特許第6279976号(P6279976)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6279976親水性部材およびその製造方法並びに親水性部材のメンテナンス方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6279976
(24)【登録日】2018年1月26日
(45)【発行日】2018年2月14日
(54)【発明の名称】親水性部材およびその製造方法並びに親水性部材のメンテナンス方法
(51)【国際特許分類】
   C03C 17/34 20060101AFI20180205BHJP
   B01J 35/02 20060101ALI20180205BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20180205BHJP
   B32B 9/00 20060101ALI20180205BHJP
【FI】
   C03C17/34 Z
   B01J35/02 J
   B01J37/02 301P
   B32B9/00 A
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-113348(P2014-113348)
(22)【出願日】2014年5月30日
(65)【公開番号】特開2015-227267(P2015-227267A)
(43)【公開日】2015年12月17日
【審査請求日】2017年2月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000148689
【氏名又は名称】株式会社村上開明堂
(74)【代理人】
【識別番号】100090228
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 正俊
(72)【発明者】
【氏名】片井 桃子
(72)【発明者】
【氏名】滝浪 知明
(72)【発明者】
【氏名】松浦 正明
【審査官】 原 和秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−130928(JP,A)
【文献】 特開2003−038963(JP,A)
【文献】 特開2003−287601(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/060597(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 17/34
B01J 35/02
B01J 37/02
B32B 1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の上に光触媒層が配置され、該光触媒層の上に親水層が配置された親水性部材において、
前記親水層の等電点が7より大きい値であり、
前記光触媒層と前記親水層の間に中間層として、該光触媒層の上に該親水層を直接成膜した場合に比べて、該親水層を同じ成膜条件で低密度に成膜させる層が配置されており
前記中間層及び前記親水層の各膜厚は、前記光触媒層の光触媒作用が前記親水層の表面で得られる膜厚にそれぞれ設定されている
親水性部材。
【請求項2】
前記中間層が実質的にSiO2で構成されている請求項1に記載の親水性部材。
【請求項3】
前記中間層の膜厚が5〜15nmである請求項2に記載の親水性部材。
【請求項4】
前記親水層が実質的にAl23で構成されている請求項1から3のいずれか1つに記載の親水性部材。
【請求項5】
前記親水層の膜厚が5〜13nmである請求項4に記載の親水性部材。
【請求項6】
前記光触媒層が実質的にTiO2で構成されている請求項1から5のいずれか1つに記載の親水性部材。
【請求項7】
基材の上に光触媒層を成膜し、
前記光触媒層の上に中間層を成膜し、
前記中間層の上に等電点が7より大きい親水層を成膜する方法であり、
前記中間層は、前記光触媒層の上に前記親水層を直接成膜した場合に比べて、該親水層を同じ成膜条件で低密度に成膜させる層であ
前記中間層及び前記親水層を、前記光触媒層の光触媒作用が前記親水層の表面で得られる膜厚にそれぞれ成膜する
親水性部材の製造方法。
【請求項8】
前記光触媒層、前記中間層、前記親水層をそれぞれ物理気相成長法で成膜し、
該成膜するときの前記基材の温度を、前記親水層を成膜するとき、または前記中間層および前記親水層を成膜するときは、前記光触媒層を成膜するときに比べて十分に低い温度に設定する請求項7に記載の親水性部材の製造方法。
【請求項9】
請求項1から6のいずれか1つに記載の親水性部材の、撥水剤の付着で親水性が低下した親水層の表面について、重曹を用いて撥水剤除去処理を行い、該親水層の表面の親水性を回復させる親水性部材のメンテナンス方法。
【請求項10】
重曹および水を含ませたスポンジで前記親水層の表面を擦って前記撥水剤除去処理を行う請求項9に記載のメンテナンス方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は光触媒層の上に親水層を積層した親水性部材の改良に関し、撥水剤に対する耐久性を高めつつ、良好な光触媒性能(親水層の表面に付着した有機物汚れを光触媒作用で分解・除去する性能)が得られるようにしたものである。またこの発明はこの親水性部材の製造方法に関する。さらにこの発明はこの親水性部材の親水層の表面に付着したプラスイオンの性質を持つ撥水剤を除去するメンテナンス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光触媒層の上に親水層を積層した親水性部材として下記特許文献1に記載されたものがあった。これは基材の表面に光触媒層を形成し、その上に最表層として親水層を形成したものである。これによれば、最表層の親水層で親水性が得られるとともに、該親水層の表面に有機物汚れが付着して親水性が一旦低下しても、該付着した有機物汚れを下層の光触媒層の光触媒作用で分解・除去することにより、親水層の親水性を回復させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2901550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の親水性部材は車両アウターミラー用親水ミラーとして製品化されている。この親水ミラーは光触媒層がTiO2(酸化チタン)で構成され、親水層がSiO2(酸化ケイ素)で構成されている。この親水ミラーは、近年急速に普及してきた撥水洗車に対する耐久性に問題があることがわかった。すなわち撥水洗車で使用する撥水洗車剤に含まれる撥水剤はシリコーン樹脂を主成分とするため、鏡の表面に付着すると光触媒作用では除去できない。このため、撥水洗車を繰り返すうちに撥水剤が鏡の表面に蓄積されると、親水性を回復することができなくなる。
【0005】
そこで、本発明者らは撥水洗車に対する親水性部材の耐久性を高める研究を行った。本発明者らの実験によれば、親水層の表面に対する撥水剤の付着(化学結合)のしやすさは親水層を構成する材料の等電点(水等の媒質中で該材料の表面電位がゼロとなる該媒質のpH値)により異なり、等電点が低い材料で構成された親水層は撥水剤が付着しやすく、等電点が高い材料で構成された親水層は撥水剤が付着しにくいことが分かった。これは、撥水洗車剤に含まれる撥水剤が、マイナスに帯電している車両ボディーに強力に結合するように、プラスイオンの性質を持つように作製されているためと推測される。つまり、従来製品化されていた車両アウターミラー用親水ミラーにおいて親水層を構成するSiO2は等電点が1〜2.8と低いため、プラスイオンの性質を持つ撥水剤が付着しやすかったものと推測される。そこで、本発明者らは親水層をSiO2に代えて等電点が高い親水性材料で構成したところ、撥水剤が付着しにくくなることが分かった。しかしその反面、今度は光触媒による分解・除去作用が大きく阻害されることが分かった。これらの点について、詳しくは後述する。
【0006】
この発明は上述の問題点を解決して、撥水剤に対する耐久性を高めつつ、良好な光触媒性能が得られるようにした親水性部材を提供するものである。またこの発明はこの親水性部材の製造方法を提供するものである。さらにこの発明はこの親水性部材の親水層の表面に付着したプラスイオンの性質を持つ撥水剤を除去するメンテナンス方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の親水性部材は、基材の上に光触媒層が配置され、該光触媒層の上に親水層が配置された親水性部材において、前記親水層の等電点が7より大きい値であり、前記光触媒層と前記親水層の間に中間層として、該光触媒層の上に該親水層を直接成膜した場合に比べて、該親水層を同じ成膜条件で低密度に成膜させる層が配置されているものである。これによれば、親水層の等電点が7より大きい値であるので、プラスイオンの性質を持つ撥水剤は親水層の表面に付着しにくくなり、撥水剤に対する耐久性が高められる。また、光触媒層と親水層の間に中間層として、該光触媒層の上に該親水層を直接成膜した場合に比べて、該親水層を同じ成膜条件で低密度に成膜させる層が配置されているので、光触媒層の上に直接成膜したのでは低密度に成膜されにくい親水性材料を使用しても、親水層を低密度に成膜することができる。親水層を低密度に成膜することにより、光触媒作用が親水層の表面に届きやすくなるので、良好な光触媒性能が得られる。親水層は例えば、等電点が7より大きい無機酸化物材料で構成することができる。
【0008】
この発明の親水性部材は、例えば、前記中間層が実質的にSiO2で構成されているものとすることができる。これによれば、該親水層を容易に低密度に成膜することができる。これにより、撥水剤に対する耐久性を高めつつ、良好な光触媒性能が得られる親水性部材を容易に得ることができる。中間層の膜厚は有機物汚れに対する光触媒性能に大きく影響する。すなわち、中間層が薄すぎると親水層を低密度に成膜する作用が薄れるため光触媒作用が親水層の表面に届きにくくなる。また、中間層が厚すぎても光触媒層と親水層との距離が長くなるため光触媒作用が親水層の表面に届きにくくなる。したがって、中間層は光触媒作用が親水層の表面で良好に得られる膜厚に設定するのが好ましい。中間層が実質的にSiO2で構成される場合は、該中間層の膜厚を例えば5〜15nmに設定することにより、親水層の表面で良好な光触媒性能を得ることができる。
【0009】
この発明の親水性部材は、例えば、前記親水層が実質的にAl23(酸化アルミニウム)で構成されているものとすることができる。Al23は等電点が7.4〜9.2と高いのでプラスイオンの性質を持つ撥水剤は付着しにくい上に、比較的良好な親水性および非常に高い耐傷付き性および水に対する不溶性を有する。その反面、Al23は光触媒層の上に直接成膜した場合には低密度になりにくく、良好な光触媒性能が得にくい。これに対し、光触媒層の上にこの発明による中間層を配置してからAl23を成膜することにより、Al23を容易に低密度に成膜することができる。これにより、良好な光触媒性能が得られるようになる。親水層の膜厚は有機物汚れに対する光触媒作用に影響する。すなわち、親水層が厚すぎると光触媒層と親水層の表面との距離が長くなるため、光触媒作用が親水層の表面に届きにくくなる。また、中間層の等電点が低い場合には、親水層が薄すぎるために中間層が部分的に親水性部材の表面に露出すると、プラスイオンの性質を持つ撥水剤が付着しやすくなって、撥水剤に対する耐久性が低下する。したがって、親水層の膜厚は、光触媒作用が親水層の表面で良好に得られる程度に薄く、かつ中間層の等電点が低い場合は中間層をあまり露出させない程度に薄すぎない厚さに設定するのが好ましい。親水層が実質的にAl23で構成され、かつ中間層の等電点が低い場合は、該親水層の膜厚を例えば5〜13nmに設定することにより、撥水剤に対する良好な耐久性と、親水層の表面で良好な光触媒性能を得ることができる。
【0010】
この発明の親水性部材は、例えば、前記光触媒層が実質的にTiO2で構成されているものとすることができる。これによれば、良好な光触媒性能を得ることができる。
【0011】
この発明の親水性部材の製造方法は、基材の上に光触媒層を成膜し、前記光触媒層の上に中間層を成膜し、前記中間層の上に等電点が7より大きい親水層を成膜する方法であり、前記中間層は、前記光触媒層の上に前記親水層を直接成膜した場合に比べて、該親水層を同じ成膜条件で低密度に成膜させる層である。これによれば、撥水剤に対する耐久性を高めつつ、良好な光触媒性能が得られる親水性部材を製造することができる。
【0012】
この発明の親水性部材の製造方法において、前記光触媒層、前記中間層、前記親水層をそれぞれ物理気相成長法(PVD法)で成膜する場合は、該成膜するときの前記基材の温度を、前記親水層を成膜するときは(または前記中間層および前記親水層を成膜するときは)前記光触媒層を成膜するときに比べて十分に低い温度に設定することができる。これによれば、低密度に成膜されにくい親水性材料を使用しても、親水層を低密度に成膜することができる。
【0013】
この発明の親水性部材のメンテナンス方法は、この発明の親水性部材の、撥水剤の付着で親水性が低下した親水層の表面を、重曹(NaHCO3、炭酸水素ナトリウム)を用いて撥水剤除去処理を行い、該親水層の表面の親水性を回復させるものである。これによれば、重曹は水に溶解して炭酸水素イオン(HCO3-)を生成し、この炭酸水素イオンが親水性部材の親水層の表面に付着したプラスイオンの性質を持つ撥水剤を化学的に吸着させて該親水層の表面から効果的に引き剥がして、該親水層の表面の親水性を回復させることができる。この撥水剤除去処理は例えば、重曹および水を含ませたポリウレタン製等のスポンジで親水層の表面を擦ることにより効率的に行うことができる。この場合、重曹の粉が残っている状態で親水層の表面を擦れば、研磨効果により物理的に撥水剤を除去する効果も期待できる。この場合、重曹のモース硬度は2.5と低いので、親水層の硬度がある程度高ければ(例えばAl23のモース硬度は9と非常に高い)、摩擦による親水層の傷付きの心配はあまりない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】この発明の親水性部材の実施の形態を示す模式断面図である。
図2】参考例として従来構造の親水性部材を示す模式断面図である。
図3】参考例で各層の成膜に使用した蒸着条件を示す図表である。
図4】参考例の親水性部材を用いて行った、親水層の材料の違いによる撥水剤の付着しやすさの比較実験結果を示す線図である。
図5】参考例の親水性部材を用いて行った、親水層の材料の違いによる光触媒性能の比較実験結果を示す線図である。
図6】参考例の親水性部材を用いて行った、親水層の材料の違いによる親水性暗所維持性能の比較実験結果を示す線図である。
図7】この発明の実施例で各層の成膜に使用した蒸着条件を示す図表である。
図8】実施例および参考例の親水性部材を用いて行った、中間層の有無の違いによる光触媒性能の比較実験結果を示す線図である。
図9】実施例の親水性部材において、親水層の膜厚を固定した場合の、中間層の膜厚による撥水剤の付着しやすさおよび光触媒性能の変化の実験結果を示す線図である。
図10】実施例の親水性部材において、中間層の膜厚を固定した場合の、親水層の膜厚による撥水剤の付着しやすさおよび光触媒性能の変化の実験結果を示す線図である。
図11】実施例の親水性部材において、各種メンテナンス方法による撥水剤の除去効果の比較実験結果を示す線図である。
図12】実施例および参考例の親水性部材を用いて行った、メンテナンスによる光触媒性能回復効果の比較実験結果を示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
《参考例を用いた実験》
この発明の実施の形態を説明するのに先立ち、親水層の材料の違いによる、
(a)撥水剤の付着しやすさ
(b)光触媒性能
(c)親水性の暗所維持性能
について行った実験を説明する。ここでは、参考例として、図2に示す従来構造の親水性部材10を用いて実験を行った。この親水性部材10は親水ミラーであり、次のように構成されている。ソーダガラス板で構成される基材(基板)12の裏面(ミラーを見る視点が配置される側と反対側の面)にはCr(クロム)等による反射層14が成膜されている。基材12の表面にはTiO2で構成された光触媒層16が成膜されている。光触媒層16の表面には親水層18が直接成膜されている。この参考例の親水性部材10について、親水層18を親水性材料であるSiO2、Al23、NiO(酸化ニッケル)でそれぞれ構成した3種類のサンプルを、実験ごとに作製して用いた。光触媒層16および3種類の親水層18はいずれも真空蒸着法を用いて、図3に示す蒸着条件で成膜した。
【0016】
(a)撥水剤の付着しやすさについての実験:
上記3種類の親水性部材10のサンプルを用いて撥水剤の付着しやすさを実験した。この実験では、撥水剤(ビユーテー株式会社製「FK−2コート」)を水道水で25倍に希釈して得た撥水液中に各サンプルを浸漬し、引き上げた後に直ちに水洗し、親水層18の表面の水滴接触角を測定した。測定結果を図4に示す。これによれば、3種類のサンプルとも撥水剤塗布前は親水性が得られている。すなわち、撥水剤塗布前の親水性は、親水層18をSiO2で構成した場合が最も高い。親水層18をAl23、NiOで構成した場合はSiO2で構成した場合よりもやや劣るが、それでも十分な親水性が得られている。これに対し撥水剤塗布・水洗後は、親水層18をAl23およびNiOで構成した各サンプルは親水性が維持されているのに対し、親水層18をSiO2で構成したサンプルは親水性が完全に失われている。このような違いは、各サンプルの親水層18を構成する親水性材料の等電点の違いによるものと推測される。すなわち、各サンプルの親水層18を構成する親水性材料の等電点は、
・SiO2:1〜2.8
・Al23:7.4〜9.2
・NiO:10.3
である。一方、撥水洗車剤に含まれる撥水剤は、マイナスに帯電している車両ボディーに強力に結合するように、プラスイオンの性質を持つように作製されている。従来製品化されていた車両アウターミラー用親水ミラーで親水層を構成するSiO2は等電点が低く、水に接触した表面はH+を放出してマイナス電荷を帯びるため、プラスイオンの性質を持つ撥水剤が化学結合しやい。これに対し、Al23およびNiOは等電点が高く、水に接触した表面はOH-を放出してプラス電荷を帯びるため、プラスイオンの性質を持つ撥水剤は化学結合しにくい。このため図4のような結果になったものと推測される。結局、親水層18をSiO2等の等電点が低い親水性材料で構成した場合には撥水剤に対する耐久性が低く、親水層18をAl23、NiO等の等電点が高い親水性材料で構成した場合には、撥水剤に対する耐久性が高いと言える。車両アウターミラー用親水ミラー等の用途での実用上は、親水層の等電点が7より高ければ、十分な撥水剤に対する耐久性が得られると考えられる。
【0017】
(b)光触媒性能についての実験:
上記3種類の親水性部材10のサンプルを用いて有機物汚れに対する光触媒性能を実験した。この実験では、各サンプルの親水層18の表面に有機物汚れとしてギヤオイルを滴下し、1時間放置後、水洗・自然乾燥させた。次いで、ブラックライトにて1.0mW/cm2の強度の紫外線を各サンプルの親水層18の表面に照射し続け、その間に0.5時間ごとに親水層18の表面の水滴接触角を測定した。測定結果を図5に示す。これによれば、3種類のサンプルとも、紫外線の照射時間の経過と共に水滴接触角が低下しているので、光触媒作用が得られていることが分かる。ただし、親水層18をSiO2で構成したサンプル(特性線a)は、紫外線を照射すると、水滴接触角が、10度以下になるまで順調に低下している。これに対し、親水層18をAl23で構成したサンプル(特性線b)は、紫外線を照射すると、当初は水滴接触角が順調に低下するものの、水滴接触角が下がるにつれてその下がり方は鈍くなる。また、親水層18をNiOで構成したサンプル(特性線c)も、紫外線を照射すると、当初は水滴接触角が順調に低下するものの、水滴接触角が下がるにつれてその下がり方はさらに鈍くなる。したがって、光触媒性能は、親水層18をSiO2で構成した場合が最も高く、Al23で構成した場合はそれよりも低く、NiOで構成した場合はさらに低いと言える。これは、SiO2が低密度の膜(多孔質等の粗い膜)に成膜されやすく、Al23およびNiOはSiO2に比べて高密度の膜(緻密な膜)に成膜されやすいことが1つの要因と考えられる。すなわち、親水層18は低密度に成膜された方が、光触媒層16の光触媒作用が親水層18の表面に届きやすくなるので、良好な光触媒性能が得られると考えられる。
【0018】
(c)親水性の暗所維持性能についての実験:
上記3種類の親水性部材10のサンプルを用いて親水性の暗所維持性能を実験した。この実験では、親水性が維持されている(撥水剤の付着も、有機物の付着もほとんどない)各サンプルを暗所(紫外線強度0mW/cm2)の環境下に放置し、その間に日単位で親水層18の表面の水滴接触角を測定した。測定結果を図6に示す。これによれば、親水性の暗所維持性能は、親水層18をSiO2で構成したサンプルが最も高く(つまり水滴接触角の上昇速度が最も遅い)、次いでAl23、その次にNiOという順になる。ただし、親水層18がAl23あるいはNiOで構成されているサンプルも、ある程度の親水性の暗所維持性能が得られているので、良好な光触媒性能が得られれば、実用性のある親水性部材となりうる。
【0019】
《実施の形態》
この発明の親水性部材の実施の形態を図1に示す。この親水性部材20は車両アウターミラー用親水ミラーとして構成されたものである。前記図2の参考例と共通する部分には同一の符号を用いる。親水性部材20は次のように構成されている。ソーダガラス板で構成される基材(基板)12の裏面にはCr等による反射層14が成膜されている。基材12の表面にはTiO2で構成された光触媒層16が直接またはバリア層(図示せず)を介して成膜されている。バリア層は、基材12を構成するソーダガラスに含まれるナトリウムが光触媒層16に拡散して光触媒性能を低下させるのを防止するための層で、SiO2等で構成される。光触媒層16の表面には中間層22が直接成膜されている。中間層22の表面には最表層として親水層18が直接成膜されている。親水層18の表面は外界に露出する。
【0020】
親水層18は等電点が7より大きい値である。そのような親水層18は、親水層18を、等電点が7より大きい例えばAl23等の無機酸化物材料で構成することにより、構成することができる。中間層22は、光触媒層16の上に親水層18を直接成膜した場合に比べて、親水層18どうしを同じ成膜条件で成膜した場合に、親水層18を低密度(粗い膜)に成膜させる(つまり親水層18が低密度に成膜されるのを助長する)層である。中間層22は実質的に光触媒層16および親水層18のいずれとも異なる材料で構成され、例えば低密度のSiO2等で構成することができる。すなわち、Al23は本来は緻密な膜に成膜されやすいが、アモルファス膜になりやすくAl23と比較して低密度の膜になりやすいSiO2膜の上に成膜することにより、Al23を低密度の膜に成膜することができる。このように親水層18としてAl23を、下層の中間層22の助けを借りて低密度に成膜することにより、Al23が本来持っている撥水剤に対する耐久性(撥水剤の付着しにくさ)を確保しつつ、光触媒層16の上に親水層18を直接成膜した場合に比べて光触媒性能を向上させることができる。
【0021】
《実施例》
図1の親水性部材20の実施例を説明する。ここではソーダガラス板で構成される基材12の表面に光触媒層16としてTiO2を直接成膜し、光触媒層16の表面に中間層22としてSiO2を直接成膜し、中間層22の表面に親水層18としてAl23を直接成膜して親水性部材20を構成した。光触媒層16、中間層22、親水層18はいずれも真空蒸着法を用いて、図7に示す蒸着条件で成膜した。光触媒層16を構成するTiO2にはアナターゼ結晶構造とルチル結晶構造があるが、アナターゼ結晶構造の方が光触媒活性が高いので光触媒層16を構成する結晶構造として好ましい。ただし、ルチル結晶構造、あるいはアナターゼ結晶構造とルチル結晶構造の複合結晶構造についても光触媒層16として使用できる可能性がある。アナターゼ結晶構造で構成する光触媒層16の膜厚は70nm以上、400nm以下が好ましい。すなわち、70nm未満では光触媒性能が十分に得られず、400nmを超えると紫外光の吸収が飽和するので、光触媒性能の向上は見られない。TiO2の膜厚は、より好ましくは、140nm以上、230nm以下に設定できる。すなわち、この範囲の膜厚であれば、光触媒性能が高く、かつ光干渉作用(薄膜による干渉色が、親水性部材20の表面に対する視線の角度によって変化する現象)を最低限に抑えることができる。中間層22を構成するSiO2の適正膜厚、親水層18を構成するAl23の適正膜厚については後述する。
【0022】
実施例の親水性部材20のサンプルを用いて、有機物汚れに対する光触媒性能を実験した。この実験では前記図5の参考例の親水性部材10についての有機物汚れに対する光触媒性能を実験と同じ手順および条件で行った。すなわち、親水性部材20のサンプルの親水層18の表面に有機物汚れとしてギヤオイルを滴下し、1時間放置後、水洗・自然乾燥させた。次いで、ブラックライトにて1.0mW/cm2の強度の紫外線をサンプルの親水層18の表面に照射し続け、その間に0.5時間ごとに親水層18の表面の水滴接触角を測定した。測定結果を図8に特性線b’で示す。なお、図8において特性線aは図5の特性線a(TiO2による光触媒層16の上にSiO2による親水層18を直接成膜した図2の親水性部材10の光触媒性能)を示し、特性線bは図5の特性線b(TiO2による光触媒層16の上にAl23による親水層18を直接成膜した図2の親水性部材10の光触媒性能)を示す。特性線b,b’を比較すると、図2の親水性部材10と図1の親水性部材20はAl23による親水層18どうしを同じ成膜条件で成膜しているにもかかわらず、SiO2による中間層22を有する図1の親水性部材20は、中間層を有しない図2の親水性部材10に比べて親水性が急速に回復しており(水滴接触角が、10度以下になるまで順調に低下している)、光触媒性能が大幅に向上していることが分かる。すなわち、図1の親水性部材20の水滴接触角(特性線b’)は、紫外線を照射すると、水滴接触角が順調に低下し、SiO2による親水層18を有する図2の親水性部材10の場合(特性線a)とほぼ同じ紫外線照射時間で、水滴接触角が、10度以下に達している。
【0023】
上記実施例の親水性部材20について、中間層22を構成するSiO2の適正膜厚を説明する。ここでは、親水層18を構成するAl23の膜厚を10nmに固定して、中間層22を構成するSiO2の膜厚を様々に設定した複数のサンプルを作製し、有機物汚れに対する光触媒性能と、撥水剤に対する耐久性(撥水剤の付着しにくさ)をそれぞれ実験した。有機物汚れに対する光触媒性能の実験では、各サンプルの親水層18の表面に有機物汚れとしてギヤオイルを滴下し、1時間放置後、水洗・自然乾燥させた。次いで、ブラックライトにて1.0mW/cm2の強度の紫外線を各サンプルの親水層18の表面に照射し続け、3時間後の親水層18の表面の水滴接触角を測定した。撥水剤に対する耐久性の実験では、撥水剤(JX日鉱日石トレーディング株式会社製「ENEOS D 撥水コート」+「ENEOS D プロテクトコート」)を水道水で25倍に希釈して得た撥水液中に各サンプルを浸漬し、引き上げた後に5分後に水洗し、親水層18の表面の水滴接触角を測定した。両実験結果を図9に示す。これによれば、撥水剤に対する耐久性は、中間層22の膜厚によっては急激には変わらない。これに対し、有機物汚れに対する光触媒性能は中間層22の膜厚によって大きく変化する。すなわち、中間層22の膜厚が5nmよりも薄くなると、その上の親水層18を低密度に成膜する作用が薄れるため、光触媒層16の光触媒作用が親水層18の表面に届きにくくなる。また、中間層22の膜厚が15nmよりも厚くなった場合も、光触媒層16と親水層18との距離が長くなるため、光触媒層16の光触媒作用が親水層18の表面に届きにくくなる。図9によれば、SiO2による中間層22の膜厚は、光触媒層16の光触媒作用が親水層18の表面で良好に得られるように5〜15nmに設定するのが好ましいことがわかる。
【0024】
次に、上記実施例の親水性部材20について、親水層18を構成するAl23の適正膜厚を説明する。ここでは、中間層22を構成するSiO2の膜厚を10nmに固定して、親水層18を構成するAl23の膜厚を様々に設定した複数のサンプルを作製し、有機物汚れに対する光触媒性能と、撥水剤に対する耐久性(撥水剤の付着しにくさ)をそれぞれ実験した。両実験の実験方法は前述の、中間層22を構成するSiO2の適正膜厚に関する実験(図9の実験結果を得た実験)と同じである。実験結果を図10に示す。これによれば、撥水剤に対する耐久性は、親水層18の膜厚が約5nmよりも薄くなると急激に低下する。これは、親水層18の膜厚が約5nmよりも薄くなると、中間層22を構成するSiO2が部分的に親水性部材20の表面に露出して、撥水剤が付着(化学結合)しやすくなるためと推測される。また、有機物汚れに対する光触媒性能は親水層18の膜厚によって大きく変化する。すなわち、親水層18の膜厚が13nmよりも厚くなると、光触媒層16と親水層18の表面との距離が長くなるため、光触媒層16の光触媒作用が親水層18の表面に届きにくくなる。図10によれば、親水層18の膜厚は、中間層22を構成するSiO2が親水性部材20の表面にあまり露出せず、かつ光触媒層16の光触媒作用が親水層18の表面で良好に得られるように、5〜13nmに設定するのが好ましいことがわかる。
【0025】
次にこの発明の親水性部材のメンテナンス方法について説明する。この発明の親水性部材はもともと、プラスイオンの性質を持つ撥水剤が親水層の表面に付着しにくいが、それでも撥水洗車等の繰り返しにより次第に撥水剤が付着(残留)して親水性が低下する場合がある。このような場合に、親水層の表面に付着した撥水剤を効果的に除去して、親水性を回復させるメンテナンスが必要となる。そこで、親水層18の表面に撥水剤を付着させたこの発明による親水性部材20について、各種処理方法で撥水剤の除去を試みる実験を行った。この実験では、中間層22を構成するSiO2の膜厚を10nm、親水層18を構成するAl23の膜厚を13nmに設定した親水性部材20の複数のサンプルを作製し、撥水剤(JX日鉱日石トレーディング株式会社製「ENEOS D 撥水コート」+「ENEOS D プロテクトコート」)を水道水で25倍に希釈して得た撥水液中に各サンプルを浸漬した。各サンプルを撥水液から引き上げて5分間自然乾燥させた後、次の各種処理方法A〜Eで、各サンプルの親水層18の表面に付着した撥水剤の除去を試みた。

(処理方法)
A:親水層18の表面を水洗のみする(参考)。
B:親水層18の表面を流水中でポリエステル製スポンジで擦る。
C:親水層18の表面を流水中でポリウレタン製スポンジで擦る。
D:親水層18の表面を重曹水溶液を含ませたポリウレタン製スポンジで擦る。
E:親水層18の表面をシリカ系研磨剤で擦る。

これらの処理を行った後、各サンプルを自然乾燥させてから水滴接触角を測定した。測定結果を図11に示す。これによれば、処理方法Eが最も高い撥水剤除去効果を発揮したが、シリカ(酸化ケイ素)はモース硬度が6.5〜7と高いので、親水層18の表面を傷つける恐れがある。処理方法Dは、処理方法Eの次に撥水剤除去効果が高い。これは、重曹が水に溶解して炭酸水素イオンを生成し、この炭酸水素イオンが親水層18の表面に付着したプラスイオンの性質を持つ撥水剤を化学的に吸着させて親水層18の表面から効果的に引き剥がすためと考えられる。したがって、処理方法A〜Eの中では処理方法Dが最も好ましいと言える。なお、重曹は、上記処理方法Dで使用した重曹水溶液のほか、重曹の粉が残っている状態(重曹水溶液中に重曹の粉が残っている状態、あるいは重曹を水でペースト状に練った状態)で使用しても、撥水剤除去効果が期待できると考えられる。重曹の粉が残っている状態で親水層18の表面を擦れば、研磨効果により物理的に撥水剤を除去する効果も期待できる。重曹の粉が残っていても、重曹のモース硬度は2.5と低いので、モース硬度が9と非常に高いAl23による親水層18を傷つける心配はあまりない。また、上記処理方法Dではポリウレタン製スポンジを用いたが、重曹と他の材料によるスポンジ(例えばポリエステル製スポンジ)の組み合わせによっても撥水剤除去効果が期待できると考えられる。
【0026】
撥水剤の付着を繰り返して、その都度上記処理方法Dにより撥水剤の除去処理を行った場合の光触媒性能回復効果を実験した。この実験では、この発明による親水性部材20のサンプルとして、図11の実験に用いたものと同じ構造(中間層22を構成するSiO2の膜厚が10nm、親水層18を構成するAl23の膜厚が13nm)のサンプルを使用した。実験では、撥水剤(JX日鉱日石トレーディング株式会社製「ENEOS D 撥水コート」+「ENEOS D プロテクトコート」)を水道水で25倍に希釈して得た撥水液中にサンプルを浸漬した。サンプルを撥水液から引き上げて5分間自然乾燥させた後に、重曹水溶液を含ませたポリウレタン製スポンジで親水層18の表面の擦り洗いを行った。その後、親水層18の表面に水道水を掛けて重曹を洗い流し、自然乾燥させた後に、ブラックライトにて1.0mW/cm2の強度の紫外線をサンプルの親水層18の表面に照射し続け、照射開始から5時間後の水滴接触角を測定した。以上の試験を1回として、この試験を繰り返した。実験結果を図12に特性線Dで示す。なお図12において、特性線Xは、図2の参考例による親水性部材10(親水層18はSiO2製でその膜厚は20nm)のサンプルを使用して、上記試験を1回行った結果を示す。また、特性線Aは、特性線Dを得たこの発明の親水性部材20のサンプルと同一構造の別のサンプルを用いて、上記試験を、前記処理方法Dに代えて前記処理方法A(水洗のみ)を用いて、2回行った結果を示す。光触媒性能が回復したと判定する水滴接触角の基準を20度とすると、特性線Xによれば、参考例による親水性部材10は、処理方法Dで処理を行っても撥水剤は除去されず、5時間の紫外線照射による光触媒作用では親水性を回復できないことが分る。また、特性線Aによれば、この発明による親水性部材20を水洗のみで処理すると、1回目の撥水剤の付着に対しては光触媒性能を回復できているが、2回目の撥水剤の付着に対しては5時間の紫外線照射による光触媒作用では親水性を回復できないことが分る。これに対し、特性線Dによれば、この発明による親水性部材20を処理方法Dで処理すると、4回の撥水剤の付着に対して親水性能を回復できることが分かる。
【0027】
前記実施の形態では中間層をSiO2で構成したが、光触媒層の上に親水層を直接成膜した場合に比べて、同じ成膜条件で親水層を低密度に成膜させることができる、SiO2以外の材料で中間層を構成することもできる。また、前記実施の形態では中間層を単一の材料で構成したが、複数の材料を複合した材料で中間層を構成することもできる。
【0028】
前記実施の形態では親水層をAl23で構成したが、等電点が7より大きな親水性材料であって、中間層を設けることにより、光触媒層の上に親水層を直接成膜した場合に比べて、同じ成膜条件で低密度に成膜される、Al23以外の材料で親水層を構成することもできる。例えばNiOは等電点が10.3と高く、比較的良好な親水性および良好な耐傷付き性(モース硬度は5.5〜6)および水に対する不溶性を有するので、この発明の親水層の材料として使用できる可能性がある。NiOを真空蒸着法で成膜して親水層を形成する場合のNiOの蒸着条件は例えば前記図3に示した条件を使用できる。また、前記実施の形態では親水層を単一の材料で構成したが、複数の材料を複合した材料で親水層を構成することもできる。すなわち、複合材料全体として等電点が7より高くかつ親水性が得られるように調製された複合材料で親水層を構成することができる。
【0029】
前記実施の形態では光触媒層をTiO2で構成したが、TiO2以外の光触媒材料で光触媒層を構成することもできる。また、前記実施の形態では光触媒層を単一の材料で構成したが、複数の材料を複合した材料で光触媒層を構成することもできる。すなわち、複合材料全体として光触媒作用が得られる複合材料で光触媒層を構成することができる。
【0030】
前記実施の形態では光触媒層、中間層、親水層をいずれも真空蒸着法で成膜したが、他のPVD法(例えばスパッタリング)あるいはPVD法以外の薄膜形成法で光触媒層、中間層、親水層を成膜することもできる。
【0031】
前記実施の形態では、この発明を車両アウターミラー用親水ミラーに適用した場合について説明したが、この発明は車両用アウターミラー用以外の親水ミラー、さらにはミラー以外の親水性部材(例えば車両用親水窓ガラス等)にも適用することができる。
【符号の説明】
【0032】
12…基材、14…反射層、16…光触媒層、18…親水層、20…親水性部材(車両アウター用親水ミラー)、22…中間層。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図11
図12