特許第6279852号(P6279852)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6279852電気コネクタのハウジング、および電気コネクタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6279852
(24)【登録日】2018年1月26日
(45)【発行日】2018年2月14日
(54)【発明の名称】電気コネクタのハウジング、および電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/42 20060101AFI20180205BHJP
   H01R 13/11 20060101ALI20180205BHJP
【FI】
   H01R13/42 B
   H01R13/11 303B
【請求項の数】6
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-151145(P2013-151145)
(22)【出願日】2013年7月19日
(65)【公開番号】特開2015-22946(P2015-22946A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2016年5月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095658
【弁理士】
【氏名又は名称】沼波 知明
(72)【発明者】
【氏名】石上 雅晃
(72)【発明者】
【氏名】河野 宏典
【審査官】 竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−022845(JP,A)
【文献】 特開平07−335305(JP,A)
【文献】 特開2010−177037(JP,A)
【文献】 実開平01−166973(JP,U)
【文献】 実開昭59−148081(JP,U)
【文献】 特開平11−074015(JP,A)
【文献】 実開平04−105470(JP,U)
【文献】 中国特許出願公開第1128418(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/11
H01R 13/40 − 13/533
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側導電部材と接触することになる接触部、および上記接触部よりも高さ方向の高い側に設けられ、上記高さ方向と交差する方向に沿って導入される導体の終端を接続する接続部を有し、上記高さ方向の高い側へ向かうと上記高さ方向と交差する方向へ向かって落ち込む段部が設けられた端子を収容する電気コネクタのハウジングであって、
内部に、上記高さ方向に延びると共に上記高さ方向の両端が外部へ開放された第1収容室、および上記第1収容室の高い側の端に連通して上記高さ方向と交差する方向に延びると共に上記高さ方向の高い側が外部へ開放された第2収容室が形成されるように設けられたハウジング本体と、
上記高さ方向に真っ直ぐに延びて上記第1収容室に面して配置され、上記高さ方向の低い側の端が上記ハウジング本体に設けられ、上記高さ方向の高い側の端に上記第1収容室側に突き出る係止部が設けられ、弾性を有するランスとを備え、
上記端子の上記接触部が上記第1収容室に収容され、上記端子の上記接続部が上記第2収容室に収容されると共に、上記端子の上記段部に上記ランスの上記係止部が掛かるように構成されており、
内側に上記第1収容室を形成するように設けられた上記ハウジング本体の壁のうち上記段部が落ち込む側と反対側の壁が平板状に形成されており、上記ランスは、上記平板状の壁の一部を形成しており
上記第1収容室のなかで上記端子の上記接触部と上記ランスとが上記高さ方向および上記ランスの上記係止部が突き出る方向に対して直交する方向からみて重ならないように構成されており、
上記係止部の上記高さ方向の高い側の端面が、上記高さ方向の低い側に向かうにつれて上記第1収容室に向かうように傾斜している、電気コネクタのハウジング。
【請求項2】
相手側導電部材と接触することになる接触部、および上記接触部よりも高さ方向の高い側に設けられ、上記高さ方向と交差する方向に沿って導入される導体の終端を接続する接続部を有し、上記高さ方向の高い側へ向かうと上記高さ方向と交差する方向へ向かって落ち込む段部が設けられた端子を収容する電気コネクタのハウジングであって、
内部に、上記高さ方向に延びると共に上記高さ方向の両端が外部へ開放された第1収容室、および上記第1収容室の高い側の端に連通して上記高さ方向と交差する方向に延びると共に上記高さ方向の高い側が外部へ開放された第2収容室が形成されるように設けられたハウジング本体と、
上記高さ方向に真っ直ぐに延びて上記第1収容室に面して配置され、上記高さ方向の低い側の端が上記ハウジング本体に設けられ、上記高さ方向の高い側の端に上記第1収容室側に突き出る係止部が設けられ、弾性を有するランスとを備え、
上記端子の上記接触部が上記第1収容室に収容され、上記端子の上記接続部が上記第2収容室に収容されると共に、上記端子の上記段部に上記ランスの上記係止部が掛かるように構成されており、
内側に上記第1収容室を形成するように設けられた上記ハウジング本体の壁のうち上記段部が落ち込む側と反対側の壁が平板状に形成されており、上記ランスは、上記平板状の壁の一部を形成しており
上記第1収容室のなかで上記端子の上記接触部と上記ランスとが上記高さ方向および上記ランスの上記係止部が突き出る方向に対して直交する方向からみて重ならないように構成されており、
上記ハウジング本体には支持部が設けられ、上記支持部は、上記ランスにとって上記第1収容室側と反対側に位置すると共に、上記ランスから許容量だけ離れて位置しており、上記ランスの上記係止部に対応する部位から上記高さ方向の高い側へ延びている、電気コネクタのハウジング。
【請求項3】
上記ハウジング本体の上記第2収容室の上記高さ方向の高い側に、蓋が設けられている請求項1又は請求項2の電気コネクタのハウジング。
【請求項4】
相手側導電部材と接触することになる接触部、および上記接触部よりも高さ方向の高い側に設けられ、上記高さ方向と交差する方向に沿って導入される導体の終端を接続する接続部を有し、上記高さ方向の高い側へ向かうと上記高さ方向と交差する方向へ向かって落ち込む段部が設けられた端子と、
上記端子を収容するハウジングとを備え、上記ハウジングは、
内部に、上記高さ方向に延びると共に上記高さ方向の両端が外部へ開放された第1収容室、および上記第1収容室の高い側の端に連通して上記高さ方向と交差する方向に延びると共に上記高さ方向の高い側が外部へ開放された第2収容室が形成されるように設けられたハウジング本体と、
上記高さ方向に真っ直ぐに延びて上記第1収容室に面して配置され、上記高さ方向の低い側の端が上記ハウジング本体に設けられ、上記高さ方向の高い側の端に上記第1収容室側に突き出る係止部が設けられ、弾性を有するランスとを備え、
上記端子の上記接触部が上記第1収容室に収容され、上記端子の上記接続部が上記第2収容室に収容されていると共に、上記端子の上記段部に上記ランスの上記係止部が掛かっており、
内側に上記第1収容室を形成するように設けられた上記ハウジング本体の壁のうち上記段部が落ち込む側と反対側の壁が平板状に形成されており、上記ランスは、上記平板状の壁の一部を形成しており、
上記第1収容室のなかで上記端子の上記接触部と上記ランスとが上記高さ方向および上記ランスの上記係止部が突き出る方向に対して直交する方向からみて重ならないように構成されており、
上記係止部の上記高さ方向の高い側の端面が、上記高さ方向の低い側に向かうにつれて上記第1収容室に向かうように傾斜している電気コネクタ。
【請求項5】
相手側導電部材と接触することになる接触部、および上記接触部よりも高さ方向の高い側に設けられ、上記高さ方向と交差する方向に沿って導入される導体の終端を接続する接続部を有し、上記高さ方向の高い側へ向かうと上記高さ方向と交差する方向へ向かって落ち込む段部が設けられた端子と、
上記端子を収容するハウジングとを備え、上記ハウジングは、
内部に、上記高さ方向に延びると共に上記高さ方向の両端が外部へ開放された第1収容室、および上記第1収容室の高い側の端に連通して上記高さ方向と交差する方向に延びると共に上記高さ方向の高い側が外部へ開放された第2収容室が形成されるように設けられたハウジング本体と、
上記高さ方向に真っ直ぐに延びて上記第1収容室に面して配置され、上記高さ方向の低い側の端が上記ハウジング本体に設けられ、上記高さ方向の高い側の端に上記第1収容室側に突き出る係止部が設けられ、弾性を有するランスとを備え、
上記端子の上記接触部が上記第1収容室に収容され、上記端子の上記接続部が上記第2収容室に収容されていると共に、上記端子の上記段部に上記ランスの上記係止部が掛かっており、
内側に上記第1収容室を形成するように設けられた上記ハウジング本体の壁のうち上記段部が落ち込む側と反対側の壁が平板状に形成されており、上記ランスは、上記平板状の壁の一部を形成しており、
上記第1収容室のなかで上記端子の上記接触部と上記ランスとが上記高さ方向および上記ランスの上記係止部が突き出る方向に対して直交する方向からみて重ならないように構成されており、
上記ハウジング本体には支持部が設けられ、上記支持部は、上記ランスにとって上記第1収容室側と反対側に位置すると共に、上記ランスから許容量だけ離れて位置しており、上記ランスの上記係止部に対応する部位から上記高さ方向の高い側へ延びている電気コネクタ。
【請求項6】
上記端子の上記接触部が、第1基片と、上記第1基片の板幅方向の両端から立ち上がり、互いに接近する側へ曲げられたバネ片とを備え、上記バネ片の上記高さ方向の高い側の端縁が上記段部になっており、
上記端子の上記接続部が、上記第1基片の上記高さ方向の高い側に設けられた第2基片と、上記第2基片の上記高さ方向両側のうち少なくとも一方側から立ち上がり、上記第2基片に向かって曲げられて上記導体の上記終端をかしめるバレルとを備えている請求項4又は請求項5の電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気コネクタの技術分野に属し、電気コネクタのハウジングと、このようなハウジングを備えた電気コネクタとに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、2個以上の旗型端子を有する電気コネクタおよびそのハウジングを開示している。上記電気コネクタは、一体化ハウジングと2個以上のリセプタクルコンタクトを備えている。上記一体化ハウジングは実質的に同一形状のハウジングを含み、対向側壁間にスロットを形成して連結される。共通カバーがヒンジを介して、これらハウジングの一端縁に形成されている。ラッチ部材が上記ハウジングの両外側面とスロット内に形成され、これに対応するラッチ部材が上記共通カバーの内面に形成されている。複数の上記旗型端子は上記各ハウジングの空洞内に挿入されて、上記共通カバーを閉じ、ラッチすることにより上記ハウジング内に保持される。上記共通カバーが閉鎖(ラッチ)位置のとき、上記一体化ハウジングと協働して上記電気コネクタの機械的強度を補強する(同文献の段落0013を参照)。
【0003】
特許文献2および特許文献3は、上記旗型端子に類似する端子を開示している。
【0004】
特許文献4および特許文献5は、上記旗型端子に類似する端子の頭部を収容する筒状部と、上記端子の残余部を電線と共に包持する抱合部とを備えた端子用絶縁カバーを開示している。
【0005】
特許文献6は、端子の係合解除部材がハウジングのランスと係合して作動するようにした小型の電気コネクタ、およびそれに使用するハウジングを開示している。この電気コネクタの場合、端子が、ハウジング内に完全に挿入されるとランスにより係止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−335305号公報
【特許文献2】特開2002−231328号公報
【特許文献3】特開2002−231360号公報
【特許文献4】実開昭60−115466号公報
【特許文献5】特開平11−273768号公報
【特許文献6】特開平11−74015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献4および上記特許文献5が開示する上記端子用絶縁カバーの場合、二個以上の端子を収容する複極化を実現することは難しいが、上記特許文献1のハウジングを用いれば、複極化が実現可能となる。しかし、例えば上記特許文献1の電気コネクタのハウジングの場合、例えば上記ハウジングを用いた電気コネクタを相手側電気コネクタに嵌合したときなどに上記旗型端子が上記相手側端子から力を受けるが、このような反嵌合方向に向かう外力は上記共通カバーで受けることになる。この種の電気コネクタのユーザーには、このような外力に対する上記電気コネクタのハウジングの強度を高めたいという要請がある。
【0008】
そこで、本発明者は、ハウジングに上記特許文献6に開示されるようなランスを設け、上記嵌合方向に対して交差する方向へ電線などの導体が延びる端子に上記ランスを係止させることで、上記特許文献1の電気コネクタのハウジングとは異なる解決手段でもって上記反嵌合方向に向かう外力に対する強度を備えたハウジングを提案しようとした。しかし、上記端子から上記嵌合方向に対して交差する方向へ上記導体が延びるので、この導体、又は上記端子の上記導体との接続部と干渉しないように上記ランスを設けると、上記ランスを外側に寄せて配置せざるを得ない場合がでてき、上記ハウジングが大きくなってしまうという問題が認められた。
【0009】
本発明は、このような点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、収容する端子の嵌合方向に対して対向する方向へ延びるランスを備えると共にハウジング本体の壁のうち端子の段部が落ち込む側と反対側の平板状の壁の一部で上記ランスを形成することで、上記嵌合方向に対して交差する方向へ導体が延びる端子を収容すると共に、上記反嵌合方向に向かう外力に対する強度を備えることができ、しかもコンパクト化を実現することができる、電気コネクタのハウジング、および電気コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の第1の電気コネクタのハウジングは、
相手側導電部材と接触することになる接触部、および上記接触部よりも高さ方向の高い側に設けられ、上記高さ方向と交差する方向に沿って導入される導体の終端を接続する接続部を有し、上記高さ方向の高い側へ向かうと上記高さ方向と交差する方向へ向かって落ち込む段部が設けられた端子を収容する電気コネクタのハウジングであって、
内部に、上記高さ方向に延びると共に上記高さ方向の両端が外部へ開放された第1収容室、および上記第1収容室の高い側の端に連通して上記高さ方向と交差する方向に延びると共に上記高さ方向の高い側が外部へ開放された第2収容室が形成されるように設けられたハウジング本体と、
上記高さ方向に真っ直ぐに延びて上記第1収容室に面して配置され、上記高さ方向の低い側の端が上記ハウジング本体に設けられ、上記高さ方向の高い側の端に上記第1収容室側に突き出る係止部が設けられ、弾性を有するランスとを備え、
上記端子の上記接触部が上記第1収容室に収容され、上記端子の上記接続部が上記第2収容室に収容されると共に、上記端子の上記段部に上記ランスの上記係止部が掛かるように構成されており、
内側に上記第1収容室を形成するように設けられた上記ハウジング本体の壁のうち上記段部が落ち込む側と反対側の壁が平板状に形成されており、上記ランスは、上記平板状の壁の一部を形成しており
上記第1収容室のなかで上記端子の上記接触部と上記ランスとが上記高さ方向および上記ランスの上記係止部が突き出る方向に対して直交する方向からみて重ならないように構成されており、
上記係止部の上記高さ方向の高い側の端面が、上記高さ方向の低い側に向かうにつれて上記第1収容室に向かうように傾斜している、電気コネクタのハウジングである。
【0011】
上記嵌合方向に対して交差する方向へ上記導体が延びる上記端子を上記高さ方向に沿って上記ハウジングへ挿入すると、上記端子が上記第1収容室および上記第2収容室に収容され、上記導体が上記第2収容室に収容される。その間、上記ランスが弾性変形して上記係止部が上記端子を係止する。その場合、上記端子に上記反嵌合方向に向かう外力が作用すると、この外力は上記ランスに受け止められるので、上記ハウジングは上記反嵌合方向に向かう外力に対する強度を備える。また、上記ランスが上記高さ方向の低い側から高い側へ延びるので、上記高さ方向の高い側から低い側へ延びる上記従来のランスに較べると、上記導体、又は上記端子における上記導体との接続部と干渉しにくい。そのため、上記ランスを内側に寄せて配置することが可能となり、しかも、上記ランスが上記平板状の壁の一部を形成しているので、上記ハウジングのコンパクト化が実現する。さらに、従来の上記共通カバーのように上記端子をその上記反嵌合側で受け止める補強部材を設けないことも可能となり、このような補強部材を設けないときは、上記ハウジングの上記嵌合方向の寸法が短くなってコンパクト化が実現し、さらに上記ハウジングに上記補強部材を組み付ける手間も省ける。
【0012】
上記係止部の上記高さ方向の高い側の端面が、上記高さ方向の低い側に向かうにつれて上記第1収容室に向かうように傾斜しているので、上記端子を上記高さ方向に沿って上記ハウジングへ挿入するときに、上記端子が上記高さ方向の高い側の端面に案内されて上記第1収容室へ誘い込まれると共に、上記係止部を上記第1収容室の外側へ押しやるので、上記端子が上記ランスと干渉する可能性が低減される。
【0013】
本発明の第の電気コネクタのハウジングは、
相手側導電部材と接触することになる接触部、および上記接触部よりも高さ方向の高い側に設けられ、上記高さ方向と交差する方向に沿って導入される導体の終端を接続する接続部を有し、上記高さ方向の高い側へ向かうと上記高さ方向と交差する方向へ向かって落ち込む段部が設けられた端子を収容する電気コネクタのハウジングであって、
内部に、上記高さ方向に延びると共に上記高さ方向の両端が外部へ開放された第1収容室、および上記第1収容室の高い側の端に連通して上記高さ方向と交差する方向に延びると共に上記高さ方向の高い側が外部へ開放された第2収容室が形成されるように設けられたハウジング本体と、
上記高さ方向に真っ直ぐに延びて上記第1収容室に面して配置され、上記高さ方向の低い側の端が上記ハウジング本体に設けられ、上記高さ方向の高い側の端に上記第1収容室側に突き出る係止部が設けられ、弾性を有するランスとを備え、
上記端子の上記接触部が上記第1収容室に収容され、上記端子の上記接続部が上記第2収容室に収容されると共に、上記端子の上記段部に上記ランスの上記係止部が掛かるように構成されており、
内側に上記第1収容室を形成するように設けられた上記ハウジング本体の壁のうち上記段部が落ち込む側と反対側の壁が平板状に形成されており、上記ランスは、上記平板状の壁の一部を形成しており
上記第1収容室のなかで上記端子の上記接触部と上記ランスとが上記高さ方向および上記ランスの上記係止部が突き出る方向に対して直交する方向からみて重ならないように構成されており、
上記ハウジング本体には支持部が設けられ、上記支持部は、上記ランスにとって上記第1収容室側と反対側に位置すると共に、上記ランスから許容量だけ離れて位置しており、上記ランスの上記係止部に対応する部位から上記高さ方向の高い側へ延びている、電気コネクタのハウジングである。
【0014】
上記嵌合方向に対して交差する方向へ上記導体が延びる上記端子を上記高さ方向に沿って上記ハウジングへ挿入すると、上記端子が上記第1収容室および上記第2収容室に収容され、上記導体が上記第2収容室に収容される。その間、上記ランスが弾性変形して上記係止部が上記端子を係止する。その場合、上記端子に上記反嵌合方向に向かう外力が作用すると、この外力は上記ランスに受け止められるので、上記ハウジングは上記反嵌合方向に向かう外力に対する強度を備える。また、上記ランスが上記高さ方向の低い側から高い側へ延びるので、上記高さ方向の高い側から低い側へ延びる上記従来のランスに較べると、上記導体、又は上記端子における上記導体との接続部と干渉しにくい。そのため、上記ランスを内側に寄せて配置することが可能となり、しかも、上記ランスが上記平板状の壁の一部を形成しているので、上記ハウジングのコンパクト化が実現する。さらに、従来の上記共通カバーのように上記端子をその上記反嵌合側で受け止める補強部材を設けないことも可能となり、このような補強部材を設けないときは、上記ハウジングの上記嵌合方向の寸法が短くなってコンパクト化が実現し、さらに上記ハウジングに上記補強部材を組み付ける手間も省ける。
【0015】
上記ハウジング本体には支持部が設けられ、上記支持部は、上記ランスにとって上記第1収容室側と反対側に位置すると共に、上記ランスから許容量だけ離れて位置しており、上記ランスの上記係止部に対応する部位から上記高さ方向の高い側へ延びているので、弾性変形した上記ランスを上記支持部が支えて上記ランスの過変形が阻止される。また、上記ハウジング本体の外部から上記ランスの付近に外力を受けた場合、上記外力が上記支持部で受け止められたときには、上記ランスの過変形が阻止される。
【0016】
本発明の第の電気コネクタのハウジングは、上記第1又は上記第の電気コネクタのハウジングにおいて、
上記ハウジング本体の上記第2収容室の上記高さ方向の高い側に、蓋が設けられている電気コネクタのハウジングである。
【0017】
このようにすれば、上記蓋により上記端子が外部から遮断され、上記端子の例えば絶縁性、防塵などの性能が向上する。また上記蓋の上記ハウジング本体への取り付け強度によっては、上記ハウジングの上記反嵌合方向に向かう外力に対する強度が向上する。
【0018】
本発明の第1の電気コネクタは、
相手側導電部材と接触することになる接触部、および上記接触部よりも高さ方向の高い側に設けられ、上記高さ方向と交差する方向に沿って導入される導体の終端を接続する接続部を有し、上記高さ方向の高い側へ向かうと上記高さ方向と交差する方向へ向かって落ち込む段部が設けられた端子と、
上記端子を収容するハウジングとを備え、上記ハウジングは、
内部に、上記高さ方向に延びると共に上記高さ方向の両端が外部へ開放された第1収容室、および上記第1収容室の高い側の端に連通して上記高さ方向と交差する方向に延びると共に上記高さ方向の高い側が外部へ開放された第2収容室が形成されるように設けられたハウジング本体と、
上記高さ方向に真っ直ぐに延びて上記第1収容室に面して配置され、上記高さ方向の低い側の端が上記ハウジング本体に設けられ、上記高さ方向の高い側の端に上記第1収容室側に突き出る係止部が設けられ、弾性を有するランスとを備え、
上記端子の上記接触部が上記第1収容室に収容され、上記端子の上記接続部が上記第2収容室に収容されていると共に、上記端子の上記段部に上記ランスの上記係止部が掛かっており、
内側に上記第1収容室を形成するように設けられた上記ハウジング本体の壁のうち上記段部が落ち込む側と反対側の壁が平板状に形成されており、上記ランスは、上記平板状の壁の一部を形成しており、
上記第1収容室のなかで上記端子の上記接触部と上記ランスとが上記高さ方向および上記ランスの上記係止部が突き出る方向に対して直交する方向からみて重ならないように構成されており、
上記係止部の上記高さ方向の高い側の端面が、上記高さ方向の低い側に向かうにつれて上記第1収容室に向かうように傾斜している電気コネクタである。
【0019】
上記端子に上記反嵌合方向に向かう外力が作用すると、この外力は上記ランスに受け止められるので、上記ハウジングは上記反嵌合方向に向かう外力に対する強度を備える。また、上記ランスが上記高さ方向の低い側から高い側へ延びるので、上記高さ方向の高い側から低い側へ延びる上記従来のランスに較べると、上記導体、又は上記端子における上記導体との接続部と干渉しにくい。そのため、上記ランスを内側に寄せて配置することが可能となり、しかも、上記ランスが上記平板状の壁の一部を形成しているので、上記ハウジングのコンパクト化が実現する。さらに、従来の上記共通カバーのように上記端子をその上記反嵌合側で受け止める補強部材を設けないことも可能となり、このような補強部材を設けないときは、上記ハウジングの上記嵌合方向の寸法が短くなってコンパクト化が実現し、さらに上記ハウジングに上記補強部材を組み付ける手間も省ける。
【0020】
上記係止部の上記高さ方向の高い側の端面が、上記高さ方向の低い側に向かうにつれて上記第1収容室に向かうように傾斜しているので、上記端子を上記高さ方向に沿って上記ハウジングへ挿入するときに、上記端子が上記高さ方向の高い側の端面に案内されて上記第1収容室へ誘い込まれると共に、上記係止部を上記第1収容室の外側へ押しやるので、上記端子が上記ランスと干渉する可能性が低減される。
【0021】
本発明の第の電気コネクタは、
相手側導電部材と接触することになる接触部、および上記接触部よりも高さ方向の高い側に設けられ、上記高さ方向と交差する方向に沿って導入される導体の終端を接続する接続部を有し、上記高さ方向の高い側へ向かうと上記高さ方向と交差する方向へ向かって落ち込む段部が設けられた端子と、
上記端子を収容するハウジングとを備え、上記ハウジングは、
内部に、上記高さ方向に延びると共に上記高さ方向の両端が外部へ開放された第1収容室、および上記第1収容室の高い側の端に連通して上記高さ方向と交差する方向に延びると共に上記高さ方向の高い側が外部へ開放された第2収容室が形成されるように設けられたハウジング本体と、
上記高さ方向に真っ直ぐに延びて上記第1収容室に面して配置され、上記高さ方向の低い側の端が上記ハウジング本体に設けられ、上記高さ方向の高い側の端に上記第1収容室側に突き出る係止部が設けられ、弾性を有するランスとを備え、
上記端子の上記接触部が上記第1収容室に収容され、上記端子の上記接続部が上記第2収容室に収容されていると共に、上記端子の上記段部に上記ランスの上記係止部が掛かっており、
内側に上記第1収容室を形成するように設けられた上記ハウジング本体の壁のうち上記段部が落ち込む側と反対側の壁が平板状に形成されており、上記ランスは、上記平板状の壁の一部を形成しており、
上記第1収容室のなかで上記端子の上記接触部と上記ランスとが上記高さ方向および上記ランスの上記係止部が突き出る方向に対して直交する方向からみて重ならないように構成されており、
上記ハウジング本体には支持部が設けられ、上記支持部は、上記ランスにとって上記第1収容室側と反対側に位置すると共に、上記ランスから許容量だけ離れて位置しており、上記ランスの上記係止部に対応する部位から上記高さ方向の高い側へ延びている電気コネクタである。
【0022】
上記端子に上記反嵌合方向に向かう外力が作用すると、この外力は上記ランスに受け止められるので、上記ハウジングは上記反嵌合方向に向かう外力に対する強度を備える。また、上記ランスが上記高さ方向の低い側から高い側へ延びるので、上記高さ方向の高い側から低い側へ延びる上記従来のランスに較べると、上記導体、又は上記端子における上記導体との接続部と干渉しにくい。そのため、上記ランスを内側に寄せて配置することが可能となり、しかも、上記ランスが上記平板状の壁の一部を形成しているので、上記ハウジングのコンパクト化が実現する。さらに、従来の上記共通カバーのように上記端子をその上記反嵌合側で受け止める補強部材を設けないことも可能となり、このような補強部材を設けないときは、上記ハウジングの上記嵌合方向の寸法が短くなってコンパクト化が実現し、さらに上記ハウジングに上記補強部材を組み付ける手間も省ける。
【0023】
上記ハウジング本体には支持部が設けられ、上記支持部は、上記ランスにとって上記第1収容室側と反対側に位置すると共に、上記ランスから許容量だけ離れて位置しており、上記ランスの上記係止部に対応する部位から上記高さ方向の高い側へ延びているので、弾性変形した上記ランスを上記支持部が支えて上記ランスの過変形が阻止される。また、上記ハウジング本体の外部から上記ランスの付近に外力を受けた場合、上記外力が上記支持部で受け止められたときには、上記ランスの過変形が阻止される。
【0024】
本発明の第の電気コネクタは、上記第1又はの電気コネクタにおいて、
上記端子の上記接触部が、第1基片と、上記第1基片の板幅方向の両端から立ち上がり、互いに接近する側へ曲げられたバネ片とを備え、上記バネ片の上記高さ方向の高い側の端縁が上記段部になっており、
上記端子の上記接続部が、上記第1基片の上記高さ方向の高い側に設けられた第2基片と、上記第2基片の上記高さ方向両側のうち少なくとも一方側から立ち上がり、上記第2基片に向かって曲げられて上記導体の上記終端をかしめるバレルとを備えている電気コネクタである。
【0025】
このようにすれば、この種のバネ片、およびバレルを備えた端子に対して本発明が適用される。そして、上記バネ片が上記段部として利用される。
【発明の効果】
【0026】
本発明の上記第1の電気コネクタのハウジングは、収容する端子の嵌合方向に対して対向する方向へ延びる上記ランスを備え、内側に上記第1収容室を形成するように設けられた上記ハウジング本体の壁のうち上記端子の上記段部が落ち込む側と反対側の平板状の壁の一部で上記ランスを形成しているので、上記嵌合方向に対して交差する方向へ上記導体が延びる上記端子を収容すると共に、上記反嵌合方向に向かう外力に対する強度を備えることができ、しかもコンパクト化を実現することができる。
【0027】
さらに、上記端子を上記高さ方向に沿って上記ハウジングへ挿入するときに、上記端子の上記第1収容室への誘い込みを行えると共に、上記端子が上記ランスと干渉する可能性を低減することができる。
【0028】
本発明の上記第の電気コネクタのハウジングは、収容する端子の嵌合方向に対して対向する方向へ延びる上記ランスを備え、内側に上記第1収容室を形成するように設けられた上記ハウジング本体の壁のうち上記端子の上記段部が落ち込む側と反対側の平板状の壁の一部で上記ランスを形成しているので、上記嵌合方向に対して交差する方向へ上記導体が延びる上記端子を収容すると共に、上記反嵌合方向に向かう外力に対する強度を備えることができ、しかもコンパクト化を実現することができる。
【0029】
さらに、上記ランスの過変形を防止することができる。
【0030】
本発明の上記第の電気コネクタのハウジングは、上記第1又は上記第の電気コネクタのハウジングにより得られる効果が得られることに加え、さらに、上記端子の例えば絶縁性、防塵などの性能を向上させることができ、また上記蓋の上記ハウジング本体への取り付け強度によっては、上記ハウジングの上記反嵌合方向に向かう外力に対する強度を向上させることができる。
【0031】
本発明の上記第1の電気コネクタは、上記ハウジングが、収容する端子の嵌合方向に対して対向する方向へ延びる上記ランスを備え、内側に上記第1収容室を形成するように設けられた上記ハウジング本体の壁のうち上記端子の上記段部が落ち込む側と反対側の平板状の壁の一部で上記ランスを形成しているので、上記嵌合方向に対して交差する方向へ上記導体が延びる上記端子を収容すると共に、上記反嵌合方向に向かう外力に対する強度を備えることができ、しかもコンパクト化を実現することができる。
【0032】
さらに、上記端子を上記高さ方向に沿って上記ハウジングへ挿入するときに、上記端子の上記第1収容室への誘い込みを行えると共に、上記端子が上記ランスと干渉する可能性を低減することができる。
【0033】
本発明の上記第2の電気コネクタは、上記ハウジングが、収容する端子の嵌合方向に対して対向する方向へ延びる上記ランスを備え、内側に上記第1収容室を形成するように設けられた上記ハウジング本体の壁のうち上記端子の上記段部が落ち込む側と反対側の平板状の壁の一部で上記ランスを形成しているので、上記嵌合方向に対して交差する方向へ上記導体が延びる上記端子を収容すると共に、上記反嵌合方向に向かう外力に対する強度を備えることができ、しかもコンパクト化を実現することができる。
【0034】
さらに、上記ランスの過変形を防止することができる。
【0035】
本発明の上記第3の電気コネクタは、上記第1又は第2の電気コネクタにより得られる効果が得られることに加え、さらに、上記バネ片、および上記バレルを備えた上記端子に対して本発明を適用した例を示すことができた。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、本発明の上記電気コネクタの上記ハウジングの実施形態を示す斜視図である。
図2図2は、上記ハウジングを縦断面して示した斜視図である。
図3図3は、上記ハウジングを縦断面して示した正面図である。
図4図4は、本発明の上記電気コネクタの実施形態における導体付きの端子を示す斜視図である。
図5図5は、上記端子の斜視図である。ワイヤバレルおよびインシュレーションバレルは、かしめる前の状態であり、開放されている。
図6図6は、上記端子の底面図である。ワイヤバレルおよびインシュレーションバレルは、かしめる前の状態であり、開放されている。
図7図7は、上記電気コネクタの斜視図である。
図8図8は、上記電気コネクタを縦断面して示した斜視図である。
図9図9は、上記電気コネクタを縦断面して示した斜視図である。図8と異なる角度からみている。
図10図10は、上記電気コネクタを縦断面して示した正面図である。
図11図11は、上記ハウジングに上記導体付き端子を挿入している状態の一例を示す図2相当図である。
図12図12は、上記電気コネクタの変形例を示す分解斜視図であり、上記蓋を上記ハウジング本体に嵌めようとしているときの図である。
図13図13は、上記電気コネクタの変形例を示す斜視図であり、上記蓋を上記ハウジング本体に嵌めたときの図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1ないし図11は、本発明の電気コネクタのハウジング、および上記電気コネクタの一つの実施形態を示す。上記電気コネクタCは、端子100と、上記端子100を収容するハウジング200とを備えている。上記電気コネクタCは、相手側部材(図示省略)と嵌合し、離脱する。この実施形態の場合、上記相手側部材は、相手側導電部材としての端子と、上記相手側導電部材を収容する相手側支持部材としてのハウジングとを備えた電気コネクタである。よって、上記端子100は上記相手側部材の上記相手側導電部材と嵌合し、離脱し、上記ハウジング200は上記相手側部材の上記相手側支持部材と嵌合し、離脱する。上記相手側部材には、上記相手側支持部材を備えておらず相手側導電部材だけであるものも含まれる。本発明の上記電気コネクタが嵌合し、離脱する上記相手側部材は電気コネクタに限定されない。上記相手側部材には、例えば、端子又はその他の上記相手側導電部材と上記相手側導電部材が設けられた上記相手側支持部材としてのプリント配線板とを備えた導電部材付きプリント配線板、端子又はその他の上記相手側導電部材と上記相手側導電部材が設けられた上記相手側支持部材としての電気製品の筐体とを備えた電気製品、又はその他の部材が含まれる。また、本発明の上記電気コネクタは、上記相手側支持部材が無くて独立した端子又はその他の上記相手側導電部材と嵌合し、離脱する上記電気コネクタの実施形態を含んでいる。以下、互いに直交する高さ方向、奥行き方向、及び幅方向をとり、これらの方向付けを用いて説明する。上記実施形態の場合、図10で説明すれば、同図を符号が正しく読めるように見て、上下方向が上記高さ方向であり、同図の上側が高い側であり下側が低い側である。ただし、上記高さ方向は鉛直方向とは無関係である。また、同図の紙面に垂直な方向が上記奥行き方向であり、同図の紙面の表側が奥側であり上記紙面の裏側が手前側である。さらに、同図の左右方向が上記幅方向である。上記ハウジング200には複数の上記端子100が上記幅方向に並べて収容されており、これら複数の端子100の向きも一致しているが、上記ハウジングに収容される上記端子の数は一つであっても、二つ以上であってもよい。また、上記ハウジングに上記端子を二つ以上収容した複極形電気コネクタの場合、上記端子の配列形態も、上記奥行き方向からみて一方向に並んでいてもよいし、縦横に並んでいてもよいし、その他の並び方であってもよい。また、上記端子の向きも一致しなくてもよい。
【0038】
図4ないし図6に示すように、上記端子100は、接触部110と、上記接触部110よりも上記高さ方向の高い側に設けられた接続部120とを備えている。上記端子100は、導電性材料によって形成されている。上記接触部110は、上記高さ方向に延びており、上記高さ方向の下側から近づけた上記相手側導電部材と接触することになる。上記接続部120には、上記高さ方向と交差する方向に沿って導入される導体300の終端が接続される。この実施形態の場合、上記導体300は、上記接続部120に対して上記奥行き方向の上記手前側から導入され、上記導体300の上記奥行き方向奥側の端部が上記終端になっている。上記導体は、例えば上記奥行き方向、又は上記幅方向などのように、上記高さ方向と直交する方向に沿って導入してもよいが、例えば上記奥行き方向、上記幅方向、又は上記高さ方向などと角度をなす方向である、上記高さ方向と交差する方向に沿って導入してもよい。上記導体300は、導線310と、上記導線310を被覆する絶縁被覆320とを備えた電線である。上記導体300は、導電性の部材を備えておればよく、上記電線の他にも例えばシールドケーブル又はその要素を含み、また例えばFFC(フレキシブルフラットケーブル)などの平形柔軟ケーブル又はその要素を含み、さらに、その他の導電手段を含んでいる。上記導体は導電性部材のみにより構成されていてもよい。上記端子100には、上記高さ方向の高い側へ向かうと上記高さ方向と交差する方向へ向かって落ち込む段部130が設けられている。この実施形態の場合、上記段部130は上記幅方向へ向かって落ち込んでいる。このように上記段部は、上記高さ方向と直交する方向へ向かって落ち込んでもよいが、上記高さ方向と直交する方向よりも傾いた角度である、上記高さ方向と交差する方向へ向かって落ち込んでいてもよい。
【0039】
図4ないし図6に示すように、上記端子100の上記接触部110は、第1基片111と、上記第1基片111の板幅方向の両端から立ち上がり、互いに接近する側へ曲げられたバネ片112とを備えている。したがって、上記接触部110を上記高さ方向の低い側からみると、上記板幅方向の両端がC字状および左右反対になったC字状に形成されている。そして、上記第1基片111と上記バネ片112との間に、上記相手側導電部材としての平板状のプラグを受け入れ、上記バネ片112の弾性復原力により上記第1基片111および上記バネ片112が上記相手側導電部材に接触圧力をもって接触するようにしている。上記バネ片112の上記高さ方向の高い側の端縁が上記段部130になっている。この実施形態の場合、上記バネ片112の上記高さ方向の高い側の端縁は、上記高さ方向に直交する面を形成しているが、上記高さ方向と直交する面よりも傾いた面である、上記高さ方向と交差する面を形成してもよい。また、上記端子100の上記接続部120は、上記第1基片111の上記高さ方向の高い側に設けられた第2基片121と、上記第2基片121の上記高さ方向両側のうち少なくとも一方側から立ち上がり、上記第2基片121に向かって曲げられて上記導体300の上記終端をかしめるバレルとを備えている。この実施形態の場合、上記バレルが二種類設けられている。すなわち、上記第2基片121には、ワイヤバレル122と、インシュレーションバレル123とが、上記第1基片111の上記板幅方向と平行な方向に並べて設けられている。この実施形態の場合、上記ワイヤバレル122、および上記インシュレーションバレル123は、いずれも上記第2基片121の上記高さ方向両側のうち一方側から立ち上がる一枚だけを設けているが、いずれのバレルも上記高さ方向両側のうち他方側から立ち上がる一枚だけを設けもよいし、上記高さ方向両側から立ち上がる二枚を設けてもよいし、これらの形態を組み合わせてもよい。上記ワイヤバレル122は、上記第2基片121に向かって内側へ曲げられることで上記導体300の上記終端における上記絶縁被覆320から露出した上記導線310に押圧力をもって抱きつき、上記導線310にかしめるようになっている。また、上記インシュレーションバレル123は、上記第2基片121に向かって内側へ曲げられることで上記導体300の上記終端における上記絶縁被覆320に押圧力をもって抱きつき、上記絶縁被覆320にかしめるようになっている。この実施形態の場合、上記ワイヤバレル122、および上記インシュレーションバレル123が、上記接触部110よりも上記高さ方向の高い側に設けられている。しかし、上記ワイヤバレル、および上記インシュレーションバレルのうち少なくとも一部が、上記接触部よりも上記高さ方向の高い側に設けられた上記端子も本発明の対象になる。また、上記ワイヤバレル、又は上記インシュレーションバレルなどの一種類のバレルだけを備え、上記バレルの少なくとも一部が、上記接触部よりも上記高さ方向の高い側に設けられた上記端子も本発明の対象になる。上記接触部は、例えば上記高さ方向に延びるポスト、内部にポスト等を受け入れる受け入れ空間が設けられた箱形構造体、又はその他の形態であってもよい。この実施形態の場合、上記接続部を圧着形にしたが、上記接続部を、例えば圧接形、ピアシング形、又はその他の形態にしてもよい。上記接続部を上記圧接形にしたときは、上記第2基片から圧接片を立ち上げて上記圧接片に圧接刃を設け、上記圧接刃が上記導体の上記絶縁被覆に切り込んで上記導線に接触することで上記導体を接続する。上記接続部を上記ピアシング形にしたときは、上記第2基片から針を立ち上げ、上記針が上記導体を突き刺すことで上記導体を接続する。
【0040】
図1ないし図3、および図7ないし図10に示すように、上記ハウジング200は、ハウジング本体210と、上記ハウジング本体210に設けられたランス220とを備えている。上記ハウジング本体210は合成樹脂によって形成されているが、他の絶縁性部材によって形成してもよく、少なくとも上記端子に接触する部分が絶縁性部材によって形成されていることが好ましい。この実施形態の電気コネクタCは複極形電気コネクタであるので、上記ハウジング200には極数に応じた数の上記ハウジング本体210が設けられ、上記各ハウジング本体210に上記端子100がそれぞれ収容されている。上記複数のハウジング本体210は接続されている。この実施形態の場合、ハウジング本体同士が一体成型されることで複数のハウジング本体210が一体的に設けられているが、上記ハウジング本体同士を例えば接着などの他の方法で接続し、又は例えば嵌合などの方法で連結してもよい。上記各ハウジング本体210は、直方体状の第1部材210aと、上記第1部材210aの上記高さ方向の高い側に配置されて接続された直方体状の第2部材210bとを備えている。そして、複数の上記第2部材210bが連続して設けられている。しかし、これによって上記ハウジング本体の形状が限定解釈されることはなく、上記ハウジング本体が、例えば円柱状、又はその他の形状の構成物を一つで又は二つ以上組み合わせてなる形状に形成されていてもよい。上記各ハウジング本体210は、その内部に、第1収容室211と、上記第1収容室211に連通する第2収容室212とが形成されるように設けられている。上記第1収容室211は、上記高さ方向に延びると共に上記高さ方向の両端が外部へ開放されている。上記第1収容室211の上記高さ方向の低い側の端から上記相手側導電部材を受け入れることになる。上記端子の上記接触部が例えばポストであるときは、上記接触部を上記第1収容室よりも上記高さ方向の低い側へ出して上記相手側導電部材と接触させることもある。上記第2収容室212は、上記第1収容室211の高い側の端に連通して上記高さ方向と交差する方向に延びていると共に、上記高さ方向の高い側が外部へ開放されている。上記高さ方向と交差する方向は、上記高さ方向と直交する方向を含む。この実施形態の場合、上記第2収容室212は、上記奥行き方向に延びており、上記第2収容室212の上記奥行き方向の上記奥側が上記ハウジング本体210の壁で閉塞されていると共に、上記第2収容室212の上記奥行き方向の上記手前側が開放されていて、上記導体300を曲げずに直線状にして導入できるようになっている。しかし、上記第2収容室は例えば上記幅方向又はその他の上記高さ方向と交差する方向に延びておればよく、また上記第2収容室の両端は、いずれも閉塞されていても開放されていてもよい。上記第2収容室が延びる方向は、上記端子から上記導体が延びる方向に一致することが好ましいが、その方向に限定されるものではない。上記ハウジング本体210は、上記第2収容室212において上記高さ方向の高い側へ開放されているが、図12および図13に示すように、上記ハウジング本体210の上記第2収容室212の上記高さ方向の高い側に蓋214を設け、この蓋214によって上記第2収容室212を閉塞してもよい。この変形例では上記ハウジング200に対して一つの蓋214を設けたが、例えば、上記ハウジング本体ごとに蓋を設けること、一部のハウジング本体にのみ蓋を設けること、上記ハウジング本体の上記第2収容室の一部のみを覆う蓋を設けることなど、多くの他の変形例がある。
【0041】
上記ランス220は弾性を有している。この実施形態の場合、上記ランス220は上記ハウジング本体210と同じ合成樹脂で形成されているが、弾性を有しておれば他の材料で形成してもよい。また、上記ランス220を上記ハウジング本体210と一体成型により一体的に設けているが、上記ランスを上記ハウジング本体とを別々に成型等してから、これらを組み付けてもよい。上記ランス220は、上記各ハウジング本体210ごとに設けられている。この実施形態の場合、上記ランス220は、上記各ハウジング本体210ごとに二つ設けられているが、それは上記端子100の上記接触部110に上記バネ片112が二つ設けられ、上記各バネ片112に上記段部130がそれぞれ形成されているからである。しかし、上記各ハウジング本体210ごとにこれら二つのランスを一連に設け、又は一体化してもよいし、いずれか一つの上記ランスだけを設けてもよい。上記ランス220は、上記高さ方向に延びて上記第1収容室211に面して配置されている。上記ランス220は、上記高さ方向に向いた面で切断したときの断面形が、後述の係止部221の部分を除いて上記高さ方向に沿って同一形状になるように設けているが、上記断面形を、例えば上記高さ方向の高い側へ向かうにつれて細くするなどして変化させてもよい。上記ランス220は、上記高さ方向に真っ直ぐに延びているが、上記高さ方向に対して若干傾けて延ばしたときには参考形態になる。この実施形態の場合、上記ランス220は、上記第1収容室211に対して上記幅方向の一方側に配置されているが、上記ランスは、上記第1収容室の周囲のどの部位に設けてもよい。上記ランス220の上記高さ方向の低い側の端が上記ハウジング本体210に設けられており、それによって上記ランス220は片持ち梁状に設けられている。例えば図2図3図8ないし図10に示されるように、内側に上記第1収容室211を形成するように設けられた上記ハウジング本体210の壁のうち上記段部が落ち込む側と反対側の壁が平板状に形成されており、上記ランス220は、上記平板状の壁の一部を形成している。このようにすれば、上記ハウジング200のコンパクト化にとって好ましいが、上記壁の内側に上記壁とは別に上記ランスを設けたときには参考形態になる。上記ランス220の上記高さ方向の高い側の端には、上記第1収容室側に突き出る係止部221が設けられている。この実施形態の場合、上記係止部221の上記高さ方向の低い側の端面221aは、上記高さ方向に直交しているが、上記端面は上記高さ方向と角度をなしていてもよく、上記高さ方向と交差しておればよい。例えば図10に示されるように、上記第1収容室211のなかで上記端子100の上記接触部110と上記ランス220とが上記高さ方向および上記ランス220の上記係止部221が突き出る方向に対して直交する方向からみて重ならないように構成されている。
【0042】
そして、上記端子100の上記接触部110が上記ハウジング本体210の上記第1収容室211に収容され、上記端子100の上記接続部120が上記第2収容室212に収容されていると共に、上記端子100の上記段部130に上記ランス220の上記係止部221が掛かっている。
【0043】
上記係止部221の上記高さ方向の高い側の端面221bは、上記高さ方向の低い側に向かうにつれて上記第1収容室211に向かうように傾斜している。
【0044】
上記ハウジング本体210には支持部213が設けられている。上記支持部213は、上記ランス220にとって上記第1収容室側と反対側に位置すると共に、上記ランス220から許容量だけ離れて位置しており、上記ランス220の上記係止部221に対応する部位から上記高さ方向の高い側へ延びている。上記許容量は、上記ランス220の変形量として許容される量であり、例えば上記ランス220が弾性領域内に収まるような変形量である。上記支持部213は、上記高さ方向からみて、上記ランス220にとって上記第1収容室211の側とは反対側に設けられている。すなわち、上記支持部213は、上記ランス220の背面と対向している。ここでは上記支持部213は壁状に形成されているが、例えば棒状、又はその他の形状に形成されていてもよい。
【0045】
したがって、上記ハウジング200の場合、上記嵌合方向に対して交差する方向へ上記導体300が延びる上記端子100を上記高さ方向に沿って上記ハウジング200へ挿入すると、上記端子100が上記第1収容室211および上記第2収容室212に収容され、上記導体300が上記第2収容室212に収容される。その間、上記ランス220が弾性変形して上記接触部110を乗り越えてから復原して、上記係止部221が上記端子100を係止する。その場合、上記端子100に上記高さ方向の高い側へ向かう外力つまり上記反嵌合方向に向かう外力が作用すると、この外力は上記ランス220に受け止められるので、上記ハウジング200は上記反嵌合方向に向かう外力に対する強度を備える。また、上記ランス220が上記高さ方向の低い側から高い側へ延びるので、上記高さ方向の高い側から低い側へ延びる上記従来のランスに較べると、上記導体300、又は上記端子100における上記導体300との接続部である上記接続部120と干渉しにくい。そのため、上記ランス220を内側に寄せて配置することが可能となり、しかも、上記ランス220が上記平板状の壁の一部を形成しているので、上記ハウジング200のコンパクト化が実現する。さらに、従来の上記共通カバーのように上記端子100をその上記反嵌合側で受け止める補強部材を設けないことも可能となり、このような補強部材を設けないときは、上記ハウジング200の上記嵌合方向の寸法が短くなってコンパクト化が実現し、さらに上記ハウジング200に上記補強部材を組み付ける手間も省ける。
【0046】
よって、上記実施形態の電気コネクタのハウジング200は、収容する上記端子100の嵌合方向に対して対向する方向へ延びる上記ランス220を備え、内側に上記第1収容室211を形成するように設けられた上記ハウジング本体210の壁のうち上記端子100の上記段部130が落ち込む側と反対側の平板状の壁の一部で上記ランス220を形成しているので、上記嵌合方向に対して交差する方向へ上記導体300が延びる上記端子100を収容すると共に、上記反嵌合方向に向かう外力に対する強度を備えることができ、しかもコンパクト化を実現することができる。
【0047】
本発明の上記第2の電気コネクタハウジングは、上記ランスの上記係止部の上記高さ方向の高い側の端面の形状を限定しない。そのような種々の実施形態のなかで、上記実施形態、および上記変形例の上記電気コネクタのハウジング200の場合、上記係止部221の上記高さ方向の高い側の端面221bが、上記高さ方向の低い側に向かうにつれて上記第1収容室211に向かうように傾斜している。このようにすれば、上記係止部221の上記高さ方向の高い側の端面221bが、上記高さ方向の低い側に向かうにつれて上記第1収容室211に向かうように傾斜しているので、上記端子100を上記高さ方向に沿って上記ハウジング200へ挿入するときに、上記端子100が上記高さ方向の高い側の端面221bに案内されて上記第1収容室211へ誘い込まれると共に、上記係止部221を上記第1収容室211の外側へ押しやるので、上記端子100が上記ランス220と干渉する可能性が低減される。
【0048】
本発明の上記第1の電気コネクタのハウジングは、上記支持部を設けない実施形態、および上記ランスの上記第1収容室側と反対側が開放されている実施形態を含んでいる。そのような種々の実施形態のなかで、上記実施形態、および上記変形例の上記電気コネクタのハウジング200の場合、上記ハウジング本体210には支持部213が設けられ、上記支持部213は、上記ランス220にとって上記第1収容室側と反対側に位置すると共に、上記ランス220から許容量だけ離れて位置しており、上記ランス220の上記係止部221に対応する部位から上記高さ方向の高い側へ延びている。このようにすれば、図11に示すように、例えば上記端子100を上記ハウジング本体210の上記第1収容室211および上記第2収容室212に本来の挿入方向に対して斜めに傾いた方向に挿入するなどして上記ランス220を上記第1収容室211の外側へ押しやろうとしても、弾性変形した上記ランス220を上記支持部213が支えて上記ランス220の過変形が阻止される。また、上記ハウジング本体210の外部から上記ランス220の付近に外力を受けた場合、上記外力が上記支持部213で受け止められたときには、上記ランス220の過変形が阻止される。上記図11は一つの状態を例示したに過ぎず、例えば、上記第1収容室、上記第2収容室、上記端子、上記ランス、又は上記ランスの上記高さ方向の高い側の端面などの形状などによっては、それによって上記端子が上記ランスに斜めに当たることが回避される場合がある。
【0049】
本発明の上記電気コネクタのハウジングは、上記蓋を設けない実施形態を含んでいる。そのような種々の実施形態のなかで、上記実施形態、および上記変形例の上記電気コネクタのハウジング200の場合、上記ハウジング本体210の上記第2収容室212の上記高さ方向の高い側に、上記蓋214が設けられている。このようにすれば、上記蓋214により上記端子100が外部から遮断され、上記端子100の例えば絶縁性、防塵などの性能が向上する。また上記蓋214の上記ハウジング本体210への取り付け強度によっては、上記ハウジング200の上記反嵌合方向に向かう外力に対する強度が向上する。
【0050】
また、以上の説明により、本発明の電気コネクタも十分に開示された。すなわち、上記本発明の電気コネクタCは、上記相手側導電部材と接触することになる上記接触部110、および上記接触部110よりも上記高さ方向の高い側に設けられ、上記高さ方向と交差する方向に沿って導入される上記導体300の上記終端を接続する上記接続部120を有し、上記高さ方向の高い側へ向かうと上記高さ方向と交差する方向へ向かって落ち込む上記段部130が設けられた上記端子100と、上記端子100を収容する上記ハウジング200とを備えている。そして、上記ハウジング200は、内部に、上記高さ方向に延びると共に上記高さ方向の両端が外部へ開放された上記第1収容室211、および上記第1収容室211の高い側の端に連通して上記高さ方向と交差する方向に延びると共に上記高さ方向の高い側が外部へ開放された上記第2収容室212が形成されるように設けられた上記ハウジング本体210と、上記高さ方向に真っ直ぐに延びて上記第1収容室211に面して配置され、上記高さ方向の低い側の端が上記ハウジング本体210に設けられ、上記高さ方向の高い側の端に上記第1収容室側に突き出る上記係止部221が設けられ、弾性を有する上記ランス220とを備え、上記端子100の上記接触部110が上記第1収容室211に収容され、上記端子100の上記接続部120が上記第2収容室212に収容されていると共に、上記端子100の上記段部130に上記ランス220の上記係止部221が掛かっており、内側に上記第1収容室211を形成するように設けられた上記ハウジング本体210の壁のうち上記段部130が落ち込む側と反対側の壁が平板状に形成されており、上記ランス220は、上記平板状の壁の一部を形成しており、上記第1収容室211のなかで上記端子100の上記接触部110と上記ランス220とが上記高さ方向および上記ランス220の上記係止部221が突き出る方向に対して直交する方向からみて重ならないように構成されている。そして、上記係止部221の上記高さ方向の高い側の端面が、上記高さ方向の低い側に向かうにつれて上記第1収容室211に向かうように傾斜している。また、上記ハウジング本体210には上記支持部213が設けられ、上記支持部213は、上記ランス220にとって上記第1収容室側と反対側に位置すると共に、上記ランス220から許容量だけ離れて位置しており、上記ランス220の上記係止部221に対応する部位から上記高さ方向の高い側へ延びている。
【0051】
上記端子100に上記高さ方向の高い側へ向かう外力つまり上記反嵌合方向に向かう外力が作用すると、この外力は上記ランス220に受け止められるので、上記ハウジング200は上記反嵌合方向に向かう外力に対する強度を備える。また、上記ランス220が上記高さ方向の低い側から高い側へ延びるので、上記高さ方向の高い側から低い側へ延びる上記従来のランスに較べると、上記導体300、又は上記端子100における上記導体300との接続部である上記接続部120と干渉しにくい。そのため、上記ランス220を内側に寄せて配置することが可能となり、しかも、上記ランス220が上記平板状の壁の一部を形成しているので、上記ハウジング200のコンパクト化が実現する。さらに、従来の上記共通カバーのように上記端子をその上記反嵌合側で受け止める補強部材を設けないことも可能となり、このような補強部材を設けないときは、上記ハウジング200の上記嵌合方向の寸法が短くなってコンパクト化が実現し、さらに上記ハウジング200に上記補強部材を組み付ける手間も省ける。また、上記端子100に上記高さ方向の高い側へ向かう外力つまり上記反嵌合方向に向かう外力が作用すると、上記ランス220が上記高さ方向の低い側から高い側へ延びているので、上記ランス220は上記端子100から上記高さ方向の高い側へ向かって外力を受け、これが引っ張り力として作用する。これに対し、上記従来のランスは上記高さ方向の高い側から低い側へ延びるので、同じ負荷状況で上記従来のランスは圧縮力を受ける。しかも、上記従来のランスは、端子が収容室に挿入されるときに上記ランスをこじらないように上記挿入方向に対して斜めに延ばして居るので、上記圧縮力を受けた上記従来のランスは座屈する傾向がある。それに対して、上記ランス220は、上記高さ方向に真っ直ぐに延ばすことができ、上記引っ張り力が作用し、例えば曲げ力などが作用しにくいので、材料によっては応力状態が複雑になりにくく、好ましい場合がある。
【0052】
よって、上記実施形態の電気コネクタCは、上記ハウジング200が、収容する上記端子100の嵌合方向に対して対向する方向へ延びる上記ランス220を備え、内側に上記第1収容室211を形成するように設けられた上記ハウジング本体210の壁のうち上記端子100の上記段部130が落ち込む側と反対側の平板状の壁の一部で上記ランス220を形成しているので、上記嵌合方向に対して交差する方向へ上記導体300が延びる上記端子100を収容すると共に、上記反嵌合方向に向かう外力に対する強度を備えることができ、しかもコンパクト化を実現することができる。
【0053】
本発明の上記電気コネクタは、上記端子が接触する上記相手側導電部材を上記端子などに限定するものではない。また、上記段部は、上記高さ方向の高い側へ向かうと上記高さ方向と交差する方向へ向かって落ち込むように設けられておればよく、上記端子のどの部位に設けられていてもよい。さらに、上記端子の上記接続部は上記圧着形に限定されない。そのような種々の実施形態のなかで、上記実施形態、および上記変形例の上記電気コネクタCの場合、上記端子100の上記接触部110が、上記第1基片111と、上記第1基片111の板幅方向の両端から立ち上がり、互いに接近する側へ曲げられた上記バネ片112とを備え、上記バネ片112の上記高さ方向の高い側の端縁が上記段部130になっており、上記端子100の上記接続部120が、上記第1基片111の上記高さ方向の高い側に設けられた上記第2基片121と、上記第2基片121の上記高さ方向両側のうち少なくとも一方側から立ち上がり、上記第2基片121に向かって曲げられて上記導体300の上記終端をかしめる上記バレル122、123とを備えている。このようにすれば、この種の上記バネ片112、および上記バレル122、123を備えた上記端子100に対して本発明を適用した例を示すことができる。そして、上記バネ片112を上記段部130として利用することができた。
【0054】
本発明の上記電気コネクタのハウジング、および上記電気コネクタは、以上で説明した上記実施形態および上記変形例の特徴を組み合わせた実施形態を含んでいる。さらに、以上で説明した上記実施形態および上記変形例は本発明の上記電気コネクタのハウジング、および上記電気コネクタのいくつかの例を示したに過ぎない。したがって、これらの上記実施形態および上記変形例の記載によって本発明の上記電気コネクタのハウジング、および上記電気コネクタが限定解釈されることはない。
【符号の説明】
【0055】
C 電気コネクタ
100 端子
110 接触部
111 第1基片
112 バネ片
120 接続部
121 第2基片
122 ワイヤバレル
123 インシュレーションバレル
130 段部
200 ハウジング
210 ハウジング本体
211 第1収容室
212 第2収容室
213 支持部
214 蓋
220 ランス
221 係止部
221a 低い側の端面
221b 高い側の端面
300 導体
310 導線
320 絶縁被覆
図1
図2
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