(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1光学有効面(614)及び第2光学有効面(616)を有するレンズ、例えば眼鏡レンズ(612)、眼鏡レンズブランク、又は眼鏡レンズ半製品の空間構造を求める方法であって、
前記レンズ(612)を保持装置(610、810)に配置するステップと、
前記第1光学有効面(614)上の少なくとも1つの点(P)の位置及び前記第2光学有効面(616)上の少なくとも1つの点(P’)の位置を、測定ステーション(620、820)によって前記保持装置(610、810)に関して場所固定された座標系(618、818)において参照するステップと、
前記レンズ(612)の前記第1光学有効面(614)のトポグラフィを、前記保持装置(610、810)に関して場所固定された前記座標系(618、818)に関して参照され、前記保持装置(610、810)に関して場所固定された前記座標系(618、818)の相対位置を規定する座標系(659)において、別の測定ステーション(632、832、932、1032)によって確認するステップと、
前記第1光学有効面(614)のトポグラフィと前記第2光学有効面(616)のトポグラフィに関するデータセットとから、前記レンズ(612)の空間構造を計算するステップであり、前記データセットは、前記保持装置(610、810)の前記場所固定座標系(618、818)に関して参照されるものであるステップと
を含む方法において、
前記レンズ(612)の前記第1光学有効面(614)のトポグラフィの、前記保持装置(610、810)に関して参照される前記座標系(659)における確認を、前記別の測定ステーション(632、832、932、1032)の側面(686、686’)上で前記レンズ(612)との相対位置がそれぞれ決められた複数の点光源(684、684’)から光が提供され前記第1光学有効面(614)で反射されることによって、前記第1光学有効面(614)で反射された前記点光源(684、684’)の光がイメージセンサ(678、678’)上にもたらす複数の前記点光源(684、684’)の前記相対位置に基づく第1輝度分布を検出することによって、また前記第1光学有効面(614)のトポグラフィを、前記レンズ(612)の前記第1光学有効面(614)上の前記少なくとも1つの点(P)の位置から及び前記保持装置(610、810)に関して参照された前記座標系(659)における前記検出された第1輝度分布から計算することによって行うことを特徴とする方法。
請求項1に記載の方法において、前記第1光学有効面(614)の前記トポグラフィを、当該第1光学有効面(614)の勾配及び/又は曲率から確認することを特徴とする方法。
請求項1又は2に記載の方法において、前記場所固定座標系(618、818)に関して参照された、前記第2光学有効面(616)のトポグラフィに関する前記データセットの確認を、光が複数の点光源(684、684’)から提供され前記第2光学有効面(616)で反射されることによって、該第2光学有効面(616)で反射された前記点光源(684、684’)の光がイメージセンサ(678、678’)上にもたらす第2輝度分布を検出することによって、また前記第2光学有効面(616)のトポグラフィを、前記レンズ(612)の前記第2光学有効面(616)上の前記少なくとも1つの点(P’)の位置から及び前記保持装置(610、810)に関して場所固定された前記座標系(618、818)における前記検出された第2輝度分布から計算することによって行うことを特徴とする方法。
請求項3に記載の方法において、前記第2光学有効面(616)の前記トポグラフィを、当該第2光学有効面(616)の勾配及び/又は曲率から確認することを特徴とする方法。
第1光学有効面(614)及び第2光学有効面(616)を有するレンズ、例えば眼鏡レンズ(612)、眼鏡レンズブランク、又は眼鏡レンズ半製品の場所依存及び指向依存の光学効果を求める方法であって、
前記レンズ(612)の空間構造を請求項1に記載の方法によって求めるステップと、
レイトレーシング法によって、前記レンズ(612)の場所依存及び指向依存の光学効果を、前記レンズ(612)の求められた空間構造から計算するステップと
を特徴とする方法。
請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法において、レンズ固定座標系(622)において前記レンズ(612)の空間構造を特定するために、前記保持装置(610、810)に関して場所固定された前記座標系(618、818)をレンズ固定座標系(622)に関して参照することを特徴とする方法。
請求項6に記載の方法において、前記保持装置(610、810)に関して場所固定された前記座標系(618、818)を、前記レンズ固定座標系(622)に関して前記レンズ(612)に付けた印(628)の位置を確認することによって参照することを特徴とする方法。
請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法において、前記保持装置(610、810)に関して場所固定された座標系(618、818)における前記第1光学有効面(614)上又は前記第2光学有効面(616)上の前記少なくとも1つの点(P、P’)の位置を、前記レンズ(612)の厚さ測定によって確認すること、及び/又は
前記第1光学有効面(614)上又は前記第2光学有効面(616)上の前記少なくとも1つの点(P、P’)の位置を、前記保持装置(610、810)に関して場所固定された座標系(618、818)において参照するために、前記レンズ(612)を、前記保持装置に対する距離測定装置(670、770)によって測定すること、及び/又は
前記第1光学有効面(614)上又は前記第2光学有効面(616)上の前記少なくとも1つの点(P、P’)の位置を、前記保持装置(810)に関して場所固定された座標系(818)において参照するために、前記レンズ(612)を、前記保持装置(810)に球支承体(839)で少なくとも1つの点(P)で収容することを特徴とする方法。
第1光学有効面(614)及び第2光学有効面(616)を有するレンズ、例えば眼鏡レンズ(612)、眼鏡レンズブランク、又は眼鏡レンズ半製品の空間構造を求めるシステム(600)であって、
前記レンズ(612)用の保持装置(610、810)と、
前記第1光学有効面(614)上の少なくとも1つの点(P)の位置及び前記第2光学有効面(616)上の少なくとも1つの点(P’)の位置を、前記保持装置(610、810)に関して場所固定された座標系において参照する測定ステーション(620、820)と、
前記レンズ(612)の前記第1光学有効面(614)のトポグラフィを、前記保持装置(610、810)に関して場所固定された前記座標系(618、818)に関して参照され、前記保持装置(610、810)に関して場所固定された前記座標系(618、818)の相対位置を規定する座標系(659)において確認するさらに別の測定ステーションと、
前記第1光学有効面(614)のトポグラフィと前記第2光学有効面(616)のトポグラフィに関するデータセットとから、前記レンズ(612)の空間構造を計算するコンピュータユニットであって、前記データセットは、前記保持装置(610、810)の前記場所固定座標系(618、818)に関して参照されるものであるコンピュータユニットと
を備えたシステムにおいて、
前記さらに別の測定ステーション(632、832、932、1032)は、収容領域に配置されたレンズ(612)の測定対象の前記光学有効面(614、616)で反射される光を提供し、側面(686、686’)上で前記レンズ(612)との相対位置がそれぞれ決められた複数の点光源(684、684’)を有し、
前記測定ステーション(632、832、932、1032)は、測定対象の前記光学有効面(614、616)で反射された前記点光源(684、684’)の光がイメージセンサ(678、678’)上にもたらす複数の前記点光源(684、684’)の前記相対位置に基づく輝度分布を検出する少なくとも1つのカメラ(690、690’)を含むことを特徴とするシステム。
請求項9に記載のシステムにおいて、前記さらに別の測定ステーション(632、832、932、1032)は、前記第1光学有効面(614)のトポグラフィを該面の勾配及び/又は曲率の測定によって確認することを特徴とするシステム。
請求項9又は10に記載のシステムにおいて、前記レンズ(612)の前記第2光学有効面(616)のトポグラフィに関するデータセットを提供するために、前記レンズ(612)の前記第2光学有効面(616)のトポグラフィを測定する測定ステーション(632、832、932、1032)を特徴とするシステム。
請求項11に記載のシステムにおいて、前記測定ステーション(632、832、932、1032)は、前記第2光学有効面(616)のトポグラフィを該面の勾配及び/又は曲率の測定によって確認することを特徴とするシステム。
請求項9〜12のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記測定ステーション(632、832、932、1032)は、収容領域に配置されたレンズ(612)の測定対象の前記光学有効面(614、616)で反射される光を提供する複数の点光源(684、684’)を有し、
前記測定ステーション(632、832、932、1032)は、測定対象の前記光学有効面(614、616)で反射された前記点光源(684、684’)の光がイメージセンサ(678、678’)上にもたらす輝度分布を検出する少なくとも1つのカメラ(690、690’)を含むことを特徴とするシステム。
請求項9〜13のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記保持装置(610、810)は、前記レンズ(612)を測定ステーション(632、832、932、1032)の収容領域に配置するよう設計され、前記保持装置(610、810)に関して場所固定された座標系における前記レンズ(612)の前記第1光学有効面(614)上の少なくとも1つの点(P)及び前記第2光学有効面(616)上の少なくとも1つの点(P’)の位置は、前記保持装置(610、810)において求められ得ることを特徴とするシステム。
請求項14に記載のシステムにおいて、レンズ(612)を収容した前記保持装置(810)は、前記レンズ(612)の前記第1光学有効面(614)が前記カメラ(690)に面する第1位置と、該第1位置とは異なる前記レンズ(612)の前記第1光学有効面(614)が前記カメラ(690)に面しない第2位置とに配置可能であることを特徴とするシステム。
請求項9〜15のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記保持装置(610)に関して場所固定された座標系(618)を、前記測定ステーション(632、832、932、1032)に関して場所固定された座標系(659)に関して参照する手段(654、656、658)、及び/又は
前記測定ステーション(632、832、932、1032)に関して場所固定された座標系(659)における前記レンズ(612)上に配置された印(628)の位置を検出するカメラ(690)を有する、測定ステーション(932、1032)、及び/又は
前記レンズの屈折率を考慮に入れて、前記レンズの場所依存及び/又は指向依存の光学効果を、前記第1光学有効面(614)のトポグラフィと前記第2光学有効面(616)のトポグラフィを含むデータセットとから計算するコンピュータプログラムを含むコンピュータユニット(1202)、及び/又は
測定対象のレンズを測定ステーションに供給し、且つ測定ステーションで測定されたレンズを運び去る変位ユニット、及び/又は
レンズ(612)に関して求められた構造又はレンズ(612)に関して求められた光学効果を所望の値と比較するコンピュータユニット(1202)を特徴とするシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が対処する課題は、第1光学有効面及び第2光学有効面を有する物体の空間構造を短時間で高精度に求めることができる方法及びシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1の特徴を含む方法及び請求項9の特徴を含むシステムによって解決される。
【0008】
本発明の有利な発展形態は、従属請求項に記載される。
【0009】
本発明の意味の範囲内で、物体の光学有効面は、可視又は不可視スペクトル領域の光を少なくとも部分的に指向反射する表面であると理解される。本発明の意味の範囲内で、光学有効面は、特に、眼鏡レンズの光屈折面であると理解される。本発明の意味の範囲内の光学有効面が光に関して透明且つ鏡面反射性であり得ることに、ここで留意されたい。
【0010】
本発明によれば、第1光学有効面及び第2光学有効面を有する物体、特にレンズ、例えば眼鏡レンズ、眼鏡レンズブランク、又は眼鏡レンズ半製品の空間構造を求めるために、物体を保持装置に配置する。続いて、保持装置に対して場所固定された(location-fixed, ortsfesten)座標系における、第1光学有効面上の少なくとも1つの点の位置、好ましくは少なくとも3つの点の位置及び第2光学有効面上の少なくとも1つの点の位置、好ましくは少なくとも3つの点の位置を、上記保持装置で参照する、すなわち求める。
【0011】
続いて、物体の第1光学有効面のトポグラフィを、第1光学有効面上の少なくとも1つの点の位置に基づいて、好ましくは少なくとも3つの点の位置に基づいて、保持装置に関して参照される座標系において確認する。
【0012】
最後に、物体の空間構造を、第1光学有効面のトポグラフィと、第2光学有効面のトポグラフィに関するデータセットとから計算し、上記データセットは、第2光学有効面上の少なくとも1つの点の位置に基づいて、好ましくは第2光学有効面上の少なくとも3つの点の位置に基づいて、保持装置の場所固定座標系に関して参照されたものである。
【0013】
第1光学有効面のトポグラフィを確認するために、この面のトポグラフィを、例えばトポグラフィ測定法によって測定することができる。しかしながら、この面のトポグラフィを確認するために、この面に関する情報を有するデータメモリーからの既知のデータセットを評価することも可能である。
【0014】
測定によって第1光学有効面のトポグラフィを確認するために、例えば点光源からの、好ましくは複数の点光源からの光を提供することができ、上記光は第1光学有効面で反射され、第1光学有効面で反射された点光源の光がイメージセンサ上にもたらす第1輝度分布が検出され得る。続いて、第1光学有効面のトポグラフィを、物体の第1光学有効面上の少なくとも1つの点の位置から、好ましくは少なくとも3つの点の位置から及び保持装置に関して参照される座標系における検出された第1輝度分布から計算することができる。続いて、物体の空間構造を、第1光学有効面及び第2光学有効面上の、保持装置に対して場所固定された座標系で参照された少なくとも1つの点の位置から、好ましくは少なくとも3つの既知の点の位置から、また第1光学有効面の計算されたトポグラフィと、第2光学有効面のトポグラフィに関するデータセットとから計算し、上記データセットは、保持装置の場所固定座標系に関して参照されたものである。
【0015】
しかしながら、この面のトポグラフィは、代替形態として、例えば、点ベース又は線ベースのデフレクトメトリによって、共焦点系、特にクロマチック共焦点(chromatically confocal)系での検査によって、干渉法によって、特に白色光干渉法によって、可視光又はX線を用いたコンピュータ断層撮影(CT)によって、三角測量によって、又は触覚測定法で、例えば座標測定機で、確認することもできることに留意されたい。
【0016】
第2光学有効面のトポグラフィに関するデータセットは、例えば、この面の所望のデータセット、又はこの面のトポグラフィに関する測定データを有するデータセットであり得る。このデータセットも、例えば前述のトポグラフィ測定法によって求めることができる。特に、第2光学有効面のトポグラフィに関する、場所固定座標系に関して参照されるデータセットの確認は、光が複数の点光源から提供され第2光学有効面で反射されることによって、第2光学有効面で反射された点光源の光がイメージセンサ上にもたらす輝度分布を検出することによって、また第2光学有効面のトポグラフィを、物体の第2光学有効面上の少なくとも1つの点の位置から、好ましくは少なくとも3つの点の位置から及び保持装置に関して場所固定された座標における検出された輝度分布から計算することによって行うことが可能である。
【0017】
この場合、座標系で参照される点の位置は、その点に関する位置の座標が座標系において既知であることを意味するとここでは理解される。
【0018】
第1光学有効面及び第2光学有効面を有する物体、特に眼鏡レンズ、眼鏡レンズブランク、又は眼鏡レンズ半製品の場所依存又は指向依存の(location-and direction-dependent)光学効果を求めるために、物体の空間構造を上述の方法によって求め、続いて物体の場所依存又は指向依存の光学効果、すなわち物体の光伝達関数を、求められた空間構造から、特にレイトレーシング法による屈折率及び/又は反射特性を考慮に入れて計算する。
【0019】
この場合、レイトレーシング法は、物体から進み物体に衝突する複数の所定の光線に関して、物体の空間構造及び物理的特性に起因したこれらの光線の偏向を計算する、物体の光伝達関数を求める方法であるとここでは理解される。
【0020】
第2光学有効面のトポグラフィを含む、場所固定座標系に関して参照されるデータセットの確認は、光が複数の点光源から提供され第2光学有効面で反射されることによって、第2光学有効面で反射された点光源の光がイメージセンサ上にもたらす第2輝度分布を検出することによって、また第2光学有効面のトポグラフィを、物体の第2光学有効面上の3つの点の少なくとも1つの位置から及び保持装置に関して場所固定された座標における検出された第2輝度分布から計算することによって行うこともできる。
【0021】
物体固定座標系において物体の空間構造を特定するために、保持装置に関して場所固定された座標系を物体固定座標系に関して参照することが好ましい。
【0022】
この目的で、保持装置に関して場所固定された座標系は、例えば、物体固定座標系に関して、場所固定座標系における物体上に付けた印の位置を確認することによって参照することができる。
【0023】
保持装置に関して場所固定された座標系における第1光学有効面上又は第2光学有効面上の既知の点の少なくとも1つの位置を、物体の厚さ測定によって確認することも、本発明の概念である。特に、本発明の概念は、第1光学有効面上又は第2光学有効面上の既知の点の少なくとも1つの位置を、保持装置に関して場所固定された座標系において参照するために、保持装置に対する距離測定装置によって物体を測定することである。しかしながら、第1光学有効面上又は第2光学有効面上の既知の点の少なくとも1つの位置を、保持装置に関して場所固定された座標系において参照するために、保持装置に球支承体(ball support, Kugelauflage:玉軸受)で少なくとも1点で物体を収容することも可能である。
【0024】
第1光学有効面及び第2光学有効面を有する物体、特にレンズ、例えば眼鏡レンズ、眼鏡レンズブランク、又は眼鏡レンズ半製品の空間構造を求める本発明によるシステムは、物体の第1光学面及び/又は第2光学面のトポグラフィ及び/又は勾配及び/又は曲率を測定する少なくとも1つの測定ステーションを含む。本システムは、物体を少なくとも1つの測定ステーションの収納領域に配置する保持装置も備え、物体の第1光学有効面上の少なくとも1つの点、より適切には(better)3つの点の位置と、第2光学有効面上の少なくとも1つの点、より適切には3つの点の位置とを、保持装置に関して場所固定された座標系で求めることができる。この場合、測定ステーションには、収容領域に配置された物体の測定対象の光学有効面で反射される光を提供する複数の点光源がある。この場合、測定ステーションは、測定対象の光学有効面で反射された点光源の光がイメージセンサ上にもたらす輝度分布を検出する少なくとも1つのカメラを含む。測定ステーションの点光源は、多面体の側面に配置されることが好ましい。
【0025】
正又は負の屈折力を有する光学アセンブリを測定ステーションのカメラと収容領域との間に配置することも、本発明の概念であり、上記光学アセンブリは、点光源の光を収容領域に配置された物体へ指向させると共に、物体で反射された光をカメラに供給する役割を果たす。
【0026】
保持装置は、測定対象の物体を第1光学有効面及び/又は第2光学有効面の外側で保持するか、又は測定対象の物体を第1光学有効面上及び/又は第2光学有効面上の少なくとも1つの点、好ましくは3つの点で支持することができる。
【0027】
好ましくは、物体を収容した保持装置は、物体の第1光学有効面がカメラに面する第1位置と、第1位置とは異なる物体の第1光学有効面がカメラに面しない第2位置とで測定ステーションに配置可能である。
【0028】
本システムは、保持装置に関して場所固定された座標系を測定ステーションに関して場所固定された座標系に対して参照する手段を含み得る。特に、本システムは、カメラを有する測定ステーションを備えることができ、カメラは、測定ステーションに関して場所固定された座標系における物体上に配置された印の位置を検出する。本システムは、少なくとも1つの測定装置を有する測定ステーションも含むことができ、測定装置は、測定ステーションに関して場所固定された座標系における物体の光学有効面上の点の位置を検出する。
【0029】
特に、本システムは、物体の屈折率を考慮に入れて、物体の場所依存及び/又は指向依存の光学効果を、第1光学有効面のトポグラフィと第2光学有効面のトポグラフィを含むデータセットとから計算するコンピュータプログラムを含むコンピュータユニットも備え得る。
【0030】
好ましくは、本システムには、測定対象の物体を測定ステーションに供給し、且つ測定ステーションで測定された物体を運び去る変位ユニットがある。
【0031】
好ましくは、上記変位ユニットは、産業用ロボット、すなわち複数の軸を有する自動運動機構(motion automation)であり、運動シーケンス及び距離又は角度に関するその運動が自由に、すなわち機械的介入なしにプログラム可能であり、好ましくはセンサ誘導式である。測定対象の物体を収容するために、変位ユニットはグリッパを有する。
【0032】
本発明は、物体に関して求められた構造又は物体に関して求められた光学効果を所望の値と比較するコンピュータユニットを備えたシステムも包含する。
【0033】
本発明の概念は、特に、所望の値からの眼鏡レンズの空間構造のずれを比較する品質監査のためのこのようなシステムを眼鏡レンズ製造装置で用いることである。
【0034】
図面に概略的に示す例示的な実施形態に基づいて、本発明を以下でより詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1に示すシステム600は、保持装置610に収容された眼鏡レンズ612の空間構造を求める役割を果たす。眼鏡レンズ612は、可視光に対して透明な材料からなるガラス体を有する。当該ガラス体は、凸面の第1光学有効面614及び凹面の第2光学有効面616を有する。この場合、ガラス体の光学有効面は、この面に衝突する光、好ましくは可視光を少なくとも部分的に指向反射する面であるとここでは理解されたい。
【0037】
当然ながら、第1光学有効面及び第2光学有効面が任意の曲面であるか又は曲率がないガラス体を備えた眼鏡レンズも、システム600で測定できることに留意されたい。
【0038】
しかしながら、原理上、眼鏡レンズとは異なり、衝突する光を少なくとも部分的に指向反射する第1光学有効面及び第2光学有効面を有する物体の空間構造も、システム600で測定できることに留意されたい。
【0039】
システム600は、保持装置610のほかに、第1光学有効面14上の3つの点Pの位置及び第2光学有効面616上の3つの点P’の位置を、保持装置610に関して場所固定された座標系618において参照する第1測定ステーション620を備える。
【0040】
システム600には、眼鏡レンズ612に関して物体固定されたデカルト座標系622を保持装置610に関して場所固定された座標系618に関して参照する、第2測定ステーション626がさらにある。この目的で、測定ステーション626は、眼鏡レンズ612の第1光学有効面614又は第2光学有効面616上に配置された印628の角度位置の測定を可能にする。さらに、システム600は、第1光学有効面614及び第2光学有効面616のトポグラフィを確認する第3測定ステーション632を含む。
【0041】
眼鏡レンズ612のほかに、保持装置610は、保持装置610の本体636に接続することができるレンズマウント631に固定された視野レンズ630もさらに収容することができる。レンズマウント631は、保持装置610の本体636に接続されると、視野レンズ630が保持装置の本体636に関して一意に位置決めされるよう具現される。
【0042】
図2は、
図1からの線II−IIに沿った断面図としてシステム600における保持装置610を示す。保持装置610の本体636は、中空円筒状の形態を有する。保持装置610は、本体636に接続されて、保持装置610に収容された眼鏡レンズ612の側縁
644の周りに係合する保持部材638を備える。
【0043】
保持部材638は、接触体642を有する複数の力覚保持ウェブ641を有し、接触体642は、弾性材料からなり、保持装置610に収容された眼鏡レンズ612の側縁644にそれぞれ当接する。保持ウェブ641は、本体636の軸643に関して対称に配置される。隣り合う保持ウェブ641は、角度α=120°をそれぞれ形成する。原理上、眼鏡レンズ612を固定するために、接触体を組み付けた4つ、5つ、又はさらに多くの保持ウェブを保持装置610に設けることもできることに留意されたい。
【0044】
保持装置610は、眼鏡レンズ612が保持力によって変形されないよう眼鏡レンズ612を収容することを可能にする。しかしながら、眼鏡レンズ612が保持装置610で保持固定される際には、プロセス中に保持装置610をシステム600の1つの測定ステーションから別の測定ステーションへ移動させた場合、特にプロセス中に傾斜及び/又は回転させた場合でも、保持装置610に関して場所固定された座標系618における眼鏡レンズ612の位置がシステムでの測定中に変わらないようにする。
【0045】
保持装置610の接触体642は、制御可能な接触体として具現される。適当なコントローラ(図示せず)によって、保持装置610の接触体642の硬度、粘度、弾性、及び/又は圧迫力を設定することがここでは可能である。
【0046】
眼鏡レンズ612の光学有効面614上の印628は、眼鏡レンズ612の位置決め特徴部として働く。上記印は、特に永久的な印であり得る。その幾何学的形状及び/又は光学有効面614上のその位置に基づいて、印628は、眼鏡レンズ612に関して物体固定された座標系622を規定する。印628は、原理上、眼鏡レンズの光学有効面上だけでなく、その代替形態として眼鏡レンズ本体内に設けることができることに留意されたい。
【0047】
図1に示すように、眼鏡レンズ612用の保持装置610の本体636は、その表側端(face-side ends, stirnseitigen Enden)646、648に平面状の端面(face surfaces, Stirnflachen)650、652を有する。本体636の表側端646、648には、各歯状部材654がある。この場合、歯状部材654は、本体646の切欠きとして具現される。
【0048】
測定ステーション620、626、及び632には、保持装置610の歯状部材654と相補的な歯状部材656がある。測定ステーション620の相補的な歯状部材656は、保持体660、662における背面(tooth backs, Zahnrucken)として作られる。これに対して、測定ステーション626及び632では、相補的な歯状部材656は、測定ステーション626及び632のベース体664上に位置するピンとして具現される。
【0049】
測定ステーション620及び632は、当該測定ステーションに配置された眼鏡レンズ612を有する保持装置610の位置を検出する位置検出装置658をそれぞれがさらに含む。位置検出装置
658は、変位可能な測定ピン666を有する触覚センサを含む。保持装置610の本体636の表側端648には孔がある。保持装置610が測定ステーション620、626、及び632において測定位置に位置する場合、保持装置610の歯状部材は、測定ステーション626及び632のベース体664
である保持体の相補的な歯状部材656と係合する。続いて、配置された保持装置610の位置を検出する装置658の測定ピン666が、保持装置610の本体636の孔内に突出するか又は本体636の端面652に突き当たる。
【0050】
保持装置610の歯状部材654及びそれと相補的な歯状部材656と、測定ステーション620、626、及び632の位置検出装置658とは、保持装置610に関して場所固定された座標系618を、測定ステーション620、626、及び632のベース体664に関してそれぞれ場所固定された座標系659に関して可逆的に一意に参照する手段である。上記参照手段は、保持装置610に関して場所固定された座標系618の相対位置を測定ステーションの座標系659に関して規定する。したがって、これらは、保持装置610に関して場所固定された座標系618における保持装置610に収容された眼鏡レンズ612上の点P、P’の位置が既知である場合、システム600の測定ステーション620、626、及び632のそれぞれにおいて、ベース体664に関して場所固定された座標系659における上記点P、P’の位置も必然的に既知であることを可能にする。
【0051】
第1測定ステーション620において、眼鏡レンズ612の第1光学有効面614上の点Pの位置と、眼鏡レンズ612の第2光学有効面616上の点P’の位置とを、保持装置610に関して場所固定された座標系618において確認するために、眼鏡レンズ612上の点P、P’を、触覚測定プローブ670
,674による接触によって走査することができる。
【0052】
測定プローブ670
,674は、測定ステーション620の
保持体660,662に関して参照される。これらはそれぞれ、測定ステーション620において保持装置610の本体636の軸643の方向に両矢印647に従って変位可能である測定ヘッド672を有する。上述の参照手段があることで、保持装置610の
保持体660,662に関して場所固定された座標系659における測定プローブ670の測定ヘッド672の位置を、測定プローブ670によって検出することができる。測定ステーション620の測定プローブ670は、ここでは、眼鏡レンズ612の光学有効面614、616上の測定プローブ670の測定ヘッド672によって検出された点P、P’が、相互に対向して各平面をそこで規定するよう配置される。
【0053】
一方では測定プローブ670の測定ヘッド672の、及び他方では軸643に対して垂直な平
面における測定プローブ674の測定ヘッド672の位置は、測定ステーション620において対で同一であ
り、この平面は平面645に平行である。したがって、測定ステーション620は、眼鏡レンズ612の光学有効面上の相互に対向する点P、P’における眼鏡レンズ612の厚さを求めて、測定された厚さを、測定ステーション620のベース体664に関して場所固定された座標系659における眼鏡レンズ612の光学有効面の一方の上の測定プローブ670の測定ヘッド
672の位置と組み合わせることによって、点P、P’の位置を確認することも可能にする。
【0054】
第2測定ステーション626は、イメージセンサ678を有するカメラ676を含む。カメラ676は、測定ステーション
626のベース体664に対して変位可能に配置される。この場合、測定ステーション626のベース体664に関して場所固定された座標系659におけるカメラ676の位置は既知である。すなわち、カメラ676は、座標系659に関する全ての位置で一意に参照される。測定ステーション626には、照明ユニット680及び反射器682がある。したがって、測定ステーション626では、カメラ676を用いて測定ステーション662のベース体664に関して場所固定された座標系659における眼鏡レンズ612上の印628の位置を検出できるように、保持装置610に配置された眼鏡レンズ612が照明され得る。
【0055】
システム600において第1光学有効面614及び第2光学有効面616のトポグラフィを確認する第3測定ステーション632は、多面体の側面686に位置決めした発光ダイオード(LED)の形態の複数の点光源684を有する。
【0056】
図3aは、測定ステーション632を拡大図で示す。眼鏡レンズ612を収容した保持装置610は、ここでは第1測定位置に配置される。測定ステーション632は、測定対象の光学有効面614で反射された点光源684の光がイメージセンサ678上にもたらす輝度分布を検出するために、イメージセンサ678と共に両矢印688の方向に変位可能なカメラ690を含む。点光点684からの光は、光線696で光学有効面614に達する。座標(X
s,Y
s,Z
s)を有する点Pにおいて、面法線
に対する入射角β
Eを有する光は、反射の法則に従って反射角β
A=β
Eで反射する。
【0057】
したがって、イメージセンサ678における輝度は、点光源684の光がカメラ690によって捕捉されるように反射するような場所での、眼鏡レンズ612の測定対象の光学有効面614における接平面の傾きの情報を含む。
【0058】
測定ステーション632は、異なる点光源684を起動してカメラ690のイメージセンサ678上に生じる輝度分布を検出及び評価する装置として機能するコンピュータユニット(図示せず)を備える。カメラ690のイメージセンサ678によって検出された輝度分布を評価するために、上記コンピュータユニットにはコンピュータプログラムがある。測定ステーション632に配置された眼鏡レンズ612の光学有効面614上の点Pからの、カメラ
690によってイメージセンサ678で検出された光線696と、測定ステーション632における点光源684の既知の位置とに関して、コンピュータプログラムは、上記点における面法線
を計算する。続いて、積分及び補間によって、光学有効面614のトポグラフィが、コンピュータプログラムにおける複数の求められた面法線
から計算される。
【0059】
図1に示すシステム600における視野レンズ630は、正の屈折力を有する光学素子である。したがって、視野レンズ630は収束レンズである。眼鏡レンズ612の凹面光学有効面616のトポグラフィを確認するために、視野レンズ630を有し眼鏡レンズ612を収容した保持装置610は、
図3bに示す測定位置で測定ステーション632に配置される。
【0060】
視野レンズ630には、ここでは、点光源684の光を光学有効面616へ指向させ、この面で反射した光をカメラ690にさらに供給するという効果がある。ここで再び、測定ステーション632に配置された眼鏡レンズ612の光学有効面616上の点P’から、カメラ
690によってイメージセンサ678で検出された光線696と、測定ステーション632における点光源684の既知の位置とに関して、測定ステーション632のコンピュータプログラムは、上記点における面法線
を計算する。続いて、積分及び補間によって、光学有効面616のトポグラフィが、測定ステーション632のコンピュータユニットにおいてコンピュータプログラムによって計算される。
【0061】
眼鏡レンズ612の空間構造を特定するために、
図1に示すシステムはコンピュータユニット602を備える。コンピュータユニット602は、眼鏡レンズ612に関して測定ステーション620、626、及び632で求められた測定データから眼鏡レンズ612の空間構造を計算するコンピュータプログラムを含む。システム600の変更構成又はシステム600の変更動作において、眼鏡レンズの面614、616の一方のみを測定ステーション632において測定すると共に、他方の面に関するトポグラフィデータをコンピュータユニット602に入力するようにすることができるが、これは、対応の眼鏡レンズの場合にこれらのデータが既知だからである。
【0062】
図4は、測定ステーション620に機能的に対応するさらに別の測定ステーション720を示し、これは、第1光学有効面614上の点P及び第2光学有効面616上の点P’の位置を、保持装置610に関して場所固定された座標系において参照するものである。
図1及び
図4に示すアセンブリ及び要素が相互に同一である限り、これらは参照符号として同じ番号で識別される。
【0063】
測定ステーション720には、眼鏡レンズ612の光学有効面614、616を走査する3つの光学距離測定センサ770がある。距離測定センサ770を用いて、距離測定センサ770の基準772と眼鏡レンズ612の光学有効面614、616の一方の点P、P’との間の距離を、点P、P’と各基準との間の光路長の測定によって確認する。距離測定によって確認された眼鏡レンズ612の第1光学有効面614及び第2光学有効面616上の点P、P’は、ここでも各平面を画定する。
【0064】
測定ステーション720のベース体664に関して場所固定された座標系659における距離測定センサ770の各基準772の位置は、測定ステーション720において既知である。参照手段として働く保持装置610及び測定ステーション720の歯状部材654、656は、上述の測定ステーション620のように、測定ステーション720のベース体664に関して場所固定された座標系659における点P、P’の位置を確認することによって、保持装置610に関して場所固定された座標系618における点P、P’の位置も既知であることを可能にする。
【0065】
図5は、眼鏡レンズ612の空間構造を求めるシステムで用いるさらに別の保持装置810を示す。保持装置810も、中空円筒状の本体836と、本体836に接続された保持部材838とを有し、当該保持部材は、球体839(球支承体)を備えた3点支承体として具現される。
【0066】
保持装置810と
図1及び
図2を参照して説明した保持装置610との要素の構成及び機能が相互に対応する限り、これらは
図5において参照符号として
図1に対して200を足した番号で識別される。保持装置810も、正の屈折力を有し、且つ対応の測定ステーションにおいて保持装置810に収容された眼鏡レンズ612と共に配置され得る視野レンズの形態の光学素子を収容するよう設計される。
【0067】
保持装置810において、眼鏡レンズ612は、3点支承体として具現され3つの球体839を備えた保持部材838上に位置決めされ、その位置は、保持装置810に関して場所固定された座標系818において一意に参照される。したがって、光学有効面が球体839に接触する光学有効面上の点P、P’の位置は、保持装置810において既知である。
【0068】
図6aは、眼鏡レンズ612の空間構造を求めるシステムで用いるさらに別の測定ステーション832を示す。測定ステーション832のアセンブリが
図3a及び
図3bを参照して上述した測定ステーション632のアセンブリに対応する限り、これらは
図6において
図3a及び
図3bと同じ参照符号で識別される。測定ステーション832は、
図5を参照して上述した構成を有する保持装置810を含む。
図6aには、眼鏡レンズ612が、眼鏡レンズ612の光学有効面616のトポグラフィの確認を可能にする測定位置で示されている。測定ステーション832は、眼鏡レンズ612の光学有効面614、1616上の、球支承体839の反対側にある3つの点P、P’の参照を可能にする。
【0069】
図6bは、光学有効面
614のトポグラフィの確認を可能にする眼鏡レンズ612に関する測定位置での測定ステーション832を示す。
【0070】
測定ステーション832には、保持装置
810の本体836の軸843の方向に変位可能な測定ヘッド672を有する測定プローブ670がある。測定プローブ
670によって、測定ステーション832に関して場所固定された座標系659における、したがって同じく保持装置810に関して場所固定された座標系
818における、眼鏡レンズ612の光学有効面上の点Pの位置を検出することが可能であり、これらの点は、眼鏡レンズ612が
保持部材838の3点支承体の球体839に載る点の反対側にある。
【0071】
測定ステーション832は、保持装置810の本体836の軸843に関して回転対称である眼鏡レンズ612を特に測定するのに適している。しかしながら、当然だが、回転非対称な眼鏡レンズも測定ステーション832で測定できることに留意されたい。
【0072】
さらに、
図4を参照して上述したように、測定ステーション832において、変位可能な触覚測定ヘッド
672を有する測定プローブ
670の代わりに、光学距離測定センサも原理上用いることができることに留意されたい。
【0073】
図7は、ベース体664に関して場所固定された座標系659において、眼鏡レンズ612の光学有効面614のトポグラフィを確認すると同時に、眼鏡レンズ612の光学有効面614、616上の球体839の反対側の3つの点P、P’を参照する、保持装置810を有する測定ステーション932を示す。測定ステーション932のアセンブリが
図6a及び
図6bを参照して上述した測定ステーション832のアセンブリに対応する限り、これらは、
図7において
図6a及び
図6bと同じ参照符号で識別される。
【0074】
光学距離測定センサ770は、測定ステーション932に組み込まれ、上記センサは、保持装置810の軸843に対して垂直な平面内で2つの異なる空間方向に変位させることができるミラー771を備える。したがって、
図4に関して上述したように、眼鏡レンズ612の光学有効面616上の点Pの位置を、測定ステーション932のベース体664に関して場所固定された座標系659において確認することが可能である。
【0075】
測定ステーション932は、照明ユニット680及び反射器682をさらに含む。したがって、測定ステーション932に配置されたカメラ676を、光学有効面614、616上に配置された印615の角度位置の確認、すなわちベース体664に関して場所固定された座標系659に関する眼鏡レンズ612に関して物体固定された座標系の参照にも用いることができる。
【0076】
このように、測定ステーション932は、眼鏡レンズ612に関する空間構造を求めるために眼鏡レンズに対して全ての必要な測定を実行することを可能にする。この目的で、眼鏡レンズ612を、測定ステーション932において2つの異なる測定位置で測定すればよい。測定ステーション932において眼鏡レンズ612を一方の測定位置から他方の測定位置へ変位させるためには、眼鏡レンズ612を裏返すだけでよい。
【0077】
図8は、眼鏡レンズ612の光学有効面614、616のトポグラフィを確認し、且つ眼鏡レンズ612の光学有効面614、616上にそれぞれ配置した3つの点P、P’を参照する、保持装置610を有するさらに別の測定ステーション1032を示す。測定ステーション
1032のアセンブリが
図3a及び
図3bを参照して上述した測定ステーション632のアセンブリに対応する限り、これらは、図
8において
図3a及び
図3bと同じ参照符号で識別される。
【0078】
ミラー771を備えた光学距離測定センサ770が、測定ステーション1032に組み込まれることで、
図7を参照して上述したように、眼鏡レンズ612の光学有効面616上で、平面を画定すると共にベース体664の座標系659に関して参照される3つの空間
点P’をこうして確認できるようにする。
【0079】
測定ステーション1032は、照明ユニット680及び反射器682をさらに含む。したがって、測定ステーション1032に配置されたカメラ690を、光学有効面614、616上に配置された印615の角度位置の確認、したがってベース体664に関して場所固定された座標系659に関する眼鏡レンズ612に関して物体固定された座標系の参照にも用いることができる。
【0080】
測定ステーション1032でも、眼鏡レンズ612の空間構造を求めるために眼鏡レンズ612に対して全ての必要な測定をこうして実行することができる。この目的で、保持装置610を測定ステーション1032において一回裏返せばよい。
【0081】
図9は、眼鏡レンズ612の光学有効面614、616のトポグラフィを確認する、保持装置610を有するさらに別の測定ステーション1132を示す。測定ステーション1132のアセンブリが
図3a、
図3b参照して上述した測定ステーション632のアセンブリに対応する限り、これらは、
図9において
図3a及び
図3bと同じ参照符号で識別される。
【0082】
測定ステーション1132では、輝度分布がカメラ690のイメージセンサ678及びカメラ690’のイメージセンサ678’で検出されることによって、眼鏡レンズ612の光学有効面614、616を測定することが可能であり、上記輝度分布は、測定対象の光学有効面614、616で反射される点光源684、684’の光から検出され、当該点光源は、第1多面体の側面686及び第2多面体の側面686’に位置決めされる。
【0083】
図10は、眼鏡レンズ612の場所依存及び指向依存の光学効果を求めるシステム1200を示す。システム1200のアセンブリが上記図を参照して説明したシステム600のアセンブリに対応する限り、これらは、図
10において
図1と同じ参照符号で識別される。
【0084】
システム1200は、入力ユニット1204を有するコンピュータユニット1202を含み、これは、システム1200で測定された眼鏡レンズ612の材料の屈折率の入力を可能にし、且つ測定ステーション620、626、及び632から、眼鏡レンズ612に関してそこで求められたデータを空間的眼鏡レンズ構造に関する情報と共に受け取る。
【0085】
コンピュータユニット1202は、レイトレーシング法によって、測定ステーション620、626、及び632で求められたデータ及び眼鏡レンズ材料の屈折率から、場所依存及び指向依存の眼鏡レンズの光学効果を、すなわち、例えば眼鏡レンズの局所曲率及び眼鏡レンズの局所非点収差を計算する。
【0086】
ここでは、コンピュータプログラム及びコンピュータユニット1202が、眼鏡レンズの屈折力を1/100dptよりも良好な精度で計算できるように設計されれば有利である。
【0087】
さらに、上述のシステム600又は1200の一方において、眼鏡レンズを異なる測定ステーション間で移動させる、好ましくは産業用ロボットとして具現されたハンドリング装置を組み込むこと、及び可能であれば対応するロボット制御システムであり、特に吸引ユニット及び/又はグリッパを有するキネマティックシステムを含み得る眼鏡レンズを測定ステーションに供給し且つそこから取り出すロボット制御システムをそこに設けることが有利である。
【0088】
特に、例えばシステムにおける眼鏡レンズ搬送装置に記憶された個々の眼鏡レンズデータを考慮に入れるために、システムをRFID(無線自動識別)装置又は2D若しくは3Dコードを検出する装置と組み合わせれば有利である。
【0089】
上述のシステム1200は、眼鏡レンズ製造装置において眼鏡レンズ、眼鏡レンズ半製品、又は眼鏡レンズブランクの品質を監視するのに特に適している。このようなシステムは、例えば、眼鏡レンズ構造の包絡線(envelope)の理想的な形態からのずれを示すか、又はこれらのずれを眼鏡レンズ用の処理ステーションに通信することを原理上可能にする。特に、このようなシステムでは、特定の所定仕様を満たさない眼鏡レンズを自動的に分別することが可能である。さらに、上記システム1200で求められた場所依存及び指向依存の光学効果を眼鏡レンズに印刷するか、又はシステム1200で測定された眼鏡レンズに関してこの測定情報を有する対応のラベル又はデータシートを作製することが可能である。
【0090】
要約すると、特に本発明の以下の好適な特徴が強調される。第1光学有効面614及び第2光学有効面616を有する物体、特に眼鏡レンズ612、眼鏡レンズブランク、又は眼鏡レンズ半製品の空間構造を求めるために、以下のステップを実行する。物体612を保持装置610、810に配置する。第1光学有効面614上の少なくとも1つの点(P)の位置と、第2光学有効面616上の少なくとも1つの点(P’)の位置とを、保持装置610、810に関して場所固定された座標系において参照する。物体612の第1光学有効面614のトポグラフィを、第1光学有効面614上の少なくとも1つの点(P)の位置に基づいて保持装置610、810に関して参照される座標系659において確認し、物体612の空間構造を、第1光学有効面614のトポグラフィと、第2光学有効面616のトポグラフィに関するデータセットとから計算し、当該データセットは、第2光学有効面616上の少なくとも1つの点(P’)の位置に基づいて、保持装置610、810の場所固定座標系618、818に関して参照されるものである。