特許第6279058号(P6279058)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6279058
(24)【登録日】2018年1月26日
(45)【発行日】2018年2月14日
(54)【発明の名称】電力変換装置用冷却装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 1/00 20070101AFI20180205BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20180205BHJP
   F25B 9/04 20060101ALI20180205BHJP
【FI】
   H02M1/00 R
   H02M7/48 Z
   F25B9/04
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-226565(P2016-226565)
(22)【出願日】2016年11月22日
(65)【公開番号】特開2017-153340(P2017-153340A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2016年11月22日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0020592
(32)【優先日】2016年2月22日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス産電株式会社
【氏名又は名称原語表記】LSIS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ソン−デ・キム
【審査官】 栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−117121(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3160814(JP,U)
【文献】 特開2007−285685(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/148850(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/00
H02M 7/48
F25B 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮空気を発生させる圧縮機と、
前記圧縮機から提供される圧縮空気を基に低温空気を発生させる第1及び第2のボルテックスチューブと、
前記圧縮機と前記第1のボルテックスチューブとの間に設けられる第1の弁と、
前記圧縮機と前記第2のボルテックスチューブとの間に設けられる第2の弁と、
電力変換装置内に設けられ、前記電力変換装置の内部の温度を測定する第1及び第2の温度センサと、
前記第1及び第2の温度センサにより測定された第1及び第2の温度に基づいて、前記第1及び第2のボルテックスチューブを用いて前記電力変換装置内に低温空気を供給すべきか否かを判断し、前記第1及び第2の弁に弁開放信号または弁閉鎖信号を送信する制御部と、を含む、電力変換装置用冷却装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第1の温度と予め設定された第1の設定温度とを比較して、前記第1の温度が前記第1の設定温度を超える場合、前記第1の弁に弁開放信号を送信し、
前記第1の温度が前記第1の設定温度を超えない場合、前記第1の弁に弁閉鎖信号を送信する、請求項1に記載の電力変換装置用冷却装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第2の温度と予め設定された第2の設定温度とを比較して、前記第2の温度が前記第2の設定温度を超える場合、前記第2の弁に弁開放信号を送信し、
前記第2の温度が前記第2の設定温度を超えない場合、前記第2の弁に弁閉鎖信号を送信する、請求項1または2に記載の電力変換装置用冷却装置。
【請求項4】
前記第1の温度センサは前記電力変換装置のケースに設けられ、
前記第2の温度センサは前記電力変換装置の電力変換用半導体素子に設けられる、請求項1乃至3の何れか一項に記載の電力変換装置用冷却装置。
【請求項5】
前記第1のボテックスチューブは、前記電力変換装置のケース側に低温空気を供給するように設けられ、
前記第2のボテックスチューブは、前記電力変換装置の電力変換用半導体素子側に低温空気を供給するように設けられる、請求項1乃至4の何れか一項に記載の電力変換装置用冷却装置。
【請求項6】
圧縮空気を発生させる多数の圧縮機と、
前記多数の圧縮機から提供される圧縮空気を基に低温空気を発生させる多数のボルテックスチューブと、
前記圧縮機と前記ボルテックスチューブとの間に設けられる多数の弁と、
電力変換装置内に設けられ、前記電力変換装置の内部の温度を測定する第1及び第2の温度センサと、
前記第1及び第2の温度センサにより測定された第1及び第2の温度に基づいて、前記ボルテックスチューブを用いて前記電力変換装置内に低温空気を供給すべきか否かを判断し、前記弁に弁開放信号または弁閉鎖信号を送信する制御部と、を含み、
前記多数の圧縮機、ボテックスチューブ、及び弁は、同一の個数が互いに対応するように形成される、電力変換装置用冷却装置。
【請求項7】
前記多数のボルテックスチューブは、
前記電力変換装置のケース側に低温空気を供給するように設けられる第1のボテックスチューブと、
前記電力変換装置の電力変換用半導体素子側に低温空気を供給するように設けられる第2のボテックスチューブと、を含む、請求項6に記載の電力変換装置用冷却装置。
【請求項8】
前記多数の弁は、
前記第1のボルテックスチューブと前記多数の圧縮機のうち前記第1のボルテックスチューブに対応する圧縮機との間に設けられる第1の弁と、
前記第2のボルテックスチューブと前記多数の圧縮機のうち前記第2のボルテックスチューブに対応する圧縮機との間に設けられる第2の弁と、を含み、
前記制御部は、
前記第1の温度と予め設定された第1の設定温度とを比較して、前記第1の温度が前記第1の設定温度を超える場合、前記第1の弁に弁開放信号を送信し、
前記第1の温度が前記第1の設定温度を超えない場合、前記第1の弁に弁閉鎖信号を送信する、請求項7に記載の電力変換装置用冷却装置。
【請求項9】
前記多数の弁は、
前記第1のボルテックスチューブと前記多数の圧縮機のうち前記第1のボルテックスチューブに対応する圧縮機との間に設けられる第1の弁と、
前記第2のボルテックスチューブと前記多数の圧縮機のうち前記第2のボルテックスチューブに対応する圧縮機との間に設けられる第2の弁と、を含み、
前記制御部は、
前記第2の温度と予め設定された第2の設定温度とを比較して、前記第2の温度が前記第2の設定温度を超える場合、前記第2の弁に弁開放信号を送信し、
前記第2の温度が前記第2の設定温度を超えない場合、前記第2の弁に弁閉鎖信号を送信する、請求項7に記載の電力変換装置用冷却装置。
【請求項10】
前記第1の温度センサは前記電力変換装置のケースに設けられ、
前記第2の温度センサは前記電力変換装置の電力変換用半導体素子に設けられる、請求項6乃至9の何れか一項に記載の電力変換装置用冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置に関し、より詳細には、ボルテックスチューブを適用して、冷却装置が安定して電力変換装置を冷却させることができるように構成された電力変換装置用冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
産業現場で用いられるモータ駆動用インバータ、太陽光インバータ、エネルギー貯蔵システム(Energy Storage System、ESS)などの装置は電力変換装置であって、駆動時に熱を発生させる。
【0003】
このように電力変換装置の駆動時に発生する熱は、装置の性能低下、寿命減少、動作停止などを招くため、装置を効率的に冷却させるためのシステムの開発が要求されつつある状況である。
【0004】
したがって、電力変換装置を冷却させるための様々な冷却装置が備えられており、冷却装置は送風式と水冷式とに大別される。
【0005】
この際、送風式は、電力変換装置から発生した熱をファン(Fan)を用いて強制的に放熱させる方法であって、強制空冷式冷却方法ともいう。送風式は、ファンを駆動させ、冷却フィンの間に空気を循環させることで電力変換装置の温度を適正温度に維持させる方法である。
【0006】
この際、既存の送風式冷却装置は、状況によって、冷却効率の低下、塵埃によるアーク(arc)の発生可能性が存在するため、設置環境が制約される。
【0007】
また、既存の送風式冷却装置は、ファンの駆動時間及び環境による取り替え周期が発生し、この際、ファンの取り替え時に、インバータ連結製品群を停止及び取り替えすることにより管理コストが発生する。
【0008】
また、既存の送風式冷却装置は、大気中に開放されていて、防爆性能が要求される様々な産業分野に適用するには限界があった。
【0009】
また、既存の送風式冷却装置は、適正冷却のための個数の冷却フィンが必要であるため、冷却フィンの重量、体積の限界により、電力変換装置の小型化、軽量化において困難さがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、ボルテックスチューブを適用して、冷却システムが安定して電力変換装置を冷却させることができるように構成された電力変換装置用冷却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記のような目的を達成するための本発明の一側面による電力変換装置用冷却装置は、圧縮空気を発生させる圧縮機と、前記圧縮機から提供される圧縮空気を基に低温空気を発生させる第1及び第2のボルテックスチューブと、前記圧縮機と前記第1のボルテックスチューブとの間に設けられる第1の弁と、前記圧縮機と前記第2のボルテックスチューブとの間に設けられる第2の弁と、電力変換装置内に設けられ、前記電力変換装置の内部の温度を測定する第1及び第2の温度センサと、前記第1及び第2の温度センサにより測定された第1及び第2の温度に基づいて、前記第1及び第2のボルテックスチューブを用いて前記電力変換装置内に低温空気を供給すべきか否かを判断し、前記第1及び第2の弁に弁開放信号または弁閉鎖信号を送信する制御部と、を含む。
【0012】
また、本発明の他の側面による電力変換装置用冷却装置は、圧縮空気を発生させる多数の圧縮機と、前記多数の圧縮機から提供される圧縮空気を基に低温空気を発生させる多数のボルテックスチューブと、前記圧縮機と前記ボルテックスチューブとの間に設けられる多数の弁と、電力変換装置内に設けられ、前記電力変換装置の内部の温度を測定する第1及び第2の温度センサと、前記第1及び第2の温度センサにより測定された第1及び第2の温度に基づいて、前記ボルテックスチューブを用いて前記電力変換装置内に低温空気を供給すべきか否かを判断し、前記弁に弁開放信号または弁閉鎖信号を送信する制御部と、を含み、前記多数の圧縮機、ボテックスチューブ、及び弁は、同一の個数が互いに対応するように形成されることができる。
【0013】
前記多数の弁は、前記第1の温度センサにより測定された第1の温度に応じて制御される第1の弁と、前記第2の温度センサにより測定された第2の温度に応じて制御される第2の弁と、を含むことができる。
【0014】
前記制御部は、前記第1の温度と予め設定された第1の設定温度とを比較して、前記第1の設定温度を超える場合には前記第1の弁に弁開放信号を送信し、前記第1の設定温度を超えない場合には前記第1の弁に弁閉鎖信号を送信することができる。
【0015】
前記制御部は、前記第2の温度と予め設定された第2の設定温度とを比較して、前記第2の設定温度を超える場合には前記第2の弁に弁開放信号を送信し、前記第2の設定温度を超えない場合には前記第2の弁に弁閉鎖信号を送信することができる。
【0016】
前記第1の温度センサは前記電力変換装置のケースに設けられ、前記第2の温度センサは前記電力変換装置の電力変換用半導体素子に設けられることができる。
【0017】
前記多数のボルテックスチューブは、前記電力変換装置のケース側に低温空気を供給するように設けられる第1のボテックスチューブと、前記電力変換装置の電力変換用半導体素子側に低温空気を供給するように設けられる第2のボテックスチューブと、を含むことができる。
【発明の効果】
【0018】
上記のような本発明によると、ファンレス(fanless)設計が可能であるため、ファンの取り替えにかかるコストを低減することができ、ボルテックスチューブの半永久的な耐久性により、メンテナンスコストが持続的に減少する効果がある。
【0019】
また、本発明の冷却システムを適用する場合、電力変換装置のケースを密閉型に製作することができて、防塵性能を確保するとともに、防爆性能も確保することができるため、多様な環境に適用可能である。
【0020】
また、冷却空気の温度が低くて、冷却フィンの体積及び個数を減らすことができるため、電力変換装置の体積及び重量を減少させることができる。
【0021】
また、電力変換装置のケースを密閉型に製作可能であり、且つファンレス製作が可能であるため、騒音性能が向上して低騒音電力変換装置の設計が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施例による電力変換装置用冷却装置の構成を示した図である。
図2】本発明の実施例による電力変換装置用冷却装置に適用される熱交換器を示した図である。
図3】本発明の実施例による電力変換装置用冷却装置に適用される熱交換器の他の例を示した図である。
図4】本発明の実施例による電力変換装置用冷却装置の動作順序を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の利点及び特徴、そしてそれらを果たす方法は、添付図面とともに詳細に後述される実施例を参照すると明確になるであろう。しかし、本発明は以下で開示される実施例に限定されず、相異なる多様な形態で具現されることができる。本実施例は、本発明の開示が完全になるようにするとともに、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に伝達するために提供されることができる。明細書全体において、同一参照符号は同一構成要素を示す。
【0024】
本発明を説明するにあたり、公知機能または構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にする可能性があると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。そして、後述する用語は本発明の実施例においての機能を考慮して定義された用語であり、これは使用者、運用者の意図または慣例などによって変わり得る。従って、その定義は本明細書の全体における内容を基に下すべきであろう。
【0025】
以下、本発明の実施例による電力変換装置用冷却装置の構成及び機能について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
図1は本発明の実施例による電力変換装置用冷却装置の構成を示した図面である。
【0027】
図1を参照すると、本発明の実施例による電力変換装置用冷却装置100(以下、「冷却システム」)は、電力変換装置110と、温度センサ120と、圧縮機130と、第1の弁140と、第2の弁150と、第1のボルテックスチューブ160と、第2のボルテックスチューブ170と、制御部180と、を含む。但し、前記冷却システム100の構成がこれに限定されるものではない。
【0028】
前記電力変換装置110は使用する場所に応じて電力の形態を変換する装置であって、電力の電流、電圧、周波数などを変換することができる。例えば、電力変換装置110は、モータ駆動用インバータ、太陽光インバータ、エネルギー貯蔵システム(Energy Storage System、ESS)、コンバータなどであることができる。
【0029】
この際、前記電力変換装置110は、ケース111内に設けられる冷却フィン112と、電力変換用半導体素子113と、を含み、前記ケース111は密閉型に形成される。
【0030】
すなわち、従来の電力変換装置はファンを含む構造であるため開放型であったが、本発明による電力変換装置110は密閉型に製作される。
【0031】
例えば、前記冷却フィン112は前記電力変換装置110内において最下地点に位置し、前記電力変換用半導体素子113は冷却フィン112の上側に位置することができるが、これに限定されるものではない。
【0032】
また、多数の電力変換用半導体素子113が電力変換装置110内に位置することができるが、電力変換装置110に含まれる電力変換用半導体素子113の個数は多様に設定されることができる。
【0033】
前記温度センサ120は電力変換装置110内に設けられ、電力変換装置110内の温度を測定して制御部180に提供する。
【0034】
この際、前記温度センサ120は、電力変換装置110の内部の温度を測定する第1の温度センサ121と、電力変換用半導体素子113の温度を測定する第2の温度センサ122と、で構成されることができる。第1の温度センサ121はケース111に隣接して設けられ、第2の温度センサ122は電力変換用半導体素子113に隣接して設けられることができる。
【0035】
すなわち、前記第1の温度センサ121は、電力変換装置110のケース111に設けられ、前記ケース111の温度を測定することができる。前記第2の温度センサ122は、電力変換用半導体素子113に設けられ、電力変換用半導体素子113の温度を測定することができる。
【0036】
前記圧縮機130は、圧縮空気を第1及び第2のボルテックスチューブ160、170に供給するために備えられるものであって、圧縮空気の温度及び圧力によって、ボルテックスチューブから発生する低温空気及び高温空気の温度が変わり得る。
【0037】
したがって、前記圧縮機130により供給される圧縮空気の温度及び圧力は、冷却システム100の用途、設置環境に応じて適宜選択されることができる。
【0038】
例えば、前記圧縮機130は、圧縮空気を発生させるポンプと、ポンプにより発生した圧縮空気を貯蔵する圧力タンクと、で構成されることができるが、これに限定されるものではない。
【0039】
前記第1の弁140は、圧縮機130と第1のボルテックスチューブ160との間に設けられ、制御部180の制御によって開放または閉鎖されて圧縮空気の流れを制御する。
【0040】
すなわち、前記第1の弁140は、制御部180の制御によって開放され、圧縮機130から提供される圧縮空気が第1のボルテックスチューブ160に供給されるようにする。または、前記第1の弁140は、制御部180の制御によって閉鎖され、圧縮機130から提供される圧縮空気が第1のボルテックスチューブ160に供給されることを遮断する。
【0041】
この際、前記圧縮機130と第1のボルテックスチューブ160とは配管により連結されており、前記第1の弁140は配管上に設けられることができる。
【0042】
前記第2の弁150は、圧縮機130と第2のボルテックスチューブ170との間に設けられ、制御部180の制御によって開放または閉鎖されて圧縮空気の流れを制御する。
【0043】
すなわち、前記第2の弁150は、制御部180の制御によって開放され、圧縮機130から提供される圧縮空気が第2のボルテックスチューブ170に供給されるようにする。または、前記第2の弁150は、制御部180の制御によって閉鎖され、圧縮機130から提供される圧縮空気が第2のボルテックスチューブ170に供給されることを遮断する。
【0044】
この際、前記圧縮機130と第2のボルテックスチューブ170とは配管により連結されており、前記第2の弁150は配管上に設けられることができる。
【0045】
前記第1及び第2のボルテックスチューブ160、170は、Ranque−Hilsch vortex tubeとも呼ばれるものであって、圧縮機130から供給される圧縮空気を分離して高温空気と低温空気を発生させる。
【0046】
前記第1及び第2のボルテックスチューブ160、170の具体的な形状及び設計についての諸事項は、使用目的及び設置環境に応じて当業者が適宜選択できるものであり、既に公知された様々なボルテックスチューブから選択されることができる。
【0047】
前記第1及び第2のボルテックスチューブ160、170から発生した低温空気は、電力変換装置110の内部に供給されて電力変換装置110の温度を低くする役割をする。
【0048】
特に、前記第1のボルテックスチューブ160は、電力変換装置110のケース111の温度を低くするに適切な位置に配置されることができる。また、前記第2のボルテックスチューブ170は、電力変換装置110の電力変換用半導体素子113の温度を低くするに適切な位置に配置されることができる。
【0049】
例えば、前記第1のボルテックスチューブ160は、第1のボルテックスチューブ160から発生した低温空気が直接的にケース111に向くように設けられることが好ましい。前記第2のボルテックスチューブ170は電力変換用半導体素子113と隣接して配置されることが好ましい。
【0050】
前記制御部180は、温度センサ120により測定された温度を受信し、受信した温度に基づいて、第1及び第2のボルテックスチューブ160、170を用いて電力変換装置110に低温空気を供給するべきか否かを判断する。
【0051】
前記制御部180は、第1の温度センサ121により測定された温度(以下、「第1の温度」という)と、予め設定された第1の設定温度とを比較する。比較結果、第1の温度が第1の設定温度を超える場合、制御部180は、第1のボルテックスチューブ160を用いて電力変換装置110に低温空気を供給すべきであると判断する。
【0052】
また、前記制御部180は、第2の温度センサ122により測定された温度(以下、「第2の温度」という)と、予め設定された第2の設定温度とを比較する。比較結果、第2の温度が第2の設定温度を超える場合、制御部180は、第2のボルテックスチューブ170を用いて電力変換装置110に低温空気を供給すべきであると判断する。
【0053】
この際、前記第1及び第2の設定温度は、適用システム、設置環境などを考慮して当業者により設定されることができる。例えば、第1の設定温度は80℃〜100℃の範囲で設定されることができ、第2の設定温度は100℃〜120℃の範囲で設定されることができる。
【0054】
この際、ボルテックスチューブ160、170により供給される低温空気の流量は弁によって調節されることができる。温度センサ120により検知された温度が予め設定された温度範囲より高いと判断されて、弁140、150が開放されるように制御する場合、制御部180は、弁140、150の開放程度を制御することで流量を調節することができる。この際、流入される空気の流量は、温度センサ120により検知された温度が予め設定された温度を超えた程度に応じて予め設定されることができる。例えば、温度センサ120により検知された温度が、予め設定された温度を1℃〜10℃超えた場合の流量、及び温度センサ120により検知された温度が、予め設定された温度を11℃〜20℃超えた場合の流量を予め設定することができる。制御部180は、温度センサ120により検知された温度が予め設定された温度を超えた程度に応じて、設定された流量が流入されるように弁140、150を制御する。
【0055】
一方、前記制御部180は、第1のボルテックスチューブ160を用いて電力変換装置110に低温空気を供給すべきであると判断した場合、第1の弁140に弁開放信号を送信する。
【0056】
そして、前記制御部180は、第2のボルテックスチューブ170を用いて電力変換装置110に低温空気を供給すべきであると判断した場合、第2の弁150に弁開放信号を送信する。
【0057】
したがって、前記第1及び第2の弁140、150は、制御部180の弁開放信号を受信することにより開放される。これにより、圧縮機130から提供される圧縮空気が第1及び第2の弁140、150を経て第1及び第2のボルテックスチューブ160、170に供給されることができる。
【0058】
これに対し、前記制御部180は、第1の温度センサ121により測定された温度が第1の設定温度を超えないと(第1の設定温度以下であると)、第1のボルテックスチューブ160を用いて電力変換装置110に低温空気を供給しなくてもよいと判断する。
【0059】
また、前記制御部180は、第2の温度センサ122により測定された温度が第2の設定温度を超えないと(第2の設定温度以下であると)、第2のボルテックスチューブ170を用いて電力変換装置110に低温空気を供給しなくてもよいと判断する。
【0060】
この際、前記制御部180は、第1のボルテックスチューブ160を用いて電力変換装置110に低温空気を供給しなくてもよいと判断した場合、第1の弁140に弁閉鎖信号を送信する。
【0061】
そして、前記制御部180は、第2のボルテックスチューブ170を用いて電力変換装置110に低温空気を供給しなくてもよいと判断した場合、第2の弁150に弁閉鎖信号を送信する。
【0062】
前記第1及び第2の弁140、150は、制御部180の弁閉鎖信号を受信することにより閉鎖される。これにより、圧縮機130から提供される圧縮空気は第1及び第2の弁140、150により遮断され、第1及び第2のボルテックスチューブ160、170に供給されない。
【0063】
図2及び図3は、図1の電力変換用半導体素子113を詳細に示した図であって、図2はフィン型熱交換器を示した図であり、図3は配管型熱交換器を示した図である。
【0064】
図2はフィン型熱交換器が取り付けられた実施例を示したものであって、図2(a)は側面図であり、図2(b)は平面図である。図2を参照すると、電力変換用半導体素子113上には熱交換器210が形成されており、熱交換器210は電力変換装置のケース111により密閉されている。
【0065】
前記熱交換器210がフィン型熱交換器である場合、前記熱交換器210は、密閉型ケース111、及び密閉型ケース111内に交互に積層される柱212と円板214を含んで構成されることができる。但し、前記熱交換器210の構造がこれに限定されるものではない。
【0066】
すなわち、熱交換器210は、密閉型ケース111内の下端に柱212が備えられ、その上に円板214が備えられて、さらに円板214に柱212が備えられる積層構造からなる。
【0067】
この際、前記密閉型ケース111は、熱伝逹効率が低く、且つ断熱効果が大きい材質からなることが好ましい。
【0068】
また、前記柱212は多数個であることができ、空気が円滑に流動されるように円筒状に形成されることが好ましい。前記柱212は、空気の流動方向に垂直に配置して、熱が電力変換用半導体素子113に効率的に伝達されるようにすることが好ましい。
【0069】
さらに、密閉型ケース111内に供給される空気が円滑に移動するように、密閉型ケース111の内側面に、または内側面に隣接するように流動ガイド216が備えられることができる。
【0070】
この際、前記流動ガイド216は、密閉型ケース111内に供給された空気が移動する方向と同一の方向に備えられ、最外側に位置する柱212と密閉型ケース111との間に備えられることができる。
【0071】
図3は配管型熱交換器310が取り付けられた実施例を示した図であって、図3(a)は側面図であり、図3(b)は平面図である。
【0072】
図3を参照すると、前記熱交換器310が配管型熱交換器である場合、前記熱交換器310は、空気の流動長さを増加させる方法により熱交換を行う。かかる熱交換器310は熱交換効果が高いが、流動管312の長さが増加するほど、または流動管312の直径が小さくなるほど流動抵抗が大きくなって、ボルテックスチューブの効果に影響を与える可能性がある。したがって、熱交換器310内に設けられる流動管312の長さと直径を当業者が適宜調節する必要がある。
【0073】
一方、流動管312の形態によって、前記熱交換器310はS字管状熱交換器または螺旋状熱交換器であることができる。本実施例では螺旋状熱交換器を示した。
【0074】
この際、S字管状に比べて、螺旋状の場合に熱交換器の温度分布を均一にする効果が高いが、流動抵抗が大きくなって効率が低くなり得るため、流動管312の長さと直径はボルテックスチューブの性能に応じて決めることが好ましい。
【0075】
前記実施例では、2つのボルテックスチューブが形成された場合を基準として説明したが、ボルテックスチューブが2つ以上形成されてもよい。この場合、ボルテックスチューブは、ケース側に低温空気を供給するように設けられる第1のグループ(第1のボルテックスチューブ)と、電力変換用半導体素子に設けられる第2のグループ(第2のボルテックスチューブ)とに分類されることができる。
【0076】
また、前記実施例では1つの圧縮機に多数のボルテックスチューブが形成された場合を説明したが、圧縮機もボルテックスチューブと同一の数で形成されてもよい。この場合、圧縮機とボルテックスチューブが一対一に対応付けられて配管により連結され、各配管には同一数の弁が形成される。
【0077】
より具体的に、圧縮機、ボルテックスチューブ、及び弁が互いに対応するように多数で形成される場合、多数の弁は、第1の弁及び第2の弁を含むことができる。第1の弁は、第1のボルテックスチューブと多数の圧縮機のうち第1のボルテックスチューブに対応する圧縮機との間に設けられることができる。また、第2の弁は、第2のボルテックスチューブと多数の圧縮機のうち第2のボルテックスチューブに対応する圧縮機との間に設けられることができる。
【0078】
この際、制御部は、第1の弁及び/または第2の弁に弁開放信号及び/または弁閉鎖信号を送信することができる。
【0079】
以上、本発明の実施例による電力変換装置用冷却装置の構成について説明した。以下では、添付図面を参照して電力変換装置用冷却装置の動作について具体的に説明する。
【0080】
図4は本発明の実施例による電力変換装置用冷却装置の動作順序を示したフローチャートである。
【0081】
図4を参照すると、制御部180は、第1の温度センサ121により測定された温度(第1の温度)及び第2の温度センサ122により測定された温度(第2の温度)を受信する(S200)。制御部180は、受信した第1の温度と第1の設定温度とを比較して、第1の設定温度を超えるかを判断し、受信した第2の温度と第2の設定温度とを比較して、第2の設定温度を超えるかを判断する(S210)。
【0082】
もし、ステップS210による判断結果、第1の温度は第1の設定温度を超えるが、第2の温度は第2の設定温度を超えない場合(第2の設定温度以下である場合)、前記制御部180は、第1の弁140に弁開放信号を送信し、第2の弁150に弁閉鎖信号を送信する(S220)。
【0083】
これにより、第1の弁140が開放されて圧縮空気が第1のボルテックスチューブ160に供給され、第1のボルテックスチューブ160が低温空気を電力変換装置110内に供給する(S260)。特に、ステップS260により供給される低温空気は、電力変換装置110のケース111側に供給される。
【0084】
もし、ステップS210による判断結果、第1の温度は第1の設定温度を超えないが(第1の設定温度以下であるが)、第2の温度は第2の設定温度を超える場合、前記制御部180は、第1の弁140に弁閉鎖信号を送信し、第2の弁150に弁開放信号を送信する(S230)。
【0085】
これにより、第2の弁150が開放されて圧縮空気が第2のボルテックスチューブ170に供給され、第2のボルテックスチューブ170が低温空気を電力変換装置110内に供給する(S270)。特に、ステップS270により供給される低温空気は、電力変換装置110の電力変換用半導体素子113側に供給される。
【0086】
もし、ステップS210による判断結果、第1の温度が第1の設定温度を超え、第2の温度が第2の設定温度を超える場合、前記制御部180は、第1及び第2の弁140、150に弁開放信号を送信する(S240)。
【0087】
これにより、第1及び第2の弁140、150が開放されて圧縮空気が第1及び第2のボルテックスチューブ160、170に供給され、第1及び第2のボルテックスチューブ160、170が低温空気を電力変換装置110内に供給する(S280)。特に、ステップS280により提供される低温空気は、電力変換装置110のケース111及び電力変換用半導体素子113側に供給される。
【0088】
もし、ステップS210による判断結果、第1及び第2の温度が両方とも第1及び第2の設定温度を超えない場合(第1及び第2の設定温度以下である場合)、前記制御部180は、第1及び第2の弁140、150に弁閉鎖信号を送信する(S250)。
【0089】
これにより、第1及び第2の弁140、150が閉鎖されて圧縮空気が第1及び第2のボルテックスチューブ160、170に供給されることが遮断され、第1及び第2のボルテックスチューブ160、170が低温空気を電力変換装置110内に供給することが遮断される(S290)。
【0090】
上記のような本発明によると、ファンレス(fanless)設計が可能であるため、ファンの取り替えにかかるコストを低減することができ、ボルテックスチューブの半永久的な耐久性により、メンテナンスコストが持続的に減少する効果がある。
【0091】
また、本発明の冷却システムを適用する場合、電力変換装置のケースを密閉型に製作することができて、防塵性能を確保するとともに、防爆性能も確保することができるため、多様な環境に適用可能である。
【0092】
また、冷却空気の温度が低くて、冷却フィンの体積及び個数を減らすことができるため、電力変換装置の体積及び重量を減少させることができる。
【0093】
また、電力変換装置のケースを密閉型に製作可能であり、且つファンレス製作が可能であるため、騒音性能が向上して低騒音電力変換装置の設計が可能である。
【0094】
一方、本発明による電力変換装置用冷却装置の構成及びその動作方法を実施例により説明したが、本発明の範囲は特定実施例に限定されず、本発明に係わる通常の知識を有する者であれば、自明な範囲内で様々な代案、修正及び変更実施が可能である。
【0095】
したがって、本発明に記載の実施例及び添付図面は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく説明するためのものであり、かかる実施例及び添付図面により本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は、特許請求の範囲により解釈されるべきであり、それと同等範囲内における全ての技術思想が本発明の権利範囲に含まれると解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4