【実施例】
【0080】
[測定方法]
本発明の結晶の粉末X線回折は、以下の条件で測定した。
装置:ブルカー・エイエックスエス製D8 DISCOVER With GADDS CS
線源:Cu・Kα,波長:1.541838(10
−10m)、40kv−40mA、入射側平板グラファイトモノクロメータ、コリメータφ300μm、2次元PSPC検出器、スキャン3〜40°
[測定方法]
本発明の結晶の固体NMRスペクトル(
13C)は、以下の条件で測定した。
装置:ブルカー製 DSX300WB
測定核:13C
パルス繰り返し時間:5秒
パルスモード:CP/MAS測定
[測定方法]
本発明の結晶の赤外吸収スペクトル(KBr法)は、日本薬局方の一般試験法に記載された赤外吸収スペクトル測定法の臭化カリウム錠剤法に従い、以下の条件で測定した。
装置:サーモフィッシャーサイエンティフィック製 AVATAR320
測定範囲:4000〜400cm
−1
分解能:4cm
−1
積算回数:64
本発明の結晶の熱重量測定・示差熱分析(TG/DTA)は、以下の条件で測定した。
装置:リガク製TG8120
昇温速度:毎分10℃、雰囲気:窒素、サンプルパン:アルミニウム、リファレンス:アルミナ、サンプリング:1.0秒、測定温度範囲:25〜300℃
1H NMRスペクトル(400MHz、DMSO−d
6またはCDCl
3)を測定したものについては、その化学シフト(δ:ppm)およびカップリング定数(J:Hz)を示す。以下の略号はそれぞれ次のものを表す。
装置:JEOL製JMTC−400/54/SS
s=singlet、d=doublet、t=triplet、q=quartet、brs=broad singlet、m=multiplet
【0081】
[参考例1]
エチル 4−メチル−2−[4−(2−メチルプロポキシ)−3−(1H−1,2,3,4−テトラゾール−1−イル)フェニル]−1,3−チアゾール−5−カルボキシレートの製造
(1)4−ブロモ−2−ニトロフェノール20.0gおよび炭酸カリウム19.0gをジメチルホルムアミド200mLに懸濁させ、窒素雰囲気下、臭化イソブチル20.1gを加えて、110℃で22時間加熱した。反応混合液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を食塩水で洗浄後、乾燥、減圧濃縮を行い、4−ブロモ−1−(2−メチルプロポキシ)−2−ニトロベンゼン24.8gを得た。
(2)4−ブロモ−1−(2−メチルプロポキシ)−2−ニトロベンゼン2.74gに炭酸水素化カリウム2.10g、塩化パラジウム(II)43.5mg、臭化銅(I)205mgを加え、トルエン35mLに懸濁させた。その後にエチル 4−メチル−1−1,3−チアゾール−5−カルボキシレート2.05g、イソ酪酸92μL及びジ−t−ブチルシクロヘキシルホスフィン230μLを加えて、窒素雰囲気下、120℃で14時間加熱した。反応混合液をセライトろ過して不溶物を取り除き、ろ液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を食塩水で洗浄後、乾燥、減圧濃縮した後に常法により精製し、エチル 4−メチル−2−[3−ニトロ−4−(2−メチルプロポキシ)フェニル]−1,3−チアゾール−5−カルボキシレート3.16gを得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3)δ:1.07(6H,d,J=6.8Hz),1.39(3H,t,J=6.8Hz),2.14−2.22(1H,m),2.77(3H,s),3.92(2H,d,J=6.0Hz),4.36(2H,q,J=6.8Hz),7.12(1H,d,J=8.8Hz),8.09(1H,dd,J=2.0,8.8Hz),8.43(1H,d,J=2.0Hz)
(3)エチル 4−メチル−2−[3−ニトロ−4−(2−メチルプロポキシ)フェニル]−1,3−チアゾール−5−カルボキシレート3.16gをエタノール30mLに懸濁させ、パラジウム/炭素(10%wt)200mgを加えた後に、水素雰囲気下、50℃で14時間撹拌した。反応混合液をろ過し、ろ液を減圧濃縮することで、エチル 2−[3−アミノ−4−(2−メチルプロポキシ)フェニル]−4−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキシレート2.12gを得た。
(4)エチル 2−[3−アミノ−4−(2−メチルプロポキシ)フェニル]−4−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキシレート2.12gを酢酸20mLに懸濁させた後、アジ化ナトリウム780mg、オルトギ酸トリエチル1.78gを加え、窒素雰囲気下、70℃で2時間加熱した。室温まで冷却させた後に反応混合液に水20mLを加え、常法により精製し、エチル 4−メチル−2−[4−(2−メチルプロポキシ)−3−(1H−1,2,3,4−テトラゾール−1−イル)フェニル]−1,3−チアゾール−5−カルボキシレート2.25gを得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3)δ:1.02(6H,d,J=6.8Hz),1.40(3H,t,J=6.8Hz),2.10−2.17(1H,m),2.78(3H,s),3.95(2H,d,J=6.8Hz),4.36(2H,q,J=6.8Hz),7.18(1H,d,J=8.8Hz),8.07(1H,dd,J=2.4,8.8Hz),8.46(1H,d,J=2.8Hz),9.21(1H,s)
【0082】
[実施例1]
4−メチル−2−[4−(2−メチルプロポキシ)−3−(1H−1,2,3,4−テトラゾール−1−イル)フェニル]−1,3−チアゾール−5−カルボン酸(化合物(I))のA晶の製造
エチル 4−メチル−2−[4−(2−メチルプロポキシ)−3−(1H−1,2,3,4−テトラゾール−1−イル)フェニル]−1,3−チアゾール−5−カルボキシレート883gをテトラヒドロフラン/メタノール=1/1の混合溶液13.2Lに溶解し、2M水酸化ナトリウム水溶液2.28Lを加えて、20−30℃で3時間撹拌した。20−30℃で撹拌しながら反応混合液に2M塩酸2.28Lをゆっくりと加え、さらに水4.4Lをゆっくりと加えた。反応溶液を20−30℃で1時間撹拌した後、結晶を濾取した。得られた結晶を、メタノール/水=1/1の混合溶媒4.4Lおよび水4.4Lで洗浄した。結晶を50℃で減圧乾燥し、4−メチル−2−[4−(2−メチルプロポキシ)−3−(1H−1,2,3,4−テトラゾール−1−イル)フェニル]−1,3−チアゾール−5−カルボン酸の結晶811gを得た。得られた結晶のXRDを
図1に示す。回折角2θ=8.6°、10.2°、13.3°、14.4°、18.5°、19.9°、21.8°、25.1°、25.6°、26.6°、27.1°、および29.5°にピークが観測された。得られた結晶の固体NMRスペクトル(
13C)を
図5に示す。化学シフト116.3ppm、117.6ppm、120.0ppm、123.6ppm、125.9ppm、127.4ppm、143.7ppm、151.8ppm、161.1ppm、162.3ppm、および165.5ppmにピークが観測された。得られた結晶の赤外吸収スペクトル(KBr法)を
図8に示す。波数745cm
−1、822cm
−1、889cm
−1、975cm
−1、997cm
−1、1611cm
−1、および1705cm
−1にピークが観測された。また、熱重量測定・示差熱分析(TG/DTA)における発熱ピークは、222℃であった。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6)δ:0.85(6H,d,J=6.8Hz),1.93−2.00(1H,m),2.66(3H,s),3.96(2H,d,J=6.0Hz),7.48(1H,d,J=8.8Hz),8.18(1H,dd,J=2.4,8.8Hz),8.27(1H,d,J=2.4Hz),9.79(1H,s),13.41(1H,s)
【0083】
[実施例2]
4−メチル−2−[4−(2−メチルプロポキシ)−3−(1H−1,2,3,4−テトラゾール−1−イル)フェニル]−1,3−チアゾール−5−カルボン酸(化合物(I))のB晶の製造
化合物(I)のA晶3.0gを酢酸エチル21.0mLに懸濁させ、6時間還流した。25℃に冷却した後に25℃で30分撹拌した。結晶を濾取し、15mLの酢酸エチルで洗浄した。結晶を45℃で減圧乾燥し、4−メチル−2−[4−(2−メチルプロポキシ)−3−(1H−1,2,3,4−テトラゾール−1−イル)フェニル]−1,3−チアゾール−5−カルボン酸の結晶2.9gを得た。得られた結晶のXRDを
図2に示す。回折角2θ=10.1°、12.6°、13.1°、14.0°、18.6°、24.2°、25.2°、25.7°、27.2°、および30.5°にピークが観測された。得られた結晶の固体NMRスペクトル(
13C)を
図6に示す。化学シフト115.4ppm、118.0ppm、119.8ppm、123.2ppm、126.4ppm、129.1ppm、142.7ppm、151.2ppm、160.9ppm、および166.6ppmにピークが観測された。得られた結晶の赤外吸収スペクトル(KBr法)を
図9に示す。波数744cm
−1、810cm
−1、972cm
−1、997cm
−1、1005cm
−1、1611cm
−1、および1710cm
−1にピークが観測された。また、熱重量測定・示差熱分析(TG/DTA)における発熱ピークは、225℃であった。
【0084】
[参考例2]
4−メチル−2−[4−(2−メチルプロポキシ)−3−(1H−1,2,3,4−テトラゾール−1−イル)フェニル]−1,3−チアゾール−5−カルボン酸(化合物(I))の製造
エチル 4−メチル−2−[4−(2−メチルプロポキシ)−3−(1H−1,2,3,4−テトラゾール−1−イル)フェニル]−1,3−チアゾール−5−カルボキシレート4.00gをテトラヒドロフラン/メタノール=1/1の混合溶液60mLに溶解し、2M水酸化ナトリウム水溶液10.3mLを加えて、室温で3時間撹拌した。反応混合液に2M塩酸10.3mLを加えて撹拌した後に、水60mLを加え、常法により精製し、4−メチル−2−[4−(2−メチルプロポキシ)−3−(1H−1,2,3,4−テトラゾール−1−イル)フェニル]−1,3−チアゾール−5−カルボン酸3.50gを得た。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6)δ:0.85(6H,d,J=6.8Hz),1.93−2.00(1H,m),2.66(3H,s),3.96(2H,d,J=6.0Hz),7.48(1H,d,J=8.8Hz),8.18(1H,dd,J=2.4,8.8Hz),8.27(1H,d,J=2.4Hz),9.79(1H,s),13.41(1H,s)
【0085】
[実施例3]
4−メチル−2−[4−(2−メチルプロポキシ)−3−(1H−1,2,3,4−テトラゾール−1−イル)フェニル]−1,3−チアゾール−5−カルボン酸(化合物(I))のC晶の製造
4−メチル−2−[4−(2−メチルプロポキシ)−3−(1H−1,2,3,4−テトラゾール−1−イル)フェニル]−1,3−チアゾール−5−カルボン酸8.5gにN,N−ジメチルホルムアミド90mLを加え、80℃に加熱撹拌することで溶解した。室温に冷却後、室温で2時間撹拌した後に、濾過を行い、濾物をエタノール90mLで洗浄した。母液を室温で7日間静置し、得られた結晶をエタノール30mLで洗浄した。結晶を40℃で減圧乾燥し、化合物(I)の結晶1.0gを得た。得られた結晶のXRDを
図3に示す。回折角2θ=7.2°、12.5°、13.0°、14.7°、19.2°、20.0°、21.4°、21.7°、24.7°、および26.0°にピークが観測された。得られた結晶の固体NMRスペクトル(
13C)を
図7に示す。化学シフト116.1ppm、119.6ppm、123.1ppm、126.1ppm、127.1ppm、130.0ppm、143.6ppm、150.3ppm、158.3ppm、160.7ppm、163.9ppm、165.5ppm、および167.0ppmにピークが観測された。得られた結晶の赤外吸収スペクトル(KBr法)を
図10に示す。波数745cm
−1、751cm
−1、809cm
−1、820cm
−1、971cm
−1、1006cm
−1、1613cm
−1、1682cm
−1、および1710cm
−1にピークが観測された。また、熱重量測定・示差熱分析(TG/DTA)における吸熱ピークは88℃、発熱ピークは、225℃であった。
【0086】
[実施例4]
ナトリウム 4−メチル−2−[4−(2−メチルプロポキシ)−3−(1H−1,2,3,4−テトラゾール−1−イル)フェニル]−1,3−チアゾール−5−カルボキシレート(化合物(II))のA晶の製造
水酸化ナトリウム400mgをエタノール36mLに溶解し、化合物(I)3.59gを加えて、20−30℃で1時間撹拌した。その後、結晶を濾取した。得られた結晶を、エタノール10mLで洗浄した。結晶を50℃で減圧乾燥し、化合物(II)の結晶3.53gを得た。得られた結晶のXRDを
図4に示す。回折角2θ=7.2°、10.9°、13.3°、15.9°、18.2°、20.8°、22.1°、25.2°、26.1°、および29.1°にピークが観測された。また、熱重量測定・示差熱分析(TG/DTA)における発熱ピークは、281℃であった。
1H−NMR(400Mz,DMSO−d6) δ:0.85(6H, d, J = 6.8Hz), 1.92−1.99(1H, m), 2.59(3H, s), 3.92(2H, d, J = 6.4Hz), 7.41(1H, d, J = 8.8Hz), 8.02(1H, dd, J = 1.6, 8.8Hz), 8.12(1H, d, J = 2.0Hz), 9.78(1H, s)
【0087】
[実施例5]
血中尿酸低下作用(正常ラット)
化合物(II)の血中尿酸低下作用を確認した。8〜9週齢のSprague−Dawley系雄性ラット(日本チャールス・リバー株式会社)に0.5%メチルセルロース液に懸濁した試験化合物を経口ゾンデを用いて強制投与した。投与後2時間に尾静脈より採血した後、血漿を分離した。血中尿酸値は尿酸測定キット(LタイプワコーUA・F:和光純薬工業)を用いて、ウリカーゼ法にて吸光度計を用いて測定し、尿酸低下率を下式により求めた。
尿酸低下率(%)=(対照動物の尿酸値−試験化合物投与動物の尿酸値)x100/対照動物の尿酸値
化合物(II)のA晶は、10mg/kg、1mg/kg、いずれの用量においても尿酸低下率50%以上を示した。
この結果から、化合物(II)が強力な血中尿酸低下効果を有することが示された。
【0088】
[実施例6]
血中尿酸低下作用の持続性(正常ラット)
化合物(II)のA晶を、実施例5と同じ方法でSprague−Dawley系雄性ラットに投与した。投与後24時間に尾静脈より採血した後、血漿を分離した。血中尿酸値は尿酸測定キット(LタイプワコーUA・F:和光純薬工業)を用いて、ウリカーゼ法にて吸光度計を用いて測定し、尿酸低下率を下式により求めた。尿酸低下率(%)
=(対照動物の尿酸値−試験化合物投与動物の尿酸値)x100/対照動物の尿酸値
化合物(II)のA晶は、投与後24時間において、10mg/kgの用量で尿酸低下率50%以上を示し、3mg/kgの用量で尿酸低下率40%以上を示した。
この結果から、化合物(II)が長時間にわたる持続的な血中尿酸低下効果を有することが示された。
【0089】
[実施例7]
JP2液への溶解性
化合物(II)のJP2液(pH6.8)への溶解性を確認した。化合物(II)のA晶を乳鉢で軽く粉砕して、JP2液20mLに約4mg添加し、室温で撹拌した。この溶液につき、添加直後から紫外可視吸収度測定法により280nmにおける吸光度(At)を継時的に測定し、あらかじめ測定した標準溶液の280nmにおける吸光度(As)を指標にして、下式により各測定時間における溶解度を求めた。測定は120分まで継続した。
溶解度 = At/As × Cs(ただし、Csは標準溶液の濃度を示す)
測定条件
測定装置:Pion社製 μDISS Profiler
撹拌速度:700rpm
UV測定波長:280nm
測定間隔:測定開始〜1分:3秒
1〜8分:20秒
8〜120分:2分
化合物(II)のA晶は、添加後30秒以内に添加した全量が溶解し、溶解度は187μg/mLであった。また、添加後120分における溶解度は189μg/mLであり、析出は認めず溶解状態を維持した。
この結果から、化合物(II)が優れた溶解性を有することが示された。
【0090】
[参考例3]
キサンチンオキシダーゼ阻害活性の測定
(1)試験化合物の調製
化合物(I)をDMSO(シグマ社製)に20mMの濃度になるように溶解した後、使用時の目的の濃度に調製して用いた。
(2)測定方法
化合物(I)のキサンチンオキシダーゼ阻害活性評価を文献記載の方法(Method Enzymatic Analysis,1,521−522,1974)を一部改変して実施した。本評価は、オキシダーゼ型のキサンチンオキシドレダクターゼ活性の測定により行われた。すなわち、あらかじめ20mM水酸化ナトリウム溶液にて10mMに調製したキサンチン(シグマ社製)溶液を100mMリン酸緩衝液を用いて30μMに調製し、96穴プレートに75μL/穴ずつ加えた。最終濃度の100倍になるようにDMSOにて希釈した試験化合物を1.5μL/穴ずつ添加し、ミキシング後にマイクロプレートリーダーSPECTRA max Plus384(モレキュラーデバイス社製)にて290nmの吸光度を測定した。続けてオキシダーゼ型キサンチンオキシドレダクターゼ(バターミルク由来、Calbiochem社製)を100mMリン酸緩衝液を用いて30.6mU/mLに調製し、73.5μL/穴ずつ加えた。ミキシング後速やかに290nmにおける吸光度変化を5分間測定した。試験化合物溶液の代わりにDMSOを添加したときの酵素活性を100%として試験化合物の阻害率を計算し、用量応答曲線にフィットさせてオキシダーゼ型キサンチンオキシドレダクターゼに対する50%阻害濃度を計算した。
化合物(I)は、1.0nM≦IC
50<5.0nMのキサンチンオキシダーゼ阻害活性を示した。
【0091】
[参考例4]
血中尿酸低下作用(正常ラット)
化合物(I)について、実施例5と同様の方法により血中尿酸低下作用を確認した。化合物(I)は、10mg/kg、1mg/kg、いずれの用量においても尿酸低下率50%以上を示した。
この結果から、化合物(I)が強力な血中尿酸低下効果を有することが示された。
【0092】
[参考例5]
血中尿酸低下作用の持続性(正常ラット)
化合物(I)について、実施例6と同様の方法により血中尿酸低下作用の持続性を確認した。化合物(I)は、投与後24時間において、10mg/kgの用量で尿酸低下率50%以上を示し、3mg/kgの用量で尿酸低下率40%以上を示した。
この結果から、化合物(I)が長時間にわたる持続的な血中尿酸低下効果を有することが示された。
【0093】
[参考例6]
血中尿酸低下作用(高尿酸血症ビーグル犬)
化合物(I)について、オキソン酸により高尿酸血症を惹起したビーグル犬における血中尿酸低下作用を確認した。ビーグル犬(北山ラベス)に0.5%メチルセルロース液に懸濁した試験化合物を強制経口投与した。化合物投与前および投与4時間後にオキソン酸カリウム(50mg/kg)を皮下投与した。化合物投与8時間後、橈側皮静脈より採血した後、血漿を分離した。血中尿酸値はLC−MS/MS法を用いて測定し、尿酸低下率を下式により求めた。
尿酸低下率(%)=(対照動物の尿酸値−試験化合物投与動物の尿酸値)x100/対照動物の尿酸値
投与8時間後において、化合物(I)は10mg/kgの用量において尿酸低下作用を示した。
この結果から、化合物(I)がイヌにおいて強力な血中尿酸低下効果を有することが示された。
【0094】
[参考例7]
組織および血漿におけるキサンチンオキシダーゼ阻害活性の持続性
本発明の「キサンチンオキシダーゼ」について、本例に限り、オキシダーゼ型のキサンチンオキシドレダクターゼが担う酸化反応触媒活性と、オキシダーゼ型とデヒドロゲナーゼ型両方のキサンチンオキシドレダクターゼが担う酸化反応触媒活性とを区別するために、前者を「XO活性」、後者を「XOR活性」と称する「組織XO活性」、「血漿XO活性」、「組織XO阻害活性」、「組織XOR阻害活性」等についても、「XO活性」および「XOR活性」は同じ意味を有する。「組織」には、肝臓、腎臓、脂肪組織、腸、血管が含まれる。なお、下記の結果より、本発明の化合物について、同一サンプルにおけるXOR活性阻害率とXO活性阻害率は同程度の数値となるものと解される。
【0095】
化合物(I)について、組織XO活性、組織XOR活性および血漿XO活性を確認した。7〜9週齢のSprague−Dawley系雄性ラット(日本チャールス・リバー株式会社)に0.5%メチルセルロース液に懸濁した試験化合物を経口ゾンデを用いて強制投与した。投与後24時間または27時間後に腹大動脈からの採血および組織の採材を行った。得られた血液は遠心分離し、血漿を採取した。
【0096】
組織XO活性、組織XOR活性および血漿XO活性は、pterinがそれぞれの型のキサンチンオキシドレダクターゼにより酸化され蛍光物質であるisoxanthopterinが生成される反応を用いて測定した。組織を各組織濃度が肝臓:25mg/mL、腎臓:25mg/mL、脂肪:5mg/mL、腸:5mg/mL、血管:30mg/mLとなるように、1mMEDTAおよびプロテアーゼ阻害剤を含んだpH7.4のリン酸カリウム溶液でホモジナイズし、4℃、12000rpmで15分遠心した。XO活性の測定時は組織ホモジネートの上清または血漿を50μM pterinを含んだ溶液と混合し37℃で反応させた。XOR活性の測定時は、組織ホモジネートの上清を50μM pterinおよび50μM Methylene Blueを含んだ溶液と混合し37℃で反応させた。コントロールとしてオキシダーゼ型キサンチンオキシドレダクターゼ(バターミルク由来、Calbiochem社製)と50μM pterinを含んだ溶液を同様の方法で反応させた。生成されたisoxanthopterinの蛍光強度を測定し、コントロールの酵素活性およびタンパク濃度で補正しXOまたはXOR活性として算出した。
XO阻害活性およびXOR阻害活性は下式により求めた。
XO阻害活性(%)=(対照動物のXO活性またはXOR活性−試験化合物投与動物のXO活性またはXOR活性)x100/対照動物のXO活性またはXOR活性
投与約27時間後の組織および血漿XO阻害活性を次の表に示す。
【0097】
【表1】
【0098】
化合物(I)は、10mg/kgの用量において、投与後27時間の肝臓のXO活性を対照動物と比較して80%以上阻害し、投与後27時間の腎臓のXO活性を対照動物と比較して70%以上阻害し、投与後27時間の血漿のXO活性を対照動物と比較して40%以上阻害した。
化合物(I)は、1mg/kgの用量において、投与後27時間の肝臓のXO活性を対照動物と比較して80%以上阻害し、投与後27時間の腎臓のXO活性を対照動物と比較して60%以上阻害し、投与後27時間の血漿のXO活性を対照動物と比較して25%以上阻害した。
また、投与24時間後の組織XOおよびXOR阻害活性を次の表に示す。
【0099】
【表2】
【0100】
化合物(I)は10mg/kgの用量において、投与後24時間の肝臓のXOR活性およびXO活性それぞれを対照動物と比較して80%以上阻害し、投与後24時間の腎臓のXOR活性およびXO活性それぞれを対照動物と比較して70%以上阻害し、投与後24時間の腸のXOR活性を対照動物と比較して80%以上阻害し、投与後24時間の脂肪組織のXOR活性を対照動物と比較して60%以上阻害し、投与後24時間の血管のXOR活性を対照動物と比較して40%以上阻害した。
【0101】
化合物(I)は1mg/kgの用量において、投与後24時間の肝臓のXOR活性およびXO活性それぞれを対照動物と比較して80%以上阻害し、投与後24時間の腎臓のXOR活性およびXO活性それぞれを対照動物と比較して60%以上阻害し、投与後24時間の腸XOR活性を対照動物と比較して60%以上阻害し、投与後24時間の脂肪組織XOR活性を対照動物と比較して30%以上阻害し、投与後24時間の血管XOR活性を対照動物と比較して25%以上阻害した。
【0102】
以上の結果から、本発明の化合物が各組織において長時間にわたる持続的なXO活性、XOR活性阻害作用を有することが示された。