(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
相対的に搬送される対象物に対し、前記搬送の方向と交差する方向に長手方向軸を有するスリット光を照射する光源部と、当該照射によって前記対象物上に現れるスリット光の反射光を前記搬送の方向の上流側および下流側で捉えた像を重畳させるハーフミラーと、を用いる光切断法に適用される画像ピックアップヘッドであり、
前記反射光を前記上流側から前記ハーフミラーに向けるための第1反射面と、
前記反射光を前記下流側から前記ハーフミラーに向けるための第2反射面と、
を有し、前記スリット光が照射される位置から、前記第1反射面を経て前記ハーフミラーに至る光軸と前記第2反射面を経て前記ハーフミラーに至る光軸との、2つの光軸の空気換算長が等しくなるように、前記第1反射面および前記第2反射面が設定されている画像ピックアップヘッドであって、
前記第1反射面が設けられたプリズムと前記第2反射面が設けられたプリズムとの2つのプリズムを、間に前記ハーフミラーを挟んだ状態で接合させることによって一体に構成され、
前記2つのプリズムの一方は、前記光源部から出射される前記スリット光の光軸を屈折させることなく前記対象物に導くように構成されていることを特徴とする画像ピックアップヘッド。
相対的に搬送される対象物に対し、前記搬送の方向と交差する方向に長手方向軸を有するスリット光を照射する光源部と、当該照射によって前記対象物上に現れるスリット光の反射光を前記搬送の方向の上流側および下流側で捉えた像を重畳させるハーフミラーと、を用いる光切断法に適用される画像ピックアップヘッドであり、
前記反射光を前記上流側から前記ハーフミラーに向けるための第1反射面と、
前記反射光を前記下流側から前記ハーフミラーに向けるための第2反射面と、
を有し、前記スリット光が照射される位置から、前記第1反射面を経て前記ハーフミラーに至る光軸と前記第2反射面を経て前記ハーフミラーに至る光軸との、2つの光軸の空気換算長が等しくなるように、前記第1反射面および前記第2反射面が設定されている画像ピックアップヘッドであって、
前記第1反射面が設けられたプリズムと前記第2反射面が設けられたプリズムとの2つのプリズムを、間に前記ハーフミラーを挟んだ状態で接合させることによって一体に構成され、
前記2つのプリズムは、それぞれ、前記スリット光の反射光の光軸を屈折させることなく前記第1反射面および前記第2反射面に導くように構成され、前記2つのプリズムの一方は、前記ハーフミラーでの重畳光を屈折させることなく出射するように構成されていることを特徴とする画像ピックアップヘッド。
相対的に搬送される対象物に対し、前記搬送の方向と交差する方向に長手方向軸を有するスリット光を照射する光源部と、当該照射によって前記対象物上に現れるスリット光の反射光を前記搬送の方向の上流側および下流側で捉えた像を重畳させるハーフミラーと、を用いる光切断法に適用される画像ピックアップヘッドであり、
前記反射光を前記上流側から前記ハーフミラーに向けるための第1反射面と、
前記反射光を前記下流側から前記ハーフミラーに向けるための第2反射面と、
を有し、前記スリット光が照射される位置から、前記第1反射面を経て前記ハーフミラーに至る光軸と前記第2反射面を経て前記ハーフミラーに至る光軸との、2つの光軸の空気換算長が等しくなるように、前記第1反射面および前記第2反射面が設定されている画像ピックアップヘッドであって、
前記第1反射面が設けられた第1プリズムと、前記第2反射面が設けられた第2プリズムと、それらの一方との間に前記ハーフミラーを挟んだ状態で前記第1プリズムおよび前記第2プリズムに接合されるとともに、前記光源部から出射される前記スリット光の光軸を屈折させることなく前記対象物に導くように構成されている第3プリズムと、を一体に備え、
前記第1プリズムおよび前記第2プリズムは、それぞれ、前記スリット光の反射光の光軸を屈折させることなく前記第1反射面および前記第2反射面に導くように構成され、前記第1プリズムおよび前記第2プリズムの一方は、前記ハーフミラーでの重畳光を屈折させることなく出射するように構成されていることを特徴とする画像ピックアップヘッド。
前記光源部から出射される前記スリット光の一部を反射させることで、前記光源部からの直接光のほか、当該反射光も前記対象物に照射されるようにするための反射面をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の画像ピックアップヘッド。
前記第1反射面および前記第2反射面の少なくとも一方は、それが設けられるプリズムの側面に配置されたミラーまたは前記側面と雰囲気とが形成する界面によって形成されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の画像ピックアップヘッド。
前記光源部から出射される前記スリット光の一部を反射させることで、前記光源部からの直接光のほか、当該反射光も前記対象物に照射されるようにするための反射面をさらに有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の画像ピックアップヘッド。
【背景技術】
【0002】
従来、対象物の3次元形状を計測する方法として光切断法が知られている。光切断法とは、スリット光を対象物の表面に照射し、その表面に現れるスリット光の反射光をエリアセンサ等のカメラで撮像し、取得した画像上で見られるスリット光の形を三角測量の原理に基づいて解析することによって対象物の3次元形状を計測する手法である。そして、計測された3次元形状は、その特徴を認識し、当該認識した特徴からその3次元形状についての適否(例えば、欠損の有無や、刻印が付されている場合にはその良否)等を判定するために供される。このような光切断法を用いた3次元形状の計測においては、対象物からの反射光を1方向からのみ取得すると、対象物によっては撮像方向の死角となる部位が発生し、その部位の反射光を取得することができないために正確な計測を行うことができなくなることがある。すなわち、光切断法は、高さに基づいて3次元形状を計測する手法であるので、正確な形状特定のためには影を作る死角はない方がよい。
【0003】
そこで、対象物の表面に現れるスリット光の反射光を2以上の視点で捉えて撮像することにより、計測の死角を低減する手法が採用されることがある。例えば特許文献1にはかかる手法を採用した外観検査装置が開示され、その
図4には、帯状のスリット光を対象物の表面に照射するスリット光照射部と、搬送方向の下流側および上流側のそれぞれからスリット光の反射光(L
2,L
3)をエリアセンサカメラに導く第1および第2光学機構と、それらのスリット光の反射光の画像を撮像するエリアセンサカメラと、エリアセンサカメラにより撮像された2つの画像を個別に画像処理し、個別の画像処理結果として得られた2つの画像を合成し、その合成画像に基づいて対象物の表面の適否を判定する形状判定部と、を含む表面形状検査手段を備えた構成が記載されている。また、特許文献1には、第1および第2光学機構が受光したスリット光の反射光がエリアセンサカメラの撮像面に横並びで結像(同文献の
図9)するように第1および第2光学機構を構成することで、1回のラスター走査で同一ラスターに含まれる2つの画像のデータを読み出して形状判定部に出力することができることから、出力時間の短縮およびカメラのシャッタ速度の高速化を実現し、ひいては高精度な外観検査を実現することができる旨が記載されている。
【0004】
このように、対象物の表面に現れるスリット光の反射光を2以上の視点で捉えて撮像することは、計測の死角を低減して3次元形状の正確な計測を行うことができるようにする上で有効である。
【0005】
しかしながら、特許文献1は、画像の合成を画像処理によって行う構成のみを開示するものである。従って、特許文献1のような構成では、画像処理を行う特別な手段(形状判定部に含まれる画像合成処理部)を必要とし、そのためのハードウエアおよびソフトウエアを要するものとなる。また、カメラの撮像面に2つの画像を横並びで結像させる(ラスター方向に整列させる)ために第1および第2光学機構が複雑化し、これらの機構だけでなくスリット光照射部およびエリアセンサカメラを含めた光学系全体の構築および各部の調整が煩雑なものとなるという問題も生じる。さらには、2以上の視点で取得したスリット光の反射光をエリアセンサカメラの撮像面に横並びで結像させているので、1つの画像を撮像面に結像させる場合に比べて、カメラの撮像面の利用効率が劣るものとなり、また画像のラスター方向の解像度が低下してしまうことになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施形態の基本となった画像ピックアップ構造を示す模式的正面図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る画像ピックアップ構造を示す模式的正面図である。
【
図3】(a)は
図2の画像ピックアップ構造を適用して構成した画像ピックアップヘッドの一実施形態を示す模式的正面図、(b)はその変形例を示す模式的正面図である。
【
図4】(a)は
図2の画像ピックアップ構造を適用して構成した画像ピックアップヘッドの他の実施形態を示す模式的正面図、(b)はその変形例を示す模式的正面図である。
【
図5】(a)および(b)は、それぞれ、本発明の第2の実施形態に係る画像ピックアップ構造に適用可能な、見かけ上の多光源化を実現するスリット光照射系の構造を示す模式的正面図および模式的側面図である。
【
図6】(a)および(b)は、それぞれ、本発明の第2の実施形態に係る画像ピックアップ構造を示す模式的正面図および模式的側面図である。
【
図7】(a)および(b)は、それぞれ、
図6の画像ピックアップ構造を適用して構成した画像ピックアップヘッドの一実施形態を示す模式的正面図および模式的側面図である。
【
図8】(a)および(b)は、それぞれ、
図7に示した画像ピックアップヘッドの変形例を示す模式的正面図および模式的側面図である。
【
図9】(a)および(b)は、それぞれ、
図6の画像ピックアップ構造を適用して構成した画像ピックアップヘッドの他の実施形態を示す模式的正面図および模式的側面図である。
【
図10】(a)および(b)は、それぞれ、
図9に示した画像ピックアップヘッドの変形例を示す模式的正面図および模式的側面図である。
【
図11】(a)および(b)は、それぞれ、
図3(a)および
図4(a)の実施形態に係る画像ピックアップヘッドに対応し、画像ピックアップヘッドをさらに改良する構成を説明するための模式的正面図である。
【
図12】(a)はさらに改良された本発明画像ピックアップヘッドの一実施形態を示す模式的正面図、(b)はその変形例を示す模式的正面図である。
【
図13】(a)および(b)は、それぞれ、さらに改良された本発明画像ピックアップヘッドの他の実施形態を示す模式的正面図および模式的側面図である。
【
図14】(a)および(b)は、それぞれ、
図13に示した画像ピックアップヘッドの変形例を示す模式的正面図および模式的側面図である。
【
図15】本発明に係る3次元形状計測装置の実施形態を説明するための模式図である。
【
図16】
図15の3次元形状計測装置で行われる画像合成を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書および添付図面に関し、便宜上、Xは3次元形状が計測される対象物の搬送方向を含む搬送面(水平面)内において搬送方向に直交する軸、Yは搬送方向に対応した軸、ZはX軸およびY軸に直交する方向(鉛直方向)の軸を示すものとして定義する。そして、本発明3次元形状計測装置またはその構成要素をX軸およびY軸に沿って見た場合の図を、それぞれ、正面図および側面図と称する。
【0015】
本明細書で使用する「光切断線」という用語は、スリット光と対象物との交線であり,これはスリット光の照射位置で対象物上に現れるスリット光の反射光によって形作られる線を意味するものとする。また、本明細書で使用する「光軸」という用語は、光学系を通る光束の代表となる仮想的な光線、すなわち、光源部から対象物に照射されるスリット光および対象物からカメラの撮像面に導かれる反射光の代表的な光線およびその軸を言うものとする。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態の基本となった画像ピックアップ構造を含む3次元形状計測装置の主要部を示す模式図である。本実施形態の3次元形状計測装置の主要部は、概して、画像ピックアップ構造1と、計測の対象となる例えば錠剤の形態の対象物Pを搬送する搬送部20と、光源部30と、カメラ部40とで構成される。
【0017】
搬送部20は、例えば、搬送方向Tの上流側および下流側に配された一対のタイミングプーリと、これに張架された無端式ベルトコンベアの形態のタイミングベルトと、少なくとも一方のタイミングプーリに接続されたモータと、を有するものとすることができる。そして、モータの駆動に応じてタイミングベルトが駆動されることで、これに担持された対象物Pが搬送される。
【0018】
光源部30はスリット光を出射し、出射されたスリット光は画像ピックアップ構造1のミラー2によってZ軸方向の直上から対象物Pに照射される。画像ピックアップ構造1において第1および第2反射面を形成するミラー4および6は、それぞれ、対象物Pの表面に現れるスリット光の反射光を搬送方向Tの上流側および下流側で反射させて、ハーフミラー8に向ける。従って、画像ピックアップ構造1のミラー4および6からそれぞれ導かれたスリット光の反射光すなわち光切断線の2つの像はハーフミラー8により重畳されて合成され、さらにカメラ部40に導かれて撮像される。そして、撮像された合成画像を適宜の画像処理部により画像処理することで、対象物Pの表面形状データを算出することができる。
【0019】
対象物P上に現れる光切断線の2つの像を光学系において同時に重畳させ、カメラ部に同時に結像させるための条件は、スリット光の照射位置すなわち光切断線の形成位置からハーフミラー8までの間の2本の光軸がとる空気換算長、すなわち、光切断線の形成位置から、上流側のミラー4を経てハーフミラー8に至る光軸(以下、上流側光軸という)LUの空気換算長と下流側のミラー6を経てハーフミラー8に至る光軸(以下、下流側光軸という)LDの空気換算長とを等しくすることである。
図1の構成においては、上流側光軸LUと下流側光軸LDとが菱形をなす位置にミラー4、6およびハーフミラー8を配置している。
【0020】
このように、
図1に示す構成では、光学系1において搬送方向Tの上下両流で捉えた光切断線の像を同時に重畳させることで、特別な画像処理手段を必要とせずに、光学系において正確な画像合成を行うことができるようになる。また、この構成は特許文献1に開示された構成に比べてカメラ部40の撮像面の利用効率がよい。例えば、光切断法を同等の解像度(光学倍率)で行う場合には、この構成で要する撮像面の面積は特許文献1の構成で要する撮像面の面積の半分になる。
【0021】
そして、本発明の第1の実施形態では、それらの効果に加えて、光学系を簡素化する構成を提供する。
【0022】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る画像ピックアップ構造を含む3次元形状計測装置の主要部を示す模式図であり、
図1と同様の各部については同一の符号を付してある。この構成が
図1の構成と異なるのは、上流側光軸LUの空気換算長と下流側光軸LDの空気換算長とを等しくするために、上流側光軸LUと下流側光軸LDとが、対角線が直交しない平行四辺形をなすような画像ピックアップ構造10を採用していることである。かかる構成によれば、ハーフミラー8と位置的な干渉を生じることなくスリット光の照射位置の直上に光源部30を配置できることから、
図1の構成に対してミラー2が不要となる。すなわち、第1の実施形態によれば、上記効果に加え、部品点数の少ない画像ピックアップ構造10を採用することで光学系の構成がさらに簡素化され、光源部30およびカメラ部40を含めた3次元形状計測装置の主要部を構成する各部の位置調整が容易となる。さらに、スリット光の照射位置の直上に光源部30を配置することで、光学系全体ひいては3次元形状計測装置のY軸方向の寸法を削減できる。
【0023】
上流側光軸LUと下流側光軸LDとが、対角線が直交しない平行四辺形をなすように光学系10を構成することは、別の観点で言えば、光源部30から直下の照射位置に向うスリット光が空間に占める面(光線面)、ミラー4の反射面、ミラー6の反射面およびハーフミラー8の入射面が平行となるように光学系各部を配置することを意味する。但し、本発明で企図する画像合成に際して許容される範囲であれば、それらの各面は互いに厳密に平行でなくてもよい(すなわち実質的に平行であればよい)。また、ハーフミラー8としては、透過光および反射光の強度の比が1:1となるものを用いることが好ましいが、光切断線の2つの像を重畳させることに支障を来たさない範囲において上記比が適切に定められたものを用いることもできる。これらは、以下に述べる各構成についても同様である。
【0024】
次に、第1の実施形態に係る画像ピックアップ構造を適用し、且つさらに簡素化された光学系を実現する構成について説明する。
【0025】
図3(a)は
図2の画像ピックアップ構造を適用して構成した画像ピックアップヘッドの一実施形態を示す模式的正面図である。この実施形態は、一体の画像ピックアップヘッド100に具現化した画像ピックアップ構造を提供するものである。
【0026】
画像ピックアップヘッド100は略直方体の外観形状を有しており、その直方体の3対の対向2面がX軸、Y軸およびZ軸にそれぞれ直交するように配置される。画像ピックアップヘッド100は、Y軸方向の寸法が異なるプリズム104および106を、間に金属薄膜等の部材でなるハーフミラー8を挟み込んだ状態で接合させることで構成される。画像ピックアップヘッド100は、Y軸方向の寸法が相対的に大きいプリズム106内を光源部30からのスリット光が通過するように配置される。また、プリズム104の側面104aおよびプリズム106の側面106aには、それぞれ、ミラー4およびミラー6が配設される。
【0027】
プリズム104および106の屈折率は周囲の空気の屈折率と異なるため、以上のように構成配置される画像ピックアップヘッド100では、光源部30からのスリット光の光軸はプリズム106内をZ軸方向に沿って直進して対象物Pに向う一方、対象物Pからミラー4および6に向かう反射光は底面で屈折し、上流側光軸LUと下流側光軸LDとは平行四辺形をなさなくなる。しかし光切断線の2つの像を光学系において同時に重畳させるために、上流側光軸LUの空気換算長と下流側光軸LDの空気換算長とを等しくするという条件は充足されていなければならない。そのために、この実施形態では、スリット光の照射位置すなわち光切断線が形成される位置から、プリズム104の底面までの光軸に沿った距離d1と、プリズム106の底面までの光軸に沿った距離d2とが等しくしなるように画像ピックアップヘッド100を構成配置している。
【0028】
なお、プリズム104の側面104aおよび/またはプリズム106の側面106aに対する光線の入射角が屈折の臨界角を超えている場合には全反射が生じるので、その側面に対するミラーの配置は不要となる。
図3(b)は、プリズム104の側面104aおよびプリズム106の側面106aが第1および第2反射面を形成しており、その双方にミラーがない構成を示している。
【0029】
画像ピックアップヘッド100は、光源部30との位置的な干渉が生じることなく配置され、且つ上流側光軸LUの空気換算長と下流側光軸LDの空気換算長とを等しくするという条件を充足する限り、次に述べるような種々の形状を採用し得る。
【0030】
図4(a)は
図2の画像ピックアップ構造を適用して構成した画像ピックアップヘッドの他の実施形態を示す模式的正面図である。この実施形態におけるプリズム104’および106’には、対象物Pから各ミラーに向かう反射光の光軸が直交し、且つ照射位置からの距離d1およびd2が等しくなるように構成および配置される面が設けられている。また、プリズム104’にはハーフミラー8からカメラ部40に向う光軸が直交する面が設けられる。従って、この実施形態では、プリズム104’および106’によって、
図2の場合と同等の「対角線が直交しない平行四辺形」をなす上流側光軸LUおよび下流側光軸LDが形成される。
【0031】
ここで、図示のようにプリズム106’がミラー6からハーフミラー8に向う光軸に沿った形状となっている場合、光源部30から対象物Pに向う光軸は、これが交わるプリズム106’の面と直交しないために屈折する。しかしその光軸が交わる一対の面を平行とし、且つそれらの面間の距離を適切に定めることで、図示のように光源部30から対象物Pに向う光軸を大きくずらすことなく、対象物Pの略直上に光源部30を配置することができる。
【0032】
なお、プリズム104’の側面104a’および/またはプリズム106’の側面106a’に対する光線の入射角が屈折の臨界角を超えている場合には、
図4(b)に示すように、ミラーを配設しない構成とすることができる。
【0033】
図3(a)または
図3(b)、あるいは
図4(a)または
図4(b)に示した実施形態によれば、
図2に示した実施形態と同様の効果が得られることに加え、画像ピックアップ構造が一体の画像ピックアップヘッドとして構成されるので、光学系全体の構築および調整がさらに容易となる効果が得られる。ここで、画像ピックアップヘッドを構成するプリズムの材質としては特に限定されないが、複数(2つ)のプリズムを接合した構造(複合プリズム構造)の画像ピックアップヘッドとする場合、プリズムの接合面で屈折が生じることなく光を透過させる観点からは、プリズムには同一の材質ないしは屈折率が等しい材質のものを用いることが強く望ましい。これは、後述するような複合プリズム構造の画像ピックアップヘッドついても同様である。
【0034】
(第2の実施形態)
多視点化の手法を用いることで、計測の死角を低減することができるようになる。しかし対象物搬送方向の上下両流側に光学機構が配置されていても、対象物の形状によっては死角部位(スリット光が照射されない断線部分)や照射光量が不十分となる部位が生じ、それらの部位からは好ましい反射光が得られないために対象物の正確な形状測定が行い得なくなることが考えられる。本発明の第2の実施形態は、特別な画像処理手段を必要とせずに画像の合成を行うことができるとともに、光学系の構築およびこれを構成する各部の調整が容易で、しかもカメラ部の撮像面を有効に利用できるようするという、第1の実施形態と同等の効果を得ることに加え、対象物の形状測定を一層正確に行い得るようにするとともに、そのための構造を簡単且つ低廉に提供することを企図して構成されたものである。
【0035】
図5(a)および(b)は、それぞれ、本発明の第2の実施形態に係る画像ピックアップ構造に適用可能なスリット光照射系の構造を説明するための模式的正面図および模式的側面図である。この構造は、スリット光の長手方向すなわち搬送部20を挟んで対向するX軸上の部位にミラー12および14を配することで、光源部30からの直接光DLのほか、ミラー14および16で反射された反射光RLも対象物上に照射されるようにしたものである。つまりこの構造は、単一の光源部30を用いつつも、いわば見かけ上の多光源化を図ることで、対象物Pに対するスリット光の照射の死角部位や光量不足部位の発生を抑制するものである。なお、複数の位置からそれぞれ対象物Pにスリット光を直接的に入射させる複数の光源部を配設することも可能であるが、複数の光源部の配設を不要とし、且つそれぞれからのスリット光をアライメントすることを不要とする観点からは、
図5(a)および(b)に示したように見かけ上の多光源化を実現する照射系の構造を採用するほうが好ましい。
【0036】
図5(a)および(b)に示した照射系は、第1の実施形態に係る画像ピックアップ構造並びに画像ピックアップヘッドおよびその各変形例に好ましく適用が可能である。
【0037】
例えば
図6(a)および(b)は、それぞれ、本発明の第2の実施形態に係る画像ピックアップ構造を示す模式的正面図および模式的側面図であり、
図2に示した画像ピックアップ構造に見かけ上の多光源化を実現する照射系(以下、単に「照射系」と略称する)を適用したものである。
【0038】
また、
図7(a)および(b)は、それぞれ、照射系を
図3(a)の画像ピックアップヘッドに適用した一実施形態を示す模式的正面図および模式的側面図であり、プリズム106のX軸方向の対向側面106bにミラー12および14を配設したものである。そして、プリズム104の側面104aおよび/またはプリズム106の側面106a,106bに対する光線の入射角が屈折の臨界角を超えている場合には、
図3(b)について説明したようにミラーの配置は不要となる。
図8(a)および(b)は、プリズム104の側面104aおよびプリズム106の側面106a,106bにミラーが配されない構成の正面図および側面図が示されている。
【0039】
さらに、
図9(a)および(b)は、それぞれ、照射系を
図4(a)の画像ピックアップヘッドに適用した一実施形態を示す模式的正面図および模式的側面図であり、プリズム106’のX軸方向の対向側面106b’にミラー12および14を配設したものである。そして、プリズム104’の側面104a’および/またはプリズム106’の側面106a’,106b’に対する光線の入射角が屈折の臨界角を超えている場合には、
図4(b)について説明したようにミラーの配置は不要となる。
図10(a)および(b)は、プリズム104’の側面104a’およびプリズム106’の側面106a’,106b’にミラーが配されない構成の正面図および側面図が示されている。
【0040】
以上の各構成においては、対応する第1実施形態またはその変形例と同様の効果が得られることに加え、光切断線が断線しにくいことから、対象物の形状測定を一層正確に行い得るようになるとともに、そのための構造を簡単且つ低廉に提供することができるようになる。特に、
図7〜
図10に示したようなプリズムを利用する場合には、見かけ上の多光源化を図るための反射面の調整が簡単ないしは不要となる。
【0041】
(第3の実施形態)
次に、
図3(a)および
図4(a)に示したような、プリズムを用いて一体とした画像ピックアップヘッドにおいて、対象物の形状測定を尚一層正確に行い得るようにするため実施形態について説明する。
【0042】
図3(a)および
図4(a)の画像ピックアップヘッドにおいては、それぞれ、
図11(a)および(b)に示すように、光源部30から対象物Pまでの光路上において雰囲気とプリズムとの間の境界面I1および境界面I2を有し、対象物Pからカメラ部40までの光路上において境界面I3および境界面I4を有する。
これらの境界面の向きおよび空間上の位置関係は非点収差に影響を及ぼす。例えば、カメラ部40側における非点収差は、境界面I3と境界面I4との両境界面が光軸に直交していない場合(すなわち
図11(a)の構造)よりも、両境界面が光軸に直交している場合(すなわち
図11(b)の構造)のほうが小さい。一方、対象物P側における非点収差は、境界面I1と境界面I2との両境界面が光軸に直交していない場合(すなわち
図11(b)の構造)よりも、両境界面が光軸に直交している場合(すなわち
図11(a)の構造)のほうが小さい。
【0043】
以上を踏まえると、カメラ部40側および対象物P側の双方において非点収差を小さくすることができる画像ピックアップヘッドの構造は、境界面I3と境界面I4との両境界面が光軸に直交する条件(第1の条件)と、境界面I1と境界面I2との両境界面が光軸に直交する条件(第2の条件)とを満たすようにプリズムを複合させた立体形状を有するものと言い得る。
【0044】
図12(a)は、本発明の第3の実施形態に係り、それらの条件を満たすよう構成した画像ピックアップヘッドの構成を示す。すなわち、本実施形態の画像ピックアップヘッド130は、搬送方向Tの上流側および下流側に位置し、第1の条件を満たすように構成配置された第1および第2のプリズム134および136と、第2の条件を満たすように構成配置されて光源部30からのスリット光を通過させる第3のプリズム135とを接合させて構成されている。ハーフミラー8はプリズム134と136との接合面に配置される一方、プリズム134および136には、それぞれ、スリット光の反射光をハーフミラー8ひいてはカメラ部40に向けるためのミラー4および6が配設されている。さらに、対象物Pから各ミラーに向かう反射光の光軸が直交するプリズム134および136の面は、さらに、照射位置からの距離d1およびd2が等しくなる位置に設定されており、これによって
図2の場合と同等の「対角線が直交しない平行四辺形」をなす上流側光軸および下流側光軸が形成される。
【0045】
かかる構成によれば、上記第1の実施形態で説明した効果に加え、非点収差の発生を抑制することで、より正確な画像合成を行うことが可能となる。
【0046】
なお、プリズム134の側面134aおよび/またはプリズム136の側面136aに対する光線の入射角が屈折の臨界角を超えている場合には、その側面に対するミラーの配置は不要となる。
図12(b)は、側面134aおよびプリズム136の側面136aの双方にミラーがない構成を示している。
【0047】
また、
図13(a)および(b)は、それぞれ、
図12(a)に示した画像ピックアップヘッドに対し、さらに
図6(a),(b)で説明したような照射系を適用した実施形態を示す模式的正面図および模式的側面図である。これらの図に示すように、光源部30からのスリット光を通過させるプリズム135のX軸方向の対向側面135bにミラー12および14を配置することで、上記効果に加え、第2の実施形態で説明した効果を得ることができる。ここで、プリズム134の側面134a、プリズム136の側面136aおよびプリズム135の側面135bに対する光線の入射角が屈折の臨界角を超えている場合には、ミラーの配置は不要である。
図14(a)および(b)は、それらの側面にミラーが配されない構成の正面図および側面図が示されている。
【0048】
なお、複合プリズムによって構成される画像ピックアップヘッドは、製造の容易性の観点からは
図11(a)または(b)に示した構造および立体形状を採用することが好ましい一方、光学的な性能の観点からは
図12に示したような構造および立体形状を採用することが望ましいと言い得る。換言すれば、前者を採用するかまたは後者を採用するかは、製造の容易性と光学的な性能とを比較考量して適宜決定すればよい。
【0049】
(3次元形状計測装置の実施形態)
図15は、3次元形状計測装置の実施形態を説明するための概念図である。この実施形態においては画像ピックアップ構造として
図12(a)に示した画像ピックアップヘッド130が採用されているが、その他の画像ピックアップ構造ないしは画像ピックアップヘッドが採用されてもよい。
【0050】
カメラ部40は、対象物Pが画像ピックアップヘッド130の直下を通過する間、所定の時間間隔毎にスリット光の反射光を撮像して取得し、画像データを画像処理部50に順次出力する。ここで取得される画像データは、2視点によって相補されることで死角による断線部分が少なく、且つ、ミラー4から来たスリット光の反射光とミラー6から来たスリット光の反射光とがハーフミラー8によって正確に重畳されることで横方向に連続した1本の線となっている
図16に示すような画像である。画像処理部50は、カメラ部40から出力されるその画像のデータを、スリット光の底面からのシフト量を三角測量の原理に基づいて解析することにより、対象物Pの表面形状を計測し、対象物Pの表面形状データを算出する。本実施形態によれば、ハーフミラー8が2視点のスリット光の反射光を正確に重畳させることにより、1視点の場合と同様の画像処理部を採用しつつも、対象物の表面形状を高精度に計測することができる。
【0051】
画像ピックアップヘッド130は、支持調整機構60によって支持されるとともに、所要の位置調整が行われる。本実施形態のように、画像ピックアップ構造が複合プリズムでなる一体の画像ピックアップヘッド130として構成される場合には、光源部30が出射するスリット光が空間に占める面(光線面)と、ミラー4の反射面と、ミラー6の反射面と、ハーフミラー8の受光面とが平行となっていることから、支持調整機構60は画像ピックアップヘッド130に対する位置調整(例えばX,Y,Z軸上の位置や各軸周りの角度の調整)行うえば足りるものとなる。
【0052】
なお、
図15に示した3次元計測装置はあくまでも基本的な構成を説明するための概念図であって、適宜の構成を付与することが可能である。例えば、光源部30からの光軸上に、対象物に照射されるスリット光の線幅を効果的に細くするシリンドリカルレンズまたは拡大するビームエキスパンダが介挿されていてもよい。また、ハーフミラー8とカメラ部40との間の光軸上に、画像の縦方向の解像度と横方向の解像度とが異なるようにすることが可能な解像度変更部を介挿し、種々の3次元形状を有する対象物の形態に対応して所望の方向の解像度を高くすることができるようにしてもよい。
【0053】
(その他)
上述の説明および添付の図面では、本願発明の3次元形状計測の対象となる対象物Tとして錠剤を例示したが、その形状は図示されたようなものに限られず、種々の形状のものを対象物とすることができる。さらに、本発明の検査対象物としては、そのような錠剤だけでなく、その他の医薬品(カプセル等)や、食品、電子部品、機械部品、鋼材および建材等も挙げられるが、これらに限定されるものでもない。すなわち、上述したように照射されるスリット光の死角部位や光量不足となる部位が生じにくい構成を採用することにより、3次元形状計測の対象となる対象物の範囲を拡大することができるからである。