(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記物性が、前記チャネルの横方向幅であり、前記第1物性値が、前記チャネルの前記前側部の前記横方向幅であり、前記第2物性値が、前記チャネルの前記後側部の前記横方向幅である、請求項1に記載の吸収性物品。
前記液体処理系が、複数のチャネルを画定し、前記物性が、当該吸収性物品の縦方向軸線に沿った地点における前記複数のチャネルの横方向合計幅であり、前記第1物性値が、前記前側部内の前記縦方向軸線に沿った地点における前記複数のチャネルの横方向合計幅であり、前記第2物性値が、前記後側部内の前記縦方向軸線に沿った地点における前記複数のチャネルの横方向合計幅である、請求項1に記載の吸収性物品。
前記物性が、前記チャネルの外観であり、前記第1物性値が、前記チャネルの前記前側部の前記外観であり、前記第2物性値が、前記チャネルの前記後側部の前記外観である、請求項1に記載の吸収性物品。
前記物性が、前記チャネルの深さであり、前記第1物性値が、前記チャネルの前記前側部の前記深さであり、前記第2物性値が、前記チャネルの前記後側部の前記深さである、請求項1に記載の吸収性物品。
前記物性が、前記チャネルの面積であり、前記第1物性値が、前記チャネルの前記前側部の前記面積であり、前記第2物性値が、前記チャネルの前記後側部の前記面積である、請求項1に記載の吸収性物品。
前記物性が、前記チャネルを画定する層の数であり、前記液体処理系が、第1層と第2層とを備え、前記第1層が、前記液体透過性材料に隣接して配置され、前記第2層が、前記液体透過性材料から遠位に配置され、前記第1層が、前記前側部内において前記チャネルの前側部を画定し、前記第1層と前記第2層とが協働して、前記後側部内において前記チャネルの後側部を画定する、請求項1に記載の吸収性物品。
前記吸収性コアが、第2チャネルを画定し、前記吸収性材料が、前記吸収性材料の少なくとも85重量%の超吸収性ポリマーであり、前記第2チャネルが、前記超吸収性ポリマーを含まない、請求項1〜7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書に開示する、チャネルを有する吸収性物品の構造、機能、製造、及び使用の原理、並びにその作成方法についての全体的な理解を提供するため、本開示の様々な非限定的実施形態について以下に記載する。これらの非限定的な実施形態の1つ又は2つ以上の実施例を添付の図面に示す。当業者であれば、本明細書に記載し添付図面に例示する、チャネルを有する吸収性物品及びその作成方法は、非限定的な例示の実施形態であり、本開示の様々な非限定的実施形態の範囲は請求項によってのみ定義されることを理解するであろう。1つの非限定的実施形態に関して例示又は記載する特徴は、他の非限定的実施形態の特徴と組み合わされてもよい。このような改変及び変形は、本開示の範囲に含まれるものとする。
【0017】
序論
本明細書において用いられる場合、「吸収性物品」という用語は、着用者の身体に当てて又は着用者の身体に近接して置かれて、身体から排泄された様々な排泄物を吸収し収容する、幼児用、小児用、又は成人用おむつ、パンツ型おむつ、トレーニングパンツ、生理用ナプキン、おむつインサート等のような使い捨ての装置を指す。典型的には、これらの物品は、トップシート、バックシート、吸収性コア、捕捉系(液体処理系と呼ばれる場合があり、1つ又は複数の層からなる場合がある)、及び典型的にはその他の構成要素を備え、吸収性コアは通常、バックシートと捕捉系との間、又はトップシートとバックシートとの間に、少なくとも部分的に置かれる。本開示の吸収性物品について、以下の説明にて、そして図にて、テープ付きおむつの形態で更に説明することにする。しかしながら、この説明におけるいかなる内容も、特許請求の範囲を制限するものと見なされるべきではない。したがって、本開示は、任意の好適な形態の吸収性物品(例えば、トレーニングパンツ、成人用失禁製品、生理用ナプキン)に適用される。
【0018】
本明細書において用いられる場合、「不織布ウェブ」という用語は、摩擦及び/又は粘着及び/又は接着により結合させた、一方向に又はランダムに配向された繊維から作られたシート、ウェブ、又は打延べ綿シートを指し、紙、及び更なるニードル加工の有無を問わず、結束糸若しくはフィラメントを組み込んだ織り製品、編み製品、タフト加工品、ステッチ結合製品、又は湿式粉砕によるフェルト製品は含まない。繊維は、天然起源のものであっても人工起源のものであってもよく、ステープル若しくは連続フィラメントでもよく、又はその場で形成されたものでもよい。市販の繊維は、約0.001mm未満から約0.2mm超の範囲の直径を有し得るが、短繊維(ステープル繊維又は細断繊維として知られる)、連続単繊維(フィラメント又はモノフィラメント)、連続フィラメントの無撚糸束(トウ)、及び連続フィラメントの撚糸束(ヤーン)などのいくつかの異なる形態によって提供され得る。不織布ウェブは、メルトブロー法、スパンボンド法、溶媒紡糸法、電界紡糸法、カーディング法、及びエアレイイング法などの多くのプロセスによって形成され得る。不織布ウェブの坪量は、通常は、グラム毎平方メートル(g/m
2又はgsm)で表される。
【0019】
本明細書において用いられる場合、「接合された」又は「結合された」又は「取り付けられた」という用語は、ある要素を別の要素に直接貼り付けることによりその要素が別の要素に直接固定される構成と、ある要素を中間部材に貼り付け、次に中間部材を他の要素に貼り付けることにより、その要素が別の要素に間接的に固定される構成とを包含する。
【0020】
本明細書において用いられる場合、「チャネル」という用語は、材料の層において、その周囲の材料よりも実質的に低い坪量(例えば、50%未満、70%未満、90%未満)を有する領域又はゾーンである。チャネルは、材料の層において、実質的に材料を含まない状態(例えば、90%材料のない状態、95%材料のない状態、若しくは99%材料のない状態、又は全く材料を含まない状態)の領域であってもよい。チャネルは、材料の層の1つ又は2つ以上を貫いて延びる場合がある。チャネルは一般に、その材料の層の周囲のエリアよりも低い曲げ弾性率を有するが、それにより材料の層はより容易に折り曲がることが可能になり、かつ/又は、その材料の層の周囲の領域よりもチャネル内により多くの身体排泄物を収容することが可能になる。それゆえに、チャネルは、チャネルのエリアにおいて材料の層の坪量を減らすことのない、材料の層に設けられた凹みにすぎない、というものではない。
【0021】
吸収性物品の概説
本開示による吸収性物品20の一例が、幼児用おむつの形態で、
図1〜3に図示されている。
図1は、おむつのその一例を平らに広げた状態で示した平面図であり、おむつの構造をより明瞭に示すために、構造の一部が切り欠かれている。本開示は、広範囲に及ぶ様々なおむつ又は他の吸収性物品を製造するために使用され得るため、このおむつは例示目的のみで示されている。
【0022】
吸収性物品は、液体透過性のトップシート24、液体不透過性のバックシート25、トップシート24とバックシート25との間に少なくとも部分的に配置される吸収性コア28、及びバリアレッグカフ34を備え得る。吸収性物品はまた、液体処理系(「LMS」)50(
図2に図示)をも備え得るが、図示されている例におけるLMS 50は、分配層54と捕捉層52とを備えており、これらについては後ほど更に詳しく論じる。様々な実施形態においては、捕捉層52がむしろ身体排泄物を分配し、分配層54がむしろ身体排泄物を補足する場合があり、あるいは両方の層が身体排泄物を分配及び/又は補足する場合がある。LMS 50もまた、単一の層として、又は2つ若しくは3つ以上の層として設けられる場合がある。吸収性物品はまた、吸収性物品のシャーシに、(典型的にはトップシート及び/又はバックシートを介して)接合され、おむつのシャーシに対して実質的に平坦になっている、弾性のあるガスケットカフ32をも備える場合がある。
【0023】
図面はまた、吸収性物品20の後縁部に向かって取り付けられ、かつ吸収性物品20の前方で、ランディングゾーン44と協働する、接着タブ42又はその他の機械的締結具を備える締結システムのような、典型的なテープ付きおむつの構成要素を示す。吸収性物品はまた、図示されていない他の典型的な構成要素をも含む場合があり、それらには、例えば後面弾性腰部機構、前面弾性腰部機構、横方向バリアカフ、及び/又はローションアプリケーションなどがある。
【0024】
吸収性物品20は、前面腰部縁部10、前面腰部縁部10に縦方向に対向する後面腰部縁部12、第1側縁部3、及び第1側縁部3に横方向に対向する第2側縁部4を備え得る。前面腰部縁部10は、着用された場合にユーザーの前面に向かって置かれるように意図された吸収性物品20の縁部であり、後面腰部縁部12はその反対側の縁部である。吸収性物品は、縦方向軸線80を有し得るが、吸収性物品を平らにして置いて、
図1のように上方から見た場合に、縦方向軸線80は、吸収性物品20の前面腰部縁部10の横方向中点から後面腰部縁部12の横方向中点に延びて、吸収性物品20を2つの、縦方向軸線80に対して実質的に対称的な半体に分割する。吸収性物品はまた、第1側縁部3の縦方向中点から第2側縁部4の縦方向中点に延びる横方向軸線90を有し得る。吸収性物品20の長さLは、縦方向軸線80に沿って、前面腰部縁部10から後面腰部縁部12までの長さとして測定され得る。吸収性物品20の股幅は、横方向軸線90に沿って、第1側縁部3から第2側縁部4までの幅として測定し得る。吸収性物品20は、本明細書において、吸収性物品20の前面縁部10から始まってLの5分の2の距離に縦方向軸線上に置かれた地点として定義される股ポイントCを含み得る。吸収性物品20は、前面腰部領域5、後面腰部領域6、及び股部領域7を含み得る。前面腰部領域、後面腰部領域、及び股部領域のそれぞれは、吸収性物品の縦方向長さの3分の1を画定する。
【0025】
トップシート24、バックシート25、吸収性コア28、及び物品のその他の構成要素は、様々な構成に、特に例えば糊剤による接着又は熱エンボス加工により組み立てられ得る。おむつの構成の例が、米国特許第3,860,003号、同第5,221,274号、同第5,554,145号、同第5,569,234号、同第5,580,411号、及び同第6,004,306号に概説されている。吸収性物品は薄型のものであってもよい。吸収性物品20の股ポイントC又は股部領域7における厚さは、例えば、4.0mm〜12.0mm、あるいは6.0mm〜10.0mmであってもよい。
【0026】
吸収性コア28は、吸収性材料の75重量%〜100重量%、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は少なくとも99重量%の、(特に上記の範囲内の0.1%刻みのすべての増分、及びそれらの内部に又はそれらによって形成されるいずれかの範囲)吸収性材料と、吸収性材料を包むコアラップとを備え得る。コアラップは、典型的には、コアの上側と下側とに対して2つの材料、基材、又は不織布材料16及び16’を備え得る。
【0027】
コアは、1つ又は2つ以上のチャネルを備え得るが、それらは
図1においては、4つのチャネル26、26’及び27、27’として図示されている。追加的又は代替的に、LMS 50は1つ又は2つ以上のチャネルを備える場合もあり、それらは
図1〜3においては、チャネル49、49’として図示されている。いくつかの実施形態においては、LMS 50のチャネルは、吸収性コア28のチャネルと整列する、実質的に整列する、重なり合う、又は少なくとも部分的に重なり合うようにして、吸収性物品20内に配置され得る。吸収性物品のこれらの及びその他の構成要素を、これからより詳細に論じる。
【0028】
トップシート
トップシート24は、着用者の皮膚と直接接する吸収性物品の一部分である。当業者には周知のように、トップシート24は、バックシート25、コア28、及び/又は任意のその他の層に接合され得る。通常は、トップシート24とバックシート25とが、いくつかの箇所(例えば、物品の周辺部、又はその近く)で互いに直接接合され、かつ他の箇所では、吸収性物品20の1つ又は2つ以上の他の要素にこれらを直接接合することにより、間接的に接合される。
【0029】
トップシート24は、着用者の皮膚に対して順応性があり、柔軟な感触であり、非刺激性であってもよい。更に、トップシート24の少なくとも一部分は、液体透過性であり、液体がその厚さを通して容易に浸透可能であり得る。好適なトップシートは、例えば、多孔質発泡体、網目状発泡体、有孔プラスチックフィルム、あるいは天然繊維(例えば、木材繊維又は綿繊維)、合成繊維又はフィラメント(例えば、ポリエステル繊維、若しくはポリプロピレン繊維、若しくは二成分PE/PP繊維、又はそれらの組み合わせ)、あるいは天然繊維と合成繊維との組み合わせの織布又は不織布材料などの、広範囲の材料から製造され得る。トップシート24が繊維を含む場合、繊維は、スパンボンド法、カーディング法、湿式堆積法、メルトブロー法、水流交絡法、又は当該技術分野において既知の別の方法、特にスパンボンドPP不織布法で処理され得る。ステープル長のポリプロピレン繊維のウェブを含むトップシートの例には、マサチューセッツ州Walpoleの、International Paper社の一部門である、Veratec社によってP−8、P−9、P−10、又はP−11の商品名にて製造されるものがある。トップシートの他の例としては、Polymer Group社により、W5030NG、W5030TP、及びW5030TOの材料商品名にて製造されるものがある。
【0030】
トップシート24の任意の部分は、当業者には一般に知られているように、スキンケア組成物、抗菌剤、又はその他の有益な物質によりコーティングされていてもよい。更に、トップシート24、バックシート25、又はトップシート若しくはバックシートのいずれかの部分には、より布に近い外観を持たせるためにエンボス加工及び/又はつや消し仕上げを施してもよい。
【0031】
トップシート24は、尿及び/又は糞便(固体、半固体、若しくは液体)など、それを通る排泄物の浸透を容易にするための1つ又は2つ以上の開口を備えていてもよい。典型的な吸収性物品用トップシートは、約5gsm〜約30gsm、約10〜約21gsm、又は約12〜約18gsmの坪量を有するが、他の坪量も本開示の範囲内である。
【0032】
バックシート
バックシート25は一般に、吸収性コア28の衣類に面する表面に隣接して配置される吸収性物品20の一部分であり、吸収性コア28内に吸収され収容された排泄物が、ベッドシーツ及ぶ下着などの物品を汚すのを防ぐ、又は少なくとも妨げる一部分である。バックシート25は典型的には、液体(例えば、尿)に対して不透過性、又は少なくとも実質的に不透過性である。バックシートは、例えば、約0.012mm〜約0.051mmの厚さを有する熱可塑性フィルムなどの薄いプラスチックフィルムであるか、又はそれを含んでもよい。バックシートフィルムの例としては、ヴァージニア州のRichmondを拠点とするTredegar社によって製造され、CPC2フィルムの商標名で販売されるものが挙げられる。他の好適なバックシート材料としては、蒸気が吸収性物品20から逃れるのを可能にするが、同時に排泄物がバックシート25を通り抜けるのを防止する、又は少なくとも妨げる通気性材料を挙げることができる。通気性材料の例としては、織布ウェブ、不織布ウェブ、例えばフィルム被覆された不織布ウェブなどの複合材料、日本のMitsui Toatsu社により、名称ESPOIR NOの商品名で製造され、かつTredegar社(バージニア州Richmond)によって製造され、商品名EXAIREで販売されているような微孔性フィルム、及びHYTEL blend P18−3097の名称にて、Clopay社(オハイオ州Cincinnati)により製造されているようなモノリシックフィルムを挙げることができる。
【0033】
バックシート25は、当業者に既知のいずれかの取り付け方法により、トップシート24、吸収性コア28、及び/又は吸収性物品20の任意の他の要素に接合することができる。好適な取り付け方法が、トップシート24を吸収性物品20の他の要素に接合する方法に関して、上で説明されている。例えば、取り付け方法には、接着剤の均一な連続層、接着剤のパターンが施された層、又は接着剤の分離した線、螺線、若しくは点の配列を用いることを挙げることができる。接着剤のフィラメントの開放パターン網状組織を含む好適な取り付け方法が、米国特許第4,573,986号に開示されている。他の好適な取り付け方法としては、米国特許第3,911,173号、同第4,785,996号、及び同第4,842,666号に示される装置及び方法により例示されるように、らせん状パターンに渦を巻く、接着剤フィラメントのいくつかの線を用いることが挙げられる。満足のいくものであることが判明した接着剤は、H.B.Fuller社(ミネソタ州St.Paul)が製造し、HL−1620及びHL 1358−XZPの名称で市販されている。あるいは、取り付け方法には、当業者には知られているように、熱接着、圧力接着、超音波接着、動的機械的接着、若しくは他の任意の好適な取り付け方法、又はこれら取り付け方法の組み合わせが含まれ得る。
【0034】
吸収性コア
本明細書において用いられる場合、「吸収性コア」という用語は、最大の吸収能力を有する吸収性物品の1つの独立した構成要素を指し、吸収性材料を備え得る。いくつかの実施形態においては、吸収性コアは、吸収性材料を包むコアラップを備える。「吸収性コア」という用語は、液体処理系、又は、コアラップの一体部分ではないか又はコアラップ内に置かれない、吸収性物品の任意の他の構成要素を含まない。吸収性コアは、コアラップと、以下で定義される吸収性材料と、コアラップ内に包まれる糊剤とを含み得るか、それらから本質的になり得るか、又はそれらからなり得る。吸収性コア周辺部は、コアラップの周辺部であってよく、例えば、「T」字、「Y」字、「砂時計」形状、又は「犬用の骨」形状のような、任意の好適な形状を画定し得る。概ね「犬用骨」又は「砂時計」形状を有する吸収性コア周辺部は、その幅方向に沿って、コアの中央部又は「股部」領域に向かってテーパー状になっていてもよい。このように、吸収性コアは、吸収性物品の股部領域に置かれるように意図された吸収性コアのエリアにおいて、比較的狭い幅を有し得る。
【0035】
本開示の吸収性コア28は、コアラップ内に包まれた、大量の超吸収性ポリマー(本明細書においては「SAP」と略す)を有する吸収性材料を含み得る。SAP含有量は、コアラップに含有される吸収性材料の、70重量%〜100重量%、又は少なくとも70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%、99重量%、若しくは100重量%を示し得る。コアラップは、吸収性コア内のSAPの百分率を評価する目的では吸収性材料とは見なされない。
【0036】
「吸収性材料」とは、例えばSAP、セルロース系繊維、及び合成繊維のような、ある程度の吸収特性又は液体保持特性を有する材料を意味する。通常、吸収性コアの作製に使用される糊剤は、吸収特性を有せず、吸収性材料とは見なされない。SAPの含有量は、上述のように、コアラップ内に収容された吸収性材料の、80重量%超、例えば少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも99重量%、更には最大で100重量%となり得る。これにより、典型的には例えば40〜60重量%のSAPと大量のセルロース繊維とを含む従来のコアに比べて、比較的薄いコアが得られる。吸収性材料は、15重量%未満、又は10重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満の天然又は合成繊維を含み得るか、あるいは更には天然及び/又は合成繊維を実質的に含まないか、又は含まない場合がある(特にこの範囲内の0.1%刻みのすべての増分、及びそれらの内部又はそれらによって形成されるいずれかの範囲)。有利なことに吸収性材料は、エアフェルト(セルロース)繊維をほとんど又は全く含まず、特に吸収性コアは、15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満のエアフェルト(セルロース)繊維を含み得るか、あるいは更にはセルロース繊維を実質的に含まない、又は含まない場合がある(この範囲内の0.1%刻みのすべての増分、及びそれらの内部又はそれらによって形成されるいずれかの範囲)。
【0037】
図4及び5の吸収性物品の吸収性コア28の例が、
図6〜8に分離して示されている。吸収性コア28は、前側280、後側282、及び前側280と後側282とを接合する2つの縦側284、286を含み得る。吸収性コアはまた、概ね平坦な上側及び概ね平坦な下側をも有し得る。コア28の前側280は、吸収性物品の前面腰部縁部10に向かって置かれるように意図されたコア28の側部である。コア28は、
図1に示すような平面図で上から見ると、吸収性物品の縦方向軸線80に実質的に対応する縦方向軸線80’を有し得る。1つの実施形態においては、特定の物品の前部においてより高い吸収性が必要とされ得るので、後側に向かってよりも前側に向かって、より多くの量の吸収性材料が分散され得る。他の実施形態においては、吸収性材料は、不均一な坪量を有し得るか、コアの任意の一部分にわたり均一な坪量を有し得る。1つの実施形態においては、コアの前側及び後側は、コアの縦側よりも短くなっていてもよい。コアラップは、2つの不織布材料、基材、積層体、又はその他の材料16、16’により形成され得るが、それらは、吸収性コアの側部に沿って少なくとも部分的に封止され得る。コアラップは、吸収性材料が吸収性コアラップから実質的に全く漏れ出ないように、前側280、後側282、及び2つの縦側284、286に沿って少なくとも部分的に封止され得る。
図7に図示するように、第1材料、基材、又は不織布16は、第2材料、基材、又は不織布16’を少なくとも部分的に囲み、コアラップを形成し得る。第1材料16は、第1及び第2側縁部284、286に近い第2材料16’の一部分を囲み得る。
【0038】
本開示の吸収性コアは、例えば、コアラップ内でSAPを固定化するのを助けるために、及び/又は、特にコアラップが2つ又は3つ以上の基材から作られる場合に、コアラップの一体性を確保するために、粘着剤を含み得る。コアラップは、吸収性材料をその内部に収容するのに厳密に必要とされるよりもより広いエリアに延びていてもよい。
【0039】
様々なコアの設計を有し、比較的大量のSAPを含むコアが、米国特許第5,599,335号(Goldman)、欧州特許第1,447,066号(Busam)、国際特許第95/11652号(Tanzer)、米国特許出願公開第2008/0312622A1号(Hundorf)、及び国際特許第2012/052172号(Van Malderen)に開示されている。
【0040】
吸収性材料は、コアラップ内に存在する、1つ又は2つ以上の連続層であり得る。他の実施形態においては、吸収性材料は、コアラップ内に封入された吸収性材料の個別のポケット又はストライプからなってもよい。第1の事例においては、吸収性材料は、例えば、吸収性材料の単一の連続層を塗布することで取得され得る。吸収性材料(特にSAP)の連続層はまた、非連続的な吸収性材料の塗布パターンを有する2つ又は3つ以上の吸収層を組み合わせて取得され得、その結果得られる層は、例えば米国特許出願公開第2008/0312622A1号(Hundorf)に開示されているように、吸収性の粒子状高分子材料エリアにわたり実質的に連続的に分布される。吸収性コア28は、第1吸収層及び第2吸収層を含み得る。第1吸収層は、第1材料16と、SAPの100%又はそれ未満であり得る、吸収性材料の第1層61とを含み得る。第2吸収層は、第2材料16’と、これもまたSAPの100%又はそれ未満あり得る、吸収性材料の第2層62とを含み得る。吸収性コア28はまた、吸収性材料61、62の各層をそれぞれ対応する材料16又は16’に少なくとも部分的に結合する繊維性の熱可塑性接着剤材料51を含み得る。これを1つの例として
図7〜8に図示するが、第1及び第2 SAP層は、組み合わされる前にそれぞれの基材上の所望の吸収性材料堆積エリアと同じ幅を有する、横ストライプつまり「ランドエリア」として適用されたものである。ストライプは、コア80の縦方向軸線に沿ってプロファイル化された秤量を提供するために異なる量の吸収性材料(SAP)を含み得る。第1材料16及び第2材料16’は、コアラップを形成し得る。
【0041】
繊維状の熱可塑性接着剤材料51は、ランドエリアにおいて少なくとも部分的に吸収性材料61、62と接触してもよく、また接合エリアにおいて少なくとも部分的に材料16、16’と接触してもよい。これによって、それ自体は、長さ方向及び幅方向の寸法に比べて比較的小さい厚さの本質的に2次元の構造である、熱可塑性接着剤材料51の繊維層に、本質的に3次元の構造が付与される。それにより、繊維状の熱可塑性接着剤材料は、ランドエリアにおいて吸収性材料を被覆するキャビティを提供でき、それにより、SAPの100%又はそれ未満であり得るこの吸収性材料を不動化する。
【0042】
熱可塑性接着材料51は、ASTMのD−36−95「環球法」によって測定した軟化点が50℃〜300℃の範囲である、単一の熱可塑性ポリマー若しくは熱可塑性ポリマーのブレンドをそのまま含んでもよく、かつ/又は、熱可塑性接着剤材料は、粘着付与樹脂、可塑剤、及び酸化防止剤などの添加剤などの他の熱可塑性希釈剤と組み合わせた少なくとも1つの熱可塑性ポリマーを含む、ホットメルト接着剤であってもよい。
【0043】
繊維層に使用される熱可塑性接着剤は、エラストマー特性を有し得るが、それにより、SAP層上に繊維により形成されたウェブが、SAPが膨潤するにつれて延びることができるようになる。これらの型のエラストマーホットメルト接着剤は、1988年3月15日に付与された米国特許第4,731,066号(Korpman)により詳細に記載されている。熱可塑性接着剤材料は、繊維として塗布され得る。
【0044】
超吸収性ポリマー(SAP)
本明細書において用いられる場合、「超吸収性ポリマー(SAP)」とは、遠心保持容量(CRC)試験(EDANA法WSP 241.2−05E)を使用して測定したとき、重量の少なくとも10倍の0.9%生理食塩水溶液を吸収可能な架橋ポリマー材料である吸収性材料を指す。用いられるSAPは、20g/gより大きい、24g/gより大きい、20g/g〜50g/g、20g/g〜40g/g、又は24g/g〜30g/gのCRC値を有し得る(特に上記の範囲内の0.1g/g刻みのすべての増分、及びそれらの内部に又はそれらによって形成されるいずれかの範囲)。本開示で有用なSAPとしては、大量の流体を吸収できる非水溶性ではあるが水膨潤性の種々のポリマーを挙げることができる。
【0045】
超吸収性ポリマーは、乾燥状態において流動性があるように、粒子形態であってもよい。粒子状吸収性ポリマー材料は、ポリ(メタ)アクリル酸ポリマーから作製され得る。しかしながら、デンプン系の粒子状吸収性ポリマー材料も使用でき、更に、ポリアクリルアミド共重合体、エチレン無水マレイン酸共重合体、架橋カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール共重合体、架橋ポリエチレンオキシド、及びポリアクリロニトリルのデンプングラフト共重合体も使用できる。超吸収性ポリマーは、内部及び/又は表面架橋されたポリアクリレート及びポリアクリル酸ポリマーであってもよい。好適な材料が、例えば、PCT国際特許出願第07/047598号、同第07/046052号、同第2009/155265号、及び同第2009/155264号に記載されている。いくつかの実施形態においては、好適な超吸収性ポリマー粒子は、例えば、国際特許出願第2006/083584号に記載されているような、一般に既知の製造方法により得ることができる。
【0046】
本開示に有用なSAPは、様々な形状であってもよい。「粒子」という用語は、顆粒、繊維、フレーク、球体、粉末、小板、並びに超吸収性ポリマー粒子の当業者に既知のその他の形状及び形態のことを指す。いくつかの実施形態では、SAPポリマー粒子は、繊維の形状、すなわち細長い針状の超吸収性ポリマー粒子であってもよい。こうした実施形態においては、超吸収性ポリマー粒子繊維は、約1mm未満、通常は約500μm未満、又は250μm未満で50μmまでの小さい寸法(すなわち繊維の直径)を有し得る(特に、上記の範囲内の1μm刻みのすべての増分、及びそれらの内部又はそれらによって形成されるいずれかの範囲)。繊維の長さは、約3mm〜約100mmであってよい(特に上記の範囲内の1mm刻みのすべての増分、及びそれらの内部又はそれらによって形成されるいずれかの範囲)。繊維はまた、織布であり得る長繊維の形態をなし得る。
【0047】
SAPは、球状の粒子であってもよい。繊維とは対照的に、「球状粒子」は、微粒子の最長粒子寸法対最短粒子寸法の比が1〜5の範囲内である、最長及び最短の寸法を有し、値1は完全な球形粒子と等しく、値5は、かかる球形粒子からの若干のずれを考慮したものである。超吸収性ポリマー粒子は、EDANA法WSP 220.2−05に従って測定したとき、850μm未満、50μm〜850μm、100μm〜710μm、又は150μm〜650μmの粒径を有し得る(特に、上記の範囲内の1μm刻みのずべての増分、及びそれらの内部又はそれらによって形成されるいずれかの範囲)。比較的小さな粒径を有するSAPは、液体排泄物と接触する吸収性材料の表面積の増加に役立ち、したがって液体排泄物の素早い吸収を助ける。
【0048】
SAPは、45μm〜4000μmの範囲の粒径、より具体的に、45μm〜約2000μm、約100μm〜約1000μm、約100μm〜約850μm、又は約100μm〜約600μmの範囲内の粒径分布を有してもよい(特に、上記の範囲内の1μm刻みのすべての増分、及びそれらの内部又はそれらによって形成されるいずれかの範囲)。粒子状の材料の粒径分布は、例えば、乾式篩分け分析試験(EDANA 420.02「粒径分布」)によって決定され得る。SAPの表面は、例えば、カチオン性ポリマーでコーティングされてもよい。カチオン性ポリマーは、ポリアミン又はポリイミン材料を含んでもよい。吸収性コアは、1つ又は2つ以上の種類のSAPを含み得る。
【0049】
大部分の吸収性物品、とりわけおむつの場合には、着用者からの液体の排泄は、吸収性物品の前側の半分において主に起こる。したがって、吸収性物品の前側の半分(前縁部と横方向軸線90との間の領域により画定される)が、コアの吸収能力の大部分を備え得る。したがって、SAPの少なくとも60%、又はSAPの少なくとも65%、70%、75%、80%、若しくは85%が、吸収性物品の前側の半分に存在し、残りのSAPが吸収性物品の後側の半分に配設されてもよい。他の実施形態においては、SAPの分布はコアを通して均一であり得るか、又は他の好適な分布を有し得る。
【0050】
吸収性コアに存在するSAPの合計量は、想定されるユーザーに応じて変動してもよい。新生児用のおむつは、乳幼児用、小児用、又は成人用失禁おむつと比べて必要なSAPが少ない場合がある。コア内のSAPの量は、約5〜60g、又は5〜50gであってよい(特に、この範囲内の0.1g刻みのすべての増分、及びそれらの内部又はそれらによって形成されるいずれかの範囲)。SAPの(又は複数存在する場合は「少なくとも1つの」)堆積エリア8内の平均SAP坪量は、少なくとも50g/m
2、100g/m
2、200g/m
2、300g/m
2、400g/m
2、500g/m
2、又はそれ以上となり得る。この平均坪量を算出するために、吸収性材料の堆積エリア8に存在するチャネル(例えば、27、27’)の面積が、吸収性材料の堆積エリアから推定される。
【0051】
コアラップ
コアラップは、吸収性材料の周りで折り重ねられた単一の基材、材料、又は不織布から作製されてもよく、あるいは、互いに取り付けられる2つ(又は3つ以上)の基材、材料、又は不織布を備えてもよい。典型的な取り付けは、いわゆるCラップ及び/又はサンドイッチラップである。例えば、
図2及び7に示すように、Cラップにおいては、一方の基材の縦方向縁部及び/又は横方向縁部が他方の基材に折り重ねられて、フラップを形成する。これらのフラップは次いで、通常は糊付けによって、他方の基材の外部表面に結合される。コアラップを形成するために、他の技術を用いることもできる。例えば、基材の縦方向縁部及び/又は横方向縁部が結合されてから、吸収性コア28の下に折り畳まれて、その位置で結合されてもよい。
【0052】
コアラップは、吸収性材料を受容及び包含するのに好適な任意の材料によって形成され得る。従来型のコアを生産するのに使用される典型的な基材材料、特に紙、ティッシュ、フィルム、織布若しくは不織布、又はこれらのいずれかの積層体若しくは複合体を用いることができる。コアラップは、カーディングされた不織布、スパンボンド不織布(「S」)、メルトブローン不織布(「M」)、及びこれらのいずれかの積層体などの不織布ウェブから形成され得る。例えば、スパンメルトされたポリプロピレン不織布が好適であるが、特に、積層体ウェブのSMS、SMMS、又はSSMMS型の構造を有し、かつ坪量が約5gsm〜約15gsmの範囲であるものが好適であり得る。好適な材料が、米国特許第7,744,576号、米国特許出願公開第2011/0268932A1号、同第2011/0319848A1号、及び同第2011/0250413A1号に開示されている。例えばPE、PET、及び/又はPPのような、合成繊維から得られる不織布材料が用いられてもよい。
【0053】
コアラップが第1基材、不織布、又は材料16と、第2基材、不織布、又は材料16’とを備える場合、これらは同じ種類の材料から作製されてもよく、異なる材料から作製されてもよく、あるいは、基材の一方が他方と異なる処理をされて、異なる特性が与えられてもよい。不織布の製造に使用されるポリマーは、本質的に疎水性であるので、吸収性コアの流体受容側に置かれる場合、親水性コーティングで被覆されてもよい。コアラップの上側、すなわち吸収性物品の中で着用者により接近して置かれる側が、コアラップの下側よりも親水性であることが有利となり得る。耐久性のある親水性コーティングを用いて不織布を製造するための考えられる方法は、親水性モノマー及びラジカル重合反応開始剤を不織布上に塗布し、紫外線で活性化して重合を起こすことによって、不織布の表面に化学結合したモノマーを生成させるものである。耐久性のある親水性コーティングをした不織布を生産するための、可能な代替的方法は、例えば国際出願公開第02/064877号で説明されるような、不織布を親水性ナノ粒子でコーティグする方法である。
【0054】
恒久的に親水性の不織布も、いくつかの実施形態では有用である。米国特許第7,744,576号(Busamら)で説明されるような表面張力を、どのくらい恒久的に特定の親水性レベルが達成されるのかを測定するために用いることができる。米国特許第7,744,576号に説明されるような液体しみ出しを、親水性レベルを測定するために用いることができる。第1及び/又は第2基材は、生理食塩水溶液で湿潤される場合、少なくとも55mN/m、少なくとも60mN/m、又は少なくとも65mN/m、あるいはそれより大きな表面張力を有し得る。基材はまた、液体の5回目の噴出に対し、5秒未満での液体しみ出し時間を有してもよい。これらの値は、米国特許第7,744,576B2号に、それぞれ「表面張力の決定」及び「しみ出しの決定」として記載される試験方法を使用して測定することができる。
【0055】
親水性及び濡れ性は、典型的には、接触角度、及び例えば不織布布地を通過する流体のしみ出し時間により定義される。これに関しては、「Contact Angle,Wettability and Adhesion」と題する、Robert F.Gouldにより編集された、American Chemical Societyの刊行物(1964年版権)に詳述されている。水と基材表面との間の接触角が低い基材は、別の基材よりも親水性が高いと言ってもよい。
【0056】
基材はまた、空気透過性であってもよい。したがって、本明細書において有用なフィルムは微小孔を有し得る。基材は、EDANA法140−1−99(125Pa、38.3cm
2)によって決定される空気透過率が、40又は50〜300又は200m
3/(m
2×分)のものであってもよい。あるいは、コアラップの材料は、例えば真空を含む移動表面での取り扱いを容易にするために、より低い空気透過性、例えば空気不透過性を有してもよい。
【0057】
コアラップは、コアから漏れ出す吸収性材料が実質的にゼロとなるように、吸収性コアのすべての側部に沿って少なくとも部分的に封止され得る。「吸収性材料が実質的にゼロ」とは、吸収性材料の、5重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、又は約重量0%しかコアラップから漏れ出ないということを意味する。「封止」という用語は、広義に理解されるべきである。封止は、コアラップの周辺部全体に沿って連続的である必要はなく、線上に離間配置された一連の封止点によって形成されるなど、その部分又は全体に沿って非連続的であってもよい。封止は、糊付け及び/又は熱結合によって形成され得る。
【0058】
コアラップが2つの基材16、16’により形成される場合、4つの封止を使用して、吸収性材料60をコアラップ内に封入し得る。例えば、第1基材16は、コアの一方の側部に(図では上側として示される)置かれ、コアの反対の下側を少なくとも部分的に包み込むようにコアの縦方向の縁部の周りに延在していてもよい。第2基材16’は、第1基材16の包み込まれたフラップと吸収性材料60との間に存在していてもよい。強力な封止をもたらすために、第1基材16のフラップを第2基材16’に糊付けしてもよい。このいわゆるCラップ構造は、サンドイッチ式封止に比べて、湿潤負荷状態での耐破裂性の改善のような利益をもたらし得る。コアラップの前側部及び後側部も、その後、第1基材及び第2基材を互いに糊付けすることによって封止され、コアの周辺部の全体にわたる吸収性材料の完全な封入をもたらし得る。コアの前側部及び後側部については、第1及び第2基材が延びて、実質的に平面方向で共に接合されることで、これらの縁部に対していわゆるサンドイッチ構造を形成し得る。いわゆるサンドイッチ構造においては、第1及び第2基材はまた、コアの全側部上で外向きに延び、典型的には糊付け及び/又は熱/圧力結合によって、コアの周辺部の全体又は部分に沿って平坦に、又は実質的に平坦に封止され得る。1つの実施形態においては、第1及び第2基材のどちらも特定の形状を有する必要がないため、製造を簡易にするため矩形に切断されてもよいが、他の形状も本開示の範囲内である。
【0059】
コアラップはまた、単一の基材によって形成されてもよく、その基材は、包のように吸収性材料を封入し、コアの前側部及び後側部並びに一方の縦方向側部に沿って封止され得るものである。
【0060】
SAP堆積エリア
吸収性材料の堆積エリア8は、吸収性コアの上側から見ると分かるように、コアラップ内の吸収性材料60によって形成される層の周辺部によって画定され得る。吸収性材料の堆積エリア8は、様々な形状、具体的には、いわゆる「犬の骨」又は「砂時計」形状であってもよく、これらの形状は、コアの中央又は「股」領域に向かう幅方向に沿ってテーパー状を示す。このように、吸収性材料の堆積エリア8は、
図1に図示されるように、吸収性物品の股領域内に置かれるように意図されたコアのエリアにおいて、比較的狭い幅を有し得る。これにより、着用時の快適性をより高めることができる。それゆえに、吸収性材料の堆積エリア8は、約100mm、90mm、80mm、70mm、60mm未満、又は更に約50mm未満であるその最も狭い点での幅(横方向に測定したとき)を有し得る。この最も狭い幅は更に、堆積エリア8の前部領域及び/又は後部領域におけるその最も幅広の点での堆積エリア8の幅よりも、少なくとも5mm、又は少なくとも10mm小さくてもよい。吸収性材料の堆積エリア8は、例えば
図4〜6に示されるように、概ね矩形であってもよいが、「T」字形、「Y」字形、「砂時計」形状、又は「犬の骨」形状のような他の堆積エリアの形も状、本開示の範囲内である。
【0061】
SAPの坪量(表面の単位当たりの堆積量)はまた、堆積エリア8に沿って変化してもよく、コアの縦方向、横方向、又はその両方の方向に、吸収性材料、特にSAPのプロファイル化された分布となるようにしてもよい。よって、コアの縦方向軸線に沿って、及び横方向軸線に沿って、又はこれらの軸のいずれかに平行であるいずれの軸に沿っても、吸収性材料の坪量は異なっていてもよい。比較的高い坪量のエリアにおけるSAPの坪量は、故に、比較的低い坪量のエリアよりも、少なくとも10%、20%、30%、40%、又は50%高くてもよい。1つの実施形態においては、股ポイントCの高さで吸収性材料の堆積エリア8中に存在するSAPは、吸収性材料の堆積エリア8の別のエリアと比較して、表面の単位当たりのSAPの堆積量がより多くなっていてもよい。
【0062】
吸収性材料は、比較的高速でSAPを比較的正確に堆積させ得る既知の技術を用いて堆積することができる。特に、米国特許出願公開第2008/0312617号、及び米国特許出願公開第2010/0051166A1号(共にHundorfら)に開示されているような、SAP印刷技術を用いることができる。この技術は、印刷ロールを用いて支持体のグリッド上に配設された基材上にSAPを堆積させるが、支持体は、複数のクロスバーの間に延びるチャネルを形成するように互いにほぼ平行に、かつ互いから離間して延びている、複数のクロスバーを含み得る。この技術は、基材上への高速かつ正確なSAPの堆積を可能にする。吸収性コアのチャネルは、例えば、チャネルに対応するエリアではSAPが塗布されないように、グリッドのパターンを修正し、ドラムを受容することによって形成され得る。欧州特許出願第11169396.6号には、この修正法がより詳細に開示されている。
【0063】
吸収性コア内のチャネル
吸収性材料の堆積エリア8は、少なくとも1つのチャネル26を有していてもよく、そのチャネル26は、吸収性物品80の縦方向に少なくとも部分的に方向付けられている(すなわち、縦方向のベクトル成分を有する)。他のチャネルは、横方向に少なくとも部分的に方向付けられていてもよく(すなわち横方向のベクトル成分を有する)、あるいは任意の他の方向に少なくとも部分的に方向付けられていてもよい。以下で「チャネル」が複数形で用いられる場合には、「少なくとも1つのチャネル」を意味する。チャネルは、吸収性物品の縦方向軸線80に投影した長さL’を有し得るが、その長さL’は、吸収性物品の長さLの少なくとも10%に相当する。チャネルは、円形、楕円形、又は様々な他の閉じた多角形の形状であってもよい。チャネルは、様々な方法で形成され得る。例えば、チャネルは、吸収性材料、特にSAPを実質的に含まない、又は全く含まなくてもよい、吸収性材料の堆積エリア8内のゾーンによって形成され得る。それに加えてあるいはそれに代わって、チャネルはまた、吸収性材料の堆積エリア8の全体にわたって、コアラップの上側をコアラップの下側に連続的に又は非連続的に結合することによって形成され得る。チャネルは連続的であってよいが、チャネルが断続的であり得ることも考えられる。液体処理系50、又は吸収性物品の別の層もまた、チャネルを含み得るが、詳しくは後述するように、そのチャネルは、吸収性コアのチャネルと対応していても、していなくてもよい。
【0064】
いくつかの実施形態においては、チャネルは、2つの縦方向に延びるチャネル26、26’で
図1に示すように、股ポイントC又は吸収性物品の横方向軸線90と少なくとも同じ縦方向の高さに存在し得る。チャネルはまた、股部領域7から延びてもよく、又は吸収性物品の前面腰部領域5及び/若しくは後面腰部領域6に存在してもよい。
【0065】
吸収性コア28もまた、3つ以上、例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又はそれより多くのチャネルを含んでもよい。
図1に一対のチャネル27、27’で示されるように、より短いチャネルもまた、例えば、コアの後面腰部領域6又は前面腰部領域5に、吸収性物品の前側に向かって存在し得る。チャネルは、縦方向軸線80に対して対称的に配置された、あるいは別様に配置された一対又は二対以上のチャネルを含んでもよい。
【0066】
チャネルは、吸収性材料の堆積エリアが矩形である場合、吸収性コアで特に有用であるが、これは、非矩形(特定形状の)コアを使うことの利点が少なくなる程度にまでコアの可撓性を向上し得る。無論、チャネルはまた、特定の形状を有する堆積エリアを有するSAPの層に存在してもよい。
【0067】
チャネルは、実質的に縦方向に延び得るが、これは、各チャネルが、横方向よりも縦方向により延びていること、あるいは(それぞれの軸上に投影した後に測定したとき)横方向よりも縦方向に少なくとも2倍延びているという意味である。他の実施形態においては、チャネルは実質的に横方向に延び得るが、これは、各チャネルが、縦方向よりも横方向により延びていること、あるいは(それぞれの軸上に投影した後に測定したとき)縦方向よりも横方向に少なくとも2倍延びているという意味である。
【0068】
チャネルは、縦方向に、かつ縦方向軸線と平行に完全に方向付けられていてもよく、あるいは横方向に、かつ横方向軸線と平行に完全に方向付けられていてもよいが、チャネルはまた、湾曲していてもよい。様々な実施形態においては、チャネルのうちのいくつか又は全て、特に股部領域7に存在するチャネルは、例えば、一対のチャネル26、26’について
図1に示すように、縦方向軸線80に向けて凹状であり得、そのため、それらは、縦方向軸線80に向かって曲がっている。チャネル26、26’はまた、縦方向軸線80から離れるように曲がる凸状であっても、又は任意の好適な他の配置であってもよい。曲率半径は、典型的には、吸収層の平均横方向寸法と少なくとも等しく(またこの平均横方向寸法の少なくとも1.5倍又は少なくとも2.0倍であってもよい)、かつ真っ直ぐであってよいが、一辺が縦方向軸線に平行で(例えば5°から)最大で30°、例えば最大で20°、又は最大で10°角度をなしていてもよい。1つのチャネルについて曲率半径は一定であってよく、又はその長さ方向に沿って変化してもよい。これはまた、1つのチャネルの2つの部分の間の角度が少なくとも120°、少なくとも150°であり、またこれらのいずれかの場合において、チャネルの縦方向の延びが横方向の延びよりも長い場合、その内部に角度を有するチャネルを含んでもよい。チャネルは分岐状であってもよい。例えば、股部領域7において縦方向軸線と重なる中央チャネルが、吸収性物品の後面腰部縁部12及び/又は前面腰部縁部10に向かって分岐するものであってもよい。
【0069】
いくつかの実施形態においては、吸収性物品又はコアの縦方向軸線80と一致するチャネルが存在し得るが、他の実施形態においては、縦方向軸線80と一致するチャネルは存在しなくてもよい。縦方向軸線80に対して対称となる対として存在する場合、それらのチャネルは、その全縦方向寸法にわたり、互いから離間していてもよい。最小の間隔距離は、例えば、少なくとも5mm、少なくとも10mm、又は少なくとも15mmであり得る。
【0070】
更に、流体が漏れ出る危険性を低減するために、縦方向の主チャネルは、吸収性材料の堆積エリア8のいずれの縁部に達するまでは延びず、したがって、コアの吸収性材料の堆積エリア8内に完全に包囲され得る。チャネルと吸収性材料の堆積エリア8の最も近い縁部との間の最短距離は、少なくとも5mmであり得る。
【0071】
チャネルは、例えば、その長さ方向の少なくとも一部分に沿って、少なくとも2mm、少なくとも3mm、少なくとも4mm、最大で、20mm、16mm、又は12mmの幅Wc1を有し得る。チャネルの幅は、実質的にチャネルの全長にわたって一定であってもよく、又はその長さ方向に沿って変動してもよい。チャネルが、吸収性材料の堆積エリア8内の吸収性材料を含まないゾーンによって形成される場合、チャネルの幅は材料を含まないゾーンの幅であると見なされ、チャネル内にコアラップが場合によっては存在することは無視される。チャネルが吸収性材料を含まないゾーンによって形成されるのではなく、例えば主として、吸収性材料ゾーンを通じたコアラップの結合によって形成される場合、チャネルの幅はこの結合部の幅となる。
【0072】
チャネルの少なくとも一部分又はすべてが、恒久的なチャネルであってもよいが、その意味するところは、それらの完全性が、乾燥状態及び湿潤状態の両方で少なくとも部分的に保たれるということである。恒久的なチャネルは、例えば、接着材料の繊維性層、又はチャネルの壁内の吸収性材料に対する基材の粘着を容易にする構築用糊剤など、1つ以上の接着材料を設けることにより得られ得る。恒久的なチャネルはまた、コアラップの上側と下側(例えば、第1基材16と第2基材16’)とをチャネルを介して互いに結合すること、及び/又はトップシート24をバックシート25にチャネルを介して互いに結合することによって形成されてもよい。典型的には、チャネルを介してコアラップの両側を結合するために、又はチャネルを介してトップシートとバックシートとを結合するために、接着剤が使用され得るが、圧力結合、超音波結合、熱結合、又はそれらの組み合わせなどの既知の他の方法によって結合されてもよい。コアラップ又は、トップシート24及びバックシート25は、チャネルに沿って連続的に結合されてもよく、あるいは断続的に結合されてもよい。チャネルは有利にも、吸収性材料が流体で完全に満たされた場合に、少なくともトップシート及び/又はバックシートを通じて依然として視認可能であるか又は視認可能となり得る。これは、湿潤状態でもチャネルが膨張しないように、チャネルがSAPを実質的に含まないようにすること、及び湿潤状態でもチャネルが閉鎖しないように、チャネルを十分に大きくすることで実現し得る。更に、チャネルを介してコアラップをそれ自身に結合すること、又はトップシートをバックシートに結合することは、有利となり得る。
【0073】
1つの実施形態においては、
図1を参照すると、吸収性コア28は、少なくとも3つのチャネル又は4つのチャネル(例えば、26、26’、27、27’)を備え得る。これらのチャネルは、超吸収性ポリマーを含まない、あるいは実質的に含まない(例えば、10%未満、5%未満、3%未満、2%未満、又は1%未満)ものであってよく、縦方向に少なくとも部分的に方向付けられていてよく、かつ/又は横方向に少なくとも部分的に方向付けられていてもよい。様々な実施形態においては、チャネル26、26’の、縦方向軸線80に沿った縦方向の長さは、同じであってよく、実質的に同じであってよく(例えば、互いに2mm以下)、又は異なっていてもよく、かつ、チャネル27、27’の、縦方向軸線80に沿った縦方向の長さは、同じであってよく、実質的に同じであってよく、又は異なっていてもよい。チャネル26、26’の縦方向の長さは、チャネル27、27’の縦方向の長さよりも大きくてもよい。チャネル27及び27’の、縦方向の長さにわたる平均横方向幅は、同じであってよく、実質的に同じであってよく、又は異なっていてもよい。同様に、チャネル26及び26’の、縦方向の長さにわたる平均横方向幅は、同じであってよく、実質的に同じであってよく、又は異なっていてもよい。チャネル26、26’、27及び27’のいずれの平均横方向幅も、同じであってよく、実質的に同じであってよく、又は異なっていてもよい。
【0074】
いくつかの実施形態においては、第1及び第2チャネル26及び26’に加えて、吸収性コア28は、股部領域7及び/又は後面腰部領域6内のポケット(不図示)と、後面腰部領域6及び/又は股部領域7の1つ又は2つ以上のチャネルとを備えてもよい。他の実施形態においては、ポケットが股部領域7及び/又は前面腰部領域5に存在してよく、1つ又は2つ以上のチャネルが股部領域7及び/又は前面腰部領域5に存在してもよい。ポケット及び1つ又は2つ以上のチャネルは、BMポケット若しくはチャネル及び/又は尿処理ポケット及び/若しくはチャネルであってもよい。
【0075】
バリアレッグカフ
吸収性物品は、一対のバリアレッグカフ34を備えてもよい。それぞれのバリアレッグカフは、吸収性物品の内面から上方に延びることができ、着用者の胴体と脚との接合部付近での液体及びその他の身体排泄物の収容性を改善し得るように、吸収性物品に結合された、一片の材料によって形成され得る。バリアレッグカフ34は、トップシート24及び/又はバックシート25に直接的又は間接的に接合された近位側縁部64と、着用者の皮膚と接触して封止部を形成するように意図された自由末端縁部66とにより、その範囲を定められる。バリアレッグカフ34は、縦方向軸線80の対向する両側で吸収性物品の前面腰部縁部10と後面腰部縁部12との間を少なくとも部分的に延び、かつ股ポイント(C)又は股部領域の高さに少なくとも存在する。バリアレッグカフ34は、糊付け、溶融結合、又はその他の好適な結合方法の組み合わせにより作られる結合部65により、近位側縁部64で吸収性物品のシャーシと接合され得る。近位側縁部64での結合部65は、連続的又は断続的であってもよい。レッグカフ34の隆起区間に最も近い結合部65が、レッグカフ34の立ち上がり区間の近位側縁部64の範囲を定める。
【0076】
バリアレッグカフ34は、トップシート24若しくはバックシート25と一体であるか、又は吸収性物品のシャーシに接合された別個の材料であってもよい。バリアレッグカフ34の材料は、おむつの全長を通して延び得るが、これらの区間においてバリアレッグカフ材料がトップシート24と同一平面上のままであるように、吸収性物品の前側腰部縁部10及び後側腰部縁部12に向かってトップシート24に「タック結合」され得る。
【0077】
各バリアレッグカフ34は、この自由末端縁部66に近接して、フィルム35の1つ、2つ、又は3つ以上の弾性ストランド又はストリップを含み、より良い封止をもたらし得る。
【0078】
吸収性物品は、バリアレッグカフ34に加えて、ガスケットカフ32を備えていてよく、このガスケットカフ32は、吸収性物品のシャーシ、特にトップシート24及び/又はバックシート25に接合されており、かつバリアレッグカフ34に対して外側に置かれる。ガスケットカフ32は、着用者の大腿の周りにより優れた封止をもたらすことができる。各ガスケットレッグカフは、1つ又は2つ以上の弾性ストリング又は弾性要素を、脚部開口部のエリア内のトップシート24とバックシート25との間の吸収性物品のシャーシ内に含み得る。バリアレッグカフ及び/又はガスケットカフの全て又は一部分は、ローション又はスキンケア組成物を用いて処理され得る。バリアレッグカフは、米国特許公開第2012/0277713号に記載されているものを含む、多くの異なる構成で構築され得る。
【0079】
締結システム
吸収性物品は、締結システムを備えてもよい。締結システムは、テープ付きおむつでは典型的であるように、吸収性物品の周囲に横方向の張力を与えて、吸収性物品を着用者に対して保持するために使用され得る。この締結システムは、トレーニングパンツ又はパンツスタイルの物品の腰部領域は既に結合されているので、こうした物品には必要でない場合がある。締結システムは、例えば、テープタブ、フックとループの締結要素、タブ及びスロット、バックル、ボタン、スナップ、並びに/又は雌雄同体締結要素のような係合締結具を含んでもよいが、他の好適ないかなる締結機構もまた、本開示の範囲内である。ランディングゾーン44が、締結具が取り外し可能に取り付けられるように、通常は前面腰部領域5の衣類に面した表面上に設けられる。
【0080】
締結システムはまた、米国特許第4,699,622号に開示されるように重なり合う部分のずれを減らすために、又は米国特許第5,242,436号、同第5,499,978号、同第5,507,736号、及び同第5,591,152号に開示されているようにフィット感を改善するために、主要な締結システムと副次的な締結システムとをも含み得る。
【0081】
前側耳部及び後側耳部
1つの実施形態においては、吸収性物品は、前側耳部46と後側耳部40とを備え得る。耳部は、トップシート24及び/又はバックシート25からサイドパネルとして形成されるものなど、シャーシの一体部分であってもよい。あるいは、
図1に示すように、耳部(46、40)は、糊付け、熱エンボス加工、及び/又は圧力結合により取り付けられる、分離型の要素であってもよい。後側耳部40は伸縮可能であってよく、それによりタブ42がランディングゾーン44に容易に取り付けられるようになり、テープ付きおむつが着用者の腰部周りの適所に保たれるようになる。後側耳部40はまた、より快適であり、体に巻き付くようなフィット感を付与するように弾性的又は伸長可能であってもよいが、これらのフィット感は、弾性のある耳部により吸収性物品の側部が伸縮できるので、吸収性物品を最初に着用者に対して沿うようにフィットさせ、吸収性物品に排泄物が充填されてからかなり後でも着用している間ずっと、このフィット感を維持することによって実現される。
【0082】
弾性腰部機構
吸収性物品は更に、改善したフィット及び封じ込めを提供する上で役立つ、少なくとも1つの弾性腰部機構(図示せず)を備え得る。弾性腰部機構は、一般的に、弾性的に伸縮して、着用者の腰に動的にフィットするように意図される。この弾性腰部機構は、吸収性コア28の少なくとも一方の腰部縁部から少なくとも縦方向に外側に延び、吸収性物品の末端縁部の少なくとも一部分を概ね形成する。使い捨ておむつは、2つの弾性腰部機構を有するように構成され得るが、一方は、前腰部領域に配置され、他方は、後腰部領域に配置される。弾性腰部機構は、米国特許第4,515,595号、第4,710,189号、同第5,151,092号、同第5,221,274号、米国特許出願公開第2012/0330262号、同第2012/0330263号、同第2012/0330264号に記載されるものを含む、多くの異なる構成に構築され得る。
【0083】
各層間の関係
典型的には、隣接する層及び構成要素は、層の表面の全体若しくは一部分へのスロットコーティング若しくは吹き付けによる接着剤コーティング、熱結合、圧力結合、又はそれらの組み合わせなど、従来の結合法を用いて互いに接合される。吸収性物品の層と層との間の結合部は、存在してもしなくてもよい。明瞭さと読みやすさを優先して、結合部は(レッグカフ34の隆起要素とトップシート24との間の結合部を除いて)図面に表されていない。バックシート25とコアラップとの間の異なる層の接着性を改善するために、接着剤を用いてもよい。糊剤は、当該技術分野で既知の、任意の好適なホットメルト糊剤であってもよい。
【0084】
LMS 50内に捕捉層52が存在する場合、この捕捉層が、その縦方向の寸法及び/又は横方向の寸法において、分配層54よりも大きいか、又は少なくとも分配層54と同じ大きさであることが望ましい場合がある。そうであれば、分配層54は、捕捉層52の上に配設され得る。これにより、特に捕捉層が、ストック材料のロールから広げられ得る不織布である場合に、取り扱いがより簡単なものになる。分配層54はまた、吸収性コアのコアラップの上部又は吸収性物品の別の層に直接配設されてもよい。また、分配層よりも大きい捕捉層52を有することにより、捕捉層を貯蔵コアに直接、(より大きい面積で)糊付けすることが可能になる。このことで、パッチの一体性が向上し、かつ液体の連通性が向上し得る。
【0085】
吸収性コア、及び特にその吸収性材料の堆積エリア8は、液体処理系と少なくとも同じ大きさ及び長さであってもよく、かつ液体処理系よりも少なくとも部分的により大きく、かつ/又はより長くてもよい。これは、コア中の吸収性材料が、より効果的に流体を保持し、LMS 50よりも広い面積にわたって乾燥性の利益をもたらすことができるためである。吸収性物品は、矩形のSAP層及び非矩形(特定形状の)LMS 50を有してもよい。吸収性物品はまた、矩形の(特定の形状ではない)LMS 50及びSAPの矩形層を有してもよい。
【0086】
液体処理系
本開示のLMS 50は、時に、捕捉・分配系(「ADS」)又は捕捉系と呼ばれる場合がある。LMS 50の1つの機能は、流体を迅速に捕捉し、それを吸収性コアに効率的な方式で分配することである。LMS 50は、1つ、2つ、又は3つ以上の層を備えてもよく、それらの層は一体の層を形成しても、あるいは、互いに付着され得る個別の層にとどまってもよい。1つの実施形態においては、LMS 50は2つの層、つまり、吸収性コアとトップシートとの間に配設される分配層54と捕捉層52とを備え得るが、本開示は、この実施形態に限定されない。
【0087】
SAPは流体の捕捉及び分配を緩慢にし得るので、LMS 50はSAPを含み得る。他の実施形態においては、LMSは、SAPを実質的に含まない(例えば、80%、85%、90%、95%、又は99%含まない)か、又はSAPを全く含まない場合がある。LMSはまた、例えば、連続気泡発泡体、エアレイド繊維、又はカーディングされた樹脂結合型不織布材料のような様々な他の好適なタイプの材料のうちの1つ又は2つ以上を含み得る。LMSの好適な例が、例えば国際特許第2000/59430号(Daley)、同第95/10996号(Richards)、米国特許第5,700,254号(McDowall)、及び国際特許第02/067809号(Graef)に記載されている。本明細書において開示されるLMS 50のいずれの例も、吸収性物品内では:(1)液体透過性材料又はトップシート若しくは副次的トップシートと、吸収性コアとの間;(2)吸収性コアと、液体不透過性材料又はバックシートとの間;(3)吸収性コアと、液体分配層との間;(4)液体分配層と、液体不透過性材料又はバックシートとの間、に配置されることができるか、あるいは吸収性物品内のその他の箇所に位置付けられてもよい。1つの実施形態においては、2つ以上のLMS 50が、吸収性物品内に設けられる場合がある。1つ又は2つ以上のLMS 50が、1つ又は2つ以上の吸収性コアの上方及び/又は下方に設けられ得る。
【0088】
分配層
ある実施形態においては、LMS 50は分配層54を備えてもよい。分配層54は例えば、少なくとも50重量%の架橋セルロース繊維を含み得る。架橋セルロース繊維は、捲縮されるか、撚り合わされるか、若しくはカールされてもよく、又は、捲縮、撚り合わせ、及びカールを含むそれらの組み合わせであってもよい。このタイプの材料は、米国特許出願公開第2008/0312622A1号(Hundorf)に開示されている。架橋セルロース繊維は、製品のパッケージ内の圧縮に対して、又は、例えば赤ちゃんの重量下での使用状況下において、第1吸収性層に対して、高い復元力、及びそれ故高い耐性を付与する。これにより、コアに、より大きな空隙容積、より高い透過性、及びより高い液体吸収性が付与されるので、漏れが減り、乾燥状態が改善される。
【0089】
分配層に好適な化学的架橋セルロース繊維の例が、米国特許第5,549,791号、同第5,137,537号、国際特許第9534329号、又は米国特許出願公開第2007/118087号に開示されている。架橋剤の例には、クエン酸などのポリカルボン酸、並びに/又は、アクリル酸及びマレイン酸共重合体などのポリアクリル酸が含まれる。
【0090】
本開示の架橋セルロース繊維を含む分配層54は、他の繊維を含んでもよいが、この層は、層の、少なくとも50重量%、又は60重量%、又は70重量%、又は80重量%、又は90重量%、又は更には最大100重量%の架橋セルロース繊維(架橋剤を含む)を含んでもよい。このような架橋セルロース繊維の混合層の例は、約70重量%の化学架橋セルロース繊維、約10重量%のポリエステル(PET)繊維、及び約20重量%の未処理のパルプ繊維を含み得る。別の例では、架橋セルロース繊維の層は、化学架橋セルロース繊維を約70重量%、リヨセル繊維を約20重量%、及びPET繊維を約10重量%含んでもよい。別の例では、層は、化学架橋セルロース繊維を約68重量%、未処理のパルプ繊維を約16重量%、及びPET繊維を約16重量%含んでもよい。別の例では、架橋セルロース繊維の層は、化学架橋セルロース繊維を約90重量%〜100重量%含んでもよい。
【0091】
分配層54は、米国特許第5,137,537号で開示されている手順に示されている通りに測定して、25〜60、又は30〜45の保水値を有する材料であってもよい。
【0092】
分配層は典型的には、30g/m
2〜400g/m
2、又は100g/m
2〜300g/m
2の平均坪量を有し得る(特に、上記の範囲内の1.0g/m
2刻みのすべての増分、及びそれらの内部又はそれらによって形成されるいずれかの範囲)。分配層の密度は、吸収性物品の圧縮度によって変化し得るが、2.07kPa(0.30psi)測定して、0.03g/cm
3〜0.15g/cm
3、又は0.08g/cm
3〜0.10g/cm
3であり得る(特に、上記の範囲内の1.0g/cm
3刻みのすべての増分、及びそれらの内部又はそれらによって形成されるいずれかの範囲)。
【0093】
捕捉層
ある実施形態においては、LMS 50は、代替的又は追加的に捕捉層52を備えてもよい。1つの実施形態においては、捕捉層52は、例えば、分配層54とトップシート24との間に配設され得る。獲得層52は、スパンボンド、メルトブローン、及び更にスパンボンドされた層、又は、それとは別に、カーディングされた化学的結合型不織布を含む、SMS又はSMMS材料などの不織布材料であってもよく、又はそれを含んでもよい。いくつかの実施形態においては、捕捉層52は、エアレイド又はウェットレイドセルロース、架橋セルロース、若しくは合成繊維、又はこれらのブレンドを含んでもよい。ある実施形態においては、捕捉層52は、合成繊維(空隙を増加させるために、例えば固体状態形成によるなどして処理され得る)のロールストックウェブ、又は、高ロフト材料を形成するために結合された合成繊維とセルロール繊維との組み合わせを含み得る。あるいは、捕捉層52は、吸収性の連続気泡発泡体を含み得る。不織布材料は、ラテックス結合されてもよい。捕捉層の例が米国特許第7,786,341号に開示されている。用いられる繊維が、中実で円形又は丸形で中空のPETステープル繊維(6デニール繊維と9デニール繊維との50/50又は40/60の混合)である場合は特に、カーディングされた樹脂結合型不織布が用いられてもよい。例示的な結合剤は、ブタジエン/スチレンラテックスである。不織布は、加工ラインの外側で製造され、ロール材料として保管及び使用され得るという利点を有している。捕捉層52は、例えば、スチレンーブタジエンラテックス結合剤(SBラテックス)などのラッテクス結合剤により、安定化されてもよい。
【0094】
上述の第1捕捉層に加えて、更なる捕捉層が用いられてもよい。例えば、ティッシュ層、不織布層、又は他の層が、第1捕捉層と分配層との間に置かれ得る。ティッシュは、上述した獲得層と比較して、毛管現象による分配特性を向上させ得る。ティッシュ層、不織布層、又は他の層と、第1捕捉層とは、同じサイズであっても、又は異なるサイズであってもよい。例えば、ティッシュ層、不織布層、又は他の層は、第1捕捉層よりも、吸収性物品の後側に更に延びてもよい。親水性ティッシュの例は、供給業者Havixによるセルロース繊維から作製された、13〜15gsmの高湿潤強度である。
【0095】
捕捉層52のベース基材の繊維を形成するために用いられる組成物には、熱可塑性ポリマー材料及び非熱可塑性ポリマー材料が含まれ得る。熱可塑性ポリマー材料は、溶融紡糸に適したレオロジー特性を有する必要がある。ポリマーの分子量は、ポリマー分子間の絡み合いを可能にするうえで充分でなければならず、なおかつ溶融紡糸を可能とするだけ充分に低くなければならない。溶融紡糸のためには、熱可塑性ポリマーは、約1,000,000g/mol未満、約5,000g/mol〜約750,000g/mol、約10,000g/mol〜約500,000g/mol、及び約50,000g/mol〜約400,000g/molの分子量を有する。他に特に断らない限りは、示される分子量は数平均分子量である。
【0096】
熱可塑性ポリマー材料は、短繊維用の紡糸延伸プロセス又はスパンボンド連続繊維プロセスなどの既知のプロセスで典型的に見られるように、比較的急速に、好ましくは延伸流動の下で固化して、熱安定性である繊維構造を形成することが可能である。ポリマー材料としては、これらに限定されるものではないが、ポリプロピレン及びポリプロピレンコポリマー、ポリエチレン及びポリエチレンコポリマー、ポリエステル及びポリエステルコポリマー、ポリアミド、ポリイミド、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、ポリアクリレート、並びにこれらのコポリマー及びこれらの混合物が挙げることができる。他の好適なポリマー材料としては、米国特許出願公開第2003/0109605A1号及び同第2003/0091803号に詳細に記載されるような、熱可塑性デンプン組成物が挙げられる。その他の好適なポリマー材料としては、エチレンアクリル酸、ポリオレフィンカルボン酸のコポリマー、及びこれらの組み合わせが挙げられる。そのようなポリマーは、米国特許第6,746,766号、同第6,818,295号、同第6,946,506号、及び米国特許出願公開第03/0092343号に開示されている。一般的な熱可塑性ポリマー繊維等級の材料が使用されてもよく、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリヒドロキシアルカノエート系樹脂、及びポリエチレン系樹脂、並びにこれらの組み合わせがある。一部の実施形態は、ポリエステル及びポリプロピレン系樹脂を使用する。
【0097】
本開示における使用に適した熱可塑性ポリマーの非限定的な例としては、脂肪族ポリエステルアミド;脂肪族ポリエステル;ポリエチレンテレフタレート(PET)及びコポリマー(coPET)、ポリブチレンテレフタレート及びコポリマーを含む芳香族ポリエステル;ポリトリメチレンテレフタレート及びコポリマー;ポリプロピレンテレフタレート及びコポリマー;ポリプロピレン及びプロピレンコポリマー;ポリエチレン及びポリエチレンコポリマー;脂肪族/芳香族コポリエステル;ポリカプロラクトン;ポリ(ヒドロキシブチレート−コ−ヒドロキシバレレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート−コ−ヘキサノエート)、又はNodaに付与された米国特許第5,498,692号に参照される他の高分子量(ヒドロキシブチレート−コ−アルカノエート)を含むポリ(ヒドロキシアルカノエート);脂肪族ポリオール(すなわち、ジアルカノイルポリマー)から誘導されたポリエステル及びポリウレタン;ポリアミド;ポリエチレン/ビニルアルコールコポリマー;乳酸ホモポリマー及び乳酸コポリマーを含む乳酸ポリマー;ラクチドホモポリマー及びラクチドコポリマーを含むラクチドポリマー;グリコリドホモポリマー及びグリコリドコポリマーを含むグリコリドポリマー;並びにこれらの混合物が挙げられる。更なる例には、脂肪族ポリエステルアミド、脂肪族ポリエステル、脂肪族/芳香族コポリエステル、乳酸ポリマー、及びラクチドポリマーが挙げられる。
【0098】
適した乳酸ポリマー及びラクチドポリマーとしては、一般に約10,000g/mol〜約600,000g/mol、約30,000g/mol〜約400,000g/mol、又は約50,000g/mol〜約200,000g/molの範囲の重量平均分子量を有する、乳酸及び/又はラクチドのホモポリマー並びにコポリマーが挙げられる。市販のポリ乳酸ポリマーの例としては、コロラド州Golden所在のChronopol社より販売される各種のポリ乳酸、及びEcoPLAの商品名で販売されるポリラクチドが挙げられる。適した市販のポリ乳酸の例としては、Cargill Dow社からのNATUREWORKS、及び三井化学株式会社からのLACEAがある。約160℃〜約175℃の融点を有するポリ乳酸のホモポリマー又はコポリマーを用いることができる。ポリL−乳酸、及び最大75%のD−異性体濃度を有するポリD,L−乳酸などの、変性ポリ乳酸及び種々の立体構成物もまた、使用することができる。高融点のPLAポリマーを作り出すためのD及びL異性体の必要に応じたラセミ混合物を用いることができる。これらの高融点PLポリマーは、180℃を超える融点の特別なPLAコポリマーである(なお、D−異性体及びL−異性体は異なるステレオモノマーとして取り扱われる)。これらの高融点は、平均的な融点を上げるために結晶の寸法を特別に制御することによって実現される。
【0099】
使用される特定のポリマー、プロセス、及び繊維の最終用途に応じて、2種以上のポリマーが望ましい場合がある。本開示のポリマーは、繊維の機械的特性、繊維の不透明度を高め、繊維と流体の相互作用を最適化し、溶融物の加工性を高め、かつ繊維の細径化性を高める量で存在する。ポリマーの選択及び量は、繊維が熱的に結合可能であるか否かを更に決定し、最終製品の柔軟性及びテクスチャに影響する。本開示の繊維は、単一のポリマー、複数のポリマーのブレンドを含むか、又は2種類以上のポリマーを含む多成分繊維であってもよい。本開示における繊維は、熱的に結合可能なものである。
【0100】
多成分のブレンドが望ましい場合もある。例えば、この方法を用いて、ポリエチレンとポリプロピレンとをブレンドしたもの(以後、ポリマーアロイと呼ぶ)を、混合及び紡糸することができる。別の例は、粘性又はモノマー含量が異なるポリエステルのブレンドである。区別可能な化学種を各成分に含有する多成分繊維を製造することもできる。その非限定的な例としては、25メルトフローレート(MFR)のポリプロピレンと50MFRのポリプロピレンとの混合物、及び25MFRのホモポリマーポリプロピレンと、コモノマーとしてのエチレンとポリプロピレンとの25MFRのコポリマーとの混合物が挙げられる。
【0101】
ポリマー材料は、110℃超、130℃超、145℃超、160℃超、又は200℃超の融点を有してもよい。高いガラス転移温度のポリマーが望ましい場合がある。最終用途形態の繊維において、−10℃超、0℃超、20℃超、又は50℃超のガラス転移温度が、用いられ得る。この特性の組み合わせは、高温において安定である繊維を生成する。この種類の材料の例としては、ポリプロピレン、ポリ乳酸系ポリマー、及びポリエステルテレフタレート(PET)系のポリマー系がある。
【0102】
液体処理系内のチャネル
吸収性物品20のLMS 50は、吸収性物品が着用者の解剖学的構造により良く適合し、その結果動きの自由度を増し、かつ隙間を減らすことを可能にし得るチャネルを備え得る。既に述べたように、LMS 50の1つ又は2つ以上のチャネルは、吸収性コア28内の様々なチャネルと協調して作用するように構成され得る。更に、LMS 50内のチャネルはまた、尿、糞便、又は他の身体排泄物を吸収性物品内に保持し分配するための空隙を増やし、その結果漏れ及び着用者の皮膚への接触を減らし得る。いくつかの実施形態においては、LMS 50内のチャネルはまた、内部に、吸収性物品を着用者に正しく整列させるのを容易に実現させるために役立つ目印を、特にテクスチャ、色及び/又はパターンにおける物理的違いにより強調される場合に、提供し得る。すなわち、そのような物理的違いは、例えば、視覚的及び/又は触覚的に知覚可能であり得る。
【0103】
吸収性コア28内のチャネルと同様に,LMS 50内のチャネルは、1つの層内の又は2つ以上の層を貫いて延びる、既に「チャネル」の定義において規定したような、周りの材料よりも実質的に小さい坪量又は厚さを有する、任意の領域であり得る。LMS 50内のチャネルはまた、張力を減らし、制御された形で曲がるのを可能にし、かつLMS 50を吸収性コア28の近くに維持するためにも役立ち得る。したがって、下にある吸収性コア28内のいずれかのチャネルと整列していてもしていなくてもよい、LMS50内のチャネルの存在は、複合体がより高い可撓性を持つことを可能にする蝶番として一般に機能し得る。場合によっては、例えば、LMS 50のチャネルは、LMS 50が、制御された屈曲の配置で吸収性コア28に向かって動くことを可能にし、それによりLMS 50と吸収性コア28との間が分離するのを制限し得る。加えて、ある実施形態においては、LMS 50内のチャネルは、流体又はその他の身体排泄物を、吸収性物品20の1つの領域から吸収性物品20の別の領域へと導く助けとなり得る。そのように導くことは、望ましくは吸収性物品20にわたり流体の全体的な分配を改善し得、それにより、物品の快適さ、着心地、又は使用可能時間の向上につながり得る。
【0104】
多層構造のLMSの場合には、チャネルは、LMS 50の1つ又は2つ以上の層内に存在し得、3つの基準面の全てにおける寸法が異なっていてもよい。1つの実施形態においては、LMS 50内の所与のチャネルの幅が、縦方向(すなわち、吸収性物品の縦方向軸線に実質的に平行な方向)で変化し得る。チャネルはまた、吸収性物品の横方向軸線又は横方向分離要素の前側で、横方向軸線又は横方向分離要素の後側とは異なる幅、長さ、及び/又は容積を有し得る。LMS 50のチャネルは、吸収性コア28について既に説明したチャネルと同様に、ある範囲の幅、長さ、形状、容積、及びパターンを有し得る。
【0105】
ある実施形態においては、吸収性物品の後側部のLMS 50内のチャネルは、排便(「BM」)チャネル又はBMポケットと呼ばれ得るが、吸収性物品の後側部における縦方向中心線と概ね整列し、重なり合ってもよく、又はその他の箇所に位置付けられてもよい。チャネルの一部分は、着用者の座骨と概ね整列するようにLMS 50内に配置されてもよく、かつ例えば、約10mm〜約30mmの範囲の幅を有してもよい。この箇所より後方では、チャネルの幅は、例えば約25mm〜約150mmにまで、次第に又は突然に増加する場合もあればしない場合もあり得る。1つの実施形態においては、チャネルが吸収性物品の後面腰部領域に近づくにつれて、チャネルの幅は再び小さくなり得る。チャネルの容積は、例えば約10cm
3〜約200cm
3の範囲内であり得る。チャネルの最大幅の、着用者の座骨部分における幅に対する割合は、約1.5〜約15の範囲となり得る。1つの実施形態においては、LMS内の全チャネルの総容積の少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、又は少なくとも約85%が、横方向中心線よりも後方に存在してもよい。1つの実施形態においては、LMS内の全チャネルの総容積の少なくとも約60%〜約85%が、横方向中心線よりも後方に存在してもよい。
【0106】
LMS 50内1つ又は2つ以上のチャネルは、吸収性コア28内のチャネルと少なくとも部分的に重なり合うか、完全に重なり合ってよく、それにより、重なり合っている領域においてより深い凹部が作り出される。LMS 50が2つ以上の層を含む実施形態では、吸収性コア28に最も近い層がチャネルを含み得る。構造体内の、トップシート24、捕捉層52、分配層54、又はその他の層のような1つ又は2つ以上の層は、吸収性コア28の要素に、この領域において結合され、組み合わされたチャネルの深さが増すことになり得る。1つの実施形態においては、LMS 50の捕捉層52内のチャネルと吸収性コア28内のチャネルとが、完全に重なり合うように一致する。他の実施形態においては、LMS内のチャネルと貯蔵層内のチャネルとは、重なり合うエリアを有しない。他の実施形態は、干渉域を包含する2つの層内のチャネル間で、チャネル同士が部分的に重なり合うように、垂直方向の重なり合いを有する。チャネルの配置の例が、
図11〜26に関して、以下により詳細に説明される。
【0107】
トップシート24が開口部を含む実施形態においては、開口部は、LMS 50内の少なくとも1つのチャネルと完全に又は部分的に整列又は重なり合っていてよく、他の実施形態においては、開口部は、LMS 50内のどのチャネルとも整列していなくてもよい。いくつかの実施形態においては、吸収性物品20の、衣類に面した側の面及び/又は着用者側の面上の又はそれらに近い少なくとも1つの層が、パターン、画像、色、又淡い色を含んでいてよく、その結果として、LMS 50のチャネルが視覚的により目立つようになり、内部の役に立つ指標として機能して、適用プロセス中に、吸収性物品を、着用者に対してより正確に整列させることを容易にすることができる。
【0108】
図1〜5を再び参照すると、図示された実施形態の例におけるLMS 50により、2つのチャネル49、49’が画定されているのが示されている。チャネル49、49’は、吸収性物品80の縦方向に少なくとも部分的に方向付けられている(すなわち、縦方向のベクトル成分を有する)。LMS内の他のチャネルは、横方向に少なくとも部分的に方向付けられている(すなわち、横方向のベクトル成分を有する)か、又は任意の他の方向に少なくとも部分的に方向付けられていてよく、LMS 50内のチャネルは連続的であっても、断続的であってもよい。LMS内のチャネルのいくつかは、円形、楕円形、正方形、矩形、三角形、又は任意の他の好適な形状であってもよい。チャネルは、吸収性物品の縦方向軸線80に投影した長さを有し得るが、その長さは、吸収性物品の長さLの少なくとも10%に相当する。チャネルは、様々な方法で形成されてもよい。例えば、チャネルは、捕捉材料又は分配材料を実質的に含まない、又は全く含まなくてもよい、LMS 50内のゾーンによって形成されてもよい。
【0109】
いくつかの実施形態においては、LMS 50のチャネルは、2つの縦方向に延びるチャネル49、49’で
図1に示すように、股ポイントC又は吸収性物品の横方向軸線90と少なくとも同じ縦方向の高さに存在し得る。チャネルはまた、股部領域7から延びていてもよく、又は吸収性物品の前面腰部領域5及び/若しくは後面腰部領域6内に存在してもよい。
図1においては、チャネル49、49’は、チャネル26、26’と概ね一致するが、チャネル26、26’の方が、吸収性物品20の前面腰部縁部10に向かう縦方向の長さが長くなっている。
【0110】
LMS 50は、少なくとも1つ、3つ以上のチャネル、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6以上のような、任意の好適な数のチャネルを画定してもよい。より短いチャネルもまた、例えば、LMS 50の後面腰部領域6又は前面腰部領域5に存在し得る。LMS 50のチャネルは、縦方向軸線80及び/若しくは横方向軸線90、又は他の横方向軸線に対して対称的に配置された、あるいは別様に配置された一対又は二対以上のチャネルを含んでもよい。
【0111】
LMS 50のチャネルは、実質的に縦方向に延びていてもよいが、それは、それぞれのチャネルが横方向よりも縦方向により延びるということ、又は(それぞれの軸に投影した後で測定したとき)横方向よりも縦方向に少なくとも2倍延びるということを意味する。他の実施形態においては、LMS 50のチャネルは、実質的に横方向に延びていてもよいが、それは、それぞれのチャネルが、縦方向よりも横方向により延びるということ、又は(それぞれの軸上に投影した後に測定したとき)縦方向よりも横方向に少なくとも2倍延びるということを意味する。
【0112】
吸収性コア内のチャネルと同様に、LMS 50のチャネルは、完全に縦方向に、及び縦方向軸線に平行に方向付けられていてよく、又は、完全に横方向に、及び横方向軸線に平行に方向付けられていてよいが、湾曲していてもよく、又は湾曲した成分と直線的な成分との組み合わせを有していてもよい。様々な実施形態においては、チャネルのうちのいくつか又は全て、特に股部領域7に存在するLMS 50のチャネルは、例えば、
図1に、縦方向軸線80に向かって曲がっている一対のチャネル49、49’について表されているように、縦方向軸線80に対して凹状であり得る。チャネル49、49’はまた、縦方向軸線80から離れるように曲がる凸状であっても、又は任意の他の好適な配置であってもよい。チャネル49、49’は、吸収性コア内のチャネル26、26’と概ね整列していてもよいが、本開示はそれに限られない。曲率半径は、典型的には、吸収層の平均横方向寸法と少なくとも等しく(またこの平均横方向寸法の少なくとも1.5倍又は少なくとも2.0倍であってよく)、かつ真っ直ぐであってよいが、一辺が縦方向軸線に平行で(例えば5°から)最大で30°、例えば最大で20°、又は最大で10°の角度をなしていてもよい。1つのチャネルについて曲率半径は一定であってよく、又はその長さ方向に沿って変化してもよい。これはまた、1つのチャネルの2つの部分の間の角度が少なくとも120°、少なくとも150°であり、またこれらのいずれかの場合において、チャネルの縦方向の延びが横方向の延びよりも長い場合、その内部に角度を有するチャネルを含んでもよい。LMS 50のチャネルは分岐状であってもよい。例えば、股部領域7において縦方向軸線と重なる中央チャネルが、吸収性物品の後面腰部縁部12及び/又は前面腰部縁部10に向かって分岐するものであってもよい。いくつかの実施形態においては、LMS 50内には、吸収性物品の縦方向軸線80と一致するチャネルが存在しない。縦方向軸線80に対して対称となる対として存在する場合、それらのチャネルは、その全縦方向寸法にわたり、互いに離間していてもよい。最小の間隔距離は、例えば、少なくとも5mm、少なくとも10mm、又は少なくとも15mmであり得る。
【0113】
更に、流体が漏れ出す危険性を減らすために、LMS 50のチャネルは、したがって、LMS 50内に完全に包含されていてもよい。チャネルとLMS 50の最も近い縁部との間の最短距離は、少なくとも5mmであり得る。
【0114】
LMS 50のチャネルは、その長さ方向の少なくとも一部分に沿って、少なくとも2mm、少なくとも3mm、少なくとも4mm、最大で例えば、20mm、16mm、又は12mmの幅Wc2(
図1)を有し得る。チャネルの幅は、実質的にチャネルの全長にわたって一定であってもよく、又はその長さ方向に沿って変動してもよい。LMS 50のチャネルは、吸収性コア28内のチャネルの幅Wc1と同様又はそれとは異なる幅Wc2を有し得る。
図1に図示される実施形態においては、Wc1はWc2と実質的に等しいが、吸収性コア28内のチャネルの長さが、LMS 50内のチャネルの長さを超えて、チャネル26、26’が前面腰部縁部10により近くまで延びるようになっていてもよい。しかしながら他の実施形態においては、チャネル49、49’が前面腰部縁部10により近くまで延びるようになっていてもよい。
【0115】
LMS 50内のチャネルが、材料を含まないゾーンにより形成される場合、チャネルの幅(Wc2)は、材料を含まないゾーンの幅であると見なされ、チャネル内にトップシート24、又はその他の層が場合によっては存在することは無視される。チャネルが坪量の小さいゾーンにより形成される場合には、チャネルの幅は、坪量の小さいゾーンの幅であり得る。
【0116】
LMS 50内のチャネルの少なくとも一部分又はすべてが、恒久的なチャネルであり得るが、その意味するところは、それらの完全性が、乾燥状態及び湿潤状態の両方で少なくとも部分的に保たれるということである。恒久的なチャネルは、例えば、接着材料の繊維性層、又はチャネルの壁内の吸収性材料に対する基材の粘着を容易にする構築用糊剤など、1つ以上の接着材料を設けることにより得られ得る。恒久的なチャネルはまた、LMS 50のチャネルを介してトップシート24をバックシート25に結合することによっても形成され得る。典型的には、チャネルを介してトップシート24をバックシート25に結合するために、接着剤が使用され得るが、圧力結合、超音波結合、熱結合、又はそれらの組み合わせなどの既知の他の方法によって結合されてもよい。トップシート24とバックシート25とは、チャネルの一部分又は全体に沿って又はその内部で、連続的に結合されても又は断続的に結合されてもよい。チャネルは、吸収性材料が流体で完全に満たされた場合に、少なくともトップシート及び/又はバックシートを通じて依然として視認可能であるか又は視認可能となり得る。いくつかの実施形態においては、チャネルが尿又は糞便を収容した場合、又は身体排泄物がチャネルの少なくとも近くに存在する場合(例えば、身体排泄物がトップシート24上に存在しているがチャネル内にはまだ存在していない場合)に、チャネルが、衣類に面する表面を通じて視認できるように、LMS 50のチャネルは、吸収性コア28のチャネルと整列していてもよい。そのようなチャネルは、吸収性物品を取り替えるべきであるという視覚的目印を、世話をする人に提供し得る。他の実施形態においては、吸収性物品の外面上、又は他の層上に、グラフィックによる指標、又は単なるグラフィックが、チャネルの近く、チャネル上、又は部分的にチャネルの上に印刷されて、チャネル内に収容された身体排泄物を視覚的に隠すようになっている。
【0117】
ある実施形態においては、指標が、例えば、バックシート、バックシートフィルム、及び/又は不織布の埃除け層の1つ又は2つ以上のものの上に含まれて、吸収性物品を取り替える必要がある時を視覚的に示すことができる。指標は、尿及び/又は糞便の存在下で、状態を切り替えるように構成され得る。指標は、例えば、白色又は無色から青色に変わる線又はグラフィックであり得る。指標はまた、尿がチャネルに存在すると消える、「ドライ」のような言葉であってもよい。指標はまた、尿の存在下で現れる、「ウェット」のような言葉であってもよい。任意の他の好適な指標又は複数の指標が、用いられてもよい。
【0118】
1つの実施形態においては、
図1を参照すると、LMS 50は、少なくとも2つのチャネル(例えば、49、49’)を備え得る。これらのチャネルは、不織布材料又は架橋セルロース繊維を含まないか、又は実質的に(例えば、10%未満、5%未満、3%未満、2%未満、又は1%未満しか)含まず、かつこれらのチャネルは、縦方向に少なくとも部分的に方向付けられていてよく、かつ/又は横方向に少なくとも部分的に方向付けられていてもよい。様々な実施形態においては、チャネル49、49’の、縦方向軸線80に沿った縦方向の長さは、同じであってよく、実質的に同じであってよく(例えば、互いに2mm以下)、又は異なっていてもよく、チャネル49、49’の、縦方向軸線80に沿った縦方向の長さは、同じであってよく、実質的に同じであってよく、又は異なっていてもよい。チャネル49、49’の、縦方向の長さにわたる平均横方向幅は、同じであってよく、実質的に同じであってよく、又は異なっていてもよい。
【0119】
図4〜5の吸収性物品のLMS 50の例が、
図9〜10に分離して示されており、
図10は、
図9の10−10線に沿って切ったLMS 50の断面図である。LMS 50は、前側281、後側283、及び前側281と後側283とを接合する2つの縦側285、287を含み得る。LMS 50はまた、概ね平坦な上側と、概ね平坦な下側とをも有し得る。LMSの前側281は、吸収性物品の前面腰部縁部10に向かって置かれるように意図される、LMSの側部である。LMS 50は、
図1に示すような平面図で上から見ると、吸収性物品の縦方向軸線80に実質的に対応する縦方向軸線80’’を有し得る。LMS 50は、1つ又は2つ以上の層を備え得る。図示された実施形態においては、LMS 50は、協働してチャネル49、49’を画定する、分配層54と捕捉層52とを備える。他の実施形態においては、LMS 50のすべての層よりも少ない層は、LMS 50の少なくとも1つの層が連続的でありが、LMS 50の別の層が非連続的であるように、チャネルを画定し得る。
【0120】
ある実施形態においては、LMS 50は、粒子を保持するように構成される、既に説明したコアラップと類似のラップ又はバッグを備えていてもよい。1つの例においては、ラップは、ウィッキング/捕捉材料として一般に機能する、機能性吸収性材料(「FAM」)を収容し得る。1つの特定の実施形態においては、FAMは、一体のウェブ若しくはシート形状の、又は粒子形状の連続気泡発泡体を含んでいてよく、(1994年7月19日に付与された米国特許第5,331,015号(DesMaraisら)、1993年11月9日に付与された同第5,260,345号(DesMaraisら)、1993年12月7日に付与された同第5,268,224号(DesMaraisら)、1997年5月27日に付与された同第5,632,737号(Stoneら)、1995年2月7日に付与された同第5,387,207号(Dyerら)、1998年7月28日に付与された同第5,786,395号(Stoneら)、1998年8月18日に付与された同第5,795,921号(Dyerら)、1998年6月23日に付与された同第5,770,634号(Dyerら)、1998年5月19日に付与された同第5,753,359号(Dyerら)、1997年5月27日に付与された同第5,633,291号(Dyerら)、(Bhumgara,Z.Filtration & Separation(1995年3月)245頁〜251頁、Walshらによる、J.Aerosol Sci.(1996年、27号、5629頁〜5630頁、PCT国際出願公開第WO 97/37745(1997年10月16日公開、Shell Oil社)に説明されるように、高内相エマルジョン(以下では、「HIPE」と呼ぶ)から調製される。
【0121】
図1〜10に示される、吸収性コア28のチャネル26、26’の一部分と、LMS 50のチャネル49、49’の一部分とは概ね整列しているが、本開示はそれに限定されない。実際、理解できるように、LMS 50及び/又は吸収性コア28内のチャネルの具体的配置は、様々に変化し得る。
図11〜26は、吸収性物品の例の簡略化した部分断面図であり、トップシート24、バックシート25、LMS 50、及び吸収性コア28の構成の例を図示している。
図11〜26は、多様なチャネル配置を図示しているが、そのような配置は、配置の例にすぎず、限定的なものではなく、多くの他のチャネル配置方法が、本開示の範囲内である。更に、本開示の範囲から逸脱することなく、いくつかの図の様々な側面が、他の図の配置に組み込まれ得る。
【0122】
まず
図11を参照すると、LMS 50がチャネル49を画定し、吸収性コア28がどのチャネルも画定していない、チャネル配置の一例が図示されている。いくつかある図の中で特に
図11において、LMS 50は、単層の系として図示されているが、他の実施形態は、本開示の範囲を逸脱することなく、多層のLMSを備え得ることに留意されたい。
【0123】
図12は、LMS 50のチャネル49が、吸収性コア28のチャネル26と概ね整列している、別のチャネル配置の例を図示している。チャネル49及びチャネル26は、同様の幅を有するものとして図示されているが、他の実施形態においては、2つのチャネルの幅は異なっていてもよい。いくつかの実施形態においては、例えば、チャネル49の幅は、整列した縦方向の一部分の全域にわたって、チャネル26の幅より広く、又は狭くなっている。他の実施形態においては、チャネル49及びチャネル26のうちの少なくとも一方の幅が、縦方向に沿って変化し得、重なり合う部分に沿ったいくつかの地点において、チャネル49とチャネル26とが(
図12に示されるように)同様の幅を有するが、重なり合う部分に沿った他の地点においては、2つのチャネルが異なる幅を有するようになっている。例えば、チャネル49は、縦方向の長さの全域に沿って同じ幅を有し得るが、チャネル26は、テーパー状又は末広がり状になっている部分を有し得る(又はその逆になっている)。いくつかの実施形態においては、LMS 50のチャネル49又はチャネル49の少なくとも一部分は、吸収性コア26のチャネル26と重なり合わなくてもよい。そのような場合には、チャネル49のチャネル幅は、チャネル26のチャネル幅と同じでも、異なっていてもよい。また、チャネル幅の相対的類似性又は差異は、チャネル49、26のそれぞれの縦方向の長さに沿って変化し得る。
【0124】
図13は、トップシート24の一部分が、LMS 50により画定されるチャネル49の中、及び吸収性コア26により画定されるチャネル26の中に窪んで配置される実施形態を図示している。いくつかの実施形態においては、トップシート24はバックシート25に、チャネルに沿って断続的に又は連続的に接着され、吸収性物品の、着用者に向いた側から視認可能な窪み又は溝部が形成される。チャネルを介してトップシート24とバックシート25とを結合するために、接着剤を用いることができるが、圧力結合、超音波結合、熱結合、又はそれらの組み合わせなどの既知の他の方法を用いて結合することもできる。
【0125】
図14は、トップシート24が、LMS 50により画定されるチャネル49と概ね整列する輪郭形成要素24’を備える実施形態を図示している。輪郭形成要素24’は、溝、リッジ、又はトップシート24に形成される他の要素のような、任意の好適な三次元構造体であってもよい。いくつかの実施形態においては、トップシート24の輪郭形成要素24’は、トップシート24の他の領域とは異なる厚さ及び坪量を有する。いくつかの実施形態においては、吸収性物品の、LMS 50及び/又は吸収性コア28のような他の層は、追加的に又は代替的に、吸収性物品のチャネルと概ね整列する三次元構造を備える。
図13と比較すると、例えば、
図14の輪郭形成要素24’は、チャネル49内での相対的配置を維持するために、必ずしもバックシート25と結合される必要はない。いくつかの実施形態においては、輪郭形成要素24’は、チャネル49とチャネル26との両方の中に窪んで配置されるように、図示された例よりも深くなっていてもよい。1つの実施形態においては、トップシート24とバックシート25との両方が、それぞれ、LMS 50のチャネル26の中、及び吸収性コア28のチャネル49の中に窪んで配置される輪郭形成要素を有する。
【0126】
図15は、トップシート24とバックシート25との両方が、LMS 50及び吸収性コア28によりそれぞれ画定されるチャネルの中に窪んで配置される実施形態を図示している。
図13に図示された実施形態と同様に、トップシート24はバックシート25に、チャネルに沿って断続的又は連続的に結合され得る。トップシート24とバックシート25とを結合するために、任意の好適な技法、又は複数の技法の組み合わせが用いられ得る。更に、図示された実施形態においては、トップシート24とバックシート25とが、LMS 50と吸収性コア28との間の界面近くで結合されているが、この開示はそれに限られない。言い換えると、いくつかの実施形態においては、トップシート24は、バックシート25よりも更にチャネルの中に窪んで配置されていてよく、あるいは、バックシート25は、トップシート24よりも更にチャネルの中に窪んで配置されていてもよい。
【0127】
図16は、チャネル49とチャネル26とが、部分的にのみ整列している実施形態を図示している。この実施形態においては、チャネル49の一部分のみが、チャネル26の一部分と重ね合わさっている。このような部分的重なり合いの配置は、縦方向に沿って連続してもよい。あるいは、チャネル49とチャネル26とは、縦方向に沿って、垂直に整列し得るが、又はチャネルは、重なり合う部分が存在しないように、横方向に外れるようになっていてもよい。チャネル49とチャネル26との間に重なり合う部分が存在しない構成の例が、
図17に図示されている。
図18は、LMS 50と吸収性コア28とのそれぞれが、2つのチャネル49、49’、26、27を画定する、更に別の実施形態を図示している。図示されているように、チャネル49とチャネル26とは、いかなる他のチャネルとも重なり合わないが、LMS 50のチャネル49’は、チャネル27と重なり合い、かつこの場合では、完全に整列している。
【0128】
図19は、第1層50’と第2層50’’とを有する多層LMS 50を含む実施形態を図示している。いくつかの実施形態においては、第1層50’は、不織布材料を含み、第2層50’’は、架橋セルロース繊維を含む。図示された配置においては、吸収性コア28がチャネル26を画定し、LMS 50の様々な層がまとまって、チャネル49を画定している。第1層50’は、チャネル49とチャネル26との両方の中に窪んで配置され、バックシート25に結合され、それにより、第1層50’とトップシート24との間に空隙を形成する。
図20は、第1層50’と第2層50’’とを有するLMS 50を備える別の実施形態を図示している。図示された配置においては、吸収性コア28がチャネル26を画定し、かつLMS 50の第1層50’と第2層50’’との両方が存在しないことがチャネル49を画定している。他の実施形態においては、LMS 50の1つ又は2つ以上の層が、チャネル49の中に窪んで配置されず、あるいはLMS 50の1つ又は2つ以上の層がチャネル49の中に窪んで配置されるが、チャネル26の中には窪んで配置されない。
【0129】
図21は、第1層50’が、チャネル49に沿って切断され折り畳まれて、チャネル49の縦方向に沿って延びるフラップ63を形成する、多層LMS 50の実施形態を図示している。フラップ63は、吸収性物品の製造中に、第1層50’とトップシート24との間に挟まれていてもよい。あるいは、フラップ63は下方向に、バックシート25に向かって折り畳まれ得、そのため、チャネル49によって受容され、その壁に沿って配置される。いくつかの実施形態においては、フラップは、第1層50’をチャネル49の縦方向中心線に沿ってスライスし、次いでチャネルを露出するようにフラップを折り畳むことによって形成され得るチャネル49のいずれかの横方向側部に存在し得る。
【0130】
いくつかの実施形態においては、チャネルを視覚的に示す目印を提供することが望ましい場合がある。そのような視覚的目印は、任意の好適な技法を用いて提供することができる。
図22は、視覚的に目立つ層67を含む実施形態を図示している。いくつかの実施形態においては、視覚的に目立つ層67は、LMS 50の衣類に面する側にある層であり、LMS 50内の他の層のものとは異なるパターン、画像、色、及び/又は淡い色を含む層であり得る。視覚的に目立つ層67は、トップシート24とバックシート25とのうちの少なくとも一方を介して視認可能であり、チャネル49を更に視覚的に目立たせるようになっている。視覚的に更に目立つようになっていることは、内部で役立つ指標として機能して、適用プロセス中に、吸収性物品を着用者に対してより正確に整列させることを容易にすることができる。
図23は、視覚的に目立つ層67を有する実施形態の別の例を図示している。図示された実施形態においては、視覚的に目立つ層67は、吸収性コア28とバックシート25との間に配置される。視覚的に目立つ層67はまた、吸収性物品内の他の場所に設けられてもよい。
【0131】
LMS 50及び吸収性コア28に加えて、液体分配層のような追加的層を、吸収性物品内に含むことが望ましい場合がある。
図24〜26は、液体分配材料を含む液体分配層71を含む実施形態を図示している。液体分配材料は、例えば、繊維性材料又は発泡性材料であり得る。液体分配層71は、
図24及び26に示すように非連続的であってもよく、又は
図25に示すように連続的であってもよい。したがって、液体分配層71は、吸収性物品内のチャネルを画定するのを助け得るか、あるいはLMS 50及び/又は吸収性コア28により画定されたチャネルを跨ぐ場合もある。更に、液体分配層71を吸収性物品の任意の好適な層に配置して、望ましい液体分配を実現してもよい。例えば、
図24及び25に示すように、液体分配層71は、吸収性コア28とバックシート25との間に配置される。対照的に、
図26においては、液体分配層71は、LMS 50と吸収性コア28との間に配置される。いくつかの実施形態においては、液体分配層は、トップシート24とLMS 50との間に配置され得る。いくつかの実施形態は、複数の液体分配層を有し得る。
【0132】
分離要素
ある実施形態においては、吸収性物品の着用者に向いた面は、外見上前側部と外見上後側部とを有し得る。外見上前側部と外見上後側部とは、実質的に横方向に延びる分離要素によって分離され得る。実質的に横方向に延びる分離要素は、例えば、吸収性物品のトップシート又は吸収性物品の他の層の上に印刷された、グラフィックによる目印であり、それは、トップシートを介して視認可能であってよい。いくつかの実施形態においては、実質的に横方向に延びる分離要素は、着用者に向いた面を介して視認可能な、淡い色の付いた層の一部分である。また、色の違い及び/又は印刷されたパターンの違いに基づいて、外見上前側部が、外見上後側部と視覚的に異なってもよい。外見上前側部と外見上後側部との間のこのような視覚的分離は、適用中、適切に吸収性物品を整列させる助けになり得る。
【0133】
いくつかの実施形態においては、実質的に横方向に延びる分離要素は、着用者の会陰部領域に概ね対応する吸収性物品の領域内に位置付けられる(すなわち、尿道と肛門との間に配置される)構造分離部を含む。構造分離部は例えば、尿が吸収性物品の後側に表面移動するのを制限し、かつ糞便が吸収性物品の前側に表面移動するのを制限し得る。構造分離部は、横方向バリア(TVB)として機能する任意の三次元的機構又は構成要素、例えば、吸収性物品の着用者に向いた面上の1つ又は2つ以上の突起部、着用者に向いた面の平面より下の窪み、及びそれらの組み合わせが含まれ得る。その1つの例には、吸収性物品の着用者に向いた面に取り付けられた、横方向に向けられたウェブ又はシート、及び隆起しているバリアレッグカフが挙げられる。
【0134】
構造分離部は、凸凹のない水平な表面上に、平らに、弛緩した、収縮した状態で拡げた場合、矩形又は正方形であり得る。また構造分離部は、凸凹のない水平な表面上に、平らに、弛緩した、収縮した状態で拡げた場合には、台形であり得る。構造分離部は、疎水性であり得る(例えば、構造分離部は親水性であり、かつ当該技術分野で既知の、例えばワックス、又は1種又は2種以上のシリコーンポリマー又はフッ素化ポリマーを含む疎水性表面コーティングなど、疎水性表面コーティングにより疎水性にしてもよい)。いくつかの実施形態においては、構造分離部は、横方向又はその他の方向に、有意に弾性伸長可能であり得るように、弾性挙動を有し得る。構造分離部は、使用中にある特定の張力を有し、Z軸方向寸法を有する効果的な分離具(バリア)を確実に形成するようになっており、それにより、構造分離部の後側から前側に糞便が移動するのを回避する、又は少なくとも妨げるようになっている。構造分離部の他の実施形態は、トップシートの隆起した若しくは分厚くなった部分、捕捉系若しくは吸収性コアの要素、別々に塗布された要素、又は吸収性コア要素の1つ又は2つ以上内の穴若しくは窪みを備え得る。
【0135】
構造分離部は、任意の好適な構造を有してよく、例えばリッジ、バンプ、又はフラップであり得る。構造分離部は、吸収性物品の横方向軸線に沿って置かれ得るか、又は横方向軸線に対して斜めに、ある角度をなすように配置されてもよい。いくつかの実施形態においては、構造分離部は、LMS内のチャネルに概ね平行に配置されて、尿及び/又は糞便をそのチャネル内へと流すように制御するのを助けることができる。
【0136】
1つ又は2つ以上の構造分離部が、
図11〜26に既に図示されたような実施形態のいずれかのような、様々なチャネル構成を有する吸収性物品に組み込まれてもよい。
【0137】
図27〜34は、チャネル49、26を備える吸収性物品の、縦方向軸線に沿った部分断面図であり、構造分離部73の型の例を示している。
図11〜26と同様に、
図27〜34の吸収性物品は、トップシート24、バックシート25、及び様々なチャネルを画定する、LMS 50と吸収性コア28との様々な構成を有する。また、図示された吸収性物品はそれぞれ、吸収性物品の着用者に向いた面上の突起部である構造分離部73を備える。構造分離部73は、例えば、弾性フィルム、不織布シート、弾性フィルムと不織布シート材料との積層体、ポリオレフィンフィルム、又は任意の他の好適な材料を含み得る。積層体の不織布シート材料は、着用者の皮膚と接触するように配置され得る。積層体のこのような構成は、弾性フィルムが着用者の皮膚と直接接触する場合よりも、着用者の快適さを向上し得る。更に、構造分離部73は、二成分繊維を含む繊維にされ、その後不織布シートに作製されるポリエチレン及び/又はポリプロピレンのような、当該技術分野で既知のポリオレフィン類で作製されてもよい。不織布シート材料は、ネック付き不織布であってもよい。不織布シート材料は、メルトブロー法による不織布、スパンボンド法による不織布、カーディングされた不織布であってもよい。いくつかの実施形態においては、不織布シート材料は、スパンボンド法又はカーディング法による1つ又は複数の層と、メルトブロー法による不織布層(複数可)との積層体であってもよい。
【0138】
図27は、構造分離部73がトップシート24に結合されている実施形態を図示している。構造分離部73は、吸収性物品の前面腰部縁部10(
図1)と、LMS 50により画定されるチャネル49及び吸収性コア28により画定されるチャネル26と、の間に配置される。構造分離部73は、延伸されて、バリアレッグカフ34(
図1)に結合され得る。構造分離部73は、尿及び/又は糞便の表面移動を制限する一方で、糞便をチャネル49、26に方向付けるのを助けることができる。構造分離部73は、尿及び/又は糞便が構造分離部73を横切って流れるのを防止、又は少なくとも妨害するフランジ79を備え得る。
図27は、チャネルを構造分離部73の片側に図示しているが、他の実施形態は、構造分離部73の両側にチャネルを有する場合がある。
図28は、トップシート24とLMS 50との間に配置された液体分配層71を含む実施形態を図示している。他の実施形態においては、液体分配層71は、LMS 50と吸収性コア28との間、及び/又は吸収性コア28とバックシートとの間に配置され得る。液体分配層に関する追加的詳細は、
図24〜26に関して既に説明した通りである。
図29は、リッジ状の形成体を有する構造分離部73の一例を図示している。構造分離部73は、トップシート24に、第1結合位置73’と第2結合位置73’’で結合され、その間にこぶを形成している。いくつかの実施形態においては、AGM又はその他の好適な材料が、トップシート24と構造分離部73とによって画定される空洞部内に包含され得る。
図30は、構造分離部73の別の実施形態を図示している。この実施形態においては、構造分離部73は、構造分離部73の上側縁部85に沿って配置される、第1フランジ77及び第2フランジ79を備える。第1及び第2フランジ77、79は、身体排泄物が着用者に向いた面に沿って望ましくない移動をするのを防ぐ、又は少なくとも妨げるのに役立ち得る。
【0139】
図27〜30は、構造分離部73を、吸収性物品のトップシート24に結合された別個の構成要素として図示しているが、本開示はこれに限られない。
図31は、層の第1部分がトップシート24に結合され、第2部分がバリアとしてトップシート24から上方に延びるように、トップシート24に結合され、構造分離部73がその層の構成要素である実施形態の例を図示している。
図32は、トップシート24が構造分離部73を有して形成されている実施形態を図示している。この実施形態においては、構造分離部73は、リッジ状の形成体を有する。そのような実施形態においては、LMS 50若しくはその部分、又はコア若しくはその部分が、リッジ状の形成体により画定された空洞部の中に延びている場合がある。いくつかの実施形態においては、構造分離部73は、複数の層を備える。ここで
図33を参照すると、構造分離部73は、液体分配層71とトップシート24とにより形成される。他の実施形態においては、例えばトップシート24及びLMS 50の少なくとも一部分のように、吸収性物品の異なる層を、構造分離部73を形成するために用いる場合がある。理解されるように、構造分離部は、様々なタイプのチャネルを有する吸収性物品とともに用いることができる。
図34は、トップシート24の一部分が、LMS 50により画定されるチャネル49の中、及び吸収性コア28により画定されるチャネル26の中に窪んで配置される吸収性物品を図示している。構造分離部73は、チャネル49の近くに配置され、尿及び/又は糞便の移動を制御するのを助ける。本明細書において開示される構造分離部の任意のものは、例えば、トップシート24の残りの部分よりも固く、剛性があり得、又はより厚くなっている場合があり、その結果、濡れた場合、又は着用者が力を構造分離部にかけた場合に、構造分離部は、その形状を維持し得る。
【0140】
本開示によれば、吸収性物品は、LMS内の他のチャネルとは異なる物性値を有する、1つ又は2つ以上のチャネルをLMS内に備えていてもよい。物性の例には、チャネルの幅、長さ、向き、容積、色、テクスチャ、面積、又は他の物性が含まれる。吸収性物品は、実質的に横方向に延びる、又は横方向に延びる分離要素により画定される、外見上前側部と外見上後側部とを有し得る。実質的に横方向に延びる分離要素は、構造分離部73のような構造体であり得るか、あるいは、トップシート上に印刷されたグラフィカルな目印、又はそうでなければ着用者に向いた面を介して視認可能な目印であり得る。外見上前側部内に配置されたチャネルは、第1物性を有し得るが、外見上後側部に配置されたチャネルは第2物性を有し得る。チャネルの物性における違いのいくつかは、着用者に向いた面を介して視認可能であり、望ましい性能を提供するのに加えて、世話をする人が吸収性物品を整列させるのを助けることができる。
【0141】
図35〜40は、外見上前側部(「F」で識別)内に位置するLMS内の1つ又は2つ以上のチャネルの物性値と、外見上後側部(「B」で識別)内に位置するLMS内の1つ又は2つ以上のチャネルの物性値との差異の例を図示している。
図35〜40に図示された吸収性物品はおむつであるが、他のタイプの吸収性物品、例えばトレーニングパンツ、成人用失禁製品、生理用ナプキン等、もまた、LMS内に、外見上前側部と外見上後側部とで異なる物性値を有するチャネルを有し得る。更に、明瞭さのために、LMS内のチャネルのみが
図35〜40に図示されている。吸収性物品の吸収性コア内のいかなるチャネルも図示されていない。
図35〜40に示されている吸収性物品は、明瞭さのために簡略化されており、そのために様々な構成要素、例えばバリアレッグカフは、省略されている。また、実質的に横方向に延びる分離要素が、構造分離部73として、
図35〜40に図示されているが、本開示はこれに限られない。他の実施形態は、例えば、グラフィックの目印又は他の非構造的分離要素を用いて、外見上前側部と外見上後側部との間の視覚的分離を提供し得る。いくつかの実施形態においては、実質的に横方向に延びる分離要素は、構造的要素と、印刷された目印又は淡い色の付いた層との組み合わせであり得る。また、実質的に横方向に延びる分離要素は、任意の好適な方向又は配置を有し得る。
図35においては、例えば、実質的に横方向に延びる分離要素(構造分離部73として図示)は湾曲しているが、他の実施形態においては、構造分離部73は真っ直ぐであり得る(
図40)か、又は複数の直線的構成要素(
図37)若しくは非直線的構成要素からなっていてもよい。また、横方向に延びる分離要素は、吸収性物品の横方向幅全体にわたって延びるものとして図示されているが、いくつかの実施形態においては、横方向に延びる分離要素は、バリアレッグカフ間に延びるということも理解されるべきである。
【0142】
まず
図35を参照すると、LMS内のチャネルの、外見上前側部(F)と外見上後側部(B)とで異なる、図示された物性値は、チャネルの有無である。図示されているように、LMS内のチャネル49は、吸収性物品の外見上後側部(B)に位置し、外見上前側部(F)はチャネルを有しない。
図36は、LMS内のチャネルの数が外見上前側部(F)と、外見上後側部(B)とで異なり得ることを示している。図示されるように、2つのチャネル49、49’が外見上前側部(F)に存在し、3つのチャネル49、49’、45が外見上後側部(B)に存在している。図示された実施形態においては、外見上後側部(B)内のチャネル45は、ポケット又はBMポケットと時に呼ばれるものである。LMS内のそのようなポケットは、吸収性コア内に配置された同様のポケットと概ね整列し得る。一般に、BMポケットは、糞便を受けて、その拡散を制限するように構成され得る。
【0143】
ここで
図37を参照すると、外見上前側部(F)内のチャネルの面積は、外見上後側部(B)内のチャネルの面積と異なっている。図示されているように、チャネル49、49’の面積は、チャネル45、45’の面積より小さい。他の実施形態においては、外見上前側部(F)内のチャネルの面積は、外見上後側部内のチャネルの面積よりも大きくなり得る。同様に、いくつかの実施形態においては、視覚的により大きいチャネルが、外見上前側部(F)と外見上後側部(B)とのうちの一方に配置されるように、チャネルのサイズが異なる場合がある。いくつかの実施形態は、複数のチャネルを外見上前側部と外見上後側部とのいずれかに有し得るが、複数のチャネルを両方に有していてもよい。チャネルの横方向合計幅が、吸収性物品の縦方向軸線に沿った地点において、その地点での幅をすべてのチャネルについて測定し、得られた幅を加算して、その地点における横方向合計幅を決定することにより、測定され得る。例として、LMSが、縦方向軸線に沿った地点で、3つのチャネルを画定し、それぞれのチャネルが0.64cm(0.25インチ)の幅を有している場合、横方向合計幅は1.91cm(0.75インチ)となる。縦方向軸線に沿ったある地点における、外見上前側部(F)内の複数のチャネルの横方向合計幅は、縦方向軸線に沿った地点における、外見上後側部(B)内の複数のチャネルの横方向合計幅と異なり得る。
【0144】
図38は、外見上前側部(F)内のチャネルの色が、外見上後側部(B)内のチャネルの色と異なり得るということを図示している。図示されているように、チャネル49、49’は、外見上前側部(F)と外見上後側部(B)との両方に跨っている。チャネル49、49’の、外見上後側部(B)内に配置される部分(部分43として図示されている)は、着色されている。いくつかの実施形態においては、チャネル49、49’の部分43は、例えば
図22及び23に図示されるように淡い色の付いた層を用いて着色される。
図39は、外見上前側部(F)内のチャネルのテクスチャが、外見上後側部(B)内のチャネルのテクスチャと異なっている実施形態を図示している。図示されているように、チャネル49、49’の部分41は、チャネル49、49’の、外見上前側部(F)内の部分のテクスチャとは異なるテクスチャを有する。部分41のテクスチャは、例えば、ぶつぶつしたもの、うねったもの、又は窪みのあるものであってもよい。
【0145】
図40は、外見上前側部(F)内に存在するチャネルの物理的方向が、外見上後側部(B)内に存在するチャネルの物理的方向と異なり得ることを図示している。図示されているように、外見上前側部(F)は3つのチャネル49、49’、49’’’を有し、外見上後側部(B)は、チャネル45、45’、45’’’を有する。外見上前側部(F)内のチャネルの数と面積は、外見上後側部(B)内のチャネルの数と面積と同じであるが、それらの物理的方向は異なっている。具体的には、チャネル49、49’、49’’’は、実質的に横方向に延びているが、チャネル45、45’、45’’’は、実質的に縦方向に延びている。
【0146】
他の実施形態においては、外見上前側部(F)と外見上後側部(B)との間で、他の物理的差異が存在し得る。例えば、外見上前側部(F)内の層の数は、外見上後側部(B)内の層の数と異なり得る。例えば、前側部内では、1つのチャネルが2つの層により画定され得るが、後側部内では、1つのチャネルが3つの層により画定される。外見上前側部(F)内のチャネルの形状、曲率、又は深さ、及び/又はチャネルを画定する層の数は、外見上後側部(B)内のチャネルのそれらとは異なり得る。例えば、外見上前側部(F)は、概ね横方向に外見上前側部(F)を横切って延びる一連のチャネルを有し得るが、外見上後側部(B)は、単一の円形のチャネルを有し得る。
【0147】
生理用ナプキンの特徴
図41を参照すると、吸収性物品は生理用ナプキン3010であり得る。生理用ナプキン3010は、液体透過性のトップシート3014,液体不透過性又は実質的に液体不透過性のバックシート3016、及び吸収性コア3018を含み得る。吸収性コア3018は、吸収性コア28に関して本明細書で説明する特徴部のいずれか又は全てを有し得るが、いくつかの実施形態では、先に開示した液体処理系の代わりに副次的トップシート3019(STS)を有し得る。既に説明したように、STS 3019は、1つ又は2つ以上のチャネルを含み得る。いくつかの実施形態においては、STS 3019内のチャネルは、吸収性コア3018内のチャネルと整列している場合がある。生理用ナプキン3010は、生理用ナプキン3010の縦方向軸線3080に対して外向きに延びる羽根3020を含み得る。生理用ナプキン3010はまた、横方向軸線3090をも有し得る。羽根3020は、トップシート3014、バックシート3016、及び/又は吸収性コア3018に接合されていてもよい。生理用ナプキン3010はまた、前縁部3022と、前縁部3022に縦方向に対向する後縁部3024と、第1側縁部3026と、第1側縁部3026に縦方向に対向する第2側縁部3028とを含み得る。縦方向軸線3080は、前側縁部3022の中点から後側縁部3024の中点まで延び得る。横方向軸線3090は、第1側縁部3028の中点から第2側縁部3028の中点まで延び得る。生理用ナプキン3010には、当該技術分野において既知の通り、生理用ナプキンに一般的に見出される追加の特徴も提供されてもよい。
【0148】
物品を作製する方法
本開示の吸収性物品(例えば、おむつ、生理用ナプキン、トレーニングパンツ等)は、当該技術分野で既知の任意の好適な方法によって作製され得る。特に、吸収性物品は手作りであってもよく、又は高速で産業的に生産されてもよい。いくつかの実施形態においては、本明細書において説明されるチャネルは、関連する層を打ち抜き、型抜き、スリット開け、又は拡張することにより作り出すことができる。製造方法の一例においては、突起を有するドラムが提供される。エアレイド繊維の層が、ドラムの表面に堆積され、突起上にある繊維が取り除かれ、周囲のエリアに堆積される。1つの実施形態においては、回転式切り付けロールが繊維を取り除くために用いられる。他の実施形態の例においては、湿式セルロース系ウェブ又は高ロフト不織布のような捕捉層材料のロールストック内のチャネルが、打ち抜き、型抜き、又はスリット開け及び拡張により作り出され得る。1つの実施形態においては、ある形状が切開されて、材料のフラップが形成され、その材料のフラップがウェブの他の部分の上に折り返される。フラップ式の構造を用いる実施形態の一例が、
図23に関して既に説明されている。望ましい場合には、畳まれたフラップが結合されて、その相対的位置を維持するようになっていてもよい。形状は、例えば、「U字」形状、又はすべての側部よりも少ない側部が閉じた多角形形状であり得る。
【0149】
本明細書で開示する寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限られるとして理解されるべきではない。むしろ、別途指定されない限り、かかる寸法の各々は、列挙された値及びその値の周辺の機能的に等価な範囲の両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0150】
本明細書で引用されているあらゆる文献は、あらゆる相互参照特許又は関連特許を含め、明示的に除外されたり、別段に限定されたりしている場合を除き、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、それが本明細書で開示若しくは請求される任意の実施形態に関する先行技術であること、又はそれが単独で若しくは任意の他の参照(単数又は複数)との任意の組み合わせで任意のこのような実施形態を教示、提案、若しくは開示することを認めるものではない。更に、この文献における用語のいずれかの意味又は定義が、参照により組み込まれた文献における同じ用語のいずれかの意味又は定義と相容れない場合は、この文献においてその用語に割り当てられた意味又は定義に従うものとする。
【0151】
本開示の特定の実施形態が図示及び説明されたが、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行い得ることは、当業者には理解されるであろう。したがって、本開示の範囲内に属する全てのこのような変更及び修正を、添付された特許請求の範囲に網羅するものとする。