特許第6279104号(P6279104)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6279104質量分析によるタモキシフェンおよびその代謝産物の定量化
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6279104
(24)【登録日】2018年1月26日
(45)【発行日】2018年2月14日
(54)【発明の名称】質量分析によるタモキシフェンおよびその代謝産物の定量化
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/62 20060101AFI20180205BHJP
【FI】
   G01N27/62 V
【請求項の数】30
【全頁数】77
(21)【出願番号】特願2016-567654(P2016-567654)
(86)(22)【出願日】2015年5月12日
(65)【公表番号】特表2017-516104(P2017-516104A)
(43)【公表日】2017年6月15日
(86)【国際出願番号】US2015030419
(87)【国際公開番号】WO2015175561
(87)【国際公開日】20151119
【審査請求日】2017年6月14日
(31)【優先権主張番号】61/992,214
(32)【優先日】2014年5月12日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505063050
【氏名又は名称】クエスト ダイアグノスティックス インヴェストメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100105991
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 玲子
(74)【代理人】
【識別番号】100119183
【弁理士】
【氏名又は名称】松任谷 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100114465
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 健
(74)【代理人】
【識別番号】100149076
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 慎介
(74)【代理人】
【識別番号】100173185
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 裕
(72)【発明者】
【氏名】クラーク,ニゲル
【審査官】 吉田 将志
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/014279(WO,A1)
【文献】 Wei Lv,Synthesis of Mixed (E,Z)-, (E)-, and (Z)-Norendoxifen with Dual Aromatase Inhibitory and Estrogen Receptor Modulatory Activities,Journal of Medical Chemistry,米国,American Chemical Society,2013年 6月 3日,Vol.56/Iss.11,PP.4611-4618
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/60−70、92
CAplus/MEDLINE(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量分析によりヒト由来の試料中のノルエンドキシフェンの量を決定する方法であって、
(a)前記ノルエンドキシフェンをイオン化して、質量分析により検出可能な1つまたは複数のノルエンドキシフェンイオンを生じさせること、
(b)質量分析により工程からの該ノルエンドキシフェンイオンの量を検出することを含み、検出される該イオンの量が、前記試料中のノルエンドキシフェンの量に関連する方法、但し前記方法はノルエンドキシフェンの5ng/mL以下の検出限界を有する。
【請求項2】
タンパク質沈降をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
精製をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記精製が、濾過を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記精製が、液体クロマトグラフィーを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記液体クロマトグラフィーが、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
内部標準の量を検出することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記内部標準が、重水素化ノルエンドキシフェンである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記イオン化が、大気圧化学イオン化(APCI)によるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記イオン化が、ポジティブイオンモードである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記試料が、血清試料である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記質量分析が、タンデム質量分析である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
単回の質量分析アッセイにおいてヒト由来の試料中のタモキシフェンおよびその代謝産物の量を決定する方法であって、
(a)前記タモキシフェンおよび代謝産物をイオン化して、質量分析により検出可能な1つまたは複数のイオンを生じさせること、
(b)質量分析により工程からの該イオンの量を検出することを含み、検出される該イオンの量が、前記試料中のタモキシフェンおよび代謝産物それぞれの量に関連する方法、但し前記代謝産物はノルエンドキシフェンを含み、前記方法はノルエンドキシフェンの5ng/mL以下の検出限界を有する。
【請求項14】
タンパク質沈降をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
精製をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記精製が、濾過を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記精製が、液体クロマトグラフィーを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記液体クロマトグラフィーが、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
内部標準の量を検出することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記内部標準が、重水素化内部標準である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記イオン化が、大気圧化学イオン化(APCI)によるものである、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
前記イオン化が、ポジティブイオンモードである、請求項13に記載の方法。
【請求項23】
前記試料が、血清試料である、請求項13に記載の方法。
【請求項24】
前記質量分析が、タンデム質量分析である、請求項13に記載の方法。
【請求項25】
前記代謝産物が、エンドキシフェンまたはN−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェンを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項26】
前記代謝産物が、4’−ヒドロキシタモキシフェンを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項27】
前記代謝産物が、4−ヒドロキシタモキシフェンを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項28】
前記代謝産物が、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェンを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項29】
前記代謝産物が、N−デスメチルタモキシフェンを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項30】
前記代謝産物が、ノルエンドキシフェン、エンドキシフェン、4’−ヒドロキシタモキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェン、およびN−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェンを含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願に対する相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2014年5月12日に出願された米国仮出願第61/992,214号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
以下の本発明の背景の説明は、単に本発明を理解する際の補助として提供されるものであり、本発明の従来技術について記載するか、または本発明の従来技術を構成すると認められない。
【0003】
タモキシフェンは、一次治療後のホルモン受容体陽性乳がん患者のための治療の標準物質である。5〜10年のタモキシフェン療法は、これらの患者において再発および死亡のリスクを低減させる。それにもかかわらず、多くの患者が、多くの場合は薬物の不快な副作用に起因して、彼らの完全な治療過程を完了させない。
【0004】
タモキシフェンは、完全な有効性のために高度に活性なエンドキシフェンに変換されるプロドラッグである。タモキシフェンの、エンドキシフェンへの変換は、CYP2D6(2D6)における遺伝的変異などの遺伝的変異に依存した代謝経路による。2D6遺伝子型判定は、タモキシフェンに対する応答および毒性を予測するために促進されてきたが、個体のレベルとの直接的な関連については議論がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
タモキシフェンに対する応答を予測する有効な方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、タンデム質量分析を含む質量分析による試料中のタモキシフェンおよびその代謝産物の定量化に関する方法を提供する。
【0007】
一態様では、質量分析により試料中のノルエンドキシフェンの量を決定する方法であって、(a)前記ノルエンドキシフェンをイオン化して、質量分析により検出可能な1つまたは複数のノルエンドキシフェンイオンを生じさせること、(b)質量分析により工程からの該ノルエンドキシフェンイオン(ion(s))の量を検出することを含み、検出される該イオン(ion(s))の量が、前記試料中のノルエンドキシフェンの量に関連する方法が提供される。
【0008】
一態様では、単回の質量分析アッセイにおいて試料中のタモキシフェンおよびその代謝産物の量を決定する方法であって、(a)前記タモキシフェンおよび代謝産物をイオン化して、質量分析により検出可能な1つまたは複数のイオンを生じさせること、(b)質量分析により工程からの該イオン(ion(s))の量を検出することを含み、検出される該イオン(ion(s))の量が、前記試料中のタモキシフェンおよび代謝産物それぞれの量に関連する方法が提供される。
【0009】
いくつかの実施形態では、前記代謝産物は、ノルエンドキシフェンを含む。いくつかの実施形態では、前記代謝産物は、エンドキシフェンまたはN−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェンを含む。いくつかの実施形態では、前記代謝産物は、4’−ヒドロキシタモキシフェンを含む。いくつかの実施形態では、前記代謝産物は、4−ヒドロキシタモキシフェンを含む。いくつかの実施形態では、前記代謝産物は、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェンを含む。いくつかの実施形態では、前記代謝産物は、N−デスメチルタモキシフェンを含む。いくつかの実施形態では、前記代謝産物は、ノルエンドキシフェン、エンドキシフェン、4’−ヒドロキシタモキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェン、およびN−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェンからなる群から選択される代謝産物を含む。いくつかの実施形態では、前記代謝産物は、ノルエンドキシフェン、エンドキシフェン、4’−ヒドロキシタモキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェン、およびN−デスメチルタモキシフェンの任意の組合せを含む。いくつかの実施形態では、前記代謝産物は、ノルエンドキシフェン、エンドキシフェン、4’−ヒドロキシタモキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェン、およびN−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェンを含む。いくつかの実施形態では、前記代謝産物は、ノルエンドキシフェン、エンドキシフェン、4’−ヒドロキシタモキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェン、およびN−デスメチルタモキシフェンの任意の組合せを含む。
【0010】
一態様では、本明細書中に提供する方法は、タンパク質沈降を含む。いくつかの実施形態では、本明細書中に提供する方法は、精製を含む。いくつかの実施形態では、前記精製は、濾過を含む。いくつかの実施形態では、前記精製は、液体クロマトグラフィーを含む。いくつかの実施形態では、前記液体クロマトグラフィーは、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)である。
【0011】
いくつかの実施形態では、本明細書中に提供する方法は、内部標準の量を検出することを含む。いくつかの実施形態では、前記内部標準は、重水素化ノルエンドキシフェンである。
【0012】
いくつかの実施形態では、イオン化は、大気圧化学イオン化(APCI)によるものである。いくつかの実施形態では、前記イオン化は、ポジティブイオンモードである。
【0013】
いくつかの実施形態では、イオン化は、エレクトロスプレーイオン化(ESI)によるものである。いくつかの実施形態では、前記イオン化は、ポジティブイオンモードである。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記試料は、血清試料である。
【0015】
いくつかの実施形態では、質量分析は、タンデム質量分析である。
【0016】
一態様では、タモキシフェンあるいは1つまたは複数のタモキシフェン代謝産物の量を決定することにより患者におけるタモキシフェン応答を予測する方法が、本明細書中で提供される。いくつかの実施形態では、大量の1つまたは複数のタモキシフェンまたはタモキシフェン代謝産物は、患者におけるタモキシフェンに対する陽性応答を示す。いくつかの実施形態では、前記代謝産物は、ノルエンドキシフェンを含む。いくつかの実施形態では、前記代謝産物は、エンドキシフェンまたはN−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェンを含む。いくつかの実施形態では、前記代謝産物は、4’−ヒドロキシタモキシフェンを含む。いくつかの実施形態では、前記代謝産物は、4−ヒドロキシタモキシフェンを含む。いくつかの実施形態では、前記代謝産物は、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェンを含む。いくつかの実施形態では、前記代謝産物は、N−デスメチルタモキシフェンを含む。いくつかの実施形態では、前記代謝産物は、ノルエンドキシフェン、エンドキシフェン、4’−ヒドロキシタモキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェン、およびN−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェンを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、本明細書中に提供する方法は、定量限界(LOQ)により測定される感度を有する。いくつかの実施形態では、タモキシフェンの定量化方法は、5ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、タモキシフェンの定量化方法は、4ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、タモキシフェンの定量化方法は、3ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、タモキシフェンの定量化方法は、3ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、タモキシフェンの定量化方法は、2ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、タモキシフェンの定量化方法は、1.5ng/mL以下の定量限界を有する。
【0018】
いくつかの実施形態では、N−デスメチルタモキシフェンの定量化方法は、5ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチルタモキシフェンの定量化方法は、4ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチルタモキシフェンの定量化方法は、3ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチルタモキシフェンの定量化方法は、3ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチルタモキシフェンの定量化方法は、2ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチルタモキシフェンの定量化方法は、1.5ng/mL以下の定量限界を有する。
【0019】
いくつかの実施形態では、4’−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、5ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、4’−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、4ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、4’−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、3ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、4’−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、3ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、4’−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、2ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、4’−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、1.5ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、4’−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、1ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、4’−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、0.5ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、4’−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、0.4ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、4’−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、0.2ng/mL以下の定量限界を有する。
【0020】
いくつかの実施形態では、4−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、5ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、4−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、4ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、4−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、3ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、4−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、3ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、4−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、2ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、4−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、1.5ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、4−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、1ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、4−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、0.5ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、4−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、0.4ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、4−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、0.2ng/mL以下の定量限界を有する。
【0021】
いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン)の定量化方法は、5ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン)の定量化方法は、4ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン)の定量化方法は、3ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン)の定量化方法は、3ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン)の定量化方法は、2ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン)の定量化方法は、1.5ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン)の定量化方法は、1ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン)の定量化方法は、0.5ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン)の定量化方法は、0.4ng/mL以下の定量限界を有する。
【0022】
いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、5ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、4ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、3ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、3ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、2ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、1.5ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、1ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、0.5ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、0.4ng/mL以下の定量限界を有する。
【0023】
いくつかの実施形態では、ノルエンドキシフェンの定量化方法は、5ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、ノルエンドキシフェンの定量化方法は、4ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、ノルエンドキシフェンの定量化方法は、3ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、ノルエンドキシフェンの定量化方法は、3ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、ノルエンドキシフェンの定量化方法は、2ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、ノルエンドキシフェンの定量化方法は、1.5ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、ノルエンドキシフェンの定量化方法は、1.2ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、ノルエンドキシフェンの定量化方法は、1ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、ノルエンドキシフェンの定量化方法は、0.5ng/mL以下の定量限界を有する。
【0024】
いくつかの実施形態では、本明細書中に提供する方法は、検出限界(LOD)により測定される感度を有する。いくつかの実施形態では、タモキシフェンの検出方法は、5ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、タモキシフェンの検出方法は、4ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、タモキシフェンの検出方法は、3ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、タモキシフェンの検出方法は、3ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、タモキシフェンの検出方法は、2ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、タモキシフェンの検出方法は、1.5ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、タモキシフェンの検出方法は、1ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、タモキシフェンの検出方法は、0.6ng/mL以下の検出限界を有する。
【0025】
いくつかの実施形態では、N−デスメチルタモキシフェンの検出方法は、5ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチルタモキシフェンの検出方法は、4ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチルタモキシフェンの検出方法は、3ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチルタモキシフェンの検出方法は、3ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチルタモキシフェンの検出方法は、2ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチルタモキシフェンの検出方法は、1.5ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチルタモキシフェンの検出方法は、1ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチルタモキシフェンの検出方法は、0.6ng/mL以下の検出限界を有する。
【0026】
いくつかの実施形態では、4’−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、5ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、4’−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、4ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、4’−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、3ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、4’−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、3ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、4’−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、2ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、4’−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、1.5ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、4’−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、1ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、4’−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、0.5ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、4’−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、0.4ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、4’−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、0.2ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、4’−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、0.1ng/mL以下の検出限界を有する。
【0027】
いくつかの実施形態では、4−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、5ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、4−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、4ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、4−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、3ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、4−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、3ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、4−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、2ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、4−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、1.5ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、4−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、1ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、4−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、0.5ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、4−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、0.4ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、4−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、0.2ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、4−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、0.1ng/mL以下の検出限界を有する。
【0028】
いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン)の検出方法は、5ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン)の検出方法は、4ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン)の検出方法は、3ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン)の検出方法は、3ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン)の検出方法は、2ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン)の検出方法は、1.5ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン)の検出方法は、1ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン)の検出方法は、0.5ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン)の検出方法は、0.4ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン)の検出方法は、0.2ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン)の検出方法は、0.15ng/mL以下の検出限界を有する。
【0029】
いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、5ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、4ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、3ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、3ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、2ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、1.5ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、1ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、0.5ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、0.4ng/mL以下の検出限界を有する。
【0030】
いくつかの実施形態では、ノルエンドキシフェンの検出方法は、5ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、ノルエンドキシフェンの検出方法は、4ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、ノルエンドキシフェンの検出方法は、3ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、ノルエンドキシフェンの検出方法は、3ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、ノルエンドキシフェンの検出方法は、2ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、ノルエンドキシフェンの検出方法は、1.5ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、ノルエンドキシフェンの検出方法は、1.2ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、ノルエンドキシフェンの検出方法は、1ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、ノルエンドキシフェンの検出方法は、0.5ng/mL以下の検出限界を有する。
【0031】
本明細書中で使用する場合、「精製」または「精製すること」という用語は、目的の分析物(analyte(s))以外の試料由来の材料全てを除去することを指さない。代わって、精製は、試料の1つまたは複数の他の構成成分に対して、目的の1つまたは複数の分析物の量を富化させる手順を指す。精製は、本明細書中で使用する場合、全ての他のものからの分析物の単離を必要としない。好ましい実施形態では、精製工程または手順を使用して、1つまたは複数の干渉物質、例えば、該方法で使用される機器の操作に干渉する1つもしくは複数の物質または質量分析による分析物イオンの検出に干渉し得る物質を除去することができる。
【0032】
本明細書中で使用する場合、イオンの質量の測定を含まない定量的測定に関連して「約」という用語は、表示値プラスまたはマイナス10%を指す。
【0033】
本明細書中で使用する場合、「実質的に全ての」という用語は、50%を上回る、より好ましくは60%を上回る、より好ましくは70%を上回る、より好ましくは80%を上回る、およびより好ましくは90%を上回る任意の割合を指す。
【0034】
本明細書中で使用する場合、「試料」という用語は、目的の分析物を含有し得る任意の試料を指す。本明細書中で使用する場合、「体液または組織」という用語は、個体の身体から単離することができる任意の液体または組織を意味する。例えば、「体液または組織」は、血液、血漿、血清、胆汁、唾液、尿、涙、汗等を含んでもよい。固体組織が分析され得る場合、組織中に存在する任意の分析物を含有し得る液体分画を放出するように加工処理してもよい。続いて、液体分画は、本明細書中に記載する方法が課せられ得る。
【0035】
本明細書中で使用する場合、「サイズ分離技法」という用語は、分子の重量および形状のいずれか1つまたは複数に基づいて試験試料から少なくとも1種の種の分離を可能にする任意の技法(物理的または化学的)を意味する。かかる技法の例として、濾過、クロマトグラフィー、および質量分析にある特定の態様が挙げられるが、それらに限定されない。
【0036】
本明細書中で使用する場合、「クロマトグラフィー」という用語は、液体または気体により運搬される化学混合物を、それらが固定液体または固体相付近を、その上を、および/またはそれを通って流動する際に化学成分の差次的分配の結果として構成成分へ分離するプロセスを指す。
【0037】
本明細書中で使用する場合、「液体クロマトグラフィー」または「LC」という用語は、流体が微細物質のカラムに、またはキャピラリー通路に一様に浸透する際の、流体溶液の1つまたは複数の構成成分の選択的遅延のプロセスを意味する。この流体が固定相(phase(s))に対して移動するため、遅延は、1つまたは複数の固定相とバルク流体(即ち、移動相)との間の混合物の構成成分の分配に起因する。「液体クロマトグラフィー」として、逆相液体クロマトグラフィー(RPLC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)および高乱流液体クロマトグラフィー(HTLC)が挙げられる。
【0038】
本明細書中で使用する場合、「高速液体クロマトグラフィー」または「HPLC」という用語は、移動相を圧力下で、固定相、通常高密度充填カラムに通して送ることにより、分離度が増大する液体クロマトグラフィーを指す。
【0039】
本明細書中で使用する場合、「質量分析」または「MS」という用語は、それらの質量により化合物を同定するための分析技法を指す。MSは、それらのm/zでイオンをフィルタリング、検出および測定する方法を指す。MS技術は概して、(1)化合物をイオン化して、荷電種(例えば、イオン)を形成させること、および(2)イオンの分子量を検出して、それらのm/zを算出することを含む。化合物は、任意の適切な手段によりイオン化および検出され得る。「質量分析計」は概して、イオン化装置およびイオン検出器を含む。一般に、目的の1つまたは複数の分子がイオン化されて、続いて、イオンは質量分析機器へ導入されて、そこで、磁場と電場の組合せに起因して、イオンは、質量(「m」)および電荷(「z」)に依存している空間を辿る。例えば、「Mass Spectrometry From Surfaces」という表題の米国特許第6,204,500号;「Methods and Apparatus for Tandem Mass Spectrometry」という表題の同第6,107,623号;「DNA Diagnostics Based On Mass Spectrometry」という表題の同第6,268,144号;「Surface−Enhanced Photolabile Attachment And Release For Desorption And Detection Of Analytes」という表題の同第6,124,137号;Wright et al.,Prostate Cancer and Prostatic Diseases 2:264−76(1999);およびMerchant and Weinberger,Electrophoresis 21:1164−67(2000)を参照されたい。
【0040】
本明細書中で使用する場合、「ポジティブイオンモードで作動すること」という用語は、陽イオンが検出される質量分析法を指す。同様に、「ネガティブイオンモードで作動すること」という用語は、陰イオンが検出される質量分析法を指す。
【0041】
本明細書中で使用する場合、「イオン化」または「イオン化すること」という用語は、1つまたは複数の電子ユニットに等しい正味の電荷を有する分析物イオンを発生させるプロセスを指す。陽イオンは、1つまたは複数の電子ユニットの正味の正電荷を有するものである。陰イオンは、1つまたは複数の電子ユニットの正味の負電荷を有するものである。
【0042】
本明細書中で使用する場合、「電子イオン化」または「EI」という用語は、気相または蒸気相中の目的の分析物が、電子流と相互作用する方法を指す。電子と分析物との衝突は、分析物イオンを生じ、続いてそれが、質量分析技法に付され得る。
【0043】
本明細書中で使用する場合、「化学的イオン化」または「CT」という用語は、試薬ガス(例えば、アンモニア)が電子衝突にさらされて、試薬ガスイオンと分析物分子の相互作用により、分析物イオンが形成される方法を指す。
【0044】
本明細書中で使用する場合、「高速原子衝撃」または「FAB」という用語は、高エネルギー原子(多くの場合は、XeまたはAr)のビームが不揮発性試料に衝突して、試料中に含有される分子を脱離およびイオン化する方法を指す。試験試料は、グリセロール、チオグリセロール、m−ニトロベンジルアルコール、18−クラウン−6−クラウンエーテル、2−ニトロフェニルオクチルエーテル、スルホラン、ジエタノールアミン、およびトリエタノールアミンなどの粘性液体マトリックス中に溶解される。化合物または試料に適したマトリックスの選択は、経験的プロセスである。
【0045】
本明細書中で使用する場合、「マトリックス支援レーザー脱離イオン化」または「MALDI」という用語は、不揮発性試料をレーザー照射に曝露させて、それが、光イオン化、プロトン化、脱プロトン化およびクラスター崩壊を含む各種イオン化経路により試料中の分析物を脱離およびイオン化する方法を指す。MALDIに関して、試料は、エネルギー吸収マトリックスと混合して、それが、分析物分子の脱離を促進する。
【0046】
本明細書中で使用する場合、「表面増強レーザー脱離イオン化」または「SELDI」という用語は、不揮発性試料をレーザー照射に曝露させて、それが、光イオン化、プロトン化、脱プロトン化およびクラスター崩壊を含む各種イオン化経路により試料中の分析物を脱離およびイオン化する別の方法を指す。SELDIに関して、試料は通常、目的の1つまたは複数の分析物を優先的に保持する表面に結合される。MALDIと同様に、このプロセスもまた、エネルギー吸収材料を用いて、イオン化を促進してもよい。
【0047】
本明細書中で使用する場合、「エレクトロスプレーイオン化」または「ESI」という用語は、長さが短いキャピラリー管に沿って溶液を通過させて、その末端に高い正または負電位が印加される方法を指す。管の末端に到達する溶液は、溶媒蒸気中の溶液の非常に小さな液滴のジェットまたはスプレーへと気化(噴霧)される。液滴のこのミストは、蒸発チャンバーを通って流れて、これがわずかに加熱されて、凝縮を防止して、溶媒を蒸発させる。液滴がより小さくなるにつれて、同様の電荷間の自然の反発が、イオンならびに中性分子を放出させるような時点まで、電子表面電荷密度は増加する。
【0048】
本明細書中で使用する場合、「大気圧化学イオン化」または「APCI」という用語は、ESIに類似した質量分析法を指すが、APCIは、大気圧でプラズマ内に起こるイオン−分子反応によりイオンを生じる。プラズマは、スプレーキャピラリーと対電極との間での放電により維持される。次に、イオンは通常、一組の差動排気スキマーステージ(differentially pumped skimmer stages)を用いて質量分析計へと抽出される。乾燥および予熱Nガスの対向流を使用して、溶媒の除去を改善してもよい。APCIにおける気相イオン化は、より極性が低い種を分析するのに、ESIよりも有効であり得る。
【0049】
「大気圧光イオン化」または「APPI」という用語は、本明細書中で使用する場合、分子Mの光イオン化に関する機構が、光子吸収および電子放出分子であり、分子M+を形成する質量分析の形態を指す。光子エネルギーは通常、イオン化電位の少し上であるため、分子イオンは解離を受けにくい。多くの場合、クロマトグラフィーを必要とせずに試料を分析することが可能である可能性があり、したがって、大幅な時間と費用を節約する。水蒸気またはプロトン性溶媒の存在下で、分子イオンはHを抽出してMH+を形成し得る。これは、Mが高いプロトン親和性を有する場合に起きる傾向がある。これは、M+およびMH+の和が一定であるため、定量精度に影響を及ぼさない。プロトン性溶媒中の薬物化合物は通常、MH+として観察されるのに対して、ナフタレンまたはテストステロンなどの非極性化合物は、通常M+を形成する。Robb,D.B.,Covey,T.R.and Bruins,A.P.(2000):例えば、Robb et al.,Atmospheric pressure photoionization:An ionization method for liquid chromatography−mass spectrometry.Anal.Chem.72(15):3653−3659を参照されたい。
【0050】
本明細書で使用する場合、「誘導結合プラズマ」または「ICP」という用語は、ほとんどの元素を微粒子化およびイオン化するのに十分高温で、試料を、部分的イオン化ガスと相互作用させる方法を指す。
【0051】
本明細書中で使用する場合、「電界脱離」という用語は、不揮発性試験試料がイオン化表面に配置され、強電界を使用して、分析物イオンを発生させる方法を指す。
【0052】
本明細書中で使用する場合、「脱離」という用語は、表面からの分析物の除去および/または気相への分析物の移行を指す。
【0053】
本明細書中で使用する場合、「定量限界」または「LOQ」という用語は、測定が定量的に有意義になるポイントを指す。このLOQでの分析物応答は、精度20%および正確度80%〜120%で同定可能であり、離散しており、また再現性がある。
【0054】
本明細書中に開示する方法のある特定の好ましい実施形態では、質量分析は、ポジティブイオンモードで実施される。本明細書中に開示する方法のある特定の特に好ましい実施形態では、質量分析は、ESIを用いて実施される。
【0055】
他の好ましい実施形態では、別個に検出可能な内部標準が、試料中に供給される。
【0056】
一実施形態では、該方法は、LCと質量分析との組合せを包含する。別の好ましい実施形態では、質量分析は、タンデム質量分析(MS/MS)である。
【0057】
上述する本発明の概要は、非限定的であり、本発明の他の特徴および利点は、以下の本発明の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかである。
【発明を実施するための形態】
【0058】
患者試料中のタモキシフェンおよび/またはその代謝産物を定量的に測定する方法について記載する。この定量的測定は、LC−MS/MS技法の使用によって達成される。LC−MS/MSの使用に先立って、試料は、下記技法またはそのいずれか一部により調製され得る。試料中のタモキシフェンおよび/またはその代謝産物の第1の精製は、タンパク質精製、濾過またはクロマトグラフィーの使用によって実施され得る。
【0059】
任意の適切なサイズ分離技法を利用し得るが、下記の例では、第1および第2のサイズ分離技法がともに、分子量カットオフフィルターに通す濾過である。同様に、下記の実施例で論述するように、同じフィルターを、第1のサイズ分離および第2のサイズ分離の両方に使用することができるように、適切な分子量カットオフを有する分子量カットオフフィルターを選択することが可能である。
【0060】
LC、最も好ましくはHPLCは、単独で、または他の精製方法と組み合わせて、選択した分析物を精製するのに利用され得る。この精製は、MS/MSと組み合わせて、それにより試験試料中の選択した分析を定量化するためのアッセイ系を提供する。続いて、試料中の選択した分析物の量を使用して、元の試験試料中のタモキシフェンの量を決定する。本明細書中に提供する定量化方法は、特異性を高めており、方法論的な問題(抗体干渉などの)を受けにくい。
【0061】
適切な試料は、目的の分析物を含有し得る任意の試験試料を含んでもよい。いくつかの好ましい実施形態では、試料は、生物学的試料、即ち、動物、細胞培養物、臓器培養物等などの任意の生物学的供給源から得られる試料である。ある特定の好ましい実施形態では、試料は、イヌ、ネコ、ウマ等などの哺乳類動物から得られる。特に好ましい哺乳動物は、霊長類、最も好ましくはヒトである。特に好ましい試料として、血液、血漿、血清、尿、唾液、涙、脳脊髄液、または他の体液または組織試料が挙げられる。かかる試料は、例えば患者、即ち疾患もしくは状態の診断、予後または治療に関する臨床背景にある生身の人間から得られ得る。試験試料は好ましくは、患者、例えば血清または血漿から得られる。
【0062】
質量分析用の試料調製物
試料は、質量分析による分析に適している調製物を得るために加工処理または精製されてもよい。かかる精製は通常、液体クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーを含み、また、多くの場合、クロマトグラフィーに先立って実施されるさらなる精製手順を含んでもよい。各種手順は、試料のタイプまたはクロマトグラフィーのタイプに応じて、この目的で使用され得る。例として、濾過、遠心分離、それらの組合せ等が挙げられる。
【0063】
濾過は、クロマトグラフィー用の試験試料、特に血清または血漿などの生物学的試験試料を調製する1つの好ましい方法である。かかる濾過は、フィルターのカットオフよりも大きい分子量を有する種を、フィルターのカットオフよりも小さい分子量を有する種と分離するための分子量カットオフフィルターに通して、試験試料を濾過することにより実施される。完全な(またはほぼ完全な)濾過後にフィルター上に残存する試験試料は、フィルターのカットオフよりも小さい分子量を有する潜在的に干渉する種を実質的に含まない。
【0064】
質量分析解析に先立つ試料浄化のためのHPLCの使用を含む各種方法が記載されている。例えば、Taylor et al.,Therapeutic Drug Monitoring 22:608−12(2000)(血液試料の手動沈降、続く手動C18固相抽出、C18分析用カラム上でのクロマトグラフィーのためのHPLCへの注入、およびMS/MS分析);およびSalm et al.,Clin.Therapeutics 22 Supl.B:B71−B85(2000)(血液試料の手動沈降、続く手動C18固相抽出、C18分析用カラム上でのクロマトグラフィーのためのHPLCへの注入、およびMS/MS分析)を参照されたい。当業者は、該方法における使用に適しているHPLC機器およびカラムを選択してもよい。クロマトグラフィーカラムは通常、化学部分の分離(即ち、分画)を容易にするための媒質(即ち、充填材料)を含む。媒質は、微小粒子を含んでもよい。粒子は、化学部分の分離を容易にするための各種化学部分と相互作用する結合表面を含む。1つの適切な結合表面は、アルキル結合表面などの疎水性結合表面である。アルキル結合表面は、C−4、C−8、またはC−18結合アルキル基、好ましくはC−8結合基を含んでもよい。クロマトグラフィーカラムは、試料を受け取るための入口ポートおよび分画された試料を含む溶出物を排出させるための出口ポートを含む。
【0065】
ある特定の実施形態では、目的の分析物がカラム充填材料により可逆的に保持される一方で、1つまたは複数の他の材料は保持されない条件下で、試料をカラムにかけることにより、分析物は精製され得る。これらの実施形態では、目的の分析物がカラムにより保持される第1の移動相条件を用いることができ、続いて、第2の移動相条件は、保持されない材料がいったん洗い流されたら、保持された材料をカラムから除去するのに使用することができる。あるいは、目的の分析物が、1つまたは複数の他の材料と比較して、異なる速度で溶出する移動相条件下で、試料をカラムにかけることにより、分析物は精製され得る。かかる手順は、試料の1つまたは複数の他の構成成分に対して、目的の1つまたは複数の分析物の量を富化させてもよい。
【0066】
一実施形態では、分析されるべき試料は、入口ポートでカラムにかけられ、溶媒または溶媒混合物で溶出されて、出口ポートで排出される。種々の溶媒モードは、目的の分析物を溶出させることに関して選択され得る。例えば、液体クロマトグラフィーは、勾配モード、定組成モード、またはポリタイピック(polytyptic)(即ち、混合)モードを使用して実施されてもよい。好ましい実施形態では、HPLCは、移動相としてHPLCグレード超純水中の0.2%ギ酸および100%メタノール中の0.2%ギ酸を使用して、C8固相を用いた分析用HPLCシステムで実施される。
【0067】
多数のカラム充填が、試料のクロマトグラフィー分離に利用可能であり、適切な分離プロトコールの選択は、試料の特徴、目的の分析物、干渉物質の存在およびそれらの特徴等に依存する経験的プロセスである。市販のHPLCカラムとして、極性、イオン交換(陽イオンおよび陰イオンの両方)、疎水性相互作用、フェニル、C−2、C−8、C−18および多孔質ポリマーカラムの極性コーティングが挙げられるが、それらに限定されない。
【0068】
一実施形態では、HPLCカラムは、メジアン粒子サイズ5μm(公称)およびメジアン粒子孔サイズ100Åを有するC8固相を有する。好ましい実施形態では、カラム寸法は、直径1.0mm×長さ50mmである(Phenomenex Corp.Luna 5μ C8(2) 100Å New Column 50x1.0mm、Phenomenex Cat.No.00B−4249−A0または等価体)。
【0069】
クロマトグラフィー中に、材料の分離は、溶離液(「移動相」としても公知)の選択、勾配溶出の選択および勾配条件、温度等などの変数により達成される。
【0070】
質量分析による検出および定量化
様々な実施形態では、分析物は、当業者に公知の任意の方法によりイオン化され得る。質量分析は、質量分析計を使用して実施され、それは、分画された試料をイオン化して、さらなる分析のための荷電分子を創出するためのイオン源を含む。様々なMS技法で使用されるイオン源として、電子イオン化、化学イオン化、エレクトロスプレーイオン化(ESI)、光子イオン化、大気圧化学イオン化(APCI)、光イオン化、大気圧光イオン化(APPI)、高速原子衝撃(FAB)/液体二次イオン化(LSIMS)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)、電解イオン化、電解脱離、サーモスプレー/プラズマスプレーイオン化、表面増強レーザー脱離イオン化(SELDI)、誘導結合プラズマ(ICP)および粒子ビームイオン化が挙げられるが、それらに限定されない。イオン化方法の選択が、測定されるべき分析物、試料のタイプ、検出器のタイプ、ポジティブ対ネガティブモードの選択等に基づいて決定され得ることは、当業者に理解されよう。
【0071】
好ましい実施形態では、分析物は、分析物前駆体イオンを創出するエレクトロスプレーイオン化(ESI)によりイオン化される。関連する好ましい実施形態では、分析物前駆体イオンは、ガス状態で存在、不活性衝突ガスは、アルゴンである。
【0072】
試料がイオン化された後、それにより創出された正に帯電したイオンを分析して、m/zを決定し得る。m/zを決定するのに適した分析器として、四重極分析器、イオントラップ分析器、および飛行時間型分析器が挙げられる。イオンは、いくつかの検出モードのうちの1つを使用して検出され得る。例えば、選択したイオンのみが、選択的イオンモニタリングモード(SIM)を使用して検出されてもよく、あるいは多重イオンが、走査モード、例えば多重反応モニタリング(MRM)または選択反応モニタリング(SRM)を使用して検出されてもよい。好ましい実施形態では、イオンは、SRMを使用して検出される。
【0073】
好ましくは、m/zは、四重極機器を使用して決定される。「四重極」または「四重極イオントラップ」機器では、振動無線周波電磁界中のイオンは、電極間に印加したDC電位に比例した力、RFシグナルの振幅、およびm/zを受ける。電圧および振幅は、特定のm/zを有するイオンのみが、四重極の長さ方向を進むように選択され得る一方で、他のイオン全てが偏向される。したがって、四重極機器は、機器へ注入されたイオンに関して「質量フィルター」および「質量検出器」の両方として作用し得る。
【0074】
「タンデム試料分析」または「MS/MS」を用いることにより、MS技法の分解能を高めてもよい。この技法では、目的の分子から生成する前駆体イオン(親イオンとも呼ばれる)は、MS機器でフィルタリングされて、次に前駆体イオンは断片化を受けて、1つまたは複数の断片イオン(娘イオンまたは生成物イオンとも呼ばれる)を生じることができ、続いて1つまたは複数の断片イオンは、第2のMS手順で分析される。前駆体イオンの慎重な選択により、ある特定の分析物により生産されるイオンのみが、断片化チャンバーへと移動して、そこで、不活性ガスの原子との衝突により、断片イオンが生じる。前駆体および断片イオンの両方が、所定の組のイオン化/断片化条件下で再現可能な様式で生産されるため、MS/MS技法は、極めて強力な分析ツールを提供し得る。例えば、ろ過/断片化の組合せを使用して、干渉物質を排除してもよく、生物学的試料などの複雑試料に特に有用であり得る。
【0075】
さらに、飛行時間型分析器と連動したマトリックス支援レーザー脱離イオン化(「MALDI−TOF」)などの、技術における最近の進歩により、非常に短いイオンパルスでフェムトモルレベルでの分析物の分析が可能となる。飛行時間型分析器とタンデムMSとを組み合わせる質量分析計もまた、当業者に周知である。さらに、多重質量分析工程は、「MS/MS」として公知の方法で組み合わせてもよい。MS/MS/TOF、MALDI/MS/MS/TOF、またはSELDI/MS/MS/TOF質量分析などの様々な他の組合せを用いてもよい。
【0076】
質量分析計は通常、使用者に、イオンスキャン、即ち所定の範囲(例えば、400〜1600amu)にわたる特定のm/zを用いた各イオンの相対存在量を提供する。分析物アッセイの結果、即ち質量スペクトルは、当業者に公知の数多くの方法により元の試料中の分析物の量に関連付けることができる。例えば、試料採取および分析パラメーターが慎重に制御されることから、所定のイオンの相対存在量は、その相対存在量を元の分子の絶対量に変換する表と比較することができる。あるいは、分子標準物質を試料とともに実行し、それらの標準物質から発生するイオンに基づいて、標準曲線を構築することができる。かかる標準曲線を使用して、所定のイオンの相対存在量を、元の分子の絶対量へ変換し得る。ある特定の好ましい実施形態では、内部標準を使用して、タモキシフェンの量を算出するための標準曲線を作成する。かかる標準曲線を作成および使用する方法は、当該技術分野で周知であり、当業者は、適切な内部標準を選択することが可能である。イオンの量を、元の分子の量に関連付ける数多くの他の方法が、当業者に周知である。
【0077】
該方法の1つまたは複数の工程は、自動化された機械を使用して実施してもよい。ある特定の実施形態では、1つまたは複数の精製工程は、オンラインで実施され、より好ましくは、LC精製および質量分析工程は全て、オンライン様式で実施され得る。
【0078】
ある特定の実施形態では、MS/MSなどの技法を使用して、さらなる断片化のために前駆体イオンを単離する。これらの実施形態では、衝突活性化解離(CAD)を使用して、さらなる検出のために断片イオンを発生させてもよい。CADでは、前駆体イオンは、不活性ガスとの衝突によりエネルギーを獲得し、続いて「単分子分解」と称されるプロセスにより、断片化を受ける。十分なエネルギーが、前駆体イオンに堆積されなくてはならず、その結果、イオン内のある特定の結合が、振動エネルギーの増加に起因して破壊され得る。代替的な実施形態では、電子移動解離(ETD)を使用して、断片イオンを発生させてもよい。ETDでは、ラジカル陰イオンを使用して、電子を、多数重なった帯電ペプチドまたはタンパク質陽イオンへ移動させて、ペプチド骨格に沿ったランダムな切断をもたらす。
【0079】
特に好ましい実施形態では、分析物は、下記の通りにLC−MS/MSを使用して検出および/または定量化される。上述するように調製された分析物に富んだ試料をLCに付す。クロマトグラフィーカラムからの液体溶媒流は、LC−MS/MS分析器の加熱ネブライザー界面へと進み、溶媒/分析物混合物は、界面の加熱チューブで蒸気へ変換される。噴霧溶媒中に含有される分析物は、噴霧溶媒/分析物混合物へ大きな電圧を印加する界面のコロナ放電針によりイオン化される。イオンは、機器の開口部を通過して、第1の四重極へと進む。四重極1および3(Q1およびQ3)は、質量フィルターであり、それらのm/zに基づいて、イオンの選択(即ち、「前駆体」および「断片」イオン)を可能にする。四重極2(Q2)は、衝突セルであり、そこでイオンは断片化を受ける。Q1は、前駆体イオンのm/zを用いてイオンを選択する。選択された前駆体イオンは、衝突チャンバー(Q2)へ通過するのが可能となる一方で、任意の他のm/zを有するイオンは、Q1の側面と衝突して、排除される。Q2へと進む前駆体イオンは、中性アルゴンガス分子との衝突により、衝突活性化解離(CAD)で断片化を受けてもよい。あるいは、Q2へと進む前駆体イオンが、多数重なった帯電陽イオンである場合、それらは、電子移動解離(ETD)で断片化を受けてもよい。発生した断片イオンは、Q3へと通過して、そこで、選択された断片イオンが収集される一方で、他のイオンは排除される。
【0080】
当該技術分野で周知の標準的な方法を使用して、当業者は、Q3における選択に使用され得る特定の前駆体イオンの1つまたは複数の断片イオンを同定することが可能である。特異的な断片イオンは、類似した分子構造を有する他の分子により、相当量で形成されないものである。対比して、非特異的断片イオンは、所望の分析物以外の分子により形成されるものである。適切な特異的断片イオンは、選択された分析物により形成される断片イオンがまた、類似した構造または特徴を有する他の分子により形成されるかどうかを決定するのに様々な分子標準物質を試験することにより同定され得る。好ましくは、分析物イオンのm/zに相当するm/zを有するイオンに特異的な少なくとも1つの断片イオンが同定される。
【0081】
イオンが検出器と衝突するにつれ、それらは、デジタルシグナルへ変換される電子のパルスを生じる。獲得データはコンピューターへ中継されて、コンピューターは、単位時間当たりのイオン計数をプロットする。特定のイオンに相当するピーク下の面積、またはかかるピークの振幅を測定して、面積または振幅が、目的の分析物の量と相関される。ある特定の実施形態では、断片イオン(ion(s))および/または前駆体イオンに関する曲線下の面積、またはピークの振幅を測定して、m/zを用いて分析物の量を決定する。上述するように、所定のイオンの相対存在量は、内部分子標準の1つまたは複数のイオンのピークに基づく較正標準曲線を使用して、元の分析物の絶対量へ変換され得る。続いて、LC−MS/MSにより検出される分析物の絶対量を、元の試験試料中に存在する分析物の絶対量へ変換することができる。
【0082】
いくつかの実施形態では、本明細書中に提供する方法は、定量限界(LOQ)により測定される感度を有する。いくつかの実施形態では、タモキシフェンの定量化方法は、5ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、タモキシフェンの定量化方法は、4ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、タモキシフェンの定量化方法は、3ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、タモキシフェンの定量化方法は、3ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、タモキシフェンの定量化方法は、2ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、タモキシフェンの定量化方法は、1.5ng/mL以下の定量限界を有する。
【0083】
いくつかの実施形態では、N−デスメチルタモキシフェンの定量化方法は、5ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチルタモキシフェンの定量化方法は、4ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチルタモキシフェンの定量化方法は、3ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチルタモキシフェンの定量化方法は、3ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチルタモキシフェンの定量化方法は、2ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチルタモキシフェンの定量化方法は、1.5ng/mL以下の定量限界を有する。
【0084】
いくつかの実施形態では、4’−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、5ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、4’−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、4ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、4’−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、3ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、4’−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、3ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、4’−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、2ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、4’−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、1.5ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、4’−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、1ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、4’−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、0.5ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、4’−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、0.4ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、4’−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、0.2ng/mL以下の定量限界を有する。
【0085】
いくつかの実施形態では、4−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、5ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、4−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、4ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、4−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、3ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、4−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、3ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、4−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、2ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、4−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、1.5ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、4−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、1ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、4−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、0.5ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、4−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、0.4ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、4−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、0.2ng/mL以下の定量限界を有する。
【0086】
いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン)の定量化方法は、5ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン)の定量化方法は、4ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン)の定量化方法は、3ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン)の定量化方法は、3ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン)の定量化方法は、2ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン)の定量化方法は、1.5ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン)の定量化方法は、1ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン)の定量化方法は、0.5ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン)の定量化方法は、0.4ng/mL以下の定量限界を有する。
【0087】
いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、5ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、4ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、3ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、3ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、2ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、1.5ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、1ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、0.5ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェンの定量化方法は、0.4ng/mL以下の定量限界を有する。
【0088】
いくつかの実施形態では、ノルエンドキシフェンの定量化方法は、5ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、ノルエンドキシフェンの定量化方法は、4ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、ノルエンドキシフェンの定量化方法は、3ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、ノルエンドキシフェンの定量化方法は、3ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、ノルエンドキシフェンの定量化方法は、2ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、ノルエンドキシフェンの定量化方法は、1.5ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、ノルエンドキシフェンの定量化方法は、1.2ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、ノルエンドキシフェンの定量化方法は、1ng/mL以下の定量限界を有する。いくつかの実施形態では、ノルエンドキシフェンの定量化方法は、0.5ng/mL以下の定量限界を有する。
【0089】
いくつかの実施形態では、本明細書中に提供する方法は、検出限界(LOD)により測定される感度を有する。いくつかの実施形態では、タモキシフェンの検出方法は、5ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、タモキシフェンの検出方法は、4ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、タモキシフェンの検出方法は、3ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、タモキシフェンの検出方法は、3ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、タモキシフェンの検出方法は、2ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、タモキシフェンの検出方法は、1.5ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、タモキシフェンの検出方法は、1ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、タモキシフェンの検出方法は、0.6ng/mL以下の検出限界を有する。
【0090】
いくつかの実施形態では、N−デスメチルタモキシフェンの検出方法は、5ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチルタモキシフェンの検出方法は、4ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチルタモキシフェンの検出方法は、3ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチルタモキシフェンの検出方法は、3ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチルタモキシフェンの検出方法は、2ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチルタモキシフェンの検出方法は、1.5ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチルタモキシフェンの検出方法は、1ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチルタモキシフェンの検出方法は、0.6ng/mL以下の検出限界を有する。
【0091】
いくつかの実施形態では、4’−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、5ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、4’−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、4ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、4’−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、3ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、4’−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、3ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、4’−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、2ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、4’−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、1.5ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、4’−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、1ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、4’−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、0.5ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、4’−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、0.4ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、4’−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、0.2ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、4’−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、0.1ng/mL以下の検出限界を有する。
【0092】
いくつかの実施形態では、4−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、5ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、4−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、4ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、4−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、3ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、4−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、3ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、4−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、2ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、4−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、1.5ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、4−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、1ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、4−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、0.5ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、4−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、0.4ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、4−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、0.2ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、4−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、0.1ng/mL以下の検出限界を有する。
【0093】
いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン)の検出方法は、5ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン)の検出方法は、4ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン)の検出方法は、3ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン)の検出方法は、3ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン)の検出方法は、2ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン)の検出方法は、1.5ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン)の検出方法は、1ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン)の検出方法は、0.5ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン)の検出方法は、0.4ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン)の検出方法は、0.2ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン)の検出方法は、0.15ng/mL以下の検出限界を有する。
【0094】
いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、5ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、4ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、3ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、3ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、2ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、1.5ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、1ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、0.5ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェンの検出方法は、0.4ng/mL以下の検出限界を有する。
【0095】
いくつかの実施形態では、ノルエンドキシフェンの検出方法は、5ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、ノルエンドキシフェンの検出方法は、4ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、ノルエンドキシフェンの検出方法は、3ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、ノルエンドキシフェンの検出方法は、3ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、ノルエンドキシフェンの検出方法は、2ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、ノルエンドキシフェンの検出方法は、1.5ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、ノルエンドキシフェンの検出方法は、1.2ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、ノルエンドキシフェンの検出方法は、1ng/mL以下の検出限界を有する。いくつかの実施形態では、ノルエンドキシフェンの検出方法は、0.5ng/mL以下の検出限界を有する。
【0096】
下記実施例は、本発明を説明するのに役立つ。これらの実施例は、いかなる場合でも該方法の範囲を限定するものと意図されない。
【実施例1】
【0097】
タモキシフェンおよびその代謝産物の決定
下記手順では、タモキシフェンおよびその代謝産物を、血清から抽出する。血清をフィルタープレートへ添加して、次にアセトニトリル/ISと混合した後、沈降物を形成させる。続いて、混合物を陽圧マニホールド上に配置させて、有機分画を収集プレートまで通す。プレートに蓋をした後、MS/MS上への注入用の総合システム(Cohesive system)上に配置させる。MSは、APCIポジティブモードである。定量化は、特有の親−生成物移行に基づく。類似した移行を有する分析物は、クロマトグラフィーで分離された。
【0098】
【表1】
【0099】
【表2】
【0100】
【表3】
【0101】
使用する較正物質/標準物質
12ポイント較正が、各分析物に使用される。最初に、1つの標準物質のみを作製し(Std−12)、一連の希釈を実施して、残りの標準物質を生成させる。標準物質(#12)は、−70℃の冷凍庫から取り出して、解凍させるべきである。解凍しながら、12個の12×75mmチューブにラベルをする。
【0102】
std−12 3.0mLをチューブ12へ添加する。この標準物質から、以下の表に倣って、標準曲線を創出する。標準物質は、各アッセイを用いて作成されるべきである。−60〜−90℃の冷凍庫中に最初の標準物質を戻す。
【0103】
【表4】
【0104】
これらの分析物がいったん添加されたら、十分量のBiocell血清を用いて200mLにする。混合した後、15mLの遠心チューブへ分取する。ラベルをした(Std−12)後、貯蔵用に−60〜−90℃の冷凍庫中にチューブを入れる。1年間安定である。
【0105】
標準物質標的濃度
【0106】
【表5】
【0107】
【表6】
【0108】
【表7】
【0109】
【表8】
【0110】
備品および供給品
【0111】
アッセイプラットフォーム
下記モジュールを含有するThermo LC/MS/MSシステムをこのアッセイに使用した:
【0112】
【表9】
【0113】
【表10】
【0114】
【表11】
【0115】
【表12】
【0116】
予測値
【0117】
参照範囲:
タモキシフェン:12.54〜233.07ng/mL
N−デスメチルタモキシフェン:2.59〜373.96ng/mL
4’−ヒドロキシタモキシフェン:0.4〜6.33ng/mL
4−ヒドロキシタモキシフェン:0.24〜5.05ng/mL
N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン):0.93〜43.19ng/mL
N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェン:1.17〜19.95ng/mL
【0118】
分析的測定範囲(AMR)
タモキシフェン:1.47〜1500ng/mL
N−デスメチルタモキシフェン:1.47〜1500ng/mL
4’−ヒドロキシタモキシフェン:0.2〜200ng/mL
4−ヒドロキシタモキシフェン:0.2〜200ng/mL
N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン):0.39〜400ng/mL
N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェン:0.39〜400ng/mL
【0119】
精度:アッセイ間(アッセイの期間)および内(1日)の精度研究を、低、中および高対照を使用して実施した。分析物は全て、バリデーションの期間にわたって12%未満の変動係数を示した。
【0120】
干渉物質:軽度または中程度の黄疸および脂質血症試料は許容可能である。溶血性試料は、それらが試料調製中にフィルターを詰まらせるため許容不可能である。極めて溶血された黄疸および脂質血症試料は許容不可能である。
【0121】
臨床的感度(LOQ):
タモキシフェン:1.47ng/mL
N−デスメチルタモキシフェン:1.46ng/mL
4’−ヒドロキシタモキシフェン:0.2ng/mL
4−ヒドロキシタモキシフェン:0.2ng/mL
N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン):0.39ng/mL
N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェン:0.39ng/mL
【実施例2】
【0122】
タモキシフェンおよびその代謝産物アッセイのバリデーション
この報告には、LC/MS/MSによるタモキシフェンおよびその5つの主要な第1相代謝産物に関するバリデーションの詳細な概要が含まれる。アッセイは、研究室で開発した試験である。
【0123】
方法:タモキシフェンおよびその5つの主要な第1相代謝産物(N−デスメチルタモキシフェン、N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン、N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、および4’−ヒドロキシタモキシフェン)を血清から抽出する。抽出は、タンパク質沈降、続く濾過である。次に、分析および定量化をLC/MS/MSにより実施する。
【0124】
【表13】
【0125】
研究室で開発した試験(LDT)に関する精度研究
実行内精度:低、中および高対照を1回の実行内で分析した(10)。QCは全て、合格基準内に収まった(変動係数 20%未満)。
【0126】
【表14】
【0127】
【表15】
【0128】
【表16】
【0129】
総精度:総精度は、バリデーションプロセス中のアッセイ全てに関するQC実行全てに基づいた。合格判定は、変動係数 20%未満に基づいた。QCは全て、この判断基準内に収まった。
【0130】
【表17】
【0131】
【表18】
【0132】
【表19】
【0133】
分析的感度(検出限界)
検出限界(LOD):検出限界(LOD)は、低プール(分析物全てを含有する)を取り出して、続いて最低観察可能レベルにまで段階的に希釈する(1:2)ことにより実施した。直線性が、定量限界(LOQ)のレベル以下で継続すると仮定すると、以下の値が、最低定量化可能濃度であろう。この実験を5日にわたって実施した。
タモキシフェン:0.59ng/mL
N−デスメチルタモキシフェン:0.59ng/mL
4’−ヒドロキシタモキシフェン:0.1ng/mL
N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェン:0.5ng/mL
4−ヒドロキシタモキシフェン:0.1ng/mL
N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン):0.15ng/mL
【0134】
定量限界(LOQ):LOQに関する合格基準は、変動係数 20%未満である最低濃度として定義される。LOQを決定するために、中レベル標準物質を、1:2に段階的に希釈した。
タモキシフェン:1.5ng/mL
N−デスメチルタモキシフェン:1.5ng/mL
4’−ヒドロキシタモキシフェン:0.4ng/mL
N−デスメチル−4’−ヒドロキシタモキシフェン:0.4ng/mL
4−ヒドロキシタモキシフェン:0.2ng/mL
N−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン):0.4ng/mL
【0135】
正確度
公知の標準物質の回収率:血清に分析物全てを特定濃度まで添加して、抽出した後、三重反復で分析した。ミックスは全て、各分析物の線形および治療範囲を網羅するように添加された。
【0136】
【表20】
【0137】
干渉研究
合格基準:潜在的な干渉物質に起因する差は、許容可能であるとみなされるにはTEa/4以下であるべきである。
【0138】
溶血干渉:低および高プールに、溶血したRBCを、低、中および高濃度で添加した。試料を四重反復で抽出した。溶血は、タモキシフェンまたは測定される代謝産物の干渉を示さなかった。しかしながら、中および高溶血試料からの濾過の困難性に起因して、軽度に溶血した試料のみが許容されるべきである。
【0139】
【表21】
【0140】
脂質血症干渉:低および高プールに、脂質血症試料を、低、中および高濃度で添加した。試料を四重反復で抽出した。脂質血症試料は、タモキシフェンまたは測定される代謝産物の干渉を示さなかった。
【0141】
【表22】
【0142】
ビリルビン干渉:低および高プールに、ビリルビンを、低、中および高濃度で添加した。試料を四重反復で抽出した。ビリルビンを添加した試料は、タモキシフェンまたは測定される代謝産物の干渉を示さなかった。
【0143】
【表23】
【実施例3】
【0144】
ノルエンドキシフェンアッセイのバリデーション
この報告には、LC/MS/MSによるノルエンドキシフェンに関するバリデーションの詳細な概要が含まれる。アッセイは、研究室で開発した試験である。
【0145】
ノルエンドキシフェンを、タンパク質沈降、続く濾過を使用して血清から抽出する。次に、分析および定量化をLC/MS/MSにより実施する。
【0146】
【表24】
【0147】
研究室で開発した試験(LDT)に関する精度研究
実行内精度:低、中および高対照(ng/mL)を1回の実行内で分析した(10)。QCは全て、合格基準内に収まった(変動係数 20%未満)。
【0148】
【表25】
【0149】
総精度:総精度は、バリデーションプロセス中のアッセイ全てに関するQC実行全てに基づいた。合格判定は、変動係数 20%未満に基づいた。QCは全て、この判断基準内に収まった。
【0150】
検出限界(LOD):ノルエンドキシフェン=1.2ng/mL
【0151】
定量限界(LOQ):ノルエンドキシフェン=1.2ng/mL
【0152】
正確度
公知の標準物質の回収率:血清に分析物全てを特定濃度まで添加して、抽出した後、四重反復で分析した。ミックスは全て、各分析物の線形および治療範囲を網羅するように添加された。
【0153】
【表26】
【0154】
干渉研究
合格基準:潜在的な干渉物質に起因する差は、許容可能であるとみなされるにはTEa/4以下であるべきである。
【0155】
溶血干渉:低および高プールに、溶血したRBCを、低、中および高濃度で添加した。試料を四重反復で抽出した。溶血は、ノルエンドキシフェンの干渉を示さなかった。しかしながら、中および高溶血試料からの濾過の困難性に起因して、軽度に溶血した試料のみが許容されるべきである。
【0156】
【表27】
【0157】
脂質血症干渉:低および高プールに、脂質血症試料を、低、中および高濃度で添加した。試料を四重反復で抽出した。脂質血症試料は、ノルエンドキシフェンの干渉を示さなかった。公知の標準物質の回収率:血清に分析物全てを特定濃度まで添加して、抽出した後、四重反復で分析した。ミックスは全て、各分析物の線形および治療範囲を網羅するように添加された。
【0158】
【表28】
【0159】
ビリルビン干渉:低および高プールに、ビリルビンを、低、中および高濃度で添加した。試料を四重反復で抽出した。ビリルビンを添加した試料は、ノルエンドキシフェンの干渉を示さなかった。
【0160】
【表29】
【実施例4】
【0161】
臨床的定量化および応答研究
実施例1〜実施例3の標準的な操作プロトコールを使用して、患者試料中のタモキシフェンおよびその代謝産物を定量化して、タモキシフェン応答に相関させた。
【0162】
【表30】
【0163】
【表31】
【0164】
【表32】
【0165】
【表33】
【0166】
【表34】
【0167】
【表35】
【0168】
【表36】
【0169】
【表37】
【0170】
【表38】
【0171】
【表39】
【0172】
【表40】
【0173】
【表41】
【実施例5】
【0174】
さらなる臨床的定量化および応答研究
実施例1〜実施例3の標準的な操作プロトコールを使用して、患者試料中のタモキシフェンおよびその代謝産物を定量化して、タモキシフェン応答に相関させた。
【0175】
【表42】
【0176】
【表43】
【0177】
【表44】
【0178】
【表45】
【0179】
本明細書中で言及または引用した論文、特許、特許出願および全ての他の文書および電子的に利用可能な情報の内容は、それぞれの刊行物が、参照により組み込まれるように具体的におよび個々に示されたかのように同程度にそれらの全体が参照により組み込まれる。出願人らは、この出願に、任意のかかる論文、特許、特許出願、または他の物理的および電子文書からのあらゆる材料および情報を物理的に組み込む権利を保有する。
【0180】
本明細書中で例示的に記載する方法は、本明細書中で具体的に開示されない任意の要素(単数または複数)、限定(単数または複数)の非存在下で適切に実施され得る。したがって、例えば、「を含む」、「を包含する」、「を含有する」等の用語は、広く、かつ限定なく解釈されるはずである。さらに、本明細書中で用いる用語および表現は、説明に用語として使用されており、限定の用語としては使用されておらず、示され、また記載される特徴の任意の等価体またはそれらの一部を排除するかかる用語および表現の使用の意図はなく、特許請求される本発明の範囲内で、様々な変更が可能であることが認識される。したがって、本発明は、好ましい実施形態および任意の特徴により具体的に開示されてきたが、本明細書中に開示する具体化された本発明の変更および変動が当業者により行われてもよいこと、およびかかる変更および変動が、本発明の範囲内であるとみなされることは理解されるべきである。
【0181】
本発明は、本明細書中で広範に、かつ包括的に記載されてきた。包括的な開示内に収まるより狭い種および亜属分類それぞれもまた、該方法の一部を成す。これは、削除される材料が本明細書中で具体的に列挙されても列挙されなくても、属から任意の主題を除去する条件または負の限定付きで該方法の包括的な説明を包含する。
【0182】
他の実施形態は、下記特許請求の範囲内に存在する。さらに、該方法の特徴および態様が、マーカッシュ群の用語で記載されており、本発明はまた、それによりマーカッシュ群の任意の個々の成員または成員の亜群の用語で記載されることが、当業者に理解されよう。