(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について、画像処理装置として文書やファイルや画像等の文書データをインターネット上のクラウドサービス(サーバコンピュータ)からダウンロードして画像処理の一つの処理である印刷を行う複合機を例にとり説明する。但し、本発明の画像処理装置は、このような複合機に限定されると解釈されるべきでなく、インターネット上のクラウドサービスを利用して文書、ファイル、画像その他の文書データを印刷できる任意の端末に適用し得る。
【0015】
<基本構成>
図1に、本実施形態のシステム構成図を示す。画像処理装置としての複合機10は、インターネット12を介してクラウドサービス100に接続される。なお、本実施形態における「クラウド」は、インターネット上に存在するコンピュータ群を意味し、特にインターネット上のサーバコンピュータを意味するものとする。
【0016】
複合機10は、書類をスキャンする機能、スキャンして得られた画像データをインターネット12を介してクラウドサービス100上の文書管理サーバに転送する機能、クラウドサービス100上の文書管理サーバから画像データをダウンロードする機能、画像データを閲覧/印刷する機能の各種機能を有する。本実施形態では、複合機10で所望の画像データをクラウドサービス100上の文書管理サーバからダウンロードして印刷する場合の一連の処理について説明する。
【0017】
図2に、複合機10の構成ブロック図を示す。複合機10は、スキャナ14、操作パネル16、CPU18、RAM20、記憶装置22、通信I/F(インタフェース)24、印刷部26及びバス28を有する。複合機10は、CPU18、RAM20、記憶装置22を備え、記憶装置22に記憶されたプログラムを読み込んで実行することで各種機能を実現するので、コンピュータ、特にクライアントコンピュータとして把握し得る。
【0018】
スキャナ14は、文書をスキャンして画像データとし、RAM22に記憶する。画像データの形式は任意であるが、例えばPDF形式とする。
【0019】
操作パネル16は、ユーザがスキャナ14で文書をスキャンする際の各種パラメータを設定する。また、ユーザがスキャンした画像データをクラウドサービス100上に転送(アップロード)する際の各種設定を行う。さらに、ユーザがクラウドサービス100上に保管された文書を閲覧/印刷する際の各種設定を行う。
【0020】
記憶装置22は、処理プログラムを記憶する。RAM20は、ワーキングメモリとして、スキャンした画像データやクラウドサービス100からダウンロードした画像データを記憶する。また、後述するように作成された印刷情報ファイルを一時的に記憶する。
【0021】
CPU18は、記憶装置22に記憶された処理プログラムを読み込んで実行し、処理プログラムに従って複合機10の各部の動作を制御する。具体的には、CPU18は、操作パネル16で設定されたパラメータに従い、スキャナ14の動作を制御して文書を設定されたパラメータでスキャンし、画像データとしてRAM20に記憶する。また、CPU18は、操作パネル16で設定された要求に従って、通信I/F24を介してクラウドサービス100にアクセスし、RAM20に記憶された画像データをクラウドサービス100上の文書管理サーバに転送する。また、CPU18は、操作パネル16で設定された要求に従ってクラウドサービス100上の文書管理サーバに保存されている画像データをダウンロードし、操作パネル16に表示して閲覧を可能とするとともに、ダウンロードした画像データを印刷部26に供給して文書50として印刷する。さらに、CPU18は、文書50を印刷した後に、文書50の印刷に関する情報を印刷情報として作成し、印刷情報ファイルを自動的に通信I/F24を介してクラウドサービス100上の文書管理サーバに転送する。
【0022】
本実施形態では、このように、複合機10のCPU18が、画像データをクラウドサービス100上の文書管理サーバからダウンロードして印刷した後に、自動的に印刷情報ファイルを作成してクラウドサービス100上の文書管理サーバに転送することを特徴の一つとする。転送された印刷情報ファイルは、クラウドサービス100上の文書管理サーバに画像データに関連付けて記憶される。なお、本実施形態における「関連付け」は、いわゆるリンクによって画像データと印刷情報ファイルが結び付けられている他、いずれか一方に他方のファイルにアクセスするために必要な何らかのデータが記述されている場合も含む意である。具体的には、画像データに印刷情報ファイル用のタグが記述されている、あるいは印刷情報ファイルに画像データ用のタグが記述されている等である。
【0023】
図3に、複合機10での文書50の印刷処理の一連の流れを模式的に示す。まず、複合機10は、ユーザからの要求に従ってクラウドサービス100上の文書管理サーバにアクセスし、文書管理サーバが保存管理する各種画像データのうち、所望の文書50を選択してダウンロードする。そして、複合機10は、ユーザからの要求に従ってダウンロードした文書50を印刷部26で印刷する。印刷する際には、ユーザは複合機10の提供する設定用メニューを用いてカラーやサイズ、印刷部数、Nアップ等を印刷条件として設定する。
【0024】
文書50を印刷後、複合機10は、文書50の印刷に関する情報を印刷情報ファイル52として自動的に作成し、作成した印刷情報ファイル52をクラウドサービス100上の文書管理サーバに転送する。転送する文書管理サーバは、好適には文書50を保存する文書管理サーバと同一サーバであるが、これに限定されるわけではない。印刷情報ファイル52は、文書50の印刷情報を記述したファイルであり、印刷情報ファイル52は文書50に関連付けて記憶される。
【0025】
印刷情報ファイル52は、文書50と別ファイルでXMLファイルとして文書50と関連付けられる。あるいは、印刷情報ファイル52を文書50のタグ形式で生成して文書管理サーバに保存することもできる。印刷情報ファイル52は、クラウドサービス100が提供する任意の形式に合致した形式で作成され、クラウドサービス100上の文書管理サーバに転送される。印刷情報ファイル52は、文書50の属性を記述するファイルであり、メタ情報として位置付けることができる。
【0026】
印刷情報ファイル52には、印刷ジョブに関連する少なくとも以下の情報が記述される。
(1)ファイル情報
印刷した文書50の形式、サイズ、作成者、ページ数等。
(2)印刷履歴
印刷した文書50の印刷日時、印刷したユーザ情報、印刷したデバイス情報、印刷回数等。
(3)印刷パラメータ
印刷した文書50の印刷条件であり、カラー/白黒、サイズ、Nアップ等。
【0027】
印刷情報ファイル52は、クラウドサービス100上の文書管理サーバにおいて文書50に関連付けされているので、複合機10あるいは他の複合機でクラウドサービス100にアクセスして文書50を閲覧・印刷する際に、文書50と共にその印刷情報ファイル52も閲覧できる。従って、複合機10あるいは他の複合機で文書50を再度印刷する際に、その印刷情報ファイル52を参照することで印刷履歴や印刷パラメータを認識でき、ユーザは必要であれば前回と同様の印刷条件で印刷し得る。例えば、文書50を印刷したが、その後に追加で文書50をもう一部印刷する必要が生じた場合に、前回と全く同一の条件で印刷する等である。
【0028】
印刷情報ファイル52は、クラウドサービス100上の文書管理サーバに保存されているため、複合機10側、あるいは複合機10とLANで接続されたプリントサーバ等の記憶装置に保存しておく必要がない。また、印刷情報ファイル52の形式は任意であり、クラウドサービス100が提供している任意の形式で作成して文書50のメタ情報として文書50に関連付ければよいため、クラウドサービス100がプリント管理に特化した機能を有している必要もない。さらに、文書50を印刷した複合機10のみならず、クラウドサービス100にアクセスし得る他の複合機も、印刷情報ファイル52を利用して文書50の印刷を実行できる。
【0029】
次に、本実施形態における印刷時の処理について、より詳細に説明する。
【0030】
図4及び
図5に、本実施形態の処理フローチャートを示す。主に複合機10のCPU18で実行される処理である。
図4は、1回目に文書50を印刷する場合の処理であり、
図5は2回目以降に文書50を印刷する場合の処理である。また、以下の説明では画像データを適宜ファイルとして説明する。
【0031】
まず、
図4において、複合機10でクラウドアクセスサービスを起動する(S101)。すなわち、CPU18は、通信I/F24を介してクラウドサービス100上の文書管理サーバにアクセスし、当該文書管理サーバが提供する文書管理サービスを利用するために必要なログイン処理(ユーザID入力やパスワード入力によるユーザ認証を含む)を実行する。
【0032】
次に、CPU18は、クラウドアクセスサービスのファイル一覧を表示する(S102)。すなわち、クラウドサービス100の文書管理サーバに保存されているファイルの一覧データをダウンロードして操作パネル16に表示する。
【0033】
ユーザは、複合機10の操作パネル16に表示されたファイル一覧を視認して、印刷を希望するファイルを選択する(S103)。また、ユーザは、操作パネル16を操作して選択したファイルを印刷する際の印刷条件を印刷パラメータ(プリントパラメータ)として設定する(S104)。印刷パラメータは、既述したように、カラーやサイズ、Nアップ等であり、設定された印刷条件はRAM20に記憶される。CPU18は、ユーザにより選択されたファイルをクラウドサービス100上の文書管理サーバからダウンロードしてRAM20に記憶し、その後、印刷部26に供給して印刷する(S105)。印刷部26での印刷は、ユーザにより設定されRAM20に記憶された印刷パラメータに従って実行される。
【0034】
印刷部26での印刷が終了した後、CPU18は、印刷したファイルの印刷情報ファイルを作成し、通信I/F24を介してクラウドサービス100上の文書管理サーバに転送(アップロード)する(S106)。印刷情報ファイルには、印刷したファイルのファイル情報、印刷履歴、印刷パラメータが含まれる。印刷パラメータは、RAM20に記憶された印刷条件である。印刷履歴には、印刷日時、印刷したユーザ、印刷した複合機10の情報が含まれる。印刷したユーザは、クラウドサービス100が提供する文書管理サービスにログインする際のユーザIDや氏名が用いられる。印刷した複合機10の情報は、複合機10のIDやIPアドレスが用いられる。CPU18は、印刷情報ファイル52を自動的に作成してRAM20に記憶し、その後、クラウドサービス100に転送する。印刷情報ファイル52は、例えばXMLファイルとして作成され、印刷対象のファイルに関連付けられる。CPU18は、クラウドサービス100に転送した後、複合機10上に印刷情報ファイルを保存しておく必要がないのでRAM20から削除する。クラウドサービス100上の文書管理サーバは、複合機10から転送された印刷情報ファイルを記憶する。
【0035】
以上のようにして、所望のファイルを印刷すると、このファイルに関連付けされた印刷情報ファイルが自動的に作成されてクラウドサービス100上の文書管理サーバに保存される。複合機10やプリントサーバには、印刷情報ファイルは存在していない点に留意されたい。
【0036】
次に、
図5において、同様に複合機10あるいは他の複合機でクラウドアクセスサービスを起動する(S201)。そして、クラウドアクセスサービスのファイル一覧を操作パネル16に表示する(S202)。このとき、CPU18は、ファイルに関連付けされた印刷情報ファイル52が存在すれば、ファイルとともに併せて印刷情報ファイル52も表示する。この印刷情報ファイル52が表示されたことをもって、ユーザは、当該ファイルが過去に印刷された事実を認識できる。印刷情報ファイル52は、ファイルを印刷した後に自動的に作成されるからである。逆に、印刷情報ファイル52が表示されていないファイルについては、未だ印刷されていない事実を認識できる。
【0037】
例えば、Aファイル、Bファイル、Cファイルが操作パネル16に一覧表示され、Aファイルとともにその印刷情報ファイル52が表示された場合、ユーザは、Aファイルは過去に印刷されたことがあり、そのときの印刷履歴や印刷パラメータが保存されていることを認識できる。同様に、Bファイル及びCファイルについては、未だ印刷されたことがなく、印刷履歴や印刷パラメータも存在しないことを認識できる。
【0038】
次に、ユーザは、印刷を希望するファイルを選択する。この際、選択したファイルに印刷情報ファイル52が存在していれば、ユーザは併せて印刷情報ファイル52を選択することができる(S203)。CPU18は、選択されたファイルをクラウドサービス100上の文書管理サーバからダウンロードするとともに、ユーザによる選択に応じてその印刷情報ファイル52をダウンロードする。CPU18は、ダウンロードしたファイルを印刷部26に供給する。また、ダウンロードした印刷情報ファイル52に含まれる印刷パラメータを抽出して印刷部26に供給する。印刷部26は、ダウンロードしたファイルを印刷する際に、抽出された印刷パラメータを用いて印刷する(S204)。
【0039】
一方、たとえファイルに印刷情報ファイル52が存在していたとしても、ユーザはこの印刷情報ファイル52を無視してもよい。この場合、ユーザは印刷情報ファイル52の印刷パラメータを用いることなく、新たに印刷条件を操作パネル16から設定して印刷する。
【0040】
印刷部26での印刷が終了した後、CPU18は、
図4のS106と同様に、印刷したファイルの印刷情報ファイル52を作成し、通信I/F24を介してクラウドサービス100上の文書管理サーバに転送(アップロード)する(S205)。なお、印刷したファイルの印刷情報ファイル52が既に存在する場合には、新たに印刷情報ファイル52を作成する他に、既に存在する印刷情報ファイル52を書き換える、あるいは更新することで作成してもよい。例えば、S203でユーザが印刷情報ファイル52を選択した場合、当該印刷情報ファイル52はクラウドサービス100上の文書管理サーバからダウンロードされてRAM20に記憶されているから、CPU18はこれをRAM20から読み出し、印刷情報ファイル52のうち、印刷履歴を更新して新たな印刷情報ファイル52を作成する。なお、印刷情報ファイル52の印刷パラメータと異なる印刷パラメータで印刷が実行された場合、印刷パラメータも併せて更新して新たな印刷情報ファイル52を作成する。もちろん、印刷パラメータを上書きして更新する他、並列的に追記して更新してもよい。新たな印刷情報ファイル52を作成してクラウドサービス100に転送した後、CPU18は印刷情報ファイル52をRAM20から削除する。
【0041】
図6に、
図5におけるS202の処理を示す、操作パネル16に表示される画面例である。操作パネル16には、クラウドサービス100上の文書管理サーバに保存されているファイルの一覧60が表示される。このファイルは、クラウドサービス100の文書管理サービスにログインしたユーザに関連するファイルであり、図では3つのファイルがリスト形式で表示されている。
【0042】
表示された3つのファイルのうち、「領収書ABC」なるファイルには、特定のアイコン62が表示される。このアイコン62は、印刷情報ファイル52が存在することを示すアイコンであり、「領収書ABC」なるファイルには、このファイルに関連付けされた印刷情報ファイル52が存在することを意味する。ユーザがこのアイコン62を操作すると、CPU18はクラウドサービス100からダウンロードした印刷情報ファイル52を操作パネル16に表示してその詳細情報を表示する。また、各ファイル名の先頭には選択ボタン66が表示され、ユーザがファイルを選択する際には所望のファイルの先頭の選択ボタン66を操作する。図では、ユーザにより「領収書ABC」なるファイルが選択されたことを示す。また、画面下には各種操作を行うための操作ボタンが表示され、「プリント」ボタン64を操作すると、選択したファイルの印刷がCPU18に指示される。
【0043】
操作パネル16を使用した具体的手順は以下の通りである。すなわち、ユーザはまずファイル一覧60から印刷を希望するファイルを選択し、選択ボタン66を操作する。次に、アイコン62を操作して印刷情報ファイル52の詳細を確認する。印刷情報ファイルには印刷パラメータが含まれており、ユーザはこの印刷パラメータを確認する。次に、プリントボタン64を操作して選択したファイルの印刷を指示する。印刷情報ファイル52に含まれる印刷パラメータはCPU18から印刷部26に供給され、印刷パラメータに従った印刷が実行される。
【0044】
あるいは、ユーザがプリントボタン64を操作すると、CPU18は、印刷情報ファイル52に含まれる印刷パラメータ通りに印刷するか否かを問い合わせるメッセージを操作パネル16に表示してユーザに確認する。ユーザがメッセージに対して肯定的である場合、印刷パラメータ通りに印刷する。ユーザがメッセージに対して否定的である場合、印刷パラメータを表示してユーザに適宜修正させる。例えば、印刷パラメータにおいてサイズがA4である場合において、ユーザがA4ではなくB5での印刷を希望する場合、ユーザは印刷パラメータのA4をB5に修正する。CPU18は、修正後の印刷パラメータを印刷部26に供給して印刷を実行する。
【0045】
本実施形態では、ファイルを印刷した後に、その印刷に関する印刷情報ファイル52を作成してクラウドサービス100に転送しているが、ファイルをクラウドサービス100に保存する際に、後のタイミングにおける印刷を想定して印刷情報ファイル52を作成してクラウドサービス100に転送することもできる。
【0046】
図7及び
図8に、印刷情報ファイル52を印刷に先立ってクラウドサービス100に転送する場合の処理フローチャートを示す。
図7は、1回目の処理であり、
図8は2回目以降の処理である。
【0047】
まず、
図7において、クラウドアクセスサービスにアクセスする(S301)。すなわち、クラウドサービス100上の文書管理サーバにアクセスし、当該文書管理サーバが提供する文書管理サービスを利用するために必要なログイン等の処理を実行する。
【0048】
次に、操作パネル16でスキャンサービスを選択し(S302)、印刷情報追加ボタンを操作する(S303)。スキャンサービスの選択については、
図6の操作パネル16の画面を参照されたい。画面下部に表示された「スキャン」がスキャンサービスに相当する。また、印刷情報追加ボタンは、スキャンした文書とともに、その印刷情報ファイル52をクラウドサービス100上に保存する場合に選択するボタンである。印刷情報追加ボタンを操作すると、操作パネル16に印刷条件を設定するメニューが表示され、ユーザはメニューを用いて印刷パラメータを設定する(S304)。CPU18は、設定された印刷パラメータを用いて、スキャンする文書のファイルに関連付けされた印刷情報ファイル52を作成し、RAM20に記憶する。なお、未だ印刷されていないため、この場合の印刷情報ファイル52には印刷履歴は存在しない。
【0049】
印刷パラメータを設定した後、ユーザがスキャンボタンを操作すると、CPU18は、スキャナ14を起動し、文書をスキャンして電子データに変換し、通信I/F24を介してクラウドサービス100上の文書管理サーバに転送する(S305)。また、RAM20に記憶された、当該スキャンして得られたファイルに関連付けされた印刷情報ファイル52を読み出して同様にクラウドサービス100上の文書管理サーバに転送する(S306)。以上のようにして、スキャンした文書のクラウドサービス100へのアップロード及びこのファイルに関連付けされた印刷情報ファイル52のアップロードが完了する。
【0050】
次に、
図8において、クラウドアクセスサービスにアクセスすると(S401)、CPU18は、操作パネル16にクラウドサービス100からダウンロードしたクラウドアクセスサービスのファイル一覧を表示する(S402)。表示されたファイル一覧の中に、印刷情報ファイル52が存在しているファイルについては、その旨が表示される。ユーザが印刷を希望するファイルを選択し(S403)、その印刷情報ファイル52を選択すると、CPU18は、選択されたファイル及び印刷情報ファイル52をクラウドサービス100からダウンロードして印刷部26に供給し、印刷する(S404)。印刷の際には、印刷情報ファイル52から印刷パラメータを抽出し、この印刷パラメータに従って印刷する。印刷後、CPU18は、印刷情報ファイル52を新たに作成してクラウドサービス100に転送する(S405)。
【0051】
図9に、
図8におけるS402の処理を示す、操作パネル16に表示される画面例である。操作パネル16には、クラウドサービス100上の文書管理サーバに保存されているファイルの一覧60が表示される。このファイルは、クラウドサービス100の文書管理サービスにログインしたユーザに関連するファイルであり、図では3つのファイルがリスト形式で表示されている。ファイルのうち、印刷情報ファイル52が存在する場合には、アイコン68が表示される。このアイコン68は、印刷情報ファイル52が存在することを示すアイコンであるが、
図6におけるアイコン62と異なるアイコンである。その理由は、アイコン62が印刷後に作成された印刷情報ファイル52を示すアイコンであるのに対し、アイコン68が印刷前に作成された印刷情報ファイル52を示すアイコンだからである。アイコン68はアイコン62と形状が同一で異なる色としてもよい。ユーザがアイコン68を操作すると、印刷情報ファイル52の詳細が表示される。すなわち、当該ファイルをスキャンしてクラウドサービス100に転送して保存した際の印刷パラメータが表示される。ユーザがファイルを選択し、印刷情報ファイル52を確認してプリントボタン64を操作すると、選択されたファイル及び印刷情報ファイル52のうちの印刷パラメータが印刷部26に供給され印刷される。なお、
図9には、スキャン時に操作するスキャンボタン70、及び印刷情報ファイル52を作成する際に操作する印刷情報追加ボタン72も併せて表示されている。
【0052】
このように、本実施形態では、画像データを印刷した後に、あるいは印刷前であって文書をスキャンしてクラウドサービス100に転送する際に、印刷情報ファイル52を作成して複合機10からクラウドサービス100に送信し、クラウドサービス100側に画像データに関連付けて保存するので、複合機10側あるいはプリントサーバ側に別途、印刷情報を保持しておく必要がない。また、クラウドサービス100側に印刷情報が保存されているので、複合機10あるいは他の複合機で画像データを印刷する際にも、その印刷情報に容易にアクセスして取得し、好適な条件で印刷を実行できる。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0054】
例えば、印刷情報ファイル52をタグとして画像データに関連付けてクラウドサービス100上の文書管理サーバに保存する場合、web上で視認できる可視化タグとする他、web上で視認できない隠しタグとしてもよい。すなわち、複合機10からアクセスした場合にタグの存在を確認できるものの、パーソナルコンピュータ等でアクセスした場合にタグが見えないように設定してもよい。
【0055】
また、印刷情報ファイル52を利用して画像データの処理を制御してもよい。具体的には、印刷情報ファイル52の印刷履歴に既に印刷されたことを示すデータがある場合、ファイルの一覧表示から除外してもよい。この処理は、クラウドサービス100側で実行してもよく、複合機10側で実行してもよい。クラウドサービス100側で実行する場合、複合機10からの要求に応じてファイル一覧データを複合機10側に返信する際に、印刷情報ファイル52を参照し、印刷履歴が存在するファイルについてはファイル一覧から除外して複合機10に返信する。複合機10側で実行する場合、印刷履歴が存在するファイルをファイル一覧から削除して操作パネル16に表示する。
【0056】
また、複合機10側で印刷情報ファイルに含まれる印刷履歴を参照し、印刷履歴に応じてファイル一覧を表示する際の表示順序を設定してもよい。具体的には、CPU18が印刷履歴の印刷回数が多い順にファイルを並べて操作パネル16に表示する等である。複合機10側で印刷履歴を用いた検索も可能である。例えば、ユーザが操作パネル16から「印刷履歴のないファイル」と検索条件を指定し、CPU18が印刷履歴のないファイルを検索して操作パネル16に表示する等である。
【0057】
また、印刷情報ファイルに、ファイル情報、印刷履歴、印刷パラメータに加え、印刷を禁止するデータを含めてもよい。印刷を禁止するデータには、全ての印刷を禁止する、印刷回数の上限を設定する、印刷を許可するユーザを設定する等を含めてもよい。印刷情報ファイル52に印刷を禁止するデータが含まれている場合、CPU18は、アイコン62あるいはアイコン68が操作された場合に操作パネル16にその旨を表示し、ユーザの注意を喚起する。
【0058】
また、印刷情報ファイル52を参照して、クラウドサービス100側で特定の処理を行ってもよい。例えば、印刷履歴を参照し、複合機10あるいは他の複合機で印刷が実行されたファイルを削除する等である。印刷情報ファイル52には、印刷履歴として印刷したユーザあるいは印刷した複合機のデータが含まれているから、特定のユーザが印刷した、あるいは特定の複合機で印刷された後に印刷対象のファイルを削除できる。
【0059】
また、本実施形態では
図5あるいは
図7に示すように、2回目以降でも新たに印刷情報ファイル52を作成してクラウドサービス100に転送しているが、既に印刷情報ファイル52が存在する場合には新たに印刷情報ファイルを作成しないで処理を終了してもよい。但し、既述したように、印刷履歴を更新する必要がある場合には、新たに印刷情報ファイル52を作成するのが望ましい。