(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態1>
実施形態1を、
図1〜
図12を参照しつつ説明する。実施形態1のセンサの取付構造は、測温センサ30を単電池10(蓄電素子に該当)の電池ケース11(ケースに該当)に取り付けるための構成である。
【0013】
単電池10は、
図1に示すように、発電要素(図示せず)を収容する電池ケース11と、正負一対の電極端子14P、14Nと、一対のインシュレータ21P、21Nとを備える。電池ケース11は金属製であって、一面側に開口部を有する角型容器であるケース本体12と、ケース本体12の開口部を塞いで配置される蓋板13(ケース壁に該当)とを備えている。蓋板13は、細長い長方形の板状の部材であって、その外側面(
図3の上面)は電極配置面13Fとなっている。電極配置面13Fからは、正負一対の電極端子14P、14Nが突出している。電極端子14P、14Nは円柱状をなし、電極配置面13Fに対して垂直に立設されている。
【0014】
一対のインシュレータ21P、21Nのそれぞれは、蓋板13に組み付けられ、一対の電極端子14P、14Nのそれぞれを電池ケース11に対して絶縁しつつ保持する部材である。一対のインシュレータ21P、21Nのうち一方のインシュレータ21P(絶縁部材に該当)は、測温センサ30を取り付けるための構成を有している。このインシュレータ21Pは、
図6に示すように、本体部22と、一対の位置決めリブ26、26と、押さえ壁27(押さえ部に該当)とを備えている。
【0015】
本体部22は、
図6に示すように、電極配置面13Fから外方に突出して配置される円柱状の部分であって、中心に孔部22Hを有し、孔部22Hの内部には一方の電極端子14Pが挿通されている。
【0016】
本体部22は、測温センサ30を保持するための一対の係合凹部23、23を有している。一対の係合凹部23、23は互いに同様の構成を有しているので、以下には、一方の係合凹部23について詳しく説明し、他方の係合凹部23については、一方の係合凹部23の各部と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0017】
係合凹部23は、
図7および
図8に示すように、本体部22の外周面22Fを基準として凹み、電極配置面13Fと、この電極配置面13Fに対して平行に、隙間を空けて配置される天井面24と、本体部22の外周面22Fに対して引っ込んで位置し、電極配置面13Fと天井面24とを繋ぐ奥壁面25とで定義される凹部である。
【0018】
奥壁面25は、
図8に示すように、本体部22の外周面22Fから、蓋板13の長辺に対して平行に延びる乗り上げ面25Aと、この乗り上げ面25Aから連なり、乗り上げ面25Aに対して垂直に(蓋板13の短辺に対して平行に)延びる係合受面25Bと、この係合受面25Bから斜めに延び、本体部22の外周面22Fに連なる傾斜面25Cとを有している。
【0019】
一対の位置決めリブ26、26のそれぞれは、
図6および
図8に示すように、本体部22の外周面22Fから、蓋板13の長辺に平行に延びるすじ状の壁部であって、互いに平行に配置されている。
【0020】
押さえ壁27は、
図6に示すように、本体部22の外周面22Fから、一対の位置決めリブ26、26と同方向に延びる板状の部分であって、電極配置面13Fに対して間隔を空けて平行に配置され、一対の位置決めリブ26、26を電極配置面13Fとの間で挟んで配置されている。
図7に示すように、押さえ壁27の一面(電極配置面13Fと対向する面)は、天井面24と面一となっている。
【0021】
測温センサ30は、
図9に示すように、温度検出部31と、この温度検出部31から連なる組付部51とを備える。
【0022】
温度検出部31は、角型容器状の素子収容部32と、電線42に接続され、素子収容部32の内部に配置された温度検出素子41と、温度検出素子41を封止する樹脂封止部37と、素子収容部32から延びる一対の脚部36、36とを備える。
【0023】
素子収容部32は、
図12に示すように、枠部33と伝熱板35とで構成される。枠部33は、
図9および
図12に示すように、両端に開口部34A、34Bを有する角筒状の部分であって、
図10に示すように、互いに平行に配置される一対の第1側壁33A、33Aと、一対の第1側壁33A、33Aに対して垂直な第2側壁33Bおよび第3側壁33Cを備えている。伝熱板35は、
図12に示すように、枠部33の一方の開口部34Aを塞ぐように配置された、金属製の矩形の板である。素子収容部32において、伝熱板35が配された面は、
図3および
図12に示すように、測温センサ30が単電池10に取り付けられた状態で電極配置面13Fに当接する温度検知面31Fとなっている。
【0024】
一対の脚部36、36のそれぞれは、
図9および
図10に示すように、2つの第1側壁33Aのそれぞれから延びる板状の部分である。各脚部36は、各第1側壁33Aにおいて温度検知面31F側の端縁に沿って延びている。
【0025】
枠部33の内部には、
図12に示すように、温度検出素子41が、伝熱板35に当接して配置されており、この温度検出素子41に接続された電線42、42が、枠部33の他方の開口部34Bから外部に導出されている。枠部33の内部には封止用の樹脂を充填することによって樹脂封止部37が形成されており、この樹脂封止部37の内部に温度検出素子41が埋め込まれている。
【0026】
組付部51(バネ部に該当)は、
図9に示すように、温度検出部31から連なる一対の延出部56、56と、一対の延出部56、56から連なる一対の調整部61、61と、一対の調整部61、61から位置決め受部52を介して連なる一対の係合アーム54、54(係合部、傾斜部に該当)とを備えている。
【0027】
一対の延出部56、56のそれぞれは、
図9および
図10に示すように、枠部33において第1側壁33Aと第2側壁33Bとで構成される2つの角部のそれぞれから、第2側壁33Bに対して垂直に延出された板状の部分である。各延出部56は、各第2側壁33Bにおいて温度検知面31F側の端縁に沿って延びている。
【0028】
一対の調整部61、61のそれぞれは、
図3に示すように、測温センサ30が単電池10に取り付けられた状態で電極配置面13Fとは反対側に向かって凸となるU字状に湾曲された、板バネ状の部分である。各調整部61において、一対のU字の縦棒部分は、
図5に示すように、互いに近接および離間する方向に変位する一対の変位部(第1変位部62、第2変位部63)となっており、第1変位部62の一端と、第2変位部63の一端とが、アーチ状の連結部64によって連結されている。各調整部61は、一端(第1変位部62において連結部64とは反対側の端縁)が、各延出部56に接続しており、他端(第2変位部63において連結部64とは反対側の端縁)が、位置決め受部52に接続している。
【0029】
位置決め受部52は、
図10に示すように、第2側壁33Bと平行方向に延びる細長い板状の部分であって、2つの位置決め凹部53を有している。各位置決め凹部53は、位置決め受部52において、温度検出部31とは反対側の側縁を基準として凹む凹部であり、内部に、一対の位置決めリブ26、26のそれぞれの先端部を受け入れ可能となっている。
【0030】
一対の係合アーム54、54のそれぞれは、
図10に示すように、位置決め受部52の両端のそれぞれから、温度検出部31とは反対方向に延びる、全体として細長い板状の部分である。一対の係合アーム54、54は、互いに平行に配置されている。各係合アーム54の表裏両面のうち一方の板面は、
図3に示すように、測温センサ30が単電池10に取り付けられた状態で電極配置面13Fに対向する電池対向面54Fである。
【0031】
各係合アーム54は、
図10および
図12に示すように、位置決め受部52に接続されている一端を固定端54Bとし、その反対側を自由端54Aとして、相手側の係合アーム54に対して近接または離間する方向に撓み可能となっている。各係合アーム54は、インシュレータ21Pの係合受面25Bに係止される係合突起55を備えている。係合突起55は、
図10に示すように、係合アーム54の自由端54Aから、内側(相手側の係合アーム54に近づく方向)に突出する板片状の部分である。
【0032】
図3および
図5に示すように、測温センサ30が単電池10に取り付けられた状態では、温度検出部31が、温度検知面31Fの全体を電極配置面13Fに密着させて配置されるのに対し、位置決め受部52および各係合アーム54の固定端54Bは、電極配置面13Fに対してクリアランスC1を有する状態で配置される。そして、各係合アーム54は、全体として、温度検出部31から離れるほど電極配置面13Fに近づくように傾斜している。
【0033】
各係合アーム54は、測温センサ30が単電池10に組み付けられていない単体での状態(
図11の状態)では、測温センサ30が単電池10に組み付けられた状態(
図3の状態)よりも、温度検知面31Fに対する傾きが大きくなっている。
【0034】
測温センサ30が単電池10に組み付けられていない単体での状態における、2つの係合アームの固定端54B、54Bにおける電池対向面54Fとは反対側の縁部54BE、54BEを含み、温度検知面31Fと平行な面を第1仮想面F1とし、2つの係合アーム54の自由端54Aにおける電池対向面54F側の縁部54AE、54AEを含み、温度検知面31Fと平行な面を第2仮想面F2としたとき、電極配置面13Fと押さえ壁27との距離D1は、係合アーム54、54の厚さ(電池対向面54Fからその反対側の面までの距離)T1よりも大きく、第1仮想面F1と第2仮想面F2との距離D2よりも小さくなっている(
図5、
図11参照)。
【0035】
測温センサ30を単電池10に取り付ける際には、まず、電極配置面13F上に、測温センサ30を、温度検知面31Fが電極配置面13Fを向き、係合アーム54、54がインシュレータ21Pを向くように配置する。この状態で、測温センサ30をインシュレータ21Pに向かって押圧し、各係合アーム54を各係合凹部23に進入させていく。各係合アーム54は外側(相手側の係合アーム54と離れる方向)に向かって撓み、係合突起55が乗り上げ面25Aに乗り上げる。
【0036】
さらに測温センサ30を押し込んでいくと、
図4に示すように、係合突起55が乗り上げ面25Aを乗り越えて各係合アーム54が弾性復帰する。係合突起55が係合受面25Bに係合することで、組付部51がインシュレータ21Pに対して組み付け状態に保持される。この状態では、
図4に示すように、2つの位置決め受部52、52のそれぞれの内部に2つの位置決めリブ26、26の先端部のそれぞれが入り込むことによって、測温センサ30が本体部22の外周面22Fに沿って回転しないよう、位置決めがなされる。
【0037】
また、
図3および
図5に示すように、各係合アーム54、54が押さえ壁27と電極配置面13Fとの隙間に入り込む。ここで、上記したように、電極配置面13Fと押さえ壁27との距離D1は、第1仮想面F1と第2仮想面F2との距離D2よりも小さくなっているから、各係合アーム54、54が押さえ壁27と電極配置面13Fとの隙間に入り込むと、押さえ壁27が係合アーム54、54の固定端54B、54Bを電極配置面13Fに向かって押圧する状態となる。これにより、測温センサ30は、単電池10に対して組み付けられていない単体での状態よりも、係合アーム54、54の傾斜が緩くなり、一対の調整部61、61が拡開するように(第1変位部62と第2変位部63とが互いに離間するように)変形する。この変形に伴って、温度検知面31Fが電極配置面13Fに向かって押し付けられた状態となる。このようにして、温度検知面31Fを電極配置面13Fに密着させ、測温の精度を確保することができる。また、係合アーム54、54および一対の調整部61、61が、単電池10の寸法公差に応じた変形量で変形することによって、単電池10の寸法公差を吸収できる。
【0038】
以上のように、本実施形態のセンサの取付構造は、単電池10に測温センサ30を取り付けるための構造である。単電池10は、電極端子14Pと、電池ケース11と、インシュレータ21Pとを備える。電池ケース11は、蓋板13を備え、蓋板13の外面が電極配置面13Fとされている。インシュレータ21Pは、蓋板13に組み付けられて電極端子14Pを蓋板13から絶縁しつつ保持する部材である。また、測温センサ30は、温度検出素子41を保持するとともに、電極配置面13Fに当接する温度検知面31Fを有する温度検出部31と、インシュレータ21Pに係合する一対の係合アーム54、54を備え、温度検出素子41を電極配置面13Fに密着させる組付部51とを備えている。
【0039】
上記の構成によれば、単電池10が備えるインシュレータ21Pを利用し、このインシュレータ21Pに測温センサ30の係合アーム54、54を係合させているので、従来の台板を介してサーミスタを電池に取り付ける構成と比較して、台板を介していない分だけ、センサ取り付けの全体構造を単純化できる。
また、台板を介していない分だけ、寸法公差の影響を小さくすることができるから、温度検出素子41を電極配置面13Fに密着させるためのばね構造を単純化することができる。
以上より、測温センサ30の取り付けのための構成を単純化しつつ、測温の精度を確保できる。
【0040】
また、一対の調整部61、61のそれぞれが、温度検出部31から連なる第1変位部62と、一対の係合アーム54、54に連なり、第1変位部62に対して近接および離間する方向に変位する第2変位部63とを備え、一対の係合アーム54、54が、温度検出部31から離れるほど電極配置面13Fに近づく向きに傾斜しており、インシュレータ21Pが、係合アーム45、45を電極配置面13Fに向かって押圧する押さえ壁27を備えている。
【0041】
上記の構成によれば、押さえ壁27が係合アーム54、54を電極配置面13Fに向かって押圧することによって、測温センサ30は、係合アーム54、54の傾斜が緩くなり、一対の調整部61、61が拡開するように変形し、温度検知面31Fが電極配置面13Fに向かって押し付けられた状態となる。このように、単純なばね構造で、温度検知面31Fを電極配置面13Fに密着させ、測温の精度を確保することができる。
【0042】
<実施形態2>
実施形態2を、
図13〜
図25を参照しつつ説明する。本実施形態のセンサの取付構造は、実施形態1と同様、測温センサ130を単電池110(蓄電素子に該当)の電池ケース11(ケースに該当)に取り付けるための構成である(
図13参照)。本実施形態は、インシュレータ121P(絶縁部材に該当)および組付部151(バネ部に該当)の構成が実施形態1と異なる。本実施形態において、実施形態1と同様の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
【0043】
インシュレータ121Pは、
図20および
図22に示すように、係合凹部123を有する本体部122と、一対の位置決めリブ126、126と、押さえ壁127(押さえ部に該当)とを備えている。本体部122は、
図20に示すように、電極配置面13Fから外方に突出して配置される直方体状の部分であって、中心に孔部122Hを有し、孔部122Hの内部には一方の電極端子14Pが挿通されている。
【0044】
本体部122の4つの側壁面(蓋板13と垂直な面)は、
図22に示すように、蓋板13の長辺に平行な一対の長壁122L、122Lと、蓋板13の短辺に平行な一対の短壁122S1、122S2とで構成されている。
【0045】
係合凹部123は、
図16、
図19および
図22に示すように、一対の短壁122S1、122S2のうち一方の短壁122S1を基準として内側(他方の短壁122S2に向かう方向)に凹み、電極配置面13Fと、この電極配置面13Fに対して平行に、隙間を空けて配置される係合受面124と、短壁122S1に対して引っ込んで位置し、電極配置面13Fと係合受面124とを繋ぐ奥壁面125とで定義される凹部である。係合凹部123は、一対の長辺間の中央位置に配置されている。
【0046】
一対の位置決めリブ126、126のそれぞれは、
図20および
図22に示すように、本体部122の他方の短壁122S2から垂直に延びるすじ状の壁部であって、互いに平行に配置されている。
【0047】
押さえ壁127は、
図16、
図18および
図20に示すように、本体部122の他方の短壁122S2から垂直に延びる板状の部分であって、電極配置面13Fに対して間隔を空けて平行に配置されている。
図20に示すように、押さえ壁127は、一対の位置決めリブ26、26を電極配置面13Fとの間で挟んで配置され、一対の位置決めリブ126、126に挟まれた中央部分は、位置決めリブ126、126と同じ位置まで延出されており、それよりも外側の部分は、中央部分よりも引っ込んで配置されている。なお、
図16、
図18および
図19においては、単電池110の断面を模式的に示している。
【0048】
組付部151(バネ部に該当)は、
図23に示すように、測温センサ30から連なる一対の延出部56、56と、一対の延出部56、56から連なる一対の調整部161、161と、一対の調整部161、161から連なる係合枠152(係合部、傾斜部に該当)とを備えている。
【0049】
係合枠152は、
図23および
図24に示すように、矩形の枠状の部分であって、温度検出部31の第2側壁33Bに対して平行に、互いに間隔を空けて配置される一対の短枠部152S1、152S2と、一対の短枠部152S1、152S2に対して垂直に配置され、一対の短枠部152S1、152S2の端部同士を連結する一対の長枠部152L、152Lとを備えている。
図14に示すように、係合枠152は、インシュレータ121Pを囲んで配置され、一対の長枠部152L、152Lのそれぞれが一対の長壁122Lのそれぞれに沿って配置され、一方の短枠部152S1が一方の短壁122S1に沿って配置され、他方の短枠部152S2が他方の短壁122S2に沿って配置される。また、
図15に示すように、組付部151において、測温センサ130が単電池110に組み付けられた状態で、電極配置面13Fと対向する端面は、電池対向面152Fとなっている。
【0050】
一対の短枠部152S1、152S2のうち、温度検出部31から離れた一方の短枠部152S1は、
図23および
図24に示すように、高背部152Hを有している。高背部152Hは、一対の長枠部152L、152L間の中央部分であって、高さ(電池対向面152Fからその反対側の端面までの距離)が、組付部151におけるその他の部分の高さよりも大きい部分である。
【0051】
高背部152Hの一部は、ロックアーム153となっている。高背部152Hは、
図23に示すように、電池対向面152Fから延び、互いに間隔を空けて配置された一対のスリットSを有しており、一対のスリットSに挟まれた部分が、ロックアーム153となっている。ロックアーム153は、電池対向面152F側の一端を自由端、その反対側を固定端として、相手側の短枠部152S2に対して近接または離間する方向に撓み可能となっているとともに、係止爪154を備えている。係止爪154は、
図23に示すように、ロックアーム153の自由端から、相手側の短枠部152S2に向かって突出する突部である。
【0052】
一対の短枠部152S1、152S2のうち、温度検出部31に近い他方の短枠部152S2は、
図23および
図24に示すように、位置決め凹部155を有するとともに、位置決め凹部155の内部に配置される係合突起158を備えている。位置決め凹部155は、
図24に示すように、短枠部152S2の内側面(相手側の短枠部152S1を向く面)を基準として凹み、短枠部152S2の内側面に平行な奥壁面156と、この奥壁面156から短枠部152S2の内側面まで延びる一対の側壁面157とで定義される凹部である。この位置決め凹部155は、
図14に示すように、一対の位置決めリブ126、126の先端部を受け入れ可能となっている。係合突起158は、
図18、
図24に示すように、奥壁面156から相手側の短枠部152S1に向かって突出する突起であって、奥壁面156に対して垂直に延び、押さえ壁127と当接する当接面158Fを有している。
【0053】
一対の調整部161,161のそれぞれは、
図15に示すように、測温センサ130が単電池110に取り付けられた状態で電極配置面13Fとは反対側に向かって凸となるU字状に湾曲された、板バネ状の部分である。各調整部161において、一対のU字の縦棒部分は、
図17に示すように、互いに近接および離間する方向に変位する一対の変位部(第1変位部162、第2変位部163)となっており、第1変位部162の一端と、第2変位部163の一端とが、アーチ状の連結部164によって連結されている。各調整部161は、一方の端部(第1変位部162において連結部164とは反対側の端部)が、各延出部56に接続しており、他方の端部(第2変位部163において連結部164とは反対側の端部)が、短枠部152S2において電池対向面152Fとは反対側の端縁に接続している。
【0054】
図15および
図17に示すように、測温センサ130が単電池110に取り付けられた状態では、温度検出部31が、温度検知面31Fの全体を電極配置面13Fに密着させて配置されるのに対し、短枠部152S2は、電極配置面13Fに対してクリアランスC2を有する状態で配置される。そして、係合枠152は、全体として、温度検出部31から離れるほど電極配置面13Fに近づくように傾斜している。
【0055】
係合枠152は、測温センサ130が単電池110に組み付けられていない単体での状態(
図25の状態)では、測温センサ30が単電池10に組み付けられた状態(
図15の状態)よりも、温度検知面31Fに対する傾きが大きくなっている。
【0056】
測温センサ130が単電池110に組み付けられていない単体での状態において、短枠部152S1の電池対向面152F側の縁部152Eは、温度検知面31Fを延長した延長面F3の面内に位置している。また、延長面F3と当接面158Fとの距離D3は、押さえ壁127と電極配置面13Fとの距離D4よりも大きくなっている(
図18、
図25参照)。
【0057】
測温センサ130を単電池110に取り付ける際には、まず、電極配置面13F上に、測温センサ130を、温度検知面31Fが電極配置面13Fを向き、係合枠152がインシュレータ121Pを囲むように配置する。この状態で、係合枠152を電極配置面13Fに向かって押圧していくと、係止爪154が本体部122の短壁122S1に乗り上げ、ロックアーム153が外側に向かって撓む。
【0058】
さらに係合枠152を押し込んでいくと、
図16および
図19に示すように、係止爪154が係合凹部123に入り込み、ロックアーム153が弾性復帰する。また、
図16および
図18に示すように、係合突起158が押さえ壁127を乗り越えて、押さえ壁127と電極配置面13Fとの隙間に入り込む。係止爪154が係合受面124に係合し、係合突起158が押さえ壁127に係合することで、係合枠152がインシュレータ121Pに対して組み付け状態に保持される。この状態では、
図14に示すように、2つの位置決め凹部155のそれぞれの内部に2つの位置決めリブ126、126の先端部のそれぞれが入り込むことによって、測温センサ130が本体部122の外周面22Fに沿って回転しないよう、位置決めがなされる。
【0059】
ここで、上記したように、延長面F3と当接面158Fとの距離D3は、押さえ壁127と電極配置面13Fとの距離D4よりも大きくなっているから、押さえ壁127が係合突起158を電極配置面13Fに向かって押圧する状態となる。すなわち、押さえ壁127が短枠部152S2を電極配置面13Fに向かって押圧する状態となる。これにより、測温センサ130は、単電池110に組み付けられていない単体での状態よりも係合枠152の傾斜が緩くなり、一対の調整部161、161が拡開するように(第1変位部162と第2変位部163とが互いに離間するように)変形し、温度検知面31Fが電極配置面13Fに向かって押し付けられた状態となる。このようにして、温度検知面31Fを電極配置面13Fに密着させ、測温の精度を確保することができる。また、係合枠152および一対の調整部161、161が、単電池110の寸法公差に応じた変形量で変形することによって、単電池110の寸法公差を吸収できる。
【0060】
以上のように、本実施形態のセンサの取付構造は、単電池110に測温センサ130を取り付けるための構造であって、単電池110が、電極端子14Pと、電池ケース111と、インシュレータ121Pとを備える。電池ケース111は、蓋板13を備え、蓋板13の外面が電極配置面13Fとされている。インシュレータ121Pは、蓋板13に組み付けられて電極端子14Pを蓋板13から絶縁しつつ保持する部材である。また、測温センサ130が、温度検出素子41を保持するとともに、電極配置面13Fに当接する温度検知面31Fを有する温度検出部31と、インシュレータ121Pに係合する係合枠152を備え、温度検出素子41を電極配置面13Fに密着させる組付部151とを備えている。
【0061】
上記の構成によれば、単電池110が備えるインシュレータを利用し、このインシュレータ121Pに測温センサ130の係合枠152を係合させているので、従来の台板を介してサーミスタを電池に取り付ける構成と比較して、台板を介していない分だけ、センサ取り付けの全体構造を単純化できる。
また、台板を介していない分だけ、寸法公差の影響を小さくすることができるから、温度検知面31Fを電極配置面13Fに密着させるためのばね構造を単純化することができる。
以上より、測温センサ130の取り付けのための構成を単純化しつつ、測温の精度を確保できる。
【0062】
また、一対の調整部161、161のそれぞれが、温度検出部31から連なる第1変位部162と、係合枠152に連なり、第1変位部162に対して近接および離間する方向に変位する第2変位部63とを備え、係合枠152が、温度検出部31から離れるほど電極配置面13Fに近づく向きに傾斜しており、インシュレータ121Pが、係合枠152を電極配置面13Fに向かって押圧する押さえ壁127を備えている。
【0063】
上記の構成によれば、押さえ壁127が係合枠152を電極配置面13Fに向かって押圧することによって、測温センサ130は、係合枠152の傾斜が緩くなり、一対の調整部161、161が拡開するように変形し、温度検知面31Fが電極配置面13Fに向かって押し付けられた状態となる。このように、単純なばね構造で、温度検知面31Fを電極配置面13Fに密着させ、測温の精度を確保することができる。
【0064】
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
(1)上記実施形態では、温度検出素子41がサーミスタであったが、温度検出素子としては、サーミスタに限らず、温度を検出可能な任意の素子を適宜に選択できる。
【0065】
(2)実施形態1では、組付部51に備えられた係合アーム54、54がインシュレータ21Pと係合する構成を例示し、実施形態2では、組付部151に備えられた係合枠152がインシュレータ121Pと係合する構成を例示したが、測温センサの係合部と絶縁部材との係合構造は上記実施形態に限定されず、他の一般的な係合構造によって測温センサの係合部が絶縁部材に係合していても構わない。
【0066】
(3)上記実施形態では、調整部61、161がU字状であったが、調整部の形状は上記実施形態の限りではなく、例えば、第1変位部と第2変位部とが連結部を介さずに接続されているV字状であっても構わない。
【0067】
(3)上記実施形態では、係合アーム54および係合枠152が傾斜部となっていたが、傾斜部が係合部とは別に設けられていても構わない。