(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0045】
同時出願された以下の米国特許出願:Anthony D.Zannis及びDaren L.Deffenbaughによって出願された「Prosthesis with Modular Extensions」(DEP6035USCIP1)、Daren L.Deffenbaugh及びAnthony D.Zannisによって出願された「Prosthesis For Cemented Fixation And Method Of Making The Prosthesis」(DEP6035USCIP2)、Daren L.Deffenbaugh及びAnthony D.Zannisによって出願された「Prosthesis With Cut−Off Pegs And Surgical Method」(DEP6035USCIP3)、並びにDaren L.Deffenbaugh及びThomas E.Wogomanによって出願された「Prosthesis With Composite Component」(DEP6035USCIP4)が、本出願に関連する。これらの特許出願の全ては、参照としてその全体が本明細書に組み込まれる。
【0046】
本開示の概念には様々な改変及び代替的形態が考えられるが、その特定の代表的な実施形態を図面に例として示し、本明細書において詳細に述べる。ただし、本開示の概念を開示される特定の形態に限定することを何ら意図するものではなく、その逆に、本発明は、添付の「特許請求の範囲」において定義される発明の趣旨及び範囲に包含される全ての改変物、均等物及び代替物を網羅することを意図するものである点は理解されるべきである。
【0047】
解剖学的参照を表す前側、後側、内側、外側、上、下等の用語は、本開示全体にて、本明細書に記載する整形的インプラントと、患者の天然の解剖学的構造との両方に関して使用され得る。これらの用語は、解剖学的構造の研究及び整形外科学の分野のいずれにおいても広く理解された意味を有するものである。明細書及び特許請求の範囲におけるこれらの解剖学的参照用語の使用は、特に言及しない限り、それらの十分理解された意味と一致することが意図される。
【0048】
図1を参照すると、人工膝関節10が示されている。人工膝関節10は、大腿骨構成要素12、脛骨トレイ14及び軸受16を含む。例示される人工膝関節10は、固定軸受人工膝関節であり、これは脛骨トレイ14と軸受16との間に運動が生じないことが意図されることを意味する。本発明の原理はまた、可動軸受設計、例えば回転台脛骨トレイ、並びに他の人工関節にも適用され得ることが理解されるべきである。
【0049】
例示される大腿骨構成要素12は、2つの顆関節表面、すなわち内側顆関節表面18及び外側顆関節表面20を含む。これらの関節表面18、20は中実金属である。大腿骨構成要素12は、外科的に処理された患者の大腿骨の端部(不図示)内に埋め込まれるように構成され、かつ患者の自然の大腿骨関節顆の構成を模倣するように構成されている。したがって、外側顆表面20及び内側顆表面18は、自然の大腿骨の関節顆を模倣するような方法で構成されている(例えば、湾曲している)。外側顆表面20及び内側顆表面18は互いから離間しており、それによってそれらの間の顆間関節表面22を画定する。顆間関節表面22は、膝蓋骨インプラント構成要素(不図示)を受容し、これを支えるような形状の膝蓋骨溝を画定する。顆間関節表面22は中実金属を含み得る。
【0050】
大腿骨構成要素12はまた、関節表面18、20、22と反対側の骨嵌合表面13、15を含む。骨嵌合表面13、15の一部又は全ては、骨内部成長に繋がる多孔質金属(以下に記載される)を含み得る。あるいは、大腿骨構成要素の骨嵌合表面は、構成要素の骨へのセメント固定を促進するセメントポケットを含み得る。
【0051】
図1の大腿骨構成要素12は、十字靭帯固定構成要素であるが、本発明の原理は、十字靭帯置換人工膝関節システムにも同様に応用可能であることが理解されるべきである。
【0052】
大腿骨構成要素12は、例えば、DePuy Orthopaedics,Inc.,Warsaw,Indianaから入手可能なもの、並びに人工膝関節システムの他の供給元から入手可能なものなどの標準的な市販のインプラントの特徴を含み得る。大腿骨構成要素12は、次の米国特許出願に記載される特徴も含むことができ、当該特許出願の開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる:「Orthopaedic Knee Prosthesis Having Controlled Condylar Curvature」、米国特許出願公開第20100036500A1号、米国特許出願第12/488,107号(整理番号DEP6157USNP):「Posterior Cruciate−Retaining Orthopaedic Knee Prosthesis Having Controlled Condylar Curvature」、米国特許出願公開第2009032664A1号、米国特許出願第12/165,574号(整理番号DEP6152USNP);「Orthopaedic Femoral Component Having Controlled Condylar Curvature」、米国特許出願公開第20090326667A1号、米国特許出願第12/165,579号(整理番号DEP6151USNP);「Posterior Stabilized Knee Prosthesis」、米国特許出願公開第20090326666A1号、米国特許出願第12/165,582号(整理番号DEP6057USNP);及び「Posterior Stabilized Orthopaedic Knee Prosthesis Having Controlled Condylar Curvature」米国特許出願公開第20090326665A1号、米国特許出願第12/165,575号(整理番号DEP5923USNP)。
【0053】
大腿骨構成要素12の関節表面は、生体適合性金属、例えば、ステンレス鋼、チタン、コバルト・クロム合金又はチタン合金から構成されてもよいが、他の材料もまた使用され得る。一般的に使用される合金としては、チタン合金Ti−6Al−4が挙げられる。本発明の一態様では、大腿骨構成要素12の関節表面18、20、22はチタン合金(例えば、Ti−6Al−など)を含み、骨嵌合表面13、15はチタン金属フォーム(例えば、325メッシュ(<45um)の、水素化・脱水素プロセスによって生成され、ASTM F−1580基準を満たし、Phelly Materials,Inc.,Bergenfield,New Jersey(Part No.THD325)から入手可能な、市販の純チタン粉末から作製されるフォーム)、又はこのような粉末と、適合可能なチタン合金粉末、例えばTi−6A1−4Vとの混合物を含む。以下でより詳細に説明されるように、チタン金属フォームは、焼結によって中実チタン合金に結合されたチタンフォームプリフォームを含み得る。
【0054】
図1に示されるように、軸受構成要素16は、近位関節表面17及び近位関節表面17と反対側の遠位搭載表面19を有する。軸受16の近位関節表面17は、大腿骨構成要素12の内側関節顆18と関節運動するように構成された内側軸受表面21、及び大腿骨構成要素12の外側関節顆20と関節運動するように構成された外側軸受表面23を含む。軸受構成要素16はモジュラーであり、手術中に脛骨トレイ14と組み合わされて、以下でより詳細に記載されるように、機械的連結メカニズムによってこれに固定される。
【0055】
軸受16は、高分子材料から作製され得る。軸受16の好適な高分子材料は、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を含む。UHMWPEは、例えば、架橋された材料を含み得る。架橋、急冷又は他の方法でUHMWPEを調製するための技術は、多くの発行済み米国特許に記載され、その例としては、米国特許第5,728,748号(及びその同等物)(Sunらに発行)、同第5,879,400号(Merrillらに発行)、同第6,017,975号(Saumらに発行)、同第6,242,507号(Saumら)、同第6,316,158号(Saumらに発行)、同第6,228,900号(Shenらに発行)、同第6,245,276号(McNultyらに発行)、及び同第6,281,264号(Saloveyらに発行)が挙げられる。これらの米国特許の開示は、参照としてその全体が本明細書に組み込まれる。支持材料のUHMWPEは、例えばビタミンEなどの酸化防止剤を添加することにより、その中に存在するあらゆるフリーラジカルを安定化させるように処理され得る。酸化防止剤でUHMWPEを安定化させる技術は、例えば、共に「Oxidation−Resistant And Wear−Resistant Polyethylenes For Human Joint Replacements And Methods For Making Them」と題される米国特許出願公開第20070293647A1号(米国特許出願第11/805,867号)及び米国特許出願公開第20030212161A1号(米国特許出願第10/258,762号)に開示されており、該出願の開示は参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる。本発明は、特許請求の範囲で明示的に指定されない限り、いずれか特定のUHMWPE材料又は軸受16のためのUHMWPE材料に限定されないことが理解されるべきである。本発明の原理の応用において有用な、軸受16のための他の材料が利用可能であるか、利用可能となることが予測される。
【0056】
脛骨トレイ14は、中実金属近位搭載表面26及び反対側の遠位骨嵌合表面28を有する基盤24を含む。例示される脛骨トレイ14はまた、基盤の遠位骨嵌合表面28から、遠位端40、42、44、46、48まで、長手方向軸50、52、54、56、58に沿って遠位方向に延び、基盤24の遠位表面28と交差する、複数の延長部30、32、34、36、38を含む。各延長部30、32、34、36、38は、例えば、
図5に、L
1及びL
2として示される軸長さ、並びに
図5にT
1及びT
2として示される厚さを有する。
【0057】
大腿骨構成要素12もまた、延長部を有してもよい。例えば、ペグは大腿骨構成要素12の骨嵌合表面13、15から近位方向に延びてもよい。1つのこのようなペグは、
図1で39に例示される。このペグもまた、厚さ、及び長さを有する。
【0058】
例示される大腿骨構成要素及び脛骨トレイでは、各延長部30、32、34、36、38、39は、これらの対応のインプラント構成要素12、14の骨嵌合表面13、15、28との連結部から、それらの反対側の端部40、42、44、46、48、51まで外側に延びる。このような連結部の実施例は、
図1の69、
図5の60、62及び66、並びに
図7の60A、62A、66Aに示される。延長部30、32、34、36、38、39は、連結部の先の露出された外側表面を有し、そのような露出された外側表面の実施例は、
図1の79、
図5の70、72及び76、並びに
図7の70A、72A及び76Aに示される。
【0059】
第1及び第2の例示される脛骨トレイの実施形態の延長部30、32、34、36、38は、茎部30、30A、及び4つの離間したペグ32、34、36、38、32A、34A、36A、38Aを画定する。茎部30、30A、及びペグ32、34、36、38、32A、34A、36A、38Aは、患者の脛骨(不図示)の外科的に処理された端部に埋め込まれるように構成され、患者の骨の中に埋め込まれた際に、脛骨構成要素14、14Aを安定化させるように構成されている。茎部30、30Aは一般的に、脛骨構成要素の中央矢状面にあり、ペグ32、34、36、38、32A、34A、36A、38Aは、脛骨構成要素の中央矢状面から離間している。
【0060】
茎部30、30Aは脛骨トレイの標準的な茎部の形状であってもよく、脛骨トレイ14、14Aの骨嵌合表面28、28Aとの連結部60、60Aから、その遠位端40、40Aに向かって先細になっている。
図1、4及び5の実施形態の各脛骨ペグ32、34、36、38は、横断面図及び端面図において、円形である。ペグのために他の形状がまた使用されてもよい。ペグはテーパ状であるか、又は円筒形であってもよい。ペグは、形状の組み合わせ、例えば、
図12の32Bに示されるように、円筒形及び六角形の組み合わせなどであってよい。あるいは、
図13の32Cに示されるように、断面図及び端面図において六角形であってもよい。
図12及び13では、参照番号は、
図1、4、及び5の実施形態の同様の部分の表示に使用されるものと同じであり、文字「B」、及び「C」を伴う。
【0061】
茎部及びペグの遠位端表面は、平坦、回転楕円状又は他の何らかの形状であり得る。
図1、4及び5の実施形態では、自由端40、42、44、46、48、51は、ほぼ回転楕円状である。
図12及び13の実施形態では、遠位端42B、42Cは平坦である。本発明は、特許請求の範囲で明示的に説明されない限り、ペグ又は茎部のいずれか特定の形状に制限されないことが理解されるべきである。
【0062】
別の代替的実施形態が
図6〜7に例示され、
図1及び4〜5の実施形態の対応する又は同様の部分を記載するために使用されるものと同じ参照番号は、後に文字「A」が続いて使用されている。以下でより詳細に記載されるように、
図6〜7の実施形態では、延長部30A、32A、34A、36A、38Aの全てが、単一の一体型プリフォームの一部分である。実施形態は、上記及び下記に説明されるような特徴を共有し得る。実施形態間の相違が上記及び下記に説明される。
【0063】
図1及び3〜7に例示される脛骨トレイ14、14Aは、2つの材料の複合物であり、各トレイ14、14Aは、中実金属部80、80A及び多孔質金属部82、82Aを含む。例示される脛骨トレイ14、14Aの中実金属部80、80Aは、基盤24、24Aの近位搭載表面26、26Aを画定し、組み合わされた際に軸受構成要素16の遠位搭載表面19を支える。
図1の大腿骨構成要素はまた、中実金属部81及び多孔質金属部83の複合物であってよく、中実金属部81は関節表面18、20、22を画定する。
【0064】
脛骨トレイ14、14Aの多孔質金属部82、82A、83及び大腿骨構成要素12は、脛骨基盤24、24Aの遠位骨嵌合表面28、28A、及び大腿骨構成要素12の骨嵌合表面13、15を画定する。これらの多孔質金属骨嵌合表面13、15、28、28Aは、埋め込まれた際に、脛骨平坦部の切除された近位表面及び遠位大腿骨の切除された表面の骨に面し、骨内部成長に繋がる材料を画定し、脛骨基盤24、24Aの近位脛骨への及び大腿骨構成要素12の遠位大腿骨へのセメント固定されていない固定を可能にする。以下でより詳細に記載されるように、脛骨トレイ14、14Aの多孔質金属部82、82Aは、遠位骨嵌合表面28、28Aから近位方向に延び、遠位骨嵌合表面28、28Aと基盤24、24Aの近位搭載表面26、26Aとの間の位置で中実金属部80、80Aに焼結される。大腿骨構成要素12は同様に構成され、骨嵌合表面13、15と節表面18、20、22との間の位置で、多孔質金属部83が、中実金属部81に焼結される。
【0065】
脛骨トレイ14の多孔質金属部82、82A、83及び大腿骨構成要素12は、プリフォーム又は複数のプリフォームを含んでもよい。脛骨トレイ14の多孔質金属プリフォームのセットの第1実施例は、
図8〜9に例示される。多孔質金属プリフォームのこのセットは、遠位骨嵌合表面28と反対側の上面86を備える基部プリフォーム85を含む。上面86は、多孔質金属基部プリフォーム85が、中実金属部80に焼結されて脛骨トレイ14を作製する際に、脛骨トレイ14の中実金属部80との境界面となる。以下でより詳細に説明されるように、第1の例示される基部プリフォーム85は、上面86から遠位骨嵌合表面28に延びる、複数の平滑な円筒形の穴又は開口部87、89、91、93、95を含む。
【0066】
図9に例示されるように、第1のセットの多孔質金属プリフォームの延長部30、32、34、36、38は、互いに焼結される前では、基部プリフォーム85から分離する別個の構成要素である。例示された延長部プリフォームは、横断面図において円形であり、基部プリフォーム85の穴87、89、91、93、95の直径と実質的に同じ直径を有する。延長部の近位端と隣接する延長部の部分は、穴87、89、91、93、95を通じてフィットして基部プリフォームの壁と接触し、それによってプリフォーム85及び延長部87、89、91、93、95は互いに焼結され得る。別個の延長部の近位端は、延長部30、32、34、36、38の長手方向軸50、52、54、56、58に沿って位置合わせされた内部穴41、43、45、47、49を含む。この実施形態では、穴41、43、45、47、49はねじ切りされている。明確に例示するために、
図9では、これらの穴41、43、45、47、49にはねじ山は示されていない。これらのねじ穴49は、
図10の長手方向断面図に示される。
【0067】
延長部の他の形状が、基部プリフォーム85と組み合わせで使用され得る。例えば、ペグに対応する延長部は、円筒形部分及び横断面において六角形である部分との組み合わせを含み得る。このようなペグが
図12の32Bに示され、円筒形部分が100に示され、六角形部分が102に示される。このペグプリフォームはまた、ねじ穴43Bを含む端部表面106と反対側の平坦な端部表面42Bを有する。
【0068】
本発明において使用され得る延長部の別の実施例が、
図13で32Cに示される。この実施例では、延長部32Cは、横断面図及び端面図において六角形である。延長部は、2つの平坦な端部42C、106Cを含み、1つの端部106Cに内部穴43Cを備える。この実施例では、内部穴43Cはねじ切りされていない。代わりに、穴43Cの壁は、以下でより詳細に記載されるように、モールステーパ棒を受容するためのモールステーパ穴を画定する。穴43Cを画定する壁は、例えば3〜5°の角度でテーパ状であってもよい。穴は、端部106Cにおいて最大幅であり、端部106Cと端部42Cとの間が最も狭い。
図13に例示されるもののようなペグプリフォームは、
図8に例示されるものと同様の脛骨基盤プリフォームと共に使用され得るが、ただし、穴又は孔89、91、93、95は、延長部32Cを受容し、保持するために六角形の形状を有する。
【0069】
図13のもののような形状の延長部を利用する多孔質金属プリフォームの例が、
図14に示される。この実施例では、多孔質金属プリフォーム84Aは、基部85A及び一体型延長部30A、32A、34A、36A、38Aを含む。延長部32A、34A、36A、38Aがペグと対応し、延長部30Aは脛骨トレイの茎部と対応する。この実施形態では、茎部と対応する延長部30Aは、横断面図において円形であるが、他の形状が使用されてもよいことが理解されるべきである。基部85Aの近位側面上において、各延長部の環状隆起部29A、31A、33A、35A、37Aは基部85Aの平面状近位表面86Aの上に延びる。各延長部は、長手方向穴又は開口部41A、43A、45A、47A、49Aを含む。
図13に関して上記のように、この実施形態では、長手方向穴又は開口部41A、43A、45A、47A、49Aは、遠位方向で先細になっているモールステーパ穴である。環状隆起部37A及びその関連する穴49Aの拡大断面図が、代表的実施例として
図15に示されており、テーパ形状の穴49Aを画定する壁110、112は、例えば、3〜5°など、モールステーパ穴として好適な角度で、角度を付けられてもよい。環状突起部29A、31A、33A、35A、37Aは、29Aに示されるように円筒形状であってもよく、又は他の何らかの形状、例えば、31A、33A、35A及び37Aに示されるもののように、六角形の形状(横断面図及び平面図において)を有してもよい。
【0070】
多孔質金属プリフォーム84Aの断面図が、例として
図16に示される。多孔質金属プリフォーム84Aは、成形プロセスにおいて、単一の一体型断片として作製されてもよく、別の方法として、例えば、機械加工して特定の機構を作るなど、標準的な方法で加工されてもよい。
図7は、中実金属部80Aと組み合わせて脛骨トレイ14Aを形成する、
図14〜16のプリフォーム84Aを例示する。
【0071】
脛骨トレイ14の中実金属部80を再び参照すると、中実金属部の遠位表面120の第1実施例が
図17に例示される。遠位表面120は、
図1の脛骨トレイ14の基盤24の近位搭載表面26の反対側である。ここに示されるように、遠位表面120は、複数の凹部122、124、126、128、130を含む。スタッド132、134、136、138、140は、各凹部122、124、126、128、130内に存在する。脛骨トレイの中実金属部80Aの第2実施例の遠位表面が、
図19に例示される。ここに示されるように、遠位表面120Aはまた、複数の凹部122A、124A、126A、128A、130Aを含む。スタッド132A、134A、136A、138A、140Aは、各凹部122A、124A、126A、128A、130A内に存在する。
【0072】
図17〜18の実施形態における凹部122、124、126、128、130は、延長部30、32、34、36、38の円筒形の端部を受容するように構成され、スタッド132、134、136、138、140はねじ切りされて、ねじ穴41、43、45、47、49と補完的であり、それによって延長部30、32、34、36、38は、スタッド132、134、136、138、140にねじ込まれて延長部をスタッド132、134、136、138、140に搭載することができる。好ましくは、凹部122、124、126、128、130及び延長部30、32、34、36、38は、延長部30、32、34、36、38の外側表面と凹部122、124、126、128、130を画定する壁との間に金属接触が存在するような形状であり、それによって延長部30、32、34、36、38が、中実金属部80に焼結され得る。
【0073】
図19〜20の実施形態の凹部122A、124A、126A、128A、130Aは、プリフォーム84Aの環状隆起部29A、31A、33A、35A、37A(又は延長部30A、32A、34A、36A、38Aの端部)を受容するように構成され、スタッド132A、134A、136A、138A、140Aは、テーパ状であり、テーパ状の穴41A、43A、45A、47A、49Aと補完的であり、それによってプリフォーム84Aは、摩擦によりスタッド132A、134A、136A、138A、140A上に搭載される。凹部122A、124A、126A、128A、130A及び環状隆起部29A、31A、33A、35A、37Aは補完的な形状(横断面図において六角形)を有し、それによって、環状隆起部29A、31A、33A、35A、37Aと、凹部122A、124A、126A、128A、130Aを画定する壁との間に金属接触が存在し、それによってプリフォーム84Aが中実金属部80Aに焼結され得る。
【0074】
スタッドの構成の実施例が、
図21〜22に示される。
図21に示されるスタッド134のように、スタッドはねじ切りされてもよく、スタッドと、対応する延長部のねじ穴との間のねじ接続を可能にし、このような接続が例11に例示され、ねじ切りされたスタッド134が、このようなねじ接続によって延長部38と接続された状態で示される。
【0075】
スタッドは、あるいは、モールステーパ(一般的に約3〜5°)を有するモールステーパ棒を含んでもよく、このようなスタッドは、
図22で134Aに示される。一般的にスタッドは、対応する延長部のモールステーパ穴(一般的に約3〜5°)内に受容されるような寸法、形状及び位置であり、それによって延長部はスタッド上に搭載され得る。このような接続は
図23に例示され、モールステーパスタッド134Aは、プリフォーム84Aのモールステーパ穴41Aと嵌合した状態で示される。
図21〜22に例示される搭載メカニズムは、例としてのみ提示されていることが理解されるべきであり、延長部30、32、34、36、38及びプリフォーム84Aを、対応する中実金属部80、80Aに取り付けるために、他の好適な構造が使用されてもよく、本発明は、特許請求の範囲で明示的に示されない限り、いずれか特定の搭載構造に限定されない。
【0076】
図5、7、11、18及び20〜23の実施形態では、スタッド134、134は、脛骨トレイ14、14Aの中実金属部80、80Aの遠位表面120、120Aの面を越えて延びない自由端135、135Aを有する。より長いスタッドを備える脛骨トレイの別の実施形態が、
図28〜30に例示され、
図1、4〜7、11、18及び20〜23の実施形態の対応する又は同様の部分を記載するために使用されるものと同じ参照番号が文字「D」を伴って使用されている。
図28〜30の実施形態では、スタッドの自由端135Dは、脛骨トレイ14Dの中実金属部80Dの遠位表面120Dの平面を越えて延びる。
図28及び
図30に示されるように、多孔質金属部82Dと組み合わされた際、スタッドの自由端135Dは、脛骨トレイ14Dの多孔質金属部の骨嵌合表面28Dの平面まで延びる。
【0077】
加えて、補完的搭載構造は逆にされて、スタッドが延長部の上に存在し、補完的な凹部が脛骨トレイの中実金属部の上に提供されてもよいことは理解されるべきである。
【0078】
脛骨トレイ14、14Aの中実金属部80、80Aの近位搭載表面26、26Aの構成は、インプラントの種類によって変化してもよい。例えば、人工関節が回転台の種類の可動軸受人工膝関節である場合、脛骨トレイ14、14Aの近位搭載表面26、26A及び軸受16の遠位搭載表面19は、脛骨トレイ14、14Aの近位搭載表面26、26Aの上の軸受の回転を可能にするように平滑である。
図1に例示される実施形態は固定軸受設計であり、この実施形態における脛骨トレイ14の近位搭載表面26及び軸受16の遠位搭載表面19は、補完的な固定機構を含み、これは、軸受16と脛骨トレイ14との間のあらゆる相対的運動を、これらの構成要素が組み合わされた際に排除するか、又は少なくとも最小化する。例示される実施形態の、これらの補完的固定機構は、軸受16の遠位搭載表面19上の軸受台154、158、タブ160、162及び凹部178、180、並びに脛骨トレイ14の中実金属部80の近位搭載表面26上のバットレス184、186及びアンダーカット194、196、198を含む。固定軸受脛骨トレイのこれらの設計の詳細な説明は、例えば、それらの開示が参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる次の米国特許出願に見出すことができる:2007年9月28日出願の「Fixed−Bearing Knee Prosthesis Having Interchangeable Components」と題される米国特許第7628818号、及び2007年9月25日出願の「Fixed−Bearing Knee Prosthesis」と題される米国特許出願第11/860,833号(特許出願公開第US 20090082873 A1号として公開)。
【0079】
好ましくは、脛骨トレイ14、14Aの中実金属部80、80Aは、標準的なチタン金属合金から作製される中実金属プリフォームである。この目的のために好適な合金は、Ti−6Al−4Vである。この合金は、これが市販の純チタン粉末から作製される多孔質金属部に焼結され得るという点において有利である。この同じ材料が、大腿骨構成要素12の中実金属部にも同様に使用され得る。本発明の利点のいくつかは、他の材料、例えば、標準的なコバルト・クロム・モリブデン合金などで達成することができ、本発明は、特許請求の範囲で明示的に指定されない限り、中実金属部のためのいずれか特定の金属又は合金に限定されないことが理解されるべきである。
【0080】
好ましくは、脛骨トレイ14、14Aの多孔質金属部82、82Aはチタン金属フォームである。かかるフォームは、次の米国特許出願に教示されている通りに作製することができ、当該特許出願の全ては参照によりその全体が本明細書に組み込まれる:米国特許出願公開第20080199720A1、米国特許出願第11/677140号、発明の名称「Porous Metal Foam Structures And Methods」;米国特許出願公開第20100098574A1号、米国特許出願第12/540617号(整理番号DEP6171USNP)、発明の名称「Mixtures For Forming Porous Constructs」;米国特許出願公開第20090326674A1号、米国特許出願第12/487698号(整理番号DEP5922USNP)、発明の名称「Open Celled Metal Implants with Roughened Surfaces and Method for Roughening Open Celled Metal Implants」;及び米国特許出願公開第20090292365A1号、米国特許出願第12/470,397号(整理番号DEP6089USNP)、発明の名称「Implants with Roughened Surfaces」。多孔質金属部82、82Aを作製するために使用されるチタン金属粉末は、市販の純チタン粉末(例えば、325メッシュ(<45um)の、水素化物・非水素化物プロセスによって生成され、ASTM F−1580基準を満たし、Phelly Materials,Inc.,Bergenfield,New Jersey(Part No.THD325)から入手可能なチタン粉末など)、又はこのような粉末と、適合可能なチタン合金粉末、例えば合金Ti−6A1−4Vとの混合物を含む。この材料は、これが、Ti−6A1−4Vなどのチタン合金に焼結され得るという点において有利である。他の等級の市販の純チタンが同様に使用されてもよく、本発明の利点の少なくともいくらかを提供し得る他の粉末金属材料が将来利用可能であるか、開発され得ることが予測され、本発明は、特許請求の範囲で明示的に指示されない限り、いずれか特定の材料に限定されない。
【0081】
チタンフォームが好ましいが、本発明の利点のいくらかが、別の材料で同様に達成され得る。好適な別の材料の一実施例は、例えば、表題「Open Cell Tantalum Structures for Cancellous Bone Implants and Cell and Tissue Receptors」の、米国特許第5,282,861号に開示されるタンタル多孔質金属であり、この開示は参照として本明細書に組み込まれる。代替の、別の実施例は、埋め込み可能な金属、例えば、ステンレス鋼、コバルト・クロム合金、チタン、チタン合金などから作製される中実金属本体であり、骨嵌合表面、及び脛骨トレイのポリマー部と嵌合する表面の両方に配置される多孔質コーティングを有する。脛骨トレイ14、14Aの多孔質部82、82Aとして使用され得る多孔質コーティングの1つの種類は、Porocoat(登録商標)多孔質コーティングであり、これはDePuy Orthopaedics of Warsaw,Indから市販されている。多孔質金属プリフォーム84Aは、先に引用された、特許及び特許出願に記載されるプロセスのいずれかを使用して、又はいずれかの標準的なプロセスによって作製され得る。
【0082】
本発明の脛骨トレイ14、14Aを作製するために、中実金属部80、80Aは、従来の方法、例えばキャスティング、機械加工、又はキャスティング及び機械加工のある組み合わせによって、中実金属プリフォームとして作製され得る。このようなプロセスはまた、大腿骨構成要素12のための中実金属プリフォームを作製するために使用され得る。脛骨トレイ14、14A又は大腿骨構成要素12のいずれかのために、凹部122、124、126、128、130、122A、124A、126A、128A、130A、及び棒、又はスタッド132、134、136、138、140、132A、134A、136A、138A、140Aが、中実金属プリフォームへと機械加工されてもよい。
図21に例示される種類のスタッドでは、ねじ山がスタッド132、134、136、138、140内にも同様に形成され得る。
図22に例示される種類のスタッドでは、スタッド132A、134A、136A、138A、140Aの外側表面が、モールステーパ棒を画定するような形状であってよい。
【0083】
大腿骨及び脛骨構成要素12、14の中実金属部の関節及び搭載表面18、20、26は、例えば、II型硬質陽極酸化処理などによって、潤滑性を増加させるように処理され得ることが予測される。
【0084】
脛骨トレイ14、14A及び大腿骨構成要素12の多孔質金属部82、82Aは、例えば、「Mixtures For Forming Porous Constructs」と題される米国特許出願公開第20080199720A1号、米国特許出願12/540617号に記載のプロセスを用いて所望の形状を成型することにより作製され得る。そのように作製されたプリフォームは、例えば、体積、液体水銀の強制圧入及び断面図画像分析によって測定した際に、約60%〜約85%(好ましくは約65%〜約75%)の体積多孔率(又は%開放面積若しくは空隙)を有し得る。この多孔率/空隙は、同様の大きさ及び形状の中実金属構成要素の理論密度の15〜35%(好ましくは25〜35%)の密度を有するプリフォームと対応する。多孔率は、例えば、使用される孔形成剤の大きさなどの、製造プロセスにおける様々な要因の産物であり得ることが理解され得る。生じるチタン金属フォームは、以下でより詳細に説明されるように、例えば、エッチング又はブラスト処理によって、その粗さを増加させるように処理されてもよい。
【0085】
多孔質金属部82Aを調製するために使用される成形型は、生じる生成物が、
図16に例示されるような、単一で一体型の多孔質金属プリフォーム84Aを画成するような形状であってよい。このようなプリフォームは、
図6〜7に例示されるような脛骨トレイ14Aを作製するために使用され得る。あるいは、
図4〜5及び8〜9の実施形態では、個別かつ区別可能な延長部30、32、34、36、38、並びに個別かつ区別可能な基部85を作製するために、複数の成形型が提供されてもよい。これらの構成要素内の穴41、43、45、47、49、41A、43A、45A、47A、49Aは、成形プロセスの一部分として形成されてもよく、又は完成した金属フォーム構成物へと機械加工されてもよい。
図5及び9〜12に例示される種類の延長部では、穴41、43、45、47、49を画定する壁にねじ山が形成されてもよい。
図7、13〜16及び23に例示される種類の延長部では、穴41A、43A、45A、47A、49Aを画定する壁が、モールステーパ穴を画定するようにテーパ状であってもよい。
【0086】
インプラント構成要素の多孔質金属82、82A及びインプラント構成要素の中実金属部80、80Aが次に組み合わされてよい。例えば、
図6〜7に例示される種類のインプラント構成要素では、一体型のプリフォーム84Aが、中実金属部80Aの遠位表面120A上に押し付けられてもよく、中実金属部80Aのモールステーパスタッド132A、134A、136A、138A、140Aが、プリフォーム84Aのモールステーパ穴41A、43A、45A、47A、49Aに押し込まれ、多孔質金属フォーム84Aの環状隆起部29A、31A、33A、35A、37Aは、中実金属部又はプリフォーム80Aのスタッド132A、134A、136A、138A、140Aを囲む凹部122A、124A、126A、128A、130Aに受容される(
図7及び22に図示)。スタッドと穴との間のモールステーパ摩擦接続は、焼結が完成するまでアセンブリを一緒にして保持するべきである。
図4〜5に例示される種類のインプラント構成要素では、各金属延長部30、32、34、36、38は、各多孔質金属延長部30、32、34、36、38のねじ穴41、43、45、47、49を、中実金属部又はプリフォーム80のねじ切りされたスタッド132、134、136、138、140上に、
図11に示されるように延長部の環状端部がスタッド132、134、136、138を囲む凹部122、124、126、128、130に受容されるまでねじ込むことによって、中実金属基部80と個別に組み合わされてもよい。スタッド132、134、136、138と穴41、43、45、47、49との間の、このねじ接続は、焼結が完成するまでアセンブリを一緒にして保持するべきである。上記のモールステーパ接続及びねじ接続は、多孔質金属延長部をトレイの中実金属部に接続するための補完的構造の2つの例であることが理解されるべきであり、当業者は他の種類の接続が使用され得ることを認識するであろう。
【0087】
中実金属部80、80A、81、及び多孔質金属部82、82A、83のアセンブリは、次に互いに焼結されて最終的な脛骨トレイ14、14A、又は大腿骨構成要素12を形成してもよい。焼結は、多孔質金属部を形成するために使用されるものと同じ温度及び時間を利用して達成され得る。例えば、米国特許出願第20080199720A1号に開示されるように、アセンブリは、最終的なインプラント構成要素を形成するために以下の条件で焼結されてもよい:約1149℃(2100°F)〜約1482℃(2700°F)(好ましくは約1371℃(2500°F))で、約2時間〜約10時間(好ましくは約3時間〜約6時間)にわたる加熱。焼結された部品は次に、適切な冷却サイクルの後に、冷却され得る。
【0088】
大腿骨及び脛骨構成要素の両方に関して、一度組み合わされると、多孔質金属部82、82A、83は、インプラント構成要素12、14、14Aの骨嵌合表面13、15、28、28Aを画定する。加えて、大腿骨及び脛骨構成要素の両方に関して、搭載面19、及び関節面17の両方において、中実金属部80、80A、81は軸受16と接触する。
【0089】
上記のように、場合によっては、多孔質金属部82、82A、83を処理して、骨嵌合表面の一部又は全ての粗さを選択的に増加させることが望ましい場合がある。多孔質金属部82、82A、83は、例えば、外側表面の粗さを増大させるために、例えば、米国特許出願第12/487,698号、発明の名称「Open Celled Metal Implants with Roughened Surfaces and Method for Roughening Open Celled Metal Implants」、及び米国特許出願公開第20090292365A1、米国特許出願第12/470,397号、発明の名称「Implants with Roughened Surfaces」に開示されるようにエッチング又はブラスチングで処理されてもよい。これら特許出願に開示されているエッチング及びブラスチング法は、チタン金属フォームと共に用いるのに有利であるが、これら特許出願に開示されている技法は例として提供されているだけであり、本発明は、特許請求の範囲に明示的に記載されていない限り、粗面化された多孔質金属又は特定の粗面化手法に限定されるものでないことを理解すべきである。これらの特許の開示は、参照としてその全体が本明細書に組み込まれる。このような粗面化は、処理表面に骨内部成長を促進させ、構成要素の最終的な固定を改善するものと予測される。
【0090】
上記で特定される特許出願のエッチング及びブラスト処理の粗面化技法は、脛骨14、14A及び大腿骨構成要素12の多孔質金属部82、82A、83を粗面化させるためのものである。加えて、多孔質金属部82、82A、83の特定の表面を選択的に粗面化する一方で、他の表面を機械加工された粗さの低減した状態のままとするか、あるいはそれら他の表面の粗さを減少させるために更なる処理をそれら他の表面に施すことが有利であり得る。具体的に、修正手術における、脛骨トレイ14、14A又は大腿骨構成要素12のいずれかの、骨からの除去を促進するために、脛骨延長部の遠位端40、42、44、46、48、40A、42A、44A、46A、48A及び大腿骨延長部39の近位端51における骨内部成長を抑制することが望ましい場合がある。これは、基盤の遠位骨嵌合表面28、28A、及び延長部30、32、34、36、38、30A、32A、34A、36A、38Aの外側表面を連結部60、62、66、69、60A、62A、66A、及び隣接する表面で選択的に粗面化し、一方で連結部60、62、66、69、60A、62A、66Aと反対側の端部40、42、44、46、48、40A、42A、44A、46A、48A(及び、所望によりいくらかの隣接する表面)を、機械加工された状態に残しておくことによって達成され得る。
【0091】
多孔質金属インプラントを処理するための様々な他の技法が既知であり、本発明に応用され得る。例えば、「Suspension Of Calcium Phosphate Particulates For Local Delivery Of Therapeutic Agents」と題される米国特許出願公開第20060257358号に開示されるように、リン酸カルシウムコーティング(ヒドロキシアパタイトなど)は、追加の治療剤を有して又は有さずに、本発明の実施形態の多孔質部分の一部又は全てに適用されてもよい。あるいは、リン酸カルシウムなどの金属の電気泳動堆積法を用いてもよい。
【0092】
別の方法として、又は追加的に、骨内部成長が望ましくない多孔質金属部82、82Aの表面を、機械加工、ミル加工、研磨又は他の方法で平滑化することによって、その表面の粗さ及び/又は多孔性を低減することができる。機械加工、ミル加工、研磨又は平滑化が、孔の一部又は全てを閉ざし、表面形状を変化させることによって、表面に沿った摩擦係数を減少させることが予想できる。例えば、骨内部成長が望ましくない表面は、標準的な速度、例えば600rpmで回転する標準的な超硬チップで機械加工されてもよい。機械加工は、表面が平滑化され、多孔質ではなく中実の外観を有するまで実施されてよく、このプロセスで0.38mm(.015インチ)の材料が除去され得る。工業用の製造プロセスが、異なるパラメーターで実行されてもよいことが理解されるべきである。焼結前、焼結後、又は焼結前及び焼結後の両方において、構成要素がグリーン状態にあるときに、機械加工、ミリング、研磨又は平滑化を達成することができる。
【0093】
表面粗さがより少なく、静止摩擦係数がより低い表面を作り出す、別の方法を使用してもよい。例えば、孔は、金属により選択的に充填され得る。別の代替として、インプラントの多孔質金属部又はペグ、及び茎部を成形するとき、又は中実金属部及び多孔質金属部を互いに焼結する際に、中実金属片がペグ及び茎部の自由端に焼結されてもよい。別の代替としては、多孔質でない生体適合性ポリマーキャップを、延長部の端部に成形することが挙げられ、そのようなポリマーの例は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)である。
【0094】
このように、インプラントの多孔質金属部の表面の、選択的な粗面化、平滑化及び多孔性の変更のために、様々な技法が利用可能である。
【0095】
他の表面の多孔性及び粗さがまた修正されてもよい。例えば、
図1及び
図3の実施形態を考察すると、骨又はインプラント構成要素の別の部分と嵌合することを意図されない多孔質金属部82の表面が存在する。このような表面の例は、脛骨トレイ14の多孔質部82の露出された周縁部表面150である。
図1、3及び5の実施形態において、この露出された周縁部表面150は、遠位骨嵌合表面28から、多孔質基部85の上面86までほぼ垂直に延びる。この露出された周縁部表面の少なくとも一部は、埋め込まれた際に軟組織と嵌合することが予測され得る。この露出された周縁部表面が粗い場合、トレイが埋め込まれた際に隣接する軟組織が炎症する場合がある。したがって、これらの露出された周縁部表面、又は骨若しくはインプラントの別の部分の代わりに軟組織と係合し得るいずれかの表面を平滑化させることが好ましい場合がある。上記の平滑化方法のいずれかが使用され得る。例えば、露出された周縁部表面は、上記の超硬ビットで機械加工され得る。
【0096】
これらの表面は、粗面化された表面、平滑化された表面、又は一切処置されていない表面を含み、ISO 4287(1997)に準拠した、静止摩擦係数の測定又は表面形状若しくは表面粗さの特性分析などの、様々な方法により特徴付けされ得る。
【0097】
まず、静止摩擦係数に関し、米国特許出願公開第20090292365A1号(米国特許出願第12/470,397号)は、多孔質金属サンプル(市販の純チタン及びTi−6A1−4Vの両方)がグリーン状態で機械加工されることを開示いている。「平面上のスレッド」方法を使用して摩擦試験を実施した。「スレッド」は、19.1mm×19.1mm(0.75インチ×0.75インチ)の正方形の金属製サンプルマトリックスからなった。各「平面」は、剛性の独立気泡ポリウレタンフォームで、密度が320.4g/L(20lb/ft
3)の、Last−A−Foam(登録商標)6720(General Plastics Manufacturing Company,Tacoma,WA)をミル加工したサンプルを含む、ポリマー骨類似体であった。各スレッドは、4.5kg(10lb)単繊維糸で250Nのロードセルに接続され、10mm/分で20.3mm(0.8インチ)引っ張られた。30Nの垂直力を生成するために、スレッドの上に重りを置いた。最初に力が0.5N低下する前に記録された最大力から静止摩擦係数を計算した。
【0098】
これら表面に関する、ポリマー骨類似体との静止摩擦係数は、グリーン状態で機械加工された市販の純チタンの場合、0.52であり、グリーン状態で機械加工されたTi−6A1−4Vの場合0.65であって、標準偏差が0.1であることが判明した。それに対して、米国特許出願公開第20090292365A1号(米国特許出願第12/470,397号)に教示されている通りにブラスト処理された同一材料の多孔質金属構成要素は、ポリマー骨類似体との平均静止摩擦係数が、市販の純チタンの場合0.72〜0.89であり、Ti−6A1−4Vの場合1.09〜1.35であった。
【0099】
このように、本発明のこの態様に従って作製された脛骨トレイは、茎部30、30A、及びペグ32、34、36、38、32A、34A、36A、38Aを有してもよく、遠位表面40、42、44、46、48、40A、42A、44A、46A、48Aは、0.7よりも低い静止摩擦係数を有し(ポリマー骨類似体は、320.4g/L(20lb/ft
3)の密度を有する剛性の独立気泡ポリウレタンフォームを含む)、連結部60、62、66、60A、62A、66A付近の、これらのペグ32、34、36、38、32A、34A、36A、38A、及び茎部30、30Aの外側表面は、0.7を超える静止摩擦係数(ポリマー骨類似体は、約320.4g/L(20lb/ft
3)の密度を有する剛性独立気泡ポリウレタンフォームを含む)を有し得る。
図7、12〜14及び16に例示される種類のペグ32A、34A、36A、38Aでは、平坦な遠位表面42A、44A、46A、48Aが、より低い摩擦係数を有してもよく、
図1、3〜5及び9に例示される種類の延長部では、回転楕円状端部の全て又は一部分がより低い摩擦係数を有してもよい。延長部の選択的なエッチングにより、同様の結果が得られることが予測される。次にISO 4287(1997)に準拠して、表面形状及び表面粗さ特性を考慮し、サンプルを、市販の純チタン金属粉末(325メッシュ(<45um)の市販の純チタン粉末であって、水素化脱水素法によって製造され、ASTM F−1580規準を満たし、Phelly Materials,Inc.,Bergenfield,New Jersey,Part No.THD325から購入)を材料とし、米国特許公開第20081999720A1号(米国特許出願第11/677140号)に記載の方法を用いて製造した。サンプルの作製に使用した空隙充填剤は、塩(425〜600ミクロンのNaCl)とした。これら市販の純チタン金属粉末と塩とを混合し、圧密し、グリーン加工した。機械加工されたサンプルから塩を溶出させ、次いでサンプルを乾燥させた。一部のサンプルは、焼結しない表面の特性分析のために、そのまま取り置いた。サンプルの一部を次いで焼結した。サンプルの一部を、グリーン状態で、塩(<250ミクロンのNaCl)を使用し、米国特許公開第20090292365A1号(米国特許出願第12/470,397号)に記載の方法を用いてソルトブラスト処理し、次いで焼結した。ソルトブラスト処理されずに焼結されたサンプルのうち、そのサンプルの一部を400番の粒度のサンドペーパーで軽く研磨し、またサンプルの一部を、焼結後にミリング盤を使用してミル加工した。焼結されたサンプルの一部を、SiC研削した。焼結されたサンプルの一部を、出願人の研究所で使用可能な旋盤にかけ、また一部を、出願人の製造施設で使用可能な旋盤にかけた。
【0100】
サンプルの表面を、次に接触式表面計を使用し、ISO 4287(1997)に準拠して特性分析した。この特性分析は、半径2ミクロンのルビー球を備えるZeiss Surfcomm 5000接触式表面計を使用して実施し、測定速度は0.3mm/秒、傾斜補正は最小2乗直線とした。
【0101】
一部のサンプルに関しては、結果をISO 4287(1997)による「P」値を使用して記録した。一部のサンプルに関しては、結果をISO 4287(1997)による「P」値及び「R」値の両方を使用して記録した。そこに記載されているように、「P」値は、主要形状パラメーター(主要形状を、「短波長フィルター、λsの適用後の全体形状」と定義しているISO 3274を参照のこと)であり、粗さ及びうねりの両方を主要形状の構成成分として含み、「R」値は、粗さのパラメーターである。ISO 3274及びISO 4287は、参考としてその全体が本明細書に組み込まれる。
【0102】
これらの表面特性分析の結果を
図33A〜
図39に示す。主要形状パラメーターを、
図33A、
図34A、
図35A、
図36A、
図37A、
図38A及び
図39に示す。文字「P」で始まる表題欄(Pa、Pq、Pp、Pv、Pc.1、PDq、Psk、Pku及びPt)は、全てISO 4287(1997)に定義される表面形状パラメーターを示す。粗さパラメーターを
図33B、
図34B、
図35B、
図36B、
図37B及び
図38Bに示す。文字「R」で始まる表題欄(Ra、Rz、Rp、Rpmax、Rv及びRt)は、全てISO 4287(1997)に準拠の表面粗さパラメーターを示す。
図40Aは、グリーン機械加工されたサンプル、ソルトブラスト処理されたサンプル、ミル加工されたサンプル、研削されたサンプル、及び研磨されたサンプル、加えて異なる旋盤にかけられたサンプルに関する、パラメーターPaの平均値の違いを示す棒グラフである。
図40Bは、グリーン機械加工されたサンプル、ソルトブラスト処理されたサンプル、ミル加工されたサンプル、研削されたサンプル、及び研磨されたサンプル、加えて異なる旋盤にかけられたサンプルに関する、粗さパラメーターRaの平均値の違いを示す棒グラフである。
図40A及び40Bから理解され得るように、チタンフォームサンプルのPa値及びRa値は、チタンフォームをミル加工、研削及び/又は研磨、加えてこのフォームを旋盤にかけることによって、グリーン機械加工された状態から、著しく低減され得る。これらの結果は、その表面形状及び粗さを、ソルトブラスト処理されたサンプルのものと比較した場合、より顕著である。
【0103】
表面形状パラメーターのいくつかの結果は、米国特許出願公開第20090292365A1号(米国特許出願第12/470,397号)にも提供されている。ここに示されるように、サンプルのPa、Pp、Pt及びPq値(この特許出願において定義される)は、ブラスト処理されたサンプルにおいて(機械加工されているが、ブラスト処理されないサンプルと比較して)、全て少なくとも2倍になった。
【0104】
ミル加工されたチタンフォームサンプル及び研磨されたチタンフォームサンプルの表面は、より低いPa値及びRa値を有することから、ミル加工、研削、及び研磨されたチタンフォームサンプルは、ポリマー骨類似体との静止摩擦係数が、市販の純チタンの場合は0.52+/−0.1未満であり、Ti−6A1−4Vの場合は0.65+/−0.1未満であろうと予測される。
【0105】
かかる表面の静止摩擦係数は、グリーン状態で機械加工され、粗化処理が施されていない金属フォームサンプルに関して米国特許出願公開第20090292365A1号(米国特許出願第12/470,397号)に報告されている静止摩擦係数(市販の純チタンで0.52、Ti−6A1−4Vで0.65、標準偏差0.1)以下であることが予想される。周縁部の露出された表面の形状パラメーターもまた、(米国特許出願公開第20090292365A1号、米国特許出願第12/470,397号で定義される)グリーン状態で機械加工された金属フォームサンプルのPa、Pp、Pt、及びPq値以下であることが予想される。機械加工パラメーターが、周縁部の露出された表面及び遠位表面40の表面仕上げを最適化するように調節され得ることが予測される。大腿骨構成要素12の、骨嵌合表面と垂直な露出された多孔質金属表面が、同様に処理されてもよい。
【0106】
露出した周縁部表面を平滑化することの追加的な効果は、上述のように、孔が閉ざされる傾向を示すであろうということである。露出した周縁部表面の多孔性の低減は、切除された骨から出血してインプラントの多孔質金属部の本体へと流れ込んだ場合でも、その血液が露出した周縁部表面を通過して関節腔内に流れ込まないであろうということから、関節腔内の血液に関連するいかなる問題も解消されるという点で有利であり得る。
【0107】
軟組織と接触し得るインプラント表面の表面粗さを大幅に低減する別の方法がある。例えば、
図31に例示した脛骨トレイでは(
図1、4〜7、11、18、及び20〜23の実施形態の、対応する又は同様の部分を記載するために使用されるものと同じ参照番号が、文字「E」を伴って使用されている)、中実金属部80Eの周縁部は、骨嵌合表面28Eの平面にまで延びるリム152Eを含む。この実施形態では、リム152Eは内部に多孔質金属基部85Eが受容されるポケットを画定し、それによって露出された周縁部表面150Eが中実金属を含む。この実施形態では、脛骨トレイは、キャスト構成要素などの基部構成要素から作製されてもよく、ポケットはセメント固定のために構成され、かつこのポケットがチタンフォームなどの多孔質金属で充填され、その後焼結され得る。
【0108】
図32は、脛骨トレイの別の代替的実施形態(
図1、4〜7、11、18、20〜23、及び31の実施形態の、対応する又は同様の部分を記載するために使用されるものと同じ参照番号が、文字「F」を伴って使用されている)を例示する。この実施形態では、中実金属部80Fの周縁部は、骨嵌合表面28Fの平面より上の平面にまで延びるリム152Fを含む。この実施形態では、リム152Fが、多孔質金属基部85Fの一部が受容されるポケットを画定する。この実施形態では、多孔質金属基部85Fは、脛骨トレイの周縁部から陥没しており、多孔質金属と軟組織との間の接触を排除する。したがって、露出された周縁部表面150Fは、中実金属を含む。この実施形態では、脛骨トレイは、キャスト構成要素などの基部構成要素から作製されてもよく、ポケットはセメント固定のために構成され、かつこのポケットがチタンフォームなどの多孔質金属で充填され、その後焼結され得る。リム152Fによって画定されるポケットは、
図32にT
3で示される深さを有し、多孔質金属基部85Fは、
図32にT
4で示される厚さを有する。T
4は、T
3よりも大きく、骨嵌合表面28Fがしっかりと立つことを確実にし、これによって表面28Fが、下部の骨に完全に嵌合し、負荷を伝達することを確実にする。
【0109】
多孔質金属構成要素又は多孔質金属部の他の表面が平滑化されることが有利であり得る。本発明者は、多孔質チタンプリフォームを高密度のチタン基部上にそのように焼結させたアセンブリにおける結合強度は、そのチタンフォームの係合表面が、表面多孔性をすり潰すか閉ざすかの方法で機械加工された場合に改善されることを見出した。例えば、プリフォーム85、85Aの上側表面86、86Aは、そのプリフォームを中実金属部80、80Aに焼結させて脛骨トレイ14、14Aを作製する前に、機械加工によって平滑化され得る。
【0110】
異なる表面特性を有する中実金属と金属フォームとの間の結合強度における違いを特性分析するために、未処理の325メッシュ不規則形状非合金チタン粉末(上述の市販の純チタン)を使用して、2つの群のフォームリングを調製した。双方の群のフォームリングに関して、このチタン粉末を秤量し、公称粒径範囲425〜600μmにふるい分けした粒状NaClスペースホルダーと、NaCl粒子の体積分率が80.5%となるような重量比で配合した。このTi粉末及びNaClスペースホルダーを混合して、その混合物を可撓性の成形型に充填し、冷間静水圧プレス内で圧縮成形した。圧縮された部品を、グリーン状態で機械加工した。NaClスペースホルダーを水に溶解し、次いで部品を乾燥させた。
【0111】
このフォーム部品を乾燥させた後、それらを1371℃(2500°F)の温度で4時間、真空中で予備焼結させた。次に各チタンフォーム部品の軸となる中央部を貫通する穴を機械加工し、次いでそのフォーム部品を順にそろえて、未処理の鍛造Ti−6Al−4Vチタン合金棒から切り出した13mm(1/2インチ)のピンにわずかに圧力嵌合させ組み合わせた。次にそれらのアセンブリを、焼結温度で4時間、総時間で8時間、真空中で焼結させた。
【0112】
チタンフォームと中実チタン合金部品とのアセンブリの処理に共通する態様を、次の表に要約する。
【表1】
【0113】
第1群のサンプルと第2群のサンプルとでは、リング内に穴を機械加工した方法が異なる。それら機械加工のプロセスを、以下の表に要約する。
【表2】
【0114】
第1群の機械加工プロセスは、サンプルの多孔性をすり潰すか又は閉ざすかであったが、一方、第2群の機械加工プロセスは、より開放した表面多孔性を保持した。金属組織的に搭載及び研磨した断面の画像解析によってチタンフォームの基材への結合の程度を測定するために、リング剪断サンプルもまた調製した。この実施例では計測されていないが、第1群のサンプルの、静止摩擦係数、主要形状パラメーター(P値)及び粗さの値は、第2群のサンプルの、静止摩擦係数、主要形状パラメーター(P値)及び粗さの値よりも低いことが予想される。
【0115】
これらサンプルを、次に剪断強度に関して試験した。試験は、MTSロード圧盤を取り付けた、50kNロードセルを備えるMTS Alliance RF/100試験用架構上で実施した。特注のリング剪断固定具を試験用架構の基盤に取り付けた。この固定具は、試験サンプルのピン直径から小さな隙間が空くような貫通孔を有するものとした。試験サンプルを貫通孔に挿入して、フォームリングを固定具の面に接触させた。サンプルをこの貫通孔内の中央に配置し、このアセンブリをMTS圧盤下の中央に配置した。MTSに制御信号を送り、ピーク負荷が検出されるまで、フォームリングをピンから剪断するように、2.5mm/分(0.1インチ/分)でクロスヘッドを下方に移動させた。データを取得し、0.2%オフセット耐力での応力及びひずみ、並びにピーク応力をMTS TestWorks 4.08Bソフトウェアを使用して算出した。
【0116】
図41は、第1群のサンプルにおける多孔質金属と中実金属との結合が、第2群のサンプルにおける多孔質金属と中実金属との結合よりも、高い剪断強度を有していたことを示す。第1群及び第2群のサンプルの搭載及び研磨された断面の代表的な画像が
図42及び
図43に提供され、多孔質金属部と中実金属部との間の接合界面の長さは、第1群のサンプルの場合の方が第2群のサンプルの場合よりも長いことが示されている。
【0117】
したがって、軟組織が接触し得る表面、修正手術中のアクセスが困難な表面、及びインプラント構成要素の中実金属部と結合することになる表面の、多孔性、静止摩擦係数、並びに表面粗さを減少させることが有利であり得る。骨内部成長が望ましい他の表面では、表面粗さ及び静止摩擦係数は、維持されるか、又は粗面化によって増大され得る。
【0118】
本発明の基本原理は、他のインプラント構成要素にも適用され得る。近位脛骨又は遠位大腿骨における骨量の減少は、骨表面において、インプラントシステム10の脛骨構成要素14、14A又は大腿骨構成要素12を適切に位置付け、支持することを困難にする場合がある。従来技術は、楔又は増補部の使用によってこの問題に対処している。一般的に、楔又は増補部は、インプラント構成要素の骨嵌合表面の一部分と骨の一部分との間に配置され、骨の一部分を増補することによって骨の上のインプラント構成要素の一部分を支持する。
【0119】
実質的上、全ての患者の大きさ、形状及び解剖学的構造が異なるという事実と、近位脛骨上の骨量減少の位置及び量のばらつきとに部分的に起因して、多くの様々な楔及び増補剤が作製され、整形外科医によって利用可能である。例えば、典型的な手術用キットは、脛骨の内側又は外側のいずれかで使用するための、異なる厚さ及び異なる構成の脛骨用楔を含む。
【0120】
本発明では、人工膝関節システム又はキット10は、システムの大腿骨側及び脛骨側の両方のための、楔若しくは増補部を含み得る。これらの増補部は、多孔質金属、及びより具体的には、脛骨トレイ14、14A及び大腿骨構成要素12の多孔質金属部82、82A、83に関して上記されたものと同じ材料により、同じ条件下で作製される多孔質金属フォームを含み得る。
【0121】
大腿骨側に関し、増補部は、以下の米国特許第6,005,018号及び同第5,984,969号(これらは参照としてその全体が本明細書に組み込まれる)に開示されるものなどの特徴を有し得る。脛骨側に関し、増補部は、米国特許第7,175,665号及び同第5,019,103号(これらは参照としてその全体が本明細書に組み込まれる)に開示されるものなどの特徴を有し得る。
【0122】
例示的な脛骨増補部は、
図24に200で示される。例示される脛骨増補部200は、その全体長さ、幅及び厚さにわたり、多孔質金属で作製される。増補部200は、ペグ又は延長部(例えば、32、34、36、38、32A、34A、36A、38A)の部分を受容するような大きさ及び形状の貫通穴202を含み、
図25〜26に例示されるように、脛骨トレイの多孔質金属部82、82A上に存在してもよく、これに取り付けられてよい。増補部及びペグ若しくは延長部、並びにトレイの多孔質金属部の摩擦嵌合は、増補部をトレイに固定するために十分であってよく、別の方法として、増補部200は、増補部200を脛骨トレイ14、14Aに固定するためのねじ(不図示)を受容する大きさ及び形状の追加の貫通穴を含んでもよく、例示的な貫通穴が、
図24〜25で204に示される。増補部200はまた、いずれかの茎部(例えば30、30A)を脛骨トレイ14上に適合させるための凹部206などの、凹部を含んでもよい。補完的な内部穴が、ねじの部分を受容するための、脛骨トレイに提供されてもよい。脛骨トレイの穴はねじ切りされてもよく、かつ多孔質金属部82、82A内に提供されてもよく、あるいは多孔質金属部82、82Aを通じ、中実金属部80、80Aの中に延びてもよい。増補部の貫通穴202、204を画定する表面は、平滑であってもよく(すなわち、ねじ切りされていない)、ねじのための貫通穴204は上部及び下部皿穴を有してもよく、それによって増補部は、米国特許第7,175,665号に開示されるように、内側又は外側のいずれにおいても使用され得る。
図26に示されるように、増補部が脛骨トレイ14A上に取り付けられると、増補部の一方の表面210が、脛骨トレイ14Aの多孔質金属部82Aの遠位表面28Aを支え、増補部200の反対側の表面212が、脛骨トレイ14Aのこの面の骨嵌合表面となる。
【0123】
増補部200は、多孔質金属フォームを含んでもよい。例えば、増補部200は、次の米国特許出願に開示されるプロセスに従って作製され得る:2007年2月21日出願の「Porous Metal Foam Structures And Methods」と題された米国特許出願公開第20080199720A1号(米国特許出願第11/677140号);「Mixtures For Forming Porous Constructs」と題された米国特許出願第12/540617号(整理番号DEP6171USNP);「Open Celled Metal Implants with Roughened Surfaces and Method for Roughening Open Celled Metal Implants」と題された米国特許出願第12/487698号(整理番号DEP5922USNP);及び「Implants with Roughened Surfaces」と題された米国特許出願公開第20090292365A1号(米国特許出願第12/470,397号、整理番号DEP6089USNP)。増補部の露出された周縁部表面(例えば
図25及び
図26の表面250)は、露出された周縁部表面250を平滑化させるために処理されてもよい。平滑化処理は、例えば、上記のように機械加工することを含んでもよく、あるいは、又は更に、表面250は増補部の他の表面を粗面化するために使用されるいずれかのプロセス中に被覆されていてもよい。
【0124】
本発明のシステムを使用するために、外科医は従来技術を使用して、骨インプラント12、14、14Aを受容するための遠位大腿骨及び近位脛骨を処理し、セメントレス構成要素のための従来技術を使用して脛骨トレイ及び大腿骨構成要素を埋め込む。脛骨軸受16は典型的に、トレイ14、14Aが埋め込まれた後に、脛骨トレイ14、14Aと組み合わされる。
【0125】
埋め込み後、骨は、ペグ32、34、36、38、39、32A、34A、36A、38A及び茎部30、30Aを含む、脛骨トレイ14、14Aの多孔質金属部82、82A及び大腿骨構成要素12の多孔質金属部83内に成長することが予測される。しかしながら、ペグ及び茎部がより平滑な自由端40、42、44、46、48、51、40A、42A、44A、46Aを有するように作製される場合、骨は平滑な自由端へと成長しないか、又はそれほど活発に成長しない。したがって、脛骨基盤24、24Aの遠位表面28、28A、及び大腿骨構成要素12の多孔質金属部83への骨合部成長が存在することが予測される。加えて、また、脛骨基盤24の遠位表面28、及び大腿骨構成要素12の多孔質金属部83に隣接する、延長部30、32、34、36、38、39、30A、32A、34A、36A、38Aの外側表面70、72、76、79、70A、72A、76Aへの、加えて連結部60、62、66、69、60A、62A、66Aでの骨内部成長が予測される。近位外側表面70、72、76、79、70A、72A、76Aに沿った半径方向の圧力は均一であり、茎部及びペグ30、32、34、36、38、39、30A、32A、34A、36A、38A上の全方向で骨内部成長を刺激することが予測される。ペグ及び茎部の自由端部40、42、44、46、48、51、40A、42A、44A、46Aが、多孔質金属部の残部よりも平滑である(又は中実金属を含む)場合、骨は延長部30、32、34、36、38、39、30A、32A、34A、36A、38Aの自由端40、42、44、46、48、51、40A、42A、44A、46Aにおいて、より平滑な露出された外側表面内に成長しないか、又はそれほど活発に成長しないことが予測される。
【0126】
延長部30、32、34、36、38、39、30A、32A、34A、36A、38Aは、患者の骨に埋め込まれた際に、インプラント構成要素12、14、14Aを安定化させる。中央茎部30、30Aは、脛骨トレイの上昇に対して安定性を提供する。中央茎部30、30Aを囲むペグ32、34、36、38、32A、34A、36A、38A及び大腿骨構成要素12のペグ39は、特に骨内部成長が生じた後に、剪断及び微動を低減させることによって安定性を提供する。
【0127】
インプラント構成要素の露出した周縁部表面150、250が平滑であれば、この構成要素が埋め込まれた後に軟組織の炎症が発生するはずもなく、血液が多孔質金属部を通過して関節腔内に流れ込まないはずである。
【0128】
脛骨トレイ14、14A又は大腿骨構成要素12を取り除くことが後で必要になった場合、外科医は脛骨トレイ基盤24、24Aの遠位骨嵌合表面28、28Aに沿って(又は増補部200の遠位表面212に沿って)切断し、患者の骨と脛骨トレイ基盤24、24Aとの接続を境界面で切断してもよい。ペグ32、34、36、38、39、32A、34A、36A、38A及び茎部30、30Aが、その全体厚さT
1、及びT
2にわたり、多孔質金属フォームからなる場合、外科医はまた、延長部30、32、34、36、38、39、30A、32A、34A、36A、38Aの全てにわたり、延長部30、32、34、36、38、39、30A、32A、34A、36A、38A、並びに脛骨基盤24、24Aの遠位表面28、28A、及び大腿骨構成要素12の骨嵌合表面13、15の連結部60、62、66、69、60A、62A、66Aで、骨鋸を使用して切断し、脛骨基盤24、24A、及び大腿骨構成要素12を容易に取り除いてもよい。骨鋸が一般的に中実金属を切断できないため、このような結果は中実チタン又はコバルト・クロム合金で作製されるベグ及び茎部においては一般的に不可能である。延長部30、32、34、36、38、39、30A、32A、34A、36A、38Aを取り除くために、外科医は次に、各延長部30、32、34、36、38、39、30A、32A、34A、36A、38Aの外側外辺部の周囲を切断し、骨と延長部30、32、34、36、38、39、30A、32A、34A、36A、38Aとの間の接続を切断してもよい。外辺部周囲のこのような切断は、例えば、トレフィン鋸の使用によってなされてもよい。各延長部30、32、34、36、38、39、30A、32A、34A、36A、38Aは次に、容易に取り除くことができる。特に、延長部の自由端が平滑である場合、延長部の端部で骨内部成長が殆ど、又は全く生じず、茎部及びペグの除去を容易にするはずである。
【0129】
上記のように、連結部60、62、66、69、60A、62A、66A、60D、62D、66D、60E、62E、66Eにおける茎部及びペグが中実金属ではなく多孔質金属からなる場合、茎部及びペグ30、32、34、36、38、39、30A、32A、34A、36A、38A、30D、32D、36D、30E、32E、36Eに鋸を通すことが容易になる。一般的に、材料が25〜35%の理論密度である場合、茎部及びペグは、標準的な外科用鋸で横方向に切断され得るものと考えられる。特に、例示される実施形態では、チタン合金スタッド132、134、136、138、140、132A、134A、136A、138A、140A、134D、134Eは、骨嵌合表面28、28A、28D、28Eの平面を越えて延びず、したがって、延長部30、32、34、36、38、39、30A、32A、34A、36A、38A、30D、32D、36D、30E、32E、36Eを切断する際に、外科医は中実金属スタッド132、134、136、138、140、132A、134A、136A、138A、140A、134D、134Eを切断する必要がない。
【0130】
標準的な外科用鋸は、更に若干密度の高い材料を切断し得ることが予測される。加えて、標準的な外科用鋸は、多孔質金属フォーム(例えば、市販の純チタン)によって囲まれる中実金属(例えば、チタン合金)の小さな半径の中央コアなどの、材料の複合物を切断することができるものと予測される。したがって、容易な除去の目的のために、連結部において延長部の全体厚さが多孔質金属であることが好ましいが、他の検討事項が、材料の複合物の使用を要求する場合がある。
【0131】
したがって、本発明は、最適化されたセメントレス固定のための、脛骨インプラント構成要素及び大腿骨構成要素を備える人工膝関節を提供する。軟組織の炎症及び血液の流れ込みは、大幅に低減されるか、又は解消され得る。インプラント構成要素の多孔質金属部と中実金属部との間の焼結による結合強度が、最適化され得る。更に、インプラント構成要素は、元の骨を保全するために、修正手術において骨から容易に取り除かれ得る。
【0132】
本発明の原理は、他の人工関節にも同様に応用されることが予測されるものとして理解される。このような人工関節の例が、
図27に示される。
図27の人工関節は人工足関節である。例示される人工足関節は、距骨構成要素312、複合遠位脛骨構成要素314及び軸受316を含む。例示される実施形態では、複合遠位脛骨構成要素314は、人工膝関節10のために上記のように互いに焼結された、遠位中実金属部320及び近位多孔質金属部322を含む。人工膝関節10におけるように、中実金属部320及び軸受は、補完的な固定機構(不図示)を備える搭載表面を有してもよく、それによって軸受316は、脛骨構成要素314の中実金属部320に固定され得る。例示される遠位脛骨構成要素314は、脛骨構成要素314の骨嵌合表面326から近位方向に延びる近位延長部324を有する。近位延長部324は、骨と嵌合するための多孔質金属外側表面を提供してもよく、又は遠位表面328は多孔質金属を含んでもよく、かつ近位表面330は、上記のように、ある多孔性又は低減した静止摩擦係数を備える多孔質金属を含んでもよい。同様の延長部が、所望により距骨構成要素に提供され得る。
【0133】
以上、図面及び上記の説明文において本開示内容を詳細に図示、説明したが、こうした図示、説明はその性質上、例示的なものとみなすべきであって、限定的なものとみなすべきではなく、あくまで例示的実施形態を示し、説明したものにすぎないのであって、本開示の趣旨の範囲に含まれる変更及び改変はすべて保護されることが望ましい点は理解されるであろう。
【0134】
例えば、延長部の数及び構成は様々であってもよい。例えば、脛骨トレイに関して、トレイはペグを含んで中央茎部を含まなくてもよい。例示される脛骨トレイは4つのペグを含むが、より少ないペグが許容可能であり得る。
【0135】
他のバリエーションが同様に可能である。例えば、延長部30、32、34、36、38、39、30A、32A、34A、36A、38A、30D、32D、36D、30E、32E、36Eが、所望により手術中に基部プレートと相互動作可能に組み合わされるモジュラー構成要素として作製され得る。基部プレートは、
図8に85で示されるもののような多孔質プリフォームを含む場合があり、
図5で80に示されるもののような中実金属部に焼結される。上記のねじ接続及びモールステーパ接続は、特に、
図28〜30の実施形態に示されるようにスタッドがより長い場合において、焼結することなく構成要素を互いに保持するために十分であるべきである。延長部及び基部プレートはキットの形態で提供されてもよく、基部プレート及び延長部は
図8〜9及び17〜20に示されるような区別可能な構成要素であり、キットにおける延長部は、大きさ又は表面仕上げなど、異なる特性を有してもよく、外科医は手術中に特定の患者のために最も適切な延長部を選択することができる。例えば、外科医の希望に適合するように、延長部のセットが、多孔質の遠位端を備えてもよく、延長部の第2セットが平滑な遠位端を備えてもよい。
【0136】
本開示には、ここに述べた装置、システム、及び方法の様々な特徴に基づく複数の利点がある。本開示の装置、システム、及び方法の代替的実施形態は、ここで述べた特徴の全てを含むわけではないが、こうした利点の少なくとも一部から利益を享受するものである。当業者であれば、本発明の1以上の特徴を取り入れた、特許請求の範囲において定義される本開示の趣旨及び範囲に含まれる装置、システム、及び方法を独自に実施することが容易に可能である。
【0137】
〔実施の態様〕
(1) 骨嵌合表面と前記骨嵌合表面から延びる第2表面とを有する多孔質金属本体を含み、前記骨嵌合表面はある静止摩擦係数を有し、前記第2表面は、より低い静止摩擦係数を有し、前記本体は、少なくとも60容積%の空隙を有する、整形外科用インプラント構成要素。
(2) 前記インプラント構成要素が、中実金属部を有する脛骨トレイを含み、
前記多孔質金属本体が前記中実金属部に結合され、
前記多孔質金属本体の前記骨嵌合表面が、前記脛骨トレイの遠位表面を含み、
前記第2表面が、前記脛骨トレイの周縁部にわたって延在し、前記中実金属部を前記本体の前記骨嵌合表面に接続する、実施態様1に記載の整形外科用インプラント構成要素。
(3) 前記第2表面が向かい合う部分を含み、
前記第2表面の前記向かい合う部分間の前記多孔質金属本体が金属フォームを含む、実施態様2に記載の整形外科用インプラント構成要素。
(4) 前記インプラント構成要素が脛骨トレイを含み、
前記インプラント構成要素が中実金属支持部を更に含み、
前記多孔質金属本体が、前記脛骨トレイから自由遠位端へと遠位に延びる延長部を含み、
前記延長部の前記自由遠位端が、前記多孔質金属本体の前記第2表面を画定する、実施態様1に記載の整形外科用インプラント構成要素。
(5) 前記延長部が、前記脛骨トレイの中央矢状面から離間したペグを含む、実施態様4に記載の整形外科用インプラント構成要素。
【0138】
(6) 前記延長部が、前記脛骨トレイの中央矢状面に沿って配置された茎部を含む、実施態様4に記載の整形外科用インプラント構成要素。
(7) 前記インプラント構成要素が遠位大腿骨構成要素を含み、
前記インプラント構成要素が中実金属支持部を更に含み、
前記多孔質金属本体が、前記脛骨トレイから自由近位端へと近位に延びる延長部を含み、
前記延長部の前記自由近位端が、前記多孔質金属本体の前記第2表面を画定する、実施態様1に記載の整形外科用インプラント構成要素。
(8) 前記延長部が、前記遠位大腿骨構成要素の中央矢状面から離間したペグを含む、実施態様7に記載の整形外科用インプラント構成要素。
(9) 前記インプラント構成要素が、骨嵌合表面を有する第2インプラント構成要素を含む整形外科用インプラントシステムの一部であって、前記整形外科用インプラント構成要素が、前記第2インプラント構成要素の前記骨嵌合表面に対して選択的に配置されるように構成された増補部を含む、実施態様1に記載の整形外科用インプラント構成要素。
(10) 骨嵌合表面と前記骨嵌合表面から延びる第2表面とを有する多孔質金属本体を含み、前記骨嵌合表面が、ISO 4287(1997)に準拠する表面形状を有し、前記第2表面が、ISO 4287(1997)に準拠して異なった表面形状を有し、前記本体は、少なくとも60容積%の空隙を有する、整形外科用インプラント構成要素。
【0139】
(11) 前記インプラント構成要素が、中実金属部を有する脛骨トレイを含み、
前記多孔質金属本体が前記中実金属部に結合され、
前記多孔質金属本体の前記骨嵌合表面が、前記脛骨トレイの遠位表面を含み、
前記第2表面が、前記脛骨トレイの周縁部にわたって延在し、前記中実金属部を前記本体の前記骨嵌合表面に接続する、実施態様10に記載の整形外科用インプラント構成要素。
(12) 前記第2表面が向かい合う部分を含み、
前記第2表面の前記向かい合う部分間の前記多孔質金属本体が金属フォームを含む、実施態様10に記載の整形外科用インプラント構成要素。
(13) 前記インプラント構成要素が脛骨トレイを含み、
前記インプラント構成要素が中実金属支持部を更に含み、
前記多孔質金属本体が、前記脛骨トレイから自由遠位端へと遠位に延びる延長部を含み、
前記延長部の前記自由遠位端が、前記多孔質金属本体の前記第2表面を画定する、実施態様10に記載の整形外科用インプラント構成要素。
(14) 前記延長部が、前記脛骨トレイの中央矢状面から離間したペグを含む、実施態様13に記載の整形外科用インプラント構成要素。
(15) 前記延長部が、前記脛骨トレイの中央矢状面に沿って配置された茎部を含む、実施態様13に記載の整形外科用インプラント構成要素。
【0140】
(16) 前記インプラント構成要素が遠位大腿骨構成要素を含み、
前記インプラント構成要素が中実金属支持部を更に含み、
前記多孔質金属本体が、前記中実金属部から自由近位端へと近位に延びる延長部を含み、
前記延長部の前記自由近位端が、前記多孔質金属本体の前記第2表面を画定する、実施態様10に記載の整形外科用インプラント構成要素。
(17) 前記延長部が、前記遠位大腿骨構成要素の中央矢状面から離間したペグを含む、実施態様16に記載の整形外科用インプラント構成要素。
(18) 前記インプラント構成要素が、骨嵌合表面を有する第2インプラント構成要素を含む整形外科用インプラントシステムの一部であって、前記整形外科用インプラント構成要素が、前記第2インプラント構成要素の前記骨嵌合表面に対して選択的に配置されるように構成された増補部を含む、実施態様10に記載の整形外科用インプラント構成要素。
(19) 骨嵌合表面と前記骨嵌合表面から延びる第2表面とを有する多孔質金属本体を含み、前記骨嵌合表面が、ISO 4287(1997)に準拠してある表面粗さを有し、前記第2表面が、ISO 4287(1997)に準拠して、より低い表面粗さを有し、前記本体は、少なくとも60容積%の空隙を有する、整形外科用インプラント構成要素。
(20) 前記インプラント構成要素が、中実金属部を有する脛骨トレイを含み、
前記多孔質金属本体が前記中実金属部に結合され、
前記多孔質金属本体の前記骨嵌合表面が、前記脛骨トレイの遠位表面を含み、
前記第2表面が、前記脛骨トレイの周縁部にわたって延在し、前記中実金属部を前記本体の前記骨嵌合表面に接続する、実施態様19に記載の整形外科用インプラント構成要素。
【0141】
(21) 前記第2表面が向かい合う部分を含み、
前記第2表面の前記向かい合う部分間の前記多孔質金属本体が金属フォームを含む、実施態様19に記載の整形外科用インプラント構成要素。
(22) 前記インプラント構成要素が脛骨トレイを含み、
前記インプラント構成要素が中実金属支持部を更に含み、
前記多孔質金属本体が、前記脛骨トレイから自由遠位端へと遠位に延びる延長部を含み、
前記延長部の前記自由遠位端が、前記多孔質金属本体の前記第2表面を画定する、実施態様19に記載の整形外科用インプラント構成要素。
(23) 前記延長部が、前記脛骨トレイの中央矢状面から離間したペグを含む、実施態様22に記載の整形外科用インプラント構成要素。
(24) 前記延長部が、前記脛骨トレイの中央矢状面に沿って配置された茎部を含む、実施態様22に記載の整形外科用インプラント構成要素。
(25) 前記インプラント構成要素が遠位大腿骨構成要素を含み、
前記インプラント構成要素が中実金属支持部を更に含み、
前記多孔質金属本体が、前記脛骨トレイから自由近位端へと近位に延びる延長部を含み、
前記延長部の前記自由近位端が、前記多孔質金属本体の前記第2表面を画定する、実施態様19に記載の整形外科用インプラント構成要素。
【0142】
(26) 前記延長部が、前記遠位大腿骨構成要素の中央矢状面から離間したペグを含む、実施態様25に記載の整形外科用インプラント構成要素。
(27) 前記インプラント構成要素が、骨嵌合表面を有する第2インプラント構成要素を含む整形外科用インプラントシステムの一部であって、前記整形外科用インプラント構成要素が、前記第2インプラント構成要素の前記骨嵌合表面に対して選択的に配置されるように構成された増補部を含む、実施態様19に記載の整形外科用インプラント構成要素。
(28) 骨嵌合表面と前記骨嵌合表面から延びる第2表面とを有する多孔質金属本体を含み、前記骨嵌合表面が、ある表面多孔性を有し、前記第2表面が、より低い表面多孔性を有し、前記本体は、少なくとも60容積%の空隙を有する、整形外科用インプラント構成要素。
(29) 前記インプラント構成要素が、中実金属部を有する脛骨トレイを含み、
前記多孔質金属本体が前記中実金属部に結合され、
前記多孔質金属本体の前記骨嵌合表面が、前記脛骨トレイの遠位表面を含み、
前記第2表面が、前記脛骨トレイの周縁部にわたって延在し、前記中実金属部を前記本体の前記骨嵌合表面に接続する、実施態様28に記載の整形外科用インプラント構成要素。
(30) 前記第2表面が向かい合う部分を含み、
前記第2表面の前記向かい合う部分間の前記多孔質金属本体が金属フォームを含む、実施態様28に記載の整形外科用インプラント構成要素。
【0143】
(31) 前記インプラント構成要素が脛骨トレイを含み、
前記インプラント構成要素が中実金属支持部を更に含み、
前記多孔質金属本体が、前記脛骨トレイから自由遠位端へと遠位に延びる延長部を含み、
前記延長部の前記自由遠位端が、前記多孔質金属本体の前記第2表面を画定する、実施態様28に記載の整形外科用インプラント構成要素。
(32) 前記延長部が、前記脛骨トレイの中央矢状面から離間したペグを含む、実施態様31に記載の整形外科用インプラント構成要素。
(33) 前記延長部が、前記脛骨トレイの中央矢状面に沿って配置された茎部を含む、実施態様31に記載の整形外科用インプラント構成要素。
(34) 前記インプラント構成要素が遠位大腿骨構成要素を含み、
前記インプラント構成要素が中実金属支持部を更に含み、
前記多孔質金属本体が、前記脛骨トレイから自由近位端へと近位に延びる延長部を含み、
前記延長部の前記自由近位端が、前記多孔質金属本体の前記第2表面を画定する、実施態様28に記載の整形外科用インプラント構成要素。
(35) 前記延長部が、前記遠位大腿骨構成要素の中央矢状面から離間したペグを含む、実施態様34に記載の整形外科用インプラント構成要素。
【0144】
(36) 前記インプラント構成要素が、骨嵌合表面を有する第2インプラント構成要素を含む整形外科用インプラントシステムの一部であって、前記整形外科用インプラント構成要素が、前記第2インプラント構成要素の前記骨嵌合表面に対して選択的に配置されるように構成された増補部を含む、実施態様28に記載の整形外科用インプラント構成要素。
(37) 近接する非平行表面を有する多孔質金属本体を得ることと、
前記多孔質金属本体の前記近接する非平行表面の一方を粗面化し、かつ前記多孔質金属本体の他方の前記非平行表面を粗面化せずに、前記他方の非平行表面を機械加工することと、
を含む、整形外科用インプラント構成要素の作製方法。
(38) 前記近接する非平行表面の一方を粗面化するステップが、前記表面をソルトブラスト処理することを含む、実施態様37に記載の方法。
(39) 前記多孔質金属本体を中実金属本体に焼結するステップを更に含む、実施態様37に記載の方法。
(40) 前記多孔質金属本体が、少なくとも60容積%の空隙を有する金属フォームを含む、実施態様37に記載の方法。
【0145】
(41) 前記金属フォームが、チタンフォームを含む、実施態様40に記載の方法。
(42) 各表面が静止摩擦係数を有する近接する非平行表面を有する多孔質金属本体を得ることと、
前記近接する非平行表面の一方を、その表面の前記静止摩擦係数が減少するように機械加工することと、
を含む、整形外科用インプラント構成要素の作製方法。
(43) 他方の前記表面を、その静止摩擦係数を増大させるように粗面化するステップを更に含む、実施態様42に記載の方法。
(44) 前記粗面化のステップが、前記表面をソルトブラスト処理することを含む、実施態様43に記載の方法。
(45) 前記多孔質金属本体を中実金属本体に焼結するステップを更に含む、実施態様42に記載の方法。
【0146】
(46) 前記多孔質金属本体が、少なくとも60容積%の空隙を有する金属フォームを含む、実施態様42に記載の方法。
(47) 前記金属フォームが、チタンフォームを含む、実施態様46に記載の方法。
(48) 各表面が表面形状を有する近接する非平行表面を有する多孔質金属本体を得ることと、
前記近接する非平行表面の一方を、その表面の前記表面形状を変化させるように機械加工することと、
を含む、整形外科用インプラント構成要素の作製方法。
(49) 他方の前記表面を粗面化し、粗面化された前記表面の前記表面形状を変化させるステップを更に含む、実施態様48に記載の方法。
(50) 前記粗面化のステップが、前記表面をソルトブラスト処理することを含む、実施態様49に記載の方法。
【0147】
(51) 前記多孔質金属本体を中実金属本体に焼結するステップを更に含む、実施態様48に記載の方法。
(52) 前記多孔質金属本体が、少なくとも60容積%の空隙を有する金属フォームを含む、実施態様48に記載の方法。
(53) 前記金属フォームが、チタンフォームを含む、実施態様52に記載の方法。
(54) 各表面が多孔性を有する近接する非平行表面を有する多孔質金属本体を得ることと、
前記近接する非平行表面の一方を、その表面の前記多孔性が低減するように機械加工することと、
を含む、整形外科用インプラント構成要素の作製方法。
(55) 他方の前記表面を、その静止摩擦係数を増大させるように粗面化するステップを更に含む、実施態様54に記載の方法。
【0148】
(56) 前記粗面化のステップが、前記表面をソルトブラスト処理することを含む、実施態様55に記載の方法。
(57) 前記多孔質金属本体を中実金属本体に焼結するステップを更に含む、実施態様54に記載の方法。
(58) 前記多孔質金属本体が、少なくとも60容積%の空隙を有する金属フォームを含む、実施態様54に記載の方法。
(59) 前記金属フォームが、チタンフォームを含む、実施態様58に記載の方法。
(60) 各表面が粗さを有する近接する非平行表面を有する多孔質金属本体を得ることと、
前記近接する非平行表面の一方を、その表面の前記粗さを低下させるように機械加工することと、
を含む、整形外科用インプラント構成要素の作製方法。
【0149】
(61) 他方の前記表面を、その粗さを増大させるように粗面化するステップを更に含む、実施態様60に記載の方法。
(62) 前記粗面化のステップが、前記表面をソルトブラスト処理することを含む、実施態様61に記載の方法。
(63) 前記多孔質金属本体を中実金属本体に焼結するステップを更に含む、実施態様60に記載の方法。
(64) 前記多孔質金属本体が、少なくとも60容積%の空隙を有する金属フォームを含む、実施態様60に記載の方法。
(65) 前記金属フォームが、チタンフォームを含む、実施態様64に記載の方法。
【0150】
(66) 骨嵌合表面と第2表面とを有する多孔質金属本体を得ることであって、前記骨嵌合表面及び前記第2表面が、静止摩擦係数、表面形状、表面粗さ、及び表面多孔性からなる群から選択される特徴の点で異なる、ことと、
表面を有する中実金属本体を得ることと、
前記多孔質金属本体の前記第2表面を前記中実金属本体の前記表面に焼結することと、
を含む、整形外科用インプラント構成要素の作製方法。
(67) 前記多孔質金属本体の前記骨嵌合表面の前記特徴の値が、前記多孔質金属本体の前記第2表面に関するその特徴の値よりも大きい、実施態様66に記載の方法。