(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記脆弱性カバーは、前記作用直径よりも小さい中間直径に前記バルーンが開くように前記バルーンを調節する働きをすることを特徴とする請求項1に記載のカテーテルバルーンアセンブリ。
前記脆弱性カバーは、前記作用長さよりも短い中間長さに前記バルーンが開くように前記バルーンを調節する働きをすることを特徴とする請求項1に記載のカテーテルバルーンアセンブリ。
前記バルーンの直径は前記脆弱性カバーの破裂後に前記バルーンの前記作用長さに沿って概ね均一に増大することを特徴とする請求項1に記載のカテーテルバルーンアセンブリ。
前記脆弱性カバーが破裂した後に前記脆弱性カバーを収容する働きをする、前記脆弱性カバーの少なくとも大部分を覆う外側カバーをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のカテーテルバルーンアセンブリ。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の着想または範囲からの逸脱なしに、本明細書に提示されている実施形態において様々な変更と変形が加えられることが可能であるということが、当業者にとって明らかだろう。したがって、添付されている特許請求項とその等価物との範囲内に含まれる限りは、本発明が、こうした本発明の変更と変形とを範囲内に含むということが意図されている。本発明は様々な原理および見解に関連付けて説明されるだろうが、本発明は理論によって束縛されるべきではない。本明細書で言及される添付図面は必ずしもすべて同一の縮尺で描かれてはおらず、実施形態の様々な側面を図示するために誇張されていることがあり、および、この点で、これらの図面は本発明を限定するものと解釈されてはならない。
【0020】
調節可能な膨張輪郭を有する低輪郭の医療用バルーンを提供する装置および方法が、本明細書で説明されている。
【0021】
本明細書で使用される場合に、術語「近位の(proximal)」は、「心臓に最も近い」方向に関連し、および、術語「遠位の(distal)」は、「心臓から最も遠い」方向に関連する。
【0022】
図1Aは、一実施形態による、バルーン200とバルーンカバー300とを有するカテーテルシステム100の側面図である。カテーテルシステム100は、さらに、遠位ハブ102とカテーテルシャフト104とを備える。バルーン200は収縮状態にある。バルーンカバー300は、バルーン200の大部分を取り囲む。
図1Bは、膨張状態にあるバルーン200を伴う
図1Aの実施形態のカテーテルシステム100の側面図である。バルーンカバー300は、膨張したバルーン200の大部分を取り囲む。さらに、
図3A、
図3B、
図3Dに示されている「3−3」として画定されている断面平面も示されている。
【0023】
図2は、一般的な医療用バルーン200の側面図である。このバルーン200は、バルーン先細部分206に各々が一体的に連結されている2つの互いに反対側に位置した脚部分204を備え、バルーン先細部分206の各々はこれらの間のバルーン本体部分208に連結されている。バルーン作用長さ210は、互いに反対側に位置した先細部分206の間のおおよその長さを有するバルーン200のバルーン本体部分208の長さとして画定される。バルーン脚部分204と、バルーン先細部分206と、バルーン本体部分208は、バルーン全長を画定する。
【0024】
図3Aは、一実施形態による、バルーン200とバルーンカバー300の種々の要素を示す平面3−3(
図1Bを参照されたい)に沿った側面断面図である。カテーテルシャフト104と、膨張管腔105と、バルーン200が取り付けられている膨張ポート125とが示されている。バルーンカバー300は、バルーン200のバルーン先細部分206とバルーン本体部分208との周りに配置されている。バルーンカバー300は第1のカバー部分313と第2のカバー部分315とを備える。第1のカバー部分313は第1のカバー本体部分312と第1のカバー先細部分314とを備える。第1のカバー本体部分312は、バルーン本体部分208の一部分の上に重なる働きをする。
【0025】
第1のカバー先細部分314は、
図3Aに示されているように、バルーン先細部分206の一部分の上に重なる働きをする。第1のカバー先細部分314は、第1のカバー先細部分314の頂点317に位置している第1のカバー開口部316を画定する。この第1のカバー開口部316は、バルーン200のバルーン脚部分204が中を通過することを可能にする働きをする。
【0026】
第2のカバー部分315は、第2のカバー本体部分318と第2のカバー先細部分320とを備える。第2のカバー本体部分318は、バルーン本体部分208の一部分の上に重なる働きをする。
【0027】
第2のカバー先細部分320は、
図3Aに示されているように、バルーン先細部分206の少なくとも一部分の上に重なる働きをする。第2のカバー先細部分320は、この第2のカバー先細部分320の頂点323に配置されている第2のカバー開口部322を画定する。第2のカバー開口部322は、バルーン200のバルーン脚部分204が中を通過することを可能にする働きをする。
【0028】
図3Aを再び参照すると、第1のカバー先細部分314と第2のカバー先細部分320とがバルーンカバー300の互いに反対側の端部に配置されている。第1のカバー部分313と第2のカバー部分315とが、第1のカバー本体部分312の一部分が第2のカバー本体部分318の少なくとも一部分の上に重なるように、軸線Xに沿って同軸の形で位置合わせされており、かつ、バルーン200の上に重なる。第1のカバー本体部分312と第2のカバー本体部分318の重なり合いがカバー作用長さ311を画定する。
図3Aの実施形態では、作用長さ311は、バルーン作用長さ310の大部分の上に重なる。「バルーン作用長さの大部分」は、本明細書では、バルーン作用長さの約50%から約100%として定義される。実施形態では、「バルーン作用長さの大部分」は、バルーン作用長さ210の約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、および、約98%以上を含む。
【0029】
膨張したバルーン200の上に重なる形で示されているバルーンカバー300の第1のカバー部分313の部分断面側面図が、
図3Bに示されている。
図3Aに示されている追加の層は、図を明瞭化するために省略されている。開口部316が、バルーン200のバルーン先細部分206に「沿った(up along)」約20%に位置している形で示されている。示されているように、バルーン先細部分206に沿って「ゼロ%」である位置は、バルーン脚部204とバルーン先細部分206との接合点に位置している。バルーン先細部分206に沿って「100%」である位置は、バルーン先細部分206とバルーン本体部分208との接合部に位置している。
図3Cは、バルーン200と第1のカバー部分313との端面図である。バルーン200のバルーン先細部分206に沿って約20%に位置しているカバー開口部316が示されている。さらに、膨張バルーン直径324と、バルーン脚部直径326と、開口部直径328aとが示されている。バルーン200のバルーン先細部分206に対する開口部316の相対的な位置が、膨張バルーン直径324に対する開口部直径328aの比率として表現されることが可能である。同様に、バルーン先細部分206に対する開口部316の相対的な位置が、バルーン脚部分の直径326に対する開口部直径328aの比率として表現されることが可能である。
【0030】
図3Dと
図3Eは、上記の
図3Bと
図3Cに類似している。
図3Dに示されているように、開口部316は、バルーン200のバルーン先細部分206に「沿った」約75%に位置している形で示されている。
図3Eは、周囲を取り囲む第1のカバー部分313を有するバルーン200の端面図である。下に位置するバルーン200のバルーン先細部分206に沿って約75%に位置している開口部316が示されている。さらに、膨張バルーン直径324と、脚部分直径326と、開口部直径328bとが示されている。バルーン先細部分206に対する開口部316の相対的な位置が、膨張バルーン直径324に対する開口部直径323bの比率として表現されることが可能である。同様に、バルーン先細部分206に対する開口部316の相対的な位置が、脚部分直径326に対する開口部直径328bの比率として表現されることが可能である。
図3Cと
図3Eとが同一の縮尺で描かれてはいないが、開口部316のサイズの差を示すことが意図されているということに留意されたい。
【0031】
バルーンのバルーン先細部分206(
図2を参照されたい)のようなバルーンカバー300によって被覆されていない区域内でしかバルーン200が故障しないように、バルーンをフェイルセーフに設計するために、および/または、バルーン先細部分206内の材料の量を減少させてその区域内の輪郭を小さくすることによって引き通し力(pull through force)(下記を参照されたい)を減少させるために、大きなカバー開口部のサイズが、多くの用途にとって有用である。
【0032】
腔内バルーンが、典型的には、壁厚さが均一なチューブから吹込成形される。成形が終わると、このチューブは引き延ばされ、この結果として、バルーンの長さに沿った変化する壁厚さを有する。このバルーンは、一般的に、バルーン部分204において最も厚く、および、バルーン先細部分206に沿って次第に薄くなり、バルーン本体部分208において最も薄い。この厚さは、圧力下におけるバルーン上の応力に対して逆である。したがって、吹込成形バルーンの最も薄い壁が、例えば、膨張させられる時に最大の応力を被るだろう。
【0033】
バルーン脚部204は、バルーン本体部分とバルーン先細部分とを吹込成形する前の、したがって、バルーン200が膨張させられる時に脚部分が受ける可能性がある応力に対して一般的に過大である壁厚さである、均一な壁厚さのチューブの厚さを実質的に維持する。この過大な厚さと、したがって、輪郭とが、バルーンが中を通して引き抜かれることが可能な最小導入器サイズ(minimum introducer size)を増大させるだろう。
【0034】
本明細書に示されている実施形態によるバルーンカバー300は、バルーン200のより薄い部分を覆い、および、したがって補強する。したがって、実施形態によって、バルーンカバー300はバルーン200に付加的な強度を提供する。一実施形態では、バルーン200の最も薄い部分がバルーンカバー300の最も強固な部分によって覆われ、または、逆も同様である。バルーンカバー300の実施形態は、引き抜き輪郭を最小限にしか増大させずに、バルーン200の定格破裂圧力を増大させる。
【0035】
バルーンとバルーンカバーは、ポリメチルメタクリラート(PMMAまたはアクリル)とポリスチレン(PS)とアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)とポリ塩化ビニル(PVC)と変性ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)とセルロースアセテートブチレート(CAB)とを含む非晶質の汎用熱可塑性樹脂と、ポリエチレン(PE)と高密度ポリエチレン(HDPE)と低密度ポリエチレン(LDPEまたはLLDPE)とポリプロピレン(PP)とポリメチルペンテン(PMP)とを含む半晶質汎用プラスチックと、ポリカーボネート(PC)とポリフェニレンオキシド(PPO)と変性ポリフェニレンオキシド(Mod PPO)とポリフェニレンエーテル(PPE)と変性ポリフェニレンエーテル(Mod PPE)と熱可塑性ポリウレタン(TPU)とを含む非晶質エンジニアリング熱可塑性樹脂と、ポリアミド(PAまたはナイロン)とポリオキシメチレン(POMまたはアセタール)とポリエチレンテレフタレート(PET、熱可塑性ポリエステル)とポリブチレンテレフタレート(PBT、熱可塑性ポリエステル)と超高分子量ポリエチレン(UHMW−PE)とを含む半晶質エンジニアリング熱可塑性樹脂と、ポリイミド(PI、イミド化プラスチック)とポリアミドイミド(PAI、イミド化プラスチック)とポリベンゾイミダゾール(PBI、イミド化プラスチック)とを含む高性能熱可塑性樹脂と、ポリスルホン(PSU)とポリエーテルイミド(PEI)とポリエーテルスルホン(PES)とポリアリルスルホン(PAS)とを含む非晶質高性能熱可塑性樹脂と、ポリフェニレンスルフィド(PPS)とポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を含む半晶質高性能熱可塑性樹脂と、フッ化エチレンプロピレン(FEP)とエチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)とエチレン・エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)とポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)とポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とポリフッ化ビニリデン(PVDF)とペルフルオロアルコキシ(PFA)を含む半晶質高性能熱可塑性樹脂フルオロポリマーとのような様々な公知の材料から製造されることが可能である。他の公知の医療グレードの材料が、エラストマー性有機シリコンポリマー、ポリエーテルブロックアミド、または、熱可塑性コポリエーテル(PEBAX)を含む。
【0036】
実施形態によるバルーンカバーは、成形、真空/圧力成形、フィルムラッピング(film wrapping)、フィルム積層(film layering)、繊維巻き付け(fiber winding)、または、当業で公知の他の方法のような、種々の方法によって製造されることが可能である。
【0037】
以下の説明は、本明細書に示されている実施形態による、様々なバルーンカバーを製造するために使用されることが可能な、薄いポリマーフィルム積層材を使用する、バルーンを形成する方法の1つの具体例を示す。実施形態では、この方法は、次の諸段階を含むことが可能である。
【0038】
段付きの金属製のフィルム積層マンドレルを、
図4にしたがって製造する。第1の円筒形の部分402を有する金属製マンドレル400が示されている。この第1の円筒形の部分402は直径404と長さ406とを有する。同様に、金属製マンドレル400は第2の円筒形の部分408を有する。この第2の円筒形の部分408は直径410と長さ412とを有する。第1および第2の円筒形の部分402、408は、互いに反対側に位置した先細部分(414、416)に一体的に連結されている。この互いに反対側に位置した先細部分(414、416)は、直径422を有する互いに反対側に位置したシャフト(418、420)に一体的に連結されている。長さ(406、412)と、直径(404、410)と、先細部分(414、416)は、後続の下に位置するバルーンの寸法に適合するように変化させられることが可能である。長さ(406、412)は約1mmから100mm以上の範囲内であることが可能であり、直径(404、410)は約1mmから100mm以上の範囲内であることが可能であり、および、先細部分の角度は約10°から約90°の範囲内であることが可能である。一実施形態では、カバー直径はバルーン直径に比較して少なくとも約5%は小さい。少なくとも5%だけバルーンカバーを小さくすることが、そのバルーンカバーが膨張したバルーンの半径方向荷重に耐えることを可能にし、したがって、少なくともバルーンの被覆領域内においては、バルーンが故障することを可能にしない。
【0039】
マンドレル400を、作用長さを画定する互いに重なり合うカバー本体部分を有する第1のカバー部分と第2のカバー部分とを形成するために使用する。カバー本体部分が互いに重なり合うように、第1のカバー部分が、第2のカバー部分のカバー本体部分外径よりもわずかに大きいカバー本体部分内径を有するように製造される。これらのカバー本体部分直径の間の差が、第1の円筒形部分402と第2の円筒形部分408との互いに異なる直径によってもたらされる。例えば、直径404は直径410よりも約0.012″(0.3048mm)大きく、0.006″(0.1524mm)の壁厚さを有するバルーンカバーに適合することが可能である。
【0040】
マンドレルを保持するために、かつ、後続の加工処理段階中にマンドレルの回転を可能にするために、シャフト(418、420)の1つを、回転可能なコレットの上に取り付ける。
図5に示されているように、熱可塑性接着材で被覆されているフィルム502の形態である製造補助器具が、マンドレル500の中央部分に付加されることが可能である。例えば、2つから5つの外周巻き付け物(circumferential wrap)が取り付けられることが可能である。これらの層は、例えば、はんだごて、または、他の加熱手段によって、熱を加えることによって熱可塑性接着材をリフロー(reflow)することによって固定されることが可能である。フィルムの幅と、マンドレル上の位置とが、所望のバルーンカバー部分の寸法に適合するように選択されることが可能である。適切なフィルムが、熱可塑性フルオロエラストマー、または、ポリマーフィルムと熱可塑性樹脂との他の組み合わせによって膨潤または被覆された、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を含むことが可能である。
【0041】
図6Aから
図6Eにおいて説明されているように、一連のフィルム層またはストラップを、第1の円筒形部分(第2の円筒形部分よりも大きい直径)上に、および、一体的に連結されているマンドレルの先細部分上に、付着させる。先細部分614上に配置されている薄いポリマーフィルム604のストラップを伴うマンドレル600の正面図が、
図6Aに示されている。先細部分614上に配置されている薄いポリマーフィルム604のストラップを伴うマンドレル600の(
図6Aの)右側面図が、
図6Bに示されている。図示されているように、フィルムストラップ604は、一体状のシャフト618の基部に対して隣接している。同様に、
図6Cが、先細部分614上に配置されている薄いポリマーフィルム604のストラップを伴うマンドレル600の(
図6Aの)背面図である。
図6Dは、先細部分614上に配置されている薄いポリマーフィルム604のストラップを伴うマンドレル600の(
図6Aの)左側面図である。これらのストラップの幅とサイズとが用途に応じて様々であることが可能であることに留意されたい。
【0042】
上に重なるフィルム/熱可塑性製造補助器具602に対して、フィルムストラップ604の一部分を皺を伸ばして熱接着(heat tack)し、この結果としてマンドレル600上に形成されている1つのフィルムストラップが得られる。
【0043】
図6Eは、一体状シャフト618に隣接しているフィルム604を示す(
図6Aの)平面図である。参考のために述べると、図示されているフィルムは(マンドレル600を基準として)「ゼロ度」位置に配置されている。2つの追加のフィルムストラップが、このフィルムストラップが一体状シャフト618に隣接する箇所が前のフィルムストラップに対して約120°に方向配置されているように、「時計状(clocked)」の形で追加されることが可能である。この2つの追加のフィルムストラップは、製造補助器具602に熱接着されることが可能であり、この結果として、マンドレル600上に形成された3つのフィルムストラップが得られる。
【0044】
フィルムストラップとして使用されるポリマーフィルムは、熱可塑性(または熱硬化性)接着剤によって片面が被覆されている延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を含むことが可能である。
図6Aから
図6Eの3つのフィルムストラップは、マンドレルから外向きに方向配置されている接着剤側面を有することが可能である。
【0045】
ePTFEは、米国特許第3,953,566号明細書および米国特許第4,187,390号明細書によって教示されているように製造されることが可能であり、これらの特許明細書は本明細書に参照として援用されている。別の実施形態では、このePTFEは、熱可塑性(または熱硬化性)接着剤、シリコーン接着剤、シリコーンエラストマー、シリコーンディスパージョン、ポリウレタン、または、別の適切なエラストマー材料で含浸されている。含浸は、多孔性PTFEの孔を少なくとも部分的に満たすことを含む。米国特許第5,519,172号明細書は、米国特許第7,462,675号明細書に教示されているエラストマーのようなエラストマーによる多孔性PTFEの含浸を詳細に教示している。一実施形態では、本発明によってバルーンカバーの形に形成される時に、カバーが膨張および収縮し、したがってバルーンの縮小および/または再折り畳みを行うように、このフィルムがエラストマーを含む。
【0046】
円周方向に巻き付けられたフィルム層が、巻き付けられたマンドレルに付加されることが可能である。巻き付けられたフィルム製造補助器具702と、巻き付けられた3つのポリマーフィルムストラップ704とを有する、マンドレル700が
図7Aに示されている。
図7Bに示されているように、フィルム層706が第1の円筒形部分(
図4、402)の周りに円周方向に巻き付けられることが可能である。この円周方向に巻き付けられたフィルム層706は、図示されているように端から端(708、710)までの重なり合いを有することが可能である。外周巻き付け物706として使用されるポリマーフィルムは、熱可塑性(または熱硬化性)接着剤で片面が被覆されているePTFEフィルムを含むことが可能である。この外周巻き付け物706は、マンドレルから外向きに方向配置されている接着剤側面を有することが可能である。このフィルムの重なり合い端部が、互いに1つに熱接着および接合されることが可能である。
【0047】
3つの追加のフィルムストラップが第1の円筒形部分(
図4、402)に付加されることが可能である。第1の追加のフィルムストラップは、このフィルムストラップが一体状シャフト618(
図6)に接触する箇所が前のフィルムストラップに対して約60°に方向配置されているように、「時計状」の形態で追加されることが可能である。その次に、第2および第3の追加のフィルムストラップが、フィルムストラップが一体状シャフト618(
図6)に隣接する箇所が前のフィルムストラップに対して約120°に方向配置されているように、「時計状」の形態で追加されることが可能である。
【0048】
フィルム/熱可塑性製造補助器具602(
図6)上に重なるフィルムストラップの一部分が皺を伸ばされて、製造補助器具に熱接着されることが可能である。
【0049】
フィルムストラップとして使用されるポリマーフィルムは、熱可塑性(または熱硬化性)接着剤で片面が被覆されているePTFEフィルムを含むことが可能である。3つの追加のフィルムストラップは、マンドレルに向かって内向きに方向配置されている接着剤側面を有することが可能である。
【0050】
円周方向に巻き付けられたフィルム層が、巻き付けられたマンドレルに付加されることが可能である。外周巻き付け物として使用されるポリマーフィルムは、熱可塑性(または熱硬化性)接着剤で片面が被覆されているePTFEフィルムを含むことが可能である。この外周巻き付け物は、マンドレルに向かって内向きに方向配置されている接着剤側面を有することが可能である。
【0051】
図6Aから
図6Eに説明されているプロセスと同様のプロセスを使用して、一連のフィルム層またはフィルムストラップが、第2の円筒形部分(第1の円筒形部分よりも小さい直径)上と、一体的に連結されているマンドレルの先細肩部部分上とに付着させられることが可能である。
【0052】
6つのフィルムストラップが上述のプロセスによって付着させられることが可能である。フィルムストラップの接着剤側面がマンドレルから外向きに方向配置されていることが可能である。
【0053】
円周方向に巻き付けられたフィルムの2つの層が、巻き付けられたマンドレルに付加されることが可能である。この円周方向に巻き付けられたフィルムは、上述のプロセスによって付加されることが可能であり、および、マンドレルから外向きに方向配置されているフィルムストラップの接着剤側面を有することが可能である。
【0054】
その次に、フィルムを巻き付けられた第1および第2の円筒形部分と、一体的に連結された先細部分とを有するマンドレルが、空気対流(例えば、250℃に設定された炉内において約30分間)内で熱処理されることが可能である。この熱処理は、熱可塑性接着剤をリフロー(reflow)して、様々なフィルム層を互いに1つに接合する。その次に、マンドレルとフィルムとが、約30分間にわたって周囲強制空気冷却(ambient forced air cooling)される。
【0055】
その次に、第1および第2の円筒形部分と、一体的に連結された先細部分との上の接合されたフィルムが、円周方向において切断されてマンドレルから取り外されることが可能である。円周方向の切断の位置が、第1のカバー部分と第2のカバー部分との所望の第1のカバー本体部分と第2のカバー本体部分とをそれぞれに決定することが可能である。
図8Aは、第1のカバー先細部分314に一体的に連結されている第1のカバー本体部分312を有する、より大きい直径の第1のカバー部分313を備えるバルーンカバー300の側面斜視図である。第1のカバー先細部分314は、第1のカバー先細部分314の頂点に位置している開口部316を有する。第2のカバー先細部分320に一体的に連結されている第2のカバー本体部分318を有する、より小さい直径の第2のカバー部分315も、
図8Aに示されている。第2のカバー先細部分320は、第2のカバー先細部分320の頂点に位置している開口部322を有する。
【0056】
図8Aにさらに示されているように、第2のカバー部分315は、方向矢印(820、822)によって示されているように、第1および第2のカバー部分を平行移動させることによって、第1のカバー部分313の中に挿入されることが可能であり、したがって、第1のカバー本体部分312と第2のカバー本体部分318は互いに概ね重なり合っている。本明細書では、「互いに概ね重なり合っている」は、約50%から約100%の第1および第2のカバー本体部分の重なり合いとして定義される。特定の実施形態では、「互いに概ね重なり合っている」は、カバー作用長さを画定する第1および第2のカバー本体部分の約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約98%を含む。
【0057】
別の実施形態では、バルーンカバーは、さらに、カバー先細部分の各々から延びる脚部分を備えるだろう。この脚部分は、例えば、
図2に示されているバルーン脚部分204をその中に受け入れる働きをすることが可能である。
図8Bは、第1の脚付きカバー部分313bと第2の脚付きカバー部分315bとを備える脚付きバルーンカバー300bの側面斜視図である。第1の脚付きカバー部分313bは、第1のカバー先細部分314に一体的に連結されている第1のカバー本体部分312を含み、さらには、第1のカバー先細部分314の頂点に配置されているカバー脚部分1504を備える。第2の脚付きカバー部分315bは、第2のカバー先細部分320に一体的に連結されている第2のカバー本体部分318を含み、さらには、第2のカバー先細部分320の頂点に配置されているカバー脚部分1504を備える。
【0058】
第1のカバー本体部分312と第2のカバー本体部分318を互いに1つに接合するための準備として、第1のカバー部分313と第2のカバー部分315が、
図9Aから
図9Cに概略的に示されているように、カップ形状のアセンブリ300aを形成するように平らにされる。
図9Aは、作用長さ902を画定する所望の量に第2のカバー本体部分318が第1のカバー本体部分312によって覆われるようにアセンブリされ終わった後の、平らにされた第1のカバー部分313と第2のカバー部分315との平面図である。
図9Aに示されているように、第2のカバー本体部分318の大部分は第1のカバー本体部分312によって覆われている。第1のカバー部分313と第2のカバー部分315とのカバー先細部分の頂点に位置している開口部316、322も示されている。
図9Bは、
図9Aに示されているカップ形のアセンブリの正面図であり、一方、
図9Cは、
図9Aに示されているカップ形のアセンブリ300aの右側面図である。
【0059】
図10Aから
図10Cは、第1のカバー本体部分312と第2のカバー本体部分318とを互いに1つに接合するために使用される方法を説明する。作用長さ902に近似する長さ902aを有するリング1000が
図10Aに示されている。
図10Bと
図10Cとに示されているように、リング1000は、カップ形のアセンブリ300aの中に挿入されることが可能である。
図10Cに示されているように、リング1000は、カップ形アセンブリ300aの中に係合するような寸法にされている直径1010を有する。その次に、Kapton
TMのような高温度ポリマーフィルムの層が、リング1000がカップ形アセンブリ300aの中に挿入された後に、リング1000およびカップ形アセンブリ300aの周りに円周方向に巻き付けられることが可能である。高温度繊維が、この高温度ポリマーフィルムとリング1000とカップ形アセンブリ300aとの周りに円周方向に巻き付けられることが可能である。加熱されると、この高温度繊維は、高温度ポリマーフィルムとリング1000とカップ形アセンブリ300aとの周りで縮んで収縮することが可能であり、および、したがって、互いに重なり合った第1のカバー本体部分312と第2のカバー本体部分318との上に圧力を加えることが可能である。高温度繊維を固定した後に、これらの構成要素は、空気対流炉内で約30分間にわたって約250℃に加熱されることが可能である。収縮する高温度繊維によって加えられる圧力が、互いに重なり合う第1のカバー本体部分312および第2のカバー本体部分318の内部の熱可塑性樹脂層がリフローしてこれらの層の間の接合を形成することを生じさせる。
【0060】
その次に、このアセンブリが、約30分間にわたって周囲強制空気冷却されることが可能である。高温度繊維と高温度フィルムとリング1000は取り外されることが可能であり、および、互いに接合された第1および第2のカバー部分は、バルーンカバー300を形成するように拡張されることが可能である。カテーテル上に取り付けられた圧縮されたバルーンがバルーンカバー300の中に挿入されることが可能であり、これによって、
図3Aにおいて前述したカバー付きバルーンを形成する。このバルーンは、バルーンカバーに形状的に一致するように膨張させられ、その後に部分的に収縮させられることが可能である。バルーンが部分的に収縮させられている最中に、接着剤が、下に位置するバルーンに対して、互いに反対側に位置したバルーンカバー端部を接着するために、バルーンカバー開口部(
図9Aの316、322)の中に注入されることが可能である。この接着剤は硬化させられて、
図1Aと
図1Bとに示されているように、実施形態によるバルーン200とバルーンカバー300とを有するカテーテルシステムを形成することが可能である。一実施形態では、バルーンカバー300は、バルーン200のバルーン脚部分204(
図2を参照されたい)を覆わない。別の実施形態では、バルーンカバー300は、カテーテル、または、バルーン200が取り付けられている他の何らかの構造に取り付けられることがない。
【0061】
本明細書に示されている実施形態によるバルーンカバーは、異なるサイズのバルーンに合わせて拡大縮小できる。例えば、実施形態によるカバーを有する直径24mmから37mmのバルーンが9atm(0.9119MPa)から20atm(2.0265MPa)の破裂圧力を有することがある。同様に、より小さい直径のバルーン、例えば直径5mmのバルーンが、本明細書に示されている実施形態によるバルーンカバーを付加することによって、高圧バルーンに変換されることが可能である。一実施形態では、3atm(0.304MPa)の定格破裂圧力を有する約29mmのバルーンが、本明細書に示されている実施形態によるバルーンカバーを付加することによって、約11atm(1.1146MPa)の破裂圧力を有する高圧バルーンに変換されるだろう。別の実施形態では、直径5mmのバルーンが、本明細書に示されている実施形態によるバルーンカバーを付加することによって、約45atm(4.5596MPa)の破裂圧力を有することがある。
【0062】
バルーンカテーテルシステムの一実施形態が、バルーン作用長さと拡張および非拡張直径とを有する膨張可能な医療用バルーンと、長さと拡張および非拡張直径とを有するバルーンカバーとを備えるバルーンカテーテルを備え、このバルーンカバーは第1のカバー部分および第2のカバー部分を備え、この第1のカバー部分および第2のカバー部分の各々は、カバー先細部分の頂点に位置した開口部を有するカバー先細部分に一体的に連結されているカバー本体部分を備え、および、第1のカバー部分および第2のカバー部分のカバー先細部分は、バルーンカバーの互いに反対側に位置した端部に位置しており、および、第1のカバー本体部分および第2のカバー本体部分は、カバー作用長さを画定するバルーン作用長さの大部分において重なり合う。別の実施形態では、医療用バルーンは非順応性バルーン(non−compliant balloon)である。別の実施形態では、この医療用バルーンは順応性バルーンである。別の実施形態では、このバルーンカバーはフィブリル化材料(fibrillated material)を含む。別の実施形態では、このフィブリル化材料はePTFEである。別の実施形態では、ePTFE中のフィブリルは半径方向に方向配置されている。別の実施形態では、バルーンカバーは、互いに接着されているePTFEの複数のストリップを含む。別の実施形態では、これらのストリップは、バルーンカバーのカバー本体部分とカバー先細部分との上に、複数の角度配置の形で置かれている。別の実施形態では、バルーンカバーは医療用バルーンに接着されている。別の実施形態では、カバー作用長さが、バルーン先細部分の一部分の上に重なる。別の実施形態では、バルーンカバーの拡張直径が、医療用バルーンの拡張直径よりも小さい。
【0063】
別の実施形態では、バルーンカバーは、長さと、非拡張および拡張直径と、第1および第2のカバー部分とを備え、この第1および第2のカバー部分の各々は、カバー先細部分の頂点に位置した開口部を有するカバー先細部分に一体的に連結されているカバー本体部分を備え、および、第1のカバー部分および第2のカバー部分のカバー先細部分は、バルーンカバーの互いに反対側に位置した端部に位置しており、および、第1および第2のカバー本体部分は、バルーンカバーの長さの大部分において重なり合う。
【0064】
様々な代替案の実施形態が作られることが可能である。例えば、バルーンカバーの実施形態が、バルーンカバーが3つ以上のカバー部分を有するように追加のバルーンカバー部分を含むことが可能である。実施形態によるバルーンカバーは、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、または、10つ以上の連続した重なり合い部分を有することが可能である。バルーンカバーは、さらに、様々な長さおよび/または非円形断面輪郭のカバー先細部分を有するように形成されることも可能である。バルーンカバーの実施形態は、さらに、バルーンカバーの強度または剛性を強化するために、高強度繊維、編みひも、または、他の要素のような補強要素を含むことが可能である。実施形態によるバルーンカバーは、さらに、薬剤、治療薬剤、潤滑性被覆、または、X線不透過性標識を提供するための表面処理を含むことも可能である。ガイドワイヤ導管が、バルーンとバルーンカバーとの間に設けられることが可能であり、この結果として、採用随意の「迅速交換(rapid exchange)」構成が得られる。
【0065】
別の実施形態では、
図12Aから
図12Eが、様々な中間カバー部分を伴った第1のカバー部分1213と第2のカバー部分1215を備えるバルーンカバーの実施形態の側面断面図を示す。
図12Aは、第1のカバー部分1213と第2のカバー部分1215と中間カバー部分1230とを備えるバルーンカバー1200の側面断面図である。第1のカバー部分1213と第2のカバー部分1215は、同軸の形に位置合わせされており、かつ、互いに隣接しており、間隙1232を画定する。中間カバー部分1230は間隙1232を架橋し、および、第1のカバー本体部分1212と第2のカバー本体部分1218とによって少なくとも部分的に覆われている。
【0066】
図12Bは、第1のカバー部分1213と第2のカバー部分1215と中間カバー部分1234とを備えるバルーンカバー1201の側面断面図である。第1のカバー部分1213と第2のカバー部分1215は同軸の形に位置合わせされており、かつ、間隙1235を画定するように互いに間隔を開けられている。中間カバー部分1234は間隙1235を架橋し、および、第1のカバー本体部分1212と第2のカバー本体部分1218によって少なくとも部分的に覆われている。
【0067】
図12Cは、第1のカバー部分1213と第2のカバー部分1215と中間カバー部分1236とを備えるバルーンカバー1202の側面断面図である。中間カバー部分1236は、第1および第2のバルーンカバー部分の直径よりも小さい段付き直径を画定する。第1のカバー部分1213と第2のカバー部分1215は同軸の形に位置合わせされており、かつ、間隙1235を画定するように互いに間隔を開けられている。中間カバー部分1236は間隙1235を架橋し、および、第1のカバー本体部分1212と第2のカバー本体部分1218によって少なくとも部分的に覆われている。
【0068】
図12Dは、第1のカバー部分1213と、第2のカバー部分1215と、中間カバー部分1238とを備えるバルーンカバー1203の側面断面図である。中間カバー部分1238は、第1および第2のバルーンカバー部分の直径よりも大きい段付きの直径を画定する。第1のカバー部分1213と第2のカバー部分1215は同軸の形に位置合わせされており、かつ、間隙1235を画定するように互いに間隔を開けられている。中間カバー部分1238は間隙1235を架橋し、および、第1のカバー本体部分1212と第2のカバー本体部分1218によって少なくとも部分的に覆われている。
【0069】
図12Eは、第1のカバー部分1213と、第2のカバー部分1215と、中間カバー部分1240とを備えるバルーンカバー1204の側面断面図である。中間カバー部分1240は、第1および第2のバルーンカバー部分の直径よりも大きい段付きの直径を画定する。中間カバー部分1240は、その中間カバー部分1240の外周部に沿った溝1242を含む。第1のカバー部分1213と第2のカバー部分1215は同軸の形に位置合わせされており、かつ、間隙1235を画定するように互いに間隔を開けられている。中間カバー部分1238は間隙1235を架橋し、および、第1のカバー本体部分1212と第2のカバー本体部分1218によって少なくとも部分的に覆われている。
【0070】
本明細書で提示されている実施形態のバルーンカバーは、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または、6つ以上の追加の中間カバー部分を含むことが可能である。この中間カバー部分は、互いに類似しているかまたは類似していない形状または輪郭を有することが可能であり、および、個別の用途に合わせて形状構成されることが可能である。例えば、段付きの中間カバー部分は、心臓弁ステントを拡張して固定するように形状構成されることが可能である。別の実施形態では、段付きの中間カバー部分は、静脈弁、肺動脈弁、または、非円筒形ステントを拡張して固定するように形状構成されることが可能である。
【0071】
別の実施形態では、長さと、第1のカバー部分および第2のカバー部分と、非拡張直径および拡張直径と、中間部分の第1の端部とこの中間部分の第1の端部とは反対側に位置した中間部分の第2の端部とを有する中間部分とを備えるバルーンカバーが提供され、および、このバルーンカバーでは、第1のカバー部分と第2のカバー部分の各々は、カバー先細部分の頂点に位置した開口部を有するカバー先細部分に一体的に連結されているカバー本体部分を備え、および、第1のカバー部分と第2のカバー部分のカバー先細部分は、バルーンカバーの互いに反対側に位置した端部に位置しており、および、中間部分の第1の端部が第1のカバー部分のカバー本体部分の少なくとも一部分と重なり合い、かつ、中間部分の第2の端部が第2のカバー部分のカバー本体部分の少なくとも一部分と重なり合う。
【0072】
別の実施形態では、長さと、第1のカバー部分および第2のカバー部分と、非拡張直径および拡張直径と、中間部分の第1の端部とこの中間部分の第1の端部とは反対側に位置した中間部分の第2の端部とを有する中間部分とを備えるバルーンカバーが提供され、および、このバルーンカバーでは、第1のカバー部分と第2のカバー部分の各々は、カバー先細部分の頂点に位置した開口部を有するカバー先細部分に一体的に連結されているカバー本体部分を備え、および、第1のカバー部分と第2のカバー部分のカバー先細部分は、バルーンカバーの互いに反対側に位置した端部に位置しており、および、中間部分の第1の端部が第1のカバー部分のカバー本体部分の少なくとも一部分と重なり合い、かつ、中間部分の第2の端部が第2のカバー部分のカバー本体部分の少なくとも一部分と重なり合う。別の実施形態では、バルーンカバーがその拡張直径の状態である時に、中間区域が、砂時計形、三角形、正方形、長方形、楕円形、または、他の多角形から成るグループから選択される形状をバルーンカバーに与える。別の実施形態では、中間区域が、第1のカバー部分および第2のカバー部分とは異なる材料を備える。別の実施形態では、中間区域がePTFEを含む。
【0073】
膨張したバルーンの形状に対して相補的な任意の適切な形状をカバー先細部分が画定するだろうということを理解されたい。再び
図8を参照すると、第1のカバー先細部分314と第2のカバー先細部分320とが円錐形状を画定する。
図13は、一実施形態による別のバルーンカバー1300の側面斜視図である。バルーンカバー1300は、球形を画定する第1のカバー先細部分1324と第2のカバー先細部分1324を備えることを除いて、
図8Aに示されている実施形態と概ね同じである。
【0074】
種々の代替案のバルーン構成では、本明細書に提示されている実施形態によるバルーンとバルーンカバーは、バルーンの特性またはバルーンシステムの特性を変化させることが可能な付加的なカバー層を含むだろう。特に、付加的なバルーンカバーは、バルーンが膨張させられる際のバルーン形状を変化させることが可能である。実施形態による他の追加のカバーは、バルーンの膨張輪郭を変更または増大させることが可能である。これに加えて、カバー脚部分が、バルーンに対するバルーンカバーの高強力接合を可能にするために、
図3Aに示されているようにバルーン脚部分204に対して相補的なバルーンカバーに提供されるだろう。一実施形態では、この付加的なバルーンカバーは脆弱性バルーンカバーを含む。別の実施形態では、この脆弱性バルーンカバーはePTFEを含む。
【実施例1】
【0075】
本発明の範囲を限定する意図なしに、下記の実施例が、どのように本発明の種々の実施形態が製造および/または使用されることが可能であるかを例示する。
(実施例1)
【0076】
一実施形態によるバルーンカバーが、後述の追加の詳細事項を伴って、上述の方法にしたがって製造された。
【0077】
次の寸法を有するマンドレルが用意された。すなわち、第1の円筒形部分の直径が1.142″(29.0068mm)であり、第1の円筒形部分の長さが1.378″(35.0012mm)であり、第2の円筒形部分の直径が1.130″(28.7020mm)であり、第2の円筒形部分の長さが1.378″(35.0012mm)であり、互いに反対側に位置した先細部分が90°の角度(included angle)を有し、および、互いに反対側に位置したシャフトが0.157″の直径を有した。マンドレルは300シリーズのステンレス鋼から製造された。
【0078】
製造補助器具(フィルム)が、幅が約0.75で長さが約8″(203.2mm)であった。このフィルムストラップは、Chang他に対する米国特許第7,462,675号明細書に説明されているようなフルオロエラストマー熱可塑性接着剤と積層された、Kennedy他に対する米国特許第7,521,010号明細書に説明されているような高密度フルオロポリマーを含んだ。このフィルムは次の属性を有した。
複合物の厚さ=5μm
複合物の面積当たりの質量=11.1g/m
2
長さ方向の基材の引張り強さ(machine direction matrixtensile strength)=356MPa
【0079】
3つの完全な外周巻き付け物がマンドレル上に積層された。熱接着はんだごてが、約650°F(343.3℃)に設定された。
【0080】
フィルムストラップは幅が約0.75″(19.05mm)であり、上述した製造補助器具と同一のフィルムであった。円周方向に巻き付けられたフィルムは幅が約1″(25.4mm)であり、上述した製造補助器具と同一のフィルムであった。
【0081】
熱処理温度が約250℃であり、および、熱処理時間が約30分間だった。
【0082】
第1および第2のカバー部分が、約25mmのカバー本体部分を有するように切断された。
【0083】
金属リングが、約24mmの長さと、約38mmの外径と、約35mmの内径とを有し、および、300シリーズのステンレス鋼で製造された。高温度ポリマーフィルムは、厚さが0.004″(0.1016mm)で幅が40mmのKapton(登録商標)だった。高温度繊維が熱収縮性フルオロポリマーだった。熱処理温度が約250℃であり、熱処理時間が約30分間だった。
【0084】
バルーンがポリエチレンテレフタレート(PET、熱可塑性ポリエステル)から製造され、および、約29mmの公称外径と、約26mmの公称作用長さと、約0.0028″(0.0711mm)の公称壁厚さ(作用長さに沿った)と、約90°の円錐角度と、約3.4mmの互いに反対側に位置した脚部分の外径とを有した。バルーンカバーは、LOCTITE(登録商標)接着剤(部品番号495)によって、下に位置するバルーンに接着され、その後で周囲条件で硬化させられた。
【0085】
バルーンカバーは、バルーン膨張直径を基準として約5%だけ減寸させられ、膨張したバルーンによってバルーンカバーに対して及ぼされる荷重をそのバルーンカバーが吸収することを可能にした。
(実施例2)
【0086】
実施例1からのバルーンカバーが取り付けられたバルーンに対して、引き通し試験(pull through test)を行った。この引き通し試験は、収縮状態のバルーンを一連のゲージ穴(gage hole)の中を引き通すために必要とされる力を測定するように意図されていた。この試験は、導入器シース(introducer sheath)の中に収縮状態のバルーンを引っ込めるために必要とされる力をエミュレートすることが意図されていた。
【0087】
10.2kgの引張荷重セル(tension load cell)を伴う垂直汎用機械的試験システム(Instron
TM、Model 5564、Norwood、MA、USA)が、引き通し力を測定するために構成された。水浴がこの試験システムと整合させられて、約37℃に加熱された。一連の様々な直径の引き通し穴を有する縦方向に分割されたゲージが、加熱された水浴の中に固定された。
【0088】
実施例1からのバルーンカバーが取り付けられたバルーンカテーテルを用意した。このバルーンカテーテルのシャフトの遠位部分を荷重セルヘッド(load cell head)に締め付け固定した。一連の様々な直径の引き通し穴を有するゲージを、第1の大きな直径の穴(面取り/切断端縁導入部を有する22Fまたは約0.29″(7.366mm))の中にカテーテルシャフトの近位部分を挿入することを可能にするために、「分割(split open)」した。その次に、ゲージの半分部分を互いに位置合わせして締め付け固定し、カテーテルシャフトの近位部分を包囲した。その次に、バルーンを約2atm(0.2027MPa)に膨張させ、その次に、真空によって収縮させた。この真空を、カテーテルの近位端部上に位置したストップコック(stop cock)によって維持した。その次に、バルーンカバー付きの収縮したバルーンを、瞬間的な引張力を記録しながら、約10″(254mm)/分の速度でゲージ穴の中を引き通した。
【0089】
その次に、ゲージを開き、カテーテルシャフトを、その次のより小さいゲージ穴の中に入れた。そのゲージを再組立し、バルーンを約2atm(0.2027MPa)に再膨張させ、その次に、上述したように収縮させた。その次に、バルーンカバー付きの収縮したバルーンを、瞬間的な引張力を記録しながら、ゲージ穴の中を引き通した。
【0090】
試験シーケンスを、次第に小さくなるゲージ引き通し穴を使用して繰り返した。膨張中にバルーンが破裂または漏洩した場合に、または、引き通し力が予め決められた限界を超えた時に、試験シーケンスを終了した。実施例1によるバルーンカバーを伴う下に位置する典型的な29mmのバルーンの場合の引き通し穴の直径は、22F(約0.29″(7.366mm))から11F(約0.145″(3.683mm))の範囲内であった。
【0091】
本明細書に示されている実施形態によるバルーンカバーを伴わないバルーンも、比較用データを生じさせるために、引き通し試験で評価した。
(実施例3)
【0092】
実施例1からのバルーンカバーが取り付けられているバルーンに対して、バルーンの順応性、膨張/破裂の試験を行った。このバルーンの順応性、膨張/破裂試験は、実施例1からのバルーンカバーが取り付けられたバルーンを破裂または爆発させるために必要とされる内部バルーン圧力を測定することと共に、「バルーン直径」対「内部圧力」を測定するように意図されていた。
【0093】
バルーン順応性/破裂試験システムを用意した(Interface Associates、Laguna Niguel、CA、USA、Model PT3070)。この試験システムは、約37℃に加熱された水浴と、加圧水供給/圧力測定システムと、拡張したバルーンおよびバルーンカバーの外径を測定するためのレーザーマイクロメータとを有した。バルーン順応性/破裂試験パラメータを次の表1に示してある。
【表1】
【0094】
バルーンカバーが取り付けられているバルーンから、一連の真空による空気の引き抜きとその後の水膨張とによって空気を排出した。この空気の引き抜きを、バルーンカテーテルから空気が引き抜けなくなるまで繰り返した。空気の引き抜きの後に、カテーテルに対して順応性/破裂試験を行った。
【0095】
本明細書に示されている実施形態によるバルーンカバーを伴わないバルーンも、比較用データを生じさせるために、順応性/破裂試験で評価した。
(実施例4)
【0096】
実施例1からのカバーが取り付けられているバルーンに対して、引き通し試験(実施例2)と、バルーン順応性、膨張/破裂試験(実施例3)とを行った。これに加えて、バルーンカバーなしのバルーンに対して、比較用データを生じさせるために、引き通し試験と、順応性/破裂試験とを行った。試験結果を
図11Aと
図11Bとに示してある。
【0097】
これらのデータは、本明細書に示されている実施形態によるバルーンカバーの存在が、引き通し力を大きく損なうことなしに、バルーンカバーシステムを伴うバルーンの破裂強度を著しく増大させるということを示す。
【0098】
本明細書に示されている実施形態によるバルーンカバーは、低送達輪郭を維持すると同時により高い定格破裂圧力に達するようにバルーンの強度を増大させる。さらに、本明細書に示されている実施形態によるバルーンカバーは、膨張中にバルーンの輪郭を調節して、バルーンの作用長さに沿った首尾一貫した均一な直径を実現する。
【0099】
バルーンカバーは、バルーンの一方の端部が反対側の端部に先立って拡張直径に達すること、または、バルーンの中間部分が両端部に先立って拡張直径に達することを、防止するだろう。膨張中の輪郭のこの一貫性が、ステントがバルーンの長さに沿って長さ方向に移動させられて部分的にまたは完全にバルーンから脱落する可能性を低下させる。膨張中の輪郭の一貫性は、ステントが均一に拡張させられてから血管壁に均一に係合するので、血管外傷の可能性を低下させる。
【0100】
別の実施形態では、各々の中間直径においてバルーンの長さに沿って均一な輪郭(すなわち、相対的に均一な直径)を提供する、送達中に医師にとって識別可能な1つまたは複数の中間膨張直径を提供する働きをするバルーンカバーが提供される。一実施形態では、第1の圧力における中間直径と、第2の圧力における中間直径よりも大きい第2の直径とにバルーンが膨張することが可能であるように働くことが可能な、バルーンカバーが提供される。
【0101】
別の実施形態では、各々の中間直径においてバルーンの長さに沿って均一な輪郭(すなわち、相対的に均一な直径)を提供する、送達中に医師にとって識別可能な1つまたは複数の中間膨張直径を提供する働きをするバルーンカバーが提供され、および、このバルーンは非順応性である。本明細書において定義される「非順応性の」は、圧力の増大にさえ応じて、予め設定された直径に単独で膨張するバルーンの特性である。したがって順応性であると見なされる圧力増大に応じて伸張することがある材料を含むバルーンに比較して。一実施形態では、第1の圧力における中間直径と、第2の圧力における中間直径よりも大きい第2の直径とにバルーンが膨張することが可能であるように機能するバルーンカバーが提供される。
【0102】
図15Aは、「バルーン直径」対「バルーン圧力」のグラフであり、このグラフは、中間直径と最終直径の各々においてバルーンの長さに沿って均一な輪郭(すなわち、相対的に均一な直径)を提供する、送達中に医師にとって識別可能な中間直径および最終膨張直径とを提供する働きをする手段を備える、バルーンカバーシステムの膨張シーケンス1700aを概略的に示す。このバルーンは、収縮状態における約4mmの初期直径を有する(1702)。バルーン内の圧力が増大するのに応じて、バルーン直径が増大し(1704)、約5atm(0.5066MPa)に圧力が増大する間に約14mmの中間直径に達する(1708)。バルーン直径が約14mmである約5atm(0.5066MPa)において、中間直径と最終膨張直径とを実現する働きをする手段が、約2atm(0.2027MPa)の圧力において(1712)、バルーンが拡張し続けることを可能にする(1710)。約23mmの直径において、バルーンとバルーンカバーとが、さらに拡張することに抵抗し、圧力が上昇し始める(1714)。圧力が2atm(0.2027MPa)を超えて増大するのに応じて、バルーンは、特定の目的にとって望ましい最終直径であることがある25mmに概ね留まる(1716)。
【0103】
約2atm(0.2027MPa)と約5atm(0.5066MPa)との間の相対的により急速の圧力増加(1708)が、バルーンの長さに沿った均一な輪郭(直径)をバルーンが形成することを可能にするだろう。例えば、非限定的ではあるが、バルーンがカテーテルシャフト上に押し付けられることによって生じさせられる、バルーンの長さに沿ったあらゆる折り目、皺、または、他の不均一な膨張輪郭が、(1708)において膨張圧力の下で滑らかにされ終わっている。(1708)における圧力の増大が、バルーンが概ね中間直径に拡張し終わっているという触覚的フィードバックを医師に提供する。(1711)における急激な圧力低下が、さらなる拡張を可能にするためにバルーンが釈放され終わっているという触覚的フィードバックを医師に提供する。(1712)における相対的に均一な圧力での直径増大が、バルーンが拡張すると同時に、このバルーンの長さに沿って均一な輪郭(直径)に達するということを実現する。(1714)における圧力増大は、バルーンがおおよそ最終直径まで拡張し終わったという触覚的フィードバックを医師に提供する。
【0104】
図15Bは、「バルーン直径」対「バルーン圧力」のグラフであり、このグラフは、中間直径と最終直径の各々においてバルーンの長さに沿って均一な輪郭(すなわち、相対的に均一な直径)を提供する、送達中に医師にとって識別可能な複数の中間直径および最終膨張直径とを提供する働きをする手段を備える、バルーンカバーシステムの膨張シーケンス1700bを概略的に示す。このバルーンは、収縮状態における約4mmの初期直径を有する(1702)。バルーン内の圧力が増大するのに応じて、バルーン直径が増大し(1704)、約5atm(0.5066MPa)に圧力が増大する間に約14mmの第1の中間直径に達する(1710a)。バルーン直径が約14mmである約5atm(0.5066MPa)において、複数の中間直径と最終膨張直径とを実現する働きをする手段が、約2atm(0.2027MPa)の圧力において(1712a)、バルーンが拡張し続けることを可能にする(1710a)。圧力が2atm(0.2027MPa)を超えて増大する(1714a)時に、バルーンは約23mmのままである(1710b)。バルーン直径が約23mmである約7atm(0.7093MPa)において、複数の中間直径と最終膨張直径とを実現する働きをする手段が、約4atm(0.4053MPa)の圧力においてバルーンが拡張し続けることを可能にする(1710b)。約26mmの第2の中間直径において、バルーンとバルーンカバーとが、さらに拡張することに抵抗する(1714b)。圧力が4atm(0.4053MPa)を越えて増大する時には、バルーンは、特定の目的にとって望ましい最終直径であることがある26mmに概ね留まる(1716)。
【0105】
約2atm(0.2027MPa)と約5atm(0.5066MPa)との間の相対的により急激な圧力増加(1708)が、バルーンの長さに沿った均一な輪郭(直径)をバルーンが形成することを可能にするだろう。例えば、非限定的ではあるが、バルーンがカテーテルシャフト上に押し付けられることによって生じさせられるあらゆる折り目、皺、または、他の不均一な輪郭が、膨張圧力の下で滑らかにされ終わっている(1708)。(1708)における圧力の増大が、バルーンが概ね第1の中間直径に拡張し終わっているという触覚的フィードバックを医師に提供する。(1711a)における急激な圧力低下が、さらなる拡張を可能にするためにバルーンが釈放され終わっているという触覚的フィードバックを医師に提供する。(1712)における相対的に均一な圧力での直径増大が、バルーンが拡張しながら、このバルーンの長さに沿って均一な輪郭(直径)に達するということを実現する。(1714a)における圧力増大は、バルーンが概ね第2の中間直径まで拡張し終わったという触覚的フィードバックを医師に提供する。(1711b)における急激な圧力低下が、さらなる拡張を可能にするためにバルーンが釈放され終わっているという触覚的フィードバックを医師に提供する。(1714b)における圧力増大が、バルーンが概ね最終直径まで拡張し終わっているという触覚的フィードバックを医師に提供する。
【0106】
その曲線に沿った様々な点を有する
図15Aと
図15Bの実施形態にしたがって提供されているコンプライアンス(「圧力」対「直径」)曲線が、中間直径において予測可能な形で、ステントの長さに沿った均一な輪郭のバルーン上にあるステントを送達する働きをする。さらに、
図15Aと
図15Bの実施形態にしたがって提供されている膨張輪郭が、ステントを送達するための安全でかつカスタマイズ可能な中間直径を医師に提供する増大する直径を有する、ステントの長さに沿った均一な輪郭を有するバルーン上にあるステントを送達する働きをする。
【0107】
一実施形態では、中間直径と最終直径の各々においてバルーンの長さに沿った均一な輪郭(すなわち、相対的に均一な直径)を提供する、送達中に医師にとって識別可能であるバルーンに対して中間直径と最終膨張直径とを提供する働きをする手段が、予め決められた直径にバルーンが膨張することを可能にすると同時にバルーンがそのバルーンの作用長さに沿って実質的に均一な直径を有することを可能にする働きをする脆弱性バルーンカバーを備える。その次に、単一の膨張管腔から膨張させられるバルーンの内部で圧力が増大するのに応じて、脆弱性バルーンカバーが破裂して、予め決められた直径にバルーンが拡張することを可能にする。一実施形態では、バルーンの直径は、そのバルーンの作用長さに沿って均一に増大する。
【0108】
一実施形態では、外部拘束物(external constraint)が、バルーンの完全に拡張した作用直径よりも小さい予め決められた中間直径にバルーンが開くことを可能にする。外部拘束物は、バルーンの外側に残存する任意の要素である。この外部拘束物は、バルーンがそのバルーンの作用長さに沿って実質的に均一な直径を有することを可能にする。単一の膨張管腔から膨張させられるバルーンの内部で圧力が増大するのに応じて、外部拘束物が、予め決められた圧力でバルーンを釈放し、バルーンの直径が増大することを可能にする。一実施形態では、バルーンの直径は、バルーンの作用長さに沿って実質的に均一に増大する。実施形態では、この外部拘束物は脆弱性カバーである。
【0109】
一実施形態では、外部拘束物が、バルーンの完全に拡張した作用直径よりも約20%大きい予め決められた中間直径にバルーンが開くことを可能にする。別の実施形態では、外部拘束物が、バルーンの完全に拡張した作用直径よりも約30%大きい予め決められた中間直径にバルーンが開くことを可能にする。別の実施形態では、外部拘束物が、バルーンの完全に拡張した作用直径よりも約50%大きい予め決められた中間直径にバルーンが開くことを可能にする。
【0110】
一実施形態では、脆弱性バルーンカバーが、バルーンの完全に拡張した作用直径よりも小さい予め決められた直径にバルーンが開くことを可能にする。本明細書に示されている実施形態によるバルーン上に備えられている様々なカバーが、バルーンがそのバルーンの作用長さに沿って実質的に均一な直径を有することを可能にする。単一の膨張管腔から膨張させられるバルーンの内部で圧力が増大するのに応じて、脆弱性カバーが破れて、バルーンの直径が増大することを可能にする。一実施形態では、バルーンの直径は、そのバルーンの作用長さに沿って実質的に均一に増大する。
【0111】
別の実施形態では、脆弱性バルーンカバーが、バルーンの完全に拡張した作用直径よりも小さい予め決められた直径にバルーンが開き、かつ、より長い作用長さにバルーンが伸長することを可能にする。
図17Dは、一実施形態による、中間膨張状態におけるカテーテルシャフト104とバルーン200と脆弱性カバー1650と外側カバー1616を示す脆弱性バルーンアセンブリ1600bの側面断面図であり、および、この脆弱性カバー1650は破裂させられてはおらず、脆弱性バルーンアセンブリ1600bの直径は中間直径Diの状態であり、および、バルーンの長さL1はバルーン作用長さLwよりも短い。
図17Eは、一実施形態による、バルーン作用直径への膨張状態におけるカテーテルシャフト104とバルーン200と脆弱性カバー1650と外側カバー1616を示す脆弱性バルーンアセンブリ1600bの側面断面図であり、および、この脆弱性カバー1650はすでに破裂させられており、および、バルーンが最終直径Dfと作用長さLwに達するようにバルーンを釈放している。本明細書に提示されている実施形態によるバルーン上に備えられている様々なカバーは、バルーンがそのバルーンの作用長さに沿って実質的に均一な直径を有することを可能にする。単一の膨張管腔から膨張させられるバルーンの内部で圧力が増大するのに応じて、脆弱性カバーが破れて、バルーンの直径と長さとが増大することを可能にする。一実施形態では、バルーンの直径は、そのバルーンの作用長さに沿って実質的に均一に増大する。
【0112】
別の実施形態では、ステントが、脆弱性カバーに隣接して配置されることがあり、および、ステントが、脆弱性カバー上に直接的に置かれることがあり、または、脆弱性カバーの頂部上に別の層が存在することが可能である。従って、バルーンの直径が増大するのに応じて、脆弱性カバーによって調節される予め決められた直径にステントの直径も増大する。この段階では、ステントは、そのステントの長さに沿って実質的に同一の直径を有するだろう。脆弱性カバーが破れた後に、バルーンの直径とステントの直径が、バルーンの作用長さに沿って、かつ、ステントの長さに沿って、均一に増大する。
【0113】
図16Aは、一実施形態による、カテーテルシャフト104と、バルーン200と、脚付きバルーンカバー300bおよび脆弱性カバー1650を備える脆弱性バルーンカバー1645とを含む、脆弱性バルーンアセンブリ1600aの側面断面図である。カテーテルシャフト104と、膨張管腔105と、バルーン200が取り付けられている膨張ポート125とが示されている。バルーンは、単一の膨張管腔から膨張させられるだろう。バルーン200は、バルーン脚部分204(
図2にも示されている)を備える。脆弱性カバー1650の破裂の以前の中間直径に膨張されられているバルーン200が
図16Aに示されている。この中間直径はバルーン200の作用直径よりも小さい。バルーンの作用直径は、膨張したバルーンの最大直径として定義される。脆弱性バルーンカバー1645は、バルーン200のバルーン先細部分206とバルーン本体部分208との周りに位置している。
【0114】
再び
図8Aと
図16Aを参照すると、脚付きバルーンカバー300bは、第1の脚付きカバー部分313bと第2の脚付きカバー部分315bとを備える。第1の脚付きカバー部分313bは、第1のカバー先細部分314に一体的に連結されている第1のカバー本体部分312を含み、さらに、第1のカバー先細部分314の頂点に配置されているカバー脚部分1504を備える。第2の脚付きカバー部分315bは、第2のカバー先細部分320に一体的に連結されている第2のカバー本体部分318を含み、さらに、第2のカバー先細部分320の頂点に配置されているカバー脚部分1504を備える。
【0115】
第1のカバー本体部分312は、バルーン本体部分208の一部分の上に重なる働きをする。第1のカバー先細部分314は、バルーン先細部分206の一部分の上に重なる働きをする。カバー脚部分1504は、バルーン200のバルーン脚部分204が中を通過することを可能にする働きをする。
【0116】
第2のカバー本体部分318は、バルーン本体部分208の一部分の上に重なる働きをする。第2のカバー先細部分320は、バルーン先細部分206の一部分の上に重なる働きをする。カバー脚部分1504は、バルーン200のバルーン脚部分204が中を通過することを可能にする働きをする。
【0117】
再び
図16Aを参照すると、第1のカバー先細部分314と第2のカバー先細部分320は、バルーンカバー300bの互いに反対側の端部に配置されている。第1のカバー部分313と第2のカバー部分315は軸線Xに沿って同軸の形で位置合わせされており、および、第1のカバー本体部分312の少なくとも一部分が第2のカバー本体部分318の少なくとも一部分の上に重なるようにバルーン200の上に重なる。
【0118】
図17Aは、一実施形態による脆弱性カバー1650の側面図である。
図16Aに示されているように、脆弱性カバー1650は、第1のカバー本体部分312上と、第2のカバー本体部分318上と、第1のカバー先細部分314および第2のカバー先細部分320の各々の少なくとも一部分の上とに重なる。脆弱性カバー1650は、バルーン200の膨張前の直径よりも大きい第1の中間直径にバルーン200の膨張を調節する働きをする。バルーン200の内部圧力が第1の予め決められた圧力に達すると、脆弱性カバー1650が破裂して、第1の中間直径よりも大きいバルーン200の作用直径にバルーン200が膨張することを可能にする働きをする(
図17Bと
図17Cを参照されたい)。
【0119】
本明細書で定義されている破裂(rupturing)は、破れること、ちぎれること、変形すること、または、降伏する(yield)ことであり、および、脆弱性カバーに関して使用される場合に、脆弱性カバーの破裂は、拘束された直径からバルーンを釈放して、下に位置するバルーンがより大きい直径に拡張することを可能にする働きをする。
【0120】
一実施形態では、バルーンカバーアセンブリ1600aは、さらに、脆弱性カバー1650と第1のカバー脚部分1504と第2のカバー脚部分1504とを覆う採用随意の外側カバー1616を備える。この外側カバー1616は、
図2に示されているバルーンに概ね類似した形状を有する。外側カバー1616は、第1のカバー脚部分1504と第2のカバー脚部分1504とに連結されるだろう。外側カバー1616は、脆弱性カバーの破裂の結果として形成されることがある脆弱性カバー1650のあらゆる破片またはばらばらの端縁(loose edge)を収容する働きをする。この採用随意の外側カバー1616は、さらに、この外側カバー上のステントがバルーンカバーの長さに沿って滑動することを防止する働きもするだろう。
【0121】
図16Bは、一実施形態による、カテーテルシャフト104とバルーン200と脆弱性カバー1650とを含む、脆弱性バルーンアセンブリ1600bの側面断面図である。カテーテルシャフト104と、膨張管腔105と、バルーン200が取り付けられている膨張ポート125とが示されている。このバルーンは、単一の膨張管腔から膨張させられるだろう。バルーン200はバルーン脚部分204を備える(
図2にも示されている)。脆弱性カバー1650の破裂の前に中間直径に膨張させられているバルーン200が、
図16Bに示されている。この中間直径は、バルーン200の作用直径よりも小さい。バルーンの作用直径は、膨張したバルーンの最大直径として定義される。脆弱性バルーンカバー1645は、バルーン200のバルーン先細部分206とバルーン本体部分208の周りに配置されている。
【0122】
図17Aは、実施形態による脆弱性カバー1650の側面図である。
図16Bに示されているように、脆弱性カバー1650は、バルーン本体部分208の上と、各バルーン先細部分206の少なくとも一部分の上に重なる。脆弱性カバー1650は、バルーン200の膨張前の直径よりも大きい第1の中間直径にバルーン200の膨張を調節する働きをする。バルーン200の内部圧力が第1の予め決められた圧力に達すると、脆弱性カバー1650は破裂して、第1の中間直径よりも大きいバルーン200の作用直径にバルーン200が膨張することを可能にする働きをする。
【0123】
図17Bは、一実施形態による、中間膨張状態における、カテーテルシャフト104と、バルーン200と、脆弱性カバー1650と、外側カバー1616とを示す、脆弱性バルーンアセンブリ1600bの側面断面図であり、および、脆弱性カバー1650は破裂しておらず、脆弱性バルーンアセンブリ1600bの直径は中間直径Diである。
図17Cは、一実施形態による、バルーン作用直径に膨張した状態における、カテーテルシャフト104と、バルーン200と、脆弱性カバー1650と、外側カバー1616とを示す脆弱性バルーンアセンブリ1600bの側面断面図であり、および、脆弱性カバー1650はすでに破裂しており、最終直径Dfに達するようにバルーン200を釈放している。
【0124】
本明細書で定義されている破裂(rupturing)は、破れること、ちぎれること、変形すること、または、降伏することであり、および、脆弱性カバーに関して使用される場合に、脆弱性カバーの破裂は、拘束された直径からバルーンを釈放して、下に位置するバルーンがより大きい直径に拡張することを可能にする働きをする。
【0125】
一実施形態では、バルーンカバーアセンブリ1600bは、さらに、脆弱性カバー1650と第1のカバー脚部分1504と第2のバルーン脚部分204とを覆う採用随意の外側カバー1616を備える。外側カバー1616は、
図2に示されているバルーンに概ね類似した形状を有する。外側カバー1616は、第1のバルーン脚部分204と第2のカバー脚部分204とに連結されるだろう。外側カバー1616は、脆弱性カバーの破裂の結果として形成されることがある脆弱性カバー1650のあらゆる破片またはばらばらの端縁を収容する働きをする。この採用随意の外側カバー1616は、さらに、この外側カバー上に配置されたステントがバルーンカバーの長さに沿って滑動することを防止する働きをする。
【0126】
図16Cは、一実施形態による、カテーテルシャフト104と、バルーン200と、第1の脆弱性カバー1650aと、第2の脆弱性カバー1650bと、第3の脆弱性カバー1650cとを含む、脆弱性バルーンアセンブリ1600cの側面断面図である。カテーテルシャフト104と、膨張管腔105と、バルーン200が取り付けられている膨張ポート125とが示されている。このバルーンは、単一の膨張管腔から膨張させられるだろう。バルーン200は、
図2に示されているバルーン脚部分204を備える。第1の脆弱性カバー1650aの破裂の前に第1の中間直径に膨張させられているバルーン200が、
図16Cに示されている。第1の脆弱性カバー1650aと、第2の脆弱性カバー1650bと、第3の脆弱性カバー1650cは、バルーン200のバルーン本体部分208の周りに連続的に配置されている。他の実施形態では、第1の脆弱性カバー1650aと、第2の脆弱性カバー1650bと、第3の脆弱性カバー1650cは、バルーン200のバルーン先細部分206とバルーン本体部分208との上を延びるだろう。
【0127】
第1の中間直径は、バルーン200の作用直径よりも小さい第3の中間直径よりも小さい第2の中間直径よりも小さい。バルーンの作用直径は、膨張したバルーンの最大直径として定義されている。脆弱性バルーンカバー1645は、バルーン200のバルーン先細部分206とバルーン本体部分208の周りに配置されている。
【0128】
第1の脆弱性カバー1650aが、バルーン200の膨張前の直径よりも大きい第1の中間直径にバルーン200の膨張を調節する働きをする。バルーン200の内部圧力が第1の予め決められた圧力に達すると、第1の脆弱性カバー1650aが破裂して、第1の中間直径よりも大きい第2の中間直径にバルーン200が膨張することを可能にする働きをする(
図17Bと
図17Cを参照されたい)。
【0129】
本明細書で定義されている破裂(rupturing)は、破れること、ちぎれること、変形すること、または、降伏することであり、および、脆弱性カバーに関して使用される場合に、脆弱性カバーの破裂は、拘束された直径からバルーンを釈放して、下に位置するバルーンがより大きい直径に拡張することを可能にする働きをする。
【0130】
第2の脆弱性カバー1650bが、第1の中間直径よりも大きい第2の中間直径にバルーン200の膨張を調節する働きをする。バルーン200の内部圧力が第2の予め決められた圧力に達すると、第2の脆弱性カバー1650bが破裂して、第2の中間直径よりも大きい第3の中間直径にバルーン200が膨張することを可能にする働きをする。
【0131】
第3の脆弱性カバー1650cが、第2の中間直径よりも大きい第3の中間直径にバルーン200の膨張を調節する働きをする。バルーン200の内部圧力が第3の予め決められた圧力に達すると、第3の脆弱性カバー1650cが破裂して、第3の中間直径よりも大きいバルーン200の作用直径にバルーン200が膨張することを可能にする働きをする。
【0132】
それぞれに次第に増大する圧力で破裂するように脆弱性カバーに対して材料強度を与えることの一例として、次第に増大する厚さをそれぞれに有する、第1の脆弱性カバー1650aと、第2の脆弱性カバー1650bと、第3の脆弱性カバー1650cが
図16Cに示されている。予め決められた圧力における脆弱性カバーの破裂が、材料の物理的特性を非限定的に含む多くの手段によって影響を受けるだろうということを理解および認識されたい。
【0133】
一実施形態では、バルーンカバーアセンブリ1600cは、さらに、第1の脆弱性カバー1650aと第2の脆弱性カバー1650bと第3の脆弱性カバー1650cとバルーン脚部分204とを覆う、採用随意の外側カバー1616を備える。この外側カバー1616は、
図2に示されているバルーンに概ね類似した形状を有する。この外側カバー1616はバルーン脚部分204に連結されているだろう。この外側カバー1616は、脆弱性カバーの破裂の結果として形成されることがある第1の脆弱性カバー1650aと第2の脆弱性カバー1650bと第3の脆弱性カバー1650cのあらゆる破片またはばらばらの端縁を収容する働きをする。この採用随意の外側カバー1616は、さらに、この外側カバー上に配置されたステントがバルーンカバーの長さに沿って滑動することを防止する働きをする。
【0134】
実施形態では、脆弱性カバーは、きわめて予測可能である破断伸び(eleongation to break)を有する材料で作られている。一実施形態では、この破断伸びは非常に急激であり、脆弱性カバーが全体的に破損することを引き起こす亀裂伝搬による完全な破損を生じさせる。一実施形態では、材料は、30%未満または20%未満の破断伸びを有し、好ましくは15%未満の破断伸びを有する。一実施形態では、脆弱性カバーは、その製造直径の約15%未満である破断伸びを有する働きをする。すなわち、直径14mmに製造された脆弱性カバーは、予測通りに約16mmで破裂する中間直径を提供するだろう。
【0135】
一実施形態では、脆弱性カバーは、この脆弱性カバーの端から端まで完全に亀裂が伝搬することを可能にするための要素を備える。
図18Aは、一実施形態による、脆弱性カバー1650dの縦方向軸線に沿って概ね方向配置されているか、または、加えられる円周応力に対して垂直である、ePTFEの細長いノード(node)1802を備える脆弱性カバー1650dである。こうした方向配置は、細長いノード1802の相互間の場所での脆弱性カバー1650dの縦方向の亀裂を可能にする。
【0136】
代替案の実施形態では、脆弱性カバーは、高い度合いの下位荷重可塑性変形(lower load plastic deformation)が後に続く降伏点を有する材料を含む。例えば、脆弱性カバーは、例えば14mm−16mmの中間膨張直径を与える働きをし、および、膨張時に直ちに降伏し、その後に25mmの最終バルーン直径に対して下位荷重プラトー(lower load plateau)において少なくとも80%の伸長が生じるように働く。
【0137】
代替案の実施形態では、脆弱性カバーは、予想可能な荷重において脆弱性カバーの急速な破壊を生じさせる働きをする要素を備える。実施形態では、この要素は、
図18Bに示されている脆弱性カバー1650e内に備えられているノッチ1806と、
図18Cに示されている脆弱性カバー1650f内に備えられているミシン目1808と、孔、および、焼きしまり(densification)とを非限定的に含む。実施形態では、この特徴要素は、縫い目、
図18Dに示されている継ぎ目1810、または、想定可能な量の荷重が加えられるまで管状の形状に脆弱性カバーを維持する他の手段を含む。
【0138】
実施形態では、プラトー1712に沿って1710と同様の複数の「スパイク」を生じさせる働きをする追加の脆弱性カバーが備えられることが可能である。この複数の脆弱性釈放層(frangible release layer)は、20mm、25mm等のような特定の直径で破断するように作られることが可能である。
【0139】
図19Aは、脆弱性カバーがバルーンを中間直径に調節した後に破裂することを可能にする材料特性の線図を示す「応力−歪」曲線である。
図19Bは、脆弱性カバーがバルーンを中間直径に調節した後に降伏することを可能にする材料特性の線図を示す「応力−歪」曲線である。
【実施例2】
【0140】
次に、本明細書に示されている実施形態によるバルーンカバーを製造するために使用される薄ポリマーフィルム積層材を使用する方法の実施形態を説明する。この形状構成は、上述の方法と実施例1とに概ねしたがって作られる。この方法の実施形態は、バルーンカバー脚部分の付加と、脆弱性カバーの付加と、外側カバーの付加とを含む。この方法は次の諸段階を含むことが可能である。
【0141】
図8Bに示されているカバー脚部分1504が第1のカバー部分313と第2のカバー部分315とに加えられた。
【0142】
図14に示されているアセンブリが提供された。このアセンブリ1406は、マンドレル1400と、巻き付けられた製造補助器具1402と、3つのポリマーフィルムストラップ1404とを備える。アセンブリ1406は、実施例1において上述した材料とプロセスとを用いて形成された。
【0143】
図14Bに示されているように、カバー脚部分1408がアセンブリ1406に追加された。半径方向に延伸可能な薄肉ePTFEチューブ1410がマンドレルシャフト1412上に張り渡され、および、マンドレル先細部分1414の上に部分的に張られてた。チューブ1410は3つのポリマーフィルムストラップ1404を部分的に覆った。薄肉ePTFEチューブ1410は約4mmの初期直径と約50mmの長さとを有した。チューブ1410の余分な長さ部分が、マンドレルシャフト1412の約10mm分を露出させるために切り取られた。
【0144】
その次に、外周フィルム巻き付け物(circumferential film wrap)が、上述の実施例1にしたがって追加された。その次に、3つの追加のフィルムストラップが、上述の実施例1にしたがって追加された。この3つの追加のフィルムストラップは、半径方向に延伸可能なePTFEチューブ1410の先細部分を覆った。
【0145】
同様に、その次に、カバ−脚部分1408が、実施例1において上述されたアセンブリに続く反対側のマンドレル端部に追加され、この結果として、
図8Bに示されている1対のバルーンカバーが得られた。
図8Bに示されているように、第1のカバー本体部分312は、第1のカバー先細部分314に一体的に連結されている作用長さ802を有する第1のカバー本体部分312を有する。第1のカバー先細部分314は、第1のカバー先細部分314の頂点に位置したカバー脚部分1504を有する。さらに、第2のカバー先細部分320に一体的に連結されている作用長さ1512を有する第2のカバー本体部分318を有する第2のカバー部分315が、
図8Bに示されている。第2のカバー先細部分320は、第2のカバー先細部分320の頂点に位置したカバー脚部分1504を有する。
【0146】
図8Bにさらに示されているように、方向矢印(820、822)によって示されているように第2の本体部分318を第1のカバー本体部分312の中に平行移動させることによって、第2のカバー部分315が第1のカバー部分313の中に挿入されることが可能であり、したがって、第1のカバー本体部分312と第2の本体部分318とが(上述したように)大部分において互いに重なり合う。
【0147】
第1のカバー本体部分312と第2の本体部分318は、その次に、実施例1によって、作用長さに沿って互いに接着された。
【0148】
その次に、前述の実施例1にしたがって、圧縮されて折り畳まれたPETバルーンが、接合された第1のカバー本体部分312と第2のカバー部分318との中に挿入された。この実施形態では、カバー脚部分1504は、その下に位置するバルーン脚部分204に接着された。第1および第2のカバー本体部分とバルーン本体部分との間には接着剤は注入されなかった。第1および第2のカバー脚部分をバルーン脚部分に接着するために、ePTFEフィルムが接着剤で膨潤させられ、その次に、バルーン脚部分の周りに巻き付けられた。このePTFEフィルムは高度の縦方向強度を有し、および、幅が約6mmであり、および、LOCTITE(登録商標)4981接着剤で膨潤させられた。このフィルムをバルーン脚部分の周りに巻き付ける時に、手による張力がこのフィルムに加えられた。5つのフィルム層が付与された。
【0149】
その次に、脆弱性カバーがバルーンカバーに追加された。90mm幅のフィルムの9つの層を14mmマンドレルの上に縦方向に巻き付けることによって、ePTFEフィルムチューブが形成された。このフィルムは、約12%(7%−17%)の破断伸びと、リニアインチ(linear inch)当たり約1.2(0.7−1.7)ポンドの最大引張荷重とを有した。縦方向の巻き付けは、「紙巻きタバコ(cigarette)」巻き付けとも呼ばれる。先行の材料とフィルムが、Brancaに対する米国特許第5,708,044号明細書と、Branca他に対する米国特許第5,814,405号明細書とに説明されており、これらの特許文献の両方が本明細書にその全体が参照として援用されている。このフィルムは、そのフィブリルが外周と整合しているように方向配置されており、このことが、膨張中の伸長に対する大きな抵抗を生じさせ、約5atm(0.5066MPa)の圧力までバルーンの圧力が増大することを可能にした。このフィルムは、その長いノードが外周に対して垂直に方向配置されるように方向配置され、このことが、脆弱性カバーがその最大膨張圧力を超えさせられる時に、または、約16mmの直径を超える直径にされる時に、脆弱性カバーの長さに沿って完全に亀裂を伝搬させる手段を実現した。その次に、脆弱性カバーは、バルーンカバーの上に配置された。脆弱性カバーは、
図16に示されている、バルーン全長からバルーン脚部分の長さを減算した長さに近似した長さを有した。脆弱性カバーを引き裂くために必要とされる半径方向の力が、脆弱性カバーを構成する特定の脆弱性フィルムの層の数を変化させることによって設定されることが可能である。
【0150】
その次に、外側カバーが、脆弱性カバーを覆うために追加された。この外側カバーは、次のプロセスによって製造された。
【0151】
ePTFEフィルムが、約25mmの直径と約37cmの長さを有するマンドレルの周りに螺旋状に巻き付けられた。このフィルムの幅は約2.54cmだった。20つの層が、1.85度のピッチ角を有する螺旋状パターンの形で巻き付けられた。巻き付け長さは約30cmだった。
【0152】
その次に、フィルムを巻き付けたマンドレルが、約25分間にわたって、約380℃に加熱された空気対流炉の中に入れられた。この熱暴露がePTFE層を互いに接合させ、薄フィルムチューブを形成させた。
【0153】
ePTFEフィルムを巻き付けたマンドレルが炉から取り出され、放冷され、薄フィルムチューブがマンドレルから取り外された。この薄フィルムチューブは約25mmの直径と約0.0254mmの肉厚を有した。
【0154】
その次に、長さ約30cmの薄フィルムチューブが手で引っ張られ、当初の長さの約400%に、すなわち、約120cmに縦方向に引き延ばされた。引き延ばしの後に、このチューブは、約4mmの直径と約130cmの長さを有するマンドレルの上に置かれた。この引き延ばされたチューブはマンドレル上に手で皺を伸ばされ、約4mmの直径を有する小直径の薄フィルムチューブが形成された。
【0155】
その次に、一時的なePTFEフィルムが直径約4mmの薄肉チューブ上に螺旋状に巻き付けられた。このフィルムの厚さが約0.00508mmであり、フィルム幅が約1.905cmだった。フィルムの1つの通過(pas)が、約78度のフィルム角度で2.6924mmのピッチ(隣接したフィルム端縁から測定した)を使用して、巻き付けられた。
【0156】
その次に、薄フィルムチューブと一時的なePTFEフィルム巻き付け物が、縦方向に約130cmの開始長さから約78cmの圧縮長さに40%圧縮された。
【0157】
その次に、この縦方向に圧縮された薄フィルムチューブとマンドレルが、約1分間にわたって約380℃に加熱された空気対流炉の中に置かれた。
【0158】
その次に、ePTFEが巻き付けられたマンドレルが炉から取り出されて、放冷された。
【0159】
その次に、一時的なePTFEフィルム巻き付け物が薄フィルムチューブから取り外された。
【0160】
その次に、外側カバーが脆弱性カバー上に配置された。この外側カバーは、
図16Aに示されているように、バルーン全長に近似した長さを有した。外側カバーの端部が、バルーン脚部分の端部に位置合わせされた。
【0161】
その次に、外側カバーは、接着剤で膨潤させられたePTFEフィルムを使用して、下に位置する脆弱性カバーに接着された。この膨潤フィルムが、下に位置するバルーンカバー脚部分の周りに巻き付けられた。ePTFEフィルムは大きな縦方向強度を有し、幅が約6mmであり、および、LOCTITE(登録商標)4981接着剤で膨潤させられた。フィルムの5つの層が付着させられる時に、手による張力がそのフィルムに加えられた。
【0162】
この結果として得られたカバー付きバルーンが、
図16Aに示されておりかつ上述されている断面を有した。PETバルーン200が、バルーン脚部分204に沿って接着剤1608によってカテーテルシャフト104に接着されている。PETバルーン200を覆う第1のカバー部分313と第2のカバー部分315とが示されている。第1のカバー部分313と第2のカバー部分315は接合ライン1610に沿って接合されている。第1のカバー部分313と第2のカバー部分315のカバー脚部分は、接着剤膨潤フィルム1612によってPETバルーン200に接着されている。第1のカバー部分313と第2のカバー部分315とを取り囲む脆弱性カバー1650が示されている。脆弱性カバー1650を覆う外側カバー1616が示されている。接着剤膨潤フィルム1618によってカバー脚部分に接着されている外側カバー1616が示されている。
【0163】
実施例5の装置の試験が、
図16に示されているバルーンの膨張シーケンス1700を概略的に示す、
図15Aに概ね示されている「バルーン直径」対「圧力」のグラフを提供した。このバルーンは、1702として示されている約4mmの初期直径を有した。圧力がバルーンに加えられるにつれて、バルーンが拡張し始めた。バルーン直径が約14mmに達すると(1708)、脆弱性カバーがさらなる拡張に抵抗し始めながら、バルーン直径が増大した。脆弱性カバーが、約14mmの直径である状態で、約5atm(0.5066MPa)で破裂した(1710)。その次に、バルーンの直径が、約2atm(0.2027MPa)の圧力で拡張し続けた(1712)。約25mmの直径において、第1のカバー部分313と第2のカバー部分315が、さらに膨張することに抵抗し始めた(1714)。圧力が約2atm(0.2027MPa)よりも高く増大させられる時に、バルーンは概ね25mmのままであった(1716)。約10atm(1.0133MPa)の圧力で、バルーンが破裂した(1718)。
【0164】
本発明の構造と機能の詳細と共に好ましい実施形態と代替案の実施形態とを含む本発明の様々な特徴と利点とを上述の説明の中で明らかにしてきた。この開示内容は単に例示的なものにすぎないことが意図されており、および、したがって、網羅的であることは意図されていない。添付されている特許請求項が表現されている術語の広い一般的な意味によって示されている全範囲にまで、本発明の原理の範囲内において、特に構造、材料、要素、構成要素、形状、サイズ、および、部品の配置に関して、様々な変更が加えられることが可能であるということが、当業者には明らかだろう。これらの様々な変更が、添付されている特許請求項の着想と範囲から逸脱しない限りは、これらの変更が本明細書に含まれることが意図されている。上記において説明されておりかつ下記において特許請求されている実施形態に関しているということに加えて、本発明は、さらに、上記において説明されておりかつ下記において特許請求されている特徴の異なる組み合わせを有する実施形態にも関する。したがって、本発明は、さらに、下記において請求されている従属的特徴のあらゆる他の実現可能な組み合わせを有する他の実施形態にも関する。