(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
冷蔵室と、温蔵室と、前記冷蔵室及び前記温蔵室を冷却する冷却手段と、前記温蔵室を加熱する加熱手段と、前記温蔵室の空気を循環させる循環ファンと、前記冷却手段が前記冷蔵室及び前記温蔵室の両室を冷却する両室冷却運転を行わせるとともに、前記冷却手段が前記冷蔵室を冷却し、かつ、前記加熱手段が前記温蔵室を加熱する片室加熱運転を行わせる制御手段と、を備えた冷温蔵装置であって、
前記制御手段は、前記片室加熱運転後に、前記温蔵室について前記冷却手段及び前記加熱手段は停止し、前記循環ファンが動作する蒸らし運転を行わせるものであり、
前記蒸らし運転時に停電が発生したことを検知する停電検知手段を備え、
前記制御手段は、前記停電検知手段により前記蒸らし運転時に停電が発生したことを検知したときには、停電の復帰後に、前記温蔵室について前記冷却手段及び前記加熱手段は停止した状態で、前記循環ファンが動作する蒸らし運転を行わせる冷温蔵装置。
冷蔵室と、温蔵室と、前記冷蔵室及び前記温蔵室を冷却する冷却手段と、前記温蔵室を加熱する加熱手段と、前記温蔵室の空気を循環させる循環ファンと、前記冷却手段が前記冷蔵室及び前記温蔵室の両室を冷却する両室冷却運転を行わせるとともに、前記冷却手段が前記冷蔵室を冷却し、かつ、前記加熱手段が前記温蔵室を加熱する片室加熱運転を行わせる制御手段と、を備えた冷温蔵装置であって、
前記制御手段は、前記片室加熱運転後に前記温蔵室について前記冷却手段及び前記加熱手段は停止し、前記循環ファンが動作する蒸らし運転を行わせるものであり、
停電が発生したことを検知する停電検知手段を備え、
前記制御手段は、停電復帰後に、前記片室加熱運転を行なって停電前の前記片室加熱運転の終了時刻に前記片室加熱運転を終了させる定刻終了再加熱運転と、前記片室加熱運転を前記終了時刻を超えて行う延長再加熱運転と、前記蒸らし運転を行う非再加熱運転と、を選択可能な選択手段を備える冷温蔵装置。
冷蔵室と、温蔵室と、前記冷蔵室及び前記温蔵室を冷却する冷却手段と、前記温蔵室を加熱する加熱手段と、前記温蔵室の空気を循環させる循環ファンと、前記冷却手段が前記冷蔵室及び前記温蔵室の両室を冷却する両室冷却運転を行わせるとともに、前記冷却手段が前記冷蔵室を冷却し、かつ、前記加熱手段が前記温蔵室を加熱する片室加熱運転を行わせる制御手段と、を備えた冷温蔵装置であって、
前記制御手段は、前記片室加熱運転後に前記温蔵室について前記冷却手段及び前記加熱手段は停止し、前記循環ファンが動作する蒸らし運転を行わせるものであり、
前記片室加熱運転は、前記両室冷却運転時の温度から加熱して温度が上昇する昇温加熱運転と、前記昇温加熱運転後に一定の温度となるように制御される定温加熱運転とからなり、
停電時に前記昇温加熱運転、前記定温加熱運転、及び、前記蒸らし運転のいずれの運転状態であったかを検知する停電検知手段を備え、
前記制御手段は、停電復帰後に前記停電検知手段が検知した運転状態に応じた運転を行なわせる冷温蔵装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、通常は、片室加熱運転を所定時間行なった後に、配膳に供されるが、配膳に供される前に停電が発生することも想定される。停電時には、冷却手段及び加熱手段の動作が停止するため、温食が適切な温度にならず、良好な温食を提供することができないことが懸念される。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、停電が発生しても良好な温食を提供することが可能な冷温蔵装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の冷温蔵装置は、冷蔵室と、温蔵室と、前記冷蔵室及び前記温蔵室を冷却する冷却手段と、前記温蔵室を加熱する加熱手段と、前記冷却手段が前記冷蔵室及び前記温蔵室の両室を冷却する両室冷却運転を行わせるとともに、前記冷却手段が前記冷蔵室を冷却し、かつ、前記加熱手段が前記温蔵室を加熱する片室加熱運転を行わせる制御手段と、を備えた冷温蔵装置であって、前記片室加熱運転時に停電が発生したことを検知する停電検知手段を備え、前記制御手段は、前記停電検知手段により前記片室加熱運転時に停電が発生したことを検知したときには、停電の復帰後に前記片室加熱運転を行わせる。
【0007】
上記構成によれば、片室加熱運転時に停電が発生すると、停電復帰後には、片室加熱運転が行われるため、停電が発生しても良好な温食を提供することが可能となる。
【0008】
本発明の冷温蔵装置は、冷蔵室と、温蔵室と、前記冷蔵室及び前記温蔵室を冷却する冷却手段と、前記温蔵室を加熱する加熱手段と、前記温蔵室の空気を循環させる循環ファンと、前記冷却手段が前記冷蔵室及び前記温蔵室の両室を冷却する両室冷却運転を行わせるとともに、前記冷却手段が前記冷蔵室を冷却し、かつ、前記加熱手段が前記温蔵室を加熱する片室加熱運転を行わせる制御手段と、を備えた冷温蔵装置であって、前記制御手段は、前記片室加熱運転後に、前記温蔵室について前記冷却手段及び前記加熱手段は停止し、前記循環ファンが動作する蒸らし運転を行わせるものであり、前記蒸らし運転時に停電が発生したことを検知する停電検知手段を備え、前記制御手段は、前記停電検知手段により前記蒸らし運転時に停電が発生したことを検知したときには、前記蒸らし運転を行わせる冷温蔵装置。
上記構成によれば、蒸らし運転時に停電が発生すると、停電復帰後には、蒸らし運転が行われるため、停電が発生しても良好な温食を提供することが可能となる。
【0009】
本発明の冷温蔵装置は、冷蔵室と、温蔵室と、前記冷蔵室及び前記温蔵室を冷却する冷却手段と、前記温蔵室を加熱する加熱手段と、前記温蔵室の空気を循環させる循環ファンと、前記冷却手段が前記冷蔵室及び前記温蔵室の両室を冷却する両室冷却運転を行わせるとともに、前記冷却手段が前記冷蔵室を冷却し、かつ、前記加熱手段が前記温蔵室を加熱する片室加熱運転を行わせる制御手段と、を備えた冷温蔵装置であって、前記制御手段は、前記片室加熱運転後に前記温蔵室について前記冷却手段及び前記加熱手段は停止し、前記循環ファンが動作する蒸らし運転を行わせるものであり、停電が発生したことを検知する停電検知手段を備え、前記制御手段は、停電復帰後に、前記片室加熱運転を行なって停電前の前記片室加熱運転の終了時刻に前記片室加熱運転を終了させる定刻終了再加熱運転と、前記片室加熱運転を前記終了時刻を超えて行う延長再加熱運転と、前記蒸らし運転を行う非再加熱運転と、を選択可能な選択手段を備える。
上記構成によれば、片室加熱運転又は蒸らし運転時に停電が発生すると、停電復帰後の運転が、定刻終了再加熱運転と延長再加熱運転と非再加熱運転とのうちから選択されるから、停電が発生しても良好な温食を提供することが可能となる。
【0010】
本発明の冷温蔵装置は、冷蔵室と、温蔵室と、前記冷蔵室及び前記温蔵室を冷却する冷却手段と、前記温蔵室を加熱する加熱手段と、前記温蔵室の空気を循環させる循環ファンと、前記冷却手段が前記冷蔵室及び前記温蔵室の両室を冷却する両室冷却運転を行わせるとともに、前記冷却手段が前記冷蔵室を冷却し、かつ、前記加熱手段が前記温蔵室を加熱する片室加熱運転を行わせる制御手段と、を備えた冷温蔵装置であって、前記制御手段は、前記片室加熱運転後に前記温蔵室について前記冷却手段及び前記加熱手段は停止し、前記循環ファンが動作する蒸らし運転を行わせるものであり、前記片室加熱運転は、前記両室冷却運転時の温度から加熱して温度が上昇する昇温加熱運転と、前記昇温加熱運転後に一定の温度となるように制御される定温加熱運転とからなり、停電が発生したことを検知する停電検知手段と、停電時に前記昇温加熱運転、前記定温加熱運転、及び、前記蒸らし運転のいずれの運転状態であったかを検知する停電検知手段を備え、前記制御手段は、停電復帰後に前記停電検知手段が検知した運転状態に応じた運転を行なわせる。
上記構成によれば、停電が発生すると、停電復帰後に停電検知手段が検知した運転状態に応じた運転が選択されるため、停電が発生しても良好な温食を提供することが可能となる。
【0011】
上記構成に加えて以下の構成を備えれば好ましい。
・前記停電検知手段は、運転に関する運転情報を記憶する記憶手段と、停電の復帰後に、前記記憶手段に記憶された前記運転情報から前記片室加熱運転時に停電が発生したことを判断する判断手段と、を備える。
このようにすれば、停電を検知するための構成を簡素化することができる。
【0012】
・前記片室加熱運転は所定の終了時刻に終了するものであり、前記制御手段は、停電の復帰後に、前記片室加熱運転を行なって前記冷却手段及び前記加熱手段に前記終了時刻に前記片室加熱運転を終了させる定刻終了再加熱運転を行わせる。
【0013】
・前記片室加熱運転は所定時間行われるものであり、前記制御手段は、停電の復帰前と復帰後の前記片室加熱運転を加算して前記所定時間となるように前記冷却手段及び前記加熱手段を制御する延長再加熱運転を行わせる。
【0014】
・前記制御手段は、停電復帰後に、前記片室加熱運転を行なって停電前の前記片室加熱運転の終了時刻に前記片室加熱運転を終了させる定刻終了再加熱運転と、前記片室加熱運転を前記終了時刻を超えて行う延長再加熱運転と、を選択可能な選択手段を備える。
【0015】
・停電時間を検知する停電時間検知手段を備え、前記選択手段は、前記停電時間検知手段が検知した停電時間に応じて、前記定刻終了再加熱運転、前記延長再加熱運転、及び、前記非再加熱運転のいずれかを選択する。
本構成によれば、片室加熱運転又は蒸らし運転時に停電が発生すると、停電復帰後に、停電検知手段が検知した運転状態に応じて、定刻終了再加熱運転と延長再加熱運転非再加熱運転のうちのいずれかが行われるから、停電が発生しても良好な温食を提供することが可能となる。
【0016】
・前記制御手段は、停電復帰後に、前記片室加熱運転を最初から再開する全時間再加熱運転と、前記全時間再加熱運転よりも短い時間で前記片室加熱運転を前記終了時刻を超えて行う延長再加熱運転と、前記蒸らし運転を行う非再加熱運転と、のうちのいずれかの運転を行なわせる。
【0017】
・表示手段を備え、前記停電検知手段が前記片室加熱運転時に停電が発生したことを検知したときには、前記表示手段に前記停電が発生したことを表示する表示制御手段を備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、停電が発生しても良好な温食を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態1>
冷温蔵装置10の実施形態1を
図1ないし
図10を参照して説明する。
冷温蔵装置10は、
図1に示すように、カート11と、カート11を出し入れ可能に収納するステーション30と、を備えている。なお、本実施形態では、前後方向については、ステーション30からカート11を出す方向を前方、ステーション30に対してカート11を入れる方向を後方とする。
【0021】
カート11は、
図2に示すように、断熱箱からなるカート本体12と、トレイ19を収納するフレームカート18とから構成されている。カート本体12は前後両面が開放されており、その開口部にはそれぞれ観音開き式の断熱扉13が装着されている。また、カート本体12の底面にはカート本体12を移動させるためのキャスタ14が設けられている。フレームカート18は、底板15の左右の側縁から金属製のフレーム16がそれぞれ立ち上がっている。また、底板15の底面にはフレームカート18を移動させるためのキャスタ17が設けられており、フレームカート18は、カート本体12の内部に前面側から出し入れが可能となっている。フレームカート18の左右方向の略中央部分には、前後方向全域に亘って仕切壁20が設けられている。
【0022】
図3に示すように、フレームカート18をカート本体12に収納した状態では、カート本体12の内部が仕切壁20によって左右に仕切られる。これにより、前後の断熱扉13を閉じると、仕切壁20で仕切られた一方側(右側)に冷蔵室21が、他方側(左側)に温蔵室22が形成される。冷蔵室21には、ステーション30側で生成された冷気が循環供給され、温蔵室22には、ステーション30側で生成された暖気又は冷気が循環供給される。カート本体12の左右の側壁には、略全面にわたる空気流通路L1がそれぞれ設けられている。これにより、冷蔵室21と温蔵室22には複数段に亘って各空気流通路L1から温風又は冷気が吹き出される。カート本体12の天井壁の左右両側縁部には、上記の空気流通路L1の上端と連通するようにして、それぞれ前後方向に細長い吹出通口23が形成されている。一方、天井壁の中央部には、温蔵室22又は冷蔵室21と個別に連通する吸込通口24が形成されている。
【0023】
ステーション30は、正面が開口された略箱形をなし、その開口を通じてカート11を出し入れ可能となっている。ステーション30の前面には、液晶パネル31が備えられている。液晶パネル31は、ユーザが操作可能な操作部32(
図5参照)と、視認可能な表示部33としての機能を有する。ステーション30の上部には、2つの熱交換室35A,35Bが左右に並んでいる。冷蔵室21の上方に配された第1熱交換室35A(正面視右側の熱交換室)には冷却器37A(
図4参照)が設けられ、温蔵室22の上方に配された第2熱交換室35B(正面視左側の熱交換室)には冷却器37Bとヒータからなる加熱手段45(
図4参照)とが設けられている。また、熱交換室35A,35Bには循環ファン41,42がそれぞれ設けられている。循環ファン41,42はターボ式のファンモータを備え、駆動時には、ファンの下面の吸引口から吸引された空気が、周面の吐出口から放射状に吐出される。
【0024】
熱交換室35A,35Bの底部には、導入通口50がそれぞれ設けられている。各導入通口50は、温蔵室22の吸込通口24と、冷蔵室21の吸込通口24の上方にそれぞれ配されて、対応する吸込通口24とそれぞれ接続されている。また、熱交換室35A,35Bの底部には、帯状の導出通口51がそれぞれ設けられている。各導出通口51は、温蔵室22及び冷蔵室21に対応する吹出通口23にそれぞれ接続される。カート11がステーション30内に収納されて、対応する通口同士が接続されると、第1熱交換室35Aと冷蔵室21の間、及び、第2熱交換室35Bと温蔵室22の間に、それぞれ空気の循環路が形成される。
【0025】
図4に示すように、冷却器37A,37Bは、膨張弁48A,48Bとともに並列に接続され、圧縮機46、凝縮器47Aと冷媒配管Pにより循環接続されることにより冷凍回路(冷却サイクル)を構成している。また、この冷凍回路は、凝縮器47Aに送風する凝縮器ファン47B,受液器38,ドライヤ53,感温筒54A,54B,電磁弁49A,49Bを備えている。電磁弁49A,49Bは、冷媒配管Pのうち、各冷却器37A,37Bへの冷媒流入管(膨張弁48A,48Bの上流側)に設けられている。後述する制御部60の制御信号に応じて電磁弁49A,49Bを開閉することにより、冷却器37A,37Bへの冷媒の流入が制御され、冷蔵室21及び温蔵室22の温度が制御される。圧縮機46、凝縮器47A、膨張弁48A,48B、冷却器37A,37B及び電磁弁49A,49Bは、冷蔵室21及び温蔵室22を冷却する冷却手段55とされる。
【0026】
次に、冷温蔵装置10の電気的構成を
図5を参照して説明する。
冷温蔵装置10は、複数の電子部品が回路基板に実装された制御回路を備えており、この制御回路は、
図5に示すように、所定のプログラムを実行するマイクロコンピュータ等からなる制御部60(「制御手段、停電検知手段、判断手段、選択手段及び表示制御手段」の一例)を有する。制御部60は、メモリ59及びタイマ62を有する。この制御部60は、冷蔵室21及び温蔵室22の両室を保冷する保冷運転(「両室冷却運転」の一例)を行う保冷モードと、冷蔵室21を保冷し、かつ、温蔵室22を加熱する加熱運転(「片室加熱運転」の一例)を行う加熱モードと、冷蔵室21を保冷し、かつ、温蔵室22の加熱を停止する蒸らし運転を行う蒸らしモードと、を切り替え可能となっている。
【0027】
制御部60は、保冷モードにあるときには、冷蔵室21及び温蔵室22の両室を保冷する保冷運転を行うように冷却手段55を制御する。これにより、
図6に示すように、設定温度TAを目標温度として冷蔵室21及び温蔵室22が冷却される。制御部60は、設定した時刻t1(配膳時間を設定した場合には、配膳時間の所定時間前)になると、保冷モードを加熱モードに切り替える。加熱モードにあるときには、冷蔵室21を冷却手段55で冷却し、かつ、温蔵室22を加熱手段45で加熱する加熱運転を行うように冷却手段55及び加熱手段45を制御する。これにより、冷蔵室21が設定温度TBを目標温度として冷却(解凍)されるとともに、温蔵室22が設定温度TCを目標温度として加熱される。そのため、加熱運転では、温蔵室22の温度が、設定温度TCに向けて急速に温度が上昇させる昇温加熱運転を経たのちに、設定温度TCの付近でほぼ一定の温度を維持する定温加熱運転を行うようになっている。加熱運転が終了する時刻t2(配膳時間の蒸らし時間経過前)になると加熱モードから蒸らしモードに切り替わる。蒸らしモードでは、冷却手段55による冷蔵室21の冷却は継続し、かつ、加熱手段45による温蔵室22の加熱を停止し、循環ファン42を駆動する蒸らし運転を行うように、冷却手段55,加熱手段45及び循環ファン42を制御する。
なお、冷蔵室21及び温蔵室22の温度は、制御部60によって、各設定温度に対して所定の温度差(ディファレンシャル)の範囲内となるように、冷却手段55及び加熱手段45がオンオフ制御されているようになっている。
【0028】
制御部60の入力側には、操作部32と、記憶手段63と、冷蔵室21及び温蔵室22のそれぞれの部屋の温度を検知するためのサーミスタからなる温度検知手段61A,61Bとが接続されている。操作部32の入力信号及び温度検知手段61A,61Bの出力信号が制御部60に入力されるとともに、制御部60は記憶手段63に記憶された情報を読み出す。ここで、記憶手段63は、停電により電力供給が遮断されても情報が失われない不揮発性の記憶手段が用いられている。記憶手段63としては、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM )やNVRAM(non-volatile random access memory)を用いることができる。
【0029】
記憶手段63に記憶される情報は、冷温蔵装置の運転に関する運転情報である。この運転情報には、少なくとも停電の有無を判断することが可能な情報が含まれる。本実施形態では、運転情報として、現在時刻(本実施形態では1分ごとの時刻)、その時刻における冷蔵室21及び温蔵室22の温度、その時刻における運転状態、及び、その運転状態の継続時間が記憶手段63に記憶されている。運転状態は、保冷運転、加熱運転(昇温加熱運転及び定温加熱運転の情報も記憶される)、蒸らし運転のいずれかが記憶される。通常時は、これらの情報が記憶手段63に記憶されるが、停電時は制御部60に電力が供給されないため、記憶されない。したがって、例えば、運転情報が記憶されていない時間帯があれば、制御部60は、停電復帰後にその時間帯に停電があったことを判断することができる。
【0030】
制御部60の出力側には、冷却手段55と、加熱手段45と、循環ファン41,42と、表示部33(「表示手段」の一例)とが接続されている。これにより、制御部60からの制御信号に応じて冷却手段55,加熱手段45,循環ファン41,42及び表示部33が動作する。停電が発生したことを制御部60が判断すると、表示部33には、停電が発生したことを示す表示(
図10)がされる。この表示は、操作部32の操作により、通常の画面に移行させることができる。また、表示部33により、過去の運転情報等を確認することができる。さらに、操作部32の操作画面は、所定時間(例えば1分)経過するごとに停電が発生したことを示す表示に自動的に戻る。このようにすることで、停電発見した者と実際に再加熱運転完了後に配膳するものが違う場合等に、停電が発生したことを周知させることができる。
【0031】
冷温蔵装置10の制御について説明する。
(基本処理)
まず、調理済みの温食と冷食とをプレハブ冷蔵庫内等においてチルド保存する。次に、翌朝等にプレハブ冷蔵庫内等から取り出した温食と冷食とをトレイ19に盛り付け、各トレイ19をカート11の温蔵室22と冷蔵室21に亘って複数段に収納し、カート11をステーション30に入れる。そして、制御部60は、最初は現在のモードを保冷モードとする。保冷モードでは、制御部60は、温度検知手段61A,61Bが検知した温度に応じて温蔵室22及び冷蔵室21の両室を設定温度TAとなるように冷却手段55を動作させる保冷運転を行う。
【0032】
そして、
図9に示すように、タイマ62が加熱運転の開始時刻t1となると、加熱モードとなり、冷蔵室21を冷却し温蔵室22を加熱する加熱運転が行われる。加熱手段45の加熱開始から所定時間(t2−t1)経過して加熱運転の終了時刻t2になると蒸らしモードとなり、温蔵室22の加熱を停止し、冷蔵室21の冷却を継続する蒸らし運転を行う。そして、蒸らし運転の終了時刻t3(配膳時刻)となったら、カート11がステーション30から引き出され、トレイ19が取り出されて配膳に供される。
【0033】
(運転情報の記憶処理)
保冷モードの開始から蒸らしモードの終了までの全体に亘って冷温蔵装置10の電源がオンされていると、
図7に示すように、運転情報の記憶処理が行われる。運転情報の記憶処理では、制御部60は、保冷運転の開始から蒸らし運転の終了まで、運転情報(現在時刻T、運転状態、温度、及び、運転状態の継続時間)を1分ごとに記憶手段63に記憶する(S1,S2で「YES」)。
【0034】
(停電判断処理)
電源がオンされた状態で停電から復帰(停電が解消されて電力が供給される状態)すると停電判断処理が行われる。
停電判断処理は、
図8に示すように、制御部60は、記憶手段63から運転情報を読み出し(S11)、運転情報が連続して記憶手段63に記憶されているか判断する(S12)。運転情報が1分ごとに連続して記憶されていれば(S12で「YES」)、停電が発生していないから、停電判断処理を終了する。
【0035】
運転情報が連続して記憶手段63に記憶されていない(運転情報の間隔に空きが生じている)場合には(S12で「NO」)、電力の供給が遮断され、停電が発生していたと判断することができるため、表示部33に停電が発生したことを示す表示を行う(S13。
図10参照)とともに、記憶手段63に記憶された運転情報から停電前に加熱運転又は蒸らし運転が行われていたか否かを判断する(S14)。停電前が保冷運転であれば(S14で「NO」)、停電判断処理を終了する。停電前が加熱運転又は蒸らし運転であれば(S14で「YES」)、記憶手段63の運転情報に基づいて停電時間tを計測する。計測した停電時間tが10分以下である場合には(S16で「NO」,S17で「YES」)、定刻終了再加熱運転を行い(S18)、停電時間tが10分から30分の間である場合には(S16で「NO」,S17で「NO」)、延長再加熱運転を行い(S19)、停電時間tが30分より大きい場合には(S16で「YES」)、非再加熱運転を行う(S20)。
【0036】
図9に示すように、定刻終了再加熱運転は、停電復帰後に加熱運転を行なって、この加熱運転の終了時刻(蒸らし運転の開始時刻)が、停電が発生しない場合と同じ時刻とされる運転である。この定刻終了再加熱運転は、停電が発生しない場合と比較して停電時間tだけ加熱運転の時間が短縮されている。延長再加熱運転は、停電復帰後に加熱運転を行なって、停電の復帰前と停電の復帰後の加熱運転を加算して所定時間(停電が発生しない場合の加熱時間(t2−t1))となるように制御されている。この延長再加熱運転では、停電が発生している時間だけ加熱運転の終了時刻が遅くなる。非再加熱運転は、停電復帰後に加熱運転を再開せずに、蒸らし運転を通常と同じ時間で行うものであり、この非再加熱運転では、加熱運転を再開しないため、停電が発生しない場合と比較して加熱運転の時間が短くなっている。
【0037】
上記実施形態によれば、以下の作用、効果を奏する。
冷蔵室21と、温蔵室22と、冷蔵室21及び温蔵室22を冷却する冷却手段55と、温蔵室22を加熱する加熱手段45と、冷却手段55が冷蔵室21及び温蔵室22の両室を冷却する保冷運転(両室冷却運転)を行わせるとともに、冷却手段55が冷蔵室21を冷却し、かつ、加熱手段45が温蔵室22を加熱する加熱運転(片室加熱運転)を行わせる制御部60(制御手段)と、を備えた冷温蔵装置10であって、加熱運転時に停電が発生したことを検知する制御部60及び記憶手段63(停電検知手段)を備え、制御部60(制御手段)は、制御部60及び記憶手段63(停電検知手段)により加熱運転時に停電が発生したことを検知したときには、停電の復帰後に加熱運転を行わせる。
本実施形態によれば、加熱運転時に停電が発生すると、停電復帰後には、加熱運転が行われるため、停電が発生しても良好な温食を提供することが可能となる。
【0038】
また、停電検知手段は、運転に関する運転情報を記憶する記憶手段63と、停電の復帰後に、記憶手段63に記憶された運転情報から加熱運転時に停電が発生したことを判断する制御部60(判断手段)と、を備える。
このようにすれば、停電を検知するための構成を簡素化することができる。
【0039】
また、冷温蔵装置10は、温蔵室22の空気を循環させる循環ファン41,42を備え、制御部60は、加熱運転後に、温蔵室22について冷却手段55及び加熱手段45は停止し、循環ファン41,42が動作する蒸らし運転を行わせるものであり、蒸らし運転時に停電が発生したことを検知する制御部60及び記憶手段63(停電検知手段)を備え、制御部60は、制御部60及び記憶手段63により蒸らし運転時に停電が発生したことを検知したときには、蒸らし運転を行わせる。
このようにすれば、蒸らし運転時に停電が発生すると、停電復帰後には、蒸らし運転が行われるため、停電が発生しても良好な温食を提供することが可能となる。また、停電復帰後に加熱手段45で加熱しないため、安全性を高めることができる。さらに、運転させながら停電の状態を確認することが可能であるため、停電時間tが長く温食の再加熱が足りない場合に追加で加熱運転をさせることができる。また、停電後に蒸らし運転を行うことで、多数の人が停電が起きたことを認識することができる。
【0040】
さらに、制御部60は、停電復帰後に、加熱運転を行なって停電前の加熱運転の終了時刻に加熱運転を終了させる定刻終了再加熱運転と、加熱運転を終了時刻を超えて行う延長再加熱運転と、蒸らし運転を行う非再加熱運転と、を選択可能な制御部60(選択手段)を備える。
このようにすれば、加熱運転又は蒸らし運転時に停電が発生すると、停電復帰後の運転を、定刻終了再加熱運転と延長再加熱運転非再加熱運転のうちから選択できるから、停電が発生しても良好な温食を提供することが可能となる。
【0041】
また、停電時間tを検知する制御部60及び記憶手段63(停電時間検知手段)を備え、制御部60(選択手段)は、制御部60及び記憶手段63(停電時間検知手段)が検知した停電時間tに応じて、定刻終了再加熱運転、延長再加熱運転、及び、非再加熱運転のいずれかを選択する。
このようにすれば、ユーザが停電復帰後の運転を選択しなくても、停電復帰後に適切な運転を行うことができる。
【0042】
さらに、表示部33(表示手段)を備え、制御部60及び記憶手段63(停電検知手段)が加熱運転時に停電が発生したことを検知したときには、表示部33(表示手段)に停電が発生したことを表示する表示制御部60(表示制御手段)を備える。
このようにすれば、停電が発生したことをユーザが認識することができるため、停電後に、必要な対応を行うことができる。
【0043】
<実施形態2>
実施形態2では、制御部60が停電が発生したことを検知した場合には、
図11に示すように、(停電時間tに関わらず)自動的に実施形態1の定刻終了再加熱運転を行う(他の運転は行わない)ものである。他の構成は実施形態1と同一であるため説明を省略する。
【0044】
<実施形態3>
実施形態3では、制御部60が停電が発生したことを検知した場合には、
図12に示すように、(停電時間tに関わらず)自動的に実施形態1の延長再加熱運転(他の運転は行わない)を行うものである。他の構成は実施形態1と同一であるため説明を省略する。
【0045】
<実施形態4>
実施形態4では、制御部60が停電が発生したことを検知した場合には、
図13に示すように、(停電時間tに関わらず)自動的に実施形態1の非再加熱運転を行う(他の運転は行わない)ものである。他の構成は実施形態1と同一であるため説明を省略する。
【0046】
<実施形態5>
実施形態5を
図14を参照して説明する。実施形態1では、停電が発生したことを判断した場合には、停電時間tによって停電復帰後の運転を異ならせる構成としたが、実施形態5では、停電前の運転状態によって、停電復帰後の運転状態を異ならせる構成としたものである。具体的には、停電前の運転状態が昇温加熱運転、定温加熱運転、及び、蒸らし運転のいずれであるかによって、停電復帰後の運転を異ならせるものである。
【0047】
(停電判断処理)
保冷モードの開始から蒸らしモードの終了までは、停電判断処理が行われる。停電判断処理は、
図14に示すように、制御部60は、記憶手段63から運転情報を読み出し(S21)、運転情報が連続して記憶手段63に記憶されているか判断する(S22)。運転情報が1分ごとに連続して記憶されていれば(S22で「YES」)、停電が発生していないから、停電判断処理を終了する。
【0048】
運転情報が連続して記憶手段63に記憶されていない(運転情報の間隔に空きが生じている)場合には(S22で「NO」)、停電が発生していたと判断することができるため、記憶手段63に記憶された運転情報により、停電前に昇温加熱運転が行われていれば(S24で「NO」,S25で「YES」)、全加熱時間再加熱運転を行う(S26)。全加熱時間再加熱運転は、加熱運転の加熱開始から終了までの全加熱時間を再開するものである。記憶手段63に記憶された運転情報により、停電前に定温加熱運転が行われていたら(S23で「NO」,S24で「YES」)、延長再加熱運転を行い(S27)、停電前に蒸らし運転が行われていれば(S23で「YES」)、非再加熱運転を行う(S28)。
【0049】
本実施形態の冷温蔵装置10は、制御部60(制御手段)は、加熱運転(片室加熱運転)後に温蔵室22について冷却手段55及び加熱手段45は停止し、循環ファン41,42が動作する蒸らし運転を行わせるものであり、加熱運転(片室加熱運転)は、保冷運転(両室冷却運転)時の温度から加熱して温度が上昇する昇温加熱運転と、昇温加熱運転後に一定の温度となるように制御される定温加熱運転とからなり、停電時に昇温加熱運転、定温加熱運転、及び、蒸らし運転のいずれの運転状態であったかを検知する制御部60及び記憶手段63(停電検知手段)と、を備え、制御部60(制御手段)は、停電復帰後に制御部60及び記憶手段63(停電検知手段)が検知した運転状態に応じた運転を行なわせる。
【0050】
本実施形態によれば、加熱運転(片室加熱運転)又は蒸らし運転時に停電が発生すると、停電復帰後に、制御部60及び記憶手段63(停電検知手段)が検知した運転状態に応じて、定刻終了再加熱運転と延長再加熱運転非再加熱運転のうちのいずれかが行われるから、停電が発生しても良好な温食を提供することが可能となる。
また、制御部60停電復帰後に、加熱運転を最初から再開する全時間再加熱運転と、全時間再加熱運転よりも短い時間で加熱運転を終了時刻を超えて行う延長再加熱運転と、蒸らし運転を行う非再加熱運転と、のうちのいずれかの運転を行なわせるため、停電復帰後に停電前の運転状態に応じた適切な運転を行うことができる。
【0051】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、ステーション30にカート11を収容する方式の冷温蔵装置10について説明したが、これに限定されない。本発明は、例えば、カート11側に加熱手段や冷却手段を備えた冷温蔵装置に適用することが可能である。
【0052】
(2)上記実施形態では、運転情報は、1分ごとに記憶手段63に記憶されている構成としたが、これに限られない。これ以外の時間を空けて運転情報を記憶してもよい。また、運転情報を記憶する時刻を予め定めるようにしてもよい。
【0053】
(3)延長再加熱運転は、停電時間tと再加熱時間を加算して停電前の加熱運転時間(t2−t1)となるようにしたが、これに限られず、延長再加熱運転の終了時刻が少なくとも停電前の加熱運転(片室加熱運転)の終了時刻を超えるようにしてもよい。
【0054】
(4)上記実施形態では、停電時間tや、停電前の運転状態によって、停電復帰後の運転を変えることとしたが、これに限られない。例えば、ユーザが操作部32に停電後の運転状態を予め設定して記憶手段63に記憶しておき、停電後には、設定した運転状態で運転を行うようにしてもよい。
【0055】
(5)上記実施形態では、制御部60が、制御手段、停電検知手段、判断手段、選択手段、表示制御手段として機能することとしたが、制御手段、停電検知手段、判断手段、選択手段、表示制御手段の一又は複数が制御部60以外の制御回路等の構成により同様の機能を生じさせるようにしてもよい。
【0056】
(6)上記実施形態では、停電復帰後に定刻終了再加熱運転(又は全時間再加熱運転)と延長再加熱運転と蒸らし運転との3つの運転のいずれかが選択される構成としたが、これらのうちの2つの運転から停電復帰後の運転が選択されるようにしてもよい。例えば、定刻終了再加熱運転と延長再加熱運転とから停電復帰後の運転が選択されるようにしてもよい。