特許第6278411号(P6278411)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6278411
(24)【登録日】2018年1月26日
(45)【発行日】2018年2月14日
(54)【発明の名称】サンドイッチ成形用の射出ノズル
(51)【国際特許分類】
   B29C 44/06 20060101AFI20180205BHJP
   B29C 45/20 20060101ALI20180205BHJP
   B29C 45/16 20060101ALI20180205BHJP
   B29K 105/04 20060101ALN20180205BHJP
【FI】
   B29C44/06
   B29C45/20
   B29C45/16
   B29K105:04
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-136411(P2015-136411)
(22)【出願日】2015年7月7日
(65)【公開番号】特開2017-19120(P2017-19120A)
(43)【公開日】2017年1月26日
【審査請求日】2016年6月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100097696
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 嘉昭
(74)【代理人】
【識別番号】100147072
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 裕通
(72)【発明者】
【氏名】河島 泰弘
【審査官】 辰己 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−015990(JP,A)
【文献】 特開平04−294114(JP,A)
【文献】 実開昭56−003626(JP,U)
【文献】 特開2003−136558(JP,A)
【文献】 特開昭55−009863(JP,A)
【文献】 米国特許第06060004(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C45/00−45/84
B29C44/00−44/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡樹脂からなるコア層用樹脂を射出するコア層用射出装置と、スキン層用樹脂を射出するスキン層用射出装置とが接続されるようになっている射出ノズルであって、
前記射出ノズルは中空部が形成されているノズル本体と、前記中空部に入れられているインナーノズルとを備え、前記コア層用樹脂が流れるコア層用樹脂流路は前記インナーノズル内に形成され、そして前記スキン層用樹脂が流れるスキン層用樹脂流路は前記中空部と前記インナーノズルの外周面の隙間から構成され、
前記インナーノズルはニードル弁を備え、該ニードル弁はバネ付勢により前記インナーノズルの開口部を閉鎖するようになっており、前記コア層用射出装置から射出されるコア層用樹脂が所定の圧力になるとバネ付勢に抗して前記ニードル弁が後退して前記開口部が開くようになっていることを特徴とする、サンドイッチ成形用の射出ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2台の射出装置から樹脂を射出してコア層とスキン層とからなる成形品を得る、いわゆるサンドイッチ成形において使用される射出ノズルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
2種類の樹脂を射出してコア層とスキン層とからなる成形品を得る、いわゆるサンドイッチ成形が周知である。一般的に射出成形機は、金型を型締めする型締装置、型締めされた金型に射出材料を射出する射出装置、金型から成形品を突き出す突出装置等から構成されているが、サンドイッチ成形を実施する射出成形機においては射出装置は2台設けられている。これらの2台の射出装置は、共通の射出ノズルに接続され、共通の射出ノズルから樹脂を金型に射出できるようになっている。このような射出成形機において、最初に一方の射出装置を駆動してスキン層用の樹脂を所定量射出し、次いで他方の射出装置を駆動してコア層用の樹脂を射出する。そして必要に応じて、最後に一方の射出装置を駆動してスキン層用の樹脂を射出する。このような順番で樹脂を射出すると、最初に射出されたスキン層用の樹脂は金型のキャビティの内壁面に接して速やかに固化し、そして次に射出されたコア層用の樹脂はキャビティの中心部に充填されることになる。これによってコア層とスキン層とからなる成形品を得ることができる。
【0003】
サンドイッチ成形によって成形品を得るようにすると、例えば、成形品の美観に影響するスキン層については新品の樹脂を使用し、コア層にはリサイクルにより再生された樹脂を使用して、製造コストを小さくしたり、環境に配慮した成形品を得ることができる。また発泡樹脂を利用して成形品を軽量にすることもできる。発泡樹脂は、強度が十分でありながら軽量であるという優れた性質があるが、気泡によって美観を損なってしまう。そこでサンドイッチ成形を実施してコア層は発泡樹脂から、スキン層は通常の樹脂から構成するようにする。具体的にはコア層については、樹脂に化学発泡剤を添加したり、不活性ガスを注入し、これを射出する。射出された樹脂はキャビティ内で発泡して微細な気泡が形成された発泡樹脂からなるコア層が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3609808号公報
【0005】
サンドイッチ成形用の射出ノズルは、色々なものが提案され、例えば本願の出願人によっても特許文献1において提案されている。特許文献1に記載の射出成形機も2台の射出装置が接続されており、第1の射出装置は射出成形機と同軸になるように、そして第2の射出装置は射出装置に対して斜めになるように設けられている。これらの第1、2の射出装置には共通の射出ノズルが設けられている。特許文献1に記載の射出ノズルは、ノズル本体と、このノズル本体内に同軸に収納されるインナーノズルとから構成されている。この射出ノズルは、インナーノズルの外周面とインナーノズルが収納されるノズル本体内の穴との隙間が第1の樹脂流路を構成し、インナーノズル内に設けられている貫通孔が第2の樹脂流路を構成している。そして第1の樹脂流路からスキン層用の樹脂が、第2の樹脂流路からコア用の樹脂を射出できるようになっている。特許文献1に記載の射出ノズルにおいては、インナーノズルが形状が異なる第1、2のインナーノズルから選択して取付けられるようになっている点に特徴がある。ノズル本体に第1のインナーノズルが設けられている場合には、第1の射出装置が第1の樹脂流路に連通し、第2の射出装置が第2の樹脂流路に連通するようになっている。そうすると、スキン用の樹脂は第1の射出装置から、コア用の樹脂は第2の射出装置から射出することになる。これに対してノズル本体に第2のインナーノズルが設けられている場合には、第1の射出装置が第2の樹脂流路に連通し、第2の射出装置が第1の樹脂流路に連通するようになっている。そうすると、スキン用の樹脂は第2の射出装置から、コア用の樹脂は第1の射出装置から射出することになる。つまり、特許文献1に記載の射出ノズルはインナーノズルを交換するだけで、スキン用の樹脂を射出する射出装置とコア用の樹脂とを射出する射出装置を、第1、2の射出装置のいずれからでも選択できるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
サンドイッチ成形用の射出ノズルについては、色々な種類のものがありそれぞれに優れている。また特許文献1に記載の射出ノズルについても、第1、2の射出装置のどちらからでもコア層用の樹脂と、スキン層用の樹脂を射出できるので使い勝手が良く優れてはいる。しかしながら、これらの従来の射出ノズルには解決すべき点も見受けられる。具体的には、発泡樹脂を使用してサンドイッチ成形を実施する場合に問題が見受けられる。発泡樹脂は、金型内に射出されてキャビティ内において発泡するようになっている。これはキャビティ内において樹脂の圧力が低下して化学発泡剤、あるいは物理発泡剤が発泡するからである。しかしながら射出ノズル内で樹脂の圧力が低下したら射出ノズル内で発泡が開始してしまう。そうすると次回の射出成形において支障を来してしまう。このような問題に関して従来の射出ノズルは格別に考慮されていない。
【0007】
本発明は、上記したような問題点を解決した、サンドイッチ成形用の射出ノズルを提供することを目的としており、具体的には、発泡樹脂を射出できるようになっていると共に、発泡樹脂が射出ノズル内で発泡することを確実に防止することができる、サンドイッチ成形用の射出ノズルを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、本発明の目的を達成するために、発泡樹脂からなるコア層用樹脂を射出するコア層用射出装置と、スキン層用樹脂を射出するスキン層用射出装置とが接続されるようになっているサンドイッチ成形用の射出ノズルとして構成する。そして、射出ノズルは、中空部が形成されているノズル本体と、中空部に入れられているインナーノズルとから構成し、コア層用樹脂はインナーノズルに設けられているコア層用樹脂流路を、そしてスキン層用樹脂は中空部とインナーノズルの外周面の隙間からなるスキン層用樹脂流路を流れるようにする。コア層用樹脂流路にはニードル弁を設ける。このニードル弁はバネ付勢によりコア層用樹脂流路を閉鎖するようにするが、コア層用射出装置から射出されるコア層用樹脂が所定の圧力になるとバネ付勢に抗してニードル弁が後退してコア層用樹脂流路が開くように構成する。
【0009】
かくして、請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するために、発泡樹脂からなるコア層用樹脂を射出するコア層用射出装置と、スキン層用樹脂を射出するスキン層用射出装置とが接続されるようになっている射出ノズルであって、前記射出ノズルは中空部が形成されているノズル本体と、前記中空部に入れられているインナーノズルとを備え、前記コア層用樹脂が流れるコア層用樹脂流路は前記インナーノズル内に形成され、そして前記スキン層用樹脂が流れるスキン層用樹脂流路は前記中空部と前記インナーノズルの外周面の隙間から構成され、前記インナーノズルはニードル弁を備え、該ニードル弁はバネ付勢により前記インナーノズルの開口部を閉鎖するようになっており、前記コア層用射出装置から射出されるコア層用樹脂が所定の圧力になるとバネ付勢に抗して前記ニードル弁が後退して前記開口部が開くようになっていることを特徴とする、サンドイッチ成形用の射出ノズルとして構成される。
【発明の効果】
【0010】
以上のように本発明は、発泡樹脂からなるコア層用樹脂を射出するコア層用射出装置と、スキン層用樹脂を射出するスキン層用射出装置とが接続されるようになっている射出ノズルとして構成されている。射出ノズルは中空部が形成されているノズル本体と、中空部に入れられているインナーノズルとを備え、コア層用樹脂が流れるコア層用樹脂流路はインナーノズル内に形成され、そしてスキン層用樹脂が流れるスキン層用樹脂流路は中空部とインナーノズルの外周面の隙間から構成されている。そしてインナーノズルはニードル弁を備え、該ニードル弁はバネ付勢によりインナーノズルの開口部を閉鎖するようになっており、コア層用射出装置から射出されるコア層用樹脂が所定の圧力になるとバネ付勢に抗してニードル弁が後退して開口部が開くようになっている。発泡樹脂からなるコア層用樹脂を使用しても、コア層用樹脂流路を閉鎖すれば発泡樹脂は射出ノズル内で発泡することを防止することができる。これによって発泡樹脂をコア層用樹脂として使用しても、安全にサンドイッチ成形が実施できることが保証される。そして、コア層用樹脂流路は射出ノズルの中心に設けられ、スキン層用樹脂流路はコア層用樹脂流路の外側を取り囲むようになっている。そうするとコア層用樹脂とスキン層用樹脂とを同時に射出する場合には、コア層用樹脂をスキン層用樹脂が被覆した形で金型内に射出されることになる。このような状態で2種類の樹脂が射出されると、キャビティの内壁にはスキン層用樹脂が最初に接触することになり、スキン層用樹脂によってスキン層が形成されることが保証される。そしてコア層用樹脂はスキン層の内側に残されることが保証される。これによって美観に優れたサンドイッチ成形品が確実に得られることになる。さらに本発明によると、ニードル弁は、樹脂の圧力によって自動的に開閉するようになっている。格別に弁の駆動装置を設ける必要がないので、安価に射出ノズルを構成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態に係る射出成形機の一部を示す図で、その(ア)は第1、2の射出装置と射出ノズルを示す正面断面図、その(イ)は射出ノズルの正面断面図である。
図2】本発明の実施の形態に係る射出ノズルの作用を模式的に示す図で、その(ア)、(イ)は、それぞれスキン層用樹脂と、コア層用樹脂を射出する様子を示す、射出ノズルの正面断面図である。
図3】第2の実施の形態に係る射出ノズルを示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る射出成形機1は、いわゆるサンドイッチ成形用の射出成形機として構成されており、図1の(ア)に示されているように、第1、2の射出装置2、3と、図示されていない型締装置とから概略構成されている。型締装置は例えばトグル式から構成されており、横向きに設けられているが、第1の射出装置2は、このような型締装置の軸方向の延長線上になるように同軸に配置されている。これに対して第2の射出装置3は型締装置に対して所定の角度で斜めになるように配置されている。従って第1、2の射出装置2、3は互いの先端部が近接していても、互いに所定の角度になるように配置されているので競合しないようになっている。なお、第2の射出装置3は第1の射出装置2より若干小型になっている。このような第1、2の射出装置2、3の先端部に、次に説明する本実施の形態に係る射出ノズル5が接続されている。
【0013】
本実施の形態に係る射出ノズル5は、第1、2の射出装置2、3に接続される接続ブロック部6と、本発明に特有の構造を備えたノズル先端部8とから構成されている。ノズル先端部8のみをもって射出ノズルと呼ぶこともできるが、以下の説明では接続ブロック部6とノズル先端部8とを併せて射出ノズル5と呼ぶこととする。接続ブロック部6には、第1、2の射出装置2、3が接続されているが、第1の射出装置2はその先端が図示されないボルト等の固定手段によって接続ブロック部6に接続されている。これに対して第2の射出装置3はその先端のノズル部3aが、接続ブロック部6に形成されているタッチ部6aに所定の当接力で当接している。このように当接することによって第2の射出装置3が射出ノズル5の接続ブロック部6に接続されている。接続ブロック部6内には、第1の射出装置2からの樹脂を前方に送る第1の樹脂流路10と、第2の射出装置3からの樹脂を前方に送る第2の樹脂流路11とが設けられている。この実施の形態において第2の樹脂流路11は、図1の(イ)に詳しく示されているように、ノズル先端部8の軸芯に整合するような軸芯流路13に連通している。これに対して第1の樹脂流路10は、この流路を妨げるように設けられているメクラプラグ14によって環状に広がっており、軸芯流路13と同心円状に形成された環状流路15に連通している。第1、2の樹脂流路10、11には、詳しくその構造は説明しないが逆流防止弁16、17が設けられ、樹脂が第1、2の射出装置2、3に逆流しないようになっている。
【0014】
ノズル先端部8は、図1の(イ)に示されているように、中空に形成されているノズル本体19と、この中空部に入れられているインナーノズル20とから構成されている。ノズル本体19の中空部は前方において開口しておりこれが樹脂が射出される射出口22になっている。ノズル本体19の中空部の内径はインナーノズル20の外径よりも大きく、中空部の内周面とインナーノズル20の外周面には環状の所定の隙間が形成されている。この環状の隙間が、スキン層を形成するための樹脂すなわちスキン層用樹脂が流れるスキン層用樹脂流路24を構成している。スキン層用樹脂流路24は環状流路15、第1の樹脂流路10に連通している。従ってこの実施の形態においては、第1の射出装置2はスキン層用樹脂を射出する射出装置になっており、第1の射出装置2から射出されたスキン層用樹脂はノズル先端部8のスキン層用樹脂流路24を流れて射出口22から射出されることになる。
【0015】
インナーノズル20は、中空に形成されているインナーノズル本体26と、この中空部に入れられているトーピード27とから構成されている。インナーノズル本体26の中空部は後端部においては小径になっているが前方寄りにおいて拡径され、この拡径された部分にトーピード27が入れられている。そして中空部の前方は縮径されて開口している。すなわち開口部29になっている。この開口部29は射出口22の近傍に配置されている。このようなインナーノズル本体26の中空部が、コア層を形成するための樹脂すなわちコア層用樹脂が流れるコア層用樹脂流路30を構成している。コア層用樹脂流路30はトーピード27近傍においては、インナーノズル本体26の中空部とトーピード27の外周面に形成されている環状の隙間から構成され、開口部29において合流している。この実施の形態においては、コア層用樹脂流路30は軸芯流路13、第2の樹脂流路11に連通している。従ってこの実施の形態においては、第2の射出装置3はコア層用樹脂を射出する射出装置になっており、第2の射出装置3から射出されたコア層用樹脂はインナーノズル20内のコア層用樹脂流路30を流れて開口部29を経て射出口22から射出されることになる。
【0016】
本実施の形態において、トーピード27にはニードル弁32が設けられ、インナーノズル20の開口部29を開閉するようになっている。ニードル弁32は、トーピード27内に形成されている中空部に全体が入れられており、先端部だけが前方に突出して開口部29に臨んでいる。ニードル弁32は、トーピード27の中空部に入れられているバネ34によって前方にバネ付勢され、通常は所定の当接力で開口部29を閉鎖している。ニードル弁32の先端はテーパ状の受圧面35になっている。従って、コア用樹脂流路30の樹脂の圧力が高くなると、受圧面35にその圧力が作用してニードル弁32がバネ付勢に抗して後退し、図1の(イ)に示されているように、開口部29が開口することになる。
【0017】
本実施の形態に係る射出成形機1によってコア層が発泡樹脂からなるサンドイッチ成形品を得る成形方法を説明する。図1の(ア)に示されているように、本実施の形態に係る射出ノズル5を、型締装置に取付けられている固定用金型37のスプルに所定の当接力でタッチさせる。第1の射出装置2においてスキン層用樹脂を計量する。第2の射出装置3において樹脂に不活性ガス等の物理的発泡剤あるいは化学的発泡剤を添加してコア層用樹脂を計量する。最初に第1の射出装置2を駆動して所定量だけスキン層用樹脂を射出する。そうすると図2の(ア)に示されているように、スキン層用樹脂は第1の樹脂流路10、環状流路15、スキン層用樹脂流路24を流れて射出口22から射出される。これによって所定量だけ金型のキャビティ内に充填される。なお、このときはニードル弁32はインナーノズル20の開口部29を閉鎖している。次いで第1の射出装置2を停止して第2の射出装置3を駆動してコア層用樹脂を射出する。そうすると、コア層用樹脂の圧力が受圧面35に作用してニードル弁32が後退し開口部29が開く。図2の(イ)に示されているように、コア層用樹脂は第2の樹脂流路11、軸芯流路13、コア層用樹脂流路30を流れて射出口22から射出される。コア層用樹脂はキャビティ内において既に射出されているスキン層用樹脂を内側から押し広げるようにして充填されるので、スキン層用樹脂からはスキン層が、コア層用樹脂からはコア層が形成される。コア層においてコア層用樹脂が発泡する。射出が完了したら第2の射出装置3を停止する。そうするとインナーノズル20内のコア層用樹脂流路30の樹脂圧力が若干低下してニードル弁32はバネ付勢により開口部29を閉鎖する。閉鎖されることによってコア層用樹脂は射出ノズル5内において圧力がこれ以上低下することはなく、射出ノズル5内における発泡が抑制される。冷却固化を待って金型を開くと、コア層が発泡樹脂からなるサンドイッチ成形品を得ることができる。なお、この成形方法においては第2の射出装置3を駆動してコア層用樹脂を射出するとき第1の射出装置2を停止するようにしているが、第1の射出装置2も並行して駆動して、スキン層用樹脂もコア層用樹脂と共に射出するようにしてもよい。また、第2の射出装置3を停止した後に、第1の射出装置2を駆動してスキン層用樹脂だけを所定量射出して成形を完了するようにしてもよい。
【0018】
本実施の形態に係る射出ノズル5は色々な変形が可能である。図3には第2の実施の形態に係る射出ノズル5’が示されている。前実施の形態と同じ部材については同じ符号を付して説明を省略する。第2の実施の形態に係る射出ノズル5’は、接続ブロック部6’が前実施の形態と相違している。具体的には、第1の樹脂流路10は軸芯流路13’に、そして第2の樹脂流路11は環状流路15’に連通している。従って、この実施の形態においては第1の射出装置2からコア層用樹脂が射出され、第2の射出装置3からスキン層用樹脂が射出されることになる。他の変形も可能である。例えばコア層用樹脂流路30の開口部29を閉鎖するニードル弁32は、バネ34によってバネ付勢されているように説明し、ニードル弁32は受圧面35に作用する樹脂の圧力が高くなったら開くように説明した。しかしながら、外部からニードル弁32を駆動できる所定の駆動機構を別途設けるようにして、外部からの操作によって開口部29が開閉するようにしてもよい。射出ノズル5内のスキン層用樹脂流路24とコア層用樹脂流路30についても変形が可能である。本実施の形態においては、コア層用樹脂流路30とスキン層用樹脂流路24は、同心円の環状の流路になるように形成されているが、必ずしもこれらは環状の流路から構成する必要はない。発明を実施するためにはコア層用樹脂流路30の開口部29が弁により開閉されるようになっていればよく、コア層用樹脂流路30とスキン層用樹脂流路24についてはその形状は自由に選択することができる。
【符号の説明】
【0019】
1 射出成形機 2 第1の射出装置
3 第2の射出装置 5 射出ノズル
6 接続ブロック部 8 ノズル先端部8
19 ノズル本体 20 インナーノズル
22 射出口 24 スキン層用樹脂流路
26 インナーノズル本体 27 トーピード
29 開口部 30 コア層用樹脂流路
32 ニードル弁 34 バネ
35 受圧面 37 固定用金型
図1
図2
図3