特許第6280008号(P6280008)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ホシザキ電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6280008-フライヤー 図000002
  • 特許6280008-フライヤー 図000003
  • 特許6280008-フライヤー 図000004
  • 特許6280008-フライヤー 図000005
  • 特許6280008-フライヤー 図000006
  • 特許6280008-フライヤー 図000007
  • 特許6280008-フライヤー 図000008
  • 特許6280008-フライヤー 図000009
  • 特許6280008-フライヤー 図000010
  • 特許6280008-フライヤー 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6280008
(24)【登録日】2018年1月26日
(45)【発行日】2018年2月14日
(54)【発明の名称】フライヤー
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/12 20060101AFI20180205BHJP
【FI】
   A47J37/12 321
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-185378(P2014-185378)
(22)【出願日】2014年9月11日
(65)【公開番号】特開2016-55045(P2016-55045A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2016年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 浩
(72)【発明者】
【氏名】加賀 進一
(72)【発明者】
【氏名】曽布川 武伸
(72)【発明者】
【氏名】藤田 昌浩
(72)【発明者】
【氏名】毛利 元彦
(72)【発明者】
【氏名】溝口 岳博
【審査官】 礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−116536(JP,A)
【文献】 特開2003−180533(JP,A)
【文献】 特開2012−065860(JP,A)
【文献】 特開2007−051817(JP,A)
【文献】 特開2004−089683(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/12
A47J 27/14 − 27/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理油が貯留される油槽(22)と、前記油槽(22)の外側を取り囲む外装筐(46)と、前記油槽(22)および外装筐(46)の間に位置する燃焼室(56)と、前記燃焼室(56)に設けた燃焼手段(58)とからなり、前記燃焼手段(58)による加熱空気を前記油槽(22)と外装筐(46)との間に形成される空間(60,62)に流通させて該油槽(22)を加熱するようにしたフライヤーにおいて、
前記油槽(22)の前記燃焼室(56)に臨む前壁面(32a)に、該前壁面(32a)を外壁面側から内壁面側へ凸状に湾曲させることで、該前壁面(32a)の端縁から端縁に亘って横方向に延在するリブ(38,80)が形成されている
ことを特徴とするフライヤー。
【請求項2】
前記前壁面(32a)は、前記油槽(22)の底部から立設されて対向する一対の側壁面(30a,30b)に接続するよう構成され、
前記一対の側壁面(30a,30b)の夫々は、上下方向の途中に設けた屈曲部(36)から上方へ向かうにつれて互いに離間するよう傾斜して形成され、
前記前壁面(32a)の横方向に延在して前記リブ(38,80)が形成されている請求項1記載のフライヤー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油槽中で加熱した調理油により被調理品を油揚げするフライヤーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
被調理品を油揚げするフライヤーは、所定量の調理油を貯留した油槽をガスバーナー等の燃焼手段で外部から加熱するよう構成されている。例えば、特許文献1のフライヤーは、前記油槽の外側を断熱性のカバー部材で取り囲み、該油槽の前壁面とカバー部材との間に燃焼室が画成されている。そして、燃焼室に配置したガスバーナーで該燃焼室内の空気を加熱し、該加熱空気を前記油槽と前記カバー部材との間に形成される空間に流通させて該油槽を加熱する。なお、加熱空気は前記空間に連通する背面ダクトから外部へ排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−116536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記燃焼室内の雰囲気空気は、ガスバーナーの加熱により約1000℃の高温に達する。これにより、前記油槽における、加熱空気に接する外壁面の温度は約450℃になると共に、該油槽の内壁面の温度は約300℃の高温になる。このように高温に加熱されると前記油槽の外側と内側とに顕著な温度差が生ずることに起因して、該油槽の壁面に所謂熱歪みを生ずる。殊に前記熱歪みは、前記油槽の前壁面から側壁面に移行するコーナー部分に集中し、時として該油槽を構成している材料(例えばステンレス)の強度を越える応力歪みを生ずることがある。
【0005】
本発明は、従来技術に内在する前記諸問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、油槽に生ずる熱歪みに対する強度を高めたフライヤーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項1の発明に係るフライヤーは、
調理油が貯留される油槽と、前記油槽の外側を取り囲む外装筐と、前記油槽および外装筐の間に位置する燃焼室と、前記燃焼室に設けた燃焼手段とからなり、前記燃焼手段による加熱空気を前記油槽と外装筐との間に形成される空間に流通させて該油槽を加熱するようにしたフライヤーにおいて、
前記油槽の前記燃焼室に臨む前壁面に、該前壁面を外壁面側から内壁面側へ凸状に湾曲させることで、該前壁面の端縁から端縁に亘って横方向に延在するリブが形成されていることを要旨とする。
請求項1に係る発明によれば、油槽の燃焼室に臨む前壁面にリブを設けたことで、該壁面の歪みに対する強度を高めることができる。また、前壁面を外壁面側から内壁面側へ凸状に湾曲させてリブを設けているので、該壁面で発生する熱歪をリブの湾曲形状により吸収することができ、燃焼室に臨む前壁面の加熱空気と接する表面積が増えるので、フライヤーの熱効率を高めることができる。更に、リブを燃焼室に臨む壁面の端縁から端縁に亘って横方向に延在するよう形成したので、曲げ加工により該壁面にリブを簡単に設けることができる。また、リブの形成範囲を大きくし得るので、熱歪みの吸収効果やフライヤーの熱効率を高めることができる。
【0008】
請求項に係る発明は、前記前壁面は、前記油槽の底部から立設されて対向する一対の側壁面に接続するよう構成され、
前記一対の側壁面の夫々は、上下方向の途中に設けた屈曲部から上方へ向かうにつれて互いに離間するよう傾斜して形成され、
前記前壁面の横方向に延在して前記リブが形成されていることを要旨とする。
請求項2に係る発明によれば、前壁面において、屈曲部を有する側壁面に接続する熱歪みが集まる部分に発生する応力を、横方向に延在するリブにより効果的に下げることができるので、油槽の強度を高めることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るフライヤーによれば、調理油を貯留した油槽の壁面に生じる内外の温度差により、熱歪みの発生が懸念される状況下であっても、この熱歪みを有効に抑えることができ、殊に該油槽のコーナー部に発生する応力を低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1に係るフライヤーの概略斜視図である。
図2図1に示すフライヤーの横断面図である。
図3図1に示すフライヤーの縦断側面図である。
図4図1に示すフライヤーの縦断正面図である。
図5】実施例1に係る油槽の第1前壁部を示す概略正面図である。
図6】実施例1に係るフライヤーを下方から見た概略斜視図であって、ケーシングを2点鎖線で示す。
図7】外装筐のパネルに断熱材を固定する別実施例の構成を説明する概略分解斜視図である。
図8】(a)は、パネルに取付ける前の固定部材の概略側面図であり、(b)は、固定部材をパネルに取付けた状態を示す概略断面図である。
図9】(a)は、実施例2に係る油槽における第1前壁部の概略正面図であり、(b)は、(a)のb−b線断面図であり、(c)は第2のリブの形成を説明する説明図である。
図10】変更例に係る油槽における第1前壁部の概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明に係るフライヤーにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。
【実施例1】
【0013】
実施例1のフライヤー10は、図1図4に示すように、調理油が貯留される油槽22と、該油槽22の外側を取り囲む外装筐46と、前記油槽22および該外装筐46の間に形成される燃焼室56と、該燃焼室56に設けた燃焼手段としてのガスバーナー58とを備えている。フライヤー10は、前記ガスバーナー58により加熱された空気を、前記油槽22とカバー外装筐46との間の通風路(空間)60,62に流通させて、該油槽22を加熱する。油槽22が収容されるケーシング12は、底板12d、前板12a、後板12cおよび左右の側板12b,12bから、上方に開口する箱状に構成される。そして、ケーシング12の内部に油槽22の後述する本体部24が収容される。なお、ケーシング12の後板12cは、側板12b,12bの上端から上方に所定長さ延出し、後述するダクト64の後側を覆うよう構成される。
【0014】
前記油槽22は、図1図5に示すように、上方に開口する箱状に構成された本体部24と、該本体部24の上端に設けられた支持部26とから構成される。油槽22は、本体部24をケーシング12の内部に収容した状態で、支持部26がケーシング12の前板12aおよび左右の側板12b,12bの上端に載置されるようになっている。前記本体部24は、略矩形状の底部28と、該底部28の左右の側端から立設されて左右に対向する一対の側壁30,30と、前記底部28の前端から立設されると共に左右の側壁30,30の前端を接続する前壁32と、前記底部28の後端から立設されて左右の側壁30,30の後端を接続する後壁34とから構成される。なお、油槽22は、所要形状に形成された板金を溶接して構成される。
【0015】
前記本体部24を構成する左右の側壁30,30は、図4に示すように、底部28の左右の側端に接続され、下端から上方へ略鉛直に延在する第1側壁部(側壁面)30aと、該第1側壁部30aの上端から上方へ向かうにつれて左右の外方へ傾斜して延在する第2側壁部(側壁面)30bと、該第2側壁部30bの上端から左右の外方へ略水平に延出してから上方へ屈曲された第3側壁部30cとから構成される。このように、各側壁30,30の下部は、第1側壁部30aと第2側壁部30bとの接続部で屈曲するよう構成される。すなわち各側壁30,30は、上下方向の途中に位置する屈曲部36から上方へ向かうにつれて互いに離間するよう傾斜している。また、各側壁30,30は、第1側壁部30a、第2側壁部30bおよび第3側壁部30cの後端で、本体部24を構成する前記後壁34に接続されている。
【0016】
前記本体部24を構成する前壁32は、図2図5に示すように、前記底部28の前端から上方へ略鉛直に延在する第1前壁部32a(燃焼室56に臨む壁面)と、該第1前壁部32aの上端から上方へ向かうにつれて前方へ傾斜して延在する第2前壁部32bと、該第2前壁部32bの上端から上方へ略鉛直に延在する第3前壁部32cとから構成される。前記第1前壁部32aは、前記左右の側壁30,30における第1側壁部30aおよび第2側壁部30bの前端を接続している。該第1前壁部32aの左右の寸法(横幅)は、下端から上下方向の途中に位置する前記屈曲部36まで略一定に形成され、前記屈曲部36より上側は、該屈曲部36から上方へ向かうにつれて、左右に広がるよう形成される。そして、第1前壁部32aにおける左右の側端32abは、下端から屈曲部36までは略垂直に延在し、屈曲部36より上側は左右の外方へ傾斜している。なお、前記第2前壁部32bおよび第3前壁部32cは、前記左右の側壁30,30における第3側壁部30cの前端を接続している。
【0017】
図2図3および図5に示すように、前記第1前壁部32aには、壁面を湾曲させて第1のリブ(リブ)38が形成されている。第1実施例では、左右方向(横方向)に延在する第1のリブ38が、上下方向に離間して2本設けられている。第1のリブ38は、第1前壁部32aを後方へ凸となるよう湾曲(外壁面側から内壁面側に湾曲)して設けられ、該2本の第1のリブ38が前記屈曲部36を上下に挟むよう配置されている。第1前壁部32aは、第1のリブ38により、外壁面(燃焼室に臨む面)および内壁面(調理油に接する面)の表面積が増えると共に、該第1前壁部32aの強度が大きくなっている。
【0018】
次に、前記油槽22における本体部24の上端に設けられた支持部26について説明する。図3および図4に示すように、前記左右の側壁30,30の第3側壁部30cの上端に、上方へ向かうにつれて他方の側壁30,30から離間するよう左右の外方へ傾斜する枠部40が形成されている。また、前壁32の第3前壁部32cの上端に、前方向かうにつれて上方傾斜する傾斜面42が形成され、該傾斜面42の左右の側端に左右の枠部40の前端が接続されている。更に、前記本体部24の後壁34の上端に、前記ケーシング12の後板12cと略同じ高さ位置まで上方へ延在する上部後壁44が形成されている。油槽22は、前記左右の枠部40、傾斜面42および上部後壁44から前記支持部26が構成されている。ケーシング12に油槽22の本体部24を収容した状態で、左右の枠部40および傾斜面42がケーシング12の対応の左右の側板12b,12bおよび前板12aの上端に接続されるようになっている。また、油槽22は、本体部24の後壁34および支持部26の上部後壁44が一体に構成されている。そして、両後壁34,44から後方へ離間するケーシング12の後板12cと、両後壁34,44の左右の側端に設けた壁と、ケーシング12の側板12b,12bとにより、後述のダクト64が収容される空間が画成されるようになっている。
【0019】
前記油槽22の外側には、図2図4に示すように、所定間隔離間して前記外装筐46が配設されている。外装筐46は、油槽22の前記前壁32に配設された前パネル48aと、油槽22の前記左右の側壁30,30に配設された左右一対の側パネル48b,48bと、油槽22の前記後壁34に配設された後パネル48cと、油槽22の前記底部28に配設された底パネル48dとから、上方に開口する箱状に形成される。前記前パネル48aは、前記第1前壁部32aの前方(外側)に離間して配置され、該前パネル48aの上端で前記第2前壁部32bの下面に接続されている。前記左右の側パネル48b,48bは、前記第1の側壁部30aおよび第2の側壁部30bの左右の外方(外側)に離間して配置され、該側パネル48b,48bの上部で前記第3側壁部30cの外壁面に接続されている。図3に示すように、油槽22の前部に、前パネル48aと、左右の側パネル48b,48bと、底パネル48dと、前記本体部24の第1前壁部32aおよび第2前壁部32bとによって前記燃焼室56が画成されている。すなわち、油槽22の本体部24における前記第1前壁部32aおよび第2前壁部32bは、燃焼室56に臨むようになっている。この燃焼室56には、前記ガスバーナー58が配置され、図示しないガス供給源から供給されたガスを燃焼することで、該ガスバーナー58により燃焼室56内の空気を加熱するようになっている。また、油槽22における各側壁30,30における左右の外側に、左右の側パネル48b,48bと、底パネル48dと、油槽22の第1側壁部30a、第2側壁部30bおよび第3側壁部30cとによって、側部通風路60が画成されている。そして、油槽22の後部に、後パネル48cと、底パネル48dと、前記本体部24の後壁34部とによって後部通風路62が画成されている。前記側部通風路60は前後に開口して、前記燃焼室56および後部通風路62に連通するよう構成されている。すなわち、油槽22および外装筐46の間には、燃焼室56、該燃焼室56に連通する側部通風路60および後部通風路62が形成され、該通風路60,62を流通する加熱空気によって油槽22に貯留されている調理油を加熱するようになっている。なお、外装筐46の各パネル48の油槽22に臨む内面には、夫々断熱材52が設けられている。
【0020】
図1図3および図6に示すように、前記油槽22の後壁34とケーシング12の後板12cとの間には、上下方向に延在するダクト64が配設される。ダクト64の内部に上下方向に延在する排気路66が画成されている。ダクト64の前面下部には、前記外装筐46の後パネル48cに設けた開口部50に連通する開口部66aが形成されている。また、該ダクト64の上面には、上下方向に貫通する排気口66bが形成されている。すなわち、前記後部通風路62から排気路66に流入した加熱空気は、排気口66bから外部に排出されるようになっている。図3および図6に示すように、油槽22の後壁34には、背面に左右方向(横方向)に延在する補強部材68が設けられている。補強部材68は、平板状の板金をL字状に折り曲げて形成され、油槽22の後壁34における該後壁34に配設された前記後パネル48cの上方にスポット溶接で接合されている。油槽22は、後壁34に当接して延在する補強部材68により後壁34の強度が高められているので、ガスバーナー58の加熱による後壁34および上部後壁44の歪みを抑えることができる。また、両後壁34,44の歪みを抑えることで、両後壁34,44と、該後壁34,44の後方に配置された前記ダクト64との面接触が防止されるので、加熱空気が通るダクト64の熱が後壁34へ直接伝わり油槽22が部分的に高温になることはない。なお、後壁34への補強部材68の溶接を、油槽22を溶接により成形する前に行うことで、該油槽22の溶接時の歪みも抑えられる。
【0021】
〔実施例1の作用〕
次に、前述のように構成された実施例1のフライヤー10の作用について説明する。前記ガスバーナー58を燃焼させると、前記燃焼室56内の空気が加熱され、該加熱空気は、前記側部通風路60および後部通風路62を流通した後、ダクト64の排気路66に流入し、前記排気口66bから外部に排出される。加熱空気は、油槽22における燃焼室56に臨む第1前壁部32aおよび第2前壁部32bと、各側部通風路60に臨む第1側壁部30a、第2側壁部30bおよび第3側壁部30cと、後部通風路62に臨む後壁34との外面に接触して該油槽22を加熱する。これにより、油槽22に貯留された調理油が加熱される。実施例1のフライヤー10は、油槽22における燃焼室56に臨む第1前壁部32aに第1のリブ38を設けたので、リブのない平板状の壁部に比べて強度が増している。このため、燃焼室56に臨み高温の加熱空気に接する第1前壁部32aにおける熱歪の発生を抑えることができる。また、第1のリブ38を設けたことで、第1前壁部32aにおける燃焼室56の加熱空気と接する外壁面の表面積を増やして調理油を効率的に加熱することができる。なお、第1のリブ38は、調理油に接する内壁面の表面積も増えるよう形成されているので、より効率的に調理油を加熱し得る。更に、第1前壁部32aの壁面を湾曲させて第1のリブ38を形成しているので、第1前壁部32aで発生する熱歪みを第1のリブ38の湾曲形状により吸収することができる。
【0022】
フライヤー10は、油槽22において第1前壁部32aと前記第1および第2側壁部30a,30bとが接続するコーナー部、殊に該コーナー部の屈曲部36に熱歪みが集中し易い構成となっている。実施例1のフライヤー10では、第1前壁部32aに左右方向に延在する第1のリブ38を設けたことで、第1前壁部32aの熱歪みに対する強度を高めて前記コーナー部に発生する応力を下げることができる。なお、屈曲部36を設けたことで、油槽22における加熱空気と接触する表面積を増やし調理油を効率的に加熱し得るようになっている。また、実施例1のフライヤー10では、屈曲部36を上下に挟むように第1のリブ38が形成されているので、第1前壁部32aの屈曲部36に発生する応力を第1のリブ38により効果的に低下させることができる。
【0023】
ここで、図7および図8は、外装筐46の各パネル48に断熱材52を固定する構造の別実施例を示す。別実施例では、パネル48との間で断熱材52を挟むよう構成された固定部材70でパネル48に断熱材52が固定されている。固定部材70は、上下方向に長尺な帯状部材であって、断熱材52をパネル48に沿うよう押える押え部72と、該押さ部の上端および下端に形成された曲げ部74,74とを備える。前記押え部72は、押える断熱材52の外形に応じて形成され、該押え部72とパネル48の内面との間で断熱材52を保持するよう構成される。図8(a)に示すように、前記曲げ部74は、押え部72の上端および下端を、鋭角(別実施例では88度)に折り曲げて形成される。また、曲げ部74には、パネル48に開設された取付孔76に重なるネジ孔78が設けられている。固定部材70は、図8(b)に示すように、パネル48と固定部材70とで断熱材52を挟んだ状態で、対応の取付孔76を介してネジ孔78にネジ(図示なし)を螺挿して、パネル48に取付けられる。固定部材70は、上下の曲げ部74,74における押え部72から延出して上下に対向する部分が、水平に延在するよう、押え部72と曲げ部74とのなす角度を広げた状態で取付けられる。すなわち、固定部材70は、押え部72と曲げ部74とのなす角度を、パネル48に取付けた状態よりも小さい角度で成形し、押え部72と曲げ部74とのなす角度を広げてパネル48に取付けられる。このため、パネル48に固定部材70を取付けた状態で、固定部材70の押え部72が断熱材52をパネル48側へ押すよう作用する。更に、加熱空気によって固定部材70が加熱されて押え部72が伸張しても、該押え部72が断熱材52をパネル48側へ押すよう変形する。すなわち、固定部材70は、加熱ガス雰囲気下においても押え部72が断熱材52から離れる方向へ膨らむように変形することはなく、断熱材52をパネル48側へ安定的に押さえ続けることができる。また、固定部材70は、高価な耐熱材料を用いることなく断熱材52をパネル48に適切に固定できるので、製造コストを抑え得る。
【実施例2】
【0024】
次に図9を参照して、実施例2に係るフライヤーについて説明する。実施例2については、実施例1のフライヤーと同じ構成については同一の符号を使用する。
【0025】
実施例2では、第1前壁部32aに設けた第2のリブ(リブ)80が、実施例1の第1のリブ38と異なっている。図9(a)に示すように、第2のリブ80は、第1前壁部32aにおける右側端(端縁)から左側端(端縁)に亘って延在する。実施例2では、左右方向(横方向)に平行に延在する2つの第2のリブ80が設けられている。該2つの第2のリブ80は、前記屈曲部36よりも下方に配置されている。第2のリブ80は、図9(b)に示すように、第1前壁部32aの壁面を前方(燃焼室56側となる外壁面側)から後方(調理油がに接する内壁面側)へ湾曲させた形状となっている。第2のリブ80は、図9(c)に示すように、第1前壁部32aをなす板金を、金型82で湾曲させて成型される。前記金型82は、第1前壁部32aの前面形状(第2のリブ80の凸形状)に合わせて形成された型面を有する凸型82aと、第1前壁部32aの後面形状(第2のリブ80の凹形状)に合わせて形成された凹型82bとからなる。実施例2によれば、第1前壁部32aの右側端から左側端に亘って第2のリブ80を形成しているので、しわ押え等を有する絞り金型を用いることなく、簡単な構成の曲げ金型82で成型できる。すなわち、実施例2によれば、第2のリブ80を設けた油槽22を低コストで効率よく製造し得る。また、実施例2によれば、第1前壁部32aにおける左右方向に亘って第2のリブ80を設けたので、第2のリブ80の形成範囲を大きくして熱歪みの吸収効果やフライヤー10の熱効率を高めることができる。
【0026】
〔変更例〕
本発明に係るフライヤーは前述した構成に限定されるものでなく、例えば以下のように変更することが可能である。
(1) 実施例では、燃焼手段としてガスバーナーを用いたが、燃焼手段として石油バーナーや電熱ヒータ等、公知の各種手段を用いることができる。
(2) 実施例では、油槽の底部から立設された壁面にリブを設けたが、リブは油槽における燃焼室に臨む壁面に形成できる。
(3) 実施例では、燃焼室側から調理油が貯留される内壁面側に湾曲させた形状のリブを例に挙げて説明したが、油槽の内壁面側から燃焼室側に湾曲させたリブであってもよい。
(4) 実施例では、横方向に延在するリブを上下に2つ設ける例を挙げて説明したが、図10(a)に示すように、横方向に延在するリブ86aを1つ設ける構成であってもよい。また、図10(b)に示すように、縦方向に延在するリブ86bを1つ設けたり、図10(c)に示すように、3つ以上のリブ86cを設けてもよい。更に、図10(d)に示すように、途中で屈曲する形状のリブ86dであってもよい。なお、図10(d)のリブ86dは、該リブ86dが形成された壁面32aの側端縁32abに沿ってブーメラン型に曲げられている。
【符号の説明】
【0027】
10 フライヤー,22 油槽,30a 第1側壁部(側壁面),
30b 第2側壁部(側壁面),32a 第1前壁部(前壁面),36 屈曲部,
38 第1のリブ(リブ),46 外装筐,56 燃焼室,58 ガスバーナー(燃焼手段),
60 側部通風路(空間),62 後部通風路(空間),80 第2のリブ(リブ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10