特許第6279265号(P6279265)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6279265
(24)【登録日】2018年1月26日
(45)【発行日】2018年2月14日
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 35/00 20060101AFI20180205BHJP
   D06F 39/00 20060101ALI20180205BHJP
   D06F 39/08 20060101ALI20180205BHJP
   C02F 1/32 20060101ALI20180205BHJP
   C02F 1/72 20060101ALI20180205BHJP
   B01J 35/02 20060101ALI20180205BHJP
   D06F 39/10 20060101ALI20180205BHJP
【FI】
   D06F35/00 Z
   D06F39/00 Z
   D06F39/08 301Z
   C02F1/32
   C02F1/72 101
   B01J35/02 J
   D06F39/10 Z
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-190603(P2013-190603)
(22)【出願日】2013年9月13日
(65)【公開番号】特開2015-54194(P2015-54194A)
(43)【公開日】2015年3月23日
【審査請求日】2016年7月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内山 具典
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 健司
(72)【発明者】
【氏名】畑山 勉
【審査官】 柿沼 善一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−217709(JP,A)
【文献】 特開2010−042385(JP,A)
【文献】 特開2009−090177(JP,A)
【文献】 特開平09−075929(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3146145(JP,U)
【文献】 特開2013−081733(JP,A)
【文献】 特開平10−202256(JP,A)
【文献】 特開2002−052393(JP,A)
【文献】 特開2009−153694(JP,A)
【文献】 特開2001−062490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 35/00
B01J 35/02
C02F 1/32
C02F 1/72
D06F 39/00
D06F 39/08
D06F 39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯に風呂水を使用する場合にその風呂水の浄化および除菌をするものであって、紫外光を発する1本の紫外線ランプと、この紫外線ランプに沿って直列に配置された汚れ浄化部および除菌部と、を有する風呂水除菌浄化装置を備え
前記汚れ浄化部は、汚れ浄化手段として吸着機能を有する光触媒を有し、通水時に前記除菌部の上流側となる位置に配置され、
前記除菌部は、前記汚れ浄化部よりも径が小さくかつ長さが長い、
洗濯機。
【請求項2】
前記汚れ浄化部の入口部分に設けられ、導入される風呂水を分散させる複数の孔を有する仕切部材を備えている請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記光触媒は、フィルタ状光触媒であって、中央部に前記紫外線ランプを挿通する挿通孔を有する環状をなしている請求項1又は2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記フィルタ状光触媒は、風呂水の通水方向に複数個に分割されている請求項3に記載の洗濯機。
【請求項5】
分割された前記フィルタ状光触媒間には空間部が形成されている請求項4に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記フィルタ状光触媒は、通水方向で上流側が下流側に比べて目が粗い請求項3から5のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記光触媒は、顆粒状光触媒であって、金属メッシュにより覆った状態で前記紫外線ランプを囲むように配置されている請求項1又は2に記載の洗濯機。
【請求項8】
前記汚れ浄化部に設けられた補助紫外線ランプを更に備えている請求項1から7のいずれか一項に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、風呂水除菌浄化装置を備えた洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、風呂水の浄化および除菌するものとしては種々の提案がなされている。しかしながら、従来のものでは、浄化および除菌の効率が今ひとつ良いものとはいえなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−188356号公報
【特許文献2】特開2012−217709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、簡単な構成で風呂水の浄化および除菌の効率の向上を図ることができる風呂水除菌浄化装置を備えた洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態の洗濯機は、洗濯に風呂水を使用する場合にその風呂水の浄化および除菌をするものであって、紫外光を発する1本の紫外線ランプと、この紫外線ランプに沿って直列に配置された汚れ浄化部および除菌部と、を有する風呂水除菌浄化装置を備える。前記汚れ浄化部は、汚れ浄化手段として吸着機能を有する光触媒を有し、通水時に前記除菌部の上流側となる位置に配置され、前記除菌部は、前記汚れ浄化部よりも径が小さくかつ長さが長い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態による洗濯機用の風呂水除菌浄化装置の断面図
図2】フィルタ状光触媒の概略的斜視図
図3】仕切部材を示す図で、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は背面図、(d)は(a)のXd−Xd線に沿う縦断面図
図4】風呂水除菌浄化装置を組み込んだ洗濯機の概略構成を示す図
図5】第2の実施形態による風呂水除菌浄化装置における汚れ浄化部部分の断面図
図6図5のX6−X6線に沿う縦断面図
図7】第3の実施形態による図5相当図
図8図7のX8−X8線に沿う縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、複数の実施形態による洗濯機用の風呂水除菌浄化装置について図面を参照して説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0008】
(第1の実施形態)
第1の実施形態について図1から図4を参照して説明する。図1には、洗濯機用の風呂水除菌浄化装置1の全体の概略構成が示されている。この風呂水除菌浄化装置1は、1本の紫外線ランプ2を備えている。この紫外線ランプ2は、図1の左右方向に延びていて、同心状の保護管3により外側から保護されている。この紫外線ランプ2から発せられる紫外光は、保護管3を通して放射される。紫外線ランプ2における左側には汚れ浄化部4が設けられ、右側には除菌部5が設けられている。したがって、汚れ浄化部4と除菌部5は、紫外線ランプ2の長手方向に沿って直列に配置されている。
【0009】
汚れ浄化部4の浄化管6は、紫外線ランプ2の左部を囲うような円筒状をなしていて、図1の右側に段付き状の連結管部6aが一体に設けられている。この浄化管6において、図1の左側には入口用蓋7が装着されている。この入口用蓋7は、紫外線ランプ2および保護管3の一端部である左端部を支持している。入口用蓋7には、入水口8が左横向きに設けられている。浄化管6において、入口用蓋7の内側近傍に位置させて仕切部材10が設けられている。この仕切部材10は、図3に示すように、円形の板部10aの外周部に円筒状の筒部10bを一体に有していて、板部10aが浄化管6内に位置し、筒部10bが浄化管6および入口用蓋7の外側に位置している。仕切部材10における板部10aには、中央部に紫外線ランプ2および保護管3を挿通する円形の挿通孔11を有しているとともに、この挿通孔11の周りに位置させて複数の孔12を有している。
【0010】
除菌部5の除菌管13は、紫外線ランプ2の右部を囲むような円筒状をなしている。この除菌管13は、浄化管6よりは直径が小さく、かつ長さが長い円筒状をなしている。除菌管13の左端部は、浄化管6の接続管部6aに接続されている。浄化管6内と除菌管13内は接続管部6aを介して連通している。除菌管13の右端部には出口用蓋15が装着されていて、この出口用蓋15は、紫外線ランプ2および保護管3の他端部である右端部を支持している。出口用蓋15には、出水口16が上向きに設けられている。浄化管6の内周部および除菌管13の内周部には、紫外線ランプ2から発せられる紫外光を反射する反射体17がそれぞれ設けられている。
【0011】
浄化管6の内部には、汚れ浄化手段として機能するフィルタ状光触媒20が設けられている。このフィルタ状光触媒20は、この場合、発泡させたセラミックフィルターにアパタイト(燐灰石)を介して酸化チタンを担持させたものにより構成されていて、多孔質で吸着機能を備えている。この場合、フィルタ状光触媒20は、風呂水の通水方向となる紫外線ランプ2の延び方向に複数個、例えば4個に分割された状態で配設されている。各フィルタ状光触媒20は、図2に示すように、中央部に紫外線ランプ2および保護管3を挿通する挿通孔21を有する円形の環状をなしている。4個のフィルタ状光触媒20は、隣り合ったフィルタ状光触媒20間に空間部22を形成した状態で配置されている。4個のフィルタ状光触媒20は、フィルタの目の粗さが異なっていて、通水時の水の流れ(図1の矢印A参照)で上流側となる入口側(図1の左側)が、下流側となる接続管部6a側に比べて目が粗くなっている。また、4個の各フィルタ状光触媒20の外周部と反射体17との間にも空間部23が形成されている。
【0012】
以上のように構成された風呂水除菌浄化装置1を用いて、風呂水を浄化および除菌する場合の作用について説明する。風呂水除菌浄化装置1を駆動する場合には、紫外線ランプ2が点灯される。風呂水は、図1の矢印Aで示すように、入水口8から、仕切部材10の各孔12を通って浄化管6内に入り、各フィルタ状光触媒20を通り、この後、除菌管13内を通った後、出水口16から外部へ出る。
【0013】
このとき、風呂水に含まれる有機物などの汚れ成分が、浄化管6内の、吸着性を有する各フィルタ状光触媒20にて吸着除去される。そして、点灯した紫外線ランプ2から発せられた紫外光は、浄化管6内を通る風呂水およびフィルタ状光触媒20に照射される。また、この場合、反射体17で反射された紫外光もそれら風呂水およびフィルタ状光触媒20に照射される。このうち、風呂水に照射された紫外光が当該風呂水に含まれる雑菌に直接作用することで、除菌作用を発揮する。また、フィルタ状光触媒20に紫外光が照射されることに基づき、そのフィルタ状光触媒20が活性化し強力な酸化力を有するOHラジカルを生成し、それによりフィルタ状光触媒20に吸着された汚れ成分を酸化分解するようになり、汚れ浄化作用を発揮する。
【0014】
この場合、隣り合ったフィルタ状光触媒20間に空間部22が形成されているので、各フィルタ状光触媒20に紫外光が照射される面積を多く確保することができ、汚れ成分を酸化分解する効率を高めることができる。
【0015】
浄化管6内を通ることで汚れが浄化された風呂水は、除菌管13内を通る過程で、紫外線ランプ2から照射された紫外光を直接受け、除菌されるようになる。特に、除菌管13は浄化管6よりも径が小さくて狭く、しかも内部にはフィルタ状光触媒20などが存在せず、紫外線ランプ2から照射された紫外光および反射体17で反射した紫外光が風呂水に直接作用しやすくなっているので、除菌効果が優れている。したがって、出水口16から出る風呂水は、汚れ成分が除去されて浄化され、また雑菌が除去されたものとすることができる。
【0016】
次に、上記構成の風呂水除菌浄化装置1を洗濯機に組み込んだ使用形態について図4を参照して説明する。洗濯機25は、この場合ドラム式洗濯機である。洗濯機25の外箱26は、ほぼ矩形箱状をなしていて、底面が床面に平行となるように設置される。外箱26内には、有底円筒状の水槽27が配設されている。この水槽27は、衣類を洗濯する際に水を受けて貯留するものであり、外箱26に図示しない弾性支持機構を介して弾性的に支持されている。水槽27内には、図示はしないが、有底円筒状のドラムが回転可能に配設されている。ドラムは、衣類を洗濯する際に衣類を収容して回転するものであり、水槽27の外部に設けられた図示しないドラム用モータによって回転駆動される。ドラムには脱水孔が形成されている。外箱26の前面には、図示はしないが洗濯物出入口およびこれを開閉する扉が設けられていて、洗濯物は洗濯物出入口を通してドラム内に出し入れされる。
【0017】
外箱26内の上部には、給水弁28が設けられている。この給水弁28は、入口となるホース接続口29と、注水用出口30と、呼び水用出口31を有している。ホース接続口29には、図示しない水道の蛇口に接続された給水ホースの先端部が接続される。給水弁28は、注水状態と、呼び水状態と、閉鎖状態とに電気的に切り替えられるようになっている。給水弁28の注水状態では水道水が注水用出口30から出され、呼び水状態では水道水が呼び水用出口31から出され、閉鎖状態では水道水は注水用出口30および呼び水用出口31のいずれからも出されない。
【0018】
給水弁28の注水用出口30は、注水ケース32に接続されている。注水ケース32内には、図示はしないが洗剤投入ケースが出し入れ可能に設けられている。洗剤投入ケースは、使用者が洗剤を投入しておくものである。注水ケース32は、注水口33を介して水槽27に接続されている。給水弁28が注水状態のときには、水道水が給水弁28の注水用出口30から注水ケース32、および注水口33を通して水槽27内に供給される。このとき、洗剤投入ケースに洗剤が投入されている状態では、洗剤が水道水と共に水槽27内に供給される。
【0019】
外箱26内の上部には、風呂水用ポンプ35が設けられている。この風呂水用ポンプ35は、図示しない風呂水用ホースを介して浴槽内の風呂水を吸い上げるものであり、ホース接続口36と、注水用出口37と、呼び水用入口38を有している。風呂水を使用する場合には、風呂水用ホースの一端部がホース接続口36に接続される。呼び水用入口38は、呼び水用通水路39および注水ケース32を介して給水弁28の呼び水用出口31に接続されている。給水弁28が呼び水状態にあるときには、水道水が呼び水用出口31から注水ケース32、呼び水用通水路39、呼び水用入口38を通して風呂水用ポンプ35に呼び水として供給される。呼び水用通水路39には、逆止弁40が介在されている。この逆止弁40は、風呂水が呼び水用通水路39内を呼び水用入口38側から注水ケース32側に向けて逆流することを阻止するためのものである。
【0020】
風呂水用ポンプ35の注水用出口37には注水管41の一端部が接続され、この注水管41の他端部は、除菌浄化装置側切替弁42の注水用入口43に接続されている。除菌浄化装置側切替弁42は、注水用入口43の他、循環用入口44と、出口45を有していて、この出口45が、前記風呂水除菌浄化装置1の入水口8に接続されている。風呂水除菌浄化装置1は、外箱26内の上部において固定状態に配設されている。風呂水除菌浄化装置1の出水口16は、接続管46を介して前記注水ケース32に接続されている。
【0021】
除菌浄化装置側切替弁42は、風呂水受入れ状態と、循環水受入れ状態とに電気的に切り替えられるようになっている。除菌浄化装置側切替弁42の風呂水受入れ状態では、風呂水用ポンプ35が汲み上げた風呂水が出口45から風呂水除菌浄化装置1側へ送られる。除菌浄化装置側切替弁42の循環水受入れ状態では、後述する循環ポンプ47から供給される循環水が出口45から風呂水除菌浄化装置1側へ送られる。
【0022】
外箱26内の下部には循環ポンプ47が配設されている。この循環ポンプ47は、入口48と、出口49を有している。入口48は、フィルタケース50および循環通路51を介して水槽27の最低部に接続されている。循環ポンプ47の運転状態では、水槽27内の水が循環通路51およびフィルタケース50を通して循環ポンプ47内に吸い込まれた後、出口49から吐出される。フィルタケース50内には、図示はしないがリントフィルタが出し入れ可能に収容されていて、フィルタケース50内を通る水に含まれたリントなどの異物がそのリントフィルタにて捕獲される。
【0023】
循環ポンプ47の出口49には、連結管52を介して循環ポンプ側切替弁53の入口が接続されている。この連結管52は金属などの強度が高い材料で成形されたものであり、循環ポンプ47および循環ポンプ側切替弁53は、連結管52を介して機械的に連結されることで作業者が単一物として取り扱うことが可能なように一体化されている。符号54は、循環ポンプ47および循環ポンプ側切替弁53からなる循環ポンプユニットである。
【0024】
循環ポンプ側切替弁53は、入口と、除菌浄化用出口55と、バイパス出口56を有している。除菌浄化用出口55は、除菌浄化用通路57を介して前記除菌浄化装置側切替弁42の循環用入口44に接続されている。バイパス出口56は、バイパス通路58を介して水槽27の上部に接続されている。循環ポンプ側切替弁53は、除菌浄化状態と、バイパス状態とに電気的に切り替えられるようになっている。循環ポンプ側切替弁53の除菌浄化状態では、循環ポンプ47の出口49から吐出された水が除菌浄化用出口55から除菌浄化用通路57側へ吐出される。除菌浄化用通路57側へ吐出された水は、循環水受入れ状態の除菌浄化装置側切替弁42の循環用入口44を通り、出口45から風呂水除菌浄化装置1側へ送られる。循環ポンプ側切替弁53のバイパス状態では、循環ポンプ47の出口49から吐出された水がバイパス出口56、バイパス通路58を通して水槽27内に吐出される。なお、循環ポンプ47の近傍には、図示はしないが排水弁が設けられている。この排水弁を排水状態とすることで、水槽27内の水は循環通路51を通して機外へ排出される。
【0025】
外箱26の前板の下部には、カバー60が着脱可能に設けられている。このカバー60は、前板下部に形成されたメンテナンス口を開閉するようになっている。そのカバー60を外してメンテナンス口を開放させることで、外箱26の外部から循環ポンプ47、循環ポンプ側切替弁53、フィルタケース50内のリントフィルタなどのメンテナンスが可能となっている。
【0026】
外箱26内の下部には、マイクロコンピュータを主体とした制御回路61が設けられている。また、外箱26の上部には、図示はしないが操作パネルが設けられていて、この操作パネルには、電源スイッチ、スタートスイッチ、コース選択スイッチなどの操作スイッチや表示部が設けられている。この操作パネルと制御回路61とは電気的に接続されている。制御回路61は、操作パネルの操作スイッチの操作と、予め備えた制御プログラムに基づき、風呂水除菌浄化装置1の紫外線ランプ2、給水弁28、風呂水用ポンプ35、除菌浄化装置側切替弁42、循環ポンプ47、循環ポンプ側切替弁53、ドラム用モータ、排水弁などを制御することで、洗濯運転を行う。
【0027】
この場合、洗濯運転のコースとしては、水道水を使用する水道水コースと、風呂水を使用する風呂水コースとがある。水道水コースおよび風呂水コースでは、どちらも、例えば洗い行程と、すすぎ行程1と、中間脱水行程と、すすぎ行程2と、中間脱水行程と、すすぎ行程3と、最終脱水行程を順に行う。
【0028】
次に、水道水コースにおいて水道水を水槽27内に給水する場合と、水道水コースにおいて水槽27内に貯留された水を、循環ポンプ47を用いてバイパス通路58を通して循環させる場合と、風呂水コースにおいて風呂水を水槽27内に給水する場合と、風呂水コースにおいて水槽27内に貯留された風呂水を、循環ポンプ47を用いて風呂水除菌浄化装置1を通して循環させる場合の水の流れについて説明する。
【0029】
(水道水コースにおいて、水道水を水槽27内に給水する場合)
この場合、制御回路61は、排水弁を閉鎖した状態で給水弁28を注水状態とする。これに基づき、水道水が、図1に矢印B1で示すように、注水用出口30、注水ケース32を通り、注水口33から水槽27内に供給されて貯留される。このとき、注水ケース32内の洗剤投入ケースに洗剤が投入されていれば、その洗剤も水道水とともに水槽27内に供給される。
【0030】
(水道水コースにおいて、水槽27内に貯留された水を、循環ポンプ47を用いてバイパス通路58を通して循環させる場合)
洗い行程やすすぎ行程において、水槽27内の水を、循環ポンプ47を用いてバイパス通路58を通して循環させる場合、制御回路61は、循環ポンプ側切替弁53をバイパス状態とするとともに、循環ポンプ47を駆動する。これに基づき、水槽27内の水は、図1に矢印B2で示すように、循環通路51、フィルタケース50を通り循環ポンプ47に吸引される。その吸引された水は、出口49から出て、循環ポンプ側切替弁53のバイパス出口56、バイパス通路58を通って水槽27内に向けて吐出される。このようにして水槽27内の水は、バイパス通路58を通って循環される。このとき、フィルタケース50内を通る水に含まれたリントなどの異物がリントフィルタにて捕獲される。
【0031】
(風呂水コースにおいて、風呂水を水槽27内に給水する場合)
風呂水コースを選択した場合、使用者は、予め風呂水用ホースの一端部をホース接続口36に接続するとともに、風呂水用ホースの他端部を浴槽内の風呂水中に入れておく。この場合、制御回路61は、まず風呂水用ポンプ35に呼び水を供給するため、給水弁28を呼び水状態とする。これに基づき、水道水が、図1の矢印B3で示すように、呼び水用出口31から注水ケース32、呼び水用通水路39、呼び水用入口38を通して風呂水用ポンプ35に呼び水として供給される。所定時間後、制御回路61は、給水弁28を閉鎖状態にして呼び水の供給を停止し、風呂水用ポンプ35を駆動し、除菌浄化装置側切替弁42を風呂水受入れ状態とし、さらに、風呂水除菌浄化装置1の紫外線ランプ2を点灯させる。
【0032】
このうち、風呂水用ポンプ35を駆動することに基づき、浴槽内の風呂水が風呂水用ホースを通して風呂水用ポンプ35内に汲み上げられ、その汲み上げられた風呂水は、図1に矢印C1で示すように、注水用出口37から注水管41、除菌浄化装置側切替弁42の注水用入口43、出口45を通り、風呂水除菌浄化装置1の入水口8から風呂水除菌浄化装置1内に送られる。風呂水除菌浄化装置1内に送られた風呂水は、前述したように汚れ浄化部4の浄化管6内および除菌部5の除菌管13内を順に通り、さらに、出水口16から接続管46、注水ケース32を通り、注水口33から水槽27内に供給されて貯留される。このときも、注水ケース32内に洗剤が投入されていれば、その洗剤も風呂水とともに水槽27内に供給される。そして、この場合、風呂水が風呂水除菌浄化装置1内を通過する過程で、前述したように、浄化管6内で汚れ成分の浄化と除菌が行われ、また、除菌管13内で除菌が行われる。したがって、水槽27内には、浄化および除菌された状態の風呂水が供給されて貯留されるようになる。
【0033】
(風呂水コースにおいて、水槽27内に貯留された風呂水を、循環ポンプ47を用いて風呂水除菌浄化装置1を通して循環させる場合)
洗い行程やすすぎ行程において、水槽27内の風呂水を、循環ポンプ47を用いて風呂水除菌浄化装置1を通して循環させる場合、制御回路61は、循環ポンプ側切替弁53を除菌浄化状態とするとともに、除菌浄化装置側切替弁42を循環水受入れ状態とし、また、循環ポンプ47を駆動し、さらに風呂水除菌浄化装置1の紫外線ランプ2を点灯させる。これに基づき、水槽27内に貯留された風呂水は、図1に矢印C2で示すように、循環通路51、フィルタケース50を通り循環ポンプ47に吸引される。その吸引された風呂水は、出口49から出て、循環ポンプ側切替弁53の除菌浄化用出口55、除菌浄化用通路57を通り、さらに除菌浄化装置側切替弁42の循環用入口44、出口45を通り風呂水除菌浄化装置1内に送られる。風呂水除菌浄化装置1内に送られた風呂水は、前述したように汚れ浄化部4の浄化管6内および除菌部5の除菌管13内を順に通り、さらに、出水口16から接続管46、注水ケース32を通り、注水口33から水槽27内に戻される。このときも、風呂水が風呂水除菌浄化装置1内を通過する過程で、前述したように、浄化管6内で汚れ成分の浄化と除菌が行われ、また、除菌管13内で除菌が行われる。このときも、フィルタケース50内を通る水に含まれたリントなどの異物がリントフィルタにて捕獲される。風呂水は、このようにして風呂水除菌浄化装置1内を通して循環されることで、浄化と除菌が一層確実に行われるようになる。このため、最後のすすぎ行程3においても、風呂水を使用することが可能となる。
【0034】
なお、水道水コースにおいて、水槽27内に貯留された水道水を、上記した風呂水と同様に、循環ポンプ47を用いて風呂水除菌浄化装置1を通して循環させることも可能である。
【0035】
上記した実施形態によれば次のような作用効果を得ることができる。
風呂水除菌浄化装置1において、1本の紫外線ランプ2に沿って汚れ浄化部4と除菌部5を直列に配置した構成とした。これにより、汚れ浄化部4においては、主に汚れ成分の吸着除去と分解を行うことで、風呂水の浄化を効率よくでき、そして、除菌部5においては、風呂水の除菌を効率良く行うことができる。しかも、1本の紫外線ランプ2を汚れ浄化部4と除菌部5で共用しているので、構成も簡単である。よって、簡単な構成で水の浄化および除菌の効率の向上を図ることができる。
【0036】
汚れ浄化部4は、通水時に除菌部5の上流側となる位置に配置した。これによれば、風呂水の汚れ成分を除菌部5の手前で取り除くことで、除菌部5において紫外線ランプ2が発する紫外光の透過率を高くすることができ、これに伴い雑菌に作用する紫外光の照射量を多くでき、除菌効率を一層向上させることができる。
【0037】
汚れ浄化部4には、汚れ浄化手段として吸着機能を有するフィルタ状光触媒20を備えている。これによれば、フィルタ状光触媒20は、通水時には主に風呂水の汚れ成分の吸着を行い、通水中および通水後も紫外線ランプ2の紫外光を当て続けることで、吸着した汚れ成分を低分子に分解させることができ、メンテナンスフリー化が可能となる。
【0038】
汚れ浄化部4の入口部分に、導入される風呂水を分散させる複数の孔12を有する仕切部材10を備えている。これによれば、入水口8から風呂水除菌浄化装置1内に入った風呂水が複数の孔12で分散された状態で浄化管6内を通過するようになるので、風呂水はフィルタ状光触媒20の全体をほぼ均等に通過するようになり、浄化作用を一層有効にできる。
【0039】
汚れ浄化部4には、汚れ浄化手段として吸着機能を有するフィルタ状光触媒20が備えられ、そのフィルタ状光触媒20は、中央部に紫外線ランプ2を挿通する挿通孔21を有する環状をなしている。これによれば、環状をなすフィルタ状光触媒20の中心部を紫外線ランプ2が貫通し、当該フィルタ状光触媒20の中心部から紫外線ランプ2の紫外光が外側に向けて放射されるので、フィルタ状光触媒20には、紫外光が効率良く照射されるようになる。汚れ浄化部4には、浄化管6の内周部に反射体17が設けられているので、フィルタ状光触媒20には、その反射体で反射された紫外光が外側からも照射されるようになる。
【0040】
フィルタ状光触媒20は、通水方向に複数個に分割されているので、取り扱いが容易である。また、分割された各フィルタ状光触媒20間には空間部22が形成されているので、各フィルタ状光触媒20に紫外光が照射される面積を多く確保することができ、汚れ成分を酸化分解する効率を高めることができる。
【0041】
通水方向に配置された4個のフィルタ状光触媒20は、通水時の水の流れで上流側が下流側に比べて目が粗い構成となっている。これによれば、上流側に位置するフィルタ状光触媒20の目詰まりを極力防止でき、汚れ成分の吸着量を極力均等化させることが可能となる。なお、この場合、フィルタ状光触媒20としては、複数に分割されている必要はなく、4個が一体化されたものにも適用できる。
【0042】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について図5および図6を参照して説明する。この第2の実施形態は、光触媒の形態が第1の実施形態とは異なっている。汚れ浄化部4の浄化管6内に収容された汚れ浄化手段として、顆粒状光触媒65をユニット化した顆粒状光触媒ユニット66が収容されている。顆粒状光触媒65は、酸化チタンを顆粒状に形成したもので、例えば直径5mm程度の大きさの粒である。顆粒状光触媒ユニット66は、袋状をなす金属メッシュ67内に多数個の顆粒状光触媒65を収容して形成したもので、顆粒状光触媒65を金属メッシュ67で覆った構成としている。顆粒状光触媒ユニット66は、図6に示すように、紫外線ランプ2を中心としたドーナツ状をなしていて、紫外線ランプ2を囲むようにして、通水方向に複数個、この場合4個配置している。顆粒状光触媒ユニット66の外周部と浄化管6内の反射体17との間にも空間部68が形成されている。
【0043】
このような実施形態とした場合、紫外光を吸収しない金属メッシュ67で顆粒状光触媒65を覆うことで、覆い部材の紫外線劣化を防止できる。また、金属メッシュ67の金属表面からの乱反射を利用することで、内部の顆粒状光触媒65にも紫外光を照射することが可能となる。
【0044】
(第3の実施形態)
第3の実施形態について図7および図8を参照して説明する。この第3の実施形態は、第1の実施形態とは次の点が異なっている。汚れ浄化部4において、浄化管6の内部に補助紫外線ランプ70を設けている。補助紫外線ランプ70は、中央部の紫外線ランプ2を挟むように上下に2本配置されている。各補助紫外線ランプ70も保護管71で覆われている。フィルタ状光触媒20には、それら補助紫外線ランプ70および保護管71を挿通する挿通孔72が形成されている。補助紫外線ランプ70および保護管71は、一端部が入口用蓋7に支持され、他端部が接続管部6aに支持されている。
【0045】
この場合、除菌を必要としない場合には、補助紫外線ランプ70のみ点灯させ、2本の補助紫外線ランプ70の紫外光でフィルタ状光触媒20を活性化させ、吸着した汚れ成分を酸化分解する。そして、浄化する風呂水を通水する通水時には、紫外線ランプ2と各補助紫外線ランプ70を併せて点灯させることで、除菌作用と、汚れ成分の分解速度を高くすることが可能となる。
【0046】
(その他の実施形態)
洗濯機としては、横軸型のドラム式洗濯機に限られず、水槽の軸方向が縦方向に向いた縦軸型の洗濯機にも適用できる。
【0047】
以上説明したように本実施形態の洗濯機の風呂水除菌浄化装置は、1本の紫外線ランプに沿って汚れ浄化部と除菌部を直列に配置した構成とした。これによれば、簡単な構成で風呂水の浄化および除菌の効率の向上を図ることができる。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
図面中、1は風呂水除菌浄化装置、2は紫外線ランプ、4は汚れ浄化部、5は除菌部、6は浄化管、10は仕切部材、11は挿通孔、12は孔、13は除菌管、17は反射体、20はフィルタ状光触媒(汚れ浄化手段)、21は挿通孔、22は空間部、25は洗濯機、27は水槽、28は給水弁、35は風呂水用ポンプ、42は除菌浄化装置側切替弁、47は循環ポンプ、53は循環ポンプ側切替弁、65は顆粒状光触媒(汚れ浄化手段)、66は金属メッシュ、67は顆粒状光触媒ユニット、70は補助紫外線ランプを示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8