(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6279323
(24)【登録日】2018年1月26日
(45)【発行日】2018年2月14日
(54)【発明の名称】耐引掻性のある補修用クリアコート
(51)【国際特許分類】
C09D 175/06 20060101AFI20180205BHJP
B05D 7/14 20060101ALI20180205BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20180205BHJP
C09D 133/14 20060101ALI20180205BHJP
【FI】
C09D175/06
B05D7/14 S
B05D7/24 302P
C09D133/14
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-535024(P2013-535024)
(86)(22)【出願日】2011年10月19日
(65)【公表番号】特表2013-544915(P2013-544915A)
(43)【公表日】2013年12月19日
(86)【国際出願番号】US2011056797
(87)【国際公開番号】WO2012054547
(87)【国際公開日】20120426
【審査請求日】2014年9月19日
【審判番号】不服2016-11646(P2016-11646/J1)
【審判請求日】2016年8月3日
(31)【優先権主張番号】61/394,962
(32)【優先日】2010年10月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390008981
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アリ ライハン
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー ジェイ. タイ
【合議体】
【審判長】
佐々木 秀次
【審判官】
阪▲崎▼ 裕美
【審判官】
天野 宏樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開平7−102046(JP,A)
【文献】
米国特許第5432221(US,A)
【文献】
特表平7−504700(JP,A)
【文献】
特開平7−2823(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/123684(WO,A2)
【文献】
特開平7−53917(JP,A)
【文献】
特開昭57−87472(JP,A)
【文献】
特開平4−23874(JP,A)
【文献】
特開2005−29651(JP,A)
【文献】
特開2008−31286(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D1/00-10/00, 101/00-201/10
B05D1/00-7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも2つのヒドロキシル基を有する不飽和脂肪酸エステルポリオール及び (b)120〜170のヒドロキシル価を有するアクリルポリマーを含む第一の成分;並びに
ポリイソシアネートを含む第二の成分
を含む、補修用多成分トップコート塗料組成物であって、
その際、前記組成物は、成分(a)及び(b)の全不揮発性物質の質量に対し、10質量%〜35質量%の成分(a)を含み、
前記アクリルポリマーは、スチレン化アクリル樹脂であり、かつ1100〜8200の数平均分子量を有し、
前記アクリルポリマー中、15質量%までヒドロキシル官能性モノマーが含まれており、
前記ポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート及び/又はイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレートであり、かつ、
前記第一の成分及び第二の成分の両方が、1以上の有機溶剤を含んでいる、前記補修用多成分トップコート塗料組成物。
【請求項2】
前記不飽和脂肪酸エステルポリオールが、大豆油又はヒマシ油ベースのポリオールである、請求項1記載の補修用多成分トップコート塗料組成物。
【請求項3】
前記不飽和脂肪酸エステルポリオールが、エステル化されたリシノール酸を含んでいる、請求項1又は2記載の補修用多成分トップコート塗料組成物。
【請求項4】
前記不飽和脂肪酸エステルポリオールが、3又は4つのヒドロキシル基を有している、請求項1〜3のいずれか1項に記載の補修用多成分トップコート塗料組成物。
【請求項5】
前記組成物は、成分(a)及び(b)の全不揮発性物質の質量に対し、20質量%〜35質量%の成分(a)を含んでいる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の前記補修用多成分トップコート塗料組成物。
【請求項6】
複数の着色された第一の成分を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の前記補修用多成分トップコート塗料組成物。
【請求項7】
(I) (a)少なくとも2つのヒドロキシル基を有する不飽和脂肪酸エステルポリオール及び(b)120〜170のヒドロキシル価を有するアクリルポリマーを含む第一の成分;並びにポリイソシアネートを含む第二の成分を混ぜ合わせて、補修用塗料組成物の混合物を形成する工程であって、
その際、前記組成物は、成分(a)及び(b)の全不揮発性物質の質量に対し、10質量%〜35質量%の成分(a)を含み
前記アクリルポリマーは、スチレン化アクリル樹脂であり、かつ1100〜8200の数平均分子量を有し、
前記アクリルポリマー中、15質量%までヒドロキシル官能性モノマーが含まれており、
前記ポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート及び/又はイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレートであり、かつ、
前記第一の成分及び第二の成分の両方が、1以上の有機溶剤を含んでおり;
(II) 前記補修用塗料組成物の混合物を、基材の所望とする領域に塗布する工程;並びに
(III) 前記塗布した組成物の混合物を硬化させて、基材上に硬化した補修用塗料層を形成する工程
を含む、基材を補修する方法。
【請求項8】
工程(I)において、更に1以上の還元剤を混ぜ合わせる、請求項7記載の基材を補修する方法。
【請求項9】
工程(I)において、複数の第一の成分を混ぜ合わせる、請求項7又は8記載の基材を補修する方法。
【請求項10】
工程(I)において、少なくとも1つの着色された第一の成分を混ぜ合わせる、請求項7〜9のいずれか1項に記載の基材を補修する方法。
【請求項11】
前記不飽和脂肪酸エステルポリオールが、大豆油又はヒマシ油ベースのポリオールである、請求項7〜10のいずれか1項に記載の基材を補修する方法。
【請求項12】
前記不飽和脂肪酸エステルポリオールが、3又は4つのヒドロキシル基を有している、請求項7〜11のいずれか1項に記載の基材を補修する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、自動車の補修用組成物、そのような組成物を作製及び使用するための方法、基材上への補修用塗料、並びに補修用塗料が付与された自動車両などの物品に関する。
【0002】
背景技術
自動車のトップコート仕上げ材料は、着色されたベースコート組成物の第一の層及びクリアコート組成物の第二の層の2層中にトップコートが塗布されている、ベースコート/クリアコートのトップコート、並びに一層の、着色され、光沢のあるトップコートである単段若しくはモノコートのトップコートを含んでいる。ベースコート/クリアコート塗料は、高水準の色の光沢及び深さがあることが望ましい。さらに、特殊な効果顔料、例えば、メタリック顔料及び真珠箔顔料などのフレーク顔料を有するベースコートは、ベースコート/クリアコート複合塗料における優れたゴニオ外観性(gonioapparent)効果を達し得る。
【0003】
ポリウレタンのクリアコート及び単段トップコート(若しくはモノコート)系は、補修用塗料のために長い間広く使用されてきた。これらの系は、ポリイソシアネートと反応してポリウレタンを形成することによって硬化するヒドロキシル官能性樹脂を含み、その際、該ポリウレタンは、一般的に、耐久性、靱性及び耐溶剤性を含む優れた皮膜特性を有している。自動車の補修用塗料組成物中、ポリイソシアネートはブロックされていないため、ヒドロキシル基との反応は、加熱なしでの適度な時間内に又はおそらく150°Fまでの低温での加熱により起こることとなる。典型的な貯蔵条件下における、ブロックされていないポリイソシアネートとヒドロキシル官能性ポリオールとの反応性をみると、これらの材料は、塗料組成物を被塗布基材に塗布する直前に、混合されるまで別々に貯蔵される成分に分離される。このタイプの塗料組成物(該塗料組成物中、反応して塗料(樹脂及び架橋剤)を硬化させる材料は、塗布直前に混ぜ合わせられるよう予定された別々に貯蔵される成分に分離されている)は、当該技術分野において、「二成分」又は「多成分」、「二液型」又は「多液型」、或いは「2K」の、塗料組成物と称されている。自動車用の補修用クリアコートは、他の別々に貯蔵される成分、例えば、特定の塗布条件における望ましい塗布特性を与えるために使用される還元剤(例えば、寒中における速い還元剤、暑中における比較的遅い還元剤)を含有してもよい。単段トップコート若しくはモノコート系において、多成分又は多液型の塗料組成物は、顔料及びヒドロキシル官能性樹脂(その1つ以上がポリイソシアネート架橋剤と結合されている)を含有する、多様な、様々に色付けされた基剤(bases)、並びに場合により還元剤又は他の成分を塗布直前に含んでいる。
【0004】
ポリイソシアネート架橋剤は、ヒドロキシル官能性アクリル樹脂又はポリマーと共に使用されている。一旦、塗布及び硬化されると、外側の塗料層は、クリアコート層であるか着色されたモノコート層であるかにかかわらず、耐候性があるべきであり(例えば、太陽光の曝露下で光沢を維持する)、かつ塗装された車両の外観からは認識し得ない耐引掻性及び耐擦傷性があるべきである。引掻き及び擦傷耐性を改善するため、シリコーン又はフッ素化ポリマー又は添加剤を使用することが提案されてきたが、これらは比較的高価であり、他の問題(例えば、塗料中のへこみ及び塗り直しの困難性)を引き起こす可能性がある。
【0005】
発明の概要
本発明者らは、クリアコート又は単段トップコートであってもよい、耐引掻性のある塗料のための組成物、該組成物から作られる塗料、並びに該塗料で塗装された物品を発明した。また、本発明者らは、該組成物を作製及び使用するための方法をも開示する。
【0006】
補修用トップコートの耐引掻性及び/又はリフローを増大させる方法が開示され、該方法は、少なくとも2つのヒドロキシル基を有する不飽和脂肪酸エステルポリオールを含む補修用トップコート塗料組成物から該トップコートを作製する工程を含んでおり、その際、該補修用トップコート塗料組成物はいかなる乾燥剤も有していないため、塗布された補修用トップコート塗料組成物が硬化されても、不飽和脂肪酸エステルポリオールは酸化硬化しない。この方法の様々な実施形態において、不飽和脂肪酸エステルポリオールは、補修用トップコート塗料組成物中に、ヒドロキシル官能性材料の全不揮発性物質の質量の約10質量%〜約50質量%の量で含まれている。この方法の様々な実施形態において、不飽和脂肪酸エステルポリオールは、大豆油又はヒマシ油ベースのポリオールであってもよく、並びに/或いは不飽和脂肪酸エステルポリオールは、3又は4つのヒドロキシル基を有していてもよい。
【0007】
補修用の、多成分トップコート塗料組成物は、(a)少なくとも2つのヒドロキシル基を有する不飽和脂肪酸エステルポリオール及び(b)約37〜約170のヒドロキシル価を有するアクリルポリマーを含む少なくとも1つの第一のパッケージを含んでおり、その際、該組成物は、成分(a)及び(b)の全不揮発性物質の質量に対し、約10質量%〜約50質量%の成分(a)を含んでいる。該少なくとも1つの第一のパッケージは、場合により顔料を含んでいてもよい。一実施形態において、成分(a)及び(b)共に、第一のパッケージにおける唯一のヒドロキシル官能性成分であってもよく;他の実施形態においては、成分(a)及び(b)共に、第一のパッケージにおける全ヒドロキシル官能性成分の少なくとも約90質量%、好ましくは少なくとも約95質量%である。本明細書中で、「ポリマー」とは、オリゴマー及びポリマー材料の両方を含んで用いられる。また、該組成物は、ヒドロキシル官能性成分(a)及び(b)から貯蔵中分離されるポリイソシアネート架橋剤を有している。該塗料組成物は、いかなる乾燥剤も有していないか又は本質的に有しておらず、このことは、乾燥剤が該組成物に意図的に一切添加されないことを意味しており(しかしながら、そのような化合物は、該塗料組成物の他の成分における不純物を介して存在していてもよい);乾燥剤は、酸化硬化を触媒するのに有効な量では存在していない。補修用の、多成分コート塗料組成物は、ポリイソシアネート架橋剤を含む第二のパッケージ、並びに場合により1以上の還元剤を含んでいる。顔料が、第一のパッケージ中に存在する場合、補修用の、多成分トップコート塗料組成物は、単段の着色されたトップコートをもたらす。
【0008】
基材を補修する方法は、少なくとも1つの第一のパッケージ(着色されていない第一のパッケージであっても、1以上の着色された第一のパッケージであっても、「基剤(base)」として知られている)、第二のパッケージ、及び場合により1以上の還元剤を混ぜ合わせて、成分(a)及び(b)並びにポリイソシアネート架橋剤を含む補修用トップコート塗料組成物の混合物を形成する工程、該補修用塗料組成物の混合物を基材の全表面領域に又は基材の表面領域に部分的に塗布する工程、並びに該塗布された組成物の混合物を硬化させて、塗布された補修用トップコート塗料組成物の混合物から硬化された補修用トップコート層を形成する工程を含んでいる。該補修用トップコート塗料組成物の混合物は、予想外の改善された耐引掻性及び/又はリフロー(塗膜変形のアニーリング)を有している。また、硬化された補修用塗料及び硬化された補修用塗料が施されている物品(特に、自動車両又は車両トレーラ)も提供される。
【0009】
数の規定がないもの、「少なくとも1つ」及び「1以上」は、係る項目の少なくとも1つが存在することを意図するものとして区別なく使用され、複数のそのような項目が存在していてもよい。発明の詳細な説明の終わりにある実施例以外にも、この明細書中のパラメータ(例えば、量又は条件)の全ての数値範囲が、添付の特許請求の範囲に含まれ、「約」が数値の前に実際にあるかどうかにかかわらず、「約」の単語によって全ての例で修正されているものとして理解される。「約」は、指定された数値がいくらか僅かな不明確性を許容することを意図している(正確に近い値;近似した又は適度に近い値;ほぼ、を有する)。「約」によって与えられる不明確さが、この通常の意味を有するものと当該技術分野において別様に理解されない場合、ここで使用されているような「約」は、そのようなパラメータを測定及び使用する通常の方法から生じ得る少なくとも変動値を意図している。さらに、範囲の開示は、全範囲内の全ての値及びさらに分り当てられた範囲を含んでいる。
【0010】
発明の詳細な説明
以下の記載は、特定の本発明の実施形態の詳細を含んでいる。
【0011】
補修用多成分トップコート塗料組成物の第一の成分は、少なくとも2つのヒドロキシル基を有する不飽和脂肪酸エステルポリオールの成分(a)を含んでいる。様々な実施形態において、不飽和脂肪酸エステルポリオールは、2つ、3つ又は4つのヒドロキシル基を有していてもよい。様々な実施形態において、不飽和脂肪酸ポリオールは、1〜12、好ましくは1〜4の不飽和炭素間結合を有していてもよい。不飽和脂肪酸エステルポリオールは、1以上の不飽和脂肪酸又はそれらの反応性誘導体、例えばポリオールを有するメチルエステル若しくはトリグリセリドとの反応によって生成され得る。様々な実施形態において、成分(a)は、大豆油、ヒマシ油若しくはそれらの組み合わせ物のエステル交換によって得られる大豆油及び/又はヒマシ油ベースのポリオールであってもよい。ヒマシ油の脂肪酸は、リシノール酸を含んでいる。そのような不飽和脂肪酸ベースのポリオールの例は、不飽和脂肪酸と少なくとも複数のヒドロキシル基を有するポリオールとのポリオールエステルを含む。少なくとも3つのヒドロキシル基を有する適切なポリオールの例は、トリメチロールプロパン、ジ−トリメチロールプロパン、トリエチロールプロパン、ジ−トリエチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、テトラキス(2−ヒドロキシエチル)メタン、ジグリセロール、キシリトール、グルシトール、ズルシトール、スクロース及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0012】
複数のヒドロキシル基を有するポリオールは、不飽和脂肪酸と反応して該脂肪酸をエステル化するか、或いはエステル化可能な不飽和脂肪酸誘導体(例えば、グリセリド油)と反応して脂肪酸とエステル交換して、脂肪酸メチルエステルからのメタノール、又はヒマシ油若しくは大豆油などのトリグリセリドからのグリセロールなどの副生成物が生じる。脂肪酸のエステル化又は脂肪酸トリグリセリドのエステル交換反応における技術は、例えば、Treasurerによる米国特許第5,504,145号明細書、及びXiaoによる米国特許第7,462,679号明細書に記載され、かつ周知であり、これらのそれぞれの開示は、ここでは参照をもって導入される。
【0013】
いくつかのヒマシ油ベースのポリオールは市販されており、POLYCIN(登録商標)M−365及びM−280のヒマシ油ベースの製品(販売元;Vertelllus Performance Materials社 グリーンスボロ(ノースカロライナ州) USA)を挙げることができる。また、大豆ベースのポリオールとしてはRENUVA(登録商標)(販売元;Dow Chemical社)が販売されている。
【0014】
補修用多成分トップコート塗料組成物の第一の成分は、(b)約37〜約170のヒドロキシル価を有するアクリルポリマーも含んでいる。様々な実施形態において、ヒドロキシル価は、約120〜約160であってもよく、或いはこれらの限定の範囲内に含まれる範囲であってもよい。様々な実施形態において、アクリルポリマーは、約1100〜約8200の数平均分子量を有していてもよい。
【0015】
適切なヒドロキシル官能性アクリル樹脂は、1以上のヒドロキシル官能性のエチレン性不飽和モノマーを、1以上のエチレン性不飽和モノマーと重合することで作製することができる。ヒドロキシル官能性のエチレン性不飽和モノマーの適切な例には、アクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステルが含まれる(この明細書の意味において、「(メタ)アクリレート」の用語は、メタクリル酸エステル及びアクリル酸エステルの両方が含まれることを意図するものとして使用されている)。ヒドロキシル官能性モノマーの例は、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、約10までの炭素原子を有する分岐した若しくは直鎖のアルキル基を有する他のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、及びこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、これらのヒドロキシル官能性モノマーのε−カプロラクトンエステルが使用されていてもよい。ヒドロキシル基は、重合に続いてε−カプロラクトンとエステル化され得る。一般的に、少なくとも約5質量%のヒドロキシ官能性モノマーがポリマー中に含まれている。実施形態として、ポリマー中約15質量%までのヒドロキシル官能性モノマーを含む例が挙げられる。一実施形態において、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、及びこれらの混合物から重合されるヒドロキシル官能性アクリルポリマーは、第一の成分中に使用されていてもよい。当業者であれば、ヒドロキシル基が、他の方法、例えばグリシジルメタクリレートからのグリシジル基の開環、有機酸又はアミンによって生じ得ることは認識し得るだろう。ヒドロキシルの官能性は、3−メルカプト−1−プロパノール、3−メルカプト−2−ブタノール、11−メルカプト−1−ウンデカノール、1−メルカプト−2−プロパノール、2−メルカプトエタノール、6−メルカプト−1−ヘキサノール、2−メルカプトベンジルアルコール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、4−メルカプト−1−ブタノール及びこれらの混合物を含むチオ−アルコール化合物を介して導入させることもできるが、これらに限定されるものではない。これらのいずれの方法においても、有益なヒドロキシル官能性アクリルポリマーの作製のために使用され得る。
【0016】
ヒドロキシル官能性の、エチレン性不飽和モノマーと一緒に重合し得る適切なコモノマーの例は、アクリル酸、メタクリル酸及びクロトン酸;アクリル酸、メタクリル酸及びクロトン酸のエステル、ニトリル及びアミド;ビニルエステル、ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルアミド、並びに芳香族及び脂肪族ビニル化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。代表的な例は、アクリル酸及びメタクリル酸アミド並びにアミノアルキルアミド;アクリロニトリル及びメタクリロニトリル;アクリル酸及びメタクリル酸のエステル、特に、メチル、エチル、プロピル、ブチル、2−エチルヘキシル、イソブチル、イソプロピル、シクロヘキシル、テトラヒドロフルフリル、イソボルニル、2−tert−ブチル、シクロヘキシル、4−tert−ブチルシクロヘキシルなどの1〜20の炭素原子を有する飽和脂肪族及び飽和脂環式アルコールを有するエステル、アクリレート及びメタクリレート;不飽和ジアルカン酸及び無水物、例えば、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸及び無水物並びにメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール及びtert−ブタノールなどのアルコールとのそれらのモノ及びジエステルであり、例えばマレイン酸無水物、マレイン酸ジメチルエステル及びマレイン酸モノヘキシルエステル;ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルエチルエーテル及びビニルエチルケトン;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2−ビニルピロリドン及びp−tert−ブチルスチレンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。コモノマーは、所望とする塗料特性を得るために、任意の所望の組み合わせにおいて使用され得る。
【0017】
アクリルポリマーは、重合開始剤及び場合により連鎖移動剤の存在下でのモノマーの加熱などの、従来の技術を用いて作製することができる。重合は、溶液中で実施されることが好ましいが、アクリルポリマーをバルクで又はエマルションとして重合することも可能である。
【0018】
典型的な開始剤は、有機ペルオキシドであり、例えば、ジアルキルペルオキシド、例えば、ジ−t−ブチルペルオキシド、ペルオキシエステル、例えば、t−ブチルペルオキシ2−エチルヘキサノエート、及びt−ブチルペルアセテート、ペルオキシジカルボネート、ジアシルペルオキシド、ヒドロペルオキシド、例えばt−ブチルヒドロペルオキシド、及びペルオキシケタール;アゾ化合物、例えば、2,2’アゾビス(2−メチルブタンニトリル)及び1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル);並びにこれらの混合物である。典型的な連鎖移動剤は、メルカプタン、例えば、オクチルメルカプタン、n−又はtert−ドデシルメルカプタン;ハロゲン化化合物、チオサリチル酸、メルカプト酢酸、メルカプトエタノール及び既に上述した他のチオールアルコール、並びに二量体のα−メチルスチレンである。
【0019】
反応は、通常約20℃〜約200℃の温度で実施される。反応は、溶剤又は溶剤混合物が還流する温度で便宜的に実施させてもよいが、適切な調整下で還流より低い温度で維持することができる。開始剤は、反応が実施される温度に適合するよう選択されるべきであり、その温度での開始剤の半減期は、わずか約30分であるべきことが好ましい。さらに、一般的な付加重合及び(メタ)アクリレートモノマーを含む混合物の重合の詳細は、ポリマーの技術分野において容易に得られる。
【0020】
成分(a)及び(b)を含む第一のパッケージは、他の材料、例えば、溶剤及び一般的な塗料添加剤を含んでいてもよい。補修用多成分塗料組成物が、単段トップコート用である場合、複数の第一のパッケージが、所望とする色の補修用塗料を与えるために予め決められた量で混ぜ合わされ得る混合系の一部としての着色基剤として含まれることになる。着色されていない第一のパッケージは、単段トップコートの作製中、1以上の着色基剤の第一のパッケージと混ぜ合わせることもできる。各着色基剤は、当該技術分野において公知の方法によって分散される1以上の顔料を含んでいる。第一のパッケージは、成分(a)及び(b)の全不揮発性物質の質量に対し、約10質量%〜約50質量%の成分(a)である、不飽和脂肪酸エステルポリオール、37〜170の数のヒドロキシル価を有するアクリルポリマーを含んでいる。様々な実施形態において、第一のパッケージ(又は複数の第一のパッケージがある場合、各第一のパッケージ)は、成分(a)及び(b)の全不揮発性物質の質量に対し、少なくとも約15質量%、少なくとも約20質量%、又は少なくとも約25質量%の成分(a)を有し;並びに、様々な実施形態において、成分(a)及び(b)の全不揮発性物質の質量に対し、約45質量%まで、約40質量%まで、又は約35質量%までの成分(a)を有している。
【0021】
補修用多成分トップコート塗料組成物は、ポリイソシアネートを含有する第二のパッケージを含んでいる。適切なポリイソシアネート架橋剤の例として、アルキレンポリイソシアネート、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート及び/又は2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、2,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン及び/又は4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、3−イソシアナト−メチル−3,3,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、例えば、2,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン及び/又は4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、2,4’−ジイソシアナトトルエン及び/又は2,6’−ジイソシアナトトルエン、ナフタレンジイソシアネート、並びにこれらのポリイソシアネートの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。一般的に、3又はそれより多いイソシアネート基を有するポリイソシアネートが使用され、これらはジイソシアネートの誘導体或いは付加生成物であってもよい。有用なポリイソシアネートは、過剰量のイソシアネートと水、ポリオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン、ソルビトール又はペンタエリトリトール)との反応、或いはイソシアネートとイソシアヌレートを生じるイソシアネート自身との反応によって得ることができる。そのような例として、例えば、米国特許第3,124,605号明細書及び米国特許第3,201,372号明細書又はDE−OS1,101,394に記載されているような、ビウレット基含有ポリイソシアネート;例えば、米国特許第3,001,973号明細書、DE−PS1,022,789、1,222,067及び1,027,394、並びにDE−OS1,929,034及び2,004,048に記載されているような、イソシアヌレート基含有ポリイソシアネート;例えば、DE−OS953,012、BE−PS752,261或いは米国特許第3,394,164号明細書及び米国特許第3,644,457号明細書に記載されているような、ウレタン基含有ポリイソシアネート;例えば、DE−PS1,092,007、米国特許第3,152,162号明細書、並びにDE−OS2,504,400、2,537,685及び2,552,350に記載されているような、カルボジイミド基含有ポリイソシアネート;例えば、GB−PS994,890、BE−PS761,626、及びNL−OS7,102,524に記載されているような、アロファネート基含有ポリイソシアネート;並びに、例えば、EP−A0,377,177に記載されているような、ウレトジオン基含有ポリイソシアネートが挙げられ、ここでは、それぞれが参照をもって導入される。
【0022】
第二成分パッケージの一実施形態には、脂肪族ビウレット並びにイソシアヌレート、例えばヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート、の1つを含んでいる。
【0023】
第三の、任意のパッケージは、還元性溶剤、場合により、さらなる樹脂若しくはポリマー、及び場合によりイソシアネート−ヒドロキシル硬化反応のための触媒を含んでいる。多成分補修用組成物は、様々な天候条件下で使用されるようそれぞれ設計し得る、多様な還元剤パッケージを含んでいてもよい。例えば、多成分補修用組成物は、寒中における使用のために比較的速乾の溶剤を有し、塗布された塗料層から溶剤の蒸発を速める1つの還元剤パッケージを含んでいてもよく、一方で、暑中における使用のために比較的緩速の溶媒を有し、全ての溶剤が蒸発する前に塗料層を適切に流展させる第二の還元剤パッケージを含んでいてもよい。一般的に、溶剤は、バインダー材料に適切である任意の有機溶剤とすることができる。溶剤は、脂肪族の溶剤又は芳香族の溶剤、例えば、ケトン、エステル、アセテート、トルエン、キシレン、芳香族炭化水素配合物、或いはそれらの任意の組み合わせから選択してもよい。一般的に、第一及び第二のパッケージのそれぞれは、1以上の有機溶剤も含むこととなる。
【0024】
補修用組成物は、例えば、顔料(既に上述されているように、単段トップコート着色基剤の場合に含まれる)、レオロジー調節剤、界面活性剤、安定剤、UV吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤などの添加剤を含む、他の材料を含んでいてもよい。ウレタン反応のための硬化触媒、例えば、スズ触媒は、塗料組成物中で使用することができる。典型的な例として、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズ酸化物及びビズマスオクトエートを含むスズ及びビズマス化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。触媒が使用される場合には、触媒は、典型的には、全不揮発性物質媒体の質量に対し、約0.05〜2質量%の量のスズが存在している。
【0025】
顔料又は充填剤は、任意の有機若しくは無機化合物又は着色された材料、金属フレーク材料又は他の無機フレーク材料、例えば、光沢のあるマイカフレーク顔料又は金属フレーク顔料、例えば、アルミニウムフレークなどの、そのような塗料において当該技術分野で通常含まれているものであってもよい。そのような顔料は、着色基剤の所望とする色を与えるため、単一で又は組み合わせて使用されていてもよい。顔料及び他の不溶性の粒状化合物、例えば、充填剤は、全不揮発性物質媒体に対して、1%〜100%の量(例えば、バインダーに対する顔料の比は、0.1〜1)で補修用モノコート組成物の混合物中に使用されていてもよい。充填剤又は顔料は、ヒドロキシル官能性樹脂或いは他の相容性ポリマー又は分散性樹脂を有する練り顔料(顔料粉砕物とも呼ばれる)を、従来の技術、例えば、砂粉砕(sandgrinding)、ボールミル粉砕、摩擦粉砕(attritor grinding)、二本のロールミルによって初めに形成させて顔料を分散することで導入させることができる。
【0026】
補修用のクリアコート又は単段トップコートは、層中に塗布されて、基材の所望とする領域が補修され、かつ硬化される。クリアコートは、塗布されるベースコート層一面に塗布される。ベースコート層は、クリアコート組成物が塗布される前に乾燥させることができる。クリアコート又は単段トップコートは、その後、外界条件下又は低温焼き付け条件下で硬化される。なぜなら、塗料組成物は、任意の乾燥剤を有していないか、本質的に有していないため、クリアコート又は単段トップコートは酸化硬化を被らないか、或いは少なくともはっきりした程度にまで至らない。
【0027】
補修された基材は、自動車両又は自動車両の構成要素であってもよい。しかしながら、補修用塗料組成物は、保護的及び/又は装飾的な塗料が望ましい他の物品に塗布されていてもよい。そのような物品は、高温硬化条件に耐えられないか、又は高温のベーキングオーブン中に容易に設置し得ない部品或いは基材を有する物品であってもよい。
【0028】
塗料及び方法は、以下の実施例に詳細に記載されている。下記実施例は、単に例示したものであり、これらに限定されるものではない。なお、特段示唆がない限り、全ての部は、質量を表している。
【0029】
実施例1(比較例)
2成分クリアコート補修用塗料組成物を、個別の第一成分及び個別の第二成分における以下の材料を混ぜ合わせることで作製した。
【0030】
成分1: 56質量%の不揮発性のクリアコート調合物を作製した。該クリアコート調合物は、24℃のT
g、136mgのヒドロキシル価(KOH/gm.,)及び1400ダルトンの数平均分子量を有するスチレン化アクリル樹脂、78℃のT
g、73mgのヒドロキシル価(KOH/gm.,)及び6500ダルトンの数平均分子量を有するスチレン化アクリル樹脂から構成され、第一のアクリル樹脂と第二のアクリル樹脂の質量比は、84:16であった。該クリアコート調合物の残分は、メチルイソアミルケトン、n−ブチルアセテート、aromatic100、キシレン、エチル3−エトキシプロピオネート及びアセトンなどの溶剤、並びにUV吸収剤、シリコーンベースの流動剤、可塑剤及びスズベースの触媒などの当該技術分野において周知の添加剤であった。
【0031】
成分2: 72質量%の不揮発性の硬化剤調合物を作製した。該硬化剤調合物は、22、6質量%のイソシアネート含量を有するヘキサメチレンジイソシアネートベースの三量体の溶液から構成されていた。該硬化剤調合物の残分は、n−ブチルアセテート、キシレン及びトルエンなどの溶剤、並びにスズベースの触媒などの添加剤であった。
【0032】
成分#1及び成分#2を、73.5:26.5の質量比で混ぜ合わせ、ヒドロキシル:イソシアネートの比を1:1.3とし、さらに、上述の溶剤と共に34〜38質量%の不揮発性成分に減らし、かつBASF90−Lineの黒色のベースコートで下塗りした試験パネル一面に吹き付けた。パネルを15分間外界温度で乾燥させ、その後、試験前に140°Fの環境下に18時間置いた。
【0033】
実施例2(本発明の実施例)
2成分クリアコート補修用塗料組成物を、個別の第一成分及び個別の第二成分における以下の材料を混ぜ合わせることで作製した。
【0034】
成分#1: 実施例1の成分#1に対し、Polycin M−365(登録商標)(Vertellus Specialties Incorporated)を83:17の質量比で添加した。
【0035】
成分#2: 成分#2は、実施例1の成分#2と同じであった。
【0036】
成分#1及び成分#2を、63:37の質量比で混ぜ合わせ、ヒドロキシル:イソシアネートの比を1:1.2とし、さらに、上述の溶剤と共に34〜38質量%の不揮発性成分に減らし、かつBASF90−Lineの黒色のベースコートで下塗りした試験パネル一面に吹き付けた。パネルを15分間外界温度で乾燥させ、その後、試験前に140°Fの環境下に18時間置いた。
【0037】
実施例3(比較例)
成分1: 49質量%の不揮発性のクリアコート調合物を作製した。該クリアコート調合物は、9℃のT
g、125mgのヒドロキシル価(KOH/gm.,)及び2700ダルトンの数平均分子量を有するスチレン化アクリル樹脂から構成されていた。該クリアコート調合物の残分は、エチレングリコールブチルエーテル、メチルアセテート、パラクロロベンゾトリフルオリド、エチル3−エトキシプロピオネート及びアセトンなどの溶剤、並びにUV吸収剤、シリコーンベースの流動剤、可塑剤及びスズベースの触媒などの当該技術分野において周知の添加剤であった。
【0038】
成分2: 37質量%の不揮発性の硬化剤調合物を作製した。該硬化剤調合物は、23.5質量%のイソシアネート含量を有するヘキサメチレンジイソシアネートベースの三量体の溶液から構成されていた。該硬化剤調合物の残分は、メチルアセテート、パラクロロベンゾトリフルオリドなどの溶剤であった。
【0039】
成分#1及び成分#2を、63:37の質量比で混ぜ合わせ、ヒドロキシル:イソシアネートの比を1:1.2とし、さらに、上述の溶剤と共に42〜45質量%の不揮発性成分に減らし、かつBASF90−Lineの黒色のベースコートで下塗りした試験パネル一面に吹き付けた。パネルを15分間外界温度で乾燥させ、その後、試験前に140°Fの環境下に18時間置いた。
【0040】
実施例4(本発明の実施例)
成分#1: 実施例3の成分#1に対し、Polycin M−365(登録商標)(Vertellus Specialties Incorporated)を7:3の質量比で添加した。
【0041】
成分#2: 成分#2は、実施例3の成分#2と同じであった。
【0042】
成分#1及び成分#2を、46:54の質量比で混ぜ合わせ、ヒドロキシル:イソシアネートの比を1:0.9とし、さらに、上述の溶剤と共に42〜45質量%の不揮発性成分に減らし、かつBASF90−Lineの黒色のベースコートで下塗りした試験パネル一面に吹き付けた。パネルを15分間外界温度で乾燥させ、その後、試験前に140°Fの環境下に18時間置いた。
【0043】
実施例1〜4の試験結果は、以下の通りであった。引掻試験は、フェルトで覆われた5/8’’ピン(dowel)及び9μmの3M 281Q WETODRAY研磨紙が備えられているA.A.T.C.C クロックメーター(Crockmeter)(Atlas社)を用いて実施し、該研磨紙は、10往復で塗料表面をすり減らすのに使用した。試験前後の光沢は、試験した表面領域に対し、ASTM法D523にしたがって測定した。光沢は、リフロー焼き付け後にASTM法D523にしたがって再度測定した。
【0044】
【表1】
【0045】
本発明は、その好ましい実施形態に関して詳細に記載している。しかしながら、変更及び修正は、本発明の概念及び範囲内でなし得ることが理解されるべきである。