特許第6278976号(P6278976)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6278976-磁石式留め具を備えた容器 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6278976
(24)【登録日】2018年1月26日
(45)【発行日】2018年2月14日
(54)【発明の名称】磁石式留め具を備えた容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/10 20060101AFI20180205BHJP
   B65D 5/66 20060101ALI20180205BHJP
   B41M 1/40 20060101ALI20180205BHJP
【FI】
   B65D85/10
   B65D5/66 331Z
   B41M1/40 Z
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-548664(P2015-548664)
(86)(22)【出願日】2013年12月20日
(65)【公表番号】特表2016-506341(P2016-506341A)
(43)【公表日】2016年3月3日
(86)【国際出願番号】EP2013077852
(87)【国際公開番号】WO2014096427
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2016年12月16日
(31)【優先権主張番号】12199285.3
(32)【優先日】2012年12月21日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ブルゴワン フィリップ
【審査官】 植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−296641(JP,A)
【文献】 特開2010−208333(JP,A)
【文献】 特開昭62−146154(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/10
B41M 1/40
B65D 5/00−5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消費財のための容器であって、前記容器が少なくとも第一および第二の折り曲げられたブランクから形成され、また前記折り曲げられたブランクのうち一方は、もう一方の折り曲げられたブランクの内部に実質的に含まれ、前記容器が、
消費財を受けるための区画と、
前記第一の折り曲げられたブランクにより画定され、前記第二の折り曲げられたブランクに対して、消費財を前記区画から除去できない閉位置と消費財を前記区画から除去できる開位置との間で移動可能である可動部分と、
前記可動部分上に提供された第一の磁性材料と前記第二の折り曲げられたブランク上に提供された第二の磁性材料とを含み、ここで前記第一および第二の磁性材料のそれぞれの厚みが約0.1ミリメートル〜約0.4ミリメートルであり、またここで磁石式留め具が可動部分を閉位置に開放可能なように保持されるように、可動部分が閉位置にあるときに相互に重なるように前記第一および第二の磁性材料が配列される磁石式留め具とを含み、
前記第一および第二の磁性材料のうち少なくとも一つが磁化可能な材料であり、かつ磁化可能な材料の一部のみが磁化される、容器。
【請求項2】
前記第一および第二の磁性材料が同一の磁性材料を含む、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記第一および第二の磁性材料の一方が磁化された材料を含み、もう一方が磁化可能な材料を含む、請求項1〜2のいずれか1項に記載の容器。
【請求項4】
前記第一および第二の磁性材料のうち少なくとも一つ全体に塗布される少なくとも一つのインクをさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の容器。
【請求項5】
消費財のための容器を形成する方法であって、前記方法が、
第一および第二の層状ブランクを提供する工程と、
第一の磁性材料を前記第一の層状ブランク上に塗布する工程であって、前記第一の磁性材料の厚みが約0.1ミリメートル〜約0.4ミリメートルである工程と、
第二の磁性材料を前記第二の層状ブランク上に塗布する工程であって、前記第二の磁性材料の厚みが約0.1ミリメートル〜約0.4ミリメートルである工程と、
前記第一および第二の層状のブランクを折り曲げて第一および第二の折り曲げられたブランクを形成する工程であって、前記折り曲げられたブランクのうち一方は、もう一方の折り曲げられたブランクの内部に実質的に含まれ、前記折り曲げられたブランクが協同して、消費財を受けるための区画を備えた容器を形成し、前記第一の折り曲げられたブランクの少なくとも可動部分が、前記第二の折り曲げられたブランクに対して、消費財を前記区画から除去できない閉位置と消費財を前記区画から除去できる開位置との間で移動可能である、工程とを含み、
前記第一の磁性材料が前記可動部分に塗布され、また第一および第二の磁性材料が開放できる形で前記可動部分を閉位置に保持しうる磁石式留め具を形成するように、前記第一および第二の磁性材料が前記可動部分が閉位置にあるときに相互に重なるように配列され、
前記第一および第二の磁性材料が磁化可能な材料であり、また前記第一および第二の磁化可能な材料が前記塗布工程中に磁化されていない、方法。
【請求項6】
前記塗布工程のうち少なくとも一つが、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、リソグラフ印刷、スクリーン印刷、スロットダイコーティング、ロールコーティングまたはリバースロールコーティング、ロール式ナイフグラビアおよびリバースダイレクトグラビア、ワイヤーロッドコーティング、エアナイフコーティング、またはスロットオリフィスコーティングを使用して、前記磁性材料を層状ブランクに塗布する工程を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第一および第二の磁性材料のそれぞれが、バリウム・フェライト、ストロンチウム・フェライト、コバルト・フェライト、および希土類コバルトのうち少なくとも一つを含む、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記折り曲げ工程の後に、前記第一および第二の磁化可能な材料のうち少なくとも一つを磁化して、永久磁石を形成する工程をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記磁化工程により、前記第一および第二の磁化可能な材料のうち少なくとも一つの一部のみが磁化される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記塗布工程の後で、前記第一および第二の磁性材料のうち少なくとも一つ上に少なくとも一つのインクを印刷する工程をさらに含む、請求項5〜9のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は消費財のための容器に関連し、その容器は磁石式留め具を持つ。本発明はまた、こうした容器を形成する方法に関連する。本発明による容器には、喫煙物品などの細長い消費財用の容器としての特定の用途がある。
【背景技術】
【0002】
喫煙物品などの消費財は一般に、ヒンジ・リッド容器およびシェル・スライド式容器など、堅いボックス型の容器内に包装される。こうした容器は通常、折り曲げられて完全な容器を形成する厚紙ブランクから形成される。例えば、ヒンジ・リッド容器には通常、折り曲げられその後方壁を横切って延びるヒンジ線を中心としてボックスに連結されたリッドを持つボックスを形成する第一のブランクと、折り曲げられてボックス内に含まれる内側フレームを形成する第二のブランクが含まれる。使用時、リッドはヒンジ線を中心に回転して容器を開き、ボックス内に保持されている喫煙物品の束へのアクセスが得られる。ヒンジ・リッド式パックの望ましくない現象は「スマイリング効果(smiling effect)」であり、これはボックス部品とリッド部品の間のギャップを意味し、通常はヒンジ領域内での容器材料のリセット力によるものである。これらのリセット力は、パックが完全に閉じるのを阻止する。完全に閉じることができないパックは、例えば、不注意によるパック内容物の喪失(例えば、たばこの不足など)につながりかねないため、望ましくない。スマイリング効果を克服するために、最新技術に従うと、リッドは通常、内側フレームと相互作用して、リッドが閉位置内に維持される。例えば、リッドは、内側フレームにある切り込みと相互作用して、摩擦式の留め具を提供しうる。
【0003】
ただし、容器の2つ以上の部品間での摩擦による接合に依存する封鎖メカニズムは、特に容器が厚紙などの比較的柔軟な材料で形成されている場合、容器の度重なる開閉の後では信頼できないものとなりかねない。例えば、容器の相互作用する部分は、容器の度重なる開閉の後で歪んだり、その他の方法で損傷を受けたりしかねない。その結果、封鎖メカニズムが機能せず、容器を閉じた状態に保てなくなり、こうしてスマイリング効果が生じることになる。
【0004】
消費財のための容器であって、その容器を閉じた状態に保つための改良された手段を備えた容器を提供することが、望ましい。そうした容器は、従来的な高速の方法および装置を使用して組立・充填ができれば、特に望ましい。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、消費財のための容器を提供するが、その容器は、少なくとも第一および第二の折り曲げられたブランクから形成され、ここで折り曲げられたブランクのうち一方は、もう一方の折り曲げられたブランクの内部に実質的に含まれる。容器は、消費財を受けるための区画と、第一の折り曲げられたブランクによって画定される可動部分とを備える。可動部分は、第二の折り曲げられたブランクに対して、消費財をその区画から除去できない閉位置と消費財をその区画から除去できる開位置との間を移動できる。容器には、可動部分上に提供された第一の磁性材料と、第二の折り曲げられたブランク上に提供された第二の磁性材料とを含む、磁石式留め具をさらに含む。第一および第二の磁性材料のそれぞれの厚みは約0.1ミリメートル〜約0.4ミリメートルであり、第一および第二の磁性材料は、磁石式留め具が開放できる形で可動部分を閉位置に保持しうるように、可動部分が閉位置にあるときに相互に重なるように配列される。
【0006】
本発明はまた、こうした容器を形成する方法を提供する。従って、本発明は消費財のための容器を形成する方法を提供し、その方法は、第一および第二の層状ブランクを提供する第一の工程を含む。第一の磁性材料は第一の層状ブランク上に塗布され、第一の磁性材料の厚みは約0.1ミリメートル〜約0.4ミリメートルである。第二の磁性材料は第二の層状ブランク上に塗布され、第二の磁性材料の厚みは約0.1ミリメートル〜約0.4ミリメートルである。第一および第二の層状のブランクは、折り曲げられて第一および第二の折り曲げられたブランクを形成するが、ここで折り曲げられたブランクのうち一方は、もう一方の折り曲げられたブランクの内部に実質的に含まれる。折り曲げられたブランクは、協同して消費財を受けるための区画を備えた容器を形成する。第一の折り曲げられたブランクの少なくとも一部分は、第二の折り曲げられたブランクに対して、消費財をその区画から除去できない閉位置と消費財をその区画から除去できる開位置との間を移動できる。第一の磁性材料は第一の折り曲げられたブランクにより画定される可動部分に塗布され、その第一および第二の磁性材料が開放できる形で可動部分を閉位置に保持しうる磁石式留め具を形成するように、第一および第二の磁性材料は可動部分が閉位置にあるときに相互に重なるように配列される。
【0007】
「磁性材料」という用語は、本明細書で使用される場合、常磁性および強磁性の両方の材料を含む、磁場と相互作用することができる材料を描写するために使用される。磁化可能な材料は、外部磁場が存在する場合でのみ磁化された状態となるように、常磁性材料としうる。別の方法として、磁化可能な材料は、外部磁場が存在する場合に磁化され、外部磁場が除去された後でも磁化された状態となる材料(例えば、強磁性材料)としうる。「磁性材料」という用語は、本明細書で使用される場合、両方のタイプの磁化可能な材料の他、既に磁化された材料も含む。
【0008】
「実質的に内部に含まれる」という用語は、本明細書で使用される場合、外側の折り曲げられたブランクが、内側の折り曲げられたブランクと直かに接するか離れているかに関係なく、容器が閉じているときに内側の折り曲げられたブランクのすべての外部表面の上に少なくとも部分的にある容器か、あるいは、内側の折り曲げられたブランクが、3つ以上の外部表面を備え、その外側の折り曲げられたブランクが、容器が閉じているときに内側の折り曲げられたブランクの少なくとも3つの表面の上にある容器を意味する。例えば、容器がヒンジ・リッド容器である実施形態では、第二の折り曲げられたブランクは、第一の折り曲げられたブランクにより形成されたボックス部分内に完全に含まれる内側フレームを形成しうる。別の例では、外側の折り曲げられたブランクは、内側のスライドの4つの側の上に少なくとも部分的にあるシェル・スライド式容器の袖としうる。
【0009】
「内部表面」という用語は、本明細書全体を通して、充填された容器が閉位置にあるときに、その容器の内部に面する(例えば、消費財に面する)組み立て済み容器の構成要素の表面を意味するために使用される。同様に、「外部表面」という用語は、本明細書全体を通して、その容器の外側に面する容器の構成要素の表面を意味するために使用される。例えば、ヒンジ・リッド容器の内側フレームは、容器の外側ハウジングに面する外部表面と容器の内側パッケージに面する内部表面とを備える。注目すべきは、内側表面または外側表面は容器の組立に使用されるブランクの一定の側には必ずしも相当しないことである。消費財の周辺でブランクがどのように折り曲げられるかに応じて、容器の同じ側にある領域は、容器の内側に面することも外側に面することもある。
【0010】
磁性材料を第一および第二の折り曲げられたブランクに塗布することにより、本発明は、容器の度重なる開閉後でも可動部分を閉位置に保持するような信頼できる手段を提供する磁石式留め具をそれぞれが持つ容器を提供する。さらに、容器を形成するために既存の工程および装置を使用できるように、既存のブランクに対してごくわずかの改良を行うかまたは全く改良を行わずに、磁性材料を塗布することができる。
【0011】
容器の製造を簡単にするために、印刷工程または押し出しコーティング工程などの適切な塗布工程を使用して、第一および第二の磁性材料が第一および第二のブランク上に直接塗布されることが好ましい。例えば、第一および第二の磁性材料のうち少なくとも一つは、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、リソグラフ印刷、スクリーン印刷、スロットダイコーティング、ロールコーティングまたはリバースロールコーティング、ロール式ナイフグラビアおよびリバースダイレクトグラビア、ワイヤーロッドコーティング、エアナイフコーティング、またはスロットオリフィスコーティングを使用して塗布しうる。第一および第二の磁性材料は、単層工程または多層工程で塗布しうる。例えば、層の厚みをより厚くするために、2層、3層、4層またはそれ以上の層を続けて塗布しうる。
【0012】
第一および第二の磁性材料をブランクに塗布する工程中、第一および第二の磁性材料のそれぞれは、室温では液体である組成物で供給しうる。ただし、第一および第二の磁性材料のそれぞれは、ブランクに塗布するための溶融した組成物を形成するために加熱可能な組成物の形態で供給されることが好ましい。こうした組成物の使用により、ブランクへの磁性材料の付着が改善できる。それぞれの組成物は、約70重量パーセント〜約95重量パーセントの少なくとも一つの磁性材料と、約5重量パーセント〜約30重量パーセントの少なくとも一つの熱可塑性結合剤とを含むことが好ましい。適切な熱可塑性結合剤には、熱可塑性の弾性樹脂、熱可塑性の非弾性ポリマーおよびそれらの混合物が含まれる。
【0013】
上述のいずれかの実施形態で、第一および第二の磁性材料は、同一の磁性材料または異なる磁性材料を備えうる。その上、第一および第二の材料はそれぞれ、単一の磁性材料または異なる磁性材料の混合物を備えうる。適切な磁性材料には、バリウム・フェライト、ストロンチウム・フェライト、コバルト・フェライト、希土類コバルト材料(例えば、サマリウム-ペンタコバルト、プラセオジミウム-ペンタコバルト、イットリウム-ペンタコバルト、ランタン-ペンタコバルト、およびセリウム-ペンタコバルト)、マンガン-ビスマス、およびマンガン-アルミニウムが含まれる。
【0014】
第一および第二のブランクに塗布されると、第一および第二の磁性材料のそれぞれの厚みは約0.1ミリメートル〜約0.4ミリメートルとなり、約0.2ミリメートル〜約0.4ミリメートルであることが好ましい。有利なことに、これらの厚み範囲を持つ磁性材料の層は、効果的な留め具のための十分な磁場強度を提供するのに十分な厚みであると同時に、既存の容器設計に対する著しい改良の必要性を解消するだけの十分な薄さが保たれる。
【0015】
製造工程中に、外部の強磁性材料(例えば、製造装置)への磁性材料の望ましくない誘引を防止するために、第一および第二の磁性材料は、磁性材料をブランクに塗布する工程中に磁化されていない磁化可能な材料であることが好ましい。この場合には、第一および第二の磁性材料のそれぞれは、少なくとも一つの強磁性材料を含むことが好ましい。磁化されていない第一および第二の磁性材料がブランクに塗布された後、少なくとも一つの磁性材料がその後、磁化されて磁石式留め具を形成する。第一および第二の磁性材料の一方または両方を磁化する工程は、製造工程後の任意の工程で実施できる。例えば、折り曲げ工程の前に、または折り曲げ工程の後だが容器に消費財を充填する前に、または容器に消費財を充填した後だが充填した容器を包装する前に、または充填した容器を包装した後に、磁化工程を実施することができる。第一および第二の磁性材料の一方または両方を、例えば、永久磁石または電磁石に近づけることにより、磁化工程を実施することができる。
【0016】
第一および第二の磁性材料のうち少なくとも一つが磁化されていない磁化可能な材料としてブランクに塗布される実施形態において、磁化工程は磁化可能な材料の一部のみを磁化して磁石式留め具を形成してもよい。有利なことに、この方法では、磁石式留め具は折り曲げ工程が完了した後でのみ形成されるため、磁性材料の塗布工程とブランクの折り曲げ工程の間での正確な見当合わせの必要性を解消することができる。例えば、第一および第二の磁性材料のうち少なくとも一つは、磁化されていない磁化可能な材料としてそれぞれのブランクの表面全体に塗布することが可能で、これにより塗布工程中のブランクとの見当合わせの必要性を最小化するか解消することができる。折り曲げ工程が完了した後、磁石式留め具の正確な位置が決定され、磁化可能な材料の適切な部分が磁化され、留め具が形成される。
【0017】
第一および第二の磁性材料は、もう一方の磁性材料が磁化可能な材料を含むことを条件として、磁性材料のうち一方が磁化された場合にのみ、磁石式留め具として一緒に機能する。第一および第二の磁性材料の両方が磁化される実施形態では、2つの磁性材料の磁場は、2つの磁性材料が相互に引き合うように、可動部分が閉位置にあるときに相互に補強し合う配置でなければならない。
【0018】
容器に提供される第一および第二の磁性材料の視覚的影響を最小限に抑えるために、ブランクの色と適合する色であるか、または磁性材料が塗布されるブランク上の領域に提供されたデザインと適合する色を持つ組成物の形態で、一方または両方の磁性材料をブランクに塗布することができる。組成物の色は、ブランクの色と同一でも、ブランク上の周辺の色と対照的なものでもよく、磁性材料はブランクのデザイン全体の一部を形成するように見えることが好ましい。
【0019】
要求される色を持つ組成物の提供に対する別の方法として、ブランクに塗布された後で、一方または両方の磁性材料全体に適切な色を持つ1つ以上のインクを印刷したり、その他の方法で塗布したりすることができる。従って、一部の実施形態において、方法は、塗布工程の後で第一および第二の磁性材料のうち少なくとも一つ上に少なくとも一つのインクを印刷する工程をさらに含む。同様に、一部の実施形態において、容器は、第一および第二の磁性材料のうち少なくとも一つ全体に塗布された、少なくとも一つのインクを備えうる。一部の実施形態において、下塗り剤を磁性材料に塗布して、磁性材料への印刷されたインクの塗布を促進しうる。
【0020】
第一および第二の磁性材料の色をそれが塗布されるブランクの色と適合させることへのさらに別の方法として、一方または両方の磁性材料を、ブランクが折り曲げられ、組み立てられて容器を形成すると覆われて見えなくなるブランクの一部に提供できる。例えば、ブランクが折り曲げられた後に磁性材料が折り畳まれたものの中に含まれるように、一方または両方の磁性材料は第一または第二のブランクの一部に提供できる。すなわち、一方または両方の磁性材料は、ブランクが折り曲げられて組み立てられた後で、ブランクの重なり合う2つの部分の間に配置できる。重なり合う2つの部分は、同一の折り曲げられたブランクの2つの部分であることも、第一および第二のブランクのそれぞれの部分を含むこともできる。
【0021】
望ましい実施形態で、第一および第二のブランク上の磁性材料の相互作用する表面は、容器が閉じられたときに相互に接している。すなわち、容器が閉じられたとき、第一および第二のブランク上の磁性材料の相互作用する表面間には、上述の通りに磁性材料上に塗布されうる任意のインク以外には介在する材料がないことが好ましい。
【0022】
上述の通り、本発明による容器は、閉位置と消費財を容器から取り出すことができる開位置との間でヒンジ線に沿って旋回可能なリッドを容器が含むように、ヒンジ付リッド式設計のものとしうる。リッドも後方壁の一部を含むように、ヒンジ線は容器の後方壁を横切って延びることが好ましい。
【0023】
当業者であれば、ヒンジ付きリッド容器と同様に、本発明は、容器を開くためのスライド機構を持つ容器などの代替的な設計の容器にも適用できることが分かるであろう。
【0024】
上述のいずれかの実施形態で、容器に喫煙物品が充填されることが好ましい。ただし、本発明による容器は、喫煙物品以外の多様な消費財とも使用できる。
【0025】
本発明による容器は、それぞれが幅の狭い2つの壁で間隙を置いた幅の広い2つの壁を含む、直方体であることが好ましい。幅の広い2つの壁は、普通は前方壁および後方壁であり、幅の狭い2つの壁は普通は側壁である。
【0026】
容器は、厚紙、ボール紙、プラスチック、金属、またはその組み合わせを含むがこれに限定されない、任意の適切な材料から形成しうる。容器は、折り曲げられた2つの層状の厚紙ブランクから形成されることが好ましく、厚紙の坪量は、約100グラム/平方メートル〜約350グラム/平方メートルであることが好ましい。
【0027】
一部の実施形態で、組み立てられ充填されたそれぞれの容器は、外側ラッパー内に包装される。外側ラッパーは、例えば、高密度または低密度のポリエチレン、ポリプロピレン、方向性ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、セルロースフィルム、またはその組み合わせの透明高分子フィルムであることが好ましく、また外側ラッパーは、従来的な方法で適用される。外側ラッパーは、開封テープを含みうる。さらに、外側ラッパーは、画像、消費者情報またはその他のデータとともに印刷しうる。
【0028】
上述の通り、本発明による容器は直方体の形状とすることができ、長軸方向の直角の端および横断する直角の端を持ちうる。別の方法として、容器は、一つ以上の長軸方向の丸み付きの端、横断する丸み付きの端、長軸方向の面取り付きの端または横断する面取り付きの端、またはその組み合わせを含みうる。
【0029】
容器が一つ以上の面取り付きの端を含む場合、面取り付きの端の幅は約1 mm〜約10 mmであることが好ましく、約2 mm〜約6 mmであることが好ましい。別の方法として、容器は、2つの明確な面取りが容器の端上に形成されるように間隔を置いた、3本の平行な縦罫線または横罫線により形成された二重面取りを含みうる。
【0030】
別の方法として、容器は、例えば、多角形(三角形または六角形など)、または半楕円形、または半円形といった、非長方形の横断断面を持ちうる。
【0031】
上述の通り、本発明による容器は、例えば、紙巻たばこ、葉巻たばこまたはシガリロなど、細長い喫煙物品用のパックとしての特定用途がある。当然のことながら、寸法を適切に選択することにより、本発明による容器は、異なる数の従来サイズ、キングサイズ、スーパーキングサイズ、スリムまたはスーパースリムの紙巻たばこ用に設計しうる。別の方法として、その他の消費財を、パッケージおよび容器内に収容しうる。
【0032】
本発明による容器の寸法を適切に選択することによって、異なる合計数の喫煙物品、または異なる配列の喫煙物品を保持するよう設計しうる。例えば、その寸法の適切な選択によって、本発明による容器は、合計5〜30個の喫煙物品を保持するよう設計しうる。
【0033】
喫煙物品は、喫煙物品の合計数に応じて、異なる並べ方で配列しうる。例えば、喫煙物品は、5、6、7、8、9または10個の1列で配列しうる。別の方法として、喫煙物品は2列以上で配列しうる。2列以上の列は、同一の数の喫煙物品を含みうる。例えば、喫煙物品は、5、6、7、8、9もしくは10個の2列、5もしくは7個の3列、または4、5もしくは6個の4列で配列しうる。別の方法として、2列以上の列は、互いに異なる数の喫煙物品を含む少なくとも2列を含みうる。
【0034】
本発明による容器は、同一のタイプまたはブランドの、または異なるタイプまたはブランドの喫煙物品を保持しうる。さらに、フィルターなし喫煙物品および各種フィルターチップ付きの喫煙物品の両方を含みうるほか、異なる長さ(例えば、約40 mm〜約180 mm)、直径(例えば、約4 mm〜約9 mm)の喫煙物品も含みうる。特に、容器は、窪みのあるフィルターを持つ喫煙物品を備えうる。さらに、喫煙物品は、味覚の強度、吸い込みに対する抵抗および合計粒状物質の送達が異なりうる。容器の寸法は、喫煙物品の長さ、および喫煙物品の並べ方に適応させることが好ましい。容器の寸法は通常、容器内に収容された喫煙物品のパッケージの寸法よりも約0.5 mm〜約5 mmだけ大きい。
【0035】
本発明による容器の幅は約12 mm〜約150 mmであることが好ましく、幅が約40 mm〜約125 mmであることがより好ましいが、ここで幅は、容器の一方の側壁から他方の側壁までを測定したものである。
【0036】
本発明による容器の奥行きは約6 mm〜約150 mmであることが好ましく、奥行きが約12 mm〜約25 mmであることがさらに好ましいが、ここで奥行きは、容器の前方壁から後方壁までを測定したものである。
【0037】
容器の高さ対容器の奥行きの比は、約0.3対1〜約10対1であることが好ましく、約2対1〜約8対1であることがさらに好ましく、約3対1〜5対1であることが最も好ましい。
【0038】
容器の幅対容器の奥行きの比は、約0.3対1〜約10対1であることが好ましく、約2対1〜約8対1であることがさらに好ましく、約2対1〜3対1であることが最も好ましい。
【0039】
容器が喫煙物品を収容する場合、容器は、さらに器(例えば、灰または吸い残しなどの廃棄物用)または例えば、マッチ、ライター、消火手段、口臭消臭剤またはエレクトロニクスなど、その他の消費財を備えうる。その他の消費財は、容器の外側に取り付けるか、容器内に喫煙物品に沿って容器の別の区画内に含めるか、またはその組み合わせとしうる。
【0040】
本発明による容器の外部表面は、製造元またはブランドのロゴ、商標、スローガンおよびその他の消費者情報およびしるしで、印刷、エンボス加工、デボス加工またはその他の方法で装飾しうる。上述の通り、第一および第二の磁性材料は、第一および第二の磁性材料が容器のデザインに溶け込むように、適切な色で形成したり、または適切な色で上から印刷したりできる。
【0041】
ここで、以下の添付図面を参照しながら本発明をさらに例証としてのみの目的で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1図1は、本発明により形成された容器10を示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
容器10は、外側のブランク12および内側のブランク14から形成される。外側のブランク12は、折り曲げられてボックス部分16およびリッド部分18を形成し、リッド部分18は、外側のブランク12の後方壁を横切って延びるヒンジ線によりボックス部分16に接続されている。
【0044】
内側のブランク14は、折り曲げられて外側のブランク12内に含まれる内側フレーム20を形成する。内側フレーム20は、内側フレーム20内に含まれる消費財にアクセスするための、その内部に形成された切り抜き22を含む。内側フレーム20は、容器10が閉じられたときに切り抜き22を覆うためのフラップも含みうる。
【0045】
容器10はまた、リッド部分18の内部表面に塗布される第一の磁性材料24と、内側フレーム20の外部表面に塗布される第二の磁性材料26とを含む磁石式留め具も含む。少なくとも一方の磁性材料は磁化され、もう一方の磁性材料は磁化されるかまたは磁化可能である。両方の磁性材料が磁化される場合、2つの磁性材料が相互に引き合い、容器10が閉じているときにリッド部分18を閉位置に保持するように、両方の磁性材料の磁場は相互を強化するよう作用すべきである。
図1