特許第6279310号(P6279310)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6279310空気調和装置の制御装置及び空気調和装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6279310
(24)【登録日】2018年1月26日
(45)【発行日】2018年2月14日
(54)【発明の名称】空気調和装置の制御装置及び空気調和装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/86 20180101AFI20180205BHJP
   F24F 11/62 20180101ALI20180205BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20180205BHJP
【FI】
   F24F11/02 102W
   F24F11/02 P
   F25B1/00 361A
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-264308(P2013-264308)
(22)【出願日】2013年12月20日
(65)【公開番号】特開2015-121340(P2015-121340A)
(43)【公開日】2015年7月2日
【審査請求日】2016年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】濱千代 崇
(72)【発明者】
【氏名】加藤 隆博
(72)【発明者】
【氏名】三苫 恵介
【審査官】 石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−220846(JP,A)
【文献】 特開2012−066793(JP,A)
【文献】 特開2009−030878(JP,A)
【文献】 特開平07−190455(JP,A)
【文献】 特開2001−116330(JP,A)
【文献】 特開2004−156859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/02
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台の室内機を備える空気調和装置の制御装置であって、
運転する前記室内機の運転容量の和に応じた圧縮機の回転数の制限値である第1制限値及び第2制限値を記憶する記憶手段と、
前記第1制限値及び前記第2制限値のうち選択された制限値を回転数の上限値とし、運転する前記運転容量の和に応じて前記圧縮機の回転数制御を行う圧縮機制御手段と、
を備え、
前記第1制限値は、運転する前記運転容量の和が最小の場合には、前記圧縮機の最低回転数以上に予め設定された回転数とされ、運転する前記運転容量の和が最大の場合に前記圧縮機の回転数が最大回転数となるように、運転する前記運転容量の和の増加に応じて上昇し、前記第2制限値は、運転する前記運転容量の和が最小の場合には、前記圧縮機の最低回転数とされ、運転する前記運転容量の和が最大の場合に前記圧縮機の回転数が最大回転数となるように、運転する前記運転容量の和の増加に応じて上昇する空気調和装置の制御装置。
【請求項2】
複数台の室内機と、運転する前記室内機の運転容量の和に応じた圧縮機の回転数の制限値である第1制限値及び第2制限値を記憶する記憶手段とを備える空気調和装置の制御方法であって、
前記第1制限値及び前記第2制限値のうち選択された制限値を回転数の上限値とし、運転する前記運転容量の和に応じて前記圧縮機の回転数制御を行う圧縮機制御工程を有し、
前記第1制限値は、運転する前記運転容量の和が最小の場合には、前記圧縮機の最低回転数以上に予め設定された回転数とされ、運転する前記運転容量の和が最大の場合に前記圧縮機の回転数が最大回転数となるように、運転する前記運転容量の和の増加に応じて上昇し、前記第2制限値は、運転する前記運転容量の和が最小の場合には、前記圧縮機の最低回転数とされ、運転する前記運転容量の和が最大の場合に前記圧縮機の回転数が最大回転数となるように、運転する前記運転容量の和の増加に応じて上昇する空気調和装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和装置の制御装置及び空気調和装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今の省エネルギーの要求の高まりに伴い、空気調和装置においても消費電力量を抑制する運転が要求される。この場合、空気調和装置の利用者にとっての快適性が損なわれる可能性がある。
【0003】
そこで、快適性向上及び省エネルギー化を目的として、特許文献1には、容量可変形圧縮機の容量を所定周期毎に制御し、室内熱交換器能力設定値に基づいて圧縮機容量の演算式を導き出して圧縮機容量を制御することが開示されている。これにより、室内機形態の違いなどに起因する熱交換器能力設定値に応じて圧縮機周波数が制御され、室内要求負荷に合った最適な圧縮機の運転を可能としている。
また、空気調和装置で消費されるピーク電力を抑制するために、圧縮機の回転数に上限値を設けて制御するデマンド制御も行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4043255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、デマンド制御において、圧縮機の回転数が高くならない小容量運転で空気調和装置をさせても、ピーク電力の削減する運転とはならない。
小容量運転では、短時間で室内温度の要求値を満たすことを目的として、圧縮機の回転数を容量以上に上昇させる運転が行われるためである。これにより、圧縮機の回転数は、例えば、デマンド制御における上限値まで短時間で上昇される。そして、室内温度が要求値を満たす状態となった場合に、圧縮機の回転数は、容量に応じた回転数まで下降される。
このような制御が行われると、デマンド制御を行っているにもかかわらず、消費電力にピークが発生することとなる。
【0006】
一方、デマンド制御において圧縮機の回転数を高くする大容量運転を行う場合には、圧縮機の回転数が設定された上限値以上とならない。この場合、空気調和装置は、要求に対して能力不足となり、室内の快適性が損なわれる可能性がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、室内の快適性を損なうことなく、ピーク電力を削減できる、空気調和装置の制御装置及び空気調和装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の空気調和装置の制御装置及び空気調和装置の制御方法は以下の手段を採用する。
【0009】
本発明の第一態様に係る空気調和装置の制御装置は、複数台の室内機を備える空気調和装置の制御装置であって、運転する前記室内機の運転容量の和に応じた圧縮機の回転数の制限値である第1制限値及び第2制限値を記憶する記憶手段と、前記第1制限値及び前記第2制限値のうち選択された制限値を回転数の上限値とし、運転する前記運転容量の和に応じて前記圧縮機の回転数制御を行う圧縮機制御手段と、を備え、前記第1制限値は、運転する前記運転容量の和が最小の場合には、前記圧縮機の最低回転数以上に予め設定された回転数とされ、運転する前記運転容量の和が最大の場合に前記圧縮機の回転数が最大回転数となるように、運転する前記運転容量の和の増加に応じて上昇し、前記第2制限値は、運転する前記運転容量の和が最小の場合には、前記圧縮機の最低回転数とされ、運転する前記運転容量の和が最大の場合に前記圧縮機の回転数が最大回転数となるように、運転する前記運転容量の和の増加に応じて上昇する
【0010】
本構成に係る空気調和装置は、複数台の室内機を備える。運転する室内機の運転容量は、運転する室内機の台数が増加すると増加する。
運転する室内機の運転容量に応じた圧縮機の回転数の制限値である第1制限値及び第2制限値は、記憶手段によって記憶される。第1制限値は、運転する運転容量の和が最小の場合には、圧縮機の最低回転数以上に予め設定された回転数とされ、運転する運転容量の和が最大の場合に圧縮機の回転数が最大回転数となるように、運転する運転容量の和の増加に応じて上昇し、第2制限値は、運転する運転容量の和が最小の場合には、圧縮機の最低回転数とされ、運転する運転容量の和が最大の場合に圧縮機の回転数が最大回転数となるように、運転する運転容量の和の増加に応じて上昇する。
【0011】
そして、圧縮機制御手段によって、第1制限値及び第2制限値のうち選択された制限値を回転数の上限値とし、室内機の運転容量に応じた圧縮機の回転数制御が行われる。
これにより、室内機の運転容量が低い場合であっても、運転容量に応じて圧縮機の回転数が制限される。従って、室内機の運転容量が低い場合に、圧縮機の回転数が過大に上昇することが抑制され、ピーク電力を削減する運転が行われることとなる。一方、室内機の運転容量が最大の場合は、圧縮機の回転数に制限が設けられないため、室内の快適性をより重視した運転が可能となる。なお、制限値は、室内機の運転容量に応じて直線的に増加してもよいし、曲線的に増加してもよい。
従って、本構成は、室内の快適性を損なうことなく、ピーク電力を削減できる。また、運転容量に応じて異なる制限値を設定できるので、ピーク電力の削減又は室内の快適性の何れかを重視した制御ができる。
【0016】
本発明の第態様に係る空気調和装置の制御方法は、複数台の室内機と、運転する前記室内機の運転容量の和に応じた圧縮機の回転数の制限値である第1制限値及び第2制限値を記憶する記憶手段とを備える空気調和装置の制御方法であって、前記第1制限値及び前記第2制限値のうち選択された制限値を回転数の上限値とし、運転する前記運転容量の和に応じて前記圧縮機の回転数制御を行う圧縮機制御工程を有し、前記第1制限値は、運転する前記運転容量の和が最小の場合には、前記圧縮機の最低回転数以上に予め設定された回転数とされ、運転する前記運転容量の和が最大の場合に前記圧縮機の回転数が最大回転数となるように、運転する前記運転容量の和の増加に応じて上昇し、前記第2制限値は、運転する前記運転容量の和が最小の場合には、前記圧縮機の最低回転数とされ、運転する前記運転容量の和が最大の場合に前記圧縮機の回転数が最大回転数となるように、運転する前記運転容量の和の増加に応じて上昇する
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、室内の快適性を損なうことなく、ピーク電力を削減できる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態に係る空気調和装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る空調機制御装置の電気的構成を示す機能ブロック図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る室内機運転容量と回転数制限値との関係を示したグラフである。
図4】本発明の第1実施形態に係る圧縮機制御処理の処理の流れを示すフローチャートである。
図5】本発明の第2実施形態に係る室内機運転容量と回転数制限値との関係を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係る空気調和装置の制御装置、空気調和装置、及び空気調和装置の制御方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0020】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
【0021】
図1は、本第1実施形態に係る空気調和装置10の全体構成を示したブロック図である。
空気調和装置10は、1台の室外機12、室外機12に冷媒配管14を介して接続された複数台の室内機16、室外機12及び室内機16を制御する空調機制御装置18を備える。なお、図1に示される室内機16の数は一例であり、室外機12に接続される室内機16の台数は4台以上であってもよい。また、各室内機16の運転容量は、各々同一であってもよいし、各々異なっていてもよい。
【0022】
図2は、空調機制御装置18の電気的構成を示す機能ブロック図である。なお、図2は、空気調和装置10が備える圧縮機24の制御に関する機能を示している。
【0023】
空調機制御装置18は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体(記憶部20)等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記録媒体等に記録されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、及び半導体メモリ等である。
【0024】
空調機制御装置18は、記憶部20及び圧縮機制御部22を備える。
【0025】
記憶部20は、運転する室内機16の運転容量(以下「室内機運転容量」という。)に応じた圧縮機24の回転数の制限値を記憶する。室内機運転容量は、運転する室内機16の台数が増加すると増加する。すなわち、運転する室内機16の運転容量の和が、室内機運転容量となる。
【0026】
表1は、各室内機16の運転容量と本第1実施形態に係る室内機運転容量との関係の一例を示す。
【表1】
【0027】
一例として、室内機16Aの運転容量を5kW、室内機16Bの運転容量を5kW、室内機16Cの運転容量を10kWとする。
室内機16A,16B,16Cを全て運転する場合は、室内機運転容量は100%である。室内機16A,16Bを運転せずに、室内機16Cを運転する場合は、室内機運転容量は50%である。室内機16Aを運転し、室内機16B,16Cを運転する場合は、室内機運転容量は25%である。室内機16Aを運転せずに、室内機16B,16Cを運転する場合は、室内機運転容量は75%である。
【0028】
以下の説明において、圧縮機24の回転数を圧縮機回転数といい、圧縮機24の回転数の制限値を回転数制限値という。
【0029】
図3は、本第1実施形態に係る室内機運転容量と回転数制限値との関係を示したグラフである。図3では、室内機運転容量が最大の場合を、一例として100%としているが、これに限らず、室内機運転容量をkW等の実数値で表わしてもよい。また、回転数制限値は、圧縮機24の最大回転数を100とした百分率(%)で表しているが、これに限らず、回転数制限値をrps等の実数値で表わしてもよい。
【0030】
回転数制限値は、室内機運転容量が最大の場合に圧縮機24の回転数が最大回転数となるように、室内機運転容量の増加に応じて上昇するように定められる。最大回転数は、圧縮機24の性能を最も高く発揮できる回転数、換言すると、圧縮機24の設計上の最大回転数である。
【0031】
記憶部20は、室内機運転容量に応じて異なる複数の回転数制限値を記憶する。図3の例では、第1制限値と第2制限値が記憶されている。第2制限値は、第1制限値に比べて低い回転数制限値である。
なお、室内機運転容量が0%の場合であっても、圧縮機24は回転させる必要があるので、第1制限値及び第2制限値は0%とはされない。室内機運転容量が0%の場合、第1制限値は例えば60%とされ、第2制限値では、第1制限値よりも低い例えば40%とされる。この第2制限値の値(40%)は、例えば圧縮機24の最低回転数である。
【0032】
回転数制限値は、室内機運転容量に応じて図3に示されるように直線的に増加してもよいし、曲線的に増加してもよい。
【0033】
圧縮機制御部22は、運転指令が入力される。運転指令には、室内機運転容量を示す情報が含まれている。圧縮機制御部22は、記憶部20に記憶された回転数制限値を回転数の上限値として、室内機運転容量に応じて圧縮機24の回転数制御を行う。
また、圧縮機制御部22は、制限値選択指令が入力される。制限値選択指令は、第1制限値又は第2制限値を選択する指令値であり、例えば、空気調和装置10の運転員によりに選択される。
【0034】
図4は、本第1実施形態に係る圧縮機制御処理の流れを示すフローチャートである。圧縮機制御処理は、圧縮機制御部22で実行される圧縮機24の回転数制御に関する処理であり、本処理に関するプログラムは記憶部20に記憶されている。
圧縮機制御処理は、運転指令が圧縮機制御部22に入力されると共に開始され、空気調和装置10の停止を示す運転指令が入力されると終了する。
【0035】
まず、ステップ100では、入力された運転指令により示される室内機運転容量に応じた回転数制限値を記憶部20から読み出す。
なお、読み出される回転数制限値を第1制限値又は第2制限値の何れとするかは、制限値選択指令により予め選択されている。
【0036】
次のステップ102では、読み出した回転数制限値を、圧縮機24の回転数の上限値として設定する。
【0037】
次のステップ104では、室内機運転容量に応じた圧縮機24の回転数制御を行う。
【0038】
次のステップ106では、圧縮機回転数が設定した回転数制限値に到達したか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ108へ移行し、否定判定の場合はステップ110へ移行する。
【0039】
ステップ108では、圧縮機回転数を設定した回転数制限値で維持し、ステップ112へ移行する。
【0040】
ステップ110では、室内機運転容量に応じた圧縮機24の回転数制御を継続し、ステップ112へ移行する。
【0041】
ステップ112では、新たな室内機運転容量を示す運転指令が圧縮機制御部22に入力されたか否かを判定する。肯定判定の場合はステップ100へ戻り、新たな室内機運転容量に応じた回転数制限値を記憶部20から読み出す。否定判定の場合はステップ106へ戻り、設定した回転数制限値を上限値として回転数制御を継続する。
【0042】
このように、室内機運転容量が最大未満(100%未満)の場合でも、圧縮機回転数に制限が設けられるので、ピーク電力を削減できる。すなわち、室内機16の運転容量が低い場合であっても、運転容量に応じて圧縮機回転数が制限される。
従って、本第1実施形態に係る空調機制御装置18は、室内機16の運転容量が低い場合であっても、圧縮機回転数が過大に上昇することが抑制され、ピーク電力を削減する運転を行うこととなる。一方、室内機運転容量が最大(100%)の場合は、圧縮機回転数に制限が設けられないため、室内の快適性をより重視した運転が可能となる。
【0043】
なお、室内機16の運転中であっても、回転数制限値の第1制限値及び第2制限値は、運転員によって変更が可能とされる。
例えば第1制限値が設定された状態で、ピーク電力の発生効果をより高めるためには、回転数制限値を第2制限値とする制限値選択指令が圧縮機制御部22へ入力される。一方、例えば第2制限値が設定された状態で、室内の快適性をより向上させるためには、回転数制限値を第1制限値とする制限値選択指令が圧縮機制御部22へ入力される。すなわち、第1制限値は、第2制限値に比べて快適性をより向上させる制限値である。第2制限値は、第1制限値に比べてピーク電力の発生の抑制効果をより向上させる制限値である。
このように、空調機制御装置18は、異なる複数の回転数制限値を用いることで、ピーク電力の削減又は室内の快適性の何れかを重視した制御ができる。
【0044】
以上説明したように、本第1実施形態に係る空調機制御装置18は、室内機運転容量に応じた圧縮機24の回転数制限値を記憶する記憶部20と、記憶部20に記憶された回転数制限値を上限値とし、室内機運転容量に応じて圧縮機24の回転数制御を行う圧縮機制御部22と、を備える。そして、回転数制限値は、室内機運転容量が最大の場合に圧縮機回転数が予め定められた最大回転数となるように、室内機運転容量の増加に応じて上昇するように定められる。
【0045】
従って、本第1実施形態に係る空調機制御装置18は、室内の快適性を損なうことなく、ピーク電力を削減できる。
【0046】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態について説明する。
【0047】
なお、本第2実施形態に係る空気調和装置10及び空調機制御装置18の構成は、図1,2に示す第1実施形態に係る空気調和装置10及び空調機制御装置18の構成と同様であるので説明を省略する。
【0048】
図5は、本第2実施形態に係る室内機運転容量と回転数制限値との関係を示したグラフである。
本第2実施形態に係る回転数制限値は、室内機運転容量が所定値(以下「デマンド制御容量」という。)以上の場合は、最大回転数よりも低い一定値(以下「デマンド値」という。)とされる。
デマンド値は、例えば最大回転数の80%であり、圧縮機24による消費電力の許容値によって予め設定されている。
【0049】
すなわち、圧縮機回転数がデマンド値を超える室内機運転容量以上の場合には、圧縮機回転数がデマンド値で一定とされる。
これにより、圧縮機24が、消費電力の大きい最大回転数で運転されることが無いので、ピーク電力の上昇がより抑制される。
【0050】
以上、本発明を、上記各実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記各実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、第1実施形態と第2実施形態を適宜組み合わせる等してもよい。
【0051】
例えば、上記各実施形態では、図3,5に示されるように回転数制限値を室内機運転容量との関係で定める形態について説明した。しかし、本発明は、これに限定されるものではなく、回転数制限値を室内機16の運転台数との関係で定める形態としてもよい。すなわち、図3,5の横軸が室内機16の運転台数となる。この形態では、各室内機16の運転容量が各々同じ場合に適用されることが好ましい。
【0052】
また、上記各実施形態では、室内機16の台数を複数台とする形態について説明した。しかし、本発明は、これに限定されるものではなく、室内機16の台数を1台とする形態としてもよい。この形態の場合、室内機運転容量は、1台の室内機16に対する運転負荷となる。
【0053】
また、上記各実施形態で説明した圧縮機制御処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【符号の説明】
【0054】
10 空気調和装置
12 室外機
16 室内機
18 空調機制御装置
20 記憶部
22 圧縮機制御部
24 圧縮機
図1
図2
図3
図4
図5