(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電池の充放電制御回路、電池の保護回路を備えた電池管理ユニットを、前記正極引出端子、負極引出端子が対向していない側の辺に配置したことを特徴とする請求項1記載の電池パック。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1に本発明の電池パックに使用するフィルム外装電池の一例の外観図を示す。
フィルム外装電池100は、外面側には耐候性が大きなフィルムを積層し、内面側には、熱溶着樹脂層を積層したフィルム外装材を用いている。一例を挙げれば、アルミニウム箔の外面側にポリアミド、ポリエチレンテレフタレート等の耐候性が大きなフィルムを積層し、内面側には、ポリエチレンフィルム等の熱溶着性の合成樹脂フィルム等を積層した積層フィルムを挙げることができる。
正極活物質を担持した正極電極、負極活物質を担持した負極電極、および電解液を有する電池本体部110と、上端部111、上端部外縁111A、下端部112、下端部外縁112A、正極引出タブ120、負極引出タブ130からなり、外周部の四辺を電解液の注液後に熱溶着によって封口して製造することができる。
また、以上のように両面に配置した2枚の積層フィルムの外周部の四辺を熱溶着するものに限らず、1枚の積層フィルムを折り曲げて電池要素を両面から覆い、電解液を注液した後に残りの3辺を熱溶着することによって作製したものであっても良い。
【0009】
本発明のフィルム外装電池の一例を挙げれば、電池本体の正極電極には、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物等のリチウム遷移金属複合酸化物をカーボンブラック等の導電性付与材、結着剤等を混合したスラリーを、アルミニウム箔等のように正極の電位が加わっても安定な金属に、塗布乾燥したものを挙げることができる。
また、負極電極には、リチウムをドープ・脱ドープ可能な炭素材料等を、カーボンブラック等の導電性付与材、結着剤等を混合したスラリーを銅箔等に塗布乾燥したものを用いることができる。
【0010】
図2は、本発明のフィルム外装電池に接合した延長タブを説明する図である。
フィルム外装電池100の正極引出タブ120には、正極延長タブ122の一端をスポット溶接等の溶接手段で接合している。正極の延長タブ122は、正極引出方向と直角方向であって、負極引出タブが存在しない側へ引き出している。
また、負極引出タブ130には、一端が負極引出タブに接合された負極延長タブ132が正極延長タブ122が引き出された方向とは反対方向へ引き出している。
それぞれの延長タブには、ニッケル、ニッケル合金等で作製したものを使用できる。
【0011】
図3は、本発明のフィルム外装電池を装着する一実施例の電池保持体を示す図である
図3Aは、斜視図であり、
図3Bは、
図3AのX−X断面図、
図3Cは、
図3AのY−Y断面図である。
図3Dは、
図3Aとは反対面から見た電池保持体を示す図であって、非対称の構造を有している。
電池保持体200aは、強度が大きな、ABS、ポリカーボネート等の合成樹脂製の成形体で作製しており、フィルム外装電池(図示しない)の単位電池の電池本体部を装着する枠体201の内側には壁面がなく空間部202となっている。
枠体201の積層面203は、フィルム外装電池の外周部の熱溶着部等を積層する面である。また、枠体201の空間部202の電池本体部を保持する内面側には平滑な面を形成している。
【0012】
また、枠体201には、断面形状が異なる部分を形成しており、開口部の方向が異なる複数の凹部を有している。一方の凹部は外周面にのみ開口を有して他には開口を有さない外周側凹部206である。また、他方の凹部はフィルム外装電池の熱溶着部を載置する積層面にのみ開口を有し他には一切の開口を有さない積層面側凹部207である。
外周側凹部206と積層面側凹部207の端部は、それぞれ区画壁208を介して、他の外周側凹部あるいは積層面側凹部207と接している。
【0013】
このように枠体には開口部の向きが異なる複数の凹部を形成したので、軽量であって、衝撃等に対して強度が大きな電池保持体を得ることができる。また、枠体には、これらの開口部の方向が異なる凹部を交互、あるいは一方の凹部を内側に、他方を外側に順に配置することができる。本図では、枠体の正極引出タブおよび負極引出タブの引出方向Aと同じ部分にこれらの凹部を設ける例を示したが、枠体の引出方向Aと直角方向の部分に設けても良い。
また、凹部はいずれも枠体の外面および積層面に開口部を有しているので、金型を用いて一体に成形することで製造が可能である。
【0014】
また、積層面側凹部の外周側の表面には平坦面209が形成されている。図に示す様に積層面側凹部207を、フィルム外装電池の長手方向に間隔を設けて配置すると、フィルム外装電池を装着した電池保持体の所定の数を積層した後には、平坦面209は積層方向に帯状に間隔を設けて形成されるので、各平坦面を補強部材を貼り付ける部位として利用することができる。
【0015】
また、
図3で示した電池保持体の側面の上方の端部には、側面ねじ止め部210を設けらており、各フィルム外装電池の正極引出タブに接続した正極延長タブ、および負極引出タブの電気接続に利用することができる。
また、側面ねじ止め部210を設けた側とは反対側の側面に隣接する積層面には、積層面ねじ止め部212を設けており、正極引出タブあるいは負極引出タブに一端を接続した延長タブと外部の電気的接続を行うために利用する。
積層面ねじ止め部212を設けた側とは反対側の積層面には、積層面の端部が外側に延びた凸条部214を有している。前記凸条部214は、隣接する正極延長タブと負極延長タブ間の沿面距離を長くするとともに、誤接続を防止し、給電部への導電体の接触を防止する機能を果たしている。
【0016】
隣接する電池保持体面同士が直接接触する積層面には、少なくとも1個の嵌合用凹部216と、前記嵌合用凹部216に対応する嵌合用凸部218を設けることができる。これらの嵌合用凹部216と嵌合用凸部218を設けることで、フィルム外装電池を電池保持体200に装着して積層する際には、相互の電池保持体200の位置合わせを容易に行うことができる。
【0017】
図4は、本発明のフィルム外装電池を装着する他の実施例の電池保持体を示す図である
図4Aは、斜視図であり、
図4Bは、
図4AのA−A断面図、
図4Cは、
図4のB−B断面図である。
図4Dは、
図4Aとは反対面から見た電池保持体を示す図であって、非対称の構造を有している。
図3とともに説明した電池保持体200aの枠体の内側には空間部を形成しており、枠体の内部にはいかなる部材も存在しないものである。これに対して、
図4で示すものは、枠体201の内部に、電池載置板204を設けたトレイ状の電池保持体である点が相違している。
他の部分は、先に示した
図3と同様の構成であるので詳細な説明は省略する。
【0018】
図4で示す電池保持体200bは、
図3で示した枠体201の内部空間に電池載置板204を設けることでトレイ状としたものである。したがって、
図3で示した電池保持体200aに比べて使用する材料が増加し、質量も増加するが、枠体201と電池載置板204によりフィルム外装電池を確実に保持することができる。したがって、激しい振動、衝撃等からフィルム外装電池を保護することが可能となる。
また、電池載置板204を設ける位置は、枠体の厚み方向の中心、あるいは一方の端面のいずれであっても良い。
【0019】
図5は、電池保持体に装着したフィルム外装電池の積層方法を説明する図である。
図5で示す例は、
図3で示した電池保持体を使用してフィルム外装電池を積層したものを説明する図である。
フィルム外装電池100の本体部110を電池保持体200の枠体201の空間部202に装着している。また、枠体201フィルム外装電池の周囲の上端部111、下端部112等の熱溶着部を載置したものを、正極引出タブと負極引出タブが引き出された辺の向きをそろえた状態で表裏反転して、交互に積層することで各フィルム外装電池を直列接続した積層体を作製することができる。
【0020】
本発明の電池保持体200を積層する際には、嵌合用凹部(図示しない)と対応する嵌合用凸部(図示しない)とを利用することで容易に積層することができる。
また、各フィルム外装電池100の相互の積層面には両面接着テープ230を貼り付けることで振動、衝撃による位置ずれを防止することができる。
複数のフィルム外装電池100の大きさは枠体に装着した電池保持体200を積層した積層体の外周部の端面とフィルム外装電池の外周部とが一致する寸法とすることで、電池モジュールの外形の凹凸を少なくし、寸法精度を高めることができる。
また、本実施態様の積層体は、電池保持体200aの枠体201の内側は、いかなる部材も存在しない空間部202としたので、電池保持体の質量が小さくなるので軽量な電池パックを得ることができる。
【0021】
図6は、電池保持体に装着したフィルム外装電池の他の積層方法を説明する図である。
図6で示す例は、
図4で示した電池保持体を使用してフィルム外装電池を積層したものを説明する図である。
図6で示す電池保持体200bは、枠体201の内部空間に電池載置板204を設けてトレイ状としたので、
図3で示した電池保持体200aに比べて使用する材料が増加し、質量も増加するが、枠体201と電池載置板204でフィルム外装電池100をより確実に保持するので、激しい振動、衝撃等からフィルム外装電池を保護することが可能となる。
また、電池載置板204を設ける位置は、枠体の厚み方向の中心、あるいは一方の端面のいずれであっても良い。フィルム外装電池100を電池保持体200bに装着する際には、電池載置板204のフィルム外装電池の載置面に対して両面接着テープ230を貼り付けて保護フィルムを取り除いた後に、フィルム外装電池100の本体部110を電池載置面204に貼り付けた両面接着テープ230に貼り付けても良い。
枠体201にフィルム外装電池の周囲の上端部111、下端部112等の熱溶着部を載置したものを、正極引出タブと負極引出タブを引き出した辺の向きをそろえた状態で表裏反転させて、交互に積層することで各フィルム外装電池を直列接続した積層体を作製することができる。
【0022】
本発明の電池保持体200を積層する際には、嵌合用凹部(図示しない)と対応する嵌合用凸部(図示しない)とを利用することで容易に積層することができる。
また、各フィルム外装電池100の相互の積層面には両面接着テープ230を貼り付けることで振動、衝撃による位置ずれを防止することができる。
複数のフィルム外装電池100の大きさは枠体に装着した電池保持体200を積層した積層体の外周部の端面とフィルム外装電池の外周部が一致する寸法とすることで、電池モジュールの外形の凹凸を少なくし、寸法精度を高めることができる。
【0023】
図7は、電池保持体に装着したフィルム外装電池の他の積層方法を説明する図である。
図7で示す例は、
図3で示した電池保持体200aと、
図4で示した電池保持体200bとを使用してフィルム外装電池を積層したものを説明する図である。
図7で示す積層体は、フィルム外装電池100を枠体201の内部に設けた内部空間202に装着した電池保持体200aと、フィルム外装電池を枠体201の内部に設けて電池載置板204に装着した電池保持体200bとを、交互に積層したものである。
この例で示す積層体は、内部空間を有する電池保持体200aと、電池載置板204を設けてトレイ状とした電池保持体200bとを交互に積層している。したがって、内部空間を有する電池保持体200aのみを用いた場合に比べて、大幅な質量の増加をきたすことなく、各フィルム外装電池100の振動、衝撃による位置ずれ等を防止する効果が大きなものとなる。
また、電池載置板204を設ける位置は、枠体の厚み方向の中心、あるいは一方の端面のいずれであっても良い。
【0024】
また、フィルム外装電池100を電池保持体200bに装着する際には、載置板204のフィルム外装電池の載置面に対して両面接着テープ230を貼り付けて表面の保護フィルムを取り除いた後に、フィルム外装電池100の本体部110を載置面204に貼り付けた両面接着テープ230に貼り付けることもできる。
以上のようにして作製した枠体201にフィルム外装電池の周囲の上端部111、下端部112等の熱溶着部を載置したものを、正極引出タブと負極引出タブが引き出した辺の向きをそろえた状態で表裏反転させて、交互に積層することで各フィルム外装電池を直列接続した積層体を作製することができる。
【0025】
本発明の電池保持体200を積層する際には、嵌合用凹部(図示しない)と対応する嵌合用凸部(図示しない)とを利用することで容易に積層することができる。
また、各フィルム外装電池100の相互の積層面には両面接着テープ230を貼り付けることで振動、衝撃による位置ずれを防止することができる。
複数のフィルム外装電池100の大きさは枠体に装着した電池保持体200を積層した積層体の外周部の端面とフィルム外装電池の外周部が一致する寸法とすることで、電池モジュールの外形の凹凸を少なくし、寸法精度を高めることができる。
また、以上のように、内部空間を有する電池保持体200aと、電池載置板204を有する電池保持体200bとを交互に積層するものに限らない。一方を連続して配置して、他方のものと積層したものであっても良く、電池積層体に要求される、特性に応じて適宜組み合わせても良い。
【0026】
図8は、本発明の電池パックに装着する電池モジュールの一例を説明する図である。
フィルム外装電池を装着した電池保持体の複数個を積層して、直列または並列に電気接続する。これによって所望の電圧、あるいは電流容量を有する電池モジュール300を作製することができる。
図8で示す電池モジュールは、5個のフィルム外装電池を直列接続した例を示すものであり。
図8Aは電池モジュール全体を示す斜視図であって、
図8Bは、
図6AにおけるCの部分を拡大して示す図である。
正極引出タブに一端を接合した正極延長タブ122aは、正極引出タブの引出方向と直角方向であって、負極引出タブとは反対方向に伸びている。また、電池保持体200の側面に回り込むことなく、電池保持体の積層面の最外面に設けた積層面ねじ止め部212でねじ止めされている。
【0027】
一方、負極引出タブに一端を接合した負極延長タブ132aは、正極延長タブ122aの引出方向とは反対方向へ引き出している。そして、隣接する第2のフィルム外装電池の正極延長タブ122bとともに、電池保持体の枠体の積層面から側面へと折り曲げている。そして、電池保持体の側面に設けた側面ねじ穴210aでねじ止めすることで相互の電気的接続を形成することができる。
【0028】
一方、第2のフィルム外装電池の正極延長タブ122bとは反対側に引き出した負極引出タブ(図示しない)は、第3のフィルム外装電池の正極引出タブに取り付けた正極延長タブ(図示しない)と、電池保持体の反対側の側面において接続している。
同様にして、第3のフィルム外装電池の正極タブに接続した正極延長タブ123cと、第4のフィルム外装電池の負極引出タブに接続した負極延長タブ133dとは、両者の間に位置する側面ねじ止め部210b方向へと折り曲げてねじ止めして相互の電気接続を行っている。
更に第4のフィルム外装電池から引き出した正極延長タブ(図示しない)を、第5のフィルム外装電池から引き出した負極延長タブ(図示しない)と電池保持体の反対側の側面において接続して電池モジュール300が完成する。
【0029】
また、電池保持体の側面には、凸条部214を設けているので、隣接するフィルム外装電池から引き出した正極延長タブと負極延長タブを接続した隣接する側面ねじ止め部210aと210b間の沿面距離を長くすることができる。また、側面ねじ止め部に導電体が接触することを防止することも可能となるので、電池モジュールの電気的特性をより良好なものとすることができる。
このように、積層面の端部の外面に位置している外部への接続に利用する正極または負極の延長タブを除いて隣接する対極側の延長タブとをねじ止めによって電気接続することで、各フィルム外装電池の導電接続が完成する。
【0030】
以上の説明では、フィルム外装電池の相互を直列に電気的接続を行う例について述べたが、以下の様に、並列に電気的接続を行っても良い。すなわち、凸条部を形成していない電池保持体にフィルム外装電池を装着し、各フィルム外装電池の上下の正極引出タブ、負極引出タブをそろえて積層する。次いで、正極延長タブ、負極延長タブのそれぞれを同一の方向へ引き出して、積層面に設けた外部接続用のねじ止め部、または側面ねじ止め部で相互にねじ止めすることで並列接続が完成する。
【0031】
電池モジュール300の積層面の最外面には、発泡合成ゴム等から作製した緩衝材310を貼り付けることが好ましい。また、積層面と直角方向の端面には、各電池保持体200が位置ずれを起こさないようにするために、電池保持体の枠体の外面の複数個所に設けた平坦部等に粘着テープ320を貼り付けて一体に固定することが好ましい。
【0032】
また、電池モジュールにおいて、極性の異なる電池の電圧が印加される引出タブ部等が対向、あるいは近接している部分、電池保持体の導電接続用のねじ止穴、あるいはその他の電圧印加部の近傍に絶縁性の充填材料を注入することが好ましい。これによって、短絡を防止し、電池モジュールの機械的強度を大きくすることができる。
【0033】
図9は、本発明の一実施例の電池パックを説明する図である。
電池パック400は、筐体410内に、1個の電池モジュール300に充放電の制御回路、電池の保護回路等を備えた電池管理ユニット360とともに緩衝材310を配置して固定し、外部接続コネクタ370を設けたものである。また本発明の電池パックは、フィルム外装電池を装着した電池保持体を積層したものであるので、図で示すように正極引出タブ、負極引出タブの引出方向を下方に向けた位置に設置して使用することができる。
【0034】
以上のようにして組み立てた電池モジュール300は、すべてのフィルム外装電池を電池保持部材によって保持したうえで積層している。このため、電池パック内での配置方向は正極引出タブ、負極引出タブの方向にかかわらず任意の方向への取り付けが可能であるという特徴を有している。したがって、従来にない電池パックの提供が可能である。
また、作製した電池モジュールの2個をそれぞれの正極引出タブ、負極引出タブの引出方向を対向させて筐体内に配置した電池パックを提供することも可能である。
【0035】
図10は、2個の電池モジュールの連結体を示す分解斜視図である。
図10の電池モジュール連結体は、先に説明したように2個の電池モジュール300a、300bを準備して、それぞれの電池モジュールの正極引出タブおよび負極引出タブの引出方向AおよびBを対向させて配置したものである。各電池モジュール300a、300bの積層面の最外面の両面には、発泡合成ゴム等から作製した緩衝材310を貼り付けている。
また、積層面と直角方向の端面には、各電池モジュール300a、300bが位置ずれを起こさないようにするために2個の電池モジュール300a、300bの電池積層面と直角方向の両面に延びる補強部材332a、332bを複数個所に貼り付けた両面接着テープ322によって取り付けている。補強部材としては、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂や、これらを含む材料を挙げることができる。
各電池モジュール300a、300bの間には絶縁部材340を配置しており、各電池モジュール300a、300bに取り付けた電池モジュール間接続タブ342aを取り付けねじ344aで結合して各電池モジュールの電気接続が行われている。
【0036】
両電池モジュール間に配置する絶縁部材340に形成した凹部346aに、電池モジュール間接続タブ342aを配置することで、電池モジュール300a、300bの間の導電接続を短くすると共に、両電池モジュール間の電気的な絶縁性を充分に確保することができる。
また、補強部材332a、332bは、同様の形状を有しており、入出力用リード線、各電池モジュールおよび各フィルム外装電池の状態を検出するセンス線用リード線の通過凹部334a、334b、サーミスタ組み込み用穴336a、336bを設けている。
【0037】
図11は、電池モジュールの2個を連結した連結体を示す斜視図である。
電池モジュール300aおよび300bは、
図10で示した様に正極引出タブ、負極引出タブの引出方向を対向させて、両者の間に絶縁部材を配置し、両側面に補強部材を取り付けて一体化しており、周囲に緩衝部材310を両面接着テープによって貼り付けている。 各モジュールの入出力リード350およびセンス線用リード線352を緩衝部材310a、310bの間を通過させて、電池管理ユニット360に接続し、電池管理ユニット360には外部接続用コネクタ370を接続したものである。
本発明の電池モジュール連結体380は、各フィルム外装電池の正極引出タブ、負極引出タブから電池管理ユニット360までの配線長を等しくしたので、電気的特性が優れた電池モジュール連結体380を得ることができる。
【0038】
図12は、本発明の他の実施形態の電池積層体を説明する図である。
先に、
図11を示して説明した電池モジュール連結体は2個の電池モジュールの正極引出タブおよび負極引出タブの引出方向AおよびBを対向させて配置したものである。各電池モジュールは
図8に示すように電池保持体にフィルム外装電池を装着したものを用いている。
これに対して、
図12で示す電池積層体500は、フィルム外層電池を保持する電池保持体を用いておらず、電池積層体500は、フィルム外装電池100の積層面に両面接着テープ等を貼着することで相互に単位電池を固定している。この例のように電池保持体を用いない場合には、電池モジュールを軽量化することが可能であるが電池保持体を用いた場合に比べて衝撃等に対する強度が小さなものとなる。
【0039】
そこで、電池積層体500は、強度を高めるために各フィルム外装電池100を電池積層体底板501上に配置した例を示している。更に、正極引出タブおよび負極引出タブを配置した面とは反対側に背板503を配置してもよい。フィルム外装電池100を複数個積層した電池積層体500は、固定テープ510、512によって底板に固定するのが好ましい。この例では固定テープは間隔を設けて2個所に設けたが、更に多数の個所に設けても良い。底板や背板に用いる部材としては、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂材料を挙げることができる。また、放熱性を考慮してアルミニウム、アルミニウム合金等の金属材料、あるいはこれらを含む材料を挙げることができる。固定テープには、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等の強度が大きな合成樹脂製フィルムの一方の面に粘着剤を塗布したものを用いることができる。
【0040】
この電池積層体500を2個準備し、正極引出タブおよび負極引出タブを対向配置させる場合には(図示せず)、2個の電池モジュールの電池積層面と直角方向の面で、どちらの電池モジュールにも接合するように補強部材を設ければよい。補強部材の取り付け方は特に限定されるものではないが、両面接着テープなどによって取り付けることができる。 このように、2個の電池モジュールについて正極引出タブおよび負極引出タブを対向配置させる場合には、枠体や固定テープのような個々のフィルム外装電池の固定手段に対して補強部材を設け、当該補強部材が2個の電池モジュールのどちらにも固定することで、振動等に対して強固な構造とすることができる。
【0041】
図13は、電池モジュールの2個を連結した他の連結体を説明する分解斜視図である。
図13に示す電池モジュールは、
図12で説明した電池保持体に装着しないで、フィルム外装電池100の積層面に両面接着テープ等を貼着することで相互に単位電池を固定した電池積層体500a、500bを電池モジュール520a、520bとして電極引出タブの引出方向A,Bを対向させて配置したものである。
それぞれの電池モジュールは520a、520bは、正極引出タブおよび負極引出タブを配置した面とは反対側に背板503a、503bを配置している。また、フィルム外装電池100を複数個積層した電池積層体500a、500bを、固定テープ510a、510b、512a、512bによって底板501a、501bに固定している。
このように、2個の電池モジュールについて正極引出タブおよび負極引出タブを対向配置する場合には、枠体や固定テープのような個々のフィルム外装電池の固定手段に対して補強部材を設け、当該補強部材を2個の電池モジュールのどちらにも固定するようにすることで、振動などに対して強固な構造とすることができる。
【0042】
各電池モジュール300a、300bの積層面の最外面の両面には、発泡合成ゴム等から作製した緩衝材310を貼り付け、積層面と直角方向の端面には、各電池モジュール300a、300bが位置ずれを起こさないようにするために2個の電池モジュール300a、300bの電池積層面と直角方向の両面に延びる補強部材332a、332bを複数個所に貼り付けた両面接着テープ322によって取り付けている。補強部材としては、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂、これらを含む材料を挙げることができる。
各電池モジュール300a、300bの間には絶縁部材340を配置しており、各電池モジュール300a、300bに取り付けた電池モジュール間接続タブ342aを取り付けねじ344aで結合して各電池モジュールの電気接続を行っている。
【0043】
両電池モジュール間に配置する絶縁部材340に形成した凹部346aに、電池モジュール間接続タブ342aを配置することで、電池モジュール300a、300bの間の導電接続を短くすると共に、両電池モジュール間の電気的な絶縁性を充分に確保することができる。
また、補強部材332a、332bは、同様の形状を有しており、入出力用リード線、各電池モジュールおよび各フィルム外装電池の状態を検出するセンス線用リード線の通過凹部334a、334b、サーミスタ組み込み用穴336a、336bを設けている。
【0044】
図14は、電池モジュールの2個を連結した連結体を説明する斜視図である。
図10で示した様に各電池モジュール300aおよび300bは、正極引出タブ、負極引出タブの引出方向を対向して、両者の間に絶縁部材を配置し、両側面に補強部材を取り付けて一体化している。そして、周囲に緩衝部材310を両面接着テープによって貼り付けた後に、入出力リード350およびセンス線用リード線352を緩衝部材310a、310bの間を通過させて、電池管理ユニット360に接続し、電池管理ユニット360には外部接続用コネクタ370を接続したものである。
本発明の電池モジュール連結体380は、各フィルム外装電池の正極引出タブ、負極引出タブから電池管理ユニット360までの配線長を等しくしたので、電気的特性が優れた電池モジュール連結体380を得ることができる。
【0045】
図15は、他の実施形態の電池モジュール連結体を説明する図である。
図15は、
図8で説明した電池モジュールを、
図10で示した手順と同様にして連結したものであるが、電池モジュール300cと電池モジュール300dとは、フィルム外装電池を保持した電池保持体200の積層個数が異なるものであって、積層個数が少ない側の電池モジュールには、電池管理ユニット360を積層面に平行に取り付けている。
その結果、
図15で示す電池モジュールは、
図11に示すように二つの電池モジュールの連結体の長さ方向の一方の端部に電池管理装置を装着したものに比べて電池連結体の長さを短くすることができる。
以上の様に、本発明の電池モジュールを用いた電池パックにあっては、電池モジュールの配置方向の自由度が大きいので電池管理装置360までの配線長が等しく電気的特性に優れた、設置場所の自由度が大きな電池パックを提供することができる。
【0046】
図16は、本発明の他の実施形態を説明する図であり、電池モジュールの2個を連結した他の例の連結体を説明する斜視図である。
図16は、
図15に示す電池モジュール連結体に入出力分離型のコネクタ372,374を、電池管理ユニット近傍に配置した例を説明する斜視図である。
ここでは、入力・出力分離型のコネクタを例に用いている。このような例に限らず、正極リード、負極リード、センスリード、その他必要なリードをコネクタに応じて接続することができる。入出力一体型のコネクタ、入出力および通信一体型のコネクタ、その他、要求される仕様に応じてコネクタを選択することで用途に応じた取り付け位置に配置することが可能となる。
あるいは、これらの電池モジュール連結体を筐体に配置した電池パックにおいては、コネクタは筐体に取り付けられることになるが、コネクタを着脱式にして、用途に応じたコネクタを選択することもできる。
【0047】
図17は、本発明の他の実施形態を説明する図である。
図17は、2つの電池モジュールに分けずに、電池保持体に装着したフィルム外装電池を積み重ねたものである。そして、積層面と直角方向の端面に、各電池モジュールが位置ずれを起こさないようにするための電池積層面と直角方向の両面に延びる補強部材332を複数個所に貼り付けた両面接着テープによって取り付ければよい。また、電池管理ユニット360は、積層面の上面に取り付ければよい。
本発明の電池パックは、構成するフィルム外装電池を積層体として一体化して保持しているので、電池パック利用機器に装着する場合にはいずれの方向にも配置することが可能であるという優れた特性を有している。
したがって、本発明の電池パックを、電動自転車に装着する場合には、フレームを構成するシートチューブに限らず、トップチューブに沿って略水平方向に取り付けたり、正極引出タブ、負極引出タブを下方に向けてタブダウンチューブに取り付ける等のことも可能であり、電動自転車の意匠性の自由度を高めることもできるという特徴を有している。