特許第6279524号(P6279524)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6279524
(24)【登録日】2018年1月26日
(45)【発行日】2018年2月14日
(54)【発明の名称】遠心圧縮機、ターボチャージャ
(51)【国際特許分類】
   F02B 39/00 20060101AFI20180205BHJP
   F04D 29/66 20060101ALI20180205BHJP
   F04D 29/44 20060101ALI20180205BHJP
【FI】
   F02B39/00 G
   F04D29/66 H
   F04D29/44 X
   F04D29/44 P
   F02B39/00 Q
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-167999(P2015-167999)
(22)【出願日】2015年8月27日
(65)【公開番号】特開2017-44164(P2017-44164A)
(43)【公開日】2017年3月2日
【審査請求日】2016年12月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】大塚 正義
(72)【発明者】
【氏名】樹杉 剛
【審査官】 種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−029273(JP,A)
【文献】 特開2012−184751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 39/00
F04D 29/44
F04D 29/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸周りに回転し、軸方向から流入する空気を圧縮して径方向の外側へ流す回転翼と、
前記軸方向に延び、前記回転翼へ空気を導く流入流路が形成されている導入部と、
前記導入部の内周面において周方向の一部から突出し、前記導入部の一端側から他端側へ延びて形成され、前記軸方向から見て、突出方向の先端が前記回転翼において空気が流入する流入範囲の外側に位置する突出部と、を備え、
前記流入流路は、前記回転翼の先端縁に対して径方向の外側の部分から前記軸方向において空気が流れる上流側に向かうに従って流路断面が大きくなる漏斗状の漏斗路と、前記漏斗路から前記軸方向の上流側に延びる円柱状の拡径路とを有し、
前記漏斗路、及び拡径路を形成する前記内周面は、前記軸方向に連続して形成されており、
前記突出部は、少なくとも前記拡径路に設けられている遠心圧縮機。
【請求項2】
前記突出部は、前記導入部に形成されている前記流入流路の軸方向の一端部から他端部まで形成されている請求項1に記載の遠心圧縮機。
【請求項3】
前記先端は、前記軸方向に沿っている請求項1又は2に記載の遠心圧縮機。
【請求項4】
前記突出部は、前記導入部の内周面において周方向の一箇所から突出している請求項1〜3の何れか1項に記載の遠心圧縮機。
【請求項5】
エンジンから排出される排気ガスが流れる力によって回転するタービンロータを有するタービンユニットと、
前記タービンロータから回転力が回転翼に伝達され、前記エンジンに供給する空気を圧縮する請求項1〜4の何れか1項に記載の遠心圧縮機と、
を備えたターボチャージャ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心圧縮機、及びターボチャージャに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のエンジンの過給装置において、遠心圧縮機を流れる空気の流量が少なくなる低速域では、遠心圧縮機の空気入口に設けられた案内羽根の傾斜角度を大きくすることで、空気の流れる方向が変えられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平01−26027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
遠心圧縮機を流れる空気の流量が少なくなると遠心圧縮機の入口側の圧力に対して遠心圧縮機の出口側の圧力が高くなる。圧力の大きさがある値を超えると、入口(導入部)から流入してインペラ(回転翼)によってディフューザ側へ流された空気の一部は、入口側(導入部側)へ逆流してしまうことがある。そして、逆流することで入口側へ戻された空気が入口から流入してインペラに向かう空気の流れを阻害してしまい、インペラに向かう空気の圧力は、低下してしまう。これにより、遠心圧縮機にサージングが発生してしまうことがある。
【0005】
本願発明の課題は、導入部から流入した空気が導入部側へ逆流することに起因するサージングの発生を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る遠心圧縮機は、軸周りに回転し、軸方向から流入する空気を圧縮して径方向の外側へ流す回転翼と、前記軸方向に延び、前記回転翼へ空気を導く流入流路が形成されている導入部と、前記導入部の内周面において周方向の一部から突出し、前記導入部の一端側から他端側へ延びて形成され、前記軸方向から見て、突出方向の先端が前記回転翼において空気が流入する流入範囲の外側に位置する突出部と、を備え、前記流入流路は、前記回転翼の先端縁に対して径方向の外側の部分から前記軸方向において空気が流れる上流側に向かうに従って流路断面が大きくなる漏斗状の漏斗路と、前記漏斗路から前記軸方向の上流側に延びる円柱状の拡径路とを有し、前記漏斗路、及び拡径路を形成する前記内周面は、前記軸方向に連続して形成されており、前記突出部は、少なくとも前記拡径路に設けられていることを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、軸方向に延びる導入部が空気を回転翼へ導き、回転する回転翼は、軸方向から流入する空気を圧縮して径方向の外側へ流す。また、導入部の内周面には、導入部の一端側から他端側まで延びる突出部が形成されている。
【0008】
ここで、遠心圧縮機から排出される圧縮空気の流量が少ない場合には、回転する回転翼によって圧縮されて径方向の外側へ流された空気の一部は、逆方向に折り返して導入部側へ流れる(逆流する)。
【0009】
さらに、導入部側へ逆流した空気は、導入部の内周面に沿って螺旋状に流れる。ここで、導入部の内周面には突出部が形成されているため、螺旋状に流れる空気は、突出部に当たり、軸方向から見て、回転翼の回転中心側へ流れる。
【0010】
回転翼の回転中心側へ流れた空気は、軸方向に沿って回転翼側へ流れる空気を押圧(加圧)する。これにより、回転翼側へ流れる空気が軸方向から見て一方側へ寄せられ、回転翼側へ流れる空気の圧力は高くなる。このため、回転翼によって圧縮されて径方向の外側へ流された空気の逆流が抑制される。そして、空気の逆流が抑制されることで、導入部から流入した空気が導入部側へ逆流することに起因するサージングの発生を抑制することができる。
【0011】
本発明の請求項2に係る遠心圧縮機は、請求項1に記載の遠心圧縮機において、前記突出部は、前記導入部に形成されている前記流入流路の軸方向の一端部から他端部まで形成されていることを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、突出部が導入部の軸方向の一端部から他端部まで形成されているため、突出部が導入部の軸方向の一端部から他端部まで形成されていない場合と比して、逆流して突出部に当たる空気が効果的に回転翼の回転中心側へ流れる。これにより、導入部から流入した空気が導入部側へ逆流することに起因するサージングの発生を効果的に抑制することができる。
【0013】
本発明の請求項3に係る遠心圧縮機は、請求項1又は2に記載の遠心圧縮機において、前記先端は、前記軸方向に沿っていることを特徴とする。
【0014】
上記構成によれば、突起部の先端は、軸方向に沿っている。このため、例えば、突出部の先端が軸方向に対してジグザグ状の場合と比して、回転翼側への空気の流れを阻害するのを効果的に抑制することができる。
【0015】
本発明の請求項4に係る遠心圧縮機は、請求項1〜3の何れか1項に記載の遠心圧縮機において、前記突出部は、前記導入部の内周面において周方向の一箇所から突出していることを特徴とする。
【0016】
上記構成によれば、突出部は、導入部の内周面において周方向の一箇所から突出しているため、回転翼側へ流れる空気は、エネルギーが分散せず集中して一方側だけに押圧される。このため、複数の方向に押圧される場合と比して、回転翼側へ流れる空気の圧力が効果的に高くなる。これにより、導入部から流入した空気が導入部側へ逆流することに起因するサージングの発生を効果的に抑制することができる。
【0017】
本発明の請求項5に係るターボチャージャは、エンジンから排出される排気ガスが流れる力によって回転するタービンロータを有するタービンユニットと、前記タービンロータから回転力が回転翼に伝達され、前記エンジンに供給する空気を圧縮する請求項1〜4の何れか1項に記載の遠心圧縮機と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、遠心圧縮機におけるサージングの発生が抑制されることで、圧縮空気をエンジンに効率よく供給することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、導入部から流入した空気が導入部側へ逆流することに起因するサージングの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態に係る遠心圧縮機を示した断面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る遠心圧縮機を示した正面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る遠心圧縮機のサージング限界をグラフで示した図面である。
図4】(A)(B)本発明の第1実施形態に係る遠心圧縮機のCFD解析の解析結果、及び比較形態に係る遠心圧縮機のCFD解析の解析結果を示した図面である。
図5】本発明の第1実施形態に係るターボチャージャを示した構成図である。
図6】本発明の第1実施形態に対する比較形態に係る遠心圧縮機を示した断面図である。
図7】本発明の第1実施形態に対する比較形態に係る遠心圧縮機を示した正面図である。
図8】本発明の第2実施形態に対する比較形態に係る遠心圧縮機を示した断面図である。
図9】本発明の第3実施形態に対する比較形態に係る遠心圧縮機を示した断面図である。
図10】本発明の第4実施形態に係る遠心圧縮機を示した正面図である。
図11】本発明の第5実施形態に係る遠心圧縮機を示した正面図である。
図12】本発明の第6実施形態に係る遠心圧縮機を示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る遠心圧縮機、ターボチャージャの一例について図1図7を用いて説明する。
【0022】
(全体構成)
第1実施形態に係るターボチャージャ10は、図5に示されるように、タービンユニット20と、遠心圧縮機30と、タービンユニット20と遠心圧縮機30とを連結する連結ユニット40とを備えている。そして、タービンユニット20は、自動車のエンジン(図示省略)の排気通路12の途中に配置され、遠心圧縮機30は、このエンジンの吸気通路14の途中に配置されている。
【0023】
タービンユニット20は、タービンハウジング24を備え、遠心圧縮機30は、筐体であるハウジング50を備え、連結ユニット40は、タービンハウジング24とハウジング50とを連結する連結ハウジング44を備えている。そして、タービンハウジング24、連結ハウジング44、及びハウジング50は、図示せぬ固定具で互いに固定されている。
【0024】
また、後述する回転軸42の軸方向(図中矢印E方向:以下単に「軸方向」)は、タービンハウジング24、連結ハウジング44、及びハウジング50の並び方向と同様とされている。そして、タービンハウジング24、連結ハウジング44、及びハウジング50は、この順番で軸方向の一端側(図中右側)から他端側(図中左側)へ並んでいる。
【0025】
〔タービンユニット〕
タービンユニット20は、図5に示されるように、タービンハウジング24を備えており、タービンハウジング24は、内部が空洞とされている。このタービンハウジング24の内部には、タービンロータ22が配置されている。このタービンロータ22は、円柱状とされている回転軸42の軸方向の一端側(図中右側)の部分に固定されるロータ軸部28と、ロータ軸部28から延出する複数のタービン翼26とを有している。この構成において、隣り合うタービン翼26の間に、エンジンから排出された排気ガス(流体の一例)が流れ込むようになっている。そして、タービンロータ22と回転軸42とは一体となってタービンハウジング24内で回転するようになっている。
【0026】
また、タービンハウジング24においてタービンロータ22に対して回転軸42の径方向(図中矢印D方向:以下単に「径方向」)の外側の部分には、排気通路12を流れる排気ガスをタービンハウジング24の内部に流入させる渦巻き状の渦巻き流路24Aが形成されている。さらに、タービンハウジング24においてタービンロータ22に対して軸方向の外側(図中右側)の部分には、排気ガスをタービンハウジング24の外部に排出する排出流路24Bが形成されている。
【0027】
この構成において、渦巻き流路24Aからタービンハウジング24の内部に流入した排ガスは、複数のタービン翼26を押圧してタービンロータ22を回転させ、排出流路24Bから排出されるようになっている。つまり、タービンロータ22は、所謂ラジアルタービンロータとされている。
【0028】
〔連結ユニット〕
連結ユニット40は、図5に示されるように、連結ハウジング44を備えている。そして、この連結ハウジング44は、回転軸42を回転可能に支持する支持部44Aを有している。
【0029】
さらに、連結ハウジング44は、循環するエンジンオイルが連結ハウジング44の内部に流入する流入口(図示省略)と、エンジンオイルを連結ハウジング44内から排出する排出口(図示省略)とを有している。
【0030】
この構成において、連結ハウジング44の内部に流入したエンジンオイルは、支持部44Aに供給され、回転軸42が滑らかに回転するようになっている。
【0031】
〔遠心圧縮機〕
遠心圧縮機30は、図5に示されるように、ハウジング50と、ハウジング50の内部に配置されている回転翼の一例としてのインペラ32とを備えている。さらに、ハウジング50には、インペラ32によって圧縮される空気が流れる流入流路52と、インペラ32によって圧縮された空気が流れる渦巻き流路54(所謂スクロール流路)とが形成されている。
【0032】
なお、遠心圧縮機30については詳細を後述する。
【0033】
(全体構成の作用)
次に、ターボチャージャ10の作用について説明する。
【0034】
排気通路12を流れる排気ガスは、渦巻き流路24Aからタービンハウジング24の内部に流入してタービン翼26を押圧する。これにより、タービンロータ22が回転し、この回転が回転軸42を介してインペラ32に伝達される。なお、タービンハウジング24の内部でタービンロータ22を回転させた排気ガスは、排出流路24Bから排出される。
【0035】
回転軸42を介して回転が伝達されることで回転するインペラ32は、流入流路52からハウジング50の内部に流入した空気をインペラ翼36によって圧縮する。そして、回転するインペラ32によって圧縮された圧縮空気は、渦巻き流路54を流れて吸気通路14に排出される。渦巻き流路54から排出された圧縮空気は、燃焼用の圧縮空気としてエンジンに供給される。
【0036】
(要部構成)
次に、遠心圧縮機30について説明する。
【0037】
遠心圧縮機30は、図5に示されるように、ハウジング50と、ハウジング50の内部に配置されるインペラ32とを備えている。
【0038】
〔インペラ〕
インペラ32は、前述したように、回転軸部34と、回転軸部34に基端部が接続されている複数のインペラ翼36とを有している。
【0039】
回転軸部34は、軸方向の外側(連結ハウジング44とは反対側:図中左側)に向かうに従って徐々に細くなっている。
【0040】
また、インペラ翼36は、図2に示されるように、回転軸部34から径方向の外側へ湾曲しながら延出している。
【0041】
そして、夫々のインペラ翼36は、図5に示されるように、インペラ翼36の先端側(空気が流入する側)の部分で軸方向の外側を向く先端縁36Aと、先端縁36Aの端部に接続され、インペラ翼36の基端側に向かう湾曲した湾曲縁36Bとを有している。さらに、夫々のインペラ翼36は、湾曲縁36Bの端部に接続され、端面が径方向の外側を向く基端縁36Cを有している。
【0042】
この構成において、回転するインペラ32は、インペラ翼36の先端縁36A側から流入する空気を圧縮し、圧縮した空気(圧縮空気)をインペラ翼36の基端縁36Cから径方向の外側へ流すようになっている。
【0043】
〔ハウジング〕
ハウジング50には、図5に示されるように、吸気通路14を流れる空気をインペラ32を導く流入流路52と、拡散流路56(所謂ディフューザ流路)と、渦巻き状の渦巻き流路54とが形成されている。
【0044】
拡散流路56は、軸方向から見てインペラ32を囲むように形成され(図2参照)、回転するインペラ32によって圧縮されて径方向の外側へ流された圧縮空気を渦巻き流路54に導くようになっている。
【0045】
渦巻き流路54は、軸方向から見て拡散流路56を囲むように渦巻き状に形成され(図2参照)、渦巻き流路54の流路断面は、おおむね円形とされている。
【0046】
ハウジング50においてインペラ32に対して軸方向の外側の部分には、導入部60が設けられ、流入流路52は、この導入部60に形成されている。換言すれば、導入部60に形成されている流入流路52が、インペラ翼36へ空気を導くようになっている。
【0047】
流入流路52は、図2に示されるように、軸方向から見てインペラ翼36の先端縁36Aを囲むように形成され、流入流路52の軸方向に直交する断面は、円形とされている。
【0048】
さらに、流入流路52は、図5に示されるように、軸方向へ延び、軸方向に対して直交する断面がインペラ翼36において空気が流入する流入範囲に比して大きくされている。そして、流入流路52は、インペラ翼36側に形成され、外側に向かうに従って流路断面が大きくなる漏斗状の漏斗路68と、漏斗路68から外側に延びる拡径路66とを有している。ここで、インペラ翼36において空気が流入する流入範囲B(以下単に「流入範囲B」)とは、回転するインペラ翼36の先端縁36Aが描く円形の内側の範囲(図2図5の範囲B)である。
【0049】
拡径路66は、回転軸42の軸線を中心線(図中に示す一点鎖線C)として軸方向へ延びる円柱状とされている。また、漏斗路68は、拡径路66からの空気をインペラ翼36の先端縁36A側へ導くように、拡径路66側からインペラ翼36の先端縁36A側まで外径が徐々に小さくなる漏斗状とされている。
【0050】
さらに、導入部60の内周面60Aには、周方向の一箇所(一部)から突出する突出部72が形成されている(図2参照)。この突出部72は、板状とされ、軸方向において導入部60の一端部から他端部まで軸方向に沿って延びて形成されている。また、突出部72の突出方向の先端72Aは、軸方向に沿っており、図2に示されるように、軸方向から見て、流入範囲Bの外側に位置している。
【0051】
本実施形態では、一例として、インペラ入口径をD1(図1参照)し、拡径路66の軸方向の長さをS1とすると、S1/D1≒0.444とされる。また、拡径路66の内径をD0とすると、D0/D1≒1.417とされる。さらに、漏斗路68の軸方向の長さをS2とすると、S2/D1≒0.333とされる。また、突出部72の高さをhとすると、h/D1≒0.181とされる。さらに、漏斗路68の入り口の内径をD2とすると、D2/D1≒1.019とされる。
【0052】
なお、突出部72に当たった空気をインペラ32の回転中心側へ流す作用(詳細は後述)を効果的に生じさせるためには、拡径路66の長さは、S1/D1=0.4以上とされ、突出部72の高さは、h/D1=0.13以上とされることが好ましい。
【0053】
(作用)
次に、本第1実施形態に係る遠心圧縮機30の作用について、本第1実施形態に対する比較形態に係る遠心圧縮機100と比較しつつ説明する。
【0054】
比較形態に係る遠心圧縮機100の導入部60の内周面60Aには、図6に示されるように、突出部72は、形成されていない。なお、遠心圧縮機100の他の構成については、遠心圧縮機30と同様である。
【0055】
この構成において、先ず、遠心圧縮機100から排出される圧縮空気の流量が少ない場合について説明する。この場合には、遠心圧縮機100の圧力比は、遠心圧縮機100から排出される圧縮空気の流量が大きい場合に比して、大きくなっている。
【0056】
図6に示されるように、回転するインペラ32は、流入流路52を軸方向に沿ってインペラ32側へ流れインペラ翼36の先端縁36A側から流入する空気(矢印L1)を圧縮し、インペラ翼36の基端縁36Cから径方向の外側の拡散流路56へ流す。ここで、前述したように、遠心圧縮機100の圧力比は、遠心圧縮機100から排出される圧縮空気の流量が大きい場合に比して、大きくなっている。
【0057】
このため、インペラ翼36の基端縁36Cから径方向の外側の拡散流路56へ流れた空気は、渦巻き流路54側へ流れる空気(矢印L2)と、逆方向に折り返してインペラ翼36とハウジング50との間を通って流入流路52側へ流れる空気(矢印L3)とに分かれる(剥離する)。
【0058】
さらに、流入流路52側へ逆流した空気は、図6図7に示されるように、導入部60の内周面60Aに沿って螺旋状に流れ(矢印L4)、導入部60から流出する。
【0059】
なお、遠心圧縮機100から排出される圧縮空気の流量が大きい場合には、遠心圧縮機100の圧力比は、遠心圧縮機100から排出される圧縮空気の流量が小さい場合に比して、小さくなっている。このため、インペラ翼36の基端縁36Cから径方向の外側の拡散流路56へ流れた空気が逆方向に折り返すことはない。
【0060】
次に、遠心圧縮機30から排出される圧縮空気の流量が少ない場合について説明する。この場合には、遠心圧縮機30の圧力比は、遠心圧縮機30から排出される圧縮空気の流量が大きい場合に比して、大きくなっている。
【0061】
図1に示されるように、回転するインペラ32は、流入流路52を軸方向に沿ってインペラ32側へ流れインペラ翼36の先端縁36A側から流入する空気(矢印M1)を圧縮し、インペラ翼36の基端縁36Cから径方向の外側の拡散流路56へ流す。ここで、前述したように、遠心圧縮機30の圧力比は、遠心圧縮機30から排出される圧縮空気の流量が大きい場合に比して、大きくなっている。
【0062】
このため、インペラ翼36の基端縁36Cから径方向の外側の拡散流路56へ流れた空気は、渦巻き流路54側へ流れる空気(矢印M2)と、逆方向に折り返してインペラ翼36の湾曲縁36Bに沿って流入流路52側へ流れる空気(矢印M3)とに分かれる(剥離する)。
【0063】
さらに、流入流路52側へ逆流した空気は、図2に示されるように、導入部60の内周面60Aに沿って螺旋状に流れ(矢印M4)、導入部60から流出する。ここで、導入部60の内周面60Aには突出部72が形成されている。このため、導入部60の内周面60Aに沿って螺旋状に流れる空気は、突出部72に当たり(に案内され)、軸方向から見て、インペラ32の回転中心側へ流れる(矢印M5)。
【0064】
そして、インペラ32の回転中心側へ流れた空気は、流入流路52を軸方向に沿ってインペラ32側へ流れる空気(矢印M1)を押圧(加圧)し、インペラ32側へ流れる空気は、流入流路52において突出部72とは反対側の部分に押圧される(寄せられる)。このため、遠心圧縮機30では、インペラ32側へ流れる空気の圧力は高くなる。
【0065】
なお、遠心圧縮機30から排出される圧縮空気の流量が大きい場合には、遠心圧縮機30の圧力比は、遠心圧縮機100から排出される圧縮空気の流量が小さい場合に比して、小さくなっている。さらに、突出部72の先端72Aは、軸方向から見て、流入範囲Bの外側へ位置している。これにより、突出部72は、インペラ32側への空気の流れを阻害することがない。
【0066】
このため、インペラ翼36の基端縁36Cから径方向の外側の拡散流路56へ流れた空気は、逆方向に折り返すことはない。
【0067】
ここで、遠心圧縮機30、100のサージング限界について説明する。
【0068】
図3に示されるグラフの縦軸は遠心圧縮機30、100による空気の圧力比を示し、横軸は遠心圧縮機30、100から排出される圧縮空気の流量〔g/sec〕を示している。
【0069】
図3に示すグラフ中の実線G1は、インペラ32の回転数を一定にし、遠心圧縮機30から排出される圧縮空気の流量を変えた場合の圧縮空気の流量と圧力比(遠心圧縮機30の出口における圧力P2と入口における圧力P1との比P2/P1)との関係を示している。これに対して、破線J1は、インペラ32の回転数を実線G1と同様の回転数にし、遠心圧縮機100から排出される圧縮空気の流量を変えた場合の圧縮空気の流量と圧力比との関係を示している。
【0070】
そして、圧縮空気の流量を徐々に少なくし、サージングが発生する圧縮空気の流量と圧力比とを検出した。つまり、サージングが発生するまで圧縮空気の流量を少なくした。すなわち、遠心圧縮機30については、最も圧縮空気の流量が少ない点g1でサージングが発生し、遠心圧縮機100については、最も圧縮空気の流量が少ない点j1でサージングが発生した。なお、サージングについては、ハウジング50に振動計を取り付けて、振幅が予め定められた閾値に達した場合に、サージングの発生と判断した。
【0071】
遠心圧縮機30を用いて測定した実線G2については、実線G1に比して回転数を高くし、実線G3については、実線G2に比して回転数を高くした場合を示している。そして、実線G2においては、最も圧縮空気の流量が少ない点g2でサージングが発生し、実線G3においては、最も圧縮空気の流量が少ない点g3でサージングが発生した。
【0072】
これに対して、遠心圧縮機100を用いて測定した破線J2については、遠心圧縮機30の実線G2と同様の回転数とし、破線J3については、遠心圧縮機30の実線G3と同様の回転数とした場合を示している。そして、破線J2においては、最も圧縮空気の流量が少ない点j2でサージングが発生し、破線J3においては、最も圧縮空気の流量が少ない点j3でサージングが発生した。
【0073】
また、他の回転数においても実線G1〜G3及び破線J1〜J3と同様の作業を行い、遠心圧縮機30、100においてサージングが発生する圧縮空気の流量と圧力比とを求めた。
【0074】
そして、グラフ中の実線H1が、遠心圧縮機30を用いた場合のサージング限界線H1(以下「限界線H1」)であり、グラフ中の実線H2が、遠心圧縮機100を用いた場合のサージング限界線H2(以下「限界線H2」)である。
【0075】
遠心圧縮機30では、グラフ中の限界線H1よりも右側(流量が大きい側)のエリアでサージングが発生することがない。また、遠心圧縮機100では、グラフ中の限界線H2よりも右側(流量が大きい側)のエリアでサージングが発生することがない。
【0076】
ここで、限界線H1と限界線H2とを比較すると、限界線H1が限界線H2に比して図中左側(空気流量が少ない側)に位置している。これにより、圧縮空気の流量が少ない場合に、遠心圧縮機30では、遠心圧縮機100に比して、サージングの発生が抑制されていることが分かる。
【0077】
次に、インペラ32の回転数を同様にして圧縮空気の流量を少なくすると、サージングが発生する理由について説明する。
【0078】
圧縮空気の流量が少なくなると、前述したように、インペラ翼36の基端縁36Cから径方向の外側の拡散流路56へ流れた空気は、渦巻き流路54側へ流れる空気と、逆方向に折り返してインペラ翼36の湾曲縁36Bに沿って流入流路52側へ流れる空気とに分かれる(図1参照)。換言すれば、一方向に流れる空気が剥離しながら渦巻き流路54側へ流れる空気と、流入流路52側へ流れる空気とに分かれる。この空気の剥離に起因して、拡散流路56の近傍でサージングが発生してしまう。
【0079】
ここで、遠心圧縮機30では、遠心圧縮機100に比して、サージングの発生が抑制されている理由について考察する。
【0080】
前述したように、遠心圧縮機30では、遠心圧縮機100に比して、インペラ32側へ流れる空気の圧力は高くなる。
【0081】
このように、インペラ32側へ流れる空気の圧力が高くなることで、拡散流路56で逆方向に折り返す空気の流量は少なくなる。このため、遠心圧縮機30では、遠心圧縮機100に比して、サージングの発生が抑制されている。
【0082】
ここで、CFD(Computational Fluid Dynamics)解析を、遠心圧縮機30及び遠心圧縮機100に対して行った。具体的には、流入流路52を流れる空気の圧力についてCFD解析した。
【0083】
図4(A)が遠心圧縮機30の解析結果を示し、図4(B)が遠心圧縮機100の解析結果を示している。模様(ドット)を分けることで、流れる空気の圧力の高低が示している。
【0084】
図4(A)(B)に示される径方向の外側の三層については、流入流路52側へ逆流した空気の圧力を示している。また、インペラ32側へ流れる空気(逆流した空気に囲まれている空気)については、ドットの密度が高い程、空気の圧力が高くなっている。
【0085】
遠心圧縮機100では、図4(B)に示されるように、インペラ32側へ流れる空気の圧力が高い高圧力部102は、流入流路52の中央側で複数に分かれて存在している。
【0086】
これに対して、遠心圧縮機30では、インペラ32側へ流れる空気は、流入流路52において突出部72とは反対側の部分に押圧されている。このため、図4(A)に示されるように、インペラ32側へ流れる空気の圧力が高い高圧力部102は、突出部72とは反対側の部分に大きく存在する。さらに、遠心圧縮機30では、高圧力部102の中に、高圧力部102よりもドットの密度が高い(圧力が高い)高圧力部104が存在する。
【0087】
このCFD解析結果から、遠心圧縮機30の高圧力部102の総面積は、遠心圧縮機100の高圧力部102の総面積に比して大きいことが分かる。このように、遠心圧縮機30においてインペラ32側へ流れる空気の圧力は、遠心圧縮機100においてインペラ32側へ流れる空気の圧力に比して高いことが分かる。
【0088】
(まとめ)
以上説明したように、遠心圧縮機30では、突出部72を形成することで、拡散流路56で空気の一部が逆方向へ流れることに起因するサージングの発生を抑制することができる。
【0089】
また、突出部72の先端72Aは、軸方向から見て、流入範囲Bの外側へ位置している。このため、突出部72がインペラ32側への空気の流れを阻害するのを抑制することができる。
【0090】
また、突出部72は、導入部60の内周面60Aにおいて軸方向の一端部から他端部まで形成されている。このため、例えば、突出部72が導入部60の軸方向の一端部から他端部まで形成されていない場合と比して、インペラ32側へ流れる空気を流入流路52において突出部72とは反対側の部分に効果的に押圧することができる。
【0091】
また、突出部72の先端72Aは、軸方向に沿って入る。このため、例えば、突出部72の先端がジグザグ状の場合と比して、突出部72がインペラ32側への空気の流れを阻害するのを効果的に抑制することができる。
【0092】
また、突出部72は、導入部60の内周面60Aの一箇所(一部)から突出している。これにより、インペラ32側へ流れる空気は、一方側(流入流路52において突出部72とは反対側)だけに押圧される。このため、インペラ32側へ流れる空気の圧力が効果的に高くなる。これにより、拡散流路56で空気の一部が逆方向へ流れることに起因するサージングの発生を効果的に抑制することができる。
【0093】
また、ターボチャージャ10においては、遠心圧縮機30におけるサージングの発生が抑制されることで、圧縮空気をエンジンに効率よく供給することができる。
【0094】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る遠心圧縮機、ターボチャージャの一例について図8を用いて説明する。なお、第1実施形態と同一部材等については、同一符号を付してその説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0095】
図8に示されるように、第2実施形態に係る遠心圧縮機120の突出部122は、導入部60の軸方向の外側(図中左側)の端部から突出している。
【0096】
このように、突出部122を導入部60から突出させることで、導入部60に接続されるダクト124を流れる空気についても軸方向から見て、突出部72とは反対側の部分に押圧することができる。
【0097】
他の作用については、第1実施形態と同様である。
【0098】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る遠心圧縮機、ターボチャージャの一例について図9を用いて説明する。なお、第1実施形態と同一部材等については、同一符号を付してその説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0099】
図9に示されるように、第3実施形態に係る遠心圧縮機140の突出部142は、拡径路66のみに設けられている。
【0100】
このように、突出部142を拡径路66のみに設けることで、突出部142の形状を単純化にすることができる。
【0101】
他の作用については、第1実施形態において突出部が導入部60の一端部から他端部まで形成されていることで奏する作用以外の第1実施形態の作用を奏する。
【0102】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係る遠心圧縮機、ターボチャージャの一例について図10を用いて説明する。なお、第1実施形態と同一部材等については、同一符号を付してその説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0103】
図10に示されるように、第4実施形態に係る遠心圧縮機160の突出部162は、板状とされておらず、突出部162は、軸方向から見て、導入部60の内周面60Aから円弧状に立ち上がる一対の側面162Aを有している。具体的には、一対の側面162Aは、表面側が凹むように円弧状とされている。
【0104】
このように、突出部162の側面162Aを円弧状とすることで、導入部60の内周面60Aに沿って螺旋状に流れる空気(矢印M4)は、側面162Aに沿ってインペラ32の回転中心側へ流れる。このように、空気が側面162Aに沿って流れるため、突出部が板状の場合と比して、空気をインペラ32の回転中心側へ効果的に流すことができる。
【0105】
他の作用については、第1実施形態と同様である。
【0106】
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態に係る遠心圧縮機、ターボチャージャの一例について図11を用いて説明する。なお、第1実施形態と同一部材等については、同一符号を付してその説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0107】
図11に示されるように、第5実施形態に係る遠心圧縮機180の突出部182は、導入部60の内周面60Aの二箇所から突出している。一方の突出部182は、軸方向から見て、他方の突出部182とインペラ32の回転軸を挟んで反対側に配置されている。
【0108】
このように、突出部182を二箇所に配置することで、導入部60の内周面60Aに沿って螺旋状に流れる空気(矢印M4)は、一方の突出部182又は他方の突出部182に当たり、軸方向から見て、インペラ32の回転中心側へ流れる(矢印M5)。
【0109】
これより、インペラ32側へ流れる空気は、軸方向から見て、流入流路52中の二箇所に向けて押圧される(寄せられる)。
【0110】
他の作用については、インペラ32側へ流れる空気が軸方向から見て、流入流路52中の一箇所に向けて押圧される(寄せられる)作用を除いて、第1実施形態と同様である。
【0111】
<第6実施形態>
次に、本発明の第6実施形態に係る遠心圧縮機、ターボチャージャの一例について図12を用いて説明する。なお、第1実施形態と同一部材等については、同一符号を付してその説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0112】
図12に示されるように、第6実施形態に係る遠心圧縮機200の突出部202は、導入部60の内周面60Aの三箇所から突出している。また、夫々の突出部202は、軸方向から見て、内周面60Aの周方向に同様の間隔で配置されている。
【0113】
このように、突出部202を三箇所に配置することで、導入部60の内周面60Aに沿って螺旋状に流れる空気(矢印M4)は、第一の突出部202、第二の突出部202、又は第三の突出部202に当たり、軸方向から見て、インペラ32の回転中心側へ流れる(矢印M5)。
【0114】
これより、インペラ32側へ流れる空気は、軸方向から見て、流入流路52中の三箇所に向けて押圧される(寄せられる)。
【0115】
他の作用については、第1実施形態と同様である。
【0116】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、突出部72、122、142、162、182、202は、軸方向へ延びたが、突出部は、導入部60の一端側から他端側まで延びて形成されていればよく、例えば、軸方向に対して傾斜していてもよい。
【0117】
また、上記第1、4、5、6実施形態では、突出部72、162、182、202は、導入部60の一端部から他端部まで延びて形成されたが、突出部は、導入部60の一端側から他端側まで延びて形成されていればよく、例えば、部分的に突出部が欠落していてもよい。この場合には、突出部が、導入部60の一端部から他端部まで延びることで生じる効果は生じない。
【0118】
また、上記実施形態では、突出部72、122、142、162、182、202の先端は、軸方向に沿っているが、突出部の先端は、軸方向に沿っていなくてもよい。この場合には、突出部の先端が軸方向に沿うことで生じる効果は生じない。
【0119】
また、上記第2、3、4実施形態では、突出部122、142、162は、導入部60の内周面60Aの一箇所から突出したが、突出部が、導入部60の内周面60Aの複数箇所から突出してもよい。
【0120】
また、上記第5、6実施形態では、突出部182、202が、導入部60の内周面60Aの周方向において同様の間隔で配置されたが、異なる間隔で配置されてもよい。
【符号の説明】
【0121】
10 ターボチャージャ
20 タービンユニット
22 タービンロータ
30 遠心圧縮機
36 インペラ翼(回転翼の一例)
52 流入流路
60 導入部
60A 内周面
66 拡径路
72 突出部
72A 先端
120 遠心圧縮機
122 突出部
140 遠心圧縮機
142 突出部
160 遠心圧縮機
162 突出部
180 遠心圧縮機
182 突出部
200 遠心圧縮機
202 突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12