特許第6279369号(P6279369)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6279369
(24)【登録日】2018年1月26日
(45)【発行日】2018年2月14日
(54)【発明の名称】製袋包装機
(51)【国際特許分類】
   B65B 9/213 20120101AFI20180205BHJP
【FI】
   B65B9/213
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-56898(P2014-56898)
(22)【出願日】2014年3月19日
(65)【公開番号】特開2015-178376(P2015-178376A)
(43)【公開日】2015年10月8日
【審査請求日】2017年1月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(72)【発明者】
【氏名】織田 一輝
(72)【発明者】
【氏名】吉川 弘章
【審査官】 谷川 啓亮
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−306420(JP,A)
【文献】 特開2008−018997(JP,A)
【文献】 特開2005−320052(JP,A)
【文献】 米国特許第3381441(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 9/00 − 9/24
B65B 47/00 − 47/10
B65B 51/00 − 51/32
B65B 57/00 − 57/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状フィルムの両側縁部が重ね合わされた重合部を縦シールすることにより筒状体を形成する縦シール手段と、前記縦シール手段の搬送方向下流側に配置されており前記筒状体を下方へ搬送する搬送手段とを備え、前記縦シール手段による縦シールと前記搬送手段による搬送とを交互に繰り返し行うことで各袋体について所望の長さの縦シールを形成する、製袋包装機であって、
前記縦シール手段を、前記重合部に当接して縦シールを形成するシール位置と、前記重合部から退避した退避位置との間で移動させる駆動手段と、
前記搬送手段及び前記駆動手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記縦シール手段が前記シール位置に位置するとき前記搬送手段を停止して前記筒状体を搬送せず、前記縦シール手段が前記シール位置から前記退避位置に移動したとき前記搬送手段を駆動して前記筒状体を所定の搬送量で搬送し、
前記縦シール手段の搬送方向長さは、前記袋体の前記所望の長さより短く、
前記袋体の前記所望の長さの前記縦シールは、複数の縦シールが複数のオーバーラップ部を介して搬送方向に順次連続するように形成されており、
前記所定の搬送量は、前記複数のオーバーラップ部が均一の長さを有するように設定されていることを特徴とする製袋包装機。
【請求項2】
前記所定の搬送量が、前後の縦シール間のオーバーラップ長よりも、長く設定されている、
請求項1に記載の製袋包装機。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記所定の搬送量を設定する設定手段を備え、
前記設定手段は、前記縦シールの所望の長さと前記縦シール手段の重合部接触面の搬送方向長さとに基づいて、前記所定の搬送量を設定する、
請求項1又は2に記載の製袋包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製袋包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
帯状フィルムを搬送しつつ筒状体を形成して物品を包装する製袋包装機が知られている。例えば特許文献1には、帯状フィルムの両側縁部が重ね合わされた重合部を溶着(縦シール)する縦シール手段と、該縦シール手段の搬送方向下流側に配置されており前記筒状体を下方へ搬送する搬送手段とを備えた、製袋包装機が開示されている。
【0003】
この製袋包装機において、縦シール手段は重合部に当接して縦シールするシール位置と重合部から退避した退避位置との間を移動し、搬送手段は縦シール手段が退避位置に位置するときに筒状体を搬送し、所望の長さの縦シール部が形成されるまで縦シールと搬送が交互に間欠的に繰り返されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平3−1362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この種の製袋包装機では、一般的に、1つの袋体をシールするために必要な縦シールの長さは、縦シール手段の重合部接触面の搬送方向長さに比べて相当長い。このため、各袋体について所望の長さの縦シール部を形成するには、複数に分割して縦シール部を形成する必要がある。その場合、分割して形成される各縦シール部は、前後の縦シール部とそれぞれオーバーラップするように、搬送手段による各搬送量が設定される。
【0006】
具体的に説明すると、図12(a)に示されるように、各袋体について所望の長さの縦シール部Xを形成するための各搬送量は、基準搬送量Sと最終搬送時の搬送量(以下、「最終搬送量」という。)Fに分けて設定される。基準搬送量Sは、縦シール手段の重合部接触面の長さLから、所定のオーバーラップ長r1を除いた長さに設定される。最終搬送量Fは、所望の長さの縦シール部Xが形成されるように調整される。
【0007】
このため、図12(b)に示されるように、所望の長さが基準搬送量Sの整数倍の場合、最終搬送量Fは基準搬送量Sに等しい。一方、図12(a)に示されるように、所望の長さが基準搬送量Sの整数倍でない場合、最終搬送量Fは基準搬送量Sよりも短く設定される。この場合、最終オーバーラップ長r2はその前のオーバーラップ長r1よりも長くなり、出来上がったオーバーラップの長さが不揃いとなるので、縦シール部の見栄えが悪くなる。
【0008】
さらに、図12(c)に示されるように、最終搬送量Fが所定のオーバーラップ長P0よりも短い場合、最終オーバーラップが直前のオーバーラップに重なることがある。この場合、同一部分r3が3回加熱されるので、この部分r3のフィルムが過溶融状態になり、シール不良を生じる恐れがある。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、縦シール部の長さに関係なく、仕上がりが美しく且つシール状態が良好な縦シールを形成できる製袋包装機を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明に係る製袋包装機は、帯状フィルムの両側縁部が重ね合わされた重合部を縦シールすることにより筒状体を形成する縦シール手段と、前記縦シール手段の搬送方向下流側に配置されており前記筒状体を下方へ搬送する搬送手段とを備え、前記縦シール手段による縦シールと前記搬送手段による搬送とを交互に繰り返し行うことで各袋体について所望の長さの縦シールを形成する、製袋包装機であって、前記縦シール手段を、前記重合部に当接して縦シールを形成するシール位置と、前記重合部から退避した退避位置との間で移動させる駆動手段と、前記搬送手段及び前記駆動手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記縦シール手段が前記シール位置に位置するとき前記搬送手段を停止して前記筒状体を搬送せず、前記縦シール手段が前記シール位置から前記退避位置に移動したとき前記搬送手段を駆動して前記筒状体を所定の搬送量で搬送し、前記縦シール手段の搬送方向長さは、前記袋体の前記所望の長さより短く、前記袋体の前記所望の長さの前記縦シールは、複数の縦シールが複数のオーバーラップ部を介して搬送方向に順次連続するように形成されており、前記所定の搬送量は、前記複数のオーバーラップ部が均一の長さを有するように設定されていることを特徴とする。
【0011】
上記発明によれば、各オーバーラップ長を均一にすることができ、仕上がりの美しい縦シールを得ることができる。
【0012】
また、本発明に係る製袋包装機は、以下の構成を採用することができる。
【0013】
(a)前記所定の搬送量が、前後の縦シール間のオーバーラップ長よりも、長く設定されている。
【0014】
上記構成(a)によれば、前後の縦シール間のオーバーラップ長よりも搬送長さが長いので、後続する縦シール手段による縦シールよりも直前のオーバーラップ部を下流側に搬送させることができる。これによって、袋長に関係なく、直前のオーバーラップ部に重ねて後続する縦シールが形成されることがなく、同一箇所が3回加熱されることを回避できる。
【0015】
(b)前記制御手段は、前記所定の搬送量を設定する設定手段を備え、前記設定手段は、前記縦シールの所望の長さと前記縦シール手段の重合部接触面の搬送方向長さとに基づいて、前記所定の搬送量を設定する。
【0016】
上記構成(b)によれば、所定の搬送長さを算出するための算出式が容易になり、計算処理の負荷を低くでき、設定手段を容易に構成できる。
【発明の効果】
【0017】
すなわち、本発明によれば、縦シール部の長さに関係なく、仕上がりが美しく且つシール状態が良好な縦シールを形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る製袋包装機の示す斜視図である。
図2】製袋包装機の内部構造を側面から見た断面図である。
図3図2の縦シール手段とその近傍に配置された構造を示す拡大図である。
図4図3の矢印A方向から見た縦シール手段の正面図である。
図5】袋長分の全縦シール部を説明する概略図である。
図6】製袋包装機の制御システムを示すブロック図である。
図7】製袋包装機による縦シール形成の一連の動作を示すフローチャートである。
図8】縦シール手段による、縦シール形成動作を示すフローチャートである。
図9】縦シールを形成するときの一連の動作を説明する図である。
図10】縦シールを形成するときの一連の動作を示すタイムチャートである。
図11】エラー発生時からの復帰動作を示すフローチャートである。
図12】従来の製袋包装機で形成された縦シール部のオーバラップを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0020】
図1図2に示されるように、本実施形態に係る製袋包装機100は、フィルムロールFRから帯状フィルムFを供給するフィルム供給部1と、上方から投入される物品を受け入れる物品投入部2と、フィルム供給部1から供給される帯状フィルムFで物品投入部2から投入される物品を包装する包装部3と、所定の入力操作及び所定の表示を行うための操作表示部4と、以上の構成要素を支持するハウジング5と、を備えている。
【0021】
説明の都合上、以下の説明では、操作表示部4が配置された場所を製袋包装機100の前部とし、フィルムロールFRが配置された場所を製袋包装機100の後部とし、前部、後部に向かう方向を前方、後方という。
【0022】
フィルム供給部1は、フィルムロールFRから繰り出される帯状フィルムFをハウジング5内の包装部3に供給する。フィルムFとしては、単層又は複層のポリエチレンフィルムが使用され、互いに重ね合わされた重合部がヒータ手段により熱溶着されるようになっている。
【0023】
物品投入部2は、包装したい物品をハウジング5内に上方から投入するための入口を有する。物品は、物品投入部2から手動で投入されてもよく、物品投入部2の上方に配置した計量装置等から自動的に投入されるようにしてもよい。
【0024】
操作表示部4には、包装袋の諸元の設定及び縦シールの形成条件の設定を含む種々の情報を入力する入力部4aと、製袋包装機1の運転情報及び包装する物品の情報を含む種々の情報を表示する表示部4bと、起動ボタン、非常停止ボタンを含む操作部4cと、が設けられている。
【0025】
次に図2図4を参照して包装部3について具体的に説明する。図2に示されるように、包装部3は、フィルム供給部1から供給された帯状フィルムFを、両側縁部を重ね合わせて筒状体Cに成形するフィルム成形手段10と、筒状体Cの両側縁部のフィルム重合部Wを熱溶着する縦シール手段20と、筒状体Cを下方へ搬送する搬送手段30と、筒状体Cを幅方向に熱溶着すると共に該熱溶着部の搬送方向の略中央部において筒状体Cを切断する横シール手段40を、ハウジング5内に上方から順に備えている。
【0026】
フィルム成形手段10は、物品投入部2に接続されて下方へ延びる物品投入管11と、物品投入管11の外周面に沿って、フィルムロールFRから繰り出された帯状フィルムFをその両側縁部が重なり合うように案内する成形プレート12とを有し、物品投入管11と成形プレート12との間隙を帯状フィルムFが通過することで、帯状フィルムFの両側縁部が重なり合った筒状体Cが形成される。
【0027】
図3に拡大して示されるように、縦シール手段20は、ヒータ21と、該ヒータ21を縦シールを行うシール位置とシール位置から退避した退避位置との間を前後に移動させるための駆動装置22と、ヒータ21と帯状フィルム重合部Wとの間に配置された耐熱性非粘着シート23と、耐熱性非粘着シート23をフィルム重合部Wに向けて押さえ付けるフィルム押さえ体24とを有している。
【0028】
ヒータ21は、図3中に実線で示されるシール位置において耐熱性非粘着シート23を介してフィルム重合部Wに当接しており、図3中に破線で示される退避位置において耐熱性非粘着シート23およびフィルム重合部Wから退避している。
【0029】
ヒータ21は、後述する制御部50により温度調整がなされ、シール位置に位置するときに耐熱性非粘着シート23を介してフィルム重合部Wに当接して、該重合部Wを縦方向に熱溶着する。駆動装置22は、ヒータ21をシール位置と退避位置との間を前後方向に往復移動させるよう構成されている。本発明において、駆動装置22の具体的構成は特に限定されるものではない。
【0030】
耐熱性非粘着シート23は、フィルムFが熱溶着されるときの温度に耐えうる耐熱性を有すると共に、フィルムF及びヒータ21に対して非粘着性を有するシートであり、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)でコーティングされたシートを使用できる。図2に示されるように、耐熱性非粘着シート23は、ハウジング5の上部に配設されたシートロールSRから繰り出されて、ヒータ21とフィルム重合部Wとの間のフィルム加熱領域に垂れ下げられている。
【0031】
耐熱性非粘着シート23は、ヒータ21による熱溶着に繰り返し使用されるが、例えば所定回数の熱溶着に使用された後、シートロールSRから新しいシート部が加熱領域に供給される。
【0032】
図3に戻って、フィルム押さえ体24は、フィルム重合部Wに対向するように設けられたプレート状体であり、上部に前方に向けて(図3の左側)屈曲された屈曲部24aが設けられ、該屈曲部24aにより上方から垂れ下がった耐熱性非粘着シート23を加熱領域に案内するようになっている。
【0033】
図4に示される正面視において、フィルム押さえ体24は、縦シール手段20に対向する開口部24bを備えており、開口部24bを通してヒータ21がシール位置と退避位置との間を前後方向に移動する。これにより、フィルム押さえ体24とヒータ21とを共にフィルムFの加熱領域に配置できるので、フィルム搬送方向に関して両者をコンパクトに配置できる。
【0034】
図3に戻って、フィルム押さえ体24の後面、すなわち、耐熱性非粘着シート23に接触する面には、基材の一方の表面に起毛を密に形成した起毛シートからなる弾性部材24c、例えば面ファスナ部材(例えば、クラレファスニング株式会社から提出されている「織製面ファスナー」)が取り付けられている。弾性部材24cを介して耐熱性非粘着シート23を押さえ付けることで、フィルム押さえ体24と耐熱性非粘着シート23との間の面圧を緩和して、耐熱性非粘着シート23を適切な面圧で均一にフィルム重合部Wに押さえ付けるようになっている。
【0035】
搬送手段30は、物品投入管11の前後にそれぞれ配置された、駆動ローラ31と上下一対の従動ローラ32、32を備えており、駆動ローラ31と従動ローラ32との間で筒状体Cを下方に搬送している。駆動ローラ31は、図示しないACモータで駆動されており、その搬送量がロータリーエンコーダを用いて最少分解能m単位で設定されるようになっている。
【0036】
図2に示されるように、横シール手段40は、物品投入管11の下方において、筒状体Cの前後両側に配置された一対のシールジョー41、42を備え、シールジョー41、42により、筒状体Cの先行袋体部分と後続袋体部分との間を幅方向(横方向)に熱溶着すると共に、該溶着部を搬送方向略中間部で切断するようになっている。
【0037】
すなわち、筒状体Cは、包装袋Pの底部となる位置が横シール手段40により熱溶着され、先行袋体の上端(後端)と、後続袋体の下端(先端)が熱溶着されて閉鎖されるとともに、該熱溶着シール部が切断されて先行袋体が後続袋体から分離される。その後、後続袋体に、所定量の物品が、物品投入部2から物品投入管11を通して後続袋体内へ投入される。物品が収容された後続袋体の上部は同様にして横シール手段40により幅方向に熱溶着されると共に切断されて、物品が包装された包装袋Pが生成される。包装袋Pは、その後、包装部3の下方に設けられた排出シュート9からベルトコンベア(図示しない)に排出される。
【0038】
この製袋包装機1は、ヒータ21の搬送方向長さL(図3参照)が製袋包装機100で製造される袋体の長さに比して短いので、縦シール手段20による一度の縦シール形成では、所望の袋長分の縦シールを形成できない。このため、所望の袋長の縦シール部を、複数の縦シール部に分割して形成すると共に、各縦シール部を前後(上下)でオーバーラップさせながら、所望の袋長分の全縦シール部が形成される。このとき、縦シール手段20による個々の縦シール部の形成と、搬送手段30による搬送と、が繰り返し交互に行われる。
【0039】
すなわち、図5に示されるように、フィルム重合部Wが、搬送手段30により各搬送量Fを搬送される毎に、縦シール手段20により各縦シール部Tが形成されるようになっている。その場合に、分割して形成される各縦シール部Tはその前部(上部)と後部(下部)が前後(上下)の縦シール部Tn−1、Tn+1とオーバーラップするように、搬送手段30による各搬送量Fが設定されている。
【0040】
次に、図6に示すブロック図を参照しながら、製袋包装機100の制御システムについて説明する。製袋包装機100の各種動作は制御部50により制御される。制御部50には、製袋包装機100の動作に必要な種々の情報を記憶する記憶部51と、搬送手段30による搬送量を設定する搬送量設定部52と、搬送手段30を制御する搬送手段制御部53と、縦シール手段20を制御する縦シール手段制御部54と、横シール手段40を制御する横シール手段制御部55と、が設けられている。
【0041】
制御部50は、例えばハウジング5(図1参照)に取り付けられるが、制御部50の取付位置は限定されるものではない。制御部50には、操作表示部4からの信号が入力される。なお、制御部50に、計量装置からの信号を入力して、計量装置による物品の投入と連動して動作するように制御してもよい。
【0042】
また、制御部50は、記憶部51に記憶された情報、及び/又は、各種入力信号に基づいて、縦シール手段20、搬送手段30、横シール手段40、並びに操作表示部4に制御信号を出力する。
【0043】
記憶部51には、例えば、操作表示部4に表示される画面に関する情報、包装する商品に関する情報、操作表示部4での入力により設定された包装袋に関する情報、縦シール手段20、搬送手段30、横シール手段40を駆動するための駆動条件を含む種々の情報が記憶されている。記憶部51に記憶されている各種情報の変更、追加又は削除は、操作表示部4での入力操作により行うことができる。包装袋に関する情報には、包装袋の長さに関する情報が含まれている。
【0044】
搬送量設定部52は、所望の袋長Xの全縦シール部Tを形成するように、搬送手段30による各搬送量Fを設定する。具体的には、搬送量設定部52は、記憶部51に記憶されたヒータ21の搬送方向長さLと、操作表示部4に入力された所望の袋長Xとに基づいて、前後の各縦シール部Tが所定長さ以上でオーバーラップするように、搬送手段30による搬送回数n及び各搬送量Fが設定される。
【0045】
具体的には、図5に示されるように、各縦シール部Tが前後(上下)でオーバーラップ部Rを介して連続するように形成され、これにより所望の袋長Xを有する全縦シール部Tが形成されるようになっている。搬送量Fは均一に設定されるようになっている。ここで、搬送量Fが均一とは、すべての搬送量Fが完全に同一である場合のみならず、搬送手段30において設定できる搬送量の最少分解能m内の差(例えば5mm)が生じる場合も含まれているものとする。
【0046】
本実施形態では、搬送手段30には搬送量の最少分解能mが定められているので、所望の袋長Xによっては、各搬送量Fを完全に均一に設定できない場合がある。このため、搬送量設定部52は、各搬送量Fを、基準搬送量aと、最少分解能mが上乗せされた補正搬送量bとに分けることで、所望の袋長Xの全縦シール部Tを形成するようになっている。まず、搬送回数nの算出式の一例を次の数式1に示す。
【0047】
【数1】
X:所望の袋長
L:ヒータ21の搬送方向長さ
r:最少オーバーラップ長
【0048】
上記数式1で算出された搬送回数nは、小数点以下が切り上げられた整数値とされる。次に、基準搬送量aの算出式の一例を次の数式2に示す。
【0049】
【数2】
【0050】
上記数式2で算出された基準搬送量aには、一の位が最少分解能m単位で切り捨てられた整数値が与えられる。次に、補正搬送量bの算出式の一例を次の数式3に示す。
【0051】
【数3】
m:搬送手段30による搬送量の最少分解能
【0052】
次に、補正搬送量bで搬送する補正回数iの算出式の一例を次の数式4に示す。
【0053】
【数4】
【0054】
したがって、本実施形態においては、搬送量設定部52は、i回目までの各搬送量F〜Fを補正搬送量bとして、Fi+1回目以降の各搬送量を基準搬送量aとして設定する。このように算出することで、各搬送量Fは均一に設定されると共に、各搬送量Fはオーバーラップ部Rの長さより長くなる。これにより、オーバーラップ部Rの長さを均一として縦シール部Tの仕上がりを美しくできると共に、同一箇所が3回重ねて加熱されることがなく好適に縦シールを形成できる。
【0055】
例えば、所望の袋長Xを265mmとし、ヒータ21の長さLを74mmとし、最少オーバーラップ長rを9mmとし、搬送手段30による最少分解能を5mmとした場合を例にとり、上記数式1〜数式4に基づいて、搬送回数n及び各搬送量Fを算出した結果を以下に示す。
搬送回数n :5
基準搬送量a :50mm(n=4、5回目の搬送量)
補正搬送量b :55mm(n=1〜3回目の搬送量)
補正回数i :3
オーバーラップ部Rの長さ:19mm、24mm
【0056】
すなわち、搬送量設定部52は、搬送回数1〜3回目までは補正搬送量b(55mm)で筒状体Cを搬送して、搬送回数4、5回目には基準搬送量a(50mm)で筒状体Cを搬送するように設定する。これによって、均一な搬送量で5回に分けて、所望の袋長X分の搬送が行われる。また、オーバーラップ部Rの長さ(19mm、24mm)より各搬送量F(50mm、55mm)が長いので、同一箇所が3回重ねて加熱されることはない。
【0057】
なお、上述の計算において、搬送手段30とフィルムFとの間の滑りを考慮して、所望の袋長Xに補正量を加算してもよい。
【0058】
図6に戻って、搬送手段制御部53は、搬送量設定部52で設定された搬送回数n及び各搬送量Fに基づいて、筒状体Cを順次搬送する。搬送手段制御部53は、ヒータ21がシール位置から退避位置に移動した後、縦シール手段20により形成された熱溶着部を冷却するための所定の冷却時間を経て、筒状体Cを下方に搬送する。
【0059】
縦シール手段制御部54は、縦シール手段20を制御して、縦シール部Tを形成する。具体的には、ヒータ21を制御してシール位置においてフィルム重合部Wを溶融させ、駆動装置22を制御してヒータ21をシール位置と退避位置との間を移動させる。
【0060】
横シール手段制御部55は、横シール手段40を制御して、物品が投入された先行袋体の上部と後続する後続袋体の下部となる部分とを幅方向に熱溶着すると共に、両熱溶着部の中間部を切断して、包装袋Pを生成させる。
【0061】
次に、図7図10を参照して製袋包装機100の動作について説明する。図7図8は製袋包装機100の一連の動作を説明するフローチャートであり、図9は製袋包装機100の縦シールを形成するときの包装部3の動作を説明する模式図であり、図10は縦シールを形成するときの包装部3の動作を説明するタイムチャートである。
【0062】
図7に示されるように、まず、所望の袋長分の全縦シール部Tを形成するための搬送条件が搬送量設定部52により設定される(ステップS100)。搬送量設定部52は、所望の袋長X、縦シール手段20の長さL、最少オーバーラップ長r、及び搬送量の最少分解能mに基づいて、搬送回数nと、基準搬送量aと、補正搬送量bと、補正回数iと、を設定する。
【0063】
次に、搬送手段制御部53により搬送手段30を制御して、補正搬送量bで筒状体Cを下方に搬送する(ステップS110)。このとき、図9(a)に示されるように、縦シール手段20のヒータ21が退避位置に位置する状態で、搬送手段30による搬送が行われる。図7に戻って、次に、縦シール手段20を制御して、縦シールTが形成される(ステップS120)。
【0064】
ステップS120において、図8に示されるように、ヒータ21が退避位置からシール位置へ駆動装置22により移動される(ステップS121)。このとき、図9(b)に示されるように、搬送手段30は停止しており、ヒータ21はシール位置において耐熱性非粘着シート23を介してフィルム重合部Wに当接する。
【0065】
ここで、フィルム重合部Wはフィルム押さえ体24により押さえ付けられているので、フィルム重合部Wが密着した状態となる。したがって、ヒータ21により均一に縦シールをすることができると共に、搬送手段30での搬送時のフィルム重合部Wのずれを防止できる。
【0066】
図8に戻って、ヒータ21により、所定時間、フィルム重合部Wを熱溶融させる(ステップS122)。つまり、図9(c)、図10に示されるように、フィルム重合部Wを熱溶融するための所定時間、ヒータ21はシール位置に位置しており、搬送手段30は停止した状態である。
【0067】
図8に戻って、駆動装置22によりヒータ21をシール位置から退避位置へ移動させる(ステップS123)。このとき、図9(d)に示されるように、搬送手段30は停止している。また、退避位置へ移動するヒータ21へのフィルムFの付着が耐熱性非粘着シート23により防止される。
【0068】
図8に戻って、ヒータ21が退避位置に移動してから所定の冷却時間、溶融状態の縦シール部が冷却されることで、縦シール部Tが形成される(ステップS124)。このとき、図9(e)、図10に示されるように、搬送手段30は停止しているので、溶融状態の縦シール部が、耐熱性非粘着シート23から無理に引き剥がされることはなく、該シート23の表面に倣って、均一な縦シールTが形成される。
【0069】
図7に戻って、ステップS110の搬送手段30による補正搬送量bでの搬送と、ステップS120の縦シール手段20による縦シール部Tの形成と、が補正回数i回目まで、交互に繰り返し行われる(ステップS130)。
【0070】
(i+1)回目以降の搬送では、搬送手段30による各搬送量が、補正搬送量bから基準搬送量aへ変更されて、筒状体Cが下方に搬送される(ステップS140)。次に、縦シール手段20により、縦シールの形成が行われる(ステップS150)。ステップS150での縦シールの形成は、ステップS120での縦シールの形成と同じである。
【0071】
ステップS140の搬送手段30による基準搬送量aでの搬送と、ステップS150の縦シール手段20による縦シールの形成と、が搬送回数nまで交互に繰り返し行われる(ステップS160)。
【0072】
これにより、搬送量設定部52で設定された搬送条件での搬送手段30による搬送と、縦シール手段20による縦シールの形成とが、繰り返し交互に実施されることで、個々の縦シール部Tが前後(上下)でオーバーラップしながら形成されて、これにより、所望の袋長X分の全縦シール部Tが形成される。
【0073】
次に、製袋包装機100が動作中において、エラーの発生又は操作部4cの非常停止ボタンが押されたことにより停止された場合の、製袋包装機100の復帰動作について説明する。図11のフローチャートに示されるように、エラーの発生又は非常停止とされた状態が発生すると(ステップS200)、エラー要因、非常停止の要因を排除した後(ステップS210)、操作表示部4からエラー解除操作を実施する(ステップS220)。
【0074】
制御部50は、エラー解除操作が実施されたことを検知すると、縦シール手段20と搬送手段30とを制御して、縦シール手段20と横シール手段40の間の長さの分だけ、縦シール部Tnを形成しながらフィルムFを搬送する(ステップS230)。つまり、ステップS230の動作により、停止状態となったときの縦シール手段20よりも下方側の筒状体Cが横シール手段40よりも下方側に排出されることになる。
【0075】
この状態で、次の包装袋Pを製造するための待機状態とされ(ステップS240)、操作表示部4からスタート操作(再開操作)がなされることにより(ステップS250)、横シール手段40よりも下方側に搬送された筒状体Cが横シール手段により横シールされると共に後続袋体から切断されて排出シュート9に排出され(ステップS260)、通常の製袋包装が再開される(ステップS270)。
【0076】
これにより、エラー解除時に縦シール部が未溶着の可能性がある筒状体Cの部分が自動的に排出されるので、未溶着の包装袋P’が生産される可能性が無くなる。これにより、作業者の手動による縦シール手段20よりも下方側の筒状体Cの排出作業が不要にでき、作業性を向上できる。
【0077】
上記構成の製袋包装機100によれば、次の効果を発揮できる。
【0078】
(1)各オーバーラップ部Rの長さを均一にすることができ、仕上がりの美しい縦シール部Tを得ることができる。
【0079】
(2)前後の縦シール部T間のオーバーラップ部Rの長さよりも各搬送量Fが長いので、縦シール手段20による後続の縦シール部Tよりも直前のオーバーラップ部Rを下流側に搬送させることができる。これによって、袋長に関係なく、直前のオーバーラップ部Rに重ねて後続する縦シール部Tが形成されることがなく、同一箇所が3回加熱されることを回避できる。
【0080】
(3)各搬送量Fを算出するための算出式が容易になり、計算処理の負荷を低くでき、設定手段を容易に構成できる。
【0081】
(4)縦シール手段20が退避位置に位置するときにフィルムFが搬送される。また、耐熱性非粘着シート23によって、縦シール手段20とフィルム重合部Wとの接触が防止される。これにより、フィルムFが、縦シール手段20に押し付けられた状態又は縦シール手段20に付着した状態で搬送されることがない。そのため、縦シール部Tが縦シール手段20に付着することに起因してフィルムFに欠陥を生じることがない。
【0082】
(5)縦シール手段20が退避位置へ移動してから所定時間経過後にフィルムFが搬送されるので、溶融状態にある縦シールを冷却する時間を確保できる。これにより、溶融状態のフィルムFが耐熱性非粘着シート23から無理に引き剥がされることが防止される。
【0083】
(6)縦シール部Tの形成とフィルムFの各搬送量Fでの搬送が交互に行われるので、縦シール手段20がフィルムFに当接する時間と縦シール手段20の温度を調整することによって、縦シール部Tの形成条件を正確に管理できる。つまり、搬送手段30による搬送条件を考慮する必要がないので、縦シール形成条件の管理が容易になる。結果、縦シール形成条件を緩和しつつ、良好な縦シール部Tを得ることができる。
【0084】
(7)耐熱性非粘着シート23をヒータ21とフィルムFとの間に配置することで、ヒータ21に対する溶融されたフィルムFの付着が確実に防止できる。
【0085】
(8)フィルム押さえ体24により耐熱性非粘着シート23がフィルム重合部Wに押し付けられるので、縦シールされるフィルム重合部Wが密着する。これにより、横方向のフィルムFのずれ又は蛇行が減少し又は無くなる。その結果、ヒータ21をフィルム重合部Wに確実に押し当てて縦シール部Tを形成できる。
【0086】
(9)フィルム押さえ体24とヒータ21とを共にフィルムFの加熱領域に配置できるので、フィルム搬送方向に関して両者をコンパクトに配置できる。また、フィルム押さえ体24により開口部24bの周囲のフィルムFを押さえることで開口部24b内のフィルム重合部Wが一様に密着して均一に加熱される。
【0087】
本発明は例示された実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明に係る製袋包装機によれば、縦シール部の長さに関係なく、仕上がりが美しく且つシール状態が良好な縦シールを形成できるので、産業上の利用価値が大である。
【符号の説明】
【0089】
1 フィルム供給部
2 物品投入部
3 包装部
4 操作表示部
5 ハウジング
10 フィルム成形手段
20 縦シール手段
21 ヒータ
22 駆動装置
23 耐熱性非粘着シート
24 フィルム押さえ体
30 搬送手段
40 横シール手段
50 制御部
52 搬送量設定部
53 搬送手段制御部
54 縦シール手段制御部
55 横シール手段制御部
100 製袋包装機
F フィルム
W フィルム重合部
T 全縦シール部
縦シール部
搬送量
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12