(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
球状コアと、前記球状コアを被覆する内中間層と、前記内中間層を被覆する外中間層と、前記外中間層を被覆するカバーとを有するゴルフボール本体と、前記ゴルフボール本体表面に設けられた塗膜とを有するゴルフボールであって、
前記塗膜を構成する基材樹脂が、ポリオール組成物と、ポリイソシアネート組成物とを反応させてなるポリウレタンであり、
前記ポリオール組成物が、数平均分子量が800〜3000のポリエーテルジオールを構成成分として含有するウレタンポリオールを含有し、
前記塗膜の10%モジュラスMp(kgf/cm2)、前記内中間層の10%モジュラスMinm(kgf/cm2)、前記外中間層の10%モジュラスMoum(kgf/cm2)、前記カバーの10%モジュラスMc(kgf/cm2)、前記塗膜の厚さTp(mm)、前記内中間層の厚さTinm(mm)、前記外中間層の厚さToum(mm)、前記カバーの厚さTc(mm)、および前記ポリオール組成物が有する水酸基(OH基)とポリイソシアネート組成物が有するイソシアネート基(NCO基)のモル比(NCO/OH)Xが下記の要件を満足することを特徴とするゴルフボール。
Mp≦200×X−75
Mp≦100
Minm−Moum>50
Moum−Mc>55
Tinm≧Toum>Tc>Tp
(Tinm×Minm)/(Toum×Moum)>1.8
(Toum×Moum)/(Tc×Mc)>8.0
(Tc×Mc)/(Tp×Mp)>2.4
前記球状コアは、脂肪酸および/またはその金属塩を含有するゴム組成物から形成された層を少なくとも1層有している請求項1〜6のいずれか一項に記載のゴルフボール。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のゴルフボールは、球状コアと、前記球状コアを被覆する内中間層と、前記内中間層を被覆する外中間層と、前記外中間層を被覆するカバーとを有するゴルフボール本体と、前記ゴルフボール本体表面に設けられた塗膜とを有する。そして、前記塗膜の10%モジュラスMp(kgf/cm
2)、前記内中間層の10%モジュラスMinm(kgf/cm
2)、前記外中間層の10%モジュラスMoum(kgf/cm
2)、前記カバーの10%モジュラスMc(kgf/cm
2)、前記塗膜の厚さTp(mm)、前記内中間層の厚さTinm(mm)、前記外中間層の厚さToum(mm)、前記カバーの厚さTc(mm)、および前記ポリオール組成物が有する水酸基(OH基)とポリイソシアネート組成物が有するイソシアネート基(NCO基)のモル比(NCO/OH)Xが下記の要件を満足する。
Mp≦200×X−75
Mp≦100
Minm−Moum>50
Moum−Mc>55
Tinm≧Toum>Tc>Tp
(Tinm×Minm)/(Toum×Moum)>1.8
(Toum×Moum)/(Tc×Mc)>8.0
(Tc×Mc)/(Tp×Mp)>2.4
【0013】
本発明のゴルフボールでは、内中間層、外中間層、カバー、塗膜について、ボール表面に近い部分ほど、より柔らかく、かつ、より薄く設計している。このような構成とすることで、アプローチショットではスピン量が多く、かつ、ドライバーショットではスピン量が少ないゴルフボールが得られる。また、前記塗膜はMpが100kgf/cm
2以下であり、かつ、前記Mpと前記Xとが上記の関係を満足する。つまり、モル比(NCO/OH)を大きくしても塗膜の柔軟性が高いため、アプローチショットでのスピン量が高く、かつ、耐汚染性に優れる。
【0014】
(Mp≦200×X−75)
前記塗膜は、10%モジュラスMp(kgf/cm
2)と、前記ポリオール組成物が有する水酸基(OH基)とポリイソシアネート組成物が有するイソシアネート基(NCO基)のモル比(NCO/OH)Xとが下記式の関係を満足する。下記式を満たすものは、モル比(NCO/OH)を大きくしても塗膜の柔軟性を維持できるため、アプローチショットでのスピン量が高く、かつ、耐汚染性に優れるものとなる。
Mp≦200×X−75
【0015】
(Mp)
前記塗膜の10%モジュラスMpは、100kgf/cm
2(9.8MPa)以下、好ましくは90kgf/cm
2(8.8MPa)以下、より好ましくは80kgf/cm
2(7.8MPa)以下である。塗膜の10%モジュラスが、100kgf/cm
2を超えると、打球感が低下し、アプローチショットのスピン量が低くなる。塗膜の10%モジュラスの下限は、特に限定されないが、5kgf/cm
2(0.49MPa)が好ましく、10kgf/cm
2(0.98MPa)がより好ましい。塗膜の10%モジュラスが小さすぎると、柔らかくなりすぎて、タック感が残り、フィーリングが悪くなる。
【0016】
(Minm−Moum)
前記内中間層の10%モジュラスMinm(kgf/cm
2)と前記外中間層の10%モジュラスMoum(kgf/cm
2)との差(Minm−Moum)は、50kgf/cm
2(4.9MPa)超であり、好ましくは60kgf/cm
2(5.9MPa)超、さらに好ましくは70kgf/cm
2(6.9MPa)超である。前記差(Minm−Moum)が50kgf/cm
2以下では、ドライバーショットでのスピン量が高くなり、飛距離が低下するか、あるいは、アプローチショットでのスピン量が低下する。前記差(Minm−Moum)の上限は特に限定されないが、通常300kgf/cm
2(29.4MPa)、好ましくは270kgf/cm
2(26.5MPa)、より好ましくは240kgf/cm
2(23.5MPa)である。
【0017】
(Moum−Mc)
前記外中間層の10%モジュラスMoum(kgf/cm
2)と前記カバーの10%モジュラスMc(kgf/cm
2)との差(Moum−Mc)は、55kgf/cm
2(5.4MPa)超であり、好ましくは65kgf/cm
2(6.4MPa)超、さらに好ましくは75kgf/cm
2(7.4MPa)超である。前記差(Moum−Mc)が55kgf/cm
2以下では、ドライバーショットでのスピン量が高くなり、飛距離が低下するか、あるいは、アプローチショットでのスピン量が低下する。前記差(Moum−Mc)の上限は特に限定されないが、通常170kgf/cm
2(16.7MPa)、好ましくは150kgf/cm
2(14.7MPa)、より好ましくは130kgf/cm
2(12.7MPa)である。
【0018】
(│Mp−Mc│)
前記塗膜の10%モジュラスMp(kgf/cm
2)と前記カバーの10%モジュラスMc(kgf/cm
2)との差の絶対値(│Mp−Mc│)は、65kgf/cm
2(6.4MPa)以下が好ましく、より好ましくは60kgf/cm
2(5.9MPa)以下、さらに好ましくは55kgf/cm
2(5.4MPa)以下である。前記絶対値(│Mp−Mc│)が65kgf/cm
2以下であれば、打球感が向上し、またアプローチショットでのスピン量が向上する。前記差の絶対値(│Mp−Mc│)の下限は0である。
【0019】
(Tinm≧Toum>Tc>Tp)
前記内中間層の厚さTinmは前記外中間層の厚さToumよりも大きいか同じであり(Tinm≧Toum)、前記外中間層の厚さToumは前記カバーの厚さTcよりも大きく(Toum>Tc)、かつ、前記カバーの厚さTcは前記塗膜の厚さTpよりも大きい(Tc>Tp)。前記内中間層の厚さTinmが前記外中間層の厚さToumよりも小さい場合、前記外中間層の厚さToumが前記カバーの厚さTcよりも小さいか同じである場合、または、前記カバーの厚さTcが前記塗膜の厚さTpよりも小さいか同じである場合、ドライバーショットでのスピン量が高くなり、飛距離が低下するか、あるいは、アプローチショットでのスピン量が低下する。
【0020】
((Tinm×Minm)/(Toum×Moum))
前記内中間層の厚さTinm(mm)と10%モジュラスMinm(kgf/cm
2)との積(Tinm×Minm)と、前記外中間層の厚さToum(mm)と10%モジュラスMoum(kgf/cm
2)との積(Toum×Moum)との比((Tinm×Minm)/(Toum×Moum))は、1.8超であり、好ましくは1.9超、さらに好ましくは2.0超である。前記比((Tinm×Minm)/(Toum×Moum))が1.8以下では、ドライバーショットでのスピン量が高くなり、飛距離が低下するか、あるいは、アプローチショットでのスピン量が低下する。前記比((Tinm×Minm)/(Toum×Moum))の上限は特に限定されないが、5.0以下が好ましく、より好ましくは4.5以下、さらに好ましくは4.0以下である。
【0021】
((Toum×Moum)/(Tc×Mc))
前記外中間層の厚さToum(mm)と10%モジュラスMoum(kgf/cm
2)との積(Toum×Moum)と、前記カバーの厚さTc(mm)と10%モジュラスMc(kgf/cm
2)との積(Tc×Mc)との比((Toum×Moum)/(Tc×Mc))は、8.0超であり、好ましくは10.0超、さらに好ましくは12.0超である。前記比((Toum×Moum)/(Tc×Mc))が8.0以下では、ドライバーショットでのスピン量が高くなり、飛距離が低下するか、あるいは、アプローチショットでのスピン量が低下する。前記比((Toum×Moum)/(Tc×Mc))の上限は特に限定されないが、50.0以下が好ましく、より好ましくは47.0以下、さらに好ましくは45.0以下である。
【0022】
((Tc×Mc)/(Tp×Mp))
前記カバーの厚さTc(mm)と10%モジュラスMc(kgf/cm
2)との積(Tc×Mc)と、前記塗膜の厚さTp(mm)と10%モジュラスMp(kgf/cm
2)との積(Tp×Mp)との比((Tc×Mc)/(Tp×Mp))は、2.4超であり、好ましくは2.5超、さらに好ましくは2.6超である。前記比((Tc×Mc)/(Tp×Mp))が2.4以下では、ドライバーショットでのスピン量が高くなり、飛距離が低下するか、あるいは、アプローチショットでのスピン量が低下する。前記比((Tc×Mc)/(Tp×Mp))の上限は特に限定されないが、12.0以下が好ましく、より好ましくは11.0以下、さらに好ましくは10.0以下である。
【0023】
(Tp×Mp)
前記塗膜の厚さTp(mm)と10%モジュラスMp(kgf/cm
2)との積(Tp×Mp)は、0.2以上が好ましく、より好ましくは0.4以上、さらに好ましくは0.5以上であり、4.0以下が好ましく、より好ましくは3.0以下、さらに好ましくは2.5以下である。積(Tp×Mp)が、0.2以上であれば耐汚染性がより向上し、4.0以下であればアプローチショットでのスピン性能がより向上する。
【0024】
(Tinm×Minm)
前記内中間層の厚さTinm(mm)と10%モジュラスMinm(kgf/cm
2)との積(Tinm×Minm)は、120以上が好ましく、より好ましくは140以上、さらに好ましくは160以上であり、400以下が好ましく、より好ましくは370以下、さらに好ましくは340以下である。積(Tinm×Minm)が、120以上であればドライバーショットにおけるスピン量が低下し、飛距離がより向上する。また、400以下であればアプローチショットでのスピン性能がより向上する。
【0025】
(Toum×Moum)
前記外中間層の厚さToum(mm)と10%モジュラスMoum(kgf/cm
2)との積(Toum×Moum)は、30以上が好ましく、より好ましくは40以上、さらに好ましくは50以上であり、140以下が好ましく、より好ましくは130以下、さらに好ましくは120以下である。積(Toum×Moum)が、30以上であればドライバーショットにおけるスピン量が低下し、飛距離がより向上する。また、140以下であればアプローチショットでのスピン性能が向上する。
【0026】
(Tc×Mc)
前記カバーの厚さTc(mm)と10%モジュラスMc(kgf/cm
2)との積(Tc×Mc)は、1.0以上が好ましく、より好ましくは1.5以上、さらに好ましくは2.0以上であり、26.0以下が好ましく、より好ましくは24.0以下、さらに好ましくは22.0以下である。積(Tc×Mc)が、1.0以上であればアプローチショットでのスピン性能がより向上する。また、26.0以下であればドライバーショットにおけるスピン量が低下し、飛距離がより向上する。
【0027】
[塗膜]
以下、本発明のゴルフボールの各構成部材について説明する。本発明のゴルフボールは、ゴルフボール本体と前記ゴルフボール本体表面に設けられた塗膜とを有する。前記塗膜を構成する基材樹脂は、ポリオール組成物と、ポリイソシアネート組成物とを反応させてなるポリウレタンから形成されている。
【0028】
前記ポリオール組成物は、数平均分子量が800〜3000のポリエーテルジオールを構成成分として含有するウレタンポリオールを含有する。このようなウレタンポリオールを使用することで、得られる塗膜が柔らかくなり、アプローチショットでのスピン性能が向上する。前記ウレタンポリオールとは、分子内にウレタン結合を複数有し、一分子中に水酸基を2以上有する化合物である。ウレタンポリオールとしては、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとを、ポリオールの水酸基がポリイソシアネートのイソシアネート基に対して過剰になるような条件で反応させて得られるウレタンプレポリマーを挙げることができる。
【0029】
前記ウレタンポリオールを構成し得るポリエーテルジオールとしては、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコールなどが挙げられ、これらの中でもポリオキシテトラメチレングリコールが好ましい。
【0030】
前記ポリエーテルジオールの数平均分子量は、800以上、好ましくは900以上、さらに好ましくは1000以上であり、3000以下、好ましくは2000以下、さらに好ましくは1500以下である。ポリエーテルジオールの数平均分子量が800以上であれば、塗膜における架橋点間の距離が長くなり、塗膜が柔らかくなるため、スピン性能が向上する。前記数平均分子量が3000以下であれば、塗膜における架橋点間の距離が長くなりすぎず、塗膜の耐汚染性が良好となる。なお、ポリオール成分の数平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により、標準物質としてポリスチレン、溶離液としてテトラヒドロフラン、カラムとして有機溶媒系GPC用カラム(例えば、昭和電工社製「Shodex(登録商標) KFシリーズ」など)を用いて測定すればよい。
【0031】
前記ウレタンポリオールは、ポリオール成分として、前記ポリエーテルジオール以外の分子量が500未満の低分子量ポリオールを含有してもよい。前記低分子量ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオールなどのジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどのトリオールが挙げられる。前記低分子量ポリオールは、単独で、あるいは、2種以上を混合して使用しても良い。
【0032】
前記ウレタンポリオールは、ポリオール成分として、トリオール成分とジオール成分とを含有するものが好ましい。前記トリオール成分としては、トリメチロールプロパンが好ましい。前記トリオール成分とジオール成分の混合比率(トリオール成分/ジオール成分)は、質量比で、0.2以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、6.0以下が好ましく、5.0以下がより好ましい。
【0033】
前記ウレタンポリオールを構成し得るポリイソシアネート成分としては、イソシアネート基を2以上有するものであれば特に限定されず、例えば、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート(NDI)、3,3’−ビトリレン−4,4’−ジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)などの芳香族ポリイソシアネート;4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H
12MDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート(H
6XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)などの脂環式ポリイソシアネートまたは脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる。これらのポリイソシアネートは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0034】
前記ウレタンポリオールは、前記数平均分子量が800〜3000のポリエーテルジオールの含有率が、70質量%以上が好ましく、より好ましくは72質量%以上、さらに好ましくは75質量%以上である。前記数平均分子量が800〜3000のポリエーテルジオールは、塗膜においてソフトセグメントを形成する。よって、前記ポリエーテルジオールの含有率が、70質量%以上であれば、得られるゴルフボールのスピン性能がより向上する。
【0035】
前記ウレタンポリオールは、重量平均分子量が、5000以上が好ましく、より好ましくは5300以上、さらに好ましくは5500以上であり、20000以下が好ましく、より好ましくは18000以下、さらに好ましくは16000以下である。ウレタンポリオールの重量平均分子量が5000以上であれば、塗膜における架橋点間の距離が長くなり、塗膜が柔らかくなるため、スピン性能が向上する。前記重量平均分子量が20000以下であれば、塗膜における架橋点間の距離が長くなりすぎず、塗膜の耐汚染性が良好となる。
【0036】
前記ウレタンポリオールの水酸基価は、10mgKOH/g以上が好ましく、より好ましくは15mgKOH/g以上、さらに好ましくは20mgKOH/g以上であり、200mgKOH/g以下が好ましく、より好ましくは190mgKOH/g以下、さらに好ましくは180mgKOH/g以下である。
【0037】
前記ポリオール組成物は、ポリオール化合物として、前記ウレタンポリオール以外のポリオール化合物を含有してもよい。前記ポリオール化合物としては、分子量が500未満の低分子量ポリオールや平均分子量が500以上の高分子量ポリオールを挙げることができる。前記低分子量ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオールなどのジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどのトリオールが挙げられる。前記高分子量のポリオールとしては、ポリオキシエチレングリコール(PEG)、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)、ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)などのポリエーテルポリオール;ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリヘキサメチレンアジペート(PHMA)などの縮合系ポリエステルポリオール;ポリ−ε−カプロラクトン(PCL)などのラクトン系ポリエステルポリオール;ポリヘキサメチレンカーボネートなどのポリカーボネートポリオール;および、アクリルポリオールなどが挙げられる。前記他のポリオール化合物は、単独で、あるいは、2種以上を混合して使用しても良い。
【0038】
前記ポリオール組成物が含有するポリオール化合物中の前記ウレタンポリオールの含有率は、60質量%以上が好ましく、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上である。前記ポリオール組成物は、ポリオール化合物として、前記ウレタンポリオールのみを含有することも好ましい。
【0039】
前記ポリオール組成物が含有するポリオールの水酸基価は、10mgKOH/g以上が好ましく、より好ましくは15mgKOH/g以上、さらに好ましくは20mgKOH/g以上であり、400mgKOH/g以下が好ましく、好ましくは300mgKOH/g以下、より好ましくは200mgKOH/g以下、さらに好ましくは170mgKOH/g以下であり、特に好ましくは160mgKOH/g以下である。ポリオール成分の水酸基価が上記範囲内であれば、ゴルフボール本体への塗膜の密着性が向上するからである。なお、本発明において、水酸基価は、JIS K 1557−1に準じて、例えば、アセチル化法によって測定することができる。
【0040】
前記ポリオール化合物の具体例としては、例えば、和薬ペイント社製121B、日本ポリウレタン工業社製ニッポラン800、ニッポラン1100、DIC社製バーノックD6−627、バーノックD8−436、バーノックD8−973、バーノック11−408、住化バイエルウレタン社製デモスフェン650MPA、デモスフェン670、デモスフェン1150、デモスフェンA160X、ハリマ化成社製ハリアクロン2000、ハリアクロン8500Hなどを挙げることができる。
【0041】
次に、ポリイソシアネート組成物について説明する。前記ポリイソシアネート組成物は、1種または2種以上のポリイソシアネート化合物を含有する。前記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、イソシアネート基を少なくとも2つ有する化合物を挙げることができる。
【0042】
前記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート(NDI)、3,3’−ビトリレン−4,4’−ジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)などの芳香族ジイソシアネート;4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H
12MDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート(H
6XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)などの脂環式ジイソシアネートまたは脂肪族ジイソシアネート;およびこれらのジイソシアネートのアロハネート体、ビュレット体、イソシアヌレート体、アダクト体などのトリイソシアネート;が挙げられる。本発明では、前記ポリイソシアネートとして、2種以上のポリイソシアネートを使用することが好ましい。
【0043】
前記アロハネート体とは、例えば、ジイソシアネートと低分子量ジオールとを反応させて形成されるウレタン結合にさらにジイソシアネートが反応して得られるトリイソシアネートである。アダクト体とは、ジイソシアネートとトリメチロールプロパンあるいはグリセリンなどの低分子量トリオールとを反応させて得られるトリイソシアネートである。前記ビュレット体とは、例えば、下記式(1)で表わされるビュレット結合を有するトリイソシアネートである。ジイソシアネートのイソシアヌレート体とは、例えば、下記式(2)で表わされるトリイソシアネートである。
【0044】
【化1】
式(1)、(2)中、Rは、ジイソシアネートからイソシアネート基を除いた残基を表わす。
【0045】
前記トリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネートのビュレット体、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体が好ましい。特に、ヘキサメチレンジイソシアネートのビュレット変性体とイソシアヌレート変性体とを併用する場合、これらの混合比率(ビュレット変性体/イソシアヌレート変性体)は、質量比で、20/40〜40/20が好ましく、25/35〜35/25がより好ましい。
【0046】
本発明では、ポリイソシアネート組成物が、トリイソシアネート化合物を含有することが好ましい。前記ポリイソシアネート組成物が含有するポリイソシアネート中のトリイソシアネート化合物の含有率は、50質量%以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。前記ポリイソシアネート組成物は、ポリイソシアネート化合物としてトリイソシアネート化合物のみを含有することが最も好ましい。
【0047】
前記ポリイソシアネート組成物が含有するポリイソシアネートのイソシアネート基量(NCO%)は、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上がさらに好ましく、45質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、35質量%以下がさらに好ましい。なお、ポリイソシアネートのイソシアネート基量(NCO%)は、100×[ポリイソシアネート中のイソシアネート基のモル数×42(NCOの分子量)]/ポリイソシアネートの総質量(g)で表わすことができる。
【0048】
前記ポリイソシアネートの具体例としては、DIC社製バーノックD−800、バーノックDN−950、バーノックDN−955、住化バイエルウレタン社製デスモジュールN75MPA/X、デスモジュールN3300、デスモジュールL75(C)、スミジュールE21−1、日本ポリウレタン工業社製コロネートHX、コロネートHK、旭化成ケミカルズ社製デュラネート24A−100、デュラネート21S−75E、デュラネートTPA−100、デュラネートTKA−100、デグサ社製VESTANAT T1890などを挙げることができる。
【0049】
ポリオール組成物とポリイソシアネート組成物との反応において、ポリオール組成物が有する水酸基(OH基)とポリイソシアネート組成物が有するイソシアネート基(NCO基)のモル比(NCO基/OH基)は、0.5超が好ましく、より好ましくは0.55以上、さらに好ましくは0.60以上である。前記モル比(NCO基/OH基)が、0.5超であれば、架橋密度が高くなり、得られる塗膜の耐汚染性がより良好となる。また、前記モル比(NCO基/OH基)が大きくなりすぎると、イソシアネート基量が過剰となり、得られる塗膜が硬く脆くなる上に、外観も悪くなる。そのため、前記モル比(NCO基/OH基)は、1.20以下が好ましく、1.15以下がより好ましく、1.10以下がさらに好ましい。なお、塗料中のイソシアネート基量が過剰になると得られる塗膜の外観が悪くなる理由は、イソシアネート基量が過剰になると、空気中の水分とイソシアネート基との反応が多くなり、炭酸ガスが多量に発生するためと考えられる。
【0050】
本発明のゴルフボールの塗膜は、ポリオール組成物とポリイソシアネート組成物とを含有する塗料から形成されることが好ましい。前記塗料としては、ポリオールを主剤とし、ポリイソシアネートを硬化剤とするいわゆる二液硬化型塗料を例示することができる。前記塗料としては、水を主たる分散媒とする水系塗料、有機溶剤を分散媒とする溶剤系塗料のいずれであってもよい。溶剤系塗料の場合、好ましい溶剤としては、トルエン、イソプロピルアルコール、キシレン、メチルエチルケトン、メチルエチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチルベンゼン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、イソブチルアルコール、酢酸エチルなどを挙げることができる。
【0051】
前記塗料は、さらに必要に応じて、フィラー、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、蛍光増白剤、ブロッキング防止剤、レベリング剤、スリップ剤、粘度調整剤などの、一般にゴルフボール用塗料に含有され得る添加剤を含有してもよい。
【0052】
次に、本発明の硬化型塗料の塗布方法について説明する。硬化型塗料の塗布方法は、特に限定されず、公知の方法を採用することができ、例えば、スプレー塗装、静電塗装などを挙げることができる。
【0053】
エアーガンを用いたスプレー塗装の場合には、ポリオール組成物とポリイソシアネート組成物とをそれぞれのポンプで供給して、エアーガン直前に配置されたラインミキサーで連続的に混合し、得られた混合物をスプレー塗装してもよいし、混合比制御機構を備えたエアースプレーシステムを用いて、ポリオールとポリイソシアネートとを別々にスプレー塗装してもよい。塗装は、1回でスプレー塗布しても良いし、複数回重ね塗りをしても良い。
【0054】
ゴルフボール本体に塗布された硬化型塗料は、例えば、30℃〜70℃の温度で1時間〜24時間乾燥することにより塗膜を形成することができる。
【0055】
(Tp)
乾燥後の塗膜の膜厚Tpは、5μm以上が好ましく、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは15μm以上である。膜厚が5μm未満では、継続的な使用により塗膜が摩耗消失しやすくなる傾向がある。また、膜厚を厚くすることによりアプローチショットのスピン量が増大するからである。また、塗膜の膜厚は、50μm以下が好ましく、45μm以下がより好ましく、40μm以下がさらに好ましい。膜厚が50μmよりも大きいとディンプルの効果が低下してゴルフボールの飛行性能が低下するおそれがある。塗膜の膜厚は、例えば、ゴルフボールの断面をマイクロスコープ(キーエンス社製VHX−1000)を用いて測定することができる。なお、塗料を複数回重ね塗りした場合は、形成された塗膜全体の厚みが上記範囲であることが好ましい。
【0056】
[ゴルフボール本体]
前記ゴルフボール本体は、球状コアと、前記球状コアを被覆する内中間層と、前記内中間層を被覆する外中間層と、前記外中間層を被覆するカバーとを有する。
【0057】
〔球状コア〕
前記球状コアの構造は、特に限定されず、単層構造でもよいし、2層以上の多層構造でもよい。硬度設計が容易であることから、球状の内層コアとこの内層コアを被覆する外層コアとから構成される2層コアが好ましい。
【0058】
前記球状コアの表面硬度Hsと中心硬度Hoとの硬度差(Hs−Ho)は、JIS−C硬度で、20以上が好ましく、より好ましくは24以上、さらに好ましくは28以上である。前記硬度差(Hs−Ho)が20以上であれば、ドライバーショットにおけるスピン量が低下し、飛距離が向上する。前記硬度差(Hs−Ho)の上限は特に限定されないが、50以下が好ましく、より好ましくは45以下、さらに好ましくは40以下である。
【0059】
球状コアの中心硬度Hoは、JIS−C硬度で、40以上が好ましく、より好ましくは50以上、さらに好ましくは55以上である。球状コアの中心硬度HoがJIS−C硬度で40以上であれば、反発性が良好となる。また、球状コアの中心硬度Hoは、JIS−C硬度で80以下が好ましく、より好ましくは76以下であり、さらに好ましくは72以下である。前記中心硬度HoがJIS−C硬度で80以下であれば、ドライバーショットでのスピン量が低下する。
【0060】
球状コアの表面硬度Hsは、JIS−C硬度で、80以上が好ましく、より好ましくは82以上、さらに好ましくは84以上であり、96以下が好ましく、より好ましくは94以下、さらに好ましくは92以下である。前記球状コアの表面硬度が、JIS−C硬度で80以上であれば、ドライバーショットでのスピン量が低下する。また、前記球状コアの表面硬度がJIS−C硬度で96以下であれば球状コアが硬くなり過ぎず、耐久性が良好となる。
【0061】
前記球状コアの直径は、37.0mm以上が好ましく、より好ましくは37.5mm以上、さらに好ましくは38.5mm以上である。前記球状コアの直径が37.0mm以上であれば、反発性がより良好となる。前記球状コアの直径の上限は特に限定されないが、40.5mm以下が好ましく、40.0mm以下がより好ましく、さらに好ましくは39.5mm以下である。
【0062】
前記球状コアは、直径37.0mm〜40.5mmの場合、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの圧縮変形量(圧縮方向にコアが縮む量)が、2.3mm以上が好ましく、より好ましくは2.5mm以上であり、4.5mm以下が好ましく、より好ましくは4.2mm以下である。前記圧縮変形量が、2.3mm以上であれば打球感がより良好となり、4.5mm以下であれば、反発性がより良好となる。
【0063】
前記球状コアには、公知のゴム組成物(以下、単に「コア用ゴム組成物」という場合がある)を用いることができ、例えば、基材ゴム、共架橋剤および架橋開始剤を含むゴム組成物を加熱プレスして成形することができる。
【0064】
前記基材ゴムとしては、特に、反発に有利なシス結合が40質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上のハイシスポリブタジエンを用いることが好ましい。
【0065】
前記共架橋剤としては、炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸またはその金属塩が好ましく、アクリル酸の金属塩またはメタクリル酸の金属塩がより好ましい。金属塩の金属としては、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、ナトリウムが好ましく、より好ましくは亜鉛である。共架橋剤の使用量は、基材ゴム100質量部に対して20質量部以上50質量部以下が好ましい。
【0066】
架橋開始剤としては、有機過酸化物が好ましく用いられる。具体的には、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t―ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物が挙げられ、これらのうちジクミルパーオキサイドが好ましく用いられる。架橋開始剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.2質量部以上が好ましく、より好ましくは0.3質量部以上であって、3質量部以下が好ましく、より好ましくは2質量部以下である。
【0067】
また、前記コア用ゴム組成物は、さらに、有機硫黄化合物を含有してもよい。前記有機硫黄化合物としては、ジフェニルジスルフィド類、チオフェノール類、チオナフトール類を好適に使用することができる。有機硫黄化合物の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、より好ましくは0.3質量部以上であって、5.0質量部以下が好ましく、より好ましくは3.0質量部以下である。
【0068】
前記コア用ゴム組成物は、さらに脂肪酸および/またはその金属塩を含有してもよい。脂肪酸としては、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸のいずれも使用できるが、飽和脂肪酸が好ましい。飽和脂肪酸としては、例えば、カプリル酸(オクタン酸)、ペラルゴン酸(ノナン酸)、カプリン酸(デカン酸)、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸が挙げられる。金属塩の金属としては、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、ナトリウムが好ましく、より好ましくは亜鉛である。なお、脂肪酸および/またはその金属塩には、前記共架橋剤として使用する炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩は含まれないものとする。
【0069】
前記脂肪酸および/またはその金属塩の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、1質量部以上、40質量部以下である。なお、共架橋剤として使用されるアクリル酸亜鉛の表面は、ゴムへの分散性を向上するためにステアリン酸亜鉛で処理されている場合がある。このようなステアリン酸亜鉛で表面処理されたアクリル酸亜鉛を使用する場合、表面処理剤であるステアリン酸亜鉛の量が脂肪酸および/またはその金属塩の含有量に含まれるものとする。
【0070】
前記コア用ゴム組成物には、基材ゴム、共架橋剤、架橋開始剤、有機硫黄化合物に加えて、さらに、酸化亜鉛や硫酸バリウムなどの重量調整剤、老化防止剤、色粉などを適宜配合することができる。前記コア用ゴム組成物の加熱プレス成型条件は、ゴム組成に応じて適宜設定すればよいが、通常、130℃〜200℃で10分間〜60分間加熱するか、あるいは130℃〜150℃で20分間〜40分間加熱した後、160℃〜180℃で5分間〜15分間と2段階加熱することが好ましい。
【0071】
〔内中間層〕
前記ゴルフボール本体は、球状コアの外側に配設された内中間層を有する。前記内中間層は、10%モジュラス値が比較的大きい。このような内中間層を設けることにより、ゴルフボールのドライバーショットでのスピン量を低減できる。
【0072】
(Tinm)
前記内中間層の厚さTinmは0.7mm以上が好ましく、より好ましくは0.8mm以上、さらに好ましくは0.9mm以上であり、1.6mm以下が好ましく、より好ましくは1.4mm以下、さらに好ましくは1.2mm以下である。内中間層の厚さが0.7mm以上であればゴルフボールの耐久性が向上し、1.6mm以下であれば相対的にコアの直径が大きくなり、反発性能が向上する。
【0073】
(Minm)
前記内中間層の10%モジュラスMinmは、120kgf/cm
2(11.8MPa)以上が好ましく、より好ましくは140kgf/cm
2(13.7MPa)以上、さらに好ましくは160kgf/cm
2(15.7MPa)以上である。内中間層の10%モジュラスが、120kgf/cm
2以上であれば、ドライバーショットでのスピン量が低下し、飛距離が向上する。内中間層の10%モジュラスの上限は、特に限定されないが、400kgf/cm
2(39.2MPa)が好ましく、370kgf/cm
2(36.3MPa)がより好ましい。
【0074】
(Hinm)
前記内中間層の硬度は、ショアD硬度で、62以上が好ましく、より好ましくは65以上、さらに好ましくは68以上であり、75以下が好ましく、より好ましくは74以下、さらに好ましくは73以下である。硬度がショアD硬度で62以上であればドライバーショットでのスピン量が低下し、飛距離がより向上する。また、75以下であれば打球感が向上し、アプローチショットのスピン量も高くなる。内中間層の硬度は、内中間層を形成する中間層用組成物をシート状に成形して測定したスラブ硬度である。
【0075】
(Vinm)
前記ゴルフボール本体中の前記中間層の体積Vinmが占める割合は、7.0体積%以上が好ましく、より好ましくは8.0体積%以上、さらに好ましくは9.0体積%以上であり、18.0体積%以下が好ましく、より好ましくは16.0体積%以下、さらに好ましくは14.0体積%以下である。前記割合が7.0体積%以上であればドライバーショットでのスピン量が低下し、飛距離がより向上する。また、14.0体積%以下であればアプローチショットのスピン量も高くなる。なお、ゴルフボール本体の体積は、ディンプルが形成されていないと仮定した場合の体積である。
【0076】
〔外中間層〕
前記ゴルフボール本体は、内中間層の外側に配設された外中間層を有する。前記外中間層は、その10%モジュラス値が内中間層よりも小さく、カバーよりも大きい。このような外中間層を設けることにより、打球感が向上し、ドライバーショットの飛距離とアプローチショットのスピン量を両立できる。
【0077】
(Toum)
前記外中間層の厚さToumは0.5mm以上が好ましく、より好ましくは0.6mm以上、さらに好ましくは0.7mm以上であり、1.2mm以下が好ましく、より好ましくは1.0mm以下、さらに好ましくは0.9mm以下である。外中間層の厚さが0.5mm以上であればゴルフボールの耐久性が向上し、1.2mm以下であればドライバーショットでのスピン量が低下し、飛距離が向上する。
【0078】
(Moum)
前記外中間層の10%モジュラスMoumは、45kgf/cm
2(4.4MPa)以上が好ましく、より好ましくは50kgf/cm
2(4.9MPa)以上、さらに好ましくは55kgf/cm
2(5.4MPa)以上である。外中間層の10%モジュラスが、45kgf/cm
2以上であれば、ドライバーショットでのスピン量が低下し、飛距離が向上する。外中間層の10%モジュラスの上限は、特に限定されないが、150kgf/cm
2(14.7MPa)が好ましく、130kgf/cm
2(12.7MPa)がより好ましい。
【0079】
(Houm)
前記外中間層の硬度は、ショアD硬度で、42以上が好ましく、より好ましくは45以上、さらに好ましくは48以上であり、61以下が好ましく、より好ましくは59以下、さらに好ましくは57以下である。硬度がショアD硬度で42以上であればドライバーショットでのスピン量が低下し、飛距離がより向上する。また、61以下であればアプローチショットのスピン量も高くなる。外中間層の硬度は、外中間層を形成する中間層用組成物をシート状に成形して測定したスラブ硬度である。
【0080】
(Voum)
前記ゴルフボール本体中の前記外中間層の体積Voumが占める割合は、6.0体積%以上が好ましく、より好ましくは7.0体積%以上、さらに好ましくは8.0体積%以上であり、15.0体積%以下が好ましく、より好ましくは14.0体積%以下、さらに好ましくは13.0体積%以下である。前記割合が6.0体積%以上であればドライバーショットでのスピン量が低下し、飛距離がより向上する。また、15.0体積%以下であればアプローチショットのスピン量も高くなる。なお、ゴルフボール本体の体積は、ディンプルが形成されていないと仮定した場合の体積である。
【0081】
前記内中間層、外中間層の材質としては、例えば、ポリウレタン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂;スチレンエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマーなどの熱可塑性エラストマー;ゴム組成物の硬化物などが挙げられる。ここで、アイオノマー樹脂としては、例えば、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸との共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、またはエチレンとα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したものが挙げられる。前記内中間層、外中間層には、さらに、硫酸バリウム、タングステンなどの比重調整剤、老化防止剤、顔料などが配合されていてもよい。
【0082】
前記内中間層、外中間層の材料の具体例を商品名で例示すると、三井・デュポンポリケミカル(株)から商品名「ハイミラン(Himilan)(登録商標)」で市販されているアイオノマー樹脂または商品名「ニュクレル(登録商標)」で市販されているエチレン−メタクリル酸共重合体、BASFジャパン(株)から商品名「エラストラン(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリウレタンエラストマー、アルケマ(株)から商品名「ペバックス(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリアミドエラストマー、東レ・デュポン(株)から商品名「ハイトレル(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリエステルエラストマー、三菱化学(株)から商品名「ラバロン(登録商標)」で市販されている熱可塑性スチレンエラストマーまたは商品名「プリマロイ(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリエステル系エラストマーなどを挙げることができる。前記内中間層、外中間層の材料は、単独であるいは2種以上を混合して使用してもよい。
【0083】
前記内中間層は、中間層用組成物を球状コア上に直接射出成形することで形成できる。また、前記外中間層は、中間層用組成物を内中間層上に直接射出成形することで成形できる。
【0084】
〔カバー〕
前記ゴルフボール本体は、外中間層の外側に配設されたカバーを有する。前記カバーは、10%モジュラス値が比較的小さい。このようなカバーを設けることにより、アプローチショットのスピン量も高くなる。
【0085】
(Tc)
前記カバーの厚さTcは0.1mm以上が好ましく、より好ましくは0.2mm以上、さらに好ましくは0.3mm以上であり、0.6mm以下が好ましく、より好ましくは0.5mm以下、さらに好ましくは0.4mm以下である。カバーの厚さが0.1mm以上であればアプローチショットのスピン量がより高くなり、0.6mm以下であればドライバーショットでのスピン量が低下し、飛距離がより向上する。
【0086】
(Mc)
前記カバーの10%モジュラスMcは、20kgf/cm
2(2.0MPa)以下が好ましく、より好ましくは18kgf/cm
2(1.8MPa)以下、さらに好ましくは15kgf/cm
2(1.5MPa)以下である。カバーの10%モジュラスが、20kgf/cm
2以下であれば、打球感が向上し、アプローチショットのスピン量も高くなる。カバーの10%モジュラスの下限は、特に限定されないが、3kgf/cm
2(0.3MPa)が好ましく、6kgf/cm
2(0.6MPa)がより好ましい。
【0087】
(Hc)
前記カバーの硬度は、ショアD硬度で、20以上が好ましく、より好ましくは23以上、さらに好ましくは25以上であり、38以下が好ましく、より好ましくは36以下、さらに好ましくは34以下である。カバーの硬度がショアD硬度で20以上であればドライバーショットでのスピン量が低下し、飛距離がより向上する。また、38以下であればアプローチショットのスピン量も高くなる。カバー硬度は、カバーを形成するカバー用組成物をシート状に成形して測定したスラブ硬度である。
【0088】
(Vc)
前記ゴルフボール本体中の前記カバーの体積Vcが占める割合は、3.0体積%以上が好ましく、より好ましくは3.5体積%以上、さらに好ましくは4.0体積%以上であり、10体積%未満が好ましく、より好ましくは9.0体積%以下、さらに好ましくは8.0体積%以下である。前記割合が3.0体積%以上であればアプローチショットのスピン量が高くなり、10体積%未満であればドライバーショットでのスピン量が低下し、飛距離が向上する。なお、ゴルフボール本体の体積およびカバーの体積は、ディンプルが形成されていないと仮定した場合の体積である。
【0089】
前記カバーを構成するカバー材料としては、特に限定されるものではなく、例えば、アイオノマー樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリスチレンなどが挙げられ、ポリウレタン、アイオノマー樹脂が好ましい。特に、アプローチショットでのスピン性能や耐擦過傷性の観点から、ポリウレタンが好適である。
【0090】
前記ポリウレタンは、いわゆる熱可塑性ポリウレタンや熱硬化性ポリウレタンのいずれの態様であってもよい。熱可塑性ポリウレタンとは、加熱により可塑性を示すポリウレタンであり、一般に、ある程度高分子量化された直鎖構造を有するポリウレタンを意味する。一方、熱硬化性ポリウレタン(二液硬化型ポリウレタン)は、カバーを成形する際に、低分子量のウレタンプレポリマーと硬化剤(鎖長延長剤)とを反応させて高分子量化することにより得られるポリウレタンである。熱硬化性ポリウレタンには、使用するプレポリマーや硬化剤(鎖長延長剤)の官能基の数を制御することによって、直鎖構造のポリウレタンや3次元架橋構造を有するポリウレタンが含まれる。前記ポリウレタンとしては、熱可塑性エラストマーが好ましい。
【0091】
前記アイオノマー樹脂としては、例えば、オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、あるいは、これらの混合物を挙げることができる。前記オレフィンとしては、炭素数が2〜8個のオレフィンが好ましく、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン等を挙げることができ、特にエチレンが好ましい。前記炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸等が挙げられ、特にアクリル酸またはメタクリル酸が好ましい。また、α,β−不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸等のメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、イソブチルエステル等が用いられ、特にアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルが好ましい。これらのなかでも、前記アイオノマー樹脂としては、エチレン−(メタ)アクリル酸二元共重合体の金属イオン中和物、エチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル三元共重合体の金属イオン中和物が好ましい。
【0092】
前記カバー材料の具体例を商品名で例示すると、三井・デュポンポリケミカル(株)から商品名「ハイミラン(Himilan)(登録商標)」で市販されているアイオノマー樹脂、BASFジャパン(株)から商品名「エラストラン(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリウレタンエラストマー、アルケマ(株)から商品名「ペバックス(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリアミドエラストマー、東レ・デュポン(株)から商品名「ハイトレル(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリエステルエラストマー、三菱化学(株)から商品名「ラバロン(登録商標)」で市販されている熱可塑性スチレンエラストマーまたは商品名「プリマロイ(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリエステル系エラストマーなどを挙げることができる。前記カバー材料は、単独であるいは2種以上を混合して使用してもよい。
【0093】
前記カバーは、上述した樹脂成分のほか、白色顔料(例えば、酸化チタン)、青色顔料、赤色顔料などの顔料成分、炭酸カルシウムや硫酸バリウムなどの比重調整剤、分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤(例えば、ヒンダードアミン系光安定剤)、蛍光材料または蛍光増白剤などを、カバーの性能を損なわない範囲で含有してもよい。
【0094】
カバー用組成物を用いてカバーを成形する態様は、特に限定されないが、カバー用組成物をコア上に直接射出成形する態様、あるいは、カバー用組成物から中空殻状のシェルを成形し、コアを複数のシェルで被覆して圧縮成形する態様(好ましくは、カバー用組成物から中空殻状のハーフシェルを成形し、コアを2枚のハーフシェルで被覆して圧縮成形する方法)を挙げることができる。カバーが成形されたゴルフボール本体は、金型から取り出し、必要に応じて、バリ取り、洗浄、サンドブラストなどの表面処理を行うことが好ましい。また、所望により、マークを形成することもできる。
【0095】
カバーに形成されるディンプルの総数は、200個以上500個以下が好ましい。ディンプルの総数が200個未満では、ディンプルの効果が得られにくい。また、ディンプルの総数が500個を超えると、個々のディンプルのサイズが小さくなり、ディンプルの効果が得られにくい。形成されるディンプルの形状(平面視形状)は、特に限定されるものではなく、円形;略三角形、略四角形、略五角形、略六角形などの多角形;その他不定形状;を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。
【0096】
本発明において、全てのディンプルの面積の合計の仮想球の表面積に対する比率は、占有率と称される。仮想球とは、ディンプルが存在しないとしたときのゴルフボール(球体)である。本発明のゴルフボールにおいて、ディンプルの占有率は、60%以上が好ましく、63%以上がより好ましく、66%以上がさらに好ましく、90%以下が好ましく、87%以下がより好ましく、84%以下がさらに好ましい。占有率が高くなりすぎると、摩擦係数に対する塗膜の寄与が小さくなる。また、占有率が小さすぎると、飛行性能が低下する。
【0097】
なお、ディンプルの面積は、無限遠からゴルフボールの中心を見た場合の、輪郭線に囲まれた領域の面積である。円形ディンプルの場合、面積Sは下記数式によって算出される。
S=(Di/2)
2・π (Di:ディンプルの直径)
【0098】
〔補強層〕
前記ゴルフボール本体は、中間層とカバーとの間に補強層を備えていてもよい。補強層は、中間層と堅固に密着し、カバーとも堅固に密着する。補強層により、中間層からカバーの剥離が抑制される。特に、薄いカバーを有するゴルフボールが、クラブフェースのエッジで打撃されると、シワが生じやすい。補強層により、シワが抑制される。
【0099】
補強層は、樹脂成分を含有する補強層用組成物から形成される。前記樹脂成分としては、二液硬化型熱硬化性樹脂が好適に用いられる。二液硬化型熱硬化性樹脂の具体例としては、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル系樹脂及びセルロース系樹脂が挙げられる。補強層の強度及び耐久性の観点から、二液硬化型エポキシ樹脂及び二液硬化型ウレタン樹脂が好ましい。
【0100】
補強層用組成物は、着色材(例えば、二酸化チタン)、リン酸系安定剤、酸化防止剤、光安定剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤等の添加剤を含んでもよい。添加剤は、二液硬化型熱硬化性樹脂の主剤に添加されてもよく、硬化剤に添加されてもよい。
【0101】
ゴルフボール本体の直径は、40mm〜45mmが好ましい。米国ゴルフ協会(USGA)の規格が満たされるとの観点から、直径は、42.67mm以上が好ましい。空気抵抗の観点から、直径は44mm以下が好ましく、42.80mm以下がより好ましい。ゴルフボールの質量は、40g以上50g以下が好ましい。大きな慣性が得られるとの観点から、質量は44g以上が好ましく、45g以上がより好ましい。USGAの規格が満たされるとの観点から、質量は45.93g以下が好ましい。
【0102】
本発明のゴルフボールは、直径40mm〜45mmの場合、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときの圧縮変形量(圧縮方向に縮む量)は、2.0mm以上であることが好ましく、より好ましくは2.1mm以上であり、さらに好ましくは2.2mm以上であり、最も好ましくは2.3mm以上であり、4.0mm以下であることが好ましく、より好ましくは3.7mm以下である。前記圧縮変形量が2.0mm以上のゴルフボールは、硬くなり過ぎず、打球感が良い。一方、圧縮変形量を4.0mm以下にすることにより、反発性が高くなる。
【0103】
前記ゴルフボール本体の構造としては、単層コアと、この単層コアを被覆する内中間層と、この内中間層を被覆する外中間層と、この外中間層を被覆するカバーとを有するフォーピースゴルフボール;2層コアと、この2層コアを被覆する内中間層と、この内中間層を被覆する外中間層と、この外中間層を被覆するカバーとを有するファイブピースゴルフボールなどが挙げられる。
【0104】
図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフボール1が示された一部切り欠き断面図である。ゴルフボール1は、球状の内層コア21と前記内層コア21の外側に配設された外層コア22とから構成される球状コア2と、この球状コア2の外側に配設された内中間層3と、この内中間層の外側に配設された外中間層4と、この外中間層の外側に配設された補強層5と、この補強層5の外側に配設されたカバー6と、このカバー6の表面に設けられた塗膜7を有する。前記カバー6の表面には、多数のディンプル61が形成されている。このカバー6の表面のうち、ディンプル61以外の部分は、ランド62である。
【実施例】
【0105】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0106】
[評価方法]
(1)スラブ硬度(ショアD硬度)
カバー用組成物または中間層用組成物を用いて、射出成形により、厚み約2mmのシートを作製し、23℃で2週間保存した。このシートを、測定基板などの影響が出ないように、3枚以上重ねた状態で、ASTM−D2240に規定するスプリング式硬度計ショアD型を備えた高分子計器社製自動ゴム硬度計P1型を用いて測定した。
【0107】
(2)コア硬度(JIS−C硬度)
スプリング式硬度計JIS−C型を備えた高分子計器社製自動ゴム硬度計P1型を用いて、コアの表面部において測定したJIS−C硬度をコア表面硬度とした。また、コアを半球状に切断し、切断面の中心において測定したJIS−C硬度をコア中心硬度とした。
【0108】
(3)圧縮変形量(mm)
ゴルフボールに初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの圧縮方向の変形量(圧縮方向にゴルフボールが縮む量)を測定した。
【0109】
(4)カバー、内中間層、外中間層の機械的特性
カバー用組成物または中間層用組成物を用いて、射出成形により、厚み約2mmのシートを作製し、23℃で2週間保存した。ISO 527−1に準じて、このシートからダンベル型試験片(標線間距離:73mm、平行部の幅:5.0mm)を作製し、島津製作所製引張試験測定装置(引張速度:100mm/分、測定温度:23℃)を用いて物性を測定し、10%伸長時のモジュラス(引張弾性率)を算出した。
【0110】
(5)塗膜の機械的物性
主剤および硬化剤を配合した塗料を40℃で4時間乾燥及び硬化をさせて塗膜を作製した。JIS−K7161に準じて、この塗膜をダンベル形状(標線間距離:20mm、平行部の幅:10mm)に打ち抜いて試験片を作製し、島津製作所製引張試験測定装置を用いて塗膜の物性を測定し、10%伸長時のモジュラス(引張弾性率)を算出した。
試験片の膜厚:0.05mm
引張速度:50mm/分
測定温度:23℃
【0111】
(6)反発係数
各ゴルフボールに198.4gの金属製円筒物を45m/秒の速度で衝突させ、衝突前後の前記円筒物およびゴルフボールの速度を測定し、それぞれの速度および質量から各ゴルフボールの反発係数を算出した。測定は各ゴルフボールについて12個ずつ行って、その平均値をそのゴルフボールの反発係数とした。なお、反発係数は、ゴルフボールNo.1の反発係数を100として、指数化した値で示した。
【0112】
(7)ドライバーショットの飛距離(m)およびスピン量(rpm)
ツルーテンパー社製のスイングマシンに、チタンヘッドを備えたドライバー(ダンロップスポーツ社製、XXIO S ロフト10.0°)を取り付け、ヘッドスピード45m/秒でゴルフボールを打撃し、打撃直後のゴルフボールのスピン速度、ならびに飛距離(発射始点から静止地点までの距離)を測定した。測定は、各ゴルフボールについて10回ずつ行って、その平均値をそのゴルフボールの測定値とした。なお、打撃直後のゴルフボールのスピン速度は、打撃されたゴルフボールを連続写真撮影することによって測定した。
【0113】
(8)アプローチショットのスピン量
ツルーテンパー社製スイングマシンに、サンドウエッジ(クリーブランドゴルフ社製CG15フォージドウエッジ(58°))を取り付け、ヘッドスピード10m/秒でゴルフボールを打撃し、打撃されたゴルフボールを連続写真撮影することによってスピン量(rpm)を測定した。測定は、各ゴルフボールについて10回ずつ行い、その平均値をスピン量とした。
【0114】
(9)打球感
アマチュアゴルファー(上級者)10人により、サンドウエッジ(クリーブランドゴルフ社製CG15フォージドウエッジ(58°))を用いた実打テストを行った。フィーリング良好(フェースに乗っている感じがして良い、ひっかかる感じがして良い、スピンがきく感じがして良い、くっつく感じがして良い等)と答えた人数に基づいて、以下のように評価した。
◎:8人以上
○:4人〜7人
△:3人以下
【0115】
(10)耐汚染性
ゴルフボールを、ヨードチンキ(ヨウ素を6質量%、ヨウ化カリウムを4質量%含有するエタノール溶液)を40倍に希釈したヨードチンキ水に30秒間浸漬して、取り出した。ゴルフボール表面に付着している余分なヨードチンキ水を拭きとった後、色差計(コニカミノルタ社製CM3500D)を用いて、浸漬前後のゴルフボールの色調(L,a,b)を測定し、色差(ΔE)を次式にて算出した。なお、色差(ΔE)の値が大きいほど、変色の度合いが大きいことを意味する。
ΔE=[(ΔL)
2+(Δa)
2+(Δb)
2]
1/2
評価基準
◎:ΔEが15以下
○:ΔEが15超20以下
△:ΔEが20超25未満
×:ΔEが25以上
【0116】
[ゴルフボールの作製]
1.コアの作製
表1に示す配合のゴム組成物を混練し、半球状キャビティを有する上下金型内で、表2に示した条件で加熱成形することにより内層コアを作製した。次に、表1に示した配合のゴム組成物を混練し、ハーフシェル成形用金型を用いてハーフシェルを成形した。上記で得た内層コアを2枚のハーフシェルで同心円状に被覆した。これらの内層コアおよび2枚のハーフシェルを、半球状キャビティを有する上下金型内で表2に示した条件で加熱プレスすることにより球状コアを得た。なお、硫酸バリウムの配合量は、最終的に得られるゴルフボールの質量が45.6gになるように調整した。
【0117】
【表1】
ポリブタジエンゴム:JSR(株)製、「BR730(ハイシスポリブタジエン)」
アクリル酸亜鉛:三新化学社製、「サンセラー(登録商標) SR」(10質量%ステアリン酸コーティング品)
酸化亜鉛:東邦亜鉛社製、「銀嶺R」
硫酸バリウム:堺化学社製、「硫酸バリウムBD」
2−チオナフトール:東京化成工業社製
ジクミルパーオキサイド:日油社製、「パークミル(登録商標) D」
オクタン酸亜鉛:三津和化学薬品社製
【0118】
【表2】
【0119】
2.中間層用組成物およびカバー用組成物の調製
表3、表4に示した配合の材料を、二軸混練型押出機によりミキシングして、ペレット状の中間層用組成物およびカバー用組成物を調製した。押出条件は、スクリュー径45mm、スクリュー回転数200rpm、スクリューL/D=35であり、配合物は、押出機のダイの位置で160〜230℃に加熱された。
【0120】
【表3】
サーリン8150:デュポン社製、ナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体アイオノマー樹脂
サーリン9150:デュポン社製、亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体アイオノマー樹脂
ポリアミド6:東レ社製
ハイミランAM7337:三井・デュポン・ポリケミカル社製、ナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体アイオノマー樹脂
ハイミランAM7329:三井・デュポン・ポリケミカル社製、亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体アイオノマー樹脂
ニュクレルN1050H:三井・デュポン・ポリケミカル社製、エチレン−メタクリル酸共重合体
ラバロンT3221C:三井化学社製、スチレン系エラストマー
【0121】
【表4】
エラストランXNY75A:BASFジャパン社製、熱可塑性ポリウレタンエラストマー
エラストランXNY82A:BASFジャパン社製、熱可塑性ポリウレタンエラストマー
エラストランXNY88A:BASFジャパン社製、熱可塑性ポリウレタンエラストマー
エラストランXNY95A:BASFジャパン社製、熱可塑性ポリウレタンエラストマー
チヌビン770:BASFジャパン社製、ヒンダードアミン系光安定剤
【0122】
3.中間層の成形
上記で得た中間層用組成物を、前述のようにして得た球状コア上に直接射出成形することにより、前記球状コアを被覆する内中間層を形成した。また、上記で得た中間層用組成物を、内中間層上に直接射出成形することにより、前記内中間層を被覆する外中間層を形成した。成形用上下型は、半球状キャビティと、球体を支持する進退可能なホールドピンとを有している。中間層成形時には、上記ホールドピンを突き出し、球状コアまたは内中間層を形成した球状コアを投入後ホールドさせ、金型に中間層用組成物を注入し、冷却して型開きして球体を取り出した。
【0123】
4.補強層の形成
二液硬化型エポキシ樹脂を基材樹脂とする補強層用組成物(神東塗料社製、商品名「ポリン750LE」)を調製した。主剤は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を30質量部と、溶剤を70質量部含有する。硬化剤は、変性ポリアミドアミンを40質量部、酸化チタンを5質量部、溶剤を55質量部含有する。主剤と硬化剤との質量比は、1/1とした。この補強層用組成物を中間層被覆球体の表面にエアーガンで塗布し、23℃雰囲気下で12時間保持して、補強層を形成した。補強層の厚みは、7μmであった。
【0124】
5.カバーの成形
ペレット状のカバー用組成物をハーフシェル成形用金型の下型の凹部ごとに1つずつ投入し、加圧してハーフシェルを成形した。圧縮成形は、成形温度170℃、成形時間5分、成形圧力2.94MPaの条件で行った。補強層を形成した中間層被覆球体を2枚のハーフシェルで同心円状に被覆した。この球体およびハーフシェルを、キャビティ面に多数のピンプルを備えたファイナル金型に投入し、圧縮成形によりカバーを成形した。圧縮成形は、成形温度145℃、成形時間2分、成形圧力9.8MPaの条件で行った。カバーには、ピンプルの形状が反転した形状のディンプルが多数形成された。
【0125】
6.塗料の調製
主剤の調製
ポリオール成分として、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)、トリメチロールプロパン(TMP)を溶剤(トルエン、メチルエチルケトン)に溶解した。ここに、触媒としてジブチル錫ラウレートを主剤全体に対して0.1質量%となるように添加した。このポリオール溶液を80℃に保持しながらポリイソシアネート成分としてのイソホロンジイソシアネート(IPDI)を滴下混合した。滴下後は、イソシアネートがなくなるまで攪拌を続け、その後常温で冷却し、ウレタンポリオール(固形分:30質量%)を調製した。各ウレタンポリオールの組成等を表5に示した。
【0126】
【表5】
【0127】
硬化剤の調製
ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(旭化成ケミカルズ社製、デュラネート(登録商標)TKA−100(NCO含有率:21.7質量%))30質量部、ヘキサメチレンジイソシアネートのビュレット変性体(旭化成ケミカルズ社製、デュラネート21S−75E(NCO含有率:15.5質量%))30質量部、イソホロンジイソシアネート(BAYER社製、デスモジュール(登録商標) Z 4470(NCO含有率:11.9質量%))40質量部を混合した。ここに、溶媒として、メチルエチルケトン、酢酸n−ブチル、トルエンの混合溶媒を追加し、ポリイソシアネート成分の濃度が60質量%になるように調整した。
【0128】
塗料の調製
上記で調製した主剤に対して、表6〜9に示したNCO/OH比となるように硬化剤を配合して塗料を調製した。
【0129】
7.塗膜の形成
上記で得たゴルフボール本体の表面をサンドブラスト処理して、マーキングを施した後、スプレーガンで塗料を塗布し、40℃のオーブンで24時間塗料を乾燥させ、直径42.7mm、質量45.6gのゴルフボールを得た。塗膜の厚さは、20μmとした。塗装は、プロングを備えた回転体にゴルフボール本体を載置し、回転体を300rpmで回転させ、ゴルフボール本体からエアーガンを吹き付け距離(7cm)だけ離間させて上下方向に移動させながら行った。重ね塗りの各回のインターバルを1.0秒とした。エアーガンの吹付条件は、重ね塗り;2回、吹付エアー圧;0.15MPa、圧送タンクエアー圧;0.10MPa、1回の塗布時間;1秒、雰囲気温度;20℃〜27℃、雰囲気湿度;65%以下の条件で塗装とした。
【0130】
得られたゴルフボールの評価結果を表6〜9に示した。
【0131】
【表6】
【0132】
【表7】
【0133】
【表8】
【0134】
【表9】
【0135】
ゴルフボールNo.5は、MinmとMoumが同じ場合であるが、ドライバーショットでの飛距離が劣る。ゴルフボールNo.8は、差(Moum−Mc)が55以下の場合であるが、アプローチショットでのスピン量が低く、また打球感が劣る。ゴルフボールNo.9は、カバーが外中間層よりも厚く(Toum<Tc)、比(Toum×Moum)/(Tc×Mc)が8.0以下の場合であるが、ドライバーショットでの飛距離が劣る。ゴルフボールNo.10は、外中間層が内中間層よりも厚く(Tinm<Toum)、比(Tinm×Minm)/(Toum×Moum)が1.8以下の場合であるが、ドライバーショットでの飛距離が劣る。ゴルフボールNo.11は、差(Minm−Moum)が50以下の場合であるが、アプローチショットでのスピン量が低く、また打球感が劣る。ゴルフボールNo.14、31は、比(Tc×Mc)/(Tp×Mp)が2.4以下の場合であるが、アプローチショットでのスピン量が低い。ゴルフボールNo.15は、塗膜の10%モジュラスが100kgf/cm
2を超え、かつ、比(Tc×Mc)/(Tp×Mp)が2.4以下の場合であるが、アプローチショットでのスピン量が低く、また打球感が劣る。ゴルフボールNo.18は、数平均分子量が650のポリエーテルジオールを用いており、かつ、Mp≦200×X−75の要件を満たさない場合であるが、耐汚染性が劣る。ゴルフボールNo.22は、比(Tinm×Minm)/(Toum×Moum)が1.8以下の場合であるが、アプローチショットでのスピン量が低い。ゴルフボールNo.27、28は、比(Toum×Moum)/(Tc×Mc)が8.0以下の場合であるが、打球感が劣る。