(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基材シートは、シート面内における繊維の交絡度合が不均一であり、前記シート面の120mm四方の領域を12mm四方のブロック状の小領域に分割し、各小領域に対してテープストリッピング法試験を行ったときに、個々の小領域から抜ける繊維量の標準偏差が0.6mg以上である、請求項1〜5の何れか1項に記載の湿式清掃用シート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
第1実施形態の湿式清掃用シート1は、基材シート2と、該基材シート2に担持された洗浄液(図示せず)とを有する。
図1には、湿式清掃用シート1の清掃面側、即ち清掃を行う際に清掃対象物に向けられる側が示されている。
そして、湿式清掃用シート1の基材シート2の清掃面側に、
図1に示すように、巨視的な曲線部を有する凹凸パターンの凹凸を有している。即ち、基材シート2の清掃面側には、凹部4と凸部3とが形成されており、凸部3と凹部4との境界線が、巨視的に見て曲線状の部分を有している。ここで、巨視的に見て曲線状とは、マイクロ〜ナノスケールの微細な孔を構成する曲線や、直径1.5〜2mm程度の水抜き用穴を構成する曲線を除く、凹凸パターンを構成する図形の辺の一部が曲線であることを意味する。
【0011】
第1実施形態の湿式清掃用シート1における基材シート2の凹凸パターンについて説明すると、基材シート2の凹凸パターンは、平面方向に、凹部4と凹部4によって分離された複数の凸部3を有し、個々の凸部3は、周囲を凹部4に囲まれている。また、複数の凸部3として、相互に平面視形状が異なる複数種類の凸部31,32を有している。より詳細には、
図2に示すように、点P1を中心とする円上に位置する3つの第1円弧aと、第1円弧aどうし間に介在する逆向きに凸の3つの第2円弧bとに囲まれた略三角形状の第1凸部31と、点P2を中心とする円上に位置する一つの円弧cと該円弧cに対向する2つの円弧dと該2つの円弧d間から点P2方向に突出する略五角形部分eとを有する第2凸部32とを有している。第2凸部32は、共通する一つのP2を中心として、その周囲に等間隔に3つ配置され、等間隔に配置された3つの第2凸部32のうちの隣り合う第2凸部32,32間のそれぞれに、第1凸部31の第1円弧a部分が入り込んでいる。
【0012】
また、第1凸部31と第2凸部32とは、点P1から第1円弧aまでの距離(点P1を中心とした3つの第1円弧aを有する円の半径)と、点P2から円弧cまでの距離(点P2を中心とした円弧cを有する円の半径)とは同じである。また、点P1は、点P2を中心とした円弧cを有する円の外側に位置し、点P2は、点P1を中心とした3つの第1円弧aを有する円の外側に位置している。
【0013】
第1実施形態の
図1に示す凹凸パターンは、下記(1)〜(3)の3条件を満たしている。
なお、本発明における基材シートは、製造時の流れ方向である第1方向X、及び第1方向Xに直交する第2方向Yを有している。製造時の流れ方向は、製造時の機械方向MD(
図7参照)と同義である。製造時の流れ方向は、通常、構成繊維の主たる配向方向と一致する。したがって、製造時の流れ方向が明らかな場合、及び製造時の流れ方向が不明の場合のいずれの場合であっても、構成繊維の主たる配向配向を第1方向Xとすることができる。基材シート2の平面視形状が長方形である場合の「構成繊維の主たる配向方向」は、該長方形の長辺に沿う長軸方向と該長方形の短辺に沿う短軸方向のうち、構成繊維が配向している程度が高い方である。
他方、第2方向Yは、第1方向Xに直交する方向であり、第1方向Xが、基材シート製造時の流れ方向(製造時の機械方向MDと同じ)である場合は、該流れ方向に直交する方向(CD)であり、第1方向Xが、構成繊維の主たる配向方向である場合は、当該第1方向に直交する方向である。
【0014】
(条件1)
凹凸パターンは、1cm
2あたりの凹凸境界線の長さが10mm以上である。
ここで、凹凸境界線とは、凸部3と凹部4との境界線であり、基材シート2の厚み方向においては、凸部3の凹部4からの立ち上がり基端部に設定する。
1cm
2あたりの凹凸境界線の長さ(以下、「境界周長」ともいう)は、下記方法により測定する。
〔境界周長の測定方法〕
第1方向Xの長さが280mm、第2方向Yの長さが200mmの長方形状の領域(以下、測定対象領域ともいう)内に存する凹凸境界線の総長を、該領域の面積で除した値を境界周長とする。なお、測定対象領域は、測定対象の湿式清掃用シートにおける第1方向及び第2方向の中心点と、該測定対象領域の第1方向及び第2方向の中心点とが一致するように定める。
【0015】
境界周長は、凹凸境界線の平面視形状が比較的単純な場合は相対的に短く、凹凸境界線の平面視形状の辺々における変曲点が多い場合は相対的に長くなる。従って、境界周長の値は、凹凸境界線の平面視形状の複雑さを示す指標となる。そして、境界周長が10mm以上であることにより、髪の毛の引っ掛るきっかけとなる部位が増加して、湿式清掃時の髪の毛の捕捉性が顕著に向上することになる。
境界周長は、少なくとも10mm以上であり、好ましくは11mm以上である。また好ましくは50mm以下、より好ましくは30mm以下であり、また好ましくは10mm以上50mm以下、より好ましくは11mm以上30mm以下である。
【0016】
(条件2)
凹凸パターンは、凹部4で囲まれた個々の凸部3の面積が300mm
2以上である。凹部4で囲まれた個々の凸部3は、完全に凹部4に囲まれた凹部3のみを選択し、測定対象領域の縁部で切れている凸部は対象外とする。つまり、凹凸パターンの内、完全に凹部4で囲まれた凸部3それぞれの面積が、個々の凸部の面積であり、それぞれ300mm
2以上である。
面積の大きな凸部3を形成することで、微小な凸部を不織布の全体に亘って形成する場合に比べて、湿式清掃時の髪の毛の捕捉性を向上させることができる。
凹部4で囲まれた個々の凸部3の面積(以下、「個々の凸部の面積」ともいう)は、下記方法により測定する。
【0017】
〔個々の凸部の面積の測定方法〕
第1方向Xの長さが280mm、第2方向Yの長さが200mmの長方形状の領域(測定対象領域)内に存する凸部のうち、周囲を完全に凹部4で囲まれたもの、即ち輪郭の全体が測定対象領域内に存するものを選択し、選択した凸部の面積の測定値のそれぞれを、個々の凸部3の面積とする。
条件2を満たすためには、選択し、測定した複数の凸部3の面積の測定値のそれぞれが、300mm
2以上であることを要する。
なお、製造時の水流交絡工程に、
図9に示すような、水抜き穴45aを有するパターン形成用ネット42を用いた場合、パターン形成用ネット42の帯状部45に対応する凹部4内に、水抜き穴45aに対応する小凸部が形成されることがある。本発明の凹凸パターンを形成する凸部及び凹部の「凸部」には、このような小凸部は含まれない。
【0018】
(条件3)
第1方向Xの長さが280mm、第2方向Yの長さが200mmの長方形状の領域(測定対象領域)内に、第2方向Yに延びる直線Lを想定したときに、凹凸パターンの凹部4と重なる部分mの合計長さが最大の第1直線L1の該合計長さLmaxと、凹凸パターンの凹部4と重なる部分mの合計長さが最小の第2直線L2の該合計長さLminとの差(Lmax−Lmin)を、第1直線L1と第2直線L2との間の第1方向Xの最小距離L3で除した値〔(Lmax−Lmin)/L3〕が10以上である。以下、この値〔(Lmax−Lmin)/L3〕を、便宜的に「凹凸変化指数」という。凹凸変化指数は、第2方向Yに延びる直線Lを第1方向Xに連続的に移動させたときに、凹部と重なる部分mの長さが急激に変化する程高くなる。
凹凸パターンの凹部と重なる部分mの合計長さが最大の第1直線L1が、第1方向Xに複数本存在する場合、若しくは凹凸パターンの凹部と重なる部分mの合計長さが最小の第2直線L2が、第1方向に複数本存在する場合、又はそれらの両方である場合には、直線間の間隔が最小となる第1直線L1及び第2直線L2を選択し、その2直線間の最短距離を、第1方向Xの最小距離L3とする。
【0019】
凹凸変化指数が高いと髪の毛の捕捉性能が高まる。
凹凸変化指数は、10以上であることが好ましく、より好ましくは15以上、更に好ましくは20以上である。また、凹凸変化指数は、好ましくは50以下、より好ましくは45以下であり、また、好ましくは10以上50以下、より好ましくは15以上45以下、更に好ましくは20以上40以下である。
凹凸変化指数が高いと髪の毛の捕捉性能が高まる理由は、製造時の水流交絡工程において、水流がパターン形成用ネットにより遮断される長さ(凹凸パターンの凹部4と重なる部分mの長さに相当)が急激に変化する程、即ちこの凹凸の変化指数が高い程、繊維集合体の構成繊維の交絡の度合いにばらつきが生じるためであると推定される。
【0020】
なお、第2方向Yに延びる直線Lの、凹凸パターンの凹部4と重なる部分mを
図2に示す。
図2に示す各直線L中、太線とした部分が、凹凸パターンの凹部4と重なる部分mである。凹凸パターンの凹部4と重なる部分mの合計長さは、前記測定対象領域における第2方向Yの全長である200mmのうちの凹部4と重なる部分mの長さの合計値である。
【0021】
第1実施形態の湿式清掃用シート1は、基材シート2の清掃面側に形成された凹凸の凹凸パターンが、前記(1)〜(3)の3条件を満たすことによって、湿式清掃により、砂埃等の小さなダストを除去できる上に、髪の毛の捕捉性能にも優れている。
【0022】
図3は、第2実施形態の湿式清掃用シート1Aの基材シート2の清掃面側に形成された凹凸の凹凸パターンを示す平面図である。
第2実施形態の基材シート2の凹凸パターンも、巨視的な曲線部を有している。また平面方向に、凹部4と凹部4によって分離された複数の凸部3を有し、個々の凸部3は、周囲を凹部4に囲まれている。また、複数の凸部3として、相互に平面視形状が異なる複数種類の凸部33〜36を有している。より詳細には、
図3に示すように、点P3を中心とする円形の第3凸部33と、第3凸部33を囲むように配された円弧状の4つの第4凸部34と、更にその外側に配された円弧状の4つの第5凸部35とを有し、これらの凸部からなる円形凸部群30が、第1方向X及び第2方向Yにそれぞれ列を形成するように配置され、4つの円形凸部群30に周囲を囲まれた状態に第6凸部36が形成されている。第6凸部36は、正方形の4辺を外方に向かって凹の円弧状に代えた変形正方形状を有している。
【0023】
第2実施形態の湿式清掃用シート1Aも、基材シート2の清掃面側に形成された凹凸の凹凸パターンが、前記(1)〜(3)の3条件を満たしており、それによって、湿式清掃により、湿式清掃により、砂埃等の小さなダストを除去できる上に、髪の毛の捕捉性能にも優れている。
図3中に、第2実施形態の湿式清掃用シート1Aについての、凹凸パターンの凹部4と重なる部分mの合計長さが最大の第1直線L1と、凹凸パターンの凹部4と重なる部分mの合計長さが最小の第2直線L2及び第1直線L1と第2直線L2との間の第1方向Xの最小距離L3を示した。
【0024】
第1及び第2実施形態の湿式清掃用シート1,1Aは、髪の毛の捕捉性能の向上の観点から、シート面内における繊維の交絡度合が不均一であることが好ましく、その交絡度合のばらつきの程度は、
図4(a)〜
図4(c)に示すように、シート面(清掃面)の120mm四方の領域を12mm四方のブロック状の小領域に分割し、各小領域に対してテープストリッピング法試験を行ったときの個々の小領域から抜ける繊維量の標準偏差が、0.6mg以上であることが好ましく、より好ましくは0.65mg以上である。また前記標準偏差は、好ましくは0.8mg以下、より好ましくは0.7mg以下であり、また好ましくは0.6mg以上0.8mg以下、より好ましくは0.65mg以上0.7mg以下である。また、120mm四方の領域から抜けた繊維の総量は、好ましくは100mg以上200mg以下、より好ましくは120mg以上170mg以下である。
【0025】
テープストリッピング法試験は、洗浄液を担持させる前の基材シートを用い、以下の手順で行った。
即ち、幅12mmのテプラ(登録商標)標準テープ(株式会社キングジム製)を12mm間隔に切断して12mm四方のシールを得、それを、
図4(b)に示すように、120mm四方の領域に設定した合計100個の小領域上にピンセットを用いて隙間なく並べた。そして、その100枚のシール上に、10gの荷重を載せ12mm四方あたり10gの荷重を加えた。それを20℃の環境下に、24時間放置し、24時間経過後の各シールを剥がし、シール毎に繊維の付着量を測定した。測定は0.1mg単位で測定した。なお、シールは、
図4(c)に示すように、斜め下の角部をピンセットに挟み、各シールを対角線に沿って引き剥がした。
100枚のシールのそれぞれに付着した繊維量(質量)の標準偏差を求めた。
【0026】
第1及び第2実施形態の湿式清掃用シート1,1Aの基材シート2は、網状シートとしてのネット11の両面に、繊維集合体が、その構成繊維どうしが絡合し且つ該構成繊維がその網状シートとも絡合した状態で一体化した構成を有している。
【0027】
基材シート2を構成する網状シートは、孔を多数有する有孔フィルムを含む広い概念であって、例えば、
図5に示すようなネット11の他、特許文献1の
図7に示すような孔を形成した潜在捲縮発現繊維集合体からなる網状ウエブ、及び特許文献1の
図8に示すような孔を多数有する有孔フィルムを含むものである。網状シートとしてのネット11としては、全体として格子状に形成されたものが用いられるが、ネット11に形成される孔の形状は種々変形が可能である。
【0028】
基材シート2の両面又は片面を構成する繊維集合体は、交絡した繊維によって構成されている。繊維集合体の構成繊維としては、例えば、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系等の熱可塑性繊維、あるいはそれらの複合化繊維、分割繊維又はメルトブローン法等で製造された極細繊維、アセテート等の半合成繊維、キュプラ、レーヨン等の再生繊維、あるいは綿(コットン)等の天然繊維のいずれでもよく、それらの混綿でもよい。網状シートとしてのネットは、熱収縮性のものを用いることが好ましく、かかる熱収縮性のネットを用いることにより、清掃用シート1,1Aの製造に際し、熱収縮性のネットの熱処理による熱収縮により、繊維集合体の表面に微視的な凹凸を形成できる。熱収縮性のネットとしては、ポリオレフィン系、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等、ポリエステル系、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等、ポリアミド系、例えば、ナイロン6、ナイロン66等、アクリロニトリル系及びビニル系、ビニリデン系、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等あるいはそれら変性物、アロイ、これらの混合物等の熱可塑性ポリマーで構成されたネットであって、目的とする清掃用シートの凹凸形状に応じて1軸又は2軸方向に収縮するもの、若しくは上記熱可塑性ポリマーで熱収縮するフィラメントを経糸若しくは緯糸の少なくとも一方に用いて製織又は編成したネットが好ましく、目的とする清掃用シートの凹凸形状により適宜選定する。
【0029】
網状シートとしてネット11を用いる場合、線径は、好ましくは20μm〜500μm、更に好ましくは100μm〜200μm、線間距離は、好ましくは2mm〜30mm、更に好ましくは4mm〜20mmである。基材シート2が、網状シートの両面に繊維集合体が配置されたものである場合、網状シート両面の繊維集合体としては、同一のものでも良く、異なったものでも良い。また、網状シート両面の繊維集合体として異なったもの、例えば構成繊維の種類の異なったもの同士を用いることにより、使用目的に応じて網状シートの両面で使い分けのできる製品としたり、網状シートの両面で風合いの異なる製品としたりすることも可能である。
基材シート2は、網状シートの両面に繊維集合体を有するもの代えて、片面のみ繊維集合体が配置されたものであっても良い。
【0030】
本発明の湿式清掃用シートは、基材シート2の繊維集合体に洗浄液を担持させたものである。
洗浄液は、界面活性剤、溶剤及びアルカリ剤の少なくとも一種類以上を含む水溶液であることが好ましい。
【0031】
上記界面活性剤としては、非イオン系、陽イオン系、陰イオン系、両性系等の各種活性剤が挙げられる。上記陰イオン系界面活性剤としては、通常のスルホネート系陰イオン系界面活性剤、サルフェート系陰イオン系界面活性剤が使用される。スルホネート系陰イオン系界面活性剤としては、直鎖又は分岐鎖アルキル(C
8〜C
22)ベンゼンスルホン酸塩、長鎖アルキル(C
8〜C
22)スルホン酸塩、長鎖オレフィン(C
8〜C
22)スルホン酸塩等がある。また、サルフェート系陰イオン系界面活性剤としては、長鎖モノアルキル(C
8〜C
22)硫酸エステル塩、ポリオキシエチレン(1〜6モル)長鎖アルキル(C
8〜C
22)エーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレン(1〜6モル)アルキル(C
8〜C
18)フェニルエーテル硫酸エステル塩等がある。これら陰イオン系界面活性剤の対イオンとしての陽イオンは、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンイオン等である。加水分解に対する抵抗が強い等の点から、陰イオン系界面活性剤としては、スルホネート系界面活性剤が好ましい。更に洗浄力の点から長鎖又は分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましい。また、上記両性系界面活性剤としては、炭素数8〜22のアルキル基を有するカルボベタイン、スルホベタイン、ヒドロキシスルホベタイン等が挙げられる。また、上記非イオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレン(6〜35モル)長鎖アルキル又はアルケニル(第1級又は第2級(C
8〜C
22)エーテル、ポリオキシエチレン(6〜35モル)アルキル(C
8〜C
18)フェニルエーテル等のポリエチレングリコールエーテル型、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、あるいはグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルグリコシド等の多価アルコール型等が挙げられる。上記陽イオン系界面活性剤としては、炭素数10〜22のアルキル基又はアルケニル基を有するモノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩、長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩、モノ長鎖アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等が挙げられる。
【0032】
また、上記溶剤としては、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、エチレングルコール、プロピレングリコール等のグリコール類、エチレングルコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類が挙げられ、又、上記アルカリ剤としては、モノエタノールアミン等のアルカノールアミン等が挙げられる。又、上記洗浄液には、必要に応じて殺菌剤、消臭剤、香料等の成分を含有させることができる。これらの洗浄液の担持量は、基材シートに含まれる繊維集合体の総質量に対して、好ましくは300%以上、より好ましくは400%以上であり、また、好ましくは800%以下、より好ましくは500%以下であり、また、好ましくは300%以上800%以下、より好ましくは400%以上500%以下である。
【0033】
前述した湿式清掃用シート1,1A等の湿式清掃用シートは、直接手を使ってシートを操作して清掃する他に、柄付き清掃用具に取り付けて使用することができる。柄付き清掃用具に取り付けて使用することは、清掃操作を容易に行い得る観点から好ましい。そのような柄付き清掃用具としては、例えば、
図6に示すような、湿式清掃用シートが装着可能なヘッド部51、及び該ヘッド部51に自在継手52を介して連結された棒状の柄53から構成されている柄付き清掃用具5が挙げられる。ヘッド部51におけるシートの装着面は、例えば平面視で長方形状とすることができ、通常の使用態様においては、柄付き清掃用具5は、ヘッド部51をその短辺方向に沿った方向に移動(特に往復移動)させて清掃を行う。即ち、ヘッド部51の短辺方向に沿う方向が、柄付き清掃用具5で清掃する際の主たる移動方向Mであり、本発明の湿式清掃シートは、製造時の流れ方向又は構成繊維の主たる配向方向である第1方向Xに直交する第2方向Yを主たる移動方向Mに一致させて用いることが、髪の毛の捕集性能が一層向上することから好ましい。
【0034】
このように、本発明の湿式清掃用シートは、清掃面が平面視で長方形のヘッド部を備えた柄付き清掃用具における該ヘッド部に装着されて使用される湿式清掃用シートであって、第2方向Yを、該ヘッド部51の短辺に沿う方向Mに一致させ、第1方向Xを、該ヘッド部51の長辺に沿う方向に一致させて用いられるものであることが、髪の毛の優れた捕集性能を発揮させる観点から好ましい。
【0035】
次に、本発明にかかる湿式清掃用シートの製造方法の好ましい実施態様について説明する。
図7に示すように、カード機21A、21Bにより繊維集合体12を製造し、原反ロール23から繰り出した網状シート11の上下に合流させ、網状シート11の両面に繊維集合体12を有する帯状積層体20とし、これをウォーターニードリング装置40に導入する。繊維集合体12は、繊維ウエブから形成される繊維集合体であることが好ましい。
ウォーターニードリング装置40は、
図8に示すように、外周部41aが、回転軸方向に延びる多数のスプリングコイル41bからなる透水性支持部材としての回転ドラム41と、回転ドラム41の外周部41a上に配されたパターン形成用ネット42と、回転ドラム41の外方から内部に向かってジェット水流を噴射するジェット水流噴射装置43とを備えている。
図9に示すパターン形成用ネット42は、
図1に示す凹凸パターンを形成するもので、
図1に示す凹凸パターンにおける第1凸部31及び第2凸部32と同様の平面視形状を有する開口部31’,32’と、
図1に示す凹凸パターンにおける凹部4と同様の平面視形状を有する帯状部45とを有している。パターン形成用ネット42は、金属、合成樹脂等の耐水性の材料からなる。パターン形成用ネット42は、
図9に示すように、帯状部45に帯状部45の幅より小径の水抜き穴45aを多数有しており、ジェット水流が帯状部45にあたることによる水の飛び散りを防止又は軽減することができる。パターン形成用ネット42の開口部31’,32’は、打ち抜き加工で形成しても良いが、パターン形成用ネット42に歪が生じにくいことからレーザー加工により形成することが好ましい。他方、水抜き穴45aは、開口の周縁部にバリが生じないようにする観点から、パンチング加工等の打ち抜き加工で形成することが好ましい。
回転ドラム41の回転に伴い移動する帯状積層体20に対してジェット水流を吹き付けることにより、帯状積層体20に、パターン形成用ネット42の帯状部45に対応する形状の凹部4及びパターン形成用ネットの開口部31’,32’に対応する形状の凸部31,32が形成される。
パターン形成用ネット42は、
図1に示す凹凸パターンの巨視的に視た平面視曲線状の帯状部を有している。
【0036】
またこのウォーターニードリング装置を用いたジェット水流により、網状シート11の片面側にある繊維ウエブからなる繊維集合体12及び他面側にある繊維ウエブからなる繊維集合体12の構成繊維がそれぞれ交絡して不織布状の繊維集合体となると共に、片面側にある繊維集合体12の繊維と他面側にある繊維集合体12の繊維、及び繊維集合体12の繊維と網状シート11も交絡し、それらが一体化した基材シート2で、
図1に示す凹凸パターンの凹凸が形成された基材シート2が得られる。
【0037】
そして、その基材シート2は、加熱装置28に搬入されて熱処理される。この熱処理により、基材シート2が乾燥されると共に、網状シート11として熱収縮性の網状シートを用いた場合は、網状シートが熱収縮し、ウォーターニードリング装置を用いた水流交絡工程において形成した個々の凸部の表面に、微小な凹凸が形成される。次いで、熱処理後の基材シート2に、洗浄液が担持される。洗浄液を基材シート2に坦持させる方法は、特に、限定されるものではないが、例えば、
図7に示すように、ニップロール26とワインダ29との間に配されたスプレー装置27によって付与される。洗浄液の付与は、基材シート2に対する熱処理後に行うのに代えて、熱処理前に行うこともできる。洗浄液を担持させて得られる湿式清掃用シートは、
図7に示すように、ロール状に巻き取ってもよいし、必要な長さに切断し、更に必要に応じて折り畳んだのち包装してもよい。
このようにして、本発明の湿式清掃用シートが効率的に得られる。また、本実施態様の製造方法は、製造時の水流交絡工程において、水流がパターン形成用ネットにより遮断される長さ(凹凸パターンの凹部4と重なる部分mの長さに相当)が急激に変化するところが生じ易いため、シートの平面方向における、繊維集合体の繊維の交絡の度合いにばらつきが大きい基材シート及び湿式清掃用シートが得られる。湿式清掃用シートの第1方向Xは、水流交絡工程でジェット水流を吹き付ける際の帯状積層体20の移動方向(機械方向MD)に一致している。
【0038】
本発明の湿式清掃用シートの清掃面側の凹凸は、凸部3の頂部と凹部4の底部との高低差が、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1.2mm以上であり、また好ましくは0.5mm以上5mm以下、より好ましくは1mm以上2.5mm以下である。高低差は、無荷重下の切断端面を観察して求める。また、本発明の湿式清掃用シートは、繊維集合体部分の坪量が、好ましくは50g/m
2以上、より好ましくは65g/m
2以上であり、好ましくは100g/m
2以下、より好ましくは80g/m
2以下であり、また好ましくは50g/m
2以上100g/m
2以下、より好ましくは65g/m
2以上80g/m
2以下である。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明はかかる実施形態に制限されない。
【0039】
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下の清掃用ウエットシートを開示する。
<1>
網状シートの片面又は両面に、繊維集合体が、構成繊維どうしが絡合し且つ該構成繊維が網状シートとも絡合した状態で一体化している基材シートと、該基材シートに担持された洗浄液とを有し、前記基材シートは、清掃面側に、巨視的な曲線部を有する凹凸パターンの凹凸を有し、前記凹凸パターンは、1cm
2あたりの凹凸境界線の長さが10mm以上で、凹部で囲まれた個々の凸部の面積が300mm
2以上であり、製造時の流れ方向に対応する第1方向及び第1方向に直交する第2方向を有し、第1方向の長さが280mm、第2方向の長さが200mmの長方形状の領域内に、第2方向に延びる直線を想定したときに、前記凹凸パターンの凹部と重なる部分の合計長さが最大の最大直線の該合計長さと、前記凹凸パターンの凹部と重なる部分の合計長さが最小の最小直線の該合計長さとの差を、最大直線と最小直線との第1方向の最小距離で除した値が10以上である、湿式清掃用シート。
【0040】
<2>
前記凹凸パターンは、平面方向に、前記凹部と該凹部とによって分離された複数の前記凸部を有し、個々の前記凸部は、周囲を前記凹部に囲まれている、前記<1>に記載の湿式清掃用シート。
<3>
前記凹凸パターンは、複数の前記凸部として、相互に平面視形状が異なる複数種類の凸部を有している、前記<1>又は<2>に記載の湿式清掃用シート。
<4>
前記凹凸パターンは、複数の前記凸部として、点P1を中心とする円上に位置する3つの第1円弧a及び該第1円弧aどうし間に介在する逆向きに凸の3つの第2円弧bとに囲まれた略三角形状の第1凸部と、点P2を中心とする円上に位置する一つの円弧c、該円弧cに対向する2つの円弧d及び該2つの円弧d間から点P2方向に突出する略五角形部分eを有する第2凸部とを有している、前記<1>〜<3>の何れか1に記載の湿式清掃用シート。
<5>
前記第1凸部と前記第2凸部とは、前記点P1を中心とする円の半径と、前記点P2を中心とする円の半径とが同じ長さである、前記<4>に記載の湿式清掃用シート。
【0041】
<6>
前記点P1は、前記点P2を中心とした前記円弧cを有する円の外側に位置し、前記点P2は、前記点P1を中心とした3つの前記第1円弧aを有する円の外側に位置するようにパターン形成されている、前記<4>又は<5>に記載の湿式清掃用シート。
<7>
前記第2凸部は、点P2を中心とした周方向に等間隔に3つ配置され、等間隔に配置された3つの前記第2凸部のうちの隣り合う前記第2凸部間のそれぞれに、前記第1凸部の第1円弧a部分が入り込んでいる、前記<4>〜<6>の何れか1に記載の湿式清掃用シート。
<8>
前記凹凸パターンは、複数の凸部として、点P3を中心とする円形の第3凸部と、該第3凸部を囲むように配された円弧状の4つの第4凸部と、更にその外側に配された円弧状の4つの第5凸部とを有し、これらの凸部からなる円形凸部群が、第1方向及び第2方向にそれぞれ列を形成するように配置されている、前記<1>〜<3>の何れか1に記載の湿式清掃用シート。
<9>
4つの前記円形凸部群に周囲を囲まれた状態に第6凸部が形成されている、前記<8>に記載の湿式清掃用シート。
<10>
前記第6凸部は、正方形の4辺を外方に向かって凹の円弧状に代えた変形正方形状を有している、前記<9>に記載の湿式清掃用シート。
【0042】
<11>
前記凸部と前記凹部との境界周長は、少なくとも10mm以上であり、好ましくは11mm以上であり、また好ましくは50mm以下、より好ましくは30mm以下であり、また好ましくは10mm以上50mm以下、より好ましくは11mm以上30mm以下である、前記<1>〜<10>の何れか1に記載の湿式清掃用シート。
<12>
前記凹部内に、水抜き穴に対応する小凸部が形成されている、前記<1>〜<11>の何れか1に記載の湿式清掃用シート。
<13>
前記凹凸パターンの前記凹部と重なる部分の合計長さが最大の第1直線の該合計長さと、前記凹凸パターンの前記凹部と重なる部分の合計長さが最小の第2直線の該合計長さとの差を、前記第1直線と前記第2直線との間の第1方向の最小距離で除した値は、より好ましくは15以上、更に好ましくは20以上である、前記<1>〜<12>の何れか1に記載の湿式清掃用シート。
<14>
前記凹凸パターンの前記凹部と重なる部分の合計長さが最大の第1直線の該合計長さと、前記凹凸パターンの前記凹部と重なる部分の合計長さが最小の第2直線の該合計長さとの差を、前記第1直線と前記第2直線との間の第1方向の最小距離で除した値は、好ましくは50以下、より好ましくは45以下である、前記<1>〜<13>の何れか1に記載の湿式清掃用シート。
<15>
前記値は、好ましくは10以上50以下、より好ましくは15以上45以下、更に好ましくは20以上40以下である、前記<13>又は<14>に記載の湿式清掃用シート。
【0043】
<16>
前記網状シートは、孔を形成した潜在捲縮発現繊維集合体からなる網状ウエブを含むものである、前記<1>〜<15>の何れか1に記載の湿式清掃用シート。
<17>
前記網状シートは、孔を多数有する有孔フィルムを含むものである、前記<1>〜<15>の何れか1に記載の湿式清掃用シート。
<18>
前記基材シートは、前記網状シートの両面に前記繊維集合体が配されており、前記網状シートの両面の繊維集合体が同一のものである、前記<1>〜<17>の何れか1に記載の湿式清掃用シート。
<19>
前記基材シートは、前記網状シートの両面に前記繊維集合体が配されており、前記網状シートの両面の繊維集合体が異なるものである、前記<1>〜<17>の何れか1に記載の湿式清掃用シート。
<20>
前記基材シートは、前記網状シートの片面のみに繊維集合体が配されている、前記<1>〜<19>の何れか1に記載の湿式清掃用シート。
【0044】
<21>
前記基材シートは、シート面内における繊維の交絡度合が不均一であり、前記シート面の120mm四方の領域を12mm四方のブロック状の小領域に分割し、各小領域に対してテープストリッピング法試験を行ったときに、個々の小領域から抜ける繊維量の標準偏差が0.6mg以上である、前記<1>〜<20>の何れか1に記載の湿式清掃用シート。
<22>
前記湿式清掃用シートは、柄付き清掃用具に取り付けて使用される、前記<1>〜<19>の何れか1に記載の湿式清掃用シート。
<23>
前記柄付き清掃用具は、湿式清掃用シートが装着可能なヘッド部、及び該ヘッド部に連結された棒状の柄から構成されている、前記<22>に記載の湿式清掃用シート。
<24>
前記ヘッド部おけるシートの装着面は、平面視で略長方形状である、前記<23>に記載の湿式清掃用シート。
<25>
清掃面が平面視で長方形のヘッド部を備えた柄付き清掃用具における該ヘッド部に装着されて使用される湿式清掃用シートであって、第2方向を、該ヘッド部の清掃面の短辺に沿う方向に一致させ、第1方向を、該ヘッド部の清掃面の長辺に沿う方向に一致させて用いられる、前記<1>〜<24>の何れか1に記載の湿式清掃用シート。
【0045】
<26>
湿式清掃用シートの製造方法であって、前記網状シートの片面又は両面に繊維集合体を有する帯状積層体を、平面視曲線状の帯状部を含むパターン形成用ネットを配した透水性支持部材上に導入し、該透水性支持部材とともに移動する帯状積層体に対してジェット水流を吹き付け、該帯状積層体に、パターン形成用ネットの帯状部に対応する形状の凹部及びパターン形成用ネットの開口部に対応する形状の凸部を形成して前記の基材シートを得る水流交絡工程を具備する、湿式清掃用シートの製造方法。
【実施例】
【0046】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例により何ら制限されるものではない。
(実施例1)
図9に示すパターン形成用ネットを用い、前述した製造方法により、清掃面側に
図1に示す凹凸パターンの凹凸を有する基材シートを製造し、また、それらの基材シートに洗浄液として下記の洗浄液を、各基材シートの繊維集合体の総質量に対して350質量%担持させて、実施例1の湿式清掃用シートを得た。
基材シートの製造には、下記の網状シート及び繊維集合体を用いた。
網状シート:線径(繊維直径)200μm、線間距離10mmの
図5に示す形状のポリプロピレン製ネット
繊維集合体:PET(線径11.5μm)、アクリル(線径10.5μm)、レーヨン(線径12μm)からなる短繊維を構成繊維とするカードウエブ
洗浄液:洗浄基剤を0.1%以上、アルコールを1%以上、精製水を50%以上含む洗浄液
【0047】
(実施例2)
使用するパターン形成用ネットを代えて、基材シートの清掃面側に形成する凹凸の凹凸パターンを
図3に示すパターンに代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の湿式清掃用シートを得た。
(比較例1)
使用するパターン形成用ネットを代えて、基材シートの清掃面側に形成する凹凸の凹凸パターンを
図10に示すパターンに代えた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の湿式清掃用シートを得た。
(比較例2)
ウォーターニードリング装置の回転ドラムとして、パターン形成用ネットを使用しない回転ドラムを用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例2の湿式清掃用シートを得た。
【0048】
実施例1,2及び比較例1,2の湿式清掃用シートのそれぞれについて、前述した境界周長、凹部に囲まれた凸部のうち面積が最小のものの面積及び凹凸変化指数を計測して、表1に示した。
実施例1の湿式清掃用シートは、第1凸部31の面積が1192mm
2、第2凸部32の面積が712mm
2であり、第2凸部32が面積が最小の凸部であった。
実施例2の湿式清掃用シートは、第3凸部33の面積が707mm
2、第4凸部34の面積が348mm
2であり、第5凸部35が面積が600mm
2であり、第6凸部36の面積が1457mm
2であり、第4凸部34が面積が最小の凸部であった。
また、繊維の交絡度合のばらつきの程度を調べるために、前述したテープストリッピング法試験を行い、120mm四方の領域から抜けた繊維の総量及び小領域の抜け量の標準偏差を求め、その結果を併せて表1に示した。
また特許文献1の
図9の黒色部分、及び特許文献2の
図8(a)に示す有孔フィルム14の星型の孔部分を凸部と考えたときの、境界周長、凸部1個あたり面積及び凹凸変化指数を、表1に参考例1及び参考例2として示した。
【0049】
(評価)
実施例1,2及び比較例1,2の湿式清掃用シートのそれぞれについて、小ダストの捕集性能及び髪の毛の捕集性能の評価試験を行った。それらの結果を表1に示した。
【0050】
1.小ダストの捕集性能
フローリングからなる床面上の、横90×縦30cmの範囲に土、砂ぼこりの組成に近い試験用ダスト7種(JIS Z8901 )を1g均一にまいた。また
図6に示す柄付き清掃用具5のヘッド部51に各湿式清掃用シートを取り付け、試験用ダスト7種をまいた部分を、短辺方向(図中M方向)に10往復させた。湿式清掃用シートに吸着されたダストの総質量を測定し、散布した1gに対する割合(%)を、小ダストの捕集率(%)として表1に示した。
【0051】
2.髪の毛の捕集能性能
フローリングからなる床面上の、横30×縦15cmの範囲に長さ10cmの髪の毛を縦方向に平行になるように、10本等間隔にならべた。また
図6に示す柄付き清掃用具5のヘッド部51に各湿式清掃用シートを取り付け、髪の毛をまいた部分を、短辺方向に2往復させた、湿式清掃用シートに吸着された髪の毛の総本数を測定し、フローリング上に配した髪の毛の総本数に対する割合(%)を、髪の毛の捕集率(%)として表1に示した。
【0052】
【表1】
【0053】
表1から明らかなように、小ダストの捕集性能については、実施例1,2の湿式清掃用シートは、比較例1や2の湿式清掃用シートと同等で、良好な捕集性能を示した。他方、髪の毛の捕集性能については、実施例1や2の湿式清掃用シートは、比較例1や2の湿式清掃用シートに対して明らかに捕集性能が向上した。また、実施例1や2の湿式清掃用シートの基材シートは、線維の交絡度合のばらつきを示す標準偏差が比較例1のものに比べて高い値を示し、比較例1のものに比較して、繊維の交絡度合のばらつきの程度が大きかった。