(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
生物医学的デバイスの骨内ピン、髄内ロッド、髄内釘(IM釘)またはインターロッキングネイルまたはキュンチャー釘;またはピン、プレートまたはポスト;またはそれらの同等物として製造されるか、あるいはこれらとしての使用のために製造される、請求項1に記載の製品。
前記ナノ構造またはナノアーキテクチャは、ナノチューブ、ナノピラー、ナノリボン、ナノワイヤ、ナノロッド、ナノファイバーあるいはそれらの組み合わせのうちの任意のものを複数含む、請求項1に記載の製品。
新たなまたは向上した細胞成長;新たなまたは向上した骨芽細胞;象牙芽細胞、象牙質芽細胞またはセメント芽細胞の成長;新たなまたは向上した骨または軟骨の成長、あるいは、新たなまたは向上したミネラル化マトリクスの形成のためのインビトロ、エキソビボまたはインビボの細胞培養基材または基材であって、
前記培養基材または前記基材の表面は、
請求項1に記載のナノ構造またはナノアーキテクチャを含有する生体適合性基材
を含む、インビトロ、エキソビボもしくはインビボの細胞培養基材または基材。
新たなまたは向上した細胞成長;新たなまたは向上した骨芽細胞、象牙芽細胞、象牙質芽細胞またはセメント芽細胞の成長;新たなまたは向上した骨または軟骨の成長、新たなまたは向上したミネラル化マトリクスの形成のためのインビトロ、エキソビボもしくはインビボ支持足場であって、
足場表面であって、
請求項1に記載のナノ構造またはナノアーキテクチャを含有する生体適合性基材
を含む、足場表面
を含む、インビトロ、エキソビボまたはインビボ支持足場。
前記ナノピラー、ナノリボン、ナノチューブ、ナノファイバー、ナノロッド、またはナノワイヤまたはそれらの構造の組み合わせは、ナノピラー、ナノリボン、ナノチューブ、ナノファイバー、ナノロッド、またはナノワイヤまたはそれらの構造の組み合わせのアレイとして配置または製作される、請求項4に記載の製品。
前記ナノピラー、ナノリボン、ナノチューブ、ナノファイバー、ナノロッド、またはナノワイヤまたはそれらの構造の組み合わせのアレイは、約20〜800nmの範囲の平均直径を有し、かつ約50〜2,000nmの範囲の平均高さを有する、請求項16に記載の製品。
前記細胞または複数の細胞は、前記ナノ構造またはナノアーキテクチャの表面に付着されるか、または、前記ナノ構造またはナノアーキテクチャの表面上で成長している、請求項5に記載の製品。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
代替的な実施形態において、本発明は、
ナノ構造またはナノアーキテクチャを含む製造品、製品、組成物、製造物品、デバイスまたはインプラントであって、
該ナノ構造または該ナノアーキテクチャは、その表面の一部、実質的に全部、または全部が被覆またはコーティングされ、コーティングまたは外側被覆体または外側層は、全体またはその実質的に全体、または一部に、タンタル(Ta)、TaもしくはTa合金、酸化TaもしくはTa
2O
5のコーティング、結晶性タンタル(Ta)、または非晶質Taを含み、
必要に応じて、該コーティング、外側被覆体または外側層は、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれよりも多くのタンタル(Ta)、Ta合金、TaもしくはTa合金の酸化物またはTa
2O
5のコーティング、結晶性タンタル(Ta)、または非晶質Taを含むか、またはこれらで構成され、
必要に応じて、該ナノ構造または該ナノアーキテクチャの少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれよりも多く、または約99.9%もしくはそれよりも多くまで、または約1%〜99.5%が、タンタル(Ta)、Ta合金、TaもしくはTa合金の酸化物またはTa
2O
5のコーティング、結晶性タンタル(Ta)、または非晶質Taで被覆、コーティングまたは積層され、
必要に応じて、該製品、製造物品、デバイスもしくはインプラント、または該製品、製造物品、デバイスもしくはインプラントの表面、または該製品、製造物品、デバイスもしくはインプラントのコーティングもしくは外側被覆体、外側層もしくは外側表面の少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれよりも多く、または約99.9%もしくはそれよりも多くまで、または約1%〜99.5%が、該ナノ構造または該ナノアーキテクチャで被覆、コーティングまたは積層されている、
製造品、製品、組成物、製造物品、デバイスまたはインプラントを提供する。
【0005】
代替的な実施形態において、本発明の製造品、製品、組成物、製造物品、デバイスまたはインプラントは、表面上に、マイクロスケール構造(単数または複数)をさらに含むか、または有し、必要に応じて、該マイクロスケール構造(単数または複数)の少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれよりも多く、または約99.9%もしくはそれよりも多くまで、または約1%〜99.5%が、該ナノ構造または該ナノアーキテクチャで被覆、コーティングまたは積層されている。
【0006】
代替的な実施形態において、本発明の製造品、製品、組成物、製造物品、デバイスまたはインプラントは、生物医学的デバイスもしくはインプラント、整形外科用、歯科用、脊椎用、膝用、関節用もしくは同等のインプラント、または骨内ピン、髄内ロッド、髄内釘(IM釘)またはインターロッキングネイルもしくはキュンチャー釘、または骨インプラントもしくは歯インプラント、または関節置換インプラント、またはピン、プレートもしくはポスト、または同等物として製造されるか、またはこれらとしての使用のために製造される。
【0007】
代替的な実施形態において、該ナノ構造または該ナノアーキテクチャは、ナノチューブ、ナノピラー、ナノリボン、ナノワイヤ、ナノロッドもしくはナノファイバーまたはその同等物、あるいは複数のナノチューブ、ナノリボン、ナノピラー、ナノロッド、ナノファイバーもしくはナノワイヤまたはその同等物、あるいはナノピラー、ナノリボン、ナノチューブ、ナノファイバー、ナノロッドまたはナノワイヤのアレイあるいはそれらの組み合わせの構造を含み、
必要に応じて、該アレイは垂直配列アレイまたは略垂直配列アレイであり、
必要に応じて、該ナノピラー、ナノリボン、ナノチューブ、ナノファイバー、ナノロッドまたはナノワイヤのアレイあるいはそれらの組み合わせの構造は、約20〜800nmの範囲の平均直径を有し、約50〜2,000nmの範囲の平均高さを有する。
【0008】
代替的な実施形態において、タンタル(Ta)、Ta合金、TaもしくはTa合金の酸化物、またはTa
2O
5、結晶性Taまたは非晶質Taのコーティングまたは外側被覆体または外側層の厚さは、
最大で約0.1mm(100マイクロメートル)、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9もしくは1.0mm、または
約0.01mm(10マイクロメートル)、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09もしくは0.10mm未満、または
約1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10マイクロメートル未満、または
約0.1マイクロメートル(100nm)、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9もしくは1.0nm未満であるか、あるいは
最小厚さが少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10ナノメートル(nm)である。
【0009】
代替的な実施形態において、本発明の製造品、製品、組成物、製造物品、デバイスまたはインプラントは、
(a)細胞(単数または複数)であって、
必要に応じて、該細胞(単数もしくは複数)は、ヒト細胞、または幹細胞、または軟骨細胞、線維芽細胞、破骨細胞もしくは骨芽細胞、または歯牙形成もしくは骨形成に関与している細胞、または骨細胞、筋細胞、肝臓細胞、肝実質細胞、内皮細胞、脂肪細胞、線維芽細胞性細胞、クッパー細胞、腎臓細胞、血管細胞、皮膚細胞、歯周細胞、象牙芽細胞、象牙質芽細胞、セメント芽細胞、エナメル芽細胞もしくは歯原性外胚葉性間葉組織、またはそれらの任意の組合せである、
必要に応じて、該細胞(単数もしくは複数)は、該ナノ構造または該ナノアーキテクチャの表面に付着しているか、または該表面上で成長している、細胞(単数または複数)、および/または
(b)骨もしくは軟骨、あるいは成長し付着させた骨構造であって、必要に応じて、該骨または付着させた骨構造は、全部もしくは一部が整形外科的な骨、歯科的な骨、脊椎骨、ヒトもしくは動物の骨を構成し、必要に応じて、該骨もしくは軟骨、あるいは成長し付着させた骨構造は、Taまたは酸化Taのコーティングの上面もしくは外側表面上に存在している、骨もしくは軟骨、あるいは成長し付着させた骨構造
をさらに備えている。
【0010】
代替的な実施形態において、コーティング、外側被覆体、外側表面または外側層は物理気相成長法、スパッタリングもしくは蒸着法、またはレーザーアブレーションもしくはプラズマ溶射法、または化学気相成長法、あるいは化学的/電気化学的堆積法によって付加される。
【0011】
代替的な実施形態において、製品、製造物品、デバイスまたはインプラント、または製品、製造物品、デバイスもしくはインプラントのベースもしくは外側表面もしくは外側層、またはナノ構造もしくはナノアーキテクチャまたはナノ構造もしくはナノアーキテクチャのベースは、
金属、チタン(Ti)、酸化チタン、TiO
2、もしくはそれらの組み合わせ、
Tiもしくは酸化Tiを、少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75重量%以上で含有しているか、もしくは含んでおり、必要に応じて合金化元素を含んでいる合金、
金属系成分、ZrO
2、HfO
2、NbOもしくはNb
2O
5、MoO
2もしくはMoO
3、VO
2もしくはV
2O
5、WO
2もしくはWO
3、またはそれらの任意の合金もしくは酸化物、またはそれらの酸化物、またはTi、Zr、Hf、Nb、Mo、VもしくはWの酸化物を、必要に応じて、少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75重量%以上、ここで、必要に応じて、該金属系成分は、複数の金属もしくは元素を含むものであるか、または、Al、Ag、C、F、Mg、Ca、Si、P、Mn、Fe、Co、Cu、Zn、Pd、Ag、In、Sn、Sb、Re、Os、Ir、Pt、AuもしくはBiあるいは希土類元素のうちの1種類またはそれよりも多くまたはそれらの組み合わせを含み、または
ステンレス鋼、Si、酸化Si、炭素、ダイヤモンド、貴金属、Au、Ag、Ptもしくはその合金、あるいは複合金属、
ジルコニアもしくはジルコニアまたはその任意の合金もしくは酸化物、
コバルト−クロム合金、
セラミック材料またはポリマー材料またはプラスチック材料、
あるいはそれらの任意の組合せ
を含む。
【0012】
代替的な実施形態において、ナノ構造、ナノアーキテクチャまたはナノチューブは、陽極酸化されたものであり、
必要に応じて、該ナノ構造、ナノアーキテクチャまたはナノチューブは、Ti金属またはTi含有合金の表面の陽極酸化によって形成されたナノ構造、ナノアーキテクチャまたはナノチューブの層もしくはアレイであるか、あるいは
非Ti含有基材、ベース、表面またはインプラント上のTiまたはTi含有合金のコーティング厚膜層の陽極酸化によって形成されたナノ構造、ナノアーキテクチャまたはナノチューブの層もしくはアレイ
である。
【0013】
代替的な実施形態において、本発明の製造品、製品、組成物、製造物品、デバイスまたはインプラントは、化学物質、化合物、小分子、薬剤、活性薬剤、生物学的薬剤、薬物、トレーサをさらに含み、
必要に応じて、該化学物質、化合物、小分子、薬剤、活性薬剤、生物学的薬剤、薬物またはトレーサは、ペプチド、タンパク質、ポリペプチド、抗体、核酸、DNAもしくはRNA、miRNA、siRNA、遺伝子、ベクター、多糖、脂質、成長因子、サイトカイン、抗生物質、ホルモン、治療用薬物、機能性粒子、磁性粒子、金属粒子、セラミック粒子、ポリマー粒子またはそれらの組み合わせを含み、
必要に応じて、該化学物質、化合物、小分子、薬剤、活性薬剤、生物学的薬剤、薬物またはトレーサは、ナノチューブもしくは中空ナノワイヤもしくはナノピラーにおいて、もしくはそれらの内部において、またはナノ構造もしくはナノアーキテクチャの間隔の間、もしくはナノ構造もしくはナノアーキテクチャの内部に貯蔵されているか、あるいはナノ構造もしくはナノアーキテクチャの上面に付着され、
必要に応じて、該ナノ構造または該ナノアーキテクチャは、該化学物質、化合物、小分子、薬剤、活性薬剤、生物学的薬剤、薬物またはトレーサを、ナノ構造内もしくはナノアーキテクチャ内(ナノワイヤの中、あるいは中空ナノチューブもしくはナノピラーの中など)、またはナノ構造間もしくはナノアーキテクチャ間、または、ナノ構造上もしくはナノアーキテクチャ上に貯蔵することによって複数のナノ貯蔵部を形成し、
必要に応じて、該ナノ構造または該ナノアーキテクチャは、部分的に閉塞もしくは狭窄している開口、または誘発可能もしくは作動可能である開口、または部分的なボトルネック状構成の開口をさらに備えており、誘発可能な放出態様、作動可能な放出態様、制御された放出態様、または低速の放出態様で、該化学物質、化合物、小分子、薬剤、活性薬剤、生物学的薬剤、薬物またはトレーサの放出が可能であり、
必要に応じて、ナノ貯蔵部の入口寸法は、金属または酸化物材料の選択的堆積によって、内部に貯蔵された化学物質、化合物、小分子、薬剤、活性薬剤、生物学的薬剤、薬物またはトレーサの放出速度を減速するための部分的なボトルネック状構成を誘導するように縮小され、
必要に応じて、該機能性粒子は磁性酸化物粒子で作製されたものであり得るか、または金属粒子が、ナノ貯蔵部空間内に貯蔵された生物学的薬剤の放出の加速またはスイッチオン、スイッチオフのための遠隔作動されるRF加熱および温度勾配の作成に利用される。
【0014】
代替的な実施形態において、本発明は、新たなもしくは向上した細胞成長、新たなもしくは向上した骨芽細胞、象牙芽細胞、象牙質芽細胞もしくはセメント芽細胞の成長、新たなもしくは向上した骨もしくは軟骨の成長、および/または、新たなもしくは向上したミネラル化マトリクスの形成のためのインビトロ、エキソビボまたはインビボ細胞培養基材(単数または複数)であって、該培養基材(単数または複数)の表面が、
(a)ナノ構造またはナノアーキテクチャであって、
該ナノ構造または該ナノアーキテクチャは、その表面の一部、実質的に全部、または全部が被覆またはコーティングされ、コーティングまたは外側被覆体または外側層は、全体またはその実質的に全体、または一部に、タンタル(Ta)、Ta合金、酸化TaもしくはTa
2O
5のコーティング、タンタル(Ta)、またはTa合金もしくはTa合金酸化物を含み、
必要に応じて、該コーティング、外側被覆体または外側層は、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれよりも多くのタンタル(Ta)、Ta合金、酸化TaもしくはTa
2O
5のコーティング、結晶性タンタル(Ta)、非晶質Ta、またはTa合金もしくはTa合金酸化物を含むか、またはこれらで構成され、
必要に応じて、該ナノ構造または該ナノアーキテクチャの少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれよりも多く、または約99.9%もしくはそれよりも多くまで、または約1%〜99.5%が、タンタル(Ta)、Ta合金、酸化TaもしくはTa
2O
5のコーティング、結晶性タンタル(Ta)、非晶質Ta、またはTa合金もしくはTa合金酸化物で被覆、コーティングまたは積層されている、ナノ構造またはナノアーキテクチャ、または
(b)請求項1〜10のいずれかに記載のナノ構造を含む表面またはナノアーキテクチャを含む表面
を含む、インビトロ、エキソビボまたはインビボ細胞培養基材(単数または複数)を提供する。
【0015】
代替的な実施形態において、本発明は、新たなもしくは向上した細胞成長、新たなもしくは向上した骨芽細胞、象牙芽細胞、象牙質芽細胞もしくはセメント芽細胞の成長、新たなもしくは向上した骨もしくは軟骨の成長、および/または、新たなもしくは向上したミネラル化マトリクスの形成のためのインビトロ、エキソビボまたはインビボ支持足場であって、
(a)ナノ構造またはナノアーキテクチャであって、
該ナノ構造または該ナノアーキテクチャは、その表面の一部、実質的に全部、または全部が被覆またはコーティングされ、コーティングまたは外側被覆体または外側層は、全体またはその実質的に全体、または一部に、タンタル(Ta)、Ta合金、酸化TaもしくはTa
2O
5のコーティング、タンタル(Ta)、またはTa合金もしくはTa合金酸化物を含み、
必要に応じて、該コーティング、外側被覆体または外側層は、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれよりも多くのタンタル(Ta)、Ta合金、酸化TaもしくはTa
2O
5のコーティング、結晶性タンタル(Ta)、非晶質Ta、またはTa合金もしくはTa合金酸化物を含むか、またはこれらで構成され、
必要に応じて、該ナノ構造または該ナノアーキテクチャの少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれよりも多く、または約99.9%もしくはそれよりも多くまで、または約1%〜99.5%が、タンタル(Ta)、Ta合金、酸化TaもしくはTa
2O
5のコーティング、結晶性タンタル(Ta)、非晶質Ta、またはTa合金もしくはTa合金酸化物で被覆、コーティングまたは積層されている、ナノ構造またはナノアーキテクチャ、または
(b)請求項1〜11のいずれかに記載のナノ構造を含む表面またはナノアーキテクチャを含む表面
を含む足場表面
を含むインビトロ、エキソビボまたはインビボ支持足場を提供する。
【0016】
本発明の製品、製造物品、デバイスもしくはインプラント、または本発明のインビトロ、エキソビボもしくはインビボ培養基材(単数もしくは複数)、または本発明のインビトロ、エキソビボまたはインビボ支持足場の代替的な実施形態において、
該製品、製造物品、デバイスもしくはインプラント、または該培養基材(単数もしくは複数)、または該支持足場は、骨インプラントまたは骨アンレーまたは骨支持部位のためのインプラント上に存在しているか、またはこれらの一部であり、必要に応じて、該骨インプラント、アンレーまたは支持体は、
・指の関節の修復もしくは置換、
・手首の修復もしくは置換、
・肘の修復もしくは置換、
・肩の修復もしくは置換、
・脚の修復もしくは置換、
・腕の修復もしくは置換、
・腰の修復もしくは置換、
・膝の修復もしくは置換、
・足首の修復もしくは置換、
・足もしくはつま先の修復もしくは置換、
・脊髄の椎間板の修復もしくは置換、
・胸郭の修復もしくは肋骨の置換、
・頭蓋骨用のメッシュ、パッチもしくは置換、
・ピン、メッシュもしくはロッド、または
・ロッド、ねじ、もしくは骨安定化インプラント
のために製作されるか、またはこれらの全部もしくは一部と置換される。
【0017】
代替的な実施形態において、本発明は、インビボで
(a)ナノ構造またはナノアーキテクチャであって、
該ナノ構造または該ナノアーキテクチャは、その表面の一部、実質的に全部、または全部が被覆またはコーティングされ、コーティングまたは外側被覆体または外側層は、全体またはその実質的に全体、または一部に、タンタル(Ta)、Ta合金、酸化TaもしくはTa
2O
5のコーティング、タンタル(Ta)、またはTa合金もしくはTa合金酸化物を含み、
必要に応じて、該コーティング、外側被覆体または外側層は、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれよりも多くのタンタル(Ta)、Ta合金、酸化TaもしくはTa
2O
5のコーティング、結晶性タンタル(Ta)、非晶質Ta、またはTa合金もしくはTa合金酸化物を含むか、またはこれらで構成され、
必要に応じて、該ナノ構造または該ナノアーキテクチャの少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれよりも多く、または約99.9%もしくはそれよりも多くまで、または約1%〜99.5%が、タンタル(Ta)、Ta合金、酸化TaもしくはTa
2O
5のコーティング、結晶性タンタル(Ta)、非晶質Ta、またはTa合金もしくはTa合金酸化物で被覆、コーティングまたは積層されている、ナノ構造またはナノアーキテクチャ、
(b)請求項1〜10のいずれかに記載のナノ構造を含む表面もしくはナノアーキテクチャを含む表面、または
(c)請求項1〜10のいずれかの製品、製造物品、デバイスもしくはインプラント、あるいは請求項11のインビトロ、エキソビボもしくはインビボ培養基材(単数もしくは複数)、あるいは請求項12のインビトロ、エキソビボもしくはインビボ支持足場
を埋め込むことを含む、新たなもしくは向上した細胞成長、新たなもしくは向上した骨芽細胞、象牙芽細胞、象牙質芽細胞もしくはセメント芽細胞の成長、新たなもしくは向上した骨もしくは軟骨の成長、および/または、新たなもしくは向上したミネラル化マトリクスの形成を開始または誘導するための方法を提供する。
【0018】
代替的な実施形態において、本発明は、二相マスク層の陽極酸化、形成および選択的相除去を使用する骨増強用ナノチューブまたはナノピラー構成の製作方法であって、ジブロックコポリマー層、スピノーダル分解性合金層または二相型合金膜を使用することと、続いて、バイオマテリアルの表面を選択的にエッチングすることによりナノチューブ表面構成またはナノピラー表面構成を得ることとを含む、骨増強用ナノチューブまたはナノピラー構成の製作方法を提供する。
【0019】
本発明の1つまたはそれよりも多くの実施形態の詳細を添付の図面および下記の説明に示す。本発明の他の特徴、目的および利点は、本説明および図面ならびに特許請求の範囲から自明である。
【0020】
本明細書において挙げた刊行物、特許、特許出願はすべて、あらゆる目的のために参照によって本明細書に明示的に組み入れられる。
本明細書は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
ナノ構造またはナノアーキテクチャを含む製品または製造物品またはデバイスまたはインプラントであって、
該ナノ構造または該ナノアーキテクチャは、その表面の一部、実質的に全部、または全部が被覆またはコーティングされ、コーティングまたは外側被覆体または外側層は、全体、またはその実質的に全体、または一部に、タンタル(Ta)、TaもしくはTa合金、酸化TaもしくはTa2O5のコーティング、結晶性タンタル(Ta)、または非晶質Taが含まれ、
必要に応じて、該コーティング、外側被覆体または外側層は、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれよりも多くのタンタル(Ta)、Ta合金、TaもしくはTa合金の酸化物またはTa2O5のコーティング、結晶性タンタル(Ta)、または非晶質Taを含むか、またはこれらで構成され、
必要に応じて、該ナノ構造または該ナノアーキテクチャの少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれよりも多く、または約99.9%もしくはそれよりも多くまで、または約1%〜99.5%が、タンタル(Ta)、Ta合金、TaもしくはTa合金の酸化物またはTa2O5のコーティング、結晶性タンタル(Ta)、または非晶質Taで被覆、コーティングまたは積層され、
必要に応じて、該製品、製造物品、デバイスもしくはインプラント、または該製品、製造物品、デバイスもしくはインプラントの表面、または該製品、製造物品、デバイスもしくはインプラントのコーティングもしくは外側被覆体、外側層もしくは外側表面の少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれよりも多く、または約99.9%もしくはそれよりも多くまで、または約1%〜99.5%が、該ナノ構造または該ナノアーキテクチャで被覆、コーティングまたは積層されている、
製品または製造物品またはデバイスまたはインプラント。
(項目2)
表面上に、マイクロスケール構造(単数または複数)をさらに含むか、または有し、必要に応じて、該マイクロスケール構造(単数または複数)の少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれよりも多く、または約99.9%もしくはそれよりも多くまで、または約1%〜99.5%が、該ナノ構造または該ナノアーキテクチャで被覆、コーティングまたは積層されている、項目1に記載の製品、製造物品、デバイスまたはインプラント。
(項目3)
生物医学的デバイスもしくはインプラント、整形外科用、歯科用、脊椎用、膝用、関節用もしくは同等のインプラント、または骨内ピン、髄内ロッド、髄内釘(IM釘)もしくはインターロッキングネイルもしくはキュンチャー釘、または骨インプラントもしくは歯インプラント、または関節置換インプラント、またはピン、プレートもしくはポスト、または同等物として製造されるか、またはこれらとしての使用のために製造される、項目1に記載の製品、製造物品、デバイスまたはインプラント。
(項目4)
上記ナノ構造またはナノアーキテクチャが、ナノチューブ、ナノピラー、ナノリボン、ナノワイヤ、ナノロッドもしくはナノファイバーまたはそれらの同等物、あるいは複数のナノチューブ、ナノリボン、ナノピラー、ナノロッド、ナノファイバーもしくはナノワイヤまたはそれらの同等物、あるいはナノピラー、ナノリボン、ナノチューブ、ナノファイバー、ナノロッドまたはナノワイヤのアレイ、あるいはそれらの組合せの構造を含み、
必要に応じて、該アレイは、垂直配列アレイまたは略垂直配列アレイであり、
必要に応じて、該ナノピラー、ナノリボン、ナノチューブ、ナノファイバー、ナノロッドまたはナノワイヤのアレイ、あるいはそれらの組合せの構造は、約20〜800nmの範囲の平均直径を有し、約50〜2,000nmの範囲の平均高さを有する、
項目1に記載の製品、製造物品、デバイスまたはインプラント。
(項目5)
タンタル(Ta)、Ta合金、TaもしくはTa合金の酸化物、またはTa2O5、結晶性Ta、または非晶質Taのコーティングまたは外側被覆体または外側層の厚さが、
最大で約0.1mm(100マイクロメートル)、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9もしくは1.0mm、または
約0.01mm(10マイクロメートル)、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09もしくは0.10mm未満、または
約1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10マイクロメートル未満、または
約0.1マイクロメートル(100nm)、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9もしくは1.0nm未満であるか、あるいは
最小厚さが、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10ナノメートル(nm)である、
項目1に記載の製品、製造物品、デバイスまたはインプラント。
(項目6)
(a)細胞もしくは複数の細胞であって、
必要に応じて、該細胞(単数もしくは複数)は、ヒト細胞、または幹細胞、または軟骨細胞、線維芽細胞、破骨細胞もしくは骨芽細胞、または歯牙形成もしくは骨形成に関与している細胞、または骨細胞、筋細胞、肝臓細胞、肝実質細胞、内皮細胞、脂肪細胞、線維芽細胞性細胞、クッパー細胞、腎臓細胞、血管細胞、皮膚細胞、歯周細胞、象牙芽細胞、象牙質芽細胞、セメント芽細胞、エナメル芽細胞もしくは歯原性外胚葉性間葉組織、またはそれらの任意の組合せであり、
必要に応じて、該細胞(単数もしくは複数)は、上記ナノ構造またはナノアーキテクチャの表面に付着しているか、または該表面上で成長している、細胞もしくは複数の細胞、および/または
(b)骨もしくは軟骨、あるいは成長し付着させた骨構造であって、必要に応じて、該骨または付着させた骨構造は、全部もしくは一部が、整形外科的な骨、歯科的な骨、脊椎骨、ヒトもしくは動物の骨を構成し、必要に応じて、該骨もしくは軟骨、あるいは成長し付着させた骨構造は、Taまたは酸化Taのコーティングの上面もしくは外側表面上に存在している、骨もしくは軟骨、あるいは成長し付着させた骨構造
をさらに備えている、項目1に記載の製品、製造物品、デバイスまたはインプラント。
(項目7)
上記コーティング、外側被覆体、外側表面または外側層が、物理気相成長法、スパッタリングもしくは蒸着法、またはレーザーアブレーションもしくはプラズマ溶射法、または化学気相成長法、あるいは化学的/電気化学的堆積法によって付加される、項目1に記載の製品、製造物品、デバイスまたはインプラント。
(項目8)
上記製品、製造物品、デバイスもしくはインプラント、または該製品、製造物品、デバイスもしくはインプラントのベースもしくは外側表面もしくは外側層、または上記ナノ構造もしくはナノアーキテクチャまたはナノ構造もしくはナノアーキテクチャのベースが、
金属、チタン(Ti)、酸化チタン、TiO2、もしくはそれらの組合せ、
Tiもしくは酸化Tiを少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75重量%以上で含有しているか、もしくは含んでいる合金であって、必要に応じて合金化元素を含んでいる、合金、
金属系成分、ZrO2、HfO2、NbOもしくはNb2O5、MoO2もしくはMoO3、VO2もしくはV2O5、WO2もしくはWO3、またはそれらの任意の合金もしくは酸化物、またはそれらの酸化物、またはTi、Zr、Hf、Nb、Mo、VもしくはWの酸化物を、必要に応じて、少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75重量%以上(ここで、必要に応じて、該金属系成分は、複数の金属もしくは元素を含むものであるか、または、Al、Ag、C、F、Mg、Ca、Si、P、Mn、Fe、Co、Cu、Zn、Pd、Ag、In、Sn、Sb、Re、Os、Ir、Pt、AuもしくはBiまたは希土類元素のうちの1種類またはそれよりも多くあるいはそれらの組み合わせを含む)、または
ステンレス鋼、Si、酸化Si、炭素、ダイヤモンド、貴金属、Au、Ag、Ptもしくはそれらの合金、または複合金属、
ジルコニアもしくはジルコニアまたはそれらの任意の合金もしくは酸化物、
コバルト−クロム合金、
セラミック材料またはポリマー材料またはプラスチック材料、
あるいはそれらの任意の組合せ
を含む、項目1に記載の製品、製造物品、デバイスまたはインプラント。
(項目9)
上記ナノ構造、ナノアーキテクチャまたはナノチューブが陽極酸化されたものであり、
必要に応じて、該ナノ構造、ナノアーキテクチャまたはナノチューブは、Ti金属またはTi含有合金の表面の陽極酸化によって形成されたナノ構造、ナノアーキテクチャまたはナノチューブの層もしくはアレイであるか、あるいは
非Ti含有基材、ベース、表面またはインプラント上のTiまたはTi含有合金のコーティング厚膜層の陽極酸化によって形成されたナノ構造、ナノアーキテクチャまたはナノチューブの層もしくはアレイである、
項目1に記載の製品、製造物品、デバイスまたはインプラント。
(項目10)
化学物質、化合物、小分子、薬剤、活性薬剤、生物学的薬剤、薬物、トレーサをさらに含み、
必要に応じて、該化学物質、化合物、小分子、薬剤、活性薬剤、生物学的薬剤、薬物またはトレーサは、ペプチド、タンパク質、ポリペプチド、抗体、核酸、DNAもしくはRNA、miRNA、siRNA、遺伝子、ベクター、多糖、脂質、成長因子、サイトカイン、抗生物質、ホルモン、治療用薬物、機能性粒子、磁性粒子、金属粒子、セラミック粒子、ポリマー粒子またはそれらの組み合わせを含み、
必要に応じて、該化学物質、化合物、小分子、薬剤、活性薬剤、生物学的薬剤、薬物またはトレーサは、ナノチューブもしくは中空ナノワイヤもしくはナノピラーにおいて、もしくはそれらの内部に、または該ナノ構造もしくは該ナノアーキテクチャの間隔もしくはそれらの内部に貯蔵されているか、あるいは該ナノ構造もしくは該ナノアーキテクチャの上面に付着され、
必要に応じて、該ナノ構造または該ナノアーキテクチャは、該ナノ構造内または該ナノアーキテクチャ内(ナノワイヤの中、または中空ナノチューブもしくはナノピラーの中など)、または該ナノ構造間もしくは該ナノアーキテクチャ間、または該ナノ構造上もしくは該ナノアーキテクチャ上に、該化学物質、化合物、小分子、薬剤、活性薬剤、生物学的薬剤、薬物またはトレーサを貯蔵することによって、複数のナノ貯蔵部を形成し、
必要に応じて、該ナノ構造または該ナノアーキテクチャは、部分的に閉塞もしくは狭窄している開口、または誘発可能もしくは作動可能である開口、または部分的なボトルネック状構成の開口をさらに備えていることにより、誘発可能な放出態様、作動可能な放出態様、制御された放出態様、または低速の放出態様で、該化学物質、化合物、小分子、薬剤、活性薬剤、生物学的薬剤、薬物またはトレーサの放出が可能であり、
必要に応じて、ナノ貯蔵部の入口寸法は、金属材料または酸化物材料の選択的堆積によって、内部に貯蔵された該化学物質、化合物、小分子、薬剤、活性薬剤、生物学的薬剤、薬物またはトレーサの放出速度を減速するための部分的なボトルネック状構成を誘導するように縮小され、
必要に応じて、該機能性粒子は、磁性酸化物粒子で作製されたものであり得るか、または金属粒子が、ナノ貯蔵部空間に貯蔵されている該生物学的薬剤の放出の加速またはスイッチオン、スイッチオフのための遠隔作動されるRF加熱および温度勾配の作成に利用される、
項目1に記載の製品、製造物品、デバイスまたはインプラント。
(項目11)
新たなもしくは向上した細胞成長、新たなもしくは向上した骨芽細胞、象牙芽細胞、象牙質芽細胞もしくはセメント芽細胞の成長、新たなもしくは向上した骨もしくは軟骨の成長、および/または、新たなもしくは向上したミネラル化マトリクスの形成のためのインビトロ、エキソビボまたはインビボ細胞培養基材(単数または複数)であって、
該培養基材(単数または複数)の表面が、
(a)ナノ構造またはナノアーキテクチャであって、
該ナノ構造または該ナノアーキテクチャは、その表面の一部、実質的に全部、または全部が、被覆またはコーティングされ、コーティングまたは外側被覆体または外側層は、全体またはその実質的に全体、または一部に、タンタル(Ta)、Ta合金、酸化TaもしくはTa2O5のコーティング、タンタル(Ta)、またはTa合金もしくはTa合金酸化物を含み、
必要に応じて、該コーティング、外側被覆体または外側層は、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれよりも多くのタンタル(Ta)、Ta合金、酸化TaもしくはTa2O5のコーティング、結晶性タンタル(Ta)、非晶質Ta、またはTa合金もしくはTa合金酸化物を含むか、またはこれらで構成され、
必要に応じて、該ナノ構造または該ナノアーキテクチャの少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれよりも多く、または約99.9%もしくはそれよりも多くまで、または約1%〜99.5%が、タンタル(Ta)、Ta合金、酸化TaもしくはTa2O5のコーティング、結晶性タンタル(Ta)、非晶質Ta、またはTa合金もしくはTa合金酸化物で被覆、コーティングまたは積層されている、
ナノ構造またはナノアーキテクチャ、または
(b)項目1〜10のいずれかに記載のナノ構造を含む表面またはナノアーキテクチャを含む表面
を含む、
インビトロ、エキソビボまたはインビボ細胞培養基材(単数または複数)。
(項目12)
新たなもしくは向上した細胞成長、新たなもしくは向上した骨芽細胞、象牙芽細胞、象牙質芽細胞もしくはセメント芽細胞の成長、新たなもしくは向上した骨もしくは軟骨の成長、および/または、新たなもしくは向上したミネラル化マトリクスの形成のためのインビトロ、エキソビボまたはインビボ支持足場であって、
(a)ナノ構造またはナノアーキテクチャであって、
該ナノ構造または該ナノアーキテクチャは、その表面の一部、実質的に全部、または全部が、被覆またはコーティングされ、コーティングまたは外側被覆体または外側層は、全体またはその実質的に全体、または一部に、タンタル(Ta)、Ta合金、酸化TaもしくはTa2O5のコーティング、タンタル(Ta)、またはTa合金もしくはTa合金酸化物を含み、
必要に応じて、該コーティング、外側被覆体または外側層は、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれよりも多くのタンタル(Ta)、Ta合金、酸化TaもしくはTa2O5のコーティング、結晶性タンタル(Ta)、非晶質Ta、またはTa合金もしくはTa合金酸化物を含むか、またはこれらで構成され、
必要に応じて、該ナノ構造または該ナノアーキテクチャの少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれよりも多く、または約99.9%もしくはそれよりも多くまで、または約1%〜99.5%が、タンタル(Ta)、Ta合金、酸化TaもしくはTa2O5のコーティング、結晶性タンタル(Ta)、非晶質Ta、またはTa合金もしくはTa合金酸化物で被覆、コーティングまたは積層されている、
ナノ構造またはナノアーキテクチャ、または
(b)項目1〜11のいずれかに記載のナノ構造を含む表面またはナノアーキテクチャを含む表面
を含む足場表面
を含むインビトロ、エキソビボまたはインビボ支持足場。
(項目13)
項目1〜10のいずれかに記載の製品、製造物品、デバイスもしくはインプラント、または項目11に記載のインビトロ、エキソビボまたはインビボ培養基材(単数または複数)、または項目12に記載のインビトロ、エキソビボまたはインビボ支持足場であって、
該製品、製造物品、デバイスもしくはインプラント、または該培養基材(単数または複数)、または該支持足場は、骨インプラントまたは骨アンレーまたは骨支持部位のためのインプラント上に存在しているか、またはこれらの一部であり、必要に応じて、該骨インプラント、アンレーまたは支持体は、
・指の関節の修復もしくは置換、
・手首の修復もしくは置換、
・肘の修復もしくは置換、
・肩の修復もしくは置換、
・脚の修復もしくは置換、
・腕の修復もしくは置換、
・腰の修復もしくは置換、
・膝の修復もしくは置換、
・足首の修復もしくは置換、
・足もしくはつま先の修復もしくは置換、
・脊髄の椎間板の修復もしくは置換、
・胸郭の修復もしくは肋骨の置換、
・頭蓋骨用のメッシュ、パッチもしくは置換、
・ピン、メッシュもしくはロッド、または
・ロッド、ねじもしくは骨安定化インプラント
のために製作されるか、またはこれらの全部もしくは一部と置換される、項目1〜10のいずれかに記載の製品、製造物品、デバイスもしくはインプラント、または項目11に記載のインビトロ、エキソビボまたはインビボ培養基材(単数または複数)、または項目12に記載のインビトロ、エキソビボまたはインビボ支持足場。
(項目14)
インビボで
(a)ナノ構造またはナノアーキテクチャであって、
該ナノ構造または該ナノアーキテクチャは、その表面の一部、実質的に全部、または全部が、被覆またはコーティングされ、コーティングまたは外側被覆体または外側層は、全体またはその実質的に全体、または一部に、タンタル(Ta)、Ta合金、酸化TaもしくはTa2O5のコーティング、タンタル(Ta)、またはTa合金もしくはTa合金酸化物を含み、
必要に応じて、該コーティング、外側被覆体または外側層は、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれよりも多くのタンタル(Ta)、Ta合金、酸化TaもしくはTa2O5のコーティング、結晶性タンタル(Ta)、非晶質Ta、またはTa合金もしくはTa合金酸化物を含むか、またはこれらで構成され、
必要に応じて、該ナノ構造または該ナノアーキテクチャの少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれよりも多く、または約99.9%もしくはそれよりも多くまで、または約1%〜99.5%が、タンタル(Ta)、Ta合金、酸化TaもしくはTa2O5のコーティング、結晶性タンタル(Ta)、非晶質Ta、またはTa合金もしくはTa合金酸化物で被覆、コーティングまたは積層されている、
ナノ構造またはナノアーキテクチャ、
(b)項目1〜10のいずれかに記載のナノ構造を含む表面もしくはナノアーキテクチャを含む表面、または
(c)項目1〜10のいずれかに記載の製品、製造物品、デバイスもしくはインプラント、あるいは項目11に記載のインビトロ、エキソビボもしくはインビボ培養基材(単数もしくは複数)、あるいは項目12に記載のインビトロ、エキソビボもしくはインビボ支持足場
を埋め込むことを含む、新たなもしくは向上した細胞成長、新たなもしくは向上した骨芽細胞、象牙芽細胞、象牙質芽細胞もしくはセメント芽細胞の成長、新たなもしくは向上した骨もしくは軟骨の成長、および/または、新たなもしくは向上したミネラル化マトリクスの形成を開始または誘導するための方法。
(項目15)
二相マスク層の陽極酸化、形成および選択的相除去を使用して、骨増強用ナノチューブ構成または骨増強用ナノピラー構成を製作する方法であって、ジブロックコポリマー層、スピノーダル分解性合金層、または二相型合金膜を使用することと、続いて、バイオマテリアルの表面を選択的にエッチングすることによりナノチューブ表面構成またはナノピラー表面構成を生成することとを含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本明細書に示す図面は本発明の実施形態の例示であり、特許請求の範囲に包含される本発明の範囲を制限することを意図したものではない。
【0022】
種々の図面における同様の参照記号は同様の要素を示す。
【0023】
【
図1】
図1(a)〜(b)は、チタン基材上に形成され、骨芽細胞の成長および骨の骨一体化を加速させるためのナノチューブ表面上にTaの薄膜が堆積させられた自己組織化TiO
2ナノチューブアレイを備えている本発明の例示的なデバイスを模式的に示す。
図1(a)は、横方向に間隔を有する垂直配位TiO
2ナノチューブアレイを示し、スパッタリングまたは蒸着法を含むナノチューブ上へのTaの薄膜コーティングの例示的な堆積方法を示し、Taの薄膜コーティングがコーティングされているか、または該薄膜コーティングを有するナノチューブ(この例では、ナノチューブアレイとして構成されている)を備えている最終製品を示し、この図は、本発明のデバイスが、Taコーティングを(例えば、薄膜コーティングとして)有する任意のナノ構造を備えているものであり得ることを示す。
図1(b)は、本発明のデバイスの例示的な使用および本発明の例示的な方法を示し、ここでは、インビボ、インビトロまたはインサイチュで骨芽細胞をTaコーティングナノ構造に付着させて該構造上で成長させ、この例ではナノチューブはナノチューブアレイとして構成され、一実施形態では、細胞外マトリクスもまたTaコーティングナノ構造上で成長させられ(または該ナノ構造に適用され)得、Taコーティングナノ構造間の間隔によって、栄養分の流れなどがTaコーティングナノ構造上で成長している細胞に供給され得る。
【
図2】
図2は、ナノチューブ基材の2つの走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。画像は、タンタルコーティング後のナノチューブの幾何形状および構造が保持されていることを示す。各表面での接触角を黄色で示し、タンタルコーティング表面における4°から0°への親水性の増大を示す。スケールバー=200nm。
【
図3】
図3は、陽極酸化加工されたTiO
2ナノチューブアレイの例示的な構成を示し、(a)斜視図の走査型電子顕微鏡(SEM)画像、(b)ナノチューブ配列に平行な長手方向の透過型電子顕微鏡(TEM)画像、(c)ナノチューブ配列に垂直な方向の断面図のTEM画像を示す。
【
図4】
図4(a)〜(b)は、本発明の例示的なデバイスを模式的に示す。
図4(a)は、Taコーティングナノピラー(これはTaコーティングTiO
2ナノピラーアレイであり得る)を基材(これはチタン基材であり得る)上に備えている本発明の例示的なデバイスを模式的に示す。
図4(b)は、TaコーティングTiO
2ナノピラーアレイがさらに骨芽細胞を備えている一実施形態を模式的に示し、本発明の例示的なデバイスは、骨芽細胞の成長および骨の骨一体化を加速させ得るものである。Taコーティングナノピラー間の間隔によって、栄養分の流れなどがTaコーティングナノピラー上で成長している細胞に供給され得る。一実施形態では、この場合、細胞外マトリクスもまたTaコーティングナノピラー上で成長させられ(または該ナノピラーに適用され)得る。
【
図5】
図5(a)〜(b)は、本発明のデバイスの例示的な作製方法である「ナノスタンピング」を模式的に示す。
図5(a)は、本発明の例示的なデバイスを作製するためのTiベースまたは合金化Tiベースのナノスタンピングを模式的に示し、マスキングポリマー(またはmaking polymer)の必要に応じた使用も示す。
図5(b)は、Tiナノピラーの化学エッチングまたは反応性イオンエッチング(RIE)と、その後のナノピラーアレイのTaまたはTa
2O
6スパッタコーティングとの両方を模式的に示す。
【
図6】
図6(a)〜(f)は、本発明のデバイスの例示的な作製方法である「ガイド式エッチング(guided etching)」を模式的に示し、垂直二相分解型コーティングを使用する(例えば、ジブロックコポリマーまたは二相合金膜を使用する)例示的な「ガイド式エッチング」法による平坦または非平坦表面上のナノピラーアレイを示す。
図6(a)は、(例えば、代替的な実施形態における)骨成長のためのインプラントとしての使用のための(例えば、チタン(Ti)を含む)出発材料または基材を模式的に示す。
図6(b)は、テクスチャー加工材料のコーティング(例えば、共スパッタ積層(co−sputter layering)、分解性ジブロックコポリマー、スピノーダル分解性合金などによるコーティング)を模式的に示す。
図6(c)は、優先的エッチングによって二相のうちの一相を除いた後に残る例示的な「ナノアイランド」マスクコーティング手順を模式的に示す。
図6(d)は、本発明の例示的なナノピラーアレイの形成のための、マスキングアイランドによるTiまたはTi合金のエッチングを含む例示的なマスクコーティング手順を、模式的に示す。
図6(e)は、コーティングの除去を模式的に示す。
図6(f)は、より深いナノピラーまたはナノチューブを本発明のデバイス(これは代替的な実施形態においてインプラントであり得る)の表面上に作製するための、さらなるエッチングまたは陽極酸化の必要に応じた工程を、模式的に示す。
【
図7】
図7(a)は、例示的なナノチューブ表面(Ti、TiO
2ナノチューブ(NT)、Ta、およびTaコーティングナノチューブ(NT))上で培養したヒト骨芽細胞(Hob細胞)のMTTワーキング溶液の反応生成物の光学濃度(OD)をインキュベーション時間の関数として示しているMTT(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)アッセイからのデータをグラフで示す(n=3)。棒グラフは平均±標準誤差バーを示す。
図7(b)は、例示的なナノチューブ表面(Ti、TiO
2ナノチューブ(NT)、Ta、およびTaコーティングナノチューブ(NT))上での24時間のインキュベーション後のHOb細胞のSEM顕微鏡写真を示し、両方のNTのナノ表面で広範囲にわたる糸状仮足活性を示す(矢印参照)。スケールバー=5μm。
【
図8】
図8は、インキュベーション時間(単位:日)に対する、ナノチューブ表面(Ti、TiO
2ナノチューブ(NT)、Ta、およびTaコーティングナノチューブ(NT))上で培養したヒト骨芽細胞(Hob細胞)のアルカリホスファターゼ(ALP)活性からのデータをグラフで示す(n=3)。グラフの点は平均±標準誤差バーを示す。ANOVA検定の実施後に統計学的有意(p<0.001)に達したp値は、グラフ上で(
*)によって表示している。
【
図9】
図9は、3週間培養したHOb細胞による骨結節形成を示す。
図9(a)は、ナノチューブ表面(Ti、TiO
2ナノチューブ(NT)、Ta、およびTaコーティングナノチューブ(NT))上で培養したHOb細胞の2000倍のSEM顕微鏡写真を示し、画像は、3週間後のTaコーティングNT表面上におけるより大きな骨結節形成を示す。スケールバー=10μm。
図9(b)は、表面上のミネラル元素であるカルシウムおよびリンの原子百分率のエネルギー分散型x線(EDX)解析からのデータをグラフで示し(n=5)、棒グラフは平均±標準誤差バーを示す。ANOVA検定の実施後のp値は統計学的有意(p≦0.001)に達した((
*)によって表示)。PとCaの量はTaコーティング表面上で有意に高かった。
【
図10】
図10は、時間の関数としての、表面上のミネラル元素であるリン(
図10(a))およびカルシウム(
図10(b))の原子百分率のエネルギー分散型x線(EDX)解析であるミネラル化作用速度論(Mineralization kinetics)試験をグラフで示し(n=5)、線形傾向線が重なり合い、相関係数が表示されている。
図10(c)は、各基材でのリンおよびカルシウムの堆積の対応率(corresponding rate)(線形傾向線の傾き)を示す表を示す。線グラフは平均±標準誤差バーを示す。ANOVA検定の実施後のp値は、Ti対Taを除くすべてのサンプル間比較において、統計学的有意(p≦0.001)に達した。
【
図11】
図11は、ナノチューブ表面(Ti、TiO
2ナノチューブ(NT)、Ta、およびTaコーティングナノチューブ(NT))上で1週間、2週間および3週間培養したHobによるミネラル堆積物についてのアリザリンレッド染色を示す。蛍光画像は、ミネラル堆積物についてのアリザリンレッド染色(明るい赤色)を示す。矢印は骨結節形成を示す。スケールバー=50μm。マトリクスミネラル化速度論の結果は、1週目、2週目および3週目にアリザリンレッドS染色(明るい赤色)によって確認した。ナノチューブ表面は視覚的にはより明るく見え、Ca堆積物の濃度が高いことを示す。
【
図12】
図12は、TiO
2ナノチューブベースのデバイス(例えば、インプラントなど)を含む例示的な実施形態を模式的に示し、ここで、ナノチューブは、Taコーティングまたは酸化Ta(Ta
2O
5)コーティングを、代替的に、垂直配列ナノチューブの孔に貯蔵されている1種類またはそれよりも多くの薬剤(例えば、生物学的薬剤(例えば、低速放出性生物学的薬剤))とともに有するものである。
図12(a)は、Ti基材上にTa表面コーティングまたはTa
2O
5表面コーティングを有するTiO
2ナノチューブを模式的に示す。
図12(b)は、1種類またはそれよりも多くの薬剤(例えば、生物学的薬剤(例えば、ポリペプチド、成長因子、ホルモンまたはステロイド、核酸またはDNA、コラーゲン、抗生物質、ナノ粒子))などが垂直配列ナノチューブの孔に貯蔵されている(例えば、いわゆる「ナノ貯蔵部」内に貯蔵されている)実施形態を模式的に示す。
図12(c)は、垂直配列ナノチューブの孔の出口における直径縮小構造(例えば、貯蔵されている貯蔵薬剤(例えば、生物学的薬剤)の低速放出または制御放出のためのナノ貯蔵部の入口における直径縮小構造)の使用を含む代替的な実施形態を模式的に示す。
【
図13】
図12は、垂直配列ナノピラー間の間隔に貯蔵されている薬剤(例えば、生物学的薬剤(例えば、低速放出性生物学的薬剤))を備えているTiO
2ナノピラー構成のインプラントを備えている例示的な実施形態を模式的に示す。
図12(a)は、Ta表面コーティングまたはTa
2O
5表面コーティングを有するTiO
2ナノピラーを模式的に示す。
図12(b)は、1種類またはそれよりも多くの薬剤(例えば、生物学的薬剤(例えば、ポリペプチド、成長因子、ホルモンまたはステロイド、核酸またはDNA、コラーゲン、抗生物質、ナノ粒子など))がナノピラー間の間隔に貯蔵されている実施形態を模式的に示す。
図12(c)は、(例えば、ナノピラー間隔からの貯蔵されている生物学的薬剤の低速放出のための寸法縮小入口を作成するための)直径縮小構造の使用を含む代替的な実施形態を模式的に示す。
【
図14】
図14:上列:24時間の培養インキュベーション後のHOb細胞の細胞骨格アクチン(赤色)の免疫蛍光画像の図であり、TiO
2およびTaのどちらの表面上での十字形パターンが示されている(黄色の矢印)(スケールバー=50μm)。下列:24時間のインキュベーション後のHOb細胞のSEM顕微鏡写真の図(スケールバー=50μm):
図14(a)TiO
2 NT、
図14(b)堆積させられた状態のまま(as−deposited)のTaコーティングNT、
図14(c)金属TaコーティングNT、
図14(d)酸化型TaコーティングNT、
図14(e)Ta
2O
5コーティングNT。
【
図15】
図15は、ナノチューブ(NT)表面(TiO
2NT、堆積させられた状態のままのTaコーティングNT、金属コーティングNT、酸化型TaコーティングNT、Ta
2O
5表面コーティングNT)上で培養したHOb細胞のMTTワーキング溶液の反応生成物の光学濃度(OD)を示すMTTアッセイデータからのデータを、インキュベーション時間の関数としてグラフで示す(n=3)。棒グラフは平均±標準誤差バーを示す。ここで、MTTアッセイは、細胞バイアビリティまたは各表面上の推定生細胞を示す。21日目において、金属コーティングNT、酸化型TaコーティングNTおよびTa
2O
5表面コーティングNTで、より大きな「推定生細胞」バイアビリティが示されている。
【
図16】
図16は、ナノチューブ表面(TiO
2NT、堆積させられた状態のままのTaコーティングNT、金属コーティングNT、酸化型TaコーティングNT、Ta
2O
5表面コーティングNT)上で培養したHOb細胞のアルカリホスファターゼ(ALP)活性(これは、細胞の機能性または骨形成能を反映している)からのデータをインキュベーション時間に対するグラフで示す(n=3)。グラフの点は平均±標準誤差バーを示す。骨芽細胞の機能性は、金属Taおよび堆積させられた状態のままのTaよりも酸化型タンタル表面で有利であるように見られる。
【
図17】
図17は、3週間培養したHOb細胞による骨結節形成アッセイ(またはマトリクスミネラル化、または骨形成)からのデータをグラフで示す。(左のグラフはPまたはリンについてのものであり、右のグラフはCaまたはカルシウムについてのものである)表面上のミネラル元素であるカルシウムおよびリンの原子百分率のエネルギー分散型x線(EDX)解析(TiO
2NT、堆積させられた状態のままのTaコーティングNT、金属コーティングNT、酸化型TaコーティングNT、Ta
2O
5表面コーティングNT)(n=5)。棒グラフは平均±標準誤差バーを示す。ANOVA検定の実施後のp値は統計学的有意(p≦0.001)に達した((
*)によって表示)。
【
図18】
図18は、3週間培養したHOb細胞による骨結節形成の相対的程度を示す2,000倍のSEM顕微鏡写真を示す。Ta金属コーティング表面と比べてTa
2O
5コーティングナノチューブ表面上には、より大きな骨結節形成が明確にある。スケールバー=10μm。(a)TiO
2 NT、(b)堆積させられた状態のままのTaコーティングNT、(c)金属TaコーティングNT(真空アニーリング済)、(d)酸化型TaコーティングNT(空気中でアニーリング済)、(e)Ta
2O
5コーティングNT(直接RFスパッタリング済)。骨のミネラル化は、金属Taおよび堆積させられた状態のままのTaよりも酸化型タンタル表面で有利であった。
【0024】
これらの図面は本発明の概念を例示する目的のためのものであり、一定の縮尺ではないことが、理解されるべきである。例えば、要素のうちのいくかの寸法は他の要素よりも拡大されている。
【0025】
次に、本発明の種々の例示的な実施形態について詳細に言及し、その例を添付の図面に示す。下記の詳細な説明は、本発明の局面および実施形態の特定の細部のより良好な理解を読者に与えるために示したものであり、本発明の範囲に対する限定と解釈されるべきでない。
【発明を実施するための形態】
【0026】
詳細な説明
代替的な実施形態において、本発明は、タンタルのコンフォーマルな薄層を備えている製品または製造物品(例えば、インプラント、粒子、球体など)を提供する。代替的な実施形態において、本発明は、ナノトポグラフィ上にタンタルのコンフォーマルな表面層を備えているナノ構造(例えば、ナノチューブ、ナノワイヤ、ナノポアなど)を提供する。代替的な実施形態において、本発明は、ナノトポグラフィ上にタンタルのコンフォーマルな薄層を有するナノ構造(例えば、ナノチューブ、ナノワイヤまたはナノポアのアレイ)を提供する。代替的な実施形態において、本発明の製品または製造物品(例えば、生体用インプラント)および本発明のタンタル表面コーティングナノ構造によってバイオアベイラビリティおよび骨形成能の増大がもたらされる。代替的な実施形態において、本発明の製品または製造物品(例えば、生体用インプラント)と、本発明のタンタル表面コーティングナノ構造とは、インビトロ、エキソビボおよびインビボ試験、インプラント、生物医学的デバイスならびに治療薬に使用される。
【0027】
代替的な実施形態において、Ti製インプラント上にタンタルコーティング(Taコーティング)TiO
2ナノチューブが使用されている製品または製造物品によって、骨形成の改善がもたらされる。タンタルコーティング(Taコーティング)TiO
2ナノチューブを備えている本発明のTi製インプラントによって、動物(マウス)骨細胞およびヒト骨細胞(ヒト骨芽細胞)の両方について、TiO
2ナノチューブ単独使用と比べて骨形成の改善がもたらされることが示された。両方の表面には同等レベルの細胞の付着、成長および形態構造が誘導されたと判定された。さらに培養した時点において、Ta表面上において骨機能性がアルカリホスファターゼ活性、骨結節形成、およびマトリクスミネラル堆積の点で向上していた。代替的な実施形態において、本発明のタンタルコーティング(Taコーティング)TiO
2ナノチューブは、整形外科用および歯科用のインプラントに好都合に適用される。代替的な実施形態において、本発明の製品または製造物品は、生物医学的インプラント(例えば、骨用インプラントもしくは歯用インプラント、または関節置換インプラント、または骨堆積が所望される箇所のピン、プレートもしくはポストなど)である。
【0028】
代替的な実施形態において、本発明は、一部に、実質的に、または完全にタンタルコーティング(Taコーティング)された表面を備えているナノ構造化製品およびバイオマテリアルと、このようなバイオマテリアルを備えているデバイスとを提供する。本発明の製品およびバイオマテリアルが使用されている代替的な実施形態において、本発明はまた、ヒトおよび動物の体内での骨の効率的な生成のための製作方法を提供する。代替的な実施形態において、ナノ構造化製品およびバイオマテリアルは、骨芽細胞成長および骨のミネラル化の加速を可能にし、さらに、ナノ構造化バイオマテリアル表面のナノ貯蔵部に貯蔵された成長因子および他の化学的材料または生物学的材料の放出が可能となるように製作される。
【0029】
代替的な実施形態において、本発明は、一部に、実質的に、または完全にタンタルコーティング(Taコーティング)された表面を備えている酸化チタンのナノ構造(例えば、ナノチューブ、ナノワイヤ)などを提供する。本発明のこれらの組成物は、骨成長を向上させるナノ基材を含む。
【0030】
代替的な実施形態において、本発明は、タンタルよりもずっと軽量の材料であるTiおよび/またはTiO
2を組み合わせた方法および構造と、タンタルコーティング(Taコーティング)表面とを提供する。代替的な実施形態において、TiO
2ナノチューブ幾何形状は、骨の成長および幹細胞の分化を向上させ、本発明は、TiO
2ナノチューブの利点をTa表面の化学的性質と一緒に組み合わせている。
【0031】
代替的な実施形態において、タンタルの使用量の制限は、インプラントが重くかつ高価になることを最小限にするために不可欠である。したがって、代替的な実施形態において、Taは、金属、セラミックおよび/またはポリマーなどのナノチューブまたはナノ構造を備えているベース構造上の薄いコーティング材料として付加される。したがって、代替的な実施形態において、Ta表面コーティングの厚さは、最大で0.1mm(100マイクロメートル)、または0.01mm(10マイクロメートル)未満、または1マイクロメートル未満、または0.1マイクロメートル(100nm)未満である。代替的な実施形態において、Taコーティングの最小厚さは少なくとも5ナノメートル(nm)である。
【0032】
代替的な実施形態において、Taコーティングは、物理気相成長(スパッタリングもしくは蒸着など)、または化学気相成長、または化学的/電気化学的堆積によって付加される。
【0033】
代替的な実施形態において、骨誘導性基材材料はTa表面コーティングまたは酸化Ta表面コーティングを有するナノチューブおよびナノピラーの表面構成に組み込まれる。本発明の場合のナノ構造化基材は、少なくとも50重量%がTiおよび酸化TiならびにTi含有合金または酸化Ti含有合金である。
【0034】
代替的な実施形態において、表面上(例えば、TiまたはTiO
2のナノチューブまたは他のナノ構造上)へのTa膜の堆積に加え、Ta金属堆積のための他の望ましい整形外科用、歯科用、脊椎用、膝用または他のインプラント用基材材料(例えば、合金化Ti(例えば、Ti−6Al−4V合金))で作製されたものなどのナノチューブもしくは他のナノ構造など、ならびにZrO
2、HfO
2、NbOもしくはNb
2O
5、MoO
2もしくはMoO
3、VO
2もしくはV
2O
5、WO
2もしくはWO
3で作製されたナノチューブもしくは他のナノ構造、またはTi、Zr、Hf、Nb、Mo、V、W、酸化物のうちの1種類またはそれよりも多くである金属系成分を少なくとも50重量%含み、残りの金属系成分が種々の他の金属もしくは元素(例えば、Al、Ag、C、F、Mg、Ca、Si、P、Mn、Fe、Co、Cu、Zn、Pd、Ag、In、Sn、Sb、Re、Os、Ir、Pt、Au、Bi、および1種類またはそれよりも多くの希土類元素)のうちの1種類またはそれよりも多くから選択される合金酸化物製のナノチューブもしくは他のナノ構造が使用される。他の材料(例えば、ステンレス鋼、Si、酸化Si、炭素、ダイヤモンド、貴金属(Au、Ag、Ptおよびそれらの合金など)、ポリマー材料もしくはプラスチック材料、または複合金属、セラミックもしくはポリマー)もまた、生体用インプラントおよび細胞成長への適用のための、同様の所望の表面構成の作製および使用に利用され得。代替的な実施形態において、少なくとも約5nmの厚さと全表面の少なくとも80%のコーティングコーティング率とを有するナノ構造化Taまたはナノ構造化酸化Taのコーティングが使用される。
【0035】
代替的な実施形態において、本発明は、特に、Ta表面コーティングまたは酸化Ta表面コーティングを有する酸化Ti系のナノチューブ構成またはナノピラー構成を有するナノ構造化表面に基づいた骨誘導性バイオマテリアル基材の材料、製作方法および治療適用を提供する。
【0036】
代替的な実施形態において、本発明の製品(例えば、デバイス、バイオマテリアルまたはインプラント)は、陽極酸化手法またはナノマスキング型エッチング手法によって製作される。
【0037】
代替的な実施形態において、本発明の製品(例えば、デバイス、バイオマテリアル、またはインプラント)は、骨芽細胞成長および骨形成の加速を可能にする。代替的な実施形態において、本発明の製品(例えば、デバイス、バイオマテリアル、またはインプラント)は、ナノ構造化バイオマテリアル表面のナノ貯蔵部に貯蔵された成長因子および他の化学的材料または生物学的材料の放出を可能にするナノ貯蔵部を備えている。他の材料(例えば、Ti合金系酸化物またはAl、Zr、Hf、Nb、V、Mo、W含有系酸化物、またはステンレス鋼系合金)もまた、基礎基材材料として利用される。加えて、ナノアーキテクチャ上の表面コーティングは、種々の結晶構造の酸化Taと非晶質Taとを含む。r
【0038】
代替的な実施形態において、本発明の製品は、任意の整形外科的埋め込み部位の骨の修復に(例えば、接触面に既に存在している骨に対して骨一体化を誘導させるための骨インプラント表面コーティングの形態で)利用され得るTaコーティングナノ構造を有する骨一体化性バイオマテリアルである。
【0039】
代替的な実施形態において、本発明の製品は、骨芽細胞成長およびミネラル化マトリクス形成の向上のための、後でヒトまたは動物の体内への埋め込むためのインビトロ細胞培養基材として利用され得る骨誘導性Taコーティングナノスケールバイオマテリアルであるか、または該骨誘導性Taコーティングナノスケールバイオマテリアルを含む。本発明の骨誘導性Taコーティングナノスケールバイオマテリアルはまた、骨または軟骨細胞への間葉系幹細胞または胚性幹細胞の分化の向上のためにも利用され得る。
【0040】
代替的な実施形態において、本発明の製品は、例えばTa表面コーティングを備えているバイオマテリアル上に、ナノ貯蔵部構成を備えており。これらのナノ貯蔵部構成は、患者に対するさらなる治療的有用性のための成長因子、抗生物質ならびに他の薬物および生化学物質を貯蔵してゆっくり継続的に送達するためのレザーバとして利用され得る。
【0041】
代替的な実施形態において、本発明は、種々の製造方法、細胞培養方法、本発明の製品(例えば、本発明の細胞成長/骨成長加速性のバイオマテリアルまたはデバイス)が使用されているインプラントの適用方法を提供する。
【0042】
代替的な実施形態において、本発明は、Taコーティング酸化チタンナノチューブ、ZrO2、HfO2、NbOもしくはNb2O5、MoO2もしくはMoO3、VO2もしくはV2O5、WO2もしくはWO3のナノチューブまたはナノワイヤ、代替的な金属および合金を備えている製品(物品)(例えば、バイオマテリアルおよびインプラント)を提供する。代替的な実施形態において、本発明は、これらの組成物についての製作方法、ならびに本発明のこれらの組成物についての適用および方法(例えば、強力に付着させられ、速度論的に加速された骨成長、軟骨成長、歯周細胞成長、器官細胞成長(肝臓、腎臓など)、薬物毒性試験、細胞検出、人工器官などのための生物医学的なインビボ適用およびインビトロ適用)を提供する。代替的な実施形態において、本発明は、本発明の図面に示した具体的な実施形態を提供する。
【0043】
代替的な実施形態において、本発明は、TaもしくはTa
2O
5の薄膜(その大部分はTiもしくはTiO
2で構成されている)、または少なくとも50重量%がTi含有合金酸化物または酸化Tiで作製された同様の構造、または少なくとも50重量%がZr、Hf、Nb、Ta、Mo、V、W含有合金酸化物製の同様の構造、またはステンレス鋼製の同様の構造がコーティングされたナノチューブアーキテクチャまたはナノピラーアーキテクチャを備えている骨成長向上性バイオマテリアルを提供し、ここで、ミネラル化マトリクス形成の程度によって示される骨芽細胞の機能性は、ナノチューブ表面構成またはナノピラー表面構成がない同一の材料と比べて、少なくとも10%、または少なくとも30%、または少なくとも50%増大する。
【0044】
代替的な実施形態において、本発明は、ナノチューブ構造またはナノピラー構造の寸法が本明細書に示した一定の範囲に制御されている骨成長向上性バイオマテリアルを提供する。
【0045】
代替的な実施形態において、本発明は、骨成長向上性バイオマテリアルを提供し、ナノチューブの内部またはナノピラー間の隙間におけるナノ貯蔵部空間がレザーバとして利用され、患者に対するさらなる治療的有用性のための生物学的薬剤を貯蔵して制御可能に送達する。代替的な実施形態において、ナノ貯蔵部の入口寸法は、貯蔵された生物学的薬剤の放出速度の減速が部分的ボトルネック状構成によって誘導されるように金属材料または酸化物材料の選択的堆積によって縮小されている。該薬剤は、成長因子、コラーゲン、種々のタンパク質/生体分子、遺伝子、DNA、抗生物質、ホルモン、治療用薬物、磁性、金属製、セラミック、ポリマーの粒子の機能性粒子を含み得る。該機能性粒子は、磁性酸化物粒子で作製されたものであり得、または、金属粒子が、ナノ貯蔵部空間内に貯蔵された生物学的薬剤の放出の加速またはスイッチオン、スイッチオフのための、遠隔作動されるRF加熱および温度勾配の作成のために使用される。
【0046】
代替的な実施形態において、本発明は、骨増強用のナノチューブまたはナノピラー構成の製作方法を提供し、それは、二相マスク層の陽極酸化、形成および選択的相除去を使用し、ジブロックコポリマー層、スピノーダル分解性合金層または二相合金膜を使用し、続いて、バイオマテリアルの表面を選択的にエッチングすることによって、ナノチューブ表面構成またはナノピラー表面構成を作成する。
【0047】
代替的な実施形態において、本発明は、本発明の骨誘導性のインプラント、デバイスおよびバイオマテリアルの使用を提供し、ここで、該使用は、指、手首、肘、肩、脚、腕、腰、膝、足首、足もしくはつま先、椎間板における骨または軟骨の修復、あるいは胸郭の修復または置換と、任意のロッド、ねじまたは他の骨安定化インプラントとを含む。本発明の組成物および方法は、関節または骨の修復または置換を可能にするとともに、新たな骨マトリクスを成長させるための構造的支持体および化学的環境を提供し、それゆえ、骨粗鬆症などの種々の疾患、または免疫機構によって体の細胞および組織が攻撃されて骨の崩壊もしくは損傷がもたらされる自己免疫疾患によって、引き起こされる損傷骨、感染骨、加齢骨または疾患骨と置換され得る。
【0048】
代替的な実施形態において、本発明は、本発明の骨一体化性のインプラント、デバイスおよびバイオマテリアルのインビボ使用を提供し、そのバイオマテリアルは、強力な骨一体化を誘導するパッチ骨インプラント片として適用される。
【0049】
代替的な実施形態において、本発明は、本発明の骨マトリクス誘導性のインプラント、デバイスおよびバイオマテリアルのインビボ使用を提供し、そのバイオマテリアルは、好ましくは患者自身の細胞を使用し、後でヒトまたは動物の体内の骨損傷領域付近に埋め込まれる骨マトリクス生成の向上のための骨芽細胞培養基材のために使用される。
【0050】
代替的な実施形態において、本発明は、非金属製基材または非Ti系基材を提供し、その基材の表面は、TiO
2型のナノチューブまたはナノポアに変換され、Ta薄層がコーティングされている。代替的な実施形態において、TiまたはTiO
2のいずれかの薄膜コーティングが既にナノ多孔質の材料の表面上に適用されるか、または厚膜Tiが堆積させられ、陽極酸化され、TiO
2ナノチューブ型を作成することにより、望ましい細胞成長または骨成長の加速特性を示す。代替的な実施形態において、本発明は、TiO
2ナノチューブなどによって生体適合性および細胞成長加速性または骨成長加速性にされている多孔質基材またはパターン形成基材、および種々の製作方法、および生物医学的適用を提供する。
【0051】
代替的な実施形態において、本発明は、遊離(loose)粒子、遊離短繊維または遊離フレークに構成されているTaコーティング生体適合性材料を提供する。代替的な実施形態において、粉末表面は、ナノポアまたはナノチューブアレイナノ構造を含むように加工され、その結果として、遊離粉末が細胞成長または骨成長の加速特性を示し、これは、骨セメントおよび他の組織結合適用に有用である。代替的な実施形態において、遊離粉末、短繊維、フレーク、断片化メッシュスクリーンにおけるTiO
2ナノチューブのための種々の型の製作方法が使用され得る。代替的な実施形態において、種々の適用方法および生物医学的適用(例えば、骨成長、歯科的な骨の成長、歯周組織成長の加速)が使用される。
【0052】
代替的な実施形態において、本発明は、Ti、TiO
2または関連する金属および金属酸化物の膜がコーティングされた弾性コンプライアンスを有する(elastically compliant )突出型(protruding)ナノ構造基材を備えているTaコーティング生体適合性細胞成長向上性培養基材を提供する。代替的な実施形態において、本発明は、細胞培養特性の向上させる、Ti、TiO
2または関連する金属および金属酸化物の膜がコーティングされた弾性コンプライアンスのある突出型ナノ構造基材と、そのような生体適合性と弾性コンプライアンスとがあるナノ構造化細胞培養基材の種々の型の製作方法と、それらのインビトロ細胞培養のための適用またはインビボ治療的適用とを提供する。
【0053】
代替的な実施形態において、本発明は、スパッタリング、蒸着、レーザーアブレーション、イオンビーム堆積、プラズマ溶射、化学気相成長などを使用するインプラント表面上へのTaコーティングの形成方法を提供する。
【0054】
代替的な実施形態において、本発明は、例えば電気めっき、無電極めっき、化学気相成長、物理気相成長、スパッタリングなどによって、Ti、Zr、Hf、Nb、Mo、VもしくはW、またはそれらの酸化物のTaコーティングされた顆粒または粒子が調製される物品、方法および使用を提供し、それらは、歯科的な骨の修復、骨粗鬆症の治癒のための潜在的適用のためのものである。
【0055】
代替的な実施形態において、本発明は、Taコーティングナノ構造、材料、種々の幾何形状、および本発明の図に示したような種々の実施形態を提供する。
【0056】
TiO
2ナノチューブは、種々の陽極酸化法によって調製され得る。Gongら,Journal of Materials Research,第16巻,第12号,3331〜3334頁(2001)、J.M.Macakら,Angew.Chem.Int.Ed.,第44巻,7463〜7465頁(2005),Electrochimica Acta 50(2005)3679−3684(2005)、およびAngew.Chem.Int.Ed.,第44巻,2100−2102(2005)、A.Ghicovら,Electrochemistry Communications,第7巻,505〜509頁(2005)、ならびにS.Ohら,Biomaterials,第26巻,4938〜4943頁(2005)の論文を参照のこと。
【0057】
代替的な実施形態において、陽極酸化TiO
2ナノチューブアレイの構造(例えば、ナノチューブの直径、間隔および高さ)は、電気化学的陽極酸化プロセス中に制御可能である。代替的な実施形態において、上記のGongら、Ohら、Macakら、およびGhicovらの論文に報告されているように、電解液の濃度は注意深く選択される。例示的な電解液およびその濃度のいくつかの例は、水中0.5重量%フッ化水素酸(HF)、1M硫酸アンモニウム((NH
4)
2SO
4)中0.5重量%フッ化アンモニウム(NH
4F)、および1M Na
2SO
4中1重量%NaFの各溶液である。種々の陽極酸化法のパラメータ(例えば、印加電圧、反応時間、pHおよび浴温度など)も、同様に制御および最適化されなければならない。
【0058】
代替的な実施形態において、陽極酸化ナノチューブのためのベース材料は、純粋なTiであり得るか、またはTiに基づいた合金(例えばTi−V−Al合金)、または機械的強度と耐久性を増大させた他の固有硬化合金もしくは析出硬化合金であり得る。
【0059】
代替的な実施形態において、骨芽細胞の骨形成機能性およびミネラル化細胞外マトリクス形成の加速の具体例は、ほとんどが、Ta薄膜コーティングを有するTiおよび酸化Tiの基材材料におけるものであるが、他の元素を含有していてもよいがTiまたは酸化Tiを少なくとも50重量%有する他のチタン合金もまた、基礎基材として使用され得る。代替的な実施形態において、他の遷移金属または耐熱金属(例えば、Al、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W、およびそれらの酸化物、またはこれらの金属および酸化物の合金が使用される。
【0060】
代替的な実施形態では、具体的なナノチューブまたはナノポアのアレイ構造に加工された他の材料(例えば、ステンレス鋼、Si、酸化Si、炭素、ダイヤモンド、貴金属(Au、Ag、Ptおよびそれらの合金など)、ポリマー材料もしくはプラスチック材料、または複合金属、セラミックもしくはポリマーが、(例えば、生体用インプラントおよび骨形成加速の適用のために)利用される。代替的な実施形態では、少なくとも5nmの厚さと全表面の少なくとも80%のコーティング被覆率とを有するTaおよび酸化Taの優先的コーティングが使用される。
【0061】
代替的な実施形態では、陽極酸化された酸化アルミニウムが本発明の基礎基材として利用され、その陽極酸化された酸化アルミニウムは、陽極酸化された酸化チタンと同様の方法によって形成され、高精細な造形のナノ多孔質アレイがもたらされる。代替的な実施形態において、そのような基材は、Taまたは酸化Taが同じ態様でコーティングされ、高度に生体活性がある急速骨形成性基材を提供する。
【0062】
骨芽細胞成長およびミネラル化マトリクス形成のための重要な要素は、栄養分(例えば、タンパク質、ミネラルイオン、流体など)を体液の流れによって細胞に連続供給することである。代替的な実施形態において(例えば、
図1の場合のような隣接しているTiO
2ナノ細管間の隙間(間隔)は、そのような機能を果たし、体液が、成長している細胞の底面を継続的に通過して栄養分を供給することを可能にする。代替的な実施形態において、ナノ細管間の所望の間隔は、
図3に陽極酸化加工されたTiO
2ナノチューブの例示的な顕微鏡写真で示すように、おおよそ約2〜100nmまたは約5〜30nmの範囲である。例示的な本発明のTiO
2ナノチューブアレイ構造について示した透過型電子顕微鏡(TEM)写真である
図3(b)および(c)は、ナノチューブ間の間隔の平均が約15nmであることを示す。
【0063】
上記のナノチューブアレイ構成では細胞成長の栄養分の連続供給が可能であるが、
図4に示すナノピラーアレイ構成でも、細胞成長の栄養分の連続供給の同様の機能が果たされ、そのナノトポグラフィ構造およびナノピラー間の隙間によって強力な細胞付着が可能である。そのようなナノピラー構造は、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W、もしくはそれらの合金、またはこれらの金属および合金の薄いコーティングの表面上に、パターン形成マスキング/エッチング、または最初のパターン形成エッチングと続いての陽極酸化との組合せによって形成され得る。次いで、ナノ構造化表面に、陽極酸化ナノチューブアレイの場合のようにTaまたは酸化Taの薄膜がコーティングされ得る。
【0064】
Ti系のインプラントまたは基材は、上面に本発明のナノ構造またはナノアーキテクチャが(例えば、一実施形態では、骨芽細胞のコーティングまたは骨形成向上性のTaもしくは酸化Taコーティングの前に)形成される例示的な基材材料であるが、他の材料もまた、ベースのインプラントまたは基材として利用することができる。例えば、代替的な実施形態において、陽極酸化によって形成されて局所的な基材表面上にコンフォーマルに形成された垂直配列の構成を有するナノチューブは、約20〜800nmの範囲の直径および/または約50〜2,000nmの範囲の高さを有するものであり、(例えば、酸化物含有Ti製の、あるいは少なくとも約50重量%のTiを含有し、必要に応じて1種類もしくはそれよりも多くの合金化元素を含有している他の高融点金属製の)バルク幾何形状の基材材料上に形成され得る。
【0065】
代替的な実施形態において、ナノ構造またはナノアーキテクチャ(例えばナノチューブ)は、(例えば、スパッタリング、蒸着、レーザーアブレーション、化学気相成長、もしくはプラズマ溶射法、またはそれらの組合せによって配置された、例えば、約0.5〜20マイクロメートル厚の厚さのTi金属層を有する)厚膜のTi金属またはTi含有合金の表面の陽極酸化によって形成され得る。そのようなTi金属層は、非Ti含有基材またはインプラント(例えば、ジルコニア系インプラント(一例は、ジルコニアセラミック系膝用インプラントである)またはコバルト−クロム型もしくはステンレス鋼型合金系インプラント、またはポリマー系インプラント(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)型もしくは超高分子量ポリマー型インプラント(例えば、これは脊椎用インプラントに有用であり得る))の上にコーティングされ得る。代替的な実施形態において、コーティングされたTi層は、次いで陽極酸化されてTiO
2ナノチューブが形成され得、この上面に、骨形成特性の向上ための薄いTaまたは酸化Taのコーティングが付加され得る。
【0066】
骨増強用ナノピラー構造を製作する1つの簡便な方法は、一実施形態では、ナノ−インプリント技術を使用することである。
図5に示すように、PMMA(ポリメチル−メタクリレート)層などのポリマーマスクレジストのナノスタンピングが、所望の表面(この場合は、Tiまたは関連する金属および合金の表面)上で行なわれ得る。PMMAが、最初に薄層(例えば、約20〜100nm厚の層)にスピンコーティングされ、次いで、ナノスタンプが、この未硬化PMMA層に押されてレジストアイランドがピックアップされ、次いでTiまたは合金表面の上にインプリントされ、PMMAマスクのアイランドが残される。Tiまたは合金のベースは、次いで、化学エッチングまたは反応性イオンエッチング(RIE)され、所望のTiO
2ナノピラー構造が形成される。該ピラーは、全体がTiO
2で構成されていてもよく、ピラーの表面のみが陽極酸化処理の酸化加熱処理によってTiO
2に変換されていてもよい。ナノスタンプは、パターン形成されたSi、金属またはエラストマー(PDMS)で作製されたものであり得、機械的コンプライアンスを有するエラストマー製スタンプは、より信頼性のあるマスキングレジストアイランドの移行を可能にする。次いで、Taまたは酸化Taの薄膜がナノピラーアレイ上に堆積させられ得る。
【0067】
本発明による、Tiまたは関連する金属および合金の非平坦表面上へのナノピラー構造の製作に特に好都合な、そのような所望の位置ガイド式および直径ガイド式の均一なナノピラーアレイを形成するまた別の代替的な手法は、
図6に示すような垂直方向に二相の分解性コーティングを使用するガイド式エッチングを導入することである。最初に、骨芽細胞培養および骨成長のためのTi製のインプラントまたは基材が、後に垂直配列の二相構造に分解される材料でコーティングされる。そのような分解性材料の一例は、ジブロックコポリマー層であり、これは、加熱すると垂直配列の二相に分解され得る。M.Parkら,“Block copolymer lithography:Periodic arrays of 10
11 holes in 1 square centimeter”,Science,第272巻,1401頁(1997)の論文を参照のこと。
【0068】
垂直配列二相構造をもたらす分解性材料の別の例は、スピノーダル分解性(spinodallly decomposing)合金である。N.Yasuiら,“Perpendicular recording media using phase−separated AlSi films”,Journal of Applied Physics,第97巻,10N103頁(2005)の論文を参照のこと。RFプラズマスパッター堆積プロセス中での自己加熱、または約100〜700℃での堆積後アニーリングのいずれかによる薄膜の堆積中、望ましい垂直配列のナノポア構造またはナノアイランド構造が、一般に、スピノーダル合金から得られ得る。Al−Si合金膜の場合、適切な化学エッチングによって、Alが選択的にエッチングされ得るとともに、SiがSiO
2多孔質膜またはSiO
2アイランドアレイへと酸化され、それゆえ、二相の相対容積分率に応じてナノポア構造またはナノピラー構造が作成される。
【0069】
そのような分解性コーティングを付加し、配列された二相構造(
図6(b))に分解させた後、この二相構造から一方の相をディファレンシャルエッチングによって(例えば、化学エッチングまたはイオンエッチングによって)除去すると、ナノアイランドアレイ(
図6(c))が現れる。マスキングアイランドによるTiベースまたは合金ベースのエッチングによって、
図6(d)のナノピラーアレイが作成される。コーティング材料を除去(
図6(e))した後、必要に応じたさらなるエッチングまたはガイド式陽極酸化法を利用することにより、ナノピラーの深さをさらに増大させてもよい(
図6(f))。
【0070】
代替的な実施形態ではジブロックコポリマーが使用され、これは、化学的に異なる2種類のポリマー鎖またはブロックで構成されているが、これらは共有結合によって繋がっている。この互いの結合性の制約と化学的な不適合性とのために、ジブロックコポリマーは相分離して規則正しい(多くの場合、六角形の幾何形状を有する)ナノスケール混合相複合材に自己組織化する傾向にある。化学的性質および分解条件に応じて、該コポリマーは、ポリマー成分のうちの1つがその他のポリマー成分中に包埋されたナノシリンダー形状となる規則正しいアレイを形成し得る。ジブロックコポリマーの例は、ポリスチレン−ポリブタジエンの混合物およびポリスチレン−ポリイソプレンの混合物を含む。ジブロックコポリマーはトルエンなどの溶媒で希釈され、基材上にディップコーティング、ブラシコーティングまたはスプレーコーティングされ得る。加熱を適用し、乾燥が進行して、コポリマーの濃度および温度が臨界点に達すると、ジブロックコポリマーの規則正しい構造への相分解が起こる。代替的な実施形態において、分解された規則正しいジブロックコポリマー構造を核形成および成長させるための所望の温度上昇は、約50〜350℃、または約100〜250℃の範囲である。
【0071】
代替的な実施形態ではスピノーダル合金が使用され、これは、スピノーダル相が安定な範囲内の高温まで加熱することによって、均一な二相構造に自発的に分解され得る。Fe−Cr−Co、Al−Ni−Co−Fe、Cu−Ni−Fe、Cu−Ni−Co、およびAl−Siの合金が、スピノーダル分解性合金の周知の例である。分解された二相の間の化学エッチング性の差によって、
図6(c)のナノアイランドマスク構造が広い領域で得られ得る。
【0072】
図6(b)に示すように、Ti製インプラント表面上へのナノ構造パターン形成には、ジブロックコポリマー二相分解または二相へのスピノーダル分解が使用され得、それによって、一方の相が溶解またはエッチング除去され(ウェットエッチングまたはドライエッチング(例えば、反応性イオンエッチング))、1相のナノ構造のみがアイランドアレイまたは多孔質膜の層のいずれかとして残る。これらのスピノーダル分解合金のジブロックコポリマーの残留(left−over)材料は、次いで、Ti製インプラント表面をエッチング(ウェットまたはドライ)して所望のナノ構造の表面パターンを作成するためのマスクとして使用され得る。
【0073】
別の例示的なアプローチは、界面活性剤型ポリマーマトリックスと無機ナノ粒子とを含むコロイド状材料を使用することであり、該材料は、溶媒が干上がるにつれてナノ粒子の周期的アレイに自己組織化する。この自己組織化は、有機界面活性剤材料(トリオクチルホスフィンオキシドまたはオレイン酸など)によって引き起こされ得、該界面活性剤材料中に分散されたナノ粒子(量子ドットまたは磁性ナノ粒子など)は、界面活性剤マトリックス内でナノ粒子の周期的アレイが作成されるように、該界面活性剤分子によって幾何形状が制約される。例えば:Sunら Science,第287巻,1989頁(2000)、Murrayら,Science,第270巻,1335頁(1995)に記載されているようなコロイド状ナノ粒子アレイ構造が本発明の組成物に組み込まれ得る。
【0074】
代替的な実施形態において、ジブロックコポリマーにおける規則正しいナノポアの寸法は、約10nm〜約100nmのオーダーである。ジブロックコポリマーの例は、ポリスチレン(PS)−ポリ(b−メタクリル酸メチル−ポリスチレン)(PMMA)、ポリスチレン−ポリブタジエン(PS−PB)およびPS−ポリイソプレン(PI)を含む。例えば、Parkら,Science,第276巻,1402頁(1997)、Templinら,Science,第278巻,1795頁(1997)、Albrechtら,Science,第290巻,2126頁(2000)、Paiら,Science,第303巻,507頁(2004)、Chanら,Science,第286巻,1716頁(1999)に記載されているような、ナノアイランドまたはナノパターンの形成について規則正しいブロックコポリマー構造を使用するための任意の方法が使用され得る。
【0075】
代替的な実施形態において、スピノーダル分解が、(例えば、高温から低温への冷却における熱力学的駆動力による合金の二相分解として)使用される。代替的な実施形態において、スピノーダル分解は、比較的均一かつ周期的なナノ構造を得る簡便な方法である。スピノーダル合金組成物では、何らかの小さいまたは大きい組成変動によって合金系の自由エネルギーが低下する。例えば、J.Cahn,Acta Met,第10巻,179頁(1962)、P.G.Shewmonによる書籍であるTransformations in Metals,McGraw−Hill Book Company,New York,1969,292〜295頁、ならびにA.G.GuyおよびJ.J.Hrenによる書籍であるElements of Physical Metallurgy,Addison−Wesley,Menro Park,California,1974,425〜427頁の記載を参照のこと。代替的な実施形態において、この均一性および小粒径は、Ti製インプラント金属または合金の表面などの材料層にパターン形成するためのナノスケールエッチング用マスクとしての使用に有用である。
【0076】
代替的な実施形態において、2つのスピノーダル分解相のうち一方をウェットエッチングまたはドライエッチングした後、ナノマスクとしての機能を果たす残留相によって、ウェットまたはドライのいずれかのエッチングによる下部表面のエッチングパターン形成が可能である。スピノーダル分解によって得られるナノマスクの寸法は小さく(例えば、10〜200nmの範囲)あり得る。スピノーダル分解への使用に適した合金系の例は、スピノーダル範囲の組成を有するFe−Cr系(例えば、約35〜65重量%のCr)、Fe−Cr−Co(20〜65%のCr、1〜30%のCo、および残部はFe)、Cu−Ni−Fe(約15〜40%のNi、15〜30%のFe、および残部はCu)、Cu−Ni−Co(約20〜40%のNi、20〜40%のCo、および残部はCu)、Au−Ni(約20〜80%のNi)を含む。本発明に使用され得る他のスピノーダル合金もあり、例えば、AlNiCo磁石合金(Fe−Al−Ni−Co合金)、Cu−Ni−Sn合金、Cu−Ni−Ru、Al−Zn、Al−Si合金などである。合金膜が、最初に、ナノパターン形成対象の材料表面上(例えばTi製インプラント上)に堆積させられる。膜の堆積は、周知の堆積手法(例えば、物理気相成長(例えば、DCスパッタリング、RFスパッタリング、イオンビーム蒸着、サーマルエバポレーションもしくは電子ビームエバポレーション)、または化学的堆積(例えば、化学気相成長、電着、無電解析出法))を使用して行なわれ得る。
【実施例】
【0077】
下記の本発明の実施例では、100nmの直径を有するTiO
2ナノチューブを製作し、Taの薄膜をスパッタコーティングした。骨芽細胞の機能性の向上および骨マトリクス形成の加速が示された。
【0078】
骨芽細胞の培養実験用のナノチューブアレイ構造の製作
図2は、作製された状態のままのTiO
2ナノチューブ表面およびTaコーティングナノチューブ表面の両方のSEM画像を示し、約100nmの外側直径、約10nmの壁厚、約10nmの間隔、および約300nmの高さを有するほぼ同一の構造が示されている(例えば、下記の参考文献16および17に既に記載されている)。真空スパッタ堆積によって行なわれるTaコーティングによって、Ta厚(20nm)の高度に制御されたコンフォーマルな層の堆積が可能となる。Taは生体適合性材料であり、その耐食性はTiと同等であり、Taおよび酸化Taはどちらも低溶解度および低毒性を有する(参考文献10,下記の[19]に記載)。Taコーティングによって誘導された親水性の増大は、TiO
2およびTaコーティング表面において、それぞれ、約4°から約0°までと非常にわずかであった。どちらも超親水性の範囲内のままであるため、そのようなわずかな表面エネルギーの変化が細胞の挙動に有意に影響することは、予測されない。
【0079】
TiO
2ナノチューブ表面を(例えば、下記の参考文献16に既に記載されているような)二電極セットアップ(two electrode set−up)の陽極酸化法を使用して、作成した。0.25mm厚の市販の純粋なTiシート(金属ベースで99.5%,Alfa−Aesar,USA)をこのプロセスに使用し、これを、最初に、順次、アセトン中およびイソプロピルアルコール中で超音波処理にてクリーニングした後、DI水ですすぎ洗浄した。ナノチューブは、酢酸(≧99.99%の純度,Sigma−Aldrich,USA) 対 重量パーセント分率が水中で0.5%のフッ化水素酸(48%w/v,EM Science,USA)の容量比が1:7である中で、20Vにて30分間で調製した。白金電極(99.9%,Alfa−Aesar,USA)をカソードとして利用した。次いで、サンプルを脱イオン水で洗浄し、80℃で乾燥させ、製作された状態のままの非晶質構造のTiO
2ナノチューブをアナターゼ構造に結晶化させるために500℃で2時間加熱処理した。タンタル膜(20nm厚)を、TiO
2ナノチューブ上および平坦なTi対照基材上に、Denton Discovery 18スパッタシステムにおけるタンタルターゲットから真空蒸着させた。TiO
2ナノチューブ表面の優先的コーティングを確実にするため、使用した堆積角(deposition angle)は垂直軸から約30°であり、堆積中に基材を回転させた。ベース圧が10
−6トールに達した後で、Ar圧が3mTorrに達したとき、200Wのプラズマを適用した。堆積させられた状態のままのTa膜は非晶質の性質であることが予測される。
【0080】
骨芽細胞の細胞バイアビリティおよび形態構造
MTT(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)アッセイを、細胞の代謝活性を測定するため、および生存細胞の数を間接的に推定するために利用した。
図7(a)のMTT解析の結果では、平坦な対照サンプルとTiO
2ナノチューブ表面およびTaコーティングナノチューブ表面との差がほとんど示されていない。細胞付着および成長はナノチューブの化学的性質によって影響されないと思われる。さらに、24時間の培養後のSEM形態学的検査(
図7(b))では、TiO
2表面およびTa表面の両方において広範囲にわたる糸状仮足活性が示されるが、平坦な対照表面では示されない。一般的な推測は、指様糸状仮足(finger−like filopodia)が細胞感受性(cell−sensing)機構であり、これが化学的キュー(cue)およびナノトポグラフィ的キューの両方の検出に使用されるということである(例えば、下記の参考文献20に記載)。糸状仮足活性の増大は、以前に、TiO
2およびZrO
2の両方のナノチューブアーキテクチャにおいて、それぞれの平坦な対照表面と比較した場合に示されていた(例えば、下記の参考文献17および21のそれぞれに記載)。両方のナノチューブ表面における多くの糸状仮足の存在は、HOb細胞が、表面化学とは無関係にナノチューブアーキテクチャによって相対的に等しく活性化されることを示す。これらの結果は、Ta基材およびTi基材の上で培養したヒト骨芽細胞間で成長、結合または形態構造の間に差が示されなかったこれまでの結果(例えば、下記の参考文献14に記載)と整合する。
【0081】
機能性の検査:骨形成能
アルカリホスファターゼ(ALP)活性をインキュベーション時間の関数として測定し、実験用基材上での骨芽細胞の骨形成能を推定した(
図8)。早い時間点では差は観察されなかった。しかしながら、10日目以降、その他のすべてのサンプルと比べると、Taコーティングナノチューブ表面において有意に高いALP活性が検出された。観察されたALP活性の上方調節は、Taコーティングによって、ナノチューブ表面上でのHOb細胞の骨生成機能性が向上され得ることを示す。このTa上でのALP活性の増大傾向は、ガラスディスク上に堆積した平坦なTiおよびTaの薄膜表面に対するMSC骨生成応答の比較研究を示したStiehlerらによっても観察されている(例えば、下記の参考文献19に記載)。同じ方法によって堆積させた2種類の膜の比較において同じ傾向が観察されたため、細胞の挙動は、元素表面の化学的性質によってのみ影響され、任意の他の表面特性には影響されないことが推測され得る。
図8において、平坦なTiと比べると平坦なTa対照においてALP活性のわずかな増大が観察され得る。しかしながら、Taコーティングナノチューブ表面では、TiO
2ナノチューブ表面および平坦な対照よりもALP活性が有意に高い。これは、ナノチューブナノ構造とタンタル表面化学の組合せによって、ヒト骨芽細胞培養のための最適な表面がもたらされ得ることを示唆する。
【0082】
各実験用表面上での骨細胞のマトリクスミネラル化の程度を評価するため、骨芽細胞を骨結節形成について、種々の解析手法によって解析した。3週間培養したHOb細胞による骨結節形成。TaコーティングNT表面においてより大きな骨結節形成を示す1000倍の
図9(a)SEM顕微鏡写真。スケールバー=20μm。表面上のミネラル元素であるカルシウムおよびリンの原子百分率の
図9(b)EDX解析(n=5)。棒グラフは平均±標準誤差バーを示す。ANOVA検定の実施後のp値は統計学的有意(p≦0.001)に達した((
*)によって表示)。3週間後、大きな骨結節の存在は、Taコーティングナノチューブ表面上で最も顕著であった。さらに、PとCaの量はTaコーティング表面上で有意に高かった。
【0083】
しかしながら、エネルギー分散型x線(EDX)解析によって、
図9(b)のグラフに示されるように、他のすべてのサンプルで見られるものよりも、Taコーティングナノチューブサンプルにおいてリンおよびカルシウムの両方(ミネラル化骨の主成分)が有意に多い量で示された。これは、骨結節形成はどちらのナノチューブ表面上でも容易に起こったが、Taコーティングは、骨マトリクスミネラルの堆積の増大を誘導する効果を有していたとみられることを示す。骨様アパタイトの形成は、疑似体液中でのタンタル金属上において(例えば、下記の参考文献22に記載)、および塩化タンタル含有過酸化水素で処理したTi上において(例えば、下記の参考文献23に記載)、以前に報告されている。Ta元素がアパタイト誘導特性を有するという推測は、Ta元素がHOb細胞によるミネラル化マトリクスの生成も助けるという仮説を支持する。
【0084】
さらに、ミネラル化速度がナノ構造または表面化学によって影響されるがどうかを調べるためにマトリクスミネラル化の速度論も調べた。7日間、14日間および21日間の培養後の各基材上のリン(
図10(a))およびカルシウム(
図10(b))の原子百分率を調べたEDX解析によって、最も高速度のミネラル化はTaコーティングナノチューブ表面において起こることが示された。各サンプル型についてインキュベーション時間の関数としてのミネラル原子百分率の線形傾向線を推定し、各線の傾きを求め、リンまたはカルシウムの堆積速度として記録した(
図10(c))。リンおよびカルシウムのどちらの堆積速度も、Taコーティングナノチューブ基材上で、TiO
2ナノチューブ基材上よりも30%速いことが測定された。
【0085】
各インキュベーション時間点におけるマトリクスミネラル化速度論の結果は、カルシウムミネラルの堆積を検出するための単純かつ簡便な方法であるアリザリンレッドS染色によって確認した。
図11において、免疫蛍光画像は、(左から右に)1週間、2週間および3週間の培養後の各実験用表面上の染色領域(明るい赤色)を示す。1週間後、ほんの少量のミネラルがTiO
2ナノチューブ表面およびTaコーティングナノチューブ表面上で検出されたが、平坦基材上では何も見られなかった。2週間後、より高度に濃縮されたカルシウムミネラル堆積領域(矢印で表示)がナノチューブ表面上で見られた。3週間後、大きな骨結節領域がナノチューブ表面上に存在していた。さらに、Taコーティングナノチューブ表面上に存在する大きな結節の量が最も大きいようにみられる。これらの結果は、EDX解析による観察結果の視覚的確認である。さらに、Tiと比較したときTa上におけるMSCのアリザリンレッド染色の増大がStiehlerらによって報告され(以下の参考文献19参照)、これによって本明細書に記載の本発明の結果が確認される。
【0086】
TiO
2ナノチューブ表面およびTaコーティングナノチューブ表面のどちらにおいても、骨芽細胞の成長および機能は、平滑Tiの平坦な対照、およびTaコーティング平滑Tiの平坦な対照よりも向上した。しかしながら、Taコーティングナノチューブ表面は、ALP活性、骨結節形成、およびマトリクスミネラル化速度の点で、卓越した骨機能性を有していた。これらの結果は、Hobの拡延、成長および形態構造は、主にナノトポグラフィ的キューによって影響されるが、骨生成は、ナノトポグラフィよりも表面化学/材料特性によってより大きく影響され得ることを示す。この仮説は、炭素コーティングナノチューブ表面に関するこれまでの所見(例えば、下記の参考文献24を参照)と整合する。これらの表面特性の相互作用は完全には理解されていないが、特異な組合せが大きな結果を有し得ることは明白である。本発明の総括的所見では、Taコーティングナノチューブでの骨生成応答の増大が示され、金属Taを関連づけられた表面化学(したがって、本発明の組成物)が最適な骨インプラント表面の作成のための大きな機会をもたらすことが示される。
【0087】
代替的な実施形態において、本発明の目的は、骨形成能の点において、TiO
2ナノチューブ表面よりもTaナノチューブ表面で、骨芽細胞応答を向上させることである。本発明の結果は、ナノトポグラフィ的Taによって、成人ヒト骨芽細胞の骨機能性およびマトリクスミネラル化の向上が誘発されることを示す。TiO
2ナノチューブ表面およびTaナノチューブ表面に対する観察された骨芽細胞応答の差は明白であるが、これが表面化学だけの結果であるのかどうかを結論づけることはできない。Taコーティングの付加によって、TiO
2ナノチューブのアナターゼ結晶性表面と比べて、親水性にわずかな変化が生じることが観察された。本発明の一実施形態は、ナノチューブ内またはナノピラー間の間隔におけるナノ貯蔵部空間が、軟骨細胞の培養の向上に望ましい生物学的薬剤(例えば、成長因子、他の生体分子、抗生物質など)を簡便に貯蔵するために利用され得、該薬剤は、Ta表面層または酸化Ta表面層がコーティングされたTiO
2ナノチューブからゆっくり放出され得るというものである。TiO
2ナノチューブのナノスケール空間またはナノピラー間の間隔は、ミクロサイズのポアと比べて、貯蔵された生物学的薬剤をずっと長く維持することができ、かつ長期間にわたる低速放出が可能であるという利点を有する。抗生物質(ペニシリン、ストレプトマイシン、バンコマイシンなど)のような薬物の制御された低速放出によって、骨インプラント付近での感染が予防され得る。さらに、ナノ貯蔵部空間内に貯蔵され、そこからゆっくり放出される成長因子によっても、長期間にわたる骨芽細胞の成長および成熟が向上され得る。
【0088】
代替的な実施形態において、そのようなナノ貯蔵部空間内に簡便に貯蔵され得る生物学的薬剤は、成長因子、コラーゲン、種々のタンパク質/生体分子、遺伝子、DNA、抗生物質、ホルモン、治療用薬物、磁性、金属製、セラミック、ポリマーの粒子などの機能性粒子を含む。磁性酸化物粒子または金属粒子で作製された機能性粒子が、ナノ貯蔵部に貯蔵された生物学的薬剤の放出の加速またはスイッチオン、スイッチオフのための、遠隔作動RF加熱と温度勾配の作成とに使用され得る。
【0089】
図面を参照すると、
図12は、Ta表面層でコーティングされ、かつ垂直配列ナノチューブの孔に貯蔵されている低速放出性生物学的薬剤を有するナノチューブを備えているTiO
2ナノチューブ系インプラントのさらに改善された実施形態を模式的に示す。
図12(a)は、Taの薄膜がコーティングされている作製された状態のままのTiO
2ナノチューブのアレイを示しており、
図12(b)は、生物学的薬剤がナノ貯蔵部に貯蔵されているナノアレイを示す。骨マトリクス形成の加速のため、TiO
2ナノチューブはより高く(例えば、わずか200〜500nm高さのナノチューブの代わりに、1〜10マイクロメートルの高さで)作製され、その結果として、より多くの生物学的薬剤が貯蔵され得、長期間にわたってより低速での放出が達成され得る。貯蔵された生物学的薬剤の放出を減速させるための代替的な本発明のアプローチは、ナノチューブの入口を、TaまたはTa
2O
5の意図的なスパッタリングまたは蒸着堆積によって狭くすることである。これを
図12(c)に模式的に示す。通常の垂直の付随的堆積(incident deposition)もそのようなボトルネック部が形成される傾向があるが、堆積中に基材を回転させながらの必要に応じた斜め方向の付随的堆積では、意図的なボトルネック構成を形成することがより容易になる。
【0090】
代替的な実施形態において、生物学的薬剤のナノ貯蔵部での貯蔵および低速放出はナノピラーアレイ構造によって達成される。これを
図13に模式的に示す。意図的に誘導したボトルネック構成によって低速放出が達成される。
【0091】
代替的な実施形態において、ナノチューブ構成またはナノピラーアレイ構成における垂直配列TiO
2および関連材料は、必要に応じて、ナノ貯蔵部ベースのレザーバおよび化学物質または生物学的薬剤の低速放出とともに使用され、これによって、必要に応じて、速度論と骨芽細胞の機能性の大きさおよびミネラル化マトリクス形成の量とが、これらのナノチューブ構造またはナノピラー構造を有さない同じ生体用インプラント材料または生体用基材材料と比べて(例えば、少なくとも30%、または少なくとも50%)大幅に向上し得る。
【0092】
代替的な実施形態において、種々の型の表面ナノ構造化またはミクロ構造化がされた細胞培養基材または骨培養基材に本発明が実施され、例えば、該基材は、細胞および骨のインビトロ培養のため、またはインビボインプラント構造の一部としてのいずれかで使用され得る。そのような骨成長の向上は、ヒトおよび動物に対するさまざまな治療的適用に有用であり得る。代替的な実施形態において、本発明の方法は、任意の骨埋め込み部位、例えば(下記に限定されない)、
・指の関節の修復または置換
・手首の修復または置換
・肘の修復または置換
・肩の修復または置換
・脚
・腕
・腰の修復または置換
・膝の修復または置換
・足首の修復または置換
・足およびつま先の修復または置換
・脊髄の椎間板の修復または置換
・胸郭の修復または置換
・任意のロッド、ねじまたは他の骨安定化インプラント
における新たな骨成長のための支持足場を提供する。
【0093】
代替的な実施形態において、本発明は、関節または骨の修復または置換を可能にするとともに、新たな骨組織を成長させて欠損部を充填するための構造的支持体および化学的環境を提供し、したがって、種々の疾患(例えば、骨粗鬆症または自己免疫疾患(例えば、免疫系によって体の細胞および組織が攻撃され、骨の崩壊もしくは損傷がもたらされるもの)によって引き起こされる損傷骨、感染骨、加齢骨または疾患骨と置換され得る。
【0094】
本発明の製品および方法(例えば、Taコーティング基材)によって向上させられた態様で培養され得る細胞または硬組織の型は、強力付着性(strongly adherent)の骨の急速形成/成長のための、骨芽細胞、歯周細胞または幹細胞を含む。本発明の構造は、信頼性があってより速い整形外科系もしくは歯科的な骨の修復のため、または外部から制御可能な薬物放出および治療的処置のために有用であり得る。
【0095】
上記の実施形態は、本発明の適用を表し得る多くの可能な具体的な実施形態のほんのいくつかの例示であることが、理解されるべきである。数多くの種々の他のアレンジメントが、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、当業者によって行なわれ得る。
【0096】
参考文献
【化1】
【化2】
【0097】
本発明を以下の実施例への参照によってさらに説明する。しかしながら、本発明は下記の実施例に限定されないことを理解されたい。
【0098】
実施例1:本発明の組成物は骨成長の誘導に有効である
本明細書に示すデータは、(例えば、Taナノ構造または酸化Ta型ナノ構造を有するバイオマテリアルを備えている)本発明の組成物と、本発明の方法が骨成長の加速に有効であり、さらに、骨成長の加速を可能にし得、さまざまな使用(例えば、迅速かつ確実な整形外科用、歯科用、歯周用の細胞/器官用インプラント、治療薬および疾患の診断)に有用であり得ることとを示す。この実施例は、本発明の例示的な組成物の作製も記載する。
【0099】
代替的な実施形態において、基材バイオマテリアルの表面は、Taもしくは酸化TaまたはTaもしくは酸化Taを含む合金を含むか、またはこれらからなる。代替的な実施形態では、他の材料が基礎となる基材に使用される。
【0100】
代替的な実施形態において、本発明の製品(物品)は、タンタルまたは酸化タンタル(Ta
2O
5)のコーティングを備えていることによって、骨芽細胞の機能性および骨ミネラル背長を向上させ得る。代替的な実施形態において、本発明の製品(物品)は、Ti製もしくはTiO
2製のナノ構造(例えば、ナノチューブ、ナノワイヤ)、または生体適合性のTaもしくはTa
2O
5の膜がコーティングされている他の材料製の同等の構造を備えている。
【0101】
Ta表面化学を含む例示的なナノ構造は、骨芽細胞のミネラル化速度の向上を可能にし、より早い時間点で骨形成能が示された。
【0102】
図面を参照すると、
図1(a)は、チタン金属基材または合金基材の上に成長させた自己組織化TiO
2系ナノチューブアレイを備えている例示的なデバイスを模式的に示す。次いで、該アレイには、
図1(b)に示すように、骨芽細胞成熟を加速させるための例示的な方法における使用のための、タンタル(Ta)または酸化Ta(Ta
2O
5)の薄膜が、スパッタ堆積、またはイオンビーム蒸着、蒸着、レーザーアブレーション、化学気相成長によって堆積させられる。代替的な実施形態において、TiO
2ナノチューブまたは任意の他の生体適合性のナノチューブ(例えば、Al
2O
3、ZrO
2、HfO
2、NbOもしくはNb
2O
5、MoO
2もしくはMoO
3、VO
2もしくはV
2O
5、WO
2もしくはWO
3)が本発明の組成物およびデバイスとともに使用され、これらのナノチューブは、約10〜1000nmの直径、または約30〜300nmの直径、または約60〜200nmの直径の寸法を有し得る。
【0103】
代替的な実施形態において、アスペクト比が10未満、好ましくは5未満である相対的に低い高さが、細管空洞内に意図的に配置した薬物または生物学的薬剤の貯蔵の容易性および最終的な分配の容易性のための縮小傾向のため、ならびに厚いナノチューブ層における長い細管が剥離または断裂してヒトの体内に浮遊する可能性を低減させるために好ましいため、該細管の所望の高さは、部分的に所望のアスペクト比によって決定される。代替的な実施形態において、所望の高さは、40〜2000nmまたは100〜600nmである。
【0104】
代替的な実施形態において、ナノチューブ形状の基材の代わりに、またはそれに加えて、ナノピラーまたはナノワイヤまたはナノリボンまたは同等のナノ構造が、骨もしくは軟骨の形成を向上させるため、または幹細胞の分化を向上させるために、Ta(またはその酸化物)の薄膜を堆積させるための基礎(例えば、上部構造、またはテンプレート、または表面)として使用される。代替的な実施形態において、Taコーティングの所望の厚さは、約1〜1,000nm、もしくは5〜300nm、またはさらにそれ以上、または約10〜100nmの範囲である。
【0105】
代替的な実施形態において、開口上面孔を有する垂直配列は、
図1(a)に示すようなナノチューブの上面開口部によって、
図1(b)に示すように、良好な付着のためのナノポア空洞内への細胞の進入が可能となるため、生体用インプラントおよび関連適用にとって非常に重要である。表面に良好に付着する細胞は、概して、健常なままであり、速やかに成長するが、付着しない細胞は、低減された成長または最小限の成長を示す。
【0106】
本発明の垂直ナノチューブ構造(その一例を
図2に示す)において、そのような望ましい構成が提供される。さらに、
図2は、タンタルコーティング後のナノチューブの幾何形状および構造の保持も示す。各表面について接触角を黄色で示しており、タンタルコーティング表面における4°から0°への親水性の増大を示す。代替的な実施形態において、骨および軟骨の成長の向上のためのTaコーティングナノチューブ表面構造またはTaコーティングナノワイヤ表面構造を備えているインプラントは、3度未満、好ましくは2度未満の水滴接触角の点から、改善された親水性を有する。
【0107】
代替的な実施形態において、チタンナノチューブは、(例えば、5%のフッ化水素酸を使用し、約10〜20ボルトの電位を適用し、温度および他の電気化学的プロセスパラメータに応じて数分間〜数時間が可能である)電解陽極酸化によって形成される。得られるTiO
2ナノチューブの直径は陽極酸化電圧に依存する。
【0108】
図14〜18は、本発明のデバイス上のナノ構造の表面上の金属Taコーティングと酸化Taコーティングとを比較し、それらのヒト骨芽細胞成長および骨形成に対する誘導能または刺激能を比較する酸化型タンタル試験のデータを示す。実験は、標準的な陽極酸化法による直径約100nm×高さ約300nmのナノチューブである同一の型のTiO
2ナノチューブ表面上で行ない、種々の表面は、TiO
2ナノチューブ(作製された状態のまま)、Taコーティングナノチューブ(スパッタリングによって堆積させられた状態のまま)、金属Taコーティングナノチューブ(金属状態を維持しながらアニーリングを施すために真空内で熱処理したが、酸化Ta形成はなし)、酸化型Taコーティングナノチューブ(Taスパッタコーティング+Taコーティングを酸化Taコーティングに変換するための空気中での熱処理)、およびTa
2O
5コーティングナノチューブ(約20nm厚,400ワットの出力で酸化Taターゲットから直接RFスパッタコーティング)であった(約3ミリトールのAr圧)。
図14〜18において、骨芽細胞の機能性および骨のミネラル化は、金属Taおよび堆積させられた状態のままのTaよりも、酸化型タンタル表面で好ましくみえる。
【0109】
本発明の多数の実施形態を説明した。それにもかかわらず、種々の改変が本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく行なわれ得ることが、理解されるべきである。したがって、他の実施形態も下記の特許請求の範囲の範囲に含まれる。