(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6280021
(24)【登録日】2018年1月26日
(45)【発行日】2018年2月14日
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E05F 1/16 20060101AFI20180205BHJP
E06B 3/44 20060101ALI20180205BHJP
【FI】
E05F1/16 E
E06B3/44
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-219303(P2014-219303)
(22)【出願日】2014年10月28日
(65)【公開番号】特開2016-84656(P2016-84656A)
(43)【公開日】2016年5月19日
【審査請求日】2017年4月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今井 裕一
(72)【発明者】
【氏名】松田 直樹
【審査官】
小澤 尚由
(56)【参考文献】
【文献】
特開平04−238984(JP,A)
【文献】
実開昭63−008367(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0112642(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 1/16
E06B 3/44
E05D 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下動により開閉自在な障子と、障子に釣り合い力を付与するバランサーと、障子の下面に設けてバランサーが障子に付与する釣り合い力を調整する調整器とを備え、バラサンサー及び調整器は縦枠の障子案内溝内に配置してあり、調整器は、下面に設けた調整部と、調整部から枠の内周側に突出してありバランサーが障子に付与している釣り合い力を解除する解除レバーと、回り止め部品とを有し、解除レバーは、垂直軸回りに回動するものであり、回り止め部品は、解除レバーに枠の内周側から嵌め込んで取り付けてあり、回り止め部品が解除レバーと共に回動しようとすると縦枠の障子案内溝の開口縁に当接することで解除レバーの回動を規制することを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上げ下げ窓やドア等の建具に関する。
【背景技術】
【0002】
上げ下げ窓(建具)において、障子に、釣り合い力を付与するバランサーと、バランサーが障子に付与する釣り合い力を調整する調整器を設けることが公知である。この種の建具では、バラサンサー及び調整器は縦枠の障子案内溝内に配置してあり且つ調整器は障子下面に設けてあり、建具の施工後に調整器を操作するときには、調整器の下面に設けた解除レバーを垂直軸回りに回動して、バランサーが障子に付与する釣り合い力を一度解除した後、再度釣り合い力を設定している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、調整器の解除レバーは、調整器の下面に露出してあるから、誤操作により、バランサーが障子に付与している釣り合い力を解除するおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、解除レバーの誤操作を防止できる建具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、上下動により開閉自在な障子と、障子に釣り合い力を付与するバランサーと、障子の下面に設けてバランサーが障子に付与する釣り合い力を調整する調整器とを備え、バラサンサー及び調整器は縦枠の障子案内溝内に配置してあり、調整器は、下面に設けた調整部と、調整部から枠の内周側に突出してありバランサーが障子に付与している釣り合い力を解除する解除レバーと、回り止め部品とを有し、解除レバーは、垂直軸回りに回動するものであり、回り止め部品は、解除レバーに枠の内周側から嵌め込んで取り付けてあり、回り止め部品が解除レバーと共に回動しようとすると縦枠の障子案内溝の開口縁に当接することで解除レバーの回動を規制することを特徴とする建具である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、解除レバーには回り止め部品が取り付けてあり、回り止め部品が解除レバーと共に回動しようとすると、縦枠の案内溝の開口縁に当接して解除レバーの回動を規制するので、解除レバーの誤操作を防止できる。
尚、回り止め部品を解除レバーから外すことにより、回動規制が解除されて解除レバーの正当な操作ができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態にかかる建具の図であり、可動障子、バランサー及び調整器を抜き出して示す正面図である。
【
図2】
図1に示す可動障子の右側下面及びその周囲部分を下から見た斜視図であり、(a)は回り止め部品を取り付けた状態であり、(b)は回り止め部品を外した状態である。
【
図4】
図2に示す回り止め部品の斜視図であり、(a)は正面斜め上から見た図、(b)は裏面斜め下から見た図、(c)は側面斜め下から見た図、(d)は(c)に示すA−A断面図である。
【
図5】
図1に示す調整器の図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は底面図、(d)は(b)に示すB−B断面図である。
【
図6】本発明の実施の形態にかかる建具の縦断面図であり、(a)は全閉状態、(b)は全開状態を示す図である。
【
図7】本発明の実施の形態にかかる建具の図であり、
図6に示すC−C断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
本発明の実施の形態にかかる建具1は、
図1、
図6及び
図7に示すように、上げ下げ窓であり、上枠3、下枠5、左右の縦枠7を枠組みした枠9と、外障子11と、内障子13とを備えており、外障子11は固定してあり、内障子(障子)13は上下動により開閉自在な可動障子である。
図3及び
図7に示すように、左右の各縦枠7には内障子13の上下動を案内する障子案内溝15が形成された案内部材17が固定してある。障子案内溝15は、横断面がコ字形状を成し、内障子13側を開口しており、障子案内溝15の溝の開口縁15aは、室内側及び室外側から互いに開口を狭めるように突出して形成されている。
図1に示すように、各縦枠7には、内障子13に釣り合い力を付与するバランサー19と、内障子13の下面に設けた調整器21とが配置されている。
バランサー19は、捻りばねと、捻りばねを巻き締め・巻き戻しする螺旋杆23とを備えており、螺旋杆23が上下動することで捻りばねを巻き締め又は巻き戻しするようになっており、内障子13に所定の釣り合い力を付与するものである。このバランサー19は、釣り合い力を解除した後に螺旋杆23を所定量回転して回転した位置を固定することで、釣り合い力を設定できるようになっている。
【0010】
図5に示すように、調整器21は、螺旋杆23に連結したフック25と、フック25が固定された軸部材27と、軸部材27を収納したケース部28と、軸部材27を回転調整してその位置を保持する調整部29と、調整部29で調整した位置を解除する解除レバー31と、障子取付部30を備えている。
調整部29は下面にドライバーの係合溝29aが形成してあり、下面側からドライバーを操作して釣り合い力を調整するようになっている。
図3に示すように、解除レバー31は、障子案内溝15からその開口縁15aを超えて、内周側に突設してあり、解除レバー31は垂直軸Y(
図5(d)参照)回りを矢印32方向に回動することで調整部29の固定位置を解除するようになっている。この解除レバー31には回り止め部品33が装着されている。
【0011】
図1に示すように、回り止め部品33は、枠9の内周側から解除レバー31に嵌め込んであり、装着した回り止め部品33は、
図3に示すように、障子案内溝15の開口縁15aに対向して位置している。
回り止め部品33は樹脂材製であり、
図4に示すように、解除レバー31の挿入穴35が形成された外周側壁33aと、内周側壁33bと、正面壁(室内側壁)33c及び裏面壁(室外側壁)33dと、上面壁33eとで略直方体形状に形成してあり、直方体の内部及び下側が空間になっている。上面壁33eには弾性変形可能な係止突起37が先端を上方に向けて傾斜してある。この係止突起37は
図1に示すように、調整器21のケース部28の下面に形成された段部28a(
図5参照)に係止してある。
図1及び
図3に示すように、内周側壁33bは、回り止め部品33を解除レバー31に装着したときに、解除レバー31の内周側端との間に隙間(治具係止部)39を形成しており、この隙間39は回り止め部品33を外すときにドライバー等の治具を挿入する隙間であり、治具を内周側壁33bに係合して回り止め部品33を枠9の内周側へ引き抜き可能にしている。
【0012】
次に、本発明の実施の形態にかかる建具1の作用及び効果について説明する。建具1には、工場で、左右の縦枠7に各々バランサー19を設置し、内障子13の下面に調整器21を取り付け、調整器21を所定の釣り合い力に設定しておく。尚、
図2及び
図3に示すように、調整器21は、そのケース部28(
図5参照)を縦枠7の障子案内溝15内に配置しており、解除レバー31は、障子案内溝15内から開口縁15aを超えて枠9の内周側に突設してある。そして、調整器21を所定の釣り合い力に設定後、回り止め部品33は解除レバー31に枠9の内周側から嵌め込んで、装着する。このとき、回り止め部品33は、その外周側壁33aに形成された挿入穴35に解除レバー31の先端を挿入し、係止突起37がケース部28の段部28aに当接した位置で装着が完了する。尚、係止突起37の係止位置で、内周側壁33bと解除レバー31の内周側端との間に隙間39が形成されている。
図2及び
図3に示すように、解除レバー31に回り止め部品33が装着された状態では、回り止め部品33の正面壁33cと裏面壁33dとが障子案内溝15の開口縁15aに近接して位置する。したがって、回り止め部品33は障子13の下面に露出した状態にあるが、解除レバー31を回り止め部品33と共に回動しようとすると、回り止め部品33が開口縁15aに当接することで解除レバー31の回動を規制する。
これにより、解除レバー31の誤操作が防止できる。
【0013】
一方、内障子13に付与する釣り合い力を調整する場合には、解除レバー31を操作して付与されている釣り合い力を解除し、その後調整器21の調整部29を操作して再設定する必要がある。
この場合には、解除レバー31に装着してある回り止め部品33の下側から、隙間39にドライバー等の治具の先端を挿入して内周側壁33bに当てたまま枠の内周側に向けて引き抜く。これにより、回り止め部品33を外すことができる。
その後、解除レバー31を垂直軸Y(
図5(d)参照)回りに回動することで、釣り合い力が解除され、調整部29を治具で回転操作して所定の釣り合い力に再度設定する。
【0014】
本発明の実施の形態にかかる建具1によれば、解除レバー31には回り止め部品33が取り付けてあり、回り止め部品33が解除レバー31と共に回動しようとすると、縦枠7の障子案内溝15の開口縁15aに当接して解除レバー31の回動を規制するので、解除レバー31の誤操作を防止できる。
【0015】
回り止め部品33は、解除レバー31に装着した状態で、解除レバー31の内周側端と内周側壁33bとの間に隙間(治具係止部)39を形成してあるから、この隙間39にドライバー等の治具を挿入して回り止め部品33を簡単に外すことができる。
回り止め部品33はその上面壁33eを解除レバー31の上に被せてあるので、回り止め部品33が落下するのを防止できる。
回り止め部品33の上面壁33eには、調整器21のケース部28の段部28aに係止して、回り止め部品33が内周側に移動する規制しているので、手で簡単に外し難いから、誤操作により回り止め部品33が外れるのを防止できる。
【0016】
本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
例えば、本発明にかかる建具1は、上げ下げ窓に限らず、ドア面に上下動により開閉自在な障子を設けたドアであってもよい。
回り止め部品33の治具係止部39は、室内側壁や室外側壁に治具の係止溝、穴や突起を形成しても良いし、治具係止部39の位置や形状は制限されない。
また、回り止め部品33は筒状にして装着するものであっても良いし、その形状は制限されない。
縦枠7に設けてある障子案内溝15は、障子案内溝15を形成した案内部材17を縦枠7に取付けることに限らず、縦枠7に直接形成するものであっても良い。
【符号の説明】
【0017】
1 建具
7 縦枠
9 枠
13 内障子(可動障子)
15 障子案内溝
15a 開口縁
19 バランサー
21 調整器
29 調整部
31 解除レバー
33 回り止め部品
39 隙間(治具係止部)