特許第6279013号(P6279013)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6279013
(24)【登録日】2018年1月26日
(45)【発行日】2018年2月14日
(54)【発明の名称】三次元計測装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/24 20060101AFI20180205BHJP
   G01B 11/02 20060101ALI20180205BHJP
   G01B 9/02 20060101ALI20180205BHJP
   G01N 21/956 20060101ALI20180205BHJP
   G01N 21/88 20060101ALI20180205BHJP
【FI】
   G01B11/24 D
   G01B11/02 G
   G01B9/02
   G01N21/956 B
   G01N21/88 H
【請求項の数】12
【全頁数】75
(21)【出願番号】特願2016-104911(P2016-104911)
(22)【出願日】2016年5月26日
(65)【公開番号】特開2017-211287(P2017-211287A)
(43)【公開日】2017年11月30日
【審査請求日】2017年6月7日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】石垣 裕之
(72)【発明者】
【氏名】間宮 高弘
【審査官】 清水 靖記
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−074618(JP,A)
【文献】 特開2010−164389(JP,A)
【文献】 特開2006−126192(JP,A)
【文献】 特開2001−227927(JP,A)
【文献】 特開2000−310518(JP,A)
【文献】 特開2010−175499(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/190151(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00 − 11/30
G01B 9/00 − 9/10
G01N 21/84 − 21/958
SPIE Digital Library
IEEE Xplore
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射する所定の光を2つの光に分割し、一方の光を計測光として被計測物に照射可能としかつ他方の光を参照光として参照面に照射可能とすると共に、これらを再び合成して出射可能な所定の光学系と、
前記所定の光学系の第1入出力部に対し入射させる第1光を出射可能な第1照射手段と、
前記所定の光学系の第2入出力部に対し入射させる第2光を出射可能な第2照射手段と、
前記第1入出力部に対し前記第1光を入射することにより前記第2入出力部から出射される前記第1光に係る出力光を入射可能な第1撮像手段と、
前記第2入出力部に対し前記第2光を入射することにより前記第1入出力部から出射される前記第2光に係る出力光を入射可能な第2撮像手段と、
前記第1撮像手段及び前記第2撮像手段により撮像された干渉縞画像を基に前記被計測物の三次元計測を実行可能な画像処理手段とを備え、
前記第1照射手段は、
第1波長の偏光を含む第1波長光を出射可能な第1波長光出射部、及び、第2波長の偏光を含む第2波長光を出射可能な第2波長光出射部を備え、
前記第1波長の偏光、及び、前記第2波長の偏光を含む前記第1光を出射可能に構成され、
前記第2照射手段は、
第3波長の偏光を含む第3波長光を出射可能な第3波長光出射部、及び/又は、第4波長の偏光を含む第4波長光を出射可能な第4波長光出射部を備え、
前記第3波長の偏光、及び/又は、前記第4波長の偏光を含む前記第2光を出射可能に構成され、
前記第1撮像手段は、
前記第1入出力部に対し前記第1波長の偏光を含む前記第1光が入射された場合に、前記第2入出力部から出射される前記第1光に係る出力光に含まれる前記第1波長の偏光に係る出力光を撮像可能な第1波長光撮像部、
及び、
前記第1入出力部に対し前記第2波長の偏光を含む前記第1光が入射された場合に、前記第2入出力部から出射される前記第1光に係る出力光に含まれる前記第2波長の偏光に係る出力光を撮像可能な第2波長光撮像部を備え、
前記第2撮像手段は、
前記第2入出力部に対し前記第3波長の偏光を含む前記第2光が入射された場合に、前記第1入出力部から出射される前記第2光に係る出力光に含まれる前記第3波長の偏光に係る出力光を撮像可能な第3波長光撮像部、
及び/又は、
前記第2入出力部に対し前記第4波長の偏光を含む前記第2光が入射された場合に、前記第1入出力部から出射される前記第2光に係る出力光に含まれる前記第4波長の偏光に係る出力光を撮像可能な第4波長光撮像部を備えていることを特徴とする三次元計測装置。
【請求項2】
入射する所定の光を偏光方向が互いに直交する2つの偏光に分割する境界面を有し、該分割した一方の偏光を計測光として被計測物に照射しかつ他方の偏光を参照光として参照面に照射すると共に、これらを再び合成して出射可能な偏光ビームスプリッタと、
前記境界面を挟んで隣り合う前記偏光ビームスプリッタの第1面及び第2面のうち第1入出力部となる前記第1面に対し入射させる第1光を出射可能な第1照射手段と、
前記偏光ビームスプリッタの第2入出力部となる前記第2面に対し入射させる第2光を出射可能な第2照射手段と、
前記参照光が出入射される前記偏光ビームスプリッタの第3面と前記参照面との間に配置された第1の1/4波長板と、
前記計測光が出入射される前記偏光ビームスプリッタの第4面と前記被計測物との間に配置される第2の1/4波長板と、
前記偏光ビームスプリッタの前記第1面に対し前記第1光を入射することにより前記第2面から出射される前記第1光に係る出力光を入射可能な第1撮像手段と、
前記偏光ビームスプリッタの前記第2面に対し前記第2光を入射することにより前記第1面から出射される前記第2光に係る出力光を入射可能な第2撮像手段と、
前記第1撮像手段及び前記第2撮像手段により撮像された干渉縞画像を基に前記被計測物の三次元計測を実行可能な画像処理手段とを備え、
前記第1照射手段は、
第1波長の偏光を含む第1波長光を出射可能な第1波長光出射部、及び、第2波長の偏光を含む第2波長光を出射可能な第2波長光出射部を備え、
前記第1波長の偏光、及び、前記第2波長の偏光を含む前記第1光を出射可能に構成され、
前記第2照射手段は、
第3波長の偏光を含む第3波長光を出射可能な第3波長光出射部、及び/又は、第4波長の偏光を含む第4波長光を出射可能な第4波長光出射部を備え、
前記第3波長の偏光、及び/又は、前記第4波長の偏光を含む前記第2光を出射可能に構成され、
前記第1撮像手段は、
前記第1面に対し前記第1波長の偏光を含む前記第1光が入射された場合に、前記第2面から出射される前記第1光に係る出力光に含まれる前記第1波長の偏光に係る出力光を撮像可能な第1波長光撮像部、
及び、
前記第1面に対し前記第2波長の偏光を含む前記第1光が入射された場合に、前記第2面から出射される前記第1光に係る出力光に含まれる前記第2波長の偏光に係る出力光を撮像可能な第2波長光撮像部を備え、
前記第2撮像手段は、
前記第2面に対し前記第3波長の偏光を含む前記第2光が入射された場合に、前記第1面から出射される前記第2光に係る出力光に含まれる前記第3波長の偏光に係る出力光を撮像可能な第3波長光撮像部、
及び/又は、
前記第2面に対し前記第4波長の偏光を含む前記第2光が入射された場合に、前記第1面から出射される前記第2光に係る出力光に含まれる前記第4波長の偏光に係る出力光を撮像可能な第4波長光撮像部を備えていることを特徴とする三次元計測装置。
【請求項3】
第1光を出射可能な第1照射手段と、
第2光を出射可能な第2照射手段と、
前記第1照射手段から入射される前記第1光を偏光方向が互いに直交する2つの偏光に分割し、一方の偏光を計測光として被計測物に対し照射可能としかつ他方の偏光を参照光として参照面に対し照射可能とすると共に、前記被計測物を介して入射した前記第2光に係る計測光と、前記参照面を介して入射した前記第2光に係る参照光とを合成して出射可能な第1入出力部としての第1偏光ビームスプリッタと、
前記第2照射手段から入射される前記第2光を偏光方向が互いに直交する2つの偏光に分割し、一方の偏光を計測光として被計測物に対し照射可能としかつ他方の偏光を参照光として参照面に対し照射可能とすると共に、前記被計測物を介して入射した前記第1光に係る計測光と、前記参照面を介して入射した前記第1光に係る参照光とを合成して出射可能な第2入出力部としての第2偏光ビームスプリッタと、
前記第1偏光ビームスプリッタと前記参照面との間に配置された第1の1/4波長板と、
前記第1偏光ビームスプリッタと前記被計測物との間に配置された第2の1/4波長板と、
前記第2偏光ビームスプリッタと前記参照面との間に配置された第3の1/4波長板と、
前記第2偏光ビームスプリッタと前記被計測物との間に配置された第4の1/4波長板と、
前記第1偏光ビームスプリッタに対し前記第1光を入射することにより前記第2偏光ビームスプリッタから出射される前記第1光に係る出力光を入射可能な第1撮像手段と、
前記第2偏光ビームスプリッタに対し前記第2光を入射することにより前記第1偏光ビームスプリッタから出射される前記第2光に係る出力光を入射可能な第2撮像手段と、
前記第1撮像手段及び前記第2撮像手段により撮像された干渉縞画像を基に前記被計測物の三次元計測を実行可能な画像処理手段とを備え、
前記第1照射手段は、
第1波長の偏光を含む第1波長光を出射可能な第1波長光出射部、及び、第2波長の偏光を含む第2波長光を出射可能な第2波長光出射部を備え、
前記第1波長の偏光、及び、前記第2波長の偏光を含む前記第1光を出射可能に構成され、
前記第2照射手段は、
第3波長の偏光を含む第3波長光を出射可能な第3波長光出射部、及び/又は、第4波長の偏光を含む第4波長光を出射可能な第4波長光出射部を備え、
前記第3波長の偏光、及び/又は、前記第4波長の偏光を含む前記第2光を出射可能に構成され、
前記第1撮像手段は、
前記第1偏光ビームスプリッタに対し前記第1波長の偏光を含む前記第1光が入射された場合に、前記第2偏光ビームスプリッタから出射される前記第1光に係る出力光に含まれる前記第1波長の偏光に係る出力光を撮像可能な第1波長光撮像部、
及び、
前記第1偏光ビームスプリッタに対し前記第2波長の偏光を含む前記第1光が入射された場合に、前記第2偏光ビームスプリッタから出射される前記第1光に係る出力光に含まれる前記第2波長の偏光に係る出力光を撮像可能な第2波長光撮像部を備え、
前記第2撮像手段は、
前記第2偏光ビームスプリッタに対し前記第3波長の偏光を含む前記第2光が入射された場合に、前記第1偏光ビームスプリッタから出射される前記第2光に係る出力光に含まれる前記第3波長の偏光に係る出力光を撮像可能な第3波長光撮像部、
及び/又は、
前記第2偏光ビームスプリッタに対し前記第4波長の偏光を含む前記第2光が入射された場合に、前記第1偏光ビームスプリッタから出射される前記第2光に係る出力光に含まれる前記第4波長の偏光に係る出力光を撮像可能な第4波長光撮像部を備えていることを特徴とする三次元計測装置。
【請求項4】
第1の偏光方向を有する偏光を透過又は反射させ、第2の偏光方向を有する偏光を反射又は透過する境界面を有する偏光ビームスプリッタと、
前記境界面を挟んで隣り合う前記偏光ビームスプリッタの第1面及び第2面のうち第1入出力部となる前記第1面に対し入射させる、前記第1の偏光方向を有する偏光を含む第1光を出射可能な第1照射手段と、
前記偏光ビームスプリッタの第2入出力部となる前記第2面に対し入射させる、前記第2の偏光方向を有する偏光を含む第2光を出射可能な第2照射手段と、
前記境界面を透過又は反射した第1光及び前記境界面を反射又は透過した第2光が出射される前記偏光ビームスプリッタの所定面と相対向するように配置された1/4波長板と、
前記偏光ビームスプリッタとは反対側にて前記1/4波長板と相対向するように配置され、前記1/4波長板を介して照射された光の一部を計測光として透過して被計測物に照射しかつ残りの光を参照光として反射するハーフミラーと、
前記偏光ビームスプリッタの前記第1面に対し前記第1光を入射することにより前記第2面から出射される前記第1光に係る出力光を入射可能な第1撮像手段と、
前記偏光ビームスプリッタの前記第2面に対し前記第2光を入射することにより前記第1面から出射される前記第2光に係る出力光を入射可能な第2撮像手段と、
前記第1撮像手段及び前記第2撮像手段により撮像された干渉縞画像を基に前記被計測物の三次元計測を実行可能な画像処理手段とを備え、
前記第1照射手段は、
第1波長の偏光を含む第1波長光を出射可能な第1波長光出射部、及び、第2波長の偏光を含む第2波長光を出射可能な第2波長光出射部を備え、
前記第1波長の偏光、及び、前記第2波長の偏光を含む前記第1光を出射可能に構成され、
前記第2照射手段は、
第3波長の偏光を含む第3波長光を出射可能な第3波長光出射部、及び/又は、第4波長の偏光を含む第4波長光を出射可能な第4波長光出射部を備え、
前記第3波長の偏光、及び/又は、前記第4波長の偏光を含む前記第2光を出射可能に構成され、
前記第1撮像手段は、
前記第1面に対し前記第1波長の偏光を含む前記第1光が入射された場合に、前記第2面から出射される前記第1光に係る出力光に含まれる前記第1波長の偏光に係る出力光を撮像可能な第1波長光撮像部、
及び、
前記第1面に対し前記第2波長の偏光を含む前記第1光が入射された場合に、前記第2面から出射される前記第1光に係る出力光に含まれる前記第2波長の偏光に係る出力光を撮像可能な第2波長光撮像部を備え、
前記第2撮像手段は、
前記第2面に対し前記第3波長の偏光を含む前記第2光が入射された場合に、前記第1面から出射される前記第2光に係る出力光に含まれる前記第3波長の偏光に係る出力光を撮像可能な第3波長光撮像部、
及び/又は、
前記第2面に対し前記第4波長の偏光を含む前記第2光が入射された場合に、前記第1面から出射される前記第2光に係る出力光に含まれる前記第4波長の偏光に係る出力光を撮像可能な第4波長光撮像部を備えていることを特徴とする三次元計測装置。
【請求項5】
前記第1照射手段から出射される第1光の少なくとも一部を前記第1入出力部に向け入射させると共に、前記第1入出力部から出射される前記第2光に係る出力光の少なくとも一部を前記第2撮像手段に向け入射させる第1導光手段と、
前記第2照射手段から出射される第2光の少なくとも一部を前記第2入出力部に向け入射させると共に、前記第2入出力部から出射される第1光に係る出力光の少なくとも一部を前記第1撮像手段に向け入射させる第2導光手段とを備えたことを特徴とする請求項2乃至のいずれかに記載の三次元計測装置。
【請求項6】
前記第1照射手段は、
前記第1波長光出射部から出射される一方向の光のみを透過しかつ逆方向の光を遮断する第1光アイソレータ、及び/又は、前記第2波長光出射部から出射される一方向の光のみを透過しかつ逆方向の光を遮断する第2光アイソレータを備え、
前記第2照射手段は、
前記第3波長光出射部から出射される一方向の光のみを透過しかつ逆方向の光を遮断する第3光アイソレータ、及び/又は、前記第4波長光出射部から出射される一方向の光のみを透過しかつ逆方向の光を遮断する第4光アイソレータを備えていることを特徴とする請求項に記載の三次元計測装置。
【請求項7】
前記第1照射手段は、
前記第1波長光出射部から出射される前記第1波長光、及び、前記第2波長光出射部から出射される前記第2波長光を、前記第1光として合成可能な第1合成手段を備え、
前記第2照射手段は、
前記第3波長光出射部から出射される前記第3波長光、及び、前記第4波長光出射部から出射される前記第4波長光を、前記第2光として合成可能な第2合成手段を備え、
前記第1撮像手段は、
前記第1波長の偏光及び前記第2波長の偏光を含む前記第1光が前記第1照射手段から出射された場合に、前記第1光に係る出力光を、前記第1波長の偏光に係る出力光、及び、前記第2波長の偏光に係る出力光に分離可能な第1分離手段を備え、
前記第2撮像手段は、
前記第3波長の偏光及び前記第4波長の偏光を含む前記第2光が前記第2照射手段から出射された場合に、前記第2光に係る出力光を、前記第3波長の偏光に係る出力光、及び、前記第4波長の偏光に係る出力光に分離可能な第2分離手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の三次元計測装置。
【請求項8】
前記第1波長の偏光に係る前記参照光と前記計測光との間に相対的な位相差を付与する第1位相シフト手段、及び/又は、前記第2波長の偏光に係る前記参照光と前記計測光との間に相対的な位相差を付与する第2位相シフト手段を備えると共に、
前記第3波長の偏光に係る前記参照光と前記計測光との間に相対的な位相差を付与する第3位相シフト手段、及び/又は、前記第4波長の偏光に係る前記参照光と前記計測光との間に相対的な位相差を付与する第4位相シフト手段を備え、
前記画像処理手段は、
前記第1位相シフト手段により複数通りに位相シフトされた前記第1波長の偏光に係る出力光を前記第1波長光撮像部により撮像した複数通りの干渉縞画像を基に、位相シフト法により前記被計測物の形状計測を行って得た位相を第1計測値として取得可能な第1計測値取得手段、
及び/又は、
前記第2位相シフト手段により複数通りに位相シフトされた前記第2波長の偏光に係る出力光を前記第2波長光撮像部により撮像した複数通りの干渉縞画像を基に、位相シフト法により前記被計測物の形状計測を行って得た位相を第2計測値として取得可能な第2計測値取得手段を備えると共に、
前記第3位相シフト手段により複数通りに位相シフトされた前記第3波長の偏光に係る出力光を前記第3波長光撮像部により撮像した複数通りの干渉縞画像を基に、位相シフト法により前記被計測物の形状計測を行って得た位相を第3計測値として取得可能な第3計測値取得手段、
及び/又は、
前記第4位相シフト手段により複数通りに位相シフトされた前記第4波長の偏光に係る出力光を前記第4波長光撮像部により撮像した複数通りの干渉縞画像を基に、位相シフト法により前記被計測物の形状計測を行って得た位相を第4計測値として取得可能な第4計測値取得手段を備え、
前記第1計測値及び/又は前記第2計測値、並びに、前記第3計測値及び/又は前記第4計測値から特定される高さ情報を、前記被計測物の高さ情報として取得可能な高さ情報取得手段とを備えた請求項1乃至のいずれかに記載の三次元計測装置。
【請求項9】
前記第1波長の偏光に係る出力光を複数の光に分割する第1の分光手段、及び、前記第1位相シフト手段として、前記第1の分光手段により分割された複数の分割光のうち、少なくとも前記位相シフト法による計測に必要な数の分割光に対してそれぞれ異なる位相差を付与する第1のフィルタ手段、
並びに/又は、
前記第2波長の偏光に係る出力光を複数の光に分割する第2の分光手段、及び、前記第2位相シフト手段として、前記第2の分光手段により分割された複数の分割光のうち、少なくとも前記位相シフト法による計測に必要な数の分割光に対してそれぞれ異なる位相差を付与する第2のフィルタ手段を備えると共に、
前記第3波長の偏光に係る出力光を複数の光に分割する第3の分光手段、及び、前記第3位相シフト手段として、前記第3の分光手段により分割された複数の分割光のうち、少なくとも前記位相シフト法による計測に必要な数の分割光に対してそれぞれ異なる位相差を付与する第3のフィルタ手段、
並びに/又は、
前記第4波長の偏光に係る出力光を複数の光に分割する第4の分光手段、及び、前記第4位相シフト手段として、前記第4の分光手段により分割された複数の分割光のうち、少なくとも前記位相シフト法による計測に必要な数の分割光に対してそれぞれ異なる位相差を付与する第4のフィルタ手段を備え、
前記第1波長光撮像部が、少なくとも前記第1のフィルタ手段を透過する前記複数の分割光を同時に撮像可能に構成され、及び/又は、前記第2波長光撮像部が、少なくとも前記第2のフィルタ手段を透過する前記複数の分割光を同時に撮像可能に構成されると共に、
前記第3波長光撮像部が、少なくとも前記第3のフィルタ手段を透過する前記複数の分割光を同時に撮像可能に構成され、及び/又は、前記第4波長光撮像部が、少なくとも前記第4のフィルタ手段を透過する前記複数の分割光を同時に撮像可能に構成されていることを特徴とする請求項に記載の三次元計測装置。
【請求項10】
前記分光手段は、
第1の平面に沿った断面形状が三角形状となる三角柱形状をなし、該第1の平面と直交する方向に沿った3つの面のうちの第1面と第2面との交線を通り第3面と直交する平面に沿って第1分岐手段を有する第1の光学部材と、
前記第1の平面と直交する第2の平面に沿った断面形状が三角形状となる三角柱形状をなし、該第2の平面と直交する方向に沿った3つの面のうちの第1面と第2面との交線を通り第3面と直交する平面に沿って第2分岐手段を有する第2の光学部材とを備え、
前記第1の光学部材の第3面と前記第2の光学部材の第1面とを相対向するように配置することにより、
前記第1の光学部材の前記第1面に対し入射される光を前記第1分岐手段にて2方向に分岐させ、このうち前記第1分岐手段にて反射した分割光を前記第1面にて前記第3面側に向け反射させ、前記第1分岐手段を透過した分割光を前記第2面にて前記第3面側に向け反射させることにより、前記第3面から平行する2つの分割光として出射させ、
前記第1の光学部材の第3面から出射された2つの分割光を前記第2の光学部材の第1面に対し入射させ、該2つの分割光をそれぞれ前記第2分岐手段にて2方向に分岐させ、このうち前記第2分岐手段にて反射した2つの分割光をそれぞれ前記第1面にて前記第3面側に向け反射させ、前記第2分岐手段を透過した2つの分割光をそれぞれ前記第2面にて前記第3面側に向け反射させることにより、前記第3面から平行する4つの分割光として出射させることを特徴とする請求項9に記載の三次元計測装置。
【請求項11】
前記第1波長光撮像部が、少なくとも前記第1のフィルタ手段を透過する前記複数の分割光を同時に撮像可能な単一の撮像素子を備え、及び/又は、前記第2波長光撮像部が、少なくとも前記第2のフィルタ手段を透過する前記複数の分割光を同時に撮像可能な単一の撮像素子を備え、
前記第3波長光撮像部が、少なくとも前記第3のフィルタ手段を透過する前記複数の分割光を同時に撮像可能な単一の撮像素子を備え、及び/又は、前記第2波長光撮像部が、少なくとも前記第4のフィルタ手段を透過する前記複数の分割光を同時に撮像可能な単一の撮像素子を備えていることを特徴とする請求項又は10に記載の三次元計測装置。
【請求項12】
前記被計測物が、プリント基板に印刷されたクリーム半田、又は、ウエハ基板に形成された半田バンプであることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の三次元計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被計測物の形状を計測する三次元計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、被計測物の形状を計測する三次元計測装置として、干渉計を利用した三次元計測装置が知られている。
【0003】
かかる三次元計測装置においては、計測光の波長(例えば1500nm)の半分(例えば750nm)が計測可能な計測レンジ(ダイナミックレンジ)となる。
【0004】
そのため、仮に被計測物上に計測光の波長の半分以上の高低差がある場合には、計測レンジが不足し、被計測物の形状を適正に計測できないおそれがある。これに対し、計測光の波長を長くした場合には、分解能が粗くなり、計測精度が悪化するおそれがある。
【0005】
これに鑑み、近年では、レンジ不足を解消するため、波長の異なる2種類の光を利用して計測を行う三次元計測装置も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
かかる三次元計測装置においては、第1波長光と第2波長光を合成した状態で干渉光学系(偏光ビームスプリッタ等)へ入射させ、ここから出射される干渉光を所定の光学分離手段(ダイクロイックミラー等)により波長分離し、第1波長光に係る干渉光と、第2波長光に係る干渉光とを得る。そして、各波長光に係る干渉光を個別に撮像した干渉縞画像を基に被計測物の形状計測を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−164389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
波長の異なる2種類の光を利用して、三次元計測に係る計測レンジをより広げるためには、2種類の光の波長差をより小さくすればよい。2種類の光の波長が近ければ近いほど、計測レンジを広げることができる。
【0009】
しかしながら、2種類の光の波長が近ければ近いほど、2種類の光の波長を適切に分離することが困難となる。
【0010】
換言すれば、波長差が小さい2種類の光で三次元計測を行おうとした場合、第1波長光に係る干渉光の撮像と、第2波長光に係る干渉光の撮像をそれぞれ異なるタイミングで行う必要があり、計測効率が低下するおそれがある。
【0011】
例えば位相シフト法を利用した三次元計測において、位相を4段階に変化させる場合には、4通りの画像データを取得する必要があるため、2種類の光を用いる場合には、それぞれ異なるタイミングで4回ずつ、計8回分の撮像時間が必要となる。
【0012】
本発明は、上記事情等に鑑みてなされたものであり、その目的は、波長の異なる光を利用して、計測レンジの拡大を図ると共に、計測効率の向上を図ることのできる三次元計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
以下、上記課題を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0014】
手段1.入射する所定の光を2つの光に分割し、一方の光を計測光として被計測物に照射可能としかつ他方の光を参照光として参照面に照射可能とすると共に、これらを再び合成して出射可能な所定の光学系(特定光学系)と、
前記所定の光学系に対し入射させる第1光を出射可能な第1照射手段と、
前記所定の光学系に対し入射させる第2光を出射可能な第2照射手段と、
前記所定の光学系から出射される前記第1光に係る出力光を入射可能な第1撮像手段と、
前記所定の光学系から出射される前記第2光に係る出力光を入射可能な第2撮像手段と、
前記第1撮像手段及び前記第2撮像手段により撮像された干渉縞画像を基に前記被計測物の三次元計測を実行可能な画像処理手段とを備え、
前記第1光と前記第2光をそれぞれ前記所定の光学系の異なる位置に入射させ、
前記第1光に係る出力光と前記第2光に係る出力光をそれぞれ前記所定の光学系の異なる位置から出射させる構成の下、
前記第1照射手段は、
第1波長(例えば491nm)の偏光を含む第1波長光を出射可能な第1波長光出射部、及び/又は、第2波長(例えば540nm)の偏光を含む第2波長光を出射可能な第2波長光出射部を備え、
前記第1波長の偏光、及び/又は、前記第2波長の偏光を含む前記第1光を出射可能に構成され、
前記第2照射手段は、
第3波長(例えば488nm)の偏光を含む第3波長光を出射可能な第3波長光出射部、及び/又は、第4波長(例えば532nm)の偏光を含む第4波長光を出射可能な第4波長光出射部を備え、
前記第3波長の偏光、及び/又は、前記第4波長の偏光を含む前記第2光を出射可能に構成され、
前記第1撮像手段は、
前記所定の光学系に対し前記第1波長の偏光を含む前記第1光が入射された場合に、前記所定の光学系から出射される前記第1光に係る出力光に含まれる前記第1波長の偏光に係る出力光を撮像可能な第1波長光撮像部、
及び/又は、
前記所定の光学系に対し前記第2波長の偏光を含む前記第1光が入射された場合に、前記所定の光学系から出射される前記第1光に係る出力光に含まれる前記第2波長の偏光に係る出力光を撮像可能な第2波長光撮像部を備え、
前記第2撮像手段は、
前記所定の光学系に対し前記第3波長の偏光を含む前記第2光が入射された場合に、前記所定の光学系から出射される前記第2光に係る出力光に含まれる前記第3波長の偏光に係る出力光を撮像可能な第3波長光撮像部、
及び/又は、
前記所定の光学系に対し前記第4波長の偏光を含む前記第2光が入射された場合に、前記所定の光学系から出射される前記第2光に係る出力光に含まれる前記第4波長の偏光に係る出力光を撮像可能な第4波長光撮像部を備えていることを特徴とする三次元計測装置。
【0015】
尚、以下同様であるが、ここで「所定の光学系(特定光学系)」から出力される「第1光に係る出力光」には「第1光に係る参照光及び計測光の合成光、又は、該合成光を干渉させた干渉光」が含まれ、「第2光に係る出力光」には「第2光に係る参照光及び計測光の合成光、又は、該合成光を干渉させた干渉光」が含まれる。
【0016】
従って、「第1光に係る出力光」に含まれる「第1波長の偏光に係る出力光」には「第1波長の偏光に係る参照光及び計測光の合成光、又は、該合成光を干渉させた干渉光」が含まれ、「第2波長の偏光に係る出力光」には「第2波長の偏光に係る参照光及び計測光の合成光、又は、該合成光を干渉させた干渉光」が含まれる。
【0017】
また、「第2光に係る出力光」に含まれる「第3波長の偏光に係る出力光」には「第3波長の偏光に係る参照光及び計測光の合成光、又は、該合成光を干渉させた干渉光」が含まれ、「第4波長の偏光に係る出力光」には「第4波長の偏光に係る参照光及び計測光の合成光、又は、該合成光を干渉させた干渉光」が含まれる。
【0018】
つまり「所定の光学系」には、「参照光及び計測光を内部で干渉させた上で干渉光として出力する光学系」のみならず、「参照光及び計測光を内部で干渉させることなく、単に合成光として出力する光学系」も含まれる。但し、「所定の光学系」から出力される「出力光」が「合成光」の場合には、「干渉縞画像」を撮像するため、少なくとも「撮像手段」にて撮像される前段階において、所定の干渉手段を介して「干渉光」に変換することとなる。
【0019】
それ故、光の干渉を生じさせること(干渉縞画像を撮像すること)を目的として、入射する所定の光を2つの光に分割し、一方の光を計測光として被計測物に照射可能としかつ他方の光を参照光として参照面に照射可能とすると共に、これらを再び合成して出射可能な光学系を「干渉光学系」と称することができる。従って、上記手段1において(以下の各手段においても同様)、「所定の光学系(特定光学系)」を「干渉光学系」と換言してもよい。
【0020】
また、「第1照射手段」から出射される「第1光」は、少なくとも「第1波長の偏光」及び/又は「第2波長の偏光」を含んだ光であればよく、その後「所定の光学系」等においてカットされる他の余分な成分を含んだ光(例えば「無偏光」や「円偏光」)であってもよい。
【0021】
同様に、「第1波長光出射部」から出射される「第1波長光」は、少なくとも「第1波長の偏光」を含んだ光であればよく、他の余分な成分を含んだ光であってもよいし、「第2波長光出射部」から出射される「第2波長光」は、少なくとも「第2波長の偏光」を含んだ光であればよく、他の余分な成分を含んだ光であってもよい。
【0022】
また、「第2照射手段」から出射される「第2光」は、少なくとも「第3波長の偏光」及び/又は「第4波長の偏光」を含んだ光であればよく、その後「所定の光学系」においてカットされる他の余分な成分を含んだ光(例えば「無偏光」や「円偏光」)であってもよい。
【0023】
同様に、「第3波長光出射部」から出射される「第3波長光」は、少なくとも「第3波長の偏光」を含んだ光であればよく、他の余分な成分を含んだ光であってもよいし、「第4波長光出射部」から出射される「第4波長光」は、少なくとも「第4波長の偏光」を含んだ光であればよく、他の余分な成分を含んだ光であってもよい。
【0024】
上記手段1によれば、「第1光」と「第2光」をそれぞれ所定の光学系の異なる位置から入射することにより、「第1光」と「第2光」は互いに干渉することなく、別々に所定の光学系の異なる位置から出射されることとなる。
【0025】
これにより、「第1光」に含まれる偏光(「第1波長の偏光」及び/又は「第2波長の偏光」)と、「第2光」に含まれる偏光(「第3波長の偏光」及び/又は「第4波長の偏光」)として波長の近い2種類の偏光を用いることができる。結果として、波長の近い2種類の偏光を利用して、三次元計測に係る計測レンジをより広げることができる。特に本手段では、最大で4種類の波長の異なる光を利用できるため、計測レンジを飛躍的に広げることも可能となる。
【0026】
加えて、「第1光に係る出力光(「第1波長の偏光に係る出力光」及び/又は「第2波長の偏光に係る出力光」)」の撮像と、「第2光に係る出力光(「第3波長の偏光に係る出力光」及び/又は「第4波長の偏光に係る出力光」)」の撮像を個別かつ同時に行うことができる。結果として、総体的な撮像時間を短縮でき、計測効率の向上を図ることができる。特に本手段では、最大で4種類の偏光に係る出力光を個別かつ同時に撮像できるため、計測効率等を飛躍的に向上させることも可能となる。
【0027】
尚、複数の光を用いる場合には、複数の干渉光学系(干渉計モジュール)を用いて被計測物を計測する構成も考えられるが、かかる構成では、基準となる参照面が各干渉光学系ごとに異なり、参照光と計測光とに光路差を生じさせる光路区間が複数の光で異なることとなるため、計測精度が低下するおそれがある。また、複数の干渉光学系の光路長を正確に一致させることは難しく、その調整作業も非常に困難な作業となる。
【0028】
この点、本手段は、基準となる参照面を1つ備えた1つの干渉光学系(所定の光学系)に対し複数の光を用いる構成となっているため、参照光と計測光とに光路差を生じさせる光路区間が複数の光で同一となる。結果として、複数の干渉光学系を備えることに起因した種々の不具合の発生を防止することができる。
【0029】
さらに、本手段では、例えば「第1波長の偏光」及び「第3波長の偏光」の2種類の偏光を用いた計測と、「第2波長の偏光」及び「第4波長の偏光」の2種類の偏光を用いた計測を、被計測物の種類に応じて切替えることができる。つまり、本手段によれば、波長の近い2種類の偏光を用いて計測レンジの拡大を図りつつも、被計測物の種類に応じて光の種類(波長)を切替えることができる。結果として、利便性や汎用性の向上を図ることができる。
【0030】
例えば赤系光が適さないウエハ基板などの被計測物に対しては、「第1波長の偏光」及び「第3波長の偏光」の2種類の偏光(例えば491nmと488nmの青系色の2光)を用いた計測を行う一方、青系光が適さない銅などの被計測物に対しては、「第2波長の偏光」及び「第4波長の偏光」の2種類の偏光(例えば540nmと532nmの緑系色の2光)を用いた計測を行うことができる。勿論、各偏光の波長は上記例示したものに限定されるものではなく、他の波長の偏光を採用してもよい。
【0031】
手段2.入射する所定の光を偏光方向が互いに直交する2つの偏光に分割し、一方の偏光を計測光として被計測物に照射しかつ他方の偏光を参照光として参照面に照射すると共に、これらを再び合成して出射可能な所定の光学系(特定光学系)と、
前記所定の光学系に対し入射させる第1光を出射可能な第1照射手段と、
前記所定の光学系に対し入射させる第2光を出射可能な第2照射手段と、
前記所定の光学系から出射される前記第1光に係る出力光を入射可能な第1撮像手段と、
前記所定の光学系から出射される前記第2光に係る出力光を入射可能な第2撮像手段と、
前記第1撮像手段及び前記第2撮像手段により撮像された干渉縞画像を基に前記被計測物の三次元計測を実行可能な画像処理手段とを備え、
前記第1光と前記第2光をそれぞれ前記所定の光学系の異なる位置に入射させ、
前記所定の光学系が、
前記第1光を、第1の偏光方向を有する偏光(例えばP偏光)よりなる前記参照光と、第2の偏光方向を有する偏光(例えばS偏光)よりなる前記計測光とに分割し、
前記第2光を、前記第2の偏光方向を有する偏光よりなる前記参照光と、前記第1の偏光方向を有する偏光よりなる前記計測光とに分割し、
これらを再び合成した前記第1光に係る出力光と前記第2光に係る出力光をそれぞれ前記所定の光学系の異なる位置から出射させる構成の下、
前記第1照射手段は、
第1波長の偏光を含む第1波長光を出射可能な第1波長光出射部、及び/又は、第2波長の偏光を含む第2波長光を出射可能な第2波長光出射部を備え、
前記第1波長の偏光、及び/又は、前記第2波長の偏光を含む前記第1光を出射可能に構成され、
前記第2照射手段は、
第3波長の偏光を含む第3波長光を出射可能な第3波長光出射部、及び/又は、第4波長の偏光を含む第4波長光を出射可能な第4波長光出射部を備え、
前記第3波長の偏光、及び/又は、前記第4波長の偏光を含む前記第2光を出射可能に構成され、
前記第1撮像手段は、
前記所定の光学系に対し前記第1波長の偏光を含む前記第1光が入射された場合に、前記所定の光学系から出射される前記第1光に係る出力光に含まれる前記第1波長の偏光に係る出力光を撮像可能な第1波長光撮像部、
及び/又は、
前記所定の光学系に対し前記第2波長の偏光を含む前記第1光が入射された場合に、前記所定の光学系から出射される前記第1光に係る出力光に含まれる前記第2波長の偏光に係る出力光を撮像可能な第2波長光撮像部を備え、
前記第2撮像手段は、
前記所定の光学系に対し前記第3波長の偏光を含む前記第2光が入射された場合に、前記所定の光学系から出射される前記第2光に係る出力光に含まれる前記第3波長の偏光に係る出力光を撮像可能な第3波長光撮像部、
及び/又は、
前記所定の光学系に対し前記第4波長の偏光を含む前記第2光が入射された場合に、前記所定の光学系から出射される前記第2光に係る出力光に含まれる前記第4波長の偏光に係る出力光を撮像可能な第4波長光撮像部を備えていることを特徴とする三次元計測装置。
【0032】
上記手段2によれば、「第1光(「第1波長の偏光」及び/又は「第2波長の偏光」)」と「第2光(「第3波長の偏光」及び/又は「第4波長の偏光」)」をそれぞれ所定の光学系の異なる位置から入射することにより、「第1光」に係る参照光及び計測光と、「第2光」に係る参照光及び計測光がそれぞれ異なる偏光成分(P偏光又はS偏光)に分割されるため、所定の光学系に入射した「第1光」と「第2光」は互いに干渉することなく、別々に所定の光学系から出射されることとなる。
【0033】
従って、上記手段2によれば、マイケルソン干渉計やマッハ・ツェンダー干渉計の原理に基づいた比較的簡素な構成で、上記手段1に係る構成を実現することができる。
【0034】
手段3.入射する所定の光を2つの光に分割し、一方の光を計測光として被計測物に照射可能としかつ他方の光を参照光として参照面に照射可能とすると共に、これらを再び合成して出射可能な所定の光学系(特定光学系)と、
前記所定の光学系の第1入出力部に対し入射させる第1光を出射可能な第1照射手段と、
前記所定の光学系の第2入出力部に対し入射させる第2光を出射可能な第2照射手段と、
前記第1入出力部に対し前記第1光を入射することにより前記第2入出力部から出射される前記第1光に係る出力光を入射可能な第1撮像手段と、
前記第2入出力部に対し前記第2光を入射することにより前記第1入出力部から出射される前記第2光に係る出力光を入射可能な第2撮像手段と、
前記第1撮像手段及び前記第2撮像手段により撮像された干渉縞画像を基に前記被計測物の三次元計測を実行可能な画像処理手段とを備え、
前記第1照射手段は、
第1波長の偏光を含む第1波長光を出射可能な第1波長光出射部、及び/又は、第2波長の偏光を含む第2波長光を出射可能な第2波長光出射部を備え、
前記第1波長の偏光、及び/又は、前記第2波長の偏光を含む前記第1光を出射可能に構成され、
前記第2照射手段は、
第3波長の偏光を含む第3波長光を出射可能な第3波長光出射部、及び/又は、第4波長の偏光を含む第4波長光を出射可能な第4波長光出射部を備え、
前記第3波長の偏光、及び/又は、前記第4波長の偏光を含む前記第2光を出射可能に構成され、
前記第1撮像手段は、
前記第1入出力部に対し前記第1波長の偏光を含む前記第1光が入射された場合に、前記第2入出力部から出射される前記第1光に係る出力光に含まれる前記第1波長の偏光に係る出力光を撮像可能な第1波長光撮像部、
及び/又は、
前記第1入出力部に対し前記第2波長の偏光を含む前記第1光が入射された場合に、前記第2入出力部から出射される前記第1光に係る出力光に含まれる前記第2波長の偏光に係る出力光を撮像可能な第2波長光撮像部を備え、
前記第2撮像手段は、
前記第2入出力部に対し前記第3波長の偏光を含む前記第2光が入射された場合に、前記第1入出力部から出射される前記第2光に係る出力光に含まれる前記第3波長の偏光に係る出力光を撮像可能な第3波長光撮像部、
及び/又は、
前記第2入出力部に対し前記第4波長の偏光を含む前記第2光が入射された場合に、前記第1入出力部から出射される前記第2光に係る出力光に含まれる前記第4波長の偏光に係る出力光を撮像可能な第4波長光撮像部を備えていることを特徴とする三次元計測装置。
【0035】
上記手段3によれば、「第1光(「第1波長の偏光」及び/又は「第2波長の偏光」)」と「第2光(「第3波長の偏光」及び/又は「第4波長の偏光」)」をそれぞれ所定の光学系の異なる位置(第1入出力部及び第2入出力部)から入射することにより、「第1光」と「第2光」がそれぞれ同一の光路を逆方向に辿り、互いに干渉することなく、別々に所定の光学系の異なる位置(第1入出力部及び第2入出力部)から出射されることとなる。結果として、上記手段1等と同様の作用効果が奏される。
【0036】
尚、以下の手段においても同様であるが、上記手段3に係る構成をより適正に機能させるためには、「前記被計測物を前記参照面と同一の平面とした場合において、前記第1入出力部に対し入射させる前記第1光(「第1波長の偏光」及び/又は「第2波長の偏光」)の偏光方向と、該第1入出力部から出射される前記第2光(「第3波長の偏光」及び/又は「第4波長の偏光」)に係る出力光の偏光方向とが同一となり、かつ、前記第2入出力部に対し入射させる前記第2光(「第3波長の偏光」及び/又は「第4波長の偏光」)の偏光方向と、該第2入出力部から出射される前記第1光(「第1波長の偏光」及び/又は「第2波長の偏光」)に係る出力光の偏光方向とが同一となること」がより好ましい。
【0037】
同様に、「前記第1入出力部に対し前記第1光を入射する入射方向と、前記第2入出力部に対し前記第2光を入射する入射方向とを該両入射方向を含む平面上において一致させた場合において、前記第1光(「第1波長の偏光」及び/又は「第2波長の偏光」)の偏光方向と、前記第2光(「第3波長の偏光」及び/又は「第4波長の偏光」)の偏光方向とが90°異なること」がより好ましい。
【0038】
また、「前記所定の光学系において、(例えば被計測物や参照面に向け)同一軸線上を同一方向に向かう前記第1光(「第1波長の偏光」及び/又は「第2波長の偏光」)又はその計測光若しくは参照光の偏光方向と、前記第2光(「第3波長の偏光」及び/又は「第4波長の偏光」)又はその計測光若しくは参照光の偏光方向とが90°異なること」がより好ましい。
【0039】
手段4.入射する所定の光を偏光方向が互いに直交する2つの偏光に分割する境界面を有し、該分割した一方の偏光を計測光として被計測物に照射しかつ他方の偏光を参照光として参照面に照射すると共に、これらを再び合成して出射可能な偏光ビームスプリッタと、
前記境界面を挟んで隣り合う前記偏光ビームスプリッタの第1面及び第2面のうち第1入出力部となる前記第1面に対し入射させる第1光を出射可能な第1照射手段と、
前記偏光ビームスプリッタの第2入出力部となる前記第2面に対し入射させる第2光を出射可能な第2照射手段と、
前記参照光が出入射される前記偏光ビームスプリッタの第3面と前記参照面との間に配置された第1の1/4波長板と、
前記計測光が出入射される前記偏光ビームスプリッタの第4面と前記被計測物との間に配置される第2の1/4波長板と、
前記偏光ビームスプリッタの前記第1面に対し前記第1光を入射することにより前記第2面から出射される前記第1光に係る出力光を入射可能な第1撮像手段と、
前記偏光ビームスプリッタの前記第2面に対し前記第2光を入射することにより前記第1面から出射される前記第2光に係る出力光を入射可能な第2撮像手段と、
前記第1撮像手段及び前記第2撮像手段により撮像された干渉縞画像を基に前記被計測物の三次元計測を実行可能な画像処理手段とを備え、
前記第1照射手段は、
第1波長の偏光を含む第1波長光を出射可能な第1波長光出射部、及び/又は、第2波長の偏光を含む第2波長光を出射可能な第2波長光出射部を備え、
前記第1波長の偏光、及び/又は、前記第2波長の偏光を含む前記第1光を出射可能に構成され、
前記第2照射手段は、
第3波長の偏光を含む第3波長光を出射可能な第3波長光出射部、及び/又は、第4波長の偏光を含む第4波長光を出射可能な第4波長光出射部を備え、
前記第3波長の偏光、及び/又は、前記第4波長の偏光を含む前記第2光を出射可能に構成され、
前記第1撮像手段は、
前記第1面に対し前記第1波長の偏光を含む前記第1光が入射された場合に、前記第2面から出射される前記第1光に係る出力光に含まれる前記第1波長の偏光に係る出力光を撮像可能な第1波長光撮像部、
及び/又は、
前記第1面に対し前記第2波長の偏光を含む前記第1光が入射された場合に、前記第2面から出射される前記第1光に係る出力光に含まれる前記第2波長の偏光に係る出力光を撮像可能な第2波長光撮像部を備え、
前記第2撮像手段は、
前記第2面に対し前記第3波長の偏光を含む前記第2光が入射された場合に、前記第1面から出射される前記第2光に係る出力光に含まれる前記第3波長の偏光に係る出力光を撮像可能な第3波長光撮像部、
及び/又は、
前記第2面に対し前記第4波長の偏光を含む前記第2光が入射された場合に、前記第1面から出射される前記第2光に係る出力光に含まれる前記第4波長の偏光に係る出力光を撮像可能な第4波長光撮像部を備えていることを特徴とする三次元計測装置。
【0040】
上記手段4によれば、マイケルソン干渉計の原理に基づいた比較的簡素な構成で、上記手段1等に係る構成を実現することができる。
【0041】
以下の手段でも同様であるが、「偏光ビームスプリッタ」は、その境界面において、第1の偏光方向を有する偏光(例えばP偏光)を透過させ、第2の偏光方向を有する偏光(例えばS偏光)を反射する機能を有する。従って、偏光ビームスプリッタの第1面から入射した第1光は、例えば第1の偏光方向を有する偏光(例えばP偏光)よりなる参照光と、第2の偏光方向を有する偏光(例えばS偏光)よりなる計測光とに分割され、偏光ビームスプリッタの第2面から入射した第2光は、例えば第2の偏光方向を有する偏光(例えばS偏光)よりなる参照光と、第1の偏光方向を有する偏光(例えばP偏光)よりなる計測光とに分割されることとなる。
【0042】
つまり、「第1光(「第1波長の偏光」及び/又は「第2波長の偏光」)」と「第2光(「第3波長の偏光」及び/又は「第4波長の偏光」)」をそれぞれ所定の光学系の異なる位置(第1面及び第2面)から入射することにより、「第1光」に係る参照光及び計測光と、「第2光」に係る参照光及び計測光がそれぞれ異なる偏光成分(P偏光又はS偏光)に分割されるため、「第1光」と「第2光」は互いに干渉することなく、別々に所定の光学系から出射されることとなる。
【0043】
尚、波長の異なる複数の光を用いる場合、すべての光に共通して用いられる上記「1/4波長板」は、各光の波長差が大きくなればなるほど、適正に機能しなくなるおそれがある。そのため、「1/4波長板」の性能にも依るが、「第1光(「第1波長の偏光」及び/又は「第2波長の偏光」)」と「第2光(「第3波長の偏光」及び/又は「第4波長の偏光」)」の関係のみならず、「第1光」に含まれる「第1波長の偏光」と「第2波長の偏光」の関係、並びに、「第2光」に含まれる「第3波長の偏光」と「第4波長の偏光」の関係においても、少なくとも「1/4波長板」が適正に機能する程度には、波長差が小さい光を用いることがより好ましい。
【0044】
手段5.第1光を出射可能な第1照射手段と、
第2光を出射可能な第2照射手段と、
前記第1照射手段から入射される前記第1光を偏光方向が互いに直交する2つの偏光に分割し、一方の偏光を計測光として被計測物に対し照射可能としかつ他方の偏光を参照光として参照面に対し照射可能とすると共に、前記被計測物を介して入射した前記第2光に係る計測光と、前記参照面を介して入射した前記第2光に係る参照光とを合成して出射可能な第1入出力部としての第1偏光ビームスプリッタと、
前記第2照射手段から入射される前記第2光を偏光方向が互いに直交する2つの偏光に分割し、一方の偏光を計測光として被計測物に対し照射可能としかつ他方の偏光を参照光として参照面に対し照射可能とすると共に、前記被計測物を介して入射した前記第1光に係る計測光と、前記参照面を介して入射した前記第1光に係る参照光とを合成して出射可能な第2入出力部としての第2偏光ビームスプリッタと、
前記第1偏光ビームスプリッタと前記参照面との間に配置された第1の1/4波長板と、
前記第1偏光ビームスプリッタと前記被計測物との間に配置された第2の1/4波長板と、
前記第2偏光ビームスプリッタと前記参照面との間に配置された第3の1/4波長板と、
前記第2偏光ビームスプリッタと前記被計測物との間に配置された第4の1/4波長板と、
前記第1偏光ビームスプリッタに対し前記第1光を入射することにより前記第2偏光ビームスプリッタから出射される前記第1光に係る出力光を入射可能な第1撮像手段と、
前記第2偏光ビームスプリッタに対し前記第2光を入射することにより前記第1偏光ビームスプリッタから出射される前記第2光に係る出力光を入射可能な第2撮像手段と、
前記第1撮像手段及び前記第2撮像手段により撮像された干渉縞画像を基に前記被計測物の三次元計測を実行可能な画像処理手段とを備え、
前記第1照射手段は、
第1波長の偏光を含む第1波長光を出射可能な第1波長光出射部、及び/又は、第2波長の偏光を含む第2波長光を出射可能な第2波長光出射部を備え、
前記第1波長の偏光、及び/又は、前記第2波長の偏光を含む前記第1光を出射可能に構成され、
前記第2照射手段は、
第3波長の偏光を含む第3波長光を出射可能な第3波長光出射部、及び/又は、第4波長の偏光を含む第4波長光を出射可能な第4波長光出射部を備え、
前記第3波長の偏光、及び/又は、前記第4波長の偏光を含む前記第2光を出射可能に構成され、
前記第1撮像手段は、
前記第1偏光ビームスプリッタに対し前記第1波長の偏光を含む前記第1光が入射された場合に、前記第2偏光ビームスプリッタから出射される前記第1光に係る出力光に含まれる前記第1波長の偏光に係る出力光を撮像可能な第1波長光撮像部、
及び/又は、
前記第1偏光ビームスプリッタに対し前記第2波長の偏光を含む前記第1光が入射された場合に、前記第2偏光ビームスプリッタから出射される前記第1光に係る出力光に含まれる前記第2波長の偏光に係る出力光を撮像可能な第2波長光撮像部を備え、
前記第2撮像手段は、
前記第2偏光ビームスプリッタに対し前記第3波長の偏光を含む前記第2光が入射された場合に、前記第1偏光ビームスプリッタから出射される前記第2光に係る出力光に含まれる前記第3波長の偏光に係る出力光を撮像可能な第3波長光撮像部、
及び/又は、
前記第2偏光ビームスプリッタに対し前記第4波長の偏光を含む前記第2光が入射された場合に、前記第1偏光ビームスプリッタから出射される前記第2光に係る出力光に含まれる前記第4波長の偏光に係る出力光を撮像可能な第4波長光撮像部を備えていることを特徴とする三次元計測装置。
【0045】
上記手段5によれば、マッハ・ツェンダー干渉計の原理に基づいた比較的簡素な構成で、上記手段1等に係る構成を実現することができる。
【0046】
手段6.第1の偏光方向を有する偏光(例えばP偏光)を透過又は反射させ、第2の偏光方向を有する偏光(例えばS偏光)を反射又は透過する境界面を有する偏光ビームスプリッタと、
前記境界面を挟んで隣り合う前記偏光ビームスプリッタの第1面及び第2面のうち第1入出力部となる前記第1面に対し入射させる、前記第1の偏光方向を有する偏光を含む第1光を出射可能な第1照射手段と、
前記偏光ビームスプリッタの第2入出力部となる前記第2面に対し入射させる、前記第2の偏光方向を有する偏光を含む第2光を出射可能な第2照射手段と、
前記境界面を透過又は反射した第1光及び前記境界面を反射又は透過した第2光が出射される前記偏光ビームスプリッタの所定面(例えば第3面又は第4面)と相対向するように配置された1/4波長板と、
前記偏光ビームスプリッタとは反対側にて前記1/4波長板と相対向するように配置され、前記1/4波長板を介して照射された光の一部を計測光として透過して被計測物に照射しかつ残りの光を参照光として反射するハーフミラー(参照面)と、
前記偏光ビームスプリッタの前記第1面に対し前記第1光を入射することにより前記第2面から出射される前記第1光に係る出力光を入射可能な第1撮像手段と、
前記偏光ビームスプリッタの前記第2面に対し前記第2光を入射することにより前記第1面から出射される前記第2光に係る出力光を入射可能な第2撮像手段と、
前記第1撮像手段及び前記第2撮像手段により撮像された干渉縞画像を基に前記被計測物の三次元計測を実行可能な画像処理手段とを備え、
前記第1照射手段は、
第1波長の偏光を含む第1波長光を出射可能な第1波長光出射部、及び/又は、第2波長の偏光を含む第2波長光を出射可能な第2波長光出射部を備え、
前記第1波長の偏光、及び/又は、前記第2波長の偏光を含む前記第1光を出射可能に構成され、
前記第2照射手段は、
第3波長の偏光を含む第3波長光を出射可能な第3波長光出射部、及び/又は、第4波長の偏光を含む第4波長光を出射可能な第4波長光出射部を備え、
前記第3波長の偏光、及び/又は、前記第4波長の偏光を含む前記第2光を出射可能に構成され、
前記第1撮像手段は、
前記第1面に対し前記第1波長の偏光を含む前記第1光が入射された場合に、前記第2面から出射される前記第1光に係る出力光に含まれる前記第1波長の偏光に係る出力光を撮像可能な第1波長光撮像部、
及び/又は、
前記第1面に対し前記第2波長の偏光を含む前記第1光が入射された場合に、前記第2面から出射される前記第1光に係る出力光に含まれる前記第2波長の偏光に係る出力光を撮像可能な第2波長光撮像部を備え、
前記第2撮像手段は、
前記第2面に対し前記第3波長の偏光を含む前記第2光が入射された場合に、前記第1面から出射される前記第2光に係る出力光に含まれる前記第3波長の偏光に係る出力光を撮像可能な第3波長光撮像部、
及び/又は、
前記第2面に対し前記第4波長の偏光を含む前記第2光が入射された場合に、前記第1面から出射される前記第2光に係る出力光に含まれる前記第4波長の偏光に係る出力光を撮像可能な第4波長光撮像部を備えていることを特徴とする三次元計測装置。
【0047】
上記手段6によれば、フィゾー干渉計の原理に基づいた比較的簡素な構成で、上記手段1等に係る構成を実現することができる。
【0048】
手段7.前記第1照射手段から出射される第1光の少なくとも一部を前記第1入出力部に向け入射させると共に、前記第1入出力部から出射される前記第2光に係る出力光の少なくとも一部を前記第2撮像手段に向け入射させる第1導光手段と、
前記第2照射手段から出射される第2光の少なくとも一部を前記第2入出力部に向け入射させると共に、前記第2入出力部から出射される第1光に係る出力光の少なくとも一部を前記第1撮像手段に向け入射させる第2導光手段とを備えたことを特徴とする手段3乃至6のいずれかに記載の三次元計測装置。
【0049】
上記手段7によれば、比較的簡素な構成で、上記手段3等に係る構成を実現することができる。
【0050】
例えば「前記第1照射手段から出射される第1光の一部を透過させかつ残りを反射させ、該第1光の透過光又は反射光を前記第1入出力部に向け入射させると共に、前記第1入出力部から出射される第2光に係る出力光の一部を透過させかつ残りを反射させ、該第2光の透過光又は反射光を前記第2撮像手段に向け入射させる第1無偏光ビームスプリッタ(ハーフミラー等)と、
前記第2照射手段から出射される第2光の一部を透過させかつ残りを反射させ、該第2光の透過光又は反射光を前記第2入出力部に向け入射させると共に、前記第2入出力部から出射される第1光に係る出力光の一部を透過させかつ残りを反射させ、該第1光の透過光又は反射光を前記第1撮像手段に向け入射させる第2無偏光ビームスプリッタ(ハーフミラー等)とを備えた」構成が一例に挙げられる。
【0051】
手段8.前記第1照射手段は、
前記第1波長光出射部から出射される一方向の光のみを透過しかつ逆方向の光を遮断する第1光アイソレータ、及び/又は、前記第2波長光出射部から出射される一方向の光のみを透過しかつ逆方向の光を遮断する第2光アイソレータを備え、
前記第2照射手段は、
前記第3波長光出射部から出射される一方向の光のみを透過しかつ逆方向の光を遮断する第3光アイソレータ、及び/又は、前記第4波長光出射部から出射される一方向の光のみを透過しかつ逆方向の光を遮断する第4光アイソレータを備えていることを特徴とする手段7に記載の三次元計測装置。
【0052】
上記手段7の導光手段として、例えば無偏光ビームスプリッタを備えた場合には、該無偏光ビームスプリッタが、入出力部から出射された光の一部を透過させかつ残りを反射させ、該光の透過光又は反射光の一方を撮像手段に向け入射させる際に、該撮像手段に入射しない他方の光が照射手段に向かうこととなる。仮に、かかる光が光源(波長光出射部)に入射した場合には、光源が損傷したり動作が不安定となるおそれがある。
【0053】
これに対し、本手段8によれば、光アイソレータを備えることにより、光源の損傷や不安定化などを防止することができる。
【0054】
手段9.前記第1照射手段は、
前記第1波長光出射部から出射される前記第1波長光、及び、前記第2波長光出射部から出射される前記第2波長光を、前記第1光として合成可能な第1合成手段を備え、
前記第2照射手段は、
前記第3波長光出射部から出射される前記第3波長光、及び、前記第4波長光出射部から出射される前記第4波長光を、前記第2光として合成可能な第2合成手段を備え、
前記第1撮像手段は、
前記第1波長の偏光及び前記第2波長の偏光を含む前記第1光が前記第1照射手段から出射された場合に、(例えば前記第2入出力部から出射される)前記第1光に係る出力光を、前記第1波長の偏光に係る出力光、及び、前記第2波長の偏光に係る出力光に分離可能な第1分離手段を備え、
前記第2撮像手段は、
前記第3波長の偏光及び前記第4波長の偏光を含む前記第2光が前記第2照射手段から出射された場合に、(例えば前記第1入出力部から出射される)前記第2光に係る出力光を、前記第3波長の偏光に係る出力光、及び、前記第4波長の偏光に係る出力光に分離可能な第2分離手段を備えていることを特徴とする手段1乃至8のいずれかに記載の三次元計測装置。
【0055】
上記手段9によれば、第1波長光と第2波長光を合成した状態で所定の光学系(偏光ビームスプリッタ等)へ入射させ、ここから出射される出力光を分離手段(ダイクロイックミラー等)により波長分離し、第1波長の偏光に係る出力光と、第2波長の偏光に係る出力光とを得ることができる。
【0056】
同様に、第3波長光と第4波長光を合成した状態で所定の光学系(偏光ビームスプリッタ等)へ入射させ、ここから出射される出力光を分離手段(ダイクロイックミラー等)により波長分離し、第3波長の偏光に係る出力光と、第4波長の偏光に係る出力光とを得ることができる。
【0057】
結果として、従来同様の干渉光学系(所定の光学系)を用いることが可能となるため、構成の簡素化を図ることができる。さらに、本手段によれば、最大で4種類の光を同時に利用することが可能となるため、計測レンジのさらなる拡大を図ると共に、計測効率のさらなる向上を図ることができる。
【0058】
従って、第1合成手段により「第1波長の偏光」と「第2波長の偏光」を合成する場合には、「第1光」に含まれる「第1波長の偏光」と「第2波長の偏光」は第1分離手段(ダイクロイックミラー等)で分離可能な程度に波長が離れた偏光であることが好ましい。同様に、第2合成手段により「第3波長の偏光」と「第4波長の偏光」を合成する場合には、「第2光」に含まれる「第3波長の偏光」と「第4波長の偏光」は第2分離手段(ダイクロイックミラー等)で分離可能な程度に波長が離れた偏光であることが好ましい。
【0059】
手段10.前記第1波長の偏光に係る前記参照光と前記計測光との間に相対的な位相差を付与する第1位相シフト手段、及び/又は、前記第2波長の偏光に係る前記参照光と前記計測光との間に相対的な位相差を付与する第2位相シフト手段を備えると共に、
前記第3波長の偏光に係る前記参照光と前記計測光との間に相対的な位相差を付与する第3位相シフト手段、及び/又は、前記第4波長の偏光に係る前記参照光と前記計測光との間に相対的な位相差を付与する第4位相シフト手段を備え、
前記画像処理手段は、
前記第1位相シフト手段により複数通り(例えば4通り)に位相シフトされた前記第1波長の偏光に係る出力光を前記第1波長光撮像部により撮像した複数通りの干渉縞画像を基に、位相シフト法により前記被計測物の形状計測を行い、当該計測値を第1計測値として取得可能な第1計測値取得手段、
及び/又は、
前記第2位相シフト手段により複数通り(例えば4通り)に位相シフトされた前記第2波長の偏光に係る出力光を前記第2波長光撮像部により撮像した複数通りの干渉縞画像を基に、位相シフト法により前記被計測物の形状計測を行い、当該計測値を第2計測値として取得可能な第2計測値取得手段を備えると共に、
前記第3位相シフト手段により複数通り(例えば4通り)に位相シフトされた前記第3波長の偏光に係る出力光を前記第3波長光撮像部により撮像した複数通りの干渉縞画像を基に、位相シフト法により前記被計測物の形状計測を行い、当該計測値を第3計測値として取得可能な第3計測値取得手段、
及び/又は、
前記第4位相シフト手段により複数通り(例えば4通り)に位相シフトされた前記第4波長の偏光に係る出力光を前記第4波長光撮像部により撮像した複数通りの干渉縞画像を基に、位相シフト法により前記被計測物の形状計測を行い、当該計測値を第4計測値として取得可能な第4計測値取得手段を備え、
前記第1計測値及び/又は前記第2計測値、並びに、前記第3計測値及び/又は前記第4計測値から特定される高さ情報を、前記被計測物の高さ情報として取得可能な高さ情報取得手段とを備えた手段1乃至9のいずれかに記載の三次元計測装置。
【0060】
位相シフト法を利用した従来の三次元計測装置においては、例えば位相を4段階に変化させ、これらに対応する4通りの干渉縞画像を撮像する必要があった。そのため、計測レンジ向上のため、波長差が小さい2種類の光を用いる場合には、それぞれ異なるタイミングで4回ずつ、計8回分の撮像時間が必要であった。
【0061】
これに対し、本手段10によれば、「第1光に係る出力光(「第1波長の偏光に係る出力光」及び/又は「第2波長の偏光に係る出力光」)」の撮像と、「第2光に係る出力光(「第3波長の偏光に係る出力光」及び/又は「第4波長の偏光に係る出力光」)」の撮像を個別かつ同時に行うことができる。そのため、例えば計4回分の撮像時間で、最大4種類の光に係る計16通り(4×4通り)の干渉縞画像を取得することができる。結果として、総体的な撮像時間を短縮でき、さらなる計測効率の向上を図ることができる。
【0062】
手段11.前記第1波長の偏光に係る出力光を複数の光に分割する第1の分光手段、及び、前記第1位相シフト手段として、前記第1の分光手段により分割された複数の分割光のうち、少なくとも前記位相シフト法による計測に必要な数(例えば4つ)の分割光に対してそれぞれ異なる位相差を付与する第1のフィルタ手段、
並びに/又は、
前記第2波長の偏光に係る出力光を複数の光に分割する第2の分光手段、及び、前記第2位相シフト手段として、前記第2の分光手段により分割された複数の分割光のうち、少なくとも前記位相シフト法による計測に必要な数(例えば4つ)の分割光に対してそれぞれ異なる位相差を付与する第2のフィルタ手段を備えると共に、
前記第3波長の偏光に係る出力光を複数の光に分割する第3の分光手段、及び、前記第3位相シフト手段として、前記第3の分光手段により分割された複数の分割光のうち、少なくとも前記位相シフト法による計測に必要な数(例えば4つ)の分割光に対してそれぞれ異なる位相差を付与する第3のフィルタ手段、
並びに/又は、
前記第4波長の偏光に係る出力光を複数の光に分割する第4の分光手段、及び、前記第4位相シフト手段として、前記第4の分光手段により分割された複数の分割光のうち、少なくとも前記位相シフト法による計測に必要な数(例えば4つ)の分割光に対してそれぞれ異なる位相差を付与する第4のフィルタ手段を備え、
前記第1波長光撮像部が、少なくとも前記第1のフィルタ手段を透過する前記複数の分割光を同時に撮像可能に構成され、及び/又は、前記第2波長光撮像部が、少なくとも前記第2のフィルタ手段を透過する前記複数の分割光を同時に撮像可能に構成されると共に、
前記第3波長光撮像部が、少なくとも前記第3のフィルタ手段を透過する前記複数の分割光を同時に撮像可能に構成され、及び/又は、前記第4波長光撮像部が、少なくとも前記第4のフィルタ手段を透過する前記複数の分割光を同時に撮像可能に構成されていることを特徴とする手段10に記載の三次元計測装置。
【0063】
上記位相シフト手段としては、例えば参照面を光軸に沿って移動させることにより物理的に光路長を変化させる構成が考えられる。しかしながら、かかる構成では、計測に必要なすべての干渉縞画像を取得するまでに一定時間を要するため、計測時間が長くなるばかりでなく、その空気の揺らぎや振動等の影響を受けるため、計測精度が低下するおそれがある。
【0064】
この点、本手段11によれば、計測に必要なすべての干渉縞画像を同時に取得することができる。つまり、最大で4種類の光に係る計16通り(4×4通り)の干渉縞画像を同時に取得することができる。結果として、計測精度の向上を図ると共に、総体的な撮像時間を大幅に短縮でき、計測効率の飛躍的な向上を図ることができる。
【0065】
尚、「分光手段」としては、例えば「入射される光を、それぞれ光路長が等しくかつ進行方向に直交する平面において光路がマトリクス状に並ぶ4つの光に分割する分光手段」などが挙げられる。例えば、下記の手段12のような構成が一例に挙げられる。
【0066】
手段12.前記分光手段(前記第1の分光手段及び/又は前記第2の分光手段、並びに、前記第3の分光手段及び/又は前記第4の分光手段、)は、
第1の平面に沿った断面形状が三角形状となる三角柱形状をなし、該第1の平面と直交する方向に沿った3つの面のうちの第1面と第2面との交線を通り第3面と直交する平面に沿って第1分岐手段(第1のハーフミラー)を有する第1の光学部材(第1のケスタープリズム)と、
前記第1の平面と直交する第2の平面に沿った断面形状が三角形状となる三角柱形状をなし、該第2の平面と直交する方向に沿った3つの面のうちの第1面と第2面との交線を通り第3面と直交する平面に沿って第2分岐手段(第2のハーフミラー)を有する第2の光学部材(第2のケスタープリズム)とを備え、
前記第1の光学部材の第3面と前記第2の光学部材の第1面とを相対向するように配置することにより、
前記第1の光学部材の前記第1面に対し(垂直に)入射される光を前記第1分岐手段にて2方向に分岐させ、このうち前記第1分岐手段にて反射した分割光を前記第1面にて前記第3面側に向け反射させ、前記第1分岐手段を透過した分割光を前記第2面にて前記第3面側に向け反射させることにより、前記第3面から平行する2つの分割光として出射させ、
前記第1の光学部材の第3面から出射された2つの分割光を前記第2の光学部材の第1面に対し(垂直に)入射させ、該2つの分割光をそれぞれ前記第2分岐手段にて2方向に分岐させ、このうち前記第2分岐手段にて反射した2つの分割光をそれぞれ前記第1面にて前記第3面側に向け反射させ、前記第2分岐手段を透過した2つの分割光をそれぞれ前記第2面にて前記第3面側に向け反射させることにより、前記第3面から平行する4つの分割光として出射させることを特徴とする手段11に記載の三次元計測装置。
【0067】
上記手段12によれば、所定の光学系(干渉光学系)から出射される光を2行2列のマトリクス状に並ぶ4つの光に分光することができる。これにより、例えば下記の手段13のように複数の分割光を単一の撮像素子により同時撮像する構成において、撮像素子の撮像領域をマトリクス状に4等分した分割領域を、4つの分割光にそれぞれ割り当てることができるため、撮像素子の撮像領域を有効活用することができる。例えばアスペクト比が4:3の一般的な撮像素子の撮像領域を4等分した場合、各分割領域のアスペクト比は同じく4:3となるため、各分割領域内のより広範囲を利用可能となる。ひいては、さらなる計測精度の向上を図ることができる。
【0068】
また、仮に回折格子を分光手段として用いた場合には分解能が低下するおそれがあるが、本手段では、1つの光を平行する2つの光に分割し、さらに該2つの光をそれぞれ平行する2つの光に分割することにより、平行する4つの光に分光する構成となっているため、分解能の低下抑制を図ることができる。
【0069】
さらに、1つの光を平行する2つの光に分割する手段として、上記構成を有する光学部材(ケスタープリズム)を採用しているため、分割された2つの光の光路長が光学的に等しくなる。結果として、分割された2つの光の光路長を調整する光路調整手段を備える必要がなく、部品点数の削減を図ると共に、構成の簡素化や装置の小型化等を図ることができる。
【0070】
また、第1の光学部材の第3面と第2の光学部材の第1面とが当接していれば、分光手段に対し1つの光が入射されてから、4つの光が出射されるまでの間、光が光学部材内のみを進み、空気中に出ない構成となるため、空気の揺らぎ等による影響を低減することができる。
【0071】
手段13.前記第1波長光撮像部が、少なくとも前記第1のフィルタ手段を透過する前記複数の分割光を同時に撮像可能な単一の撮像素子を備え、及び/又は、前記第2波長光撮像部が、少なくとも前記第2のフィルタ手段を透過する前記複数の分割光を同時に撮像可能な単一の撮像素子を備え、
前記第3波長光撮像部が、少なくとも前記第3のフィルタ手段を透過する前記複数の分割光を同時に撮像可能な単一の撮像素子を備え、及び/又は、前記第2波長光撮像部が、少なくとも前記第4のフィルタ手段を透過する前記複数の分割光を同時に撮像可能な単一の撮像素子を備えていることを特徴とする手段11又は12に記載の三次元計測装置。
【0072】
尚、複数の分割光を同時に撮像する場合には、複数のカメラ(撮像素子)により各分割光をそれぞれ撮像する構成も考えられるが、かかる構成では、各カメラ(撮像素子)の違い等により、計測誤差が生じるおそれがある。
【0073】
この点、本手段によれば、複数の分割光を単一の撮像素子により同時撮像する構成となっているため、計測誤差等の発生を抑制し、計測精度の向上を図ることができる。
【0074】
手段14.前記被計測物が、プリント基板に印刷されたクリーム半田、又は、ウエハ基板に形成された半田バンプであることを特徴とする手段1乃至13のいずれかに記載の三次元計測装置。
【0075】
上記手段14によれば、プリント基板に印刷されたクリーム半田、又は、ウエハ基板に形成された半田バンプの高さ計測等を行うことができる。ひいては、クリーム半田又は半田バンプの検査において、その計測値に基づいてクリーム半田又は半田バンプの良否判定を行うことができる。従って、かかる検査において、上記各手段の作用効果が奏されることとなり、精度よく良否判定を行うことができる。結果として、半田印刷検査装置又は半田バンプ検査装置における検査精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
図1】三次元計測装置の概略構成図である。
図2】三次元計測装置の電気的構成を示すブロック図である。
図3】分光光学系を示す平面図である。
図4】分光光学系を示す正面図である。
図5】分光光学系を示す右側面図である。
図6】分光光学系を示す斜視図である。
図7】フィルタユニットの概略構成図である。
図8】撮像素子の撮像領域の概略構成図である。
図9】第1光(第1波長光及び第2波長光)の光路を示す光路図である。
図10】第2光(第3波長光及び第4波長光)の光路を示す光路図である。
図11】第2実施形態に係る三次元計測装置の概略構成図である。
図12】第2実施形態に係る第1光(第1波長光及び第2波長光)の光路を示す光路図である。
図13】第2実施形態に係る第2光(第3波長光及び第4波長光)の光路を示す光路図である。
図14】第3実施形態に係る三次元計測装置の概略構成図である。
図15】第3実施形態に係る第1光(第1波長光及び第2波長光)の光路を示す光路図である。
図16】第3実施形態に係る第2光(第3波長光及び第4波長光)の光路を示す光路図である。
図17】第4実施形態に係る分光光学系等を示す概略構成図である。
図18】半田バンプの高さ計測の原理を説明するための説明図である。
図19】別の実施形態に係るフィルタユニットの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0077】
〔第1実施形態〕
以下、三次元計測装置の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は本実施形態に係る三次元計測装置1の概略構成を示す模式図であり、図2は三次元計測装置1の電気的構成を示すブロック図である。以下、便宜上、図1の紙面前後方向を「X軸方向」とし、紙面上下方向を「Y軸方向」とし、紙面左右方向を「Z軸方向」として説明する。
【0078】
三次元計測装置1は、マイケルソン干渉計の原理に基づき構成されたものであり、所定の光を出力可能な2つの投光系2A,2B(第1投光系2A,第2投光系2B)と、該投光系2A,2Bからそれぞれ出射される光が入射される干渉光学系3と、該干渉光学系3から出射される光が入射される2つの撮像系4A,4B(第1撮像系4A,第2撮像系4B)と、投光系2A,2Bや干渉光学系3、撮像系4A,4Bなどに係る各種制御や画像処理、演算処理等を行う制御装置5とを備えている。
【0079】
ここで、「制御装置5」が本実施形態における「画像処理手段」を構成し、「干渉光学系3」が本実施形態における「所定の光学系(特定光学系)」を構成する。尚、本願に係る各実施形態においては、光の干渉を生じさせること(干渉縞画像を撮像すること)を目的として、入射する所定の光を2つの光(計測光及び参照光)に分割し、該2つの光に光路差を生じさせた上で、再度合成して出力する光学系を「干渉光学系」という。つまり、2つの光(計測光及び参照光)を内部で干渉させた上で干渉光として出力する光学系のみならず、2つの光(計測光及び参照光)を内部で干渉させることなく、単に合成光として出力する光学系についても「干渉光学系」と称している。従って、本実施形態にて後述するように、「干渉光学系」から、2つの光(計測光及び参照光)が干渉することなく合成光として出力される場合には、少なくとも撮像される前段階(例えば撮像系の内部など)において、所定の干渉手段を介して干渉光に変換することとなる。
【0080】
以下、上記2つの投光系2A,2B(第1投光系2A,第2投光系2B)の構成について詳しく説明する。まず第1投光系2Aの構成について詳しく説明する。
【0081】
第1投光系2Aは、2つの発光部51A,52A(第1発光部51A,第2発光部52A)と、第1発光部51Aに対応する第1光アイソレータ53Aと、第2発光部52Aに対応する第2光アイソレータ54Aと、第1合成用ダイクロイックミラー55Aと、第1無偏光ビームスプリッタ56Aとを備えている。
【0082】
図示は省略するが、発光部51A,52Aは、それぞれ特定波長の直線偏光を出力可能なレーザ光源や、該レーザ光源から出力される直線偏光を拡大し平行光として出射するビームエキスパンダ、強度調整を行うための偏光板、偏光方向を調整するための1/2波長板などを備えている。但し、両発光部51A,52Aはそれぞれ波長の異なる光を出射する。
【0083】
詳しくは、第1発光部51Aは、X軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜した方向を偏光方向とする第1波長λ1(例えばλ1=491nm)の直線偏光をY軸方向下向きに出射する。また、第2発光部52Aは、X軸方向及びY軸方向に対し45°傾斜した方向を偏光方向とする第2波長λ2(例えばλ2=540nm)の直線偏光をZ軸方向左向きに出射する。
【0084】
第1光アイソレータ53Aは、一方向(本実施形態ではY軸方向下向き)に進む光のみを透過し逆方向(本実施形態ではY軸方向上向き)の光を遮断する光学素子である。これにより、第1発光部51Aから出射された光のみを透過することとなり、戻り光による第1発光部51Aの損傷や不安定化などを防止することができる。
【0085】
かかる構成の下、第1発光部51AからY軸方向下向きに出射された第1波長λ1の直線偏光(以下、「第1波長光」という)は、第1光アイソレータ53Aを介して第1合成用ダイクロイックミラー55Aに入射する。
【0086】
同様に、第2光アイソレータ54Aは、一方向(本実施形態ではZ軸方向左向き)に進む光のみを透過し逆方向(本実施形態ではZ軸方向右向き)の光を遮断する光学素子である。これにより、第2発光部52Aから出射された光のみを透過することとなり、戻り光による第2発光部52Aの損傷や不安定化などを防止することができる。
【0087】
かかる構成の下、第2発光部52AからZ軸方向左向きに出射された第2波長λ2の直線偏光(以下、「第2波長光」という)は、第2光アイソレータ54Aを介して第1合成用ダイクロイックミラー55Aに入射する。
【0088】
第1合成用ダイクロイックミラー55Aは、直角プリズム(直角二等辺三角形を底面とする三角柱状のプリズム。以下同様。)を貼り合せて一体としたキューブ型の公知の光学部材(ダイクロイックプリズム)であって、その接合面55Ahに誘電体多層膜が形成されている。
【0089】
第1合成用ダイクロイックミラー55Aは、その接合面55Ahを挟んで隣り合う2面のうちの一方がY軸方向と直交しかつ他方がZ軸方向と直交するように配置されている。つまり、第1合成用ダイクロイックミラー55Aの接合面55AhがY軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜するように配置されている。
【0090】
本実施形態における第1合成用ダイクロイックミラー55Aは、少なくとも第1波長光を反射し、第2波長光を透過する特性を有する。これにより、図1に示す本実施形態の配置構成では、第1合成用ダイクロイックミラー55Aに入射した第1波長光と第2波長光とが合成された上で、X軸方向及びY軸方向に対し45°傾斜した方向を偏光方向とする直線偏光として第1無偏光ビームスプリッタ56Aに向けZ軸方向左向きに出射されることとなる。
【0091】
以降、第1発光部51Aから出射される第1波長光と、第2発光部52Aから出射される第2波長光とを合成した合成光を「第1光」という。つまり、「発光部51A,52A」、「光アイソレータ53A,54A」、「第1合成用ダイクロイックミラー55A」等により本実施形態における「第1照射手段」が構成されることとなる。特に「第1発光部51A」により「第1波長光出射部」が構成され、「第2発光部52A」により「第2波長光出射部」が構成され、「第1合成用ダイクロイックミラー55A」により「第1合成手段」が構成される。
【0092】
第1無偏光ビームスプリッタ56Aは、直角プリズムを貼り合せて一体としたキューブ型の公知の光学部材であって、その接合面56Ahには例えば金属膜などのコーティングが施されている。「第1無偏光ビームスプリッタ56A」が本実施形態における「第1導光手段」を構成する。
【0093】
以下同様であるが、無偏光ビームスプリッタは、偏光状態も含め、入射光を所定の比率で透過光と反射光とに分割するものである。本実施形態では、1:1の分割比を持った所謂ハーフミラーを採用している。つまり、透過光のP偏光成分及びS偏光成分、並びに、反射光のP偏光成分及びS偏光成分が全て同じ比率で分割されると共に、透過光と反射光の各偏光状態は入射光の偏光状態と同じとなる。
【0094】
尚、本実施形態では、図1の紙面に平行な方向(Y軸方向又はZ軸方向)を偏光方向とする直線偏光をP偏光(P偏光成分)といい、図1の紙面に垂直なX軸方向を偏光方向とする直線偏光をS偏光(S偏光成分)という。「P偏光」が「第1の偏光方向を有する偏光」に相当し、「S偏光」が「第2の偏光方向を有する偏光」に相当する。
【0095】
また、第1無偏光ビームスプリッタ56Aは、その接合面56Ahを挟んで隣り合う2面のうちの一方がY軸方向と直交しかつ他方がZ軸方向と直交するように配置されている。つまり、第1無偏光ビームスプリッタ56Aの接合面56AhがY軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜するように配置されている。より詳しくは、第1合成用ダイクロイックミラー55AからZ軸方向左向きに入射する第1光の一部(半分)をZ軸方向左向きに透過させ、残り(半分)をY軸方向下向きに反射させる。
【0096】
次に、第2投光系2Bの構成について詳しく説明する。第2投光系2Bは、上記第1投光系2Aと同様、2つの発光部51B,52B(第3発光部51B,第4発光部52B)と、第3発光部51Bに対応する第3光アイソレータ53Bと、第4発光部52Bに対応する第4光アイソレータ54Bと、第2合成用ダイクロイックミラー55Bと、第2無偏光ビームスプリッタ56Bとを備えている。
【0097】
図示は省略するが、発光部51B,52Bは、それぞれ特定波長の直線偏光を出力可能なレーザ光源や、該レーザ光源から出力される直線偏光を拡大し平行光として出射するビームエキスパンダ、強度調整を行うための偏光板、偏光方向を調整するための1/2波長板などを備えている。但し、両発光部51B,52Bはそれぞれ波長の異なる光を出射する。
【0098】
詳しくは、第3発光部51Bは、X軸方向及びY軸方向に対し45°傾斜した方向を偏光方向とする第3波長λ3(例えばλ3=488nm)の直線偏光をZ軸方向左向きに出射する。また、第4発光部52Bは、X軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜した方向を偏光方向とする第4波長λ4(例えばλ4=532nm)の直線偏光をY軸方向上向きに出射する。
【0099】
第3光アイソレータ53Bは、一方向(本実施形態ではZ軸方向左向き)に進む光のみを透過し逆方向(本実施形態ではZ軸方向右向き)の光を遮断する光学素子である。これにより、第3発光部51Bから出射された光のみを透過することとなり、戻り光による第3発光部51Bの損傷や不安定化などを防止することができる。
【0100】
かかる構成の下、第3発光部51BからZ軸方向左向きに出射された第3波長λ3の直線偏光(以下、「第3波長光」という)は、第3光アイソレータ53Bを介して第2合成用ダイクロイックミラー55Bに入射する。
【0101】
同様に、第4光アイソレータ54Bは、一方向(本実施形態ではY軸方向上向き)に進む光のみを透過し逆方向(本実施形態ではY軸方向下向き)の光を遮断する光学素子である。これにより、第4発光部52Bから出射された光のみを透過することとなり、戻り光による第4発光部52Bの損傷や不安定化などを防止することができる。
【0102】
かかる構成の下、第4発光部52BからY軸方向上向きに出射された第4波長λ4の直線偏光(以下、「第4波長光」という)は、第4光アイソレータ54Bを介して第2合成用ダイクロイックミラー55Bに入射する。
【0103】
第2合成用ダイクロイックミラー55Bは、直角プリズムを貼り合せて一体としたキューブ型の公知の光学部材(ダイクロイックプリズム)であって、その接合面55Bhに誘電体多層膜が形成されている。
【0104】
第2合成用ダイクロイックミラー55Bは、その接合面55Bhを挟んで隣り合う2面のうちの一方がY軸方向と直交しかつ他方がZ軸方向と直交するように配置されている。つまり、第2合成用ダイクロイックミラー55Bの接合面55BhがY軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜するように配置されている。
【0105】
本実施形態における第2合成用ダイクロイックミラー55Bは、少なくとも第3波長光を反射し、第4波長光を透過する特性を有する。これにより、図1に示す本実施形態の配置構成では、第2合成用ダイクロイックミラー55Bに入射した第3波長光と第4波長光とが合成された上で、X軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜した方向を偏光方向とする直線偏光として、第2無偏光ビームスプリッタ56Bに向けY軸方向上向きに出射されることとなる。
【0106】
以降、第3発光部51Bから出射される第3波長光と、第4発光部52Bから出射される第4波長光とを合成した合成光を「第2光」という。つまり、「発光部51B,52B」、「光アイソレータ53B,54B」、「第2合成用ダイクロイックミラー55B」等により本実施形態における「第2照射手段」が構成されることとなる。特に「第3発光部51B」により「第3波長光出射部」が構成され、「第4発光部52B」により「第4波長光出射部」が構成され、「第2合成用ダイクロイックミラー55B」により「第2合成手段」が構成される。
【0107】
第2無偏光ビームスプリッタ56Bは、直角プリズムを貼り合せて一体としたキューブ型の公知の光学部材であって、その接合面56Bhには例えば金属膜などのコーティングが施されている。「第2無偏光ビームスプリッタ56B」が本実施形態における「第2導光手段」を構成する。
【0108】
また、第2無偏光ビームスプリッタ56Bは、その接合面56Bhを挟んで隣り合う2面のうちの一方がY軸方向と直交しかつ他方がZ軸方向と直交するように配置されている。つまり、第2無偏光ビームスプリッタ56Bの接合面56BhがY軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜するように配置されている。より詳しくは、第2合成用ダイクロイックミラー55BからY軸方向上向きに入射する第2光の一部(半分)をY軸方向上向きに透過させ、残り(半分)をZ軸方向右向きに反射させる。
【0109】
以下、上記干渉光学系3の構成について詳しく説明する。干渉光学系3は、偏光ビームスプリッタ(PBS)60、1/4波長板61,62、参照面63、設置部64などを備えている。
【0110】
偏光ビームスプリッタ60は、直角プリズムを貼り合せて一体としたキューブ型の公知の光学部材であって、その接合面(境界面)60hには例えば誘電体多層膜などのコーティングが施されている。
【0111】
偏光ビームスプリッタ60は、入射される直線偏光を偏光方向が互いに直交する2つの偏光成分(P偏光成分とS偏光成分)に分割するものである。本実施形態における偏光ビームスプリッタ60は、P偏光成分を透過させ、S偏光成分を反射する構成となっている。また、本実施形態における偏光ビームスプリッタ60は、入射する所定の光を2つの光(計測光及び参照光)に分割すると共に、これらを再び合成する機能を有することとなる。
【0112】
偏光ビームスプリッタ60は、その接合面60hを挟んで隣り合う2面のうちの一方がY軸方向と直交しかつ他方がZ軸方向と直交するように配置されている。つまり、偏光ビームスプリッタ60の接合面60hがY軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜するように配置されている。
【0113】
より詳しくは、上記第1無偏光ビームスプリッタ56AからY軸方向下向きに反射した第1光が入射する偏光ビームスプリッタ60の第1面(Y軸方向上側面)60a、並びに、該第1面60aと相対向する第3面(Y軸方向下側面)60cがY軸方向と直交するように配置されている。「偏光ビームスプリッタ60の第1面60a」が本実施形態における「第1入出力部」に相当する。
【0114】
一方、第1面60aと接合面60hを挟んで隣り合う面であって、上記第2無偏光ビームスプリッタ56BからZ軸方向右向きに反射した第2光が入射する偏光ビームスプリッタ60の第2面(Z軸方向左側面)60b、並びに、該第2面60bと相対向する第4面(Z軸方向右側面)60dがZ軸方向と直交するように配置されている。「偏光ビームスプリッタ60の第2面60b」が本実施形態における「第2入出力部」に相当する。
【0115】
また、偏光ビームスプリッタ60の第3面60cとY軸方向に相対向するように1/4波長板61が配置され、該1/4波長板61とY軸方向に相対向するように参照面63が配置されている。
【0116】
1/4波長板61は、本実施形態における「第1の1/4波長板」に相当するものであり、直線偏光を円偏光に変換しかつ円偏光を直線偏光に変換する機能を有する。つまり、偏光ビームスプリッタ60の第3面60cから出射される直線偏光(参照光)は1/4波長板61を介して円偏光に変換された上で参照面63に対し照射される。また、参照面63で反射した参照光は、再度、1/4波長板61を介して円偏光から直線偏光に変換された上で偏光ビームスプリッタ60の第3面60cに入射する。
【0117】
一方、偏光ビームスプリッタ60の第4面60dとZ軸方向に相対向するように1/4波長板62が配置され、該1/4波長板62とZ軸方向に相対向するように設置部64が配置されている。
【0118】
1/4波長板62は、本実施形態における「第2の1/4波長板」に相当するものであり、直線偏光を円偏光に変換しかつ円偏光を直線偏光に変換する機能を有する。つまり、偏光ビームスプリッタ60の第4面60dから出射される直線偏光(計測光)は1/4波長板62を介して円偏光に変換された上で設置部64に置かれた被計測物としてのワークWに対し照射される。また、ワークWにて反射した計測光は、再度、1/4波長板62を介して円偏光から直線偏光に変換された上で偏光ビームスプリッタ60の第4面60dに入射する。
【0119】
以下、上記2つの撮像系4A,4B(第1撮像系4A,第2撮像系4B)の構成について詳しく説明する。「第1撮像系4A」が本実施形態における「第1撮像手段」を構成し、「第2撮像系4B」が「第2撮像手段」を構成する。
【0120】
まず第1撮像系4Aの構成について説明する。第1撮像系4Aは、第2無偏光ビームスプリッタ56Bを透過した第1光(第1波長光と第2波長光の2波長合成光)に係る参照光成分及び計測光成分の合成光を、第1波長光に係る合成光(参照光成分及び計測光成分)と、第2波長光に係る合成光(参照光成分及び計測光成分)とに分離する第1分離用ダイクロイックミラー80Aを備えている。「第1分離用ダイクロイックミラー80A」が本実施形態における「第1分離手段」を構成する。
【0121】
第1分離用ダイクロイックミラー80Aは、直角プリズムを貼り合せて一体としたキューブ型の公知の光学部材(ダイクロイックプリズム)であって、その接合面80Ahに誘電体多層膜が形成されている。
【0122】
第1分離用ダイクロイックミラー80Aは、その接合面80Ahを挟んで隣り合う2面のうちの一方がY軸方向と直交しかつ他方がZ軸方向と直交するように配置されている。つまり、第1分離用ダイクロイックミラー80Aの接合面80AhがY軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜するように配置されている。
【0123】
本実施形態における第1分離用ダイクロイックミラー80Aは、上記第1合成用ダイクロイックミラー55Aと同様の特性を有するものである。すなわち、第1分離用ダイクロイックミラー80Aは、少なくとも第1波長光を反射し、第2波長光を透過する特性を有する。
【0124】
これにより、図1に示す本実施形態の配置構成では、第1分離用ダイクロイックミラー80Aに入射した第1光に係る合成光は、Y軸方向下向きに出射される第1波長光に係る合成光と、Z軸方向左向きに出射される第2波長光に係る合成光とに分離されることとなる。
【0125】
さらに、第1撮像系4Aは、第1分離用ダイクロイックミラー80AからY軸方向下向きに出射される第1波長光に係る合成光を4つの分光に分割する第1分光光学系81Aと、該第1分光光学系81Aにより分割された4つの分光をそれぞれ円偏光に変換する1/4波長板ユニット83Aと、該1/4波長板ユニット83Aを透過した4つの分光の所定成分を選択的に透過させる第1フィルタユニット85Aと、該第1フィルタユニット85Aを透過した4つの分光を同時に撮像する第1カメラ87Aとを備えている。「第1カメラ87A」が本実施形態における「第1波長光撮像部」を構成する。
【0126】
同様に、第1撮像系4Aは、第1分離用ダイクロイックミラー80AからZ軸方向左向きに出射される第2波長光に係る合成光を4つの分光に分割する第2分光光学系82Aと、該第2分光光学系82Aにより分割された4つの分光をそれぞれ円偏光に変換する1/4波長板ユニット84Aと、該1/4波長板ユニット84Aを透過した4つの分光の所定成分を選択的に透過させる第2フィルタユニット86Aと、該第2フィルタユニット86Aを透過した4つの分光を同時に撮像する第2カメラ88Aとを備えている。「第2カメラ88A」が本実施形態における「第2波長光撮像部」を構成する。
【0127】
次に第2撮像系4Bの構成について説明する。第2撮像系4Bは、第1無偏光ビームスプリッタ56Aを透過した第2光(第3波長光と第4波長光の2波長合成光)に係る参照光成分及び計測光成分の合成光を、第3波長光に係る合成光(参照光成分及び計測光成分)と、第4波長光に係る合成光(参照光成分及び計測光成分)とに分離する第2分離用ダイクロイックミラー80Bを備えている。「第2分離用ダイクロイックミラー80B」が本実施形態における「第2分離手段」を構成する。
【0128】
第2分離用ダイクロイックミラー80Bは、直角プリズムを貼り合せて一体としたキューブ型の公知の光学部材(ダイクロイックプリズム)であって、その接合面80Bhに誘電体多層膜が形成されている。
【0129】
第2分離用ダイクロイックミラー80Bは、その接合面80Bhを挟んで隣り合う2面のうちの一方がY軸方向と直交しかつ他方がZ軸方向と直交するように配置されている。つまり、第2分離用ダイクロイックミラー80Bの接合面80BhがY軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜するように配置されている。
【0130】
本実施形態における第2分離用ダイクロイックミラー80Bは、上記第2合成用ダイクロイックミラー55Bと同様の特性を有するものである。すなわち、第2分離用ダイクロイックミラー80Bは、少なくとも第3波長光を反射し、第4波長光を透過する特性を有する。
【0131】
これにより、図1に示す本実施形態の配置構成では、第2分離用ダイクロイックミラー80Bに入射した第2光に係る合成光は、Z軸方向左向きに出射される第3波長光に係る合成光と、Y軸方向上向きに出射される第4波長光に係る合成光とに分離されることとなる。
【0132】
さらに、第2撮像系4Bは、第2分離用ダイクロイックミラー80BからZ軸方向左向きに出射される第3波長光に係る合成光を4つの分光に分割する第3分光光学系81Bと、該第3分光光学系81Bにより分割された4つの分光をそれぞれ円偏光に変換する1/4波長板ユニット83Bと、該1/4波長板ユニット83Bを透過した4つの分光の所定成分を選択的に透過させる第3フィルタユニット85Bと、該第3フィルタユニット85Bを透過した4つの分光を同時に撮像する第3カメラ87Bとを備えている。「第3カメラ87B」が本実施形態における「第3波長光撮像部」を構成する。
【0133】
同様に、第2撮像系4Bは、第2分離用ダイクロイックミラー80BからY軸方向上向きに出射される第4波長光に係る合成光を4つの分光に分割する第4分光光学系82Bと、該第4分光光学系82Bにより分割された4つの分光をそれぞれ円偏光に変換する1/4波長板ユニット84Bと、該1/4波長板ユニット84Bを透過した4つの分光の所定成分を選択的に透過させる第4フィルタユニット86Bと、該第4フィルタユニット86Bを透過した4つの分光を同時に撮像する第4カメラ88Bとを備えている。「第4カメラ88B」が本実施形態における「第4波長光撮像部」を構成する。
【0134】
ここで、第1撮像系4A及び第2撮像系4Bに用いられる「第1分光光学系81A」、「第2分光光学系82A」、「第3分光光学系81B」及び「第4分光光学系82B」の構成について図3図6を参照して詳しく説明する。
【0135】
本実施形態における「第1分光光学系81A」、「第2分光光学系82A」、「第3分光光学系81B」及び「第4分光光学系82B」は同一構成であるため、ここでは「分光光学系81A,82A,81B,82B」と総称して説明する。
【0136】
「分光光学系81A,82A,81B,82B」が本実施形態における「分光手段」を構成する。特に「第1分光光学系81A」が「第1の分光手段」を構成し、「第2分光光学系82A」が「第2の分光手段」を構成し、「第3分光光学系81B」が「第3の分光手段」を構成し、「第4分光光学系82B」が「第4の分光手段」を構成する。
【0137】
尚、図3図6を参照して、分光光学系81A,82A,81B,82Bについて説明する際には、便宜上、図3の紙面上下方向を「X´軸方向」とし、紙面前後方向を「Y´軸方向」とし、紙面左右方向を「Z´軸方向」として説明する。但し、分光光学系81A,82A,81B,82B単体を説明するための座標系(X´,Y´,Z´)と、三次元計測装置1全体を説明するための座標系(X,Y,Z)は異なる座標系である。
【0138】
分光光学系81A,82A,81B,82Bは、無偏光の2つの光学部材(プリズム)を貼り合せて一体とした1つの無偏光の光学部材である。
【0139】
より詳しくは、分光光学系81A,82A,81B,82Bは、第1分離用ダイクロイックミラー80A又は第2分離用ダイクロイックミラー80Bから入射される光を2つの分光に分割する第1プリズム101と、該第1プリズム101により分割された2つの分光をそれぞれ2つの分光に分割して計4つの分光を出射する第2プリズム102とからなる。
【0140】
第1プリズム101及び第2プリズム102は、それぞれ「ケスタープリズム」と称される公知の光学部材により構成されている。但し、本実施形態において、「ケスタープリズム」とは、「内角がそれぞれ30°、60°、90°となる直角三角形の断面形状を有する一対の光学部材(三角柱形状のプリズム)を貼り合せて一体とした正三角形の断面形状を有する正三角柱形状の光学部材であって、その接合面に無偏光のハーフミラーを有したもの」を指す。勿論、各プリズム101,102として用いられるケスタープリズムは、これに限定されるものではない。後述する分光光学系81A,82A,81B,82Bの機能を満たすものであれば、例えば正三角柱形状でないものなど、各プリズム101,102として本実施形態とは異なる光学部材(ケスタープリズム)を採用してもよい。
【0141】
具体的に、第1の光学部材(第1のケスタープリズム)としての第1プリズム101は、平面視(X´−Z´平面)正三角形状をなすと共に、Y´軸方向に沿って延びる正三角柱形状をなす(図3参照)。「X´−Z´平面」が本実施形態における「第1の平面」に相当する。
【0142】
第1プリズム101は、Y´軸方向に沿った長方形状の3つの面(第1面101a、第2面101b、第3面101c)のうち、第1面101aと第2面101bとの交線を通り第3面101cと直交する平面に沿ってハーフミラー101Mが形成されている。「ハーフミラー101M」が本実施形態における「第1分岐手段」を構成する。
【0143】
第1プリズム101は、第3面101cがX´−Y´平面に沿ってZ´軸方向と直交するように配置されると共に、ハーフミラー101MがY´−Z´平面に沿ってX´軸方向と直交するように配置されている。従って、第1面101a及び第2面101bは、それぞれX´軸方向及びZ´軸方向に対し30°又は60°傾斜するように配置されている。
【0144】
一方、第2の光学部材(第2のケスタープリズム)としての第2プリズム102は、正面視(Y´−Z´平面)正三角形状をなすと共に、X´軸方向に沿って延びる正三角柱形状をなす(図4参照)。「Y´−Z´平面」が本実施形態における「第2の平面」に相当する。
【0145】
第2プリズム102は、X´軸方向に沿った正方形状の3つの面(第1面102a、第2面102b、第3面102c)のうち、第1面102aと第2面102bとの交線を通り第3面102cと直交する平面に沿ってハーフミラー102Mが形成されている。「ハーフミラー102M」が本実施形態における「第2分岐手段」を構成する。
【0146】
第2プリズム102は、第1面102aがX´−Y´平面に沿ってZ´軸方向と直交するように配置されている。従って、第2面102b、第3面102c及びハーフミラー102Mは、それぞれY´軸方向及びZ´軸方向に対し30°又は60°傾斜するように配置されている。
【0147】
そして、第1プリズム101の第3面101cと第2プリズム102の第1面102aとが接合されている。つまり、第1プリズム101と第2プリズム102は、ハーフミラー101Mを含む平面(Y´−Z´平面)と、ハーフミラー102Mを含む平面とが直交する向きで接合されている。
【0148】
ここで、X´軸方向における第1プリズム101の第3面101cの長さと、X´軸方向における第2プリズム102の第1面102aの長さは同一となっている(図3参照)。一方、Y´軸方向における第1プリズム101の第3面101cの長さは、Y´軸方向における第2プリズム102の第1面102aの長さの半分となっている(図4、5参照)。そして、第1プリズム101の第3面101cは、第2プリズム102の第1面102aと第2面102bとの交線に沿って接合されている(図6等参照)。
【0149】
両プリズム101,102は、それぞれ空気よりも屈折率の高い所定の屈折率を有する光学材料(例えばガラスやアクリル等)により形成されている。ここで、両プリズム101,102を同一材料により形成してもよいし、異なる材料により形成してもよい。後述する分光光学系81A,82A,81B,82Bの機能を満たすものであれば、各プリズム101,102の材質はそれぞれ任意に選択可能である。
【0150】
続いて、分光光学系81A,82A,81B,82Bの作用について図面を参照しつつ詳しく説明する。
【0151】
分光光学系81A,82A,81B,82Bは、第1分離用ダイクロイックミラー80A又は第2分離用ダイクロイックミラー80Bから出射された光F0が第1プリズム101の第1面101aに対し垂直に入射するように配置されている(図1,3参照)。但し、図1においては、簡素化のため、分光光学系81A,82A,81B,82Bの正面が手前側を向くように第1撮像系4A及び第2撮像系4Bを図示している。
【0152】
第1面101aから第1プリズム101内に入射した光F0は、ハーフミラー101Mにて2方向に分岐する。詳しくは、第1面101a側に向けハーフミラー101Mで反射する分光FA1と、第2面101b側に向けハーフミラー101Mを透過する分光FA2とに分岐する。
【0153】
このうち、ハーフミラー101Mで反射した分光FA1は、第1面101aにて第3面101c側に向け全反射し、第3面101cから垂直に出射する。一方、ハーフミラー101Mを透過した分光FA2は、第2面101bにて第3面101c側に向け全反射し、第3面101cから垂直に出射する。つまり、第1プリズム101の第3面101cから平行する2つの分光FA1,FA2が出射される。
【0154】
第1プリズム101の第3面101cから出射した分光FA1,FA2は、それぞれ第2プリズム102の第1面102aに垂直に入射する(図4参照)。
【0155】
第1面102aから第2プリズム102内に入射した分光FA1,FA2は、それぞれハーフミラー102Mにて2方向に分岐する。
【0156】
詳しくは、一方の分光FA1は、第1面102a側に向けハーフミラー102Mで反射する分光FB1と、第2面102b側に向けハーフミラー102Mを透過する分光FB2とに分岐する。
【0157】
他方の分光FA2は、第1面102a側に向けハーフミラー102Mで反射する分光FB3と、第2面102b側に向けハーフミラー102Mを透過する分光FB4とに分岐する。
【0158】
このうち、ハーフミラー102Mで反射した分光FB1,FB3は、それぞれ第1面102aにて第3面102c側に向け全反射し、第3面102cから垂直に出射する。一方、ハーフミラー102Mを透過した分光FB2,FB4は、それぞれ第2面102bにて第3面102c側に向け全反射し、第3面102cから垂直に出射する。つまり、第2プリズム102の第3面102cから、2行2列のマトリクス状に並ぶ4つの光FB1〜FB4が平行して出射される。
【0159】
そして、「第1分光光学系81A」、「第2分光光学系82A」、「第3分光光学系81B」又は「第4分光光学系82B」の第2プリズム102の第3面102cから出射した光(4つの分光FB1〜FB4)は、それぞれ対応する「1/4波長板ユニット83A」、「1/4波長板ユニット84A」、「1/4波長板ユニット83B」又は「1/4波長板ユニット84B」に入射することとなる(図1参照)。
【0160】
続いて、第1撮像系4A及び第2撮像系4Bに用いられる「1/4波長板ユニット83A」、「1/4波長板ユニット84A」、「1/4波長板ユニット83B」及び「1/4波長板ユニット84B」の構成について詳しく説明する。
【0161】
本実施形態における「1/4波長板ユニット83A」、「1/4波長板ユニット84A」、「1/4波長板ユニット83B」及び「1/4波長板ユニット84B」は同一構成であるため、ここでは「1/4波長板ユニット83A,84A,83B,84B」と総称して説明する。
【0162】
1/4波長板ユニット83A,84A,83B,84Bは、分光FB1〜FB4の入射方向に視た平面視で同一矩形状をなす4つの1/4波長板が2行2列のマトリクス状に配置されてなる(図示略)。当該4つの1/4波長板は、上記分光光学系81A,82A,81B,82Bにより分割された4つの分光FB1〜FB4それぞれに対応して設けられたものであり、各分光FB1〜FB4が個別に入射する構成となっている。
【0163】
そして、「1/4波長板ユニット83A」、「1/4波長板ユニット84A」、「1/4波長板ユニット83B」又は「1/4波長板ユニット84B」を透過して円偏光に変換された光(4つの分光FB1〜FB4)は、それぞれ対応する「第1フィルタユニット85A」、「第2フィルタユニット86A」、「第3フィルタユニット85B」又は「第4フィルタユニット86B」に入射することとなる(図1参照)。
【0164】
ここで、第1撮像系4A及び第2撮像系4Bに用いられる「第1フィルタユニット85A」、「第2フィルタユニット86A」、「第3フィルタユニット85B」及び「第4フィルタユニット86B」の構成について詳しく説明する。
【0165】
本実施形態における「第1フィルタユニット85A」、「第2フィルタユニット86A」、「第3フィルタユニット85B」及び「第4フィルタユニット86B」は同一構成であるため、ここでは「フィルタユニット85A,86A,85B,86B」と総称して説明する。
【0166】
フィルタユニット85A,86A,85B,86Bは、分光FB1〜FB4の入射方向に視た平面視で同一矩形状をなす4つの偏光板160a,160b,160c,160dが2行2列のマトリクス状に配置されてなる(図7参照)。図7は、フィルタユニット85A,86A,85B,86Bの概略構成を模式的に示す平面図である。
【0167】
4つの偏光板160a〜160dは、透過軸方向が45°ずつ異なる偏光板である。より詳しくは、透過軸方向が0°の第1偏光板160a、透過軸方向が45°の第2偏光板160b、透過軸方向が90°の第3偏光板160c、透過軸方向が135°の第4偏光板160dにより構成されている。
【0168】
そして、4つの分光FB1〜FB4が、それぞれ上記1/4波長板ユニット83A,84A,83B,84Bにより円偏光に変換された後、フィルタユニット85A,86A,85B,86Bの各偏光板160a〜160dに対しそれぞれ入射する。詳しくは、分光FB1が第1偏光板160aに入射し、分光FB2が第2偏光板160bに入射し、分光FB3が第3偏光板160cに入射し、分光FB4が第4偏光板160dに入射する。
【0169】
これにより、各分光FB1〜FB4の参照光成分及び計測光成分を干渉させ、位相が90°ずつ異なる4通りの干渉光を生成することができる。詳しくは、第1偏光板160aを透過した分光FB1は位相「0°」の干渉光となり、第2偏光板160bを透過した分光FB2は位相「90°」の干渉光となり、第3偏光板160cを透過した分光FB3は位相「180°」の干渉光となり、第4偏光板160dを透過した分光FB4は位相「270°」の干渉光となる。
【0170】
従って、「フィルタユニット85A,86A,85B,86B」が本実施形態における「フィルタ手段」、「干渉手段」及び「位相シフト手段」を構成する。特に「第1フィルタユニット85A」が「第1位相シフト手段」及び「第1のフィルタ手段」を構成し、「第2フィルタユニット86A」が「第2位相シフト手段」及び「第2のフィルタ手段」を構成し、「第3フィルタユニット85B」が「第3位相シフト手段」及び「第3のフィルタ手段」を構成し、「第4フィルタユニット86B」が「第4位相シフト手段」及び「第4のフィルタ手段」を構成する。
【0171】
そして、「第1フィルタユニット85A」、「第2フィルタユニット86A」、「第3フィルタユニット85B」又は「第4フィルタユニット86B」からそれぞれ出射される4つの分光FB1〜FB4(干渉光)が、ぞれぞれ対応する「第1カメラ87A」、「第2カメラ88A」、「第3カメラ87B」又は「第4カメラ88B」により同時撮像される(図1参照)。
【0172】
その結果、第1カメラ87Aにより位相が90°ずつ異なる第1波長光に係る4通りの干渉縞画像が取得され、第2カメラ88Aにより位相が90°ずつ異なる第2波長光に係る4通りの干渉縞画像が取得され、第3カメラ87Bにより位相が90°ずつ異なる第3波長光に係る4通りの干渉縞画像が取得され、第4カメラ88Bにより位相が90°ずつ異なる第4波長光に係る4通りの干渉縞画像が取得される。
【0173】
ここで、第1撮像系4A及び第2撮像系4Bに用いられる「第1カメラ87A」、「第2カメラ88A」、「第3カメラ87B」及び「第4カメラ88B」の構成について詳しく説明する。
【0174】
本実施形態における「第1カメラ87A」、「第2カメラ88A」、「第3カメラ87B」及び「第4カメラ88B」は同一構成であるため、ここでは「カメラ87A,88A,87B,88B」と総称して説明する。
【0175】
カメラ87A,88A,87B,88Bは、レンズや撮像素子等を備えてなる公知のものである。本実施形態では、カメラ87A,88A,87B,88Bの撮像素子として、CCDエリアセンサを採用している。勿論、撮像素子は、これに限定されるものではなく、例えばCMOSエリアセンサ等を採用してもよい。
【0176】
カメラ87A,88A,87B,88Bによって撮像された画像データは、カメラ87A,88A,87B,88B内部においてデジタル信号に変換された上で、デジタル信号の形で制御装置5(画像データ記憶装置154)に入力されるようになっている。
【0177】
本実施形態に係るカメラ87A,88A,87B,88Bの撮像素子170は、その撮像領域が、上記フィルタユニット85A,86A,85B,86B(偏光板160a〜160d)に対応して、4つの撮像エリアH1,H2,H3,H4に区分けされている。詳しくは、分光FB1〜FB4の入射方向に視た平面視で同一矩形状をなす4つの撮像エリアH1,H2,H3,H4が2行2列のマトリクス状に並ぶように区分けされている(図8参照)。図8は、撮像素子170の撮像領域の概略構成を模式的に示す平面図である。
【0178】
これにより、第1偏光板160aを透過した分光FB1が第1撮像エリアH1にて撮像され、第2偏光板160bを透過した分光FB2が第2撮像エリアH2にて撮像され、第3偏光板160cを透過した分光FB3が第3撮像エリアH3にて撮像され、第4偏光板160dを透過した分光FB4が第4撮像エリアH4にて撮像されることとなる。
【0179】
つまり、第1撮像エリアH1にて位相「0°」の干渉縞画像が撮像され、第2撮像エリアH2にて位相「90°」の干渉縞画像が撮像され、第3撮像エリアH3にて位相「180°」の干渉縞画像が撮像され、第4撮像エリアH4にて位相「270°」の干渉縞画像が撮像されることとなる。
【0180】
結果として、第1カメラ87Aにより第1波長光に係る位相「0°」の干渉縞画像、位相「90°」の干渉縞画像、位相「180°」の干渉縞画像、位相「270°」の干渉縞画像が同時撮像される。
【0181】
第2カメラ88Aにより第2波長光に係る位相「0°」の干渉縞画像、位相「90°」の干渉縞画像、位相「180°」の干渉縞画像、位相「270°」の干渉縞画像が同時撮像される。
【0182】
第3カメラ87Bにより第3波長光に係る位相「0°」の干渉縞画像、位相「90°」の干渉縞画像、位相「180°」の干渉縞画像、位相「270°」の干渉縞画像が同時撮像される。
【0183】
第4カメラ88Bにより第4波長光に係る位相「0°」の干渉縞画像、位相「90°」の干渉縞画像、位相「180°」の干渉縞画像、位相「270°」の干渉縞画像が同時撮像される。
【0184】
次に制御装置5の電気的構成について説明する。図2に示すように、制御装置5は、三次元計測装置1全体の制御を司るCPU及び入出力インターフェース151、キーボードやマウス、あるいは、タッチパネルで構成される「入力手段」としての入力装置152、液晶画面などの表示画面を有する「表示手段」としての表示装置153、カメラ87A,88A,87B,88Bにより撮像された画像データ等を記憶するための画像データ記憶装置154、各種演算結果を記憶するための演算結果記憶装置155、各種情報を予め記憶しておく設定データ記憶装置156を備えている。なお、これら各装置152〜156は、CPU及び入出力インターフェース151に対し電気的に接続されている。
【0185】
また、本実施形態に係る画像データ記憶装置154は、「第1カメラ87A」、「第2カメラ88A」、「第3カメラ87B」及び「第4カメラ88B」それぞれに対応して、画像メモリを4つずつ備えている。詳しくは、撮像素子170の第1撮像エリアH1にて撮像された干渉縞画像データを記憶する第1画像メモリと、第2撮像エリアH2にて撮像された干渉縞画像データを記憶する第2画像メモリと、第3撮像エリアH3にて撮像された干渉縞画像データを記憶する第3画像メモリと、第4撮像エリアH4にて撮像された干渉縞画像データを記憶する第4画像メモリとを、各カメラ87A,88A,87B,88Bに対応して備えている。
【0186】
次に三次元計測装置1の作用について説明する。尚、本実施形態においては、第1投光系2Aによる第1波長光の照射及び第2波長光の照射、並びに、第2投光系2Bによる第3波長光の照射及び第4波長光の照射が同時に行われる。そのため、第1波長光及び第2波長光の合成光である第1光の光路と、第3波長光及び第4波長光の合成光である第2光の光路が一部で重なることとなるが、ここでは、より分かりやすくするため、第1光及び第2光の光路ごとに異なる図面を用いて個別に説明する。
【0187】
まず第1光(第1波長光及び第2波長光)の光路について図9を参照して説明する。図9に示すように、第1波長λ1の第1波長光(偏光方向がX軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜した直線偏光)が第1発光部51AからY軸方向下向きに出射される。同時に、第2波長λ2の第2波長光(偏光方向がX軸方向及びY軸方向に対し45°傾斜した直線偏光)が第2発光部52AからZ軸方向左向きに出射される。
【0188】
第1発光部51Aから出射された第1波長光は、第1光アイソレータ53Aを通過し、第1合成用ダイクロイックミラー55Aに入射する。同時に、第2発光部52Aから出射された第2波長光は、第2光アイソレータ54Aを通過し、第1合成用ダイクロイックミラー55Aに入射する。
【0189】
第1合成用ダイクロイックミラー55Aに入射した第1波長光と第2波長光は合成され、当該合成光が第1光(偏光方向がX軸方向及びY軸方向に対し45°傾斜した直線偏光)として、第1無偏光ビームスプリッタ56Aに向けZ軸方向左向きに出射される。
【0190】
第1無偏光ビームスプリッタ56Aに入射した第1光の一部はZ軸方向左向きに透過し、残りはY軸方向下向きに反射する。このうち、Y軸方向下向きに反射した第1光(偏光方向がX軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜した直線偏光)は、偏光ビームスプリッタ60の第1面60aに入射する。一方、Z軸方向左向きに透過した第1光は、何らかの光学系等に入射することなく、捨て光となる。
【0191】
ここで、捨て光となる光を、必要に応じて波長計測あるいは光のパワー計測に利用すれば、光源を安定化させ如いては計測精度の向上を図ることができる(以下同様)。
【0192】
偏光ビームスプリッタ60の第1面60aからY軸方向下向きに入射した第1光は、そのP偏光成分がY軸方向下向きに透過して第3面60cから参照光として出射される一方、そのS偏光成分がZ軸方向右向きに反射して第4面60dから計測光として出射される。
【0193】
偏光ビームスプリッタ60の第3面60cから出射した第1光に係る参照光(P偏光)は、1/4波長板61を通過することにより右回りの円偏光に変換された後、参照面63で反射する。ここで、光の進行方向に対する回転方向は維持される。その後、第1光に係る参照光は、再度、1/4波長板61を通過することで、右回りの円偏光からS偏光に変換された上で偏光ビームスプリッタ60の第3面60cに再入射する。
【0194】
一方、偏光ビームスプリッタ60の第4面60dから出射した第1光に係る計測光(S偏光)は、1/4波長板62を通過することにより左回りの円偏光に変換された後、ワークWで反射する。ここで、光の進行方向に対する回転方向は維持される。その後、第1光に係る計測光は、再度、1/4波長板62を通過することで、左回りの円偏光からP偏光に変換された上で偏光ビームスプリッタ60の第4面60dに再入射する。
【0195】
ここで、偏光ビームスプリッタ60の第3面60cから再入射した第1光に係る参照光(S偏光)が接合面60hにてZ軸方向左向きに反射する一方、第4面60dから再入射した第1光に係る計測光(P偏光)は接合面60hをZ軸方向左向きに透過する。そして、第1光に係る参照光及び計測光が合成された状態の合成光が出力光として偏光ビームスプリッタ60の第2面60bから出射される。
【0196】
偏光ビームスプリッタ60の第2面60bから出射された第1光に係る合成光(参照光及び計測光)は、第2無偏光ビームスプリッタ56Bに入射する。第2無偏光ビームスプリッタ56Bに対しZ軸方向左向きに入射した第1光に係る合成光は、その一部がZ軸方向左向きに透過し、残りがY軸方向下向きに反射する。このうち、Z軸方向左向きに透過した合成光(参照光及び計測光)は第1撮像系4Aの第1分離用ダイクロイックミラー80Aに入射する。一方、Y軸方向下向きに反射した合成光は、第2合成用ダイクロイックミラー55Bに入射するものの、第3光アイソレータ53B又は第4光アイソレータ54Bによりその進行を遮断され、捨て光となる。
【0197】
第1分離用ダイクロイックミラー80Aに入射した第1光に係る合成光(参照光及び計測光)のうち、第1波長光に係る合成光(参照光及び計測光)は接合面80AhにてY軸方向下向きに反射して第1分光光学系81Aに入射する一方、第2波長光に係る合成光(参照光及び計測光)は接合面80AhをZ軸方向左向きに透過して第2分光光学系82Aに入射する。
【0198】
第1分光光学系81Aに入射した第1波長光に係る合成光(参照光及び計測光)は、上述したように4つの光(分光FB1〜FB4)に分割される。同時に、第2分光光学系82Aに入射した第2波長光に係る合成光(参照光及び計測光)は、4つの光(分光FB1〜FB4)に分割される。
【0199】
第1分光光学系81Aにより4つに分割された第1波長光に係る合成光(参照光及び計測光)はそれぞれ、1/4波長板ユニット83Aにより、その参照光成分(S偏光成分)が左回りの円偏光に変換され、その計測光成分(P偏光成分)が右回りの円偏光に変換される。
【0200】
同時に、第2分光光学系82Aにより4つに分割された第2波長光に係る合成光(参照光及び計測光)はそれぞれ、1/4波長板ユニット84Aにより、その参照光成分(S偏光成分)が左回りの円偏光に変換され、その計測光成分(P偏光成分)が右回りの円偏光に変換される。尚、左回りの円偏光と右回りの円偏光は回転方向が異なるので干渉しない。
【0201】
続いて、1/4波長板ユニット83Aを通過した第1波長光に係る4つの合成光はそれぞれ、第1フィルタユニット85A(4つの偏光板160a〜160d)を通過することにより、その参照光成分と計測光成分とが各偏光板160a〜160dの角度に応じた位相で干渉する。同時に、1/4波長板ユニット84Aを通過した第2波長光に係る4つの合成光はそれぞれ、第2フィルタユニット86A(4つの偏光板160a〜160d)を通過することにより、その参照光成分と計測光成分とが各偏光板160a〜160dの角度に応じた位相で干渉する。
【0202】
そして、第1フィルタユニット85A(4つの偏光板160a〜160d)を通過した第1波長光に係る4つの干渉光(第1偏光板160aを透過した位相「0°」の干渉光、第2偏光板160bを透過した位相「90°」の干渉光、第3偏光板160cを透過した位相「180°」の干渉光、第4偏光板160dを透過した位相「270°」の干渉光)が第1カメラ87Aに入射する。
【0203】
同時に、第2フィルタユニット86A(4つの偏光板160a〜160d)を通過した第2波長光に係る4つの干渉光(第1偏光板160aを透過した位相「0°」の干渉光、第2偏光板160bを透過した位相「90°」の干渉光、第3偏光板160cを透過した位相「180°」の干渉光、第4偏光板160dを透過した位相「270°」の干渉光)が第2カメラ88Aに入射する。
【0204】
次に第2光(第3波長光及び第4波長光)の光路について図10を参照して説明する。図10に示すように、第3波長λ3の第3波長光(偏光方向がX軸方向及びY軸方向に対し45°傾斜した直線偏光)が第3発光部51BからZ軸方向左向きに出射される。同時に、第4波長λ4の第4波長光(偏光方向がX軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜した直線偏光)が第4発光部52BからY軸方向上向きに出射される。
【0205】
第3発光部51Bから出射された第3波長光は、第3光アイソレータ53Bを通過し、第2合成用ダイクロイックミラー55Bに入射する。同時に、第4発光部52Bから出射された第4波長光は、第4光アイソレータ54Bを通過し、第2合成用ダイクロイックミラー55Bに入射する。
【0206】
第2合成用ダイクロイックミラー55Bに入射した第3波長光と第4波長光は合成され、当該合成光が第2光(偏光方向がX軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜した直線偏光)として、第2無偏光ビームスプリッタ56Bに向けY軸方向上向きに出射される。
【0207】
第2無偏光ビームスプリッタ56Bに入射した第2光の一部はY軸方向上向きに透過し、残りはZ軸方向右向きに反射する。このうち、Z軸方向右向きに反射した第2光(偏光方向がX軸方向及びY軸方向に対し45°傾斜した直線偏光)は、偏光ビームスプリッタ60の第2面60bに入射する。一方、Y軸方向上向きに透過した第2光は、何らかの光学系等に入射することなく、捨て光となる。
【0208】
偏光ビームスプリッタ60の第2面60bからZ軸方向右向きに入射した第2光は、そのS偏光成分がY軸方向下向きに反射して第3面60cから参照光として出射される一方、そのP偏光成分がZ軸方向右向きに透過して第4面60dから計測光として出射される。
【0209】
偏光ビームスプリッタ60の第3面60cから出射した第2光に係る参照光(S偏光)は、1/4波長板61を通過することにより左回りの円偏光に変換された後、参照面63で反射する。ここで、光の進行方向に対する回転方向は維持される。その後、第2光に係る参照光は、再度、1/4波長板61を通過することで、左回りの円偏光からP偏光に変換された上で偏光ビームスプリッタ60の第3面60cに再入射する。
【0210】
一方、偏光ビームスプリッタ60の第4面60dから出射した第2光に係る計測光(P偏光)は、1/4波長板62を通過することにより右回りの円偏光に変換された後、ワークWで反射する。ここで、光の進行方向に対する回転方向は維持される。その後、第2光に係る計測光は、再度、1/4波長板62を通過することで、右回りの円偏光からS偏光に変換された上で偏光ビームスプリッタ60の第4面60dに再入射する。
【0211】
ここで、偏光ビームスプリッタ60の第3面60cから再入射した第2光に係る参照光(P偏光)は接合面60hをY軸方向上向きに透過する一方、第4面60dから再入射した第2光に係る計測光(S偏光)は接合面60hにてY軸方向上向きに反射する。そして、第2光に係る参照光及び計測光が合成された状態の合成光が出力光として偏光ビームスプリッタ60の第1面60aから出射される。
【0212】
偏光ビームスプリッタ60の第1面60aから出射された第2光に係る合成光(参照光及び計測光)は、第1無偏光ビームスプリッタ56Aに入射する。第1無偏光ビームスプリッタ56Aに対しY軸方向上向きに入射した第2光に係る合成光は、その一部がY軸方向上向きに透過し、残りがZ軸方向右向きに反射する。このうち、Y軸方向上向きに透過した合成光(参照光及び計測光)は第2撮像系4Bの第2分離用ダイクロイックミラー80Bに入射する。一方、Z軸方向右向きに反射した合成光は、第1合成用ダイクロイックミラー55Aに入射するものの、第1光アイソレータ53A又は第2光アイソレータ54Aによりその進行を遮断され、捨て光となる。
【0213】
第2分離用ダイクロイックミラー80Bに入射した第2光に係る合成光(参照光及び計測光)のうち、第3波長光に係る合成光(参照光及び計測光)は接合面80BhにてZ軸方向左向きに反射して第3分光光学系81Bに入射する一方、第4波長光に係る合成光(参照光及び計測光)は接合面80BhをY軸方向上向きに透過して第4分光光学系82Bに入射する。
【0214】
第3分光光学系81Bに入射した第3波長光に係る合成光(参照光及び計測光)は、上述したように4つの光(分光FB1〜FB4)に分割される。同時に、第4分光光学系82Bに入射した第4波長光に係る合成光(参照光及び計測光)は、4つの光(分光FB1〜FB4)に分割される。
【0215】
第3分光光学系81Bにより4つに分割された第3波長光に係る合成光(参照光及び計測光)はそれぞれ、1/4波長板ユニット83Bにより、その参照光成分(P偏光成分)が右回りの円偏光に変換され、その計測光成分(S偏光成分)が左回りの円偏光に変換される。
【0216】
同時に、第4分光光学系82Bにより4つに分割された第4波長光に係る合成光(参照光及び計測光)はそれぞれ、1/4波長板ユニット84Bにより、その参照光成分(P偏光成分)が右回りの円偏光に変換され、その計測光成分(S偏光成分)が左回りの円偏光に変換される。尚、左回りの円偏光と右回りの円偏光は回転方向が異なるので干渉しない。
【0217】
続いて、1/4波長板ユニット83Bを通過した第3波長光に係る4つの合成光はそれぞれ、第3フィルタユニット85B(4つの偏光板160a〜160d)を通過することにより、その参照光成分と計測光成分とが各偏光板160a〜160dの角度に応じた位相で干渉する。同時に、1/4波長板ユニット84Bを通過した第4波長光に係る4つの合成光はそれぞれ、第4フィルタユニット86B(4つの偏光板160a〜160d)を通過することにより、その参照光成分と計測光成分とが各偏光板160a〜160dの角度に応じた位相で干渉する。
【0218】
そして、第3フィルタユニット85B(4つの偏光板160a〜160d)を通過した第3波長光に係る4つの干渉光(第1偏光板160aを透過した位相「0°」の干渉光、第2偏光板160bを透過した位相「90°」の干渉光、第3偏光板160cを透過した位相「180°」の干渉光、第4偏光板160dを透過した位相「270°」の干渉光)が第3カメラ87Bに入射する。
【0219】
同時に、第4フィルタユニット86B(4つの偏光板160a〜160d)を通過した第4波長光に係る4つの干渉光(第1偏光板160aを透過した位相「0°」の干渉光、第2偏光板160bを透過した位相「90°」の干渉光、第3偏光板160cを透過した位相「180°」の干渉光、第4偏光板160dを透過した位相「270°」の干渉光)が第4カメラ88Bに入射する。
【0220】
次に、制御装置5によって実行される形状計測処理の手順について説明する。まず制御装置5は、第1投光系2A及び第2投光系2Bを駆動制御し、第1発光部51Aからの第1波長光の照射、及び、第2発光部52Aからの第2波長光の照射、並びに、第3発光部51Bからの第3波長光の照射、及び、第4発光部52Bからの第4波長光の照射を同時に実行する。
【0221】
これにより、偏光ビームスプリッタ60の第1面60aに対し第1波長光及び第2波長光の合成光である第1光が入射すると共に、偏光ビームスプリッタ60の第2面60bに対し第3波長光及び第4波長光の合成光である第2光が入射する。
【0222】
その結果、偏光ビームスプリッタ60の第2面60bから第1光に係る合成光(参照光及び計測光)が出射されると共に、偏光ビームスプリッタ60の第1面60aから第2光に係る合成光(参照光及び計測光)が出射される。
【0223】
偏光ビームスプリッタ60から出射した第1光に係る合成光の一部は、第1撮像系4Aに入射し、第1波長光に係る合成光(参照光及び計測光)と、第2波長光に係る合成光(参照光及び計測光)に分離される。このうち、第1波長光に係る合成光は、第1分光光学系81Aにより4つに分割された後、1/4波長板ユニット83A及び第1フィルタユニット85Aを介して第1カメラ87Aに入射する。同時に、第2波長光に係る合成光は、第2分光光学系82Aにより4つに分割された後、1/4波長板ユニット84A及び第2フィルタユニット86Aを介して第2カメラ88Aに入射する。
【0224】
一方、偏光ビームスプリッタ60から出射した第2光に係る合成光の一部は、第2撮像系4Bに入射し、第3波長光に係る合成光(参照光及び計測光)と、第4波長光に係る合成光(参照光及び計測光)に分離される。このうち、第3波長光に係る合成光は、第3分光光学系81Bにより4つに分割された後、1/4波長板ユニット83B及び第3フィルタユニット85Bを介して第3カメラ87Bに入射する。同時に、第4波長光に係る合成光は、第4分光光学系82Bにより4つに分割された後、1/4波長板ユニット84B及び第4フィルタユニット86Bを介して第4カメラ88Bに入射する。
【0225】
そして、制御装置5は、第1撮像系4A及び第2撮像系4Bを駆動制御して、第1カメラ87Aによる撮像、第2カメラ88Aによる撮像、第3カメラ87Bによる撮像、及び、第4カメラ88Bによる撮像を同時に実行する。
【0226】
その結果、第1カメラ87A(撮像素子170の撮像エリアH1〜H4)により、位相が90°ずつ異なる第1波長光に係る4通りの干渉縞画像が1つの画像データとして取得され、第2カメラ88A(撮像素子170の撮像エリアH1〜H4)により、位相が90°ずつ異なる第2波長光に係る4通りの干渉縞画像が1つの画像データとして取得され、第3カメラ87B(撮像素子170の撮像エリアH1〜H4)により、位相が90°ずつ異なる第3波長光に係る4通りの干渉縞画像が1つの画像データとして取得され、第4カメラ88B(撮像素子170の撮像エリアH1〜H4)により、位相が90°ずつ異なる第4波長光に係る4通りの干渉縞画像が1つの画像データとして取得される。
【0227】
そして、制御装置5は、第1カメラ87Aから取得した1つの画像データを4通りの干渉縞画像データ(撮像素子170の撮像エリアH1〜H4に対応する範囲ごと)に分割して、画像データ記憶装置154内の第1カメラ87Aに対応する第1〜第4画像メモリにそれぞれ記憶する。
【0228】
同時に、制御装置5は、第2カメラ88A、第3カメラ87B及び第4カメラ88Bからそれぞれ取得した画像データに関しても同様の処理を行い、各カメラ88A,87B,88Bに対応する第1〜第4画像メモリにそれぞれ干渉縞画像データを記憶する。
【0229】
続いて、制御装置5は、画像データ記憶装置154に記憶された第1波長光に係る4通りの干渉縞画像データ、第2波長光に係る4通りの干渉縞画像データ、第3波長光に係る4通りの干渉縞画像データ、及び、第4波長光に係る4通りの干渉縞画像データを基に、位相シフト法によりワークWの表面形状を計測する。つまり、ワークWの表面上の各位置における高さ情報を算出する。
【0230】
ここで干渉光学系を用いた一般的な位相シフト法による高さ計測の原理について説明する。所定の光(例えば第1波長光など)に係る4通りの干渉縞画像データの同一座標位置(x,y)における干渉縞強度、すなわち輝度I1(x,y)、I2(x,y)、I3(x,y)、I4(x,y)は、下記[数1]の関係式で表すことができる。
【0231】
【数1】
【0232】
ここで、Δφ(x,y)は、座標(x,y)における計測光と参照光との光路差に基づく位相差を表している。また、A(x,y)は干渉光の振幅、B(x,y)はバイアスを表している。但し、参照光は均一であるため、これを基準として見ると、Δφ(x,y)は「計測光の位相」を表し、A(x,y)は「計測光の振幅」を表すこととなる。
【0233】
従って、計測光の位相Δφ(x,y)は、上記[数1]の関係式を基に、下記[数2]の関係式で求めることができる。
【0234】
【数2】
【0235】
また、計測光の振幅A(x,y)は、上記[数1]の関係式を基に、下記[数3]の関係式で求めることができる。
【0236】
【数3】
【0237】
次に、上記位相Δφ(x,y)と振幅A(x,y)から、下記[数4]の関係式を基に撮像素子面上における複素振幅Eo(x,y)を算出する。ここで、iは虚数単位を表している。
【0238】
【数4】
【0239】
続いて、複素振幅Eo(x,y)を基に、ワークW面上の座標(ξ,η)における複素振幅Eo(ξ,η)を算出する。
【0240】
まずは、下記[数5]に示すように、上記複素振幅Eo(x,y)をフレネル変換する。ここで、λは波長を表す。
【0241】
【数5】
【0242】
これをEo(ξ,η)について解くと、下記[数6]のようになる。
【0243】
【数6】
【0244】
さらに、得られた複素振幅Eo(ξ,η)から、下記[数7]の関係式を基に、計測光の位相φ(ξ,η)と、計測光の振幅A(ξ,η)を算出する。
【0245】
【数7】
【0246】
計測光の位相φ(ξ,η)は、下記[数8]の関係式により求めることができる。
【0247】
【数8】
【0248】
計測光の振幅A(ξ,η)は、下記[数9]の関係式により求めることができる。
【0249】
【数9】
【0250】
その後、位相−高さ変換処理を行い、ワークWの表面の凹凸形状を3次元的に示す高さ情報z(ξ,η)を算出する。
【0251】
高さ情報z(ξ,η)は、下記[数10]の関係式により算出することができる。
【0252】
【数10】
【0253】
次に、波長の異なる2種類の光(例えば「第1波長光」と「第3波長光」)を用いた2波長位相シフト法の原理について説明する。波長の異なる2種類の光を用いることで計測レンジを広げることができる。勿論、かかる原理は、3種類又は4種類の光を用いた場合にも応用できる。
【0254】
波長の異なる2種類の光(例えば波長λc1の第1の光と、波長λc2の第2の光)を用いて計測を行った場合には、その合成波長λc0の光で計測を行ったことと同じこととなる。そして、その計測レンジはλc0/2に拡大することとなる。合成波長λc0は、下記式(M1)で表すことができる。
【0255】
λc0=(λc1×λc2)/(λc2−λc1) ・・・(M1)
但し、λc2>λc1とする。
【0256】
ここで、例えばλc1=1500nm、λc2=1503nmとすると、上記式(M1)から、λc0=751.500μmとなり、計測レンジはλc0/2=375.750μmとなる。
【0257】
2波長位相シフト法を行う際には、まず波長λc1の第1の光に係る4通りの干渉縞画像データの輝度I1(x,y)、I2(x,y)、I3(x,y)、I4(x,y)を基に(上記[数1]参照)、ワークW面上の座標(ξ,η)における第1の光に係る計測光の位相φ1(ξ,η)を算出する(上記[数8]参照)。ここで求められる位相φ1(ξ,η)が本実施形態における「第1計測値」又は「第2計測値」に相当し、これを算出する処理機能により「第1計測値取得手段」又は「第2計測値取得手段」が構成される。
【0258】
尚、第1の光に係る計測の下、座標(ξ,η)における高さ情報z(ξ,η)は、下記式(M2)で表すことができる。
【0259】
z(ξ,η)=d1(ξ,η)/2
=[λc1×φ1(ξ,η)/4π]+[m1(ξ,η)×λc1/2]・・・(M2)
但し、d1(ξ,η)は、第1の光に係る計測光と参照光との光路差を表し、m1(ξ,η)は、第1の光に係る縞次数を表す。
【0260】
よって、位相φ1(ξ,η)は下記式(M2´)で表すことができる。
【0261】
φ1(ξ,η)=(4π/λc1)×z(ξ,η)−2πm1(ξ,η) ・・・(M2´)
同様に、波長λc2の第2の光に係る4通りの干渉縞画像データの輝度I1(x,y)、I2(x,y)、I3(x,y)、I4(x,y)を基に(上記[数1]参照)、ワークW面上の座標(ξ,η)における第2の光に係る計測光の位相φ2(ξ,η)を算出する(上記[数8]参照)。ここで求められる位相φ2(ξ,η)が本実施形態における「第3計測値」又は「第4計測値」に相当し、これを算出する処理機能により「第3計測値取得手段」又は「第4計測値取得手段」が構成される。
【0262】
尚、第2の光に係る計測の下、座標(ξ,η)における高さ情報z(ξ,η)は、下記式(M3)で表すことができる。
【0263】
z(ξ,η)=d2(ξ,η)/2
=[λc2×φ2(ξ,η)/4π]+[m2(ξ,η)×λc2/2]・・・(M3)
但し、d2(ξ,η)は、第2の光に係る計測光と参照光との光路差を表し、m2(ξ,η)は、第2の光に係る縞次数を表す。
【0264】
よって、位相φ2(ξ,η)は下記式(M3´)で表すことができる。
【0265】
φ2(ξ,η)=(4π/λc2)×z(ξ,η)−2πm2(ξ,η) ・・・(M3´)
続いて、波長λc1の第1の光に係る縞次数m1(ξ,η)、又は、波長λc2の第2の光に係る縞次数m2(ξ,η)を決定する。縞次数m1,m2は、2種類の光(波長λc1,λc2)の光路差Δd及び波長差Δλを基に求めることができる。ここで光路差Δd及び波長差Δλは、それぞれ下記式(M4),(M5)のように表すことができる。
【0266】
Δd=(λc1×φ1−λc2×φ2)/2π ・・・(M4)
Δλ=λc2−λc1 ・・・(M5)
但し、λc2>λc1とする。
【0267】
尚、2波長の合成波長λc0の計測レンジ内において、縞次数m1,m2の関係は、以下の3つの場合に分けられ、各場合ごとに縞次数m1(ξ,η)、m2(ξ,η)を決定する計算式が異なる。ここで、例えば縞次数m1(ξ,η)を決定する場合について説明する。勿論、縞次数m2(ξ,η)についても、同様の手法により求めることができる。
【0268】
例えば「φ1−φ2<−π」の場合には「m1−m2=−1」となり、かかる場合、m1は下記式(M6)のように表すことができる。
【0269】
1=(Δd/Δλ)−(λc2/Δλ)
=(λc1×φ1−λc2×φ2)/2π(λc2−λc1)−λc2/(λc2−λc1)・・・(M6)
「−π<φ1−φ2<π」の場合には「m1−m2=0」となり、かかる場合、m1は下記式(M7)のように表すことができる。
【0270】
1=Δd/Δλ
=(λc1×φ1−λc2×φ2)/2π(λc2−λc1)・・・(M7)
「φ1−φ2>π」の場合には「m1−m2=+1」となり、かかる場合、m1は下記式(M8)のように表すことができる。
【0271】
1=(Δd/Δλ)+(λ2/Δλ)
=(λc1×φ1−λc2×φ2)/2π(λc2−λc1)+λc2/(λc2−λc1)・・・(M8)
そして、このようにして得られた縞次数m1(ξ,η)又はm2(ξ,η)を基に、上記式(M2),(M3)から高さ情報z(ξ,η)を得ることができる。かかる処理機能により「高さ情報取得手段」が構成される。そして、このように求められたワークWの計測結果(高さ情報)は、制御装置5の演算結果記憶装置155に格納される。
【0272】
以上詳述したように、本実施形態では、第1波長光と第2波長光の合成光である第1光を偏光ビームスプリッタ60の第1面60aから入射させると共に、第3波長光と第4波長光の合成光である第2光を偏光ビームスプリッタ60の第2面60bから入射させることにより、第1光に係る参照光及び計測光と、第2光に係る参照光及び計測光がそれぞれ異なる偏光成分(P偏光又はS偏光)に分割されるため、偏光ビームスプリッタ60に入射した第1光と第2光は互いに干渉することなく、別々に偏光ビームスプリッタ60から出射されることとなる。
【0273】
これにより、第1光に含まれる偏光(第1波長光及び/又は第2波長光)と、第2光に含まれる偏光(第3波長光及び/又は第4波長光)として波長の近い2種類の偏光を用いることができる。結果として、波長の近い2種類の偏光を利用して、三次元計測に係る計測レンジをより広げることができる。特に本実施形態では、最大で4種類の波長の異なる光を利用可能となるため、計測レンジを飛躍的に広げることも可能となる。
【0274】
また、本実施形態では、干渉光学系3から出射される第1光に係る合成光(参照光成分及び計測光成分)を、第1波長光に係る合成光と、第2波長光に係る合成光とに分離すると共に、干渉光学系3から出射される第2光に係る合成光を、第3波長光に係る合成光と、第4波長光に係る合成光とに分離して、第1波長光に係る合成光の撮像、第2波長光に係る合成光の撮像、第3波長光に係る合成光の撮像、及び、第4波長光に係る合成光の撮像を個別かつ同時に行う構成となっている。これにより、総体的な撮像時間を短縮でき、計測効率の向上を図ることができる。
【0275】
加えて、本実施形態では、分光光学系81A,82A,81B,82Bを用いて、各波長光に係る合成光をそれぞれ4つの光に分割すると共に、当該4つの光をフィルタユニット85A,86A,85B,86Bにより位相が90°ずつ異なる4通りの干渉光に変換する構成となっている。これにより、位相シフト法による三次元計測に必要なすべての干渉縞画像を同時に取得することができる。つまり、4種類の偏光に係る計16通り(4×4通り)の干渉縞画像を同時に取得することができる。結果として、上記作用効果をさらに高めることができる。
【0276】
また、分光光学系81A,82A,81B,82Bにおいて、1つの光を平行する2つの光に分割する手段として、ケスタープリズムであるプリズム101,102を採用しているため、分割された2つの光の光路長が光学的に等しくなる。結果として、分割された2つの光の光路長を調整する光路調整手段を備える必要がなく、部品点数の削減を図ると共に、構成の簡素化や装置の小型化等を図ることができる。
【0277】
また、分光光学系81A,82A,81B,82Bに対し1つの光F0が入射されてから、4つの光FB1〜FB4が出射されるまでの間、光が光学部材内のみを進み、空気中に出ない構成となるため、空気の揺らぎ等による影響を低減することができる。
【0278】
さらに、本実施形態では、例えば第1波長光と第3波長光の2種類の偏光を用いた計測と、第2波長光と第4波長光の2種類の偏光を用いた計測をワークWの種類に応じて切替えることができる。つまり、本実施形態によれば、波長の近い2種類の偏光を用いて計測レンジの拡大を図りつつも、ワークWの種類に応じて光の種類(波長)を切替えることができる。結果として、利便性や汎用性の向上を図ることができる。
【0279】
例えば赤系光が適さないウエハ基板などのワークWに対しては、第1波長光と第3波長光の2種類の偏光(例えば491nmと488nmの青系色の2光)を用いた計測を行う一方、青系光が適さない銅などのワークWに対しては、第2波長光と第4波長光の2種類の偏光(例えば540nmと532nmの緑系色の2光)を用いた計測を行うことができる。
【0280】
また、本実施形態では、基準となる参照面63を1つ備えた1つの干渉光学系3に対し4種類の偏光を用いる構成となっているため、参照光と計測光とに光路差を生じさせる光路区間が4種類の偏光で同一となる。このため、4つの干渉光学系(干渉計モジュール)を用いる構成に比べて、計測精度が向上すると共に、4つの干渉光学系の光路長を正確に一致させる困難な作業を行う必要もない。
【0281】
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態について図面を参照しつつ説明する。第2実施形態は、マイケルソン干渉計の光学構成を採用した第1実施形態とは異なる干渉光学系を備えたものであり、干渉光学系に関連する構成が第1実施形態と異なる。従って、本実施形態では、第1実施形態と異なる構成部分について詳しく説明し、同一構成部分については同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0282】
図11は本実施形態に係る三次元計測装置200の概略構成を示す模式図である。以下、便宜上、図11の紙面前後方向を「X軸方向」とし、紙面上下方向を「Y軸方向」とし、紙面左右方向を「Z軸方向」として説明する。
【0283】
三次元計測装置200は、マッハ・ツェンダー干渉計の原理に基づき構成されたものであり、所定の光を出力可能な2つの投光系2A,2B(第1投光系2A,第2投光系2B)と、該投光系2A,2Bからそれぞれ出射される光が入射される干渉光学系203と、該干渉光学系203から出射される光が入射される2つの撮像系4A,4B(第1撮像系4A,第2撮像系4B)と、投光系2A,2Bや干渉光学系203、撮像系4A,4Bなどに係る各種制御や画像処理、演算処理等を行う制御装置5とを備えている。「制御装置5」が本実施形態における「画像処理手段」を構成し、「干渉光学系203」が本実施形態における「所定の光学系」を構成する。
【0284】
以下、干渉光学系203の構成について詳しく説明する。干渉光学系203は、2つの偏光ビームスプリッタ211,212(第1偏光ビームスプリッタ211,第2偏光ビームスプリッタ212)、4つの1/4波長板215,216,217,218(第1の1/4波長板215,第2の1/4波長板216,第3の1/4波長板217,第4の1/4波長板218)、2つの全反射ミラー221,222(第1全反射ミラー221,第2全反射ミラー222)、設置部224などを備えている。
【0285】
偏光ビームスプリッタ211,212は、直角プリズムを貼り合せて一体としたキューブ型の公知の光学部材であって、その接合面(境界面)211h,212hには例えば誘電体多層膜などのコーティングが施されている。
【0286】
偏光ビームスプリッタ211,212は、入射される直線偏光を偏光方向が互いに直交する2つの偏光成分(P偏光成分とS偏光成分)に分割するものである。本実施形態における偏光ビームスプリッタ211,212は、P偏光成分を透過させ、S偏光成分を反射する構成となっている。また、本実施形態における偏光ビームスプリッタ211,212は、入射する所定の光を2つの光に分割する手段として機能すると共に、入射する所定の2つの光を合成する手段として機能することとなる。
【0287】
第1偏光ビームスプリッタ211は、その接合面211hを挟んで隣り合う2面のうちの一方がY軸方向と直交しかつ他方がZ軸方向と直交するように配置されている。つまり、第1偏光ビームスプリッタ211の接合面211hがY軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜するように配置されている。
【0288】
より詳しくは、第1投光系2Aの第1無偏光ビームスプリッタ56AからZ軸方向左向きに出射される第1光が入射する第1偏光ビームスプリッタ211の第1面(Z軸方向右側面)211a、並びに、該第1面211aと相対向する第3面(Z軸方向左側面)211cがZ軸方向と直交するように配置されている。「第1偏光ビームスプリッタ211(第1面211a)」が本実施形態における「第1入出力部」に相当する。
【0289】
一方、第1面211aと接合面211hを挟んで隣り合う面である第1偏光ビームスプリッタ211の第2面(Y軸方向下側面)211b、並びに、該第2面211bと相対向する第4面(Y軸方向上側面)211dがY軸方向と直交するように配置されている。
【0290】
第2偏光ビームスプリッタ212は、その接合面212hを挟んで隣り合う2面のうちの一方がY軸方向と直交しかつ他方がZ軸方向と直交するように配置されている。つまり、第2偏光ビームスプリッタ212の接合面212hがY軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜するように配置されている。
【0291】
より詳しくは、第2投光系2Bの第2無偏光ビームスプリッタ56BからZ軸方向右向きに出射される第2光が入射する第2偏光ビームスプリッタ212の第1面(Z軸方向左側面)212a、並びに、該第1面212aと相対向する第3面(Z軸方向右側面)212cがZ軸方向と直交するように配置されている。「第2偏光ビームスプリッタ212(第1面212a)」が本実施形態における「第2入出力部」に相当する。
【0292】
一方、第1面212aと接合面212hを挟んで隣り合う面である第2偏光ビームスプリッタ212の第2面(Y軸方向上側面)212b、並びに、該第2面212bと相対向する第4面(Y軸方向下側面)212dがY軸方向と直交するように配置されている。
【0293】
1/4波長板215,216,217,218は、直線偏光を円偏光に変換しかつ円偏光を直線偏光に変換する機能を有する光学部材である。
【0294】
第1の1/4波長板215は、第1偏光ビームスプリッタ211の第3面211cとZ軸方向に相対向するように配置されている。つまり、第1の1/4波長板215は、第1偏光ビームスプリッタ211の第3面211cから出射される直線偏光を円偏光に変換してZ軸方向左向きに出射する。また、第1の1/4波長板215は、Z軸方向右向きに入射する円偏光を直線偏光に変換した上で、第1偏光ビームスプリッタ211の第3面211cに向けZ軸方向右向きに出射する。
【0295】
第2の1/4波長板216は、第1偏光ビームスプリッタ211の第4面211dとY軸方向に相対向するように配置されている。つまり、第2の1/4波長板216は、第1偏光ビームスプリッタ211の第4面211dから出射される直線偏光を円偏光に変換してY軸方向上向きに出射する。また、第2の1/4波長板216は、Y軸方向下向きに入射する円偏光を直線偏光に変換した上で、第1偏光ビームスプリッタ211の第4面211dに向けY軸方向下向きに出射する。
【0296】
第3の1/4波長板217は、第2偏光ビームスプリッタ212の第4面212dとY軸方向に相対向するように配置されている。つまり、第3の1/4波長板217は、第2偏光ビームスプリッタ212の第4面212dから出射される直線偏光を円偏光に変換してY軸方向下向きに出射する。また、第3の1/4波長板217は、Y軸方向上向きに入射する円偏光を直線偏光に変換した上で、第2偏光ビームスプリッタ212の第4面212dに向けY軸方向上向きに出射する。
【0297】
第4の1/4波長板218は、第2偏光ビームスプリッタ212の第3面212cとZ軸方向に相対向するように配置されている。つまり、第4の1/4波長板218は、第2偏光ビームスプリッタ212の第3面212cから出射される直線偏光を円偏光に変換してZ軸方向右向きに出射する。また、第4の1/4波長板218は、Z軸方向左向きに入射する円偏光を直線偏光に変換した上で、第2偏光ビームスプリッタ212の第3面212cに向けZ軸方向左向きに出射する。
【0298】
全反射ミラー221,222は、入射光を全反射させる光学部材である。このうち、本実施形態における参照面を構成する第1全反射ミラー221は、第1偏光ビームスプリッタ211及び第1の1/4波長板215を通りZ軸方向に延びる軸線と、第2偏光ビームスプリッタ212及び第3の1/4波長板217を通りY軸方向に延びる軸線とが交差する位置において、Y軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜するように配置されている。
【0299】
これにより、第1全反射ミラー221は、第1偏光ビームスプリッタ211の第3面211cから(第1の1/4波長板215を介して)Z軸方向左向きに出射された光を、Y軸方向上向きに反射させ、第2偏光ビームスプリッタ212の第4面212dに(第3の1/4波長板217を介して)入射させることができる。また逆に、第1全反射ミラー221は、第2偏光ビームスプリッタ212の第4面212dから(第3の1/4波長板217を介して)Y軸方向下向きに出射された光を、Z軸方向右向きに反射させ、第1偏光ビームスプリッタ211の第3面211cに(第1の1/4波長板215を介して)入射させることができる。
【0300】
一方、第2全反射ミラー222は、第1偏光ビームスプリッタ211及び第2の1/4波長板216を通りY軸方向に延びる軸線と、第2偏光ビームスプリッタ212及び第4の1/4波長板218を通りZ軸方向に延びる軸線とが交差する位置において、Y軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜するように配置されている。
【0301】
これにより、第2全反射ミラー222は、第1偏光ビームスプリッタ211の第4面211dから(第2の1/4波長板216を介して)Y軸方向上向きに出射された光を、Z軸方向左向きに反射させ、第2偏光ビームスプリッタ212の第3面212cに(第4の1/4波長板218を介して)入射させることができる。また逆に、第2全反射ミラー222は、第2偏光ビームスプリッタ212の第3面212cから(第4の1/4波長板218を介して)Z軸方向右向きに出射された光を、Y軸方向下向きに反射させ、第1偏光ビームスプリッタ211の第4面211dに(第2の1/4波長板216を介して)入射させることができる。
【0302】
設置部224は、被計測物としてのワークWを設置するためのものである。本実施形態ではワークWとして、フィルムなどの透光性を有するものを想定している。設置部224は、第2偏光ビームスプリッタ212及び第2全反射ミラー222を通りZ軸方向に延びる軸線上において、第4の1/4波長板218と第2全反射ミラー222との間に配置されている。
【0303】
次に三次元計測装置200の作用について説明する。尚、本実施形態においては、第1実施形態と同様、第1投光系2Aによる第1波長光の照射及び第2波長光の照射、並びに、第2投光系2Bによる第3波長光の照射及び第4波長光の照射は同時に行われる。そのため、第1波長光及び第2波長光の合成光である第1光の光路と、第3波長光及び第4波長光の合成光である第2光の光路が一部で重なることとなるが、ここでは、より分かりやすくするため、第1光及び第2光の光路ごとに異なる図面を用いて個別に説明する。
【0304】
まず第1光(第1波長光及び第2波長光)の光路について図12を参照して説明する。図12に示すように、第1波長λ1の第1波長光(偏光方向がX軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜した直線偏光)が第1発光部51AからY軸方向下向きに出射される。同時に、第2波長λ2の第2波長光(偏光方向がX軸方向及びY軸方向に対し45°傾斜した直線偏光)が第2発光部52AからZ軸方向左向きに出射される。
【0305】
第1発光部51Aから出射された第1波長光は、第1光アイソレータ53Aを通過し、第1合成用ダイクロイックミラー55Aに入射する。同時に、第2発光部52Aから出射された第2波長光は、第2光アイソレータ54Aを通過し、第1合成用ダイクロイックミラー55Aに入射する。
【0306】
そして、第1合成用ダイクロイックミラー55Aに入射した第1波長光と第2波長光とが合成された上で、第1光(X軸方向及びY軸方向に対し45°傾斜した方向を偏光方向とする直線偏光)として第1無偏光ビームスプリッタ56Aに向けZ軸方向左向きに出射されることとなる。
【0307】
第1無偏光ビームスプリッタ56Aに入射した第1光の一部(半分)はZ軸方向左向きに透過し、残り(半分)はY軸方向下向きに反射する。このうち、Z軸方向左向きに透過した第1光は、第1偏光ビームスプリッタ211の第1面211aに入射する。一方、Y軸方向下向きに反射した第1光は、何らかの光学系等に入射することなく、捨て光となる。
【0308】
第1偏光ビームスプリッタ211の第1面211aからZ軸方向左向きに入射した第1光は、そのP偏光成分がZ軸方向左向きに透過して第3面211cから参照光として出射される一方、そのS偏光成分がY軸方向上向きに反射して第4面211dから計測光として出射される。
【0309】
第1偏光ビームスプリッタ211の第3面211cから出射した第1光に係る参照光(P偏光)は、第1の1/4波長板215を通過することにより右回りの円偏光に変換された後、第1全反射ミラー221にてY軸方向上向きに反射する。ここで、光の進行方向に対する回転方向は維持される。
【0310】
その後、第1光に係る参照光は、第3の1/4波長板217を通過することで、右回りの円偏光からS偏光に変換された上で第2偏光ビームスプリッタ212の第4面212dに入射する。
【0311】
一方、第1偏光ビームスプリッタ211の第4面211dから出射した第1光に係る計測光(S偏光)は、第2の1/4波長板216を通過することにより左回りの円偏光に変換された後、第2全反射ミラー222にてZ軸方向左向きに反射する。ここで、光の進行方向に対する回転方向は維持される。
【0312】
その後、第1光に係る計測光は、設置部224に設置されたワークWを透過した後、第4の1/4波長板218を通過することで、左回りの円偏光からP偏光に変換された上で第2偏光ビームスプリッタ212の第3面212cに入射する。
【0313】
そして、第2偏光ビームスプリッタ212の第4面212dから入射した第1光に係る参照光(S偏光)が接合面212hにてZ軸方向左向きに反射する一方、第2偏光ビームスプリッタ212の第3面212cから入射した第1光に係る計測光(P偏光)は接合面212hをZ軸方向左向きに透過する。そして、第1光に係る参照光及び計測光が合成された状態の合成光が出力光として第2偏光ビームスプリッタ212の第1面212aから出射される。
【0314】
第2偏光ビームスプリッタ212の第1面212aから出射された第1光に係る合成光(参照光及び計測光)は、第2無偏光ビームスプリッタ56Bに入射する。第2無偏光ビームスプリッタ56Bに対しZ軸方向左向きに入射した第1光に係る合成光は、その一部がZ軸方向左向きに透過し、残りがY軸方向上向きに反射する。
【0315】
このうち、Z軸方向左向きに透過した合成光(参照光及び計測光)は第1撮像系4Aの第1分離用ダイクロイックミラー80Aに入射する。一方、Y軸方向上向きに反射した合成光は、第2合成用ダイクロイックミラー55Bに入射するものの、第3光アイソレータ53B又は第4光アイソレータ54Bによりその進行を遮断され、捨て光となる。
【0316】
第1分離用ダイクロイックミラー80Aに入射した第1光に係る合成光(参照光及び計測光)のうち、第1波長光に係る合成光(参照光及び計測光)は接合面80AhにてY軸方向下向きに反射して第1分光光学系81Aに入射する一方、第2波長光に係る合成光(参照光及び計測光)は接合面80AhをZ軸方向左向きに透過して第2分光光学系82Aに入射する。
【0317】
第1分光光学系81Aに入射した第1波長光に係る合成光(参照光及び計測光)は、4つに分割された後、1/4波長板ユニット83A及び第1フィルタユニット85Aを介して第1カメラ87Aにより撮像される。これにより、位相が90°ずつ異なる第1波長光に係る4通りの干渉縞画像が取得される。
【0318】
同時に、第2分光光学系82Aに入射した第2波長光に係る合成光は、4つに分割された後、1/4波長板ユニット84A及び第2フィルタユニット86Aを介して第2カメラ88Aにより撮像される。これにより、位相が90°ずつ異なる第2波長光に係る4通りの干渉縞画像が取得される。
【0319】
次に第2光(第3波長光及び第4波長光)の光路について図13を参照して説明する。図13に示すように、第3波長λ3の第3波長光(偏光方向がX軸方向及びY軸方向に対し45°傾斜した直線偏光)が第3発光部51BからZ軸方向左向きに出射される。同時に、第4波長λ4の第4波長光(偏光方向がX軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜した直線偏光)が第4発光部52BからY軸方向下向きに出射される。
【0320】
第3発光部51Bから出射された第3波長光は、第3光アイソレータ53Bを通過し、第2合成用ダイクロイックミラー55Bに入射する。同時に、第4発光部52Bから出射された第4波長光は、第4光アイソレータ54Bを通過し、第2合成用ダイクロイックミラー55Bに入射する。
【0321】
そして、第2合成用ダイクロイックミラー55Bに入射した第3波長光と第4波長光とが合成された上で、第2光(X軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜した方向を偏光方向とする直線偏光)として、第2無偏光ビームスプリッタ56Bに向けY軸方向下向きに出射されることとなる。
【0322】
第2無偏光ビームスプリッタ56Bに入射した第2光の一部(半分)はY軸方向下向きに透過し、残り(半分)はZ軸方向右向きに反射する。このうち、Z軸方向右向きに反射した第2光は、第2偏光ビームスプリッタ212の第1面212aに入射する。一方、Y軸方向下向きに透過した第2光は、何らかの光学系等に入射することなく、捨て光となる。
【0323】
第2偏光ビームスプリッタ212の第1面212aからZ軸方向右向きに入射した第2光は、そのS偏光成分がY軸方向下向きに反射して第4面212dから参照光として出射される一方、そのP偏光成分がZ軸方向右向きに透過して第3面212cから計測光として出射される。
【0324】
第2偏光ビームスプリッタ212の第4面212dから出射した第2光に係る参照光(S偏光)は、第3の1/4波長板217を通過することにより左回りの円偏光に変換された後、第1全反射ミラー221にてZ軸方向右向きに反射する。ここで、光の進行方向に対する回転方向は維持される。
【0325】
その後、第2光に係る参照光は、第1の1/4波長板215を通過することで、左回りの円偏光からP偏光に変換された上で第1偏光ビームスプリッタ211の第3面211cに入射する。
【0326】
一方、第2偏光ビームスプリッタ212の第3面212cから出射した第2光に係る計測光(P偏光)は、第4の1/4波長板218を通過することにより右回りの円偏光に変換された後、設置部224に設置されたワークWを透過する。その後、第2光に係る計測光は、第2全反射ミラー222にてY軸方向下向きに反射する。ここで、光の進行方向に対する回転方向は維持される。
【0327】
第2全反射ミラー222にて反射した第2光に係る計測光は、第2の1/4波長板216を通過することで、右回りの円偏光からS偏光に変換された上で第1偏光ビームスプリッタ211の第4面211dに入射する。
【0328】
そして、第1偏光ビームスプリッタ211の第3面211cから入射した第2光に係る参照光(P偏光)が接合面211hをZ軸方向右向きに透過する一方、第1偏光ビームスプリッタ211の第4面211dから入射した第2光に係る計測光(S偏光)は接合面211hにてZ軸方向右向きに反射する。そして、第2光に係る参照光及び計測光が合成された状態の合成光が出力光として第1偏光ビームスプリッタ211の第1面211aから出射される。
【0329】
第1偏光ビームスプリッタ211の第1面211aから出射された第2光に係る合成光(参照光及び計測光)は、第1無偏光ビームスプリッタ56Aに入射する。第1無偏光ビームスプリッタ56Aに対しZ軸方向右向きに入射した第2光に係る合成光は、その一部がZ軸方向右向きに透過し、残りがY軸方向上向きに反射する。
【0330】
このうち、Y軸方向上向きに反射した合成光(参照光及び計測光)は第2撮像系4Bの第2分離用ダイクロイックミラー80Bに入射する。一方、Z軸方向右向きに透過した合成光は、第1合成用ダイクロイックミラー55Aに入射するものの、第1光アイソレータ53A又は第2光アイソレータ54Aによりその進行を遮断され、捨て光となる。
【0331】
第2分離用ダイクロイックミラー80Bに入射した第2光に係る合成光(参照光及び計測光)のうち、第3波長光に係る合成光(参照光及び計測光)は接合面80BhにてZ軸方向左向きに反射して第3分光光学系81Bに入射する一方、第4波長光に係る合成光(参照光及び計測光)は接合面80BhをY軸方向上向き透過して第4分光光学系82Bに入射する。
【0332】
第3分光光学系81Bに入射した第3波長光に係る合成光(参照光及び計測光)は、4つに分割された後、1/4波長板ユニット83B及び第3フィルタユニット85Bを介して第3カメラ87Bにより撮像される。これにより、位相が90°ずつ異なる第3波長光に係る4通りの干渉縞画像が取得される。
【0333】
同時に、第4分光光学系82Bに入射した第4波長光に係る合成光は、4つに分割された後、1/4波長板ユニット84B及び第4フィルタユニット86Bを介して第4カメラ88Bにより撮像される。これにより、位相が90°ずつ異なる第4波長光に係る4通りの干渉縞画像が取得される。
【0334】
次に、制御装置5によって実行される形状計測処理の手順について説明する。まず制御装置5は、第1投光系2A及び第2投光系2Bを駆動制御し、第1発光部51Aからの第1波長光の照射、及び、第2発光部52Aからの第2波長光の照射、並びに、第3発光部51Bからの第3波長光の照射、及び、第4発光部52Bからの第4波長光の照射を同時に実行する。
【0335】
これにより、第1偏光ビームスプリッタ211の第1面211aに対し第1波長光及び第2波長光の合成光である第1光が入射すると共に、第2偏光ビームスプリッタ212の第1面212aに対し第3波長光及び第4波長光の合成光である第2光が入射する。
【0336】
その結果、第2偏光ビームスプリッタ212の第1面212aから第1光に係る合成光(参照光及び計測光)が出射されると共に、第1偏光ビームスプリッタ211の第1面211aから第2光に係る合成光(参照光及び計測光)が出射される。
【0337】
第2偏光ビームスプリッタ212から出射した第1光に係る合成光の一部は、第1撮像系4Aに入射し、第1波長光に係る合成光(参照光及び計測光)と、第2波長光に係る合成光(参照光及び計測光)に分離される。このうち、第1波長光に係る合成光は、第1分光光学系81Aにより4つに分割された後、1/4波長板ユニット83A及び第1フィルタユニット85Aを介して第1カメラ87Aに入射する。同時に、第2波長光に係る合成光は、第2分光光学系82Aにより4つに分割された後、1/4波長板ユニット84A及び第2フィルタユニット86Aを介して第2カメラ88Aに入射する。
【0338】
一方、第1偏光ビームスプリッタ211から出射した第2光に係る合成光の一部は、第2撮像系4Bに入射し、第3波長光に係る合成光(参照光及び計測光)と、第4波長光に係る合成光(参照光及び計測光)に分離される。このうち、第3波長光に係る合成光は、第3分光光学系81Bにより4つに分割された後、1/4波長板ユニット83B及び第3フィルタユニット85Bを介して第3カメラ87Bに入射する。同時に、第4波長光に係る合成光は、第4分光光学系82Bにより4つに分割された後、1/4波長板ユニット84B及び第4フィルタユニット86Bを介して第4カメラ88Bに入射する。
【0339】
そして、制御装置5は、第1撮像系4A及び第2撮像系4Bを駆動制御して、第1カメラ87Aによる撮像、第2カメラ88Aによる撮像、第3カメラ87Bによる撮像、及び、第4カメラ88Bによる撮像を同時に実行する。
【0340】
その結果、第1カメラ87A(撮像素子170の撮像エリアH1〜H4)により、位相が90°ずつ異なる第1波長光に係る4通りの干渉縞画像が1つの画像データとして取得され、第2カメラ88A(撮像素子170の撮像エリアH1〜H4)により、位相が90°ずつ異なる第2波長光に係る4通りの干渉縞画像が1つの画像データとして取得され、第3カメラ87B(撮像素子170の撮像エリアH1〜H4)により、位相が90°ずつ異なる第3波長光に係る4通りの干渉縞画像が1つの画像データとして取得され、第4カメラ88B(撮像素子170の撮像エリアH1〜H4)により、位相が90°ずつ異なる第4波長光に係る4通りの干渉縞画像が1つの画像データとして取得される。
【0341】
そして、制御装置5は、第1カメラ87Aから取得した1つの画像データを4通りの干渉縞画像データ(撮像素子170の撮像エリアH1〜H4に対応する範囲ごと)に分割して、画像データ記憶装置154内の第1カメラ87Aに対応する第1〜第4画像メモリにそれぞれ記憶する。
【0342】
同時に、制御装置5は、第2カメラ88A、第3カメラ87B及び第4カメラ88Bからそれぞれ取得した画像データに関しても同様の処理を行い、各カメラ88A,87B,88Bに対応する第1〜第4画像メモリにそれぞれ干渉縞画像データを記憶する。
【0343】
続いて、制御装置5は、画像データ記憶装置154に記憶された第1波長光に係る4通りの干渉縞画像データ、第2波長光に係る4通りの干渉縞画像データ、第3波長光に係る4通りの干渉縞画像データ、及び、第4波長光に係る4通りの干渉縞画像データを基に、位相シフト法によりワークWの表面形状を計測する。つまり、ワークWの表面上の各位置における高さ情報を算出する。
【0344】
以上詳述したように、本実施形態によれば、マッハ・ツェンダー干渉計の原理に基づいた比較的簡素な構成の下で、上記第1実施形態と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0345】
〔第3実施形態〕
以下、第3実施形態について図面を参照しつつ説明する。第3実施形態は、マイケルソン干渉計の光学構成を採用した第1実施形態とは異なる干渉光学系を備えたものであり、主として干渉光学系に関連する構成が第1実施形態と異なる。従って、本実施形態では、第1実施形態と異なる構成部分について詳しく説明し、同一構成部分については同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0346】
図14は本実施形態に係る三次元計測装置300の概略構成を示す模式図である。以下、便宜上、図14の紙面前後方向を「X軸方向」とし、紙面上下方向を「Y軸方向」とし、紙面左右方向を「Z軸方向」として説明する。
【0347】
三次元計測装置300は、フィゾー干渉計の原理に基づき構成されたものであり、所定の光を出力可能な2つの投光系2A,2B(第1投光系2A,第2投光系2B)と、該投光系2A,2Bからそれぞれ出射される光が入射される干渉光学系303と、該干渉光学系303から出射される光が入射される2つの撮像系4A,4B(第1撮像系4A,第2撮像系4B)と、投光系2A,2Bや干渉光学系303、撮像系4A,4Bなどに係る各種制御や画像処理、演算処理等を行う制御装置5とを備えている。「制御装置5」が本実施形態における「画像処理手段」を構成し、「干渉光学系303」が本実施形態における「所定の光学系」を構成する。
【0348】
以下、干渉光学系303の構成について詳しく説明する。干渉光学系303は、偏光ビームスプリッタ320、1/4波長板321、ハーフミラー323、設置部324などを備えている。
【0349】
偏光ビームスプリッタ320は、直角プリズムを貼り合せて一体としたキューブ型の公知の光学部材であって、その接合面(境界面)320hには例えば誘電体多層膜などのコーティングが施されている。本実施形態における偏光ビームスプリッタ320は、P偏光成分を透過させ、S偏光成分を反射する構成となっている。本実施形態において「P偏光」が「第1の偏光方向を有する偏光」に相当し、「S偏光」が「第2の偏光方向を有する偏光」に相当する。
【0350】
偏光ビームスプリッタ320は、その接合面320hを挟んで隣り合う2面のうちの一方がY軸方向と直交しかつ他方がZ軸方向と直交するように配置されている。つまり、偏光ビームスプリッタ320の接合面320hがY軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜するように配置されている。
【0351】
より詳しくは、第1投光系2Aの第1無偏光ビームスプリッタ56AからY軸方向下向きに出射される第1光が入射する偏光ビームスプリッタ320の第1面(Y軸方向上側面)320a、並びに、該第1面320aと相対向する第3面(Y軸方向下側面)320cがY軸方向と直交するように配置されている。「偏光ビームスプリッタ320の第1面320a」が本実施形態における「第1入出力部」に相当する。
【0352】
一方、第1面320aと接合面320hを挟んで隣り合う面であって、第2投光系2Bの第2無偏光ビームスプリッタ56BからZ軸方向右向きに出射される第2光が入射する偏光ビームスプリッタ320の第2面(Z軸方向左側面)320b、並びに、該第2面320bと相対向する第4面(Z軸方向右側面)320dがZ軸方向と直交するように配置されている。「偏光ビームスプリッタ320の第2面320b」が本実施形態における「第2入出力部」に相当する。
【0353】
そして、偏光ビームスプリッタ320の第4面320dとZ軸方向に相対向するように1/4波長板321が配置され、さらにそのZ軸方向右側にて、該1/4波長板321とZ軸方向に相対向するようにハーフミラー323が配置され、さらにそのZ軸方向右側にて、該ハーフミラー323とZ軸方向に相対向するように設置部324が配置されている。但し、ハーフミラー323は、周期的な干渉縞(キャリア)を生じさせるために、厳密にはZ軸方向に対し僅かに傾いた状態で設置されている。
【0354】
1/4波長板321は、直線偏光を円偏光に変換しかつ円偏光を直線偏光に変換する機能を有する。つまり、偏光ビームスプリッタ320の第4面320dから出射される直線偏光(P偏光又はS偏光)は1/4波長板321を介して円偏光に変換された上でハーフミラー323に対し照射される。
【0355】
ハーフミラー323は、入射光を1:1の比率で透過光と反射光とに分割するものである。具体的には、1/4波長板321からZ軸方向右向きに入射する円偏光の一部(半分)を計測光としてZ軸方向右向きに透過させ、残り(半分)を参照光としてZ軸方向左向きに反射させる。そして、ハーフミラー323を透過した円偏光(計測光)が設置部324に置かれた被計測物としてのワークWに対し照射される。つまり、「ハーフミラー323」が本実施形態における「参照面」を構成することとなる。また、「ハーフミラー323」は、入射する所定の光を2つの光に分割する手段として機能すると共に、これらを再び合成する手段として機能することとなる。
【0356】
次に、本実施形態に係る第1撮像系4A及び第2撮像系4Bの構成について詳しく説明する。本実施形態では、第1実施形態から「分光光学系81A,82A,81B,82B」、「1/4波長板ユニット83A,84A,83B,84B」及び「フィルタユニット85A,86A,85B,86B」を省略した構成となっている。
【0357】
つまり、本実施形態に係る第1撮像系4Aは、第2無偏光ビームスプリッタ56Bから入射した第1光に係る干渉光を、第1波長光に係る干渉光と、第2波長光に係る干渉光とに分離する第1分離用ダイクロイックミラー80Aと、第1分離用ダイクロイックミラー80AからY軸方向下向きに出射される第1波長光に係る干渉光を撮像する第1カメラ87Aと、第1分離用ダイクロイックミラー80AからZ軸方向左向きに出射される第2波長光に係る干渉光を撮像する第2カメラ88Aとを備えている。
【0358】
同様に、第2撮像系4Bは、第1無偏光ビームスプリッタ56Aから入射した第2光に係る干渉光を、第3波長光に係る干渉光と、第4波長光に係る干渉光とに分離する第2分離用ダイクロイックミラー80Bと、第2分離用ダイクロイックミラー80BからZ軸方向左向きに出射される第3波長光に係る干渉光を撮像する第3カメラ87Bと、第2分離用ダイクロイックミラー80BからY軸方向上向きに出射される第4波長光に係る干渉光を撮像する第4カメラ88Bとを備えている。
【0359】
次に三次元計測装置300の作用について説明する。尚、本実施形態においては、第1実施形態と同様、第1投光系2Aによる第1波長光の照射及び第2波長光の照射、並びに、第2投光系2Bによる第3波長光の照射及び第4波長光の照射は同時に行われる。そのため、第1波長光及び第2波長光の合成光である第1光の光路と、第3波長光及び第4波長光の合成光である第2光の光路が一部で重なることとなるが、ここでは、より分かりやすくするため、第1光及び第2光の光路ごとに異なる図面を用いて個別に説明する。
【0360】
まず第1光(第1波長光及び第2波長光)の光路について図15を参照して説明する。図15に示すように、第1波長λ1の第1波長光(X軸方向を偏光方向とするS偏光)が第1発光部51AからY軸方向下向きに出射される。同時に、第2波長λ2の第2波長光(X軸方向を偏光方向とするS偏光)が第2発光部52AからZ軸方向左向きに出射される。
【0361】
第1発光部51Aから出射された第1波長光は、第1光アイソレータ53Aを通過し、第1合成用ダイクロイックミラー55Aに入射する。同時に、第2発光部52Aから出射された第2波長光は、第2光アイソレータ54Aを通過し、第1合成用ダイクロイックミラー55Aに入射する。
【0362】
そして、第1合成用ダイクロイックミラー55Aに入射した第1波長光と第2波長光とが合成された上で、第1光(X軸方向を偏光方向とするS偏光)として第1無偏光ビームスプリッタ56Aに向けZ軸方向左向きに出射されることとなる。
【0363】
第1無偏光ビームスプリッタ56Aに入射した第1光の一部(半分)はZ軸方向左向きに透過し、残り(半分)はY軸方向下向きに反射する。このうち、Y軸方向下向きに反射した第1光は、偏光ビームスプリッタ320の第1面320aに入射する。一方、Z軸方向左向きに透過した第1光は、何らかの光学系等に入射することなく、捨て光となる。
【0364】
偏光ビームスプリッタ320の第1面320aからY軸方向下向きに入射した第1光(S偏光)は、接合面320hにてZ軸方向右向きに反射して第4面320dから出射される。
【0365】
偏光ビームスプリッタ320の第4面320dから出射した第1光は、1/4波長板321を通過することで、X軸方向を偏光方向とするS偏光から、左回りの円偏光に変換された上でハーフミラー323に照射される。
【0366】
ハーフミラー323に照射された第1光は、その一部(半分)が計測光としてハーフミラー323をZ軸方向右向きに透過し、残りが参照光としてZ軸方向左向きに反射する。ここで、透過光(計測光)及び反射光(参照光)とも、光の進行方向に対する回転方向(左回り)は維持される。
【0367】
そして、ハーフミラー323をZ軸方向右向きに透過した第1光に係る計測光(左回りの円偏光)は、設置部324に置かれたワークWに照射され反射する。ここでも、光の進行方向に対する回転方向(左回り)は維持される。
【0368】
ワークWにて反射した第1光に係る計測光は、再度、ハーフミラー323をZ軸方向左向きに通過し、上記ハーフミラー323にてZ軸方向左向きに反射した第1光に係る参照光(左回りの円偏光)と合成される。回転方向が同じ左回りの円偏光である計測光及び参照光が合成されることで、両者は干渉する。
【0369】
続いて、この第1光に係る干渉光は、1/4波長板321を通過することで、左回りの円偏光から、Y軸方向を偏光方向とするP偏光に変換された上で偏光ビームスプリッタ320の第4面320dに再入射する。
【0370】
ここで、偏光ビームスプリッタ320の第4面320dから再入射した第1光に係る干渉光(P偏光)は、接合面320hをZ軸方向左向きに透過して、出力光として偏光ビームスプリッタ320の第2面320bから出射される。
【0371】
偏光ビームスプリッタ320の第2面320bから出射された第1光に係る干渉光は、第2無偏光ビームスプリッタ56Bに入射する。第2無偏光ビームスプリッタ56Bに対しZ軸方向左向きに入射した第1光に係る干渉光は、その一部がZ軸方向左向きに透過し、残りがY軸方向下向きに反射する。
【0372】
このうち、Z軸方向左向きに透過した干渉光は第1撮像系4Aの第1分離用ダイクロイックミラー80Aに入射する。一方、Y軸方向下向きに反射した干渉光は、第2合成用ダイクロイックミラー55Bに入射するものの、第3光アイソレータ53B又は第4光アイソレータ54Bによりその進行を遮断され、捨て光となる。
【0373】
第1分離用ダイクロイックミラー80Aに入射した第1光に係る干渉光のうち、第1波長光に係る干渉光は接合面80AhにてY軸方向下向きに反射して第1カメラ87Aにより撮像される一方、第2波長光に係る干渉光は接合面80AhをZ軸方向左向きに透過して第2カメラ88Aにより撮像される。
【0374】
次に第2光(第3波長光及び第4波長光)の光路について図16を参照して説明する。図16に示すように、第3波長λ3の第3波長光(Y軸方向を偏光方向とするP偏光)が第3発光部51BからZ軸方向左向きに出射される。同時に、第4波長λ4の第4波長光(Z軸方向を偏光方向とするP偏光)が第4発光部52BからY軸方向上向きに出射される。
【0375】
第3発光部51Bから出射された第3波長光は、第3光アイソレータ53Bを通過し、第2合成用ダイクロイックミラー55Bに入射する。同時に、第4発光部52Bから出射された第4波長光は、第4光アイソレータ54Bを通過し、第2合成用ダイクロイックミラー55Bに入射する。
【0376】
そして、第2合成用ダイクロイックミラー55Bに入射した第3波長光と第4波長光とが合成された上で、第2光(Z軸方向を偏光方向とするP偏光)として、第2無偏光ビームスプリッタ56Bに向けY軸方向上向きに出射されることとなる。
【0377】
第2無偏光ビームスプリッタ56Bに入射した第2光の一部(半分)はY軸方向上向きに透過し、残り(半分)はZ軸方向右向きに反射する。このうち、Z軸方向右向きに反射した第2光は、偏光ビームスプリッタ320の第2面320bに入射する。一方、Y軸方向上向きに透過した第2光は、何らかの光学系等に入射することなく、捨て光となる。
【0378】
偏光ビームスプリッタ320の第2面320bからZ軸方向右向きに入射した第2光(P偏光)は、接合面320hをZ軸方向右向きに透過して第4面320dから出射される。
【0379】
偏光ビームスプリッタ320の第4面320dから出射した第2光は、1/4波長板321を通過することで、Y軸方向を偏光方向とするP偏光から右回りの円偏光に変換された上でハーフミラー323に照射される。
【0380】
ハーフミラー323に照射された第2光は、その一部(半分)が計測光としてハーフミラー323をZ軸方向右向きに透過し、残りが参照光としてZ軸方向左向きに反射する。ここで、透過光(計測光)及び反射光(参照光)とも、光の進行方向に対する回転方向(右回り)は維持される。
【0381】
そして、ハーフミラー323をZ軸方向右向きに透過した第2光に係る計測光(右回りの円偏光)は、設置部324に置かれたワークWに照射され反射する。ここでも、光の進行方向に対する回転方向(右回り)は維持される。
【0382】
ワークWにて反射した第2光に係る計測光は、再度、ハーフミラー323をZ軸方向左向きに通過し、上記ハーフミラー323にてZ軸方向左向きに反射した第2光に係る参照光(右回りの円偏光)と合成される。回転方向が同じ右回りの円偏光である計測光及び参照光が合成されることで、両者は干渉する。
【0383】
続いて、この第2光に係る干渉光は、1/4波長板321を通過することで、右回りの円偏光から、X軸方向を偏光方向とするS偏光に変換された上で偏光ビームスプリッタ320の第4面320dに再入射する。
【0384】
ここで、偏光ビームスプリッタ320の第4面320dから再入射した第2光に係る干渉光(S偏光)は、接合面320hにてY軸方向上向きに反射し、出力光として偏光ビームスプリッタ320の第1面320aから出射される。
【0385】
偏光ビームスプリッタ320の第1面320aから出射された第2光に係る干渉光は、第1無偏光ビームスプリッタ56Aに入射する。第1無偏光ビームスプリッタ56Aに対しY軸方向上向きに入射した第2光に係る干渉光は、その一部がY軸方向上向きに透過し、残りがZ軸方向右向きに反射する。
【0386】
このうち、Y軸方向上向きに透過した干渉光は第2撮像系4Bの第2分離用ダイクロイックミラー80Bに入射する。一方、Z軸方向右向きに反射した干渉光は、第1合成用ダイクロイックミラー55Aに入射するものの、第1光アイソレータ53A又は第2光アイソレータ54Aによりその進行を遮断され、捨て光となる。
【0387】
第2分離用ダイクロイックミラー80Bに入射した第2光に係る干渉光のうち、第3波長光に係る干渉光は接合面80BhにてZ軸方向左向きに反射して第3カメラ87Bにより撮像される一方、第4波長光に係る干渉光は接合面80BhをY軸方向上向き透過して第4カメラ88Bにより撮像される。
【0388】
次に、制御装置5によって実行される形状計測処理の手順について説明する。まず制御装置5は、第1投光系2A及び第2投光系2Bを駆動制御し、第1発光部51Aからの第1波長光の照射、及び、第2発光部52Aからの第2波長光の照射、並びに、第3発光部51Bからの第3波長光の照射、及び、第4発光部52Bからの第4波長光の照射を同時に実行する。
【0389】
これにより、偏光ビームスプリッタ320の第1面320aに対し第1波長光及び第2波長光の合成光である第1光が入射すると共に、偏光ビームスプリッタ320の第2面320bに対し第3波長光及び第4波長光の合成光である第2光が入射する。
【0390】
その結果、偏光ビームスプリッタ320の第2面320bから第1光に係る干渉光が出射されると共に、偏光ビームスプリッタ320の第1面320aから第2光に係る干渉光が出射される。
【0391】
偏光ビームスプリッタ320の第2面320bから出射した第1光に係る干渉光の一部は、第1撮像系4Aに入射し、第1波長光に係る干渉光と、第2波長光に係る干渉光に分離される。このうち、第1波長光に係る干渉光は第1カメラ87Aに入射する。同時に、第2波長光に係る干渉光は、第2カメラ88Aに入射する。
【0392】
一方、偏光ビームスプリッタ320の第1面320aから出射した第2光に係る干渉光の一部は、第2撮像系4Bに入射し、第3波長光に係る干渉光と、第4波長光に係る干渉光に分離される。このうち、第3波長光に係る干渉光は、第3カメラ87Bに入射する。同時に、第4波長光に係る干渉光は、第4カメラ88Bに入射する。
【0393】
そして、制御装置5は、第1撮像系4A及び第2撮像系4Bを駆動制御して、第1カメラ87Aによる撮像、第2カメラ88Aによる撮像、第3カメラ87Bによる撮像、及び、第4カメラ88Bによる撮像を同時に実行する。
【0394】
その結果、第1カメラ87Aにより第1波長光に係る干渉縞画像が取得され、第2カメラ88Aにより第2波長光に係る干渉縞画像が取得され、第3カメラ87Bにより第3波長光に係る干渉縞画像が取得され、第4カメラ88Bにより第4波長光に係る干渉縞画像が取得される。
【0395】
そして、制御装置5は、第1カメラ87A、第2カメラ88A、第3カメラ87B及び第4カメラ88Bからそれぞれ取得した干渉縞画像データを画像データ記憶装置154に記憶する。
【0396】
続いて、制御装置5は、画像データ記憶装置154に記憶された第1波長光に係る干渉縞画像データ、第2波長光に係る干渉縞画像データ、第3波長光に係る干渉縞画像データ、及び、第4波長光に係る干渉縞画像データを基に、フーリエ変換法によりワークWの表面形状を計測する。つまり、ワークWの表面上の各位置における高さ情報を算出する。
【0397】
ここで、一般的なフーリエ変換法による高さ計測の原理について説明する。第1の光又は第2の光に係る干渉縞画像データの同一座標位置(x,y)における干渉縞強度、すなわち輝度g(x,y)は、下記[数11]の関係式で表すことができる。
【0398】
【数11】
【0399】
但し、a(x,y)はオフセット、b(x,y)は振幅、φ(x,y)は位相、fx0はx方向のキャリア周波数、fy0はy方向のキャリア周波数を表す。
【0400】
そして、輝度g(x,y)を2次元フーリエ変換し、2次元空間周波数スペクトルを得る。この左右のスペクトルのうちの一方を残し、中央へシフトした後、逆フーリエ変換する。
【0401】
このシフトしたスペクトルは、下記[数12]の関係式で表すことができるので、位相φについて解けば各座標の位相を求めることができる。
【0402】
【数12】
【0403】
但し、c(x,y)はスペクトル。
【0404】
そして、波長の異なる2種類の光を用いる場合には、上記第1実施形態と同様、まず波長λc1の第1の光に係る干渉縞画像データの輝度g1(x,y)を基に、ワークW面上の座標(ξ,η)における第1の光に係る位相φ1(ξ,η)を算出する。
【0405】
同様に、波長λc2の第2の光に係る干渉縞画像データの輝度g2(x,y)を基に、ワークW面上の座標(ξ,η)における第2の光に係る位相φ2(ξ,η)を算出する。
【0406】
続いて、このようにして得られた第1の光に係る位相φ1(ξ,η)と、第2の光に係る位相φ2(ξ,η)とから、ワークW面上の座標(ξ,η)における高さ情報z(ξ,η)を算出する。そして、このように求められたワークWの計測結果(高さ情報)は、制御装置5の演算結果記憶装置155に格納される。
【0407】
以上詳述したように、本実施形態によれば、フィゾー干渉計の原理に基づいた比較的簡素な構成の下で、上記第1実施形態と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0408】
〔第4実施形態〕
以下、第4実施形態について図17を参照しつつ説明する。尚、本実施形態は、分光手段として、上記第1及び第2実施形態に係る分光光学系81A,82A,81B,82Bとは異なる分光光学系400を備えたものである。従って、分光光学系400に関連する構成についてのみ詳しく説明し、他の構成部分については第1実施形態等と同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0409】
尚、図17を参照して分光光学系400について説明する際には、便宜上、図17の紙面前後方向を「X´軸方向」とし、紙面上下方向を「Y´軸方向」とし、紙面左右方向を「Z´軸方向」として説明する。但し、分光光学系400単体を説明するための座標系(X´,Y´,Z´)と、三次元計測装置1全体を説明するための座標系(X,Y,Z)は異なる座標系である。
【0410】
本実施形態に係る分光光学系400は、無偏光型の4つの光学部材(プリズム)を組み合わせて一体とした1つの光学部材として構成されている。
【0411】
より詳しくは、分光光学系400は、分離用ダイクロイックミラー80A,80Bから入射する所定の光L0の進行方向(Z´軸方向左向き)に沿って順に第1のプリズム431、第2のプリズム432、第3のプリズム433、第4のプリズム434が配置された構成となっている。
【0412】
尚、上記各プリズム431〜434は、それぞれ空気よりも屈折率の高い所定の屈折率を有する光学材料(例えばガラスやアクリル等)により形成されている。従って、各プリズム431〜434内を進む光の光路長は、空気中を進む光の光路長よりも光学的に長くなる。ここで、例えば4つのプリズム431〜434をすべて同じ材料により形成してもよいし、少なくとも1つを異なる材料により形成してもよい。後述する分光光学系400の機能を満たすものであれば、各プリズム431〜434の材質はそれぞれ任意に選択可能である。
【0413】
第1のプリズム431は、正面視(Z´−Y´平面)平行四辺形状をなし、X´軸方向に沿って延びる四角柱形状のプリズムである。以下、「第1のプリズム431」を「第1菱形プリズム431」という。
【0414】
第1菱形プリズム431は、X´軸方向に沿った長方形状の4面のうち、Z´軸方向右側に位置する面431a(以下、「入射面431a」という)及びZ´軸方向左側に位置する面431b(以下、「出射面431b」という)がそれぞれZ´軸方向と直交するように配置され、Y´軸方向下側に位置する面431c及びY´軸方向上側に位置する面431dがそれぞれZ´軸方向及びY´軸方向に対し45°傾斜するように配置されている。
【0415】
この2つの傾斜した面431c,431dのうち、Y´軸方向下側に位置する面431cには無偏光のハーフミラー441が設けられ、Y´軸方向上側に位置する面431dには内側に向け全反射する無偏光の全反射ミラー442が設けられている。
【0416】
以下、ハーフミラー441が設けられた面431cを「分岐面431c」といい、全反射ミラー442が設けられた面431dを「反射面431d」という。尚、図17においては、便宜上、分岐面431c(ハーフミラー441)及び反射面431d(全反射ミラー442)にあたる部位に散点模様を付して示している。
【0417】
第2のプリズム432は、正面視(Z´−Y´平面)台形状をなし、X´軸方向に沿って延びる四角柱形状のプリズムである。以下、「第2のプリズム432」を「第1台形プリズム432」という。
【0418】
第1台形プリズム432は、X´軸方向に沿った長方形状の4面のうち、Y´軸方向上側に位置する面432a及びY´軸方向下側に位置する面432bがそれぞれY´軸方向と直交するように配置され、Z´軸方向右側に位置する面432cがZ´軸方向及びY´軸方向に対し45°傾斜するように配置され、Z´軸方向左側に位置する面432dがZ´軸方向と直交するように配置されている。
【0419】
このうち、Z´軸方向右側に位置する面432cは、第1菱形プリズム431の分岐面431c(ハーフミラー441)に密着している。以下、Z´軸方向右側に位置する面432cを「入射面432c」といい、Z´軸方向左側に位置する面432dを「出射面432d」という。
【0420】
第3のプリズム433は、平面視(X´−Z´平面)平行四辺形状をなし、Y´軸方向に沿って延びる四角柱形状のプリズムである。以下、「第3のプリズム433」を「第2菱形プリズム433」という。
【0421】
第2菱形プリズム433は、Y´軸方向に沿った長方形状の4面のうち、Z´軸方向右側に位置する面433a及びZ´軸方向左側に位置する面433bがそれぞれZ´軸方向と直交するように配置され、X´軸方向手前側に位置する面433c及びX´軸方向奥側に位置する面433dがそれぞれZ´軸方向及びX´軸方向に対し45°傾斜するように配置されている。
【0422】
この2つの傾斜した面433c,433dのうち、X´軸方向手前側に位置する面433cには無偏光のハーフミラー443が設けられ、X´軸方向奥側に位置する面433dには内側に向け全反射する無偏光の全反射ミラー444が設けられている。
【0423】
以下、ハーフミラー443が設けられた面433cを「分岐面433c」といい、全反射ミラー444が設けられた面433dを「反射面433d」という。尚、図17においては、便宜上、分岐面433c(ハーフミラー443)及び反射面433d(全反射ミラー444)にあたる部位に散点模様を付して示している。
【0424】
第2菱形プリズム433のZ´軸方向右側に位置する面433aのうち、Y´軸方向下側半分は、第1台形プリズム432の出射面432dに密着し、Y´軸方向上側半分は、第1菱形プリズム431の出射面431bと相対向した状態となっている。以下、Z´軸方向右側に位置する面433aを「入射面433a」といい、Z´軸方向左側に位置する面433bを「出射面433b」という。
【0425】
第4のプリズム434は、平面視(X´−Z´平面)台形状をなし、Y´軸方向に沿って延びる四角柱形状のプリズムである。以下、「第4のプリズム434」を「第2台形プリズム434」という。
【0426】
第2台形プリズム434は、Y´軸方向に沿った長方形状の4面のうち、X´軸方向奥側に位置する面434a及びX´軸方向手前側に位置する面434bがそれぞれX´軸方向と直交するように配置され、Z´軸方向右側に位置する面434cがZ´軸方向及びX´軸方向に対し45°傾斜するように配置され、Z´軸方向左側に位置する面434dがZ´軸方向と直交するように配置されている。
【0427】
このうち、Z´軸方向右側に位置する面434cは、第2菱形プリズム433の分岐面433c(ハーフミラー443)に密着している。以下、Z´軸方向右側に位置する面434cを「入射面434c」といい、Z´軸方向左側に位置する面434dを「出射面434d」という。
【0428】
第2菱形プリズム433の出射面433b及び第2台形プリズム434の出射面434dは、それぞれ1/4波長板ユニット83A,84A,83B,84Bと相対向するように配置されている。
【0429】
ここで、分光光学系400の作用について図17を参照しつつ詳しく説明する。分離用ダイクロイックミラー80A,80Bから出射された光L0は、第1菱形プリズム431の入射面431aに入射する。
【0430】
入射面431aから入射した光L0は、分岐面431c(ハーフミラー441)にて2方向に分岐する。詳しくは、Y´軸方向上側に向け反射する分光LA1と、Z´軸方向に沿ってハーフミラー441を透過する分光LA2とに分岐する。
【0431】
このうち、ハーフミラー441で反射した分光LA1は、第1菱形プリズム431内をY´軸方向に沿って進み、反射面431d(全反射ミラー442)にてZ´軸方向左側に向け反射し、出射面431bから出射する。出射面431bから出射した分光LA1は、Z´軸方向に沿って空気中を進み、第2菱形プリズム433の入射面433aに入射する。
【0432】
一方、ハーフミラー441を透過した分光LA2は、第1台形プリズム432の入射面432cに入射し、その内部をZ´軸方向に沿って進み、出射面432dから出射する。出射面432dから出射した分光LA2は、第2菱形プリズム433の入射面433aに入射する。
【0433】
本実施形態では、第1菱形プリズム431の分岐面431cから、第2菱形プリズム433の入射面433aに至るまでの両分光LA1,LA2の光路長が光学的に同一となるように、第1菱形プリズム431及び第1台形プリズム432の屈折率及び長さ(Z´軸方向又はY´軸方向の長さ)が任意に設定されている。
【0434】
第2菱形プリズム433の入射面433aに入射した分光LA1,LA2は、分岐面433c(ハーフミラー443)にてそれぞれ2方向に分岐する。詳しくは、一方の分光LA1は、Z´軸方向に沿ってハーフミラー443を透過する分光LB1と、X´軸方向奥側に向け反射する分光LB2とに分岐する。他方の分光LA2は、Z´軸方向に沿ってハーフミラー443を透過する分光LB3と、X´軸方向奥側に向け反射する分光LB4とに分岐する。
【0435】
このうち、ハーフミラー443で反射した分光LB2,LB4は、それぞれ第2菱形プリズム433内をX´軸方向に沿って進み、反射面433d(全反射ミラー444)にてZ´軸方向左側に向け反射し、出射面433bから出射する。出射面433bから出射した分光LB2,LB4は、それぞれZ´軸方向に沿って空気中を進み、1/4波長板ユニット83A,84A,83B,84Bに入射する。
【0436】
一方、ハーフミラー443を透過した分光LB1,LB3は、第2台形プリズム434の入射面434cに入射し、その内部をZ´軸方向に沿って進み、出射面434dから出射する。出射面434dから出射した分光LB1,LB3は、それぞれ1/4波長板ユニット83A,84A,83B,84Bに入射する。
【0437】
本実施形態では、第2菱形プリズム433の分岐面433cから、1/4波長板ユニット83A,84A,83B,84Bに至るまでの4つの分光LB1〜LB4の光路長が光学的に同一となるように、第2菱形プリズム433及び第2台形プリズム434の屈折率及び長さ(Z´軸方向又はX´軸方向の長さ)が任意に設定されている。
【0438】
以上詳述したように、本実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0439】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0440】
(a)上記各実施形態では、ワークWの具体例について特に言及していないが、被計測物としては、例えばプリント基板に印刷されたクリーム半田や、ウエハ基板に形成された半田バンプなどが挙げられる。
【0441】
ここで半田バンプ等の高さ計測の原理について説明する。図18に示すように、電極501(基板500)に対するバンプ503の高さHBは、バンプ503の絶対高さhoから、該バンプ503周辺の電極501の絶対高さhrを減算することにより求めることができる〔HB=ho−hr〕。ここで、電極501の絶対高さhrとしては、例えば電極501上の任意の1点の絶対高さや、電極501上の所定範囲の絶対高さの平均値などを用いることができる。また、「バンプ503の絶対高さho」や、「電極501の絶対高さhr」は、上記各実施形態において高さ情報z(ξ,η)として求めることができる。
【0442】
従って、予め設定された良否の判定基準に従いクリーム半田や半田バンプの良否を検査する検査手段を設けた半田印刷検査装置又は半田バンプ検査装置において、三次元計測装置1(200,300)を備えた構成としても良い。
【0443】
尚、マイケルソン干渉計の光学構成を採用した上記第1実施形態等に係る三次元計測装置1や、フィゾー干渉計の光学構成を採用した上記第3実施形態に係る三次元計測装置300は、反射ワークに適しており、マッハ・ツェンダー干渉計の光学構成を採用した上記第2実施形態に係る三次元計測装置200は、透過ワークに適している。また、位相シフト法を用いることで、0次光(透過光)を排除した計測が可能となる。
【0444】
但し、第2実施形態において、第2全反射ミラー222及び設置部224を省略し、第2全反射ミラー222の位置にワークWを設置し、反射ワークを計測可能な構成としてもよい。
【0445】
また、上記各実施形態においてワークWを設置する設置部64(224,324)を変位可能に構成し、ワークWの表面を複数の計測エリアに分割し、各計測エリアを順次移動しつつ各エリアの形状計測を行っていき、複数回に分けてワークW全体の形状計測を行う構成としてもよい。
【0446】
(b)干渉光学系(所定の光学系)の構成は上記各実施形態に限定されるものではない。例えば上記第1実施形態では、干渉光学系として、マイケルソン干渉計の光学構成を採用し、第2実施形態ではマッハツェンダー干渉計の光学構成を採用し、第3実施形態ではフィゾー干渉計の光学構成を採用しているが、これに限らず、入射光を参照光と計測光に分割してワークWの形状計測を行う構成であれば、他の光学構成を採用してもよい。
【0447】
また、上記各実施形態では、偏光ビームスプリッタ60(211,212,320)として、直角プリズムを貼り合せて一体としたキューブ型を採用しているが、これに限定されるものではなく、例えばプレート型偏光ビームスプリッタを採用してもよい。
【0448】
また、上記偏光ビームスプリッタ60(211,212,320)は、P偏光成分を透過させ、S偏光成分を反射する構成となっているが、これに限らず、P偏光成分を反射させ、S偏光成分を透過する構成としてもよい。「S偏光」が「第1の偏光方向を有する偏光」に相当し、「P偏光」が「第2の偏光方向を有する偏光」に相当する構成としてもよい。
【0449】
(c)投光系2A,2Bの構成は上記各実施形態に限定されるものではない。例えば上記各実施形態では、第1発光部51Aから第1波長λ1(例えばλ1=491nm)の第1波長光が出射され、第2発光部52Aから第2波長λ2(例えばλ2=540nm)の第2波長光が出射され、第3発光部51Bから第3波長λ3(例えばλ3=488nm)の第3波長光が出射され、第4発光部52Bから第4波長λ4(例えばλ4=532nm)の第4波長光が出射される構成となっているが、各光の波長はこれに限定されるものではない。
【0450】
但し、計測レンジをより広げるためには、第1投光系2Aから照射される第1波長光及び/又は第2波長光と、第2投光系2Bから照射される第3波長光及び/又は第4波長光の波長差をより小さくすることが好ましい。また、第1投光系2Aから照射される第1波長光と第2波長光は第1分離用ダイクロイックミラー80Aで分離可能な程度に波長が離れた偏光であることが好ましい。同様に、第2投光系2Bから照射される第3波長光と第4波長光は第2分離用ダイクロイックミラー80Bで分離可能な程度に波長が離れた偏光であることが好ましい。
【0451】
また、第1投光系2A(例えば第1発光部51A)と、第2投光系2B(例えば第3発光部51B)から同一波長の光が照射される構成としてもよい。
【0452】
上述したように、従来より、被計測物の形状を計測する三次元計測装置として、レーザ光などを利用した三次元計測装置(干渉計)が知られている。かかる三次元計測装置においては、レーザ光源からの出力光の揺らぎ等の影響により、計測精度が低下するおそれがある。
【0453】
これに対し、例えば被計測物が比較的小さく、1つの光(1つの波長)でも計測レンジが不足しないような場合には、異なる2つの光源から同一波長の光を照射して、該2つの光でそれぞれ三次元計測を行うことにより、計測精度の向上を図ることができる。
【0454】
しかしながら、2つの光で三次元計測を行おうとした場合、第1光に係る出力光の撮像と、第2光に係る出力光の撮像をそれぞれ異なるタイミングで行う必要があり、計測効率が低下するおそれがある。
【0455】
例えば位相シフト法を利用した三次元計測において、位相を4段階に変化させる場合には、4通りの画像データを取得する必要があるため、2つの光を用いる場合には、それぞれ異なるタイミングで4回ずつ、計8回分の撮像時間が必要となる。
【0456】
同一波長の2つの光を照射する本発明は、上記事情等に鑑みてなされたものであり、その目的は、2つの光を利用して、計測効率の向上を図ることのできる三次元計測装置を提供することにある。
【0457】
本発明によれば、第1光に係る出力光の撮像と、第2光に係る出力光の撮像を同時に行うことができるため、計4回分の撮像時間で、2つの光に係る計8通りの干渉縞画像を取得することができる。結果として、総体的な撮像時間を短縮でき、計測効率の向上を図ることができる。
【0458】
特にマッハ・ツェンダー干渉計の原理に基づき構成された上記第2実施形態に係る三次元計測装置200においては、1つのワークWに対し異なる方向から2つの光(計測光)を照射することができるため、例えば複雑な形状を有するワークなどの全体像をより精度よく計測することが可能となる。
【0459】
また、上記各実施形態では、投光系2A,2Bにおいて、光アイソレータ53A,54A,53B,54Bを備えた構成となっているが、光アイソレータ53A,54A,53B,54Bを省略した構成としてもよい。
【0460】
また、上記各実施形態において、第1投光系2Aと第2撮像系4Bの両者の位置関係を第1無偏光ビームスプリッタ56Aを挟んで入れ替えた構成としてもよいし、第2投光系2Bと第1撮像系4Aの両者の位置関係を第2無偏光ビームスプリッタ56Bを挟んで入れ替えた構成としてもよい。
【0461】
また、上記各実施形態において、第1発光部51Aと第2発光部52Aの両者の位置関係を第1合成用ダイクロイックミラー55Aを挟んで入れ替えた構成としてもよいし、第3発光部51Bと第4発光部52Bの両者の位置関係を第2合成用ダイクロイックミラー55Bを挟んで入れ替えた構成としてもよい。
【0462】
また、導光手段の構成は、上記各実施形態に係る無偏光ビームスプリッタ56A,56Bに限定されるものではない。第1照射手段(第2照射手段)から出射される第1光(第2光)の少なくとも一部を第1入出力部(第2入出力部)に向け入射させると共に、第1入出力部(第2入出力部)から出射される第2光に係る出力光(第1光に係る出力光)の少なくとも一部を第2撮像手段(第1撮像手段)に向け入射させる構成であれば、他の構成を採用してもよい。
【0463】
例えば、第1実施形態においては、第1投光系2A(第2投光系2B)から照射された第1光(第2光)を偏光ビームスプリッタ60の第1面60a(第2面60b)に入射させ、かつ、偏光ビームスプリッタ60の第1面60a(第2面60b)から出射された第2光に係る出力光(第1光に係る出力光)を第2撮像系4B(第1撮像系4A)により撮像可能とする構成であれば、他の構成を採用してもよい。
【0464】
また、上記各実施形態では、第1無偏光ビームスプリッタ56A及び第2無偏光ビームスプリッタ56Bとして、直角プリズムを貼り合せて一体としたキューブ型を採用しているが、これに限定されるものではなく、例えばプレートタイプの所定のハーフミラーを採用してもよい。
【0465】
また、上記各実施形態では、第1合成用ダイクロイックミラー55A及び第2合成用ダイクロイックミラー55B、並びに、第1分離用ダイクロイックミラー80A及び第2分離用ダイクロイックミラー80Bとして、直角プリズムを貼り合せて一体としたキューブ型を採用しているが、これに限定されるものではなく、例えばプレートタイプの所定のダイクロイックミラーを採用してもよい。
【0466】
(d)上記各実施形態(第3実施形態を除く)では、位相の異なる4通りの干渉縞画像データを基に位相シフト法を行う構成となっているが、これに限らず、例えば位相の異なる2通り又は3通りの干渉縞画像データを基に位相シフト法を行う構成としてもよい。
【0467】
勿論、第1実施形態等に係る三次元計測装置1や、第2実施形態に係る三次元計測装置200は、例えば第3実施形態のフーリエ変換法のように、位相シフト法とは異なる他の方法により三次元計測を行う構成にも適用することができる。
【0468】
逆に、第3実施形態に係る三次元計測装置300は、位相シフト法など、フーリエ変換法とは異なる他の方法により三次元計測を行う構成にも適用することができる。
【0469】
(e)上記各実施形態(第3実施形態を除く)では、位相シフト手段として、透過軸方向が異なる4つの偏光板からなるフィルタユニット85A,86A,85B,86Bを採用している。位相シフト手段の構成は、これらに限定されるものではない。
【0470】
例えばフィルタユニット85A,86A,85B,86Bに代えて、透過軸方向を変更可能に構成された回転式の偏光板を採用した構成としてもよい。かかる構成では、分光光学系81A,82A,81B,82Bなどを省略することとなる。
【0471】
具体的に、第1撮像系4Aは、第1波長光に係る合成光(参照光成分と計測光成分)を円偏光に変換する1/4波長板と、該1/4波長板を透過した光の所定成分を選択的に透過させる回転式の第1偏光板と、該第1偏光板を透過した光を撮像する第1カメラ87Aとを備えると共に、第2波長光に係る合成光(参照光成分と計測光成分)を円偏光に変換する1/4波長板と、該1/4波長板を透過した光の所定成分を選択的に透過させる回転式の第2偏光板と、該第2偏光板を透過した光を撮像する第2カメラ88Aとを備える。
【0472】
同様に、第2撮像系4Bは、第3波長光に係る合成光(参照光成分と計測光成分)を円偏光に変換する1/4波長板と、該1/4波長板を透過した光の所定成分を選択的に透過させる回転式の第3偏光板と、該第3偏光板を透過した光を撮像する第3カメラ87Bとを備えると共に、第4波長光に係る合成光(参照光成分と計測光成分)を円偏光に変換する1/4波長板と、該1/4波長板を透過した光の所定成分を選択的に透過させる回転式の第4偏光板と、該第4偏光板を透過した光を撮像する第4カメラ88Bとを備える。
【0473】
ここで回転式の各偏光板は、その透過軸方向が45°ずつ変化するように制御される。具体的には、透過軸方向が「0°」、「45°」、「90°」、「135°」となるように変化する。これにより、各偏光板を透過する光の参照光成分及び計測光成分を4通りの位相で干渉させることができる。つまり、位相が90°ずつ異なる干渉光を生成することができる。具体的には、位相が「0°」の干渉光、位相が「90°」の干渉光、位相が「180°」の干渉光、位相が「270°」の干渉光を生成することができる。
【0474】
次に、上記回転式の偏光板を採用した上記第1実施形態の構成の下、制御装置5によって実行される形状計測処理の手順について説明する。
【0475】
制御装置5は、まず第1撮像系4Aの第1偏光板及び第2偏光板の透過軸方向を所定の基準位置(例えば「0°」)に設定すると共に、第2撮像系4Bの第3偏光板及び第4偏光板の透過軸方向を所定の基準位置(例えば「0°」)に設定する。
【0476】
続いて、制御装置5は、第1投光系2A及び第2投光系2Bを駆動制御し、第1発光部51Aからの第1波長光の照射、及び、第2発光部52Aからの第2波長光の照射、並びに、第3発光部51Bからの第3波長光の照射、及び、第4発光部52Bからの第4波長光の照射を同時に実行する。
【0477】
これにより、干渉光学系3の偏光ビームスプリッタ60の第1面60aに対し第1波長光及び第2波長光の合成光である第1光が入射すると共に、偏光ビームスプリッタ60の第2面60bに対し第3波長光及び第4波長光の合成光である第2光が入射する。
【0478】
その結果、偏光ビームスプリッタ60の第2面60bから第1光に係る合成光(参照光及び計測光)が出射されると共に、偏光ビームスプリッタ60の第1面60aから第2光に係る合成光(参照光及び計測光)が出射される。
【0479】
そして、偏光ビームスプリッタ60から出射した第1光に係る合成光の一部は、第1撮像系4Aに入射し、第1波長光に係る合成光(参照光及び計測光)と、第2波長光に係る合成光(参照光及び計測光)に分離される。このうち、第1波長光に係る合成光は、上記1/4波長板及び第1偏光板(透過軸方向「0°」)を介して第1カメラ87Aに入射する。同時に、第2波長光に係る合成光は、上記1/4波長板及び第2偏光板(透過軸方向「0°」)を介して第2カメラ88Aに入射する。
【0480】
一方、偏光ビームスプリッタ60から出射した第2光に係る合成光の一部は、第2撮像系4Bに入射し、第3波長光に係る合成光(参照光及び計測光)と、第4波長光に係る合成光(参照光及び計測光)に分離される。このうち、第3波長光に係る合成光は、上記1/4波長板及び第3偏光板(透過軸方向「0°」)を介して第3カメラ87Bに入射する。同時に、第4波長光に係る合成光は、上記1/4波長板及び第4偏光板(透過軸方向「0°」)を介して第4カメラ88Bに入射する。
【0481】
そして、制御装置5は、第1撮像系4A及び第2撮像系4Bを駆動制御して、第1カメラ87Aによる撮像、第2カメラ88Aによる撮像、第3カメラ87Bによる撮像、及び、第4カメラ88Bによる撮像を同時に実行する。
【0482】
その結果、第1カメラ87Aにより第1波長光に係る位相「0°」の干渉縞画像が撮像され、第2カメラ88Aにより第2波長光に係る位相「0°」の干渉縞画像が撮像され、第3カメラ87Bにより第3波長光に係る位相「0°」の干渉縞画像が撮像され、第4カメラ88Bにより第4波長光に係る位相「0°」の干渉縞画像が撮像される。そして、制御装置5は、各カメラ87A,88A,87B,88Bから取得した干渉縞画像データを画像データ記憶装置154にそれぞれ記憶する。
【0483】
次に制御装置5は、第1撮像系4Aの第1偏光板及び第2偏光板の切替処理、並びに、第2撮像系4Bの第3偏光板及び第4偏光板の切替処理を行う。具体的には、各偏光板をそれぞれ透過軸方向が「45°」となる位置まで回動変位させる。
【0484】
該切替処理が終了すると、制御装置5は、上記一連の1回目の計測処理と同様の2回目の計測処理を行う。つまり、制御装置5は、第1〜第4波長光を照射すると共に、第1〜第4波長光に係る干渉光をそれぞれ撮像する。
【0485】
その結果、第1波長光に係る位相「90°」の干渉縞画像、第2波長光に係る位相「90°」の干渉縞画像、第3波長光に係る位相「90°」の干渉縞画像、及び、第4波長光に係る位相「90°」の干渉縞画像が取得されることとなる。
【0486】
以降、上記1回目及び2回目の計測処理と同様の計測処理が2回繰り返し行われる。つまり、各偏光板の透過軸方向を「90°」に設定した状態で3回目の計測処理を行い、第1波長光に係る位相「180°」の干渉縞画像、第2波長光に係る位相「180°」の干渉縞画像、第3波長光に係る位相「180°」の干渉縞画像、及び、第4波長光に係る位相「180°」の干渉縞画像を取得する。
【0487】
その後、各偏光板の透過軸方向を「135°」に設定した状態で4回目の計測処理を行い、第1波長光に係る位相「270°」の干渉縞画像、第2波長光に係る位相「270°」の干渉縞画像、第3波長光に係る位相「270°」の干渉縞画像、及び、第4波長光に係る位相「270°」の干渉縞画像を取得する。
【0488】
このように、4回の計測処理を行うことにより、位相シフト法により三次元計測を行う上で必要な全ての画像データ(第1波長光に係る4通りの干渉縞画像データ、第2波長光に係る4通りの干渉縞画像データ、第3波長光に係る4通りの干渉縞画像データ、及び、第4波長光に係る4通りの干渉縞画像データからなる計16通りの干渉縞画像データ)を取得することができる。そして、制御装置5は、画像データ記憶装置154に記憶された干渉縞画像データを基に、位相シフト法によりワークWの表面形状を計測する。
【0489】
但し、上述したような回転式の偏光板を位相シフト手段として用いる方法では、三次元計測を行う上で必要な全ての画像データを取得するために、複数のタイミングで撮像を行う必要がある。従って、撮像時間を短くする点においては、上記第1実施形態等のように1回のタイミングで全ての画像データを撮像できるフィルタユニット85A,86A,85B,86B等を採用することがより好ましい。
【0490】
また、例えば第1実施形態においてピエゾ素子等により参照面63を光軸に沿って移動させることで物理的に光路長を変化させる構成を位相シフト手段として採用してもよい。
【0491】
また、第2実施形態において、全反射ミラー221(参照面)を、Y軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜した状態を維持しつつ、ピエゾ素子等により該傾斜方向と直交する方向に沿って移動させることで物理的に光路長を変化させる構成を位相シフト手段として採用してもよい。
【0492】
また、第3実施形態において、位相シフト法を採用する場合には、例えばピエゾ素子等によりハーフミラー323(参照面)を光軸に沿って移動させることで物理的に光路長を変化させる構成を採用してもよい。
【0493】
但し、上述したような参照面を移動させる構成を位相シフト手段として用いる方法では、波長の異なる複数の光ごとに参照面の動作量(位相シフト量)を異ならせる必要があるため、複数の光を同時に撮像することができない。従って、撮像時間を短くする点においては、上記第1実施形態等のように1回のタイミングで全ての画像データを撮像できるフィルタユニット85A,86A,85B,86B等を採用することがより好ましい。
【0494】
(f)上記各実施形態(第3実施形態を除く)では、2波長位相シフト法を行うにあたり、高さ情報z(ξ,η)を計算式により求める構成となっているが、これに限らず、例えば位相φ1,φ2、縞次数m1,m2、高さ情報zの対応関係を表した数表やテーブルデータを予め記憶しておき、これを参酌して高さ情報zを取得する構成としてもよい。かかる場合、必ずしも縞次数を特定する必要はない。
【0495】
(g)分光手段の構成は上記第1実施形態等に限定されるものではない。例えば上記第1実施形態等に係る分光光学系81A,82A,81B,82Bや、上記第4実施形態に係る分光光学系400では、入射される光を4つに分光する構成となっているが、これに限らず、例えば3つに分光する構成など、少なくとも位相シフト法による計測に必要な数の光に分割可能な構成となっていればよい。
【0496】
また、上記各実施形態では、入射される合成光F0等を、進行方向に直交する平面において光路がマトリクス状に並ぶ4つの光FB1〜FB4等に分割する構成となっているが、複数のカメラを用いて各分光FB1〜FB4等を撮像する構成であれば、必ずしもマトリクス状に並ぶように分光される必要はない。
【0497】
また、上記各実施形態では、分光手段として、複数の光学部材(プリズム)を組み合わせて一体とした分光光学系81A等を採用しているが、これに限らず、分光手段として回折格子を採用してもよい。
【0498】
(h)フィルタ手段の構成は上記第1実施形態等に限定されるものではない。例えば上記第1実施形態では、フィルタユニット85A,86A,85B,86Bが、透過軸方向が0°の第1偏光板160a、透過軸方向が45°の第2偏光板160b、透過軸方向が90°の第3偏光板160c、透過軸方向が135°の第4偏光板160dにより構成され、透過軸方向が45°ずつ異なるこれら4つの偏光板160a〜160dを用いて、位相が90°ずつ異なる4通りの干渉縞画像を取得し、該4通りの干渉縞画像を基に位相シフト法により形状計測を行う構成となっている。
【0499】
これに代えて、位相が異なる3通りの干渉縞画像を基に位相シフト法により形状計測を行う場合には、以下のような構成としてもよい。例えば図19に示すように、フィルタユニット85A,86A,85B,86Bの第1偏光板160a、第2偏光板160b、第3偏光板160c、第4偏光板160dをそれぞれ、透過軸方向が0°の偏光板、透過軸方向が60°(又は45°)の偏光板、透過軸方向が120°(又は90°)の偏光板、計測光(例えば右回りの円偏光)及び参照光(例えば左回りの円偏光)を直線偏光に変換する1/4波長板と、計測光の直線偏光を選択的に透過させる偏光板とを組み合わせたものとした構成としてもよい。ここで、「1/4波長板」及び「偏光板」の組を所謂「円偏光板」とした構成としてもよい。
【0500】
かかる構成によれば、一つの撮像素子による一回の撮像で、120°(又は90°)ずつ位相が異なる3通りの干渉縞画像に加えて、ワークWの輝度画像を取得することができる。これにより、3通りの干渉縞画像を基に位相シフト法により行う形状計測に加え、輝度画像を基にした計測を組み合せて行うことが可能となる。例えば位相シフト法による形状計測により得られた三次元データに対しマッピングを行うことや、計測領域の抽出を行うこと等が可能となる。結果として、複数種類の計測を組み合せた総合的な判断を行うことができ、計測精度のさらなる向上を図ることができる。
【0501】
尚、図19に示した例では、第4偏光板160dとして、円偏光を直線偏光に変換する1/4波長板と、計測光の直線偏光を選択的に透過させる偏光板とを組み合わせたものを採用しているが、これに限らず、計測光のみを選択的に透過させる構成であれば、他の構成を採用してもよい。
【0502】
さらに、第4偏光板160dを省略した構成としてもよい。つまり、フィルタユニット85A,86A,85B,86Bの第1偏光板160a、第2偏光板160b、第3偏光板160cをそれぞれ透過した3つの光と、フィルタユニット85A,86A,85B,86B(偏光板)を介することなく直接入射される1つの光を同時に一つの撮像素子により撮像する構成としてもよい。
【0503】
かかる構成によれば、第4偏光板160dとして、「1/4波長板」及び「偏光板」の組を配置した上記構成と同様の作用効果が奏される。つまり、一つの撮像素子による一回の撮像で、120°(又は90°)ずつ位相が異なる3通りの干渉縞画像に加えて、ワークWの輝度画像を取得することができる。
【0504】
尚、計測光(例えば右回りの円偏光)と参照光(例えば左回りの円偏光)とをそのまま撮像したとしても、参照光は既知(予め計測して得ることが可能)であり均一なので撮像後の処理により、この参照光分を取り除く処理や均一光を取り除く処理を行うことにより、計測光の信号を抽出することが可能となる。
【0505】
第4偏光板160dを省略した構成の利点としては、「1/4波長板」及び「偏光板」の組を配置した構成と比較して、これら「1/4波長板」及び「偏光板」を省略することができるため、光学部品が減り、構成の簡素化や部品点数の増加抑制等を図ることができる。
【0506】
(i)撮像系4A,4Bの構成は上記各実施形態に限定されるものではない。例えば上記各実施形態においては、レンズを備えたカメラを使用しているが、必ずしもレンズは必要なく、レンズのないカメラを使用しても上記[数6]の関係式を利用するなどしてピントの合った画像を計算により求めることにより行っても良い。
【0507】
また、上記各実施形態において、「第1分光光学系81A、1/4波長板ユニット83A、第1フィルタユニット85A及び第1カメラ87A」と「第2分光光学系82A、1/4波長板ユニット84A、第2フィルタユニット86A及び第2カメラ88A」の両者の位置関係を第1分離用ダイクロイックミラー80Aを挟んで入れ替えた構成としてもよいし、「第3分光光学系81B、1/4波長板ユニット83B、第3フィルタユニット85B及び第3カメラ87B」と「第4分光光学系82B、1/4波長板ユニット84B、第4フィルタユニット86B及び第4カメラ88B」の両者の位置関係を第2分離用ダイクロイックミラー80Bを挟んで入れ替えた構成としてもよい。
【0508】
(j)上記各実施形態では、「第1波長光」、「第2波長光」、「第3波長光」及び「第4波長光」の4つの波長光を同時に用いる構成となっている。つまり、4つの波長光を同時出射すると共に、これらに係る干渉縞画像を同時撮像して、当該画像を基に三次元計測を行う構成となっている。これに限らず、他の構成を採用してもよい。
【0509】
例えば「第1波長光」、「第2波長光」、「第3波長光」及び「第4波長光」の4つの波長光のうち、「第4波長光」を出射せず、「第1波長光」、「第2波長光」及び「第3波長光」の3つの波長光を同時出射すると共に、これらに係る干渉縞画像を同時撮像して、当該画像を基に三次元計測を行う構成としてもよい。
【0510】
同様に、「第1波長光」、「第2波長光」、「第3波長光」及び「第4波長光」の4つの波長光のうち、例えば「第2波長光」及び「第4波長光」を出射せず、「第1波長光」及び「第3波長光」の2つの波長光を同時出射すると共に、これらに係る干渉縞画像を同時撮像して、当該画像を基に三次元計測を行う構成としてもよい。
【0511】
少なくとも第1投光系2A及び第2投光系2Bから第1光(「第1波長光」及び/又は「第2波長光」)並びに第2光(「第3波長光」及び/又は「第4波長光」)が同時出射されると共に、これらに係る干渉縞画像を同時撮像する構成となっていれば、従来よりも総体的な撮像時間を短縮でき、計測効率の向上を図ることができる。
【0512】
つまり、撮像時間の短縮を追及しないのであれば、必ずしも「第1波長光」、「第2波長光」、「第3波長光」及び「第4波長光」の4つの波長光を同時に用いる構成となっていなくともよい。例えば「第2波長光」及び「第4波長光」を出射せず、「第1波長光」及び「第3波長光」の2つの波長光を同時出射すると共に、これらに係る干渉縞画像を同時撮像した後、「第1波長光」及び「第3波長光」を出射せず、「第2波長光」及び「第4波長光」の2つの波長光を同時出射すると共に、これらに係る干渉縞画像を同時撮像する構成としてもよい。
【0513】
(k)上記(j)で述べたように、最大で3つの波長光又は2つの波長光しか用いない場合には、使用しない波長光に係る出射機構や撮像機構を上記各実施形態から予め省略した構成の三次元計測装置1(200,300)としてもよい。
【0514】
例えば第2波長光を用いない場合においては、第1投光系2Aから、第2波長光を出射する出射機構(第2発光部52A、第2光アイソレータ54A)と、2つの波長光を合成する合成機構(第1合成用ダイクロイックミラー55A)とを省略した構成としてもよい。同様に、第2波長光を用いない場合においては、第1撮像系4Aから、所定の出力光を波長分離する分離機構(第1分離用ダイクロイックミラー80A)と、第2波長光に係る出力光を撮像する撮像機構(第2分光光学系82A、1/4波長板ユニット84A、第2フィルタユニット86A、第2カメラ88A)を省略した構成としてもよい。
【0515】
(l)上記(j)で述べたように、第1投光系2A及び/又は第2投光系2Bにおいて、出射する波長光を常に切替えて使用する構成とした場合(例えば第1投光系2Aにおいて「第1波長光」又は「第2波長光」のいずれか一方のみを出射する構成とした場合)には、第1撮像系4Aにおいて、所定の出力光を波長分離する分離機構(第1分離用ダイクロイックミラー80A)を省略すると共に、第1波長光に係る出力光を撮像する撮像機構又は第2波長光に係る出力光を撮像する撮像機構のうちいずれか一方を省略して、他方を共用する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0516】
1…三次元計測装置、2A…第1投光系、2B…第2投光系、3…干渉光学系、4A…第1撮像系、4B…第2撮像系、5…制御装置、51A…第1発光部、52A…第2発光部、51B…第3発光部、52B…第4発光部、53A…第1光アイソレータ、54A…第2光アイソレータ、53B…第3光アイソレータ、54B…第4光アイソレータ、55A…第1合成用ダイクロイックミラー、56A…第1無偏光ビームスプリッタ、55B…第2合成用ダイクロイックミラー、56B…第2無偏光ビームスプリッタ、60…偏光ビームスプリッタ、60a…第1面、60b…第2面、60c…第3面、60d…第4面、61,62…1/4波長板、63…参照面、64…設置部、80A…第1分離用ダイクロイックミラー、81A…第1分光光学系、83A…1/4波長板ユニット、85A…第1フィルタユニット、87A…第1カメラ、82A…第2分光光学系、84A…1/4波長板ユニット、86A…第2フィルタユニット、88A…第2カメラ、80B…第2分離用ダイクロイックミラー、81B…第3分光光学系、83B…1/4波長板ユニット、85B…第3フィルタユニット、87B…第3カメラ、82B…第4分光光学系、84B…1/4波長板ユニット、86B…第4フィルタユニット、88B…第4カメラ、W…ワーク。
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