特許第6278268号(P6278268)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6278268ローラミルシステム及びボイラーシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6278268
(24)【登録日】2018年1月26日
(45)【発行日】2018年2月14日
(54)【発明の名称】ローラミルシステム及びボイラーシステム
(51)【国際特許分類】
   B02C 15/04 20060101AFI20180205BHJP
   F23K 3/02 20060101ALI20180205BHJP
【FI】
   B02C15/04
   F23K3/02 302
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-106331(P2014-106331)
(22)【出願日】2014年5月22日
(65)【公開番号】特開2015-221403(P2015-221403A)
(43)【公開日】2015年12月10日
【審査請求日】2017年2月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】藤田 直史
【審査官】 宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−244417(JP,A)
【文献】 特開2013−176734(JP,A)
【文献】 特開平04−022442(JP,A)
【文献】 特開平02−139054(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0127362(US,A1)
【文献】 特開平7−213939(JP,A)
【文献】 特開平5−288335(JP,A)
【文献】 特開昭62−33556(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 15/04
F23K 3/02
B02C 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧シリンダによって押圧されて粉砕対象物を粉砕する粉砕ローラを有する複数のローラミルと、
前記ローラミルそれぞれに設けられ、前記油圧シリンダへの作動油の供給と供給停止とを切り換える油圧切換弁と、
前記油圧切換弁を介して前記複数のローラミルの油圧シリンダに接続され、前記油圧切換弁を介して前記油圧シリンダに作動油を供給する油圧ユニットと、
いずれか1つの前記ローラミルの前記油圧シリンダに作動油を供給するように、前記油圧切換弁を交互に制御する制御装置とを具備することを特徴とするローラミルシステム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記複数のローラミルのうち、圧力検出手段によって検出された前記油圧シリンダの現在の油圧と圧力目標値との差の大きな前記ローラミルを優先的に加圧あるいは減圧するように、前記油圧切換弁を交互に制御することを特徴とする請求項1に記載のローラミルシステム。
【請求項3】
前記制御装置は、特定の時間間隔で前記油圧切換弁を交互に制御することを特徴とする請求項2に記載のローラミルシステム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記差に応じて前記特定の時間間隔を増減させることを特徴とする請求項3に記載のローラミルシステム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のローラミルシステムと、
前記ローラミルシステムによって粉砕された燃料を用いて燃焼するボイラーとを具備することを特徴とするボイラーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラミルシステム及びボイラーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、石灰石や高炉スラグ、セメント材料等の粉砕対象物を微細に粉砕し粉体とする粉砕装置の一種として、ハウジング内に粉砕テーブルと粉砕ローラとを備える竪型粉砕装置が開示されている。この竪型粉砕装置は、ハウジング外に設けられた減速機により低速回転する粉砕テーブルと、ハウジングの側部に支持され粉砕テーブル上に油圧で圧接されて従動回転する複数の粉砕ローラを備え、ハウジング内に投入された粉砕対象物を粉砕テーブル上で受け、粉砕テーブルと粉砕ローラとの間で粉砕する。そして、粉砕されて微粉となった粉砕対象物は、ハウジング内を流通する空気あるいは熱風ガス等の気体による上昇気流に乗って、分級機を介した後、ハウジング外に搬送される。また、このような竪型粉砕装置に対して、粉砕ローラに作動油を供給する油圧ユニットが設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−317749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、1つ竪型粉砕装置に対して1つの油圧ユニットを設置しているため、竪型粉砕装置の台数に応じて油圧ユニットを用意する必要があり、設備が大規模となると共にコストが高くなってしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、設備を小規模にし、コストを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、ローラミルシステムに係る第1の解決手段として、油圧シリンダによって押圧されて粉砕対象物を粉砕する粉砕ローラを有する複数のローラミルと、前記ローラミルそれぞれに設けられ、前記油圧シリンダへの作動油の供給と供給停止とを切り換える油圧切換弁と、前記油圧切換弁を介して前記複数のローラミルの油圧シリンダに接続され、前記油圧切換弁を介して前記油圧シリンダに作動油を供給する油圧ユニットと、いずれか1つの前記ローラミルの前記油圧シリンダに作動油を供給するように、前記油圧切換弁を交互に制御する制御装置とを具備する、という手段を採用する。
【0007】
本発明では、ローラミルシステムに係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記制御装置は、前記複数のローラミルのうち、圧力検出手段によって検出された前記油圧シリンダの現在の油圧と圧力目標値との差の大きな前記ローラミルを優先的に加圧あるいは減圧するように、前記油圧切換弁を交互に制御する、という手段を採用する。
【0008】
本発明では、ローラミルシステムに係る第3の解決手段として、上記第2の解決手段において、前記制御装置は、特定の時間間隔で前記油圧切換弁を交互に制御する、という手段を採用する。
【0009】
本発明では、ローラミルシステムに係る第4の解決手段として、上記第3の解決手段において、前記制御装置は、前記差に応じて前記特定の時間間隔を増減させる、という手段を採用する。
【0010】
本発明では、ボイラーシステムに係る解決手段として、上記第1〜第4のいずれか1つの解決手段を採用するローラミルシステムと、前記ローラミルシステムによって粉砕された燃料を用いて燃焼するボイラーとを具備する、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、油圧シリンダによって押圧されて粉砕対象物を粉砕する粉砕ローラを有する複数のローラミルと、ローラミルそれぞれに設けられ、油圧シリンダへの作動油の供給と供給停止とを切り換える油圧切換弁と、油圧切換弁を介して複数のローラミルの油圧シリンダに接続され、油圧切換弁を介して油圧シリンダに作動油を供給する油圧ユニットと、いずれか1つのローラミルの油圧シリンダに作動油を供給するように、油圧切換弁を交互に制御する制御装置とを具備する、つまり、ローラミル毎に油圧ユニットを設けるのではなく、複数のローラミルに対して1つの油圧ユニットを設けるので、設備を小規模にすることができ、コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るボイラーシステムの概略図である。
図2】本発明の一実施形態における第1ローラミルM1、第2ローラミルM2及び第3ローラミルM3を示す機械構成図である。
図3】本発明の一実施形態における各油圧シリンダ3a、第1油圧切換弁C1、第2油圧切換弁C2、第3油圧切換弁C3及び油圧ユニットUの接続関係を示す模式図である。
図4】本発明の一実施形態に係るボイラーシステムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態に係るボイラーシステムは、例えば、火力発電所にて発電用水蒸気を発生させるものであり、図1に示すように、第1ローラミルM1、第2ローラミルM2、第3ローラミルM3、第1油圧切換弁C1、第2油圧切換弁C2、第3油圧切換弁C3、油圧ユニットU、制御装置Cn及びボイラーBによって構成されている。
【0014】
なお、第1ローラミルM1、第2ローラミルM2、第3ローラミルM3、第1油圧切換弁C1、第2油圧切換弁C2、第3油圧切換弁C3、油圧ユニットU及び制御装置Cnは、本実施形態におけるローラミルシステムを構成するものである。
【0015】
第1ローラミルM1は、例えば、火力発電所等に設置され、燃料となる石炭(粉砕対象物)を微粉炭に粉砕するものである。このような、第1ローラミルM1は、図2に示すように、ハウジング1、粉砕テーブル2、粉砕ローラ3、減速機モータ4、減速機5、回転分級機6、回転分級機モータ7、分配器8及び一次空気取入口9を有する構成となっている。
【0016】
ハウジング1は、円筒状に形成されており、ハウジング1の底面1aの縁部に沿って設けられて接地する複数の脚部(接地脚部)10によって、所定の高さに支持される構成となっている。ハウジング1の天部1b中央には、石炭が投入される投入口1cが形成されており、投入された石炭は、投入口1cと連通する給炭管11を通り、粉砕テーブル2上に供給されることとなる。
【0017】
粉砕テーブル2は、円盤形状を有しており、ハウジング1内に設けられる。当該円盤形状の周部には、その軸方向に延びる複数のエアポート2aが形成されている。このような粉砕テーブル2は、ハウジング1の下方に設けられた減速機5と接続されて、減速機5に接続される減速機モータ4の駆動により、高さ方向に延びる軸周りに回転する構成となっている。
【0018】
粉砕ローラ3は、ハウジング1内に複数設けられており、ハウジング1の側部1Bに支持されて、粉砕テーブル2の上面に圧接される。粉砕ローラ3が支持される側部1Bの位置には、油圧シリンダ3aが設けられる。油圧シリンダ3aは、ハウジング1の側面1dから半径方向に突出して設けられており、油圧により粉砕ローラ3を押圧して粉砕テーブル2に圧接する構成となっている。
【0019】
この構成により、粉砕テーブル2が回転すると、それに従動して粉砕ローラ3が回転される。そして、給炭管11を通り、粉砕テーブル2上に投下された石炭は、粉砕テーブル2の回転に伴う遠心力等より徐々に半径方向に移動し、粉砕テーブル2と粉砕ローラ3との間で粉砕されることとなる。また、油圧シリンダ3aには、油圧を検出するための圧力センサ3b(図3参照)が設けられている。圧力センサ3bは、検出した油圧を示す検出信号を制御装置Cnに出力する。
【0020】
回転分級機6は、粉砕テーブル2と粉砕ローラ3との間で粉砕され、エアポート2aから噴き上がる上昇気流によって搬送される石炭を、所定の閾値以下の微粉と、それ以外のものとに分級するものである。このような、回転分級機6は、ハウジング1内の上部に設けられた格子状の羽部を有し、天部1b近傍に設けられた回転分級機モータ7の駆動により羽部を所定の速度で回転させることで分級を行う構成となっている。
【0021】
そして、格子と格子の間を通り抜けた微粉炭は、天部1b近傍に複数設けられた分配器8を介してハウジング1外の所定の場所に搬送されることとなる。対して、回転分級機6により弾かれた石炭は、再び粉砕テーブル2上に落下して粉砕処理を受けることとなる。
一次空気取入口9は、エアポート2aから噴き上がり上昇気流を形成ための約200℃程度に加熱された一次空気をハウジング1内に取り入れる開口である。
【0022】
また、第2ローラミルM2及び第3ローラミルM3は、上述した第1ローラミルM1と同じ構成である。
【0023】
第1油圧切換弁C1は、図3に示すように、油圧ユニットUから延びる作動油の供給管SP及び回収管TP1と、第1ローラミルM1との間に設けられ、制御装置Cnから入力される制御指令に基づいて油圧シリンダ3aへの作動油の供給と供給停止とを切り換える油圧弁である。つまり、第1油圧切換弁C1は、油圧シリンダ3aへの作動油の供給方向の切り換えや供給停止を行うものである。
【0024】
第2油圧切換弁C2は、図3に示すように、油圧ユニットUから延びる作動油の供給管SP及び回収管TP2と、第2ローラミルM2との間に設けられ、制御装置Cnから入力される制御指令に基づいて油圧シリンダ3aへの作動油の供給と供給停止とを切り換える油圧弁である。つまり、第2油圧切換弁C2は、油圧シリンダ3aへの作動油の供給方向の切り換えや供給停止を行うものである。
【0025】
第3油圧切換弁C3は、図3に示すように、油圧ユニットUから延びる作動油の供給管SP及び回収管TP2と、第3ローラミルM3との間に設けられ、制御装置Cnから入力される制御指令に基づいて油圧シリンダ3aへの作動油の供給と供給停止とを切り換える油圧弁である。つまり、第3油圧切換弁C3は、油圧シリンダ3aへの作動油の供給方向の切り換えや供給停止を行うものである。
【0026】
なお、供給管SPについては、油圧ユニットUから3つに分岐して、第1油圧切換弁C1、第2油圧切換弁C2及び第3油圧切換弁C3それぞれに接続されている。また、回収管TP1,TP2,TP3については、油圧ユニットUにそれぞれ接続されている。なお、回収管TP1,TP2,TP3については、集約されて油圧ユニットUに接続されていてもよい。
【0027】
油圧ユニットUは、例えば、油圧ポンプを有し、該油圧ポンプが供給管SPを介して、第1油圧切換弁C1、第2油圧切換弁C2及び第3油圧切換弁C3に接続されている。また、油圧ユニットUは、貯油タンクを有し、該貯油タンクが回収管TP1,TP2,TP3を介して第1油圧切換弁C1、第2油圧切換弁C2及び第3油圧切換弁C3それぞれに接続されている。つまり、油圧ユニットUは、油圧ポンプによって第1ローラミルM1、第2ローラミルM2、第3ローラミルM3の油圧シリンダ3aに作動油を供給すると共に、油圧シリンダ3aから排出された作動油を回収して貯油タンクに貯蔵するものである。なお、油圧ユニットUでは、貯油タンクに貯蔵される作動油が油圧ポンプによって供給される。
【0028】
制御装置Cnは、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び電気的に接続された第1油圧切換弁C1、第2油圧切換弁C2及び第3油圧切換弁C3と通信を行うインターフェイス回路等から構成されている。この制御装置Cnは、上記ROMに記憶された各種演算制御プログラムに基づいて各種の演算処理を行い、演算結果に基づいて第1油圧切換弁C1、第2油圧切換弁C2及び第3油圧切換弁C3を制御する。なお、制御装置Cnの動作の詳細については、後述する。
【0029】
ボイラーBは、例えば、火力発電所にて発電用水蒸気を発生させるものであり、第1ローラミルM1、第2ローラミルM2及び第3ローラミルM3によって粉砕された微粉炭を燃料として水蒸気を発生させる。例えば、このボイラーBには、通水する水管が設けられ、第1ローラミルM1、第2ローラミルM2及び第3ローラミルM3から供給される微粉炭を燃料として複数のバーナーから燃焼炎を発生して、水管内の水を加熱する。
【0030】
なお、バーナーそれぞれは、燃料の供給元である第1ローラミルM1、第2ローラミルM2及び第3ローラミルM3のいずれかに接続されている。また、ボイラーBは、ヘリカル状に水管が配置されるものであってもよいし、また水管が高さ方向に延在するように配置されるものであってもよい。
【0031】
次に、このように構成されたボイラーシステムの動作について、詳しく説明する。
【0032】
本ボイラーシステムでは、制御装置Cnが、第1ローラミルM1、第2ローラミルM2及び第3ローラミルM3における石炭の粉砕速度を上昇、下降あるいは安定させるように、第1油圧切換弁C1、第2油圧切換弁C2及び第3油圧切換弁C3を制御する。
【0033】
本ボイラーシステムにおいて、第1ローラミルM1、第2ローラミルM2及び第3ローラミルM3には、図示しない搬送ベルトによって石炭が搬送される。制御装置Cnは、搬送ベルトによる第1ローラミルM1、第2ローラミルM2及び第3ローラミルM3への給炭量に応じて第1油圧切換弁C1、第2油圧切換弁C2及び第3油圧切換弁C3を制御する。なお、制御装置Cnには、搬送ベルトを制御するための装置から搬送ベルトの搬送速度が通知される。また、制御装置Cnは、搬送ベルトの搬送速度に基づいて第1ローラミルM1、第2ローラミルM2及び第3ローラミルM3への給炭量を算出する。
【0034】
例えば、制御装置Cnは、給炭量が増加した場合、粉砕速度を上昇させる、つまり、粉砕ローラ3を加圧する方向に油圧シリンダ3aへ作動油が供給されるように、第1油圧切換弁C1、第2油圧切換弁C2及び第3油圧切換弁C3を制御する。一方、制御装置Cnは、給炭量が減少した場合、粉砕速度を下降させる、つまり、粉砕ローラ3を減圧する向きに油圧シリンダ3aへ作動油が供給されるように、第1油圧切換弁C1、第2油圧切換弁C2及び第3油圧切換弁C3を制御する。さらに、制御装置Cnは、給炭量が変化しない場合、粉砕速度を変化させない、つまり、油圧シリンダ3aへ作動油の供給が停止されるように、第1油圧切換弁C1、第2油圧切換弁C2及び第3油圧切換弁C3を制御する。
【0035】
ここで、制御装置Cnは、以下の特徴的な処理を実行する。まず、制御装置Cnは、圧力センサ3bから入力される検出信号に基づいて各第1ローラミルM1、第2ローラミルM2及び第3ローラミルM3の油圧シリンダ3aの現在の油圧を把握する(ステップS1)。続いて、制御装置Cnは、各第1ローラミルM1、第2ローラミルM2及び第3ローラミルM3の油圧シリンダ3aにおける圧力目標値と、上記ステップS1の処理において把握した各第1ローラミルM1、第2ローラミルM2及び第3ローラミルM3の油圧シリンダ3aの現在の油圧とを比較し、第1ローラミルM1、第2ローラミルM2及び第3ローラミルM3毎に、圧力目標値と現在の油圧シリンダ3aの油圧との差の絶対値を算出する(ステップS2)。
【0036】
上記圧力目標値とは、給炭量に応じて増減するものであり、給炭量が増加した場合には、上昇し、給炭量が減少した場合には、下降する。なお、制御装置Cnは、上述したように給炭量を算出し、算出した給炭量に基づいて圧力目標値を算出する。
【0037】
つまり、制御装置Cnは、ステップS2の処理において、給炭量に応じて変動する圧力目標値と、現在の油圧シリンダ3aの油圧との差を求める。続いて、制御装置Cnは、第1ローラミルM1、第2ローラミルM2及び第3ローラミルM3毎に算出した上記差の絶対値を比較し(ステップS3)、差の絶対値の最も大きなローラミルを特定する(ステップS4)。そして、制御装置Cnは、差の絶対値の大きなローラミル(第1ローラミルM1、第2ローラミルM2及び第3ローラミルM3のいずれか1台)の粉砕ローラ3を加圧あるいは減圧するように、該ローラミルに対応した第1油圧切換弁C1、第2油圧切換弁C2及び第3油圧切換弁C3のいずれか1つを制御する(ステップS5)。
【0038】
例えば、制御装置Cnは、差の絶対値の最も大きなローラミルが第1ローラミルM1である場合、第1ローラミルM1の粉砕ローラ3を加圧あるいは減圧する方向(つまり油圧シリンダ3aの油圧が圧力目標値に近づく方向)に油圧シリンダ3aへ作動油が供給されるように、第1油圧切換弁C1を制御する。この際、制御装置Cnは、1秒間(特定の時間間隔)だけ、油圧シリンダ3aへ作動油が供給されるように、第1油圧切換弁C1を制御する。
【0039】
続いて、制御装置Cnは、上記ステップS1〜S5の処理を繰り返す。つまり、制御装置Cnは、再び、第1ローラミルM1、第2ローラミルM2及び第3ローラミルM3毎に、圧力目標値と現在の油圧シリンダ3aの油圧との差の絶対値を算出する。そして、制御装置Cnは、第1ローラミルM1、第2ローラミルM2及び第3ローラミルM3のうち、差の絶対値が最も大きなローラミルの粉砕ローラ3を加圧あるいは減圧する方向に油圧シリンダ3aへ1秒間だけ作動油が供給されるように、第1油圧切換弁C1、第2油圧切換弁C2及び第3油圧切換弁C3を制御する。すなわち、制御装置Cnは、差の絶対値の大きなローラミルを優先的に加圧あるいは減圧するように、第1油圧切換弁C1、第2油圧切換弁C2及び第3油圧切換弁C3を交互に制御する。なお、油圧ユニットUからは、一定圧力によって作動油が供給される。
【0040】
制御装置Cnは、上記ステップS1〜S5の処理を繰り返すことによって、第1ローラミルM1、第2ローラミルM2及び第3ローラミルM3それぞれの油圧シリンダ3aの油圧を、いずれかの油圧が偏って変動することなく、徐々に変動することができる。この結果、本実施形態は、ボイラーBにおけるバーナーの火力に偏りが生じず、各バーナーによってボイラーB内の水管内の水を平均的に加熱することができる。
【0041】
次に、上記動作の変形例については、説明する。
制御装置Cnは、上記差の絶対値に応じて上記特定の時間間隔を増減させるようにしてもよい。例えば、制御装置Cnは、上記ステップS4の処理において特定したローラミルの差の絶対値がしきい値より大きい場合には、特定の時間間隔を1秒から2秒に変更する。この結果、各第1油圧切換弁C1、第2油圧切換弁C2及び第3油圧切換弁C3を1回制御した際に、油圧シリンダ3aへ作動油を供給する時間が延びるため、第1油圧切換弁C1、第2油圧切換弁C2及び第3油圧切換弁C3を切り換える回数が減り、第1油圧切換弁C1、第2油圧切換弁C2及び第3油圧切換弁C3の消耗を抑制することができる。
【0042】
このような本実施形態によれば、第1油圧切換弁C1、第2油圧切換弁C2及び第3油圧切換弁C3を介して複数のローラミルの油圧シリンダ3aに接続され、該第1油圧切換弁C1、第2油圧切換弁C2及び第3油圧切換弁C3を介して油圧シリンダに作動油を供給する油圧ユニットUと、いずれか1つの第1ローラミルM1、第2ローラミルM2及び第3ローラミルM3の油圧シリンダ3aに作動油を供給するように、第1油圧切換弁C1、第2油圧切換弁C2及び第3油圧切換弁C3を交互に制御する制御装置Cnとを具備する、つまり、第1ローラミルM1、第2ローラミルM2及び第3ローラミルM3毎に油圧ユニットUを設けるのではなく、第1ローラミルM1、第2ローラミルM2及び第3ローラミルM3に対して1つの油圧ユニットを設けるので、コストを低減することができる。
【0043】
また、本実施形態によれば、第1ローラミルM1、第2ローラミルM2及び第3ローラミルM3のうち、圧力目標値との差の大きなローラミルを優先的に加圧あるいは減圧するように、特定の時間間隔で第1油圧切換弁C1、第2油圧切換弁C2及び第3油圧切換弁C3を交互に制御する、つまり、第1ローラミルM1、第2ローラミルM2及び第3ローラミルM3それぞれの油圧シリンダ3aの油圧を、いずれかの油圧が偏って変動することなく、徐々に変動することによって、ボイラーBにおけるバーナーの火力に偏りが生じず、各バーナーによってボイラーB内の水管内の水を平均的に加熱することができる。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、例えば以下のような変形が考えられる。
(1)上記実施形態は、3台のローラミル(第1ローラミルM1、第2ローラミルM2及び第3ローラミルM3)から構成されているが、3台に限定されず、2台あるいは4台以上、つまり複数台であればよい。
【0045】
(2)上記実施形態において、第1ローラミルM1、第2ローラミルM2及び第3ローラミルM3は、石炭を粉砕対象物として粉砕している。しかしながら、ボイラーBを備えるボイラーシステムではなく、ボイラーシステムからボイラーBを除いたローラミルシステムとして活用する場合、粉砕対象物は石炭に限定されず、例えば、石灰石やセメント材料等であってもよい。
【符号の説明】
【0046】
M1…第1ローラミル、M2…第2ローラミル、M3…第3ローラミル、C1…第1油圧切換弁、C2…第2油圧切換弁、C3…第3油圧切換弁、U…油圧ユニット、Cn…制御装置、B…ボイラー、1…ハウジング、2…粉砕テーブル、3…粉砕ローラ、4…減速機モータ、5…減速機、6…回転分級機、7…回転分級機モータ、8 …分配器、9…一次空気取入口、1a…底面、1b…天部、1c…投入口、1d…側面、1B…側部、11…給炭管、10…脚部、2a…エアポート、3a…油圧シリンダ、3b…圧力センサ、SP…供給管、TP1,TP2,TP3…回収管
図1
図2
図3
図4