PCM81は、前記発電運転モードを開始するときに、前記発電機41によって前記エンジン42を正回転方向にモータリングした後に、前記エンジン42への燃料供給を開始する。こうすることで、エンジン42が逆回転方向にモータリングしている状態から、エンジン42をスムースかつ、確実に始動させることが可能になる。
【0083】
ここで、暖機モードでは、発電機41が殆ど発電しない程度の発電(例えば、1KW程度の発電)を行ってもよい。また、暖機モードを省略するようにしてもよい。つまり、初期モードにおいて前段触媒部71が活性化すれば、発電運転モードを実行してもよい。この場合は、エンジン42の出力を、発電運転モードにおいて設定されたエンジン出力よりも低い出力から、次第に高めるようにすることで、発電機41による発電を、徐々に開始するようにしてもよい。
【0084】
さらに、前記の構成では、触媒装置7は、前段触媒部71と、後段触媒部72との2つの触媒部を有しているが、触媒部は1つであってもよい。
【0085】
前記の構成では、吸気通路5と排気通路6とを接続する接続通路として、EGR通路60を利用しているが、EGR通路とは別に、接続通路を設けてもよい。また、EGR通路60を有しないエンジンシステムにおいては接続通路のみを設けてもよい。さらに、EGR通路60には、EGRクーラーを介設してもよい。
【0086】
加えて、前記の構成ではエンジン42をロータリーピストンエンジンとしているが、レシプロエンジンであってもよい。
【0087】
ここに開示する技術は、レンジエクステンダ装置を搭載した電気自動車1に適用することに限らず、いわゆるプラグインハイブリッド自動車に適用することも可能である。つまり、バッテリのSOCが低下したときに初めて、発電機41が発電を開始するためにエンジン42が始動する自動車では、エンジン42の始動時には、触媒装置7が未活性であることが多い。ここに開示する技術は、エンジン42の始動時に、エミッション性能の悪化を防止することができるから、プラグインハイブリッド自動車にも適している。
【符号の説明】
【0088】
1 電気自動車(自動車)
21 モータ(走行用モータ)
22 バッテリ
41 発電機
42 エンジン
6 排気通路
7 触媒装置
71 前段触媒部
72 後段触媒部
73 EHC(電気ヒータ)
81 PCU(制御部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6