特許第6279358号(P6279358)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6279358
(24)【登録日】2018年1月26日
(45)【発行日】2018年2月14日
(54)【発明の名称】酸化性組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 3/395 20060101AFI20180205BHJP
   C11D 1/62 20060101ALI20180205BHJP
   C11D 3/28 20060101ALI20180205BHJP
   C11D 3/04 20060101ALI20180205BHJP
   C11D 3/39 20060101ALI20180205BHJP
   C11D 1/835 20060101ALI20180205BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20180205BHJP
   D06L 4/15 20170101ALN20180205BHJP
   D21C 9/16 20060101ALN20180205BHJP
【FI】
   C11D3/395
   C11D1/62
   C11D3/28
   C11D3/04
   C11D3/39
   C11D1/835
   C11D17/08
   !D06L4/15
   !D21C9/16
【請求項の数】9
【全頁数】47
(21)【出願番号】特願2014-47437(P2014-47437)
(22)【出願日】2014年3月11日
(65)【公開番号】特開2014-198844(P2014-198844A)
(43)【公開日】2014年10月23日
【審査請求日】2016年12月12日
(31)【優先権主張番号】特願2013-49109(P2013-49109)
(32)【優先日】2013年3月12日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100098408
【弁理士】
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 不律
(72)【発明者】
【氏名】長澤 恭子
(72)【発明者】
【氏名】花井 淳也
【審査官】 古妻 泰一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−528636(JP,A)
【文献】 特開2007−246455(JP,A)
【文献】 特開2007−246456(JP,A)
【文献】 特開2008−202197(JP,A)
【文献】 特開2002−080894(JP,A)
【文献】 特開2006−143936(JP,A)
【文献】 特開平10−017894(JP,A)
【文献】 特開平09−053095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 3/395
C11D 1/62
C11D 1/835
C11D 3/04
C11D 3/28
C11D 3/39
C11D 17/08
D06L 4/15
D21C 9/16
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分を含有する酸化性組成物。
(A)成分:下記一般式(A11)で表される化合物、及び下記一般式(A31)で表される化合物からなる群から選択される1以上の化合物
(B)成分:下記一般式(B1)で表される第4級アンモニウム塩から選択される1以上のカチオン界面活性剤
(C)成分:有機過酸前駆体及び有機過酸からなる群から選択される1以上の化合物
(D)成分:過酸化水素及び水中で過酸化水素を生成する過酸化物からなる群から選択される1以上の化合物
【化1】


[式(A11)中、
11a、R14a及びR15aは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上、4以下の直鎖アルキル基、及び下記一般式(I)で表される基からなる群から選択される原子又は基を示し、R14a及びR15aが共に水素原子でない場合、共同して隣接する窒素原子とともに環構造を形成してもよい。
12a及びR13aは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上、4以下の直鎖アルキル基からなる群から選択される原子又は基を示し、R12a及びR13aが共に水素原子でない場合、共同して隣接する四級炭素原子とともに環構造を形成してもよい。
nは1を示す。]
−[(G)L]−R7 (I)
[式(I)中、
Gは、下記式(II)で表される基(以下、基(II)という)及び式(III)で表される基(以下、基(III)という)からなる群から選択される1以上の基を示す。基(II)及び基(III)の酸素原子は、それぞれ、水素原子と結合しているか、又は他の基(II)もしくは基(III)の炭素原子と結合しているか、又はR7と結合している。
7は水素原子を示す。
Lは、1以上、5以下の数を示す。]
【化2】

【化3】


[式(A31)中、
31a及びR32aは、それぞれ独立に、水素原子、及び下記一般式(I)で表される基からなる群から選択される原子又は基を示す。]
−[(G)L]−R7 (I)
[式(I)中、
Gは、下記式(II)で表される基(以下、基(II)という)及び式(III)で表される基(以下、基(III)という)からなる群から選択される1以上の基を示す。基(II)及び基(III)の酸素原子は、それぞれ、水素原子と結合しているか、又は他の基(II)もしくは基(III)の炭素原子と結合しているか、又はR7と結合している。
7は水素原子、及び炭素数10以上、20以下の鎖状炭化水素基からなる群から選択される原子又は基を示す。
Lは、1以上、5以下の数を示す。]
【化4】

【化5】

[式(B1)中、R1bは、炭素数6以上、16以下のアルキル基であり、R2bは、メチル基、エチル基及び炭素数6以上、16以下のアルキル基からなる群から選択される基であり、R3bは、メチル基又はエチル基であり、R4bは、メチル基、エチル基及びベンジル基からなる群から選択される基であり、L-は、ハロゲン化物イオン、炭素数1以上、5以下のアルキル硫酸イオン、炭素数1以上、3以下のアルキル基を置換基として有するアルキル置換ベンゼンスルホン酸イオン及び炭素数6以上、18以下のアルキルリン酸イオンからなる群から選択される陰イオン基である。]
【請求項2】
更に、(E)成分として、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ土類金属の炭酸塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミンからなる群から選択される1以上のアルカリ剤を含有する、請求項1記載の酸化性組成物。
【請求項3】
更に、ノニオン界面活性剤を含有する請求項1又は2記載の酸化性組成物。
【請求項4】
硬質表面用である請求項1〜3の何れか1項記載の酸化性組成物。
【請求項5】
漂白用又は漂白洗浄用である請求項1〜4の何れか1項記載の酸化性組成物。
【請求項6】
水を含有し、液体の組成物である請求項1〜5の何れか1項記載の酸化性組成物。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項記載の酸化性組成物をスプレー容器に充填してなる漂白洗浄剤物品。
【請求項8】
次の(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、及び水から選択される成分を含む剤の組み合わせからなり、(A)成分と(D)成分が別の剤に配合されている、酸化性組成物用多剤型物品。
(A)成分:下記一般式(A11)で表される化合物、及び下記一般式(A31)で表される化合物からなる群から選択される1以上の化合物
(B)成分:下記一般式(B1)で表される第4級アンモニウム塩から選択される1以上のカチオン界面活性剤
(C)成分:有機過酸前駆体及び有機過酸からなる群から選択される1以上の化合物
(D)成分:過酸化水素及び水中で過酸化水素を生成する過酸化物からなる群から選択される1以上の化合物
【化6】


[式(A11)中、
11a、R14a及びR15aは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上、4以下の直鎖アルキル基、及び下記一般式(I)で表される基からなる群から選択される原子又は基を示し、R14a及びR15aが共に水素原子でない場合、共同して隣接する窒素原子とともに環構造を形成してもよい。
12a及びR13aは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上、4以下の直鎖アルキル基からなる群から選択される原子又は基を示し、R12a及びR13aが共に水素原子でない場合、共同して隣接する四級炭素原子とともに環構造を形成してもよい。
nは1を示す。]
−[(G)L]−R7 (I)
[式(I)中、
Gは、下記式(II)で表される基(以下、基(II)という)及び式(III)で表される基(以下、基(III)という)からなる群から選択される1以上の基を示す。基(II)及び基(III)の酸素原子は、それぞれ、水素原子と結合しているか、又は他の基(II)もしくは基(III)の炭素原子と結合しているか、又はR7と結合している。
7は水素原子を示す。
Lは、1以上、5以下の数を示す。]
【化7】

【化8】


[式(A31)中、
31a及びR32aは、それぞれ独立に、水素原子、及び下記一般式(I)で表される基からなる群から選択される原子又は基を示す。]
−[(G)L]−R7 (I)
[式(I)中、
Gは、下記式(II)で表される基(以下、基(II)という)及び式(III)で表される基(以下、基(III)という)からなる群から選択される1以上の基を示す。基(II)及び基(III)の酸素原子は、それぞれ、水素原子と結合しているか、又は他の基(II)もしくは基(III)の炭素原子と結合しているか、又はR7と結合している。
7は水素原子、及び炭素数10以上、20以下の鎖状炭化水素基からなる群から選択される原子又は基を示す。
Lは、1以上、5以下の数を示す。]
【化9】

【化10】

[式(B1)中、R1bは、炭素数6以上、16以下のアルキル基であり、R2bは、メチル基、エチル基及び炭素数6以上、16以下のアルキル基からなる群から選択される基であり、R3bは、メチル基又はエチル基であり、R4bは、メチル基、エチル基及びベンジル基からなる群から選択される基であり、L-は、ハロゲン化物イオン、炭素数1以上、5以下のアルキル硫酸イオン、炭素数1以上、3以下のアルキル基を置換基として有するアルキル置換ベンゼンスルホン酸イオン及び炭素数6以上、18以下のアルキルリン酸イオンからなる群から選択される陰イオン基である。]
【請求項9】
(A)成分、(B)成分、及び水を含有する第1の液体組成物からなる第1の剤と、(C)成分、(D)成分及び水を含有する第2の液体組成物からなる第2の剤との組み合わせを含み、前記第1の剤と第2の剤とを分離した状態で保持し、第1の剤と第2の剤が混合されて、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、及び水を含有する酸化性組成物が調製される、請求項8記載の酸化性組成物用多剤型物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化性組成物に関する。詳しくは、住環境設備等に使用する漂白剤組成物や漂白洗浄剤組成物として好適な酸化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化性組成物は、他の物質に対して酸化作用を有する化合物を含む組成物である。この酸化作用は、有色物質に対しては、脱色、漂白、変色などの現象として認識され得るものである。酸化性組成物は、風呂・トイレ・台所等の硬質表面の漂白、カビ取り、衣類の漂白、汚れ・匂い原因物質の分解、除菌、パルプの漂白、繊維の精練などの様々な用途に用いられている。すなわち、硬質表面への適用として、硬質表面の脱色、漂白などの色素の変質に酸化性組成物を用いることが知られている。
【0003】
生活環境において発生する様々な汚れに対し、外観上の美観維持、衛生などの目的から、洗浄、漂白、除菌などの対処が行なわれている。なかでも、トイレ、浴室、風呂釜、配水管などの洗浄し難い場所の汚れは、界面活性剤などを主成分とした洗浄剤のみでは除去困難であり、しばしば漂白剤が使用されている。一例を挙げると、浴室の浴槽、タイル目地、ドア枠、窓枠、コントローラや、台所の三角コーナーなどの黒ずみ汚れはCladosporium属細菌等のカビが生産する色素が原因であり、クレンザーや界面活性剤だけでは除去し難いので、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の漂白作用により除去する方法が一般に行われている。
【0004】
しかしながら、次亜塩素酸ナトリウムを使用したカビ取り剤は、漂白及び洗浄性能は優れているが目や皮膚に対する刺激が強く、特有の塩素系の臭いを有し狭い浴室などで使用する場合には注意が必要であり、また、誤って酸性の洗浄剤と混合すると有毒ガスを発生するという問題がある。
【0005】
このため、このような課題の発生しない酸化性組成物として、酸素系漂白剤を使用したカビ取り剤の提案がされている。例えば、特許文献1には、過酸化水素、アルカリ剤及び漂白活性化剤を併用した硬表面用漂白剤組成物が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、水に溶解して過酸化水素を発生する過酸化物、キレート剤、銅化合物及びバインダー化合物とからなる高い殺菌・除菌効果を発揮する組成物が開示されている。
【0007】
また、特許文献3、4には、特定のピロリジン誘導体や特定のピペリジン誘導体により、過酸化水素を酸化剤として用いる漂白剤の漂白効果を向上できることが記載されているが、更なる性能向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平3−220298号公報
【特許文献2】特開2009−155292号公報
【特許文献3】特開2007−246455号公報
【特許文献4】特開2007−246456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、カビ汚れは除去困難な強固な汚れであり、従来提案されている酸素系漂白剤を使用したカビ取り剤は、更なる性能向上が望まれる。本発明は、カビ汚れなどの除去困難な汚れに対する漂白性能や漂白洗浄性能を向上させた酸素系漂白剤組成物ないし酸素系漂白洗浄剤組成物として好適な酸化性組成物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、次の(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分を含有する酸化性組成物に関する。
(A)成分:下記一般式(A1)で表される化合物、下記一般式(A2)で表される化合物、下記一般式(A3)で表される化合物及び下記一般式(A4)で表される化合物からなる群から選択される1以上の化合物
(B)成分:下記一般式(B1)で表される第4級アンモニウム塩から選択される1以上のカチオン界面活性剤
(C)成分:有機過酸前駆体及び有機過酸からなる群から選択される1以上の化合物
(D)成分:過酸化水素及び水中で過酸化水素を生成する過酸化物からなる群から選択される1以上の化合物
【0011】
【化1】
【0012】
[式(A1)、(A2)中、R11〜R15及びR21〜R25は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、カルボキシル基、置換基を有していてもよいアミノ基、及び置換基を有していてもよい炭化水素基からなる群から選択される原子又は基を示す。jは0又は1以上、11以下の整数を示す。kは0又は1以上、7以下の整数を示す。R16及びR26は、それぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基、置換基を有していてもよいアミノ基、及び置換基を有していてもよい炭化水素基からなる群から選択される基を示す。R16、R26は環状アミン上に複数存在してもよく、複数のR16、R26はそれぞれ同一であっても異なってもよい。R11〜R16及びR21〜R26は、共同して隣接する窒素原子又は炭素原子とともに環構造を形成してもよい。また、R11〜R16及びR21〜R26は、それぞれ独立に、オキシ基及びカルボニル基から選ばれる基を1以上含むことが出来る。nは1以上、3以下の数を示す。]
【0013】
【化2】
【0014】
[式(A3)、(A4)中、R31、R32、R41、R42は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、カルボキシル基、及び置換基を有していてもよい炭化水素基からなる群から選択される原子又は基を示す。pは0又は1以上、10以下の整数を示す。qは0又は1以上、8以下の整数を示す。R33、R43は、それぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基、及び置換基を有していてもよい炭化水素基からなる群から選択される原子又は基を示す。R33、R43は環状アミン上に複数存在してもよく、複数のR33、R43はそれぞれ同一であっても異なってもよい。R31〜R33及びR41〜R43は、共同して隣接する窒素原子又は炭素原子とともに環構造を形成してもよい。また、R31〜R33及びR41〜R43は、それぞれ独立に、オキシ基及びカルボニル基から選ばれる基を1以上含むことが出来る。]
【0015】
【化3】
【0016】
[式(B1)中、R1bは、炭素数6以上、16以下のアルキル基であり、R2bは、メチル基、エチル基及び炭素数6以上、16以下のアルキル基からなる群から選択される基であり、R3bは、メチル基又はエチル基であり、R4bは、メチル基、エチル基及びベンジル基からなる群から選択される基であり、L-は、ハロゲン化物イオン、炭素数1以上、5以下のアルキル硫酸イオン、炭素数1以上、3以下のアルキル基を置換基として有するアルキル置換ベンゼンスルホン酸イオン及び炭素数6以上、18以下のアルキルリン酸イオンからなる群から選択される陰イオン基である。]
【0017】
また、本発明は、上記本発明の酸化性組成物をスプレー容器に充填してなる漂白洗浄剤物品に関する。
【0018】
また、本発明は、次の(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、及び水から選択される成分を含む剤の組み合わせからなり、(A)成分と(D)成分が別の剤に配合されている、酸化性組成物用多剤型物品に関する。
(A)成分:下記一般式(A1)で表される化合物、下記一般式(A2)で表される化合物、下記一般式(A3)で表される化合物及び下記一般式(A4)で表される化合物からなる群から選択される1以上の化合物
(B)成分:下記一般式(B1)で表される第4級アンモニウム塩から選択される1以上のカチオン界面活性剤
(C)成分:有機過酸前駆体及び有機過酸からなる群から選択される1以上の化合物
(D)成分:過酸化水素及び水中で過酸化水素を生成する過酸化物からなる群から選択される1以上の化合物
【0019】
【化4】
【0020】
[式(A1)、(A2)中、R11〜R15及びR21〜R25は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、カルボキシル基、置換基を有していてもよいアミノ基、及び置換基を有していてもよい炭化水素基からなる群から選択される原子又は基を示す。jは0又は1以上、11以下の整数を示す。kは0又は1以上、7以下の整数を示す。R16及びR26は、それぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基、置換基を有していてもよいアミノ基、及び置換基を有していてもよい炭化水素基からなる群から選択される基を示す。R16、R26は環状アミン上に複数存在してもよく、複数のR16、R26はそれぞれ同一であっても異なってもよい。R11〜R16及びR21〜R26は、共同して隣接する窒素原子又は炭素原子とともに環構造を形成してもよい。また、R11〜R16及びR21〜R26は、それぞれ独立に、オキシ基及びカルボニル基から選ばれる基を1以上含むことが出来る。nは1以上、3以下の数を示す。]
【0021】
【化5】
【0022】
[式(A3)、(A4)中、R31、R32、R41、R42は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、カルボキシル基、及び置換基を有していてもよい炭化水素基からなる群から選択される原子又は基を示す。pは0又は1以上、10以下の整数を示す。qは0又は1以上、8以下の整数を示す。R33、R43は、それぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基、及び置換基を有していてもよい炭化水素基からなる群から選択される原子又は基を示す。R33、R43は環状アミン上に複数存在してもよく、複数のR33、R43はそれぞれ同一であっても異なってもよい。R31〜R33及びR41〜R43は、共同して隣接する窒素原子又は炭素原子とともに環構造を形成してもよい。また、R31〜R33及びR41〜R43は、それぞれ独立に、オキシ基及びカルボニル基から選ばれる基を1以上含むことが出来る。]
【0023】
【化6】
【0024】
[式(B1)中、R1bは、炭素数6以上、16以下のアルキル基であり、R2bは、メチル基、エチル基及び炭素数6以上、16以下のアルキル基からなる群から選択される基であり、R3bは、メチル基又はエチル基であり、R4bは、メチル基、エチル基及びベンジル基からなる群から選択される基であり、L-は、ハロゲン化物イオン、炭素数1以上、5以下のアルキル硫酸イオン、炭素数1以上、3以下のアルキル基を置換基として有するアルキル置換ベンゼンスルホン酸イオン及び炭素数6以上、18以下のアルキルリン酸イオンからなる群から選択される陰イオン基である。]
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、カビ汚れなどの除去困難な対象汚れに対して、優れた漂白性能を発現する、漂白剤組成物や漂白洗浄剤組成物として好適な酸化性組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<(A)成分>
(A)成分は、(C)成分との併用により、(D)成分を含有する酸化性組成物の酸化分解効果あるいは漂白効果を向上させるものである。
【0027】
(A)成分は、前記一般式(A1)で表される化合物、前記一般式(A2)で表される化合物、前記一般式(A3)で表される化合物及び前記一般式(A4)で表される化合物からなる群から選択される1以上の化合物である。
【0028】
一般式(A1)で表される化合物としては、下記一般式(A11)で表される化合物が、また、一般式(A2)で表される化合物としては、下記一般式(A21)で表される化合物が挙げられる。すなわち、(A)成分として、下記一般式(A11)で表される化合物及び下記一般式(A21)で表される化合物からなる群から選択される1以上の化合物が挙げられる。これらは、漂白性能向上の観点から好ましい。
【0029】
【化7】
【0030】
[式(A11)、(A21)中、
11a、R14a及びR15a並びにR21a、R24a及びR25aは、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、ベンジル基、置換基を有していてもよい炭素数1以上、24以下の鎖状炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数3以上、18以下の環状炭化水素基及び下記一般式(I)で表される基からなる群から選択される原子又は基を示し、R14a及びR15a又はR24a及びR25aが共に水素原子又は水酸基でない場合、共同して隣接する窒素原子とともに環構造を形成してもよい。
12a及びR13a並びにR22a及びR23aは、それぞれ独立に、水素原子、ベンジル基、置換基を有していてもよい炭素数1以上、24以下の鎖状炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数3以上、18以下の環状炭化水素基及び下記一般式(I)で表される基からなる群から選択される原子又は基を示し、R12a及びR13a又はR22a及びR23aが共に水素原子でない場合、共同して隣接する四級炭素原子とともに環構造を形成してもよい。
j’は0又は1以上、11以下の整数を示す。
k’は0又は1以上、7以下の整数を示す。
16a及びR26aは、それぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基、炭素数2以上、13以下のアシルオキシ基、炭素数2以上、13以下のアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアミノ基、炭素数1以上、12以下のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1以上、24以下の鎖状炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数3以上、18以下の環状炭化水素基及び下記一般式(I)で表される基からなる群から選択される基を示す。R16a又はR26aは、環状アミン上に複数存在してもよく、複数のR16a又はR26aは、それぞれ同一であっても異なってもよい。
16aが前記鎖状炭化水素基であり、且つ、R14a、R15aの少なくとも一方が前記鎖状炭化水素基である場合、R16aはR14a又はR15aと共同して隣接する窒素原子とともに環構造を形成してもよい。
26aが前記鎖状炭化水素基であり、且つ、R24a、R25aの少なくとも一方が前記鎖状炭化水素基である場合、R26aはR24a又はR25aと共同して隣接する窒素原子とともに環構造を形成してもよい。
nは1以上、3以下の数を示す。]
−[(G)L/(A)M]−R7 (I)
[式(I)中、
Gは、下記式(II)で表される基(以下、基(II)という)及び式(III)で表される基(以下、基(III)という)からなる群から選択される1以上の基を示す。基(II)及び基(III)の酸素原子は、それぞれ、水素原子と結合しているか、又は他の基(II)もしくは基(III)の炭素原子もしくはAの炭素原子と結合しているか、又はR7と結合している。
Aは、下記式(IV)で表される基(以下、基(IV)という)を示す。
7は水素原子、及び炭素数1以上、30以下の炭化水素基からなる群から選択される原子又は基を示す。
LとMの合計は1以上であり、
Lは、0以上、20以下の数を示す。
Lが1以上のとき、Mは、0以上、20以下の数を示し、Lが0のとき、Mは、2以上、20以下の数を示す。
なお、“/”は、GとAの結合順序を問わないことを表す。]
【0031】
【化8】
【0032】
[式(IV)中、R8、R9、R10、R11は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1以上、18以下の炭化水素基を示し、R8、R9、R10、R11の炭素数の合計は18以下となる。基(IV)の酸素原子は、基(II)もしくは基(III)の炭素原子と結合しているか、又は他の基(IV)の炭素原子と結合しているか、又はR7と結合している。]
【0033】
一般式(A11)のR11a及び一般式(A21)のR21aは、それぞれ、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい炭素数1以上、24以下の鎖状炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数3以上、18以下の環状炭化水素基及び前記一般式(I)で表される基からなる群から選択される原子又は基を示す。
【0034】
11a及びR21aにおいて、置換基を有していてもよい炭素数1以上、24以下の鎖状炭化水素基としては、それぞれ、直鎖の炭化水素基、分岐鎖の炭化水素基が挙げられる。鎖状炭化水素基は、アルキル基、アルケニル基が挙げられる。また、鎖状炭化水素基として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、及びn−ドデシル基、2−エチルヘキシル基から選ばれる1種以上の基が挙げられる。
【0035】
11a及びR21aにおいて、置換基を有していてもよい鎖状炭化水素基の炭素数は、それぞれ、1以上、好ましくは2以上、そして、好ましくは20以下、更に16以下、更に12以下、更に6以下、更に4以下である。この炭素数は、置換基を除いた部分の炭素数であってよい。なお、(A)成分の各化合物において、置換基を有していてもよい基の炭素数は、置換基を除いた部分の炭素数がそれぞれの好ましい範囲にあってもよい。
【0036】
また、R11a及びR21aのうち、環状炭化水素基としては、それぞれ、フェニル基、シクロヘキシル基、及びシクロペンチル基から選ばれる1種以上の基が挙げられる。R11a及びR21aにおいて、置換基を有していてもよい炭素数3以上、18以下の環状炭化水素基の炭素数は、それぞれ、好ましくは5以上、更に6以上、そして、15以下、更に12以下、更に10以下である。
【0037】
これら鎖状炭化水素基及び環状炭化水素基の何れも、飽和又は不飽和であってよい。これら鎖状炭化水素基及び環状炭化水素基が有し得る置換基としては、水酸基、炭素数1以上、12以下のアルキル基が1個以上置換してもよいアミノ基及び炭素数1以上、6以下のアルコキシ基からなる群から選択される1以上の基が挙げられる。置換基を有する炭化水素基としては、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−メトキシエチル基、3−メトキシプロピル基、2−(ジメチルアミノ)エチル基、3−(ジメチルアミノ)プロピル基等が挙げられる。
【0038】
一般式(A11)及び一般式(A21)の化合物では、一般式(I)で表される基において、LとMの合計は1以上、好ましくは2以上、そして、好ましくは20以下、更に10以下、更に5以下である。また、Lは、0以上、好ましくは1以上、更に2以上、そして、20以下、好ましくは10以下、更に5以下、更に3以下の数を示す。また、Lが1以上のとき、Mは、0以上、好ましくは1以上、更に2以上、そして、20以下、好ましくは10以下、更に5以下の数を示し、Lが0のとき、Mは、2以上、好ましくは3以上、そして、20以下、好ましくは10以下、更に5以下の数を示す。また、一般式(I)で表される基において、R7の炭化水素基としては、炭素数1以上、24以下の鎖状炭化水素基及び炭素数3以上、12以下の環状炭化水素基を挙げることができ、それらは、それぞれ、R11a、R21aとして挙げたものから選定できる。一般式(A11)及び一般式(A21)の化合物では、R7は水素原子が好ましい。
【0039】
11a及びR21aは、それぞれ、置換基を有していてもよい炭素数1以上、更に2以上、そして、炭素数24以下、更に20以下、更に16以下、更に12以下、更に6以下、更に4以下の鎖状炭化水素基が好ましく、炭素数1以上、更に2以上、そして、炭素数24以下、更に20以下、更に16以下、更に12以下、更に6以下、更に4以下の直鎖炭化水素基及び炭素数3以上、そして、炭素数24以下、更に20以下、更に16以下、更に12以下、更に6以下、更に4以下の分岐鎖の炭化水素基からなる群から選択される炭化水素基がより好ましく、炭素数1以上、更に2以上、そして、炭素数24以下、更に16以下、更に12以下、更に6以下、更に4以下の直鎖炭化水素基が更に好ましく、炭素数1以上、更に2以上、そして、炭素数24以下、更に20以下、更に16以下、更に12以下、更に6以下、更に4以下の直鎖アルキル基がより更に好ましい。更には、R11a及びR21aは、それぞれ、メチル基、又はエチル基が最も好ましい。
【0040】
一般式(A11)のR12a及びR13a並びに一般式(A21)のR22a及びR23aは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1以上、24以下の鎖状炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数3以上、18以下の環状炭化水素基及び前記一般式(I)で表される基からなる群から選択される原子又は基を示す。置換基を有していてもよい炭素数1以上、24以下の鎖状炭化水素基としては、直鎖の炭化水素基、分岐鎖の炭化水素基が挙げられる。鎖状炭化水素基は、アルキル基、アルケニル基が挙げられる。また、鎖状炭化水素基として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、及びn−ドデシル基、2−エチルヘキシル基から選ばれる1種以上の基が挙げられる。R12a及びR13a並びにR22a及びR23aにおいて、置換基を有していてもよい鎖状炭化水素基の炭素数は、それぞれ独立に、好ましくは1以上、更に2以上、そして、20以下、更に16以下、更に12以下、更に6以下、更に4以下である。また、R12a及びR13a並びにR22a及びR23aのうち、環状炭化水素基としては、それぞれ独立に、フェニル基、シクロヘキシル基、及びシクロペンチル基から選ばれる1種以上の基が挙げられる。R12a及びR13a並びにR22a及びR23aにおいて、置換基を有していてもよい炭素数3以上、18以下の環状炭化水素基の炭素数は、それぞれ独立に、好ましくは5以上、更に6以上、そして、15以下、更に12以下、更に10以下である。これら鎖状炭化水素基及び環状炭化水素基の何れも、飽和又は不飽和であってよい。これら鎖状炭化水素基及び環状炭化水素基が有し得る置換基としては、水酸基、炭素数1以上、12以下のアルキル基が1個以上置換してもよいアミノ基及び炭素数1以上、6以下のアルコキシ基からなる群から選択される1以上の基が挙げられる。置換基を有する炭化水素基としては、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−メトキシエチル基、3−メトキシプロピル基、2−(ジメチルアミノ)エチル基、3−(ジメチルアミノ)プロピル基等が挙げられる。
【0041】
12a及びR13a並びにR22a及びR23aは、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1以上、更に2以上、そして、炭素数24以下、更に20以下、更に16以下、更に12以下、更に6以下、更に4以下の鎖状炭化水素基が好ましく、水素原子又は炭素数1以上、更に2以上、そして、炭素数24以下、更に20以下、更に16以下、更に12以下、更に6以下、更に4以下の直鎖炭化水素基及び炭素数3以上、そして、炭素数24以下、更に20以下、更に16以下、更に12以下、更に6以下、更に4以下の分岐鎖の炭化水素基からなる群から選択される炭化水素基がより好ましく、水素原子又は炭素数1以上、更に2以上、そして、炭素数24以下、更に20以下、更に16以下、更に12以下、更に6以下、更に4以下の直鎖炭化水素基が更に好ましく、水素原子又は炭素数1以上、更に2以上、そして、炭素数24以下、更に20以下、更に16以下、更に12以下、更に6以下、更に4以下の直鎖アルキル基がより更に好ましい。R12a及びR13a並びにR22a及びR23aは、それぞれ独立に、メチル基、又はエチル基が最も好ましい。
【0042】
12a及びR13a並びにR22a及びR23aについての一般式(I)で表される基の好ましい態様は、R11a、R21aとして説明したものから選定できる。
【0043】
なお、R12a及びR13a又はR22a及びR23aが、共に水素原子でない場合、共同して隣接する四級炭素原子とともに環構造を形成してもよい。R12a及びR13a又はR22a及びR23a、並びに隣接する四級炭素原子が形成する環構造の具体例としては、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環が挙げられる。
【0044】
一般式(A11)のR14a及びR15a並びに一般式(A21)のR24a及びR25aは、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい炭素数1以上、24以下の鎖状炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数3以上、18以下の環状炭化水素基及び前記一般式(I)で表される基からなる群から選択される原子又は基を示す。置換基を有していてもよい炭素数1以上、24以下の鎖状炭化水素基としては、直鎖の炭化水素基、分岐鎖の炭化水素基が挙げられる。鎖状炭化水素基は、アルキル基、アルケニル基が挙げられる。また、鎖状炭化水素基として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、及びn−ドデシル基、2−エチルヘキシル基から選ばれる1種以上の基が挙げられる。
【0045】
14a及びR15a並びにR24a及びR25aにおいて、置換基を有していてもよい鎖状炭化水素基の炭素数は、それぞれ独立して、1以上、好ましくは2以上、そして、好ましくは20以下、更に16以下、更に12以下、更に6以下、更に4以下である。
【0046】
また、R14a及びR15a並びにR24a及びR25aのうち、環状炭化水素基としては、それぞれ独立して、フェニル基、シクロヘキシル基、及びシクロペンチル基から選ばれる1種以上の基が挙げられる。R14a及びR15a並びにR24a及びR25aにおいて、置換基を有していてもよい炭素数3以上、18以下の環状炭化水素基の炭素数は、それぞれ独立して、好ましくは5以上、更に6以上、そして、15以下、更に12以下、更に10以下である。
【0047】
これら鎖状炭化水素基及び環状炭化水素基の何れも、飽和又は不飽和であってよい。これら鎖状炭化水素基及び環状炭化水素基が有し得る置換基としては、水酸基、炭素数1以上、12以下のアルキル基が1個以上置換してもよいアミノ基及び炭素数1以上、6以下のアルコキシ基からなる群から選択される1以上の基が挙げられる。置換基を有する炭化水素基としては、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−メトキシエチル基、3−メトキシプロピル基、2−(ジメチルアミノ)エチル基、3−(ジメチルアミノ)プロピル基等が挙げられる。
【0048】
一般式(A11)のR14a及びR15a並びに一般式(A21)のR24及びR25は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1以上、更に2以上、そして、炭素数24以下、更に20以下、更に16以下、更に12以下、更に6以下、更に4以下の鎖状炭化水素基及び前記一般式(I)で表される基からなる群から選択される原子又は基が好ましく、水素原子、炭素数1以上、更に2以上、そして、炭素数24以下、更に20以下、更に16以下、更に12以下、更に6以下、更に4以下の直鎖炭化水素基、炭素数3以上、そして、炭素数24以下、更に20以下、更に16以下、更に12以下、更に6以下、更に4以下の分岐鎖の炭化水素基及び前記一般式(I)で表される基からなる群から選択される原子又は基がより好ましく、水素原子、炭素数1以上、更に2以上、そして、炭素数24以下、更に16以下、更に12以下、更に6以下、更に4以下の直鎖炭化水素基及び前記一般式(I)で表される基からなる群から選択される基が更に好ましく、水素原子、炭素数1以上、更に2以上、そして、炭素数24以下、更に20以下、更に16以下、更に12以下、更に6以下、更に4以下の直鎖アルキル基及び前記一般式(I)で表される基からなる群から選択される原子又は基がより更に好ましい。
【0049】
一般式(A11)の化合物又は一般式(A21)の化合物は、R14a及びR15a又はR24a及びR25aとして、前記一般式(I)で表される基を有することが好ましい。すなわち、R14a及びR15aの一方もしくは両方が、又はR24a及びR25aの一方もしくは両方が、前記一般式(I)で表される基であることが好ましい。
【0050】
また、一般式(A11)において、R14a、R15aの一方が、前記一般式(I)で表される基であり、他方が水素原子であることも好ましい。同様に、一般式(A21)において、R24a、R25aの一方が、前記一般式(I)で表される基であり、他方が水素原子であることも好ましい。
【0051】
また、一般式(A11)において、R14a、R15aの一方が、前記一般式(I)で表される基であり、他方が水素原子であり、且つ前記一般式(I)中のLが2以上、そして、20以下、好ましくは10以下、更に5以下、更に3以下の数であることも好ましい。同様に、一般式(A21)において、R24a、R25aの一方が、前記一般式(I)で表される基であり、他方が水素原子であり、且つ前記一般式(I)中のLが2以上、そして、20以下、好ましくは10以下、更に5以下、更に3以下の数であることも好ましい。
【0052】
また、一般式(A11)において、R14a、R15aの両方が、前記一般式(I)で表される基であることも好ましい。同様に、一般式(A21)において、R24a、R25aの両方が、前記一般式(I)で表される基であることも好ましい。
【0053】
14a及びR15a並びに24a及びR25aについての一般式(I)で表される基の好ましい態様は、R11a、R21aとして説明したものから選定できる。
【0054】
なお、R14a及びR15a又はR24a及びR25aが、共に水素原子又は水酸基でない場合、共同して隣接する窒素原子とともに環構造を形成してもよい。
【0055】
一般式(A11)において、j’は、0又は1以上、11以下の整数であり、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
【0056】
一般式(A21)において、k’は、0又は1以上、7以下の整数であり、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
【0057】
一般式(A11)の化合物について、R16aは、式(A11)の環状アミンの炭素原子に結合し得る置換基を示す。一般式(A21)の化合物について、R26aは、式(A21)の環状アミンの炭素原子に結合し得る置換基を示す。R16a、R26aは、それぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基、炭素数2以上、13以下のアシルオキシ基、炭素数2以上、13以下のアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアミノ基、炭素数1以上、12以下のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1以上、24以下の鎖状炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数3以上、18以下の環状炭化水素基及び前記一般式(I)で表される基からなる群から選択される基を示す。R16a又はR26aは、環状アミン上に複数存在してもよく、複数のR16a又はR26aは、それぞれ同一であっても異なってもよい。
【0058】
16a、R26aにおいて、炭素数2以上、13以下のアシルオキシ基、又は炭素数2以上、13以下のアルコキシカルボニル基の炭素数は、それぞれ独立に、好ましくは10以下である。R16a、R26aにおいて、炭素数1以上、12以下のアルコキシ基の炭素数は、それぞれ独立に、好ましくは2以上、そして、好ましくは10以下である。R16a、R26aにおいて、置換基を有していてもよい炭素数1以上、24以下の鎖状炭化水素基としては、それぞれ独立に、直鎖の炭化水素基、分岐鎖の炭化水素基が挙げられる。鎖状炭化水素基は、アルキル基、アルケニル基が挙げられる。R16a、R26aにおいて、置換基を有していてもよい鎖状炭化水素基の炭素数は、それぞれ独立に、1以上、好ましくは2以上、そして、好ましくは20以下、更に10以下、更に5以下である。R16a、R26aにおいて、置換基を有していてもよい炭素数3以上、18以下の環状炭化水素基の炭素数は、それぞれ独立に、好ましくは5以上、更に6以上、そして、15以下、更に10以下である。これら鎖状炭化水素基及び環状炭化水素基の何れも、飽和又は不飽和であってよい。これら鎖状炭化水素基及び環状炭化水素基が有し得る置換基としては、水酸基、炭素数1以上、12以下のアルキル基が1個以上置換してもよいアミノ基及び炭素数1以上、6以下のアルコキシ基からなる群から選択される1以上の基が挙げられる。
【0059】
16a及びR26aは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数1以上、更に2以上、そして、炭素数24以下、更に20以下、更に10以下の鎖状炭化水素基からなる群から選択される基が好ましく、置換基を有していてもよい炭素数1以上、更に2以上、そして、炭素数24以下、更に20以下、更に10以下の直鎖炭化水素基及び置換基を有していてもよい炭素数3以上、そして、炭素数24以下、更に20以下、更に10以下の分岐鎖炭化水素基からなる群から選択される基がより好ましく、置換基を有していてもよい炭素数1以上、更に2以上、そして、炭素数24以下、更に10以下の直鎖炭化水素基からなる群から選択される基が更に好ましく、置換基を有していてもよい炭素数1以上、更に2以上、そして、炭素数24以下、更に20以下、更に10以下の直鎖アルキル基からなる群から選択される基が更に好ましい。
【0060】
なお、R16aが前記鎖状炭化水素基であり、且つ、R14a、R15aの少なくとも一方が前記鎖状炭化水素基である場合、R16aはR14a又はR15aと共同して隣接する窒素原子とともに環構造を形成してもよい。同様に、R26aが前記鎖状炭化水素基であり、且つ、R24a、R25aの少なくとも一方が前記鎖状炭化水素基である場合、R26aはR24a又はR25aと共同して隣接する窒素原子とともに環構造を形成してもよい。
【0061】
一般式(A11)において、nは1以上、3以下の数を示す。nは1が好ましい。
【0062】
(A)成分のうち、一般式(A1)で表される化合物は、特開2007−246455号公報の段落0029〜0125、特開2004−26790号公報の段落0029〜0068に記載されている方法などで合成することができる。
【0063】
また、(A)成分のうち、一般式(A2)で表される化合物は、特開2007−246456号公報の段落0027〜0097に記載されている方法で合成することができる。
【0064】
一般式(A3)で表される化合物としては、下記一般式(A31)で表される化合物が、また、一般式(A4)で表される化合物としては、下記一般式(A41)で表される化合物が挙げられる。すなわち、(A)成分として、下記一般式(A31)で表される化合物及び下記一般式(A41)で表される化合物からなる群から選択される1以上の化合物が挙げられる。これらは、漂白性能向上の観点から好ましい。
【0065】
【化9】
【0066】
[式(A31)、(A41)中、
31a及びR32a並びにR41a及びR42aは、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、ベンジル基、置換基を有していてもよい炭素数1以上、24以下の鎖状炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数3以上、18以下の環状炭化水素基及び下記一般式(I)で表される基からなる群から選択される原子又は基を示す。
p’は0又は1以上、10以下の整数を示す。
q’は0又は1以上、8以下の整数を示す。
33a及びR43aは、それぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基、炭素数2以上、13以下のアシルオキシ基、炭素数2以上、13以下のアルコキシカルボニル基、炭素数1以上、12以下のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1以上、24以下の鎖状炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数3以上、18以下の環状炭化水素基及び下記一般式(I)で表される基からなる群から選択される基を示す。R33a又はR43aは環状アミン上に複数存在してもよく、複数のR33a又はR43aは、それぞれ同一であっても異なってもよい。]
−[(G)L/(A)M]−R7 (I)
[式(I)中、
Gは、下記式(II)で表される基(以下、基(II)という)及び式(III)で表される基(以下、基(III)という)からなる群から選択される1以上の基を示す。基(II)及び基(III)の酸素原子は、それぞれ、水素原子と結合しているか、又は他の基(II)もしくは基(III)の炭素原子もしくはAの炭素原子と結合しているか、又はR7と結合している。
Aは、下記式(IV)で表される基(以下、基(IV)という)を示す。
7は水素原子、及び炭素数1以上、30以下の炭化水素基からなる群から選択される原子又は基を示す。
LとMの合計は1以上であり、
Lは、0以上、20以下の数を示す。
Lが1以上のとき、Mは、0以上、20以下の数を示し、Lが0のとき、Mは、2以上、20以下の数を示す。
なお、“/”は、GとAの結合順序を問わないことを表す。]
【0067】
【化10】
【0068】
[式(IV)中、R8、R9、R10、R11は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1以上、18以下の炭化水素基を示し、R8、R9、R10、R11の炭素数の合計は18以下となる。基(IV)の酸素原子は、基(II)もしくは基(III)の炭素原子と結合しているか、又は他の基(IV)の炭素原子と結合しているか、又はR7と結合している。]
【0069】
一般式(A31)中、R31a及びR32aは、漂白性能向上の点から、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、カルボキシル基、並びに置換基を有していてもよい炭素数1以上、24以下の炭化水素基からなる群から選択される原子又は基が好ましい。更には、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1以上、24以下の鎖状炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数3以上、18以下の環状炭化水素基及び前記一般式(I)で表される基からなる群から選択される原子又は基が好ましい。更には、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1以上、24以下の鎖状炭化水素基、及び前記一般式(I)で表される基からなる群から選択される原子又は基が好ましい。更には、水素原子、及び前記一般式(I)で表される基からなる群から選択される原子又は基が好ましい。更には、水素原子、もしくはR7が炭素数10以上の鎖上炭化水素基である一般式(I)で表される基からなる群から選択される原子又は基が最も好ましい。R7は、鎖状炭化水素基であることが好ましい。また、R7は、炭素数が3以上であることが好ましく、5以上が更に好ましく、7以上が更に好ましく、10以上が最も好ましく、そして、30以下が好ましく、更には20以下、更には15以下であることが最も好ましい。R31a及びR32aは、同一であっても、異なっても良いが、同一であることが好ましい。
【0070】
一般式(A41)中、R41a及びR42aは、漂白性能向上の点から、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、カルボキシル基、並びに置換基を有していてもよい炭素数1以上、24以下の炭化水素基からなる群から選択される原子又は基が好ましい。更には、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1以上、24以下の鎖状炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数3以上、18以下の環状炭化水素基及び前記一般式(I)で表される基からなる群から選択される原子又は基が好ましい。更には、置換基を有していてもよい炭素数1以上、24以下の鎖状炭化水素基、及び前記一般式(I)で表される基からなる群から選択される原子又は基が好ましい。更には、前記一般式(I)で表される基からなる群から選択される原子又は基が好ましい。更には、R7が炭素数10以上の鎖上炭化水素基である一般式(I)で表される基からなる群から選択される原子又は基が最も好ましい。R7は、鎖状炭化水素基であることが好ましく、分岐鎖を有する鎖状炭化水素基であることが更に好ましい。また、R7は、炭素数が3以上であることが好ましく、5以上が更に好ましく、7以上が更に好ましく、8以上が更に好ましく、9以上が更に好ましく、10以上が最も好ましく、そして、30以下が好ましく、更には20以下、更には15以下であることが最も好ましい。R41a及びR42aは、同一であっても、異なっても良いが、同一であることが好ましい。
【0071】
31a及びR32a並びにR41a及びR42aのうち、置換基を有していてもよい炭素数1以上、24以下の鎖状炭化水素基と、置換基を有していてもよい炭素数3以上、18以下の環状炭化水素基の具体例及び好ましい態様は、それぞれ、R11a、R21aで示したものから選択できる。
【0072】
一般式(A31)及び一般式(A41)の化合物では、一般式(I)で表される基において、LとMの合計は1以上であり、そして、20以下、更に10以下、更に5以下、更に3以下、更に2以下が好ましい。また、Lは、0以上、好ましくは1以上であり、そして、20以下、好ましくは10以下、更に5以下、更に3以下、更に2以下の数を示す。また、Lが1以上のとき、Mは、0以上、そして、20以下、好ましくは10以下、更に5以下、更に3以下、更に2以下の数を示し、Mが0であることが最も好ましい。Lが0のとき、Mは、2以上、好ましくは3以上、そして、20以下、好ましくは10以下、更に5以下の数を示す。
【0073】
一般式(A31)及び一般式(A41)の化合物の一般式(I)で表される基において、R7の炭化水素基としては、炭素数1以上、24以下の鎖状炭化水素基及び炭素数3以上、12以下の環状炭化水素基を挙げることができ、それらは、それぞれ、R11a、R21aとして挙げたものから選定できる。
【0074】
一般式(A31)及び一般式(A41)の化合物について、一般式(I)中のR7は、水素原子、炭素数1以上、24以下の鎖状炭化水素基及び炭素数3以上、12以下の環状炭化水素基からなる群から選択される原子又は基であることが好ましい。更に、一般式(A31)及び一般式(A41)の化合物では、一般式(I)中のR7は水素原子又は炭素数3以上、30以下の鎖状炭化水素基が好ましい。
【0075】
一般式(A31)において、p’は、0又は1以上、10以下の整数であり、0又は1以上、5以下の整数が好ましく、0、1、又は2がより好ましい。
【0076】
一般式(A41)において、q’は、0又は1以上、8以下の整数であり、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
【0077】
一般式(A31)の化合物について、R33aは、式(A31)の環状アミンの炭素原子に結合し得る置換基を示す。一般式(A41)の化合物について、R43aは、式(A41)の環状アミンの炭素原子に結合し得る置換基を示す。R33a、R43aは、それぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基、炭素数2以上、13以下のアシルオキシ基、炭素数2以上、13以下のアルコキシカルボニル基、炭素数1以上、12以下のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1以上、24以下の鎖状炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数3以上、18以下の環状炭化水素基及び前記一般式(I)で表される基からなる群から選択される基を示す。R33a又はR43aは環状アミン上に複数存在してもよく、複数のR33a又はR43aは、それぞれ同一であっても異なってもよい。
【0078】
33a及びR43aのうち、置換基を有していてもよい炭素数1以上、24以下の鎖状炭化水素基と、置換基を有していてもよい炭素数3以上、18以下の環状炭化水素基の具体例及び好ましい態様は、それぞれ、R11a、R21aで示したものから選択できる。
【0079】
一般式(A31)中、R33aは、置換基を有していてもよい炭素数1以上、24以下の鎖状炭化水素基であることが好ましく、メチル基がより好ましい。
【0080】
一般式(A41)中、R43aは、置換基を有していてもよい炭素数1以上、24以下の鎖状炭化水素基であることが好ましく、メチル基がより好ましい。
【0081】
一般式(A31)の化合物又は一般式(A41)の化合物のR33a、R43aとして、前記一般式(I)で表される基を選択することができる。
【0082】
33a及びR43aについての一般式(I)で表される基の好ましい態様は、R31a等として説明したものから選定できる。
【0083】
一般式(I)のR7の炭素数1以上、24以下の鎖状炭化水素基及び炭素数3以上、12以下の環状炭化水素基は、それぞれ、R11a、R21aとして挙げたものを選定できる。R7は水素原子又はメチル基が好ましい。
【0084】
本発明の(A)成分のうち、一般式(A1)で表される化合物及び一般式(A2)で表される化合物を以下に例示する。
【0085】
【化11】
【0086】
【化12】
【0087】
【化13】
【0088】
【化14】
【0089】
【化15】
【0090】
更に、本発明の(A)成分のうち、一般式(A1)で表される化合物及び一般式(A2)で表される化合物を以下に例示する。
【0091】
【化16】
【0092】
【化17】
【0093】
また、本発明の(A)成分のうち、一般式(31)で表される化合物及び一般式(42)で表される化合物を以下に例示する。
【0094】
【化18】
【0095】
【化19】
【0096】
【化20】
【0097】
化合物が入手し易く、安価であるという観点から、一般式(A3)で表される化合物及び一般式(A4)で表される化合物からなる群から選択される1以上の化合物が好ましい。
【0098】
<(B)成分>
(B)成分は、前記一般式(B1)で表される第4級アンモニウム塩から選択される1以上のカチオン界面活性剤である。
【0099】
一般式(B1)中、R1bは、炭素数6以上、16以下のアルキル基であり、炭素数8以上、そして14以下のアルキル基が好ましい。また、一般式(B1)中、R2bは、メチル基、エチル基及び炭素数6以上、16以下のアルキル基からなる群から選択される基であり、メチル基、エチル基、及び炭素数8以上、そして14以下のアルキル基が好ましい。また、一般式(B1)中、R3bは、メチル基又はエチル基であり、メチル基が好ましい。また、一般式(B1)中、R4bは、メチル基、エチル基及びベンジル基からなる群から選択される基であり、メチル基、及びベンジル基が好ましい。また、一般式(B1)中、L-は、塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化物イオン、炭素数1以上、5以下のアルキル硫酸イオン、炭素数1以上、3以下のアルキル基を置換基として有するアルキル置換ベンゼンスルホン酸イオン及び炭素数6以上、18以下のアルキルリン酸イオンからなる群から選択される陰イオン基であり、塩化物イオン、臭化物イオン及び炭素数8以上、18以下のアルキルリン酸イオンからなる群から選択される陰イオン基が好ましい。
【0100】
<(C)成分>
(C)成分は、有機過酸前駆体及び有機過酸からなる群から選択される1以上の化合物である。
【0101】
漂白性能を高める観点と、組成物中での安定性が高い観点とから、(C)成分としては、下記一般式(C1)で表される有機過酸前駆体である化合物が好ましい。
【0102】
【化21】
【0103】
[式中、R1cは炭素数5以上、19以下のアルキル基又はアルケニル基、Zは、SO3M又はCOOM、Mは陽イオンを示す。]
【0104】
また、組成物中での安定性を更に高める観点から、一般式(C1)におけるR1cは、好ましくは炭素数8以上であり、更には9以上、更には10以上、更には11以上である。また、過酸化水素と有効に反応し、効率よく有機過酸を生成するために、一般式(C1)におけるR1cは、炭素数19以下であり、好ましくは15以下であり、更には13以下、更には11以下である。
【0105】
組成物中での安定性を更に高め、また、過酸化水素と有効に反応し、効率よく有機過酸を生成するために、一般式(C1)におけるR1cは、炭素数11であることがより好ましい。また、一般式(C1)におけるR1cは、アルキル基が好ましい。
【0106】
一般式(C1)におけるMの陽イオンとしては、Na、K等のアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、炭素数3以上、15以下、更に炭素数7以上、15以下のアルキルアンモニウムイオン、モノエタノールアンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオン等が挙げられ、アルカリ金属イオンが好ましい。
【0107】
本発明の(C)成分としては、アルカノイル基の炭素数が6以上、20以下のアルカノイルオキシベンゼンスルホン酸塩及びアルカノイル基の炭素数が6以上、20以下のアルカノイルオキシベンゼンカルボン酸塩からなる群から選択される1以上の化合物が好ましく、アルカノイル基の炭素数が6以上、20以下のアルカノイルオキシベンゼンスルホン酸塩がより好ましい。これらのアルカノイル基の炭素数は、16以下であり、更には14以下、更には12以下が好ましい。
【0108】
<(D)成分>
(D)成分は、過酸化水素及び水中で過酸化水素を生成する過酸化物からなる群から選択される1以上の化合物である。
【0109】
水中で過酸化水素を生成する過酸化物としては、無機過酸化物、過酸化水素付加物が挙げられ、好ましくは、過炭酸塩、トリポリリン酸塩・過酸化水素付加物、ピロリン酸塩・過酸化水素付加物、尿素・過酸化水素付加物、硫酸塩・過酸化水素付加物、過ホウ酸塩、過ケイ酸塩、過酸化塩であり、より好ましくは、過炭酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム・過酸化水素付加物、ピロリン酸ナトリウム・過酸化水素付加物、尿素・過酸化水素付加物、又は4Na2SO4・2H22、過ホウ酸ナトリウム一水和物、過ホウ酸ナトリウム四水化物、過ケイ酸ナトリウム、過酸化ナトリウム、過酸化カルシウム等である。
【0110】
また、更に好ましい(D)成分は、過酸化水素、過炭酸ナトリウム及び過ホウ酸ナトリウムからなる群から選択される1以上の化合物であり、過酸化水素がより好ましく用いられる。
【0111】
<酸化性組成物>
本発明の酸化性組成物は、漂白性能を高める観点から、(A)成分を、0.001質量%以上、更に0.01質量%以上、更に0.1質量%以上、更に0.5質量%以上含有することが好ましい。そして、経済的な観点から、(A)成分を組成物中、10質量%以下、更に5質量%以下、更に2質量%以下含有することが好ましい。
【0112】
本発明の酸化性組成物は、漂白性能を高める観点から、(B)成分を、0.01質量%以上、更に0.1質量%以上、更に0.2質量%以上、更に0.3質量%以上含有することが好ましく、そして、漂白性能を高める観点から、20質量%以下、更に15質量%以下、更に10質量%以下、更に5質量%以下、更に2質量%以下含有することが好ましい。
【0113】
本発明の酸化性組成物は、漂白性能を高める観点から、(C)成分を、0.01質量%以上、更に0.1質量%以上、更に1質量%以上、更に2質量%以上含有することが好ましく、そして、保存安定性の観点から30質量%以下、更に20質量%以下、更に10質量%以下含有することが好ましい。
【0114】
本発明の酸化性組成物は、漂白性能を高める観点から、(D)成分を、過酸化水素として、0.01質量%以上、更に0.1質量%以上、更に1質量%以上、更に1.4質量%以上含有することが好ましく、そして、保存安定性の観点から、50質量%以下、更に30質量%以下、更に20質量%以下、更に10質量%以下含有することが好ましい。以下、(D)成分の量は、特記しない限り、過酸化水素としての量をいう。
【0115】
(A)成分の含有量に対する(C)成分の含有量の質量比[(C)/(A)]は、漂白性能を高める観点から、0.01以上、更に0.1以上、更に0.2以上、更に0.5以上、更に1以上、更に3以上、更に5以上が好ましく、そして、50以下、更に30以下、更に20以下、更に15以下、更に10以下が好ましい。
【0116】
(A)成分の含有量に対する(D)成分の含有量の質量比[(D)/(A)]は、漂白性能を高める観点から、0.1以上、更に0.2以上、更に0.5以上、更に1以上、更に3以上、更に5以上が好ましく、そして、50以下、更に30以下、更に20以下、更に15以下、更に10以下が好ましい。
【0117】
(C)成分の含有量に対する(D)成分の含有量の質量比[(D)/(C)]は、漂白性能を高める観点から、0.01以上、更に0.05以上、更に0.1以上、更に0.3以上、更に0.5以上、更に1以上が好ましく、そして、50以下、更に30以下、更に20以下、更に10以下、更に5以下、更に2以下が好ましい。
【0118】
(A)成分の含有量と(C)成分の含有量の合計に対する(D)成分の含有量の質量比、(D)/[(A)+(C)]は、漂白性能を高める観点から、0.01以上、更に0.05以上、更に0.1以上、更に0.3以上、更に0.5以上が好ましく、そして、20以下、更に10以下、更に5以下、更に3以下、更に1以下、更に0.8以下が好ましい。
【0119】
(B)成分の含有量に対する(C)成分の含有量の質量比[(C)/(B)]は、漂白性能を高める観点から、0.1以上、更に0.2以上、更に0.5以上、更に1.0以上が好ましく、そして、100以下、更に50以下、更に30以下、更に20以下、更に15以下、更に10以下が好ましい。
【0120】
<(E)成分>
本発明の酸化性組成物は、漂白性能を高める観点から、(E)成分として、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ土類金属の炭酸塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミンからなる群から選択される1以上のアルカリ剤を含有することが好ましい。
【0121】
漂白性能を高める観点から、(E)成分は、アルカリ金属の水酸化物及びアルカリ金属の炭酸塩からなる群から選択される1以上のアルカリ剤が好ましく、アルカリ金属の水酸化物から選択される1以上のアルカリ剤が好ましい。(E)成分は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムからなる群から選択される1以上のアルカリ剤がより好ましく、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群から選択される1以上のアルカリ剤が更に好ましい。
【0122】
本発明の酸化性組成物において、(E)成分は、使用時のpHが、20℃で10以上、12.5以下となる量を含有することが好ましい。
本発明の酸化性組成物は、漂白性能を高める観点から、(E)成分を、0.01質量%以上、更に0.1質量%以上、更に1質量%以上、更に1.4質量%以上含有することが好ましく、そして、漂白性能を高める観点から、50質量%以下、更に30質量%以下、更に20質量%以下、更に10質量%以下、更に5質量%以下含有することが好ましい。
【0123】
<(F)成分>
本発明の酸化性組成物は、(F)成分として、(B)成分以外の界面活性剤を含有することが好ましい。
【0124】
(F)成分としては、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤及びアニオン界面活性剤からなる群から選択される1以上の界面活性剤が挙げられる。
(F)成分は、ノニオン界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群から選択される1以上の界面活性剤が好ましく、ノニオン界面活性剤から選択される1以上の界面活性剤がより好ましい。
【0125】
ノニオン界面活性剤としては、一般式(F1)で表される化合物及び一般式(F2)で表される化合物から選ばれる化合物が好ましく、一般式(F1)で表される化合物がより好ましい。
1f−X−(AO)m−Y (F1)
〔式中、R1fは、直鎖又は分岐鎖の炭素数6以上、22以下のアルキル基又はアルケニル基及び直鎖又は分岐鎖の炭素数1以上、18以下のアルキル基で置換されていてもよいアリール基からなる群から選択される基を示す。Xは−O−又は−COO−を示す。Aは直鎖又は分岐鎖の炭素数2以上、3以下のアルキレン基を示し、m個のAは同一でも異なっていてもよい。YはH又は炭素数1以上、3以下のアルキル基を示す。mは、AOの平均付加モル数であり、3以上、50以下の数を示す。〕
1f'−(OR2f')xy (F2)
〔式中、R1f'は炭素数8以上、18以下の分岐鎖又は直鎖である1価の脂肪族炭化水素基、R2f'は炭素数2以上、4以下のアルキレン基、Gは還元糖に由来する残基、xは平均値で0以上、6以下の数、yは平均値で1以上、10以下の数を示す。〕
【0126】
一般式(F1)においてA基はエチレン基又はプロピレン基(好ましくはエチレン基)を示すことが好ましいが、これらはブロック型に重合してもよく、ランダム型に重合してもよい。R1fは、直鎖又は分岐鎖の炭素数6以上、18以下のアルキル基であることが好ましく、Xは−O−が好ましく、YはHであることが好ましい。mは、3以上、15以下であることが好ましい。
【0127】
一般式(F2)において、好ましいxの値は0以上、2以下であり、より好ましくは0である。また、yの平均値は好ましくは1以上、5以下、より好ましくは1以上、1.5以下、より更に好ましくは1.1以上、1.4以下である。尚、yの測定値はプロトンNMR法によるものである。好ましい原料は、それらの入手容易性及びコストの点から、単糖類ではグルコース及びフルクトースであり、2糖類以上ではマルトース及びスクロースである。R1f'は、直鎖又は分岐鎖の総炭素数8以上、16以下のアルキル基が好ましい。
【0128】
両性界面活性剤としては、カルボベタイン、スルホベタイン、ヒドロキシスルホベタインなどが挙げられる。
【0129】
アニオン界面活性剤としては、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、アルカンスルホン酸又はその塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩、α−スルホ脂肪酸エステルなどが挙げられる。これらの中でもアルキルベンゼンスルホン酸又はその塩が好ましい。
【0130】
(F)成分としては、(C)成分の保存安定性の観点から、ノニオン界面活性剤が好ましい。また、(F)成分中、ノニオン界面活性剤の割合が50質量%以上、更に60質量%以上、更に70質量%以上、更に80質量%以上、更に90質量%以上、更に95質量%以上であることが好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
【0131】
本発明の酸化性組成物は、漂白性能及び保存安定性を高める観点から、(F)成分を、0.1質量%以上、更に1質量%以上、更に4質量%以上、そして、液の粘度を低くして取り扱いを良好にするために、50質量%以下、更に30質量%以下、更に15質量%以下含有することが好ましい。
【0132】
<(G)成分>
本発明の酸化性組成物は、(G)成分として、キレート剤を含有することが好ましい。
【0133】
(G)成分は、カルシウムキレート定数(pKCa)が4以上、更に4.5以上、更に5以上のキレート剤であることが、組成物の保存安定性の観点から好ましい。ここでpKCaとは、カルシウムイオン電極を用い、キレート剤0.1質量%溶液、pH10、25℃、0.1M NH4Cl−NH4OH緩衝液を用いて測定した値である。
【0134】
本発明の(G)成分として用いられるキレート剤の具体例としては、エチレンジアミン4酢酸、ニトリロトリ酢酸、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸等のアミノ酸系キレート剤、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エタンヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸等のホスホン酸系キレート剤、アクリル酸/マレイン酸コポリマー等のカルボン酸系ポリマー、トリポリリン酸等のポリリン酸系キレート剤を挙げることができる。これらの中でも、ホスホン酸系キレート剤及びカルボン酸系キレート剤からなる群から選択される1以上のキレート剤が好ましい。
【0135】
本発明の酸化性組成物は、組成物の安定性の観点から、(G)成分を、好ましくは0.01質量%以上、更には0.1質量%以上、更には0.2質量%以上含有する。また、本発明の酸化性組成物は、混合後のpH値をアルカリ性とするために、(F)成分を、好ましくは30質量%以下、更には20質量%以下、更には10質量%以下、更には5質量%以下、更には3質量%以下、更には1質量%以下、更には0.5質量%以下含有する。
【0136】
<(H)成分>
(H)成分として、水を含有することが好ましい。水は、組成物の残部の量(組成物全体を100質量%とする量)で用いられるのが好ましい。水の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、更に60質量%以上、更に70質量%以上、更に80質量%以上、更に90質量%以上であることが好ましい。
【0137】
<その他成分>
本発明の酸化性組成物は、その他成分として、香料、pH調整剤、可溶化剤、浸透剤、懸濁化剤、研磨剤、顔料等の任意成分を含有すること出来る。
【0138】
本発明の酸化性組成物は、風呂・トイレ・台所等の硬質表面の漂白、カビ取り、衣類の漂白、汚れ・匂い原因物質の分解、除菌、パルプの漂白、など、ある対象物に対して酸化作用が有用な効果をもたらす様々な用途に用いることができる。なかでも、本発明の酸化性組成物は、漂白用又は漂白洗浄用であることが好ましい。更に、硬質表面の漂白用又は漂白洗浄用であることが好ましい。
【0139】
本発明の酸化性組成物は、硬質表面用の漂白剤又は硬質表面用の漂白洗浄剤として用いることが好ましい。また、衣料用洗浄剤として用いることも出来、消臭剤、除菌剤、殺菌剤として使用することも好ましい。カビ取り剤として用いることが好ましく、浴室用のカビ取り剤として用いることも好ましい。カビが発生する硬質表面は一般に耐酸化性が高いこと、及び本発明の酸化性組成物が従来技術では除去困難であったカビ汚れに対して顕著な漂白効果を示すことから、本発明の酸化性組成物は、カビ取り剤として用いることが最も好ましい。
【0140】
本発明の酸化性組成物は、液体組成物、粉末組成物、ゲル状組成物など、いずれの形態であってもよい。形態が液体であることが好ましい。水を含有する液体形態である場合、20℃のpHが9以上、更に10以上、更11以上、そして、13以下、更に12.8以下、更に12.5以下であることが好ましい。また、本発明の酸化性組成物は、粉末等、固体形態である場合、0.1質量%水溶液の20℃のpHが9以上、更に10以上、更11以上、そして、13以下、更に12.8以下、更に12.5以下であることが好ましい。
【0141】
本発明により、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分を含有する漂白剤組成物又は漂白洗浄剤組成物が提供される。また、本発明により、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、及び水を含有する液体漂白剤組成物又は液体漂白洗浄剤組成物が提供される。また、本発明により、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、及び水を含有する、硬質表面用液体漂白剤組成物又は硬質表面用液体漂白洗浄剤組成物が提供される。また、本発明により、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、及び水を含有する、硬質表面用カビ取り剤組成物、更に浴室用カビ取り剤組成物が提供される。
【0142】
本発明の酸化性組成物は、液体漂白剤組成物又は液体漂白洗浄剤組成物として用いる場合、該組成物をスプレー式容器に充填し、対象物にスプレーして用いることが好ましい。また、前記の多剤型漂白洗浄剤を混合した組成物もスプレーにより対象物に適用することが好ましい。本発明により、本発明の酸化性組成物をスプレー容器に充填してなる漂白洗浄剤物品が提供される。
【0143】
一例として、本発明の酸化性組成物が衣料用液体漂白洗浄剤組成物である場合の好ましい含有量を以下に示す。
衣料用液体漂白洗浄剤組成物中の(A)成分の含有量は、0.01質量%以上、更に0.1質量%以上、更に0.15質量%以上、そして、10質量%以下、更に5質量%以下、更に3質量%以下、更に1質量%以下、更に0.5質量%以下が好ましい。また、衣料用液体漂白洗浄剤組成物中の(B)成分の含有量は、0.1質量%以上、更に0.2質量%以上、更に0.3質量%以上、そして、20質量%以下、更に10質量%以下、更に8質量%以下、更に6質量%以下、更に5質量%以下が好ましい。また、衣料用液体漂白洗浄剤組成物中の(C)成分の含有量は、0.01質量%以上、更に0.1質量%以上、更に1質量%以上、そして、30質量%以下、更に10質量%以下、更に5質量%以下、更に3質量%以下が好ましい。また、衣料用液体漂白洗浄剤組成物中の(D)成分の含有量は、0.01質量%以上、更に0.1質量%以上、更に1質量%以上、更に1.4質量%以上、そして、50質量%以下、更に30質量%以下、更に10質量%以下、更に5質量%以下、更に2質量%以下が好ましい。また、(E)成分を用いる場合、衣料用液体漂白洗浄剤組成物中の(E)成分の含有量は、0.01質量%以上、更に0.1質量%以上、更に1質量%以上、そして、50質量%以下、更に30質量%以下、更に10質量%以下、更に5質量%以下、更に2質量%以下が好ましい。また、(F)成分を用いる場合、衣料用液体漂白洗浄剤組成物中の(F)成分の含有量は、0.1質量%以上、更に1質量%以上、更に4質量%以上、そして、50質量%以下、更に30質量%以下、更に15質量%以下が好ましい。また、(G)成分を用いる場合、衣料用液体漂白洗浄剤組成物中の(G)成分の含有量は、0.01質量%以上、更に0.1質量%以上、更に0.15質量%以上、そして、30質量%以下、更に20質量%以下、更に10質量%以下、更に5質量%以下、更に1質量%以下、更に0.5質量%以下が好ましい。これらの含有量は、本発明の酸化性組成物が、衣料用液体漂白剤組成物である場合にも同様に適用できる。
【0144】
一例として、本発明の酸化性組成物が、硬質表面用漂白洗浄剤組成物である場合の好ましい含有量を以下に示す。
硬質表面用漂白洗浄剤組成物中の(A)成分の含有量は、0.01質量%以上、更に0.1質量%以上、更に0.15質量%以上、そして、20質量%以下、更に10質量%以下、更に5質量%以下、更に3質量%以下、更に1質量%以下、更に0.9質量%以下が好ましい。また、硬質表面用漂白洗浄剤組成物中の(B)成分の含有量は、0.05質量%以上、更に0.1質量%以上、更に0.2質量%以上、そして、30質量%以下、更に20質量%以下、更に15質量%以下、更に10質量%以下、更に8質量%以下が好ましい。また、硬質表面用漂白洗浄剤組成物中の(C)成分の含有量は、0.01質量%以上、更に0.1質量%以上、更に1質量%以上、更に1.5質量%以上、そして、50質量%以下、更に30質量%以下、更に10質量%以下、更に5質量%以下、更に3質量%以下が好ましい。また、硬質表面用漂白洗浄剤組成物中の(D)成分の含有量は、0.01質量%以上、更に0.1質量%以上、更に1質量%以上、更に1.4質量%以上、そして、50質量%以下、更に30質量%以下、更に10質量%以下、更に5質量%以下、更に2質量%以下、更に1.5質量%以下が好ましい。また、(E)成分を用いる場合、硬質表面用漂白洗浄剤組成物中の(E)成分の含有量は、0.01質量%以上、更に0.1質量%以上、更に1質量%以上、そして、50質量%以下、更に30質量%以下、更に10質量%以下、更に5質量%以下、更に2質量%以下が好ましい。また、(F)成分を用いる場合、硬質表面用漂白洗浄剤組成物中の(F)成分の含有量は、0.1質量%以上、更に1質量%以上、更に4質量%以上、そして、50質量%以下、更に30質量%以下、更に15質量%以下が好ましい。また、(G)成分を用いる場合、硬質表面用漂白洗浄剤組成物中の(G)成分の含有量は、0.01質量%以上、更に0.1質量%以上、更に0.15質量%以上、そして、30質量%以下、更に20質量%以下、更に10質量%以下、更に5質量%以下、更に1質量%以下、更に0.5質量%以下が好ましい。これらの含有量は、本発明の酸化性組成物が、硬質表面用漂白剤組成物、カビ取り剤組成物又は浴室用カビ取り剤組成物である場合にも同様に適用できる。
【0145】
本発明は、有機過酸前駆体及び有機過酸からなる群から選択される1以上の化合物〔(C)成分〕と、過酸化水素及び水中で過酸化水素を生成する過酸化物からなる群から選択される1以上の化合物〔(D)成分〕と、前記一般式(B1)で表される第4級アンモニウム塩〔(B)成分〕とを用いて得た酸化性組成物の酸化力が、前記一般式(A1)で表される化合物、前記一般式(A2)で表される化合物、前記一般式(A3)で表される化合物及び前記一般式(A4)で表される化合物からなる群から選択される1以上の化合物〔(A)成分〕により、飛躍的に向上すること、すなわち、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の併用系において(A)成分の効果が著しいことを見いだしたものである。本発明により、有機過酸前駆体及び有機過酸からなる群から選択される1以上の化合物〔(C)成分〕と、過酸化水素及び水中で過酸化水素を生成する過酸化物からなる群から選択される1以上の化合物〔(D)成分〕と、前記一般式(B1)で表される第4級アンモニウム塩〔(B)成分〕とを用いて得た酸化性組成物に、前記一般式(A1)で表される化合物、前記一般式(A2)で表される化合物、前記一般式(A3)で表される化合物及び前記一般式(A4)で表される化合物からなる群から選択される1以上の化合物〔(A)成分〕を適用して前記酸化性組成物の酸化力を向上させる、酸化性組成物の酸化力向上方法が提供される。
【0146】
一般に、色素(色素化合物)に対して、過酸化水素〔(D)成分〕は酸化剤として作用するが、過酸化水素と有機過酸前駆体〔(C)成分〕とを併用することで、より酸化力の高い有機過酸が生じるため、漂白分野では、しばしば過酸化水素と有機過酸前駆体とを併用することが行われる。そのため、有機過酸前駆体は漂白活性化剤としても知られていたが、その効果は公知技術の範疇に留まっており、更に抜本的に漂白力を向上させる技術が望まれていた。本発明では、(D)成分と(C)成分とを併用した系において、(A)成分を存在させることで、漂白力を大幅に向上させることが可能となった。これは、(A)成分が過酸化水素と反応して(A)成分の活性種が生成し、これが色素化合物に作用することで、色素化合物が有機過酸の酸化力を受けやすい状態になるためであると推察される。更に、この効果は、(B)成分を併用することで更に向上するという知見が得られた。本発明によれば、特定構造の(A)成分及び(B)成分を選定して用いることにより、従来技術では漂白することが困難であった対象物の漂白が可能となり、更には酸化剤の各種対象物に有用な効果を示すことが可能となる。
【0147】
<酸化性組成物用多剤型物品>
本発明では、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分を使用直前に混合して本発明の組成物を調製してもよい。(D)成分の安定性を考慮すると、(A)成分と(D)成分とを分離した状態で保持しておき、使用直前に(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分を混合することが好ましい。このような使用形態を考慮した場合、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、及び水から選択される成分を含む剤の組み合わせからなり、(A)成分と(D)成分が別の剤に配合されている、酸化性組成物用多剤型物品は好適である。
【0148】
本発明の酸化性組成物用多剤型物品として、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、及び水から選択される成分を含む剤の組み合わせからなり、(A)成分と(D)成分が別の剤に配合されている、漂白剤組成物用多剤型物品が挙げられる。また、本発明の酸化性組成物用多剤型物品として、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、及び水から選択される成分を含む剤の組み合わせからなり、(A)成分と(D)成分が別の剤に配合されている、漂白洗浄剤組成物用多剤型物品が挙げられる。なお、多剤型物品は、1つ1つの剤が独立した物品となっている形態(例えばキットなど)や1つ1つの剤を1つの物品にまとめた形態(例えば2剤型スプレー式物品など)など、種々の形態であってよい。これら酸化性組成物用多剤型物品は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、及び水を混合して本発明の酸化性組成物、更に本発明の漂白剤組成物、本発明の漂白洗浄剤組成物を調製するために好適である。
【0149】
本発明の酸化性組成物用多剤型物品の一例として、(A)成分、(B)成分、及び水を含有する第1の液体組成物からなる第1の剤と、(C)成分、(D)成分及び水を含有する第2の液体組成物からなる第2の剤との組み合わせを含み、前記第1の剤と第2の剤とを分離した状態で保持し、第1の剤と第2の剤が混合されて、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、及び水を含有する酸化性組成物が調製される、酸化性組成物用多剤型物品が挙げられる。
【0150】
本発明の漂白剤組成物用多剤型物品又は漂白洗浄剤組成物用多剤型物品では、少なくとも(A)成分と(D)成分を分けて保持し、使用時に(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、及び水を混合して用いることが好ましい。また、本発明の漂白剤組成物用多剤型物品又は漂白洗浄剤組成物用多剤型物品では、(A)成分、及び(B)成分を含有する剤と、(C)成分及び(D)成分を含有する剤とを含むことが好ましい。
【0151】
また、本発明の漂白剤組成物用多剤型物品又は漂白洗浄剤組成物用多剤型物品では、内容物の安定性を高めるために、(A)成分、及び(B)成分を含有する剤と、(C)成分及び(D)成分を含有する剤の2剤に分けて保持し、使用時に混合して用いることがより好ましい。
【0152】
本発明の漂白剤組成物用多剤型物品の一例として、(A)成分、(B)成分、及び水を含有する第1の液体組成物からなる第1の剤と、(C)成分、(D)成分及び水を含有する第2の液体組成物からなる第2の剤との組み合わせを含む漂白剤組成物用多剤型物品であって、前記第1の剤と第2の剤とを分離した状態で保持し、第1の剤と第2の剤が混合されて、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、及び水を含有する漂白剤組成物が調製される、漂白剤組成物用多剤型物品(以下、漂白剤組成物用多剤型物品1という)が挙げられる。
【0153】
この漂白剤組成物用多剤型物品1では、第1の剤中の(A)成分の含有量は、0.02質量%以上、更に0.2質量%以上、更に0.3質量%以上が好ましく、そして、40質量%以下、更に20質量%以下、更に5質量%以下、更に2質量%以下が好ましい。また、この漂白剤組成物用多剤型物品1では、第1の剤中の(B)成分の含有量は、0.05質量%以上、更に0.1質量%以上、更に0.3質量%以上が好ましく、そして、20質量%以下、更に15質量%以下、更に10質量%、更に8質量%以下が好ましい。第1の剤は、(D)成分を含有しないことが好ましい。第1の液体組成物のpHは、20℃で、11以上、更に12以上、更に13以上、そして、13.8以下、更に13.6以下であることが好ましい。漂白剤組成物用多剤型物品1では、(E)成分を用いて第1の液体組成物のpHを前記範囲に調整することが好ましい。従って、第1の液体組成物は、(E)成分を含有することが好ましい。また、(A)成分がアルカリ剤として機能してもよい。
【0154】
また、この漂白剤組成物用多剤型物品1では、第2の剤中の(C)成分の含有量は、0.02質量%以上、更に0.2質量%以上、更に2質量%以上、更に3質量%以上が好ましく、そして、50質量%以下、更に30質量%以下、更に10質量%以下、更に5質量%以下が好ましい。また、この漂白剤組成物用多剤型物品1では、第2の剤中の(D)成分の含有量は、0.02質量%以上、更に0.2質量%以上、更に2質量%以上が好ましく、そして、50質量%以下、更に20質量%以下、更に10質量%、更に5質量%以下が好ましい。水は残部となる量で用いられる。第2の液体組成物のpHは、20℃で、1以上、更に2以上、更2.5以上、そして、5以下、更に4以下、更に3.5以下であることが好ましい。
【0155】
本発明の漂白洗浄剤組成物用多剤型物品の一例として、(A)成分、(B)成分、及び水を含有する第1の液体組成物からなる第1の剤と、(C)成分、(D)成分及び水を含有する第2の液体組成物からなる第2の剤との組み合わせを含む漂白洗浄剤組成物用多剤型物品であって、前記第1の剤と第2の剤とを分離した状態で保持し、前記第1の剤と第2の剤とを分離した状態で保持し、第1の剤と第2の剤が混合されて、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、及び水を含有する漂白洗浄剤組成物が調製される、漂白洗浄剤組成物用多剤型物品(以下、漂白洗浄剤組成物用多剤型物品1という)が挙げられる。この漂白洗浄剤組成物用多剤型物品1においても、第1の剤中の(A)成分の含有量、第1の剤中の(B)成分の含有量、第2の剤中の(C)成分の含有量、第2の剤中の(D)成分の含有量、第1の剤のpH、第2の剤のpHは、それぞれ、前記漂白剤組成物用多剤型物品1で述べた範囲が適用できる。また、何れの剤においても、水は残部となる量で用いられる。また、第1の剤は、(D)成分を含有しないことが好ましい。
【0156】
これらの漂白剤組成物用多剤型物品1又は漂白洗浄剤組成物用多剤型物品1では、第1の剤及び第2の剤の少なくとも一方が(F)成分を含有することが好ましい。第1の剤及び第2の剤の両方が(F)成分を含有することがより好ましい。第1の剤が(F)成分を含有する場合、第1の剤が(F)成分を含有する場合、第1の剤中の(F)成分の含有量は、0.01質量%以上、更に0.1質量%以上、更に0.5質量%以上が好ましく、そして、50質量%以下、更に30質量%以下、更に10質量%以下が好ましい。また、第2の剤が(F)成分を含有する場合、第2の剤中の(F)成分の含有量は、0.05質量%以上、更に0.1質量%以上、更に0.2質量%以上、更に1質量%以上、更に5質量%以上が好ましく、そして、20質量%以下、更に10質量%以下、更に8質量%以下が好ましい。また、第2の剤が(G)成分を含有する場合、第2の剤中の(G)成分の含有量は、0.05質量%以上、更に0.1質量%以上、更に0.2質量%以上が好ましく、そして、10質量%以下、更に5質量%以下、更に2質量%以下が好ましい。
【0157】
また、これらの漂白剤組成物用多剤型物品1又は漂白洗浄剤組成物用多剤型物品1では、第2の剤が(G)成分を含有することが好ましい。その場合、第2の剤中の(G)成分の含有量は、0.01質量%以上、更に0.1質量%以上、更に0.3質量%以上が好ましく、そして、2.0質量%以下、更に1.0質量%以下、更に0.5質量%以下が好ましい。
【0158】
漂白剤組成物用多剤型物品1又は漂白洗浄剤組成物用多剤型物品1のような本発明の多剤型物品では、(F)成分、(G)成分は、第1、第2の液体組成物の何れに配合してもよいが、それぞれが、少なくとも第2の液体組成物に配合されていることが好ましい。
【0159】
本発明の漂白剤組成物用多剤型物品又は漂白洗浄剤組成物用多剤型物品が、前記のような2剤型である場合には、第1の剤と第2の剤を分離して収容する収容部と各収容部から内容物を噴霧する2つのスプレー手段とを備えた容器を用いた2剤型スプレー式漂白剤物品又は2剤型スプレー式漂白洗浄剤物品であることが好ましい。この形態のスプレー物品では、それぞれの収容部から排出される第1の液体組成物と第2の液体組成物が噴出直後に合一されて混合した状態で対象物に噴射されることが好ましい。従って、それぞれのスプレー口から噴射された内容物が混合されて対象物に付着するよう、スプレー口の開口方向の角度を調整することが好ましい。2剤型スプレー式漂白剤物品又は2剤型スプレー式漂白洗浄剤物品である場合には、スプレーから噴出する前に液が接しないように、2個のスプレー口を有する容器が好ましい。また、噴出した液が先端部分で固化することを防止するために、2個のスプレー口の間隔は0.01mm以上、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは1mm以上、更に好ましくは3mm以上であることが好ましく、噴出した液が混合しやすくするために、10mm以下、更には8mm以下、更には5mm以下であることが好ましい。
【0160】
本発明は、
(A)成分、(B)成分、及び水を含有する第1の液体組成物からなる第1の剤が収容された第1の収容部と、
(C)成分、(D)成分及び水を含有する第2の液体組成物からなる第2の剤が収容された第2の収容部と、
スプレー口を有し、前記第1の収容部から前記第1の液体組成物を噴霧する第1のスプレー手段と、
スプレー口を有し、前記第2の収容部から前記第2の液体組成物を噴霧する第2のスプレー手段と、
を備え、
前記第1の収容部と前記第2の収容部により、前記第1の液体組成物と前記第2の液体組成物が分離されており、
前記第1のスプレー手段のスプレー口と前記第2のスプレー手段のスプレー口が、前記第1の液体組成物と前記第2の液体組成物が噴射後に混合されるよう、設けられている、2剤型スプレー式漂白剤物品を提供する。この2剤型スプレー式漂白剤物品においても、第1の液体組成物中の(A)成分の含有量、第1の液体組成物中の(B)成分の含有量、並びに、第2の液体組成物中の(C)成分の含有量、第2の液体組成物中の(D)成分の含有量、第1の液体組成物のpH、第2の液体組成物のpHは、それぞれ、前記漂白剤組成物用多剤型物品1で述べた範囲が適用できる。また、何れの液体組成物においても、水は残部となる量で用いられる。また、第1の剤は、(D)成分を含有しないことが好ましい。
【0161】
また、本発明は、
(A)成分、(B)成分、及び水を含有する第1の液体組成物からなる第1の剤が収容された第1の収容部と、
(C)成分、(D)成分及び水を含有する第2の液体組成物からなる第2の剤が収容された第2の収容部と、
スプレー口を有し、前記第1の収容部から前記第1の液体組成物を噴霧する第1のスプレー手段と、
スプレー口を有し、前記第2の収容部から前記第2の液体組成物を噴霧する第2のスプレー手段と、
を備え、
前記第1の収容部と前記第2の収容部により、前記第1の液体組成物と前記第2の液体組成物が分離されており、
前記第1のスプレー手段のスプレー口と前記第2のスプレー手段のスプレー口が、前記第1の液体組成物と前記第2の液体組成物が噴射後に混合されるよう、設けられている、2剤型スプレー式漂白洗浄剤物品を提供する。この2剤型スプレー式漂白洗浄剤物品においても、第1の液体組成物中の(A)成分の含有量、第1の液体組成物中の(B)成分の含有量、第2の液体組成物中の(C)成分の含有量、第2の液体組成物中の(D)成分の含有量、第1の液体組成物のpH、第2の液体組成物のpHは、それぞれ、前記漂白剤組成物用多剤型物品1で述べた範囲が適用できる。また、何れの液体組成物においても、水は残部となる量で用いられる。また、第1の剤は、(D)成分を含有しないことが好ましい。
【0162】
なお、漂白剤組成物用多剤型物品、漂白洗浄剤組成物用多剤型物品、2剤型スプレー式漂白剤物品、2剤型スプレー式漂白洗浄剤物品で述べた事項は、他の酸化剤組成物を用いた物品(例えばカビ取り剤)に適用できる。従って、例えば、前記の漂白剤組成物用多剤型物品や漂白洗浄剤組成物用多剤型物品を、カビ取り剤用多剤型物品として、また、2剤型スプレー式漂白剤物品や2剤型スプレー式漂白洗浄剤物品を、2剤型スプレー式カビ取り剤物品として用いることができる。
【0163】
<漂白方法>
本発明の酸化性組成物を漂白目的で使用する場合、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、及び水を含有する漂白用液体組成物を漂白対象物に接触させることが好ましい。漂白用液体組成物は、本発明の酸化性組成物又は本発明の酸化性組成物を濃度調整して調製したものが用いられ、前記のような酸化性組成物用多剤型物品から調製することもできる。なお、この漂白用液体組成物もまた酸化性組成物である。
【0164】
漂白対象物が硬質表面である場合、漂白用液体組成物中の(A)成分の含有量は、0.01質量%以上、更に0.1質量%以上、更に0.15質量%以上、そして、20質量%以下、更に10質量%以下、更に5質量%以下、更に3質量%以下、更に1質量%以下、更に0.9質量%以下が好ましい。また、漂白用液体組成物中の(B)成分の含有量は、0.05質量%以上、更に0.1質量%以上、更に0.2質量%以上、そして、20質量%以下、更に10質量%以下、更に8質量%以下、更に5質量%以下、更に2質量%以下が好ましい。また、漂白用液体組成物中の(C)成分の含有量は、0.01質量%以上、更に0.1質量%以上、更に1質量%以上、更に2質量%以上、そして、50質量%以下、更に30質量%以下、更に10質量%以下、更に5質量%以下が好ましい。また、漂白用液体組成物中の(D)成分の含有量は、0.01質量%以上、更に0.1質量%以上、更に1質量%以上、更に1.4質量%以上、そして、50質量%以下、更に30質量%以下、更に10質量%以下、更に5質量%以下、更に2質量%以下が好ましい。また、(E)成分を用いる場合、漂白用液体組成物中の(E)成分の含有量は、0.01質量%以上、更に0.1質量%以上、更に1質量%以上、そして、50質量%以下、更に30質量%以下、更に10質量%以下、更に5質量%以下、更に2質量%以下が好ましい。また、(F)成分を用いる場合、漂白用液体組成物中の(F)成分の含有量は、0.1質量%以上、更に1質量%以上、更に4質量%以上、そして、50質量%以下、更に30質量%以下、更に15質量%以下が好ましい。また、(G)成分を用いる場合、漂白用液体組成物中の(G)成分の含有量は、0.01質量%以上、更に0.1質量%以上、更に0.15質量%以上、そして、30質量%以下、更に20質量%以下、更に10質量%以下、更に5質量%以下、更に1質量%以下、更に0.5質量%以下が好ましい。
【0165】
また、漂白用液体組成物のpHは、20℃で、10以上、更に11以上、更に12以上、そして、13以下、更に12.5以下であることが好ましい。
【0166】
漂白用液体組成物における各成分の含有量とpHは、本発明の酸化性組成物の使用時の各成分の含有量及びpHとして位置付けることができる。
【0167】
本発明は、
(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、及び水を混合して酸化性組成物を調製する第1のステップ、
第1のステップで調製された酸化性組成物を漂白対象物に接触させる第2のステップ、を含む漂白方法を提供する。第1のステップで、(E)成分、(F)成分、(G)成分から選ばれる成分を混合することができる。
【0168】
また、本発明は、
(A)成分、(B)成分、及び水を含有する第1の液体組成物と、(C)成分、(D)成分及び水を含有する第2の液体組成物とを混合して、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、及び水を含有する酸化性組成物を調製する第1のステップ、
第1のステップで調製された酸化性組成物を漂白対象物に接触させる第2のステップ、を含む漂白方法を提供する。第1のステップで用いる第1の液体組成物と第2の液体組成物には、それぞれ、(E)成分、(F)成分、(G)成分から選ばれる成分を適宜混合することができる。
【0169】
これらの漂白方法では、酸化性組成物は前記した漂白用液体組成物であってよく、(A)成分〜(D)成分の好ましい態様、酸化性組成物の好ましい態様、漂白用液体組成物の好ましい態様、第1の液体組成物、第2の液体組成物などは、何れも前述のものが適用できる。また、漂白方法は、カビ取り方法であってよい。
【0170】
本発明の酸化性組成物は、カビ取り剤組成物としての用途の他に、風呂・トイレ・台所等の硬質表面の漂白、衣類の漂白、汚れ・匂い原因物質の分解、除菌、パルプの漂白、繊維の精練などにも使用することが出来る。
【実施例】
【0171】
表1に示す組成のA液及びB液を調製し、両者を等量(体積比1:1)混合し、酸化性組成物であるカビ取り剤組成物を得た〔(D)成分の含有量は過酸化水素としての量である。〕。A液とB液は、硫酸及び/又は水酸化ナトリウムを用いてpHを調整した。この組成物を使用し、下記のカビ汚れ洗浄試験を実施した。その結果を下記表1に示す。なお、A液とB液を等量混合した組成物のpH(20℃)は、何れも12.0であった。また、A液とB液を等量混合した直後の組成物中の各成分の含有量は、表中の数値(質量%)の1/2となった。なお、各実施例の(A)成分の含有量が同モル濃度となるように、(A)成分の質量濃度を調整した。
【0172】
<カビ汚れ洗浄試験>
クラドスポリウム(Cladosporium)属細菌を素焼きタイルに接種し、温度30℃、湿度100%RHで90日間培養したものをカビ発生タイルとし、漂白性能を比較した。
【0173】
カビ発生タイルに上記カビ取り剤組成物を20μl滴下し、直径約1cmとし、25℃で20分放置後、水洗、風乾した後、色差計(日本電色工業製SE6000)を用いて明度(L)値を測定し、次式により漂白率を算出した。
【0174】
【数1】
【0175】
【表1】
【0176】
表中の成分は以下のものである。なお、式中、「iD」はイソデシル基を意味する。
【0177】
【化22】
【0178】
【化23】
【0179】
表1の結果から、(B)成分と(C)成分と(D)成分の併用系に(A)成分を用いることで、漂白率が大幅に向上することがわかった。
【0180】
表2に、本発明の酸化性組成物の処方例を示す。表2中のポリアルキルグルコシドは、一般式(F2)中、R1f'が炭素数12の直鎖第1級アルキル基、Gがグルコースに由来する残基、xが0、yが1.3の化合物である。また、表2のA液はpH(20℃)を11〜13.8に、B液はpH(20℃)を2〜4に、それぞれ調整する。
【0181】
【表2】